JP2003251565A - 層状構造砥石およびその製造方法 - Google Patents

層状構造砥石およびその製造方法

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JP2003251565A
JP2003251565A JP2002056751A JP2002056751A JP2003251565A JP 2003251565 A JP2003251565 A JP 2003251565A JP 2002056751 A JP2002056751 A JP 2002056751A JP 2002056751 A JP2002056751 A JP 2002056751A JP 2003251565 A JP2003251565 A JP 2003251565A
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Junichi Ikeno
順一 池野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状砥石構造を人工的に容易に得られるべく
改良するとともに、簡便化された製造方法を得て、被研
削物の材質に対応したより効率的で精度の高い水晶等の
鏡面研削をも可能にする層状構造砥石およびその製造方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 砥石母材1上に一方向を向いて吸着され
た多数の潤滑用薄片2、2・・・からなる層と、これら
の潤滑用薄片2に吸着され被研削物との反応性に富んだ
多数の球形砥粒3、3・・・からなる層とを多数積層し
て層状構造砥石を構成したことを特徴とするもので、自
然界に存在する潤滑用薄片としての絹雲母の層に代えて
多数の人工絹雲母の小片を砥石母材上に一方向を向いて
吸着させることで製造を容易にし、独特の潤滑用薄片層
を形成させて、球形砥粒としてのシリカ粒子等の電気泳
動法による吸着性能を向上させるとともに、砥石の研削
時におけるシリカ粒子のミクロ剥離の際に、潤滑用薄片
としての各人工絹雲母のエッジを有効に研削に寄与させ
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水晶、シリコン、
サファイア等の鏡面研削が可能な材料の層状構造砥石お
よびその製造方法に係り、電子(IT)産業、半導体産
業、オプトエレクトロニクス産業、金型分野等に幅広く
利用が可能である。特に、携帯電話、パソコン、計測器
等の多くの製品に使用されている水晶片の鏡面研削に有
用であり、砥石の目立てや修正作業を必要としない(ド
レスレス、ツルーイングレス)乾式鏡面研削用の層状構
造砥石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の研削加工の概念は引っ掻きによる
材料除去であり、したがって従来の研削法にて鏡面研削
を行うには、砥石の砥粒を小さくして引っ掻き傷を可及
的に小さくする必要があった。しかしこの概念では、引
っ掻き傷が小さくなるとは言え、傷の形成は避けられ
ず、被研削物への変質層の形成も避けられなかった。し
たがって、研磨等の仕上げ作業や表面の修正作業等が不
可欠であった。しかも、微細な砥粒を使用した場合に
は、砥粒を結合して砥石を生成する際に使用される結合
剤自身が砥石に目詰りを引き起こしてしまい、連続ドレ
ッシングを行って常時目立てを行う必要があった。
【0003】また、従来から鏡面研削仕上げとしては、
バフ研磨に代表される湿式研磨法が知られており広く採
用されている。また、一部ELID研削法なるものも採
用されつつあるが、いずれも湿式法であり、準備調整時
間から研磨作業時間を含めて多大の時間を必要とした。
特に、ELID研削法では、引っ掻き傷を無くすことは
困難な状況にある。したがって、これらの湿式研磨法で
は、依然として微細部品であるIT部品や半導体部品の
