JP2003272851A - 有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置 - Google Patents
有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置Info
- Publication number
- JP2003272851A JP2003272851A JP2002074558A JP2002074558A JP2003272851A JP 2003272851 A JP2003272851 A JP 2003272851A JP 2002074558 A JP2002074558 A JP 2002074558A JP 2002074558 A JP2002074558 A JP 2002074558A JP 2003272851 A JP2003272851 A JP 2003272851A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voltage
- organic
- low
- light emission
- light emitting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】有機EL素子を高速で駆動することができる有
機EL素子の駆動方法を提供する。 【解決手段】パルス幅Tのパルス電圧を印加して有機E
L素子を駆動する際に、駆動電圧をローレベルからハイ
レベルにして有機EL素子を点灯する場合には、ローレ
ベルの電圧を負電圧とすると共に、駆動電圧をハイレベ
ルからローレベルにして有機EL素子を消灯する場合に
は、ローレベルの電圧を負電圧とするので、ローレベル
の電圧を0Vとする場合と比べて、発光の立ち上がり時
間τUP及び立ち下がり時間τDOWNが各々短縮される。即
ち、応答速度が速くなる。
機EL素子の駆動方法を提供する。 【解決手段】パルス幅Tのパルス電圧を印加して有機E
L素子を駆動する際に、駆動電圧をローレベルからハイ
レベルにして有機EL素子を点灯する場合には、ローレ
ベルの電圧を負電圧とすると共に、駆動電圧をハイレベ
ルからローレベルにして有機EL素子を消灯する場合に
は、ローレベルの電圧を負電圧とするので、ローレベル
の電圧を0Vとする場合と比べて、発光の立ち上がり時
間τUP及び立ち下がり時間τDOWNが各々短縮される。即
ち、応答速度が速くなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(エレク
トロ・ルミネッセンス)素子の駆動方法及び有機EL発
光装置に関し、特に、有機EL素子を高速で駆動する駆
動方法と、その駆動方法で有機EL素子を駆動して発光
させる有機EL発光装置とに関する。
トロ・ルミネッセンス)素子の駆動方法及び有機EL発
光装置に関し、特に、有機EL素子を高速で駆動する駆
動方法と、その駆動方法で有機EL素子を駆動して発光
させる有機EL発光装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光性の有機物質を発光層に用いた有機
EL素子は、他の発光素子に比べて製造が容易であり、
薄型且つ軽量の発光素子が構成できる等の利点により、
近年活発な研究開発が進められている。この有機EL素
子は、発光層を含む有機化合物層を陰極と陽極の二つの
電極で挟持した構造を備えており、両電極間に電圧を印
加することにより、陰極から注入された電子と陽極から
注入された正孔とが有機化合物層中で再結合し、付近の
発光材料を励起することにより発光する。
EL素子は、他の発光素子に比べて製造が容易であり、
薄型且つ軽量の発光素子が構成できる等の利点により、
近年活発な研究開発が進められている。この有機EL素
子は、発光層を含む有機化合物層を陰極と陽極の二つの
電極で挟持した構造を備えており、両電極間に電圧を印
加することにより、陰極から注入された電子と陽極から
注入された正孔とが有機化合物層中で再結合し、付近の
発光材料を励起することにより発光する。
【0003】従来、この有機EL素子にパルス電圧を印
加して駆動する場合には、図10に示すように、ハイレ
ベルでの電圧Vhighを所望の発光強度を得ることができ
る電圧とし、ローレベルでの電圧Vlowを0Vとして、
有機EL素子をオンオフ駆動していた。
加して駆動する場合には、図10に示すように、ハイレ
ベルでの電圧Vhighを所望の発光強度を得ることができ
る電圧とし、ローレベルでの電圧Vlowを0Vとして、
有機EL素子をオンオフ駆動していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
駆動方法では、図10に示すように、駆動電圧をVlow
からVhighにした後に所望の発光強度が得られるまでの
時間(発光の立ち上がり時間)、及び駆動電圧をVhigh
からVlowにした後に発光強度が所定値以下になるまで
の時間(発光の立ち下がり時間)がマイクロ秒オーダで
あり、有機EL素子を画像形成用の露光光源や光通信用
光源に使用するには、応答速度が遅い、という問題があ
った。
駆動方法では、図10に示すように、駆動電圧をVlow
からVhighにした後に所望の発光強度が得られるまでの
時間(発光の立ち上がり時間)、及び駆動電圧をVhigh
からVlowにした後に発光強度が所定値以下になるまで
の時間(発光の立ち下がり時間)がマイクロ秒オーダで
あり、有機EL素子を画像形成用の露光光源や光通信用
光源に使用するには、応答速度が遅い、という問題があ
った。
【0005】本発明は上記の問題点に鑑み成されたもの
であり、本発明の目的は、有機EL素子を高速で駆動す
ることができる有機EL素子の駆動方法を提供すること
にある。また、本発明の他の目的は、高速応答性に優れ
た有機EL発光装置を提供することにある。
であり、本発明の目的は、有機EL素子を高速で駆動す
ることができる有機EL素子の駆動方法を提供すること
にある。また、本発明の他の目的は、高速応答性に優れ
た有機EL発光装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の有機EL素子の駆動方法は、所定の負電圧か
ら所定の発光強度が得られる正電圧に立ち上がる電圧、
及び、所定の発光強度が得られる正電圧から所定の負電
圧に立ち下がる電圧の少なくとも一方を印加して、有機
EL素子を駆動することを特徴とする。
に本発明の有機EL素子の駆動方法は、所定の負電圧か
ら所定の発光強度が得られる正電圧に立ち上がる電圧、
及び、所定の発光強度が得られる正電圧から所定の負電
圧に立ち下がる電圧の少なくとも一方を印加して、有機
EL素子を駆動することを特徴とする。
【0007】所定の負電圧から所定の発光強度が得られ
る正電圧に立ち上がる電圧を印加することにより、発光
の立ち上がり時間を短縮して、有機EL素子の応答性を
改善することができる。また、所定の発光強度が得られ
る正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧を印加する
ことにより、発光の立ち下がり時間を短縮して、有機E
L素子の応答性を改善することができる。
る正電圧に立ち上がる電圧を印加することにより、発光
の立ち上がり時間を短縮して、有機EL素子の応答性を
改善することができる。また、所定の発光強度が得られ
る正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧を印加する
ことにより、発光の立ち下がり時間を短縮して、有機E
L素子の応答性を改善することができる。
【0008】また、所定の負電圧から所定の発光強度が
得られる正電圧を超える電圧に立ち上がった後に短時間
で該正電圧に立ち下がる電圧、及び、所定の発光強度が
