JP2003253254A - 酸化物半導体超微粒子からなる発光層構造物 - Google Patents

酸化物半導体超微粒子からなる発光層構造物

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JP2003253254A JP2002054261A JP2002054261A JP2003253254A JP 2003253254 A JP2003253254 A JP 2003253254A JP 2002054261 A JP2002054261 A JP 2002054261A JP 2002054261 A JP2002054261 A JP 2002054261A JP 2003253254 A JP2003253254 A JP 2003253254A
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Hiroshi Fujii
央 藤井
Hiroyuki Hirai
博幸 平井
Shigeru Nakamura
茂 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素材安全性や酸化安定性に優れ、高温焼成が
不要の室温発光が可能な粒子を用いてデバイス化し易い
形状の発光層構造物を提供する。 【解決手段】 平均粒径が1nm〜10 nmの酸化物半導体
超微粒子からなる少なくとも1層の薄膜層を有する発光
層を有し、前記発光層が100℃以上の温度でアニールす
ることなく250 nm〜800 nm領域の光励起による発光可能
な発光層構造物。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物半導体超微
粒子の発光層構造物に関し、特に酸化安定性が高く、薄
膜化後高温でアニールすることなく発光する発光層構造
物に関する。 【0002】 【従来の技術】超微粒子発光物の薄膜素子としては、無
機発光材料であるCdSeナノ粒子を用いた電荷注入型直流
駆動素子(H. Mattoussi et al, J. Appl. Phys., Vol.
83 (12), 7965 (1998)等)が報告されているが、この
材料は人体及び環境両面に有害であり、安全な材料を用
いた素子の開発が要望されている。またZnS等の硫化物
ナノ粒子をポリマーマトリックス中に分散し、薄膜化し
た直流駆動素子は、ThinSolid Film 327-329 (1998), 5
36-540に記載されている。しかし硫化物は比較的酸化さ
れ易く、特にナノサイズ粒子の表面活性の高さにより実
用上安定性に問題がある。 【0003】そこで比較的安定な酸化物半導体を用いた
発光材料が望まれている。例えばエレクトロルミネッセ
ンスの材料であれば、蒸着法やスパッタリング法で薄膜
化した素子が近年作られるようになってきた。しかしこ
の薄膜形成では数百度以上の高温焼成が必要であり、プ
ラスチック基板等でのデバイス化が困難である。 【0004】高温焼成せずにフォトルミネッセンスの発
光が得られるものとしては、ZnOのナノ粒子を用いる方
法が知られている。例えばJ. Am. Chem. Soc., 133
(8), 2826 (1991)には、3nm付近のサイズで、紫外線励
起による520 nmに発光ピークを有するナノ粒子が得られ
ることが記載されている。しかし一般に合成段階で形成
された低濃度のコロイド状態での発光は比較的容易に得
られるが、このままでは実用的なデバイス化は困難であ
る。反応液中には反応残渣や各種塩類が混在しており、
これらの除去も重要である。またこれらの粒子を凝集沈
降させ、ポリマー等で分散させて薄膜化することも考え
られるが、凝集物はナノ構造にまでほぐすことはほとん
ど困難であり、発光効率の向上や励起発光のブルーシフ
トといった本来のナノサイズ効果が得られにくくなる。 【0005】またナノサイズの酸化物半導体超微粒子を
用いたエレクトロルミネッセンスの発光はほとんど知ら
れておらずその特性は明確でない。一般にフォトルミネ
ッセンスの発光効率を上げる方法として、蛍光体をナノ
サイズ化する方法が検討されている。たとえば、「月間
ディスプレー」9月号(2001),69〜75頁には、蛍光体
をナノ粒子化することにより発光中心の内殻電子軌道と
母体材料の励起子波動関数の重なりが大きくなり、母体
材料から発光中心への効率的なエネルギー伝達が行われ
るために、発光効率が増大することが報告されている。
しかしながら、発光中心(希土類等の付活剤)をドープ
していない酸化物半導体のサイズ効果やエレクトロルミ
ネッセンスの特性は分かっていないのが実情である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、安全性や酸化安定性に優れ、高温焼成が不要で室温
発光が可能な粒子を含有するデバイス化がしやすい形状
の発光層構造物を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の発光
層構造物は、平均粒径が1nm〜10 nmの酸化物半導体超
微粒子からなる少なくとも1層の薄膜層を有する発光層
を有し、100℃以上の温度でアニールすることなく250 n
m〜800 nm領域の光励起による発光が可能であることを
特徴とする。 【0008】本発明の実施態様として、以下のものが挙
げられる。 (1) 前記粒子薄膜層が、酸化物半導体超微粒子のコロイ