鏡面研削を効果的に行うことは困難であった。
【0004】精密加工用砥石としては様々なものが開発
・提案されてきたが、一般的に、砥石の構造は砥粒を結
合剤で保持するといった概念で成り立っており、天然砥
石で言えば粗砥と中砥に相当する構造である。しかし今
日、研削に求められる加工精度は年々厳しくなってお
り、鏡面創成可能な研削等の超精密研削加工の実現が急
務である。そのような超精密研削加工は、天然砥石の粗
砥や中砥では実現不可能であった。そのようなことか
ら、例えば砥粒の含有率を異にする砥粒層と樹脂層を交
互に層状に配列した特開平13−198838号公報に
開示された第1従来例のもの、あるいは砥粒微粒子をポ
リビニールアルコールとアルデヒドとの縮合体等を結合
剤として固定した特開平13−198800号公報に開
示された第2従来例のもの等がある。これらの砥石の出
現によって、高い仕上げ精度と加工速度が実現できるこ
ととなった。しかしながら、これらの従来例にあって
は、目詰り防止のために結合剤についての技術的な解決
がなされたものに過ぎない。
【0005】また、レジンボンドにより砥粒を結合する
ことにより研削特性の向上や砥石寿命の長大化を図った
特開平11−221772号公報や特開2001−25
2874号公報に開示されたものも提案されたが、これ
らのものも結合剤についての技術的な解決がなされたに
過ぎない。したがって、前記従来例のものでは、IT部
品や半導体部品の鏡面研削を効果的に行うには依然とし
て不充分であった。特に、IT部品や半導体部品におけ
る被研削物の鏡面研削分野では、例えば、シリコンウエ
ハの薄片化はICタグなどのために重要技術であり、従
来より、薄片化されるシリコンウエハ等の鏡面研削には
残留歪み(圧縮応力)が大きくてウエハは反り返ってし
まうという問題もあった。
【0006】一方、研削加工分野において、シリカ砥粒
等幾つかのSiO2 を主成分とする活性砥粒は、摩擦試
験でシリコンとの化学反応が知られている。しかし従来
μmサイズで球形に近いこれら砥粒は、研磨で全く除去
作用が認められず、研削にも使用されることは無かっ
た。本件発明者等は、従来のダイヤモンド研削に見られ
るような機械的除去に頼る研削をやめ、メカノケミカル
作用を起こしながら鏡面加工する研削手法を研究してい
る。この研究の中で、発明者等は積極的に球形の活性砥
粒を使用して独自の研削砥石を開発し、ガラスビーズ等
比較的ラフな製造工程を得た微粒子を使用したメカノケ
ミカル作用による無歪み鏡面創成(数nmRy)の実現
に成功した。この研削方法は乾式研削でありクリーンな
加工法である。常識では、乾式研削は熱応力の残留が顕
著となり、品質面や砥石の焼けといった問題があった
が、本砥石では全く残留歪みや砥石の焼けは生じなかっ
た。
【0007】そこで、本件発明者等は、上記知見に基づ
いて、被研削物との化学反応を引き起こす物質を予め砥
粒中に含有させ、メカノケミカル反応を最大限引き起こ
すことで高能率で高品質を創生できる新砥粒を用いた砥
石およびその砥石を使用した研削方法およびその装置を
提案した(特願2001−264447)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記提案によって、被
加工物との化学反応を引き起こす物質を予め砥粒中に含
有させて、メカノケミカル反応を最大限引き起こすこと
で、高能率で高品質の研削面を得ることができる上、ま
た、粒の揃いは加工特性に影響せずランダムでよいこと
から、分級する必要もない安価なガラスビーズを使用で
きて低コストで済む画期的な鏡面研削法が実現された。
そして、その中では、砥石組織を構成する微細砥粒を、
本件発明者の既提案(特開2001−49243号公
報)の、砥粒子および結合剤が混合された電解液中での
電気泳動法(EPD)によって層状に結合させて砥石生
成する技術を取り入れている。
【0009】これらの技術により、簡便な製造方法によ
