JP2003251217A - 多段分級装置 - Google Patents

多段分級装置

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JP2003251217A
JP2003251217A JP2002061141A JP2002061141A JP2003251217A JP 2003251217 A JP2003251217 A JP 2003251217A JP 2002061141 A JP2002061141 A JP 2002061141A JP 2002061141 A JP2002061141 A JP 2002061141A JP 2003251217 A JP2003251217 A JP 2003251217A
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classifying
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陽一 土田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い粒度分布をもつ原料の微粒子群から粒度
分布の狭い複数の微粒子群を同時に分収できる高精度で
効率的な多段分級装置を提供することにある。 【解決手段】 分級範囲の異なる複数の分級ユニット2
a、2bを同一回転軸1上に縦続配設して回転させ、各
分級ユニットで準剛体回転成層流を実現して、同時に複
数の粒度範囲の分級が高精度に行なわれるようにした。
特に各段の分級ユニットの分級室5a,5bの形状をす
べて幾何学的に相似なものとして、それぞれの寸法を、
各段の分級性能と微粒子の条件、運転条件などから普遍
的なスケール則に基づいて簡単に決定できるようにし
た。なお、3a,3bはコア、4a,4bはハウジン
グ、6は微粒子分散液供給口、7aは第1の分散媒供給
口、7bは第2の分散媒供給口、8は分級室間を連通す
る接続部、9は排出部である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散媒(流体)に懸
濁させた無機物あるいは有機物の微粒子状物質をその粒
度(粒径,形状,真密度など)の相違によって多段に高
精度で分級する多段分級装置に関するものであり、その
分級原理は、準剛体回転成層流中で微粒子状物質に作用
する遠心力及び流体抗力がその粒度の相違によって異な
ることを利用して分級する方式のものである。
【0002】従って、本発明は、微粒子状物質をそれら
の粒度の相違によって高精度で効率よく分級することが
要求されるどのような分野にも適用可能である。特に最
近注目を浴びている分野を挙げれば、材料機能の飛躍的
向上あるいは新機能の付加に不可欠な均一・サブミクロ
ン粉体を必要とする粉体工業分野や、電子機器の均一な
スペーサや、粒度によって材質を揃える必要のある半導
体産業をはじめとする電子産業分野、血小板製剤製造の
ための血液分離や有効なある特定の成分のみを抽出する
ことが要求される医薬品分野、蛋白質成分、微生物、細
胞等の分離を要求される食品分野・バイオ分野、ヘドロ
中からの有害な有機・無機物質の分離除去や水の高次処
理(汚濁物質の分離)を要求される環境分野、ウラン濃縮
のための遠心分離が必要な原子力産業分野などがある。
【0003】
【従来の技術】―般に、ファインセラミックス、高分子
材料、エレクトロニクス材料などの原料素材や中間素材
の多くは、微粒子の粉体からなっている。そして、この
ような材料の特牲は、主に粉体の特性によって左右され
るので、粉体の粒度の調整は重要な影響を及ぼす。した
がって、原料粉体の粒度調整には、厳しい均一牲と完全
性が求められる。この粒度調整では、従来から、乾式分
級や湿式分級などの分級装置を利用して粉体の粒度を一
定範囲に揃える方法がとられてきた。
【0004】ところで乾式分級では、サブミクロン粒子
の分級も行われているが、粒子表面への微粒子の付着や
凝集などによる分級性能の低下が問題となる。そこで,
分級精度や確実牲を要求する場合には,湿式分級に頼ら
ざるを得ないのが現状である。この湿式分級の乾式分級
に対する利点は、粒子間および粒子・器壁間付着や凝集
力がはるかに小さいことである。これは、液体分子同士
の分子間力が大きいので、相対的に粒子間に作用する分
子間力が弱められること、および粒子・液体境界面の電
気二重層により、粒子内に電気的反発力が発生するこ
と、によると考えられている。また、粒子の付着・凝集
を防止するために,乾式分級においては粒子の体積濃度
を極めて低く抑えなければならないが、湿式分級ではか
なりの高固体濃度においても実用上可能であるという利
点がある。しかし、湿式分級では、分級ゾーンの流体制
御が難しく、分級精度に問題があった。このため、近年
は、湿式で微粒子をさらに精度よく分級するために、分
級ゾーンでの流体乱れをいかに少なくするかについての
追求が行われている。このような目的で開発された湿式
分級装置としては,例えば、特公平3-97号公報に開示の
ものが知られている。
【0005】上記特公平3-97号公報に開示されている技
術では、断面円形状の回動体と該回動体と同軸にして回
動する内円筒との間に微粉体を含むスラリの旋回流を形
成させる。また、内円筒、該内円筒と同軸に回動する外
