JP2003260577A - レーザ加工方法 - Google Patents
レーザ加工方法Info
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Abstract
層に、少ないショット数で穴を開け、その穴の形状を制
御する。 【解決手段】 第1の材料からなる表層部を有する下地
部材と、下地部材の表面上に形成され、第1の材料とは
異なる第2の材料で形成された被覆層とを含む加工対象
物37を準備する。被覆層を透過し、下地部材の表面で
反射し、反射位置の被覆層を下地部材から剥離させる性
質を有するパルスレーザビームを、加工対象物37に被
覆層表面から入射させ、被覆層を下地部材から剥離させ
て穴を形成する。形成される穴の開口部の面積を底面の
面積で除して得られる値を開口率と定義し、パルスレー
ザビームの被覆層表面における1パルスあたりのフルエ
ンスを、他の条件を一定に保ったまま徐々に増加させて
穴を形成した場合、形成される穴の開口率が収束する値
の1.2倍となるフルエンス以上のフルエンスで穴を形
成する。
Description
部材を有する加工対象物にレーザビームを照射し、上部
部材に貫通する穴を開けるレーザ加工方法に関する。
の波長領域のパルスレーザビームを集光させ、穴を開け
る方法が知られている。樹脂層がアブレーションされ金
属層がアブレーションされない大きさに、レーザビーム
のフルエンスを設定しておくと、下地の金属層にほとん
どダメージを与えることなく、樹脂層に貫通孔を形成す
ることができる。
ーション加工で大面積の穴を開けようとすると、厚さ5
0μmの樹脂層に直径50μm程度の穴を開けるのでも
100ショット前後のパルスレーザビームが必要であっ
た。
面に形成された被覆層に、少ないショット数で、穴を開
けることのできるレーザ加工方法を提供することであ
る。
るレーザ加工方法を提供することである。
ば、第1の材料からなる表層部を有する下地部材と、該
下地部材の表面上に形成され、該第1の材料とは異なる
第2の材料で形成された被覆層とを含む加工対象物を準
備する工程と、前記被覆層を透過し、前記下地部材の表
面で反射し、反射位置の該被覆層を該下地部材から剥離
させる性質を有するレーザビームを、前記被覆層表面に
おけるビームスポットが、少なくとも一つの尖ったまた
は丸みを帯びた角を有する形状になるように入射させ、
前記被覆層を前記下地部材から剥離させて穴を形成する
工程とを有するレーザ加工方法が提供される。
は丸みを帯びた角を有する平面形状の穴を、前記被覆層
に形成することができる。
材料からなる表層部を有する下地部材と、該下地部材の
表面上に形成され、該第1の材料とは異なる第2の材料
で形成された被覆層とを含む加工対象物を準備する工程
と、前記被覆層を透過し、前記下地部材の表面で反射
し、反射位置の該被覆層を該下地部材から剥離させる性
質を有するパルスレーザビームを、前記加工対象物に前
記被覆層表面から入射させ、前記被覆層を前記下地部材
から剥離させて穴を形成する工程であって、形成される
穴の開口部の面積を底面の面積で除して得られる値を開
口率と定義し、前記パルスレーザビームの前記被覆層表
面における1パルスあたりのフルエンスを、他の条件を
一定に保ったまま徐々に増加させて穴を形成した場合、
形成される穴の開口率が収束する値の1.2倍となるフ
ルエンス以上のフルエンスで穴を形成する工程とを有す
るレーザ加工方法が提供される。
ームの1パルスあたりのフルエンスを増加させていく
と、形成される穴は、底面と開口部の面積差の小さい、
側面が切り立った形状を有するようになる。また、開口
部の形状が、前記被覆層表面におけるビームスポットの
形状に近づいていく。このレーザ加工方法は、前記被覆
層表面におけるフルエンスを調整することにより、底面
や開口部の平面形状がビームスポットに近似する穴、側
面の傾斜角の大きな穴を加工することができる。
施例によるレーザ加工方法で用いられるレーザ加工装置
の概略図を示す。レーザ光源1がパルスレーザビームを
出射する。レーザ光源1から出射したパルスレーザビー
ムは、ビーム断面を整形するマスク2を経て、平凸レン
ズ3に入射する。XYステージ4の可動面上に加工対象