って容易に、反応性に富んだ物質からなる均一微粒子を
砥粒としてそれらを多層に積層させ結合された砥石を製
造することが可能となり、しかもこれらの砥石は、砥粒
子が適度にミクロな脱落を繰り返し、目詰りを引き起こ
すことなく新鮮な切れ刃が順次出現し、また、脱落した
砥粒は遊離砥粒としてさらに研削に寄与し、該砥粒がメ
カノケミカル反応をさらに促進させて、加工速度が高
く、しかも引っ掻き傷のない鏡面研削が可能となった。
【0010】一方、古来から使用されてきた仕上げ用の
京都天然砥石の層状砥石構造(砥石型珪質頁岩と称さ
れ、数μm径の均質な球形シリカと1μm厚さ程度の絹
雲母から構成され、絹雲母が一方向に並び、その上に球
形シリカが整然と並んで、これが何万層にも積層された
もの)は優れた砥石として重用されているが、資源に限
界があり多くを手に入れることは困難であった。そこで
前記京都天然砥石の層状砥石構造にヒントを得て、本発
明では前述の従来の鏡面研削方法の諸課題を解決すべ
く、本件発明者による前記提案に改良を加えて、前記層
状砥石構造を人工的に容易に得られるべく改良するとと
もに、簡便化された製造方法を得て、被研削物の材質に
対応したより効率的で精度の高い水晶等の鏡面研削をも
可能にする層状構造砥石およびその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、砥石
母材上に一方向を向いて吸着された多数の潤滑用薄片か
らなる層と、これらの潤滑用薄片に吸着され被研削物と
の反応性に富んだ多数の球形砥粒からなる層とを多数積
層して層状構造砥石を構成したことを特徴とする。また
本発明は、砥石母材上に一方向を向いて吸着された多数
の潤滑用薄片からなる層と、これらの潤滑用薄片に吸着
され被研削物との反応性に富んだ多数の薄片状砥粒から
なる層とを多数積層して構成したことを特徴とする。ま
た本発明は、前記砥石を積層に対して垂直に使用するこ
とを特徴とする。また本発明は、前記吸着された潤滑用
薄片と球形砥粒または薄片状砥粒とを焼結して構成した
ことを特徴とする。また本発明は、高分子電解質を保護
コロイドとして吸着させた多数の潤滑用薄片を電解液中
で電極に吸着させた後、該電極を所定速度にて回転させ
て前記多数の潤滑用薄片を電解液の流体抵抗により砥石
母材上に倒伏させて一方向を向いて配列させ、次いで、
高分子電解質を保護コロイドとして吸着させ被研削物と
の反応性に富んだ多数の球形砥粒を含む電解液に、前記
多数の潤滑用薄片を吸着した電極を挿入して、電気泳動
法によって球形砥粒を潤滑用薄片に吸着させ、これを繰
り返して潤滑用薄片と球形砥粒との層を交互に積層して
構成することを特徴とする層状構造砥石の製造方法にあ
る。また本発明は、前記潤滑用薄片が人工絹雲母であ
り、球形砥粒が球形シリカ粒子であることを特徴とす
る。また本発明は、前記高分子電解質の乾燥時に塩化カ
ルシウムを添加したことを特徴とする。また本発明は、
前記潤滑用薄片と球形砥粒との層を交互に積層して構成
された砥石を電気炉中にて焼結することによって、前記
高分子電解質を揮発させてビトリファイド層状砥石を形
成させることを特徴とする。また本発明は、前記球形砥
粒に代えて薄片状砥粒を用いたことを特徴とするもの
で、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0012】
【実施の形態】以下、本発明の層状構造砥石およびその
製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。図1から図
5は本発明の第1実施の形態の層状構造砥石の製造工程
図で、図1は本発明の層状構造砥石の製造工程図で、絹
雲母薄片が電極に付着した様子を示す工程図、図2は絹
雲母薄片が電極に対して倒伏する様子を示す工程図、図
3は多数の絹雲母薄片が電極に対して倒伏して重合する
様子を示す工程図、図4は潤滑用薄片に球形砥粒が吸着
される様子を示す工程図、図5は多層に積層されつつあ
