JP2003270193A - センサの異常診断装置 - Google Patents

センサの異常診断装置

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JP2003270193A
JP2003270193A JP2002074964A JP2002074964A JP2003270193A JP 2003270193 A JP2003270193 A JP 2003270193A JP 2002074964 A JP2002074964 A JP 2002074964A JP 2002074964 A JP2002074964 A JP 2002074964A JP 2003270193 A JP2003270193 A JP 2003270193A
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sensor
air
fuel ratio
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abnormality
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JP2002074964A
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Toshiya Hashimoto
俊哉 橋本
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】より多様なセンサの使用環境において同センサ
の異常の有無をより的確に診断可能なセンサの異常診断
装置を提供する。 【解決手段】このセンサの異常診断装置では、例えば内
燃機関1にて燃焼される混合気の空燃比を検出する空燃
比センサAFsnrに対して、同センサAFsnrの応
答性劣化の検出を行う。即ち、空燃比センサAFsnr
の出力値の時間微分値(出力空燃比変化量)と空燃比セ
ンサAFsnrが正常な状態にあるときの出力値の相当
値として算出される推定値の時間微分値(推定空燃比変
化量)との相関係数を算出する。そして、この算出され
る相関係数と空燃比センサAFsnrに異常があること
を示す所定の相関係数との比較に基づいて空燃比センサ
AFsnrの応答性劣化を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば内燃機関の
空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサ等
の異常の有無を診断するセンサの異常診断装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、多くの車両においては、三元触媒
を備えた触媒装置の搭載にともない、同触媒装置による
排気の浄化機能を有効に維持するための空燃比フィード
バック制御が行われている。この空燃比フィードバック
制御は、吸入空気と噴射燃料との混合比である空燃比を
理論空燃比近傍に維持することを目的とするものであ
り、例えば次のような態様をもって行われる。即ち、排
気ガス中の酸素濃度に応じて出力電圧が変化するセンサ
を排気通路に設け、このセンサの出力電圧に基づいて燃
料噴射量を補正することで、空燃比を理論空燃比に収束
させるものである。ちなみに、上記排気通路に設けられ
るセンサとしては、例えば、理論空燃比を境界として出
力電圧がほぼ2値的に変化する例えば濃淡電池式の酸素
センサや、排気ガス中の酸素濃度に応じて出力電圧がリ
ニアに変化する例えば限界電流式の空燃比センサが知ら
れている。
【0003】ここで、上記空燃比を検出するセンサは、
排気ガスにさらされながら用いられるものであるため、
排気ガス中に含まれる鉛、燐などの被毒作用によりセン
サとしての機能が劣化することがある。そして、被毒作
用によりセンサとしての機能が劣化した場合には、排気
ガス中の酸素濃度の変化に対する応答性が劣化する、即
ちセンサの出力電圧の変化が排気ガス中の酸素濃度の変
化に比べて緩慢になる傾向がある。このように空燃比を
検出するセンサの応答性が劣化した場合、空燃比フィー
ドバック制御において実際の空燃比とは異なる空燃比に
基づいて空燃比の制御が行われることになるため、必然
的に空燃比の理論空燃比への収束性が低下し、エミッシ
ョンの悪化をまねくことになる。
【0004】そこで従来、こうした空燃比センサ(ある
いは酸素センサ)の応答性の劣化によるエミッションの
悪化を回避するために、空燃比センサの異常の有無を診
断するための異常診断装置が提案されている。
【0005】ここで、異常診断装置としては、例えば特
開平10−54285号公報に記載の異常診断装置が知
られている。この異常診断装置では、応答性の劣化した
空燃比センサの出力値が正常な状態にある空燃比センサ
の出力値に比べて緩やかに変化する、即ち出力値の変動
周期が長くなるといったことに基づいて同センサの異常
を検出するようにしている。具体的には、出力値の変動
量の積算値、あるいはこの積算値が小さくなるほど大き
くなる値と所定の判定値との比較により空燃比センサの
異常が判定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近の空燃
比フィードバック制御においては、制御技術の向上によ
り空燃比が理論空燃比の極めて近傍に維持されるように
なっているため、正常な状態にある空燃比センサの出力
値も実際には非常に緩やかな変動傾向を示す。従って、
こうした空燃比フィードバック制御が行われている空燃
比センサの使用環境にあっては、センサが正常であると
きの出力値の変動周期と応答性が劣化したときの変動周
期とに明確な違いが現れず、上記判定値(出力値の変動
量の積算値、あるいはこの積算値が小さくなるほど大き
くなる値)を通じての空燃比センサの異常診断が困難と
なる。
【0007】また、こうした問題は空燃比センサに限ら
れるものではなく、センサの応答性が劣化した場合、そ
の出力値の変動傾向が正常な状態にあるセンサの出力値
の変動傾向に比べて緩やかに変化するといったことに基
づいて同センサの異常を検出しようとする異常診断装置
であれば同様に生じるといえる。
【0008】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、より多様なセンサの使用環境に
おいて同センサの異常の有無をより的確に診断可能なセ
ンサの異常診断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1記載の発明は、センサの出力値に基づいて該センサ
の異常の有無を診断するセンサの異常診断装置におい
て、前記センサの出力値の時間微分値と前記センサが正
常な状態にあるときの出力値の相当値として算出される
推定値の時間微分値との相関係数に基づいて前記センサ
の異常の有無を診断することを要旨としている。
【0010】上記構成によれば、センサの出力値の時間
微分値とこのセンサが正常な状態にあるときの出力値の
相当値として算出される推定値の時間微分値との相関係
数に基づいてセンサの異常の有無が診断される。ちなみ
に、センサが正常な状態にある場合、正常なセンサの出
力値の相当値として算出される推定値の時間微分値と、
センサの出力値の時間微分値とには強い相関がみられ
る。従って、出力値の時間微分値と推定値の時間微分値
との相関が弱い場合、出力値に実際の検出対象の変動が
適切に反映されていない、即ちセンサに異常がある可能
性が高いといえる。そこで、上記構成においては、セン
サの出力値の時間微分値と同センサの推定値の時間微分
値との相関係数に基づいてセンサの異常の有無を診断す
ることで、センサの出力値を推定可能な使用環境であれ
ばその異常診断を行うことができるようにしている。こ
れにより、例えば、「正常な状態にあるセンサの出力値
の変動周期」と「応答性の劣化したセンサの出力値の変
動周期」とに明確な違いが現れないようなセンサの使用
環境にあってもその異常の有無を診断することが可能に
なる。このように、より多様なセンサの使用環境におい
て同センサの異常の有無をより的確に診断することがで
きるようになる。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のセ
ンサの異常診断装置において、前記センサの出力値の時
間微分値をDfX、前記センサが正常な状態にあるとき
の出力値の相当値として算出される推定値の時間微分値
をDfYとするとき、次式 Σ(DfX・DfY)/{Σ(DfX)2・Σ(Df
Y)21/2 から前記出力値の時間微分値と前記推定値の時間微分値
を算出し、この算出される相関係数が所定の相関係数未
満であるとき前記センサに異常があると判定することを
要旨としている。
【0012】上記構成によれば、センサの出力値の時間
微分値(DfX)と同センサの推定値の時間微分値(D
fY)との相関係数が上記関係式から算出され、この算
出される相関係数が所定の相関係数未満であるときセン
サに異常があると判定される。このように、上記関係式
から出力値の時間微分値と推定値の時間微分値との相関
係数を算出する構成によって、上記請求項1記載の発明
の効果を的確に得ることができるようになる。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のセンサの異常診断装置において、前記センサが所
定のフィードバック制御を通じて目標値へ収束される因
子を検出対象とするセンサであることを要旨としてい
る。
【0014】上記構成によれば、所定のフィードバック
制御を通じて目標値へ収束される因子を検出対象とする
センサに対して、上記請求項1または2記載のセンサの
異常診断装置による異常診断が行われる。ちなみに、フ
ィードバック制御においては、制御対象に対するセンサ
の検出値に基づいて所定のアクチュエータの操作量を設
定することで、制御対象の目標値への収束が図られる。
このため、上記センサに異常があるような場合、必然的
に上記設定される操作量として本来設定されるべき値と
は異なった値が設定されることになり、フィードバック
制御における制御対象の目標値への収束性が悪化するよ
うになる。そこで、上記構成においては、所定のフィー
ドバック制御を通じて目標値への収束が図られる因子を
検出対象とするセンサに対する異常診断を行うことで、
制御対象の目標値への収束性が悪化しているといった状
態が見過ごされるような事態が好適に回避されるように
している。
【0015】請求項4記載の発明は、センサの出力値に
基づいて該センサの異常の有無を診断するセンサの異常
診断装置において、前記センサの出力値と前記センサが
正常な状態にあるときの出力値の相当値として算出され
る推定値との相関係数に基づいて前記センサの異常の有
無を診断することを要旨としている。
【0016】上記構成によれば、センサの出力値とこの
センサが正常な状態にあるときの出力値の相当値として
算出される推定値との相関係数に基づいてセンサの異常
が検出される。ちなみに、センサが正常な状態にある場
合、正常なセンサの出力値の相当値として算出される推
