JP2003253524A - マンナン繊維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナン,および製造方法 - Google Patents

マンナン繊維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナン,および製造方法

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JP2003253524A
JP2003253524A JP2002100639A JP2002100639A JP2003253524A JP 2003253524 A JP2003253524 A JP 2003253524A JP 2002100639 A JP2002100639 A JP 2002100639A JP 2002100639 A JP2002100639 A JP 2002100639A JP 2003253524 A JP2003253524 A JP 2003253524A
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hybrid
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 快適な繊維製品,地球の環境問題への対
応,すなわち天然資源(バイオマス)や生分解性,安全
性,低刺激性,保水性等を必要とする生体・環境適合型
製品の設計・開発に資することができるマンナン繊維,
マンナンシート,またはハイブリッド・マンナンを提供
する。 【構成】 グルコマンナン,またはこれにセルロース
系材料やシルクを加えた材料を主成分とするマンナン繊
維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナン,
およびそれらのグルコマンナンを主成分とする原料を,
銅アンモニア,および水酸化銅などの銅イオンをもつ溶
液と反応・溶解させることによって曳糸性を得た後,水
酸化ナトリウムなどのアルカリ凝固液中に紡糸・製膜し
て,メタノールなどのアルコール類,ならびに希硫酸な
どの酸性溶液で処理・乾燥することによって製造する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,コンニャクの製造工程
において大量に発生し,産業廃棄物となっている飛粉,
あるいはコンニャク粉などのグルコマンナン類,ならび
に天然セルロース系材料やシルクを原料とし,強度と透
明性を有する新規マンナン繊維,マンナンシート,ハイ
ブリッド・マンナン,またはそれらの集合体,および被
覆材料に関する。また,本発明は衣料用の繊維や糸など
の繊維製品として使用できるほか,医療用,農業用,な
らびに産業用にも使用でき,人間と地球に優しい環境適
合型材料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】グルコマンナン,あるいはコンニャク・
マンナンにおける従来の技術としては,食品としてのコ
ンニャクや糸コンニャクに関する製造方法および装置
(たとえば特開2000−061891,特開2000
−060448,特開平11−169104,特開平0
9−238621),コンタクトレンズ用の透明なグル
コマンナンゲルの製造方法(特開平5−16145
9),グルコマンナンの被膜を有する紡績糸およびその
製造方法(特開平07−90775,特願平10−26
2858),グルコマンナンを主成分とする表面処理
剤,擬革等の処理方法およびシート(特開平07−20
7584)などが知られている。
【0003】しかし,糸コンニャクは「糸」という繊維
の用語を冠しているが,細長い糸状の食品であり,一定
の強度を有することが前提となる繊維,あるいは繊維集
合体と呼ぶことはできず,繊維製品とはいえない。ま
た,グルコマンナンを紡績糸,タオル,シートなどに被
覆したものは,グルコマンナンを被覆材や表面処理剤と
して使用したにすぎず,グルコマンナン類自身をマンナ
ン繊維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナ
ンとしたものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これに対して,本発明
は、グルコマンナン類を主成分とした,繊維やシートと
求められる強力を有するマンナン繊維,マンナンシー
ト,またはハイブリッド・マンナンを得るものである。
