JP2003259867A - メタン発酵用微生物担体 - Google Patents

メタン発酵用微生物担体

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JP2003259867A JP2002066061A JP2002066061A JP2003259867A JP 2003259867 A JP2003259867 A JP 2003259867A JP 2002066061 A JP2002066061 A JP 2002066061A JP 2002066061 A JP2002066061 A JP 2002066061A JP 2003259867 A JP2003259867 A JP 2003259867A
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豊 栗山
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繁樹 上村
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一幸 羽田野
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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタン菌の付着・増殖が起こり易く、これに
よりメタン発酵効率を高めることができるようにした、
メタン発酵用微生物担体を提供する。 【解決手段】 セメント系ケイ酸カルシウム多孔質体か
らなるメタン発酵用微生物担体。水、炭酸イオン又は炭
酸ガスによる洗浄処理がなされていてもよく、リン酸ま
たは酸性のリン酸塩で表面処理されていてもよく、リン
酸カルシウムで表面処理されていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性廃棄物の嫌
気性処理に用いられる微生物担体に係り、詳しくは、主
にメタン発酵用微生物を付着させるためのメタン発酵用
微生物担体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機性廃棄物の処理方法として
は、主に埋め立てや焼却などの方法が採用されてきた。
ところが、近年では埋め立て地の不足や焼却によるダイ
オキシンの発生、CO2 の排出といった環境汚染の問題
により、これらの処理方法に代わる方法への転換が図ら
れている。
【0003】このような背景から、厨房などから出る生
ゴミや畜産廃棄物などの有機性固形廃棄物の処理方法と
して、メタン発酵が再認識されつつある。メタン発酵
は、メタン発酵槽内でのメタン菌による嫌気性処理であ
り、有用な資源であるメタンを回収することができるこ
とから、その利用が期待されているのである。
【0004】ところで、前記の有機性固形廃棄物の処理
においては、低濃度の有機性排水を処理する場合と異な
り、メタン菌等の安定維持がその処理量や処理速度を大
きく左右する要因となっている。したがって、メタン菌
等の安定維持を図るべく、従来では各種の微生物群を固
定させる多孔質担体が提案されている。また、微生物群
を固定させる担体としては、例えば特開2001−23
8672に開示されているような、不織布や網状シート
などによって構成されたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
多孔質担体では、メタン菌の付着とその増殖に時間がか
かることから、メタン発酵槽でメタン発酵を行う際、そ
の立ち上げまでの時間が長くなるとともに、立ち上げ時
におけるメタン発酵効率も低いものとなってしまう。ま
た、前記の不織布や網状シートなどによって構成された
微生物担体では、メタン菌が付着し増殖するための孔や
隙間が比較的大きいことから、ここに一旦付着したメタ
ン菌が被処理物の流動などによって脱落し易く、したが
って十分な増殖が期待しにくい。また、多孔質珪酸カル
シウム水和物粉粒体を微生物担体として利用する技術例
としては汚泥処理(特開平2−227198)が見られ
るが、メタン菌およびメタン発酵に特化した調整方法は
ない。また、担体の処理についても、H22 処理など
の再生法が知られるのみである。
