JP2003269579A - 動力伝達装置及びロボット装置 - Google Patents

動力伝達装置及びロボット装置

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JP2003269579A
JP2003269579A JP2002073769A JP2002073769A JP2003269579A JP 2003269579 A JP2003269579 A JP 2003269579A JP 2002073769 A JP2002073769 A JP 2002073769A JP 2002073769 A JP2002073769 A JP 2002073769A JP 2003269579 A JP2003269579 A JP 2003269579A
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neck
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robot apparatus
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JP2002073769A
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Masaki Nagatsuka
正樹 永塚
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不要なバックラッシュを効率よく取り除く。 【解決手段】 ロボット装置1の頸部駆動機構222に
おいて、駆動側主歯車244と、この主歯車244より
も内径が小である駆動側副歯車245とが歯車中心を合
わせて互いに重ね合わせた駆動側歯車242と、駆動側
副歯車245に連結された出力側主歯車246と、弾性
材料よりなり出力側主歯車246と略同長の直径サイズ
を有し、出力側主歯車246よりも歯のサイズが大とさ
れた出力側副歯車247とからなる出力側歯車243と
を、この出力側主歯車246の一歯面と弾性歯車247
の一歯面とが第1の駆動モータ241に連結された駆動
側副歯車245の同一歯面で噛み合うようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力伝達装置及び
ロボット装置に関し、特に、頸部関節部の不要なバック
ラッシュを除去した動力伝達装置及びロボット装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】最近では、人間のパートナーとして生活
を支援する、すなわち住環境その他の日常生活上の様々
な場面における人的活動を支援する実用ロボットの開発
が進められている。このような実用ロボットは、産業用
ロボットとは異なり、人間の生活環境の様々な局面にお
いて、個々に個性の相違した人間、又は様々な環境への
適応方法を自ら学習する能力を備えている。例えば、
犬、猫のように4足歩行の動物の身体メカニズムやその
動作を模した「ペット型」ロボット、あるいは、2足直
立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作をモデルにし
てデザインされた「人間型」又は「人間形」ロボット
(Humanoid Robot)等の脚式移動ロボットは、既に実用
化されつつある。
【0003】これらの脚式移動ロボットは、産業用ロボ
ットと比較してエンターテインメント性を重視した様々
な動作を行うことができるため、エンターテインメント
ロボットと呼称される場合もある。
【0004】これらロボット装置には、より精巧な動作
が求められる。そのひとつとして、関節機構等に用いら
れるアクチュエータの歯車列において、不要なバックラ
ッシュを低減するための技術が種々提案されている。
【0005】バックラッシュ低減の一般的な手法として
は、いわゆるシザーズギア等があげられる。これは、一
方の歯車の歯先端がバネ力等によって押し広げられるこ
とによって、この歯車が噛み合う歯面を押圧し、歯間の
「あそび・がた」をなくすようにした技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
シザーズギアは、ロボット装置におけるアクチュエータ
のように高トルクを発生するものでは、歯間を押圧する
ための高いバネ圧が必要となる。バネ圧が強くなると歯
車の回転負荷が大きくなるため、さらに高い駆動力が必
要となる。
【0007】バックラッシュは、ギア精度を向上するこ
とによっても低減可能であるが、エンターテインメント
性を重視したロボット装置の場合、制約された重量や設
置場所の空間的余裕を考慮すると適用できない場合があ
る。
【0008】そこで本発明は、このような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、平歯車列のような単純な
歯車機構に対しても単純な構成によって不要なバックラ
ッシュを効率よく取り除くことを可能にした動作伝達装
置及びロボット装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明に係る動作伝達装置は、可動部材に連結
された主歯車と、弾性材料よりなり主歯車と略同長の直
径サイズを有し、主歯車よりも歯のサイズが大とされた
副歯車とを有し、主歯車の一歯面と副歯車の一歯面とが
駆動手段に連結された歯車列の最終歯車の同一歯面に噛
み合わされていることを特徴とする。
【0010】また、上述した目的を達成するために、本
発明に係るロボット装置は、胴体部に対して所定の自由
度をもって可動な首構造を有するロボット装置であっ
て、胴体部に対して頸部を駆動する駆動手段と、頸部に
連結された主歯車と、弾性材料よりなり主歯車と略同長
の直径サイズを有し、主歯車よりも歯のサイズが大とさ
れた副歯車とを有し、主歯車の一歯面と副歯車の一歯面
とが駆動手段に連結された歯車列の最終歯車の同一歯面
で噛み合わされていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一構成例として示
す2足歩行タイプのロボット装置について、図面を参照
して詳細に説明する。この人間型のロボット装置は、住
環境その他の日常生活上の様々な場面における人的活動
を支援する実用ロボットであり、内部状態(怒り、悲し
み、喜び、楽しみ等)に応じて行動できるほか、人間が
行う基本的な動作を表出できるエンターテインメントロ
ボットである。
【0012】図1に示すように、ロボット装置1は、体
幹部ユニット2の所定の位置に頭部ユニット3が連結さ
れると共に、左右2つの腕部ユニット4R/Lと、左右
2つの脚部ユニット5R/Lが連結されて構成されてい
る(但し、R及びLの各々は、右及び左の各々を示す接