【0005】本発明のマンナン繊維,マンナンシート,
またはハイブリッド・マンナンは,強度や透明性を有す
るほか,生体適合性,環境適合性に優れており,衣料用
の繊維や糸などの繊維製品として使用できるほか,医療
用,農業用,産業用に好適に使用でき,人間と地球に優
しい生体・環境適合型材料である。しかも,グルコマン
ナン類は,コンニャクの製造工程において多量に発生す
る飛粉,すなわち産業廃棄物の有効利用法にも資するこ
とができるものである。紙おむつ,包帯,ガーゼ,生理
用品,手術糸などの医療用,農・産業用ビニールシート
などの化学製品に対する生分解性の問題,各地域におい
て異常発生している孟宗竹の公害問題,ならびに砂漠の
緑化問題等を解決でき,しかも天然資源(バイオマス)
を最大限に利用した人と環境にやさしい材料や製品を設
計・開発できることである。
【0006】したがって,最終繊維製品としての快適な
編織物への展開のみならず,環境問題への対応,すなわ
ち天然資源の有効利用や生分解性,保水性等を必要とす
る材料等の設計・開発に資することができるマンナン繊
維,マンナンシート,およびハイブリッド・マンナンで
ある。また,マンナン繊維,および異種材料,すなわち
グルコマンナンとデンプン,あるいはセルロース系材料
を均一な混合,あるいは相や層状に組み合わせたハイブ
リッド・マンナンを簡単かつ安定的に製造できるマンナ
ン繊維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナ
ン,および製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】グルコマンナンは,D−
グルコースとD−マンノースをモル比約2:1で含んで
おり,一般にはβ−1,4結合からなる主鎖に,β−
1,3結合による分岐(側鎖)を有する複合多糖類であ
る。代表的な原料はコンニャク薯の根茎であり,このグ
ルコマンナンはコンニャク・マンナンと呼ばれている
が,針葉樹のヘミセルロース画分などにも含まれてい
る。グルコマンナンの主な用途は,生産量の約80%が
コンニャクやゼリーなどの食品用に供されており,残り
約20%が接着剤や表面処理剤などとして工業用に使用
されているに過ぎない。また,グルコマンナンは冷水に
溶解して,粘性のあるゾルを形成する。さらに,水酸化
カルシウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ化合物を添
加・加熱することでゲル化する。ゲル化に必要なアルカ
リ量は極めて僅かであり,分子中のアセチル基が離脱
し,水素結合によって3次元ネットワーク構造体,ある
いは網状構造体を形成する。すなわち,ゲル化にはアセ
チル基の離脱が必須の反応であるが,その構造変化は比
較的小規模なものであるために,架橋点は非常に少な
く,部分的に結晶化して,結節点として網目構造体を形
成する。しかし,ゾルとの比較においては,強さと弾性
力を大幅に向上させて,吸水性と保水性を保有するよう
になる。その構造はコンニャクや糸コンニャクを凍結・
解凍させると得ることができ,赤ちゃん用に市販されて
いるスポンジからも確認できるが,乾燥時における構造
体は実に脆い物で,手で触ったくらいでも容易に壊れて
しまうほど強度が劣っている。
【0008】コンニャクはサトイモ科の植物であるコン
ニャク(Amorphophallus konjac
K.Koch)の球茎から製造されるゲル状食品であ
る.その特有な風合いとテクスチャーが古くから日本人
の間で広く賞味されており,日本人民族にとって約15
00年もの食用歴をもつ,まさに日本人固有の伝統食品
である。また,コンニャクを日常的に食べている民族は
日本人だけである。ところで,コンニャク精粉の製造
は,まずきれいに水洗いしたコンニャク薯を輪切りに
し,天日または火力によって乾燥して,切干をつくる。
この切干を粗く砕いたものが“荒粉”である。ついで,
荒粉は石臼を用いて,長時間かけて杵で細かくひきなが
ら,強い風をあてて選別され,マンナン粒子を取り出
す。マンナン粒子は“精粉”と呼ばれ,コンニャク・マ
ンナンを主成分とし,ずっしりと重いので石臼の中に残
る。精粉の製造中に,石臼の周囲にコンニャク薯の表皮
や夾雑物などを含む粉末が飛散する。この粉末は,比較
的に軽く,非常に微細な粉末であり,“飛粉”と呼ばれ
ている。しかし,これからはコンニャクができない。ま
た,石臼のごく近くに飛散している粉末は,飛粉よりも
大きいことから“中粉”と呼ばれている。この中粉は,
消費者の嗜好を考慮して,コンニャクの着色用として,