【0006】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、メタン菌の付着・増殖が
起こり易く、これによりメタン発酵効率を高めることが
できるようにした、メタン発酵用微生物担体を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のメタン発酵用微
生物担体では、セメント系ケイ酸カルシウム多孔質体か
らなることを前記課題の解決手段とした。
【0008】このメタン発酵用微生物担体によれば、セ
メント系ケイ酸カルシウム多孔質体からなっていること
により、メタン発酵槽中においてそのアルカリ性成分を
僅かずつ溶出し、これにより弱アルカリ性から中性の範
囲の環境を好むメタン菌に対し、担体に付着し易く増殖
し易い環境を作るものとなる。また、多孔質体であり、
その孔内が酸素のない高い嫌気性を有したものとなって
いるので、ここでメタン菌が増殖し易くなり、したがっ
てこの担体を用いることにより、メタン発酵効率を高め
ることが可能になる。
【0009】また、このメタン発酵用微生物担体では、
水、炭酸イオン又は炭酸ガスによる洗浄処理がなされて
いるのが好ましい。このようにすれば、製造後表面に付
着した担体成分の微粉や表面にむき出しのCaOなどが
物理的・化学的に除去不溶化されることから、この担体
成分の微粉などに起因して局所的にアルカリ性が強くな
り、メタン菌が付着しにくくなったり増殖しにくくなっ
たりすることが防止される。
【0010】また、このメタン発酵用微生物担体では、
リン酸または酸性のリン酸塩で表面処理されてなるのが
好ましい。このようにすれば、特に被メタン発酵処理物
中に蛋白質系のものが多く、この蛋白質が嫌気性処理さ
れることにより生成するアンモニアでメタン発酵処理処
理系がアルカリ性になりやすい場合に、メタン発酵用微
生物担体がリン酸または酸性のリン酸塩で表面処理され
たことによってその表層部に不溶性のリン酸カルシウム
が形成され、これによりアルカリ成分の溶出が抑えら
れ、よってpHが高くなりすぎてメタン菌の増殖に悪影
響が出ることが防止される。また、前記の担体成分の微
粉や露出したCaOなどに起因して局所的にアルカリ性
が強くなるのが、表面処理されたリン酸または酸性のリ
ン酸塩によって中和され、これによりメタン菌が付着し
にくくなったり増殖しにくくなったりすることがより確
実に防止される。
【0011】また、このメタン発酵用微生物担体では、
リン酸カルシウムで表面処理されてなるのが好ましい。
このようにすれば、メタン発酵槽が酸性になっている場
合に、担体成分に加え、表面処理されて付着したリン酸
カルシウムも僅かずつ溶解し、メタン発酵槽内を中和す
る。したがって、弱アルカリ性から中性の範囲の環境を
好むメタン菌に対し、担体に付着し易く増殖し易い環境
を作るものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のメタン発酵用微生物担体は、セメント系ケイ酸
カルシウム多孔質体からなるものである。このセメント
系ケイ酸カルシウム多孔質体は、例えばポルトランドセ
メント(15CaO・6SiOが主体)と酸化カルシウ
ムとケイ砂とを主成分(例えば95重量%以上)とし、
これにCMC(カルボキシルメチルセルロース)やアル
ミニウムを適宜量(例えば1重量%程度)加えてなるも
のである。
【0013】このようなセメント系ケイ酸カルシウム多
孔質体としては、例えばかさ比重が300〜600[k
g/m3 ]程度、空隙率が60〜90%程度、ポアサイ
ズ(細孔径)が1μm〜3000μm、圧縮強度が1.
0〜7.0[N/mm2 ]程度、吸水率が70〜150
[%]程度、比表面積が10〜200[m2 /g]程度
のものとされ、また、土壌分析法に準拠して分析した場
合のpHが8〜9の弱アルカリ性を呈するものである。
また、その形状については、円柱状や円筒状、円錐台
状、球状、塊状、直方体状等の各種のものが用いられる
が、特に固定床としてメタン発酵槽内に設置された際、
メタン発酵槽内での被処理物の流動を妨げないような形
状、例えば円筒状などの形状が好適とされる。
【0014】このようなメタン発酵用微生物担体は、メ
タン発酵槽において固定床として用いられる。このメタ
