JP2003268159A - ゴム組成物及び転動装置用シール部材 - Google Patents

ゴム組成物及び転動装置用シール部材

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JP2003268159A JP2002077778A JP2002077778A JP2003268159A JP 2003268159 A JP2003268159 A JP 2003268159A JP 2002077778 A JP2002077778 A JP 2002077778A JP 2002077778 A JP2002077778 A JP 2002077778A JP 2003268159 A JP2003268159 A JP 2003268159A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来と同等の物性を有しながら、環境ホルモ
ンの可能性があるフタル酸エステル類を放出することの
ないゴム組成物、並びに前記ゴム組成物からなる弾性部
材を備え、従来と同等のシール性能を有しかつ環境汚染
を引き起こすおそれのないシール部材を提供する。 【解決手段】 アクリロニトリルブタジエンゴムに、ア
ジペート系可塑剤、セバケート系可塑剤、ホスフェート
系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、ポリエステル系可塑
剤、液状ゴムの少なくとも1つを添加してなるゴム組成
物、並びに前記ゴム組成物を成形してなる弾性部材を備
える転動装置用シール部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受、自動
車用ハブユニット、リニアガイド装置、ボールねじ装置
等の転動装置のシール部材及び前記シール部材に好適な
ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、転がり軸受では、封入グリースの
漏洩や外部からの異物の侵入を防ぐために、シールが付
設されている。例えば、図1に示すシール付き転がり軸
受20では、内輪21と外輪22との間に、保持器23
を介して複数個の転動体24を転動自在に保持してな
り、更に外輪22の内面に設けられた止め溝25に、シ
ール30を固着して概略構成されている。このシール3
0は、外周に鉤部を有するリング状の芯金31と、その
外側の弾性部材32とを一体に成形してなり、その機能
上から、芯金31の鉤部以外とその外側の弾性部材とか
らなる円環状の主部33と、芯金31の鉤部とその外側
の弾性部材とからなり外輪22の止め溝25に係止され
る加締部34と、芯かね31の内周側の弾性部材からな
り内輪21の外周面に設けられた受け溝26に接触する
リップ部35とから構成されている。尚、図2は、内輪
21の受け溝25及びシール30のリップ部35を拡大
して示す図である。
【0003】また、自動車や鉄道車両の車輪を支持する
車輪用転がり軸受は、通常、雨水や風雪、塵埃等に曝さ
れながら屋外で使用される。極端な場合には、水中に浸
漬した状態で使用されることもある。そこで、車輪用転
がり軸受では、例えば図3に示されるような密封構造が
採られている。図示される転がり軸受Oにおいて、固定
輪である外輪相当部材1は、その外周面に形成した取付
部2により、懸架装置(図示せず)に支持固定される。
従ってこの外輪相当部材1は、使用時にも回転しない。
この様な外輪相当部材1の内側には回転輪である内輪相
当部材3が、外輪相当部材1と同心に設けられ、使用時
にこの内輪相当部材3が回転する。この内輪相当部材3
は、ハブ4と内輪5とから成る。このうちのハブ4の内
周面にはスプライン溝6が、外端(車両への組み付け時
に幅方向外側になる端を言い、図3の左端)部外周面に
は取付フランジ7が、それぞれ形成されている。車両へ
の組み付け時、上記スプライン溝6には等速ジョイント
を介して回転駆動される駆動軸が挿入され、上記取付フ
ランジ7には車輪が固定される。
【0004】上記外輪相当部材1の内周面には複列の外
輪軌道8、8が、上記ハブ4の中間部外周面と上記内輪
5の外周面とには内輪軌道9、9が、それぞれ形成され
ている。そして、これら各外輪軌道8、8と内輪軌道
9、9との間に転動体10、10を設けて、上記外輪相
当部材1の内側での内輪相当部材3の回転を自在として
いる。また、転動体10、10を転動自在に保持するた
めに、保持器11、11が設けられている。尚、図示の
例では転動体10、10として玉を使用しているが、重
量が嵩む車両用のハブユニットの場合には、転動体とし
てテーパころを使用する場合もある。更に、上記外輪相
当部材1の外端部と上記ハブ4の中間部外周面との間に
はシール装置12aと12bとが設けられ、上記外輪相
当部材1の内周面と上記内輪相当部材3の外周面との間
で、上記転動体10、10を設置した空間13部分の外
端開口を塞いでいる。
【0005】シール装置12aは、図4に拡大して示さ
れるように、芯金105と、スリンガ106と、弾性部
材107とから構成される。このうちの芯金105は、
低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工並
びに塑性加工を施す事により、一体成形されている。こ
