JP2003250369A - 海苔及び海洋生物育成用組成物 - Google Patents

海苔及び海洋生物育成用組成物

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勝也 迎
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    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
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  • Cultivation Of Seaweed (AREA)
  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】海苔養殖や海洋生物の育成に有用で且つそれら
の生産性を向上させ、併せて海洋環境を良好に維持でき
る海苔及び海洋生物育成用組成物を得る。 【解決手段】海苔及び海洋生物を育成するための組成物
であって、該組成物がアデニン、チミン、グアニン、シ
トシン、ウラシル、プロリン、グルタミン酸ナトリウ
ム、イノシン酸、光合成細菌、クロロフィル、糖蜜、ブ
ドウ糖、アデノシン、生石灰及び無機リン酸類を含み、
且つ、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニ
ウム、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)アンモニ
ウム、水溶性無機鉄塩から選ばれた少なくとも1種の鉄
化合物を含有してなることを特徴とする海苔及び海洋生
物育成用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海苔及び海洋生物育成
用組成物に関し、より具体的には海苔養殖及び魚介類、
海草類等の海洋生物を育成するための組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、海苔や魚介類等の海洋生物類の養
殖が海岸や湖岸などの各地で行われている。このうち、
海苔の育成すなわち海苔養殖を例にすると、蠣を海へ下
げたり、漬け込み海苔の胞子を蠣の内側に入り込ませて
海苔種胞子を育成し、蠣殻から胞子が抜ける時期に水槽
に蠣殻を入れ、回転水車に海苔網を巻き付けて回転させ
て浸す方法や、落下傘等に種子蠣を入れ、胞子が海苔網
に吸着しているかを顕微鏡で見ながら、種海苔種苗を実
施する方法などが行われている。
【0003】このうち、種海苔種苗を実施する方法で
は、海苔の種胞子が海苔網に吸着したら、その後、海に
2日から3日程度海苔網を張って海水に胞子をなじませ
る。海苔網に胞子長さが約0.8〜1.5cmに成長し
たものが種海苔網になる。特に冬季における海苔養殖の
場合においては、予め種海苔網を冷蔵庫や冷凍庫に保管
して胞子を休眠させておき、海苔養殖のシーズン時に、
冷蔵庫や冷凍庫から出して養殖作業が行われる。
【0004】上記養殖作業に際し、まず、種海苔網に対
して、海苔の赤くされ病、白くされ病等の海苔病害を防
止し、またアオノリや珪藻等の雑藻類を駆除するため、
有機酸や強い無機酸類、さらには猛毒な劇物(ホルマリ
ン)で処理することが行われている。その後、該種海苔
網を海に張って海苔を成長させて収穫する。収穫した海
苔は、ダンベ(箱船)に予め投入、収容された栄養剤を
含む海水に漬け込まれる。一方、種海苔網は、再び有機
酸、強い無機酸で処理した後、海に入れ、海苔収穫を5
日から10日程度の間隔で繰り返し行っている。
【0005】しかし、この場合、有機酸や強い無機酸類
で処理した種海苔網を海中に入れることから、海が有機
酸や強い無機酸類で汚染されることになり、またダンベ
中の使用済み処理液を海中投棄することが多く、そのた
め海での負荷が増大し、海洋環境を悪化させる要因の一
つとなっている。さらに、近年、水道水や農業用水、あ
るいは工業用水を確保するために、海洋に注ぐ河川の水
を堰やダムによって堰き止め、採水するケースがますま
す増えてきている。このため、海洋に注ぐ新鮮な河川水
とそこに含まれる栄養塩、栄養物質が減少し、これまた
海洋環境を悪化させる要因となっている。
【0006】従来における以上の問題に加え、次のよう