ン発酵用微生物担体をメタン発酵槽内に設置する場合、
特にメタン発酵槽内での被処理物の流動が良好となるよ
う、例えば発酵槽の上部ではメタン発酵用微生物担体を
疎に配置するべく比較的大きなサイズの担体を設置し、
下流では密に配置するべく比較的小さなサイズの担体を
設置するのが好ましい。メタン発酵槽は、炭水化物、脂
肪、タンパク質といった高分子有機物から酸発酵により
分解されて生成したアルコールや有機酸を、嫌気性条件
(暗黒で溶存酸素の存在しない状態)下でメタン菌(メ
タン発酵菌)により炭酸ガスとメタンとに分解生成する
ものである。
【0015】ここで、このメタン発酵用微生物担体を使
用するにあたっては、特に限定されることはないもの
の、このメタン発酵用微生物担体を真空脱気処理してお
き、細孔内に僅かに吸着されている空気を除去しておく
のが望ましい。また、このメタン発酵用微生物担体を直
接メタン発酵槽に浸漬させ、槽内のメタン菌をメタン発
酵用微生物担体に付着させ、増殖させるようにしてもよ
いが、このようなメタン発酵槽での前処理を省くため、
以下の前処理を行うのが好ましい。メタン発酵液をフィ
ルター濾過して得た種液、あるいはこの種液を濃縮して
なる濃縮菌液を用意し、これの中に前記メタン発酵用微
生物担体を浸漬するとともに、必要に応じ種液あるいは
濃縮菌液を流動させてメタン発酵用微生物担体とメタン
菌との接触効率を高める。このような前処理により、メ
タン発酵用微生物担体にメタン菌を付着・定着させ、さ
らにこれを増殖させることができる。
【0016】すなわち、前記の種液あるいは濃縮菌液
中、またはメタン発酵槽内にメタン発酵用微生物担体を
浸漬しておくと、これらの液中に生息するメタン菌がメ
タン発酵用微生物担体の表面に付着し、さらにその孔内
の深部にまで浸入してここに定着する。つまり、このメ
タン発酵用微生物担体は、そのアルカリ性成分を僅かず
つ溶出し、表面や孔内およびその近傍を弱アルカリ性か
ら中性の範囲にする。よって、弱アルカリ性から中性の
範囲の環境を好むメタン菌は、担体表面やその孔内に付
着してここに定着し易くなるのである。
【0017】また、このメタン発酵用微生物担体は、細
孔径が1μm〜3000μmとなっており、特に細孔内
が酸素のない高い嫌気性を有したものとなっている。さ
らに、メタン発酵用微生物担体として連続してなる微細
な気泡を有するセメント系珪酸カルシウム多孔質体を使
用すると、高い嫌気性条件を作り出すためより好まし
い。ここで、微細な連続気泡を有する本発明のメタン発
酵用微生物担体は、トバモライトを主成分とする珪酸カ
ルシウム水和物(例えば特許2117142号)とは異
なり、担体に付着した微生物による近接で生じるメタン
発酵系の代謝産物、特にメタン生産反応における水素
(電子)移動が容易になる。具体的には、クリオン
(株)製の「シズカライト(登録商標)」等が好適に用
いられる。このものは、全気孔容積中に独立気泡を60
%以上有する軽量気泡コンクリート(ALC)と違い、
全気孔容積中に連続気孔を30%以上有するものであ
る。連続気孔とは、製造過程で発生した略球形の独立気
泡が、その界面膜を通じて3つ以上結合し、その後の蒸
発養生後に前記界面膜が消失し、気泡が3つ以上連結・
連通した状態のものをいう。したがって、この細孔内で
メタン菌が付着し定着し易くなっており、しかも細孔内
であることにより流動等の影響を受けにくいことから、
メタン菌が増殖し易い環境となっている。
【0018】また、細孔がその孔径や深度にバラツキを
有していることなどにより、特に径の大きい細孔と小さ
い細孔、孔の深部と浅部などで、嫌気度やアルカリ度が
異なるようになり、これによって例えばメタン菌は小さ
い細孔や孔の深部に定着し、酸生成菌等は大きい細孔や
孔の浅部に定着するといったように棲み分けが可能にな
り、メタン菌の活性度が高まるとともに、酸発酵を経て
なされるメタン発酵の高効率化も可能になる。
【0019】また、前記の種液あるいは濃縮菌液中での
前処理を行ったメタン発酵用微生物担体をメタン発酵槽
内に浸漬し、これを固定床として用いると、該担体の表
面上や孔内で増殖したメタン菌の作用により、メタン発
酵槽内に投入された被処理物をより効率的にメタン発酵
し、炭酸ガスとメタンとに分解生成するようになる。こ
のとき、メタン発酵用微生物担体には前述したようにそ
