JP2003247998A - 標的核酸の検出方法 - Google Patents

標的核酸の検出方法

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JP2003247998A
JP2003247998A JP2002051866A JP2002051866A JP2003247998A JP 2003247998 A JP2003247998 A JP 2003247998A JP 2002051866 A JP2002051866 A JP 2002051866A JP 2002051866 A JP2002051866 A JP 2002051866A JP 2003247998 A JP2003247998 A JP 2003247998A
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water
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JP2002051866A
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Keisaku Okada
圭策 岡田
Yasuyuki Tanaka
康進 田中
Riyouko Asai
量子 浅井
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のハイブリダイゼーション法に比べて非常
に操作性に優れた、迅速かつ簡便に被検試料中の標的核
酸の存在を検出することができる標的核酸の検出方法、
ならびに当該検出方法に好適に使用される標的核酸の検
出用キットを提供すること。 【解決手段】標的核酸との結合性を有する検出プローブ
を用いる標的核酸の検出方法において、(a)被検試料
を固定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、該検
出プローブとシグナルレポーターとを有する標識複合体
を導入する工程、(b)ストリンジェントな条件下、吸
水性基材上で該標識複合体を展開する工程、ならびに
(c)固定相において該シグナルレポーターからのシグ
ナルを検出する工程、を含み、固定相において該シグナ
ルが検出される場合に被検試料中に標的核酸が含まれる
と判定する、標的核酸の検出方法、ならびに吸水性基材
と前記標識複合体とを含んでなる標的核酸の検出用キッ
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、標的核酸の検出方
法および標的核酸の検出用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年問題となっているサルモネラ菌をは
じめとする病原性微生物などの、食品中や患者からの検
出には、多くの日数、煩雑な操作を要する場合が多い。
また、疾患によってはより迅速な診断が要求される場合
も多い。
【0003】これらの検出や診断には、標識化免疫測定
法などの種々の免疫測定法(イムノアッセイ)が用いら
れ、最近では免疫クロマトグラフ方式による、迅速・簡
便な検査も広く行われている。このような測定法では、
検査対象となる微生物に対する抗体が必要不可欠であ
る。しかしながら、微生物によっては種レベルではな
く、属レベルでの検出が要求されるため、様々な血清型
を有する細菌が検出対象となりうる。このような場合に
は種々の抗原に対する抗体が必要となるため、抗体の確
保に多大な労力と費用が求められる。
【0004】そこで近年では、DNAプローブなどを用
いたハイブリダイゼーション法が用いられるようになっ
てきた。たとえば、特定の微生物を検出するための方法
においては、細菌のリボソームRNA(rRNA)を標
的としてハイブリダイゼーションが行われる。細菌のr
RNAの塩基配列は細菌の系統進化を反映している観点
から、その有効性が広く世に知られている〔DeLong E.
F. ら、Science 243:1360-1363(1989)〕。従って、かか
る方法は、特定の微生物を検出する方法として優れたも
のである。しかしながら、通常のハイブリダイゼーショ
ン法にはブロッティング、ハイブリダイゼーション、洗
浄、発色などの手順が含まれており、任意の試料をブロ
ットしたメンブレンをプラスチック製のバッグに密封し
て加熱したり、洗浄を繰り返したりする必要があり、操
作性の点では優れているとは言いがたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のハイ
ブリダイゼーション法に比べて非常に操作性に優れた、
迅速かつ簡便に被検試料中の標的核酸の存在を検出する
ことができる標的核酸の検出方法、ならびに当該検出方
法に好適に使用される標的核酸の検出用キットを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
〔1〕 標的核酸との結合性を有する検出プローブを用
いる標的核酸の検出方法において、(a)被検試料を固
定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、該検出プ
ローブとシグナルレポーターとを有する標識複合体を導
入する工程、(b)ストリンジェントな条件下、吸水性
基材上で該標識複合体を展開する工程、ならびに(c)
固定相において該シグナルレポーターからのシグナルを
検出する工程、を含み、固定相において該シグナルが検
出される場合に被検試料中に標的核酸が含まれると判定
する、標的核酸の検出方法、〔2〕 シグナルレポータ
ーが着色粒子、酵素または蛍光色素である前記〔1〕記
載の検出方法、〔3〕 標的核酸が一本鎖核酸である前
記〔1〕または〔2〕記載の検出方法、〔4〕 一本鎖
核酸がリボソームRNAである前記〔3〕記載の検出方
法、〔5〕 リボソームRNAがサルモネラ菌またはリ
ステリア菌由来のものである前記〔4〕記載の検出方
法、ならびに〔6〕 吸水性基材と、前記〔1〕に記載
の標識複合体とを含んでなる標的核酸の検出用キット、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の標的核酸の検出方法(以
下、検出方法という)は、従来のハイブリダイゼーショ
ン法による被検試料中の標的核酸の検出をクロマトグラ
フ方式にて行うことを1つの大きな特徴とする。従っ
て、本発明によれば、従来のハイブリダイゼーション法