な問題がある。 (1)自然界における海水中での海苔の養殖は、特に、
赤潮、海底の土中の変化、有害イオン反応などにより大
きく左右され、気候、海水温度、海水中の栄養塩、植物
プランクトン、動物プランクトン、海水微生物群等のバ
ランスが整わないと全て不魚になる。 (2)海洋、特に海水の移動が少ない海洋において、前
述のように酸処理液が海洋投棄されると、それだけでも
海洋汚染の要因となるだけでなく、それが特に密度の大
きい酸処理液の場合には、海底に沈降、蓄積し、次第に
酸性の海水層が形成される。そうすると、有機物質、窒
素成分、イオウ成分を分解する微生物が死滅する環境と
なり、海底から硫化水素やアンモニアなどが発生しやす
くなる。その結果、微生物が生息しにくい海水環境汚染
を引き起こすことになる。 (3)海水環境汚染により海水中の微生物群が減少する
と、これが魚介類の餌となる底生生物の減少につなが
る。 (4)海水環境汚染により海水浄化機能が衰えて富栄養
化しやすくなり、これが赤潮の発生原因になる。 (5)引潮時における海土についても、ここに生息する
魚介類や海の原生動物が海水環境汚染により減少する。
これにより飛来する鳥の餌がなくなることから飛来鳥が
少なくなり、海土の上への飛来鳥による糞尿栄養の減少
につながる。
【0007】このように、有機酸や強い無機酸類、栄養
剤を含む海水、さらには海洋に注ぐ新鮮な河川水の減少
により海洋環境が悪化すると様々の問題が生じるが、こ
れらの問題は、海苔養殖とは限らず、魚介類を養殖する
場合や、海草類、ウニ類などの海水生物類の養殖育成に
際しても同様のことがいえる。そしてこのことは、淡水
湖等の淡水に生息する魚介類等の養殖育成に際しても同
様である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来に
おける上記諸問題を解決するため、各種多観点から鋭意
研究開発を続け、本発明に到達するに至ったものであ
る。すなわち、本発明は、以上のような問題に対処し、
解決するためになされたものであり、海苔養殖や魚介類
等の海水生物類の養殖に際し、海洋における海水自体を
改善することにより、それらの養殖を良好且つ健全に育
成することができ、安心、安全な海苔、海草類、魚介
類、ウニ類等を養殖し、併せて海環境汚染の問題をも解
決する海苔及び海洋生物育成用組成物を提供することを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、海苔及び海洋
生物を育成するための粉末組成物であって、該組成物
が、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシ
ル、プロリン、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸、
光合成細菌、クロロフィル、糖蜜、ブドウ糖、アデノシ
ン、生石灰及び無機リン酸類を含み、且つ、クエン酸鉄
(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、シュウ酸鉄
(II)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム、水溶性無機
鉄塩から選ばれた少なくとも1種の鉄化合物を含有して
なることを特徴とする海苔及び海洋生物育成用粉末組成
物を提供する。本組成物において、さらに木炭粉末を含
有させることができる。
【0010】本発明は、海苔及び海洋生物を育成するた
めの水溶液組成物であって、該組成物が、水とともに、
アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、プ
ロリン、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸、光合成
細菌、クロロフィル、糖蜜、ブドウ糖、アデノシン、生
石灰及び無機リン酸類を含み、且つ、クエン酸鉄(II
I)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、シュウ酸鉄(I
I)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム、水溶性無機鉄塩
から選ばれた少なくとも1種の鉄化合物を含有してなる
ことを特徴とする海苔及び海洋生物育成用水溶液組成物