物5が保持されている。平凸レンズ3により収束された
レーザビームが、XYステージ4に保持された加工対象
物5の表面に入射する。
器と非線型光学素子とを含んで構成され、基本波(波長
1047nm)または2倍高調波(波長523nm)を
発生させることができる。ここでは基本波を、パルス幅
15ns、パルスエネルギ1mJで出射させる。
の可動面を水平に配置し、反射ミラー6でレーザビーム
を鉛直下方に反射させてもよい。
源1とマスク2の間に凹レンズ7及び凸レンズ8を挿入
してもよい。凹レンズ7はビームを拡大し、凸レンズ8
は拡大されたビームを平行光にする。または、凹レンズ
7を凸レンズ8より小さい焦点距離を有する凸レンズに
置き換え、テレセントリックにしてビームを広げてもよ
い。
ドリカルレンズ9及び凸シリンドリカルレンズ10を用
いて、ビーム断面を楕円形に拡大整形し、平行光とする
ことができる。または、凹シリンドリカルレンズ9を凸
シリンドリカルレンズ10より小さい焦点距離を有する
凸シリンドリカルレンズに置き換え、テレセントリック
にしてビームを広げてもよい。
レーザ加工方法で使用する加工対象物であるマザーボー
ドの断面図である。
の表面に、樹脂被覆層20、たとえばエポキシ樹脂層が
積層されている。樹脂被覆層20の厚みは、たとえば5
0μmである。
0にパルスレーザビームを入射させる。パルスレーザビ
ームの多くは樹脂被覆層20に吸収されることなく透過
し、金属層21で大部分反射され金属層21を透過しな
い性質をもつ。このマザーボードにパルスレーザビーム
が1ショット入射すると、樹脂被覆層20と金属層21
との界面が高圧力状態となり、この圧力によって金属層
21上面におけるパルスレーザビームの反射位置付近の
樹脂被覆層20の一部が金属層21から剥離して穴が開
く。この現象を「リフティング現象」と呼び、「リフテ
ィング現象」を利用した加工を「リフティング加工」と
呼ぶこととする。
レーザビームによって、樹脂被覆層20に穴20aが形
成されたマザーボードの断面図である。穴20aの底面
を仮に円とすると、その直径はたとえば200μm以上
である。リフティング加工はアブレーション加工に比
べ、少ないショット数で、大面積の穴開け加工を可能に
する。
孔を樹脂被覆層20の表面に結像させ、マザーボードの
樹脂被覆層20に1ショット入射させた後の、マザーボ
ード表面の光学顕微鏡写真をスケッチした図である。
(A)の透過孔は俵型、(B)の透過孔は三角形であっ
た。ビームを入射させたのは、金属層21が銅層であり
樹脂被覆層20が厚さ60μmのエポキシ樹脂層である
マザーボードであった。穴の開口部(エポキシ樹脂層表
面)を実線で、穴の底面(銅層表面の露出部分)を一点
鎖線で、入射したパルスレーザビームのビームスポット
を点線で記した。開口部は底面より大きく、底面はビー
ムスポットよりも大きい。図3(A)の俵型穴の底面
は、短径が約200μm、長径が約300μmであっ
た。
よるレーザ加工方法を詳述する。図4は本実施例による
レーザ加工方法で用いられるレーザ加工装置の概略図で
ある。図1(A)に示したレーザ加工装置に、反射ミラ
ー31と、テレセントリックにレーザビームを広げる2
枚の平凸レンズ32及び33とを加えたもので、それ以
外の構成は図1(A)に示したレーザ加工装置の構成と
同じである。また、図4に示したレーザ加工装置におい
ては、焦点距離が50mmの平凸レンズ35を用い、マ
スク34と平凸レンズ35の間の距離を1050mm、
平凸レンズ35と加工対象物37の間の距離を52.5
mmに保った。縮小率は20である。なお、加工対象物
は、ABF材(金属層表面の樹脂被覆層がエポキシ樹脂
を主成分にして構成されているもの)で樹脂被覆層の厚
みは50μmである。
透過孔が形成されている。レーザ光源30から、Nd:
YLFレーザの基本波(波長1047nm)を、パルス
幅15nsで出射した。加工対象物表面において、レー
ザビームのビームスポットは一辺250μmの正三角形
となる。ビームスポットの正三角形の角は尖っている場
合も、また、角の先が少し丸みを帯びている場合も考え
られる。
ネルギを様々に変化させ、エポキシ樹脂層に1ショット
ずつ入射させた後の、ABF材表面の光学顕微鏡写真を
スケッチした図である。
