JP2003266920A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字濃度が高いだけでなく、記録装置、他の
媒体、手などの接触による印字後の汚染が発生しない、
インク乾燥速度の速い普通紙タイプのインクジェット記
録用紙を提供する。 【解決手段】 原紙に、アルミナ化合物、金属を含有す
る水溶性無機塩およびアニオン性界面活性剤を主材とす
る塗工液を塗布または含浸させてなるインクジェット記
録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録媒体に関し、特に、普通紙タイプでありながら、イン
ク吸収性及び画質に優れたインクジェット記録媒体及び
その製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式の記録媒体は、
風合いがいわゆる上質紙やＰＰＣ用紙に似ている普通紙
タイプ、インク受理層を有する塗工紙タイプに大別され
る。このうち、普通紙タイプのインクジェット記録媒体
には、インク受理層を設けないか、設けたとしてもごく
わずかであるために、電子写真記録方式や鉛筆、ペン等
の一般筆記にも適する上安価である。しかしながら、近
年、普通紙タイプのインクジェット記録媒体の用途が広
がりつつあり、普通紙タイプのものに対しても塗工紙タ
イプのものに匹敵する、高画質の印字が可能なものが求
められるようになってきた。

【０００３】そこで、普通紙タイプのインクジェット記
録媒体において、サイズ性を上げることによって表層に
インクを留め印字濃度を高くして画像品質を改善しよう
とするとインクの吸収性が低下し、記録装置、他の媒
体、手などの接触による汚染が発生したり、多色印字に
際して異なる色の境界部分に滲み（ブリーディング）が
発生するという欠点があった。又、サイズ性を下げると
前記した汚染や滲みの問題は解決されるが、インクの吸
収性が早いためインクが沈んでしまい、印字濃度が低く
なるという欠点があった。

【０００４】そこで、印字濃度が高い上インクの吸収性
を損なわないインクジェット記録媒体が望まれている。
特開平４−３２０８７７号公報、特開平４−３２３０７
５号公報、特開平１０−１９３７８１号公報には、イン
ク色素の定着性と吸収性の観点からアルミナ化合物を使
用した発明が記載されている。一方、多価金属を含有す
る水溶性無機塩水溶液を記録媒体に含ませることによっ
て高品位の画像を得ることができることは知られてい
る。

【０００５】そこで、アルミナ化合物と金属を含有する
水溶性無機塩とを組み合わせたところ、塗工液が増粘す
るという問題が生じた。特に、普通紙タイプのインクジ
ェット記録媒体は、上質紙やＰＰＣライクな風合いを持
たせるために、塗工液を原紙に含浸させてから乾燥する
方法、あるいは原紙表面に塗布した後に乾燥する方法に
より製造される。例えば、含浸させる方法としては、含
浸式サイズプレス装置を用いることができ、原紙表面に
塗布する方法としては、ロールコーター、グラビアコー
ター、ゲートロールコーター、シムサイザー等の公知の
塗工装置を用いることができる。しかしながら、前記の
塗工液では粘度が高すぎるために、上記の塗工方式では
塗工液が跳ね上がって均一に塗工することが出来ず、塗
工むらや断紙が起こり、インクジェット記録媒体を製造
できないということが判明した。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は、
上記の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、アルミナ化
合物にアニオン性界面活性剤を添加した後、金属を含有
する水溶性無機塩を添加した塗工液を調整することによ
って増粘を抑制することができ、また、その塗工液を含
浸または塗工することによって印字濃度が高く、且つ、
インク乾燥速度の速いインクジェット記録媒体を得られ
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。従って
本発明の目的は、印字濃度が高いだけでなく、記録装
置、他の媒体、手などの接触による印字後の汚染が発生
しない、インク乾燥速度の速い普通紙タイプのインクジ
ェット記録用紙を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
原紙に、アルミナ化合物、金属を含有する水溶性無機塩
およびアニオン性界面活性剤を主材とする塗工液を塗布
または含浸させてなることを特徴とするインクジェット
記録媒体、及びその製造方法によって達成された。上記
水溶性無機塩に含有される金属は、二価又は三価の金属
であることが好ましく、また、塗工液の調製に際して
は、アルミナ化合物とアニオン性界面活性剤を添加した
後に水溶性無機塩を添加することが必要である。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に本発明をさらに詳しく説明す
る。本発明に用いられる原紙とは、木材セルロース繊維
を原料とする未塗工の紙であり、この紙は抄紙用パルプ
を主体として構成される。抄紙用パルプとしてはＬＢＫ
Ｐ、ＮＢＫＰ等の化学パルプや、ＧＰ、ＴＭＰ等の機械
パルプ及び古紙パルプが挙げられるが、本発明は特にこ
れらに限定されるものではない。また、これらのパルプ
は、必要に応じて単独または併用して用いることができ
る。