円筒との間に、水などの液体の旋回流を形成させ、この
旋回流とスラリの旋回流を内円筒の下方において互いに
合流させて、スプリッタにより分級するようにしてい
る。すなわち、スラリは内円筒の内部に形成される流路
を流下し、補助として加えられる水などの液体は、内円
筒と外円筒との間に形成された流路を旋回しながら流下
し、これらは内円筒と外円筒との間の下方に形成された
分級室内で合流する。分級室内では、スラリ中に含まれ
た微粉体中の粗粒のものは、微粒のものよりも粒度が大
きく、したがって重いので、スラリ旋回流による遠心力
の影響を大きく受けて周辺部に集まり、中央部に残る微
粒のものから分離される。その結果、下方のスプリッタ
において,中央部分では微粒の微粉体が,そして周辺部
においては粗粒の微粉体が、それぞれ分級されて回収さ
れる。
【0006】この分級装置においては、回動体と内円筒
の壁面が流体と共に回転しているため、流体と壁面との
速度差が少なく、流体の乱れは少ない。しかし、スラリ
と流体との境界の乱れは避けきれず、微粒中に粗粒が混
入するなどの問題を避けることができなかった。さら
に、上方に位置する内円筒や下方に位置するスプリッタ
が分級室内に影響して、流体の乱れを引き起こすという
不具合もあった。
【0007】そこで,本発明者らは、先に、上記分級装
置におけるこれらの問題の改良を図り、微粒産物への粗
大粒子の混入を防止して、より高精度の分級が可能な分
級装置を開発した。この本発明者らが改良した分級装置
の従来例は、特開平08−010641号公報に開示さ
れている。次に、図14および図15を用いてその概要
を説明する。
【0008】図14において、1は回転軸(ロータ)、
3は回転軸1に固着されているコア、4は同様に回転軸
1に固着されてコア3を囲んでいるハウジング、5はコ
ア3の外周面とハウジング4の内周面の間に形成されて
いる分級室、6は微粒子分散液(原料スラリ)供給口、
7は分散媒(水)供給口、9は排出部、10は排出口で
ある。図示の例では、ハウジング4の内周面はほぼ球面
をなし、コア3の外周面は両端が球面で中間が円筒面を
なしている。
【0009】コア3とハウジング4は回転軸1と一体に
高速回転しており、微粒子分散液(原料スラリ)と分散
媒(水)は、それぞれ上部の供給口6と7から分級室5
へ注入され、分級室5内で回転による遠心力を受けなが
ら、下方の排出部9へ貫流する。これにより、図15に
模式的に示されるように、分級室5内には、エクマン
層、剪断層(スチュワートソン層)、内部領域、剛体回
転領域を含む安定した準剛体回転成層流が生成される。
剛体回転領域は、ハウジング4の内周面と一体に回転す
る流れ領域である。注入された微粒子分散液は、遠心力
を受けながらコア3側のエクマン層を貫流する。分級は
主にエクマン層と剪断層(スチュワートソン層)で起こ
ると考えられる。エクマン層内の粒度の大きい(重い)
微粒子は、遠心力により剪断層(スチュワートソン層)
を越えて剛体回転領域へ飛ばされ、ハウジング4の内周
面へ付着することで捕集される。剛体回転領域へ飛ばさ
れた粒度の大きい(重い)微粒子は、剪断層(スチュワ
ートソン層)を越えて戻ることはできない。一方、エク
マン層内の粒度の小さな(軽い)微粒子は、遠心力によ
って剪断層(スチュワートソン層)を越えることができ
ず、分散媒とともに排出部9から排出され、微粒産物と
して回収される。この図14に示す分級装置では、生成
される準剛体回転成層流に流れの乱れが生じないため、
高い分級精度を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】原料素材として通常用
いられている微粒子粉体には、広い粒度分布をもつもの
があり、種々の粒度範囲について分級を要求される場合
が少なくない。しかし、従来の分級装置のほとんどは、
原料の微粒子粉体から微粒産物と粗粒産物の2群を分収
するだけの単段分級装置であり、広い粒度分布をもつ原
料の微粒子粉体から粒度分布の狭い複数群の微粒子産物
を得るには、分級範囲の異なる単段分級装置を複数台縦
続させて運転するしかなく、極めて非効率的であった。
【0011】本発明の課題は,広い粒度分布をもつ微粒
子群から粒度分布の狭い複数の微粒子群を同時に得る高
精度で効率的な多段分級装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による多段分級装
置は、上述した特開平08−10641号公報に開示さ
れている分級装置を単位の分級ユニットとして用いるも
ので、分級範囲の異なる複数の分級ユニットを同一回転
軸上に縦続配設して回転させ、各分級ユニットで準剛体
回転成層流を実現して、同時に複数の粒度範囲の分級が
高精度に行なわれるようにしたものである。特に各段の
分級ユニットの分級室の形状をすべて相似なものとし
て、それぞれの寸法を、各段の分級性能と微粒子の条
件、運転条件などから普遍的なスケール則に基づいて簡
単に決定できるようにした。
【0013】図1は、本発明による多段分級装置を2段
の場合について例示的に示す基本構成図である。なお,
この2段の場合には,原料の微粒子粉体から粗粒産物,
中粒産物,細粒産物の3群を分収することができる.図
中、1は回転軸、2aは第1(1段目)の分級ユニッ