得られる正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧の少
なくとも一方を印加して、有機EL素子を駆動すること
もできる。所定の負電圧から所定の発光強度が得られる
正電圧を超える電圧に立ち上がる電圧を印加することに
より、更に発光の立ち上がり時間が短縮される。
得られる正電圧を超える電圧に立ち上がった後に短時間
で該正電圧に立ち下がる電圧、及び、所定の発光強度が
得られる正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧の少
なくとも一方を印加して、有機EL素子を駆動すること
もできる。所定の負電圧から所定の発光強度が得られる
正電圧を超える電圧に立ち上がる電圧を印加することに
より、更に発光の立ち上がり時間が短縮される。
【0009】上記の駆動方法においては、有機EL素子
が発光可能な最小電圧をV0とした場合に、前記負電圧
を−V0以下とすることが好ましい。前記負電圧を−V0
以下とすることで、有機EL素子の応答性が大幅に改善
される。
が発光可能な最小電圧をV0とした場合に、前記負電圧
を−V0以下とすることが好ましい。前記負電圧を−V0
以下とすることで、有機EL素子の応答性が大幅に改善
される。
【0010】また、上記目的を達成するために本発明の
有機EL発光装置は、電圧印加により発光する有機EL
素子と、該有機EL素子を、所定の負電圧から所定の発
光強度が得られる正電圧に立ち上がる電圧、又は、所定
の負電圧から所定の発光強度が得られる正電圧を超える
電圧に立ち上がった後に短時間で該正電圧に立ち下がる
電圧を印加して点灯し、その後消灯するように駆動する
駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
有機EL発光装置は、電圧印加により発光する有機EL
素子と、該有機EL素子を、所定の負電圧から所定の発
光強度が得られる正電圧に立ち上がる電圧、又は、所定
の負電圧から所定の発光強度が得られる正電圧を超える
電圧に立ち上がった後に短時間で該正電圧に立ち下がる
電圧を印加して点灯し、その後消灯するように駆動する
駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。 [有機EL素子の構成]有機EL素子は、図1に示すよ
うに、透明基板10を備えており、この透明基板10上
には、陽極としての透明電極12、発光層を含む有機化
合物層14、陰極としての金属電極16が順次積層され
て積層体18が形成されている。この積層体18は例え
ばステンレス製缶等の封止部材20により覆われてお
り、封止部材20の縁部と透明基板10とが接着剤22
により接着されて、乾燥窒素ガスで置換された封止部材
20内に積層体18が封止されている。この有機EL素
子の透明電極12と金属電極16との間に所定電流が注
入されると、有機化合物層14に含まれる発光層が発光
し、発光光24が透明電極12及び透明基板10を介し
て取り出される。
施の形態を詳細に説明する。 [有機EL素子の構成]有機EL素子は、図1に示すよ
うに、透明基板10を備えており、この透明基板10上
には、陽極としての透明電極12、発光層を含む有機化
合物層14、陰極としての金属電極16が順次積層され
て積層体18が形成されている。この積層体18は例え
ばステンレス製缶等の封止部材20により覆われてお
り、封止部材20の縁部と透明基板10とが接着剤22
により接着されて、乾燥窒素ガスで置換された封止部材
20内に積層体18が封止されている。この有機EL素
子の透明電極12と金属電極16との間に所定電流が注
入されると、有機化合物層14に含まれる発光層が発光
し、発光光24が透明電極12及び透明基板10を介し
て取り出される。
【0012】透明電極12及び金属電極16は、有機E
L素子をオン・オフ駆動する駆動回路26に接続されて
いる。駆動回路26は、両電極間に電圧を印加する電源
(図示せず)及びトランジスタやサイリスタで構成され
たスイッチング素子(図示せず)を含んで構成されてい
る。また、駆動回路26に接続された制御回路28は、
有機EL素子に所定波形のパルス電圧を印加するように
駆動回路26を制御する。
L素子をオン・オフ駆動する駆動回路26に接続されて
いる。駆動回路26は、両電極間に電圧を印加する電源
(図示せず)及びトランジスタやサイリスタで構成され
たスイッチング素子(図示せず)を含んで構成されてい
る。また、駆動回路26に接続された制御回路28は、
有機EL素子に所定波形のパルス電圧を印加するように
駆動回路26を制御する。
【0013】透明基板10は、発光光に対して透明な基
板であり、ガラス基板、プラスチック基板等を用いるこ
とができる。また、透明基板10には、一般的な基板特
性として、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁
性、加工性、低通気性、低吸湿性等が要求される。
板であり、ガラス基板、プラスチック基板等を用いるこ
とができる。また、透明基板10には、一般的な基板特
性として、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁
性、加工性、低通気性、低吸湿性等が要求される。
【0014】透明電極(陽極)12は、400nm〜7
00nmの可視光の波長領域において、少なくとも50
%以上、好ましくは70%以上の光透過率を有するもの
が好ましい。透明電極12を構成するための材料として
は、酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛イ
ンジウムなどの透明電極材料として公知の化合物の他、
金や白金など仕事関数が大きい金属の薄膜を用いてもよ
い。また、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロー
ルまたはこれらの誘導体などの有機化合物でもよい。透
明導電膜については、沢田豊監修「透明導電膜の新展
開」シーエムシー刊(1999年)に詳細に記載されて
おり、本発明に適用することができる。また、透明電極
12は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法などにより、透明基板10上に形成すること
ができる。
00nmの可視光の波長領域において、少なくとも50
%以上、好ましくは70%以上の光透過率を有するもの
が好ましい。透明電極12を構成するための材料として
は、酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛イ
ンジウムなどの透明電極材料として公知の化合物の他、
金や白金など仕事関数が大きい金属の薄膜を用いてもよ
い。また、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロー
ルまたはこれらの誘導体などの有機化合物でもよい。透
明導電膜については、沢田豊監修「透明導電膜の新展
開」シーエムシー刊(1999年)に詳細に記載されて
おり、本発明に適用することができる。また、透明電極
12は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法などにより、透明基板10上に形成すること
ができる。
【0015】有機化合物層14は、発光層のみからなる
単層構造であってもよいし、発光層の外に、ホール注入
層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等のその他
の層を適宜有する積層構造であってもよい。有機化合物
層14の具体的な構成(電極を含めて表示する)として
は、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子
輸送層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極