尾辞である。以下において同じ。)。
【0013】このロボット装置1が具備する関節自由度
構成を図2に模式的に示す。頭部ユニット3を支持する
首関節は、首関節ヨー軸101と、首関節ピッチ軸10
2と、首関節ロール軸103という3自由度を有してい
る。
【0014】また、上肢を構成する各々の腕部ユニット
4R/Lは、、肩関節ピッチ軸107と、肩関節ロール
軸108と、上腕ヨー軸109と、肘関節ピッチ軸11
0と、前腕ヨー軸111と、手首関節ピッチ軸112
と、手首関節ロール軸113と、手部114とで構成さ
れる。手部114は、実際には、複数本の指を含む多関
節・多自由度構造体である。但し、手部114の動作
は、ロボット装置1の姿勢制御や歩行制御に対する寄与
や影響が少ないので、本明細書ではゼロ自由度と仮定す
る。したがって、各腕部は7自由度を有するとする。
【0015】また、体幹部ユニット2は、体幹ピッチ軸
104と、体幹ロール軸105と、体幹ヨー軸106と
いう3自由度を有する。
【0016】また、下肢を構成する各々の脚部ユニット
5R/Lは、股関節ヨー軸115と、股関節ピッチ軸1
16と、股関節ロール軸117と、膝関節ピッチ軸11
8と、足首関節ピッチ軸119と、足首関節ロール軸1
20と、足部121とで構成される。本明細書中では、
股関節ピッチ軸116と股関節ロール軸117の交点
は、ロボット装置1の股関節位置を定義する。人体の足
部121は、実際には多関節・多自由度の足底を含んだ
構造体であるが、ロボット装置1の足底は、ゼロ自由度
とする。したがって、各脚部は、6自由度で構成され
る。
【0017】以上を総括すれば、ロボット装置1全体と
しては、合計で3+7×2+3+6×2=32自由度を
有することになる。但し、エンターテインメント向けの
ロボット装置1が必ずしも32自由度に限定されるわけ
ではない。設計・制作上の制約条件や要求仕様等に応じ
て、自由度すなわち関節数を適宜増減することができる
ことはいうまでもない。
【0018】上述したようなロボット装置1がもつ各自
由度は、実際にはアクチュエータを用いて実装される。
外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に近似
させること、2足歩行という不安定構造体に対して姿勢
制御を行うことなどの要請から、アクチュエータは小型
且つ軽量であることが好ましい。
【0019】次に、ロボット装置1の頭部ユニット3に
ついて、図3乃至図6を用いて詳細に説明する。図3
は、頭部ユニット3の正面外観を示し、図4は、頭部ユ
ニットの側面外観を示す。また、図5及び図6は、頭部
ユニットをロボット装置の頭頂部方向からみた平面図を
示している。
【0020】頭部ユニット3は、頭部201と頸部20
2とからなる。頭部201には、CCDカメラ203
と、前方に位置する物体までの距離を測定するための距
離センサ204と、外部音を集音するためのマイクロフ
ォン205と、音声を出力するためのスピーカ206な
どがそれぞれ所定位置に配置されている。
【0021】本具体例では、特に、このロボット装置1
の親近感を増すとともにエンターテインメント性を高め
るため、外部の状況を撮影するためのCCDカメラ20
3は、ヒトでいう「眼」の位置に設け、マイクロフォン
205は、ヒトでいう「耳」の位置に設け、音声を出力
するためのスピーカ206は、ヒトの「口」に相当する
位置に設けている。
【0022】頭部201は、頭部外装筐体207によっ
て保護されており、この頭部外装筐体207は、眼用開
口部208、センサ用開口部209、マイクロフォン取
付部210、スピーカ開口部211所定の位置に有して
おり、ユーザに「ヒト」を想起させる頭部形状となって
いる。
【0023】頭部外装筐体207には、頭頂部に開口部
212が設けられている(以下、頭頂開口部212と記
す。)。頭頂開口部212は、このロボット装置1の頭
頂部の一部をなすように湾曲球面状に加工された頭頂部
カバー213で覆われている。頭頂部カバー213は、
その輪郭を該頭頂開口部212の開口形状と略同形状で
あるが若干小になるような形状に加工され、図示しない
取付用爪部が頭頂開口部212に設けられた取付孔21
4と係合されることによって、頭頂開口部212を覆っ
ている。
【0024】頭頂開口部212には、図6に示すよう
に、所定箇所にセンサ215a〜215dが設けられて
いる。このセンサ215は、例えば、所定の押圧を受け
るとこれを電気的に検出する押圧検出センサであり、頭
頂部カバー213は、これらのセンサと接触して取り付
けられている。
【0025】したがって、このような頭頂部センサ21
5を備えることにより、ロボット装置1は、ユーザから
の働きかけ、例えばロボット装置1の頭部を「撫でる」
「叩く」「軽く叩く」等を検出することができ、これに
応じた内部状態の変化を動作として表出することができ
る。
【0026】なお、ここでのセンサとは、所定圧の接触
を検出できるものであればよく、汎用のセンサが適用で
きる。例えば、機械式スイッチのオンオフによって、押
圧を検出するものであってもよい。
【0027】また頭部201は、この頭部201を駆動
するための頭部駆動機構221を備えており、頸部20
2は、この頸部を駆動するための頸部駆動機構222を
備えている。頭部ユニット3の頭部外装筐体207及び
頸部外装筐体216を取り外した外観図7及び8に基づ
いて、頭部201及び頸部202をさらに詳細に説明す
る。図7は、ロボット装置1の正面外観を示し、図8
は、ロボット装置1の側面外観を示している。
【0028】頭部201は、頭部駆動機構221と一体
化された頭部碗状部材223と、頭部碗状部材223に
対して頭部駆動機構221を介して回動自在に取り付け
られた頭部シャーシ224とから構成されている。頭部
碗状部材223には、CCDカメラ203で撮像された
画像からステレオデータを作成する等の画像処理を実行
する画像処理回路が設置されていてもよく、頭部碗状部
材223は、このように内部に配設された回路等を保護
する役割を果たすとともに、ロボット装置1の顔・顎部
の一部を構成している。
【0029】ここで、頭部駆動機構221は、図示しな
いが回転駆動モータと歯車機構とから構成されており、
特にロボット装置頭部のロール方向の動き、すなわち
「傾げ」の動作を創出するために設けられている。
【0030】頭部シャーシ224には、顔前面に相当す
る位置に、カメラ固定部材225が取り付けられてい
る。このカメラ固定部材225には、CCDカメラ20
3が設置されている。また、カメラ固定部材225は、
距離センサ取付部226を有しており、ここに距離セン
サ204が取り付けられている。頭部外装筐体207
は、頭部に装着される際に、CCDカメラ203及び距
離センサ204に対応する箇所にそれぞれ眼用開口部2
