JP2003268352A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JP2003268352A
JP2003268352A JP2002071005A JP2002071005A JP2003268352A JP 2003268352 A JP2003268352 A JP 2003268352A JP 2002071005 A JP2002071005 A JP 2002071005A JP 2002071005 A JP2002071005 A JP 2002071005A JP 2003268352 A JP2003268352 A JP 2003268352A
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Motoki Hiraoka
基記 平岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好なブレーキの利きを保ちつつ相手材の偏摩
耗を抑制し、かつブレーキ鳴きを抑制できる摩擦材を提
供すること。 【解決手段】基材繊維、結合剤および摩擦調整剤を含む
摩擦材を、多孔体硬質粒子と多孔体硬質粒子の細孔内に
固着されている高弾性体とから構成される高弾性アブレ
ーシブ材を含む摩擦調整剤を用いて形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等で使用さ
れるブレーキ,クラッチフェーシング等に用いる摩擦
材、特に相手材の偏摩耗を防いだ摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のブレーキパッドやブレーキラ
イニング等の摩擦材としては従来より種々のものが用い
られている。このような摩擦材としては、スチール繊維
等の無機繊維やアラミド繊維等の有機繊維からなる基材
繊維と種々の摩擦材配合剤とを、フェノール樹脂やイミ
ド樹脂等の結合剤で結合してなる摩擦材が知られてい
る。
【0003】このような摩擦材には一般に摩擦調整剤が
配合される。摩擦調整剤としては、摩擦材と相手材との
摩擦係数を向上させる作用、つまりアブレーシブ力が高
い高硬度のアブレーシブ材が一般に用いられており、摩
擦材にこのような摩擦調整剤を配合することで耐フェー
ド性や摩擦係数を高めることができ、ブレーキの利きを
向上させることが可能となる。
【0004】高硬度のアブレーシブ材を摩擦調整剤とし
て用いた場合、この摩擦調整剤は相手攻撃性が大きくな
るため、相手材を削る特性を持つ。
【0005】ここで、車輌等において摩擦材と相手材と
を完全に平行に配置することは非常に難しく、多くの場
合摩擦材と相手材とは互いにわずかに傾きを持って配置
されている。摩擦材と相手材とが傾きを持って配置され
る場合、ブレーキ引き摺りなどの低面圧時には、ロータ
の特定の部位が摩擦材に接触して削られるために、ロー
タは偏摩耗することとなり肉厚差が生じる。一方、ブレ
ーキ制動時などの高面圧時には、摩擦材の圧縮変形によ
って摩擦材とロータとはその全面で接触するために、ロ
ータは全面で削られて低面圧時に発生した肉厚差が矯正
される。
【0006】しかし、高硬度のアブレーシブ材を含む従
来の摩擦材では、引き摺り時に生じるロータの摩耗量が
大きく、制動時に偏摩耗を矯正することが困難であっ
た。このため、ロータのバランスが崩れてブレーキ振動
が発生する場合があった。
【0007】高面圧時に肉厚差を矯正するためには相手
攻撃性の大きいアブレーシブ材を使用することが有効で
あるが、アブレーシブ材の相手攻撃性が大きすぎる場合
はロータ等の相手材が早期に摩耗してしまう問題や低面
圧時にブレーキ鳴きが発生し易くなる問題がある。ま
た、低面圧時に生じる偏摩耗を低減させるためには相手
攻撃性の小さいアブレーシブ材を使用することが効果的