/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、などが挙
げられる。また、発光層、ホール輸送層、ホール注入
層、電子注入層を複数層設けてもよい。有機化合物層1
4を構成する材料については後述する。
単層構造であってもよいし、発光層の外に、ホール注入
層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等のその他
の層を適宜有する積層構造であってもよい。有機化合物
層14の具体的な構成(電極を含めて表示する)として
は、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子
輸送層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極
/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、などが挙
げられる。また、発光層、ホール輸送層、ホール注入
層、電子注入層を複数層設けてもよい。有機化合物層1
4を構成する材料については後述する。
【0016】金属電極(陰極)16は、仕事関数の低い
Li、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカ
リ土類金属、及びこれらの金属とAgやAlなどとの合
金や混合物等の金属材料から形成されるのが好ましい。
陰極における保存安定性と電子注入性とを両立させるた
めに、上記材料で形成した電極を、仕事関数が大きく導
電性の高いAg、Al、Auなどで更に被覆してもよ
い。なお、金属電極16も透明電極12と同様に、真空
蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの公
知の方法で形成することができる。また、金属電極16
を透明電極12と同様に透明導電膜で構成することもで
きる。
Li、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカ
リ土類金属、及びこれらの金属とAgやAlなどとの合
金や混合物等の金属材料から形成されるのが好ましい。
陰極における保存安定性と電子注入性とを両立させるた
めに、上記材料で形成した電極を、仕事関数が大きく導
電性の高いAg、Al、Auなどで更に被覆してもよ
い。なお、金属電極16も透明電極12と同様に、真空
蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの公
知の方法で形成することができる。また、金属電極16
を透明電極12と同様に透明導電膜で構成することもで
きる。
【0017】[有機EL素子の駆動方法]次に、上記有
機EL素子の駆動方法の概略について説明する。この駆
動方法では、図2に示すように、パルス幅Tのパルス電
圧を印加して有機EL素子を駆動する際に、駆動電圧を
Vlow(ローレベル)からVhigh(ハイレベル)にして
有機EL素子をオン状態とする(点灯する)場合には、
ローレベルの電圧Vlowを0V未満の電圧(負電圧)とす
る。同様に、駆動電圧をVhighからVlowにして有機E
L素子をオフ状態とする(消灯する)場合にも、ローレ
ベルの電圧Vlowを負電圧とする。ハイレベルの電圧V
highは、所定の発光強度を得るのに必要な駆動電圧であ
る。これにより、図10に示したローレベルの電圧V
lowを0Vとする場合と比べて、発光の立ち上がり時間
τUP及び立ち下がり時間τDOWNが各々短縮される。
機EL素子の駆動方法の概略について説明する。この駆
動方法では、図2に示すように、パルス幅Tのパルス電
圧を印加して有機EL素子を駆動する際に、駆動電圧を
Vlow(ローレベル)からVhigh(ハイレベル)にして
有機EL素子をオン状態とする(点灯する)場合には、
ローレベルの電圧Vlowを0V未満の電圧(負電圧)とす
る。同様に、駆動電圧をVhighからVlowにして有機E
L素子をオフ状態とする(消灯する)場合にも、ローレ
ベルの電圧Vlowを負電圧とする。ハイレベルの電圧V
highは、所定の発光強度を得るのに必要な駆動電圧であ
る。これにより、図10に示したローレベルの電圧V
lowを0Vとする場合と比べて、発光の立ち上がり時間
τUP及び立ち下がり時間τDOWNが各々短縮される。
【0018】なお、ここでは、発光の立ち上がり時間τ
UPは、駆動電圧をVhighにしてから有機EL素子の発光
強度が90%以上となるまでに要する時間であり、発光
の立ち下がり時間τDOWNは、駆動電圧をVlowにしてか
ら有機EL素子の発光強度が10%以下となるまでに要
する時間である。
UPは、駆動電圧をVhighにしてから有機EL素子の発光
強度が90%以上となるまでに要する時間であり、発光
の立ち下がり時間τDOWNは、駆動電圧をVlowにしてか
ら有機EL素子の発光強度が10%以下となるまでに要
する時間である。
【0019】[Vlowと応答特性との関係]図3に示す
ように、所定の発光強度P0を得るのに必要な駆動電圧
をV1、発光可能な最小電圧(発光開始電圧)をV0と
する。
ように、所定の発光強度P0を得るのに必要な駆動電圧
をV1、発光可能な最小電圧(発光開始電圧)をV0と
する。
【0020】ハイレベルの電圧VhighをV1に固定し、
ローレベルの電圧Vlowを−V0〜V0を含む範囲で変
化させて、図2に示す波形のパルス電圧を有機EL素子
に印加し、発光の立ち上がり時間τUPの変化の様子を調
べた。その結果、図4に示すように、応答時間が短縮さ
れることが分かった。即ち、電圧Vlowが0Vより小さ
い場合には、電圧Vlowが0Vの場合より応答時間が短
縮(高速化)される。また、電圧Vlowが−V0以下に
なると、高速化の効果がより顕著に現れる。発光の立ち
下がり時間τDOWNについても同様である。V1の値を8
V、12V、16Vと種々変更しても同様の傾向が見ら
れた。V1はV0以上の電圧であり、V1が大きくなれ
ば大きくなるほど、応答時間はより短縮(高速化)され
た。従って、発光可能な最小電圧をV0とした場合、ロ
ーレベルの電圧Vlowを−V0以下とすることが好まし
い。
ローレベルの電圧Vlowを−V0〜V0を含む範囲で変
化させて、図2に示す波形のパルス電圧を有機EL素子
に印加し、発光の立ち上がり時間τUPの変化の様子を調
べた。その結果、図4に示すように、応答時間が短縮さ
れることが分かった。即ち、電圧Vlowが0Vより小さ
い場合には、電圧Vlowが0Vの場合より応答時間が短
縮(高速化)される。また、電圧Vlowが−V0以下に
なると、高速化の効果がより顕著に現れる。発光の立ち
下がり時間τDOWNについても同様である。V1の値を8
V、12V、16Vと種々変更しても同様の傾向が見ら
れた。V1はV0以上の電圧であり、V1が大きくなれ
ば大きくなるほど、応答時間はより短縮(高速化)され
た。従って、発光可能な最小電圧をV0とした場合、ロ
ーレベルの電圧Vlowを−V0以下とすることが好まし
い。
【0021】ガラス基板上に、ITO電極(陽極)、
4,4‘−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル
アミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる厚さ60n
mのホール輸送層、トリス(8−キノリラト)アルミニ
ウム(Alq3)からなる厚さ40nmの電子輸送層を
兼ねた発光層、及び金属電極(陰極)をこの順に積層し
た有機EL素子(A)を作製した。V0=5V、V1=
8Vである。この有機EL素子(A)を用いて、電圧V
highをV1=8Vに固定し、電圧Vlowを0V、−5
V、−8Vと変化させて、図2に示すパルス電圧を印加
し、発光の立ち上がり時間τUPと立ち下がり時間τDOWN
