JP2003269788A - ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents

ヒートポンプ式給湯機

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JP2003269788A
JP2003269788A JP2002072505A JP2002072505A JP2003269788A JP 2003269788 A JP2003269788 A JP 2003269788A JP 2002072505 A JP2002072505 A JP 2002072505A JP 2002072505 A JP2002072505 A JP 2002072505A JP 2003269788 A JP2003269788 A JP 2003269788A
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storage tank
temperature
water storage
heat pump
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Application number
JP2002072505A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Iwata
博 岩田
Yukio Oyama
幸夫 大山
Takeo Ozawa
武夫 小澤
Tsuneo Takagi
恒雄 高木
Seiji Isokane
誠司 磯兼
Yasunori Yamamoto
保紀 山本
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Chugoku Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
Original Assignee
Chugoku Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貯湯槽内上部に所定の湯量を確保するようにし
て、昼間の湯切れを防止し、また、流入する湯の温度が
低い場合には高温の湯と混合しないようにして常時高温
の湯を給湯可能とするヒートポンプ給湯機を提供するこ
とにある。 【解決手段】沸き上げた湯を貯湯槽内に導入する導入管
と、この導入管の周囲に配されて導入管により流入する
湯を誘導する誘導管とを貯湯槽内の壁面より突出させて
設けると共に、前記導入管の先端部側面に湯を放出する
放出口を設け、前記誘導管は導入管の径より大きい径で
導入管の周囲に導入管と所定の空間を介して設け、この
誘導管の上端部は開放されていると共に貯湯槽上部内の
壁面と所定の距離を有して離れており、誘導管の下端部
は開放されていると共に導入管の下端部より所定の距離
を有して突出しているヒートポンプ式給湯機とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒートポンプ式給湯
機に関するもので、特に貯湯槽内に沸き上げた湯を導入
する貯湯槽の構造および湯の沸上げに係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の給湯機には貯湯槽を持たずにガス
等を燃焼させて、その強力な燃焼熱で瞬間的に水を沸き
上げて湯を供給する燃焼式給湯機や、大容量の貯湯槽を
持ち夜間割引きの安い電力を利用して、夜の間に電気ヒ
ーターで加熱した大量の湯を貯湯槽に貯湯し、昼間は貯
湯槽に貯湯した湯を使う電気温水器等があった。しか
し、最近では電気温水器に比較してエネルギー効率が数
倍も良いと云われるヒートポンプ式給湯機が普及し始め
てきている。
【0003】ヒートポンプ式給湯機は熱源に冷媒の状態
変化を利用しているので、電気ヒーターで水を直接加熱
して沸かすよりもエネルギー効率が300〜500%も
良く、またガス等を燃焼しないので空気中にCO2を排
出せず地球環境にやさしい給湯機と云われている。しか
し、燃焼式給湯機のように強力な燃焼熱で瞬間的に水を
沸き上げることができないため、電気温水器と同様に、
夜の間に夜間割引きの安い電力を利用して大量の湯を貯
湯槽に貯湯し、日中は貯湯槽に貯湯した湯を使う方法が
一般的であった。
【0004】その一つの方法として特開2001−22
1500公報が開示されている。このヒートポンプ式給
湯機では、冷媒の凝縮熱で水を温める水熱交換器を貯湯
槽の中に設けて、その周囲を対流制御ガイドで被い、水
が温められたとき比重が軽くなる現象を利用した煙突効
果で貯湯槽内全体に自然対流を起こし、貯湯槽内の湯水
を沸き上げている。しかしこの場合にも、ヒートポンプ
給湯機を運転したばかりの立ち上がり時には、ヒートポ
ンプ回路が安定していないため対流制御ガイド内の湯水
を充分に温めることができない。そのため、ヒートポン
プ給湯機の運転開始時には温度の低い湯水が貯湯槽内の
高温の湯と混合して高温の湯の温度を下げることにな
る。そのため、貯湯槽内の湯水を沸き上げるには湯水の
使用頻度の少ない夜間に、割引きで安くなる夜間電力を
利用して湯を沸き上げ、昼間はその湯を使用することに
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のヒートポンプ式
給湯機は夜間の安い電気料金を利用して、夜中にヒート
ポンプ回路を運転して湯を沸かし、貯湯槽に高温の湯を
貯え、昼間はヒートポンプ回路を運転しないで貯湯槽に
貯えている湯を使用するという使い方をしている。その
ため、時には貯湯槽の湯を使いきってしまい、昼間、湯
切れを起こすという問題があった。
【0006】ヒートポンプ給湯機は運転を開始しても機
能上、ヒートポンプ回路の圧力条件が安定するまでの数
分間は冷媒の凝縮熱を充分に得ることができないため、
温度の低い湯水を高温の湯に沸き上げることができな
い。そして、ヒートポンプ式給湯機を運転したばかりの
温度の低い湯水が貯湯槽に流入すると、貯湯槽の温度の
高い湯と混合して、高温の湯の温度を下げることにな
り、高温の湯を有効に使用することができなくなる問題
がある。また、貯湯槽内上部に確保している高温の湯が
所定の湯量より少なくなったとき、湯を補充するが、ヒ