ト、2bは第2(2段目)の分級ユニット、3a,3b
はコア、4a,4bはハウジング、5a,5bは分級
室、6は微粒子分散液供給口、7aは第1の分散媒供給
口、7bは第2の分散媒供給口、8は接続部、9は排出
部、10は排出口である。
【0014】第1の分級ユニット2aと第2の分級ユニ
ット2bの基本的機能は、図14で説明したところの、
特開平08−10641号公報に開示されている従来例
の分級装置のものと同じである。第1の分級ユニット2
aと第2の分級ユニット2bは、幾何学的にほぼ相似な
形状をしており、回転軸1上に隣接して取り付けられ
て、回転軸1と一体に高速回転される。
【0015】第1の分級ユニット2aは、コア3aとハ
ウジング4aの間に分級室5aをもつ。分級室5aに
は、上部の微粒子分散液供給口6と第1の分散媒供給口
7aから、それぞれ微粒子分散液と分散媒が供給され、
分級室5a内には準剛体回転成層流が生成される。微粒
子分散液は、分級室5a内のとりわけコア3aに沿った
エクマン層に流れを乱さないように注入され、一定粒度
範囲の粗粒は遠心力によってハウジング4aの内面壁へ
飛ばされて分級され、1段目での微粒産物は下方へ貫流
され接続部8へ排出される。なお、分級室5aにおける
分級の粗粒産物は、ハウジング4aの内面壁に付着させ
ることにより捕集される。
【0016】第1の分級ユニット2aから排出された1
段目の微粒産物は、接続部8を経て第2の分級ユニット
2bへ供給される。このとき、接続部8の途中に設けら
れている第2の分散媒供給口7bから分散媒が追加され
る。第2の分級ユニット2bも、第1の分級ユニット2
aと同様に、コア3bとハウジング4bの間に分級室5
bをもつ。接続部8から分級室5bへ供給される1段目
の微粒産物と追加の分散媒により、分級室5b内に準剛
体回転成層流が生成される。接続部8から供給される1
段目の微粒産物は、流れに乱れが生じないように、コア
3bに沿ったエクマン層に注入され分級される。2段目
の微粒産物(2段分級における細粒産物となる)は、分
級室5b下部の排出部9から排出口10へ排出される。
また2段目の粗粒産物(2段分級における中粒産物とな
る)は、ハウジング4bの内面壁に付着させて捕集され
る。
【0017】第1の分級ユニット2aの分級室5aと第
2の分級ユニット2bの分級室5bの寸法は、それぞれ
の分級範囲の微粒子の粒径にほぼ依存するスケール則に
基づいて決定される。
【0018】より一般的な多段の場合の本発明は、以下
のように構成される。 (1) 同一回転軸上に一体に回転できるように軸方向
に隣接して取り付けられた複数段の分級ユニットからな
り、各段の分級ユニットは、それぞれ回転体をなすコア
とハウジングを有して、コアの外周面とハウジングの内
周面との間に微粒子状物質を各段で粗粒と微粒に分級す
る分級室を形成し、また各段の分級ユニットの分級室は
幾何学的にほぼ相似な形状を有するとともに、順次の分
級室の回転半径は、段階的に増大あるいは減少するよう
に構成されていることを特徴とする多段分級装置の構
成。 (2) 上記複数段の分級ユニットの初段には、微粒子
状物質の分散液と分散媒の供給口が設けられ、また各隣
接する段の分級ユニット間には、分級室同士を連通する
接続部が設けられ、そして終段の分級ユニットには最細
粒産物の排出部が設けられていることを特徴とする前項
(1)に記載の多段分級装置の構成。 (3) 上記各隣接する段の分級ユニット間に設けられ
る接続部に、分散媒を供給する手段を備えていることを
特徴とする前項(2)に記載の多段分級装置の構成。 (4) 上記各段の分級ユニットにおいて、各段の粗粒
産物は、ハウジングの内周面に付着させて捕集されるこ
とを特徴とする前項(1)ないし(3)のいずれかに記
載の多段分級装置の構成。 (5) 上記各段の分級ユニットの寸法は、それぞれの
分級範囲に応じてスケール則に基づき決定されているこ
とを特徴とする前項(1)ないし(3)のいずれかに記
載の多段分級装置の構成。 (6) 上記スケール則は、各段の分級ユニットで分級
される微粒子状物質の粒度(粒径,形状,真密度など)
に基づくものであることを特徴とする前項(5)に記載
の多段分級装置の構成。 (7) 上記スケール則は、各段の分級ユニットの各々
の寸法が、上記各段の分級室に要求されている分級産物
の粒度範囲等に対して,産物の収率と粒度分布等が最も
よくなるように決定されるものであることを特徴とする
前項(5)に記載の多段分級装置の構成 。 (8) 上記スケール則は、各段の分級ユニットの代表
寸法により無次元化されるN%分級径(球相当径)DPN
(N=0〜100%)が、各段の分級ユニットの局所的な遠
心効果パラメータCEのほぼ一意的な関数DPN≒F(CE)
で表わされるものであることを特徴とする前項(5)に
記載の多段分級装置の構成。 (9) 上記各段の分級ユニットの内周面が球面であ
り、コアの外周面が球面の中間部を円柱面で置き換えた
円柱・球面形状をなしており、スケール則DPN≒F
(CE)は、少なくとも、 DP0≒0.22CE -0.5、DP50≒0.13CE -0.5、DP100≒0.0
86CE -0.5 で表されることを特徴とする前項(8)に記載の多段分
級装置の構成 。 (10) 前項(1)に記載されているように構成され
ている多段分級装置の運転において、上記回転軸は、上