であるが、アブレーシブ材の相手攻撃性が小さすぎる場
合は充分なブレーキの利きが得られない問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情を考
慮してなされたもので、良好なブレーキの利きを保ちつ
つ相手材の偏摩耗を抑制し、かつブレーキ鳴きを抑制で
きる摩擦材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の摩擦材は、基材繊維、結合剤および摩擦調整剤を含
む摩擦材であって、上記摩擦調整剤は、多孔体硬質粒子
と該多孔体硬質粒子の細孔内に固着されている高弾性体
とから構成される高弾性アブレーシブ材を含むことを特
徴とする。
【0010】本発明の摩擦材において、高弾性アブレー
シブ材を構成する多孔体硬質粒子の細孔内に高弾性体が
固着されていることから、この多孔体硬質粒子の表面に
は高弾性体が突出する部分と多孔体硬質粒子が表出する
部分とが混在することとなる。したがって、低面圧時に
は主に高弾性体が相手材と接触するために摩擦材のアブ
レーシブ力は低く抑えらる。また、高面圧時には高弾性
体が多孔体硬質粒子の細孔内に向かって圧縮されること
から主に多孔体硬質粒子が相手材と接触することとな
り、摩擦材のアブレーシブ力は高くなる。
【0011】また、上記高弾性アブレーシブ材は、上記
摩擦材全体に対して5〜15体積%の割合で配合されて
いることが好ましい。
【0012】上記高弾性体は、上記高弾性アブレーシブ
材全体に対して10〜30体積%の割合で配合されてい
ることが好ましい。
【0013】上記高弾性体は、弾性率が5MPa〜50
MPaの範囲であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明にかかる摩擦材は、基材繊
維、結合剤および摩擦調整材を含む。
【0015】基材繊維としては一般的に使用される種々
の有機繊維および無機繊維を適宜選択して使用すること
ができる。一例を挙げると、無機繊維としてはスチール
繊維,銅繊維,ガラス繊維,セラミック繊維,チタン酸
カリウム繊維を好ましく使用することができ、有機繊維
としてはアラミド繊維を好ましく使用することができ
る。これらの基材繊維はそれぞれ個別に用いることもで
きるし、また、数種を混合して用いることもできる。数
種を混合して用いる場合は、配合される各種の基材繊維
の特性を摩擦材に反映することができる。
【0016】結合剤も同様に、一般的に用いられるもの
から適宜選択して使用することができるが、フェノール
樹脂またはイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いること
が好適である。
【0017】本発明の摩擦材に含まれる摩擦調整剤は、
多孔体硬質粒子と該多孔体硬質粒子の細孔内に固着され
ている高弾性体とから構成される高弾性アブレーシブ材
を含む。
【0018】多孔体硬質粒子としては、モース硬度6〜
9程度のメゾポーラスシリカ,ジルコニア,多孔質アル
ミナ等の通常アブレーシブ材として使用されるものから
選択して使用することができる。
【0019】また、この多孔体硬質粒子は細孔率が10
%〜30%であることが望ましい。細孔率がこれに満た
ないと充分な量の高弾性体を細孔内に固着することが困
難になり、細孔率がこれを超えるとアブレーシブ材とし
ての良好な強度を得ることが困難になる。
【0020】さらにこの多孔体硬質粒子は、平均粒径が
10〜100μmであることが望ましい。平均粒径がこ
れに満たないとアブレーシブ力が小さくなりすぎるため
にブレーキの利きが悪くなる場合がある。また、平均粒
径がこれを超えるとアブレーシブ力が大きくなりすぎる
ために相手材の摩耗が大きくなる。
【0021】そしてこの多孔体硬質粒子は、平均細孔径