の様な芯金105は、転がり軸受Oを構成する外輪相当
部材1の端部内周面に内嵌固定自在な外径側円筒部10
9と、この外径側円筒部109の軸方向内端縁(図4の
左端縁)から直径方向内方に折れ曲がった内側円輪部1
10を備えた、断面略L字形で円環状に形成されてい
る。また、上記スリンガ106は、ステンレス鋼板等、
優れた耐食性を有する金属板に、やはりプレス加工等の
打ち抜き加工並びに塑性加工を施す事により一体成形さ
れている。この様なスリンガ106は、上記転がり軸受
Oを構成する内輪5の外端部外周面に外嵌固定自在な内
径側円筒部112と、この内径側円筒部112の軸方向
外端縁(図4の右端縁)から直径方向外方に折れ曲がっ
た外側円輪部113とを備えた、断面L字形で円環状に
形成されている。
【0006】また、上記弾性部材107は弾性材料から
なり、外側、中間、内側の3本のシールリップ114、
115、116を備え、上記芯金105にその基端部が
結合固定されている。そして、最も外側に位置する外側
シールリップ114の先端縁を上記スリンガ106を構
成する外側円輪部113の内側面に摺接させ、残り2本
のシールリップである中間シールリップ115及び内側
シールリップ116の先端縁を、上記スリンガ106を
構成する内径側円筒部112の外周面に摺接させること
により、封入グリースの漏洩を防止するとともに、外部
からの塵埃、水、泥水等の軸受内部への侵入を防止す
る。
【0007】シール装置12bは、図5に拡大して示さ
れるように、それぞれが円輪状に形成された芯金216
と弾性部材217とから構成される。このうちの芯金2
16は、金属板により造り、上記外輪相当部材1の外端
部に内嵌固定されている。また、上記弾性部材217は
弾性材料からなり、上記芯金216に成形し接着等によ
り接合固定されている。また、この弾性部材217は、
外径側、内径側、2本のサイドシールリップ218、2
19と、1本のラジアルシールリップ220とを備え
る。そして、上記2本のサイドシールリップ218、2
19を、先端縁(図3の左端縁)に向かう程直径方向外
方(図5の上方)に向かう方向に傾斜させる事により、
空間13内への異物進入防止機能を確保している。ま
た、上記ラジアルシールリップ220を、先端縁(図5
の右下縁)に向かう程上記空間13の内側(図5の右
側)に向かう方向に傾斜させる事により、グリースの漏
洩防止機能を確保している。
【0008】更に詳しく説明すると、シール装置12b
は、それぞれが円輪状に形成された芯金216と弾性部
材217とから構成されている。シール装置12bの芯
金216は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打
ち抜き加工並びに塑性加工を施す事により、一体成形さ
れている。この芯金216は、転がり軸受Oを構成する
外輪相当部材1の端部内周面に内嵌固定自在な外径側円
筒部222と、この外径側円筒部222の外端縁(図5
の左端縁)から直径方向内方に折れ曲がった支持板部2
23とを備える。このうちの外径側円筒部222は、内
端寄り(図5の右寄り)の大径部224と弾性部材21
7とにより、芯金216を構成する支持板部223の外
側面(図5の左側面)全体を覆うと共に、この弾性部材
217の外周縁部を、上記嵌合筒部222から連続する
傾斜部227の外周面と外輪相当部材1の開口端部内周
面との間で挟持している。そして、この構成により、上
記芯金216と外輪相当部材1との嵌合部を密封してい
る。また、上記大径部224の自由状態に於ける外径
は、外輪相当部材1の外端開口部の内径よりも僅かに大
きく設定されており、この大径部224は、外輪相当部
材1の外端開口部に、締まり嵌めで内嵌固定自在とされ
ている。また、上記支持板部223は、略S字形の断面
形状を有し、直径方向内方(図5の下方)に向かう程空
間13内に設置した転動体10、10に近づく方向(図
5の右方向)に傾斜している。
【0009】一方、上記芯金216と共に上記シール装
置12bを構成する弾性部材217は、上記芯金216
に対してインサート成型し、接着等により接合固定され
ている。この様な弾性部材217の外周縁部は上記傾斜
部227の外周面を覆っている。また、この様な弾性部
材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っている部
分の自由状態での外径は、上記外輪相当部材1の外端開
口部の内径よりも少し大きく設定されており、上記大径
部224をこの外端開口部に内嵌固定した状態では、上
記弾性部材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っ
ている部分が、この傾斜部227の外周面と上記外端開
口部の内周面との間で弾性的に押圧され、当該部分のシ
ール性を確保する。
【0010】更に、上記弾性部材217の基部226
は、上記支持板部223の外側面(図5の左側面)を、
全周に亙り完全に覆っている。また、この基部226の
外側面及び内周縁には、外径側、内径側、2本のサイド
シールリップ218、219と、1本のラジアルシール
リップ220とが形成されていおり、2本のサイドシー
ルリップ218、219を、先端縁(図5の左端縁)に
向かう程直径方向外方(図5の上方)に向かう方向に傾