精粉に混入・利用されている。精粉は,特等粉,ならび
に一等粉から四等粉までに品質を区別されるが,コンニ
ャクは主として特等粉と一等粉からつくられており,そ
の他の粉は格落ち品となる。精粉の品質評価は,ほとん
どの場合,薯の品質評価で決められている。すなわち,
大玉の薯からとれた粘度約140(poise)以上が
特等粉となり,玉が小さく,また粘度の低下とともに,
精粉の品質・等級が下がっていく。コンニャク粉の製造
工程中において,多量に発生する飛粉は,産業廃棄物と
して取扱われており,その処理には莫大な経費が必要と
なっている。飛粉は,コンニャク・マンナンとデンプン
を主成分として,約50%の糖質を含んでおり,精粉の
70〜80%に当たる量が生産されている。しかし,飛
粉には,フェノール誘導体の収けん性による渋味,シュ
ウ酸塩などのえぐ味,ならびに特異な刺激性の生臭さ,
魚臭さや異臭があるために,その利用率は極めて低く,
家畜用飼料としての利用だけである。
【0009】さらに,産業用,あるいは農業用ビニール
シート等の化学製品における生分解性の問題や各地域で
異常発生している孟宗竹の公害問題,地球の温暖化防止
に役立つとしきりに栽培されるようになったケナフの繊
維利用法,あるいは砂漠の緑化問題など,地球環境への
配慮と対応は今世紀における重要な課題であり,対応策
の検討も急務である。そこで,ケナフや孟宗竹,ゴボ
ウ,サツマイモなどのセルロース系材料を有効利用する
方法として,グルコマンナン類と組み合わせることを考
えた。すなわち,ハイブリッド・マンナンの製造であ
る。
【0010】まず,ケナフ(洋麻,kenaf)は,ア
オイ科フヨウ(ハイビスカス)属の一年生草で,アフリ
カのスーダン西部が原産地とされ,北方型のキューバケ
ナフ(カナバイナス,Hibiscus Cannab
inus Linn.)と南方型のタイケナフ(サブダ
リファ,Hibiscus SabdariffaLi
nn.)に大別される。ケナフはジュート(黄麻)の代
用として,ロープ,網,粗布,麻袋等産業用の繊維材料
として利用されてきた。一般に麻類では,古くから高級
衣料用として利用されているリネン(亜麻)とラミー
(苧麻)を除いて,強度は優れているが,柔軟性に乏し
く,粗剛で毛羽立ちやすく,衣料用に不向きであるとさ
れている。ケナフの単繊維長は2〜6mm,繊度は通常
70〜80dtexである。一方,茎の高さは約2m,
大きいものでは4〜5mにまで成長することから,近年
における地球の温暖化防止,すなわち二酸化炭素(CO
)の軽減に役立つと注目されるようになった。ここ数
年,北海道から九州まで,日本各地の小中学校で環境教
育のために栽培され,企業のイメージアップにも利用さ
れるようになっている。また,森林資源の利用を減らせ
るようにと,木材パルプ以外の原料を使った紙の普及が
すすめられており,飼料,切花,工芸品などの地場産業
への拡大も検討されるようになった。ついで,孟宗竹
(phyllostachys pubescens
Mazel)は中国原産であるが,現在では日本各地に
見られる普通の竹となっている。また,日本にある竹類
の中では最も大きいもので,筍は食用になっており,ミ
ネラルやビタミン,繊維質を豊富に含んでいる。その
他,竹の機能性は,放射線に対する抵抗力:紫外線よ
りもはるかに強力なガンマ線に対して強い抵抗力がある
こと,成長速度が速い:天然材料として,わずか二カ
月で14〜15mの高さまで成長し,資源としての再生
能力が大きいことなどである。孟宗竹は昔から農作業に
必要な資材を得るために,その多くは里山に植栽され,
人の手によってクヌギなどの雑木林とのすみわけがなさ
れていた。食料品として,生活資材として,さらに我が
国の輸出品の中で,竹製品は重要な位置を占めるように
なり,1940年代までは竹材や筍が農家の重要な副収
入の一つになっていた。しかし,この秩序ある生態系が
農山村の疲弊と平行して壊れつつある。近年,放置され
たままの竹林は年々拡大し,人工林や薪炭林,広葉樹
林,農地などへの侵入被害が深刻さを増し,その異常繁
殖と荒廃が問題となり,孟宗竹の有効利用が求められて
いる。すなわち,パンやクッキーに混ぜたり,家畜飼料
に使ったり,竹炭や竹酢液の機能成分に注目した商品開
発などが検討されるようになった。
【0011】さらに,身近なセルロース系材料にはゴボ
ウやサツマイモなどがある。ゴボウ(edible b
urdock,Arctium lappa L.sy
n.)は中国から渡来し,平安末期からすでに各地で栽
培され,野菜として使用されているが,根菜として重要
な野菜の一つになっているのは日本だけである。根の成
