JP2003253789A - 面材耐力壁 - Google Patents
面材耐力壁Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】比較的小規模な木造建築に適した集成材構法を
実現するため、その構造耐力要素のひとつとなる面材耐
力壁を提供する。 【解決手段】本発明の面材耐力壁1は、中断面集成材を
利用して形成される構造体の構面内に設けられるもの
で、枠体3と、その片面または両面に釘打ち固定された
構造用面材6とを備える。枠体3の側柱32は、梁材2
に対して鋼製の連結金物4を介し接合される。構造用面
材6の枠体3に対する釘打ちピッチは75mm以下とな
される。
実現するため、その構造耐力要素のひとつとなる面材耐
力壁を提供する。 【解決手段】本発明の面材耐力壁1は、中断面集成材を
利用して形成される構造体の構面内に設けられるもの
で、枠体3と、その片面または両面に釘打ち固定された
構造用面材6とを備える。枠体3の側柱32は、梁材2
に対して鋼製の連結金物4を介し接合される。構造用面
材6の枠体3に対する釘打ちピッチは75mm以下とな
される。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅をはじめとす
る比較的小規模な木造建築に好適な面材耐力壁に関す
る。 【0002】 【従来の技術】木造建築の基本的な構法種別としては、
いわゆる在来軸組構法、枠組壁構法、丸太組構法などが
ある。これらの構法は、従来より、建築基準法や同法施
行令、建設省告示などによって、構造部材の材種、寸
法、配置、接合形態その他の仕様が詳細かつ具体的に規
定されていた。また、木造建築の構法としては、床組や
壁組などの構造耐力要素を予め工場で一括生産して現場
で組み立てるプレファブ構法やパネル構法などもある。
かかる構法のうち在来軸組構法や枠組壁構法を基本形式
とするものについては前記建築基準法などの仕様規定が
適用されるが、法規上、想定されていない特殊な構造に
かかる構法については、個別に建設大臣の認定を受ける
必要があった。 【0003】しかし、阪神淡路大震災の教訓と規制緩和
の観点を踏まえて平成12年に建築基準法が大改正さ
れ、建築物の構造的性能や防火性能に関する規定が大幅
に変更されることとなった。この法改正では、前記従来
のような「仕様規定」ではなく、建築物が必要とする性
能を明示する「性能規定」を導入することによって、新
規な構法や新規な材料に柔軟に対応できる仕組みが法制
化された。併せて、性能規定を有効ならしめるためのサ
ブシステムとして、建設大臣(国土交通大臣)による新
たな認定制度のほか、型式適合認定制度や型式部材等製
造者認証制度が新たに設けられた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前記のような建築基準
法とその関連法規の改正により、木造住宅に利用しうる
構法や材料のバリエーションも拡大することとなった。 【0005】具体的には、例えば構造躯体の一部に構造
用集成材を利用した建築物について、旧法による仕様規
定では大断面集成材を利用した大断面木造の仕様は基準
化されていたものの、量産を前提とするプレファブ住宅
などの構造躯体に中断面以下の集成材を利用する構法は
原則として認められていなかった。しかし、前記法改正
により部材断面の寸法規制なども緩和され、構造躯体に
中断面以下の集成材を利用した構法についても、一定の
性能基準さえ満たせば型式適合認定や型式部材等製造者
認証を受けられる可能性が生まれた。 【0006】ラミナを積層接着して形成される集成材
は、天然製材に比べて強度や寸法安定性に優れるととも
に、高い意匠性や造形性も備え、また森林資源の有効活
用に寄与する効果も大きい。そのため、近年では需要も
増加しており、この集成材の長所を十分に活かした木造
住宅の新規な構法の開発が求められているところであ
る。 【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、住宅をはじめとする比較的小規模な木造建築に適し
た新規な構法として、構造躯体に中断面以下の構造用集
成材を利用した集成材構法を提供することを目的とす
る。そのために本発明は、かかる集成材構法の構造耐力
要素のひとつとなる面材耐力壁の具体的構成を開示する
ことを解決課題としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の面材耐力壁の構成は、集成材からなる上下
の梁材間、または集成材からなる梁材と基礎との間に設
けられる面材耐力壁であって、木材からなる枠体と、こ
の枠体の片面または両面に釘打ち固定された構造用面材
とからなり、前記枠体の縦枠となる側柱が、その柱頭お