が0.05μm〜1μmであることが望ましい。平均細
孔径がこれに満たないと、高弾性体を細孔内に固着する
ことが困難になり、また固着されて高弾性アブレーシブ
材表面に突出する個々の高弾性体が小さくなりすぎるた
め、低面圧時に充分な高弾性体の効果を得ることが困難
になる。平均細孔径がこれを超えると多孔体硬質粒子と
高弾性体との配置のバランスが悪くなり、低面圧時に十
分な高弾性体の効果を得ることが困難になり、また高面
圧時に十分な多孔体硬質粒子の効果を得ることが困難に
なる。
【0022】高弾性体としては、アクリルゴム,フッ素
ゴム,シリコーンゴム,スチレン・ブタジエンゴム,ブ
チルゴム,ウレタンゴム等の既知のゴムあるいは樹脂材
料を用いることができる。このうち、アクリルゴム,フ
ッ素ゴム,シリコーンゴム,ブタジエンゴムは、弾性率
が5MPa〜50MPa程度であり、高面圧時に良好に
圧縮変形することからより好ましく用いることができ
る。
【0023】ここで、本発明の摩擦材の低面圧時及び高
面圧時における状態の変化を図を用いて説明する。本発
明の摩擦材の摸式図を図1に示し、本発明の摩擦材の低
面圧時および高面圧時における状態を表す状態図を図2
に示す。
【0024】摩擦材1中には高弾性アブレーシブ材4が
含まれる。この摩擦材1は摩擦面2で相手材3と接触す
る。したがって、相手材3との面圧が低い低面圧時にお
いては、摩擦材1の摩擦面2に表出している高弾性アブ
レーシブ材4が相手材3と接触する。
【0025】ここで、この高弾性アブレーシブ材4は多
孔体硬質粒子5の細孔に高弾性体6が固着されて形成さ
れている。このため、多孔体硬質粒子5の表面は高弾性
体6が突出した状態となっている。したがって、低面圧
時には高弾性アブレーシブ材4のうち、この高弾性体6
が主に相手材3と接触する。
【0026】ここで摩擦材1は細孔が形成された弾性を
有する構造となっている。このため、ブレーキ制動時な
どの高面圧時には、摩擦材1には相手材に強く押し付け
られることによる圧縮歪みが生じ、摩擦材1はその全面
で相手材3と接することになる。このとき、高弾性アブ
レーシブ材4より突出する高弾性体6にも相手材に強く
押し付けられることによる圧縮歪みが生じる。このため
高弾性体6は多孔体硬質粒子5の細孔内に向かって圧縮
する。したがって、高弾性アブレーシブ材4では多孔体
硬質粒子5が主に相手材3に接触することとなる。
【0027】ここで、多孔体硬質粒子5の細孔内に向か
って圧縮された高弾性体6は、再度面圧が低くなった場
合には、その弾性により元の形状に戻る。したがって、
多孔体硬質粒子5の表面には再度高弾性体6が突出する
こととなり、この高弾性体6が相手材3と接触すること
となる。
【0028】したがって、この構成によると、低面圧時
には高弾性アブレーシブ材4のうち高弾性体6が主に相
手材3に接触するため、相手材3の偏摩耗が抑制されて
生じる肉厚差は小さくなる。また低面圧時には、摩擦係
数が小さい高弾性体6が主に相手材3と接触することか
らブレーキ鳴きが抑制される。そして、高面圧時には高
弾性アブレーシブ材4のうち多孔体硬質粒子5が主に相
手材3と接触するため、低面圧時に生じた肉厚差を良好
に矯正することができ、相手材3の偏摩耗の進行を抑制
することができる。さらに、高面圧時には多孔体硬質粒
子5が主に相手材3と接触することから、ブレーキの利
きは良好に保たれる。
【0029】また、多孔体硬質粒子5が摩耗して高弾性
体6が脱落した場合にも、多孔体硬質粒子5内部に配置
された高弾性体6が新たに表出するため、上述したよう
な低面圧時および高面圧時における効果は保持される。
【0030】また、摩擦材1の使用前には、高弾性体6
が多孔体硬質粒子5の細孔内に充填され、かつ高弾性ア
ブレーシブ材4の表面に突出していない状態をとること
も考えられるが、このような状態であっても、高面圧時
