JP2003253178A - 顔料系インクジェット用インクとその製造方法及び画像形成方法 - Google Patents

顔料系インクジェット用インクとその製造方法及び画像形成方法

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JP2003253178A
JP2003253178A JP2002340813A JP2002340813A JP2003253178A JP 2003253178 A JP2003253178 A JP 2003253178A JP 2002340813 A JP2002340813 A JP 2002340813A JP 2002340813 A JP2002340813 A JP 2002340813A JP 2003253178 A JP2003253178 A JP 2003253178A
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inkjet ink
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Keiji Taniguchi
圭司 谷口
Shigeo Hatada
茂雄 旗田
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温保存時においてpH値の変動が少なく安
定性が優れ、インクジェット方式のプリンターで印字す
る際、吐出安定性が良好な状態で画像形成ができる顔料
系インクジェット用インクの製造方法及び該インクを用
いた画像形成方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも顔料と水とを含有する顔料分
散液を組成分として有する顔料系インクジェット用イン
ク調合液に塩基性物質を添加後、加熱処理して所定のp
H値とするか、又は顔料分散液に塩基性物質を添加後、
加熱処理して所定のpH値とし、次いで水及び/又は水
溶性有機溶剤と混合して顔料系インクジェット用インク
を製造する。該インクをインクジェット方式の画像形成
に用いることにより、インクジェットプリンター部材の
金属腐食などの心配がなくなるうえ、該プリンターのノ
ズルの目詰まりを起さず、鮮明な画像を形成することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、pH値の安定性に
優れた顔料系インクジェット用インクとその製造方法、
及びこのインクを用いた画像形成方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録方式に用いる
インクとしては、各種の水溶性染料を水単体もしくは水
と水溶性溶剤からなる溶媒中に溶解し、必要に応じて各
種添加剤を添加したものが主流であった(例えば下記特
許文献1〜3を参照)。
【0003】しかし、このような染料系インクを用いて
印字を行った場合、被記録材上での記録画像の耐水性が
悪く、水をこぼしたりすると容易に記録部分の染料のに
じみが生ずるという問題や、耐光性が悪いため、記録部
分に光が当ると色調変化や濃度低下が発生するという問
題があった。
【0004】染料系インクの上記問題を改良するため、
着色剤として染料の替りにカーボンブラックや各種有機
顔料を用いた、いわゆる顔料系インクをインクジェット
記録方式に適用する発明が提案されている(下記特許文
献4〜6を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−51485号公報
【特許文献2】特開昭63−56575号公報
【特許文献3】特開平1−198671号公報
【特許文献4】特開昭57−10660号公報
【特許文献5】特開昭57−10661号公報
【特許文献6】特開平2−255875号公報
【0006】顔料系インクを用いて印字を行った場合、
被記録材上で乾燥したインクは着色剤が顔料であるた
め、水がかかっても染料のように溶解してにじみが発生
することはなく、耐水性が良好である。また、顔料は染
料に比較して光に対する反応性が低いため、顔料系イン
クの耐光性は染料系インクに較べ優れている。このよう
な顔料系インクは一般に、顔料と液媒体と分散剤よりな
る混合物をボールミル、サンドミル等の分散機で分散処
理を行い製造した顔料分散液に必要に応じて各種添加剤
を添加して製造するが、インクジェット記録用インクに
使用する顔料分散液は印刷装置(インクジェットプリン
ター)のノズル詰まり防止、印字画像の鮮明性、2次色
再現性、透明性確保のため、通常200nm以下の粒子
径レベルまで顔料分散液中の顔料粒子を微粒子化分散す
る必要がある。
【0007】また、近年顔料表面に水中での解離性を有
する特定の官能基を化学結合させた、いわゆる分散剤を
必要としない自己分散型顔料が実用化されている。この
ような自己分散型顔料は、例えば−COONa、−SO
3 Naのような特定の官能基が顔料表面に所定量化学結
合しているため、水中で解離したこれら顔料表面官能基
の静電反発力により、分散剤が存在しなくても水中で安
定に分散しているものである。自己分散型の顔料として
は、カーボンブラックの他、イエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)のカラー顔料(例えば、Yではピ
グメントイエロー74、Mではピグメントレッド12
2、Cではピグメントブルー15:4等)が適用され
る。
【0008】しかしながら、従来の分散剤分散型の顔料
分散液を使用した顔料系インクジェット用インクにおい
ても、自己分散型顔料よりなる顔料分散液を使用した顔
料系インクジェット用インクにおいても、特に70℃程
度の高温で密閉保存した場合、pH値の変動、すなわち
低下幅が大きいという欠点があった。インクの初期のp
H値からの低下幅が大きいと、例えば初期インクのpH
値に適合するように選択されているインクに接触するイ
ンクジェットプリンターの金属部材が溶出したり、腐食
したりする等の問題が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点に鑑みてなされたもので、顔料系インクジェッ
ト用インクの保存時、特に高温保存時においてpH値の
変動が少なく安定性の優れたインクの製造方法と該製造
方法を用いて製造したインクジェット用インクを提供す
るとともに、該インクを用いて吐出安定性の良好な状態
でインクジェット方式のプリンターで印字する画像形成
方法を提供することを目的とする。、
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る顔料系インクジェット用インクは、少
なくとも顔料と水とを含有する顔料分散液を組成分とし
て有する顔料系インクジェット用インクの顔料分散液、
又は該分散液に水及び/又は水溶性有機溶剤を混合した
顔料系インクジェット用インク調合液に塩基性物質を添
加後、加熱処理してpH値を制御することにより、高温
