JP2003261882A - 木材等バイオマスのガス化設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 木材等バイオマスの微粉砕を低減、あるいは
微粉砕をなくして効率よく木材等バイオマスをガス化で
きる木材等バイオマスガス化設備を提供する。 【解決手段】 高温ガスを発生するガス化炉１と、該高
温ガスにより木材等のバイオマスを熱分解する熱分解炉
２とを備え、ガス化炉１及び熱分解炉２にて発生した熱
分解ガスと固形分とを分離する固気分離装置５、６を備
えたガス化装置において、固気分離装置５、６にて回収
された粗粒粉を熱分解炉２へ循環し、微粒粉をガス化炉
１へガス化剤として供給するための装置を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、木材等のバイオマ
ス原料をガス化及び熱分解する木材等バイオマスガス化
設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】木材等のバイオマス材料をガス化する木
材等バイオマスガス化設備について本出願人は、特願２
００１−３０６８６５号で提案した。

【０００３】図２は木材等バイオマスガス化設備の概略
図である。図２において、ガス化炉１の上部に熱分解炉
２が連通して設けられている。ガス化炉１にはガス化バ
ーナ１ａが、熱分解炉２には木材バーナ２ａが設けられ
ている。ガス化炉１では、ハンマークラッシャーのよう
な木材粉砕装置３で１０ｍｍ程度に粗粉砕した木材をさ
らに２次粉砕装置４で数ｍｍ以下に微粉砕しガス化剤と
して、また酸素及び蒸気を酸化剤としてガス化バーナ１
ａより吹き込む。熱分解炉２にはガス化炉１と同様に微
粉砕した木材を吹き込む。

【０００４】操業は、まず、ガス化炉１を木材の着火温
度まで補助バーナ等を用いて昇温し、ガス化炉１の炉況
を整える。ガス化炉１が所定の温度に達したら、２次粉
砕装置４で微粉砕した木材を吹き込んで木材を燃焼さ
せ、ガス化温度まで上昇させる。そしてガス化炉１で発
生した高温ガスは熱分解炉２に流出し、熱分解炉２に木
材粉砕装置３にて粉砕された木材を木材バーナ２ａより
吹き込むことにより木材と混合し、木材を熱分解する。
熱分解炉２にて木材の熱分解により発生した可燃性の熱
分解ガス及びチャー等の固形分（以下「チャー」とい
う。）は、熱分解炉２出側に設置されたサイクロン５に
て熱分解ガスとチャーとに固気分離される。熱分解ガス
は、ガス処理設備に導かれて冷却及び精製される。サイ
クロン５にて捕集されたチャーは、ガス化剤としてガス
化炉２に導かれる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記の木材等バイオマ
スガス化設備において供給する木材等のバイオマス材料
は、繊維質が多く弾力性を有しているため、粉砕が非常
に困難な物性を有している。木材粉砕装置３による１０
ｍｍ程度までの粗粉砕はハンマーミル等の簡便な粉砕機
で対応できるが、微粉砕は糸状の繊維質が生成するた
め、粉状ではなく、綿状に固まり、ホッパでの棚吊り、
閉塞などの問題を生じ、粉砕後の貯蔵・搬送行程におい
て大きな弊害が生じる。これらを回避し、微粉砕を行お
うとすれば、簡便な粉砕機ではなく、カッターなどの切
断式の粉砕機を使用しなければならず、非常に処理能力
が小さく、時間と大きな粉砕エネルギーを必要とするた
めに非効率的であって、設備費も高価なものを使用しな
ければならないという問題点があった。

【０００６】そこで、本発明は、前述の従来の木材等バ
イオマスの微粉砕に起因する問題点を解決するため、木
材等バイオマスの微粉砕を低減、あるいは微粉砕をなく
して効率よく木材等バイオマスをガス化できる木材等バ
イオマスガス化設備を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、高温ガスを発
生するガス化炉と、該高温ガスにより木材等のバイオマ
スを熱分解する熱分解炉とを備え、ガス化炉及び熱分解
炉にて発生した熱分解ガスと固形分とを分離する固気分
離装置を備えたガス化装置において、固気分離装置にて
回収された粗粒粉を熱分解炉へ循環し、微粒粉をガス化
炉へガス化剤として供給するための装置を備えたことを
特徴とする。

