JPH08500255A - 血管形成組織移植システムおよびその方法 - Google Patents
血管形成組織移植システムおよびその方法Info
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Abstract
(57)【要約】
移植システムと方法は、移植される同種異系移植片、異種移植片、及び同種同系移植片に対し、免疫保護を行う。同システムと方法は、被移植体と移植された細胞の間に、改善された境界を形成する。この境界は、決定的な虚血期間中とその後で細胞の生存を確実にする孔の大きさ、極限強さ、及び代謝運搬能力を備えている。境界は、被移植体に対し治療効果を上げるに十分な数の細胞を、被移植体内の比較的小さい、コンパクトな部位に収容できる移植システムと方法を構成し、使用することを可能にする。
Description
【発明の詳細な説明】
血管形成組織移植システムおよびその方法関連出願
本出願は、近隣血管新生移植物質について1991年7月24日出願のアメリ
カ合衆国同時係属出願第735,401号の一部継続出願である。発明の分野
本発明は、被移植体内に生きた細胞を移植するためのシステムおよび方法に関
する。背景技術
数年間にわたり、研究者達は被移植者体内に、生きた細胞を手術により移植す
ることで、様々な細胞及び分子欠乏疾患を治療する試みを行ってきた。理論上で
は、移植された細胞は、疾患あるいは損傷のため被移植体が自分自身で生成する
ことのできない生物学的生成物を生成する。例えば、移植システムは膵細胞(「
島]と呼ばれる菌株群)を含み、糖尿病を持つ被移植体に欠けているインシュリ
ンを生成する。
しかしながら、実際には、従来の移植システム及び方法では、通常意図された
治療の効果を得るのに十分な期間、移植された細胞を生存させておくことができ
ない。例えば、糖尿病の治療のために移植される膵細胞は通常、移植後2、3日
から2,3週間で死んでしまうか、機能不全となる。
移植後のある期間中、移植システムに隣接する被移植体の組織の領域は虚血に
なっている。「虚血」とは、移植システムの近隣の組織領域に十分な血液が流れ
ていないという意味である。通常、この虚血状態は移植後二週間続く。移植され
た細胞は、たいていこの期間に死んでしまう。
虚血期間中、異物きょう膜が移植された細胞のまわりに形成される。このきょ
う膜は、平らになった大食細胞、異物巨細胞、そして繊維芽細胞からなっている
。従来の仮説では、異物きょう膜が虚血期間中に移植された細胞を死なせてしま
ったり、機能不全にいたらしめるものと考えられた。
本発明は、これらの幅広く支持されている仮説が間違いであることを発見した
。発明者達は、細胞が異物きょう膜の介在により死んでしまうものではないこと
を
発見したのである。そうではなく、細胞は、従来の移植システムと方法自体が先
天能力に欠けているため、決定的な虚血期間中、つまり被移植体の血管構造が近
くに存在しない期間中、移植された細胞の生存プロセスを維持することができな
いのである。このため、移植された細胞は被移植体が近くに新しい血管構造を形
成し、その細胞を維持することが出来るようになる以前に死んでしまうのである
。
移植された細胞がこの虚血期間中に死んでしまうと、古典的異物きょう膜が必
然的に移植システムのまわりに形成される。このきょう膜が常に存在することに
より、過去の研究者達は誤った結論を導くことになり、被移植体の異物反応は移
植された細胞が死んでしまった結果として発生したものというよりも、移植され
た細胞を死なせてしまう原因として信じられていたのである。
本発明は、現存する移植システムと方法に関するこれら及びその他の問題を修
正するものである。
過去の移植システムの多くは、実用的に移植を行い、被移植体の危険や不快を
伴わずに作業を行うことができないために、臨床の場では有効的に活用すること
ができないでいた。
ある例として、最近サイトセラピューティックスは中空の繊維内に細胞を収容
する移植システムを使用して、ラットの糖尿病を治療することに成功している。
このシステムは7つの繊維を含み、各繊維は長さが2cmで直径が0.073cmで
あった。膵細胞は1cm3に約2,500個の密度で繊維内に存在していた。この
システムをヒトの糖尿病の治療に臨床的に利用するには、少なくとも約250,
000の膵島(各島は約1,000個の細胞を含む)を含んでいなくてはならな
い。つまり、ヒトの糖尿病の治療に必要な数の膵細胞を含むには、システムは、
約117フィート(約35m)もの長さになってしまう。これでは、臨床の場で
ヒトを対象にこのシステムを使用することは不可能である。
また最近、細胞をミクロカプセルと呼ばれる非常に小さなヒドロゲル容器に閉
じこめる試みがなされている。これらの小さな容器は、被移植体のやわらかい組
織に移植することができない。被移植体の近くで通常遭遇する生理的ストレスに
耐えられる物理的強度が欠けているからである。そのかわりとして、ミクロカプ
セルは、被移植体の腹膜腔に注入される溶液中に自由に浮遊する状態で懸濁され
る。
現実では、ミクロきょう膜の臨床適用例は限られたものとなっている。危険や
不快感を伴うことなくこの注入に耐えられる人は、そう多くはいない。ミクロき
ょう膜は、非粘着性で、器官には粘着しない。そのかわり、腹膜腔の底に大量に
かたまって沈んでしまう。そして、非移植体の組織内に直接移植された場合には
、ミクロきょう膜は破損し、中に含まれた細胞は死んでしまう。このような理由
により、ミクロきょう膜は治療のための細胞移植にまつわる問題を解決する手段
として広く臨床の場で利用されるにはいたらないのである。
本発明は、重要な目的として、広い臨床の場での利用に要求される有効性と実
用性を兼ね備えた移植システムと方法を兼ね添えたものである。発明の概要
これらの、そしてその他の目的を満たすため、本発明は、改善された移植シス
テムと方法を提供し、被移植体に治療効果を得るに十分な量の細胞を移植し、そ
れでいて被移植体の比較的小さい、コンパクトな領域を使用するものである。本
発明が提供する移植システムと方法はまた、移植される細胞と被移植体との間に
、改善された境界を形成する。この改善された境界は、被移植体が血管構造を形
成する以前と以後の両方にわたり、移植された細胞の生存力を維持する。
移植された細胞が長期間生き残り、機能するためには、被移植体は、その細胞
のために新しい血管構造を形成しなければならない。発明者達は、動物の被移植
体はこれらの新しい血管構造を自然に形成しないことを発見した。この形成は、
刺激されなければならないのである。
移植システムそのものが、この決定的な刺激を被移植体に与えなくてはならな
いのである。さもなければ、新しい血管構造は境界の近くには形成されないので
ある。そして、移植された細胞は、予期されるように、死んでしまうか、機能を
失ってしまう。
発明者達は、治療を目的として移植されるある種の細胞、例えば膵島などは、
自然に血管形成物質を分泌することを発見した。「血管形成」とは、移植された
細胞を被移植体から隔離させる境界の近隣に位置する被移植体により新しい血管
構造の成長を刺激する物質である。「近隣」というのは、その血管構造が一般的
にその境界から約一つの細胞層離れた所以内に位置する距離で、通常約15ミク
ロン以内である。
これらの血管形成源の細胞は、移植されると近隣での新生血管の成長のための
刺激を自ら作り出す。しかしながら、その他の細胞は、自然に血管形成物質を分
泌しない。それらの細胞は、それだけで移植された場合、血管新生を誘発させな
い。それらの細胞が移植される場合、移植システムは、それらの細胞のために別
の血管形成源を含まなくてはならない。
それでもまだ、血管形成源だけでは虚血期間中、つまり近隣に血管構造が形成
される以前に、細胞が生き残ることを確実にすることはできない。自然に血管形
成物質を分泌する細胞であっても、虚血期間中に死んでしまったり機能不全にな
ることがよくある。その場合、血管形成物質も分泌されなくなり、血管新生も停
止してしまう。
発明者達は、虚血期間中に移植された細胞が死んでしまうのは、その細胞を収
容しているシステムが内在能力に欠き、被移植体の血管構造が不在の間、十分な
栄養物を持ち込み、十分な廃棄物を放出して代謝のプロセスを維持することが出
来ないことを発見した。この能力は、以下で「代謝運搬」と呼ばれる。
移植された細胞が虚血期間中に死んでしまったり機能不全になるのは、従来の
移植システム及び方法が十分な代謝運搬能力を兼ね備えていないためで、異物き
ょう膜の形成によるものではない。境界による十分な代謝運搬能力が欠けている
ために、近隣の血管構造の形成が阻害され、移植が失敗に終わるのである。
発明者達は、異物きょう膜が形成されている際にも、移植システムが移植され
た細胞の代謝プロセスを虚血期間中維持することを発見したが、この際、移植シ
ステムは近隣の血管構造が不在の間、十分な代謝運搬能力を持ち、これらのプロ
セスを維持することができなくてはならない。細胞の代謝プロセスが維持されて
、細胞は虚血期間中も生き残ることができるのである。移植システムが移植され
る血管形成源の細胞を含む場合、これらの細胞もまた、新しい血管構造の形成を
刺激する血管形成物質を放出する。新しい血管構造の形成は、反対に、虚血期間
の終わりを記すのである。十分な代謝運搬能力は、これら全ての補足プロセスを