を提供する。本組成物において、さらに木炭粉末を含有
させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、海苔及び海洋生物の育
成用組成物であって、上記15種以上の物質を含有させ
て構成した組成物である。この育成用組成物は、それら
物質を混合して粉末組成物とした形態でもよく、粉末混
合物を水に溶解した水溶液組成物とした形態でもよい。
このうち水溶液組成物の形態の場合、粉末混合物を溶解
する水は、それがアルカリ性になるように、アルカリ性
の電気分解水、pH緩衝剤あるいは塩基性無機化合物を
添加した水を用いるのが好ましい。そのpHは好ましく
は7.8〜8.2の範囲である。pH値がそのような範
囲内の電気分解水の場合にはそのまま使用することがで
きる。
【0012】本発明に係る海苔及び海洋生物育成用組成
物は、海面に散布して分散するか、海水中に添加して分
散させることにより使用される。水溶液組成物の形態の
ものでは、そのまま海面または海水に適用してもよい
が、さらに水で薄めて使用することができる。粉末組成
物の形態のものでは、そのまま海面または海水に適用し
てもよいが、水に溶解して使用するのが好ましい。この
場合、水としては、それがアルカリ性になるように、ア
ルカリ性の電気分解水、pH緩衝剤あるいは塩基性無機
化合物を添加した水を用いるのが好ましい。そのpHは
好ましくは7.8〜8.2の範囲である。pH値がその
ような範囲内の電気分解水の場合にはそのまま使用する
ことができる。
【0013】本発明の組成物で用いる前記物質のうち、
水溶性無機鉄塩としては硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)
を用いることができる。また、無機リン酸類としては、
リンの酸素酸、すなわちオルトリン酸、ピロリン酸、次
リン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、ポリリン酸、メタリ
ン酸、ウルトラリン酸等のリンの酸素酸、これらのアル
カリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いることができ
る。本明細書中無機リン酸類とはそれら塩を含む意味で
ある。これら無機リン酸類は少なくとも1種、すなわち
1種とは限らず2種以上を用いてもよい。
【0014】本発明の海苔及び海洋生物の育成用組成物
によれば、海水生態系を健全化ができ、有機物の分解を
速やかに行うことができる。加えて、海水での植物プラ
ンクトンや動物プランクトンの異常発生を防止し、海の
生物群を活性化し、また、酸処理を不要とし、有害イオ
ン反応の抑制、薬品類不要、海底の土中の改善、色落ち
解消、海の水の浄化などの諸作用効果を発揮することが
できる。
【0015】本育成用組成物の具体的使用態様について
は、本育成用組成物が粉末組成物の形態の場合、一例と
して、本育成用組成物を容器の中に入れ、海の支柱に支
えられた海苔網棚から、例えば1m程度下に、該容器を
ぶら下げることで使用する。この場合、一つの海苔網棚
に対して容器20個程度というようにぶら下げて配置す
ることができる。該容器としては、金属製、例えばSU
S鋼製の容器、金網、細ワイヤー等で作製した容器やプ
ラスチック製容器、あるいは織布製の袋を利用する。そ
うすると、時間の経過と共に、粉末組成物が海水に溶解
していく。
【0016】以下、本発明に係る育成用組成物につき、
前駆的使用態様等を含む具体的使用態様について、海苔
養殖を例にしてさらに詳細に説明する。
【0017】〔作業工程〕 1.種海苔種苗時期に、蠣を海に下げる場合、漬け込み
蠣を本発明の育成用組成物を入れた海水の中に1時間か
ら2時間程度、浸水漬け込みを行う。これにより蠣がウ
イルスや病原菌におかされず健全な蠣になる。次いで、
海に蠣を下げたり、漬け込んだりして蠣に海苔胞子を繁
殖、増殖させることで、蠣に着いた海苔胞子が健全に繁
殖、増殖していく。 2.その後、海苔の胞子が蠣の内側に入り込むと、海苔
種胞子を蠣から取り出す作業をする。次いで、回転水車
に海苔網を巻き付ける方法や落下傘袋に種子蠣を入れて
海苔種胞子を海苔網吸着しているかを顕微鏡で確認す
る。確認ができたら、再び海に海苔種網を張る前に前日
作った本育成用組成物が入った海水混合液の中へ1時間