記各段の分級室において分散媒の準剛体回転成層流が生
成されるように回転されることを特徴とする多段分級装
置の運転方法の構成。 (11) 上記各段の分級ユニットの分級室内に安定的
に準剛体回転成層流を生成させる流れ条件として、およ
そRS<8E0.5 (RS:各段でのロスビー数,E:各段
でのエクマン数)を用いることを特徴とする前項(1
0)に記載の多段分級装置の運転方法の構成。 (12) 上記各段の分級ユニット間の接続部に分散媒
を供給することにより、微粒子状物質を次段のコア壁面
の近傍に集中させて各段の分級室の入口付近に相似な流
れを形成することを特徴とする前項(10)に記載の多
段分級装置の運転方法の構成。 (13) 上記各段の分級室の入口付近において、微粒
子状物質分散液と分散媒の合計流量Q* に対する微粒子
状物質分散液の流量QO * の比kO=QO * /Q*の上限値
を0.5とすることを特徴とする前項(12)に記載の
多段分級装置の運転方法の構成。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図2ないし図10を参照し
て、本発明を具体化した実施例につき説明する。なお、
以下に示す実施例は例示的なものであって、本発明の技
術的範囲を限定するものではない。
【0020】本実施例は、多段分級装置の基礎をなすと
考えられる2段分級装置についてのものである。なお、
3段以上の多段分級装置についても、以下と同様にして
容易に本発明を実施することができる。 1.分級ユニットのスケール則の作成 まず、2段分級装置の各段の分級ユニットにおける相似
形状のハウジングとコアのスケール則を明らかにするた
め、図14で説明した特開平08−010641号公報
に開示の、円柱・球形状のコアをもつ単段分級装置を用
いて、種々の微粒子の条件及び運転条件に対し分級試験
を行った。なお、上記の単段分級装置のサイズに対する
相似比がそれぞれ7/10と5/10の単段分級装置も用い
て同様に分級試験を行った。使用した原料の微粒子群
は、真比重γ=ρP */ρ*=2.2、動力学的形状係数κ=1
(球形粒子)、メディアン径DPM *=0.8, 1.1, 1.4μmの
シリカ粒子、並びにγ=1.19、κ=1、DPM *=4.7μmのポ
リメタクリル酸メチル粒子である。ここで、ρ*は分散
媒である流体(水)の密度、ρP *は微粒子の真密度であ
る。
【0021】図2は、単段分級試験結果により明らかに
なったN%分級径DPN *の無次元値DPN=DPN */a* (a*
はコアの円柱部の半径)、についてのスケール則を示
す。ここでDPN *は、質量基準の部分分級効率ΔηがN
%となる粒径である。なお、N=0〜100%であるが、図
2では、N=0,50,100%の場合のDPN *を示す。図3
は、N%分級径DPN *と粒径DP *の頻度分布との関係を
説明するためのグラフであり、50%分級径DP50 *につ
いての例を示す。図3のグラフにおいて、横軸は粒径
値、縦軸は粒径の頻度値であり、f0は原料粉の粒径の頻
度分布曲線、f0/2はその50%値曲線、fFは単段分級
結果の微粒産物の粒径の頻度分布曲線を表わす。f0/2
曲線とfF曲線が交わる点の粒径値がDP50 *となる。DPM
*はf0頻度分布曲線のメディアン径であり、頻度分布の
面積中心を示す。
【0022】図2において、横軸のCE(=(γ-1)/(κ
E RS))は、微粒子に作用する流体抗力に対する遠心力
の比を特徴づける遠心効果パラメータである。ここで、
E(=ν*/(Ω*a*2))はエクマン数、RS(=Q*/[4πΩ*a
*2*/Ω*) 0.5])はロスビー数である。ただし、ν*
は流体の動粘度、Ω*は装置の回転角速度である。図2
から明らかなように、DP0,DP50,DP100 の各分布に
はばらつきが見られるものの、それぞれ、曲線DP0=0.
22CE -0.5、DP50=0.13CE -0.5、DP100=0.086CE
-0.5で近似することができ、その他のDPNについても同
様な近似が可能である。したがって、N%分級径は、単
段分級室寸法(a*)や微粒子条件(γ,κ,DPM *)、運転
条件(Ω*,Q*あるいはE,RS)には直接影響されず、
遠心効果パラメータの一意な関数として決まるスケール
則が成立する。なお、この関数CEは、本実施例の円柱
・球形状のコアとハウジングを用いる場合のものであ
り、コアとハウジングの形状が変化すれば異なってく
る。本実施例では、スケール則を求めるために三つの相
似な単段分級装置を用いたが、これは,微粒子の条件及
び運転条件の都合上、一つの装置だけでは遠心効果パラ
メータCEの広い範囲をカバーできなかったからであ
る。 2.スケール則に基づく各段の分級室寸法と運転条件の
決定 次に、使用する微粒子の条件および要求されている産物
の粒度範囲から、上記のスケール則に基づいて各段の分
級室寸法と運転条件を決定する。ここでは、2段分級の
中粒産物が要求されているものとする。まず、使用する
原料の微粒子は上記のシリカ粒子(γ=2.2,κ=1,DPM *
=1.4μm)で、要求されている中粒産物の粒度(ここで
は粒径)範囲は0.5〜2.5μmとする。そして、各段の分
級室の代表寸法として、i (=1,2)段目のコアの円筒部
の半径a *をとり、運転条件としてi 段目の局所的な