ド物をコーティングした厚さ5nm〜500 nmの層であり、
前記酸化物半導体超微粒子の含有率が65%以上である発
光層構造物。 【0009】(2) 前記酸化物半導体超微粒子が、周期律
表のIb〜Vb族、IIIa〜VIIa族及びVIII族でd軌道を有す
る元素から選ばれた元素の酸化物からなり、前記酸化物
半導体超微粒子薄膜層の厚さが100 nmのときに、400 nm
〜750 nmにおける光透過率が60%以上である発光層構造
物。 【0010】 【発明の実施の形態】[1] 酸化物半導体超微粒子 酸化物半導体は、蒸着やスパッタリングで薄膜構造にし
ても、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセ
ンスで発光することは一部の場合を除いてほとんどな
い。希土類等の発光中心や不純物の導入と数百度以上の
焼成によって、始めてフォトルミネッセンス発光するの
が大半である。 【0011】本発明者は、上記酸化物半導体を1nm〜10
nmの超微粒子にすることにより、多くの酸化物半導体
が発光中心がなく、かつ高温焼成していないにもかかわ
らず室温で発光することを見出し、これらを薄膜構造に
することによりデバイス化しやすく、また発光効率の高
い状態が得られることを発見した。 【0012】例えば発光層構造物の基板にポリエチレン
やポリエチレンテレフタレートのシートを用いた場合、
100℃以上のアニールをすることは基板の安定性上困難
である。本発明は、これらのポリマー基板上でも安定し
た性能を得ることができる発光層構造物を提供する。 【0013】酸化物半導体超微粒子は、平均粒径が1nm
未満であると、原子数が数十個以下のクラスターとな
り、かえって安定性が低下し、取り扱い性が悪くなる。
逆に10nmより大きい場合は発光効率が低下し、半導体の
種類によっては発光しなくなることがある。各粒子は結
晶構造を有する場合とアモルファス構造を有する場合が
あり、またその中間的な構造になることもある。酸化物
半導体超微粒子の結晶状態はX線回折や電子線回折によ
り分析することができる。 【0014】本発明の酸化物半導体超微粒子は、例えば
周期律表のIb〜Vb族、IIIa〜VIIa族及びVIII族でd軌道
を有する元素の酸化物からなるのが好ましい。かかる元
素の具体例としては、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、S
b、Bi、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Ru、Ir、及
びランタノイド元素等が挙げられる。またこのような元
素の酸化物半導体の具体例としては、ZnO、Ga2O3、In2O
3、ZrO2、HfO2、GeO 2、SnO2、RuO2、Ir2O3、Y2O3、Eu2O
3等が挙げられる。これらの酸化物はコロイド状態で塗
布やコーティング操作するのが好ましいが、2種類以上
のコロイドを混合して使用することができる。更にこれ
らの元素を2種以上使用した複合酸化物であっても良
い。特に発光波長の制御に組成のブレンドは効果的であ
り、用途に合わせて調節するのが好ましい。 【0015】更にこれらの酸化物半導体超微粒子に表面
修飾やバインダー被覆を行うのが好ましい。これらの素
材としては、例えばカルボン酸やホスホン酸の化合物、
ポリアクリル酸化合物、アミン系化合物、ポリビニルカ
ルバゾールやポリフェニレンビニレン等のポリマーが挙
げられる。また有機高分子化合物マトリックス中に本発
明の酸化物半導体超微粒子を埋め込んだり、シリカ等の
酸化ケイ素化合物で被覆しても良い。またポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタ
ジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹
脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステ
ル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を必要に応
じて使用することができる。 【0016】[2] 酸化物半導体超微粒子薄膜層 酸化物半導体超微粒子は薄膜層に構成することで、より
効果的に発光を促すことができる。特にサイズ効果を維
持したまま薄膜化するために、凝集体を分散するよりも
コロイド状態で塗布又はコーティングするのが好まし
い。これは、エレクトロルミネッセンス用薄膜層を構成
する場合、凝集物による短絡や経時劣化を防ぐために重
要である。 【0017】本発明では、酸化物半導体超微粒子が薄膜
状に形成されていることが重要である。薄膜層の厚さは
5nm〜500 nmの範囲が好ましく、8nm〜300 nmがより好
ましく、10 nm〜200 nmが最も好ましい。薄膜層が5nm
より薄いと発光強度が小さくなったり、エレクトロルミ
ネッセンスの場合は電気的な短絡が発生しやすい。逆に
薄膜層が500 nmより厚すぎると発光効率が低下したり、
エレクトロルミネッセンスに適用した場合は電気的な抵
抗が高すぎ、過剰な電圧を必要としたり、局部的な短絡
を引き起こし、発光素子を破壊したりする危険がある。 【0018】薄膜中の酸化物半導体超微粒子の含有率は
65%以上が好ましい。酸化物半導体超微粒子の含有率が
小さいと十分な発光輝度が得られなかったり、バインダ
ーによる電気的な特性劣化が起こりやすくなる。酸化物
半導体超微粒子の含有率は最大で100%まで可能であ