保存時においてもpH値の変動を少なくし、長期保存安
定性を向上させたものである。以下本発明について説明
する。
【0011】請求項1の発明は、少なくとも顔料と水と
を含有する顔料分散液を組成分として有する顔料系イン
クジェット用インク調合液に塩基性物質を添加後、加熱
処理して所定のpH値にし、顔料系インクジェット用イ
ンクを製造することを特徴とする顔料系インクジェット
用インクの製造方法である。
【0012】請求項2の発明は、少なくとも顔料と水と
を含有する顔料分散液に塩基性物質を添加後、加熱処理
して所定のpH値にし、次いで水及び/又は水溶性有機
溶剤と混合して顔料系インクジェット用インクを製造す
ることを特徴とする顔料系インクジェット用インクの製
造方法である。
【0013】請求項1又は2の発明では顔料分散液、又
は顔料系インクジェット用インク調合液に塩基性物質を
添加後、加熱処理を施しpH値を制御することにより、
顔料表面に吸着した酸性物質が中和され長時間高温保存
してもpH値の変動が少なく、安定性が向上した顔料系
インクジェット用インクの製造方法が提供される。
【0014】請求項3の発明は、前記顔料分散液中の顔
料濃度が5重量%以上、30重量%以下であることを特
徴とする請求項1又は2記載の顔料系インクジェット用
インクの製造方法である。
【0015】請求項3によれば、生産性を良好に維持す
るとともに、分散液の高粘度化を抑制して分散性を適性
に保つた顔料系インクジェット用インクの製造方法が提
供される。
【0016】請求項4の発明は、前記顔料系インクジェ
ット用インク中の顔料濃度が1重量%以上、20重量%
以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料
系インクジェット用インクの製造方法である。
【0017】請求項4によれば、画像濃度を鮮明に維持
する他、インクの高粘度化を抑制した顔料系インクジェ
ット用インクの製造方法が提供される。
【0018】請求項5の発明は、前記顔料が少なくとも
カラー顔料あるいはカーボンブラックから選ばれる顔料
であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料系イ
ンクジェット用インクの製造方法である。
【0019】請求項6の発明は、前記顔料が自己分散型
顔料であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料
系インクジェット用インクの製造方法である。
【0020】請求項5、6によれば、各種カラー顔料あ
るいはカーボンブラックが適用できる他、これらの各種
自己分散型顔料にも幅広く応用できる顔料系インクジェ
ット用インクの製造方法が提供される。
【0021】請求項7の発明は、前記塩基性物質が水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選
ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
又は2記載の顔料系インクジェット用インクの製造方法
である。
【0022】請求項8の発明は、前記塩基性物質が塩基
性有機化合物であることを特徴とする請求項1又は2記
載の顔料系インクジェット用インクの製造方法である。
【0023】請求項9の発明は、前記塩基性物質を水溶
液の状態で添加することを特徴とする請求項1又は2記
載の顔料系インクジェット用インクの製造方法である。
【0024】請求項7〜9による塩基性物質を用いた加
熱処理製造工程により、顔料表面に吸着した酸性物質の
中和が良好に行われ、pH値の安定した顔料系インクジ
ェット用インクの製造方法が提供される。
【0025】請求項10の発明は、前記加熱処理の温度
が30℃以上、95℃以下であることを特徴とする請求
項1又は2記載の顔料系インクジェット用インクの製造
方法である。
【0026】請求項10によれば、顔料の表面に吸着し
た酸性物質の溶出を適性なものとし、インクの増粘を抑
制した顔料系インクジェット用インクの製造方法が提供
される。
【0027】請求項11の発明は、前記加熱処理後の到
達所定pH値が6.5以上、11以下であることを特徴
とする請求項1又は2記載の顔料系インクジェット用イ
ンクの製造方法である。
【0028】請求項12の発明は、前記顔料系インクジ
ェット用インクの密閉状態における70℃で3週間保存
後のpH値が6.5以上であることを特徴とする請求項
1又は2記載の顔料系インクジェット用インクの製造方
法である。
【0029】請求項13の発明は、前記顔料系インクジ
ェット用インクの密閉状態における70℃で3週間保存
後のpH値が、保存前の90%以上であることを特徴と
する請求項1又は2記載の顔料系インクジェット用イン
クの製造方法である。
【0030】請求項11〜13によるpH値の制御によ
り、金属部材等の腐食を防止した顔料系インクジェット
用インクの製造方法が提供される。
【0031】請求項14の発明は、前記顔料系インクジ
ェット用インク中の顔料の平均粒径が20nm以上、2
00nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記
載の顔料系インクジェット用インクの製造方法である。
【0032】請求項14によれば、顔料の分散性を維持
し、インクジェットプリンターのノズルの目詰まりを防
止した顔料系インクジェット用インクの製造方法が提供
される。
【0033】請求項15の発明は、少なくとも顔料と水
とを含有する顔料分散液を組成分として有する顔料系イ
ンクジェット用インク調合液に塩基性物質を添加後、加
熱処理し所定のpH値にして製造されたことを特徴とす
る顔料系インクジェット用インクである。
【0034】請求項16の発明は、少なくとも顔料と水
とを含有する顔料分散液に塩基性物質を添加後、加熱処
理して所定のpH値にし、次いで水及び/又は水溶性有
機溶剤と混合して製造されたことを特徴とする顔料系イ
ンクジェット用インクである。
【0035】請求項15又は16の顔料分散液、又は顔
料系インクジェット用インク調合液に塩基性物質を添加
後、加熱処理を施しpH値を制御することにより、顔料
の表面に吸着した酸性物質が中和され長時間高温保存し
てもpH値の変動が少なく、安定性が向上した顔料系イ
ンクジェット用インクが提供される。
【0036】請求項17の発明は、請求項15又は16
に記載の顔料系インクジェット用インクを用いてインク
ジェット方式のプリンターで印字することを特徴とする
画像形成方法である。
【0037】請求項17によれば、インクジェットプリ
ンター部材の金属腐食などの心配がなく、またインクジ
ェットプリンターのノズルの目詰まりを起さない鮮明な
画像形成方法が提供される。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
る。従来の顔料系インクジェット用インクにおいて、特
に高温保存時にpH値が低下する原因については、顔料
の1次粒子表面に吸着している酸性不純物等が高温時に
