JP2003265594A - 宿主内埋め込み用構造体および繁殖方法 - Google Patents

宿主内埋め込み用構造体および繁殖方法

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JP2003265594A
JP2003265594A JP2002075407A JP2002075407A JP2003265594A JP 2003265594 A JP2003265594 A JP 2003265594A JP 2002075407 A JP2002075407 A JP 2002075407A JP 2002075407 A JP2002075407 A JP 2002075407A JP 2003265594 A JP2003265594 A JP 2003265594A
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polyurethane
polymer
implanting
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JP2002075407A
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Toshie Tsuchiya
利江 土屋
Masamune Sakai
正宗 坂井
Hiroyuki Ikeda
博之 池田
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KOKURITSU IYAKUHIN SHOKUHIN EI
National Institute of Health Sciences
Ube Corp
Original Assignee
KOKURITSU IYAKUHIN SHOKUHIN EI
National Institute of Health Sciences
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異系および異種動物間の移植をも含む、宿主
の生体防御機能を担う血中成分、特に補体成分について
その透過を妨げることができ、かつ宿主および移植組織
への影響がなく、組織の形態および分化能を維持したま
ま安定に移植が可能で、組織の形態と分化能の維持する
ことの可能な構造体、ならびに、宿主内における組織の
繁殖方法の提供。 【解決手段】 0.01〜10μmの孔を多数有する高
分子膜と、生体適合性材料よりなる宿主内埋め込み用構
造体、および同構造体を使用する繁殖方法により達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、同種または異種
の組織を、宿主内へ移植した後も、安定して機能を保持
させることが可能な宿主内埋め込み用構造体、および宿
主内埋め込み用構造体を使用した組織の繁殖方法や組織
の移植方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 近年、組織工学(ティッシュエンジニ
アリング)の進歩に伴い、人工材料に細胞を組み込ん
だ、いわゆるハイブリッド型の人工臓器の開発が進めら
れている。また、培養した生体組織や移植組織を用い
た、再生医療も注目されている。これらの新しい医療技
術は、人類の健康とよりよい生活に対しての大きな貢献
が期待されるものである。培養した生体組織や移植組織
を用い、再生医療として種々の検討が行われている。例
えば、アガロースなどのハイドロゲルに細胞を封入した
ビーズ状のもの、チャンバーの表面に微細な孔のあいた
メンブレンを貼り、中に細胞を封入したチャンバー状の
もの、多孔質の中空糸を束ねたモジュール状のもの、平
膜を重ねたもの、などである。
【0003】 特開平3−175981号公報には、表
面全体が細胞組織あるいは細胞成長促進組成物で直接被
覆された平均細孔寸法0.001〜15ミクロンを有す
る多孔質ポリマー支持体膜及び遊離ラジカル開始剤によ
り現場重合されたモノマーから形成されかつ該支持体の
上でその場架橋された架橋第二ポリマーを含み、該多孔
質膜支持体と本質的に同じ多孔質構造を有する複合多孔
質熱可塑性膜が開示されている。
【0004】 特開平5−176754号公報には、塩
化セバコイルで架橋されたアルブミンからなる壁を有す
るカプセル中で、細胞を生育させることを特徴とする細
胞の繁殖方法が開示されている。
【0005】 特表平8−507950号公報には、宿
主組織内に細胞を埋め込むための方法であって、宿主組
織と装置内の埋め込み細胞との間に当該境界のポアサイ
ズが生体防御応答宿主組織と装置内の埋め込み細胞との
間に当該境界のポアサイズが生体防御応答から該埋め込
み細胞を隔離するに十分なものである多孔質の境界を形
成するための手段を含む、細胞を保持するための埋め込
みアセンブリーを埋め込むステップであって、該アセン
ブリーが細胞を含まないで宿主組織内に埋め込まれるも
のであるステップと、該アセンブリーが予め血管化され
ることを許容するステップと、そして該アセンブリーが
予め血管化されることを許容するステップと、そして該
アセンブリーの内部に細胞を加えるステップと、該アセ