る。酸化物半導体超微粒子の最適な含有率は酸化物半導
体の種類によって異なり、それぞれにおいて調節するの
が好ましい。 【0019】本発明の薄膜は透明性の高い膜とすること
が可能である。例えば各種デバイスに応用する場合、酸
化物半導体超微粒子の薄膜層(厚さ100 nm)の400 nm〜
750nmにおける光透過率は60%以上であるのが好まし
い。このように高い光透過率は、酸化物半導体超微粒子
の平均粒径が本発明の範囲内である1nm〜10 nmのとき
に達成可能である。透明性の調節はバインダーやマスク
的な機能層を付加することにより可能であるが、上記波
長範囲の透過率が60%以上となるように調節することに
より、発光波長の制御がしやすく、機能的な薄膜にしや
すいのでより好ましい。 【0020】またコロイドの凝集状態によっても光透過
率が影響を受ける。凝集した塗布層は光透過率が低下す
るばかりでなくフォトルミネッセンスやエレクトロルミ
ネッセンスの発光輝度が低下することが分かった。すな
わち光透過率は発光性の一つの指標となることがわか
る。 【0021】[3] 発光層構造物 本発明の発光層構造物は、それ自体でエレクトロルミネ
ッセンス発光するものでなく、必要に応じて絶縁層や誘
電体層及び両側に電極層を設けて素子として機能するも
のを言う。フォトルミネッセンス発光の場合は、この発
光層構造物に紫外光〜可視光領域の照射を行うことで発
光させることができる。 【0022】本発明において、発光層を形成するための
基板材料として、例えば、YSZ(ジルコニア安定化イッ
トリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、
アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシ
クロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリ
フルオロエチレン)、テフロン(登録商標)、ポリテト
ラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子
材料等が挙げられる。なかでもフレキシブルな発光素子
や塗布型発光素子の場合には、高分子材料であるのが好
ましい。 【0023】高分子材料のなかでも、酸素透過性、透明
性、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工
性、ガスバリア性(低透気性、低透湿性)等の観点か
ら、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルス
ルホン、又はポリ(クロロトリフルオロエチレン)、テ
フロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポ
リエチレン共重合体等のフッ素原子を含む高分子材料で
あるのが好ましい。 【0024】基板の表面又は裏面に透湿防止性を有する
ガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層の材
料としては、窒化珪素、酸化珪素等の無機物が好適であ
る。ガスバリア層は、例えば高周波スパッタリング法等
により形成することができる。さらに必要に応じて、基
板にハードコート層、アンダーコート層等を設けてもよ
い。 【0025】本発明の発光層構造物は、例えば照明用や
表示用材料として応用が可能である。構成元素の特性に
応じて、室内照明、表示のバックライト、標識用発光材
料等選択が可能である。本発明の発光層は250 nmの紫外
光〜800 nmの可視光領域の光励起による発光が可能であ
り、例えば現在普及している蛍光灯のように水銀から発
せられる紫外線を励起光として発光させること等が可能
である。その他、カソードルミネッセンスで知られるよ
うに電子線を照射して発光させることも可能である。ま
たフィールドエミッションディスプレイやプラズマディ
スプレー用の発光層として使用することも可能である。
いずれの場合も発光層としてナノ粒子を均一配置するこ
とが好ましく、特に5nm〜1μmの厚さで形成するのが
好ましい。 【0026】本発明において発光層構造物をエレクトロ
ルミネッセンス用の発光素子に組み込む場合、種々の層
構成が考えられるが、例えば、透明電極/発光層/背面
電極、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明
電極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/背面電極、透
明電極/正孔輸送層/発光層/背面電極、透明電極/導
電性ポリマー層/発光層/背面電極、透明電極/導電性
ポリマー層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極
/導電性ポリマー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層
/背面電極等が挙げられる。基板は透明電極側でも背面
電極側でもよい。 【0027】正孔輸送層等に使用できる正孔輸送材とし
ては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキ
サゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾー
ル誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘
導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、
アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、ス
チリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒド
ラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳
香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族
ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシ
ラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、
アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオ
フェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘
導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン
誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙
げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種
以上を併用してもよい。 【0028】正孔輸送層の厚さは10〜200 nmが好まし
く、20〜80 nmがより好ましい。正孔輸送層の厚さが200
nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、また10
nm未満であると発光素子が短絡することがある。 【0029】電子輸送層等に使用できる電子輸送材とし
ては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキ
サジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキ
ノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノ
ン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミ
ド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリル
ピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラ
カルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノ
ール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾ
オキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯
体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チ
オフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子
オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘
導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン
誘導体等の高分子化合物が挙げられる。 【0030】電子輸送層の厚さは10〜200 nmが好まし
く、20〜80 nmがより好ましい。電子輸送層の厚さが200
nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、また10
nm未満であると発光素子が短絡することがある。 【0031】本発明の発光層構造物を例えばエレクトロ
ルミネッセンスに用いる場合、その透明電極としては、
例えば金属、合金、金属酸化物等が好適であり、特に仕
事関数が4.0 eV以上の材料が好ましい。具体例として
は、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、F
TO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジ
ウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性
金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さら
にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層
物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、及びこれら
とITOとの積層物等が挙げられる。 【0032】背面電極を用いる場合としては、例えば金
属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混
合物等が挙げられ、仕事関数が4.5 eV以下のものが好ま
しい。具体例としては、アルカリ金属(例えばLi、Na、
K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合