インク中に徐々に溶け出してくるために発生すると考え
られる。一般に、インクジェット用に調整された顔料分
散液中の分散顔料粒子は1次粒子が数個〜数百個集まっ
た平均粒径20nm〜200nm程度の2次粒子となっ
ており、このような2次粒子の内部には多くの1次粒子
表面が内在している。2次粒子内部の1次粒子表面に吸
着している顔料の原料に由来する酸性不純物や、顔料製
造工程で発生する酸性不純物は、インクとの接触が困
難、あるいは接触しているインクの流動が困難であるた
め、通常の状態ではインク中に溶出していくことが起り
にくい状態にある。しかし、インクが高温環境下で、あ
る程度以上の時間保持されるとインク中の水分子の運動
が活発となる結果、これら2次粒子内部まで水分子が侵
入し、通常ではインク中に溶出しない前記酸性不純物を
溶出せしめ、その結果、インクのpH値が低下するもの
と考えられる。
【0039】このことから、顔料系インクジェット用イ
ンクの高温保持におけるpH低下を防止、あるいはpH
値の変動を抑えて低下幅を小さくするためには、インク
中の顔料の1次粒子表面に吸着している酸性不純物を溶
出、中和することが重要な要点である。特に顔料分散
液、又は該顔料分散液に水及び/又は水溶性有機溶剤を
混合した顔料系インクジェット用インク調合液にあらか
じめ塩基性物質を添加して加熱処理を施すことが必要で
あり、この処理によって問題が解決できるとの知見を得
て本発明に至った。すなわち本発明の製造方法は、顔料
系インクジェット用インク調合液に塩基性物質を添加
後、加熱処理して所定のpH値とするか、又は顔料分散
液に塩基性物質を添加後、加熱処理して所定のpH値と
することを基本としている。
【0040】本発明の顔料分散液に使用される顔料は特
に限定されるものではないが、以下に示すものが例示さ
れる。
【0041】黒色用の顔料としては、ファーネスブラッ
ク、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネル
ブラック等のカーボンブラック類、又は銅、鉄、酸化チ
タン等の金属類、あるいはオルトニトロアニリンブラッ
ク等の有機顔料類が挙げられる。
【0042】イエロー顔料としては、ピグメントイエロ
ー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、
ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピ
グメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグ
メントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメ
ントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメン
トイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメント
イエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイ
エロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイ
エロー120、ピグメントイエロー128、ピグメント
イエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメン
トイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメ
ントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグ
メントイエロー180等が挙げられる。
【0043】マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド
5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグ
メントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(M
n)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッ
ド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッ
ド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド
168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド2
02、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0044】シアン顔料としては、ピグメントブルー
1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメ
ントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメン
トブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメント
ブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、
バットブルー60等が挙げられる。
【0045】この他のカラー顔料としては、トルイジン
レッド、パーマネントカーミンFB、ファーストイエロ
ーAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、
ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キ
ナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、ビクトリ
アピュアブルー、アルカリブルートナー、ファーストイ
エロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイ
エローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、黄色酸化
鉄、ジスアゾイエローHR、オルトニトロアニリンオレ
ンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、
塩素化パラレッド、ブリリアンファーストスカーレッ
ト、ナフトールレッド23、ピラゾロンレッド、バリウ
ムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウム
レッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレ
ッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボル
ドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレ
ーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんが
ら、ファナトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、
メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッ
ド、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6
Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRト
ナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレッ
クスブルー2G、レフレックスブルーR、ブリリアント
グリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレ
ーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、
フタロシアニングリーンY、酸化鉄粉、さびこ、亜鉛
華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウ
ム、アルミナ、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブ
ロンズ粉、昼光蛍光顔料、パール顔料、ナフトールカー
ミンFB、ナフトールレッドM、ファーストイエロー
G、ジスアゾイエローAAA、アルカリブルーGトナー
等が挙げられる。更に、顔料表面を樹脂等で処理したグ
ラフトカーボン等の加工顔料が使用できる。これらは、
場合によっては2種以上を混合することもできる。
【0046】上記顔料の中でも、分散安定性、色調安定
性、耐光性の点で黒色用としてはカーボンブラックが、
イエロー用としてはピグメントイエロー138又は74
が、マゼンタ用としてはピグメントレッド122が、シ
アン用としてはピグメントブルー15が好ましく使用で
きる。より好ましくは、イエロー用としてピグメントイ
エロー74が、シアン用としてピグメントブルー15:
3が使用できる。
【0047】本発明における顔料分散液は、前記顔料及
び水を必須成分とし、必要に応じてこれに水溶性有機溶
剤、分散剤等を添加した混合物をサンドミル、パールミ
ル、ダイノーミル、ボールミル、ロールミル、ナノマイ
ザー、ホモジナイザー等の公知の分散機で分散すること
によって得られる。また、顔料系インクジェット用イン
ク調合液は、該顔料分散液に、要求インク特性に適合す
るように必要に応じて水、水溶性有機溶剤、界面活性剤
等を適宜選択して処方し、混合調製して得られる。顔料
系インクジェット用インクは、前記のように顔料分散液
に塩基物質を添加し熱処理してpH調整するか、又は顔
料系インクジェット用インク調合液に塩基物質を添加し
熱処理してpH調整した後、フィルター、遠心分離装置
等で粗大粒子をろ過し、要すれば脱気することによって
得られる。上記顔料分散液、及び顔料系インクジェット
用インク調合液には下記水溶性有機溶剤の他、必要に応
じてpH調整剤、防腐剤、樹脂等を使用してもよい。
【0048】本発明における、顔料分散液、又は該顔料
分散液を組成分として有する顔料系インクジェット用イ
ンク調合液に添加し得る水溶性有機溶剤としては、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアル
コール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ
ール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、グリ
セリン等の多価アルコール類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリ
コール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチ
ル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチ
ル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又
はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキル
エーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;
N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。こ
れらのうちグリセリン、ジエチレングリコール、1,3
−ブタンジオールがより好ましい。
【0049】顔料インクジェット用インク調合液用とし
ては、上記水溶性有機溶剤の中でもジエチレングリコー
ル等の多価アルコールあるいはトリエチレングリコール
モノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコール
の低級アルキルエーテルが好ましい。尚、顔料系インク
ジェット用インクの水溶性有機溶剤の含有量としては、
環境性等の点も考慮すると50重量%以下が好ましい。
【0050】また、前記各種顔料を自己分散型顔料とす
るには、前述のように顔料表面に化学処理を行って静電
反発力により各顔料粒子が水中で安定に分散し得るよう
な官能基を必要量化学結合させればよい。これら自己分
散型顔料の作成方法の例等については、USP5571
311、USP5630868、USP570743
2、J.E.Johnson,Imaging Sci
ence and Technology’s 50t
hAnnual Conference(1997)、
YuanYu,Imaging Science an
d Technology’s 53th Annua
l Conference(2000)、ポリファイ
ル,12 48(1996)等に記載されている。
【0051】顔料分散液及び顔料系インクジェット用イ
ンク中の顔料の平均粒径は20nm以上、200nm以
下が好ましい。より好ましくは20nm以上、100n
m以下である。顔料の平均粒径が200nmより大きい
とインクジェットプリンターのノズルの目詰まりが生じ
やすくなるばかりでなく色調の鮮明性も劣り、一方、2
0nm未満では顔料の分散が困難となりコストがかかる
ばかりでなく保存性、耐光性に劣る傾向がある。尚、本
発明における顔料の平均粒径は、日機装(株)製マイク
ロトラックUPAで測定した値を示している。
【0052】また、顔料分散液の顔料濃度は5重量%以
上、30重量%以下が好ましい。より好ましくは10重
量%以上、20重量%以下である。5重量%未満では生
産性が劣り、30重量%より多いと分散液の粘度が高す
ぎて分散が困難になる傾向がある。
【0053】顔料系インクジェット用インクの顔料濃度
は、1重量%以上、20重量%以下が好ましい。より好