の細孔の孔径等にバラツキがあることから、被メタン発
酵処理物に大きさのバラツキがあったとしても、それぞ
れの大きさに対応した細孔によりその処理が可能とな
り、したがってメタン発酵の処理効率を高めることがで
きる。
【0020】また、メタン発酵槽内において酸発酵とメ
タン発酵とのバランスがくずれ、槽内のpHが酸性側に
変化しようとした場合に、弱アルカリ性のメタン発酵用
微生物担体自体はその成分を溶出する度合いを高めるよ
うになる。したがって、槽内のpHの急激な変化が緩和
され、pHの急激な変化に起因してメタン菌の増殖が抑
えられたり、メタン菌が死滅するといった不都合が防止
される。
【0021】また、特にメタン発酵運転の立ち上げ時に
おいても、前述したようにメタン発酵用微生物担体が種
液あるいは濃縮菌液中で前処理がなされていることによ
り、該担体の表面上や孔内にメタン菌が十分に増殖して
おり、したがって従来の多孔質担体のごとくメタン菌の
付着とその増殖に時間がかかることがなく、高効率でメ
タン発酵処理を行うことができる。なお、種液あるいは
濃縮菌液中での前処理を行わない場合であっても、前述
したように担体表面やその孔内にメタン菌が付着し定着
し易くなっているので、本発明のメタン発酵用微生物担
体は従来に比べ運転の立ち上げ時におけるメタン発酵の
処理効率を十分に高めることができる。
【0022】ここで、本発明のメタン発酵用微生物担体
にあっては、メタン発酵槽での使用やその前処理に先立
ち、予め水、炭酸イオン又は炭酸ガスによる洗浄処理を
しておくのが好ましい。このような処理をしておけば、
微生物担体の製造後、移送時の振動などによって表面に
付着した担体成分の微粉や表面にむき出しのCaOなど
を物理的・化学的に除去不溶化することができる。した
がって、水洗処理を行わずにメタン発酵槽に設置した場
合、この担体成分の微粉などが溶解して担体近傍が局所
的にアルカリ性が強くなり、メタン菌が付着しにくくな
ったり増殖しにくくなったりするおそれがあるものの、
前記の処理を行っておくことにより、このような局所的
にアルカリ性が強くなることを防止することができる。
【0023】また、本発明のメタン発酵用微生物担体に
あっては、メタン発酵槽での使用やその前処理に先立
ち、予めリン酸または酸性のリン酸塩で表面処理してお
くのが好ましい。ここで、酸性のリン酸塩としては、特
に限定されることなく種々のものが使用可能であり、例
えばリン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )やリン
酸二水素カリウム(KH2 PO4 )などが使用可能であ
る。また、表面処理方法としては、例えば微生物担体を
リン酸または酸性のリン酸塩の水溶液中に所定時間浸漬
し、その後引き上げてこれを乾燥するといった方法が採
られる。
【0024】このような処理をしておけば、特に被メタ
ン発酵処理物中に蛋白質系のものが多く、この蛋白質が
嫌気性処理されることによって生成するアンモニアによ
り、メタン発酵槽内が比較的強いアルカリ性になり、こ
れによって該微生物担体にメタン菌が付着しにくくなっ
たり増殖しにくくなったりすることを、より確実に防止
することができる。すなわち、メタン発酵用微生物担体
をリン酸または酸性のリン酸塩で表面処理していること
により、アルカリ成分の溶出を抑えることができ、これ
によりpHが高くなりすぎてメタン菌の増殖に悪影響が
出ることを防止することができるのである。また、前記
の担体成分の微粉や露出したCaOなどに起因して局所
的にアルカリ性が強くなることについても、表面処理し
たリン酸または酸性のリン酸塩によってこれを中和して
おくことができ、したがってメタン菌が付着しにくくな
ったり増殖しにくくなったりすることをより確実に防止
することができる。
【0025】また、本発明のメタン発酵用微生物担体に
あっては、メタン発酵槽での使用やその前処理に先立
ち、予めリン酸カルシウムで表面処理しておくのが好ま
しい。ここで、表面処理方法としては、例えばリン酸カ
ルシウムを分散させた液中に微生物担体を所定時間浸漬
し、その後引き上げてこれを乾燥するといった方法や、
前記の分散液を微生物担体表面に噴霧し、その後これを
乾燥するといった方法などが採られる。
【0026】このような処理をしておけば、特にメタン