は、ビームのフルエンスが、それぞれ6.1J/c
m2、4.1J/cm2、2.8J/cm2、1.8J/
cm2であるときに形成された穴である。ここでフルエ
ンスとは、樹脂被覆層表面におけるレーザビームのフル
エンスを意味する。図3と同様に、穴の開口部(エポキ
シ樹脂層表面)を実線で、穴の底面(銅層表面の露出部
分)を一点鎖線で、入射したパルスレーザビームのビー
ムスポットを点線で記した。開口部は底面より大きく、
底面はビームスポットよりも大きい。
ある。底面の外周はビームスポットを取り囲んでおり、
正三角形の頂点が丸みを帯び、各辺が外側に膨らんだ形
状を有する。図5(A)〜(D)のいずれの場合にも、
底面の形状はビームスポットの形状の痕跡を留めてい
る。
スが6.1J/cm2のときには、開口部の外周が底面
の外周に倣い、正三角形の痕跡を留めている。図5
(B)〜(D)に示すように、ビームのフルエンスを低
下させると、開口部が円形に近づく。また、照射するビ
ームのフルエンスが高いほど、開口部と底面との面積比
が1に近い穴、すなわち穴の側壁が垂直に近く立ち上が
る穴を形成することができる。フルエンスが低いと、穴
側面がテーパ形状を示す。
ザビームの1パルスあたりのフルエンスと対ビームスポ
ット面積比との関係を示す。対ビームスポット面積比と
は、形成された穴の開口部及び底面の面積の、樹脂被覆
層表面におけるビームスポットの面積に対する比のこと
である。横軸は、樹脂被覆層表面におけるビームの1パ
ルスあたりのフルエンスを単位「J/cm2」で表し、
縦軸は対ビームスポット面積比を「任意単位」で表す。
対する底面積の比、逆黒三角で示したのがビームスポッ
ト面積に対する開口部面積の比である。穴形成の閾値は
1.4〜1.8J/cm2の間にあり、これより大きな
フルエンスで入射したレーザビームによって、樹脂被覆
層に穴が形成される。フルエンスを増大させることで、
底面、開口部ともに面積は増加するが、開口部は底面ほ
ど増加の割合が大きくはない。すなわち形成される穴の
側面は、フルエンスの増大とともに、切り立った形状に
近づくことがわかる。
ザビームの1パルスあたりのフルエンスと開口率との関
係を示す。開口率とは、樹脂被覆層に形成された穴の開
口部の面積を底面の面積で除して得られる値と定義す
る。横軸は、樹脂被覆層表面におけるビームの1パルス
あたりのフルエンスを単位「J/cm2」で表し、縦軸
は開口率を「任意単位」で表す。黒丸で示したのが両者
の関係である。照射するレーザビームが金属層に損傷を
与えない、または与える損傷の程度が無視できる範囲の
フルエンスにおいては、他の条件を一定に保ちながらフ
ルエンスを徐々に増加させていくと、開口率は1以上の
ある一定の値に収束する。この収束値の1.2倍の開口
率の穴を形成するフルエンス以上のフルエンスで加工す
ることにより、側面の傾斜角が大きな(側面が切り立っ
た形状の)穴を形成することができる。また、開口部及
び底面の形状が、樹脂被覆層上のビームスポットに近似
する穴を形成することが出来る。
されているマスク34を使用し、加工対象物表面に入射
するレーザビームのビームスポットを、一辺250μm
の正方形とした。縮小率は20である。
ネルギを様々に変化させ、前出のABF材の樹脂被覆層
に1ショットずつ入射させた後の、ABF材表面の光学
顕微鏡写真をスケッチした図である。
のフルエンスが、それぞれ2.96J/cm2、2.0
J/cm2、1.3J/cm2であるときに形成された穴
である。ここでフルエンスとは、樹脂被覆層表面におけ
るレーザビームの1パルスあたりのフルエンスを意味す
る。図3と同様に、穴の開口部(エポキシ樹脂層表面)
を実線で、穴の底面(銅層表面の露出部分)を一点鎖線
で、入射したパルスレーザビームのビームスポットを点
線で記した。開口部は底面より大きく、底面はビームス
ポットよりも大きい。
と、頂点が丸みを帯びた正方形状の底面と、辺及び頂点
が丸みを帯びた正方形状の開口部を有する穴を開けるこ
とができる。また、穴の底面形状は、照射したビームの
形状(正方形)に依存する。更に、フルエンスの高いビ
ームほど開口部を正方形に近い形状に(殊に正方形の辺
部を直線的に)加工することができる。また、開口部と
底面との面積比が1に近い穴、すなわち穴の側壁の傾斜