ートポンプ回路を運転した当初は沸き上げた湯の温度が
充分に上がらず温度の低い湯が貯湯槽内に流入し、貯湯
槽内の高温の湯と流入する温度の低い湯が混合して高温
の湯の温度が下がり高温の湯を有効に活用することがで
きなくなる可能性がある。本発明はこのような従来の問
題を解決するもので、貯湯槽内上部に所定の湯量を確保
するようにして、昼間の湯切れを防止し、また、流入す
る湯の温度が低い場合には高温の湯と混合しないように
して常時高温の湯を給湯可能とすることを第1の目的と
する。
【0007】そして、貯湯槽に貯湯した高温の湯が所定
の湯量より少なくなった場合に高温の湯を所定量確保
し、且つ電気使用料金を安価にすることを第2の目的と
する。また、貯湯槽内全体の湯を高温の湯に沸き上げる
際に、電気使用料金を安価にする為に夜間電力を使用す
る場合は、夜間の早い時刻に沸き上げを完了させると貯
湯槽表面から放熱して貯湯温度を下げると共に熱の無駄
になる。この貯湯槽表面からの無駄な放熱の低減を図る
ことを第3の目的とするものである。また、貯湯槽内全
体の湯を所定の高温の湯に沸き上げる際に、沸き上げに
使用する電力を少なくすることを第4の目的とするもの
である。
【0008】さらに、電気温水器における水の動きを見
ると、貯湯槽内の温水は常に上方から取り出され、その
量に相当する水が貯湯槽下から供給され、貯湯槽内の水
は温水の使用と共に常に貯湯槽内を下から上に移動す
る。それに対して、ヒートポンプ給湯機の場合には、温
水の取り出しは貯湯槽上部でありまた給水は貯湯槽下部
からである点は電気温水器と同じであるが、沸き上げる
場合には循環ポンプで貯湯槽下部の水を水熱交換器に送
り水の温度を上げて沸き上げ、この沸き上げたお湯を貯
湯槽上部に導入する。これによって、沸き上げ前には貯
湯槽上方にあった温水は、新たに沸き上げられたお湯に
より押し下げられて貯湯槽13底部に移動する。
【0009】従って、ヒートポンプ給湯機の場合には、
水若しくは温水が常に貯湯槽内を下から上に移動する動
きになるとは限らないため、毎日のお湯(温水)使用量
がほぼ同じで且つ貯湯槽13の貯湯容量の全部を使用せ
ず残湯(残温水)が数日続く場合には、貯湯槽内の温水
の一部は貯湯槽に長期停滞する可能性が考えられ、使用
目的によっては衛生的な問題の生じる可能性がある。こ
のような問題の生じる可能性を無くし、衛生的な温水を
出湯できるようにすることが第5の目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の目的を達
成するために、圧縮機、冷媒凝縮器、減圧装置、室外側
熱交換器等を冷媒配管で接続して構成するヒートポンプ
回路と、貯湯槽、前記冷媒凝縮器と熱交換する水熱交換
器、前記貯湯槽内と前記冷媒凝縮器の水若しくは温水を
循環させる循環ポンプ等を配管で接続して構成する水循
環回路とを有するヒートポンプ式給湯機において、沸き
上げた湯を貯湯槽内に導入する導入管と、この導入管の
周囲に配されて導入管により流入する湯を誘導する誘導
管とを貯湯槽内の上部壁面より突出させて設けると共
に、前記導入管の先端部側面に湯を放出する放出口を設
け、前記誘導管は導入管の径より大きい径で導入管の周
囲に導入管と所定の空間を隔てて設け、誘導管の上端部
は貯湯槽上部内の壁面と所定の距離を有して離れてお
り、誘導管の下端部は導入管の下端部より所定の距離を
有して突出させている。
【0011】そして、本発明の第2の目的を達成するた
めに、湯を使用する頻度の多い時間帯では、貯湯槽内上
部に貯湯した高温の湯量が、所定の湯量より少なくなっ
た場合に、随時沸上げ運転をおこなって高温の湯を補充
し、貯湯槽内上部に所定の湯量を確保するとともに、湯
を使用する頻度の少ない夜間に、貯湯槽内全体の湯を所
定の貯湯温度に沸き上げている。
【0012】また、本発明の第3の目的を達成するため
に、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度に沸き上げる際
に、湯の使用量の多くなる朝に近い時間(例えば、夜か
ら朝に切り換わる時)迄に湯の沸き上げを完了させるよ
うにする。即ち、沸き上げ開始の時点で貯湯している湯
の温度と湯の量から沸き上げにかかる時間を演算し、所
定の時刻までに沸き上げを完了させるための運転開始時
刻を算出し、現在時刻がその運転開始時刻に達していな
ければ沸上げ運転を待機し、現在時刻がその運転開始時
刻に達した後、沸上げ運転を開始して所定の時刻までに
沸き上げを完了させるようにしている。
【0013】また、本発明の第4の目的を達成するため
に、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度へ沸き上げる際
に、その時点で所定の貯湯温度の湯量と、所定の貯湯温
度に達していない湯の温度と湯量を検出し、その湯の温
度が所定の中間温度以下の場合には、中間温度以下の湯
を中間温度まで沸き上げ、中間温度の湯が総て中間温度
に達した後に、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度に沸
き上げるようにしている。
【0014】さらに、本発明の第5の目的を達成するた
めに、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度へ沸き上げた
のち、貯湯槽内底部の温水が早期に使用されるように、
循環ポンプのみを運転して貯湯槽内底部の温水を貯湯槽
上方へ移動するようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について一実
施例をもとに図により説明する。図1は本発明のヒート
ポンプ式給湯機の一実施例における回路構成図、図2は
本発明の一実施例におけるエンタルピー圧力線図、図3
は2段沸上げにおけるエンタルピー圧力線図、図4は貯
湯槽の一実施例の説明図、図5は導入管および誘導管の
説明図、図6は導入管および誘導管の別な実施例の説明
図、図7は導入管から高温の湯が流入する場合の説明
図、図8は導入管から低温の湯が流入する場合の説明
図、図9は図4の導入管構成を変えた実施例の説明図、
図10は貯湯槽内の温度分布図、図11は沸上げ方式の
フローチャート、図12は季節による貯湯温度と給水温
度の関係図である。