斜させる事により、空間13内への異物進入防止機能を
確保している。また、上記ラジアルシールリップ220
を、先端縁(図3の右下縁)に向かう程上記空間13の
内側(図5の右側)に向かう方向に傾斜させる事によ
り、グリースの漏洩防止機能を確保している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記に挙げたシール3
0やシール装置12a、12bの弾性部材には、従来、
ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素
ゴム等の合成ゴムに、機械的強度を増強させるための充
填材に加えて、柔軟性や加工性を高めるためにDOP
(フタル酸ジ(2−エチルヘキシル))等のフタル酸エ
ステル類からなる可塑剤が配合されたゴム材料が広く使
用されている。このフタル酸エステル類からなる可塑剤
は、プラスチックやゴムに一般的に配合される可塑剤で
あり、これまで世界各国で広く使用されている。
【0012】しかし、近年の環境問題の高揚に伴って所
謂「環境ホルモン」が注目されてきており、フタル酸エ
ステル類が環境ホルモンとなる可能性があることが知見
されている。シール30やシール装置12a,12bの
弾性部材は相手部材と摺動して摩耗し、摩耗粉とともに
フタル酸エステル類が外部に放散するため、環境汚染を
引き起こすことが懸念される。
【0013】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、従来と同等の物性を有しながら、環境ホル
モンの可能性があるフタル酸エステル類を放出すること
のないゴム組成物、並びに前記ゴム組成物からなる弾性
部材を備え、従来と同等のシール性能を有しかつ環境汚
染を引き起こすおそれのないシール部材を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、アクリロニトリルブタジエンゴムに、
アジペート系可塑剤、セバケート系可塑剤、ホスフェー
ト系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、ポリエステル系可
塑剤、液状ゴムの少なくとも1つを添加してなることを
特徴とするゴム組成物、並びに前記ゴム組成物を成形し
てなる弾性部材を備えることを特徴とする転動装置用シ
ール部材を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。
【0016】本発明のゴム組成物のベース樹脂であるア
クリロニトリルブタジエンゴムは、ブタジエンとアクリ
ロニトリルとを共重合した耐油性ゴムとして一般的に広
く使用されており、本発明においては市販品を含め制限
なく使用することができる。また、アクリロニトリルブ
タジエンゴムを水素化した水素添加アクリロニトリルブ
タジエンゴム、更にイソプレンを共重合させたアクリロ
ニトリルブタジエンイソプレンゴム、分子内にカルボキ
シル基を導入したカルボキシル化アクリロニトリルブタ
ジエンゴム、更に水素化したカルボキシル化水素添加ア
クリロニトリルブタジエンゴム等の各種変性アクリロニ
トリルブタジエンゴムも使用できる。これらのアクリロ
ニトリルブタジエンゴムは、二種以上を混合して使用す
ることもできる。
【0017】また、上記アクリロニトリルブタジエンゴ
ムにおけるアクリロニトリルの含有量は特に制限される
ものではなく、含有量が少ない順に低ニトリル、中ニト
リル、中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルに分類
されるが、本発明のゴム組成物の主要用途であるシール
部材への適用を考慮すると、耐熱性や耐油性、耐摩耗
性、耐クリープ性、リップ追従性等から、中ニトリル、
中高ニトリル、高ニトリルが好ましく、その場合のアク
リロニトリル含有量は20〜40%である。より好適に
は、アクリロニトリル含有量は25〜36%であり、こ
の範囲であればバランスの良い特性を示す。
【0018】上記アクリロニトリルブタジエンゴムに
は、可塑剤として、アジペート系可塑剤、セバケート系
可塑剤、ホスフェート系可塑剤、ポリエーテル系可塑
剤、ポリエステル系可塑剤、液状ゴムの少なくとも1つ
を含有する。それぞれの好ましい具体例を以下に例示す
る。
【0019】アジペート系可塑剤としては、例えばDO
A(ジオクチルアジペート)、BXA(ジブチルグリコ
ールアジペート)、ジブチルカルビトールアジペート等
が挙げられる。
【0020】セバケート系可塑剤としては、例えばジオ
クチルセバケート、ジブチルセバケート等が挙げられ
る。
【0021】ホスフェート系可塑剤としては、例えばト
リクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェ
ート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート等が挙がられ
る。
【0022】ポリエーテル系可塑剤としては、例えば可
塑剤構造中に次のうち2つ以上を含むものが挙げられ
る。 R1−O−R2、 R3−OCONH−R4、 R5−OC
OO−R6 式中、R1〜R6は有機基を表し、より優れた可塑化効率
を与えるために、R1〜R6中に官能基、例えばカルボキ
シル基、カルボニル基、ビニル基、スルホン酸基、フェ