08、距離センサ用開口部209が設けられているた
め、ここからCCDカメラ203及び距離センサ204
が外部に露呈される。
【0031】また実際は、カメラ固定部材225上に
は、ロボット装置1の内部状態を表出するため等に用い
られるLED231や、このLED231からの光を眼
周囲に一様に導くための導光部材232等を備えた、図
9に示すような眼底部基板230が設置されているた
め、この眼底部基板230の外側が頭部外装筐体207
に覆われることになる。
【0032】したがって、上述したように、頭部201
において、頭部シャーシ224、カメラ固定部材22
5、眼底部基板230、頭部外装筐体207等を組み合
わせた際、眼底部基板230に設けられた導光部材23
2が眼部内側壁となって頭部外装筐体表面よりも内側に
略円筒状に窪んだ眼部が構成されている。このとき、眼
底部基板230のレンズ孔233から露呈したCCDカ
メラ203のレンズがヒトでいう「瞳」に相当する。
【0033】一方、頸部駆動機構222は、頭部ユニッ
ト3の体幹部ユニット2に対する動作を表出するための
駆動機構である。
【0034】頸部駆動機構222は、後述する頸部主駆
動部234と、この頸部主駆動部234によって駆動さ
れる頸部円筒部材235とからなる。頸部主駆動部23
4には、ヒトの「頸椎」に相当する頸部円筒部材235
を駆動するための第1の駆動モータを備えている。
【0035】また、頸部駆動機構222は、本具体例で
は、一例として、頸部円筒部材235内に別の駆動モー
タ(以下、第2の駆動モータと記す。)を備えることに
よって、第1の駆動モータによる動作とは異なる回転方
向の運動を実現している。頸部駆動機構222に関して
は、後述する。
【0036】この第2の駆動モータは、駆動軸が頸部の
長手方向の中心軸を駆動軸と一致して頸部円筒部材23
5内に固定されている。この第2の駆動モータは、図示
しない歯車機構を介して、頸部円筒部材235内に設け
られた内部円筒部材と連結されており、該内部円筒部材
の外周面が頸部円筒部材235の内周面と摺動しながら
内部円筒部材を回動する構造になっている。この頸部円
筒部材235に上述した頭部碗状部材223が固定され
ることにより、頭部201全体が頸部に対して回動する
ようになっている。
【0037】そして、頸部駆動機構222が頸部主駆動
部234の一部で体幹部ユニット2の骨格構造に取り付
けられることによって、頭部ユニット3全体が体幹部ユ
ニット2に固定されている。
【0038】すなわち、このロボット装置1では、この
頸部駆動機構222の第1の駆動モータの最終出力端が
ピッチ軸であり、これにより、頭部201が体幹部ユニ
ット2に対してロボット装置1の胸面(前方)及び背面
(後方)方向に揺動する運動(以下、チルト動作と記
す。)が生成され、第2の駆動モータの駆動軸がヨー軸
であり、これにより、頭部201が頸部202に対して
頸部の長手方向中心軸に垂直な平面と平行な回動運動
(以下、パン動作と記す。)が生成される。また、上述
した頭部駆動機構221により、頭部201が頸部20
2に対してロールする運動(以下、ロール動作と記
す。)が生成される。したがって、頭部ユニット3は、
ヨー軸を中心としたチルト動作、ピッチ軸を中心とした
パン動作、ロール軸を中心としたロール動作の3自由度
をもって駆動することができる。
【0039】なお、頭部駆動機構221には、頸部に対
して頭部201を上下方向に回動する、いわゆる「頷
き」を表出するための別の駆動モータを配置して第2の
ピッチ軸を設け、頭部ユニット3の自由度を4とするこ
ともできる。
【0040】ロボット装置1では、上述した各ユニット
の連結部分に動作精度の高い駆動モータ及びギア列等が
用いられているが、例えば、図7及び図8に示す頭部駆
動機構221及び頸部駆動機構222では、ロボット装
置1の重心方向に対する鉛直方向上で支持・静止される
場合がある。この場合、特に、力の中立位置では、アク
チュエータでは制御不可能なギア列のバックラッシュの
みが残り、これがロボット装置1の静止姿勢における頭
部及び頸部の「あそび」「がた」に繋がる。
【0041】そこで、本具体例では、このバックラッシ
ュを解消するために、ロボット装置1の頭部ユニット3
の駆動部、特に頸部駆動機構222に、可動部材に連結
された主歯車と、弾性材料により成形され主歯車と略同
長の直径サイズを有し、主歯車よりも歯のサイズが大と
された副歯車とが、駆動部に連結された歯車列の最終歯
車の同一歯面に噛み合わされてなる歯車機構を適用して
いる。
【0042】図10を用いて、頸部駆動機構222の構
成を詳細に説明する。なお、図10では、第2の駆動モ
ータによって駆動される内部円筒部材等の機構(パン動
作に関わる機構)は、省略している。
【0043】頸部駆動機構222は、上述したように頸
部主駆動部234と、この頸部主駆動部234によって
駆動される頸部円筒部材235とからなる。
【0044】頸部主駆動部234は、第1の駆動モータ
241と、駆動側歯車242と、頸部円筒部材235に
連結された出力側歯車243とから構成されている。
【0045】駆動側歯車242は、図11に要部を拡大
して示すように、駆動側主歯車244と、この主歯車2
44よりも内径が小である駆動側副歯車245とが歯車
中心を合わせて互いに重ね合わされたものであり、駆動
側主歯車244は、第1の駆動モータ241に連結さ
れ、駆動側副歯車245は、後述する出力側歯車243
に噛み合わされている。
【0046】出力側歯車243は、駆動側副歯車245
に連結された出力側主歯車246と、弾性材料よりなり
出力側主歯車246と略同長の直径サイズを有し、出力
側主歯車246よりも歯のサイズが大とされた出力側副
歯車247とからなる。出力側副歯車247を以下弾性
歯車247と記す。特に、本具体例では、弾性材料とし
てポリウレタンを用いている。
【0047】出力側主歯車246と弾性歯車247は、
歯車中心を合わせて、互いに重ね合わされており、この
主歯車246の一歯面と弾性歯車247の一歯面とが第
1の駆動モータ241に連結された歯車列の最終歯車、
すなわち、駆動側副歯車245の同一歯面で噛み合わさ
れるようになっている。
【0048】本具体例では、図12に示すように、弾性
歯車247の歯厚が出力側主歯車246の歯厚よりも大
にして、且つ主歯車246よりも高い弾性を有する材料
で成形し、さらに、この弾性歯車247の歯が常に駆動
側副歯車245の歯間に押しつけられることで若干圧縮
されながら噛み込むように配設している。これにより、
頸部駆動機構222の出力最終段における不要なバック
ラッシュが無くなる。
【0049】通常、歯車機構では、バックラッシュが全
く無いと歯車が回転できないが、本具体例では、所定の
負荷以上で変形する弾性材料を用いることによって、バ
ックラッシュが無くとも歯車の回動を可能にしている。