【０００９】本発明における、原紙中に内添する填料や
サイズ剤、紙力増強剤等の各種内添薬品は特に限定され
ることはなく、公知の填料及び各種内添薬品の中から適
宜選択して使用することが出来る。また、必要に応じて
消泡剤、ｐＨ調整剤、色相を調整するための染料や有色
顔料、視覚的白さを向上させるための蛍光染料等を内添
させることも出来る。

【００１０】本発明に用いるアルミナ化合物としては、
酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト構
造を有するアルミナ水和物あるいはその混合物などが上
げられ、特に限定されるものではないが、インク吸収性
の観点から、粒子径が小さく、比表面積が２．５ｍ^２／
ｇ以上（測定装置：マスターサイザー（レーザー回折式
粒度測定）、製造元：Ｍａｌｖｅｒｎ Ｉｎｓｔｒｕｍ
ｅｎｔｓ、輸入先：日本シイベルヘグナー株式会社）の
ベーマイト構造を有するアルミナ水和物が好ましい。

【００１１】本発明に用いる金属を含有する水溶性無機
塩は、黒インクの発色を向上させることが出来、特に、
二価又は三価の金属イオンを有する水溶性無機塩が好ま
しく、中でも塩化物が好ましい。好ましい水溶性無機塩
としては、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化カドミウ
ム、塩化カルシウム、塩化セリウム、塩化コバルト、三
塩化チタン、塩化第二クロム、塩化第一スズ、塩化第一
鉄、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化鉛、塩化ニッケル、
三塩化バナジウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、
塩化マンガン等をあげることができる。上記水溶性無機
塩の中でも塩化セリウム、塩化マグネシウム、塩化アル
ミニウムは印字濃度を向上させるという点で特に好まし
い。

【００１２】本発明の塗工液に用いる界面活性剤は、ア
ルミナ化合物と金属を含有する水溶性無機塩とを混合し
たときに生ずる増粘を抑制する効果がある、アニオン性
の界面活性剤であることが必要である。アニオン性界面
活性剤は、アルミナ化合物と結合してその表面を保護
し、金属を含有する水溶性無機塩とアルミナ化合物が直
接接触することを防止し、これによって増粘が防止され
ると考えられる。このようなアニオン性界面活性剤とし
ては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリ
オキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナト
リウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホ
コハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミ
ド二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノー
ルアミン、高級アルコール硫酸ナトリウム、アルキル硫
酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン
酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、
ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキ
ルリン酸カリウム塩などをあげることができる。特に、
増粘を抑制する効果が高い点で、ジオクチルスルホコハ
ク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウムが好ましい。

【００１３】本発明においては、表面強度を付与するた
めに、水に溶解可能で被膜性がある樹脂を上記塗工液中
に含有させても良い。具体的にはデンプン、酸化デンプ
ン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン、
完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニ
ルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリ
ビニルアルコール、カゼインなどをあげることができる
が、本発明はこれらの水溶性高分子に限定されるもので
はなく、また、これらは必要に応じて単独または併用し
て用いることができる。さらに、インク耐水性を付与す
るために、カチオン性の樹脂を含有させても良い。

【００１４】本発明のインクジェット記録媒体は、前記
したアルミナ化合物と金属を含有する水溶性無機塩、お
よびアニオン性の界面活性剤とを含む塗工液を原紙に含
浸させた後乾燥する方法、あるいは原紙表面に塗布した
後に乾燥する方法により製造することができる。これら
の含浸方法及び塗工方法ともに、公知の方法を使用する
ことができる。例えば、含浸する方法としては、含浸式
サイズプレス装置を用いることができ、原紙表面に塗布
する方法としては、ロールコーター、グラビアコータ
ー、ゲートロールコーター、シムサイザー等の公知の塗
工装置を用いることができる。特に本発明においては、
生産性の点でオンラインの含浸式サイズプレス装置を用
いることが好ましい。塗工液の粘度は、ＪＩＳ Ｋ ７
１１７のＳ法に準じて回転粘度計にて測定した粘度が、
２００ｍＰａｓ以下であることが好ましい。特に、オン
ラインのサイズプレス装置を用いて塗工する場合には、
１００ｍＰａｓ以下であることが好ましい。

【００１５】乾燥方法としては、例えば蒸気加熱ヒータ
ー、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱
風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライ
ヤー等の通常の方法を使用することが出来、必要に応じ
て、乾燥後に後加工であるスーパーカレンダー、ソフト
カレンダー等の仕上げ工程によって平滑性を付与するこ
とが可能である。その他、一般的な紙加工手段はいずれ
も可能である。