ニル基、ハロゲン化物、アルコキシ基、アシロキシ基、
アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基
等を含有してもよく、更にはエステル結合、ウレタン結
合等の他結合を含有してもよい。
【0023】ポリエステル系可塑剤としては、例えば可
塑剤構造中に酸とアルコールより反応したエステル基、
1−COO−R2(R1,R2は有機基を表す)を少なく
とも2つ以上含有するものが挙げられる。より優れた可
塑化効率を与えるために、R 1、R2中に官能基、例えば
カルボキシル基、カルボニル基、ビニル基、スルホン酸
基、フェニル基、ハロゲン化物、アルコキシ基、アシロ
キシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシ
メート基等を含有してもよく、更にはエーテル結合、ウ
レタン結合等の他結合を含有してもよい。
【0024】液状ゴムとしては、例えば中高ニトリル液
状ゴム、カルボキシル基含有中ニトリル液状ゴム等が挙
げられる。
【0025】これらの可塑剤は、単独でもよいし、複数
を組み合わせて使用してもよい。また、その添加量は、
フタル酸エステル類からなる可塑剤と同様で構わず、ゴ
ム100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは3
〜10重量部である。
【0026】本発明のゴム組成物には、その用途に応じ
て上記の他に種々の添加物が添加される。以下に、本発
明の主用途であるシールやシール装置の弾性部材とする
場合に適当な添加物を示す。
【0027】補強性充填材として、カーボンブラックや
白色系充填材を添加することが好ましい。カーボンブラ
ックは特に制限されるものではないが、例えばSAF(Supe
r Abrasion Furnace Black)、ISAF(Intermediate Super
Abrasion Furnace Black)、HAF(High Abrasion Furnac
e Black)、MAF(Medium Abrasion Furnace Black)、FEF
(Fast Extruding Furnace black)、GPF(General Purpos
e Furnace black)、SRF(Simi-Reinforcing Furnace bla
ck)、FT(Fine Thermal Furnace black)、MT(Medium The
rmal Furnace black)等を挙げることができる。中で
も、補強性と成形加工性のバランスに優れたHAF、MAF、
FEF、GPF及びSRFが好ましく、特にFEF、GPF及びSRFが好
ましい。
【0028】また、白色系充填材としては、各種シリ
カ、塩基性炭酸マグネシウム、活性化炭酸カルシウム、
特殊炭酸カルシウム、超微粒ケイ散マグネシウム、クレ
ー(ケイ酸アルミニウム)、タルク(ケイ酸マグネシウ
ム)、珪藻土、ウォラストナイト(ケイ散カルシウム)
等が挙げられる。尚、クレーは、粒子の結晶度、結晶表
面の水酸基の活性度を考慮すると、ハードクレーと呼ば
れる粒径の細かいもの(特に、2μm以下が多く含まれ
るもの)がより補強効果が大きく好ましい。
【0029】補強性充填材の添加量は、カーボンブラッ
クについては、アクリロニトリルブタジエンゴム100
重量部に対して20〜90重量部である。添加量が20
重量部未満では十分な補強効果が発現されず、また、9
0重量部を越えて添加してもゴム組成物の硬度が高くな
るとともに伸びが低下し、本来有するゴム弾性が低下す
る。一方、白色系充填材については、アクリロニトリル
ブタジエンゴム100重量部に対して20〜150重量
部である。添加量が20重量部未満では十分な補強効果
が発現されず、また、150重量部を越えて添加しても
ゴム組成物の硬度が高くなるとともに伸びが低下し、本
来有するゴム弾性が低下する。また、カーボンブラック
と白色系充填材とを混合して添加することもでき、その
場合の添加量は、アクリロニトリルブタジエンゴム10
0重量部にカーボンブラックを10〜90重量部、白色
系充填材を10〜110重量部、合計で20〜200重
量部とすることが好ましい。合計添加量が20重量部未
満では十分な補強効果が得られず、また、200重量部
を超える場合には、硬度が高くなるとともに伸びが低く
なり、本来有するゴム弾性が低下する。
【0030】また、成形のための加硫剤(架橋剤)、加
硫助剤、加硫促進助剤が配合される。加硫剤としては、
粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、高分散性硫黄等の各種硫
黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジス
ルフィド、N,N−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H
−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド等の硫黄
を排出可能な硫黄化合物、ジクミルパーオキサイド、ジ
(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、