ンブリーの内部に細胞を加えるステップと、を含む方法
が開示されている。
【0006】 特表平9−512250号公報には、細
胞移植体の隔離に用いる微小加工カプセルとして、制御
された、ほぼ均一な大きさでかつほぼ均一に分布した細
孔を有する少なくとも一つの多孔領域を有する自立性薄
膜構造体からなるマイクロカプセルが開示されている。
【0007】 また、名古屋大学出版会、ティッシュエ
ンジニアリング 組織工学の基礎と応用(初版)、細胞
移植と免疫隔離、第102頁、最下行から第2行〜第1
03頁、第7行には、ポリスチレンスルホン酸による補
体活性に対する作用効果の検討結果が報告されている。
同報告によれば、ポリスチレンスルホン酸は、補体活性
を制御することが報告されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 近年、組織工学(テ
ィッシュエンジニアリング)の進歩に伴い、人工材料に
細胞を組み込んだ、いわゆるハイブリッド型の人工臓器
の開発が進められている。また、培養した生体組織や移
植組織を用いた、再生医療も注目されている。これらの
新しい医療技術は、人類の健康とよりよい生活に対して
の大きな貢献が期待されるものである。しかしながら、
このような技術の実用化において重要な要素である、生
体組織を宿主内に移植した後も安定して生着させるため
の技術については十分な成果が得られているとはいえ
ず、生体防御抑制剤などの薬剤に頼っているのが現状で
ある。生体防御抑制剤などの薬剤の使用には、感染症発
症のリスク、副作用の危険性、長期間にわたる継続使用
などの、多大な負担を宿主に強いるものである。それ
故、生体防御抑制剤などの薬剤に頼らない、より根本的
な解決方法として、同種または異種の組織を、生体内へ
移植した後も安定して機能を保持させることが可能な構
造体が望まれている。
【0009】 生体への移植においては、宿主内に移植
した組織と宿主との間で、酸素を始めとした組織の生
存、増殖に必須の物質の移動が活発に行なわれる必要が
あり、移植された組織がこれら物質の透過性を損なわな
い構造で覆われている必要がある。また、生体には生体
防御機能があり、その生体防御機能を担う白血球やイム
ノグロブリン、補体といった血球、血液成分と宿主内に
移植した組織とが接触することにより、移植された組織
は容易に破壊され、その機能を失ってしまう。そのた
め、移植した組織が産生する有用な成分の透過を妨げ
ず、宿主の生体防御による攻撃を防ぐことができる選択
的な透過性を有する構造体が望まれている。
【0010】 本発明は、宿主の生体防御機能を担う血
中成分、特に補体成分についてその透過を妨げることが
でき、かつ宿主および移植組織への影響がなく、組織の
形態および分化能を維持したまま安定に宿主へと移植す
ることが可能な構造体を提供することを目的とする。さ
らに、異系および異種動物間の移植が可能で、組織の形
態と分化能の維持することの可能な構造体を提供するこ
とを目的とする。また、異系および異種動物間の移植を
含めて、特定の組織を所望とする作用を発揮させるため
の組織の増殖方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の
課題を解決するために種々検討の結果、高分子膜と、生
体適合性材料より宿主内埋め込み用構造体が上記の課題
を解決することができることを見出し、本発明を完成さ
せたものである。即ち、本発明によれば、0.01〜1
0μmの孔を多数有する高分子膜と、生体適合性材料よ
りなることを特徴とする宿主内埋め込み用構造体が提供
される。宿主内埋め込み用構造体には、予め組織が収納
されていてもよい。
【0012】 該高分子膜としては、ポリオレフィン、
ポリフッ化ポリオレフィンまたはポリエチレンテレフタ
レート(以下、PETと称する。)から選ばれる膜であ
る宿主内埋め込み用構造体が好適に使用できる。また、
生体適合性材料としては、ポリウレタン、ポリヒドロキ
シエチルメタクリレートから選ばれる1種またはこれら
の混合物が好適である。さらに、生体適合性材料として
は、アニオン性基を含む高分子材料であることが好まし
く、さらに、硫酸化ポリウレタンであることがより好ま
しい。高分子膜は、その孔が膜の両面に連通しているこ
とが好ましい。なお、宿主内埋め込み用構造体が、補体
成分を阻害することが好ましい。本明細書において、補
体成分の阻害とは、補体成分の活性そのものを阻害する
ことは勿論、補体成分の活性そのものを直接阻害しなく
とも、組織が収納されている構造体内部に補体成分が透
過できない場合を含む意味として使用するものである。
【0013】 さらに、本発明によれば、上記の宿主内
埋め込み用構造体に組織を収納し、このものを宿主内に
埋め込むことを特徴とする組織の繁殖方法が提供され
る。勿論、予め組織が埋め込まれた宿主内埋め込み用構
造体を宿主内に埋め込んでもよい。本明細書において、
宿主とは、人は勿論のこと、犬猫などの愛玩動物、牛馬
等の家畜、鶏などの家禽、野生動物、魚類などを含むも
のであり、埋め込まれた構造体中に収納された組織が所
望の作用を発揮できるものであれば、特にその種類に制
限はない。
【0014】
【発明の実施の形態】 本発明の宿主内埋め込み用構造
体は、0.01〜10μmの孔を多数有する高分子膜