る状態図である。本発明は、図5に示すように、砥石母
材1上に一方向を向いて吸着された多数の潤滑用薄片
2、2・・・からなる層と、これらの潤滑用薄片2、2
・・・に吸着され被研削物との反応性に富んだ多数の球
形砥粒3、3・・・からなる層とを多数積層して構成し
たことを特徴とするものである。
【0013】以下に詳述する。前記潤滑用薄片として人
工絹雲母が採用され、球形砥粒として数μm程度のシリ
カ(石英)、アルミナ、酸化鉄粒子が採用される。本発
明では、自然界に存在する潤滑用薄片としての絹雲母の
層に代えて多数の人工絹雲母の小片を砥石母材上に一方
向を向いて吸着させることで製造を容易にし、独特の潤
滑用薄片層を形成させて、球形砥粒としてのシリカ粒子
の電気泳動法による吸着性能を向上させるとともに、砥
石の研削時におけるシリカ粒子のミクロ剥離の際に、潤
滑用薄片としての各人工絹雲母のエッジを有効に研削潤
滑に寄与させることが可能となる。
【0014】図1から図5により本発明の層状構造砥石
の製造方法を説明する。電気泳動法により、高分子電解
質を保護コロイドとして吸着させた多数の潤滑用薄片を
電解液中で電極に吸着させる(電気泳動法とは、結合剤
であるアルギン酸ナトリウム等の高分子電解質を付着さ
せた被吸着材を混合した電解液中の陽極と陰極間に、直
流を通電することによって、電解液中の被吸着材を電極
に吸着させる技術である。)。このとき、図1(A)に
示すように、電極1を50rpm程度で回転させておく
と、薄片状の絹雲母2小片は電気的引力で電流密度の高
いエッジ部で電極1と接触、付着する。
【0015】その後、電極1が回転を続け、図1(B)
から図2(A)に示すように、流体抵抗を受けて抵抗の
最大となる姿勢をとることになる。次いで、次の瞬間、
図2(B)から図2(C)に示すように、流体抵抗によ
って薄片状の絹雲母2小片は、電極である砥石母材1の
表面上に倒伏させて一方向を向いて配列されることにな
る。このようにして、図3に示すように、多数の薄片状
の絹雲母2小片が各部の一部を重合させた形態(薄片状
の小片の全てが一部を重合する必要はない)にて折り重
なるようにして(配勾して)電極である砥石母材1の表
面上に積層される。
【0016】次いで、図4に示すように、同様の電気泳
動法により、保護コロイドとしてのアルギン酸ナトリウ
ム等の高分子電解質を付着させた被吸着材、すなわち被
研削物との反応性に富んだ多数の球形砥粒を含む電解液
に、前記多数の潤滑用薄片である薄片状の絹雲母2小片
を吸着した電極1を挿入して、球形砥粒である球形シリ
カ3、3・・・を、多数の薄片状の絹雲母2小片が各部
の一部を重合させて折り重なるように形成された層状に
吸着させ、これを順次繰り返して、図5に示すように、
絹雲母2小片の層と球形シリカ3の層を交互に数万層も
積層して砥石が構成される。
【0017】最後に、前記高分子電解質の乾燥時に塩化
カルシウムを添加することによって、強度が向上したレ
ジンボンド層状砥石が完成する。さらに、前記潤滑用薄
片と球形砥粒との層を交互に積層して構成された砥石を
電気炉中にて焼結することによって、前記高分子電解質
を揮発させてビトリファイド層状砥石(ビトリファイド
とすることによって、レジンボンドよりも砥石強度がき
わめて大きくなる。したがって、砥石磨耗が小さくなる
とともに、研削性能も大きくなり、研削比が大きくなっ
て砥石寿命が大きくなる。)を形成させることができ
る。
【0018】このような製造方法により生成された層状
構造砥石は通常、砥石の積層と研削面とを略平行にして
研削作業が行われ、工業的に利用し易く、軸付き砥石も
容易に製造できる。研削メカニズムとして、砥石の積層
と研削面とが平行な場合、薄片状の結合剤(潤滑作用を
含む)の剥離、球形砥粒(後述の薄片状砥粒も同様)の
剥離が順次生じる際に、結合剤部と砥粒部とでは、加工
抵抗や結合力によって剥離に要する時間が異なり、研
削、潤滑が規則正しく繰り返される。かくして、シリカ