定値と、センサの出力値とには強い相関がみられる。そ
こで、上記構成のように、センサの出力値と同センサの
推定値との相関係数に基づいてセンサの異常を検出する
ことによっても、上記請求項1記載の発明と同様に、よ
り多様なセンサの使用環境において同センサの異常の有
無をより的確に診断することができるようになる。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項4記載のセ
ンサの異常診断装置において、前記センサの出力値を
X、この出力値Xの平均値をXa、前記センサが正常な
状態にあるときの出力値の相当値として算出される推定
値をY、この推定値Yの平均値をYaとするとき、次式 Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/{Σ(X−Xa)
2・Σ(Y−Ya)21/2 から前記出力値と前記推定値との相関係数を算出し、こ
の算出される相関係数が所定の相関係数未満であるとき
前記センサに異常があると判定することを要旨としてい
る。
【0018】上記構成によれば、センサの出力値(X)
と同センサの推定値(Y)との相関係数が上記関係式か
ら算出され、この算出される相関係数が所定の相関係数
未満であるときセンサに異常があると判定される。この
ように、上記関係式から出力値と推定値との相関係数を
算出する構成によって、上記請求項4記載の発明の効果
を的確に得ることができるようになる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項4または5
記載のセンサの異常診断装置において、前記センサが所
定のフィードバック制御を通じて目標値へ収束される因
子を検出対象とするセンサであることを要旨としてい
る。
【0020】上記構成によれば、所定のフィードバック
制御を通じて目標値へ収束される因子を検出対象とする
センサに対して上記請求項4または5記載のセンサの異
常診断装置による異常診断が行われる。こうした構成に
よっても、上記請求項3記載の発明と同様に、制御対象
の目標値への収束性が悪化している状態が見過ごされる
といった事態を好適に回避することができるようにな
る。
【0021】請求項7記載の発明は、請求項6記載のセ
ンサの異常診断装置において、前記フィードバック制御
における目標値が変更されてから所定の期間が経過する
までは前記相関係数の算出にかかる処理を保留すること
を要旨としている。
【0022】上記構成によれば、所定のフィードバック
制御における目標値が変更されてから所定の期間が経過
するまでは、相関係数の算出にかかる処理が保留され
る。ここで、例えば上記所定のフィードバック制御が内
燃機関の空燃比フィードバック制御である場合、目標値
(一般には理論空燃比)が内燃機関の運転状態に応じて
変更されるといった処理が行われることもある。一方
で、同空燃比フィードバック制御における制御対象、即
ち空燃比を検出対象とするセンサの出力値とこのセンサ
の推定値との相関係数の算出に際しては、上記目標値が
平均値として用いられる。このため、上記目標値の変更
中においては、相関係数の算出に際して適切な平均値
(目標値)が用いられないことに起因して、算出された
同相関係数に誤差が含まれることも考えられる。また、
こうした懸念は上記空燃比フィードバック制御に限られ
ず他のフィードバック制御においても同様に生じるとい
える。そこで、上記構成においては、所定のフィードバ
ック制御における目標値が変更されてから所定の期間が
経過するまで、即ち目標値が一定に維持されるようにな
るまでは相関係数の算出にかかる処理を保留するように
している。これにより、センサの出力値とこのセンサの
推定値との相関係数をより的確に算出することができる
ようになる。なお、上記所定の期間は、フィードバック
制御の制御態様等に基づいて予め設定された値として用
いられる。
【0023】請求項8記載の発明は、請求項6記載のセ
ンサの異常診断装置において、前記フィードバック制御
における目標値が基準として設定されている所定の目標
値以外の値に設定されるとき、前記相関係数の算出にか
かる処理を保留することを要旨としている。
【0024】上記構成によれば、所定のフィードバック
制御における目標値が基準として設定されている所定の
目標値以外の値に設定されるとき、相関係数の算出にか
かる処理が保留とされる。こうした構成によっても、上
記請求項7記載の発明と同様に、所定のフィードバック
制御を通じて目標値に収束される因子を検出対象とする
センサの出力値とこのセンサの推定値との相関係数をよ
り的確に算出することができるようになる。
【0025】請求項9記載の発明は、請求項1〜8のい
ずれかに記載のセンサの異常診断装置において、前記セ
ンサの出力値の振れ幅が所定の振れ幅未満であるとき、
前記相関係数の算出にかかる処理を保留することを要旨
としている。
【0026】上記構成によれば、センサの出力値の振れ
幅が所定の振れ幅未満であるとき、相関係数の算出にか
かる処理が保留とされる。ちなみに、センサの出力値に
は誤差が含まれることもある。また一方で、センサの振
れ幅が小さくなるほど同センサの出力値における誤差の
影響が相対的に大きくなるといえる。そこで、上記構成
においては、センサの出力値の振れ幅が所定の振れ幅未
満であるときには相関係数の算出にかかる処理を保留と
することで、同相関係数がより高い精度をもって算出さ
れるようにしている。なお、上記所定の振れ幅は、異常
診断の対象となるセンサの出力特性等に基づいて予め設
定された値として用いられる。
【0027】請求項10記載の発明は、請求項3または
6〜8のいずれかに記載のセンサの異常診断装置におい
て、前記センサが、内燃機関にて燃焼される混合気の空
燃比として排気ガス中の酸素濃度をほぼリニアな電気信
号に換算して検出する空燃比センサであり、同センサが
正常な状態にあるときの出力値の相当値として算出され
る前記推定値が前記内燃機関の運転状態に基づいて算出
されることを要旨としている。
【0028】上記構成によれば、内燃機関にて燃焼され
る混合気の空燃比として排気ガス中の酸素濃度をほぼリ
ニアな電気信号に換算して検出する空燃比センサに対し
て上記請求項3または6〜8のいずれかに記載のセンサ
の異常診断装置による異常診断が行われる。このよう
に、空燃比センサに対して異常診断を行う構成によって
も、上記請求項3または6〜8のいずれかに記載の発明
に準じた効果が得られるようになる。
【0029】請求項11記載の発明は、請求項3または
6〜8のいずれかに記載のセンサの異常診断装置におい
て、前記センサが、内燃機関にて燃焼される混合気の空
燃比を排気ガス中の酸素濃度の濃淡として検出する酸素
センサであり、同センサが正常な状態にあるときの出力
値の相当値として算出される前記推定値が前記内燃機関
の運転状態に基づいて算出されることを要旨としてい
る。
【0030】上記構成によれば、内燃機関にて燃焼され
る混合気の空燃比を排気ガス中の酸素濃度として検出す
る酸素センサに対して上記請求項3または6〜8のいず
れかに記載のセンサの異常診断装置による異常診断が行
われる。このように、酸素センサに対して異常診断を行
う構成によっても、上記請求項3または6〜8のいずれ
かに記載の発明に準じた効果が得られるようになる。
【0031】請求項12記載の発明は、請求項10また
は11記載のセンサの異常診断装置において、前記内燃
機関の運転状態に基づいた前記推定値の算出が、前記内
燃機関の燃料噴射量及び吸入空気量及び機関回転速度か
ら算出される同内燃機関の排気流量と、前記内燃機関の
燃料噴射量及び吸入空気量から算出される前記混合気の
空燃比とに基づいて行われることを要旨としている。
【0032】上記構成によれば、内燃機関の燃料噴射
量、吸入空気量及び機関回転速度から算出される同機関
の排気流量と、内燃機関の燃料噴射量及び吸入空気量か
ら算出される混合気の空燃比とに基づいて空燃比センサ
あるいは酸素センサの推定値の算出が行われる。ちなみ
に、空燃比は内燃機関に対する噴射燃料と同機関に吸入
された吸入空気との重量比であるため、ある時刻におけ
る混合気の空燃比は、基本的にはそのときの燃料噴射量
と吸入空気量とに基づいて推定することができる。一方
で、通常、空燃比を検出するセンサは排気通路に備えら
れるものであるため、ある時刻において同センサにより
検出された空燃比は以前の燃焼に供された混合気の空燃
比を示すことになる。即ち、実際の空燃比は、時間的な
遅れをもって空燃比を検出するセンサの出力値として反
映される。そして、この実際の空燃比が上記センサの出
力値として反映されるまでの時間は、基本的には内燃機
関の排気流量によって決定される。そこで、上記構成に
おいては、内燃機関の排気流量と燃料噴射量及び吸入空
気量から算出される空燃比とに基づいて空燃比を検出す
るセンサの推定値を算出することで、同推定値がより的
確に算出されるようにしている。これにより、空燃比を
検出するセンサの出力値とこのセンサの推定値との相関
係数をより高い精度をもって算出することができるよう
になる。
【0033】請求項13記載の発明は、請求項10〜1
2のいずれかに記載のセンサの異常診断装置において、
前記内燃機関の失火が検出されるとき、前記相関係数の
算出にかかる処理を保留することを要旨としている。
【0034】上記構成によれば、内燃機関の失火が検出
されるとき、相関係数の算出にかかる処理が保留され
る。ちなみに、内燃機関にて失火が生じたときは、混合
気の燃焼状態が通常とは大きく異なるため、空燃比を検
出するセンサの出力値を推定することが困難となる。そ
こで、上記構成においては、内燃機関の失火が検出され
るときは相関係数の算出にかかる処理を保留すること
で、算出される相関係数の精度が適切に確保されるよう
にしている。
【0035】請求項14記載の発明は、請求項10〜1
3のいずれかに記載のセンサの異常診断装置において、
前記センサの出力値の振れ幅が前記内燃機関の吸入空気
量に応じて設定される所定の振れ幅未満であるとき、前
記相関係数の算出にかかる処理を保留することを要旨と
している。
【0036】上記構成によれば、センサの出力値の振れ
幅が内燃機関の吸入空気量に応じて設定される所定の振
れ幅未満であるとき、相関係数の算出にかかる処理が保
留される。ちなみに、吸入空気量が大きくなる、即ち吸
入空気の流入速度が速くなるほど混合気の空燃比が空燃
比センサあるいは酸素センサに反映されるまでの時間が
短くなる傾向にある。そして、このように空燃比が上記
センサに反映されるまでの時間が短くなることにより、
推定される時間と実際の時間との差、即ち推定により生
じる誤差も小さな値を示すこととなる。そこで、上記構
成においては、吸入空気量に応じて上記所定の振れ幅を
設定することで、算出される相関係数の精度を確保しつ
つ、より広い範囲にわたってのセンサの検出データに基
づいても相関係数の算出が行えるようにしている。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明を具
体化した第1の実施の形態について、図1〜図9を参照
して説明する。
【0038】まず、図1を参照して、同実施の形態にか