分はイヌリン45%と少量のパルミチン酸を含んでい
る。サツマイモ(sweet potato,Ipom
aea batatas LAM.)は中央アメリカ原
産で,熱帯から温帯にかけて栽培されているが,温帯南
部で最も普及しており,我が国には中国から渡来した。
塊根の成分は品質・栽培条件・収穫時期・貯蔵期間など
によって,著しく影響を受けるが,我が国で栽培されて
いる品種の堀取期間におけるおよその含量は,水分60
〜75%,デンプン18〜25%,繊維質0.5〜3%
であり,中にはカロチンを含む品種がある。このような
天然資源(バイオマス)であるセルロース系材料やシル
クとグルコマンナン類を主成分として,均一混合,ある
いは相または層状に組み合わせたグルコマンナン繊維,
およびマンナンシート,あるいはこれらと他の異種材料
を組み合わせた材料を、ここではハイブリッド・マンナ
ンと呼ぶ。
【0012】本発明者は,まず,コンニャクの製造工程
において多量に発生する飛粉,すなわち産業廃棄物の有
効利用法を検討するために,“糸コンニャクが繊維製品
になり得るか,否か”という大命題に取り組み,鋭意工
夫して,さまざまな実験を繰り返した。その結果,グル
コマンナン,あるいは飛粉を含むコンニャク粉の適量
を,銅アンモニア,および水酸化銅などの銅イオンを有
する溶液中に溶解させてみたところ,予想外にも高粘度
な溶液,すなわち曵糸性を得ることができた。
【0013】ついで,これらの粘性溶液をアルカリ溶液
で処理してみると,それぞれの溶液がコンニャクのよう
に凝固することを確認できたのである。また,小さな空
孔の付いた適当な装置を用いて,この粘性溶液を凝固液
中に紡糸したところ,細長い形状のままで凝固させるこ
ともできた。したがって,乾燥糸コンニャクなどにみら
れるようなスポンジ状の網目構造を微細化すること,ま
た架橋点を増やすことに成功したものと考える。この繊
維を水洗い後に乾燥したが,その形態は安定しており,
軽く引っ張ったぐらいでは容易に切断しないほどの強度
が得られたのである。
【0014】さらに,本発明者は化学製品に対する生分
解性能や公害の問題,ならびに地球環境を改善するため
に,天然資源である孟宗竹やケナフなどのセルロース系
材料について,上述したと同様な方法で実験したが失敗
を繰り返した。しかし,それぞれの材料を石臼で微粉末
化するなどの工夫と実験を繰り返した結果,やっと曳糸
性のある溶液が作製できるようになった。
【0015】すなわち,上記の課題は,グルコマンナ
ン、あるいは飛粉を含むコンニャク粉を用いて,銅イオ
ンを有する溶液と反応・処理させた後,アルカリ凝固液
中に紡糸し,水洗,ならびに乾燥させることによって,
細長い糸状のマンナン繊維,あるいはテープ状のマンナ
ンシートが製造できるようになった。また,マンナン繊
維の製造時において,多種類の天然資源であるデンプン
やセルロース系材料,すなわちケナフ,孟宗竹,ゴボ
ウ,あるいはシルクなどの微粉末を混入・溶解させるこ
とによって,ハイブリッド・マンナンが製造できるよう
になった。
【0016】
【作用】本発明は,グルコマンナン,コンニャク粉,な
らびに他種の材料であるデンプンやセルロース系材料等
を,銅アンモニア溶液,および水酸化銅などの使用によ
り,銅イオンと反応・溶解させた後,水酸化ナトリウム
などのアルカリ凝固液中に紡糸・延伸し,メタノールな
どのアルコール類で水洗・乾燥,ならびに希硫酸などの
酸性溶液で処理・乾燥することを特徴とする,マンナン
繊維とマンナンシート,ハイブリッド・マンナン,およ
びそれらの製造方法からなるものであり,人と地球に優
しい生体・環境適合型材料,ならびに生分解性や低刺激
性,保水性等を有する長所を生かした,独特の風合いを
もつ多様な新規マンナン繊維とマンナンシート,ならび
にハイブリッド・マンナンが得られる。
【0017】
【実施例】以下、本発明のマンナン繊維とマンナンシー
ト,ハイブリッド・マンナン,およびそれらの製造法に
ついて,具体的な構成を実施例に基づいて説明するとと
もに,その特性を説明する。
【0018】実施例1 まず,濃アンモニア液(28%)10mlに対して,水
酸化銅0.1gを溶解させた銅アンモニア溶液を作製す
る。ついで,マグネット・スターラで本溶液を撹拌しな
がら,溶液10mlに対して各材料の粉末を完全溶解さ
せた後,医療用の注射器(12ml用)を使用して,凝
固液(30%NaOH水溶液)中へ紡糸することによっ
て,各材料を凝固させるために必要な溶解量について検
討した。20±2℃の常温状態における実験結果はつぎ