に多孔体硬質粒子5の表面が摩耗することによって、次
の低面圧時には高弾性体6が多孔体硬質粒子5の表面に
突出することとなる。
【0031】多孔体硬質粒子の細孔内に高弾性体を固着
する方法としては、既知の種々の方法を用いることがで
きる。例えば、ゴムや樹脂をラテックス状で細孔内に充
填し、その後に細孔内で固化させる方法を用いることも
できる。また、懸濁重合等によって得られたゴムあるい
は樹脂等の高弾性粒子を溶媒中に分散させ、高弾性粒子
を含む溶液を調製した後にこの溶液を多孔体硬質粒子の
細孔中に充填し、その後に溶媒を除いて高弾性粒子のみ
を細孔内に残すことで細孔内に高弾性体を形成・固着さ
せる方法を用いることもできる。ここでは、単体として
の高弾性粒子、あるいは高弾性粒子の集合体が高弾性体
となる。
【0032】この高弾性体と多孔体硬質粒子との固着の
強度を高めるために、高弾性体の表面に固着の強度を向
上させる処理をおこなうことが好ましい。このような処
理としては種々の既知の方法を用いることができるが、
例えば、高弾性粒子の表面を樹脂等からなる接着材料で
コーティングすることで高弾性体と多孔体硬質粒子との
固着の強度を高める方法や、高弾性体の表面に界面活性
剤等を作用させることで高弾性粒子の表面を改質して高
弾性体と多孔体硬質粒子との固着の強度を高める方法を
用いることが好適である。
【0033】高弾性体を多孔体硬質粒子の細孔内に充填
する際には、多孔体硬質粒子の表面全体が高弾性体で被
覆されないよう、多孔体硬質粒子表面より高弾性体を除
去する処理を行うことが好ましい。すなわち、多孔体硬
質粒子の表面全面を高弾性体で被覆させた場合には、形
成された高弾性アブレーシブ材が互いに凝着し、この高
弾性アブレーシブ材を摩擦材全体に均一に配置させるこ
とが困難になるため好ましくない。
【0034】多孔体硬質粒子表面より高弾性体を除去す
る処理としては、既知の物理的・化学的方法を用いるこ
とができる。例えば、多孔体硬質粒子の細孔内に高弾性
体を充填した後、高弾性体が固着する前に多孔体硬質粒
子表面を拭取する方法や、多孔体硬質粒子に振動を加え
て表面に付着した高弾性粒子を振り払う方法を用いるこ
ともできる。また、高弾性体が多孔体硬質粒子表面に固
着した後に、物理的方法により表面を研磨してもよい
し、化学的方法により表面の高弾性体を除去することも
できる。
【0035】また、高弾性体を多孔体硬質粒子の細孔内
に充填する際には、加圧等の操作により強制的に充填を
行うことが好ましい。高弾性体あるいは高弾性粒子の溶
液は比較的粘度の高いものであるため、加圧等の操作を
行わない場合はこのような溶液を細孔径の小さい多孔体
硬質粒子の細孔中に良好に充填することが困難なためで
ある。
【0036】本発明において、高弾性アブレーシブ材
は、前記摩擦材全体に対して5〜15体積%の割合で配
合されていることが好ましい。
【0037】高弾性アブレーシブ材の配合割合がこれを
超えると、摩擦材のアブレーシブ力が過剰になり相手攻
撃性が高くなりすぎるため好ましくない。また、高弾性
アブレーシブ材の配合割合がこれに満たないと、摩擦材
のアブレーシブ力が充分でなくなり、摩擦材として十分
な効果を得られなくなるため好ましくない。
【0038】本発明の摩擦材に用いられる高弾性体は、
高弾性アブレーシブ材全体に対して10〜30体積%の
割合で配合されていることが好ましい。高弾性体の配合
割合がこれに満たないと、低面圧時におけるアブレーシ
ブ力が大きくなり、高弾性体の配合割合がこれを超える
と、高面圧時に充分なアブレーシブ力を得ることが困難
になる。
【0039】ここで、高弾性体の配合割合は多孔体硬質
粒子の細孔率と密接に関係している。すなわち、多孔体
硬質粒子の細孔率が大きくなると、この細孔に充填され
固着される高弾性体の量は多くなり、また、多孔体硬質
粒子の細孔率が小さくなるとこの細孔に充填され固着さ