と、生体適合性材料とからなることを特徴とする宿主内
埋め込み用構造体である。
【0015】 本発明の宿主内埋め込み用構造体に使用
可能な組織としては、単一の細胞であってもよく、その
細胞としては、自家埋め込み物、遺伝子組み換え細胞等
の宿主内で所望とする産物を産生することができるもの
であれば、使用可能であることはいうまでのない。勿
論、一定の生理活性を示す組織、例えば、インスリンを
産生するランゲルハルス島組織、アンモニアなどの毒素
を代謝して尿素などの無害な物質とする、またアルブミ
ンの産性などを行なう肝細胞、ドーパミンのような神経
作用物質を分泌する黒質神経細胞、細胞成長因子に代表
されるサイトカインを産生する各種細胞、遺伝子導入な
どの操作により何らかの分泌機能を与えられた細胞など
の組織や細胞などを用いることができる。
【0016】 宿主内埋め込み用構造体の構造は、所望
とする組織を収納できる構造であれば、特に制限はない
が、内包され、移植される組織の成長を妨げるという意
味から、体積変化の起こりにくいチャンバー型やマイク
ロカプセル型の構造は好ましくない。
【0017】 高分子膜自体、および宿主内埋め込み用
構造体には、移植先の宿主内で宿主から移植した組織を
保護する目的で、高分子膜の外面、内面または両面、高
分子膜が複数の相からなる場合には、高分子膜の層間に
宿主内埋め込み用構造体の構造を保持するための支持体
を含んでいてもよい。かかる支持体としては、高分子膜
または宿主内埋め込み用構造体の強度を補強できるもの
であり、生体内に移植しても、生体に悪影響を及ぼさな
いものであればよく、具体的には、 メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレ
タン、ポリエチレンテレフタレート(例えば、商品名:
ダクロンなど)、シリコン樹脂などの汎用樹脂、 ポリ三フッ化エチレンやポリ四フッ化エチレンなどの
ポリフッ化ポリオレフィン(商品名:テフロン(登録商
標)、ゴアテックス(登録商標)など)、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンおよびポリフ
ッ化ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、
ポリカプロラクトンなどの生体吸収性高分子、ヒドロ
キシアパタイト、アルミナ、ジルコニアなどのセラミッ
ク、チタン、ニチノール、ステンレスなどの金属ある
いは合金などを挙げることができる。
【0018】 構造体を構成する高分子膜は、0.01
〜10μm、さらに0.08〜8μm、特に0.05〜
5μmの孔を多数有することが好ましい。高分子膜は、
0.01〜10μm、さらに0.08〜8μm、特に
0.05〜5μmの孔を多数有する膜形態の多孔質ポリ
マー支持体であることが好ましい。本発明において使用
される高分子膜の厚さは、1〜100μm、さらに10
〜50μm、特に20〜40μmが好ましい。上記構造
体を構成する高分子膜の孔の大きさが上記範囲より大き
い場合、宿主の免疫担当細胞が高分子膜を通過する場合
があり、それにより内部の移植組織が傷害されるため、
好ましくない。さらに、補体分子などの好ましくない成
分が高分子膜表面と接触せず、不活性化されることなく
高分子膜を通過する場合があり、内部の移植組織を傷害
するため、好ましくない。また、構造体内部に内包され
ている移植組織、およびそれに関連する固形成分が高分
子膜を通過して流出し、宿主に好ましくない影響を与え
る可能性があるため好ましくない。
【0019】 高分子膜は、フィルム形状のみに限定さ
れるわけでなく、例えば、中空糸形状、チューブ形状、
袋形状などであっても、高分子の膜として、構造体の製
造に使用可能であれば、使用可能であることはいうまで
もない。例えば、中空糸形状、チューブ形状、袋形状の
高分子を延伸して、得られたフィルム状のものを使用し
てもよい。
【0020】 高分子膜は、高分子膜一層からなる膜の
みでなく、高分子膜二層からなる膜、高分子膜三層から
なる膜など一層以上の多層構造の膜でもよい。高分子膜
は、平均孔径が好ましくは0.02〜8μm、さらに好
ましくは0.03〜3μm、より好ましくは0.04〜
1μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲が
好ましい。高分子膜は、平均孔径が好ましくは0.02
〜8μm、さらに好ましくは0.03〜3μm、より好
ましくは0.04〜1μm、特に好ましくは0.05〜
0.5μmの範囲の膜形態の多孔質ポリマー支持体であ
ることが好ましい。
【0021】 連通している部分を有することが、膜を
介した物質の移動が容易であるため、好ましい。高分子
膜は、物質の移動と透過性を高めるため、膜の表面の5
0%以上、さらに80%以上、特に膜の全面に多数の孔
を有するものが好ましい。柔軟性を有する高分子膜で
は、宿主への埋め込みや移植を容易に行うことができ、
また、埋め込み後の宿主への負坦が少なくなるため好ま
しい。このような高分子膜に用いる高分子としては、例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどの芳香族系のポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ三フッ