発酵槽内が酸性になっている場合に、担体成分に加え、
表面処理されて付着したリン酸カルシウムも僅かずつ溶
解し、メタン発酵槽内をより速く中和するようになる。
したがって、弱アルカリ性から中性の範囲の環境を好む
メタン菌に対し、該メタン菌が微生物担体に付着し易く
増殖し易い環境を作ってこれを維持するようになり、こ
れによってメタン発酵の処理効率を高めることができる
ようになる。
【0027】また、リン酸カルシウム処理を行うことに
より、メタン発酵用微生物担体へのリン酸塩吸着を抑え
ることができ、これによってメタン発酵処理が阻害され
るのを回避することができる。すなわち、リン酸塩はメ
タン発酵処理に必要であるものの、メタン発酵用微生物
担体はそれ自身がリン酸を吸着する特性があることか
ら、該担体がリン酸塩が吸着すると処理物中で栄養源と
なるリン酸塩が欠乏状態になり、発酵が阻害されてしま
うおそれがある。そこで、メタン発酵用微生物担体を予
めリン酸カルシウムで処理しておくことにより、該担体
にメタン発酵槽中のリン酸塩が吸着するを抑え、かつリ
ン酸欠乏時にはリン酸の供給源として機能させることに
より、メタン発酵処理が阻害されるのを回避することが
できるのである。
【0028】(実験例1)本発明品として、クリオン
(株)社製の「シズカライト(登録商標)」を用意し
た。なお、この担体の寸法・形状は、10mm×20m
m×50mmの直方体状のものとした。用意した微生物
担体に軽い水洗処理を施し、続いてこれをメタン発酵後
期の培養液に接触させ、その表面や細孔内にメタン菌を
付着させた。
【0029】被メタン発酵処理物として、厨房から廃出
された生ゴミをミンチにかけて均一に混合した被処理物
を用意した。この被処理物は、90%程度が水分であっ
た。また、固形分中での成分としては、油脂分が20
%、炭水化物が50%、蛋白質が約6%であった。用意
した被処理物を、メタン発酵槽に投入する前に、アルカ
リ下(pH8)で好気的に2日間可溶化処理した。
【0030】ガラス製の円筒リアクター(径80mm×
高さ180mm)に、前記被メタン発酵処理物を所定量
とカルキ抜き水道水400mlとを入れ、さらに前記の
メタン菌を付着させた微生物担体を入れ、55℃に保持
して撹拌を行い、発酵処理を行った。また、比較のた
め、微生物担体を入れることなく、これに代えてメタン
発酵種菌を入れて同様に発酵処理を行った。それぞれの
発酵処理において、発生したガス全量とこの発生したガ
ス中のメタンガス量とを調べた。得られた結果を図1
(a)、(b)に示す。なお、メタンガス量について
は、発生ガスをガスクロマトグラフィーで分析すること
によって測定した。図1(a)、(b)に示した結果よ
り、本発明の微生物担体はメタン発酵処理の高効率化に
有効であることが確認された。
【0031】(実験例2)本発明品として、クリオン
(株)社製の「シズカライト(登録商標)」を用意し
た。なお、この担体の寸法・形状は、5cm×1.8c
m×0.8mmの板状のものとした。また、用意した微
生物担体のうちの一部をリン酸カルシウム分散液に浸漬
し、リン酸カルシウムによる表面処理を行った。次い
で、リン酸カルシウムによる表面処理を行ったものと行
わなかったものそれぞれを、実験例1と同様にしてメタ
ン発酵後期の培養液に接触させ、その表面や細孔内にメ
タン菌を付着させた。
【0032】これら2種類の微生物担体を用い、また被
メタン発酵処理物として実験例1と同じものを用いて、
実験例1と同様に発酵処理を行った。それぞれの発酵処
理において、発生したガス全量とこの発生したガス中の
メタンガス量とを実験例1と同様にして調べた。得られ
た結果を図2(a)、(b)に示す。図2(a)、
(b)に示した結果より、リン酸カルシウムによる表面
処理を行ったものは、行わなかったものに比べ、特に発
酵処理の初期においてメタン発酵効率が高いことが分か
った。
【0033】(実験例3)本発明品として、クリオン
(株)社製の「シズカライト(登録商標)」を用意し
た。また、被メタン発酵処理物として、おからを模擬生
ごみとして用い、実験例1と同様に発酵処理を行った。
この発酵処理において、アンモニア性窒素の濃度分析し
た結果、以下に示す結果が得られた。なお、以下の担体
投入割合は、発酵槽中における担体(シズカライト(登