が研削能力を発揮し、目詰りする前に球形シリカ3の層
がミクロ剥離して絹雲母2の層に表面が変わる。これに
よって、潤滑作用を起こし、再び次の層の球形シリカ3
が出現する。したがって、今までにない自生発刃作用を
有して、ドレッシング(目立て)なしで目詰りすること
なく切れ味が維持でき、被研削物との反応性に富んだ多
数の球形砥粒のメカノケミカル作用により、シリコンや
水晶あるいはサファイヤひいては焼き入れ鋼に対して高
い研削効率を発揮する。しかも、層状構造のため、一層
毎に剥離が生じて砥石の形状を維持することが容易で、
砥石の形状の修正(ツルーイング)が不要である。その
上、球形シリカ粒子のミクロ剥離の際に、潤滑用薄片と
しての各人工絹雲母2のエッジが有効に研削潤滑に寄与
する。
【0019】本件発明者等の既提案に係る、砥粒の中に
被研削物との化学反応を引き起こす物質を予め含有さ
せ、メカノケミカル反応を最大限引き起こすことができ
る新砥粒は、電気泳動法によって微粒子の砥粒を結合剤
により層状に結合させて砥石を生成するもので、砥粒と
して球形のガラスビーズを使用する。ガラスビーズは殆
どの金属イオンを含有する許容をもった物質であり、ガ
ラスビーズ内に被加工物との化学反応を引き起こす物質
を予め含有させておくことは容易である。
【0020】この新砥粒の製造法は、金属微粒子(例え
ば、Ce、Al、Au、Ag、Niなど)を含む塗料を
ガラスに塗布して、レーザ光線を照射した結果、ガラス
が溶融しガラスに金属微粒子が混入する。さらにレーザ
の照射時間によってガラス微粒子の凝集サイズをコント
ロールし、これにより所望の金属をガラスビーズ内に取
り込むことができる。このガラスビーズを活性砥粒とし
て使用する。通常、球形の粒子は引っ掻きのための切れ
刃がないとして研削には使用されていないが、砥粒とし
てガラスビーズを使用することは新しい提案である。球
形のガラスビーズは安価なものであり、粒の揃いは加工
特性に影響せずランダムで構わず分級にかかる費用は殆
ど発生しない。
【0021】本発明に基づいて生成した前記シリカや硫
酸バリウム、酸チタン、酸化ニッケル等の様々な物質の
球形砥粒からなる砥石により、被研削物であるワークを
研削実験した。ワークに8インチシリコンを研削した結
果、数nmp・vで鏡面研削できることを見い出した。
しかも、加工変質層がきわめて小さい洗浄であることが
明らかにされた。一方、硬質の4インチ水晶を研削した
結果、5分で数nmp・vで鏡面が創成できることが分
かった。
【0022】つまり、砥石母材上に一方向を向いて吸着
された多数の潤滑用薄片からなる層と、これらの潤滑用
薄片に吸着され被研削物との反応性に富んだ多数の球形
砥粒からなる層との多数の層状構造砥石によって、被研
削物であるワークに接する球形砥粒が研削に関与し、固
有の材質のワークとの摩擦により、表面を研削しつつミ
クロな脱落を繰り返し、目詰りを引き起こすことなく新
鮮な切れ刃が順次出現するとともに、脱落した球形砥粒
は遊離砥粒としてさらに研削に寄与し、該砥粒がメカノ
ケミカル反応をさらに促進させて、メカノケミカル作用
による研削と、絹雲母等の潤滑用薄片による潤滑作用、
特に一方向を向いて吸着された多数に分割された潤滑用
薄片の順次の剥離による円滑な潤滑作用との層状作用に
よって、加工速度の向上が可能となる。
【0023】図6は本発明の第2実施の形態の層状構造
砥石図である。本実施の形態のものは、前述の実施の形
態のものの、結合材となる雲母等の潤滑用薄片と多数の
球形砥粒からなる層との積層体と同様の製造方法にて製
造されるが、前記実施の形態のものの幾つかの球形砥粒
3に代えて、シリカ、アルミナ等からなる薄片状砥粒
(1枚の薄片)3を採用したものである。このように構
成したので、天然砥石の一部に見られる薄片状砥粒の採
用によって、積層された薄片状砥粒部に厚みの段差が生
じ、これらの段差部におけるエッジ部が研削に有効に寄