金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合
金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙
げられる。これらは単独で使用してもよいが、安定性及
び電子注入性を両立させるために2種以上を併用するの
が好ましい。 【0033】なかでも電子注入性の点ではアルカリ金属
及びアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる
点ではアルミニウムを主体とする材料が好ましい。ここ
でアルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単
独、又はアルミニウムと0.01〜10重量%のアルカリ金属
又はアルカリ土類金属との合金(例えばリチウム−アル
ミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金等)を
いう。 【0034】背面電極は透明でも不透明でもよい。なお
透明な背面電極は、上記背面電極材料を1〜10 nmの厚
さに薄く製膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を
積層することにより形成することができる。 【0035】 【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらにより限定されるものではな
い。なお以下の例において、膜厚は特に断りがなければ
乾燥膜厚を意味するものとする。 【0036】実施例1 酢酸亜鉛100 mmolを脱水エタノール600 mlに溶解し、80
℃で3時間還流した。その後脱水エタノールを600 ml添
加し、氷冷後140 mmolの水酸化リチウムを添加した。約
1時間攪拌して、平均粒径が約3.5 nmのZnO超微粒子を
コロイド状態で得た。限外ろ過器を用いて脱塩処理し、
約5倍に濃縮した。 【0037】溶媒及びアルカリ種を調整することによ
り、平均粒径がそれぞれ約0.9 nm及び約5nmのZnOコロ
イドを作製した。平均粒径5nmのZnOコロイドについて
は、更に限外ろ過で濃縮凝縮した後、ピリジンを加えて
還流することにより、平均粒径12nmの超微粒子とした。
なお平均粒径はX線回折ピークの線幅から求めた。超音
波を用いて、この超微粒子をシクロヘキサノールに分散
させ、コロイド溶液とした。 【0038】得られたZnOコロイドを石英基板上に約30
nmの厚さにスピンコートした。また表面にITO薄膜を形
成したガラス基板上にポリビニルカルバゾール(PVK)
のジクロロエタン溶液をスピンコートして、約80 nmの
層を形成し、その上に上記ZnOコロイドを約30 nmの厚さ
にスピンコートし、さらにその上に約200 nmのアルミニ
ウム電極を蒸着により形成した。 【0039】比較用にZnOのターゲットを用いて、それ
ぞれ石英基板及びPVKを塗布したITOガラス基板上にスパ
ッタリングして約50 nmの薄膜を形成した。約500℃で3
時間のアニーリングを行い、サンプル8を得た。得られ
たサンプル8について、X線回折によりZnOの結晶構造
を確認した。ITOガラス基板を用いたサンプルには蒸着
により200 nm厚さのアルミニウム電極を布設した。更に
比較用に上記平均粒径3.5 nmのZnOコロイドを石英基板
に塗布後、80℃、120℃及び500℃の各温度で1時間のア
ニールを行った。 【0040】発光層構造物のサンプル1〜8を下記表1
に示す。各サンプルにおいて、石英基板を使用したもの
はフォトルミネッセンスの評価用であり、ITOガラス基
板を使用したものはエレクトロルミネッセンスの評価用
である。 【0041】 【表1】 【0042】石英基板上に塗布及びスパッタしたサンプ
ルに対して、分光光度計により光吸収の測定を行ったと
ころ、ZnOコロイドを塗布した石英基板は350 nm付近か
らのバンド端吸収が確認された。次に300 nmの励起光を
使って蛍光スペクトルを確認したところ、ZnOコロイド
を塗布した石英基板のサンプルNo. 1〜6からは550 nm
付近にピークを有する蛍光が確認されたが、平均粒径が
12 nmの粒子の石英基板のサンプルNo. 4は平均粒径が
3.5 nmのZnOコロイド塗布した石英基板のサンプルNo.
2に比べて、蛍光強度が1/2以下であった。また平均
粒径が0.9 nmのZnOコロイド塗布した石英基板のサンプ
ルNo. 1の蛍光は分光吸収特性同様のブルーシフトが確
認されたが、蛍光強度はかえって低いことが分かった。 【0043】石英基板をアニールした場合、アニール温
度が80℃の石英基板のサンプルNo.5ではアニールなし
の石英基板のサンプルNo. 2と同等の発光強度が得れた
が、アニール温度が120℃の石英基板のサンプルNo. 6
では発光強度が1/2以下になり、アニール温度が500
℃の石英基板のサンプルNo. 7では全く発光が得られな
かった。またスパッタで作製したZnO膜を有する石英基
板のサンプルNo. 8からは可視領域に発光が見られなか
った。 【0044】次にITOガラス基板上にそれぞれコロイド
膜及びスパッタ膜を形成したものにアルミニウム蒸着を
行い、発光素子を得た。各発光素子について、ITO電極
側を陽極にして、0V〜30 Vの各電圧で電流及び発光特
性を調べた。その結果、ZnOコロイド膜のサンプルNo.