【0016】図1において1はヒートポンプ回路、2は
圧縮機、3は凝縮する冷媒が水循環回路の水と熱交換す
る冷媒凝縮器、4は減圧装置、5は室外側熱交換器、6
は冷媒凝縮器3と減圧装置4の間を流れる冷媒と室外側
熱交換器5と圧縮機2の間を流れる冷媒の間で冷媒同士
を熱交換させる液ガス熱交換器、7はヒートポンプ回路
内を循環する冷媒が過剰状態になったときに圧縮機2が
液冷媒を吸い込まないように液冷媒の戻り量を調整して
いるSタンク、8、9は液用冷媒配管、10はガス用冷
媒配管、11は送風機である。12は水循環回路、13
は貯湯槽、14は水循環回路12の冷温水を循環させる
循環ポンプ、15は前記冷媒凝縮器3と水循環回路12
の水を熱交換させる水熱交換器、16は貯湯槽下部に貯
湯した湯水を水熱交換器15に供給する供給管、17は
水熱交換器15で沸き上がった湯を貯湯槽13に導く温
水管、18は貯湯槽13内に設けた導入管、19は誘導
管、20は給水管、21は給湯管、22は使用端末であ
る。
【0017】図1の構成において、気体状の冷媒は圧縮
機2で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒として冷媒
凝縮器3に送り出される。冷媒凝縮器3で高温高圧の気
体状の冷媒は、水循環回路12の循環ポンプ14で供給
管16を通して供給されてくる貯湯槽13下部の温度の
低い湯水を加熱して温め、冷媒自身は熱を奪われて温度
の下がった高圧の液状冷媒になって冷媒凝縮器3を出て
くる。
【0018】そして、冷媒凝縮器3を出てきた高圧の液
状冷媒は液ガス熱交換器6に送り込まれる。液ガス熱交
換器6で高圧のまだ温度の高い液状冷媒は、室外側熱交
換器5から出て圧縮機2に戻る低温の気体状冷媒と熱交
換して、圧縮機2に戻る低温の気体状冷媒を加熱して温
度を上げ、自らは熱を奪われて温度が下がった液状冷媒
として減圧装置4に入る。
【0019】減圧装置4で圧力を下げられて蒸発し易い
状態になった液状冷媒は室外側熱交換器5に入る。室外
側熱交換器5では圧力が低く蒸発し易い状態の液状冷媒
は、送風機11で送られてくる外気から熱を吸収して蒸
発し、低温の気体状冷媒に変化して室外側熱交換器5を
出てくる。そして先に説明した液ガス熱交換器6に入
り、冷媒凝縮器3から出てきた高圧のまだ充分に温度の
高い液状冷媒によって温められて、加熱気味の気体状冷
媒となって液ガス熱交換器6から出てくる。液ガス熱交
換器6で温められた分、加熱気味の気体状冷媒としてS
タンク7を通り、圧縮機2に戻ることになる。
【0020】本実施例のヒートポンプ回路1では液ガス
熱交換器6を用いてヒートポンプ運転時の成績係数の向
上を図っているが、液ガス熱交換器6を使用しないで冷
媒凝縮器3から出た冷媒を直接減圧装置4に送り込み、
室外側蒸発器5から出た冷媒を直接Sタンク7を通して
圧縮機2に戻す、液ガス熱交換器6を採用しない一般的
なヒートポンプ回路においても、本発明によるヒートポ
ンプ給湯機の貯湯槽の構造、および湯の沸上げ方式を適
用できることは云うまでもない。
【0021】先に説明したように本実施例のヒートポン
プ回路1では液ガス熱交換器6を採用しているので、ヒ
ートポンプ回路運転時のエンタルピー圧力線図は図2の
実線のようになる。図2の破線は液ガス熱交換器6を組
み込まない場合のエンタルピー圧力線図である。
【0022】すなわち、液ガス熱交換器6での熱の移動
は、ヒートポンプ回路内の閉ざされた系における冷媒同
士の熱交換なので、ヒートポンプ回路外部との熱の出入
りがないため△h1+△h2=0となり、したがって−
△h1=△h2となる。熱量△h1と熱量△h2とは同
一量の熱量であって、熱を放出するか、吸収するかの方
向のみが異なることになる。すなわち、冷媒凝縮器3を
出た液状冷媒は△h1に相当する熱を奪われて温度を下
げ、一方、室外側熱交換器5を出たガス状冷媒は△h2
に相当する熱を吸収して、加熱気味の気体状冷媒とな
る。そして圧縮機2に入り、圧縮機2で断熱的に圧縮さ
れるので、液ガス熱交換器6で加熱された△h2に相当
する分温度の高い高圧の気体状の冷媒として圧縮機2か
ら吐出される。
【0023】液ガス熱交換器6を組み込まない破線のヒ
ートポンプ回路に対し、液ガス熱交換器6を組み込むこ
とにより圧縮機2出口の吐出ガス温度をT1からT2に
高くすることができ吐出ガスの過熱域を有効に利用でき
るため、貯湯槽13に貯湯する湯の温度をより高くする
ことができるようになる。さらに、液ガス熱交換器6を
組み込んだことにより、吐出ガスの過熱域を有効に利用
できるため実線のように圧力比が小さくなりヒートポン
プ回路1の効率を表す成績係数COPが向上し、したが
って、電力消費量の少ない、しかも高温の湯を得ること
のできる効率の良いヒートポンプ式給湯機を得ることが
できる。
【0024】本実施例のヒートポンプ式給湯機では貯湯
槽13の湯水を沸き上げるとき、貯湯している湯の温度
と湯量により沸上げ方式を切り換え、沸き上げに使用す
る電力の削減を図って省電力運転を行なっている。すな
わち、貯湯槽13内に給水管20で給水された温度の低
い湯水が多い場合は、大電力を使って一度に目標とする
貯湯温度に沸き上げるのでなく、図3により説明したよ
うに一旦暫定的な中間温度に沸き上げて、その後、目標
の貯湯温度に沸き上げる2段沸上げ方式を採用してい
る。2段階に分けて沸き上げることにより、沸き上げる
時間を短縮するとともに、省電力運転を行っている。
【0025】また、使用端末22で使用する湯の温度は
約40℃の湯を得ることができれば、夏冬ともに実用上
支障がない。そして、本実施例では夏冬ともに貯湯槽1
3に貯湯した高温の湯と給水管20から給水される水道
水を混合して使用するものとし、図12に示すように夏
期の水道水25℃に対し貯湯槽13の貯湯温度を60℃
に、冬期の水道水10℃に対し貯湯槽13の貯湯温度を
70℃に設定している。季節に応じて、あるいは給水さ
れる水道水の温度に応じて貯湯槽13の貯湯温度を管理
することにより、貯湯槽13の表面から無駄な放射熱と
して放射される熱量を減らし、貯湯している湯温の低減
を防ぐことができる。
【0026】また、貯湯槽13に貯湯している高温の湯
と給水管20から給水される水道水を混合して使用する
ことにより、貯湯槽13に貯湯している湯量の2倍の量