かるセンサの異常診断装置の概略的な構成について説明
する。なお、図1は、内燃機関1の空燃比を検出する空
燃比センサAFsnr及び同センサAFsnrの異常診
断等を行う電子制御装置(ECU)3を含めた内燃機関
1の全体構成を模式的に示している。
【0039】同図1に示されるように、ECU3は、検
出系4を通じて検出される内燃機関1の運転状態を示す
各種データ等に基づいて、同機関1の制御を統括的に実
行する。
【0040】ここで、内燃機関1にあって、そのシリン
ダブロック11には、混合気の燃焼がその内部で行われ
るシリンダ12が複数備えられている。そして、それら
各シリンダ12の上部には、混合気への点火を行うイグ
ニッションプラグ13や、吸気を行う吸気弁14及び排
気を行う排気弁15等を備えるシリンダヘッド16が配
設されている。上記イグニッションプラグ13は、点火
コイルを介してイグナイタ(いずれも図示略)に接続さ
れており、ECU3による同イグナイタの制御を通じて
その点火時期が調節される。また、上記シリンダ12内
には、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト17
にコネクティングロッド18を介して連結されるピスト
ン19が往復動可能に収容されている。そして、このピ
ストン19と上記シリンダヘッド16とが対峙してなす
燃焼室20において混合気が燃焼され、これによる同ピ
ストン19の往復運動が上記コネクティングロッド18
により回転運動に変換された後、クランクシャフト17
へ伝達される。なお、シリンダ12の周囲に設けられる
ウォータージャケット12a内を循環する冷却水によ
り、各シリンダ12及びシリンダヘッド16等の冷却が
行われる。
【0041】また、燃焼室20には、吸入空気の浄化装
置であるエアクリーナ21や吸入空気の調量機構である
スロットルバルブ22等を備える吸気通路23が接続さ
れており、吸入空気はエアクリーナ21による浄化、及
びスロットルバルブ22による調量を通じて燃焼室20
へ供給される。また、上記スロットルバルブ22は、そ
の開度が図示しないアクセルペダルの踏み込み量等に応
じたものとなるように、例えば、ECU3によるスロッ
トルモータ22aの制御を通じて開閉駆動される。
【0042】また、燃料噴射弁24はECU3からの信
号に応じて上記吸気通路23に対して燃料の噴射供給を
行い、この噴射供給された燃料と吸入空気との混合気が
燃焼室20に供給される。そして、上記供給された混合
気がピストン19により圧縮され高圧となった後に、イ
グニッションプラグ13による点火を通じて燃焼され、
このときに生じた燃焼エネルギによりクランクシャフト
17が回転される。また、燃焼後の排気ガスは、排気弁
15の開弁にともない、燃焼室20に接続される排気通
路25に排出され、触媒装置26により浄化された後、
内燃機関1の外部へ排出される。
【0043】また、本実施の形態にあって、検出系4
は、内燃機関1の運転状態等を検出するための回転速度
センサ41、エアフローメータ42及び空燃比センサA
Fsnrを備える構成となっている。
【0044】ここで、クランクシャフト17の近傍に設
けられる回転速度センサ41は、クランクシャフト17
の回転速度(機関回転速度Ne)を検出し、吸気通路2
3に設けられるエアフローメータ42は、内燃機関1に
吸入される空気量(吸入空気量Qar)を検出する。ま
た、排気通路25に設けられる空燃比センサAFsnr
は、噴射燃料と吸入空気との混合比(空燃比AF)を検
出する。そして、これら各検出データはECU3に入力
されるとともに、例えば、後述する空燃比フィードバッ
ク制御や空燃比センサAFsnrの異常診断処理に用い
られる。
【0045】また、空燃比センサAFsnrの異常診断
処理を通じて同空燃比センサAFsnrの異常が検出さ
れた場合には、ECU3によりその旨を示す異常表示灯
Rmpが点灯される。なお、この異常表示灯Rmpは、
当該内燃機関1を搭載する車両の車室内、例えば計器パ
ネル等に設けられる。
【0046】次に、空燃比センサAFsnrの異常診断
装置であるECU3の構成、及び空燃比センサAFsn
rによる空燃比の検出態様について、図2を参照して説
明する。
【0047】同図2に示すように、ECU3は空燃比セ
ンサAFsnrの出力(電流信号)を電圧信号に変換す
る電流電圧変換回路31、この変換された電圧信号をデ
ジタル信号に変換するA/Dコンバータ32及びこの変
換されたデジタル信号を適宜に処理するマイクロコンピ
ュータ33等を備えて構成される。
【0048】ここで、マイクロコンピュータ33は、中
央演算処理装置(CPU)33a、内燃機関1の運転状
態の制御や空燃比センサAFsnrの異常診断を目的と
する各種プログラム等が記憶された読み出し専用メモリ
(ROM)33bを備えている。また、これらCPU3
3a及びROM33bとともに、検出系4を通じて検出
された各種検出データ等の書き込み及び読み出しが可能
なランダムアクセスメモリ(RAM)33cを備えてい
る。
【0049】一方、空燃比センサAFsnrには、それ
ぞれ電圧Vp[v]及び電圧Vn[v]が印加されてお
り、電圧Vpが印加されている端子と上記電流電圧変換
回路31とが接続されている。また、この電流電圧変換
回路31は、その内部に抵抗R[Ω]を備えてA/Dコ
ンバータ32に接続されているため、上記抵抗Rを流れ
る空燃比センサAFsnrの出力電流をi[A]とする
と、電流電圧変換回路31からA/Dコンバータ32へ
は、次の式[1]で表される電圧(出力電圧E[v])
が出力される。 E=i×R+Vp …[1] また、空燃比AFが理論空燃比AFt(AF=14.
7)となるときに、空燃比センサAFsnrの出力電流
iが「0」となるよう上記各電圧Vp,Vnの電位差が
設定されている。このため、実際の空燃比AFが理論空
燃比AFtのとき、電流電圧変換回路31からは電圧V
pが出力されるようになる。
【0050】また、空燃比AFが理論空燃比AFt以外
のとき、電流電圧変換回路31からは電圧Vpから相対
的にずれた電圧が出力されるようになる。即ち、空燃比
AFがリッチ(理論空燃比AFtよりも小さい)である
場合、空燃比センサAFsnrからA/Dコンバータ3
2へ向かって電流(正の電流)が出力されるようにな
り、電流電圧変換回路31からは電圧Vpよりも高い電
圧が出力されるようになる。一方、空燃比AFがリーン
(理論空燃比AFtよりも大きい)である場合、A/D
コンバータ32から空燃比センサAFsnrへ向かって
電流(負の電流)が出力されるようになり、電流電圧変
換回路31からは電圧Vpよりも低い電圧が出力される
ようになる。このように、空燃比センサAFsnrの出
力電圧Eは電圧Vpを基準として変動するものであり、
以降ではこの基準となる電圧Vpを制御中心電圧Vpと
する。
【0051】図3に、こうした空燃比センサAFsnr
における空燃比AFと出力電圧Eとの関係を示す。同図
3に示されるように、空燃比センサAFsnrは、空燃
比AFの変化に対してその出力電圧Eがリニアに変化す
るといった特性を有する。
【0052】次に、本実施の形態で行われる空燃比フィ
ードバック制御について図4を参照して説明する。な
お、図4は空燃比フィードバック制御における燃料噴射
量算出処理を示している。
【0053】まずステップS101では、理論空燃比A
Ft(目標空燃比)及び吸入空気量Qarに基づいて、
空燃比AFを理論空燃比AFtとするために必要となる
燃料噴射量(基本燃料噴射量Fit)を、 Fit=Qar/AFt …[2] といった関係式から算出する。
【0054】次にステップS102では、空燃比センサ
AFsnrによる出力電圧E、及び出力電圧Eと空燃比
AFとの関係を示すマップから空燃比AF(出力空燃比
AFm)を算出するとともに、この出力空燃比AFmに
対応する混合気が燃焼されたときの時刻を算出する。
【0055】次にステップS103では、出力空燃比A
Fm及び上記混合気が燃焼された時刻における吸入空気
量Qarn、基本燃料噴射量Fitnに基づいて、同じ
く上記混合気が燃焼された時刻における実際の燃料噴射
量Fin(=Qarn/AFm)と基本燃料噴射量Fi
tnとの差(噴射量偏差DfFi)を、 DfFi=(Qarn/AFm)−Fitn …[3] といった関係式から算出するとともに、この噴射量偏差
DfFiの積算値である噴射量偏差積算値ΣDfFiを
算出する。
【0056】次にステップS104では、上記噴射量偏
差DfFi及び噴射量偏差積算値ΣDfFiに基づい
て、基本燃料噴射量Fitに対する補正量(補正燃料噴
射量Fir)を、 Fir=(Kp×DfFi)+(Ks×ΣDfFi) …[4] といった関係式から算出する。なお、上記各係数Kp,
Ksは制御ゲインであり、予め設定された値として用い
られる。
【0057】次にステップS105では、上記基本燃料
噴射量Fit及び補正燃料噴射量Firに基づいて、最
終的な燃料の噴射量(燃料噴射量Fi)を、 Fi=(A×Fit)+Fir+B …[5] といった関係式から算出し、本処理を一旦終了する。な
お、上記補正係数A及び補正量Bは、内燃機関1の運転
状態等に基づいて適宜設定される値として用いられる。
【0058】このように、上記空燃比フィードバック制
御によれば、空燃比センサAFsnrを通じて検出され
る空燃比(出力空燃比AFm)に基づいて燃料噴射量F
iを算出することにより、空燃比AFの理論空燃比AF
tへの収束が図られる。従って、例えば排気ガスの被毒
作用により空燃比センサAFsnrの機能が劣化したよ
うな場合、実際の空燃比AFが出力空燃比AFmに適切
に反映されなくなるとともに、空燃比AFの理論空燃比
AFtへの収束性が低下するようになる。
【0059】そこで、本実施の形態においては、こうし
た事態を回避するに先立って、次に説明する異常診断処
理を通じて空燃比センサAFsnrの異常の有無を診断
するようにしている。
【0060】以下、図5及び図6を参照して、異常診断
処理について説明する。なお、本処理は所定の時間周期
をもって繰り返し実行される。また、以下に説明する異
常診断処理は、特に空燃比センサAFsnrの応答性劣
化を同センサAFsnrの異常として検出する場合の異
常診断処理である。
【0061】まずステップS201では、空燃比センサ
AFsnrの異常(応答性劣化)の有無を診断するため
の前提条件、即ち、 ・失火が検出されていない。 ・空燃比センサAFsnrの出力異常が検出されていな
い。といった条件が満たされているか否かが判断され
る。上記各前提条件が満たされている旨判断された場合
は、ステップS202へ移り、一方、上記各前提条件が
満たされていない旨判断された場合は、本処理を一旦終
了する。なお、上記各前提条件は、本処理とは別に行わ
れている他の処理を通じて検出されるものである。ま
た、上記出力異常とは、例えば、電気回路の断線により
空燃比センサAFsnrの出力電圧Eが「0」[v]と
なっているような状態のことをいう。
【0062】次にステップS202では、空燃比センサ
AFsnrの出力値の振れ幅Ampと所定振れ幅Amp