遠心効果パラメータCEiの値を仮定する。ここで、遠心
効果パラメータCEiは、i 段目の局所的なエクマン数と
ロスビー数をそれぞれEi=ν*/(Ω*ai *2),RSi=Qi *
/[4πΩ*i *2*/Ω*)0.5]として、CEi=(γ- 1)
/ (κEiSi) と定義されている。なおΩ*は回転角
速度を表わす。次に、図2におけるCEiに対するN%分
級径DPNi *(=DPNii *)から、i 段目の単段分級装置
としての微粒産物の部分分級効率ΔηSiの概略を求め
る。そして、これを理論的関係式ΔηM=ΔηS1(1−Δ
ηS2)に代入して、2段分級の中粒産物の部分分級効率
ΔηM(= fM/fO)を求める。ここで、fM,fOはそれ
ぞれ中粒産物と原料微粒子群の頻度分布である。
【0023】図4は、ΔηMがその収率(面積)と分布形
状から考えてもっともよいと思われる条件a1 *=43.58m
m、a2 *=101.70mm、CE1=1.8×107、CE2=2.7×108
得られた結果を示す。図中には、上記のΔηS1、ΔηS2
から求められる2段分級の細粒産物と粗粒産物の部分分
級効率ΔηF(= fF/fO=ΔηS1 ΔηS2)、ΔηC(=
C/fO=1−ΔηS1)も示してある。ここで、fF、fC
は、それぞれ細粒産物と粗粒産物の頻度分布である。 3.2段分級装置の製作 次に、上述のように決定された1,2段目の分級室の寸
法を基に製作した2段分級装置並びにそれを用いて行っ
た分級試験により得られた分級性能について述べる。
【0024】図5は、製作した2段分級装置の側断面図
であり、図6は、図5に示す2段分級装置の要部拡大図
である。図5および図6において、11a、11bは2
段の分級ユニット、12はベース、13、14は軸受、
15は回転軸、16はプーリ、17a、17bはコア、
18a、18bはハウジング、19a、19bは分級
室、20は流入側スリップリング、21は第1の供給口
(供給管)、22aは第2の供給口、22bは分散媒の供
給円筒部、22cは第3の供給口、22dは第4の供給
口、23aは接続部(回転二重円筒部)、23cは排出
部、24は排出孔(2段分級の細粒産物の排出円筒
部)、25は流出側スリップリング、26は排出口であ
る。
【0025】図5および図6に示すように、ベース12
に軸受13および14を介して回転軸15が回転自在に
支持されており、その下部には駆動力を伝達するための
プーリ16が取り付けられている。そして回転軸15の
上端部には、各段(1,2段目)の分級ユニット11a、
11bが結合される。1段目の分級ユニット11aはコ
ア17aとハウジング18aからなり、2段目の分級ユ
ニット11bはコア17bとハウジング18bからな
る。各段のコア17a、17bの外周面は球面の中間部
を円柱面で置換した円柱・球面形状をなし、それと対を
なす各段のハウジング18a、18bの内周面は球面形
状をなしている。各段の分級ユニット11a、11bの
コアとハウジングは、回転軸15に固着されて、一体で
の高速回転を可能にされ、さらにコアの外周面とハウジ
ングの内周面との間の隙間により、それぞれ分級室19
aと19bが形成されている。
【0026】1段目の分級ユニット11aのハウジング
18aの上端部には、流入側スリップリング20が接続
されており、この流入側スリップリング20の軸芯位置
に第1の供給口(供給管)21が設けられ、さらにその外
側に第2の供給口22aが、そして側面には第3の供給
口22cが設けられている。そして、第1の供給口21
からは原料微粒子群の分散液(分散媒は水)が、また第2
の供給口22aからは分散媒(水)が、それぞれ1段目の
分級室19aに供給される。1段目の分級室19aにお
ける分級結果の粗粒産物は、ハウジング18aの内周壁
面に付着させることにより捕集される。他方,粗粒産物
を除いた残りのものは、分級室19aの下方に設けられ
た接続部(回転二重円筒部)23aを通って2段目の分
級室19bに供給される。これと同時に、第3の供給口
22cより流入した分散媒(水)が、接続部(回転二重円
筒部)23aの側面に設けられた第4の供給口22dか
ら、2段目の分級室19bに供給され、2段目の分級が
行われる。分級室19bにおける2段目の分級結果の微
粒産物(2段分級での細粒産物となる)は、分級室19
bの下方軸芯位置に設けられた排出部23cから排出さ
れる。この排出部23cは、回転軸15の軸芯位置に貫
通された排出孔24に連通されている。この排出孔(細
粒産物の排出円筒部)24は、さらに回転軸15の下端
部に接続された流出側スリップリング25に連通され、
この流出側スリップリング25に設けられた排出口26
から、細粒産物が取り出される。他方、2段目の分級結
果の粗粒産物(2段目での中粒産物となる)は、ハウジ
ング18bの内周壁面に付着させることにより捕集され
る。
【0027】図6に示す2段分級装置における主要部分
の具体的寸法および流量の関係を以下に示す(単位はm
m)。 コア17aの円柱部の半径:a1 * =43.58 コア17bの円柱部の半径:a2 *=101.70 コア17aの球部の半径:RC1 *=52.73 コア17bの球部の半径:RC2 * =123.06 ハウジング18aの球面部分の半径:RH1 * =56.6
9 ハウジング18bの球面部分の半径:RH2 * =132.