を40℃の湯として使用端末22で使用することができ
る。そして、夏冬における水道水との混合比を変えるた
り、貯湯槽13の貯湯温度を低く設定することにより、
貯湯槽13の表面からの無駄な放熱を低減し、また、沸
き上げ時間を短縮することができ、より経済的なヒート
ポンプ式給湯機として稼動させることができる。本実施
例では冬期の条件である貯湯温度を70℃に、中間温度
を45℃に設定しているが、先に説明したように、これ
らの設定条件はそれぞれのヒートポンプ給湯機において
自由に設定することになる。
【0027】図3において、実線は所定の貯湯温度70
℃に沸き上げる(a)モード運転を示し、破線は中間温
度45℃に沸き上げる(b)モード運転を示している。
(a)モード運転は貯湯槽13内の湯水が中間温度に達
している場合に行なう運転モードで、(b)モード運転
で沸き上げられた45℃の湯水を1L/分で循環して7
0℃の湯水に沸き上げる運転モードである。(b)モー
ド運転は貯湯槽13内の湯水の温度が中間温度の45℃
に達していない場合に行なう運転モードで、貯湯槽13
内の湯水を(a)モード運転の2倍の2L/分で循環し
て、急速に中間温度の45℃の温水に沸き上げる運転モ
ードである。図3に示すように(b)モード運転の場
合、圧縮機2の仕事量はBとなり、(a)モード運転の
場合のAより少なく、また、先に説明したように湯水の
循環量も2倍になるため、ヒートポンプ回路1の成績係
数COPが向上し省電力運転ができるとともに、循環量
も多いためより速く湯水を沸き上げることができるよう
になる。なお、先に説明した湯の温度や湯の循環量は本
実施例で採用した値であって、それぞれのヒートポンプ
給湯機の構成要素、あるいは貯湯槽の容量、水循環量等
の要素により、それぞれの最適値を選定することにな
る。
【0028】ヒートポンプ式給湯機の湯水の供給は図1
の水循環回路12に示すようにして行なわれる。すなわ
ち給水管20から供給された水道水は、一度貯湯槽13
の底部から貯湯槽13に入ることにより貯湯槽13内の
上部に溜まっている湯水に圧力をかけ、使用端末22が
使われたときに給湯管21を通して使用端末22へ湯水
を送り出すための圧力の一部として利用されている。貯
湯槽13に流入した水道水は、貯湯槽13内で温度の下
がった湯水とともに循環ポンプ14で水熱交換機15に
送り込まれる。水熱交換機15では冷媒凝縮器3を流れ
る冷媒の流れに対して、対向して流れる対向流で湯水を
流しているので、より高い熱交換効率で沸き上げられて
ゆく。図3に示すように冷媒凝縮器3の下流および中間
領域で65℃まで沸き上げられた湯水は、冷媒凝縮器3
の入口部でより高温のガス状冷媒で更に沸き上げられ、
70℃の湯となって水熱交換機15を出てくることにな
る。
【0029】先にも説明したように水熱交換機15で加
熱されて70℃になった湯は貯湯槽13の上部から導入
管18を通して貯湯槽13に流入して、貯湯槽13の上
部に高温の湯として貯えられる。使用端末22の蛇口が
開けられると貯湯槽13内上部の高温の湯は下部から入
った水道水の圧力と循環ポンプ14の運転による動圧力
で、給湯管21を通して使用端末22へ供給されること
になる。
【0030】また、貯湯槽13の中で水道水と熱交換し
たり、貯湯槽13の表面から放熱したりして温度の下が
った貯湯槽内の湯は比重が重くなるので貯湯槽13の中
を自然に下がってゆき、貯湯槽13の下側から流入して
きた水道水と混合して、循環ポンプ14で水道水ととも
に供給管16を通って水熱交換機15に送り出され、再
び沸き上げられ高温の湯となって貯湯槽13の上部に貯
えられることになる。したがって、貯湯槽内の上部には
絶えず温度の高い湯が貯えられ、下部には温度の低い湯
が貯えられていることになる。
【0031】次に貯湯槽13の構造および沸き上げた湯
を導入する導入管18および誘導管19の詳細の構造に
ついて説明する。
【0032】貯湯槽13には図4に示すように貯湯槽1
3内の一定容量を示す位置に温度センサーが設けられて
いる。上部より湯量が約50Lの位置に温度センサーS
1、湯量が約100Lの位置に温度センサーS2、湯量
が約150Lの位置に温度センサーS3、湯量が約20
0Lの位置に温度センサーS4、湯量が約250Lの位
置に温度センサーS5がそれぞれ設けられている。そし
て、導入管18および誘導管19が貯湯槽13の天井部
のほぼ中央部に、貯湯槽13内に所定の長さを突出して
設けられていて、その詳細は図5のようになっている。
【0033】すなわち、導入管18の先端部18bは水
熱交換器15で沸き上げられた湯がそのまま下方に流れ
ない様に閉じられていて、また先端部の側面には沸き上
げられた湯を側面に放出する放出口18aが複数個設け
られている。また、導入管18の周囲には導入管18と
所定の空間を有して導入管18より径の大きい誘導管1
9が設けられている。誘導管19の上端部は貯湯槽13
の天井面と所定の間隔を有して離れており、誘導管19
の下端部は導入管18の下端部より所定の長さを有して
突出している。そして、誘導管19の下端部は貯湯槽1
3の貯湯湯量約100Lの位置にある温度センサーS2
とほぼ同一高さになっている。誘導管19への導入管1
8の挿入寸法L1、L2の関係等は貯湯槽13に常時確
保する湯の量、沸き上げるときの循環ポンプ14の循環
量、導入管18の径や誘導管19の径等の設定が変るこ
とにより変ってくる。
【0034】図7に示すように、誘導管19の上端部の
圧力をP1、誘導管19の下端部の圧力をP2とする
と、P2はP1+(L1+L2に相当する湯圧)を受け
ることになる。導入管18から湯水が導入していない場
合には、誘導管19内のそれぞれの圧力に相当する圧力
をP1’、P2’とすると、貯湯槽13内のそれぞれの
圧力P1、P2は同一となり、湯水は静止している。
【0035】この状態で(a)モード運転を行ない、水
熱交換器15により70℃に沸き上げられた湯が導入管
18の先端部18aおよび放出口18bから誘導管19
の内部に流入すると、沸き上げられたばかりの湯は誘導
管19内を満たすことになる。誘導管19内の湯は貯湯
槽13に貯湯されている湯より温度が高く、比重が軽い
ため、誘導管19内の(L1+L2に相当する湯圧)は
貯湯槽13内の(L1+L2に相当する湯圧)より小さ