xとに基づいて、 Amp≧Ampx …[6] が満たされているか否かが判断される。振れ幅Ampが
所定振れ幅Ampx以上である旨判断された場合は、ス
テップS203へ移り、一方、振れ幅Ampが所定振れ
幅Ampx以上でない旨判断された場合は、本処理を一
旦終了する。なお、上記振れ幅Ampは、例えば、以前
に検出された空燃比センサAFsnrの出力値(出力空
燃比AFm)の所定期間における極大値と極小値との差
として算出することができる。
【0063】次にステップS203では、 〔a〕燃料噴射量Fi及び吸入空気量Qarからそのと
きの空燃比AFを、 AF=Qar/Fi …[7] といった関係式から算出する。 〔b〕燃料噴射量Fi、吸入空気量Qar及び機関回転
速度Neから排気流量Qexを算出する。 〔c〕この排気流量Qexに基づいて上記空燃比AFが
空燃比センサAFsnrに反映されるまでの時間(セン
サ出力時間Tsnr)を算出する。 〔d〕そのときを基準としてセンサ出力時間Tsnrが
経過したときの空燃比センサAFsnrの出力値の推定
値(推定空燃比AFe)を、上記空燃比AF及びセンサ
出力時間Tsnrから算出する。 といった各算出処理を行う。
【0064】なお、この推定空燃比AFeは、正常な状
態にある空燃比センサAFsnrの出力値(出力空燃比
AFm)の相当値として算出される。次にステップS2
04では、上記ステップS203を通じて算出されてい
る今回の推定空燃比AFen及び前回の推定空燃比AF
n-1から推定空燃比AFeの変化量である推定空燃比
変化量DfAFe(推定値の時間微分値)を、 DfAFm=AFmn−AFmn-1 …[8] といった関係式から算出する。
【0065】ステップS205では、空燃比センサAF
snrによる今回の出力値(出力空燃比AFmn)及び
前回の出力値(出力空燃比AFmn-1)から出力空燃比
AFmの変化量である出力空燃比変化量DfAFm(出
力値の時間微分値)を、 DfAFm=AFmn−AFmn-1 …[9] といった関係式から算出する。
【0066】次にステップS206では、所定の期間
(例えば20秒間)にわたって算出された出力空燃比変
化量DfAFm及び推定空燃比変化量DfAFeに基づ
いて、これら各空燃比変化量DfAFm,DfAFeの
相関係数rを、 r=Σ(DfAFm・DfAFe)/ {Σ(DfAFm)2・Σ(DfAFe)21/2 …[10] といった関係式から算出する。
【0067】次にステップS207では、相関係数rと
空燃比センサAFsnrが適切な応答性をもって作動し
ていることを示す正常時の相関係数rHとに基づいて、 r>0.4(=rH) …[11] が満たされているか否かが判断される。相関係数rが
0.4より大きい旨判断された場合は、ステップS20
8へ移り、空燃比センサAFsnrは正常である旨判定
して本処理を終了する。一方、相関係数rが0.4未満
である旨が判断された場合は、ステップS209へ移
り、相関係数rと空燃比センサAFsnrに異常がある
ことを示す異常時の相関係数rLとに基づいて、 r<0.2(=rL) …[12] が満たされているか否かが判断される。相関係数rが
0.2未満である旨判断された場合は、ステップS21
0へ移り、空燃比センサAFsnrに異常がある旨判定
し、ステップS211において空燃比センサAFsnr
に異常があることを示す異常表示灯Rmpを点灯した
後、本処理を終了する。一方、相関係数rが0.2未満
でない判断された場合は、本処理を一旦終了する。な
お、上記各相関係数rH,rLは、それぞれ正常な状態
にある空燃比センサAFsnrあるいは応答性の劣化し
ている空燃比センサAFsnrを通じて設定された値と
して用いられる。
【0068】このように、上記異常診断処理によれば、
空燃比センサAFsnrを通じて算出される出力空燃比
変化量DfAFmと、燃料噴射量Fi等に基づいて算出
される推定空燃比変化量DfAFeとの相関関係(相関
係数r)に基づいて空燃比センサAFsnrの異常診断
が行われる。
【0069】次に、こうした異常診断処理(図5及び図
6)の作用について、前記特開平10−54285号公
報に記載されている従来の異常診断処理との対比のもと
に説明する。
【0070】まず、上記従来の異常診断処理では、図7
に例示する態様で、空燃比センサAFsnrの出力電圧
Eについてその変動傾向を監視している。ちなみに、正
常な状態にある空燃比センサAFsnrを通じて空燃比
AFの検出が行われたときの出力電圧E(出力空燃比A
Fm)の変動傾向は、図7(a)に示される傾向とな
る。一方、応答性の劣化している空燃比センサAFsn
rを通じて空燃比AFの検出が行われたときの出力電圧
E(出力空燃比AFm)の変動傾向は、図7(b)に示
される傾向となる。即ち、この図7に示されるように、
空燃比センサAFsnrの応答性が劣化している場合、
その出力電圧Eは空燃比センサAFsnrが正常である
場合に比べて緩やかな変動傾向を示す。
【0071】そこで、上記従来の異常診断処理では、空
燃比センサAFsnrの正常時と異常時(応答性劣化
時)との間にこうした違いが生じることに基づいて、次
に列記するような態様をもって空燃比センサAFsnr
の異常の有無を診断するようにしている。即ち、 ・前回の出力電圧En-1と今回の出力電圧Enとから出力
電圧Eの変化量(出力電圧変化量△E)を算出する(図
7:時刻t71〜t72)。 ・この出力電圧変化量△Eを所定の期間(図7:T7)
にわたって積算した変動量積算値「Σ△E」、あるい
は、同積算値「Σ△E」が小さくなるほど大きくなる値
「ΣX/Σ△E」を判定値とする。なお、「ΣX」とし
ては、例えば燃料噴射量の補正量の積算値が挙げられ
る。 ・この変動量積算値「Σ△E」(あるいは「ΣX/Σ△
E」)が所定の判定値より小さい場合、空燃比センサA
Fsnrは正常であると判定する。 ・この変動量積算値「Σ△E」(あるいは「ΣX/Σ△
E」)が所定の判定値よりも大きい場合、空燃比センサ
AFsnrの応答性が劣化していると判定する。といっ
た態様をもって空燃比センサAFsnrの応答性劣化を
検出するようにしている。
【0072】ところが前述のように、近年は、空燃比フ
ィードバック制御技術の向上にともない空燃比AFが理
論空燃比AFtに非常に近いところに維持されるように
なり、従来の空燃比フィードバック制御に比べて空燃比
AFの変動度合いが非常に小さなものとなっている。こ
うした最近の空燃比フィードバック制御によれば、正常
な状態にある、あるいは応答性の劣化している空燃比セ
ンサAFsnrを通じて空燃比AFの検出が行われたと
きの出力電圧E(出力空燃比AFm)は、それぞれ図8
(a),(b)に示すような変動傾向を示すようにな
る。
【0073】即ち、この図8に示されるように、空燃比
センサAFsnrが正常であっても、その出力電圧Eの
変動が非常に緩やかであるため、この正常である場合と
応答性が劣化している場合とにおける出力電圧Eのそれ
ぞれの変動周期も同じような周期となっている。
【0074】ここで、こうした空燃比センサAFsnr
の使用環境において、上記従来の異常診断処理が行われ
た場合を想定する。即ち、前回の出力電圧En-1と今回
の出力電圧Enとから算出される出力電圧Eの変化量
(出力電圧変化量△E)を所定の期間(図8:T8)に
わたって積算した変動量積算値「Σ△E」を判定値とし
て空燃比センサAFsnrの応答性劣化についての判定
が行われたとする。あるいは、同積算値「Σ△E」が小
さくなるほど大きくなる値「ΣX/Σ△E」を判定値と
して空燃比センサAFsnrの応答性劣化についての判
定が行われたとする。これらの場合、上述のように出力
電圧Eの変動周期がほぼ同じであるため、空燃比センサ
AFsnrが正常である場合の判定値と空燃比センサA
Fsnrの応答性が劣化している場合の判定値とが非常
に接近した値となり、上記判定値に基づいての応答性劣
化の判定が困難となる。
【0075】このように、空燃比センサAFsnrの応
答性が劣化することにより出力電圧Eの変動傾向が緩や
かになるといったことに基づいての異常診断処理では、
同センサAFsnrの使用環境によってその応答性の劣
化を的確に検出できないおそれがある。
【0076】ところで、空燃比センサAFsnrが正常
な状態にある場合、正常な空燃比センサAFsnrの出
力値の相当値として算出される推定値(推定空燃比AF
e)と、実際の空燃比センサAFsnrの出力値(出力
空燃比AFm)とには相関がみられる。従って、出力空
燃比AFmと推定空燃比AFeとの相関が弱い場合に
は、出力空燃比AFmは実際の空燃比AFを適切に反映
していない、即ち空燃比センサAFsnrの応答性が劣
化している可能性が高いといえる。
【0077】また、空燃比センサAFsnrの出力値の
時間微分値(出力空燃比変化量DfAFm)と空燃比セ
ンサAFsnrの推定値の時間微分値(推定空燃比変化
量DfAFe)とに相関がない場合も同様に、空燃比セ
ンサAFsnrの応答性が劣化している可能性が高いと
いえる。
【0078】そこで、本実施の形態においては、出力値
の変化量(出力空燃比変化量DfAFm)と推定値の変
化量(推定空燃比変化量DfAFe)との相関係数rに
基づいて、同センサAFsnrの応答性劣化を検出する
ようにしている。
【0079】このように、出力空燃比変化量DfAFm
と推定空燃比変化量DfAFeとの相関係数rに基づい
て空燃比センサAFsnrの応答性劣化の判定を行うこ
とで、例えば図8に例示したような使用環境にあって
も、その応答性劣化の検出が可能となる。
【0080】以下、本実施の形態の異常診断装置による
空燃比センサAFsnrの応答性劣化の検出態様につい
て、その一例を図9及び図10を参照して説明する。こ
こでは、以下の2種の状況、即ち 〔イ〕空燃比センサAFsnrの応答性が劣化してお
り、その出力値(出力電圧E)が、制御中心電圧Vpで
ある3.3[v]を中心として、2.3〜4.3[v]
の範囲で変動している(図9:実線)。 〔ロ〕空燃比センサAFsnrの応答性が劣化してお
り、その出力値(出力電圧E)が、制御中心電圧Vpで
ある3.3[v]を中心として、3.2〜3.4[v]
の範囲で変動している(図10:実線)。といった2つ
の状況において、それぞれ空燃比センサAFsnrに対
する異常診断処理が行われる場合を想定する。なお、上
記〔イ〕の状況は、従来の空燃比フィードバック制御に
おける空燃比センサAFsnrの出力値の変動傾向(図
7(b))に、また上記〔ロ〕の状況は、最近の空燃比
フィードバック制御における空燃比センサAFsnrの
出力値の変動傾向(図8(b))にそれぞれ準じたもの
となっている。
【0081】まず、上記〔イ〕の状況においては、空燃
比センサAFsnrの応答性が劣化しているため、出力
値の変動軌跡を示す波形(図9:実線)と推定値の変動
軌跡を示す波形(図9:一点鎖線)とに大きなずれが生
じる。
【0082】そして、出力値の変化量(出力空燃比変化
量DfAFm)と推定値の変化量(推定空燃比変化量D
fAFe)との相関係数rは、こうした各波形のずれが
反映された値として算出されるため、空燃比センサAF
snrの応答性劣化を的確に検出することが可能とな
る。