2,5−ジメチルヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド
等の過酸化物等が挙げられる。中でも、分散性や取り扱
いの容易さ、耐熱性の点で、高分散性硫黄やモルホリン
ジスルフィドを使用することが好ましい。
【0031】尚、硫黄系の加硫剤を用いる場合は、グア
ニジン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、チ
アゾール系化合物、チオウレア系化合物、スルフェンア
ミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバメート
系化合物、キサンテート系化合物等を加硫助剤として併
用する必要がある。硫黄系の加硫剤の中でも高分散性硫
黄を用いる場合には、チウラム系のテトラメチルチウラ
ムジスルフィド等またはスルフェンアミド系のN−シク
ロベンジル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等
と、チアゾール系の2−メツカプトベンゾチアゾール等
とを併用することが好ましい。
【0032】加硫促進助剤としては、酸化亜鉛等の金属
酸化物、金属炭酸塩、金属水酸化物、ステアリン酸等の
有機酸とその誘導体、及びアミン類等が挙げられる。
尚、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴムを
用いる場合には、酸化亜鉛を用いると早期加硫を生じや
すいため、過酸化亜鉛とステアリン酸とを併用すること
が好ましい。過酸化亜鉛は、ゴム組成物の混練り加工時
の温度ではそのまま組成物中に存在し、加硫成形時に酸
化亜鉛を生じるため、混練り加工時及び保管時に早期加
硫を生じることがない。
【0033】また、有機過酸化物系加硫剤を用いる場合
は、架橋助剤(コエージェント)を併用することもでき
る。架橋助剤の例としては、テトラヒドロフルフリルメ
タクリレート、エチレンジメクリレート、1,3−ブチ
レンジメタクリレート、1,4−メチレンジメタクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、2,2´−ビス(4−メタクリロキシ
ジエトキシフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−
アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、オリゴエステルアクリレート、アルミニウ
ム(メタ)アクリレート、ジンク(メタ)アクリレー
ト、マグネシウム(メタ)アクリレート、カルシウム
(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、
トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、
ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニ
ルベンゼン、2−ビニルピリジン、N,N´−メチレン
ビスアクリルアミド、p−キノンジオキシム、p,p´
−ジベンゾイルキノンジオキシム、1,2−ポリブタジ
エン、メタクリル酸金属塩等が挙げられる。これら架橋
助剤の配合量は、通常、アクリロニトリルブタジエンゴ
ム100重量部に対して1〜10重量部である。
【0034】更に、必要に応じて、老化防止剤、カップ
リング剤、顔料、染料、離型剤、加工助剤、摩耗改良
剤、摩擦改良剤、導電性付与剤等を添加することができ
る。これらは何れも公知のもので構わないが、以下に好
ましい例を示す。
【0035】摩擦改良剤としては、融点が40〜140
℃のワックス(低融点油脂)が挙げられる。具体的に
は、上記融点範囲にあるパラフィンワックスやマイクロ
クリスタリンワックスに代表される石油ワックス、ポリ
エチレンワックス、モンタンワックス、カルナウワック
ス、エステル系ワックス、ステアロアミド、オキシステ
アロアミド、エルシンアミド、ラウリルアミド、パルミ
チルアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、エチレ
ンビスオレイルアミド、ステアリルオレイルアミド等が
挙げられる。中でも、パラフィンやポリエチレンワック
スが好ましい。これらワックス類をアクリロニトリルブ
タジエンゴム100重量部に対して3〜30重量部添加
すると、摩擦特性が向上する。添加量が3重量部未満で
は十分な潤滑性が付与されず、30重量部を超えると十
分な引張強度、伸びが得られず、ゴム弾性が低下するだ
けでなく、シール装置を構成する芯金との接着性が極端
に低下するおそれがある。
【0036】摩擦改良剤としては、鉱油、エーテル系オ
イル、シリコーン系オイル、ポリα−オレフィンオイ
ル、フッ素オイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられ
る。中でも、シリコーン系オイルが好ましい。シリコー
ン系オイルはポリジメチルシロキサンを主成分とする常
温で液体の物質であるが、アクリロニトリルブタジエン
系ゴムとの相溶性を高めるために、ポリジメチルシロキ
サンのメチル基の一部または分子末端がアミノ基、アル
キル基、エポキシ基、ポリエーテル基、高級脂肪酸エス
テル等で置換された変性タイプでもよい。このような官