くなる。したがって、圧力P2’は圧力P2より小さく
なり、その圧力差△P2=P2’−P2は負圧になるの
で、導入管18から誘導管19内に流入した湯水は圧力
差△P2で、誘導管19の上部に向って押し上げられ、
70℃に沸き上げられた高温の湯は誘導管19の上端部
より貯湯槽13の天井面に沿って流出し、貯湯槽13内
の天井部に高温の湯として貯えられてゆく。
【0036】また、先にも説明したように、(a)モー
ド運転では湯水の循環量を1L/分と少なくしているた
め、70℃に沸き上げられた湯水は貯湯槽13内に貯湯
されている湯面を撹乱することなく、天井部より静かに
貯えられてゆく。その結果、貯湯槽13内の高温の湯
は、境界面をあまり乱すことなく高さ方向に対する温度
変化の少ない温度分布を示すことになる。この様子を図
10に示すと(a)から時間の経過と共に(b)に示す
ように低温の湯面を静かに押し下げていく。
【0037】次に、中間沸き上げの(b)モード運転の
場合は、水熱交換器15で沸き上げられた湯の温度は中
間温度の45℃なので、導入管18の先端部18aおよ
び放出口18bから誘導管19の内部に流入すると、貯
湯槽13内の上部に貯湯されている70℃の湯より温度
が低く、比重が重いため、誘導管19内の(L1+L2
に相当する湯圧)は貯湯槽13内の(L1+L2に相当
する湯圧)より大きくなり、圧力P2’は圧力P2より
大きくなる。その圧力差△P2=P2’−P2は正圧に
なるので、導入管18から誘導管19内に流入した湯水
は圧力差△P2で、図8に示すように誘導管19の下端
部より貯湯槽13内に流入することになる。
【0038】しかし誘導管19の下端部は、貯湯槽13
に70℃の湯として貯えている100Lの湯の下部面に
相当しているため、70℃の湯と混合することなく、7
0℃の湯の下側に流入して、貯湯槽13の下部の湯温を
中間温度に沸き上げてゆく。このように(b)モード運
転で低温の湯水を中間温度の45℃に沸き上げる場合
は、45℃の温水が70℃の湯として貯えている100
Lの湯の下部面に流入するため、図10の(c)に示す
ようにのように低温部の湯水の温度が上昇し、時間の経
過と共に図10の(d)に示すようにタンク下まで中間
温度の45℃に沸き上がる。その後、(a)モード運転
に切り換わると、貯湯槽内の総ての湯が70℃に沸き上
げられることになる。
【0039】したがって、ヒートポンプ給湯機を(b)
モード運転で運転している場合でも貯湯槽13の上部に
は70℃の湯を100L貯湯しているので、使用端末2
2で湯水が使われても、貯湯槽13の上部に70℃で貯
湯している100Lの湯の一部を直ぐ使用端末22に給
湯することができる。
【0040】本発明では、ヒートポンプ給湯機の運転を
開始した当初の充分に沸き上がっていない温度の低い湯
水は比重が重いので貯湯槽13の下部に流入し、充分に
沸き上がって温度が高くなった湯は比重が軽くなるので
貯湯槽13の上部に流入することになる。そして、誘導
管19の下端部を常時確保しようとする貯湯量の下部面
より下にすることにより、所定量の高温の湯を常時確保
することができるようになる。
【0041】なお、本発明では導入管18と誘導管19
を使用し、沸き上げた湯水の温度による比重差を利用し
て高温の湯は貯湯槽13の上部に、低温の湯は貯湯槽1
3の下部に切り換えて導入している。しかし、図6のよ
うに誘導管19の下端部に蓋19aを設けて、貯湯槽1
3に湯を供給する供給管16の温度から湯温を検出し
て、湯温の低い湯の場合には蓋19aを(c)の位置に
開放して、温度の低い湯を貯湯槽13の下方に流入さ
せ、温度が高い湯の場合には蓋19aを(b)の位置で
閉鎖して、温度の高い湯を貯湯槽13の上方に流入させ
ることにより、図5と同様の効果を得ることができる。
【0042】また、単純な方法としては図9に図示の実
施例の様に、二つの導入管17a,17bを設け、その
上流に弁23a,23bをそれぞれ設け、入ってくる温
水の温度が貯湯槽13上部の温水の温度よりも高い場合
には弁23bを開,弁23aを閉にし、入ってくる温水
の温度が貯湯槽13上部の温水の温度よりも低い場合に
は弁23aを開,弁23bを閉にして、温水を貯湯槽1
3内に入れることにより同様の効果が得られる。
【0043】次に沸き上げ運転の方式についての図11
のフローチャートで説明する。最初にヒートポンプ給湯
機の貯湯槽13に給水管20を通して水道水を満たし、
ST1で貯湯槽13に貯湯する湯の貯湯温度を設定す
る。貯湯温度の設定方法として、給水管20から給水す
る水の温度を測定し、ヒートポンプ給湯機に内蔵したタ
イマー等により季節条件を加味して自動的に貯湯温度を
設定する方法や、手動により貯湯温度を設定する方法、
また、その両方をとり込んだ方法等が考えられる。本実
施例では、冬期の貯湯温度は70℃に、夏期の貯湯温度
は60℃に設定していて、本フローチャートでは貯湯温
度に冬期の70℃を使用し、中間温度は45℃に設定し
ている。
【0044】貯湯温度が設定されるとST2で温度セン
サーS1の温度をチェックする。温度センサーS1が7
0℃に達していない場合にはNに分岐し、ヒートポンプ
給湯機の電源をオンにし、ヒートポンプ回路を(a)モ
ードで運転する。そして、ST11でインターバルタイ
マーを作動させて、本実施例では1分間の間隔をおい
て、再びST2で温度センサーS1の温度をチェックす
る。温度センサーS1の温度が70℃以上になるまで
(a)モードで運転を継続しながら、この経路を1分ご
とに繰り返す。
【0045】そして、温度センサーS1の温度が70℃
以上になるとST3に分岐し、温度センサーS2の温度
をチェックする。温度センサーS2が70℃に達してい
ない場合にはNに分岐し、ヒートポンプ回路は(a)モ
ードで運転を継続したまま、ST11でインターバルタ
イマーを作動させ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰
り返す。やがて、温度センサーS2の温度が70℃以上
になるとST4に分岐し、内蔵している24時間タイマ
ーにより昼夜判定を行なう。
【0046】本実施例の場合には、使用端末22で比較
的頻繁に湯水を使用する時間帯を昼と設定しているの
で、午前5時から午後11時までを昼とし、午後11時
から午前5時までを夜と規定している。また、電力料金