28 第1の供給口(微粒子状物質の分散液の供給管)21の
内径:dO *=6 第1の供給口(微粒子状物質の分散液の供給管)21の
外径:=8 分散媒の供給円筒部22bの内径:dW * =13.1 接続部(回転二重円筒部)23aの隙間幅:aC1 * =6 接続部(回転二重円筒部)23aの外円筒の半径:a12
* =38 排出孔(細粒産物の排出円筒部)24の直径:dF *
6 1段目と2段目のハウジングの球面部の中心間距離:l
12 * =196.73 i (=1,2)段目入口での分散液の流量(QO2 *=Q
*):QOi * i 段目での分散液と分散媒の合計流量(Q2 *は細粒産物
の流量):Qi * i 段目入口での分散媒の流量:Qi *−QOi * 4.2段分級装置の運転と分級試験 上記のような2段分級装置において、分級室19a,1
9bに原料微粒子群の分散液及び分散媒を供給するとと
もに、コア17a,17bおよびハウジング18a,1
8bを一体的に角速度Ω*で高速回転させることによ
り、上記分級室19a,19b内で準剛体回転成層流を
生成させる。そして、この準剛体回転成層流内で、原料
の微粒子群を分級することにより、粗大側粒子の混入が
完全に防止された中粒産物は、2段目のハウジング18
bの内周壁面に付着捕集され、また細粒産物は排出口2
6から取り出される。
【0028】ここで、2段分級装置における分級の試験
条件について詳述する。流れの可視化実験により求めら
れた、安定的な準剛体回転成層流が得られるための流れ
条件は、およそRSi<8Ei 0.5である。よって、上記2
段分級装置を用いた実験では、E1=1.3×10-5
S1=5.0×10-3、E2=2.5×10-6 、RS2
1.8×10-3に設定した。また、使用した微粒子状物
質は前述のシリカ粒子で、これと分散剤(セルナ)を分散
媒(水)にそれぞれ質量濃度1.0%で加えて原料の分散
液とした。そして、i 段目の入口部での分散液と分散媒
の合計流量Qi *に対する分散液の流量QOi * の比k0i
=QOi * /Qi *を、本試験ではkO1=0.35、k02
0.47とした。なお、k0iの値には、以下に述べるよ
うに、分級精度の観点から上限値が存在する。この上限
値は、分散液がコア近傍のエクマン層にのみ供給され、
ハウジング近傍のエクマン層には供給されないという条
件から導かれる。もしもこの上限値を超えて分散液が供
給されると、分散液がハウジング近傍のエクマン層に供
給され、その中の微細粒子が粗粒産物として捕集されや
すくなるので、高い分級精度は得られない。この上限値
は、エクマン層流れの理論解から、kOi=(1+BC 2)0.25
/[(1+BC 2)0.25+(1+BH 2)0.25]と求められる。ここ
で、BC,BHは、それぞれi 段目の入口部の半径位置
におけるコア壁面とハウジング壁面 の傾き(回転軸に垂
直な壁面の傾きの場合B=0)である。本実施例のコアと
ハウジングの形状の場合、およそ、BC=0、BH=0であ
るので、上限値は0.5である。得られた分級試験結果
を、図7ないし図9に示す。
【0029】図7は,原料の微粒子群(Feed),細粒産物
(Fine),中粒産物(Medium),粗粒産物(Coarse)の各ふる
い上積算分布(質量基準)RO ,RF,RM ,RCを示す。
なお、図中の曲線は実験点の関数近似曲線を示す。ただ
し、粗粒産物(Coarse)のふるい上積算分布の曲線は、理
論的関係式RC=(RO−ηFF−ηMM)/ηC に上記
のRO ,RF ,RM の近似関数を代入して求めたもの
で、実験点との相違は実験誤差である。また、細粒産物
(Fine)、中粒産物(Medium)、粗粒産物(Coarse)の収率
は、それぞれηF=0.08、ηM=0.16、ηC
0.76である。
【0030】図8は、図7の曲線の関数を微分して求め
た原料微粒子群(Feed)、細粒産物(Fine)、中粒産物(Med
ium)、粗粒産物(Coarse)の各頻度分布fO=−dRO/d
P *、fF=−ηFdRF/dDP *、fM=−ηMdRM/d
P *、fC=−ηCdRC/dDP *を示す。ここで、DP *
は粒径である。
【0031】図9は、図8の頻度分布より得た原料微粒
子群、細粒産物、中粒産物、粗粒産物の各部分分級効率
ΔηF、ΔηM、ΔηCを示す。この結果は、前述のスケ
ール則より求めた図4の結果と大体一致している。5.
接続部の流れおよび粒子運動の数値シミュレーション図
10は、1段目と2段目の分級ユニットの間の接続部2
7の断面を示す。接続部27の分散媒の供給口30より
分散媒を供給することにより、コア28とハウジング2
9の間の回転二重円筒部の隙間を流れる分散液中の粒子
を、2段目のコア壁面31の近傍に集中させて分級性能
の高精度化をはかることができる。次に、接続部の寸法
を適切に決定するために行なった流れおよび粒子運動の
数値シミュレーション結果について述べる。この数値シ
ミュレーションに用いた接続部27における具体的寸法
(単位はmm)および流量の関係を以下に示す。 接続部の回転二重円筒部の外円筒の半径:a12 * 1段目の流路幅:Dh1 *=0.13a12 * 2段目の流路幅:Dh2 *=0.26a12 * 分散媒の供給口の流路幅:Dha *=0.05a12 * 回転二重円筒部の隙間幅:aC1 *=(0.05〜0.1
6)a12 * 接続部の入口及び出口半径:aC2 *=1.18a12 * 1段目の流路と分散媒の供給口30との距離:Dj1 *
(0.13〜0.79)a 12 * 2段目の流路と分散媒の供給口30との距離:Dj2 *
(0.21〜0.40)a12 * 2段目入口での分散液の流量:QO2 * 2段目での分散液と分散媒の合計流量:Q2 * なお、流れ場は、非圧縮性粘性流体の運動方程式(ナビ
ィエ・ストークス式)を直接数値積分することにより求
められ、粒子の運動軌跡は、粒子の運動方程式(バセッ