から2時間程度、浸水漬け込みを行う。 3.上記2の作業後、2日から3日間程度、海で海苔種
子網がなじんだのを見はからって、再び海苔種網を引き
上げ、前日作った海水混合液の中へ1時間から2時間程
度、浸水漬け込む。その後、冷蔵庫または冷凍庫の中に
入れて保管し休眠させる。 4.海苔のシーズンになったら、冷蔵庫または冷凍庫か
ら海苔種網を取り出して海の海苔網棚に張る前に、前日
作った本育成用組成物が入った海水混合液の中へ海苔種
網を1時間から2時間浸し、水漬け込みを実施してから
海の海苔網棚に張り海苔を育成する。 5.海苔を収穫した後に、ダンベの中へ前日作った育成
用組成物が入った海水混合液の中へ海苔網を漬け(5分
から10分程度)、再び海苔網棚へ海苔網を張る。以
降、収穫後に、同じ作業を繰り返す。
【0018】本発明に係る育成組成物は、その育成組成
物中に15種類以上の栄養源を含有しており、これによ
り、海苔養殖、その他の魚介類の養殖における育成促進
という効果を発揮することができるとともに、海生生物
の生息環境を健全に保つことができる。
【0019】すなわち、前記のとおり、従来法では、海
苔養殖や魚介類養殖分野で有機酸や強い無機酸類、さら
には猛毒な劇物(ホルマリン)を使用する必要があった
が、本発明によれば、それら物質を使用することなく、
海苔及び魚介類、海草類等の海洋生物の成長促進作用を
もたらすだけでなく、微生物等の他の生物にも副作用が
なく、海洋環境に優しいなど各種有用な効果が得られ
る。特に海洋環境については、微生物の働きによって海
水の浄化、植物プランクトンと動物プランクトンの調和
ができ、海洋生物の繁殖、増殖に良好な環境を作ること
ができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもち
ろんである。
【0021】〈実施例1〉水10L(L=リットル)に
対して下記物質を含有させた水溶液組成物を調製し、ダ
ンベに入れた。アデニン5g、チミン5g、グアニン5
g、シトシン5g、ウラシル5g、プロリン5g、グル
タミン酸ナトリウム20g、イノシン酸5g、光合成細
菌100cc、クロロフィル5g、木炭粉末10g、ク
エン酸鉄(III)10g、シュウ酸鉄(II)20g、糖
蜜100cc、ブドウ糖10g、アデノシン5g、生石
灰5g、オルトリン酸(H3PO4)100cc、ピロリ
ン酸(H427)10cc。
【0022】調製後4日間経過した上記ダンベ中の水溶
液組成物に、予め海苔種胞子を吸着させ、冷蔵庫に保管
していた海苔網2枚(横2M×長さ50M)を漬けて、
水溶液組成物を含浸させた。こうして得た海苔網2枚を
有明海(佐賀県杵島郡有明町)の海苔網棚に設置し、同
時に、比較のため当該海苔網の設置箇所の隣に本含浸処
理をしない海苔網の3枚を当該海苔網と平行して設置し
た。これら設置時以降、海苔網を観察した。設置時か
ら、4日経過後にも、本海苔網2枚に変化はなく、良好
な海水環境にあることが観察された。
【0023】一方、本海苔網設置箇所の隣に設置した3
枚のうち、当該海苔網のすぐ隣の海苔網については、当
該海苔網寄りの部分には変化はなかったが、当該海苔網
から離れていくに従い薄茶色に変化していた。当該海苔
網寄りの部分に変化がないのは、当該海苔網からの水溶
液組成物の浸出により好作用を受けたものとみられる。
また、設置位置が当該海苔網から離れた2枚目と3枚目
の海苔網は茶色に変化した。このように本水溶液組成物
による効果は明らかである。
【0024】引き続き、観察を3週間続けたところ、当
該海苔網では海苔は黒色で良好に成長し、良好な海水環
境にあることが観察された。これに対して、本含浸処理
をしない海苔網では、海苔が薄茶ないし茶色に変色し、
海水環境が悪化していることが観察された。
【0025】水質の調査をしたところ、本含浸処理をし
ていない海苔網海水域ではpHは7.2〜7.6(通常
海水域ではpH=7.8〜8.2)、溶存酸素は5.2
〜6.1mg/L(通常海水域では9.9〜11.5m
g/L)、溶存無機窒素態(硝酸態窒素、亜硝酸態窒
素、アンモニア態窒素)は75〜95μg/L(通常の
海水域では140〜280μg/L)であった。このよ
うにいずれも減少し、水質がかなり悪化していた。これ
に対して、本含浸処理をした海苔網海水域ではpHは
7.8〜8.0(通常の海水域ではpH=7.8〜8.