角が大きい(90°に近い)穴を形成することができ
る。
ザビームの1パルスあたりのフルエンスと対ビームスポ
ット面積比との関係を示す。対ビームスポット面積比、
グラフの縦軸及び横軸、黒三角及び逆黒三角の意味する
ところは、三角形のマスクを使用した場合(図6)と同
じである。
の間にあり、これより大きなフルエンスで入射したレー
ザビームによって、樹脂被覆層に穴が形成される。フル
エンスを増大させることで、底面、開口部ともに面積は
増加するが、底面積の方が増加の割合が大きい。このグ
ラフに示した範囲よりもフルエンスを増大させても同様
である。
る。これは、ABF材の樹脂被覆層表面におけるビーム
スポットの面積が異なることが原因の一つである。リフ
ティング加工の加工メカニズムはフォトン波長に依存す
る光化学現象(高分子の分子結合を切断する)ではな
く、フォトン数に依存するサーマル現象(熱的に分解す
る)としての側面が強いため、ビームスポットの面積が
閾値に関係する。
ーザビームの1パルスあたりのフルエンスと開口率との
関係を示す。開口率、グラフの縦軸及び横軸の意味する
ところはビームスポットを三角形にして入射させた場合
のグラフ(図7)と同じである。黒丸で示したのが両者
の関係である。ビームスポットが正方形である場合も、
照射するレーザビームが金属層に損傷を与えない、また
は与える損傷の程度が無視できる範囲のフルエンスにお
いては、他の条件を一定に保ちながらフルエンスを徐々
に増加させていくと、開口率は1以上のある一定の値に
近づくであろう。この収束値の1.2倍の開口率の穴を
形成するフルエンス以上のフルエンスで加工することに
より、側面の傾斜角が大きな(側面が切り立った形状
の)穴を形成することができる。また、開口部及び底面
の形状が、樹脂被覆層上のビームスポットに近似する穴
を形成することが出来る。
ムスポットが尖ったまたは丸みを帯びた角を有する形状
になるように、レーザビームを樹脂被覆層に入射させる
と、それに対応する丸みを帯びた角を有する形状の穴を
形成することができる。前記尖ったまたは丸みを帯びた
角が、90°以下の内角を有するものであれば、形成さ
れる穴も、それに対応する、よりはっきりした角部を有
することになる。
を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。
て、加工対象物たとえば第1の実施例で使用したものと
同じマザーボードを加工する。たとえば正方形の透過孔
の形成されたマスク2を用い、Nd:YLFレーザの基
本波を1ショット照射する。
た正方形の開口部を有する穴が、樹脂被覆層に形成され
る。
されたマスク2を使用する。XYステージ4によりマザ
ーボードを移動させて、パルスレーザビームを照射し、
新たな穴を形成して最初のショットで形成された正方形
状の穴を広げる。樹脂被覆層20表面におけるビームス
ポットが、少なくとも一つの尖ったまたは丸みを帯びた
角を有するように、ここでは正三角形状のビームスポッ
トの頂点の1つが樹脂被覆層20上に形成されるよう
に、レーザビームを入射させる。
20に形成された穴の平面図である。点線で示した正方
形が、最初に照射したレーザビームのビームスポットで
あり、一点鎖線で示した4つの正三角形が、正方形状の
穴を広げるために照射したレーザビームのビームスポッ
トである。なお、図11(A)〜(E)においては、入
射したレーザビームのビームスポットを点線または一点
鎖線で記し、形成された穴を実線で記す。
を帯びた角の周辺をより尖った形状にする。そのため、
正三角形状のビームスポットの頂点が、丸みを帯びた角
の付近の樹脂被覆層20上に形成されるように、ビーム
を入射させる。
覆層20に形成された穴である。穴の角は、ビームスポ
ットの正三角形の角に対応して形成されたものである。
このようにビームスポットの角が、広げた穴の外周の一
部に対応するようにレーザビームを入射させて、角を有
する穴を加工することができる。リフティング加工は、
レーザビームを重ねて照射しても、下地の金属層21に
影響をほとんど与えず樹脂被覆層20に穴を形成するこ
とができる。したがって幾度も微細に重ね打ちをするこ
とによって、シャープな角を形成することも可能であ
る。