維持し、促進させるのである。
本発明の態様の一つは、被移植体と移植された細胞の間に改善された境界を持
つ移植システムと方法を提供する。この境界は、その孔の大きさ、極限の物理的
強度、そして代謝運搬能力において特徴づけられる。代謝運搬能力は逆に、境界
の透過性及び有孔性において特徴づけられる。
孔の大きさと極限の物理的強度は、虚血期間中とその後で、移植組織細胞を被
移植体の免疫応答から隔離させる働きをする。代謝運搬能力は、虚血期間中とそ
の後で、異物きょう膜が形成されている際でも、移植された細胞の生存力を維持
する働きをする。
望ましい態様の一つでは、境界はまた、改善された移植システムと方法が刺激
を促す新しい血管構造の成長を維持し、促進させる表面構造を持つ。
本発明の別の態様では、治療格納係数を導いて使用し、ある細胞の種類に対し
てある移植システムの臨床効果の特性を明らかにし、予測する方法を提供する。
治療格納係数には、望ましい治療効果を達成するために必要な移植細胞の数と、
被移植体が普通に耐えることのできる、被移植体と移植される細胞の間の境界の
効果的な面積と、細胞の生存力を維持するために必要な代謝運搬能力とが考慮さ
れる。治療格納係数を使用することにより、実行者はコンパクトな大きさによる
利点と治療に必要な細胞の数を維持する能力を兼ね備えた移植システムを提供す
ることができる。
本発明は、大幅に改善された能力特性を持つ移植システム及び方法を提供する
。
改善された能力特性は、被移植体内のコンパクトな場所に高密度の細胞を維持す
る。本発明の特徴を実施するシステム及び方法は、ある体積での移植細胞の数に
して、従来のシステム及び方法の8倍までもの数を提供する。
本発明のその他の特徴と長所は、以下の明細文、図面の説明、及び請求の範囲
により明らかにされている。図面の簡単な説明
図1は、実行者の手で持たれている本発明の特徴を具体化する移植システムの
斜視図である。
図2は、図1に示された移植システムの拡大斜視図である。
図3は、図2に示された移植システムの拡大分解斜視図である。
図4は、図2の線4−4についての移植システムの横断面図である。
図5は、本発明の特徴を実施する別の移植システムの拡大分解斜視図で、実行
者が移植細胞をシステムに挿入している様子を示すものである。
図6は、図5で示されたシステムの、周囲端の接着がなされる以前の組立拡大
図である。
図7は、図6で示されたシステムの拡大図で、一部がめくれられて内部が示さ
れている。
図8は、図5で示されたシステムの、周囲端の接着がなされた後の組立拡大図
である。
図9は、図8の線9−9についての密封されたシステムの一部を示す横断面図
である。
図10図は、図6の線10−10についての密封前のシステムの横断面図であ
る。
図11は、本発明の特徴を具体化する積層境界構造の最下層を包含する積層ス
ライドの斜視図である。
図12は、図11の線12−12についての積層スライドの横断面図である。
図13は、積層境界構造を形成する過程において、粘着性のフィラメントを使
用するために横に並べられた数枚の積層スライドの斜視図である。
図14は、図13で使用されたセメントフィラメントの上に重ねられた最上層
を含む、積層境界構造の横断面図である。
図15は、セメントフィラメントが硬化する間二枚の積層スライドの間にかす
がいで留められた積層境界構造の横断面図である。
図16は、図11−図15で示されたステップに従って形成された積層構造か
ら切断された個々の境界壁要素の斜視図である。
図17は、本発明の特徴を具体化する移植システムの、被移植体に手術で移植
された後の描写図である。
図18は、移植後、1日から2日経過した虚血期間中の移植システムの描写図
で、滲出液で覆われている周りの創傷部分を示している。
図19は、移植後、約2週間経過した後の移植システムの描写図で、虚血期間
の終わりを意味する境界の近隣での血管構造の形成を示している。
図20は、移植された細胞が虚血期間を生き延びた移植システムの一部の描写
図で、境界の近隣の血管構造の形成とその結果として変化した異物きょう膜を示
している。
図21は、移植された細胞が虚血期間を生き延びることの出来なかった移植シ
ステムの一部の描写図で、境界の近隣には血管構造が見られず、その結果として
異物きょう膜の介在が示されている。
図22は、本発明に従って導かれた膵細胞に対する治療格納曲線を示すグラフ
である。
望ましい実施態様を説明するにあたり、本発明の利用は、以下で述べられる、
又は図面で示される各構成や方法に限られないものとする。本発明は、その他の
実施態様でも利用でき、実際に様々な方法で利用されているものである。望ましい実施態様
図1−図4は、本発明の特徴を具体化する移植システム10を示している。
システム10は、あらかじめ選択された種類の生きた細胞12を、被移植体の
やわらかい細胞内に移植する目的で収容することができる。移植される細胞12
は、疾患あるいは損傷のため、被移植体が自分自身で生成することのできない生
物学的生成物を生成する。
例えば、移植システム10は、膵細胞の細胞群(「島」と呼ばれる)を包含す
ることができ、これらが糖尿病を持つ被移植体に送られ、使用されるインシュリ
ンを生成する。
システム10は、多孔性の生命維持境界を移植細胞12と被移植体との間に形
成する。この多孔性境界は、被移植体のある生物学的な機構による攻撃や破壊行
為から移植細胞12を隔離する。同時に多孔性境界は、被移植体の生物学的シス
テムと密接に関係し、移植細胞12の生物学的プロセスを維持するために栄養素
及び廃棄物の運搬を行う。多孔性境界はまた、移植細胞により生成された治療の
ための生成物を被移植体に運搬する。
図1−図4に示される実施態様では、システム10は、輪の形をしたハウジン
グ11を含んでいる。このハウジング11は、第一の輪状要素14とこれに収ま
る第二の輪状要素16を含んでいる。システム10はまた、輪状ハウジング11
内に、細胞室18を形成している。
第一の輪状要素14は、直立した円筒状の側壁20を含み、その周囲に開口部
を形成している。第一と第二の中央開口部22と24はこの開口部に接続してい
る。第一の中央開口部22は第二の中央開口部24より小さくなっている。これ
は、第一の開口部22に隣接して、内側に段、つまり出っ張り26が形成されて
いるためである。
第二の輪状要素16はまた、中央開口部28を持つ。第二の輪状要素16の外
径は、第一の輪状要素14の開口部の内径より若干大きくなっている。第二の中
央開口部24の周囲端には、第二の輪状要素16を受け止めるための面とりがさ
れている。組み立ての際、第二の輪状要素16は、第一の輪状要素14の開口部
の内側にぴったりと収まるようにはめられる(図2参照)。
第一の輪状要素14と第二の輪状要素16は、耐久性のある生体適合セラミッ
クあるいはチタンのような金属材料でできている。チタンのように、選択された
材料はまた、X線等により被移植体の組織内で透視出来るものが望ましい。
輪状ハウジング11の具体的な寸法は、その使用目的とそれに含まれる細胞1
2の体積により異なる。
一つの望ましい実施態様では、第一の輪状要素14の側壁は、高さが約.055イ
ンチ(1.397mm)、外径が約.375インチ(9.525mm)である。開口
部の内径は、約.325インチ(8.255mm)で、第二の中央開口部24の面
とり30の内側の端に接続している。第二の中央開口部24の、面とり30の外
側の端に添った内径は、約.326インチ(8.280mm)である。第一の中央
開口部14の内径は、約.275インチ(6.985mm)で、深さは約.015
インチ(.381mm)で、内側の出っ張り26に接続している。
この実施態様では、関係づけられた第二の輪状要素16は、高さが約 . 02
5インチ(635mm)、外径が約.326インチ(8.280mm)、内径(中央
開口部28のための)が約.250インチ(6.35mm)である。第二の輪状要
素16を第一の輪状要素14内にぴったり収まるように結合させるために必要な
寸法差の範囲は、もちろん選択される材料の性質により異なる。
室は、第一の多孔性壁要素32、第二の多孔性壁要素34、及びこの二つに挟
まれた密封ガスケット、つまりリング36を含む。密封リング36は、メッシュ
・ポリエステル材料でできている。
壁要素32と34、及び密封リング36は、輪状のハウジング11の範囲内に
しっかりと収まる大きさになっている。そして、以下に詳細が述べられるが、少
なくとも一つの(好ましくは両方の)多孔性壁要素32と34が、被移植体内で
細胞12の生存力を保護し、維持するために選択されたある種の物理的性質を持
つ。
リング36は、中央開口部38を持つ。リングの開口部38は、それに重なる
第一と第二の多孔性壁要素32、34と共に室18を形成し、移植される細胞1
2を収容する(図4参照)。
図1−図4に示されるシステム10を作成するにあたり、実行者は、一つの壁
要素32を第一の輪状要素14内に形成された出っ張り26の上にのせる。実行
者は、次に密封リング36を壁要素32の上にのせる。実行者は次に、必要な量
の移植される細胞12をリング36の開口部38に挿入する。移植される細胞1
2は、被移植体内で期待される治療効果を誘発するに十分な量でなくてはならな
い。
実行者は次に、もう一方の壁要素34を第一の壁要素32、密封リング36、