与する。また、砥粒は雲母等の潤滑用薄片に面保持され
て保持強度が高く、研削加工時の摩擦による脱落すなわ
ち目こぼれ現象が抑制され、砥石の形状が崩れて加工精
度が低下することがない。本実施の形態のものは、砥石
を積層に対して平行に使用し、層を剥がすようにして研
削加工に供される。
【0024】図7は本発明の第3実施の形態の層状構造
砥石図であり、前記図6の第2実施の形態のものと同様
の層状構成体および製造方法にて製造されるものであ
る。本実施の形態のものは、砥石を積層に対して垂直に
使用するものである。このように構成したので、薄片状
砥粒3が鉋の刃のように被加工物に作用するものであ
る。この場合、薄片が微粒子の凝集物であることが必要
で、薄片状砥粒3を超微粒子の焼結製法によるものを使
用すれば、薄片状砥粒3が鉋の刃のように作用した際
に、被加工物との摩擦で薄片状から超微粒子に再度戻
り、加工単位が微粒子の単位となり、被加工物の仕上げ
加工に有利に作用する。また、薄片状砥粒3を垂直に立
てることから、従来のブロック砥粒より大きな砥粒作用
面積を確保して、保持力が大きく取れ、磨耗しても接触
面積が変化せず、一定の研削性能が維持できるととも
に、砥粒強度としても大きくなる傾向がある。なお、結
合剤2の部分は、ビトリファイド砥石の場合は潤滑作用
を有する結合剤でよく、レジノイド砥石の場合はアルギ
ン酸ナトリウムのような高分子が採用される。
【0025】以上本発明の実施形態について説明してき
たが、絹雲母等の潤滑用薄片および球形シリカ等の球形
砥粒の形状およびそれらの電気泳動法による吸着形態、
保護コロイドとしての高分子電解質の種類(アルギン酸
塩等の電解質あるいはポリビニールアルコール等の非イ
オン性高分子等)、反応性に富んだ(活性)球形砥粒の
形状(球形を好適とするが、同効の類似形状も選択され
る)および材質(シリカ、アルミナ、酸化鉄、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、酸化ニッケル等)、薄片状砥粒の形
状および材質(前記球形砥粒と同様)ならびに製造形
態、活性砥粒の製造形態(活性砥粒の製造法としてはレ
ーザ使用以外の方法も採用可能。また、金属イオンを含
有できる機能を有する材料を使用しても同様の効果を達
成することができる。)、乾式研削方法としての研削形
態、高分子電解質の乾燥時の塩化カルシウムの添加形
態、砥石における高分子電解質の揮発のための電気炉中
等における焼結形態等は適宜選択できる。また前述の実
施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈
してはならない。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、砥石母材上に一方向を
向いて吸着された多数の潤滑用薄片からなる層と、これ
らの潤滑用薄片に吸着され被研削物との反応性に富んだ
多数の球形砥粒からなる層とを多数積層して構成したこ
とを特徴とする層状構造砥石により、自然界に存在する
潤滑用薄片としての絹雲母の層に代えて多数の人工絹雲
母の小片を砥石母材上に一方向を向いて吸着させること
で製造を容易にし、独特の潤滑用薄片層を形成させて、
球形砥粒としてのシリカ粒子等の電気泳動法による吸着
性能を向上させるとともに、砥石の研削時におけるシリ
カ粒子のミクロ剥離の際に、潤滑用薄片としての各人工
絹雲母のエッジを有効に研削に寄与させることが可能と
なる。しかも、前記電気泳動法により生成された砥石の
球形砥粒層が、被研削物との摩擦力等に応じて適度に脱
落して適正な研削が行われ、目詰りを引き起こすことな
く新鮮な切れ刃が順次出現するとともに、脱落した砥粒
は遊離砥粒としてさらに研削に寄与し、該砥粒がメカノ
ケミカル反応をさらに促進させて、メカノケミカル作用
による研削が砥粒と被研削物の材質の組合せに応じて変
質を伴うことなく適正な加工速度により、適切に行われ
る。