【００１６】インク乾燥速度の観点から、インクジェッ
ト記録媒体のステキヒトサイズ度（秒）は２０秒以下と
することが好ましく、更に１０秒以下、特に５秒以下と
することが好ましい。ステキヒトサイズ度の調整は、原
紙の内添サイズ剤量を調整して添加したり、外添サイズ
剤を上記の塗工液に添加し、塗工含浸させて行うことが
出来る。又、内添サイズ剤及び外添サイズ剤は併用する
ことができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明インクジェット記録媒体は、コー
ト紙並の印字濃度を有する上インク乾燥速度が速い。ま
た、普通紙の風合いを保っているため、電子写真記録方
式や鉛筆等を用いる一般筆記にも好適である。

【００１８】

【実施例】以下、実施例によって本発明を更に説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、実施例中の部及び％は特に断らない限り、固形分の
重量部及び重量％とする。

【００１９】原紙の作製 広葉樹漂白クラフトパルプ（濾水度３５０ｍｌ Ｃ．
Ｓ．Ｆ）からなるパルプスラリー１００部に対して、填
量としてタルクを８部添加すると共に、硫酸バンド１．
８部、カチオン化デンプン０．３部、歩留まり向上剤
０．０１５部及びロジン系サイズ剤０．５部を添加し
て、ツインワイヤー型の抄紙機を用いて抄造乾燥し、坪
量が７４ｇ／ｍ^２の原紙を作製した。

【００２０】実施例１．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で
４ｇ／ｍ^２（片面あたり２ｇ／ｍ^２）となるように、２
ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した後
にマシンカレンダー仕上げをして実施例１のインクジェ
ット記録媒体を得た。

【００２１】実施例２．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸ソーダ（サンデットＥＮＭ、三洋化成
（株）製の商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾
燥固形分で４ｇ／ｍ^２（片面あたり２ｇ／ｍ^２）となる
ように、２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、
乾燥した後にマシンカレンダー仕上げをして実施例２の
インクジェット記録媒体を得た。

【００２２】実施例３．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化セリウム１．５％及びア
ニオン性の界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸
ナトリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製
の商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分
で４ｇ／ｍ ^２（片面あたり２ｇ／ｍ^２）となるように、
２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した
後にマシンカレンダー仕上げをして実施例３のインクジ
ェット記録媒体を得た。

【００２３】実施例４．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化マグネシウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液塗を、乾燥固形分
で４ｇ／ｍ ^２（片面あたり２ｇ／ｍ^２）となるように、
２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した
後にマシンカレンダー仕上げをして実施例４のインクジ
ェット記録媒体を得た。

【００２４】実施例５．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化ナトリウム１．５％及び
アニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナト
リウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の商
品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で４
ｇ／ｍ^２（片面あたり２ｇ／ｍ^２）となるように、２ロ
ールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した後に
マシンカレンダー仕上げをして実施例５のインクジェッ
ト記録媒体を得た。

【００２５】実施例６．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で
０．１ｇ／ｍ^２（片面あたり０．０５ｇ／ｍ^２）となる
ように、２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、
乾燥した後にマシンカレンダー仕上げをして実施例６の
インクジェット記録媒体を得た。

【００２６】実施例７．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で
０．４ｇ／ｍ^２（片面あたり０．２ｇ／ｍ^２）となるよ
うに、２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾
燥した後にマシンカレンダー仕上げをして実施例７のイ
ンクジェット記録媒体を得た。

【００２７】実施例８．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で
５．５ｇ／ｍ^２（片面あたり２．７５ｇ／ｍ^２）となる
ように、２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、
乾燥した後にマシンカレンダー仕上げをして実施例８の
インクジェット記録媒体を得た。

【００２８】実施例９．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びアニオン性の界面活性剤ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム（サンモリンＯＴ−７０、三洋化成（株）製の
商品名）０．０９％を含有する塗工液を、乾燥固形分で
６．５ｇ／ｍ^２（片面あたり３．２５ｇ／ｍ^２）となる
ように、２ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、
乾燥した後にマシンカレンダー仕上げをして実施例９の
インクジェット記録媒体を得た。

【００２９】比較例１．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びカチオン性の界面活性剤塩化ステアリルトリメチルア
ンモニウム（レボンＴＭ−１８、三洋化成（株）製の商
品名）０．０９％を含有する塗工液を作製したが、塗工
液の粘度が高く、含浸塗工中に断紙が発生し、インクジ
ェット記録媒体を得ることができなかった。

【００３０】比較例２．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％及
びノニオン性の界面活性剤ポリオキシエチレン高級アル
コールエーテル（エマルゲン７０７、花王（株）製の商
品名）０．０９％を含有する塗工液を作製したが、塗工
液の粘度が高く、含浸塗工中に断紙が発生し、インクジ
ェット記録媒体を得ることができなかった。