とえば直角二等辺三角形のビームスポットを形成して、
図11(A)の穴の角部を加工してもよい。図11
(A)では、正三角形状のビームスポットの60°の角
で、穴の角部を形成したが、図11(B)においては、
直角二等辺三角形状のビームスポットの45°の角で、
穴の角部の形成を行っている。後者の方が、よりはっき
りした角部を有する穴を形成できる。45°より小さい
角を有するビームスポットに集光すると、更にはっきり
とした角部を有する穴を形成できる。
折れ曲がった鉤型の穴を開けることもできる。たとえ
ば、レーザビームを細長い矩形のビームスポットになる
ように集光して穴の2本の直線部を加工する。折れ曲が
り部分は、直角二等辺三角形のビームスポットを有する
2ショットのパルスレーザビームにより形成される。こ
の2つのビームスポットは、直角二等辺三角形の斜辺ど
うしが対向し、直角二等辺三角形の各々の一方の底角が
折れ曲がり部分の外側の角に対応するように位置決めさ
れる。このように位置決めすることにより、折れ曲がり
部分の外側の角を鋭くすることができる。
形のビームスポットに集光して形成した細長い矩形の穴
の平面図である。穴の端部の角が丸みを帯びている。
形のビームスポットに集光して、図11(D)に示すよ
うな穴を形成した後、端部を直角二等辺三角形状のビー
ムスポットに集光して加工した細長い矩形の穴の平面図
である。穴の端部は、直角二等辺三角形のビームスポッ
トを有する4ショットのパルスレーザビームにより形成
される。4つの直角二等辺三角形は、正方形を2本の対
角線で分割して得られる4つの直角二等辺三角形に相当
するように位置決めされる。この正方形の一つの辺が、
穴の直線部分の端部に対向する。図11(D)に示した
ような1ショットだけで開けた穴に比べ、鮮明な角部を
有する穴を加工することができる。
ームの入射位置を変えて、穴の形を制御する方法が考え
られるであろう。その際、第1の実施例で説明したよう
に、加工対象物に入射するレーザビームのフルエンスを
変化させることによる穴形状の制御をも加えて、加工を
行うことができる。
発明の第3の実施例について説明する。
て、加工対象物に穴を開ける。レーザ光源1から、N
d:YLFレーザの基本波をパルス幅10psで出射す
る。
図である。ガラス繊維等の支持材料(補強材料)で強化
された、たとえばエポキシ樹脂で作られた支持基板4
2、金属材料たとえばアルミニウムで作られた下地部材
である金属層41、誘電体材料たとえばポリイミド樹脂
で作られた樹脂被覆層40、がこの順に下から積層され
ている。樹脂被覆層40の厚みはたとえば50μmであ
る。
は、ポリイミド樹脂の他、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、BTレ
ジン、BCB(ベンゾシクロブテン)などがある。
ミニウムの他、銅、金、銀、パラジューム、ニッケル、
チタン、タングステン、プラチナ、モリブデンなどがあ
る。
としては、ガラス繊維の他、アルミナ繊維、アラミド繊
維、ケプラーなどがある。
レーザの基本波を入射させる。ビームの多くは樹脂被覆
層40に吸収されることなく透過し、金属層41で大部
分反射され透過しない性質をもつ。リフティング現象に
より、樹脂被覆層40に穴が形成される。
構成によっては、スミアが非常に少ない、清浄な金属層
を露出させることができる。また、リフティング加工に
よれば、デブリが非常に少ない穴開け加工が可能であ
る。したがって、リフティング効果を用いた穴開け加工
の後、デスミアやデブリ除去のための湿式処理(過マン
ガン酸処理)等の後処理をすることなく、メッキ、ワイ
ヤボンディングを行うことができる。デスミアやデブリ
除去のための湿式処理(過マンガン酸処理)等の工程を
省略することができるため、高いスループットが得られ
る。更に、スミアが残った場合も、プラズマデスミア等
で容易に除去でき、その後、メッキ、ワイヤボンディン
グを行うことが可能であると思われる。
させたり、マスク2により樹脂被覆層40に入射するレ
ーザビームのビームスポットを調整することによって、
ワイヤボンディングに適した形状の穴を作製する。ま
た、幾種類かのマスクを使用して穴の形状を制御しても
よい。こうして形成した穴に、メッキを施し、ワイヤボ