能基を有することにより、官能基がアクリロニトリルブ
タジエンゴムの主鎖に反応もしくは吸着して弾性部材の
表面に一度にブルームすることを防止すると同時に、徐
々に恒久的にブルームしてその効果を長期にわたり維持
する。これら摩擦改良剤は液状であるため、少量でその
効果を発現し、アクリロニトリルブタジエンゴム100
重量部に対して1〜30重量部添加することにより潤滑
性が向上する。添加量が1重量部未満では十分な潤滑性
が付与されず、30重量部を超えると加工時に添加剤の
分散不良が起こるだけでなく、シール装置を構成する芯
金との接着性が極端に低下するおそれがある。尚、粘度
ついては制限がなく、市販されているものが何れ使用で
きるが、25℃における動粘度が2〜10000mm2
/sの範囲のものが、配合性の容易さから好ましい。
【0037】また、車両に車軸と車輪用転がり軸受との
間を通電する機構がない場合、走行中に発生する静電気
が車両に残ってラジオノイズ等を発生させることがあ
る。このような不具合に対処するために、シール装置の
弾性部材を導電化し、車軸と車輪用転がり軸受との通電
を図ることが考えられている。その場合の弾性部材の抵
抗値は、制限されるものではないが、体積固有抵抗値で
105Ω・cm以下が好ましく、ラジオノイズの発生を
十分に抑制することが可能になる。
【0038】弾性部材を導電化する方法は、制限される
ものではないが、アクリロニトリルブタジエンゴム組成
物に導電性粉末や導電性繊維を添加する方法を採ること
ができる。導電性粉末としては、黄銅、アルミニウム合
金、銅、銀、ニッケル、鉄鋼、ステンレス鋼等の金属粉
末、黒鉛、導電性カーボンブラック、酸化錫にアンチモ
ンをドープした導電性酸化錫、酸化亜鉛にアルミニウム
をドープした導電性酸化亜鉛、酸化インジウムに錫をド
ープした導電性酸化インジウム等の導電性材料を粉末状
にしたもの、マイカ等の絶縁材料の粉末に導電性コーテ
ィングを施した導電性無機粉末等が挙げられる。また、
導電性繊維としては、カーボン繊維、金属繊維(黄銅、
アルミニウム合金、銅、銀、ニッケル、鉄鋼、ステンレ
ス鋼等からなる繊維)、非導電性繊維に導電性コーティ
ングを施したもの等が挙げられる。中でも、アセチレン
ブラックやケッチェンブラックのように硬度にグラファ
イト構造が発達した導電性カーボンブラックは、より少
量で優れた導電性が得られるため好ましい。これら導電
性カーボンブラックの添加量は、制限されるものではな
いが、アクリロニトリルブタジエンゴム100重量部に
対して1〜20重量部が好ましい。添加量が1重量部未
満では十分な導電性が付与されず、ラジオノイズの抑制
も満足する結果が得られない。逆に20重量部を超えて
添加すると、加工性が極端に低下し、実質的に製造が困
難になるだけでなく、硬度が高くなりすぎて伸びが低く
なり、本来有するゴム弾性が低下する。
【0039】老化防止剤としては、アミン・ケトン縮合
生成物、芳香族第二級アミン類、モノフェノール誘導
体、ビス又はポリフェノール誘導体、ヒドロキノン誘導
体、硫黄系老化防止剤、リン系老化防止剤等が挙げられ
る。このうち、アミン・ケトン縮合生成物系の2,2,
4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体・ジ
フェニルアミンとアセトンとの縮合反応物、芳香族第二
級アミン系のN,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニ
レンジアミン・4,4’−ビス−(α,α−ジメチルベ
ンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3
−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)・
p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0040】また、熱分解を防止して耐熱性を向上する
ため、上記の老化防止剤とともに2次老化防止剤を併用
することがより好ましい。2次老化防止剤としては、例
えば、硫黄系の2−メルカプトベンズイミダゾール、2
−メルカプトメチルベンズイミダゾール及びこれらの亜
鉛塩等を例示できる。更に、日光あるいはオゾンの作用
による亀裂を抑制させる日光亀裂防止剤として、融点が
55〜70℃程度のワックス類をアクリロニトリルブタ
ジエンゴム100重量部に対して0.5〜2重量部程度
添加してもよい。
【0041】成形加工性を向上させる必要がある場合に
は、加工助剤として、未架橋ゴムの流動性や離型性を改
良するために、高級脂肪酸エステルやその金属塩を適宜
添加することができる。
【0042】、物性面に言及すると、ゴム組成物の硬度
は、上記に挙げた各種添加剤の添加量等によって影響を
受けるが、シールやのシール装置に適用した際の密封
性、追従性から、JIS K6301に記載のスプリン
グ硬さAスケールで、50〜90の範囲が好ましい。前
記硬さが50未満の場合には、シールやシール装置の摩
擦抵抗が大きくなるとともに耐摩耗性が低下する。ま
た、前記硬さが90を超えると、前述のようにゴム弾性
が低下するので、シールやシール装置のリップ部の密封
性、追従性が低下し、塵埃が多い環境や泥水に曝される
状況において使用すると、転がり軸受の寿命が低下する
おそれがある。