の安い時間帯を夜として取り込み、その価格の安い電力
で貯湯槽13内の湯を総て高温の湯に沸き上げるように
工夫している。すなわち昼間は、夜間の価格の安い電力
で貯湯槽13に沸き上げた湯を利用しているが、湯の使
用量が多く貯湯槽13の湯が50Lより少なくなった場
合には、昼間でも(a)モードでヒートポンプ給湯機を
運転して高温の湯を補充し、常に貯湯槽13内の上部に
は貯湯温度70℃に達した湯を50〜100L確保し、
湯切れを防止している。
【0047】そして、夜間に価格の安い電力で貯湯槽1
3内の湯を沸き上げる場合にも、昼に切り換わる午前5
時に貯湯槽13内の湯水が総て貯湯温度70℃に沸き上
がるようにして、使用端末22であまり使用しない時間
帯に高温の湯を貯湯し、貯湯槽13の表面から放射する
無駄な放熱量を低減している。
【0048】したがって、ST4で昼とチェックされた
場合には昼に分岐し、ヒートポンプ回路1の運転を停止
させ、ST11でインターバルタイマーを作動させ、1
分間の間隔をおいてこの経路を繰り返すことになる。そ
して、貯湯槽13の湯が使用端末22で使用されると貯
湯温度70℃に加熱された湯の量が少なくなり、給水管
20から水道水が貯湯槽13の底部から供給されるの
で、温度の低い湯面が上昇してきて温度センサーS2の
温度が70℃より下がると、ST3でN方向に分岐す
る。しかしこの場合、ヒートポンプ回路1の運転は停止
しているので停止したまま、ST11でインターバルタ
イマーを作動させ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰
り返す。
【0049】さらに温度の低い湯面が上昇してきて温度
センサーS1の温度が70℃より下がると、ST2でN
に分岐してヒートポンプ回路1を(a)モードで運転さ
せる。そして、温度センサーS1の温度が70℃以上に
なり、さらに温度センサーS2の温度が70℃以上にな
ると、昼夜判定で昼に分岐し、ヒートポンプ回路1の運
転を停止させる。昼の場合はこの経路を繰り返し、貯湯
槽13内の上部に貯湯温度70℃の湯を50〜100L
確保し、この湯を使用端末22の給湯に使用している。
このように、貯湯温度70℃の湯が50Lより少なくな
ると、昼間でもヒートポンプ給湯機を運転して70℃の
湯を補充し、常時100Lの湯を確保しているので湯切
れを起こすことがない。
【0050】貯湯槽13内の上部に貯湯温度70℃の湯
を50〜100L確保し、この湯を使用端末22の給湯
に使用することは、夜の場合も同様である。しかし夜の
場合には、浴槽の給湯等のように大量の湯を使う場合に
備えて、価格の安い夜間電力を使用して貯湯槽13内の
湯水を総て貯湯温度70℃の湯に沸き上げている。その
際、早く沸き上げて貯湯すると貯湯槽13の表面から放
射する無駄な放射熱として熱が逃げ、貯湯槽13内の湯
温を下げることになるので、湯水の使用頻度が多くなる
昼に切り換わる午前5時に、沸き上げが完了するように
ヒートポンプ回路1の運転時刻を調整している。
【0051】ST4で夜と判定されると夜に分岐し、S
T5で温度センサーS5の温度がチェックされる。温度
センサーS5の温度が70℃以上ならば貯湯槽13内の
湯は総べて貯湯温度に達していることになるので、Yに
分岐しヒートポンプ回路の運転を停止させる。既にヒー
トポンプ回路の運転が停止している場合はそのまま停止
を継続し、ST11でインターバルタイマーを作動さ
せ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰り返す。
【0052】ST5で温度センサーS5の温度が70℃
に達しない場合にはST6に分岐し、今度は温度センサ
ーS5の温度が中間温度の45℃に達しているかチェッ
クする。温度センサーS5の温度が45℃に達していな
い場合にはST7に分岐し、温度センサーS3、S4の
温度を参考にして貯湯槽13内の湯水を一旦中間温度の
45℃に沸き上げ、その後総ての湯を貯湯温度に沸き上
げるまでにかかる沸上げ完了時間を計算し、午前5時ま
でに沸き上げるには何時にヒートポンプ回路1を運転さ
せれば良いか計算し、沸上げ開始時刻Tbaを算出する。
【0053】そして、ST8で現在時刻Tcと沸上げ開
始時刻Tbaを比較し、現在時刻Tcが沸上げ開始時刻Tb
aの前ならばNに分岐し、ヒートポンプ回路の運転を停
止させて、ST11でインターバルタイマーを作動さ
せ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰り返す。やが
て、現在時刻Tcが沸上げ開始時刻Tbaに達すると、ヒ
ートポンプ回路1を(b)モードで運転させ、ST11
でインターバルタイマーを作動させ、1分間の間隔をお
いてこの経路を繰り返す。
【0054】貯湯槽13内の湯水の温度が上昇し、セン
サーS5の温度が45℃に達するとST6の分岐はST
9に切り換わり、45℃に達した貯湯槽13内の湯水を
総て貯湯温度70℃に沸き上げるまでにかかる沸上げ完
了時間を計算し、午前5時までに沸き上げるには何時に
ヒートポンプ回路1を運転させれば良いか計算し、沸上
げ開始時刻Taを算出する。そして、ST10で現在時
刻Tcと沸上げ開始時刻Taを比較し、現在時刻Tcが沸
上げ開始時刻Taの前ならばNに分岐し、ヒートポンプ
回路の運転を停止して、ST11でインターバルタイマ
ーを作動させ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰り返
す。
【0055】しかし、45℃以下の湯水を45℃に沸か
して直ぐST9に分岐した場合は、既にST7で計算し
た沸上げ開始時刻Tbaのなかに(b)モードで運転後、
直ちに(a)モードで運転を開始するように計算されて
いるので、現在時刻Tcは沸上げ開始時刻Taと一致して
おり、ST10でYに分岐すると直ぐヒートポンプ回路
1の運転を(a)モードに切り換え、ST11でインタ
ーバルタイマーを作動させ、1分間の間隔をおいてこの
経路を繰り返す。
【0056】やがて、温度センサーS5の温度が70℃
以上になるとST5でYに分岐して、ヒートポンプ回路
の運転を停止させ、ST11でインターバルタイマーを
作動させ、1分間の間隔をおいてこの経路を繰り返すこ
とになる。本実施例ではST11のインターバルタイマ