化エチレン、ポリ四フッ化エチレンなどのポリフッ化ポ
リオレフィン、PETなどから選ばれる高分子を挙げる
ことができる。移植する宿主の種類、移植部位、収納す
る組織の種類、大きさ等を考慮して、使用する高分子の
種類や、積層体とするか否かを選択すればよい。なお、
積層体の場合には、三層以上のものが、物質の透過性等
の点から好ましく、例えば、ポリプロピレン/ポリエチ
レン/ポリプロピレンの様な三層構造のものが好適に使
用される。
【0022】 生体適合性材料は、ポリウレタン、ポリ
ヒドロキシエチルメタクリレートより選ばれる1種また
はこれらの混合物であることが好ましい。生体適合性材
料が、アニオン性基を含む高分子材料であることが好ま
しい。さらに、アニオン性基として硫酸基を含む高分子
材料であることが好ましい。特に、生体適合性材料が、
硫酸化ポリウレタンなどのスルホン基を有するポリウレ
タンであることが好ましい。本発明において、宿主内埋
め込み用構造体を構成するに際し、生体適合性材料を高
分子膜にコーティングまたは含浸あるいは膜状に加工し
た生体適合性材料を高分子から構成される高分子膜に積
層してもよく、あるいは、高分子膜に使用する高分子材
料に、アニオン性基やアニオン性基を含む炭素数1〜2
0アルキル基、アリール基などの炭化水素化合物を反応
させて、生体適合性を付与させたものを高分子膜兼生体
適合性材料として使用してもよい。
【0023】 生体適合材料は、多孔質の高分子膜の内
あるいは外表面のいずれか一方または双方にコーティン
グされていてもよく、多孔質の高分子膜が多層の膜から
構成されている場合には、内表面、つまり、組織を収納
する部分側の面、外表面、つまり、宿主の組織、細胞と
接する側の面、あるいは、多孔質の高分子膜の膜と膜の
間にの何れの面に配置されていてもよい。勿論、生体適
合性材料と多孔質の高分子との混合物を用いて、高分子
膜の一部または全部を構成してもよい。なお、高分子膜
にコーティングまたは積層する場合の生体適合材料の厚
さは、1〜100μm、さらに10〜50μm、特に2
0〜40μmが好ましい。なお、生体適合材料の厚さ
が、上記範囲より大きい場合、細胞または組織の生存に
必要な物資のやり取りが妨げられたり、産生された物質
が必要な箇所へと移動することができなくなるので、好
ましくない。一方、1μm未満では、充分な補体成分を
阻害する作用が発揮されないことがあるので好ましくな
い。
【0024】 また、アニオン性基を含む高分子材料と
しては、アニオン性基の置換基またはアニオン性基を含
む置換基を、高分子膜の材料である高分子にグラフト重
合したものであってもよく、その場合には、アニオン性
基を含む高分子材料そのものを高分子膜の一部、また
は、全部に使用してもよい。この場合のアニオン性基の
置換基としては、スルホン基、カルボキシル基、リン酸
基などが挙げられる。具体例として、アニオン性基とし
ては、−SO3 -(−SO3H)、−COO-(−COO
H)などをあげることができる。特に、生体適合性材料
として使用したときに、補体成分を阻害する作用を有す
るものが好ましい。
【0025】 ポリウレタンは、生体に影響を及ぼさな
いまたは及ぼされない医療用のポリウレタンを用いるこ
とができ、ソフトセグメントを形成するモノマー成分
とハードセグメントを形成するモノマー成分とのランダ
ムまたはブロック共重合、ソフトセグメントのブロッ
クとハードセグメントのブロックとのブロック重合など
を組み合わせた重合体を用いることができる。ポリウレ
タンは、ソフトセグメントおよびハードセグメントを有
するもの、ソフトセグメントのブロックおよびハードセ
グメントのブロックとを含むものが好ましい。中でも、
ポリウレタンは、弾性を有するものが好ましい。
【0026】 ポリウレタンのソフトセグメントを形成
するモノマー成分としては、両末端にイソシアネート
基を有し、主鎖に芳香族や環状基を含まないポリエーテ
ル、ポリエステルまたはポリカーボネートなどや、脂肪
族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ポリ
カーボネートなどから選択されるジイソシアネート化合
物、両末端にイソシアネート基を有するポリシロキサ
ンユニットを含むジイソシアネート化合物などを挙げる
ことができる。ポリウレタンのハードセグメントを形成
するモノマー成分としては、両末端にイソシアネート基
を有し、主鎖に芳香族や環状基を含むセグメント(構
造)を有する芳香族ジイソシアネート化合物、環状アル
キル型ジイソシアネート化合物などを挙げることができ
る。
【0027】 モノマー成分であるジイソシアネート化
合物の鎖延長剤としてジオール、および/またはジアミ
ンを用いることができる。鎖延長剤としてジアミンを用
いる場合、得られるポリマーは、ポリウレア型ポリウレ
タンとなる。ポリウレタンのソフトセグメントブロック
としては、主鎖に芳香族や環状基を含まないポリエーテ
ル、ポリエステルまたはポリカーボネートなどや、脂肪
族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカー
ボネートなどのセグメントから選択されるポリエーテル
ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンまたはポリカ
ーボネートポリウレタン、シリコーンを含むシリコーン
含有ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0028】 ポリウレタンのハードセグメントブロッ
クとしては、主鎖に芳香族や環状基を含むセグメントを
有する芳香族ポリウレタン、環状アルキル型ポリウレタ
ンなどを挙げることができる。特に、ポリウレタンとし
て、ソフトセグメントブロックとして脂肪族ポリカーボ
ネートを、ハードセグメントブロックとして芳香族を含
むセグメントを、鎖延長剤としてジオールを用いるセグ
メント化ポリウレタンが好ましい。
【0029】 硫酸化ポリウレタンは、−SO3 -または
(−SO3H)を有するポリウレタンであり、ウレタン
結合のN−Hの水素が、−SO3 -または(−SO 3H)
を含む炭素数1〜20のアルキル基や炭素数6〜20の
アリール基などにより置換されたものを用いることがで
き、ウレタン結合のN−Hの水素が、0.1〜50%、
好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは3〜27
モル%、より好ましくは5〜25モル%、特に好ましく
は8〜22モル%の範囲で置換された物が好ましい。硫
酸化ポリウレタンは、以下の化学式(1)に示すポリウ
レタンが好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】 (但し、式中Xは、水素原子が50〜9
9.9モル%、−CH2CH2CH2−SO3 -(−CH2
2CH2−SO3H)が50〜0.1モル%のスルホン
化アルキル基であり、nは10以上の整数であり、mは
0または1以上の整数である。)。
【0032】 特に、硫酸化ポリウレタンとしては、P
ellethane(ダウケミカル社製)などで例示さ
れる、化学式(1)に示すポリウレタン、ナトリウムな
どの金属ハライドおよびプロパンスルトンなどのアルキ
ルスルトンとの反応から得られるものが好ましい。
【0033】 本発明にかかる宿主内埋め込み用構造体
は、0.01〜10μmの孔を多数有する高分子膜と、
生体適合性材料とからなる。構造体の形状としては、開
口部を有する袋型の形状をしていることが好ましい。と
いうのは、宿主内埋め込み用構造体としての製造が容易
であり、大量生産が可能で、取扱が容易であり、安価で
あり、宿主への埋め込みや移植を容易に行うことがで
き、また、埋め込み後の宿主への負担も、柔軟性が高
く、形状の自由度が高いため、機械的ストレスを与えに
くいという理由で、少なくなるため好ましい。
【0034】 宿主内埋め込み用構造体は、その開口部
より組織を構造体内部に収納し、開口部を封止すること
ができる構成を有することが好ましい。宿主内埋め込み
用構造体の開口部の封止方法としては、開口部に位置す
る高分子膜を熱融着させるか、接着剤により封止するな
どの公知の封止方法によればよく、場合によっては、こ
れらの方法を組み合わせて使用してもよい。
【0035】 本発明の宿主内埋め込み用構造体は、組
織または細胞を収納した後、宿主内に埋め込むことによ
り高分子膜内に収納された組織、または細胞を繁殖させ
ることができる。本発明の宿主内埋め込み用構造体は、
組織と異なる異系または異種の宿主内に埋め込むことに
より高分子膜で収納した組織の形態と分化能を維持する
ことの可能な構造体である。また、本発明の宿主内埋め
込み用構造体は、構造体を宿主内に埋め込むことによ
り、宿主内での組織繁殖、宿主内への組織の移植に用い
ることができる。
【0036】 本発明の宿主内埋め込み用構造体は、宿
主内に埋め込まれた細胞や組織が活動するために必要な
酸素や栄養分などは宿主から受け取ることができ、ま
た、生体適合性材料により、宿主の組織、生体防御機能
を担う白血球やイムノグロブリン、補体といった血球、
血液成分と直接触れないように選択透過性を発揮するも
のが好ましく、このような作用を発揮することにより、
宿主内に埋め込まれた宿主内埋め込み用構造体に収容さ
れている細胞または組織が容易に破壊されることがなく
なる。さらに、本発明の宿主内埋め込み用構造体は、宿
主内に埋め込まれた細胞または組織が産生する有用な成
分の透過を妨げないものが好ましい。本発明の宿主内埋
め込み用構造体は、宿主の力学的ストレスから宿主内に
埋め込まれた細胞または組織を保護するものが好まし
い。
【0037】 本発明の宿主内埋め込み用構造体に柔軟
性を付与させると、宿主への埋め込みや移植を容易に行
うことができ、また、埋め込み後の宿主への負坦が少な
くなるため好ましい。
【0038】 本発明の宿主内埋め込み用構造体は、再
生医療および移植医療、ティッシュエンジニアリング、
ハイブリッド型人工臓器の開発や評価などに利用するこ
とができる。
【0039】
【実施例】 以下、実施例および比較例により本発明を
具体的に説明する。但し、本発明は下記実施例および比
較例により何ら制限を受けるものではない。
【0040】 なお、実施例および比較例の結果の評価
は、下記の方法で行った。 組織の増殖の測定:移植一週間後に、バッグを宿主から