【0050】例えば、頸部202がロボット装置1の重
心方向に対する鉛直方向上、力の中立位置で支持・静止
されるような軽負荷時には、「がた」付きを無くすこと
ができ、また、駆動時に重負荷が懸かる際には、駆動側
副歯車245の回動とともに、この駆動側副歯車245
と出力側主歯車246とが噛み合って、弾性歯車247
の弾性に打ち勝ち、出力側歯車243全体を回動させる
ようになっている。
【0051】弾性歯車247は、この弾性歯車247の
歯間に噛み合う駆動側副歯車245の歯の全周域によっ
て、空隙を補償できるため、頸部のどちらの回動動作に
対しても不要なバックラッシュを無くすことができる。
【0052】またこの弾性歯車247により、精巧な歯
車機構を導入することなく、平歯車の組み合わせによっ
て不要なバックラッシュを効率よく除去できるため、頭
部ユニット3の軽量化が実現でき、その上製造コストも
低減できるという利点がある。
【0053】本具体例では、頸部円筒部材235と第1
の駆動モータ241との間で伝達される力が所定以上の
値になると、この力による頸部の回転方向とは反対方向
にスリップするスリップギアを備え、このスリップギア
を介して出力側主歯車246を頸部円筒部材235に連
結することもできる。スリップギアとしては、例えば、
所定の摩擦抵抗を有し、この抵抗以上の力が働いた場合
にのみ互いに摺動できるような構造を有するもの等が適
用できる。
【0054】これにより、頭部201及び頸部202へ
の過負荷・衝撃に対する緩衝作用が向上するとともに、
スリップギアの抵抗によってバックラッシュを除去する
こともできる。
【0055】なお、本発明は、ここに示した具体例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
において種々の変更が可能であることは勿論である。本
具体例では、2足歩行タイプのロボット装置の頸部に適
用する場合に関して説明したが、ロボット装置の重心方
向に対する鉛直方向上、力の中立位置で支持・静止され
るような部位に対して適用可能である。
【0056】続いて、図13を用いて、上述したロボッ
ト装置1の制御システム構成を具体的に説明する。
【0057】同図に模式的に示すように、ロボット装置
1は、ヒトの四肢を表現した体幹部ユニット2,頭部ユ
ニット3,腕部ユニット4R/L,脚部ユニット5R/
Lと、各ユニット間の協調動作を実現するための適応制
御を行う制御ユニット10とで構成される。
【0058】ロボット装置1全体の動作は、制御ユニッ
ト10によって統括的に制御される。制御ユニット10
は、CPU(Central Processing Unit)や、DRA
M、フラッシュROM等の主要回路コンポーネント(図
示しない)で構成される主制御部11と、電源回路やロ
ボット装置1の各構成要素とのデータやコマンドの授受
を行うインターフェイス(何れも図示しない)などを含
んだ周辺回路12とで構成される。
【0059】本発明を実現するうえで、この制御ユニッ
ト10の設置場所は、特に限定されない。図13では体
幹部ユニット2に搭載されているが、頭部ユニット3に
搭載してもよい。或いは、ロボット装置1外に制御ユニ
ット10を配備して、ロボット装置1の機体とは有線又
は無線で交信するようにしてもよい。
【0060】図2に示したロボット装置1内の各関節自
由度は、それぞれに対応するアクチュエータによって実
現される。すなわち、頭部ユニット3には、首関節ヨー
軸101、首関節ピッチ軸102、首関節ロール軸10
3の各々を表現する首関節ヨー軸アクチュエータA
首関節ピッチ軸アクチュエータA、首関節ロール軸ア
クチュエータAが配設されている。
【0061】また、体幹部ユニット2には、体幹ピッチ
軸104、体幹ロール軸105、体幹ヨー軸106の各
々を表現する体幹ピッチ軸アクチュエータA、体幹ロ
ール軸アクチュエータA、体幹ヨー軸アクチュエータ
が配設されている。また、体幹部ユニット2には、
このロボット装置1の起動電源となるバッテリを備えて
いる。このバッテリは、充放電可能な電池によって構成
されている。
【0062】また、腕部ユニット4R/Lは、上腕ユニ
ット4R/Lと、肘関節ユニット4R/Lと、前腕
ユニット4R/Lに細分化されるが、肩関節ピッチ軸
107、肩関節ロール軸108、上腕ヨー軸109、肘
関節ピッチ軸110、前腕ヨー軸111、手首関節ピッ
チ軸112、手首関節ロール軸113の各々表現する肩
関節ピッチ軸アクチュエータA、肩関節ロール軸アク
チュエータA、上腕ヨー軸アクチュエータA10、肘
関節ピッチ軸アクチュエータA11、肘関節ロール軸ア
クチュエータA12、手首関節ピッチ軸アクチュエータ
13、手首関節ロール軸アクチュエータA14が配備
されている。
【0063】また、脚部ユニット5R/Lは、大腿部ユ
ニット5R/Lと、膝ユニット5 R/Lと、脛部ユ
ニット5R/Lに細分化されるが、股関節ヨー軸11
5、股関節ピッチ軸116、股関節ロール軸117、膝
関節ピッチ軸118、足首関節ピッチ軸119、足首関
節ロール軸120の各々を表現する股関節ヨー軸アクチ
ュエータA16、股関節ピッチ軸アクチュエータ
17、股関節ロール軸アクチュエータA18、膝関節
ピッチ軸アクチュエータA19、足首関節ピッチ軸アク
チュエータA20、足首関節ロール軸アクチュエータA
21が配備されている。各関節に用いられるアクチュエ
ータA,A・・・は、より好ましくは、ギア直結型で
旦つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニット
内に搭載したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータ
で構成することができる。
【0064】体幹部ユニット2、頭部ユニット3、各腕
部ユニット4R/L、各脚部ユニット5R/Lなどの各
機構ユニット毎に、アクチュエータ駆動制御部の副制御
部20,21,22R/L,23R/Lが配備されてい
る。さらに、各脚部ユニット5R/Lの足底が着床した
か否かを検出する接地確認センサ30R/Lを装着する
とともに、体幹部ユニット2内には、姿勢を計測する姿
勢センサ31を装備している。
【0065】接地確認センサ30R/Lは、例えば足底
に設置された近接センサ又はマイクロ・スイッチなどで
構成される。また、姿勢センサ31は、例えば、加速度
センサとジャイロ・センサの組み合わせによって構成さ
れる。
【0066】接地確認センサ30R/Lの出力によっ
て、歩行・走行などの動作期間中において、左右の各脚
部が現在立脚又は遊脚何れの状態であるかを判別するこ
とができる。また、姿勢センサ31の出力により、体幹
部分の傾きや姿勢を検出することができる。
【0067】主制御部11は、各センサ30R/L,3
1の出力に応答して制御目標をダイナミックに補正する