ーの間隔を1分に設定したが、この間隔時間を短くする
と、より細かく貯湯槽13内の湯水の温度管理をするこ
とができ、万が一の給湯時の湯切れを防止することがで
きるようになる。
【0057】本実施例のヒートポンプ給湯機では湯水の
使用量が多く、夜間に貯湯した貯湯温度の湯水が50L
より少なくなると、時間帯に関係なく貯湯槽13の上部
に貯湯温度70℃に沸き上げた湯を所定量として100
L確保するようになっている。すなわち、大きな貯湯槽
13の上部を部分的に使用して、100Lの貯湯槽とし
て貯湯温度70℃の湯を所定量として100L常時確保
していることになる。
【0058】なお、室外側熱交換器5に霜が付着した場
合には、本実施例では水熱交換器15で水循環回路12
の水を加熱して温度は下がっているが、まだ40℃に近
い温度を有する冷媒凝縮器3を出た液状冷媒を、減圧装
置4を開放して減圧装置4で減圧することなく、そのま
ま霜の付着した室外側熱交換器5に供給することによ
り、室外側熱交換器5に付着した霜を除去している。な
お、除霜運転時には室外側熱交換器5を急速に温めて除
霜するので外気を送り込む送風機11の運転は一時停止
することになる。
【0059】また、減圧装置4を開放することにより圧
縮機2に戻る液状冷媒の量が増えることになり、圧縮機
2が液状冷媒を吸い込んで液圧縮により圧力が高くなり
過ぎ、圧縮機2自信を破損することがある。それを避け
るため内部の空間容量の大きいSタンク7を設け、除霜
運転時に余る液冷媒をSタンク7に貯留して、圧縮機2
には気体状の冷媒だけが流れるようにしている。
【0060】最後に、他の実施例を説明するに当たり、
図13(a)(b)及び図14(a)を用いて、温水の
沸き上げ、出湯、給水の関係を最初に説明する。図13
(a)は全量沸き上げられた貯湯槽の状態、図13
(b)はお湯使用時の貯湯槽の状態、図14(a)は再
度沸き上げられた貯湯槽の状態を示す。
【0061】夜間に貯湯槽内は図13(a)に示すよう
に全量沸き上げられ、その後、給湯管21から出湯され
ると図13(b)に示すように給水管20から水が給水
され、貯湯槽内の水24は温水23を押し上げる。この
状態の時、次の日の沸き上げ運転が開始されると、貯湯
槽内の水24は循環ポンプ14により供給管16から吸
引され、水熱交換器15を通り加熱され貯湯槽上部に移
動する。従って、次の日に沸き上がった状態は、図14
(a)に示すように水熱交換器15で新たに沸き上げら
れたお湯25が湯水管17を通して貯湯槽13内の上部
に導かれる。これによって、沸き上げ前には貯湯槽上方
(図13(b))にあった温水23が新たに沸き上げら
れたお湯25により押し下げられて貯湯槽13底部に移
動する。従って、毎日のお湯使用量がほぼ同じで且つ貯
湯槽13の貯湯容量の全部を使用せず残湯が数日続く場
合には、貯湯槽13下部の温水23は長期間貯湯槽13
内に滞留することになり、使用目的によっては衛生的な
問題が発生する虞がある。従って、この問題を解決する
ために、図14(a)の状態に沸き上げた後、ヒートポ
ンプサイクルの運転は停止し、図14(b)に示すよう
に循環ポンプ14のみを運転し温水23を貯湯槽上部に
移動させる。この制御におけるフローチャートを図15
に示す。図13(b)の状態から貯湯槽下方の水24を
沸き上げる時、貯湯槽上方の温水23の残湯量を記憶す
る(ST21)。その後、沸き上げ運転を行ない、図1
4(a)の状態に沸き上げた時ヒートポンプサイクルの
運転は停止し(ST22)、循環ポンプ14のみを運転
して温水23を供給管16及び湯水管17を通して図1
4(b)に示すように貯湯槽13上部に移動させる(S
T23)。循環ポンプ14のみを運転する時間の演算
は、上記記憶した残湯量をポンプ流量で除することによ
り演算される(ST24)。演算された時間だけ循環ポ
ンプ14のみを運転することにより(ST25・2
6)、図14(a)の貯湯槽下部にある温水23は図1
4(b)に示すように貯湯槽13上部に移動される。従
って、温水23は毎日の最初に出湯されるため、貯湯槽
内に滞留することはなく、衛生的な給湯が可能になる。
【0062】なお、図13(b)の状態から貯湯槽13
下方の水24を沸き上げる場合、先に2段階沸き上げの
実施例を示したが、温水の一部を貯湯槽13内に停滞す
ることなく、衛生的な給湯を可能にする上記制御は、給
水温度の水を1回で70℃に沸き上げる1段階沸き上げ
の場合も同様の効果がある。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
のような効果が期待される。 1.沸き上げた湯を貯湯槽に供給する導入管と誘導管を
貯湯槽の上部壁面より貯湯槽内部に突出させたことによ
り、貯湯槽の上部に所定の湯量を常時貯湯することによ
り、昼間の湯切れを防止することができ、貯湯槽に流入
する温度の低い湯は貯湯槽の下側に、温度の高い湯は貯
湯槽の上部に誘導しているので、貯湯槽内の高温の湯と
低温の湯が混合することがなく、高温の湯を有効に活用
して常時高温の湯を給湯可能とすることができる。 2.貯湯槽上部に確保している高温の湯が所定量より少
なくなった場合には、時間帯に関係なく沸上げ運転をお
こなって湯量を確保し、湯を使用する頻度の少ない夜間
に、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度に沸き上げてい
るので、湯切れのない、安価な夜間電力を利用した電気
料金が安価で経済的なヒートポンプ給湯機を提供するこ
とができる。 3.そして、安価な夜間電力を利用して貯湯槽内全体の
湯を所定の貯湯温度に沸き上げる際にも、湯の使用量の
多くなる所定時刻(例えば朝)に沸き上げを完了させ、
使用量の少ない時間帯における貯湯槽表面からの無駄な
放熱を低減し、電力の使用料金を少なくしている。 4.また、貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度へ沸き上
げる際に、その時点で貯湯槽内の湯温の低い部分が中間
温度に達していない場合には、一旦中間温度までに沸き
上げ、中間温度に達した後に貯湯槽内の全体の湯を所定
の貯湯温度に沸き上げることにより、沸き上げに使用す
る電力を少なくしている。 5.貯湯槽下方の水を沸き上げる時、貯湯槽上方の温水