録商標))の見掛けの容積比を示している。また、担体
投入割合が0とは、担体を投入していないことを示して
いる。日数は、発酵処理開始からの経過日数を示してい
る。 アンモニア性窒素(mg/l) 担体投入割合 0% 20% 30% 40% 6日 1100 950 560 480 20日 1400 1050 970 650 34日 1800 1450 1490 1250 このように担体を増やすことで、メタン発酵が進んで
も、液中のアンモニア量が低く抑えられる。つまり、蛋
白質のようなメタン発酵が進むとアンモニアが出やすい
物質を原料にした場合の、メタン生産にも、本発明の担
体は対応性があるのである。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明のメタン発酵
用微生物担体は、セメント系ケイ酸カルシウム多孔質体
からなるものであるから、メタン発酵槽中においてその
アルカリ性成分を僅かずつ溶出し、これにより弱アルカ
リ性から中性の範囲の環境を好むメタン菌に対し、担体
に付着し易く増殖し易い環境を作るものとなり、これに
よってメタン発酵効率を高めることができるようにな
る。また、多孔質体であり、その孔内が酸素のない高い
嫌気性を有したものとなっているので、ここでメタン菌
が増殖し易くなり、したがってこの担体を用いることに
より、メタン発酵効率を高めることができる。また、p
Hが弱アルカリ性となることで、アンモニアが液中から
気中に移ることから、液中のアンモニア濃度を下げるこ
とが可能になる。したがって、メタン発酵の阻害物質と
してのアンモニアの影響を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)、(b)は、本発明品のメタン発酵用
微生物担体を用いた場合と用いない場合とで、メタン発
酵の実験を行ったときの結果を示すグラフである。
【図2】 (a)、(b)は、本発明品のメタン発酵用
微生物担体に対し、リン酸カルシウムによる表面処理を
行った場合と行わない場合とで、メタン発酵の実験を行
ったときの結果を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成15年1月14日(2003.1.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗山 豊 東京都江東区豊洲三丁目2番16号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 北野 誠 東京都江東区豊洲三丁目2番16号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 上村 繁樹 千葉県木更津市清見台東二丁目11番1号 木更津工業高等専門学校内 (72)発明者 羽田野 一幸 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 クリ オン株式会社内 (72)発明者 浅井 透 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 クリ オン株式会社内 Fターム(参考) 4B033 NA11 NB24 NB66 NB68 NC04 ND02 NF03 4D004 AA02 AA03 CA04 CA15 CA18 CC08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント系ケイ酸カルシウム多孔質体か
    らなるメタン発酵用微生物担体。
  2. 【請求項2】 水、炭酸イオン又は炭酸ガスによる洗浄
    処理がなされている請求項1記載のメタン発酵用微生物
    担体。
  3. 【請求項3】 リン酸又は酸性のリン酸塩で表面処理さ
    れてなる請求項1記載のメタン発酵用微生物担体。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウムで表面処理されてなる
    請求項1記載のメタン発酵用微生物担体。
  5. 【請求項5】 微細な連続気泡を有する請求項1〜3の
    いずれかに記載のメタン発酵用微生物担体。
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