ことができる。より具体的には、副制御部20,21,
22R/L,23R/Lの各々に対して適応的な制御を
行い、ロボット装置1の上肢、体幹、及び下肢が協調し
て駆動する全身運動パターンを実現できる。
【0068】ロボット装置1の機体上での全身運動は、
足部運動、ZMP(Zero Moment Point)軌道、体幹運
動、上肢運動、腰部高さなどを設定するとともに、これ
らの設定内容にしたがった動作を指示するコマンドを各
副制御部20,21,22R/L,23R/Lに転送す
る。そして、各々の副制御部20,21,・・・等で
は、主制御部11からの受信コマンドを解釈して、各ア
クチュエータA,A・・・等に対して駆動制御信号
を出力する。ここでいう「ZMP」とは、歩行中の床反
力によるモーメントがゼロとなる床面上の点のことであ
り、また、「ZMP軌道」とは、例えばロボット装置1
の歩行動作期間中にZMPが動く軌跡を意味する。な
お、ZMPの概念並びにZMPを歩行ロボットの安定度
判別規範に適用する点については、Miomir Vukobratovi
c著“LEGGED LOCOMOTION ROBOTS”(加藤一郎外著『歩
行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))に記載さ
れている。
【0069】以上のように、ロボット装置1は、各々の
副制御部20,21,・・・等が、主制御部11からの
受信コマンドを解釈して、各アクチュエータA,A
・・・に対して駆動制御信号を出力し、各ユニットの駆
動を制御している。これにより、ロボット装置1は、目
標の姿勢に安定して遷移し、安定した姿勢で歩行でき
る。
【0070】また、ロボット装置1における制御ユニッ
ト10では、上述したような姿勢制御のほかに、加速度
センサ、タッチセンサ、接地確認センサ等の各種セン
サ、及びCCDカメラからの画像情報、マイクからの音
声情報等を統括して処理している。制御ユニット10で
は、図示しないが加速度センサ、ジャイロ・センサ、タ
ッチセンサ、距離センサ、マイク、スピーカなどの各種
センサ、各アクチュエータ、CCDカメラ及びバッテリ
が各々対応するハブを介して主制御部11と接続されて
いる。
【0071】主制御部11は、上述の各センサから供給
されるセンサデータや画像データ及び音声データを順次
取り込み、これらをそれぞれ内部インターフェイスを介
してDRAM内の所定位置に順次格納する。また、主制
御部11は、バッテリから供給されるバッテリ残量を表
すバッテリ残量データを順次取り込み、これをDRAM
内の所定位置に格納する。DRAMに格納された各セン
サデータ、画像データ、音声データ及びバッテリ残量デ
ータは、主制御部11がこのロボット装置1の動作制御
を行う際に利用される。
【0072】主制御部11は、ロボット装置1の電源が
投入された初期時、制御プログラムを読み出し、これを
DRAMに格納する。また、主制御部11は、上述のよ
うに主制御部11よりDRAMに順次格納される各セン
サデータ、画像データ、音声データ及びバッテリ残量デ
ータに基づいて自己及び周囲の状況や、使用者からの指
示及び働きかけの有無などを判断する。
【0073】さらに、主制御部11は、この判断結果及
びDRAMに格納した制御プログラムに基づいて自己の
状況に応じて行動を決定するとともに、当該決定結果に
基づいて必要なアクチュエータを駆動させることにより
ロボット装置1に、いわゆる「身振り」、「手振り」と
いった行動をとらせる。
【0074】このようにしてロボット装置1は、制御プ
ログラムに基づいて自己及び周囲の状況を判断し、使用
者からの指示及び働きかけに応じて自律的に行動でき
る。
【0075】ところで、このロボット装置1は、内部状
態に応じて自律的に行動することができる。そこで、ロ
ボット装置1における制御プログラムのソフトウェア構
成例について、図14乃至図19を用いて説明する。な
お、この制御プログラムは、上述したように、予めフラ
ッシュROM12に格納されており、ロボット装置1の
電源投入初期時において読み出される。
【0076】図14において、デバイス・ドライバ・レ
イヤ40は、制御プログラムの最下位層に位置し、複数
のデバイス・ドライバからなるデバイス・ドライバ・セ
ット41から構成されている。この場合、各デバイス・
ドライバは、CCDカメラやタイマ等の通常のコンピュ
ータで用いられるハードウェアに直接アクセスすること
を許されたオブジェクトであり、対応するハードウェア
からの割り込みを受けて処理を行う。
【0077】また、ロボティック・サーバ・オブジェク
ト42は、デバイス・ドライバ・レイヤ40の最下位層
に位置し、例えば上述の各種センサやアクチュエータ2
〜28等のハードウェアにアクセスするためのイ
ンターフェイスを提供するソフトウェア群でなるバーチ
ャル・ロボット43と、電源の切換えなどを管理するソ
フトウェア群でなるパワーマネージャ44と、他の種々
のデバイス・ドライバを管理するソフトウェア群でなる
デバイス・ドライバ・マネージャ45と、ロボット装置
1の機構を管理するソフトウェア群でなるデザインド・
ロボット46とから構成されている。
【0078】マネージャ・オブジェクト47は、オブジ
ェクト・マネージャ48及びサービス・マネージャ49
から構成されている。オブジェクト・マネージャ48
は、ロボティック・サーバ・オブジェクト42、ミドル
・ウェア・レイヤ50、及びアプリケーション・レイヤ
51に含まれる各ソフトウェア群の起動や終了を管理す
るソフトウェア群であり、サービス・マネージャ49
は、メモリカードに格納されたコネクションファイルに
記述されている各オブジェクト間の接続情報に基づいて
各オブジェクトの接続を管理するソフトウェア群であ
る。
【0079】ミドル・ウェア・レイヤ50は、ロボティ
ック・サーバ・オブジェクト42の上位層に位置し、画
像処理や音声処理などのこのロボット装置1の基本的な
機能を提供するソフトウェア群から構成されている。ま
た、アプリケーション・レイヤ51は、ミドル・ウェア
・レイヤ50の上位層に位置し、当該ミドル・ウェア・
レイヤ50を構成する各ソフトウェア群によって処理さ
れた処理結果に基づいてロボット装置1の行動を決定す
るためのソフトウェア群から構成されている。
【0080】なお、ミドル・ウェア・レイヤ50及びア
プリケーション・レイヤ51の具体なソフトウェア構成
をそれぞれ図15に示す。
【0081】ミドル・ウェア・レイヤ50は、図15に
示すように、騒音検出用、温度検出用、明るさ検出用、
音階認識用、距離検出用、姿勢検出用、タッチセンサ
用、動き検出用及び色認識用の各信号処理モジュール6
0〜68並びに入力セマンティクスコンバータモジュー
ル69などを有する認識系70と、出力セマンティクス
コンバータモジュール78並びに姿勢管理用、トラッキ