ましくは2重量%以上、15重量%以下である。1重量
%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、2
0重量%より多いとインクの粘度が高くなる傾向がある
ばかりでなくインクジェットプリンターのノズルの目詰
まりが発生しやすくなる。
【0054】本発明において、加熱処理に際して顔料分
散液、又は顔料系インクジェット用インク調合液添加す
る塩基性物質としては、特に限定されるものではない
が、例えばアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属
の水酸化物等のアルカリ性化合物あるいは脂肪族アミ
ン、芳香族アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
中でも、特に水酸化リチウム(無水物でも水和物でもよ
い)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムは少量で処理
効果が大であるため、好ましく使用できる。また、塩基
性有機化合物としては、特にモノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチ
ルプロパノール、コリン等が好ましく使用できる。
【0055】また、塩基性物質の添加に当っては、あら
かじめ塩基性物質を水に溶かした水溶液とし、該水溶液
を顔料分散液、又は顔料系インクジェット用インク調合
液に添加するのが好ましい。塩基性物質を直接に顔料分
散液、又は顔料系インクジェット用インク調合液へ添加
すると、顔料分散液、又は顔料系インクジェット用イン
ク調合液中に局所的に極めて高いpH値の部位が短時間
ではあるが発生するため、顔料分散液の分散破壊やイン
クジェット用インク調合液の増粘が起こることがあるの
で好ましくない。
【0056】顔料分散液、又は顔料系インクジェット用
インク調合液に塩基性物質を添加した後の加熱処理温度
は、30℃以上、95℃以下が好ましい。より好ましく
は40℃以上、90℃以下であり、更に好ましくは50
℃以上、80℃以下である。30℃未満であると分散し
ている顔料2次粒子内部の1次粒子表面に吸着している
酸性物質の溶出が極めて遅く、そのため中和に長時間を
要する。また、95℃より高いと顔料分散液の分散破壊
やインクジェット用インクの増粘を引き起こすので好ま
しくない。
【0057】加熱時間は、加熱温度、顔料に吸着してい
る酸性不純物の量、添加する塩基性物質の種類等にもよ
るが、30分以上、1ヵ月以下であることが好ましい。
より好ましくは1時間以上、3週間以下であり、更に好
ましくは3時間以上、2週間以下である。30分未満で
は、分散している顔料2次粒子内部の1次粒子表面に吸
着している酸性物質の溶出が不十分となり、加熱処理及
び必要処理工程を経て製造された顔料インクジェット用
インクのpH値の低下を招きやすく、一方、1ヵ月を超
えると生産性に劣るばかりでなく、顔料分散液の分散破
壊や顔料インクジェット用インクの増粘を引き起こすの
で好ましくない。
【0058】加熱処理後の到達所定pH値は、6.5以
上、11以下であることが好ましい。より好ましくは
7.0以上、10以下であり、更に好ましくは7.5以
上、9.5以下である。pH値が6.5未満ではプリン
ターの金属部材と接した場合、金属を腐食するおそれが
あり、またpH値が11より大きくなると塩基性の度合
いが高くなるため取り扱い上危険である。
【0059】顔料分散液又は顔料系インクジェット用イ
ンク調合液に本発明の処理を行って作製した顔料系イン
クジェット用インクを密閉状態で70℃、3週間保存し
た後のpH値は、6.5以上であることが好ましい。よ
り好ましくは7.0以上、更に好ましくは7.5以上で
ある。pH値が6.5未満では前記のようにプリンター
の金属部と接した場合、金属を腐食するおそれがある。
【0060】顔料分散液、又は顔料系インクジェット用
インク調合液に本発明の処理を行って作製した顔料系イ
ンクジェット用インクを密閉状態で70℃、3週間保存
した後のpH値は、保存前のpH値の90%以上である
ことが好ましい。より好ましくは95%以上、更に好ま
しくは98%以上である。90%未満であると、本発明
の処理による顔料に吸着している酸性物質の溶出、中和
が不十分であり、インクの保存安定性に劣る。
【0061】尚、本発明においては、顔料分散液、又は
顔料系インクジェット用インク調合液に塩基性物質を添
加し、加熱処理して所定のpH値に到達せしめて、顔料
系インクジェット用インクを製造するものであるが、加
熱処理工程後に必要により、最終的なpH値調整の目的
で更に塩基性物質や酸性物質を添加することを排除する
ものではない。
【0062】尚、本発明の顔料系インクジェット用イン
クを用いて印字する手段としては、連続噴射型あるいは
オンデマンド型の記録ヘッドを有する前記のインクジェ
ット方式のプリンター(インクジェットプリンター)に
よる印刷方法が挙げられる。尚、オンデマンド型として
は、例えばピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、
静電方式等が例示される。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はなんら実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例中の部数は重量部を表すものである。
【0064】実施例1 下記顔料系インクジェット用インク調合液処方(1)の
組成からなる混合物(顔料系インクジェット用インク調
合液)に対し、攪拌しながら水酸化リチウム(1水和
物)の1%水溶液80部を徐々に滴下し、加熱処理前の
塩基物質添加顔料系インクジェット用インク調合液
(1)−aを作製した。この(1)−aのpH値は1
0.91であった。
【0065】 <顔料系インクジェット用インク調合液処方(1)> グリセリン 80部 ジエチレングリコール 240部 2−ピロリドン 30部 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 30部 プロキセルLV(S)20%溶液(防腐剤) 3部 蒸留水 436部 自己分散型カーボンブラック(*1) 600部 (*1)CABOT社製、CAB−O−JET300: 平均粒径136nm、顔料濃度15重量%
【0066】作製した(1)−aをポリエチレン製容器
に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、加熱処理し
た。この加熱処理による製造工程で(1)−aのpH値
は徐々に低下し、7日目にpH値が8.19になった時
点で容器を恒温槽から取り出した。加熱処理済みの
(1)−aを日本ポール(株)製プロファイルII(1.
0μm)でろ過し、顔料系インクジェット用インク完成
品(1)−bを得た。得られた(1)−b中のカーボン
ブラックの平均粒径は138nmであり、pH値は8.