【0083】一方、上記〔ロ〕の状況においては、空燃
比センサAFsnrの応答性が劣化しているため、出力
値の変動軌跡を示す波形(図9:実線)と推定値の変動
軌跡を示す波形(図9:一点鎖線)とに位相のずれが生
じる。なお、上記〔ロ〕の状況は、上述のように正常な
状態にある空燃比センサAFsnrの出力値自体が緩や
かな変動傾向を示す使用環境であるため、応答性の劣化
している同センサAFsnrの出力値の波形と推定値と
の波形のずれが上記〔イ〕の状況に比べて小さなものと
なっている。
【0084】そして、この場合も上記〔イ〕の状況と同
様に、出力値の変化量(出力空燃比変化量DfAFm)
と推定値の変化量(推定空燃比変化量DfAFe)との
相関係数rは、上記各波形の位相のずれが反映された値
として算出されるため、空燃比センサAFsnrの応答
性劣化を的確に検出することが可能となる。
【0085】以上詳述したように、この実施の形態にか
かるセンサの異常診断装置によれば、以下に列記するよ
うな優れた効果が得られるようになる。 (1)本実施の形態では、異常診断処理(図5及び図
6)を通じて空燃比センサAFsnrに対する異常診断
を行うようにしている。これにより、空燃比センサAF
snrの応答性劣化を的確に検出することができるよう
になる。
【0086】(2)本実施の形態では、出力空燃比AF
m(出力値)の変化量である出力空燃比変化量DfAF
mと、推定空燃比AFe(推定値)の変化量である推定
空燃比変化量DfAFeとの相関係数rに基づいて空燃
比センサAFsnrの異常の有無を診断するようにして
いる。これにより、正常な状態にある場合と応答性の劣
化している場合とで、それら各変動周期に明確な違いが
現れないような使用環境にあっても、空燃比センサAF
snrの応答性の劣化を的確に検出することができるよ
うになる。
【0087】(3)本実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの出力値の変化量(出力空燃比変化量DfAF
m)と同センサAFsnrの推定値の変化量(推定空燃
比変化量DfAFe)との相関係数rを算出するように
している。ちなみに、出力値(出力空燃比AFm)と推
定値(推定空燃比AFe)との相関係数rに基づいて空
燃比センサAFsnrの応答性劣化を検出することも可
能であるが、この場合、次のようなことが懸念される。
即ち、相関係数rを算出するための関係式、 r=Σ{(AFm−AFa)・(AFe−AFa)}/ {Σ(AFm−AFa)2・Σ(AFe−AFa)21/2 …[13] AFmn:センサの出力値、AFa:出力値の平均値 AFen:センサの推定値、AFa:推定値の平均値 において、平均値AFaである制御中心電圧Vpが内燃
機関1の運転状態に応じて変更されることがある。この
ため、上記相関係数rの算出に際して正確な平均値(制
御中心電圧Vp)が用いられないことも考えられる。そ
して、正確な平均値が用いられないような場合には、算
出される相関係数rに誤差が含まれるようになるため、
空燃比センサAFsnrの応答性劣化の検出が的確に行
われないおそれもある。この点、本実施の形態では、こ
うした平均値の影響を受けない出力空燃比AFm及び推
定空燃比AFeのそれぞれの変化量(時間微分値)の相
関係数rを算出するようにしているため、より的確に空
燃比センサAFsnrの応答性劣化を検出することがで
きるようになる。また一方で、制御中心電圧Vpが変更
されるときにその変更中の制御中心電圧Vpを適宜算出
することで、出力空燃比AFmと推定空燃比AFeとの
相関係数rの算出に際して正確な平均値を用いるといっ
た方法も考えられるが、この場合、制御中心電圧Vpの
算出処理を新たに行う必要が生じる。これに対して、本
実施の形態では、時間微分値の相関係数rを算出するよ
うにしているため、そうした新たな処理を追加する必要
が生じることもない。このように、本実施の形態におい
ては、相関係数rの算出にかかる処理を複雑化すること
なく、同相関係数rを的確に算出することができるよう
になる。これにより、ECU3の演算負荷等を増大させ
ることなく、信頼性の高い判定結果を得ることができる
ようになる。
【0088】(4)本実施の形態では、異常診断処理
(図5及び図6)を通じて空燃比センサAFsnrが正
常に作動している旨判断されたときは、以降の内燃機関
1の運転中において同処理を行わないようにしている。
ちなみに、空燃比センサAFsnrの応答性は基本的に
は徐々に劣化するため、同センサAFsnrが適切な応
答性をもって作動している旨判定されて以降は、異常診
断を特に行わなくとも空燃比センサAFsnrの応答性
劣化を見過ごすおそれはないといえる。そこで、本実施
の形態では、相関係数rが空燃比センサAFsnrが適
切な応答性をもって作動していることを示す正常時の相
関係数rHよりも大きいと判断されて以降、同センサA
Fsnrの異常診断にかかる処理を行わないようにする
ことで、ECU3の演算負荷等が軽減されるようにして
いる。
【0089】(5)本実施の形態では、他の処理を通じ
て空燃比センサAFsnrの出力異常が検出されている
旨判断されたときには、空燃比センサAFsnrの異常
診断を行わないようにしている。ちなみに、空燃比セン
サAFsnrの異常状態としては、例えば、「経時的な
応答性の劣化」や「電気系統の異常による出力異常」と
いったものが挙げられる。そこで、本実施の形態におい
ては、他の処理を通じて空燃比センサAFsnrの出力
異常が検出されるとき同センサAFsnrの異常診断を
行わないことで、応答性劣化が空燃比センサAFsnr
の異常として検出されるようにしている。これにより、
空燃比センサAFsnrの応答性劣化をより的確に検出
することができるようになる。
【0090】(6)本実施の形態では、他の処理を通じ
て内燃機関1の失火が検出されている旨判断されたとき
には、空燃比センサAFsnrの異常診断を行わないよ
うにしている。ちなみに、内燃機関1にて失火が生じた
ときは混合気の燃焼状態が通常とは大きく異なるため、
空燃比センサAFsnrの出力値の推定が困難となる。
そこで、本実施の形態では、失火が検出されるときには
相関係数rの算出にかかる処理を行わない(保留する)
ことで、同相関係数rの精度が適切に確保されるように
している。
【0091】(7)本実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの出力値の振れ幅Ampが所定振れ幅Ampx
未満であるときには、相関係数rの算出にかかる以降の
処理を行わないようにしている。ちなみに、空燃比セン
サAFsnrの出力値には誤差が含まれることもあるた
め、同センサAFsnrの振れ幅Ampが小さくなるほ
ど出力値における誤差の影響が相対的に大きくなるとい
える。そこで、上記構成においては、空燃比センサAF
snrの出力値の振れ幅Ampが所定振れ幅Ampx未
満であるときには、相関係数rの算出にかかる処理を行
わないようにすることで、同相関係数がより高い精度を
もって算出されるようにしている。
【0092】(8)本実施の形態では、 ・燃料噴射量Fiと吸入空気量Qarとから空燃比AF
を推定する。 ・燃料噴射量Fi、吸入空気量Qar及び機関回転速度
Neから算出される排気流量Qexに基づいて上記空燃
比AFが空燃比センサAFsnrに反映されるまでの時
間(センサ出力時間Tsnr)を推定する。 ・上記空燃比AF及びセンサ出力時間Tsnrに基づい
て、空燃比センサAFsnrの検出値を推定する。とい
った処理を通じて推定空燃比AFeを算出するようにし
ている。これにより、空燃比センサAFsnrの出力値
を的確に推定できるようになるとともに、より高い精度
をもって相関係数rが算出されるようになる。
【0093】(9)本実施の形態では、相関係数rが正
常時の相関係数rH(0.4)以下、且つ異常時の相関
係数rL(0.2)以上である場合には、そのときの相
関係数rに基づいて空燃比センサAFsnrの応答性劣
化を判定しないようにしている。ちなみに、出力空燃比
AFm及び推定空燃比AFeにはそれぞれ誤差が含まれ
ることもあり、こうした場合には相関係数rに出力空燃
比変化量DfAFmと推定空燃比変化量DfAFeとの
相関関係が適切に反映されないようになる。従って、例
えば、上記算出される相関係数rが異常時の相関係数r
L(0.2)近傍の値であるような場合、空燃比センサ
AFsnrの応答性劣化についての判定が誤った結果と
なるおそれもある。そこで、本実施の形態では、異常時
の相関係数rL(0.2)と正常時の相関係数rH
(0.4)との間に判定結果を保留とする領域を設ける
ことで、空燃比センサAFsnrに対する誤判定が的確
に回避されるようにしている。
【0094】(10)本実施の形態では、異常診断処理
(図5及び図6)を通じて空燃比センサAFsnrの異
常が検出されたときは、異常表示灯Rmpを点灯するよ
うにしている。これにより、運転者等に空燃比センサA
Fsnrの異常を的確に知らしめることができるように
なる。
【0095】(第2の実施の形態)本発明を具体化した
第2の実施の形態について、図11を参照して説明す
る。なお、同実施の形態にかかるセンサの異常診断装置
の基本的な構成は、図1及び図2にて示される先の第1
の実施の形態にかかる装置と同様であるため、その説明
を省略する。
【0096】次に、本実施の形態の異常診断処理につい
て説明する。ここで、本実施の形態の異常診断処理も基
本的には前記第1の実施の形態と同様であるが、図5及
び図6に示す異常診断処理のステップS202とS20
3との間にさらに以下に説明する処理(図11)が加え
られたものとなっている。
【0097】まず、前記ステップS201の判断処理が
行われた後、本実施の形態で新たに追加されるステップ
S201aへ移る。このステップS201aでは、吸入
空気量Qarに基づいて前記ステップS202の判断処
理にて用いられる所定振れ幅Ampxを設定する。な
お、この所定振れ幅Ampxの設定は、 ・吸入空気量Qarが基準の吸入空気量に対して大きな
値となるほど所定振れ幅Ampxは小さい値に設定され
る。 ・吸入空気量Qarが基準の吸入空気量に対して小さな
値となるほど所定振れ幅Ampxは大きい値に設定され
る。といった態様をもって行われる。
【0098】そして前記ステップS202では、出力値
の振れ幅Ampがこの設定される所定振れ幅Ampx以
上であるか否かが判断され、以降は前記第1の実施の形
態と同様の処理が行われる。
【0099】ところで、吸入空気量Qarが大きくな
る、即ち吸入空気の流入速度が速くなるほど空燃比AF
が空燃比センサAFsnrに反映されるまでの時間(セ
ンサ出力時間Tsnr)が短くなる傾向にある。
【0100】従って、例えば次のような関係にある各吸
入空気量Qar、即ち「Qar1>Qar2」といった関
係にある吸入空気量Qarに基づいて、それぞれ、 ・燃料噴射量Fi、吸入空気量Qar1及び機関回転速
度Neから推定される第1のセンサ出力時間Tsn
1。 ・燃料噴射量Fi、吸入空気量Qar2及び機関回転速
度Neから推定される第2のセンサ出力時間Tsn
2。といった各出力時間が算出されたとすると、上記