2)、溶存酸素は8.5〜10.3mg/L(通常の海
水域では9.9〜11.5mg/L)、溶存無機窒素態
は165〜275μg/L(通常の海水域では140〜
280μg/L)であった。このように、いずれも正常
な海水域とほぼ同じレベルに維持され回復していた。
【0026】また、海底の状況を観察したが、本含浸処
理をしない海苔網を設置した個所では、その表面に薄茶
ないし茶色の濁りが観察されたが、当該海苔網を設置し
た箇所では、そのような濁りは観察されなかった。以上
のとおり、本発明の組成物は海苔養殖及び海洋生物を育
成するために非常に有用であり、しかも海洋環境を良好
に維持することができる。
【0027】〈実施例2〉実施例1の水溶液組成物の構
成物質のうち、木炭粉末10gを含有させないで調製し
た水溶液組成物を用いた以外は実施例1と同様にして実
施したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0028】〈実施例3〉アデニン5g、チミン5g、
グアニン5g、シトシン5g、ウラシル5g、プロリン
5g、グルタミン酸ナトリウム20g、イノシン酸5
g、光合成細菌100cc、クロロフィル5g、木炭粉
末10g、クエン酸鉄(III)10g、シュウ酸鉄(I
I)20g、糖蜜100cc、ブドウ糖10g、アデノ
シン5g、生石灰5g、オルトリン酸ナトリウム(Na
3PO4)100g及びピロリン酸ナトリウム(Na42
7)10gを混合して粉末組成物を得た。
【0029】次に、蒸留水にアルカリ性の電気分解水を
添加してpH=8.0に調整した水10Lに上記粉末組
成物を混合溶解して水溶液組成物を得た。この水溶液組
成物を用いた以外は実施例1と同様にして実施したとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0030】
【発明の効果】本発明の海苔及び海洋生物育成用組成物
によれば、海苔養殖や海洋生物の育成を良好に行うこと
ができ、その生産性を向上させるとともに、併せて海洋
環境を良好に維持することができる。すなわち、本発明
の育成用組成物は、海苔養殖はもちろん、魚介類や海草
類等の海洋生物の養殖にも有効であり、それらの生産性
を向上させることができ、しかも、海洋環境を汚染する
ことなく、海水微生物や海洋生物の生息環境を健全に保
つことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 迎 勝也 福岡県福岡市東区美和台新町712−1 (72)発明者 若松 國光 福岡県宗像郡福間町若木台5丁目14番地15 Fターム(参考) 2B026 AA01 AA05 AC02 EA02 EB01 2B104 AA01 AA16 AA22 AA38 BA09 CG22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海苔及び海洋生物を育成するための粉末組
    成物であって、該組成物が、アデニン、チミン、グアニ
    ン、シトシン、ウラシル、プロリン、グルタミン酸ナト
    リウム、イノシン酸、光合成細菌、クロロフィル、糖
    蜜、ブドウ糖、アデノシン、生石灰及び無機リン酸類を
    含み、且つ、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)ア
    ンモニウム、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)ア
    ンモニウム、水溶性無機鉄塩から選ばれた少なくとも1
    種の鉄化合物を含有してなることを特徴とする海苔及び
    海洋生物育成用粉末組成物。
  2. 【請求項2】上記粉末組成物が、水に溶解して使用され
    る粉末組成物であることを特徴とする請求項1に記載の
    海苔及び海洋生物育成用粉末組成物。
  3. 【請求項3】上記水が、アルカリ性の電気分解水、pH
    緩衝剤または塩基性無機化合物によりアルカリ性に調整
    した水であることを特徴とする請求項2に記載の海苔及
    び海洋生物育成用粉末組成物。
  4. 【請求項4】海苔及び海洋生物を育成するための水溶液
    組成物であって、該組成物が、水とともに、アデニン、
    チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、プロリン、グ
    ルタミン酸ナトリウム、イノシン酸、光合成細菌、クロ
    ロフィル、糖蜜、ブドウ糖、アデノシン、生石灰及び無
    機リン酸類を含み、且つ、クエン酸鉄(III)、クエン
    酸鉄(III)アンモニウム、シュウ酸鉄(II)、シュウ
    酸鉄(III)アンモニウム、水溶性無機鉄塩から選ばれ
    た少なくとも1種の鉄化合物を含有してなることを特徴
    とする海苔及び海洋生物育成用水溶液組成物。
  5. 【請求項5】上記水が、アルカリ性の電気分解水、pH
    緩衝剤または塩基性無機化合物によりアルカリ性に調整
    した水であることを特徴とする請求項4に記載の海苔及
    び海洋生物育成用水溶液組成物。
  6. 【請求項6】上記無機リン酸類が、リンの酸素酸、その
    アルカリ金属塩及びカルカリ土類金属塩から選ばれた少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし5
    のいずれか1項に記載の海苔及び海洋生物育成用組成
    物。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6のいずれか1項に記載の
    海苔及び海洋生物育成用組成物において、該組成物がさ
    らに木炭粉末を含むことを特徴とする海苔及び海洋生物
    育成用組成物。
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KR102055241B1 (ko) * 2018-08-03 2019-12-12 양정목 혈분을 이용한 김 포자 활착 촉진용 조성물

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