そして挿入された細胞12の上にのせる。システム10を完成させるために、実
行者は、第二の輪状要素16を、第二の中央開口部24を通り、隣接する壁要素
34に対して押し込む。これにより、細胞を収容している室18の周辺が密封さ
れることになり、室18は輪状ハウジング11の開口部内にしっかりと収まる。
いったん組立が完成すると、一方の壁要素32は内部の出っ張り26上に収ま
り、第一の中央開口部22を通じて外側に露出する。もう一方の壁要素34は、
第二の輪状要素16に隣接して収まり、中央開口部28を通じて外側に露出する
。
図5−図10は、本発明の特徴を具体化する別の移植システム10′を示して
いる。前述の移植システム10と同様に、システム10′は、第一と第二の多孔
性壁要素32′と34′、及び中間の密封リング36′で形成される細胞室18
′を含む。
最初に述べられた移植システム10と異なり、システム10′は、室18′を
収容し、密封するための輪状ハウジング11は使用しない。代わりに、あらかじ
め形成された周辺溶接部40が、多孔性壁要素32′と34′の端を内側のリン
グ36′に溶接し、密封する。
図5−図10に示されたシステム10′を形成するにあたり、実行者は、密封
リング36′を一方の壁要素32′の上にのせ、必要な量の移植細胞12をリン
グ36′の開口部38′に挿入する(図5参照)。実行者は、もう一方の壁要素
34′をその上にのせる(図6参照)。実行者は次に、溶接部40を形成し、第
一と第二の壁要素32′と34′の周辺の端をリング36′に溶接する(図8参
照)。図9に示されるように、この溶接によりシステム10′の周辺端が接合さ
れる。
実行者は、室18′内の細胞12に損傷を与えない密封技術を選択しなくては
ならない。例えば、発明者達は、音波溶接が挿入された組織細胞を傷つけること
なく利用できることを発見している。
ある望ましい実施態様(以下で記述される、図11−図16に示されるような
層状構造72を使用)では、実行者は、ブランソン製音波溶接機を使用している
。溶接機は、40Khzで、941AESアクチュエータ、947m電源装置、
及び9IC出力制御装置と共に使用される。ホーン振幅は、約1.4ミルで、約
0.3秒のホールド時間、約.20秒の溶接時間、約50PSI(3.5kgw/
cm2)の圧力、約20ポンド(9kg)の引金力、及び約1.25のダウンス
ピード(機械設定)で作動する。
これらは、音波溶接を行うための代表的な運用範囲値で、使用する材料や、室
内に挿入される細胞の量により異なる。
このようにして形成される完全なシステム10′は,外部のハウジングを使用
することなく、直接被移植体の細胞内に移植することができる。
図8に示されるように、システム10′は、X線などにより被移植体の組織内
で透視できる材料を使用した、付属のクリップ42を含むことが望ましい。これ
により、実行者は、必要であれば、被移植体内のシステム10′の位置を簡単に
確認することができる。
最初に記述された実施態様と同様に、システム10′の具体的な寸法は、その
利用目的によって異なる。そして、最初に記述された実施態様のように、少なく
とも一つの(好ましくは両方の)多孔性壁要素32′と34′が、被移植体内の
細胞の生存力を保護し、維持するために選択された、ある物理的性質を持つこと
が望ましい。
使用されるシステムの種類にかかわらず、実行者は、システムを被移植体内の
やわらかい組織44に手術により移植しなければならない(図17参照)。手術
中、実行者は、露出した第一と第二の壁要素32と34が周りの被移植体組織4
4に密接するようにシステム10を挿入する。図17−図21では、システム1
0は、システム10′を包含している。
第一と第二の壁要素32と34の両方は、それにより室18の外側にある被移
植体の組織44の生体システムと室18内の移植組織細胞12の生体システムの
間に、望まれる境界46を形成する。
移植後のある期間中、移植システム10を直接囲んでいる被移植体の組織44
の領域は、虚血状態になっている(図18参照)。この領域は、被移植体がシス
テム10を異物とみなしているために虚血状態になっている。
被移植体は、システム10の周りに創傷部位48を形成している(図18参照
)。この創傷部位48は、創傷滲出液50で充たされる空間を持つ。この創傷滲
出液50は、この創傷部位48を虚血状態に保つ。
移植の直後、被移植体の炎症細胞がこの滲出部位48に進入し、占領する。
「炎症細胞」は、大食細胞、異物巨細胞、及び繊維芽細胞を含む。
これらの炎症細胞は、異物である移植システムを除去しようとする。被移植体
からの大食細胞は、異物の移植システム10を摂取しようとする。場合によって
は、大食細胞は、合体して多核大食細胞を形成する。繊維芽細胞層は、異物の移
植システム10の周りに細胞とコラーゲンの、一般的に異物きょう膜52と呼ば
れる袋状繊維体を形成する(図20参照)。
発明者達は、虚血期間中に移植された細胞の生存力を最も脅かすものは、異物
きょう膜52ではないことを発見している。むしろ、境界46そのものが十分な
量の、グルコースなどの細胞外の栄養素や境界46に存在するその他の代謝維持
化合物を細胞に送ることが出来ないため、この虚血期間中、細胞の存在が最も脅
かされるのである。代謝ができなくては、移植された細胞は、機能不全になるか
、死んでしまう。
図18が示すように、創傷滲出液50は、被移植体の血管システムと境界46
の間に流体の障壁を形成する。この障壁は、被移植体の血管システムから境界4
6へ栄養素を送るための細胞外の通路を妨害する。栄養素の濃度は、栄養素が滲
出液の障壁を通って境界46に届くまでに減少してしまうのである。
創傷滲出液領域50に進入した被移植体の炎症細胞はまた、代謝貯槽を作り上
げる。これらの炎症細胞は、競いあって被移植体の細胞外の栄養素が境界に届く
以前に栄養素を更に奪ってしまう。
被移植体が境界46の近くに新しく血管構造54を形成する刺激を受けた場合
被移植体の内皮細胞もまた、滲出部位48に進入する。これらの細胞は、新しい
血管構造54を形成する決定的なプロセスを開始する。しかし、それらの細胞の
存在はさらに、代謝貯槽効果に貢献することにもなるのである。被移植体の内皮
細胞は更に、移植細胞のための栄養素を減少させてしまうのである。
被移植体から十分な新生血管構造54がシステム10の境界46の近くの滲出
液領域50内に育成されなければ、虚血期間は終わりを遂げることが出来ない(
図19,20参照)。この近隣の血管構造54は、栄養素が境界46に届くため
に通らなければならない細胞外の通路を短縮する。近隣の血管構造54は、移植
された細胞により高い濃度の栄養素を提供するのである。近隣の血管構造54は
また、移植された細胞12により生成された、治療のための生成物を被移植体に
運搬する働きをする。
しかしながら、全てのこれらの望ましい効果は、移植された細胞12が決定的
な虚血期間中に生き残って初めて得られるのである。
発明者達は、境界46に存在する濃度の減少した栄養素は、滲出液の障壁と代
謝貯槽効果によりかなり減少してはいるが、それでも移植された細胞を十分維持
できることを発見している。これは、異物きょう膜が存在する場合でも言えるこ
とである。
しかし、境界46そのものが、残されている栄養素を十分なだけ適宜な速度で
細胞を送り込む能力に欠けている場合は、その細胞は死んでしまう。発明者達は
この能力を代謝運搬能力と呼んでいる。
発明者達は、この境界46そのものが栄養素の通路を妨害するもう一つの大き
な障壁ともなりえることを発見している。この境界46による追加障壁効果は、
すでに減少している栄養素の濃度を更に減少させ、最終的には細胞を維持するた
めの栄養素が本質的に全てなくなってしまう。
栄養素の細胞外の通路に対するこの一連の障壁(創傷滲出液領域50、境界4
6、及び代謝貯槽効果)はまた、移植された細胞からの代謝廃棄物の通路も塞い
でしまう。
発明者達は、虚血期間中、二つの主要な要因が移植された細胞の生存を脅かす
ことを発見している。第一の要因(従来から知られている)は、細胞を被移植体
の自然な免疫応答から隔てることに失敗することである。第二の要因(従来知ら
れていなかった)は、境界46の、望ましくない、追加の障壁効果で、これによ
り、近隣の新生血管が完全に形成される以前に、すでに乏しくなった不可欠な栄
養素の流れが妨害されてしまうことである。この障壁効果は、移植された細胞か
ら被移植体への代謝廃棄物の流れをも妨害してしまう。
虚血期間中に、境界46が移植された細胞を被移植体の免疫応答から隔離する
一方で、その細胞の継続する代謝プロセスを維持しない場合、この移植された細
胞は、長期間生存することができず、近隣箇所に血管新生が起きたとしても、そ
の効果が得られない。
本発明のこの態様によると、多孔性の境界46は、その孔の大きさ、極限の物
理的強さ、及び代謝運搬能力において特徴づけられる。最初の二つの特質は、移
植される組織細胞を被移植体の免疫応答から隔離する働きをする。最後の特質は
栄養素と廃棄物を運搬し、近隣の血管新生が起こる以前の、虚血期間中に、移植
された細胞の代謝プロセスを維持する働きをする。最後の特徴は、虚血期間中、
たとえ異物きょう膜が形成されていても、移植された細胞の生存力を維持するの
である。
本発明の別の態様によると、そのシステムはまた、血管形成物質を包含する。