算出された各出力時間の関係は「Tsnr1>Tsn
2」となる。
【0101】そして、上記各出力時間Tsnr1,Ts
nr2にはそれぞれ同じ割合で推定による誤差が含まれ
るものとすると、 ・第1のセンサ出力時間Tsnr1に対応する実際のセ
ンサ出力時間と第1のセンサ出力時間Tsnr1との
差、即ち誤差により生じる時間差△Tsnr1。 ・第2のセンサ出力時間Tsnr2に対応する実際のセ
ンサ出力時間と第2のセンサ出力時間Tsnr2との
差、即ち誤差により生じる時間差△Tsnr2。といっ
たこれら各値の関係は「△Tsnr1<△Tsnr2」と
なる。このように、吸入空気量Qarが大きな値となる
ほど、推定されたセンサ出力時間Tsnrの誤差が小さ
くなる傾向にある。
【0102】従って、吸入空気量Qarが大きな値とな
るほど、出力空燃比変化量DfAFmと推定空燃比変化
量DfAFeとの相関係数rは高い精度をもって算出さ
れるようになるといえる。
【0103】そこで、本実施の形態では、吸入空気量Q
arに応じて出力値の振れ幅Ampに対する判定値であ
る所定振れ幅Ampxを設定することで、算出される相
関係数rの精度を確保しつつ、より広い範囲にわたって
の空燃比センサAFsnrの検出データに基づいて相関
係数rを算出することができるようにしている。
【0104】以上詳述したように、この第2の実施の形
態にかかるセンサの異常診断装置によれば、先の第1の
実施の形態による前記(1)〜(10)の効果に加え
て、さらに以下に示すような効果が得られるようにな
る。
【0105】(11)本実施の形態では、吸入空気量Q
arに応じて出力値の振れ幅Ampに対する判定値(所
定振れ幅Ampx)を設定するようにしている。これに
より、相関係数rの精度を確保しつつ、より広い範囲に
わたっての空燃比センサAFsnrの検出データに基づ
いて相関係数rを算出することができるようになるとと
もに、より多様な空燃比センサAFsnrの使用環境に
おいて、同センサAFsnrの異常診断を行うことがで
きるようになる。また、吸入空気量Qarが小さな値を
示すような場合にあっては、算出される相関係数rの精
度が的確に確保されるようになり、空燃比センサAFs
nrの応答性劣化の判定結果も信頼性の高いものとな
る。
【0106】(第3の実施の形態)本発明を具体化した
第3の実施の形態について、図12及び図13を参照し
て説明する。
【0107】なお、同実施の形態にかかるセンサの異常
診断装置の基本的な構成も、図1及び図2にて示される
先の第1の実施の形態にかかる装置と同様であるため、
その説明を省略する。
【0108】ここで、本実施の形態の異常診断処理を説
明するに先立って、その概要について説明する。本実施
の形態では、先の第1の実施の形態における、 ・出力値の変化量(出力空燃比変化量DfAFm)と推
定値の変化量(推定空燃比変化量DfAFe)との相関
係数rに基づいて空燃比センサAFsnrの応答性劣化
についての判定を行う。といった構成に対して、 ・出力値(出力空燃比AFm)と推定値(推定空燃比A
Fe)との相関係数rに基づいて空燃比センサAFsn
rの応答性劣化についての判定を行う。といった構成を
採用したものとなっている。
【0109】ちなみに、この応答性劣化の検出処理は、
先の第1の実施の形態においては課題を抱える処理とし
ているが、本実施の形態では、先に述べた課題を解消す
る処理をあわせ備えることで、空燃比センサAFsnr
の応答性劣化を的確に検出することを可能としている。
【0110】以下、本実施の形態の異常診断処理につい
て図12を参照して説明する。ここで、本実施の形態の
異常診断処理も基本的には前記第1の実施の形態と同様
であるが、以下に説明する変更が加えられたものとなっ
ている。
【0111】まず、前記ステップS201及びS202
の判断処理(図5)が行われた後、変更が加えられるス
テップS202a以降の処理(図12)へ移る。このス
テップS202aでは、いま、目標空燃比(理論空燃比
AFt)の変更が行われたか否かが判断される。いま、
目標空燃比の変更が行われた旨判断された場合は、ステ
ップS202dへ移り、目標空燃比が変更されてからの
経過時間を示す変更後経過時間Tcngのカウントを開
始して本処理を一旦終了する。一方、いま、目標空燃比
の変更が行われていない旨判断された場合は、ステップ
S202bへ移り、変更後経過時間Tcngが所定経過
時間Tcngx以上であるか否かが判断される。変更後
経過時間Tcngが所定経過時間Tcngx以上である
旨判断された場合は、ステップS202cへ移り、一
方、変更後経過時間Tcngが所定経過時間Tcngx
以上でない旨判断された場合は、本処理を一旦終了す
る。なお、上記目標空燃比の変更は、他の処理を通じて
所定の条件(例えば、内燃機関1に対して所定出力以上
の出力が要求されている)が満たされている旨判断され
た場合に行われる。また、上記所定経過時間Tcngx
は、目標空燃比の変更が行われた場合、同目標空燃比が
変更前の値から変更後の値となるまでに要する時間とし
て予め設定されている値である。
【0112】ステップS202cでは、変更後経過時間
Tcngをクリアする。次にステップS203aでは、
前記ステップS203と同様の態様をもって空燃比セン
サAFsnrの出力値の推定値(推定空燃比AFe)を
算出する。
【0113】次にステップS205aでは、空燃比セン
サAFsnrの出力値から出力空燃比AFmを算出す
る。次にステップS206aでは、所定の期間(例えば
20秒間)にわたって算出された出力空燃比AFm及び
推定空燃比AFeに基づいて、これら各空燃比変化量D
fAFm,DfAFeの相関係数rを、 r=Σ{(AFm−AFa)・(AFe−AFa)}/ {Σ(AFm−AFa)2・Σ(AFe−AFa)21/2 …[13] といった関係式から算出する。なお、上記関係式におけ
るAFaは、出力空燃比AFm及び推定空燃比AFeの
平均値であり、基本的には理論空燃比AFtが上記平均
値AFaとして用いられる。
【0114】そして前記ステップS207以降では、上
記式[13]を通じて算出される相関係数rに基づいて
空燃比センサAFsnrが正常あるいは異常であるかの
判定が行われる。
【0115】このように、上記異常診断処理によれば、
空燃比センサAFsnrによる出力空燃比AFmと、燃
料噴射量Fi等に基づいて算出される推定空燃比AFe
との相関関係(相関係数r)に基づいて空燃比センサA
Fsnrの異常診断が行われる。
【0116】次に、こうした異常診断処理(図5、図6
及び図12)により奏せられる効果について、以下に示
す制御態様に基づいて説明する。図13に、空燃比フィ
ードバック制御における目標空燃比の変更処理につい
て、その一例を示す。
【0117】例えば、時刻t111において内燃機関1
に対して所定出力以上の出力が要求された旨検出された
とすると、目標空燃比が理論空燃比AFtからリッチ側
に変更される。換言すれば、制御中心電圧Vpが3.3
[v]からそれよりも低い値に変更されるといった処理
が行われる。
【0118】このとき、実際の目標空燃比は、基準とし
て設定されている目標空燃比(理論空燃比AFt)から
徐々に次の目標空燃比(AFtr)に移行し、変更後の
目標空燃比に達した時刻t112以降、一定に維持され
るようになる。
【0119】従って、例えば出力値(出力空燃比AF
m)と推定値(推定空燃比AFe)との相関係数rの算
出が上記時刻t111〜t112の期間を含めて行われ
たとすると、上記式[13]における平均値AFaであ
る理論空燃比AFtが実際には変動していることによ
り、正確な相関係数rが算出されないようになる。一方
で、上記時刻t111〜t112の間における目標空燃
比を算出し、この算出される目標空燃比を上記平均値A
Faとして用いることも考えられるが、この場合には新
たに上記目標空燃比の算出にかかる処理を行う必要が生
じる。
【0120】そこで、本実施の形態では、目標空燃比の
変更が行われてからの時間(変更後経過時間Tcng)
が所定経過時間Tcngx以上となるまでは相関係数r
の算出にかかる処理を行わないようにすることで、上記
目標空燃比の算出にかかる処理を割愛することができる
ようにしている。
【0121】以上詳述したように、この第3の実施の形
態にかかるセンサの異常診断装置によっても、先の第1
の実施の形態による前記(1)〜(10)の効果に準じ
た効果が得られるようになる。
【0122】なお、上記第3の実施の形態は、これを適
宜変更した、例えば次のような形態として実施すること
もできる。 ・上記第3の実施の形態に、上記第2の実施の形態にて
例示した吸入空気量Qarに応じて所定振れ幅Ampx
を設定するといった構成を採用することもできる。こう
した構成を採用した場合にも、上記第2の実施の形態に
準じた効果が得られるようになる。
【0123】・上記第3の実施の形態では、目標空燃比
が変更されてからの時間(変更後経過時間Tcng)が
所定経過時間Tcngx以上となるまでは、相関係数r
の算出にかかる処理を行わない構成としたが、例えば次
のように変更することもできる。即ち、目標空燃比が変
更されてからこの目標空燃比が変更後の値に一定に維持
されるまでの間(図13:時刻t111〜t112)に
あっても同目標空燃比を適宜算出する処理を行う構成と
してもよい。こうした構成を採用した場合にも、相関係
数rの算出に際して適切な平均値AFaが用いられるよ
うになる。
【0124】(第4の実施の形態)本発明を具体化した
第4の実施の形態について、図14を参照して説明す
る。なお、同実施の形態にかかるセンサの異常診断装置
の基本的な構成も、図1及び図2に示される先の第1の
実施の形態にかかる装置と同様であるため、その説明を
省略する。
【0125】次に、本実施の形態の異常診断処理につい
て図14を参照して説明する。ここで、本実施の形態の
異常診断処理は基本的には前記第3の実施の形態と同様
であるが、前記ステップS202a〜S202dまでの
処理(図12)に代えて、新たに以下に説明する図14
のステップS202eの処理が行われるものとなってい
る。
【0126】まず、前記ステップS201及びS202
の判断処理(図5)が行われた後、本実施の形態で新た
に行われるステップS202eの処理へ移る。このステ
ップS202eでは、現在の目標空燃比が基準として設
定されている目標空燃比(理論空燃比AFt)であるか
否かが判断される。現在の目標空燃比が基準として設定
されている目標空燃比(理論空燃比AFt)である旨判
断された場合は、前記ステップS203a(図12)へ
移り、以降前記第3の実施の形態に準じた処理が行われ
る。一方、現在の目標空燃比が基準として設定されてい
る目標空燃比(理論空燃比AFt)でない旨判断された
場合は、本処理を一旦終了する。
【0127】なお、上記基準として設定されている目標
空燃比とは、内燃機関1が通常の運転状態にあるときに
設定される値である。こうした処理によれば、目標空燃
比が変更されている場合、即ち相関係数rの算出式であ
る前記式[13]の平均値AFaに、基準として設定さ
れている目標空燃比(理論空燃比AFt)以外の値を用