ンディングを行えば、効率のよい作業を行うことができ
る。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。例え
ば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当
業者には自明であろう。
加工対象物の下地部材表面に形成された被覆層に、少な
いショット数で穴を開け、その穴の形状を制御すること
のできるレーザ加工方法を提供することができる。
るレーザ加工方法で用いられるレーザ加工装置の概略図
である。
で加工するマザーボードの断面図である。(B)は、第
1の実施例によるレーザ加工方法で穴が形成されたマザ
ーボードの断面図である。
ザ加工方法で加工したマザーボードの光学顕微鏡写真を
スケッチした図である。
るレーザ加工装置の概略図である。
加工方法で加工したABF材の光学顕微鏡写真をスケッ
チした図である。
パルスあたりのフルエンスと対ビームスポット面積比と
の関係を示すグラフである。
パルスあたりのフルエンスと開口率との関係を示すグラ
フである。
ABF材の光学顕微鏡写真をスケッチした図である。
パルスあたりのフルエンスと対ビームスポット面積比と
の関係を示すグラフである。
1パルスあたりのフルエンスと開口率との関係を示すグ
ラフである。
よるレーザ加工方法によって、マザーボードに形成され
た穴の平面図である。
で加工する多層基板の断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1の材料からなる表層部を有する下地
部材と、該下地部材の表面上に形成され、該第1の材料
とは異なる第2の材料で形成された被覆層とを含む加工
対象物を準備する工程と、 前記被覆層を透過し、前記下地部材の表面で反射し、反
射位置の該被覆層を該下地部材から剥離させる性質を有
するレーザビームを、前記被覆層表面におけるビームス
ポットが、少なくとも一つの尖ったまたは丸みを帯びた
角を有する形状になるように入射させ、前記被覆層を前
記下地部材から剥離させて穴を形成する工程とを有する
レーザ加工方法。 - 【請求項2】 前記角の内角が90°以下である請求項
1に記載のレーザ加工方法。 - 【請求項3】 第1の材料からなる表層部を有する下地
部材と、該下地部材の表面上に形成され、該第1の材料
とは異なる第2の材料で形成された被覆層とを含む加工
対象物を準備する工程と、 前記被覆層を透過し、前記下地部材の表面で反射し、反
射位置の該被覆層を該下地部材から剥離させる性質を有
するパルスレーザビームを、前記加工対象物に前記被覆
層表面から入射させ、前記被覆層を前記下地部材から剥
離させて穴を形成する工程であって、形成される穴の開
口部の面積を底面の面積で除して得られる値を開口率と
定義し、前記パルスレーザビームの前記被覆層表面にお
ける1パルスあたりのフルエンスを、他の条件を一定に
保ったまま徐々に増加させて穴を形成した場合、形成さ
れる穴の開口率が収束する値の1.2倍となるフルエン
ス以上のフルエンスで穴を形成する工程とを有するレー
ザ加工方法。 - 【請求項4】 第1の材料からなる表層部を有する下地
部材と、該下地部材の表面上に形成され、該第1の材料
とは異なる第2の材料で形成された被覆層とを含む加工
対象物を準備する工程と、 前記被覆層を透過し、前記下地部材の表面で反射し、反
射位置の該被覆層を該下地部材から剥離させる性質を有
するレーザビームを、前記加工対象物に前記被覆層表面
から入射させ、該被覆層を該下地部材から剥離させて第
1の穴を形成する工程と、 第2のレーザビームを、前記被覆層表面におけるビーム
スポットが少なくとも一つの尖ったまたは丸みを帯びた
角を有する形状になるように入射させ、該被覆層を該下
地部材から剥離させて、前記第1の穴を広げる工程であ
って、前記第2のレーザビームのビームスポットの角
が、広げられた前記第1の穴の外周の一部に対応するよ
うに、第2のレーザビームを入射させる工程とを有する
レーザ加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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