ング用、モーション再生用、歩行用、転倒復帰用、LE
D点灯用及び音再生用の各信号処理モジュール71〜7
7などを有する出力系79とから構成されている。
【0082】認識系70の各信号処理モジュール60〜
68は、ロボティック・サーバ・オブジェクト42のバ
ーチャル・ロボット43によりDRAMから読み出され
る各センサデータや画像データ及び音声データのうちの
対応するデータを取り込み、当該データに基づいて所定
の処理を施して、処理結果を入力セマンティクスコンバ
ータモジュール69に与える。ここで、例えば、バーチ
ャル・ロボット43は、所定の通信規約によって、信号
の授受或いは変換をする部分として構成されている。
【0083】入力セマンティクスコンバータモジュール
69は、これら各信号処理モジュール60〜68から与
えられる処理結果に基づいて、「うるさい」、「暑
い」、「明るい」、「ボールを検出した」、「転倒を検
出した」、「撫でられた」、「叩かれた」、「ドミソの
音階が聞こえた」、「動く物体を検出した」又は「障害
物を検出した」などの自己及び周囲の状況や、使用者か
らの指令及び働きかけを認識し、認識結果をアプリケー
ション・レイヤ41に出力する。
【0084】アプリケーション・レイヤ51は、図16
に示すように、行動モデルライブラリ80、行動切換モ
ジュール81、学習モジュール82、感情モデル83及
び本能モデル84の5つのモジュールから構成されてい
る。
【0085】行動モデルライブラリ80には、図17に
示すように、「バッテリ残量が少なくなった場合」、
「転倒復帰する」、「障害物を回避する場合」、「感情
を表現する場合」、「ボールを検出した場合」などの予
め選択されたいくつかの条件項目にそれぞれ対応させ
て、それぞれ独立した行動モデルが設けられている。
【0086】そして、これら行動モデルは、それぞれ入
力セマンティクスコンバータモジュール69から認識結
果が与えられたときや、最後の認識結果が与えられてか
ら一定時間が経過したときなどに、必要に応じて後述の
ように感情モデル83に保持されている対応する情動の
パラメータ値や、本能モデル84に保持されている対応
する欲求のパラメータ値を参照しながら続く行動をそれ
ぞれ決定し、決定結果を行動切換モジュール81に出力
する。
【0087】なお、この実施の形態の場合、各行動モデ
ルは、次の行動を決定する手法として、図18に示すよ
うな1つのノード(状態)NODE〜NODEから
他のどのノードNODE〜NODEに遷移するかを
各ノードNODE〜NODEに間を接続するアーク
ARC〜ARCn1に対してそれぞれ設定された遷移
確率P〜Pに基づいて確率的に決定する有限確率オ
ートマトンと呼ばれるアルゴリズムを用いる。
【0088】具体的に、各行動モデルは、それぞれ自己
の行動モデルを形成するノードNODE〜NODE
にそれぞれ対応させて、これらノードNODE〜NO
DE 毎に図19に示すような状態遷移表90を有して
いる。
【0089】この状態遷移表90では、そのノードNO
DE〜NODEにおいて遷移条件とする入力イベン
ト(認識結果)が「入力イベント名」の列に優先順に列
記され、その遷移条件についてのさらなる条件が「デー
タ名」及び「データ範囲」の列における対応する行に記
述されている。
【0090】したがって、図19の状態遷移表90で表
されるノードNODE100では、「ボールを検出(B
ALL)」という認識結果が与えられた場合に、当該認
識結果とともに与えられるそのボールの「大きさ(SIZ
E)」が「0から1000」の範囲であることや、「障害物を
検出(OBSTACLE)」という認識結果が与えられた場合
に、当該認識結果とともに与えられるその障害物までの
「距離(DISTANCE)」が「0から100」の範囲であること
が他のノードに遷移するための条件となっている。
【0091】また、このノードNODE100では、認
識結果の入力がない場合においても、行動モデルが周期
的に参照する感情モデル83及び本能モデル84にそれ
ぞれ保持された各情動及び各欲求のパラメータ値のう
ち、感情モデル83に保持された「喜び(Joy)」、
「驚き(Surprise)」又は「悲しみ(Sadness)」の何
れかのパラメータ値が「50から100」の範囲であるとき
には他のノードに遷移することができるようになってい
る。
【0092】また、状態遷移表90では、「他のノード
ヘの遷移確率」の欄における「遷移先ノード」の行にそ
のノードNODE〜NODEから遷移できるノード
名が列記されているとともに、「入力イベント名」、
「データ名」及び「データの範囲」の列に記述された全
ての条件が揃ったときに遷移できるほかの各ノードNO
DE〜NODEへの遷移確率が「他のノードヘの遷
移確率」の欄内の対応する箇所にそれぞれ記述され、そ
のノードNODE〜NODEに遷移する際に出力す
べき行動が「他のノードヘの遷移確率」の欄における
「出力行動」の行に記述されている。なお、「他のノー
ドヘの遷移確率」の欄における各行の確率の和は100
[%]となっている。
【0093】したがって、図19の状態遷移表90で表
されるノードNODE100では、例えば「ボールを検
出(BALL)」し、そのボールの「SIZE(大き
さ)」が「0から1000」の範囲であるという認識結果が
与えられた場合には、「30[%]」の確率で「ノードN
ODE120(node 120)」に遷移でき、そのとき「A
CTION1」の行動が出力されることとなる。
【0094】各行動モデルは、それぞれこのような状態
遷移表90として記述されたノードNODE〜NOD
が幾つも繋がるようにして構成されており、入力セ
マンティクスコンバータモジュール69から認識結果が
与えられたときなどに、対応するノードNODE〜N
ODEの状態遷移表を利用して確率的に次の行動を決
定し、決定結果を行動切換モジュール81に出力するよ
うになされている。
【0095】図16に示す行動切換モジュール81は、
行動モデルライブラリ80の各行動モデルからそれぞれ
出力される行動のうち、予め定められた優先順位の高い
行動モデルから出力された行動を選択し、当該行動を実
行すべき旨のコマンド(以下、行動コマンドという。)
をミドル・ウェア・レイヤ50の出力セマンティクスコ
ンバータモジュール78に送出する。なお、この実施の
形態においては、図17において下側に表記された行動
モデルほど優先順位が高く設定されている。
【0096】また、行動切換モジュール81は、行動完
了後に出力セマンティクスコンバータモジュール78か
ら与えられる行動完了情報に基づいて、その行動が完了
したことを学習モジュール82、感情モデル83及び本
能モデル84に通知する。
【0097】一方、学習モジュール82は、入力セマン
ティクスコンバータモジュール69から与えられる認識
結果のうち、「叩かれた」や「撫でられた」など、使用