いる必要が生じる場合は、相関係数rの算出が行われな
いようになる。これにより、本実施の形態によっても、
前記第3の実施の形態同様に、 ・相関係数rの算出に際して適切な平均値が用いられな
くなる。といった懸念が解消されるとともに、 ・適切な平均値を算出するための処理を新たに行う必要
が生じる。といった演算負荷の増大を解消することがで
きるようになる。
【0128】以上詳述したように、この第4の実施の形
態にかかるセンサの異常診断装置によっても、先の第1
あるいは第3の実施の形態による前記(1)〜(10)
の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0129】なお、上記第4の実施の形態は、これを適
宜変更した、例えば次のような形態として実施すること
もできる。 ・上記第4の実施の形態に、上記第2の実施の形態にて
例示した吸入空気量Qarに応じて所定振れ幅Ampx
を設定するといった構成を採用することもできる。こう
した構成を採用した場合にも、上記第2の実施の形態に
準じた効果が得られるようになる。
【0130】・上記第4の実施の形態では、基準として
設定される目標空燃比が理論空燃比AFtである場合を
想定したが、この基準として設定される目標空燃比が理
論空燃比AFt以外の値に設定されている場合であって
も上記第4の実施の形態に準じた効果が得られるように
なる。
【0131】(その他の実施の形態)その他、上記各実
施の形態に共通に変更可能な要素としては、次のような
ものがある。
【0132】・上記各実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの異常診断に際して、「失火が検出されていな
い」といった前提条件が満たされるか否かを判断するよ
うにした(図5:ステップS201)。しかし、この前
提条件は上記各実施の形態にて例示した条件に限られ
ず、適宜変更あるいは追加することができる。要する
に、空燃比センサAFsnrの出力値の推定が困難とな
るような場合は同センサAFsnrの異常診断処理を行
わないとすることができる条件であれば、そのための条
件として任意のものを採用してもよい。
【0133】・上記各実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの異常診断に際して、「空燃比センサAFsn
rの出力異常が検出されていない」といった前提条件が
満たされるか否かを判断するようにした(図5:ステッ
プS201)。しかし、この前提条件も上記各実施の形
態にて例示した条件に限られず、適宜変更あるいは追加
することができる。要するに空燃比センサAFsnrの
応答性劣化以外の異常が生じている場合は同センサAF
snrの異常診断処理を行わないとすることができる条
件であれば、そのための条件として任意のものを採用し
てもよい。
【0134】・また、上記「空燃比センサAFsnrの
出力異常が検出されていない」といった前提条件につい
てはこれを省略した構成として異常診断処理を行うこと
もできる。こうした構成を採用した場合には、空燃比セ
ンサAFsnrの応答性劣化以外の異常も検出すること
ができるようになる。
【0135】・上記各実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの応答性劣化の判定に際して、 〔イ〕相関係数rが正常時の相関係数rH(0.4)よ
り大きい場合、空燃比センサAFsnrは正常であると
判定する(図6:ステップS207)。 〔ロ〕相関係数rが異常時の相関係数rL(0.2)未
満である場合、空燃比センサAFsnrは異常であると
判定する(図6:ステップS209)。といった判定条
件を採用する構成としたが、上記各相関係数rH,rL
は、上記各実施の形態にて例示した値(rH=0.4,
rL=0.2)に限られず適宜変更することができる。
なお、この判定値の変更に際しては、例えば、正常な状
態にある空燃比センサAFsnrの出力特性、応答性の
劣化している空燃比センサAFsnrの出力特性等に基
づいて設定することができる。
【0136】・上記各実施の形態では、相関係数rが正
常時の相関係数rH(0.4)より大きい場合、空燃比
センサAFsnrは正常であると判定し(図6:ステッ
プS207)、以降の内燃機関1の運転中において異常
診断処理(図5及び図6)を行わない構成としたが、例
えば次のように変更することができる。即ち、この正常
時の相関係数rH(0.4)に基づく判定処理を省略
し、空燃比センサAFsnrが異常であるか否かの判定
(図6:ステップS209)のみを行う構成とすること
もできる。こうした構成を採用した場合には、より簡易
な構成をもって異常診断処理を行うことができるように
なる。
【0137】・上記各実施の形態では、例えば20秒間
にわたって算出された出力空燃比変化量DfAFm及び
推定空燃比変化量DfAFeを用いて相関係数rを算出
する構成としたが、これら出力空燃比変化量DfAFm
及び推定空燃比変化量DfAFeのサンプリング期間は
上記20秒間に限られず適宜変更可能である。
【0138】・また、上記サンプリング期間の変更に際
しては、相関係数rの精度が適切に確保される期間、例
えば出力空燃比変化量DfAFm及び推定空燃比変化量
DfAFeの少なくとも数周期以上に相当する期間を設
定することが望ましい。
【0139】・上記各実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrの出力値の振れ幅Ampが所定振れ幅Ampx
未満である旨判断された場合は、異常診断処理を一旦終
了する構成としたが(図5:ステップS202)、例え
ば次のように変更することもできる。即ち、この処理を
省略した構成として上記異常診断処理を行うこともでき
る。こうした構成を採用した場合には、より簡易な構成
をもって空燃比センサAFsnrの応答性劣化を検出す
ることができるようになる。
【0140】・上記各実施の形態では、 〔ハ〕燃料噴射量Fiと吸入空気量Qarとから空燃比
AFを推定する。 〔二〕燃料噴射量Fi、吸入空気量Qar及び機関回転
速度Neから算出される排気流量Qexに基づいて上記
空燃比AFが空燃比センサAFsnrに反映されるまで
の時間(センサ出力時間Tsnr)を推定する。 〔ホ〕上記空燃比AF及びセンサ出力時間Tsnrに基
づいて、空燃比センサAFsnrの出力値を推定する。
といった処理(図5:ステップS203)を通じて推定
空燃比AFeを算出する構成としたが、例えば次のよう
に変更することもできる。即ち、上記センサ出力時間T
snrの推定に際して、さらに吸気通路23の圧力(吸
気管圧力)をあわせ用いて同時間Tsnrを推定する構
成とすることもできる。こうした構成を採用した場合に
は、より高い精度をもって推定空燃比AFeひいては相
関係数rを算出することができるようになり、空燃比セ
ンサAFsnrの応答性劣化についての判定結果もより
信頼性の高いものとなる。
【0141】・また、推定空燃比AFeの算出に際して
用いる因子をはじめとした推定空燃比AFeの算出態様
は、上記各実施の形態にて例示した構成に限られず適宜
変更可能である。要するに、内燃機関1の運転状態に基
づいて推定空燃比AFeが算出される構成であれば、推
定空燃比AFeを算出するための構成として任意の構成
を採用することができる。
【0142】・上記第1及び第2の実施の形態では、上
記式[10]から相関係数rを算出する構成としたが、
相関係数rを算出するための関係式としては、上記式
[10]以外の関係式を採用することもできる。要する
に、出力空燃比変化量DfAFmと推定空燃比変化量D
fAFeとの相関係数rを算出することができる関係式
であれば、上記式[10]に代えて適宜の関係式を用い
る構成としてもよい。
【0143】・上記第3及び第4の実施の形態では、上
記式[13]から相関係数rを算出する構成としたが、
相関係数rを算出するための関係式としては、上記式
[13]以外の関係式を採用することもできる。要する
に、出力空燃比AFmと推定空燃比AFeとの相関係数
rを算出することができる関係式であれば、上記式[1
3]に代えて適宜の関係式を用いる構成としてもよい。
【0144】・上記各実施の形態では、相関係数rが正
常時の相関係数rHより大きいか否かの判断処理(図
6:ステップS207)が行われた後、相関係数rが異
常時の相関係数rL未満であるか否かの判断処理(図
6:ステップS209)を行う構成としたが、例えば次
のように変更することもできる。即ち、上記ステップS
209の判定処理の後に上記ステップS207の判定処
理を行う構成としてもよい。要するに、出力空燃比変化
量DfAFmと推定空燃比変化量DfAFeとの相関関
係(あるいは出力空燃比AFmと推定空燃比AFeとの
相関関係)に基づいて空燃比センサAFsnrの応答性
劣化を検出することができる構成であれば、異常診断処
理の構成は上記各実施の形態にて例示した構成に限られ
ず適宜変更可能である。
【0145】・上記各実施の形態では、空燃比センサA
Fsnrに異常がある旨判定されたとき、異常表示灯R
mpを点灯する構成としたが(図6:ステップS209
〜S211)、例えば次のように変更することもでき
る。即ち、空燃比センサAFsnrに異常がある旨判定
されたとき、同センサAFsnrに異常がある旨を知ら
せる所定の警告音を鳴らす構成としてもよい。要する
に、空燃比センサAFsnrの異常を知らせるための何
らかの報知手段が設けられる構成であれば適宜の構成を
採用することができる。また、この異常の旨は、例えば
ECU3内のバッテリバックアップ可能なメモリに適宜
のフラグ等として格納保持するようにしてもよい。
【0146】・上記各実施の形態では、排気ガス中の酸
素濃度に応じてリニアに出力電圧Eが変化する限界電流
式等の空燃比センサAFsnrに対して本発明を適用す
る構成としたが、理論空燃比AFtを境界として出力電
圧Eがほぼ2値的に変化する濃淡電池式等の酸素センサ
に対して本発明を適用することも可能である。このよう
に、酸素センサに対して本発明を適用した場合にあって
も、上記各実施の形態に準じた効果を奏することができ
るようになる。
【0147】・上記各実施の形態では、図4に示される
空燃比フィードバック制御を行う構成としたが、空燃比
フィードバック制御としての処理は上記各実施の形態に
て例示した処理に限られず適宜変更することができる。
要するに、混合気の空燃比AFが目標空燃比(例えば理
論空燃比AFt)に収束されるといった構成であれば、
任意の構成の空燃比フィードバック制御を採用すること
ができる。
【0148】・上記各実施の形態では、空燃比フィード
バック制御を通じて目標空燃比への収束が図られる空燃
比を検出する空燃比センサAFsnrに対して本発明を
適用する構成としたが、他のフィードバック制御を通じ
て目標値への収束が図られる因子を検出対象とするセン
サに対しても本発明を適用することは可能である。こう
した構成を採用した場合にも、上記各実施の形態に準じ
た効果が得られるようになる。
【0149】・さらには、出力値を推定することができ
る使用環境にあるセンサであれば本発明の適用は可能で