とを測定した。パルス電圧のパルス幅Tは2マイクロ秒
(μs)であった。結果を下記表1に示す。
4,4‘−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル
アミノ]ビフェニル(α−NPD)からなる厚さ60n
mのホール輸送層、トリス(8−キノリラト)アルミニ
ウム(Alq3)からなる厚さ40nmの電子輸送層を
兼ねた発光層、及び金属電極(陰極)をこの順に積層し
た有機EL素子(A)を作製した。V0=5V、V1=
8Vである。この有機EL素子(A)を用いて、電圧V
highをV1=8Vに固定し、電圧Vlowを0V、−5
V、−8Vと変化させて、図2に示すパルス電圧を印加
し、発光の立ち上がり時間τUPと立ち下がり時間τDOWN
とを測定した。パルス電圧のパルス幅Tは2マイクロ秒
(μs)であった。結果を下記表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】上記表1から分かるように、電圧Vlowが
0Vのとき、発光の立ち上がり時間τUPは1μsであっ
たが、電圧Vlowが−5Vのとき、発光の立ち上がり時
間τU Pは0.7μsまで高速化された。更に、電圧V
lowが−8Vのときには、発光の立ち上がり時間τUPは
0.1μsとなり、電圧Vlowが0Vのときと比べて1
桁以上高速化することができた。また、発光の立ち下が
り時間τDOWNについても同様に高速化された。即ち、α
−NPDからなるホール輸送層、Alq3からなる電子
輸送層を兼ねた発光層を備えた有機EL素子では、発光
可能な最小電圧は約5Vであり、ローレベルの電圧V
lowを−5V以下とすることが好ましく、−8V以下が
より好ましい。
0Vのとき、発光の立ち上がり時間τUPは1μsであっ
たが、電圧Vlowが−5Vのとき、発光の立ち上がり時
間τU Pは0.7μsまで高速化された。更に、電圧V
lowが−8Vのときには、発光の立ち上がり時間τUPは
0.1μsとなり、電圧Vlowが0Vのときと比べて1
桁以上高速化することができた。また、発光の立ち下が
り時間τDOWNについても同様に高速化された。即ち、α
−NPDからなるホール輸送層、Alq3からなる電子
輸送層を兼ねた発光層を備えた有機EL素子では、発光
可能な最小電圧は約5Vであり、ローレベルの電圧V
lowを−5V以下とすることが好ましく、−8V以下が
より好ましい。
【0024】[他の波形のパルス電圧印加]上記では、
電圧がVlow(ローレベル)とVhigh(ハイレベル)の
2値で変化するパルス電圧を印加する例について説明し
たが、パルス波形はこれには限定されない。例えば、図
5に示すように、電圧がVlow(ローレベル)、Vhigh
1(ハイレベル)、及びVhigh2(ハイレベル)の3値
で変化するパルス電圧を印加することもできる。このパ
ルス波形は、立ち上がり時に、電圧Vlowを負電圧と
し、電圧Vlowから正電圧Vhigh1より高い電圧Vhigh
2に移行し、立ち上がり時間τUP以下の期間で電圧V
high2を維持した後、所定の発光強度が得られる正電圧
Vhigh1に移行するものである。
電圧がVlow(ローレベル)とVhigh(ハイレベル)の
2値で変化するパルス電圧を印加する例について説明し
たが、パルス波形はこれには限定されない。例えば、図
5に示すように、電圧がVlow(ローレベル)、Vhigh
1(ハイレベル)、及びVhigh2(ハイレベル)の3値
で変化するパルス電圧を印加することもできる。このパ
ルス波形は、立ち上がり時に、電圧Vlowを負電圧と
し、電圧Vlowから正電圧Vhigh1より高い電圧Vhigh
2に移行し、立ち上がり時間τUP以下の期間で電圧V
high2を維持した後、所定の発光強度が得られる正電圧
Vhigh1に移行するものである。
【0025】上記の有機EL素子(A)を用いて、電圧
Vlowを−8V、電圧Vhigh1を8V、電圧Vhigh2を
16Vとして、図5に示す波形のパルス電圧を印加し、
発光の立ち上がり時間τUPと立ち下がり時間τDOWNとを
測定した。パルス電圧のパルス幅Tは2マイクロ秒(μ
s)であり、0.01μsの間、電圧Vhigh1を維持し
た。結果を下記表2に示す。
Vlowを−8V、電圧Vhigh1を8V、電圧Vhigh2を
16Vとして、図5に示す波形のパルス電圧を印加し、
発光の立ち上がり時間τUPと立ち下がり時間τDOWNとを
測定した。パルス電圧のパルス幅Tは2マイクロ秒(μ
s)であり、0.01μsの間、電圧Vhigh1を維持し
た。結果を下記表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】上記表2から分かるように、オン状態の最
初の部分で16Vの電圧Vhigh2を印加した場合には、
更に立ち上がり時間τUPが短縮される。−8Vから8V
に立上がる電圧を印加した場合(上記表1に示す)の発
光の立ち上がり時間τUPが0.1μsであったのに対
し、オン状態の最初の部分で16Vの電圧Vhigh2を印
加した場合には、発光の立ち上がり時間τUPが0.05
μsと半減した。即ち、2倍以上高速化することができ
た。
初の部分で16Vの電圧Vhigh2を印加した場合には、
更に立ち上がり時間τUPが短縮される。−8Vから8V
に立上がる電圧を印加した場合(上記表1に示す)の発
光の立ち上がり時間τUPが0.1μsであったのに対
し、オン状態の最初の部分で16Vの電圧Vhigh2を印
加した場合には、発光の立ち上がり時間τUPが0.05
μsと半減した。即ち、2倍以上高速化することができ
た。
【0028】また、例えば、図6に示すように、電圧が
0V(ローレベル)、Vlow(ローレベル)、及びV
high(ハイレベル)の3値で変化するパルス電圧を印加
することもできる。このパルス波形は、立ち上がり時
に、電圧Vlowを負電圧とし、0Vから電圧Vlowに移行
し、電圧Vlowから正電圧Vhighに移行するものであ
る。このように、電圧が立ち上がる直前(パルス直前)
に逆バイアス電圧を印加することにより、発光の立ち上
がり時間τUPを短縮することができる。
0V(ローレベル)、Vlow(ローレベル)、及びV
high(ハイレベル)の3値で変化するパルス電圧を印加
することもできる。このパルス波形は、立ち上がり時
に、電圧Vlowを負電圧とし、0Vから電圧Vlowに移行
し、電圧Vlowから正電圧Vhighに移行するものであ
る。このように、電圧が立ち上がる直前(パルス直前)
に逆バイアス電圧を印加することにより、発光の立ち上
がり時間τUPを短縮することができる。
【0029】以上説明した通り、本実施の形態に係る有
機EL素子の駆動方法によれば、パルス幅Tのパルス電
圧を印加して有機EL素子を駆動する際に、駆動電圧を
ローレベルからハイレベルにして有機EL素子を点灯す
る場合には、ローレベルの電圧を負電圧とすると共に、
駆動電圧をハイレベルからローレベルにして有機EL素
子を消灯する場合には、ローレベルの電圧を負電圧とす
るので、ローレベルの電圧を0Vとする場合と比べて、
発光の立ち上がり時間τUP及び立ち下がり時間τDOWNが
各々短縮される。即ち、応答速度が速くなる。
機EL素子の駆動方法によれば、パルス幅Tのパルス電
圧を印加して有機EL素子を駆動する際に、駆動電圧を
ローレベルからハイレベルにして有機EL素子を点灯す
る場合には、ローレベルの電圧を負電圧とすると共に、
駆動電圧をハイレベルからローレベルにして有機EL素
子を消灯する場合には、ローレベルの電圧を負電圧とす
るので、ローレベルの電圧を0Vとする場合と比べて、
発光の立ち上がり時間τUP及び立ち下がり時間τDOWNが
各々短縮される。即ち、応答速度が速くなる。
【0030】なお、本実施の形態では、パルス電圧を印
加する例について説明したが、パルス電圧を印加する場
合には限られない。
加する例について説明したが、パルス電圧を印加する場