ト・ブシネスク・オゼーン式、ただしバセット項と重力
項は無視)を直接数値積分することにより求められる。
【0032】図11は、接続部における局所的なエクマ
ン数E12=ν*/(Ω*12 *2)=7.5×10-6、ロス
ビー数RS12=QO2 */(4πΩ*12 *312 0.5 )=
6.5×10-3、流量比kO2=0.5の場合の準剛体回
転成層流において、 最もコア壁面の近傍に粒子を集中
できる接続部の寸法であるaC1 *=0.16a12 *、Dj1
* =0.40a12 *、Dj2 * =0.21a12 *における流
線図を示す。なお、接続部の入口および出口ならびに分
散媒の供給口付近の流れ(スチュワートソン層)は、境界
条件(一様流の流入・流出)の設定上から生じる流れであ
る。
【0033】図12は、図11の流れにおける粒子径D
P *=2.0μmの上記シリカ粒子(γ=2.2,κ=1)の軌道
を示す。粒子は、2段目のコア壁面31の近傍に集中し
ている。図5,図6に示す2段分級装置の接続部は、こ
れらの解析結果に基づいて設計されている。 6.多段分級装置の設計処理方法 本発明による多段分級装置の各段の分級ユニットの寸法
は、スケール則を用いることにより簡単に決定できる
が、計算機を利用して、設計を自動化することができ
る。図13にその設計処理手順のフローを示す。以下、
フローの順次のステップS0〜S5にしたがって、処理
手順の詳細を説明する。 S0:多段(L段とする)分級装置の各段の分級室と幾
何学的に相似な単一の分級室からなる単段分級装置を用
いて、基礎的な分級試験を行ない、データを収集してス
ケール則を作成する。無次元のN%分級径DPN=DPN *
/a* (単段分級での質量基準の微粒産物の部分分級効率
Δηs(DPN *)=N/100、N=0〜100%)は、近似的に遠
心効果パラメータCE=(γ-1)/(κE RS)のみの関数
で表されるという分級性能についての普遍的なスケール
則DPN≒FN(CE)を得るため、種々の微粒子の条件(真
比重γ=ρP */ρ*、動力学的形状係数κ、質量基準の頻
度分布f0(D P *)、あるいは粒子直径DP *の範囲、メディ
アン径DPM *)、分級室寸法(代表長さとしてコアの円柱
部の半径a* )ならびに装置の運転条件(回転角速度
Ω*、貫流量Q*(微粒子の分散液流量Q0 *と分散媒流量
*−Q0 *の合計)、分散媒(流体)の動粘度ν*あるい
はエクマン数E=ν*/(Ω*a*2)、ロスビー数RS=Q*
/[4πΩ**2*/Ω*)0.5)]のもとで分級試験を行
ない、関数FN(CE)を求める。ここで、ρ*は分散媒で
ある流体(水)の密度、ρP *は微粒子の真密度である。 S1:原料として供給する多段分級対象の微粒子の真比
重γ、動力学的形状係数κ、質量基準の頻度分布f01
(DP *)、流体の動粘度ν*を与える。 S2:多段分級装置の寸法、運転条件を仮設定する。寸
法、運転条件として、多段分級装置の回転角速度Ω*、i
段目(i=1,2,‥‥,L)におけるコアの円柱部
の半径ai *、貫流量Qi *(微粒子の分散液流量QOi *と分
散媒流量Qi *−QOi *の合計)、すなわちi 段目の局所
的な遠心効果パラメータCEiの値を仮定する。ここで、
Eiは、局所的なエクマン数とロスビー数をそれぞれE
i =ν*/(Ω* ai *2)、RSi=Qi */[4πΩ*i *2*/Ω
*)0.5)として、CEi=(γ- 1)/ (κEiSi) と定義さ
れている。 S3:S0で得られた関数FN(CE)により、i 段目の単
段分級装置としての局所的な微粒産物の部分分級効率
(質量基準)Δηsi(DPN *)=N/100を求める。ここ
で、DPN=DPN */a*、N=0〜100%である。ただし、
Δηsiは、i 段目の単段分級装置の局所的な微粒産物、
粗粒産物、原料微粒子の各頻度分布を、fFi、fCi、f
Oiとして、ΔηSi= fFi/fOi=(fOi−fCi)/f
Oiである。 S4:S3で得られたi 段目(i=1,2,‥‥,L)
の単段分級装置としての部分分級効率ΔηSiより、i 段
目のハウジング壁に付着する産物の部分分級効率Δηi
= fCi/fO1 =ΔηS1…Δηs(i-1)(1−Δηsi)およ
び最終L段目から流出する産物の部分分級効率ΔηL+1
=fFL/fO1 =Δηs1…ΔηsL を求める。なお、Δη
1, …,ΔηL+1 とΔηs1,…,ΔηsL の関係は、ここで
は説明を省略するが理論的考察から得られる。 S5:S4で得られた部分分級効率Δη1,…,ΔηL, Δ
ηL+1 あるいは頻度分布fC1,…,fCL,fFL が、要求さ
れている産物の条件を満足しなければ、S2で仮設定し
た多段分級装置の寸法、運転条件を変更して、S3〜S
5の処理をやり直す。
【0034】このようにして、満足な結果が得られた段
階で処理を終了し、多段分級装置の設計値として決定す
る。
【0035】
【発明の効果】本発明によって,準剛体回転成層流を用
いた高精度の多段分級装置が実現された結果、広い粒度
分布をもつ微粒子群から粒度範囲の狭い複数の微粒子群
を同時に得ることができるようになり、一台の装置で効
率よく微粒子を均一化することが可能となる。また、与
えられた原料微粒子の条件と要求される分級範囲に応じ
た最適の多段分級装置を設計することが容易であり、コ
ストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多段分級装置の基本構成図であ
る。
【図2】円柱・球形状の単段分級装置のスケール則を示
すグラフである。
【図3】分級径と頻度分布を説明するグラフである。
【図4】図2のスケール則から求めた2段分級装置での
各産物の部分分級効率を示すグラフである。
【図5】本発明による2段分級装置の1実施例の側断面
図である。
【図6】図5に示す2段分級装置の1実施例の要部拡大
図である。