血管形成物質の存在は、境界46に近い場所に要求される新しい血管の新生を促
し、虚血期間に終わりを告げるものである。
本発明の、さらに別の態様によると、多孔性境界46は、被移植体の組織との
界面47を含み、これは境界46に近いところの被移植体による血管構造の成長
を維持し、助長させる形態により特徴づけられる。
境界46の有益な特徴と、それに関連した被移植体の界面47についての詳細
は、以下に個別に記載される。境界の孔の大きさ
境界46は、移植された組織の細胞を被移植体の免疫応答から隔離するのにふ
さわしい孔の大きさを持っている。
この明細書で使用されているように、「孔の大きさ」とは、その物質の最大の
孔の大きさを示すものである。実行者は、従来の泡立ち点方法を使用して孔の大
きさを決定するが、これは1983年5月号の薬学技術(Pharmaceutical Techー
nology)のページ36−42に記載されている。
要求される閾値として、選択される孔の大きさは、境界46がその近隣に形成
される血管構造を透過させない大きさでなくてはならない。血管構造が孔を透過
すると、境界46の完全な状態が壊され、移植された細胞が被移植体の完全なる
免疫応答にさらされることになる。一般的に、約2ミクロン以下の大きさの孔は
血管構造の進入を妨げる。
選択される最終的な孔の大きさは、被移植体の種類、及び被移植体と移植され
る組織細胞の提供者との生物学的関係にも依存する。
移植される細胞が別の動物種(すなわち、異種移植片)のものである場合、孔
の大きさは、移植体から移植組織室への炎症細胞と分子免疫原生因子の両方の通
過を防ぐに十分な大きさでなければならない。本明細書で使用されるように、「
分子免疫原生因子」とは、抗体や補体などの分子を意味する。
ヒトの炎症細胞と分子免疫原生因子の両方の通過を阻止できる孔の大きさとは
、約.015ミクロンの範囲となる。もちろん、これらの孔の大きさはまた、血
管構造をも透過させない大きさである。
移植される細胞が同じ動物種であるが異なる遺伝的構造を持つ場合(すなわち
同種異系移植片)、孔の大きさは、通常被移植体から移植細胞室への炎症細胞の
みの通過を阻止できるものであればよい。同種異系移植片の場合には、分子免疫
原生因子は移植される細胞の生存力に不利な影響を与えることはないようである
。しかし、ある程度の組織の調和は、完全な防御を行うために必要であろう。
ヒトの炎症細胞の通過を阻止できる孔の大きさとは、約0.8ミクロン以下の範
囲となる。これらの孔の大きさはまた、血管構造をも透過させない大きさである
。
移植される細胞が同種移植片の場合(遺伝子組換細胞の自己移植)、孔の大き
さは、同種移植片が被移植体内に進入するのを阻止できる大きさであればよい。
しかし、同種移植片の場合には、選択される孔の大きさが、更に血管構造の進入
を防ぐものでなくてはならない。境界の強度
境界46は、極限強さ能力を持ち、それは、破裂することなく、新しい血管構
造の成長、室18/18′内での新しい細胞の成長、及び被移植体の組織に近い
場所でのその他の生理的ストレスに耐えられる強さである。境界46を安全に維
持することにより、移植される細胞が被移植体の免疫原性因子と炎症細胞の両方
から確実に隔離されることになる。
これらの生理的ストレスは、被移植体がその通常の生命機能を維持するにあた
り、動き回る際に発生する。移植された細胞の増殖と血管構造54の成長もまた
、境界46に近い位置で発生する生理的ストレスに関係する。このストレスは、
境界46を伸ばしたり変形させたりして境界46の物理的統合性に挑む。悪影響
を及ぼす。
十分な極限強さに欠ける場合、通常の生理的ストレスは境界46を破裂させる
ことがあり、移植された細胞が被移植体の免疫システムと炎症システムの影響に
完全に晒されることになる。
発明者達は現在、動物において被移植体の組織の近くで発生する生理的ストレ
スに破裂することなく耐えることができる極限強度は1平方インチにつき約100
ポンド(100PSI又は7kgw/cm2)以上であると確信している。それ
に比較して、PVAヒドロゲルミクロカプセルの極限強さは、ほんの2−2.5
PSI(0.14−0.175kgw/cm2)にすぎない。
極限強さは、物質の引張強さを測定することにより決定される。引張強さは、
ASTM D−412により測定される。代謝運搬能力
境界46はまた、代謝運搬能力を持ち、室18への栄養素の流れと、室18か
らの廃棄物の流れを保ち、虚血期間中、移植された細胞の生存力を維持する。
代謝運搬能力は、透過性値(P)及び境界46の有孔性値(PORE)を考慮
したものである。透過性値
透過性値(P)は、一定の外部溶質濃度が与えられるときに、溶質が境界を通
って移動する単位時間及び単位表面面積毎の量の尺度である(この明細書では、
cm/分で測定される)。実施例1は、本発明のこの態様に従って透過性値を決定
するための方法を述べている。有孔性値
有孔性値(PORE)は、物質を含まない、あるいは空の、あるいは孔で構成
された境界46中の空間を示す。パーセントで表示される有孔性値(PORE)
は、境界の物質で占められていない境界46の体積のパーセントを計測する。
PORE値が10%以上の物質を有効性値(PORE)をパーセントで求める
ために、実行者は下記の式を使用する。
PORE=100(1−(Pb/Pm))
但し、
Pbは、境界の密度で、その重量と体積から決定され、
Pmは、境界の物質の密度である。
10%に満たないPORE値を持つ物質の有効性値(PORE)をパーセン
トで求めるために、実行者は、走査型電子顕微鏡を使用し、境界での孔の数とそ
の平均直径を得る。その後、PORE値は下記の式により求められる。
PORE=Nπ(d2/4)
但し、
Nは、孔の密度で(Pn/a)と等しく、
Pnは、境界中の孔の数で、
aは、境界の総合面積(cm2)で、
πは、円周率、3.1416.....で、
dは、孔の平均直径(cm)である。
発明者達は、閾値の最少有孔性値以上では、透過性値が代謝運搬能力全体に主
要な影響を及ぼすことを発見している。しかし、閾値の最少有孔性値以下では、
代謝運搬能力は、透過性値と多孔性境界46の物理的構造をも考慮しなければな
らない。これらは後に、詳細にわたり述べられる。
境界46の選択を簡潔にするために、発明者達は、指定された最少の有孔性値
より大きい有孔性値(PORE)を持つ境界を使用することを奨励している。代
謝運搬能力や、透過性値も同様に扱うことができる。
下記の実施例1が示すように、発明者達は、代謝運搬能力と虚血期間中の移植
された細胞の生存には直接的な相関関係が存在することを発明している。実施例1
種々の透過性値を持つ膜室(メンブレンチャンバー)に包含された胎児肺がラ
ットの皮下部位に移植された。1.透過性
溶質に放射能標識(125I)したインシュリンを使用した(ICNバイオケミ
カルズ(Biochemicals)から取得)、従来型のべンチトップ拡散室(ニュージャ
ージー州、ソマービルにあるクラウン・グラス・カンパニー (Crown Glass Co
m-pany)製)で行われるインシュリン拡散処理のために、膜室の透過性値が求め
られた。拡散室は、二つの室に分かれており (室A,室Bと呼ばれる)、各室
の体積は3mlである。拡散室は、二つの室間の膜表面(拡散処理が行われる場所
)面積を0.7cm2と示した。
実行者は、その膜を試験用にあらじめ決定されている、既知の大きさに切断す
る。
膜が疎水性の場合は、実行者は透過性試験を行う前に、従来の湿潤技術を使用
して膜を濡らす。
実行者は、膜を拡散室に配置する。拡散室は、二つの、室A、室Bと呼ばれる
同体積の室の間に膜を配置するようなしくみになっている。実行者はまた、膜の
横断面(A)を固定する。拡散室は、試験中、摂氏約37度に均一に加温される
。
実行者は、同量の緩衝液を室Aと室Bに入れる。緩衝液の種類としては、様々
なものが使用できる。この実施例では、実行者は、緩衝液としてリン酸緩衝塩液
、0.5% BSAを使用することができる。
実行者は、次に同量の非標識性の(放射性でない)インシュリン(約3.4マ
イクロユニット/ml)を室A,室Bに入れる。シグマ(Sigma)から購入した2
6.1ユニット/mlの豚膵インシュリン、又は同等の物質が使用できる。この非
標識性のインシュリンは、存在する吸着サイトを全て占領する。
実行者は、約600RPMの速度で各室A、室Bに配置されている磁気攪拌プ
レートと磁気攪拌ロッド(長さ約1cm)を使用して均一に室内の流体をかきま
ぜる。その後実行者は、約1時間、システムが平衡するまで待つ。
実行者は、次に室Aからある選択された量の緩衝液を取り出し、同量の放射性
インシュリンを室Aに追加する。この放射性インシュリン懸濁液は使用前にろ過
して遊離状態の125Iを除去する。
室A、室B内の流体をかきまぜる間、実行者は、各室A、室Bから一部の一定
量(すなわち、約15μL)の流体を、2,4,6,8,10,15,30分の
間隔で取り出す。
実行者は次に、ガンマ計数器を使用して、取り出されたサンプルの放射能のレ
ベルを計測する。
実行者は、ユニット時間毎の室A、Bの計数値(すなわち、インシュリンの濃
度)の変化をバックグランド値を適当に修正してから測定する。
実行者は、各室に対して時間対計数値(計数値をY軸に、時間をX軸として)