20であった。製作した(1)−bをポリエチレン製容
器に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、3週間保
存したところ、pH値は7.88となり保存前のpH値
の96%であった。
【0067】比較例1 実施例1において、顔料系インクジェット用インク調合
液処方(1)の組成からなる混合物(顔料系インクジェ
ット用インク調合液)に水酸化リチウム(1水和物)の
1%水溶液を加えず、加熱処理も行わずに日本ポール
(株)製プロファイルII(1.0μm)でろ過し、顔料
系インクジェット用インク完成品(1)−cを得た。得
られた(1)−c中のカーボンブラックの平均粒径は1
36nmであり、pH値は7.80であった。作製した
(1)−cをポリエチレン製容器に入れ、密栓して70
℃の恒温槽に収容し、3週間保存したところ、pH値は
6.47となり保存前のpH値の83%であった
【0068】比較例2 実施例1において、顔料系インクジェット用インク調合
液処方(1)の組成からなる混合物(顔料系インクジェ
ット用インク調合液)に水酸化リチウム(1水和物)の
1%水溶液を加えず、また加熱処理も行わず、pH調整
の目的で10%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH
値を8.17とし、日本ポール(株)製プロファイルII
(1.0μm)でろ過し、顔料系インクジェット用イン
ク完成品(1)−dを得た。得られた(1)−d中のカ
ーボンブラックの平均粒径は136nmであった。作製
した(1)−dをポリエチレン製容器に入れ、密栓して
70℃の恒温槽に収容し、3週間保存したところ、pH
値は6.70となり保存前のpH値の82%であった
【0069】実施例2 実施例1において、水酸化リチウム(1水和物)の1%
水溶液80部の替りに、水酸化リチウム(1水和物)の
1%水溶液110部を使用する以外は全て実施例1と同
様にして加熱処理前の塩基物質添加顔料系インクジェッ
ト用インク調合液(1)−eを作製した。この(1)−
eのpH値は11.46であった。作製した(1)−e
をポリエチレン製容器に入れ、密栓して80℃の恒温槽
に収容し、加熱処理した。この加熱処理による製造工程
で(1)−eのpH値は徐々に低下し、16日目にpH
値が8.36になった時点で容器を恒温槽から取り出し
た。加熱処理済みの(1)−eを日本ポール(株)製プ
ロファイルII(1.0μm)でろ過し、顔料系インクジ
ェット用インク完成品(1)−fを得た。得られた
(1)−f中のカーボンブラックの平均粒径は140n
mであり、pH値は8.37であった。作製した(1)
−fをポリエチレン製容器に入れ、密栓して70℃の恒
温槽に収容し、3週間保存したところ、pH値は8.2
4となり保存前のpH値の98.4%であった。
【0070】実施例3 下記顔料分散液(1)600部を攪拌しながら水酸化ナ
トリウムの10%水溶液20部を徐々に滴下し、加熱処
理前の塩基物質添加顔料分散液(1)−Aを作製した。
この(1)−AのpH値は10.50であった。
【0071】 <顔料分散液(1)> 自己分散型カーボンブラック(*2) 600部 (*2)CABOT社製CAB−O−JET300: 平均粒径136nm、顔料濃度15重量%
【0072】作製した(1)−Aをポリエチレン製容器
に入れ、密栓して50℃の恒温槽に収容し、加熱処理し
た。この加熱処理による製造工程で(1)−AのpH値
は徐々に低下し、5日目にpH値が8.23になった時
点で容器を恒温槽から取り出し、加熱処理済みの顔料分
散液(1)−Bを得た。得られた(1)−B中のカーボ
ンブラックの平均粒径は151nmであった。次に下記
顔料系インクジェット用インク調合液処方(2)の組成
に従って顔料系インクジェット用インク調合液を作製
し、日本ポール(株)製プロファイルII(1.0μm)
でろ過し、顔料系インクジェット用インク完成品(2)
−aを得た。得られた(2)−a中のカーボンブラック
の平均粒径は150nmであり、pH値は8.26であ
った。
【0073】 <顔料系インクジェット用インク調合液処方(2)> グリセリン 80部 ジエチレングリコール 240部 2−ピロリドン 30部 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 30部 プロキセルLV(S)20%溶液(防腐剤) 3部 蒸留水 436部 加熱処理済顔料分散液(1)−B 600部
【0074】作製した(2)−aをポリエチレン製容器
に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、3週間保存
したところ、pH値は7.59となり保存前のpH値の
92%であった。
【0075】実施例4 下記顔料系インクジェット用インク調合液処方(3)の
組成からなる混合物(顔料系インクジェット用インク調
合液)に対し、攪拌しながら水酸化リチウム(1水和
物)の1%水溶液70部を徐々に滴下し、加熱処理前の
塩基物質添加顔料系インクジェット用インク調合液
(3)−aを作製した。この(3)−aのpH値は1
0.01であった。
【0076】 <顔料系インクジェット用インク調合液処方(3)> グリセリン 80部 ジエチレングリコール 240部 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 30部 プロキセルLV(S)20%溶液(防腐剤) 3部 蒸留水 466部 自己分散型マゼンタ顔料(*3) 600部 (*3)CABOT社製、IJX−266: 平均粒径109.5nm、顔料濃度14.3重量%
【0077】作製した(3)−aをポリエチレン製容器
に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、加熱処理し
た。この加熱処理による製造工程で(3)−aのpH値
は徐々に低下し、9日目にpH値が7.71になった時
点で容器を恒温槽から取り出した。加熱処理済みの
(3)−aを日本ポール(株)製プロファイルII(1.