れる高弾性体の量は少なくなる。したがって多孔体硬質
粒子の細孔率は、上述した好ましい割合の高弾性体を充
填・固着できる細孔率であることが好ましく、10〜3
0%の範囲であることが望ましい。
【0040】本発明の摩擦材に用いられる高弾性体は、
弾性率が5MPa〜50MPaの範囲であることが好ま
しい。弾性率がこれに満たないと、高面圧時における高
弾性体の圧縮が十分でなく、高面圧時にも突出した状態
が続く場合がある。この場合、相手材との摩擦によって
高弾性体が摩耗し、次の低面圧時に多孔体硬質粒子の作
用が支配的になる場合があるため好ましくない。弾性率
がこれを超えると、低面圧時にも圧縮する場合があり、
この場合、低面圧時における多孔体硬質粒子の作用が支
配的になるため好ましくない。
【0041】また摩擦調整材としては、高弾性アブレー
シブ材の他にも金属粉,潤滑剤,有機充填材,無機充填
材等を適宜加えてもよい。
【0042】このうち金属粉としては銅,真鍮,亜鉛,
酸化鉄などが好ましく利用でき、潤滑剤としてはグラフ
ァイト,三硫化アンチモン,二硫化モリブデン,二硫化
亜鉛などが好ましくが利用できる。また有機充填剤とし
てはカシューダスト,ラバーダスト等が好ましく使用で
き、無機充填剤としては硫酸バリウム,炭酸カルシウ
ム,水酸化カルシウム,マイカ,カオリン,タルクなど
をさらに加えることができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明する。
【0044】(試料1) (1)高弾性アブレーシブ材の調製 試料1の摩擦材に用いる高弾性アブレーシブ材の材料と
しては、多孔体硬質粒子として平均粒径20μm,平均
細孔径0.5μm,細孔率20%のメソポーラスシリカ
を用い、高弾性体原料としてブタジエンゴムを用いた。
懸濁重合によって得られたブタジエンゴムの高弾性粒子
を水に分散させて、高弾性粒子を含む溶液を調製した。
次にこの溶液にアクリル樹脂を加えて攪拌し、高弾性粒
子の表面にアクリル樹脂を付着させた。この溶液中に多
孔体硬質粒子を加えて再度攪拌した後に真空加圧を行
い、高弾性粒子を多孔体硬質粒子の細孔内に充填した。
高弾性粒子が充填された多孔体硬質粒子を溶液より取出
し、振動を加えることにより多孔体硬質粒子表面の高弾
性粒子を振り払った。その後に乾燥させることによって
水を除去するとともに高弾性粒子を細孔内に固着させて
高弾性体を形成した。以上の操作によって多孔体硬質粒
子の細孔中に高弾性体を固着させた高弾性アブレーシブ
材を得た。この高弾性アブレーシブ材には20体積%の
高弾性体が含まれている。 (2)摩擦材の調製 摩擦材原料全体の配合量に対して、上記の操作で得られ
た高弾性アブレーシブ材を10体積%配合し、フェノー
ル樹脂22.2体積%,アラミド繊維16.7体積%,
カーボン繊維16.7体積%,カシューダスト16.7
体積%,グラファイト8.9体積%,銅繊維6.7体積
%,BaSO412.2体積%の配合比からなる摩擦材
原料によって100%とした。
【0045】これら原料をアイリッヒミキサーを用いて
チョッパー2000〜3000r.p.m、パン64
r.p.mの条件下で2〜5分混合し、混合物を得た。
この混合物を金型に入れ、圧力3MPa,10秒間の条
件で予備成形した後に180℃,圧力35MPaで5〜
10分間加熱成形した。成形後に230℃の炉で1時間
加熱処理をして試料1の摩擦材を得た。
【0046】(試料2)摩擦材原料全体の配合量に対し
て、試料1の操作で得られた高弾性アブレーシブ材を1
体積%配合し、摩擦材原料によって100%とした。
その他の製造方法は試料1に記載のとおりに行うことで
試料2の摩擦材を得た。
【0047】(試料3)摩擦材原料全体の配合量に対し
て、試料1の操作で得られた高弾性アブレーシブ材を3
体積%配合し、摩擦材原料によって100%とした。