のとおりであった。
【0019】実施例2 アルカリ凝固液中に紡糸したグルコマンナン繊維を直ち
にボビンに巻き取るならば,乾燥後のマンナン繊維はボ
ビン上に貼り付くだけではなく,相互にくっついてしま
い,1本ずつに分離することができない状態となった。
一方,紡糸したマンナン繊維を長時間水中に放置すると
き,繊維は分解したり,あるいはゲル化したりして,繊
維の形態が安定しなかった。そこで,蒸留水によるマン
ナン繊維の水洗時間について検討するために,水洗時間
を10sec,30sec,1min,3min,10
min,1dayの5水準で実験した結果,10sec
では短く,30sec以上では繊維が膨潤しはじめるた
めに,マンナン繊維は部分的な弱点をもつことが分かっ
た。加えて,蒸留水による短時間の水洗後,ボビン上に
巻き取った状態のままで乾燥させた場合には,マンナン
繊維の長さ方向の収縮率が大きいために,繊維の切断が
起こり,長く連続した繊維を得ることは困難であった。
さらに,乾燥時においてマンナン繊維に付着していた水
分・蒸留水は,蒸発するまでの間にマンナン繊維上で水
滴様となり,繊維を膨潤させるために付着部分が弱点と
なっていた。
【0020】実施例3 紡糸したマンナン繊維に対する乾燥時間の短縮化を図る
ために,アルコール(メタノール)で水洗することを検
討した。その結果,意外にも,蒸留水による水洗時にみ
られたマンナン繊維の部分的な弱点は発生しないことが
分かった。また,メタノールでの水洗時間を30sec
から5minと変化させた場合でも,水洗時間に依存せ
ずに,マンナン繊維が形態的に安定していた。さらに,
ボビン上に巻き取った状態で乾燥させた場合でも,蒸留
水の場合と比較して,マンナン繊維の収縮率が小さく,
繊維は切断することなく,連続した長い繊維を安定的に
得ることができた。それらの物性に関する一例を次表に
示す。
【0021】実施例4 アルカリ凝固液中に紡糸されたゲル化物に対して,巻取
速度の調製,あるいは延伸比を制御することにより,太
さの異なるマンナン繊維も作製できた。加えて,紡糸用
ノズルを模倣した注射器の先端部を平らに加工したり,
あるいはその他の適当な部品を先端部に装着したりする
ことで,容易に厚さと幅が異なるリボン状,あるいはテ
ープ状をしたマンナンシートの作製にも成功した。
【0022】実施例5 上述した方法で得られた全てのマンナン繊維は,銅イオ
ンの影響により,青色,あるいは水色を呈している。し
かし,濃度20〜30%の希硫酸溶液で処理・乾燥する
ことにより,一般的な化学繊維やフィルムと同様に,ほ
ぼ無色透明なマンナン繊維,およびシートが簡便かつ安
定的に製造できた。また,これらの繊維やシートを複数
本引き揃えることにより,マンナン繊維やシートの集合
体を作製することにも成功した。
【0023】実施例6 一方,他種の天然セルロース系材料であるケナフや根曲
り竹,孟宗竹等を原材料とするそれぞれの微粉末に対し
て,上述した製造方法を用いることにより,それぞれの
再生繊維を簡単に製造することさえできた。また,グル
コマンナンとデンプンを主成分とした飛び粉,あるいは
グルコマンナンとセルロース系材料,またはシルクとの
均一混合紡糸液からでも,本製造方法を用いることによ
り,それぞれに特徴的なハイブリッド・マンナン,およ
びハイブリッド・シートが簡便かつ安定的に作製でき
た。それらの物性に関する一例を次表に示す。
【0024】実施例7 さらに,グルコマンナンと他種材料の紡糸液を混合する
ことなく,分離した状態でそれぞれに作製した後,適当
な同一ノズルを用いて紡糸した場合には,両材料をサイ
ド・バイ・サイド型に組み合わせたハイブリッド・マン
ナン,あるいはシース・コア型に組み合わせたハイブリ
ッド・マンナンが作製できた。
【0025】実施例8 これらのマンナン繊維,およびハイブリッド・マンナン
を使用するとともに,リング精紡機やカバリング機など
の様々な繊維機械を援用することによって,多種類の短
繊維束やフィラメント糸を,均一混合,相あるいは層状
に組み合わせたハイブリッド・マンナンを製造できた。
【0026】実施例9 上述した全てのマンナン繊維やハイブリッド・マンナ
ン,あるいは繊維集合体を経糸,あるいは緯糸に用いた
編織製品などを製造することも可能であった。
【0027】本発明の製造方法,およびマンナン繊維と
ハイブリッド・マンナンは,グルコマンナンと異種類の
天然資源,すなわちデンプンやセルロース系材料を使用
するものであり,あらゆる繊維材料に対して,応用する
ことが可能であり,その組み合わせによっては,独特の