【図7】本発明による2段分級装置の1実施例の分級試
験結果としてふるい上積算分布を示すグラフである。
【図8】図7における分級試験結果に基づいて求めた頻
度分布を示すグラフである。
【図9】図8における頻度分布に基づいて求めた部分分
級効率を示すグラフである。
【図10】数値シミュレーションを行った接続部の側断
面図である。
【図11】最もコア壁面近傍に微粒子を集中できる接続
部寸法における流線図である。
【図12】最もコア壁面近傍に微粒子を集中できる接続
部寸法における微粒子軌道図である。
【図13】本発明の多段分級装置のための設計処理手順
のフロー図である。
【図14】単段分級装置の従来例の側断面図である。
【図15】図14に示す単段分級装置の従来例の原理説
明図である。
【符号の説明】
1:回転軸 2a:第1の分級ユニット 2b:第2の分級ユニット 3a,3b:コア 4a,4b:ハウジング 5a,5b:分級室 6:微粒子分散液供給口 7a:第1の分散媒供給口 7b:第2の分散媒供給口 8:接続部 9:排出部 10:排出口

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一回転軸上に一体に回転できるように
    軸方向に隣接して取り付けられた複数段の分級ユニット
    からなり、 各段の分級ユニットは、それぞれ回転体をなすコアとハ
    ウジングを有して、コアの外周面とハウジングの内周面
    との間に微粒子状物質を各段で粗粒と微粒に分級する分
    級室を形成し、また各段の分級ユニットの分級室は幾何
    学的にほぼ相似な形状を有するとともに、順次の分級室
    の回転半径は、段階的に増大あるいは減少するように構
    成されていることを特徴とする多段分級装置。
  2. 【請求項2】 上記複数段の分級ユニットの初段には、
    微粒子状物質の分散液と分散媒の供給口が設けられ、ま
    た各隣接する段の分級ユニット間には、分級室同士を連
    通する接続部が設けられ、そして終段の分級ユニットに
    は最細粒産物の排出部が設けられていることを特徴とす
    る請求項1に記載の多段分級装置。
  3. 【請求項3】 上記各隣接する段の分級ユニット間に設
    けられる接続部に、分散媒を供給する手段を備えている
    ことを特徴とする請求項2に記載の多段分級装置。
  4. 【請求項4】 上記各段の分級ユニットにおいて、各段
    での粗粒産物は、ハウジングの内周面に付着させて捕集
    されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の多段分級装置。
  5. 【請求項5】 上記各段の分級ユニットの寸法は、それ
    ぞれの分級範囲に応じてスケール則に基づき決定されて
    いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ
    かに記載の多段分級装置。
  6. 【請求項6】 上記スケール則は、各段の分級ユニット
    で分級される微粒子状物質の粒度(粒径,形状,真密度
    など)に基づくものであることを特徴とする請求項5に
    記載の多段分級装置 。
  7. 【請求項7】 上記スケール則は、各段の分級ユニット
    の各々の寸法が、上記各段の分級室に要求されている分
    級産物の粒度範囲等に対して,産物の収率と粒度分布等
    が最もよくなるように決定されるものであることを特徴
    とする請求項5に記載の多段分級装置 。
  8. 【請求項8】 上記スケール則は、各段の分級ユニット
    の代表寸法により無次元化されるN%分級径(球相当
    径)DPN (N=0〜100%) が、各段の分級ユニットの局
    所的な遠心効果パラメータCEのほぼ一意的な関数DPN
    ≒F(CE)で表わされるものであることを特徴とする請
    求項5に記載の多段分級装置 。
  9. 【請求項9】 上記各段の分級ユニットのハウジングの
    内周面が球面であり、コアの外周面が球面の中間部を円
    柱面で置き換えた円柱・球面形状をなしており、スケー
    ル則DPN≒F(CE)は、少なくとも、 DP0≒0.22CE -0.5、DP50≒0.13CE -0.5、DP100≒0.0
    86CE -0.5 で表されることを特徴とする請求項8に記載の多段分級
    装置 。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の多段分級装置の運転
    において、上記回転軸は、上記各段の分級室において分
    散媒の準剛体回転成層流が生成されるように回転される
    ことを特徴とする多段分級装置の運転方法。
  11. 【請求項11】 上記各段の分級ユニットの分級室内に
    安定的に準剛体回転成層流を生成させる流れ条件とし
    て、およそRS<8E0.5 (RS:各段でのロスビー数,
    E:各段でのエクマン数)を用いることを特徴とする請
    求項10に記載の多段分級装置の運転方法。
  12. 【請求項12】 上記各段の分級ユニット間の接続部に
    分散媒を供給することにより、微粒子状物質を次段のコ
    ア壁面の近傍に集中させて各段の分級室の入口付近に相
    似な流れを形成することを特徴とする請求項10に記載
    の多段分級装置の運転方法。
  13. 【請求項13】 上記各段の分級室の入口付近におい
    て、微粒子状物質分散液と分散媒の合計流量Q* に対す
    る微粒子状物質分散液の流量QO * の比kO=Q O * /Q*
    の上限値を0.5とすることを特徴とする請求項12に
    記載の多段分級装置の運転方法。
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