0μm)でろ過し、顔料系インクジェット用インク完成
品(3)−bを得た。得られた(3)−b中のマゼンタ
顔料の平均粒径は112nmであり、pH値は7.71
であった。作製した(3)−bをポリエチレン製容器に
入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、3週間保存し
たところ、PH値は7.56となり保存前のpH値の9
8%であった。
【0078】比較例3 実施例4において、顔料系インクジェット用インク調合
液処方(3)の組成からなる混合物(顔料系インクジェ
ット用インク調合液)に水酸化リチウム(1水和物)の
1%水溶液を加えず、加熱処理も行わずに日本ポール
(株)製プロファイルII(1.0μm)でろ過し、顔料
系インクジェット用インク完成品(3)−cを得た。得
られた(3)−c中のマゼンタ顔料の平均粒径は110
nmであり、pH値は7.70であった。作製した
(3)−cをポリエチレン製容器に入れ、密栓して70
℃の恒温槽に収容し、3週間保存したところ、pH値は
5.89となり保存前のpH値の76%であった
【0079】実施例5 下記顔料系インクジェット用インク調合液処方(4)の
組成からなる混合物(顔料系インクジェット用インク調
合液)に対し、攪拌しながら水酸化カリウムの1%水溶
液50部を徐々に滴下し、加熱処理前の塩基物質添加顔
料系インクジェット用インク調合液(4)−aを作製し
た。この(4)−aのpH値は11.55であった。
【0080】 <顔料系インクジェット用インク調合液処方(4)> グリセリン 80部 ジエチレングリコール 240部 2−ピロリドン 30部 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 30部 プロキセルLV(S)20%溶液(防腐剤) 3部 蒸留水 436部 分散剤分散型カーボンブラック分散液(*4) 600部 (*4)東洋インキ社製、LIOJET BLACK BASE: 平均粒径71.8nm、顔料濃度16.6重量%
【0081】作製した(4)−aをポリエチレン製容器
に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、加熱処理し
た。この加熱処理による製造工程で(4)−aのpH値
は徐々に低下し、14日目にpH値が8.20になった
時点で容器を恒温槽から取り出した。加熱処理済みの
(4)−aを日本ポール(株)製プロファイルII(1.
0μm)でろ過し、顔料系インクジェット用インク完成
品(4)−bを得た。得られた(4)−b中のカーボン
ブラックの平均粒径は75.2nmであり、pH値は
8.21であった。作製した(4)−bをポリエチレン
製容器に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、3週
間保存したところ、pH値は7.55となり保存前のp
H値の92%であった。
【0082】比較例4 実施例5において、顔料系インクジェット用インク調合
液処方(4)の組成からなる混合物(顔料系インクジェ
ット用インク調合液)に水酸化カリウムの1%水溶液を
加えず、加熱処理も行わずに日本ポール(株)製プロフ
ァイルII(1.0μm)でろ過し、顔料系インクジェッ
ト用インク完成品(4)−cを得た。得られた(4)−
c中のカーボンブラックの平均粒径は72nmであり、
インクのpH値は8.12であった。作製した(4)−
cをポリエチレン製容器に入れ、密栓して70℃の恒温
槽に収容し、3週間保存したところ、pH値は5.60
となり保存前のpH値の69%であった
【0083】実施例6 実施例1において、水酸化リチウム(1水和物)の1%
水溶液80部の替りに、コリンの15.8%水溶液15
部を使用する以外は全て実施例1と同様にして加熱処理
前の塩基物質添加顔料系インクジェット用インク調合液
(1)−gを作製した。この(1)−gのpH値は1
1.02であった。作製した(1)−gをポリエチレン
製容器に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、加熱
処理した。この加熱処理による製造工程で(1)−gの
pH値は徐々に低下し、12日目にpH値が8.40に
なった時点で容器を恒温槽から取り出した。加熱処理済
みの(1)−gを日本ポール(株)製プロファイルII
(1.0μm)でろ過し、顔料系インクジェット用イン
ク完成品(1)−hを得た。得られた(1)−h中のカ
ーボンブラックの平均粒径は138nmであり、pH値
は8.40であった。作製した(1)−hをポリエチレ
ン製容器に入れ、密栓して70℃の恒温槽に収容し、3
週間保存したところ、pH値は7.64となり保存前の
pH値の91%であった。
【0084】実施例1〜6で得られた本発明の顔料系イ
ンクジェット用インク完成品は、いずれも70℃で3週
間の保管においてもpH値の変動幅は小さく、初期値の
90%以上と安定している。このため、インクジェット
プリンターからの要求性能として設定されたpH値を維
持できるため、金属部品等に対する腐食の心配がない。
これに対して比較例1〜4では、初期設定pH値に対す
る変動幅が大きくなりインクジェットプリンターからの
要求性能であるpH値を維持できなくなるため、金属部
品等に対する腐食の問題が生ずる。
【0085】〔吐出安定性の評価〕前記実施例1〜6で
得た本発明の顔料系インクジェット用インク完成品
(1)−b、(1)−f、(2)−a、(3)−b、
(4)−b、(1)−hを用いて、初期(70℃での保
存前)及び70℃で3週間保存後について、印字による
吐出安定性を評価した。評価は、EPSON社製、イン
クジェットプリンターMJ−930C(ピエゾ方式)、
及びHP社製インクジェットプリンターDeskJet
880C(サーマル方式)を使用し、印字して行っ
た。その結果、供試した本発明のインクは、いずれのプ
リンターにおいても目詰まりを起すことなく安定して吐
出し良好な結果が得られた。
【0086】
【発明の効果】以上の結果から、本発明による製造方法
を用いて顔料系インクジェット用インクを製造すれば、
高温保存してもpH値の低下幅が小さく、安定性に優れ
たインクが実現でき、これによりインクジェットプリン
ターによる吐出安定性の良好な画像形成が達成される。
請求項別の効果は、以下のとおりである。
【0087】請求項1又は2の発明によれば、長時間高
温保存してもpH値の変動が少なく、安定性が向上した
顔料系インクジェット用インクを製造することができ
る。
【0088】請求項3の発明によれば、顔料系インクジ
ェット用インクを生産性良く製造することができるとと
もに、分散液の高粘度化を抑制して分散性を適性に保つ
た顔料系インクジェット用インクを提供することができ
る。
【0089】請求項4の発明によれば、画像濃度を鮮明
に維持する他、インクの高粘度化を抑制した顔料系イン
クジェット用インクを製造することができる。
【0090】請求項5、6の発明によれば、各種カラー
顔料あるいはカーボンブラックが適用できる他、これら
の各種自己分散型顔料にも幅広く応用できる顔料系イン
クジェット用インクの製造方法が提供される。
【0091】請求項7〜9の発明では、塩基性物質を用
いた加熱処理製造工程により、顔料表面に吸着した酸性
物質の中和が良好に行われ、pH値の安定した顔料系イ
ンクジェット用インクを製造することができる。