外観と構造,風合い,機能性をもつ広範囲な環境適合型
材料として,新規マンナン繊維,ハイブリッド・マンナ
ン,ならびに繊維製品などが安定的にかつ安価に製造で
きる。すなわち,産業廃棄物の有効利用や地球の環境問
題に対する改善に役立つだけではなく,快適な繊維製品
が保有すべき性能,たとえば皮膚に対する安全性や低刺
激性からは,子供服や肌着,ランジェリーなどの製品と
して,さらに加えて保水性を必要とする赤ちゃん用の紙
おむつや生理用品などが製造できる。また,土中に埋め
ることを考えて,生分解性や保水性が求められるときに
は,農・産業用の寒冷紗やシート材,あるいは鉢植え等
の植物栽培や砂漠の緑化などにも役立つ,球状やシート
状などのマンナン基布やマンナン資材が多様かつ広範囲
に製造できる。
【0028】さらに,各種繊維の集合体を芯糸や鞘糸と
して,化学繊維や金属繊維,あるいは天然繊維等の多種
な糸を目的に応じて組み合わせた新規ハイブリッド・マ
ンナン,たとえば金属繊維を芯糸としてマンナン繊維と
一緒に撚り合わせた電磁波防止用ハイブリッド・マンナ
ン,および炭素繊維と組み合わせた特殊なハイブリッド
・マンナンなども製造できる。
【効果】本発明によれば,天然の材料であるコンニャク
薯を原料とするコンニャク粉,あるいはグルコマンナン
を使用した新規マンナン繊維,およびマンナンシートが
作製できるだけではなく,コンニャクの製造過程におい
て大量に発生する産業廃棄物としての飛び粉や高頻度に
栽培されているケナフ材,あるいは各地域において公害
となっている孟宗竹などとの組み合わせを考えることに
より,天然資源(バイオマス)の有効利用による人と地
球にやさしい生体・環境適合型材料の創製も展望でき,
しかも独特の外観や風合い,機能性などを特徴とする新
規ハイブリッド・マンナン,ならびにそれらの繊維製品
や農・産業用資材が安定的かつ安価に製造できる。
【0029】
【図面の簡単な説明】
第1図,および第2図は,本発明のマンナン繊維横断面
電子顕微鏡写真の一例である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンニャクの製造工程中で得られる飛
    粉から特等粉までのコンニャク粉などのグルコマンナン
    類を主成分とした2.0×10−2(N/tex)以上
    の強力を有するマンナン繊維,マンナンシート,または
    ハイブリッド・マンナン。
  2. 【請求項2】 コンニャクの製造工程中で得られる飛
    粉から特等粉までのコンニャク粉などのグルコマンナン
    類,およびセルロース系材料を主成分としたマンナン繊
    維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナン。
  3. 【請求項3】 コンニャクの製造工程中で得られる飛
    粉から特等粉までのコンニャク粉などのグルコマンナン
    類に,ケナフや孟宗竹および/またはシルクを含むマン
    ナン繊維,マンナンシート,またはハイブリッド・マン
    ナン。
  4. 【請求項4】 グルコマンナン類を含む原料を,銅ア
    ンモニア,および水酸化銅などの銅イオンをもつ溶液で
    処理することにより得られたマンナン繊維,マンナンシ
    ート,またはハイブリッド・マンナン。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載のマンナン繊維,
    マンナンシート,またはハイブリッド・マンナンを使用
    した,マンナン繊維,マンナンシート,またはハイブリ
    ッド・マンナンの集合体、または被覆材料。
  6. 【請求項6】 グルコマンナン類を含む原料を,銅イ
    オンをもつ溶液と反応・溶解させることによって,曳糸
    性を得た後,水酸化ナトリウムなどのアルカリ凝固液中
    で紡糸,または製膜することを特徴とするマンナン繊
    維,マンナンシート,またはハイブリッド・マンナンの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ凝固液中で紡糸,または製膜
    した後,必要に応じて,メタノールなどのアルコール類
    で水洗・乾燥,ならびに希硫酸などの酸性溶液で処理・
    乾燥することによって強力と透明性を得ることを特徴と
    する,請求項5記載の,マンナン繊維,マンナンシー
    ト,またはハイブリッド・マンナンの製造方法。
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