合には限られない。
【0031】また、本実施の形態では、電圧が立ち上が
る直前及び電圧が立ち下がる直後に負電圧を印加する例
について説明したが、電圧が立ち上がる直前又は電圧が
立ち下がる直後の何れかで負電圧を印加することもでき
る。電圧が立ち上がる直前に負電圧を印加すると立ち上
がり時間τUPが短縮され、電圧が立ち下がる直後に負電
圧を印加すると立ち下がり時間τDOWNが短縮される。
る直前及び電圧が立ち下がる直後に負電圧を印加する例
について説明したが、電圧が立ち上がる直前又は電圧が
立ち下がる直後の何れかで負電圧を印加することもでき
る。電圧が立ち上がる直前に負電圧を印加すると立ち上
がり時間τUPが短縮され、電圧が立ち下がる直後に負電
圧を印加すると立ち下がり時間τDOWNが短縮される。
【0032】また、本実施の形態では、所定のパルス幅
を備えた単発のパルス電圧を印加する例について説明し
たが、パルス波形はこれには限定されない。例えば、図
7に示すように、複数のパルスが連続するパルス列でも
よく、パルス毎にパルス幅を変更してもよい。また、図
8に示すように、パルス毎にハイレベルの電圧Vhigh、
ローレベルの電圧Vlow、及びパルス幅を変更してもよ
い。
を備えた単発のパルス電圧を印加する例について説明し
たが、パルス波形はこれには限定されない。例えば、図
7に示すように、複数のパルスが連続するパルス列でも
よく、パルス毎にパルス幅を変更してもよい。また、図
8に示すように、パルス毎にハイレベルの電圧Vhigh、
ローレベルの電圧Vlow、及びパルス幅を変更してもよ
い。
【0033】[有機EL発光装置への応用]有機EL発
光装置は、例えば、図9に示すように、透明な共通基板
30上に、発光点がマトリックス状に配列されるよう
に、透明な共通電極(陽極)32、発光層を含む有機化
合物層34、及びストライプ状の金属電極(陰極)36
1〜369が順次積層された有機EL素子38を備えてお
り、この有機EL素子38は、封止部材であるステンレ
ス缶40内に封止されている。
光装置は、例えば、図9に示すように、透明な共通基板
30上に、発光点がマトリックス状に配列されるよう
に、透明な共通電極(陽極)32、発光層を含む有機化
合物層34、及びストライプ状の金属電極(陰極)36
1〜369が順次積層された有機EL素子38を備えてお
り、この有機EL素子38は、封止部材であるステンレ
ス缶40内に封止されている。
【0034】共通電極32と金属電極361〜369の各
々は駆動回路(図示せず)に接続され、駆動回路は制御
回路(図示せず)に接続されている。制御回路は、有機
EL素子をマトリックス駆動するように駆動回路を制御
する。即ち、マトリックス状に配列された発光点の各々
が、独立にオンオフされる。このとき上記の駆動方法を
用いて有機EL素子をオンオフ駆動すると、有機EL素
子の発光の立ち上がり時間τUP及び立ち下がり時間τ
DOWNが短縮され、有機EL発光装置としての応答速度も
速くなる。
々は駆動回路(図示せず)に接続され、駆動回路は制御
回路(図示せず)に接続されている。制御回路は、有機
EL素子をマトリックス駆動するように駆動回路を制御
する。即ち、マトリックス状に配列された発光点の各々
が、独立にオンオフされる。このとき上記の駆動方法を
用いて有機EL素子をオンオフ駆動すると、有機EL素
子の発光の立ち上がり時間τUP及び立ち下がり時間τ
DOWNが短縮され、有機EL発光装置としての応答速度も
速くなる。
【0035】この高速応答性に優れる有機EL発光装置
を、各種露光光源や情報記録用光源に適用することがで
きる。例えば、光通信用光源に適用した場合には、より
高速に、大容量の情報が伝送できる。画像形成用露光光
源に適用した場合には、高速に露光することが可能であ
り、スループットが向上する。情報記録用光源に適用し
た場合には、高速、大容量の記録が可能になる。
を、各種露光光源や情報記録用光源に適用することがで
きる。例えば、光通信用光源に適用した場合には、より
高速に、大容量の情報が伝送できる。画像形成用露光光
源に適用した場合には、高速に露光することが可能であ
り、スループットが向上する。情報記録用光源に適用し
た場合には、高速、大容量の記録が可能になる。
【0036】[有機化合物層の構成材料]上記の駆動方
法は、例示した材料以外の材料で構成された有機EL素
子にも適用することができる。有機EL素子の有機化合
物層には、例えば、以下の材料を用いることができる。
法は、例示した材料以外の材料で構成された有機EL素
子にも適用することができる。有機EL素子の有機化合
物層には、例えば、以下の材料を用いることができる。
【0037】発光層の発光材料としては、発光可能な化
合物(蛍光を発する化合物)であれば特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキシ
ノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザ
クマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾー
ル化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナ
フタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合
物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン
化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノ
ロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、
ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化
合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、
ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ジスチリル
ベンゼン化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレン
ピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フ
ルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウ
ム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム
化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン
化合物、キサンテン化合物及びチオキサンテン化合物、
シアニン化合物、アクリジン化合物、アクリドン化合
物、キノリン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の
金属錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、2,
2’−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族
金属との錯体、オキサジアゾール化合物の金属錯体、希
土類錯体等が用いられる。
合物(蛍光を発する化合物)であれば特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキシ
ノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザ
クマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾー
ル化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナ
フタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合
物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン
化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノ
ロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、
ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化
合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、
ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ジスチリル
ベンゼン化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレン
ピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フ
ルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウ
ム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム
化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン
化合物、キサンテン化合物及びチオキサンテン化合物、
シアニン化合物、アクリジン化合物、アクリドン化合
物、キノリン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の
金属錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、2,
2’−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族
金属との錯体、オキサジアゾール化合物の金属錯体、希
土類錯体等が用いられる。
【0038】また、発光効率を向上させるために、発光
層にはオルトメタル化錯体を含有させることが好まし
い。オルトメタル化錯体とは、例えば山本明夫著「有機
金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房
社(1982年発行)や、H.Yersin著「Photochemistry
and Photophysics of Coordination Compounds」71
〜77頁、135〜146頁、Springer-Verlag社(1
987年発行)等に記載されている化合物群の総称であ
る。オルトメタル化錯体を形成する配位子としては種々
のものがあり、上記文献中にも記載されている。好まし
い配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,
8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリ
ジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2
−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘
導体は必要に応じて置換基を有していてもよい。オルト
メタル化錯体を形成する金属としては、Ir、Pd、P
t等が挙げられるが、イリジウム(Ir)錯体が特に好
ましい。また、上記オルトメタル化錯体は、オルトメタ
ル化錯体を形成するのに必要な配位子以外に、他の配位
子を有していてもよい。なお、ここでいうオルトメタル
化錯体には、3重項励起子から発光する化合物も含まれ
ており、発光効率を向上させるために、これら3重項励
起子から発光する化合物を発光層に含有させることが特
に好ましい。
層にはオルトメタル化錯体を含有させることが好まし
い。オルトメタル化錯体とは、例えば山本明夫著「有機
金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房
社(1982年発行)や、H.Yersin著「Photochemistry
and Photophysics of Coordination Compounds」71
〜77頁、135〜146頁、Springer-Verlag社(1
987年発行)等に記載されている化合物群の総称であ
る。オルトメタル化錯体を形成する配位子としては種々
のものがあり、上記文献中にも記載されている。好まし
い配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,
8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリ
ジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2
−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘
導体は必要に応じて置換基を有していてもよい。オルト
メタル化錯体を形成する金属としては、Ir、Pd、P
t等が挙げられるが、イリジウム(Ir)錯体が特に好
ましい。また、上記オルトメタル化錯体は、オルトメタ
ル化錯体を形成するのに必要な配位子以外に、他の配位
子を有していてもよい。なお、ここでいうオルトメタル
化錯体には、3重項励起子から発光する化合物も含まれ
ており、発光効率を向上させるために、これら3重項励
起子から発光する化合物を発光層に含有させることが特
に好ましい。
【0039】上記に例示した発光材料は、単独で用いて
も、複数併用してもよい。また、高分子発光材料を用い
ることもできる。高分子発光材料の例としては、ポリ−
p−フェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導
体、ポリチオフェン誘導体等のπ共役系の他、低分子色
素とテトラフェニルジアミンやトリフェニルアミンを主
鎖や側鎖に導入したポリマー等が挙げられる。高分子発
光材料に低分子発光材料を混合して使用することもでき
る。
も、複数併用してもよい。また、高分子発光材料を用い
ることもできる。高分子発光材料の例としては、ポリ−
p−フェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導
体、ポリチオフェン誘導体等のπ共役系の他、低分子色
素とテトラフェニルジアミンやトリフェニルアミンを主
鎖や側鎖に導入したポリマー等が挙げられる。高分子発
光材料に低分子発光材料を混合して使用することもでき
る。
【0040】電子注入層は、絶縁性材料により形成され
る。電子輸送層の厚みが所定の範囲内では、ホールが電
子輸送層を通り抜ける確率が高くなり、結果として発光
効率が低下する。従って、ホールの通り抜けを防止する
ために、有機化合物層に絶縁性薄膜からなる電子注入層
を設けるのが好ましい。絶縁性材料としては、酸化アル
ミニウムやフッ化リチウムが挙げられ、これらの材料を
用いて0.01〜10nmの厚さの薄膜を形成する。ま
た、同様の理由から、絶縁性薄膜からなるホール注入層
を形成することが好ましい。
る。電子輸送層の厚みが所定の範囲内では、ホールが電
子輸送層を通り抜ける確率が高くなり、結果として発光
効率が低下する。従って、ホールの通り抜けを防止する
ために、有機化合物層に絶縁性薄膜からなる電子注入層
を設けるのが好ましい。絶縁性材料としては、酸化アル
ミニウムやフッ化リチウムが挙げられ、これらの材料を
用いて0.01〜10nmの厚さの薄膜を形成する。ま
た、同様の理由から、絶縁性薄膜からなるホール注入層
を形成することが好ましい。