よび柱脚を前記梁材または基礎に対し、鋼製の連結金物
を介して接合されるとともに、前記枠体に対する構造用
面材の釘打ちピッチが75mm以下となされたことを特
徴とする。 【0009】すなわち本発明の面材耐力壁は、柱や梁に
集成材を用いた構造躯体の一部を構成するもので、機能
的には、従来の建築基準法に規定された在来軸組構法に
おける大壁造面材耐力壁に相当する。この種の大壁造面
材耐力壁は、従来の建築基準法では、構面内に筋違いを
設けた場合でも壁倍率の上限値が5倍と規定されてい
た。しかし、柱や梁に中断面以下の集成材を用いた建築
構法(以下、これを「集成材構法」という。)は、従来
の建築基準法に定められた仕様規定の適用外となるの
で、性能規定が導入された改正法では、許容応力度設計
等による認定を受けることで5倍を超える壁倍率の耐力
壁も認められるようになった。 【0010】そこで本発明の耐力壁は、構造用面材の釘
打ちピッチを従来の仕様規定に定められた150mmか
ら75mm、あるいは50mm程度まで細かくするとと
もに、枠体の柱頭・柱脚を高強度の連結金物で強化する
ことによって、実質的に5〜8倍程度までの壁倍率が得
られるものとなっている。 【0011】また、平成13年4月より施行された「住
宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によっ
て、構造体の耐震性能に関しても、より厳しい等級が導
入された。この品確法では、等級3(いわゆる耐震ラン
ク3)を満たす壁倍率の基準耐力を、壁長1mにつき
1.96kN(200kgf)と定めており、従来の建
築基準法に規定されていた基準耐力である1.275k
N(130kgf)の約1.5倍の性能を要求してい
る。しかし、本発明の集成材構法に用いる耐力壁は、こ
の品確法の等級3における壁倍率5倍以上をも満たしう
る高強度耐力壁となる。 【0012】そして、このような高倍率の面材耐力壁
を、集成材を利用した高強度のラーメンフレームその他
の構造体と組み合わせることにより、高い強度や耐震性
を備えた構造躯体を構築することが可能になる。これに
より、空間設計の自由度が大きくなり、大スパン、大開
口部、大空間などの設計も容易になる。 【0013】なお、一般に集成材としては構造用集成材
と造作用集成材があるが、本発明の目的とする集成材構
法に用いられるのは中断面以下の構造用集成材である。
構造用集成材の規格については、平成8年農林水産省告
示第111号をもって従前の「構造用集成材の規格」と
「構造用大断面集成材のJAS」とが一本化され、新た
に「構造用集成材のJAS」として制定されている。こ
の規格では、「大断面集成材」とは、断面の短辺が15
cm以上、かつ断面積が300平方cm以上のものをい
い、「中断面集成材」とは、断面の短辺が7.5cm以
上、長辺が15cm以上であって、大断面集成材以外の
ものをいう。また、「小断面集成材」とは、断面の短辺
が7.5cm未満または長辺が15cm未満のものをい
う。本発明は、この規格に基づいて構造用集成材の断面
サイズを定義づける。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しつつ説明する。 【0015】本発明の面材耐力壁は、中断面以下の集成
材を用いた構造躯体の耐震要素となるもので、梁間また
は柱間の構面内に配置され、それらの梁材または柱材と
一体に固定される。 【0016】図1〜図3は、本発明の実施の形態に係る
面材耐力壁を示す。例示の面材耐力壁1は、2階部分に
て集成材の単材からなる上下の梁材2,2の間に配置さ
れた形態を示したものであるが、1階部分では梁材と基
礎との間に配置される。面材耐力壁1は、上下の横桟材
31,31と、左右両側部の側柱32,32と、中央の
半柱33と、側柱32と半柱33との間に配置された2
本の間柱34,34とによって形成された矩形の枠体3
を備えている。この枠体3においては、側柱32に対し
て横桟材31が勝つ形態(横桟勝ち)に接合されている
が、側柱32と横桟材31の接合部における勝ち負け
は、例示と反対の形態(柱勝ち)であってもよい。 【0017】例示した面材耐力壁1の大きさは、壁長2
000mm×高さ(梁間)2610mmである。梁材2
は断面105mm(梁幅)×270mm(梁せい)の中
断面集成材で、側柱32は断面105mm角の製材、半
柱33は断面105mm×45mmの製材、間柱34は
断面105mm×30mmの製材である。ただし、本発
明の面材耐力壁1の大きさや各部材の寸法、配置などは
これに限定されるものではなく、構造躯体その他の設計
要素に合わせて適宜に決定される。 【0018】枠体3は、側柱32の上端および下端にお