あり、そうしたセンサに本発明を適用した場合にあって
も、上記各実施の形態に準じた効果が得られるようにな
る。また、内燃機関1としての構成も上記各実施の形態
にて例示した構成に限られず任意の構成を採用すること
ができる。
【0150】以上の事項も含めて、最後に、この発明に
かかるセンサの異常診断装置は、次のような技術思想を
含むものであることを付記しておく。(1)前記算出さ
れる相関係数が前記センサが適切な応答性をもって作動
していることを示す所定の相関係数よりも大きいと判断
されて以降、前記診断を中止する 請求項1〜14のいずれかに記載のセンサの異常診断装
置。
【0151】上記構成によれば、算出される相関係数
が、異常診断の対象となるセンサが適切な応答性をもっ
て作動していることを示す所定の相関係数よりも大きい
と判断されて以降、同センサに対する異常診断が中止さ
れる。ちなみに、センサの応答性は基本的には徐々に劣
化するため、センサが十分な応答性をもって作動してい
る場合には同センサに対する異常診断を特に行わなくと
も応答性劣化を見過ごすおそれはないといえる。そこ
で、上記構成においては、相関係数が上記所定の相関係
数よりも大きいと判断されて以降、異常診断の対象とな
るセンサの異常診断を行わないようにすることで演算処
理装置の演算負荷等が軽減されるようにしている。な
お、上記所定の相関係数は、空燃比を検出するセンサの
出力特性等に基づいて予め設定された値として用いられ
る。また、上記構成は、センサの応答性劣化をセンサの
異常として異常診断を行う場合に採用することが望まし
い。
【0152】(2)前記センサに出力異常が生じている
とき、前記診断を禁止する手段をさらに備える 請求項1〜14のいずれかまたは前記(1)に記載のセ
ンサの異常診断装置。
【0153】上記構成によれば、異常診断の対象となる
センサに出力異常が生じているとき、同センサに対する
異常診断が禁止される。これにより、異常診断の対象と
なるセンサの応答性劣化が同センサの異常として検出さ
れるようになり、例えばセンサの応答性劣化のみの検出
が要求されるような場合にあっても、その検出を的確に
行うことができるようになる。
【0154】(3)前記センサに異常があると判定され
るとき、その旨を報知する報知手段をさらに備える 請求項1〜14のいずれかまたは前記(1)または前記
(2)記載のセンサの異常診断装置。
【0155】上記構成によれば、異常診断の対象となる
センサに異常があると判定されるとき、その旨を報知す
る報知手段がさらに備えられる。これにより、センサの
使用者等にセンサに異常がある旨を的確に知らしめるこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるセンサの異常診断装置の第1の
実施の形態についてその全体構成を模式的に示す概略
図。
【図2】同実施の形態のセンサの異常診断装置の電気的
な概略構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態において異常診断の対象とする空
燃比センサの出力特性を示すグラフ。
【図4】同実施の形態にて行われる空燃比フィードバッ
ク制御を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態にて行われる異常診断処理の一部
を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態にて行われる異常診断処理の一部
を示すフローチャート。
【図7】従来の空燃比フィードバック制御における空燃
比センサの出力電圧の変動態様についてその一例を示す
グラフ。
【図8】最近の空燃比フィードバック制御における空燃
比センサの出力電圧の変動態様についてその一例を示す
グラフ。
【図9】空燃比センサの出力値と同センサの出力値の推
定値との変動態様についてその一例を示すグラフ。
【図10】空燃比センサの出力値と同センサの出力値の
推定値との変動態様についてその一例を示すグラフ。
【図11】本発明にかかるセンサの異常診断装置の第2
の実施の形態にて行われる異常診断処理の一部を示すフ
ローチャート。
【図12】本発明にかかるセンサの異常診断装置の第3
の実施の形態にて行われる異常診断処理の一部を示すフ
ローチャート。
【図13】空燃比フィードバック制御における目標空燃
比の変更態様の一例を示すタイミングチャート。
【図14】本発明にかかるセンサの異常診断装置の第4
の実施の形態にて行われる異常診断処理の一部を示すフ
ローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関、3…電子制御装置(ECU)、4…検出
系、11…シリンダブロック、12…シリンダ、12a
…ウォータージャケット、13…イグニッションプラ
グ、14…吸気弁、15…排気弁、16…シリンダヘッ
ド、17…クランクシャフト、18…コネクティングロ
ッド、19…ピストン、20…燃焼室、21…エアクリ
ーナ、22…スロットルバルブ、22a…スロットルモ
ータ、23…吸気通路、24…燃料噴射弁、25…排気
通路、26…触媒装置、41…回転速度センサ、42…
エアフローメータ、AFsnr…空燃比センサ、Rmp
…異常表示灯、31…電流電圧変換回路、32…A/D
コンバータ、33…マイクロコンピュータ、33a…中
央演算処理装置(CPU)、33b…読み出し専用メモ
リ(ROM)、33c…ランダムアクセスメモリ(RA
M)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G004 BL17 BM05 3G084 BA09 DA27 EA02 EB06 EB12 EB22 EB25 FA07 FA13 FA24 FA29 FA33 3G301 HA01 JB01 JB09 JB10 MA01 NA01 NA05 NA08 NC01 ND02 NE19 PA01Z PB03Z PC09Z PD04A PD04B PD04Z PE01Z

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】センサの出力値に基づいて該センサの異常
    の有無を診断するセンサの異常診断装置において、 前記センサの出力値の時間微分値と前記センサが正常な
    状態にあるときの出力値の相当値として算出される推定
    値の時間微分値との相関係数に基づいて前記センサの異
    常の有無を診断することを特徴とするセンサの異常診断
    装置。
  2. 【請求項2】前記センサの出力値の時間微分値をDf
    X、前記センサが正常な状態にあるときの出力値の相当
    値として算出される推定値の時間微分値をDfYとする
    とき、次式 Σ(DfX・DfY)/{Σ(DfX)2・Σ(Df
    Y)21/2 から前記出力値の時間微分値と前記推定値の時間微分値
    を算出し、この算出される相関係数が所定の相関係数未
    満であるとき前記センサに異常があると判定する請求項
    1記載のセンサの異常診断装置。
  3. 【請求項3】前記センサが所定のフィードバック制御を
    通じて目標値へ収束される因子を検出対象とするセンサ
    である請求項1または2記載のセンサの異常診断装置。
  4. 【請求項4】センサの出力値に基づいて該センサの異常
    の有無を診断するセンサの異常診断装置において、 前記センサの出力値と前記センサが正常な状態にあると
    きの出力値の相当値として算出される推定値との相関係
    数に基づいて前記センサの異常の有無を診断することを
    特徴とするセンサの異常診断装置。
  5. 【請求項5】前記センサの出力値をX、この出力値Xの
    平均値をXa、前記センサが正常な状態にあるときの出
    力値の相当値として算出される推定値をY、この推定値
    Yの平均値をYaとするとき、次式 Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/{Σ(X−Xa)
    2・Σ(Y−Ya)21/2 から前記出力値と前記推定値との相関係数を算出し、こ
    の算出される相関係数が所定の相関係数未満であるとき
    前記センサに異常があると判定する請求項4記載のセン
    サの異常診断装置。
  6. 【請求項6】前記センサが所定のフィードバック制御を
    通じて目標値へ収束される因子を検出対象とするセンサ
    である請求項4または5記載のセンサの異常診断装置。
  7. 【請求項7】前記フィードバック制御における目標値が
    変更されてから所定の期間が経過するまでは前記相関係
    数の算出にかかる処理を保留する請求項6記載のセンサ
    の異常診断装置。
  8. 【請求項8】前記フィードバック制御における目標値が
    基準として設定されている所定の目標値以外の値に設定
    されるとき、前記相関係数の算出にかかる処理を保留す
    る請求項6記載のセンサの異常診断装置。
  9. 【請求項9】前記センサの出力値の振れ幅が所定の振れ
    幅未満であるとき、前記相関係数の算出にかかる処理を
    保留する請求項1〜8のいずれかに記載のセンサの異常
    診断装置。
  10. 【請求項10】前記センサが、内燃機関にて燃焼される
    混合気の空燃比として排気ガス中の酸素濃度をほぼリニ
    アな電気信号に換算して検出する空燃比センサであり、
    同センサが正常な状態にあるときの出力値の相当値とし
    て算出される前記推定値が前記内燃機関の運転状態に基
    づいて算出される請求項3または6〜8のいずれかに記
    載のセンサの異常診断装置。
  11. 【請求項11】前記センサが、内燃機関にて燃焼される
    混合気の空燃比を排気ガス中の酸素濃度の濃淡として検
    出する酸素センサであり、同センサが正常な状態にある
    ときの出力値の相当値として算出される前記推定値が前
    記内燃機関の運転状態に基づいて算出される請求項3ま
    たは6〜8のいずれかに記載のセンサの異常診断装置。
  12. 【請求項12】前記内燃機関の運転状態に基づいた前記
    推定値の算出が、前記内燃機関の燃料噴射量及び吸入空
    気量及び機関回転速度から算出される同内燃機関の排気
    流量と、前記内燃機関の燃料噴射量及び吸入空気量から
    算出される前記混合気の空燃比とに基づいて行われる請
    求項10または11記載のセンサの異常診断装置。
  13. 【請求項13】前記内燃機関の失火が検出されるとき、
    前記相関係数の算出にかかる処理を保留する請求項10
    〜12のいずれかに記載のセンサの異常診断装置。
  14. 【請求項14】前記センサの出力値の振れ幅が前記内燃
    機関の吸入空気量に応じて設定される所定の振れ幅未満
    であるとき、前記相関係数の算出にかかる処理を保留す
    る請求項10〜13のいずれかに記載のセンサの異常診
    断装置。
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