その他の製造方法は試料1に記載のとおりに行うことで
試料3の摩擦材を得た。
【0048】(試料4)摩擦材原料全体の配合量に対し
て、試料1の操作で得られた高弾性アブレーシブ材を5
体積%配合し、摩擦材原料によって100%とした。
その他の製造方法は試料1に記載のとおりに行うことで
試料4の摩擦材を得た。
【0049】(試料5)摩擦材原料全体の配合量に対し
て、試料1の操作で得られた高弾性アブレーシブ材を1
5体積%配合し、摩擦材原料によって100%とし
た。その他の製造方法は試料1に記載のとおりに行うこ
とで試料5の摩擦材を得た。
【0050】(試料6)摩擦材原料全体の配合量に対し
て、試料1の操作で得られた高弾性アブレーシブ材を2
0体積%配合し、摩擦材原料によって100%とし
た。その他の製造方法は試料1に記載のとおりに行うこ
とで試料6の摩擦材を得た。
【0051】(試料7)アブレーシブ材として平均粒径
20μmのシリカを用いた。摩擦材原料全体の配合量に
対して、このアブレーシブ材を10体積%配合し、摩擦
材原料によって100%とした。その他の製造方法は
試料1に記載のとおりに行うことで試料7の摩擦材を得
た。
【0052】上記の試料1〜7の摩擦材の配合組成を表
1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】<摩擦試験>上記試料1〜7の摩擦材を用
いて摩擦試験を行った。試験機としてはテストピースダ
イナモ試験機を用いた。このテストピースダイナモ試験
機に自動車のブレーキロータを組み込み、このブレーキ
ロータと摩擦材とを摩擦させることで、実際の摩擦材の
使用条件と同じ条件で摩擦試験を行った。試験条件は、
各摩擦材を面圧0.5MPa,1.0MPa,1.5M
Pa,2.0MPa,2.5MPa,3.0MPaの各
面圧条件でロータに押付して、このときの摩擦係数を測
定した。制動前温度は100℃であり、ブレーキロータ
は自動車が時速70Kmで走行する場合のロータの回転
数となるように駆動し、その後に駆動を解除すること
で、ロータの回転を自由停止させた。
【0055】制動回数は各々の面圧で各1000回づつ
とし、摩擦係数は各制動時における測定値の平均値とし
た。また、各々の摩擦材の各面圧条件での1000回の
制動終了後のロータの摩耗量を測定した。試料1〜試料
7の摩擦材によるロータの摩耗量と面圧との関係を表す
グラフを図3に示し、試料1〜試料7の摩擦材の摩擦係
数と面圧との関係を表すグラフを図4に示す。 <性能評価>図3および図4のグラフに示される試料1
の摩擦材と試料7の摩擦材との摩擦試験の結果を比較す
る。ここで、試料1の摩擦材と試料7の摩擦材とは同量
のアブレーシブ材が配合されたものである。また、試料
1の摩擦材はアブレーシブ材として多孔体硬質粒子の細
孔内に高弾性体が固着されている本発明の高弾性アブレ
ーシブ材を含み、試料7の摩擦材はシリカのみからなる
従来のアブレーシブ材を含むものである。
【0056】図3のグラフに示すように、試料1の摩擦
材は、試料7の摩擦材と比較して低面圧時には少ないロ
ータの摩耗量を示しかつ高面圧時には同程度のロータの
摩耗量を示す。すなわち、試料1の摩擦材によると、低
面圧時に生じるロータの偏摩耗が小さく、高面圧時には
ロータの偏摩耗が良好に矯正されるため、ロータの偏摩
耗が進行することを抑制することができる。したがっ
て、試料1の摩擦材は試料7の摩擦材と比較して相手材
の偏摩耗を低減させるものであることがわかる。
【0057】また図4のグラフに示すように、試料1の
摩擦材は、試料7の摩擦材と比較して低面圧時の摩擦係
数が低下している。上述したように、一般に低面圧時に
大きな摩擦係数を示す摩擦材においてはブレーキ鳴きが
発生し易いとされている。このことから、試料1の摩擦
材はブレーキ鳴きが抑制されると考えられる。さらに、