いて、上下の梁材2,2にそれぞれ連結されている。こ
の連結部には、図4に示すような連結金物4が用いられ
ている。 【0019】例示の連結金物4は、鋼板からなるスリッ
ト挿入板41とほぞパイプ42とを一体化したものであ
る。スリット挿入板41は側柱32の上下端に形成され
たスリット(図示せず)に挿入され、適宜個数、設けら
れたピン孔43に側柱32の側面から挿入されるドリフ
トピン5によって側柱32と連結される。また、ほぞパ
イプ42は、梁材2に形成されたほぞ孔(図示せず)に
挿入され、適宜個数、設けられたピン孔44に梁材2の
側面から挿入されるドリフトピン5によって梁材2と連
結される。 【0020】スリット挿入板41の大きさは、幅が側柱
32とほぼ等しい略正方形状を基本とする。また、ほぞ
パイプ42の長さや、スリット挿入板41およびほぞパ
イプ42に設けられるピン孔43,44の個数は、要求
される引き抜き耐力に応じて適宜設定される。例示のよ
うにピン孔43,44をそれぞれ2個ずつ設けた形態で
は、概ね22t程度までの引き抜き耐力が得られる。 【0021】また、枠体3の下部を梁材2ではなく基礎
に直結する場合には、例えば基礎に埋設されたアンカー
ボルトに締結される台座部と、この台座部上に直立して
側柱32の下端に形成されたスリットに挿入される直立
片とを備えたような柱脚金物が用いられる。 【0022】この枠体3には、少なくとも片面に構造用
面材6が釘打ちされる。例示の形態では、他面に石こう
ボード7がビス止めされている。構造用面材6は、例え
ば厚さ7.5mm以上の構造用合板(「構造用合板のJ
AS」適合品)であって、側柱32、半柱33および横
桟材31に対しては釘ピッチ75mmで、また梁材2お
よび間柱34に対しては釘ピッチ150mmで、CN5
0タイプの釘8により固定されている。また、石こうボ
ード7は厚さ12.5mm(JIS・A6901適合
品)で、梁材2および枠体3に対し、ビスピッチ150
mmでビス止めされている。 【0023】このように本発明の面材耐力壁1は、枠体
3の主要部材(横桟材31、側柱32、半柱33)に対
する構造用面材6の釘打ちピッチを75mmないし50
mm程度まで細かくするとともに、枠体3の柱頭・柱脚
と梁材2との接合部を高強度の連結金物4で強化するこ
とによって、実質的に5〜8倍程度までの壁倍率が得ら
れるものとなっている。 【0024】 【発明の効果】本発明の面材耐力壁は、構造用面材の釘
打ちピッチを細かくし、柱頭・柱脚を高強度の連結金物
で強化することにより、5〜8倍という高い壁倍率を得
ることができる。そして、この面材耐力壁によって補強
された構造躯体は、天然製材を用いて構築される従来一
般の在来軸組構法に比して強度や剛性に優れるものとな
る。したがって、柱や耐力壁の配置に関する設計の自由
度が増大するとともに、筋違いや方杖、火打などの補強
部材を減らすことができ、大スパン空間や間口の大きい
開口部を形成するのも容易になる。 【0025】また、本発明の面材耐力壁は、それ自体で
高い壁倍率を得ることができるので、狭小間口の開口部
を小さい壁長で補強したり、3〜4階建ての建築物にお
ける1階部分の構造耐力を強化するのに好適である。ま
た、2階以上の梁上耐力壁の剛性低減を緩和するのにも
有効である。 【0026】また、本発明の面材耐力壁を壁倍率が3〜
4倍程度の耐力壁と組み合わせることにより、構造躯体
全体としてバランスの良い耐力壁配置を実現することが
できる。
る比較的小規模な木造建築に好適な面材耐力壁に関す
る。 【0002】 【従来の技術】木造建築の基本的な構法種別としては、
いわゆる在来軸組構法、枠組壁構法、丸太組構法などが
ある。これらの構法は、従来より、建築基準法や同法施
行令、建設省告示などによって、構造部材の材種、寸
法、配置、接合形態その他の仕様が詳細かつ具体的に規
定されていた。また、木造建築の構法としては、床組や
壁組などの構造耐力要素を予め工場で一括生産して現場
で組み立てるプレファブ構法やパネル構法などもある。
かかる構法のうち在来軸組構法や枠組壁構法を基本形式
とするものについては前記建築基準法などの仕様規定が
適用されるが、法規上、想定されていない特殊な構造に
かかる構法については、個別に建設大臣の認定を受ける
必要があった。 【0003】しかし、阪神淡路大震災の教訓と規制緩和
の観点を踏まえて平成12年に建築基準法が大改正さ
れ、建築物の構造的性能や防火性能に関する規定が大幅
に変更されることとなった。この法改正では、前記従来
のような「仕様規定」ではなく、建築物が必要とする性
能を明示する「性能規定」を導入することによって、新
規な構法や新規な材料に柔軟に対応できる仕組みが法制
化された。併せて、性能規定を有効ならしめるためのサ