【0027】また、砥石母材上に一方向を向いて吸着さ
れた多数の潤滑用薄片からなる層と、これらの潤滑用薄
片に吸着され被研削物との反応性に富んだ多数の薄片状
砥粒からなる層とを多数積層して構成した場合は、天然
砥石の一部に見られる薄片状砥粒の採用によって、砥粒
は雲母等の潤滑用薄片に面保持されて保持強度が高く、
研削加工時の摩擦による脱落すなわち目こぼれ現象が抑
制され、砥石の形状が崩れて加工精度が低下することが
ない。本実施の形態のものは、砥石を積層に対して平行
に使用し、層を剥がすようにして研削加工に供される。
さらに、前記砥石を積層に対して垂直に使用する場合
は、薄片状砥粒が鉋の刃のように被加工物に作用して、
被加工物との摩擦で薄片状から超微粒子に再度戻って、
被加工物の研削に有効に作用する。また、従来のブロッ
ク砥粒より大きな砥粒作用面積を確保して、保持力が大
きく取れ、磨耗しても接触面積が変化せず、一定の研削
性能が維持できるとともに、砥粒強度としても大きくな
る傾向がある。さらにまた、前記吸着された潤滑用薄片
と球形砥粒または薄片状砥粒とを焼結して構成した場合
は、結合剤である高分子を揮発させ、雲母等により強固
に結合させたビトリファイド層状砥石を容易に形成させ
て研削効率を高めることができる。また、高分子電解質
を保護コロイドとして吸着させた多数の潤滑用薄片を電
解液中で電極に吸着させた後、該電極を所定速度にて回
転させて前記多数の潤滑用薄片を電解液の流体抵抗によ
り砥石母材上に倒伏させて一方向を向いて配列させ、次
いで、高分子電解質を保護コロイドとして吸着させ被研
削物との反応性に富んだ多数の球形砥粒を含む電解液
に、前記多数の潤滑用薄片を吸着した電極を挿入して、
電気泳動法によって球形砥粒を潤滑用薄片に吸着させ、
これを繰り返して潤滑用薄片と球形砥粒との層を交互に
積層して構成することによって、簡便な方法により、確
実に多数の潤滑用薄片を電解液中で電極に倒伏させて一
方向を向いて配列、吸着させることで、層状構造砥石が
工業的に容易に得られる。
【0028】さらに、前記潤滑用薄片が人工絹雲母であ
り、球形砥粒が球形シリカ粒子である場合は、シリコン
や水晶あるいはサファイヤ等の硬質の被研削物に対して
も、メカノケミカル作用を有効に威力を発揮するととも
に、円滑な潤滑作用が促進される。さらにまた、前記高
分子電解質の乾燥時に塩化カルシウムを添加した場合
は、アルギン酸ナトリウム等の高分子を結合剤として被
研削物に柔らかく作用するレジンボンド層状砥石の強度
を高めることができる。また、製造工程において前記球
形砥粒に代えて薄片状砥粒を用いた場合は、薄片状の絹
雲母を流体抵抗を利用して電極である砥石母材の表面上
に倒伏させて一方向を向いて配列させるようにして、電
気泳動法により被研削物との反応性に富んだ多数の薄片
状砥粒を多数の薄片状の絹雲に重合させて折り重なるよ
うに層状に容易に吸着させることが可能となる。かくし
て本発明によれば、層状砥石構造を人工的に容易に得ら
れるべく改良するとともに、簡便化された製造方法を得
て、被研削物の材質に対応したより効率的で精度の高い
水晶等の鏡面研削をも可能にする層状構造砥石およびそ
の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の層状構造砥石の製造工程図で、絹雲母
薄片が電極に付着した様子を示す工程図である。
【図2】同、層状構造砥石の製造工程図で、絹雲母薄片
が電極に対して倒伏する様子を示す工程図である。
【図3】同、層状構造砥石の製造工程図で、多数の絹雲
母薄片が電極に対して倒伏して重合する様子を示す工程
図である。
【図4】同、層状構造砥石の製造工程図で、潤滑用薄片
に球形砥粒が吸着される様子を示す工程図である。
【図5】同、層状構造砥石の製造工程図で、多層に積層
されつつある状態図である。
【図6】本発明の第2実施の形態を示す層状構造砥石図
である。
【図7】本発明の第3実施の形態を示す層状構造砥石図
である。