摘出し、バッグを開封し、内部から組織を取り出し、取
り出した組織をアルシアンブルー染色、脱水、透徹し、
顕微鏡標本を作成した。この標本を、顕微鏡下で観察
し、組織の生存、分化、増殖等について鏡検した。 免疫反応の発現の有無:宿主から血液を採取して、リン
パ球を分離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を
用いて、Fluorescence-Activated Cell Sorter(FAC
Sと称す。)によりT細胞のサブセットを解析した。T
細胞の数が増加したものを、宿主内で免疫反応が発現し
たと判断した。
【0041】(実施例1)ポリプロピレン(最外層)/
ポリエチレン(中間層)/ポリプロピレン(最内層)の
三層構造からなる、厚さ25μmの表面全体に多数の平
均孔径0.1μmの孔を有する膜(ユーポアUP302
5:宇部興産社製)を用いて、2cm×3cm、容積約
1mlのバックを作成した。このバックの外面に、ポリ
ウレタン(Pellethane2363−80AE:
ダウケミカル社製)とナトリウムハイドライドとプロパ
ンスルトンによって硫酸基を導入したポリウレタンの1
0%テトラヒドロフラン溶液を塗布し、乾燥し、硫酸基
を有するポリウレタンによるコーティング処理を行な
い、宿主内埋め込み用構造体を作成した。このポリウレ
タンをコーティングしたバックに、妊娠14日目のF3
44系ラット胎仔のLimbBud組織を必要な培養成
分を含む培養液と共に収納し、開口部を熱融着して、組
織を収納した宿主内埋め込み用構造体を作成した。この
構造体を、同系列のラット(8週齢、メス)の腹腔内に
移植し、移植一週間後に、構造体を取り出した。
【0042】 構造体より組織を取り出し、アルシアン
ブルー染色、脱水、透徹し、顕微鏡標本を作成した。得
られた顕微鏡標本の結果、移植組織は、ほぼその形態を
維持しており、若干の成長が認められた。また、軟骨細
胞は分化が促進されていた。また、血液を採取してリン
パ球を分離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を
用いて、FACSによりT細胞のサブセットを解析し、
結果、T細胞サブセットには、変化が認められなかっ
た。
【0043】 なお、硫酸基を導入したポリウレタン
は、以下の方法で製造した。 (1)試薬 ・Pellethane2363−80AE(ポリウレ
タン:ダウケミカル社製)。 ・プロパンスルトン(PST:和光純薬社製)。 ・水素化ナトリウム安定化剤入り(NaH:和光純薬社
製)。 ・ジメチルホルムアミド(DMF:和光純薬社製)。 ・トルエン(和光純薬社製)。 (2)合成方法 以下の反応操作は、乾燥窒素フロー下にて行った。室温
でポリウレタン10.0gをDMF90.0gに完全に
溶かし、10wt%溶液とした。トルエン1mlを加
え、10分間撹拌した後に、100℃に加熱し、1時間
トルエンとの共沸による脱水を行った。その後、窒素フ
ローと撹拌を継続しながら放冷し、さらに氷水浴によっ
て0℃まで冷却した。溶液が0℃に冷却されていること
を確認した後に、この溶液に10mlのDMFに0.1
gのNaHを懸濁した溶液を添加した。1時間撹拌後、
泡立ちが止まったことを確認してオイルバスで50℃に
加温した。これにPST0.5gを加え、2時間反応さ
せた。その後加熱を止め、撹拌しながら放冷し、反応を
停止させた。乾燥窒素を停止し、反応溶液を反応容器か
ら取り出した。
【0044】 反応溶液を室温下、水1000ml中に
滴下し、ポリマーを沈澱させた。上澄み液を置換し、ポ
リマーを水1000mlで2時間、5回洗浄した。その
後、ポリマーを室温で減圧乾燥し、ポリマーとして硫酸
化ポリウレタンを得た。収量は6.4gであった。得ら
れた硫酸化ポリウレタンの元素分析結果を表1に示す。
この結果からN−Hの水素の置換率を求めたところ、
8.70mol%と算出した。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例2)実施例1と同様の構造体を用
いて、異系ラット間での移植実験を行った。組織として
ブラウン・ノーウェイ(BN)ラットの胎仔を用いた以
外は、実施例1と同様にして、組織を収納した構造体を
得た。この構造体を、異系のF344系ラット(8週
齢、メス)の腹腔内に移植し、移植一週間後に、構造体
を取り出した。ついで、構造体より組織を取り出し、ア
ルシアンブルー染色、脱水、透徹し、顕微鏡標本を作成
した。得られた顕微鏡標本の顕微鏡写真を図1に示す。
結果、異系ラットであっても移植組織の形態はよく維持
されていた。また、血液を採取してリンパ球を分離し、
蛍光標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を用いて、FAC
SによりT細胞のサブセットを解析し、結果、T細胞サ
ブセットにも、変化が認められなかった。
【0047】(実施例3)実施例1と同様の構造体を用
いて、異種間の移植実験を行った。組織として妊娠13
日目のICR系マウス胎仔のLimbBud組織を用い
た以外は、実施例1と同様にして、組織を収納した構造
体を得た。この構造体を、異種のF344系ラット(8
週齢、メス)の腹腔内に移植し、移植一週間後に、構造