ブシステムとして、建設大臣(国土交通大臣)による新
たな認定制度のほか、型式適合認定制度や型式部材等製
造者認証制度が新たに設けられた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前記のような建築基準
法とその関連法規の改正により、木造住宅に利用しうる
構法や材料のバリエーションも拡大することとなった。 【0005】具体的には、例えば構造躯体の一部に構造
用集成材を利用した建築物について、旧法による仕様規
定では大断面集成材を利用した大断面木造の仕様は基準
化されていたものの、量産を前提とするプレファブ住宅
などの構造躯体に中断面以下の集成材を利用する構法は
原則として認められていなかった。しかし、前記法改正
により部材断面の寸法規制なども緩和され、構造躯体に
中断面以下の集成材を利用した構法についても、一定の
性能基準さえ満たせば型式適合認定や型式部材等製造者
認証を受けられる可能性が生まれた。 【0006】ラミナを積層接着して形成される集成材
は、天然製材に比べて強度や寸法安定性に優れるととも
に、高い意匠性や造形性も備え、また森林資源の有効活
用に寄与する効果も大きい。そのため、近年では需要も
増加しており、この集成材の長所を十分に活かした木造
住宅の新規な構法の開発が求められているところであ
る。 【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、住宅をはじめとする比較的小規模な木造建築に適し
た新規な構法として、構造躯体に中断面以下の構造用集
成材を利用した集成材構法を提供することを目的とす
る。そのために本発明は、かかる集成材構法の構造耐力
要素のひとつとなる面材耐力壁の具体的構成を開示する
ことを解決課題としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の面材耐力壁の構成は、集成材からなる上下
の梁材間、または集成材からなる梁材と基礎との間に設
けられる面材耐力壁であって、木材からなる枠体と、こ
の枠体の片面または両面に釘打ち固定された構造用面材
とからなり、前記枠体の縦枠となる側柱が、その柱頭お
よび柱脚を前記梁材または基礎に対し、鋼製の連結金物
を介して接合されるとともに、前記枠体に対する構造用
面材の釘打ちピッチが75mm以下となされたことを特
徴とする。 【0009】すなわち本発明の面材耐力壁は、柱や梁に
集成材を用いた構造躯体の一部を構成するもので、機能
的には、従来の建築基準法に規定された在来軸組構法に
おける大壁造面材耐力壁に相当する。この種の大壁造面
材耐力壁は、従来の建築基準法では、構面内に筋違いを
設けた場合でも壁倍率の上限値が5倍と規定されてい
た。しかし、柱や梁に中断面以下の集成材を用いた建築
構法(以下、これを「集成材構法」という。)は、従来
の建築基準法に定められた仕様規定の適用外となるの
で、性能規定が導入された改正法では、許容応力度設計
等による認定を受けることで5倍を超える壁倍率の耐力
壁も認められるようになった。 【0010】そこで本発明の耐力壁は、構造用面材の釘
打ちピッチを従来の仕様規定に定められた150mmか
ら75mm、あるいは50mm程度まで細かくするとと
もに、枠体の柱頭・柱脚を高強度の連結金物で強化する
ことによって、実質的に5〜8倍程度までの壁倍率が得
られるものとなっている。 【0011】また、平成13年4月より施行された「住
宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によっ
て、構造体の耐震性能に関しても、より厳しい等級が導
入された。この品確法では、等級3(いわゆる耐震ラン
ク3)を満たす壁倍率の基準耐力を、壁長1mにつき
1.96kN(200kgf)と定めており、従来の建
築基準法に規定されていた基準耐力である1.275k
N(130kgf)の約1.5倍の性能を要求してい
る。しかし、本発明の集成材構法に用いる耐力壁は、こ
の品確法の等級3における壁倍率5倍以上をも満たしう
る高強度耐力壁となる。 【0012】そして、このような高倍率の面材耐力壁
を、集成材を利用した高強度のラーメンフレームその他
の構造体と組み合わせることにより、高い強度や耐震性
を備えた構造躯体を構築することが可能になる。これに
より、空間設計の自由度が大きくなり、大スパン、大開
口部、大空間などの設計も容易になる。 【0013】なお、一般に集成材としては構造用集成材
と造作用集成材があるが、本発明の目的とする集成材構
法に用いられるのは中断面以下の構造用集成材である。
構造用集成材の規格については、平成8年農林水産省告
示第111号をもって従前の「構造用集成材の規格」と
「構造用大断面集成材のJAS」とが一本化され、新た