をグラフ表示するが、この際、室Bの計数値は室Aの初期計数値の約10%より
も小さいという点に分析を限定する。実行者は次に、以下の数式に従って、各室
に対して計数値(Y)の範囲と時間(X)の集合をあてはめて一次方程式を導く
。
室A:
Ya=YIntercept−(Na*X)
但し、
YInterceptは、グラフがY軸と交差するところの計数値で、
Naは、室Aのグラフの傾斜である。
室B:
Yb:YIntercept−(Nb*X)
但し、
YInterceptは、グラフがY軸と交差するところの計数値で、
Nbは、室Bのグラフの傾斜である。
実行者は、市販のコンピュータープログラムを使用して、上記に記載された誘
導プロセスを簡潔化することが望ましい。
実行者は次に、一般的な式に従い、透過性値(P)を導く。
但し、
Vbは、室Bの体積で、
dMb/dTは、ユニット時間毎の室Bの計数値の変化で、上記で求めら
れたグラフBの傾斜(Nb)で示され、
Pは、透過性値で、
Aは、試験に使われた境界の面積で、
Ma−Mbは、膜を横切るインシュリンの質量勾配である。
実行者は、試験中、固定の定数として使われるVbとAを窺知している。実行
者はまた、室Bに関して導かれた一次方程式から、室B(Nb)のグラフの傾斜
である、dMb/dTを窺知している。実行者は、Nb(分/分毎の計数値)の
ユニットを60で割ることにより(1分間の秒数)、分/秒毎の計数値に変換す
る。
実行者は、t=15分の場合の(つまり、試験の中間地点の時間)、室A(7
)yの値を導く一次方程式の解を求めることにより、Maを計算する。試験の中
間地点の時間を使用することにより、実行者は、試験の期間中の平均値を求める
のである。実行者は、同様に、t=15分の場合の、室B(7)yの値を導く一
次方程式の解を求めることにより、Mbを計算する。これらの値から、実行者は
、Ma−Mbを計算する。
実行者は、今下記のように、透過性値(cm/秒)を導くことができる。
実際には、導かれた透過性値は、試験中の室A、B内の膜表面における必然的
に停滞している流体層と関係する境界層効果を含んでいる。境界に対して「真の
」内因性の透過性値を求めるためには、実行者は境界層効果に対して調整を行な
う必要がある。しかしながら、本発明の目的のためには、先天的な膜透過性に対
する知識は必然的なものではない。それは、上記で述べられた方法に従って決定
された実験での透過性値に比例するからである。
更に、境界層効果は使用されるかきまぜ方法が変わらない限り不変であるので
、実行者は、上述の方法に従い、選択された境界に対する相対的な透過性値を定
めることができる。
提示された方法は、本発明のこの実施態様に従って決定された透過性の基準に
ある境界が当てはまるかどうかを評価するために使用することができる。2.有効性
試験に使用された境界の有効性値(PORE)は、約15%以下から約70%
以上までの範囲に及んだ。3.細胞の生存の確認
胎児肺は、成長過程の13.5日目から17.5日目の間にルーイスラット胎
児から取り出された。肺は、ダルベッコにより改変されたイーグルの媒質(DM
EM)、20%のうし胎仔血清内の氷上に保管された。肺は、約1mm2になるま
で細かく刻まれた。刻まれた肺組織(5−10μl)は図1−図4に示されるよ
うな移植システムに配置された。肺組織は、様々な透過性、有孔性、孔の大きさ
を持つ試験用膜内に密封された。移植システムは、DMEM(20%のうし胎仔
血清)内に摂氏37度で手術前まで保管され、手術は2時間で行われた。移植シ
ステムは、オスのルーイスラットの皮下あるいは精巣上体脂肪部位に3週間移植
された。
移植後3週間でシステムは外殖され、過剰な脂肪が除去され、ソレンセンの緩
衝液に2%のグルタールアルデヒドで固定された。システムの組立部品はヘマト
キシリンとエオジンで着色された。
細胞の生存は移植細胞の組織学的外観に基づいて評価された。組織は、上皮細
管、毛様体、及び軟骨の形成などの平常な肺組織の特徴が見られた場合は、「優
」と評価された。組織がまだ生きてはいるが、よく分化していない(例えば、多
数の間葉細胞が存在する)場合は、「良」と評価された。組織に全く、あるいは
ほとんど生きた細胞が残っていない場合は、「劣」と評価された。
移植された膵細胞を使用したその他の組織学的研究では、生存評価は膵細胞の
分化機能を、グルコースの刺激に反応したインシュリンの放出という見地から分
析する作業を含む。
表1は、15%以上の有孔性値(PORE)を持つ境界に対する透過性値を、
移植された肺組織の生存評価と関連させて示している。
表2は、15%以下の有孔性値(PORE)を持つ境界に対する透過性値を、
移植された細胞の生存評価と関連させて示している。
表1と2は、境界の代謝運搬能力と移植された細胞の生存力との直接的な関係
を表している。更に具体的には、二つの表は、境界の透過性値が増加すると、移
植された細胞の生存力も大きく増加することを示している。
実施例1で研究された細胞の種類に関しては、前述の方法を使用して決定され
た、インシュリンに対して約1.5×10-4cm/秒以下の透過性値を持つ境界は
、有孔性値がどのような値であっても細胞の生存を維持することができなかった
。しかし、インシュリンに対して約1.5×10-4cm/秒以上の透過性値を持ち
、約15%以上の有孔性値を持つ境界は、活発な細胞の生存力を一様に維持した
。
より低い有孔性値(約15%以下)を持つ境界も、細胞の生存を維持した(表
2参照)。しかし、これらのより低い有孔性値を持つ境界に対する代謝運搬能力
は、より高い相対透過性値を必要とする。実施例1で研究された細胞の種類にお
いて、より低い有孔性値(約15%以下)を持つ境界は、インシュリンに対する
透過性値が約4.0×10-4cm/秒以上である時、細胞の生存を維持した。
発明者達は、より低い有孔性値を持つ境界を考慮する際、その境界の物理的構
造も考慮されなければならないと確信している。実施例1で使用されたより低い
有孔性値を持つ界面は、直線トラックの刻まれた膜である。これらの膜は、比較
的大きい、無孔の領域により分離された、均一の円筒上の孔を持っている。
低い有孔性の境界により劣と評価された組織の生存は、高い透過性の部分が不
均一に局在するためか、あるいは特有の物理的特性を持つ直線トラックの刻まれ
た膜上の細胞により生成された抑制によるものと考えられる。例えば、細胞がこ
の直線トラックの刻まれた膜の円柱上の孔を細胞伸長あるいは細胞の分泌によっ
てしばしば塞いでしまうことが考えられる。従って、直線トラックの刻まれた膜
は、構造上たとえ高い透過性値を持っていても、生きた細胞の応答が移植細胞を
維持するために十分な代謝運搬を行うことが妨げてしまうと考えられる。
実施例1は、移植後の虚血期間中に、細胞の生存を可能にする適切な代謝運搬
能力を持ったその他の細胞の種類を探索するための方法を示している。
ある代謝運搬能力を実現する絶対的な透過性と有孔性は、細胞の種類と、透過
性と有孔性を決定する方法に依存する。異なる条件は、異なる絶対値を与える。
しかし、試験の条件にかかわらず、一定の、定まった条件のもとで得られる透過
性値と有孔性値の相対的な差は、移植された細胞の生存力を維持するための境界
の相対的な能力の指針となる。
表1と2はまた、良好な組織の生存は、虚血性繊維反応(いわゆる「異物きょ
う膜」)を形成しやすい膜材料を使用した際にも得られることを示している。こ
れらの膜材料がこの反応を形成するという事実が、過去には、異物きょう膜の形
成が望ましくない栄養素の拡散を起こしたという、広く支持された考察につなが
っていたのである。実施例1は、この従来の知識が誤りであることを示している
。
表1が示すように、孔の大きさが0.45ミクロン(厚さ130ミクロン)で
、
インシュリン透過性が0.9×10-4cm/秒の比較的厚い酢酸セルロース膜を使
用した場合、組織の生存が劣となる。一方、孔の大体の大きさが同等(厚さ10
ミクロン)で、より大きい5.3×10-4cm/秒の透過性を持つ比較的薄い酢酸
セルロース膜では、組織の生存が優れたものとなる。
膜の厚さは、異物反応に影響しない。つまり、異物きょう膜は、膜が比較的薄
くても厚くても形成される。しかしながら、膜の厚さは、透過性値に影響を及ぼ
す。
従って、細胞は、より厚い境界が使用された際に死んでしまったが、これは異
物きょう膜の形成によるものではなく、厚い境界の透過性が低いことにより、栄
養素が乏しくなり、廃棄物がうまく放出されないことによるものである。より薄
い境界が使用された際には組織は生存したが、これはたとえ異物きょう膜が同様
に形成されていても、より高い透過性細胞に十分に栄養素を供給し、廃棄物が十
分に放出され、細胞の代謝が維持できたためである。実施例2
実験において、実行者は20%うし胎仔血清、2mM 1−グルタミン、DM
EM(シグマ)(高量グルコース)で、100%コンフルエントに述するまでR
AT−2の繊維芽細胞を育成した。RAT−2の細胞は、上記の培地で手術の1
6−24時間前に1:2に分割された。
手術の行われる日、細胞は15mlのHBSS(無イオン)で洗浄され、トリメ
シン処理してフラスコから遊離させた。実行者は、上記の培地を5ml加えてこの
トリブシンを中和させた。実行者は次に、遠心分離(1000rpm,10分、
摂氏22度)により細胞をぺレット状に沈殿させた。