体を取り出した。この構造体より組織を取り出し、アル
シアンブルー染色、脱水、透徹し、顕微鏡標本を作成し
た。得られた顕微鏡標本の顕微鏡写真を図2に示す。結
果、異種動物であっても移植組織の形態はよく維持され
ていた。また、血液を採取してリンパ球を分離し、蛍光
標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を用いて、FACSに
よりT細胞のサブセットを解析し、結果、T細胞サブセ
ットにも、変化が認められなかった。
【0048】(比較例1)実施例1と同様に、ポリプロ
ピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの三層構造(以
下、「P/E/P」と記載する)からなる、厚さ25μ
mの表面全体に多数の平均孔径0.1μmの孔を有する
膜(ユーポアUP3025:宇部興産社製)を用いて、
2cm×3cm、容積約1mlのバックを作成した。こ
のバックに、妊娠14日目のF344系ラット胎仔のL
imbBud組織を入れ、開口部を熱融着して、組織を
収納した構造体を作成した。この硫酸基を有するポリウ
レタンをコートしていないバックに、妊娠14日目のF
344系ラット胎仔のLimbBud組織を入れ、開口
部を熱融着して、組織を収納した構造体を作成した。こ
の構造体を、同系のF344系ラット(8週齢、メス)
の腹腔内に移植し、移植一週間後に、構造体を取り出し
た。この構造体より組織を取り出し、アルシアンブルー
染色、脱水、透徹し、顕微鏡標本を作成した。得られた
顕微鏡標本の顕微鏡写真を図3に示す。結果、移植組織
の形態はとどめていなかったものの、軟骨細胞の分化の
促進は認められた。また、血液を採取してリンパ球を分
離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を用いて、
FACSによりT細胞のサブセットを解析し、結果、T
細胞サブセットにも、変化が認められなかった。
【0049】(比較例2)ポリプロピレン/ポリエチレ
ン/ポリプロピレンの三層構造(以下、「P/E/P」
と記載する)からなる、厚さ25μmの表面全体に多数
の平均孔径0.1μmの孔を有する膜(ユーポアUP3
025:宇部興産社製)を用いて、2cm×3cm、容
積約1mlのバックを作成した。このバックに、ポリエ
ーテルポリウレタン(Pe11ethane2363−
80AE:ダウケミカル社製)の1%テトラヒドロフラ
ン溶液を塗布し、乾燥し、ポリウレタンによるコーティ
ング処理を行った。このポリウレタンをコーティングし
たバックに、妊娠14日目のF344系ラット胎仔のL
imbBud組織を入れ、開口部を熱融着して、組織を
収納した構造体を作成した。この構造体を、同系のF3
44系ラット(8週齢、メス)の腹腔内に移植し、移植
一週間後に、構造体を取り出した。この構造体より組織
を取り出し、アルシアンブルー染色、脱水、透徹し、顕
微鏡標本を作成した。得られた顕微鏡標本の結果、移植
組織の形態はとどめていなかったものの、軟骨細胞の分
化の促進は認められた。また、血液を採取してリンパ球
を分離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗CD8抗体を用い
て、FACSによりT細胞のサブセットを解析し、結
果、T細胞サブセットにも、変化が認められなかった。
【0050】 また、FACSによる検査結果では、比
較例1と2ともに、T細胞のサブセットの増殖は認めら
れなかった。従って、本発明の構造体において、高分子
膜として使用される高分子膜には、免疫反応を引き起こ
す可能性は低いと考えられる。
【0051】(比較例3)実施例1と同様のP/E/P
の2cm×3cm、容積約1mlのバックを作成した。
この硫酸基を有するポリウレタンをコートしていないバ
ックに、妊娠14日目のブラウン・ノーウェイ系ラット
胎仔のLimbBud組織を入れ、開口部を熱融着し
て、組織を収納した構造体を作成した。この構造体を、
異系のF344系ラット(8週齢、メス)の腹腔内に移
植し、移植一週間後に、構造体を取り出した。構造体よ
り組織を取り出し、アルシアンブルー染色、脱水、透徹
し、顕微鏡標本を作成した。得られた顕微鏡標本の顕微
鏡写真を図4に示す。移植組織の形態はとどめていなか
ったものの、軟骨細胞の分化の促進は認められた。ま
た、血液を採取してリンパ球を分離し、蛍光標識抗CD
4抗体、抗CD8抗体を用いて、FACSによりT細胞
のサブセットを解析し、結果、T細胞サブセットにも、
変化が認められなかった。
【0052】(比較例4)実施例1と同様のP/E/P
の2cm×3cm、容積約1mlのバックを作成した。
この硫酸基を有するポリウレタンをコートしていないバ
ックに、妊娠13日目のICR系マウス胎仔のLimb
Bud組織を入れ、開口部を熱融着して、宿主内埋め込
み用構造体を作成した。この構造体を、異種のF344
系ラット(8週齢、メス)の腹腔内に移植し、移植一週
間後に、構造体を取り出した。この構造体より組織を取
り出し、アルシアンブルー染色、脱水、透徹し、顕微鏡
標本を作成した。得られた顕微鏡標本の顕微鏡写真を図
5に示す。移植組織の形態はとどめていなかったもの
の、軟骨細胞の分化の促進は認められた。また、血液を