に「構造用集成材のJAS」として制定されている。こ
の規格では、「大断面集成材」とは、断面の短辺が15
cm以上、かつ断面積が300平方cm以上のものをい
い、「中断面集成材」とは、断面の短辺が7.5cm以
上、長辺が15cm以上であって、大断面集成材以外の
ものをいう。また、「小断面集成材」とは、断面の短辺
が7.5cm未満または長辺が15cm未満のものをい
う。本発明は、この規格に基づいて構造用集成材の断面
サイズを定義づける。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しつつ説明する。 【0015】本発明の面材耐力壁は、中断面以下の集成
材を用いた構造躯体の耐震要素となるもので、梁間また
は柱間の構面内に配置され、それらの梁材または柱材と
一体に固定される。 【0016】図1〜図3は、本発明の実施の形態に係る
面材耐力壁を示す。例示の面材耐力壁1は、2階部分に
て集成材の単材からなる上下の梁材2,2の間に配置さ
れた形態を示したものであるが、1階部分では梁材と基
礎との間に配置される。面材耐力壁1は、上下の横桟材
31,31と、左右両側部の側柱32,32と、中央の
半柱33と、側柱32と半柱33との間に配置された2
本の間柱34,34とによって形成された矩形の枠体3
を備えている。この枠体3においては、側柱32に対し
て横桟材31が勝つ形態(横桟勝ち)に接合されている
が、側柱32と横桟材31の接合部における勝ち負け
は、例示と反対の形態(柱勝ち)であってもよい。 【0017】例示した面材耐力壁1の大きさは、壁長2
000mm×高さ(梁間)2610mmである。梁材2
は断面105mm(梁幅)×270mm(梁せい)の中
断面集成材で、側柱32は断面105mm角の製材、半
柱33は断面105mm×45mmの製材、間柱34は
断面105mm×30mmの製材である。ただし、本発
明の面材耐力壁1の大きさや各部材の寸法、配置などは
これに限定されるものではなく、構造躯体その他の設計
要素に合わせて適宜に決定される。 【0018】枠体3は、側柱32の上端および下端にお
いて、上下の梁材2,2にそれぞれ連結されている。こ
の連結部には、図4に示すような連結金物4が用いられ
ている。 【0019】例示の連結金物4は、鋼板からなるスリッ
ト挿入板41とほぞパイプ42とを一体化したものであ
る。スリット挿入板41は側柱32の上下端に形成され
たスリット(図示せず)に挿入され、適宜個数、設けら
れたピン孔43に側柱32の側面から挿入されるドリフ
トピン5によって側柱32と連結される。また、ほぞパ
イプ42は、梁材2に形成されたほぞ孔(図示せず)に
挿入され、適宜個数、設けられたピン孔44に梁材2の
側面から挿入されるドリフトピン5によって梁材2と連
結される。 【0020】スリット挿入板41の大きさは、幅が側柱
32とほぼ等しい略正方形状を基本とする。また、ほぞ
パイプ42の長さや、スリット挿入板41およびほぞパ
イプ42に設けられるピン孔43,44の個数は、要求
される引き抜き耐力に応じて適宜設定される。例示のよ
うにピン孔43,44をそれぞれ2個ずつ設けた形態で
は、概ね22t程度までの引き抜き耐力が得られる。 【0021】また、枠体3の下部を梁材2ではなく基礎
に直結する場合には、例えば基礎に埋設されたアンカー
ボルトに締結される台座部と、この台座部上に直立して
側柱32の下端に形成されたスリットに挿入される直立
片とを備えたような柱脚金物が用いられる。 【0022】この枠体3には、少なくとも片面に構造用
面材6が釘打ちされる。例示の形態では、他面に石こう
ボード7がビス止めされている。構造用面材6は、例え
ば厚さ7.5mm以上の構造用合板(「構造用合板のJ
AS」適合品)であって、側柱32、半柱33および横
桟材31に対しては釘ピッチ75mmで、また梁材2お
よび間柱34に対しては釘ピッチ150mmで、CN5
0タイプの釘8により固定されている。また、石こうボ
ード7は厚さ12.5mm(JIS・A6901適合
品)で、梁材2および枠体3に対し、ビスピッチ150
mmでビス止めされている。 【0023】このように本発明の面材耐力壁1は、枠体
3の主要部材(横桟材31、側柱32、半柱33)に対
する構造用面材6の釘打ちピッチを75mmないし50
mm程度まで細かくするとともに、枠体3の柱頭・柱脚
と梁材2との接合部を高強度の連結金物4で強化するこ
とによって、実質的に5〜8倍程度までの壁倍率が得ら
れるものとなっている。 【0024】 【発明の効果】本発明の面材耐力壁は、構造用面材の釘
打ちピッチを細かくし、柱頭・柱脚を高強度の連結金物
で強化することにより、5〜8倍という高い壁倍率を得