試料1の摩擦材は高面圧時には試料7の摩擦材と同程度
の摩擦係数を示す。すなわち、試料1の摩擦材は試料7
の摩擦材と同程度のブレーキの利きを示すものである。
【0058】また、図3および図4のグラフによると、
試料1と同じ高弾性アブレーシブ材を用い、かつ高弾性
アブレーシブ材の配合量が5〜15体積%の範囲である
試料4および試料5の摩擦材は、試料1の摩擦材と同程
度のロータ摩耗量を示し、かつ試料1と同程度の摩擦係
数を示す。このため、これらの摩擦材も試料1の摩擦材
と同様にロータの偏摩耗を抑制し、かつ良好なブレーキ
の利きを保ち、さらにブレーキの鳴きを抑制するもので
あることがわかる。
【0059】さらに、高弾性アブレーシブ材の配合量が
1〜3体積%である試料2および試料3の摩擦材は、試
料1の摩擦材と比較して高面圧時における摩擦係数が小
さくなる。したがって、良好なブレーキの利きを得るこ
とが困難になる。また、高弾性アブレーシブ材の配合量
が20体積%である試料6の摩擦材は試料1の摩擦材と
比較して摩擦係数が大きくなるためにロータの摩耗量が
増大する。このことからも、本発明の摩擦材には高弾性
アブレーシブ材が5〜15体積%の割合で配合されるこ
とが好ましいことがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の摩擦材
によると、低面圧時の摩耗量と高面圧時の摩耗量の差が
大きいため、相手材に生じる偏摩耗を抑制することがで
き、かつ、高面圧時の摩擦係数は高く保たれているため
に良好なブレーキの利きが保たれる。さらに、低面圧時
の摩擦係数の上昇が抑えられているため、ブレーキ鳴き
を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦材の摸式図である。
【図2】本発明の摩擦材の低面圧時および高面圧時にお
ける状態を表す状態図である。
【図3】試料1〜試料7の摩擦材によるロータの摩耗量
と面圧との関係を表すグラフである。
【図4】試料1〜試料7の摩擦材の摩擦係数と面圧との
関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1:摩擦材 2:摩擦面 3:相手材 4:高弾
性アブレーシブ材 5:多孔体硬質粒子 6:高弾性体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 69/02 F16D 69/02 F Fターム(参考) 3J056 AA31 BA01 BB23 BE28 CA04 EA02 EA13 EA22 EA26 EA28 EA30 GA02 GA05 GA12 3J058 BA21 BA23 BA42 FA01 GA07 GA20 GA23 GA26 GA28 GA45 GA55 GA81 GA92 GA93

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材繊維、結合剤および摩擦調整剤を含
    む摩擦材であって、 前記摩擦調整剤は、多孔体硬質粒子と該多孔体硬質粒子
    の細孔内に固着されている高弾性体とから構成される高
    弾性アブレーシブ材を含むことを特徴とする摩擦材。
  2. 【請求項2】 前記高弾性アブレーシブ材は、前記摩擦
    材全体に対して5〜15体積%の割合で配合されている
    請求項1に記載の摩擦材。
  3. 【請求項3】 前記高弾性体は、前記高弾性アブレーシ
    ブ材全体に対して10〜30体積%の割合で配合されて
    いる請求項1に記載の摩擦材。
  4. 【請求項4】 前記高弾性体は、弾性率が5MPa〜5
    0MPaの範囲である請求項1に記載の摩擦材。
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