者からの働きかけとして受けた教示の認識結果を入力す
る。
【0098】そして、学習モジュール82は、この認識
結果及び行動切換えモジュール71からの通知に基づい
て、「叩かれた(叱られた)」ときにはその行動の発現
確率を低下させ、「撫でられた(誉められた)」ときに
はその行動の発現確率を上昇させるように、行動モデル
ライブラリ70における対応する行動モデルの対応する
遷移確率を変更する。
【0099】他方、感情モデル83は、「喜び(Jo
y)」、「悲しみ(Sadness)」、「怒り(Anger)」、
「驚き(Surprise)」、「嫌悪(Disgust)」及び「恐
れ(Fear)」の合計6つの情動について、各情動毎にそ
の情動の強さを表すパラメータを保持している。そし
て、感情モデル83は、これら各情動のパラメータ値
を、それぞれ入力セマンティクスコンバータモジュール
69から与えられる「叩かれた」及び「撫でられた」な
どの特定の認識結果や、経過時間及び行動切換モジュー
ル81からの通知などに基づいて周期的に更新する。
【0100】具体的には、感情モデル83は、入力セマ
ンティクスコンバータモジュール69から与えられる認
識結果と、そのときのロボット装置1の行動と、前回更
新してからの経過時間となどに基づいて所定の演算式に
より算出されるそのときのその情動の変動量を△E
[t]、現在のその情動のパラメータ値をE[t]、そ
の情動の感度を表す係数をkとして、(1)式によっ
て次の周期におけるその情動のパラメータ値E[t+
1]を算出し、これを現在のその情動のパラメータ値E
[t]と置き換えるようにしてその情動のパラメータ値
を更新する。また、感情モデル83は、これと同様にし
て全ての情動のパラメータ値を更新する。
【0101】
【数1】
【0102】なお、各認識結果や出力セマンティクスコ
ンバータモジュール78からの通知が各情動のパラメー
タ値の変動量△E[t]にどの程度の影響を与えるかは
予め決められており、例えば「叩かれた」といった認識
結果は「怒り」の情動のパラメータ値の変動量△E
[t]に大きな影響を与え、「撫でられた」といった認
識結果は「喜び」の情動のパラメータ値の変動量△E
[t]に大きな影響を与えるようになっている。
【0103】ここで、出力セマンティクスコンバータモ
ジュール78からの通知とは、いわゆる行動のフィード
バック情報(行動完了情報)であり、行動の出現結果の
情報であり、感情モデル83は、このような情報によっ
ても感情を変化させる。これは、例えば、「叫ぶ」とい
った行動により怒りの感情レベルが下がるといったよう
なことである。なお、出力セマンティクスコンバータモ
ジュール78からの通知は、上述した学習モジュール8
2にも入力されており、学習モジュール82は、その通
知に基づいて行動モデルの対応する遷移確率を変更す
る。
【0104】なお、行動結果のフィードバックは、行動
切換モジュール81の出力(感情が付加された行動)に
よりなされるものであってもよい。
【0105】一方、本能モデル84は、「運動欲(exer
cise)」、「愛情欲(affection)」、「食欲(appetit
e)」及び「好奇心(curiosity)」の互いに独立した4
つの欲求について、これら欲求毎にその欲求の強さを表
すパラメータを保持している。そして、本能モデル84
は、これらの欲求のパラメータ値を、それぞれ入力セマ
ンティクスコンバータモジュール69から与えられる認
識結果や、経過時間及び行動切換モジュール81からの
通知などに基づいて周期的に更新する。
【0106】具体的には、本能モデル84は、「運動
欲」、「愛情欲」及び「好奇心」については、認識結
果、経過時間及び出力セマンティクスコンバータモジュ
ール78からの通知などに基づいて所定の演算式により
算出されるそのときのその欲求の変動量をΔI[k]、
現在のその欲求のパラメータ値をI[k]、その欲求の
感度を表す係数kとして、所定周期で(2)式を用い
て次の周期におけるその欲求のパラメータ値I[k+
1]を算出し、この演算結果を現在のその欲求のパラメ
ータ値I[k]と置き換えるようにしてその欲求のパラ
メータ値を更新する。また、本能モデル84は、これと
同様にして「食欲」を除く各欲求のパラメータ値を更新
する。
【0107】
【数2】
【0108】なお、認識結果及び出力セマンティクスコ
ンバータモジュール78からの通知などが各欲求のパラ
メータ値の変動量△I[k]にどの程度の影響を与える
かは予め決められており、例えば出力セマンティクスコ
ンバータモジュール78からの通知は、「疲れ」のパラ
メータ値の変動量△I[k]に大きな影響を与えるよう
になっている。
【0109】なお、本実施の形態においては、各情動及
び各欲求(本能)のパラメータ値がそれぞれ0から10
0までの範囲で変動するように規制されており、また係
数k 、kの値も各情動及び各欲求毎に個別に設定さ
れている。
【0110】一方、ミドル・ウェア・レイヤ50の出力
セマンティクスコンバータモジュール78は、図5に示
すように、上述のようにしてアプリケーション・レイヤ
51の行動切換モジュール81から与えられる「前
進」、「喜ぶ」、「鳴く」又は「トラッキング(ボール
を追いかける)」といった抽象的な行動コマンドを出力
系79の対応する信号処理モジュール71〜77に与え
る。
【0111】そしてこれら信号処理モジュール71〜7
7は、行動コマンドが与えられると当該行動コマンドに
基づいて、その行動をするために対応するアクチュエー
タに与えるべきサーボ指令値や、スピーカから出力する
音の音声データ及び又はLEDに与える駆動データを生
成し、これらのデータをロボティック・サーバ・オブジ
ェクト42のバーチャル・ロボット43及び信号処理回
路を順次介して対応するアクチュエータ又はスピーカ又
はLEDに順次送出する。
【0112】このようにしてロボット装置1は、上述し
た制御プログラムに基づいて、自己(内部)及び周囲
(外部)の状況や、使用者からの指示及び働きかけに応
じた自律的な行動ができる。
【0113】このような制御プログラムは、ロボット装
置が読取可能な形式で記録された記録媒体を介して提供
される。制御プログラムを記録する記録媒体としては、
磁気読取方式の記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキ
シブルディスク、磁気カード)、光学読取方式の記録媒
体(例えば、CD−ROM、MO、CD−R、DVD)
等が考えられる。記録媒体には、半導体メモリ(いわゆ
るメモリカード(矩形型、正方形型など形状は問わな
い。)、ICカード)等の記憶媒体も含まれる。また、
制御プログラムは、いわゆるインターネット等を介して
提供されてもよい。
【0114】これらの制御プログラムは、専用の読込ド
ライバ装置、又はパーソナルコンピュータ等を介して再