ることができる。そして、この面材耐力壁によって補強
された構造躯体は、天然製材を用いて構築される従来一
般の在来軸組構法に比して強度や剛性に優れるものとな
る。したがって、柱や耐力壁の配置に関する設計の自由
度が増大するとともに、筋違いや方杖、火打などの補強
部材を減らすことができ、大スパン空間や間口の大きい
開口部を形成するのも容易になる。 【0025】また、本発明の面材耐力壁は、それ自体で
高い壁倍率を得ることができるので、狭小間口の開口部
を小さい壁長で補強したり、3〜4階建ての建築物にお
ける1階部分の構造耐力を強化するのに好適である。ま
た、2階以上の梁上耐力壁の剛性低減を緩和するのにも
有効である。 【0026】また、本発明の面材耐力壁を壁倍率が3〜
4倍程度の耐力壁と組み合わせることにより、構造躯体
全体としてバランスの良い耐力壁配置を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる面材耐力壁の正面
図である。 【図2】前記面材耐力壁の図1におけるA−A’断面図
である。 【図3】前記面材耐力壁の側面図である。 【図4】連結金物の例を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 面材耐力壁 2 梁材 3 枠体 32 側柱 4 連結金物 6 構造用面材 8 釘
図である。 【図2】前記面材耐力壁の図1におけるA−A’断面図
である。 【図3】前記面材耐力壁の側面図である。 【図4】連結金物の例を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 面材耐力壁 2 梁材 3 枠体 32 側柱 4 連結金物 6 構造用面材 8 釘
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(72)発明者 田畑 治
大阪市北区大淀中一丁目1番88号 積水ハ
ウス株式会社内
Fターム(参考) 2E002 EB12 FA03 FA05 FB05 FB07
FB16 HA02 HB01 JA01 JA03
JB02 MA07
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 集成材からなる上下の梁材間、または集
成材からなる梁材と基礎との間に設けられる面材耐力壁
であって、木材からなる枠体と、この枠体の片面または
両面に釘打ち固定された構造用面材とからなり、前記枠
体の縦枠となる側柱が、その柱頭および柱脚を前記梁材
または基礎に対し、鋼製の連結金物を介して接合される
とともに、前記枠体に対する構造用面材の釘打ちピッチ
が75mm以下となされたことを特徴とする面材耐力
壁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002061827A JP2003253789A (ja) | 2002-03-07 | 2002-03-07 | 面材耐力壁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002061827A JP2003253789A (ja) | 2002-03-07 | 2002-03-07 | 面材耐力壁 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003253789A true JP2003253789A (ja) | 2003-09-10 |
Family
ID=28670455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002061827A Pending JP2003253789A (ja) | 2002-03-07 | 2002-03-07 | 面材耐力壁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003253789A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018131815A (ja) * | 2017-02-15 | 2018-08-23 | 株式会社ハセベ | 木造建築物の耐力壁構造 |
-
2002
- 2002-03-07 JP JP2002061827A patent/JP2003253789A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018131815A (ja) * | 2017-02-15 | 2018-08-23 | 株式会社ハセベ | 木造建築物の耐力壁構造 |
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