の残湯量を記憶し、沸き上げ終了後、循環ポンプのみを
運転し、沸き上げ終了までに新たに沸き上げられたお湯
によって貯湯槽上方から貯湯槽底部に押し下げられた上
記残湯量に相当する温水を貯湯槽上方に移動させること
により、温水は貯湯槽内に停滞することはなく、衛生的
な給湯が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートポンプ給湯機の一実施例におけ
る回路構成図。
【図2】本発明の一実施例におけるエントロピー圧力線
図。
【図3】2段沸上げ方式におけるエントロピー圧力線
図。
【図4】貯湯槽の一実施例の説明図。
【図5】導入管および誘導管の説明図。
【図6】導入管および誘導管の別な実施例の説明図。
【図7】導入管から高温の湯が流入する場合の説明図。
【図8】導入管から低温の湯が流入する場合の説明図。
【図9】図4の導入管構成を変えた実施例の説明図。
【図10】貯湯槽内の温度分布図。
【図11】沸上げ方式のフローチャート。
【図12】季節による貯湯温度と給水温度の関係図。
【図13】(a)全量沸き上げられた貯湯槽の状態、
(b)出湯時の貯湯槽の状態を示す図。
【図14】(a)再度沸き上げられた貯湯槽の状態、
(b)沸き上げ終了後お湯を循環させた貯湯槽の状態を
示す図。
【図15】お湯循環制御のフローチャート。
【符号の説明】
1…ヒートポンプ回路 2…圧縮機 3…冷媒凝縮器 4…減圧装置 5…室外側熱交換器 6…液ガス熱交換器 7…Sタンク 8…液用冷媒配管 9…液用冷媒配管 10…ガス用冷媒配
管 11…送風機 12…水循環回路 13…貯湯槽 14…循環ポンプ 15…水熱交換器 16…供給管 17…湯水管 18…導入管 19…誘導管 20…給水管 21…給湯管 22…使用端末 23…貯湯槽の温水 24…給水された新
鮮な水 25…新たに沸き上げられた新鮮なお湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大山 幸夫 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 小澤 武夫 栃木県下都賀郡大平町大字富田709番地の 2 株式会社日立栃木エレクトロニクス内 (72)発明者 高木 恒雄 広島県東広島市鏡山3丁目9番1号 中国 電力株式会社内 (72)発明者 磯兼 誠司 広島県東広島市鏡山3丁目9番1号 中国 電力株式会社内 (72)発明者 山本 保紀 広島県東広島市鏡山3丁目9番1号 中国 電力株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機、冷媒凝縮器、減圧装置、室外側
    熱交換器等を冷媒配管で接続して構成するヒートポンプ
    回路と、貯湯槽、前記冷媒凝縮器と熱交換する水熱交換
    器、前記貯湯槽内と前記冷媒凝縮器の水若しくは温水を
    循環させる循環ポンプ等を配管で接続して構成する水循
    環回路とを有するヒートポンプ式給湯機において、沸き
    上げた湯を上記貯湯槽内に導入する導入管と、この導入
    管の周囲に配されて導入管により流入する湯を誘導する
    誘導管とを貯湯槽内の上部壁面より突出させて設けると
    共に、前記導入管の先端部側面に湯を放出する放出口を
    設け、前記誘導管は導入管の径より大きい径で導入管の
    周囲に導入管と所定の空間を隔てて設け、前記導入管の
    先端部側面に湯を放出する放出口を設け、前記誘導管は
    導入管の径より大きい径で導入管の周囲に導入管と所定
    の空間を隔てて設け、この誘導管の上端部は開放されて
    いると共に貯湯槽上部内の壁面と所定の距離を有して離
    れており、誘導管の下端部は開放されていると共に導入
    管の下端部より所定の距離を有して突出していることを
    特徴とするヒートポンプ式給湯機。
  2. 【請求項2】 湯を使用する頻度の多い時間帯では、貯
    湯槽内上部に貯湯した高温の湯量が所定の湯量より少な
    くなった場合に、随時沸上げ運転をおこなって高温の湯
    を補充し、貯湯槽内上部に所定の湯量を確保するととも
    に、湯を使用する頻度の少ない夜間に、貯湯槽内全体の
    湯を所定の貯湯温度に沸き上げることを特徴とする請求
    項1記載のヒートポンプ式給湯機。
  3. 【請求項3】 貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度に沸
    き上げる際に、その時点で貯湯している湯の温度と湯の
    量から沸き上げにかかる時間を演算し、所定の時刻まで
    に沸き上げを完了させるための運転開始時刻を算出し、
    現在時刻がその運転開始時刻に達していなければ沸上げ
    運転を待機し、現在時刻がその運転開始時刻に達した
    後、沸上げ運転を開始して所定の時刻までに沸き上げを
    完了させるようにしたことを特徴とする請求項1または
    2記載のヒートポンプ式給湯機。
  4. 【請求項4】 貯湯槽内全体の湯を所定の貯湯温度へ沸
    き上げる際に、その時点で所定の貯湯温度の湯量と、所
    定の貯湯温度に達していない湯の温度と湯量を検出し、
    その湯の温度が所定の中間温度以下の場合には、中間温
    度以下の湯を中間温度まで沸き上げ、中間温度の湯が総
    て中間温度に達した後に、貯湯槽内全体の湯を所定の貯
    湯温度に沸き上げることを特徴とする請求項1または2
    記載のヒートポンプ式給湯機。
  5. 【請求項5】 圧縮機、冷媒凝縮器、減圧装置、室外側
    熱交換器等を冷媒配管で接続して構成するヒートポンプ
    回路と、貯湯槽、前記冷媒凝縮器と熱交換する水熱交換
    器、前記貯湯槽内と前記冷媒凝縮器の水若しくは温水を
    循環させる循環ポンプ等を配管で接続して構成する水循
    環回路とを有するヒートポンプ式給湯機において、貯湯
    槽内の水を沸き上げた後、ヒートポンプサイクルの運転
    は停止し、循環ポンプのみを運転し貯湯槽内底部の温水
    を貯湯槽上部に移動させることを特徴とするヒートポン
    プ式給湯機。
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