【００３１】比較例３．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、塩化アルミニウム１．５％を
含有する塗工液を作製したが、塗工液の粘度が高く、含
浸塗工中に断紙が発生し、インクジェット記録媒体を得
ることができなかった。

【００３２】比較例４．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％、アニオン性の界面活性剤ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウム（サンモリンＯＴ−７
０、三洋化成（株）製の商品名）０．０９％を含有する
塗工液を、乾燥固形分で４ｇ／ｍ^２となるように、２ロ
ールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した後マ
シンカレンダー仕上げをして比較例４のインクジェット
記録媒体を得た。

【００３３】比較例５．上記の如く作製した原紙に、塩
化アルミニウム１．５％及びアニオン性の界面活性剤ジ
オクチルスルホコハク酸ナトリウム（サンモリンＯＴ−
７０、三洋化成（株）製の商品名）０．０９％を含有す
る塗工液を、乾燥固形分で４ｇ／ｍ^２となるように、２
ロールサイズプレス機を用いて含浸塗工し、乾燥した後
マシンカレンダー仕上げをして比較例５のインクジェッ
ト記録媒体を得た。

【００３４】比較例６．上記の如く作製した原紙に、ベ
ーマイトアルミナ（平均粒子径２．９μｍ、比表面積
２．７２ｍ^２／ｇ）３％を含有する塗工液を、乾燥固形
分で４ｇ／ｍ^２となるように、２ロールサイズプレス機
を用いて含浸塗工し、乾燥した後マシンカレンダー仕上
げをして比較例６のインクジェット記録媒体を得た。

【００３５】実施例１〜９及び比較例４〜６で得られた
インクジェット記録媒体について、印字濃度、インク乾
燥性、粉落ちの観点から評価した。その結果は、各実施
例及び比較例で使用した塗工液の粘度及び操業性と共
に、表１に示した通りである。尚、評価は下記のように
して行った。

【００３６】評価方法 （印字濃度）プリンター（ＨＰ Ｄｅｓｋｊｅｔ ９７
０Ｃｘｉ）でベタ印字（黒）し、２４時間後にその印字
濃度をマクベス濃度計（ＲＤ９１８）で測定した。１．
３以上であれば実用上問題ない。 （インク乾燥性） ×…印字直後に印字面をこすると汚れが発生する。○…
印字直後に印字面をこすっても汚れは発生しない。 （粘度）Ｂ型回転粘度計（ＶＩＳＣＯＭＥＴＥＲ、ＴＯ
ＫＩＭＥＣ ＩＮＣ）を用い、ＪＩＳ Ｋ ７１１７
Ｓ法に準じて液温２３℃の粘度を測定した。 （粉落ち）羅紗紙にて表面をこすり、紙紛がついている
かどうかで評価した。 △ 多少紙粉がついているが実用上問題はない。○…紙
粉はなく問題ない。 （操業性） ×…断紙にてサンプル作製不可。○…サンプル作製可能

【００３７】

【表１】

【００３８】表１から明らかなように、本発明のインク
ジェット記録媒体では、印字濃度及びインク乾燥性のい
ずれも良好である。これに対し、アニオン性以外の界面
活性剤を塗工液に配合した比較例１、２及びアニオン性
界面活性剤を配合していない比較例３では、塗工液粘度
が大きくなって塗工が不可能であった。又、金属を含有
する水溶性無機塩を配合しない比較例４、６においては
充分な印字濃度が得られず、アルミナ化合物を配合しな
い比較例５ではインク乾燥性が不十分であることが確認
された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茶谷 明伸 東京都北区王子５−21−１ 日本製紙株式 会社商品研究所内 (72)発明者 熊澤 納里子 東京都北区王子５−21−１ 日本製紙株式 会社商品研究所内 Ｆターム(参考） 2C056 EA01 EA16 FC06 2H086 BA15 BA21 BA33

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原紙に、アルミナ化合物、金属を含有す
   る水溶性無機塩およびアニオン性界面活性剤を主材とす
   る塗工液を塗布または含浸させてなることを特徴とする
   インクジェット記録媒体。
2. 【請求項２】 前記水溶性無機塩に含有される金属が二
   価又は三価の金属である請求項１に記載されたインクジ
   ェット記録媒体。
3. 【請求項３】 前記塗工液の塗布量が、片面当たりの乾
   燥固形分で０．２〜３ｇ／ｍ^２である請求項１又は請求
   項２に記載されたインクジェット記録媒体。
4. 【請求項４】 原紙の少なくとも片面に、アルミナ化合
   物、金属を含有する水溶性無機塩及びアニオン性界面活
   性剤を主体とする塗工液を塗布又は含浸させるインクジ
   ェット記録媒体の製造方法であって、前記塗工液の調製
   の際に、前記アルミナ化合物とアニオン性界面活性剤を
   添加した後に、金属を含有する水溶性無機塩を添加する
   ことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。