【0041】電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物
としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導
体、トリアジン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導
体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェニルキノン
誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラ
キノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、
アントロン誘導体、ペリノン誘導体、オキシン誘導体、
キノリン錯体誘導体などの化合物が挙げられる。
としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導
体、トリアジン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導
体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェニルキノン
誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラ
キノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、
アントロン誘導体、ペリノン誘導体、オキシン誘導体、
キノリン錯体誘導体などの化合物が挙げられる。
【0042】ホール輸送層に用いられるホール輸送性化
合物としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールやポリフ
ェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン、ポリチオフ
ェン、ポリメチルフェニルシラン、ポリアニリンなどの
高分子やトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導
体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレ
ンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換
カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、カルバゾール誘
導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導
体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシア
ニン等のポリフィリン誘導体、芳香族第三級アミン化合
物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ベン
ジジン誘導体、ポリスチレン誘導体、トリフェニルメタ
ン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体、スターバー
ストポリアミン誘導体などを使用することができる。
合物としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールやポリフ
ェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン、ポリチオフ
ェン、ポリメチルフェニルシラン、ポリアニリンなどの
高分子やトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導
体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレ
ンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換
カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、カルバゾール誘
導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導
体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシア
ニン等のポリフィリン誘導体、芳香族第三級アミン化合
物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ベン
ジジン誘導体、ポリスチレン誘導体、トリフェニルメタ
ン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体、スターバー
ストポリアミン誘導体などを使用することができる。
【0043】また、有機化合物層には、これらの構成に
加えて、陽極とホール輸送層(ホール輸送層を設けない
ときは発光層)との間に、陽極に接する導電性高分子層
を設けてもよい。この導電性高分子層を設けることによ
り、駆動電圧がほとんど上昇することなく、有機化合物
層の膜厚を大きくすることができ、輝度ムラやショート
が改善される。導電性高分子としては、WO−98/0
5187等に記載のポリアニリン誘導体、ポリチオフェ
ン誘導体およびポリピロール誘導体が好ましい。これら
の誘導体はプロトン酸(例えば、樟脳スルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリスチレ
ンスルホン酸等)と混合した状態で使用することができ
る。これらの誘導体は、必要に応じて他の高分子(例え
ば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリ−N
−ビニルカルバゾール(PVCz)等)と混合して使用
することもできる。導電性高分子層の表面抵抗は,10
000Ω/□以下が好ましい。導電性高分子層の膜厚
は、10nm〜1000nmが好ましく、20nm〜2
00nmがより好ましい。
加えて、陽極とホール輸送層(ホール輸送層を設けない
ときは発光層)との間に、陽極に接する導電性高分子層
を設けてもよい。この導電性高分子層を設けることによ
り、駆動電圧がほとんど上昇することなく、有機化合物
層の膜厚を大きくすることができ、輝度ムラやショート
が改善される。導電性高分子としては、WO−98/0
5187等に記載のポリアニリン誘導体、ポリチオフェ
ン誘導体およびポリピロール誘導体が好ましい。これら
の誘導体はプロトン酸(例えば、樟脳スルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリスチレ
ンスルホン酸等)と混合した状態で使用することができ
る。これらの誘導体は、必要に応じて他の高分子(例え
ば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリ−N
−ビニルカルバゾール(PVCz)等)と混合して使用
することもできる。導電性高分子層の表面抵抗は,10
000Ω/□以下が好ましい。導電性高分子層の膜厚
は、10nm〜1000nmが好ましく、20nm〜2
00nmがより好ましい。
【0044】なお、ホール輸送層、電子輸送層、発光層
および導電性高分子層などの有機化合物層の各構成層
は、真空蒸着法、スパッタ法、ディッピング法、スピン
コーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロ
ールコート法等、公知の方法を用いて形成することがで
きる。また溶媒を使い分けることにより多層塗布も可能
である。
および導電性高分子層などの有機化合物層の各構成層
は、真空蒸着法、スパッタ法、ディッピング法、スピン
コーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロ
ールコート法等、公知の方法を用いて形成することがで
きる。また溶媒を使い分けることにより多層塗布も可能
である。
【0045】
【発明の効果】本発明の有機EL素子の駆動方法は、有
機EL素子を高速で駆動することができる、という効果
を奏する。
機EL素子を高速で駆動することができる、という効果
を奏する。
【0046】また、本発明の有機EL発光装置は、高速
応答性に優れる、という効果を奏する。
応答性に優れる、という効果を奏する。
【図1】有機EL素子の一般的な構成を示す概略図であ
る。
る。
【図2】有機EL素子の駆動方法を説明する図である。
【図3】駆動電圧と有機EL素子の発光強度との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図4】電圧Vlowを変化させた場合の発光の立ち上が
り時間τUPの変化の様子を示すグラフである。
り時間τUPの変化の様子を示すグラフである。
【図5】パルス電圧の波形の他の例を示す図である。
【図6】パルス電圧の波形の更に他の例を示す図であ
る。
る。
【図7】パルス電圧の波形の更に他の例を示す図であ
る。
る。
【図8】パルス電圧の波形の更に他の例を示す図であ
る。
る。
【図9】有機EL発光装置の構成を示すブロック図であ
る。
る。
【図10】有機EL素子の従来の駆動方法を説明する図
である。
である。
10 透明基板
12 透明電極
14 有機化合物層
16 金属電極
18 積層体
20 封止部材
22 接着剤
24 発光光
26 駆動回路
28 制御回路
Claims (4)
- 【請求項1】所定の負電圧から所定の発光強度が得られ
る正電圧に立ち上がる電圧、及び、所定の発光強度が得
られる正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧の少な
くとも一方を印加して、有機EL素子を駆動する有機E
L素子の駆動方法。 - 【請求項2】所定の負電圧から所定の発光強度が得られ
る正電圧を超える電圧に立ち上がった後に短時間で該正
電圧に立ち下がる電圧、及び、所定の発光強度が得られ
る正電圧から所定の負電圧に立ち下がる電圧の少なくと
も一方を印加して、有機EL素子を駆動する有機EL素
子の駆動方法。 - 【請求項3】有機EL素子が発光可能な最小電圧をV0
とした場合に、前記負電圧を−V0以下とした請求項1
又は2に記載の有機EL素子の駆動方法。 - 【請求項4】電圧印加により発光する有機EL素子と、 該有機EL素子を、所定の負電圧から所定の発光強度が
得られる正電圧に立ち上がる電圧、又は、所定の負電圧
から所定の発光強度が得られる正電圧を超える電圧に立
ち上がった後に短時間で該正電圧に立ち下がる電圧を印
加して点灯し、その後消灯するように駆動する駆動手段
と、 を備えた有機EL発光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002074558A JP2003272851A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002074558A JP2003272851A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003272851A true JP2003272851A (ja) | 2003-09-26 |
Family
ID=29203927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002074558A Pending JP2003272851A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | 有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003272851A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10810929B2 (en) | 2015-11-04 | 2020-10-20 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Method for driving light emitting element and light emitting device |
-
2002
- 2002-03-18 JP JP2002074558A patent/JP2003272851A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10810929B2 (en) | 2015-11-04 | 2020-10-20 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Method for driving light emitting element and light emitting device |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4048521B2 (ja) | 発光素子 | |
JP4036041B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 | |
JP4483167B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置 | |
JP4899284B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 | |
JPH09199276A (ja) | 有機薄膜el素子 | |
JP2004022334A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 | |
JP2004014172A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法と用途 | |
JP2001319779A (ja) | 発光素子 | |
JP2004226673A (ja) | 有機電界発光装置 | |
JPH06212153A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2004178896A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 | |
JP2003086381A (ja) | 発光素子 | |
JP2003317965A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 | |
JP2004103401A (ja) | 素子および該素子の製造方法 | |
JP2003208988A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 | |
JP2001167886A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP2001244077A (ja) | 有機発光素子 | |
JP2000286060A (ja) | 有機発光素子およびその製造方法 | |
JP3482448B2 (ja) | 電界発光素子 | |
JPH06240245A (ja) | 電界発光素子 | |
JP2003272851A (ja) | 有機el素子の駆動方法及び有機el発光装置 | |
JPH07157754A (ja) | 電界発光素子 | |
JPH11307255A (ja) | 有機電界発光素子 | |
JP2001284040A (ja) | 光デバイス | |
JP2004253373A (ja) | 有機el素子 |