【符号の説明】
1 砥石母材(電極) 2 潤滑用薄片(絹雲母) 3 球形砥粒(球形シリカ)または薄片状砥

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥石母材上に一方向を向いて吸着された
    多数の潤滑用薄片からなる層と、これらの潤滑用薄片に
    吸着され被研削物との反応性に富んだ多数の球形砥粒か
    らなる層とを多数積層して構成したことを特徴とする層
    状構造砥石。
  2. 【請求項2】 砥石母材上に一方向を向いて吸着された
    多数の潤滑用薄片からなる層と、これらの潤滑用薄片に
    吸着され被研削物との反応性に富んだ多数の薄片状砥粒
    からなる層とを多数積層して構成したことを特徴とする
    層状構造砥石。
  3. 【請求項3】 前記砥石を積層に対して垂直に使用する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の層状構造砥
    石。
  4. 【請求項4】 前記吸着された潤滑用薄片と球形砥粒ま
    たは薄片状砥粒とを焼結して構成したことを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の層状構造砥石。
  5. 【請求項5】 高分子電解質を保護コロイドとして吸着
    させた多数の潤滑用薄片を電解液中で電極に吸着させた
    後、該電極を所定速度にて回転させて前記多数の潤滑用
    薄片を電解液の流体抵抗により砥石母材上に倒伏させて
    一方向を向いて配列させ、次いで、高分子電解質を保護
    コロイドとして吸着させ被研削物との反応性に富んだ多
    数の球形砥粒を含む電解液に、前記多数の潤滑用薄片を
    吸着した電極を挿入して、電気泳動法によって球形砥粒
    を潤滑用薄片に吸着させ、これを繰り返して潤滑用薄片
    と球形砥粒との層を交互に積層して構成することを特徴
    とする層状構造砥石の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記潤滑用薄片が人工絹雲母であり、球
    形砥粒が球形シリカ粒子であることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれかに記載の層状構造砥石または請求
    項5に記載の層状構造砥石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高分子電解質の乾燥時に塩化カルシ
    ウムを添加したことを特徴とする請求項5または6に記
    載の層状構造砥石の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記潤滑用薄片と球形砥粒との層を交互
    に積層して構成された砥石を電気炉中にて焼結すること
    によって、前記高分子電解質を揮発させてビトリファイ
    ド層状砥石を形成させることを特徴とする請求項5ない
    し7のいずれかに記載の層状構造砥石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記球形砥粒に代えて薄片状砥粒を用い
    たことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載
    の層状構造砥石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013503103A (ja) * 2009-08-25 2013-01-31 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 焼成凝集体の製造方法、焼成凝集体、研磨材組成物、及び研磨材物品

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