1〜4からは550 nm付近にピークを持つ発光が得られ
た。ただし、ZnO粒子の平均粒径が3.5 nmや5.0 nmのサ
ンプルは平均粒径が0.9 nmのサンプル及び12 nmの素子
に比べ、発光効率が20%以上高かった。一方、スパッタ
膜のサンプルNo. 8からは発光が得られなかった。 【0045】実施例2 実施例1の原料である酢酸亜鉛の代わりに塩化ガリウム
を用い、水酸化リチウムの代わりに水を添加することに
より、平均粒径が約2.2 nmのGa2O3のコロイドを得た。
上記コロイドをポリアクリル酸を用いて分散し、実施例
1と同様に石英基板及びITOガラス基板上にスピンコー
トし、アニールすることなくフォトルミネッセンス(蛍
光スペクトル)の評価(石英基板のサンプル)及びエレ
クトロルミネッセンスの発光評価(ITOガラス基板のサ
ンプル)を行った。発光層の厚さはスピンコートの回転
数と塗布回数の増減により変更した。 【0046】比較用に、石英基板上にスパッタリングに
よりGa2O3の薄膜を形成した。スパッタ膜の厚さは、ス
パッタリングの時間を調節することにより上記塗布の厚
さに合うように制御した。更にスパッタリング後1100℃
で2時間のアニーリングを行ったサンプルも作製した。 【0047】それぞれの結果を表1に示す。表1から明
らかなように、蛍光スペクトルについては、コロイド膜
及び1100℃で2時間アニールしたスパッタ膜のみに約41
0 nm付近にピークを持つ蛍光が得られた(サンプルNo.
12〜18)。また塗布厚さが本発明の好ましい500 nm以下
の範囲において、良好な結果が得られることが分かった
(サンプルNo. 13,14対サンプルNo. 15を参照)。更
に、発光層の厚さが500nm以下で、かつGa2O3の薄膜中の
含有率が60質量%以上の場合、顕著に良好な性能が得ら
れることが分かる。一方、本発明の粒子径を有さないス
パッタ膜の場合(サンプルNo. 12)、1100℃でアニールし
て初めてフォトルミネッセンス発光することが分かる。 【0048】実施例1と同様にエレクトロルミネッセン
スの発光評価を行ったところ、コロイド膜の素子のみに
発光が得られ、またコロイド膜中のGa2O3の含有率が60
質量%以上の場合に、特に良好な結果が得られることが
分かった。すなわち、本発明の構成にすればアニールす
ることなく発光が得られ、また上記の好ましい形態にす
ることで、より発光強度の高いデバイスが得られること
が分かる。 【0049】 【表2】 【0050】実施例3 実施例1で作製した平均粒径3.5 nmのコロイドを限外ろ
過法により濃縮度を変更し、3日間放置することによ
り、種々の程度に白濁化させたコロイドを作製した。石
英基板にこれらの白濁化したコロイドを厚さ100 nmに塗
布し、光透過性及び蛍光特性を評価した。その結果、40
0 nm〜750 nm領域での光透過性が60%未満の塗布サンプ
ルの蛍光強度は、光透過性が60%以上の塗布サンプルに
比べ、30%以上低いことが分かった。 【0051】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の発光層構
造物は平均粒径が1nm〜10 nmの酸化物半導体超微粒子
からなる少なくとも1層の薄膜層を有するので、素材安
全性や酸化安定性に優れ、高温焼成が不要である。この
ような特徴を有する本発明の発光層構造物は、フォトル
ミネッセンスやエレクトロルミネッセンス等の発光体と
して、デバイス化が容易である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 H05B 33/14 Z (72)発明者 中村 茂 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB12 AB18 DA01 DA04 FA03 4H001 CA02 XA08 XA30 XA31

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均粒径が1nm〜10 nmの酸化物半導体
    超微粒子からなる少なくとも1層の薄膜層を有する発光
    層を有し、前記発光層が100℃以上の温度でアニールす
    ることなく250 nm〜800 nm領域の光励起により発光可能
    であることを特徴とする発光層構造物。
JP2002054261A 2002-02-28 2002-02-28 酸化物半導体超微粒子からなる発光層構造物 Pending JP2003253254A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007180446A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Kri Inc 電界発光素子
JP2007530793A (ja) * 2004-03-31 2007-11-01 シュトゥディエンゲゼルシャフト・コーレ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 酸化イリジウムコーティングの製造方法。
JP2008547195A (ja) * 2005-06-16 2008-12-25 イーストマン コダック カンパニー 亜鉛酸化物をベースとした半導体材料を含む薄膜トランジスタ
US9064693B2 (en) 2010-03-01 2015-06-23 Kirsteen Mgmt. Group Llc Deposition of thin film dielectrics and light emitting nano-layer structures

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