ぺレット化した細胞は、数えられ、三種類の濃度(5.8×103細胞数/10
μl、5.8×105細胞数/10μl、5.8×106細胞数/10μl)で培地
に戻された。
図1−図4に示されるような、異なる透過性値を持つ移植システムが組み立て
られた。透過性値は、0.2×10-4cm/秒から9×10-4cm/秒までの範囲に
及ぶ(表1及び2参照)。各システムの総合境界面積は、約.77cm2である。
細胞は、様々な濃度でシステムに収容された。実行者は、このシステムを被移
植体であるラットの皮下と精巣上体の脂肪パッドの両方に移植した。
3週間後、システムは前述のように外殖され、組織学的に検査された。
発明者達は、5.3×103の濃度の細胞と5.8×105の濃度の細胞のシステ
ムが適切な境界透過性値を持ち、優れた結果を示したことを確認した。移植の3
週間後、5.8×105の初期濃度であった細胞が、約2.0×107にまで増殖し
ていた。発明者達は更に、より高い、5.8×106の初期濃度の細胞を持ったシ
ステムがより劣った結果を示したことを確認した。
より低い初期濃度の細胞(5×106以下)は虚血期間を生き延び、30倍か
ら3000倍にも増殖する。より低い初期濃度のシステムの最終細胞数は、初期
濃度がより高かったために失敗に終わったシステムの初期濃度より三倍も多かっ
た。このように、高い濃度の細胞(5×106以上)は、虚血期間中生き延びる
ことができないが、虚血期間後は、同じ濃度の細胞でも、より低い初期濃度から
の細胞の子孫として生存することができる。境界近隣での血管新生
(1)血管形成物質の存在
境界近隣での血管新生は、被移植体内の移植された細胞が長期間生存するため
に必須のものである。発明者達は、被移植体による境界近隣での新しい血管構造
54の形成(図24、25に示される)は、それが促されない限り行なわれない
ことを発見している。適切な刺激がなければ、虚血期間は、古典的な異物反応が
発生することにより決して終わりを遂げないのである。
システム10は従って、境界の近隣での血管新生を刺激するための血管形成物
質56を含む。
血管形成物質56の明確な正体は知られていない。しかし、発明者達は、ある
細胞の存在が血管新生を刺激し、その他の細胞は刺激を行わないことを確認して
いる。
例えば、肺組織、膵烏、成人膵管、及び培養された細胞である繊維芽細胞、乳
腺、平滑筋細胞の存在は、これらの細胞種が不在の対照移植組織の血管新生に比
較すると、血管新生を誘導するか、刺激している。
一方、皮膚繊維芽細胞や大血管内皮細胞の初代培養細胞の存在は、血管新生を
誘導しない。
発明者達は、ある種の細胞が血管形成要素を分泌して血管新生を誘導あるいは
刺激することを確信している。この刺激が細胞を透過する膜に伝わるため、それ
は生きた細胞が生成する分子の信号であると考えられる。これは更に、虚血期間
中、移植された細胞を維持する必要を強調する。血管形成源の細胞が死減してし
まったら、分子の信号は送られなくなり、血管新生プロセスは停止してしまう。
本発明のこの実施態様によると、望ましい治療効果はあるが、血管形成物質は
分泌しない細胞が移植される場合は、システム10は、別の血管形成源の細胞あ
るいは物質56を含む。
本発明に従い、実行者は十分な代謝運搬能力を持つ境界46を選択し、移植さ
れた細胞、すなわち、血管形成源の細胞、その他の血管形成を行わない細胞、そ
して共に移植される治療効果のある細胞(存在すれば)の生存力を維持する。実
行者はまた、孔の大きさと極限の物理的強さを選択し、膜46が血管形成源の細
胞が刺激する、成長する新生血管を透過させないようにする。
実行者は代りに、境界46そのものの外側を血管形成物質56で被覆すること
もできる。もちろん、被覆された境界46は、適切な孔の大きさ、極限強さ、及
び代謝運搬能力を持ち合わせて、境界46の背後に隔離される細胞12を維持し
なくてはならない。
新しい血管構造54は境界46を透過することができず、被移植体への血管形
成信号が継続するので、新しい血管構造が境界46の近隣に増殖する。
図21が示すように、細胞12が虚血期間中に死んでしまい、近隣の血管新生
が刺激されない場合、異物きょう膜52の繊維芽細胞がぎっしり詰まり、濃密度
になる。しかし、図20が示すように、細胞12が虚血期間中生き延びて近隣の
血管新生プロセスが刺激されると、異物きょう膜52は変化して、濃度は薄くな
り、より分散した構造となる。
(2)近隣の血管新生の形態
望ましい実施態様では、多孔性の境界46は被移植体との界面47を含み、そ
れは境界の近隣の被移植体による血管構造の形成をさらに助長する構造の形態と
して特徴づけられる。
これを実現させるため、システム10/10′の各壁要素32/32′及び3
4/34′は、第一の多孔性領域58と、もう一つ別の、第二の多孔性領域60
を含む。第一の多孔性領域58は、前述の境界46を含む。第二の多孔性領域は
、界面47を含む。
第一の多孔性領域58は、移植された細胞12に面している(図20参照)。
第一の多孔性領域58の持つ境界は、前述された孔の大きさ、極限の物理的強さ
、及び代謝運搬能力で特徴づけられる。移植された細胞を被移植体の免疫機構か
ら隔離させるのはこの領域58で、その一方で、虚血期間中は栄養素と廃棄物の
流れを通じて細胞の生存力を維持する。
第二の多孔性領域60は、被移植体の組織44に面し、それとの界面47を形
成する(図20参照)。第二の多孔性領域60は、境界46の近隣に血管構造5
4の形成を促す構成をしている。第二の領域60内のこれらの血管構造の形成は
、虚血期間の終わりを記すものである。第二の領域60の血管新生は、虚血期間
が終了した後、移植された細胞12の生存力を維持する。
異物きょう膜52は、依然として移植されたシステム10の近くに形成されて
いる。しかし、第二の多孔性領域60内の近隣の血管新生は、異物きょう膜52
の通常の形態を変化させることができる。図20が示すように、生命維持血管床
が境界46の近隣のきょう膜52内に形成され、平坦な大食細胞や異物巨細胞や
繊維芽細胞が境界46を圧迫し、塞ぐのを防ぐ。
第一多孔性領域58は、その孔の大きさ、強度、及び透過性特性により、第二
の領域60内に形成された新生血管を透過させないようにしている。
発明者達は、第二の領域60の三次元構造が被移植体にある種の炎症細胞反応
を発生させた場合、近隣箇所で血管新生が起こるものと確信している。
発明者達は、移植の初期期間において、少なくとも新生血管に進入するいくら
かの大食細胞が活性化していない場合に近隣の血管新生が発生することを、光学
及び電子顕微鏡を使用して確認している。活性化している大食細胞は、その細胞
が平坦化することで特徴づけられる。
発明者達は、移植の領域での近隣血管新生を観察しているが、その血管の腔内
に進入した大食細胞を光学顕微鏡(〜400倍)で観察した場合、丸い外観を呈
しているのがわかる。3000倍(透過型電子顕微鏡)では、丸い大食細胞は、
実質的に全てその形になっていることが観察できる。大食細胞の形と観察された
反応とは相関関係があるが、大食細胞が観察された反応を制御しているのかどう
かは確かではない。しかし、被移植体の細胞がその構造へ侵入することが必要と
されることは確かである。細胞の大半は大食細胞のようであるが、その他の炎症
細胞が反応を制御していることも考えられる。従って、発明者達は、侵入細胞を
「炎症細胞」と呼び、それは大食細胞を含むがそれだけに限られないこととして
いる。
一方、移植の初期期間において、移植物質と接触している炎症細胞が、その細
胞による平坦化反応を生じやすい領域を提供する移植物質の幾つかの部分に大し
て平坦化する際に、異物きょう膜は形成される。
近隣の血管構造を形成する第二の領域60の材料は、約0.6から20μmの
平均公称寸法の孔を持つポリマー膜で、これは孔の大きさを求めるためのこの業
界における従来の方法で求められる。少なくとも膜の孔の約50%が約0.6か
ら20μmの平均サイズになっていることが望ましい。
三次元の形態を作り出す構造要素は、不揃いあるいは均一形態のなめらか又は
粗い繊維、線維、小球、錐体又は杆体を含む。これらの一般的に「線維」と呼ば
れる要素は、通常一つの寸法が他の二つより大きく、その小さいほうの二つの寸
法が5ミクロン以下となる。
ある配置において、その材料は、相互に連結した線維の枠構造が「開口」を形
成する線維からなっている。この開口は、平均寸法がほとんどの場合約20μm
以下である。この材料の開口は、平均寸法がほとんどの場合約20μm以下の「
腔(キャビティー)」を包含し、相互に連結した開口の骨組みを形成している。
この配置において、第二領域の材料は、少なくとも幾つかの口を持ち、その大
きさは、少なくとも幾つかの血管構造が腔(キャビティ)内に形成されるに十分
な大きさとなっている。これらの開口のうち少なくとも幾つかは、腔内に血管構
造が形成される間、そき大きさの制限により、そこに連結された組織が形成され
るのを防ぐ。
この材料は、本明細書に関連出願として記載されている、「近隣の血管新生移
植材料」について1991年7月24日にアメリカ合衆国で出願された同時係属
出願第735,401号で更に詳しく延べられている。境界の形成
図11−図16は、境界を形成する壁要素32と34の作成方法の望ましい実
施態様を示している。この方法は、第一の領域58用に選択された材料を第二の