【０００８】前記ガス化炉及び熱分解炉にて生成した熱
分解ガスをガス化剤としてガス化炉に供給する手段を設
けたり、粉砕装置にて粉砕された木材等のバイオマスを
粗粒粉と微粒粉とに選別する選別装置を設け、粗粒粉を
熱分解炉に供給し、微粒粉をガス化炉に供給する供給装
置を設けてもよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１に示す本発明の木材等バイオ
マス材料ガス化設備の構成図を参照して本発明の実施例
について説明する。

【００１０】

【実施例】実施例１ 図１（ａ）において、図２に示す木材等バイオマス材料
ガス化設備と同様に、ガス化炉１の上部に熱分解炉２が
連通して設けられている。ガス化炉１にはガス化バーナ
１ａが、熱分解炉２には木材バーナ２ａが設けられてい
る。ガス化炉１では、ハンマークラッシャーのような木
材粉砕装置３で１０ｍｍ程度に粗粉砕した木材をさらに
２次粉砕装置４で数ｍｍ以下に微粉砕しガス化剤とし
て、また酸化材として酸素及び蒸気をガス化バーナ１ａ
より吹き込む。熱分解炉２には木材粉砕装置３で１０ｍ
ｍ程度に粗粉砕した木材を吹き込む。

【００１１】熱分解炉２にて木材の熱分解により発生し
た可燃性の熱分解ガス及びチャーは、熱分解炉２出側に
２段に配置された固気分離装置であるサイクロン５、６
にて熱分解ガスとチャーとに固気分離される。１段目の
サイクロン５では、チャーのうち粗粒粉が回収され、２
段目のサイクロン６では、残った微粒粉のチャーが回収
される。１段目のサイクロン５で回収された粗粒粉のチ
ャーは、図示しない供給装置により熱分解炉２に循環さ
れ、２段目のサイクロン６で回収された微粒粉のチャー
は、図示しない供給装置によりガス化剤としてガス化炉
１に供給される。２段目のサイクロン６から排出された
熱分解ガスは、ガス処理設備に導かれ、冷却及び精製さ
れる。

【００１２】本実施例では、固気分離装置として２段の
サイクロン５、６を設け、１段目のサイクロン５で回収
した粗粉粒のチャーを熱分解炉２へ循環し、２段目のサ
イクロン６にて回収した微粒粉のチャーをガス化炉１に
供給するので、熱分解炉２に微粉砕した木材を供給する
必要がなくなり、微粉砕した２次粉砕装置の微粉砕量を
低減させることができる。また、ガス化炉１にはガス化
剤として適当な微粉粒のチャーのみが供給され、粗粒粉
のチャーは熱分解炉２に循環されるので、微粉粒と粗粒
粉の両方のチャーを適正かつ有効に再利用することがで
きるし、チャーが固気分離装置であるサイクロン５、６
を越えて飛散するのを防止することもできる。

【００１３】実施例２ 図１（ｂ）は本発明の第２の実施例を示す図である。図
１（ａ）と同一構成には同一符号を付している。

【００１４】実施例１ではサイクロン６で固気分離され
た微粒粉のチャーのみをガス化炉１に供給し、サイクロ
ン６で分離された熱分解ガスは、ガス処理設備に導かれ
て冷却及び精製されているが、本実施例では、サイクロ
ン６で固気分離された微粒粉のチャーをガス化炉１に供
給するとともに、分離された熱分解ガスの一部をガス化
炉１にガス化剤として使用するものである。

【００１５】微粒粉のチャーと熱分解ガスをガス化炉１
に供給することにより、ガス化炉に微粉砕した木材を吹
き込むことなく充分にガス化できるので、木材の微粒粉
をガス化炉１へ吹き込まなくてよくなり、２次粉砕装置
４が不要となる。