【0092】請求項10の発明によれば、顔料の表面に
吸着した酸性物質の溶出を適性なものとし、インクの増
粘を抑制した顔料系インクジェット用インクを製造する
ことができる。
【0093】請求項11〜13の発明では、pH値の制
御により、金属部材等の腐食を防止した顔料系インクジ
ェット用インクを製造することができる。
【0094】請求項14の発明によれば、顔料の分散性
を維持し、インクジェットプリンターのノズルの目詰ま
りを防止した顔料系インクジェット用インクを製造する
ことができる。
【0095】請求項15又は16の発明によれば、長時
間高温保存してもpH値の変動が少なく、安定性が向上
した顔料系インクジェット用インクが提供される。
【0096】請求項17の発明によれば、インクジェッ
トプリンター部材の金属腐食などの心配がなく、またイ
ンクジェットプリンターのノズルの目詰まりを起さず、
鮮明な画像を形成することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 EA14 EA21 FC02 2H086 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 BA04 BA14 BA29 BC33 BC35 BE01 BE12 BE30 CA06 EA41 EA44 GA24

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも顔料と水とを含有する顔料分
    散液を組成分として有する顔料系インクジェット用イン
    ク調合液に塩基性物質を添加後、加熱処理して所定のp
    H値にし、顔料系インクジェット用インクを製造するこ
    とを特徴とする顔料系インクジェット用インクの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 少なくとも顔料と水とを含有する顔料分
    散液に塩基性物質を添加後、加熱処理して所定のpH値
    にし、次いで水及び/又は水溶性有機溶剤と混合して顔
    料系インクジェット用インクを製造することを特徴とす
    る顔料系インクジェット用インクの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記顔料分散液中の顔料濃度が5重量%
    以上、30重量%以下であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の顔料系インクジェット用インクの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記顔料系インクジェット用インク中の
    顔料濃度が1重量%以上、20重量%以下であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の顔料系インクジェット
    用インクの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記顔料が少なくともカラー顔料あるい
    はカーボンブラックから選ばれる顔料であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の顔料系インクジェット用イ
    ンクの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記顔料が自己分散型顔料であることを
    特徴とする請求項5記載の顔料系インクジェット用イン
    クの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記塩基性物質が水酸化リチウム、水酸
    化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料
    系インクジェット用インクの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記塩基性物質が塩基性有機化合物であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料系インク
    ジェット用インクの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記塩基性物質を水溶液の状態で添加す
    ることを特徴とする請求項1又2記載の顔料系インクジ
    ェット用インクの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記加熱処理の温度が30℃以上、9
    5℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    顔料系インクジェット用インクの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記加熱処理後の到達所定pH値が
    6.5以上、11以下であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の顔料系インクジェット用インクの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記顔料系インクジェット用インクの
    密閉状態における70℃で3週間保存後のpH値が6.
    5以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔
    料系インクジェット用インクの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記顔料系インクジェット用インクの
    密閉状態における70℃で3週間保存後のpH値が、保
    存前の90%以上であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の顔料系インクジェット用インクの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記顔料系インクジェット用インク中
    の顔料の平均粒径が20nm以上、200nm以下であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料系インク
    ジェット用インクの製造方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも顔料と水とを含有する顔料
    分散液を組成分として有する顔料系インクジェット用イ
    ンク調合液に塩基性物質を添加後、加熱処理し所定のp
    H値にして製造されたことを特徴とする顔料系インクジ
    ェット用インク。
  16. 【請求項16】 少なくとも顔料と水とを含有する顔料
    分散液に塩基性物質を添加後、加熱処理して所定のpH
    値にし、次いで水及び/又は水溶性有機溶剤と混合して
    製造されたことを特徴とする顔料系インクジェット用イ
    ンク。
  17. 【請求項17】 請求項15又は16に記載の顔料系イ
    ンクジェット用インクを用いてインクジェット方式のプ
    リンターで印字することを特徴とする画像形成方法。
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