領域60用に選択された別の材料に完全に結合させている。この二つの結合した
材料は、壁要素32と34の両方からなる複合もしくは積層構造72を形成する
。この積層構造72は、界面47を境界46に結合させる。
図解で説明された実施態様では、厚さが約35ミクロンで孔の大きさが約.4
ミクロンの多孔性のPTFE膜材料が第一の領域58に選択されている。この材
料は、ミリボア株式会社(Millipore Corporation)からバイオポアTM(BioporeTM
)という登録商標名で市販されている。
第一の領域58に選択された多孔性の材料は、厚さが約30ミクロンで極限の
(引張)強さが少なくとも3700PSI(260kgw/cm2)であるが、こ
れは望まれる最低値をかなり上回っている。選択された材料の孔の大きさは.3
5ミクロンで、炎症細胞の通路を塞ぐことができる。選択された材料のインシュ
リンに対する透過性値は、2.6×10-4cm/秒で、多孔性値は、70%以上で
ある。この膜は、従って代謝運搬能力に要求される条件を満たしている。
その他の同等の材料もまた、前述の第一の領域58に要求される条件を満たす
ことができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、硝酸
セルロース、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、及びポリスルホンな
どの材料を使用することができる。セルロース、ポリ塩化ヒニリデン、ジフッ化
物、シリコーン、及びポリアクリロニトリルなどの混合エステルも使用できる。
図解で説明された実施態様では、W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ(W.L.
Gore and Associates)(メリーランド州エルクトン)からゴアーテックスTM(G
ore-TexTM)の登録商標名で製造されている膜材料が第二の領域60に選択され
ている。ゴアーテックスTM材料は、PTFEから作られる微孔性膜からできてい
る。この膜の厚さは、15ミクロンで、孔の大きさは、5ミクロンである。ポリ
エステルの線維61がPTFE膜と合体し、その裏当てを形成している。この
裏当ての厚さは、約120ミクロンである。
ゴアーテックスTM材料の極限強さもまた、望まれる最低値をはるかに上回って
いる。ポリエステル線維61の構成も、前記の基準に見合っており、血管新生構
造の発育を促す。
ステップ1では(図10、11参照)、実行者は、ゴアーテックスTM材料(第
二の領域60)の小片の端々を、ポリエステルの裏当て61を積層スライド62
側に向けた状態で積層スライド62に貼り付ける。
ステップ2では(図13参照)、実行者は、2、3枚の積層スライド62を作
業面上に横に並べる。実行者は、次に注入器64を使用して、積層スライド62
の全体に、行きつ戻りつセメントあるいは接着剤を注入し、直線状につながった
フィラメント66を形成する。実行者は、各フィラメント66の端で注入器64
の先が作業面に触るようにし、次に新しいフィラメント66に取りかかる。
ステップ2では、図13が示すように、第二の領域の材料の貼り付けられた小
片全体にセメントのフィラメント66の十字パターンを形成する。
選択されるセメントは様々である。例えば、セメントには酢酸アセテートやそ
れに類似するエポキシ材料を使用することができる。図解で説明された実施態様
では、セメントには、バイナシン(Vynathene)EY90500EVA繊維とト
ルエン(マリンクラット (Mallinckrodt)製)を混合したものを使用している
。
EVAセメント混合剤を作成するにあたり、実行者は、約30gの繊維と、そ
れと同量のトルエンをビンに入れる。実行者は、次にビンのふたを閉めて、繊維
を溶解させる。このプロセスを早めるためにピンを定期的に振ってみてもよい。
正しいセメントの濃度を得るために、相対的な量の繊維とトルエンで若干の調
整を必要とする場合もある。セメントを使用した際に、つながったフィラメント
を形成するにはセメントの濃度が薄すぎる場合は、トルエンの量を少なくする。
セメントが粘りついて注入器から出にくいようであれば、トルエンの量を増やす
。追加されるトルエンの量を若干変えることにより、セメントの粘性はかなり変
化する。
ステップ3では(図14に示すように)、実行者は、あらかじめ形成されたバ
イオポアTM膜材料(第一領域58)の小片をステップ2で塗られたセメントフィ
ラメント66の上に配置する。図解で示される実施態様では、実行者は、バイオ
ポアTM膜材料を壁要素32、34に合うような直径を持つ円盤型にあらかじめ切
断する。
ステップ4では(図15に示すように)、実行者は、リリース材料68(ぺー
タパー等)の小片を第一の領域材料58にのせ、その層になった構造をもう一枚
の積層スライド70で覆う。実行者は次に、積層スライド62と70をかすがい
で留め、この膜の層をしっかりと接触させる。
ステップ5では、実行者は留められた積層スライド62と70を摂氏約80度
のオーブンに約5−10分入れる。オーブンの熱により、EVAセメントが溶け
る。
ステップ6では、加熱された積層スライド62と70を室温になるまで冷ます
。冷めて凝固することにより、フィラメント66はバイオポアTM膜材料とゴアー
テックスTM膜材料とを確実に接合する。実行者は次に、積層スライド62と70
のかすがいを外し、仕上がった複合構造72(小片状)を取り出す。
ステップ7では(図16が示すように)、実行者は、複合構造72の小片をポ
リプロピレンの切削板74にのせる。実行者は、あらかじめ大きさの設定された
パンチ76をあらかじめ切断された各円盤に合わせ、ハンマーでパンチをたたく
。実行者はそれにより望ましい寸法の複合構造でできた壁要素32又は34を開
放する。最後に小さなはさみ等を使用して、ダイス型で切れなかった、粘着して
いるポリエステルの小片を切り落とす。
移植システム10/10′は、壁要素を使用して前記の方法で作成される。
第一の領域材料58は、積層構造72を形成する様々な代替方法により第二の
領域材料として使用することもできる。例えば、最初の領域材料58は、第二の
領域材料60上に押し出し法で設けてもよい。実施例3
図1−図4に示され、前記のプロセスに従って構成されるようなシステムは、
一部の膵が切除され、ストレプトゾトシンで処理されたラット被移植体の糖尿病
を完全に治癒させることに成功している。この動物は293日間に及んで治癒し
ていた。移植システムの除去により、その動物は糖尿病状態に戻っていた。この
移植の組織学的検討では、境界の近隣に血管構造が存在していることを示してい
る。
これらのシステムは、約.77cm2の境界面積を持っている。各システムの初
期細胞量は、膵島にして約600(すなわち約600,000の膵細胞)であっ
た。
移植の際、システムは、約200,000島/cm3の細胞密度を維持していた
。本発明に従って作成され使用されたこれらのシステムは、サイトセラビューテ
ィックスのシステム(細胞密度が25,000島/cm3たらず)より一定体積あ
たり8倍もの膵島を維持した。治療のための格納係数の誘導
前述のように、本発明の態様の一つは、特定の細胞の種類に関連づけられる代
謝運搬能力を見極める能力を提供する。望まれる代謝運搬能力がわかっていれば
、反対に、臨床上で実際の手術部位、つまりコンパクトな移植システムが治療の
ための大量の細胞を維持することのできる部位を見極めることができる。
本発明のこの態様は、特定の細胞の種類に対する特定の移植システムの臨床効
果の特性を明らかにし、また予測するための治療格納係数(L)を誘導し、使用
する方法を提供する。
治療格納係数(L)は、望まれる治療効果を述成するために移植される細胞(
N)の数、被移植体が普通に耐えることのできる移植細胞と被移植体の間の境界
の効果的面積(A)、及び細胞の生存力を維持するために必要な代謝運搬能力(
T)を考慮に入れる。
特定の移植システムと特定の移植細胞の種類のための治療格納係数は、下記の
ように表わされる:
Lc=(A/Nc) *Tmin
但し、
cは、細胞の種類で、
Lcは、その細胞の種類に対する治療格納係数で、
Aは、その移植システムにより提供される移植細胞と被移植体との間の境
界の面積で、
Ncは、境界面積(A)により維持される細胞数で、
Tmin は、実施例1で述べられた方法に従い決定される、虚血期間中の細
胞の生存を維持する最低の代謝運搬能力である。
実行者が15%以上の有孔性値を持つ境界を選択した場合は、透過性値(P)
のみを使用して、代謝運搬能力(T)を表現することができる。治療格納係数は
、そのとき下記のように表わされる:
Lc=(A/Nc)*Pmin
ここで、Pmin は、虚血期間中の細胞の生存を維持する最低の透過性値である
。
実施例3で記述されたシステムでは、膵細胞の移植に成功するための、境界面
積と移植細胞数の比率(A/Nc)は、128μm2/膵細胞であった。発明者
達は、異なる被移植体による相違を考慮した適切な限界値は、もう少し大きい、
約150μm2/膵細胞であると確信している。
前記のように、虚血期間中とその後で細胞の生存を維持する代謝運搬能力は、
境界の多孔性値が15%以上で、インシュリンに対する透過性値(P)が約1.