【0043】上記の各成分を用いてゴム組成物を得るた
めの方法は、特に限定されないが、アクロリニトリルブ
タジエンゴムと、可塑剤と、各種添加剤とを、ゴム混練
ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の従来か
ら公知のゴム用混練り装置を用いて均一に混練りするこ
とが可能である。混練り条件は特に限定されないが、通
常は30〜80℃の温度で、5〜60分間混練りするこ
とによって、各種添加剤の十分な分散を図ることができ
る。
【0044】また、上記ゴム組成物をシールやシール装
置の弾性部材とするための方法も特に限定されないが、
未加硫のゴム組成物を金型の中で加圧しながら加熱すれ
ば良く、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の
公知のゴム成形方法により製造することができる。例え
ば、圧縮成形の場合、金型の中に予め接着剤を塗布した
芯金(シールやシール装置の芯部を形成)を挿入し、先
に述べた方法で製造した未加硫のゴム組成物のシートを
乗せ、通常120〜200℃で30秒〜30分程度加圧
加硫することで製造することができる。また、必要に応
じて、120〜200℃で10分〜10時間程度後架橋
してもよい。
【0045】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるもの
ではない。
【0046】[実施例1〜11、比較例1〜2]表1に示
す、有機過酸化物、加硫剤及び加硫助剤を除く各添加剤
と、ゴム材料とを加圧ニーダーに投入し、設定温度80
℃にて混練りを行った。次いで,有機過酸化物、加硫剤
及び加硫助剤を添加し、6インチロールを用い、設定温
度50℃にて混練りを行い、厚さ2.2mmのシート状
(未加硫物)にした。尚、各ロールの回転数は20rp
mと32rpmにした。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】尚、表中に示した配合剤は以下の通りであ
る。 ・中ニトリルゴム:JSR製「N240S」(アクリロ
ニトリル含有量26%) ・中高ニトリルゴム:日本ゼオン製「Nipol 10
42」(アクリロニトリル含有量33%) ・カルボキシル変性中高ニトリルゴム:日本ゼオン製
「Nipol DN631」(アクリロニトリル含有量
33.5%) ・ステアアリン酸:花王製「Lunac S−35」 ・亜鉛華A:境化学製「フランス法1号」 ・亜鉛華B:日本ゼオン製「Zeonet ZP」 ・加硫剤(硫黄):鶴見化学製「Sulfax PM
C」 ・活性剤:吉富製薬製「アクチングSL」 ・可塑剤(フタレート系):花王製「DOP(ビニサイ
ザー80)」 ・液状ニトリルゴム:日本ゼオン製「Nipol 13
12」 ・可塑剤(ポリエステル系):旭電化製「PN−35
0」 ・可塑剤(ポリエーテル系):旭電化製「RS−70
0」 ・可塑剤(ホスフェート系):大八化学製「TCP」 ・可塑剤(ポリエーテルエステル系):旭電化製「RS
−107」 ・可塑剤(アジペート系):花王製「ビニサイザー4
0」 ・可塑剤(セバケート系):大日本インキ化学製「モノ
サイザーW−280」 ・老化防止剤A:大内新興化学製「ノクラックCD」 ・老化防止剤B:大内新興化学製「サンノック」(特殊
ワックス) ・カーボンブラック:三菱化学製「ダイヤブラックH」 ・焼成クレー:土屋カオリン製「SATINTONE
No.5」 ・加工助剤:三洋貿易製「TE80」 ・カップリング剤:東芝シリコーン製「TSL838
0」 ・加硫促進剤A:川口化学製「アクセル TMT」(T
MTD) ・加硫促進剤B:大内新興化学製「ノクセラー TE
T」(TETD) ・加硫促進剤C:川口化学製「アクセル CZ−R」
(CBC) ・架橋剤:日本油脂製「パークミルD」(DCP) ・固体潤滑剤:三菱化学製「モディックH400C」 ・潤滑油:信越シリコーン製「KF−860」
【0050】(物性値測定)180℃に加熱した熱プレ
スに、厚さ2mm用のシート成形金型を装着し、そこへ
上記の未加硫シートを載置し、180℃で15分間、圧
力30kgf/cm2を負荷して縦150mm、横150m
m、厚さ2mmの加硫ゴムシートを得た。尚、有機過酸
化物を架橋剤に用いたものについては、金型から取り出
した状態でオーブン中で150℃で3時間、後架橋を行
った。
【0051】そして、各加硫シートについて、室温にお
ける100%引張り強度及びJISK6301(スプリ
ング硬さ Aスケール)に基づいて硬さを測定した。結
果を表2に示す。
【0052】
【表3】
【0053】(耐久性試験−1)図1及び図2に示した
シール30と同形状で、日本精工(株)製の単列深溝玉
軸受(呼び番号6203)用のシールを作製した。作製
に際して、シール金型内に、予め洗浄し、接着剤を塗布
して焼付けた冷延鋼板製の芯金31を挿入し、そこへ上
記の未加硫シートを載置し、180℃で10分間、圧力
30kgf/cm2を負荷して加硫成形を行った。尚、有機過
酸化物を架橋剤に用いたものについては、金型から取り
出した状態でオーブン中で、150℃で2時間、後架橋
を行った。
【0054】そして、得られたシールを日本精工(株)
製の単列深溝玉軸受(呼び番号6203)の内輪と外輪
との間に組み込み、これを日本精工(株)製の軸受回転