採取してリンパ球を分離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗
CD8抗体を用いて、FACSによりT細胞のサブセッ
トを解析し、結果、T細胞サブセットにも、変化が認め
られなかった。
【0053】(比較例5)実施例1と同様のP/E/P
の2cm×3cm、容積約1mlのバックを作成した。
その後、このバックは、実施例1と同様の方法で硫酸基
を有するポリウレタンによるコーティングを行い、開口
部を熱融着した。このポリウレタンコートのバックをF
344系ラット(8週齢、メス)の腹腔内に移植し、移
植一週間後にバックを取り出した。その後、血液を採取
してリンパ球を分離し、蛍光標識抗CD4抗体、抗CD
8抗体を用いて、FACSによりT細胞のサブセットを
解析し、結果、T細胞サブセットにも、変化が認められ
なかった。このポリウレタンコートのバックのみを移植
することが、宿主へ重大な影響を及ぼさないことが確認
できた。
【0054】
【発明の効果】 本発明によれば、宿主の生体防御機能
を担う血中成分、特に補体成分についてその透過を妨げ
ることができ、かつ宿主および移植組織への影響がな
く、組織の形態および分化能を維持したまま安定に宿主
へと移植することが可能な構造体を提供することができ
る。さらに、異系および異種動物間の移植が可能で、組
織の形態と分化能の維持することの可能な構造体を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2の顕微鏡標本の顕微鏡写真である。
【図2】 実施例3の顕微鏡標本の顕微鏡写真である。
【図3】 比較例1の顕微鏡標本の顕微鏡写真である。
【図4】 比較例3の顕微鏡標本の顕微鏡写真である。
【図5】 比較例4の顕微鏡標本の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 利江 東京都世田谷区玉川3丁目29番地21 (72)発明者 坂井 正宗 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内 (72)発明者 池田 博之 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4B065 AA90X BC42 BD14 CA44 4C081 AB11 CA02 CA08 CA21 CA28 CD34 DA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.01〜10μmの孔を多数有する高
    分子膜と、生体適合性材料よりなることを特徴とする宿
    主内埋め込み用構造体。
  2. 【請求項2】 組織が構造体内部に収納されていること
    を特徴とする請求項1に記載の宿主内埋め込み用構造
    体。
  3. 【請求項3】 該高分子膜が、ポリオレフィン、ポリフ
    ッ化ポリオレフィンまたはポリエチレンテレフタレート
    から選ばれる膜であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の宿主内埋め込み用構造体。
  4. 【請求項4】 生体適合性材料が、ポリウレタン、ポリ
    ヒドロキシエチルメタクリレートから選ばれる1種また
    はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の宿主内埋め込み用構造体。
  5. 【請求項5】 生体適合性材料が、アニオン性基を含む
    高分子材料であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の宿主内埋め込み用構造体。
  6. 【請求項6】 生体適合性材料が、硫酸化ポリウレタン
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の宿主内埋め込み用構造体。
  7. 【請求項7】 高分子膜の孔が膜の両面に連通している
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    宿主内埋め込み用構造体。
  8. 【請求項8】 宿主内埋め込み用構造体が、補体成分を
    阻害することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の宿主内埋め込み用構造体。
  9. 【請求項9】 請求項1、および3〜8のいずれか1項
    に記載の宿主内埋め込み用構造体に組織を収納し、この
    ものを宿主内に埋め込むことを特徴とする組織の繁殖方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載の宿主内埋め込み用構
    造体を宿主内に埋め込むことを特徴とする組織の繁殖方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017502008A (ja) * 2013-12-10 2017-01-19 デファイメッド 分泌細胞をカプセル化するためのチャンバー

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