5×10ー4cm/秒以上にならなければならない。
図22は、上記の考察に基づいて作成された膵細胞に対する治療格納曲線を示
している。この曲線は、予測された細胞の生存する領域を、境界の面積と細胞数
の比率、A/N(X軸)と透過性値P(Y軸)(約15%以上の有孔性値を持つ
場合を想定)とで示している。
図22は、治療格納曲線の右側の範囲に当てはまるシステムは、移植された膵
細胞を維持すると予測している。図22はまた、治療格納曲線の左側の範囲に当
てはまるシステムは、細胞の維持を行えないものと予測している。
発明者達は、ヒトの糖尿病には約250,000の膵島(すなわち、約2.5
億の膵細胞)を移植することが必要で、それにより治療効果を得ることができる
と確信している。これを頭において、A/N比率を基にした移植システムの大き
さの範囲を計算することができる。
A/N比率を基にした正方形の移植システムのセンチメートルでの一辺の寸法
(L)を計算する式は、下記で示される:
ここで、係数10-8は、ミクロン2をcm2に変換する。
A/N比率を基にした円形の移植システムのセンチメートルでの直径(D)を
計算する式は、下記で示される:
ここで、係数10-8は、ミクロン2をcm2に変換する。
表3は、250,000の膵島を収容する移植システムの、異なるA/N比率
でのLとDの範囲を示している。
前述の考察に基づき、発明者達は、約200μm2/膵細胞以下のA/N比率
がコンパクトで臨床上実用的な移植境界面積を持つ移植システムの運用領域を定
義することができると確信している。図22は、この好ましい領域を示している
。
図22が示すように、実行者は、治療格納曲線の右側の範囲で運用を行う境界
の透過性値を選択することにより、コンパクトな大きさによる効果と治療に必要
な細胞数を維持する能力を合わせ持った移植システムを提供することができる。
実行者はまた、本発明に従って決定された規定の孔の大きさと極限の物理的強さ
を選択する。
図22は、サイトセラピューティックス(CytoTherepeutics)製の従来の中空繊
維移植システム(本明細書の発明が解決しようとする課題の欄で記述された)が
、臨床上実用的に運用できる好ましい領域からかなり外れていることを示してい
る。このシステムは、約328μm2/膵細胞のA/N比率を提供しているが、
これは本発明のA/N比率の約1.5倍である。
図22はまた、W.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace and Co.,
マサチューセッツ州レキシントン)製の従来の中空繊維移植システムを示してい
るが、これはProc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., Vol.88,pp. 11100−11104(
1991年12月)で報告されたものである。各中空繊維は、長さが2−3cmで
、内径が0.177cmであった。移植のための各繊維には200から400の膵
島が格納されていた。2.5cmの平均長さと300島の平均細胞搭載数で関連す
るA/N比率を計算すると463になり、本発明のA/N比率の倍以上となる。
上記は、膵島に対する治療格納係数(L)を誘導し、使用する方法を確立して
いる。この方法は、その他の細胞の種類やその他の代謝運搬能力の範囲に対する
治療格納係数を求める際にも適用できる。誘導される治療格納係数の絶対値は、
もちろん細胞の種類と透過性及び有孔性を決定するために使用される方法により
異なる。異なる条件は、異なる治療格納係数の絶対値を提供する。
しかし、試験の条件にかかわらず、一定の、記載された条件の基に導かれるA
/N比率、透過性値、及び有孔性値の相対差は、ある細胞の種類のためのある移
植システムの臨床的効果の特性を明らかにし、予想するための一手段となる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ジョンソン,ロバート・シー
アメリカ合衆国イリノイ州60103,バート
レット,ハックベリー・コート 722
(72)発明者 マーティンソン,ローラ・エイ
アメリカ合衆国イリノイ州60046,レイ
ク・ヴィラ,ウエスト・エントランス・ド
ライブ 25188
(72)発明者 ジョンストン,ウィリアム・ディー
アメリカ合衆国イリノイ州60047,キルデ
ィーア,ウエスト・ヨークシャー 20851
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.移植のための細胞を収容する室を形成する壁機構と、 室内に収容され、移植後望ましい治療効果を提供するが、血管形成物質の分泌 は行わない細胞と、 移植時に室に近い被移植体の組織により血管構造の形成を刺激する血管形成物 質源とを含む ことを特徴とする被移植体の組織への移植システム。 2.前記血管形成物質源が、室内に収容され血管形成物質を分泌する細胞を含む ことを特徴とする請求項1記載の移植システム。 3.前記血管形成物質源が、前記壁機構に被覆されていることを特徴とする請求 項1記載の移植システム。 4.移植のための細胞を収容する室を形成する壁機構と、 室内に収容され、移植後望ましい治療効果を提供するが、血管形成物質の分泌 は行わない生きた細胞の第一グループと、 室内に収容され、移植後に血管形成物質を分泌する生きた細胞の第二グループ と、 被移植体の組織と室内の移植された細胞の間に多孔性の境界を形成する手段を 含む壁機構とを有し、第二の細胞グループにより分泌された血管形成物質が被移 植体の組織を刺激し、境界近くに血管構造を形成する一方で、移植された第一と 第二の細胞グループの生存力を維持する能力を持つ近隣の血管構造が不在の間、 前記多孔性の境界が、被移植体の組織から移植された細胞への栄養素の流れと、 移植された細胞から被移植体の組織への老廃物の流れを維持する代謝運搬能力を 持つことに特徴づけられる、被移植体への移植システム。 5.前記多孔性の境界が、生理的ストレスと、境界の近隣での被移植体の血管新 生に破裂することなく耐えることのできる極限強さを持つことにさらに特徴づけ られる請求項4記載の移植システム。 6.前記多孔性の境界が、移植された細胞を被移植体の組織の免疫応答から隔離 することのできる孔の大きさを持つことにさらに特徴づけられる請求項4又は5 記載の移植システム。 7.被移植体の組織に移植される請求項1または4記載の移植システム。 8.移植後望ましい治療効果を提供するが、血管形成物質の分泌は行わない細胞 の第一グループを提供し、 血管形成物質を分泌する細胞の第二グループを提供し、 移植後の虚血期間中、移植された組織細胞の生存力を維持する能力を持つ近隣 の血管構造が不在の間、被移植体の組織から移植された細胞への栄養素の流れと 、移植された細胞から被移植体の組織への老廃物の流れを維持する代謝運搬能力 を持つ多孔性の境界で少なくとも一部の第一と第二の細胞グループを包囲し、 前記多孔性の境界を被移植体の組織内に移植し、第二の細胞グループにより分 泌された血管形成物質が被移植体の組織を刺激し境界近くに血管構造を形成する 間、栄養素が被移植体の組織から移植された細胞に移動することで、移植された 細胞の生存力を維持することを含む細胞移植方法。
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