【００１６】実施例３ 図１（ｃ）は本発明の第３の実施例を示す図である。図
１（ｂ）と同一構成には同一符号を付している。

【００１７】実施例２では、サイクロン６で固気分離さ
れた微粒粉のチャーをガス化炉１に供給するとともに、
分離された熱分解ガスの一部をガス化炉１にガス化剤と
して使用しているが、ガス化炉１に供給する熱分解ガス
が多く、ガス処理設備で精製する熱分解ガスが少なくな
る場合がある。

【００１８】本実施例では、ガス化炉１に供給する熱分
解ガスの供給量を低減させるため、木材粉砕装置４で粗
粉砕された木材を粗粒粉と微粒粉とに風力選別機や振動
篩等の選別装置７で選別して粗粒粉の木材を熱分解炉２
に吹き込み、微粒粉の木材をガス化炉１にガス化剤とし
て吹き込む。

【００１９】本実施例では、ガス化剤として微粒粉のチ
ャーと木材を吹き込むので、熱分解ガスの使用量を低減
させることができる。また、高価な２次粉砕装置が不要
となる。

【００２０】

【発明の効果】本発明により以下の効果を奏する。

【００２１】（１）固気分離装置にて回収された粗粒粉
を熱分解炉へ循環し、微粒粉をガス化炉へガス化剤とし
て供給するので、熱分解炉に微粉砕した木材を供給する
必要がなくなり、２次粉砕装置の微粉砕量を低減させる
ことができる。また、ガス化炉にはガス化剤として適当
な微粉粒のみが供給され、粗粒粉は、熱分解炉に循環さ
れるので、微粒粉と粗粒粉の両方のチャーを適正かつ有
効に再利用することができるし、チャーが固気分離装置
を越えて飛散するのを防止することもできる。

【００２２】（２）微粉粒のチャーと熱分解ガスをガス
化炉に供給することにより、ガス化炉に微粉砕した木材
を吹き込むことなく充分にガス化できるので、２次粉砕
装置が不要となり、粉砕装置は木材を１０ｍｍ程度にで
きる安価で簡単な木材粉砕装置のみでよい。

【００２３】（３）ガス化剤として微粉粒のチャーと選
別機で選別した微粒粉の木材を吹き込むことにより、ガ
ス化炉への熱分解ガスの吹き込み量を低減させることが
できる。また、高価な２次粉砕装置が不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の木材等バイオマス材料ガス化設備の構
成図である。

【図２】従来の木材等バイオマスガス化設備の概略図で
ある。

【符号の説明】

１：ガス化炉 １ａ：ガス化バーナ ２：熱分解炉 ２
ａ：木材バーナ ３：木材粉砕装置 ４：２次粉砕装置
５、６：サイクロン ７：選別装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高温ガスを発生するガス化炉と、該高温
   ガスにより木材等のバイオマスを熱分解する熱分解炉と
   を備え、ガス化炉及び熱分解炉にて発生した熱分解ガス
   と固形分とを分離する固気分離装置を備えたガス化装置
   において、固気分離装置にて回収された粗粒粉を熱分解
   炉へ循環し、微粒粉をガス化炉へガス化剤として供給す
   るための装置を備えたことを特徴とする木材等バイオマ
   スのガス化設備。
2. 【請求項２】 前記ガス化炉及び熱分解炉にて生成した
   熱分解ガスをガス化剤としてガス化炉に供給する手段を
   設けたことを特徴とする請求項１記載の木材等バイオマ
   スのガス化設備。
3. 【請求項３】 粉砕装置にて粉砕された木材等のバイオ
   マスを粗粒粉と微粒粉とに選別する選別装置を設け、粗
   粒粉を熱分解炉に供給し、微粒粉をガス化炉に供給する
   供給装置を設けたことを特徴とする請求項２記載の木材
   等バイオマスのガス化設備。