生され、有線又は無線接続によってロボット装置1に伝
送されて読み込まれる。また、ロボット装置1は、半導
体メモリ、又はICカード等の小型化された記憶媒体の
ドライブ装置を備える場合、これら記憶媒体から制御プ
ログラムを直接読み込むこともできる。
【0115】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る動作伝達装置は、可動部材に連結された主歯車と、弾
性材料よりなり主歯車と略同長の直径サイズを有し、主
歯車よりも歯のサイズが大とされた副歯車とを有し、主
歯車の一歯面と副歯車の一歯面とが駆動手段に連結され
た歯車列の最終歯車の同一歯面に噛み合わされているこ
とにより、この主歯車及び副歯車の歯間に噛み合う駆動
側最終歯車の歯の全周域によって、ここにできる空隙を
補償できるため、精巧な歯車機構を導入することなく、
平歯車の組み合わせによって不要なバックラッシュを効
率よく取り除くことができる。また、機構全体の軽量化
が実現でき、その上製造コストも低減できる。
【0116】また、上述した目的を達成するために、本
発明に係るロボット装置は、胴体部に対して所定の自由
度をもって可動な首構造を有するロボット装置であっ
て、胴体部に対して頸部を駆動する駆動手段と、頸部に
連結された主歯車と、弾性材料よりなり主歯車と略同長
の直径サイズを有し、主歯車よりも歯のサイズが大とさ
れた副歯車とを有し、主歯車の一歯面と副歯車の一歯面
とが駆動手段に連結された歯車列の最終歯車の同一歯面
で噛み合わされていることにより、この主歯車及び副歯
車の歯間に噛み合う駆動側最終歯車の歯の全周域によっ
て、ここにできる空隙を補償できるため、精巧な歯車機
構を導入することなく、平歯車の組み合わせによって不
要なバックラッシュを効率よく取り除くことができる。
また、機構全体の軽量化が実現でき、その上製造コスト
も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本具体例として示すロボット装置の外観構成を
示す斜視図である。
【図2】同ロボット装置の自由度構成モデルを模式的に
示す図である。
【図3】同ロボット装置の頭部ユニットの正面外観図で
ある。
【図4】同ロボット装置の頭部ユニットの側面外観図で
ある。
【図5】同ロボット装置の頭部ユニットを頭頂部方向か
らみた平面図である。
【図6】同ロボット装置の頭部ユニットを頭頂部方向か
らみた平面図である。
【図7】同ロボット装置の頭部外装筐体を取り外した頭
部ユニットの正面外観図である。
【図8】同ロボット装置の頭部外装筐体を取り外した頭
部ユニットの側面外観図である。
【図9】同ロボット装置の眼底部基板を示す斜視図であ
る。
【図10】同ロボット装置の頸部駆動機構を示す斜視図
である。
【図11】駆動側歯車と出力側歯車との噛み合いを説明
する図である。
【図12】駆動側歯車と出力側歯車との噛み合いを説明
する要部拡大図である。
【図13】同ロボット装置の回路構成を示すブロック図
である。
【図14】同ロボット装置のソフトウェア構成を示すブ
ロック図である。
【図15】同ロボット装置のソフトウェア構成における
ミドル・ウェア・レイヤの構成を示すブロック図であ
る。
【図16】同ロボット装置のソフトウェア構成における
アプリケーション・レイヤの構成を示すブロック図であ
る。
【図17】アプリケーション・レイヤの行動モデルライ
ブラリの構成を示すブロック図である。
【図18】同ロボット装置の行動決定のための情報とな
る有限確率オートマトンを説明する図である。
【図19】有限確率オートマトンの各ノードに用意され
た状態遷移表を示す図である。
【符号の説明】
1 ロボット装置、3、頭部ユニット、201 頭部、
202 頸部、222頸部駆動機構、234 頸部主駆
動部、235 頸部円筒部材、241 第1の駆動モー
タ、242 駆動側歯車、243 出力側歯車、245
駆動側副歯車、246 出力側主歯車、247 弾性
歯車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 55/12 F16H 55/12 A 55/14 55/14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動手段によって可動部材を動作する動
    力伝達装置において、 上記可動部材に連結された主歯車と、 弾性材料よりなり上記主歯車と略同長の直径サイズを有
    し、上記主歯車よりも歯のサイズが大とされた副歯車と
    を有し、 上記主歯車の一歯面と上記副歯車の一歯面とが上記駆動
    手段に連結された歯車列の最終歯車の同一歯面に噛み合
    わされていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 上記副歯車の歯厚が上記主歯車の歯厚よ
    りも大であることを特徴とする請求項1記載の動力伝達
    装置。
  3. 【請求項3】 上記弾性材料には、ポリウレタンが含ま
    れることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 上記主歯車は、上記可動部材と上記駆動
    手段との間で伝達される力が所定以上の値になると、こ
    の力による可動部材の回転方向とは反対方向にスリップ
    するスリップギアを介して上記可動部材に連結されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 胴体部に対して所定の自由度をもって可
    動な首構造を有するロボット装置において、 上記胴体部に対して頸部を駆動する駆動手段と、 上記頸部に連結された主歯車と、 弾性材料よりなり上記主歯車と略同長の直径サイズを有
    し、上記主歯車よりも歯のサイズが大とされた副歯車と
    を有し、 上記主歯車の一歯面と上記副歯車の一歯面とが上記駆動
    手段に連結された歯車列の最終歯車の同一歯面で噛み合
    わされていることを特徴とするロボット装置。
  6. 【請求項6】 上記副歯車の歯厚が上記主歯車の歯厚よ
    りも大であることを特徴とする請求項5記載のロボット
    装置。
  7. 【請求項7】 上記弾性材料には、ポリウレタンが含ま
    れることを特徴とする請求項5記載のロボット装置。
  8. 【請求項8】 上記主歯車は、上記頭部及び頸部と上記
    駆動手段との間で伝達される力が所定以上の値になる
    と、この力による上記頭部及び頸部の回転方向とは反対
    方向にスリップするスリップギアを介して上記頸部に連
    結されていることを特徴とする請求項5記載のロボット
    装置。
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