試験機にかけて試験し、耐久時間を測定した。即ち、下
記条件にて軸受を連続回転し、軸受の振動数が2倍にな
った時点をもって寿命とし、それまでの時間を計測し
た。結果を表3に示すが、実施例1の組成で作製したシ
ールを組み込んだ軸受の耐久時間を1とし、その相対値
で示した。 ・回転速度:10000rpm ・回転時間:1000時間 ・封入グリース:エーテル系グリース ・雰囲気温度:80℃
【0055】
【表4】
【0056】(耐久性試験−2)図3に示した自動車の
車輪支持用転がり軸受のシール装置12aと同形状で、
内径60mmのシール装置を作製した。作製に際して、シ
ール金型内に、予め洗浄し、接着剤を塗布して焼付けた
冷延鋼板製の芯金105を挿入し、そこへ上記の未加硫
シートを載置し、180℃で10分間、圧力30kgf/c
m2を負荷して加硫成形を行った。得られた部材に、スリ
ンガ106を装着し、シール装置を得た。尚、有機過酸
化物を架橋剤に用いたものについては、金型から取り出
した状態でオーブン中で150℃で2時間、後架橋を行
った。
【0057】作製したシール装置について、図6に示す
シール回転試験機を用い、泥水中に浸漬された場合を想
定して密封性試験を行った。尚、図示されるシール回転
試験機は、軸101にシール装置12aを組込み、内部
に貯留した泥水102に浸漬させながら所定の回転速度
で回転させる構成となっている。また、シールが破られ
て泥水102が反泥水側に浸入すると、漏電センサ10
3により検知する構成となっている。
【0058】試験は、下記条件にて軸101を連続して
回転させ、シールが破られ漏電センサ103が漏水を検
知するまでの時間を計測した。結果を表4に示すが、実
施例1の組成で作製した弾性部材を組み込んだシール装
置の耐久時間を1とし、その相対値で示した。 ・回転速度:1000rpm ・軸偏心:0.5mm TIR ・泥水組成:JIS 8種ダスト20% ・グリース:ウレア化合物、鉱油 ・グリース塗布量:外側シールリップと中間シールリッ
プの間に0.27g、中間シールリップと内側シールリ
ップの間に0.9g
【0059】
【表5】
【0060】上記の各結果から、アジペート系可塑剤、
セバケート系可塑剤、ホスフェート系可塑剤、ポリエー
テル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテルエ
ステル系可塑剤、液状ゴムを含有するゴム組成物からな
る弾性部材は、フタル酸エステル系可塑剤を添加したゴ
ム組成物からなる弾性部材と同等の性能を有することが
わかる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来と同等の物性を有しながら、環境ホルモンの可能性
があるフタル酸エステル類を放出することのないゴム組
成物、並びに前記ゴム組成物からなる弾性部材を備え、
従来と同等のシール性能を有しかつ環境汚染を引き起こ
すおそれのないシール部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール付き転がり軸受の一例を示す断面図であ
る。
【図2】図1のリップ部周辺を示す拡大図である。
【図3】車輪用転がり軸受の一例を示す断面図である。
【図4】図3に示し車輪用転がり軸受の一方のシール装
置(12a)の拡大図である。
【図5】図3に示した車輪用転がり軸受の他方のシール
装置(12b)の拡大図である。
【図6】実施例において密封性試験に用いた試験装置を
示す概略断面図である。
【符号の説明】
O 転がり軸受 1 外輪相当部材 4 内輪相当部材 10 転動体 11 保持器 12a シール装置 12b シール装置 20 シール付き転がり軸受 21 内輪 22 外輪 30 シール 31 芯金 32 弾性部材 105 芯金 106 スリンガ 107 弾性部材 217 弾性部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 9/02 C08L 21:00 21:00) (72)発明者 内山 貴彦 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J016 AA02 AA03 BB03 4J002 AC002 AC071 AC102 AC111 EF076 EW046 FD017 FD030 FD148 FD179 GM05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリルブタジエンゴムに、ア
    ジペート系可塑剤、セバケート系可塑剤、ホスフェート
    系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、ポリエステル系可塑
    剤、液状ゴムの少なくとも1つを添加してなることを特
    徴とするゴム組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のゴム組成物を成形してな
    る弾性部材を備えることを特徴とする転動装置用シール
    部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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