の煩雑な操作を行うことなく、本発明において使用する
吸水性基材上に試薬等を導入(たとえば、滴下)するだ
けで、迅速かつ簡便に被検試料中の標的核酸の存在を検
出することができる。
【0008】すなわち、本発明は、クロマトグラフ方式
により標的核酸と検出プローブとをハイブリダイズさ
せ、標的核酸にハイブリダイズした検出プローブの存在
を、該検出プローブに結合したシグナルレポーターから
のシグナルとして検出し、該シグナルが検出された場合
に被検試料中に標的核酸が含まれると判定する標的核酸
の検出方法である。
【0009】具体的には、当該検出方法は、標的核酸と
の結合性を有する検出プローブを用いる標的核酸の検出
方法において、(a)被検試料を固定化してなる固定相
を有する吸水性基材上に、該検出プローブとシグナルレ
ポーターとを有する標識複合体を導入する工程、(b)
ストリンジェントな条件下、吸水性基材上で該標識複合
体を展開する工程、ならびに(c)固定相において該シ
グナルレポーターからのシグナルを検出する工程、を含
むものである。そして、固定相において標識複合体のシ
グナルレポーターからのシグナルが検出される場合に被
検試料中に標的核酸が含まれると判定する。
【0010】なお、本明細書において「結合性を有す
る」とは、ストリンジェントな条件下に互いにハイブリ
ダイズ可能であることを意味し、「結合性を有しない」
とは、ストリンジェントな条件下に互いにハイブリダイ
ズしないことを意味する。また、「核酸」にはDNA
(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)が含ま
れる。当該核酸としては、天然由来の核酸、生物学的方
法および/または化学的方法により作製された核酸、増
幅核酸、組換え核酸等の任意の核酸が含まれる。
【0011】本発明においては、吸水性基材上に導入さ
れる、該基材上で展開させる成分(以下、展開対象成
分)を毛細管現象により自然展開させるため、当該展開
対象成分は水を媒体とする溶液や分散液等であるのが好
適である。たとえば、そのような形態で提供された標識
複合体を、予め被検試料を固定化してなる固定相を有す
る吸水性基材上の一端に導入〔工程(a)〕すると、当
該標識複合体は直ちに吸水性基材上で展開〔工程
(b)〕される。
【0012】標識複合体の導入は、本発明の所望の効果
が得られるように行われる。たとえば、導入は滴下等に
より適宜行えばよい。導入量は本発明の所望の効果が得
られれば特に限定されるものではないが、被検試料中の
予想される標的核酸の存在量以上の量であるのが好まし
い。導入位置は、吸水性基材上、固定相から見て一方の
側であって、所望の展開移動距離が確保できる位置であ
るのが望ましい。かかる展開移動距離とは、該標識複合
体の導入位置から固定相までの距離をいう。当該展開移
動距離としては、好ましくは5〜35mm、より好まし
くは10〜30mmである。かかる範囲内であれば、シ
グナルの検出感度が良好で、測定時間も適切である。
【0013】吸水性基材上で展開された標識複合体に含
まれる検出プローブは標的核酸との結合性を有するた
め、該標識複合体が固定相において固定化された被検試
料と接触すると、該試料中に標的核酸が含まれる場合、
検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを
介して、該標識複合体は該固定相に捕捉されることにな
る。
【0014】次いで、固定相において該標識複合体のシ
グナルレポーターからのシグナルを検出〔工程(c)〕
する。
【0015】被検試料に標的核酸が含まれると、前述の
ように固定相では標識複合体の捕捉が生ずることになる
が、かかる標識複合体の捕捉は、被検試料中に標的核酸
が存在する場合にのみ生ずる。それゆえ、被検試料を固
定化した固定相を有する吸水性基材上で標識複合体を展
開した後、固定相における標識複合体の存在を、それに
含まれるシグナルレポーター由来のシグナルの検出を通
じて確認できれば、被検試料中に標的核酸が含まれると
判定することができる。
【0016】本発明において被検試料としては、核酸が
含まれうるものであれば特に限定されるものではない。
被検試料としては、たとえば、食中毒の原因菌(細菌、
たとえば、サルモネラ菌、リステリア菌等)等の特定の
菌種に由来する溶菌液や、各種生物の血液、組織等の細
胞溶解液、ならびにそれらの希釈液等が挙げられる。菌
もしくは細胞の溶解や、得られた溶菌液等の希釈には、
特に限定されるものではないが、水、ホウ酸緩衝液、リ
ン酸緩衝液等の水系溶媒を使用するのが好適である。さ
らに、前記溶菌液等に含まれる核酸を鋳型としてポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)により得られた増幅産物をも
被検試料とすることができる。
【0017】また、標的核酸としては、その配列が既知
のものであれば特に限定されるものではない。たとえ
ば、前記食中毒の原因菌のゲノム上もしくはプラスミド
上に、または各種生物のゲノム上にコードされた特定の
遺伝子領域や、前記原因菌等に含まれるRNA等を挙げ
ることができる。たとえば、標的核酸が特定の食中毒の
原因菌に固有の塩基配列を有する核酸である場合、本発
明の検出方法により任意の被検試料において当該標的核
酸の存在が確認されれば、当該被検試料の取得源(たと
えば、食品)における当該原因菌の存在が明らかとな
る。かかる標的核酸としては、特定の菌種の属や系統分
類学上の集団に固有の塩基配列が知られている細菌のr
RNAが好適である。また、標的核酸が、特定の疾患の
病因として知られる、もしくは特定の疾患の病状を表わ
すことが知られる、野性型の遺伝子や変異型の遺伝子で
ある場合、被検試料において当該遺伝子の存在が確認さ
れれば、当該被検試料の取得源である生物の疾患の病因
や病状が明らかとなる。さらには、生物の特定の遺伝子
について多型が存在する場合、たとえば、個々の遺伝子
に特徴的な塩基配列を有する遺伝子領域を標的核酸と
し、本発明の検出方法を用いて当該生物由来の被検試料
において当該標的核酸の存在を確認することにより、当
該生物の遺伝子型タイピングを行うことも可能である。
【0018】本発明の標的核酸の形態としては一本鎖で
あっても二本鎖であってもよいが、一本鎖であるのが好
ましい。たとえば、本発明の標的核酸としては、RNA
や公知の方法により任意に合成・増幅して得られた一本
鎖DNA等の一本鎖核酸が好適である。かかる一本鎖核
酸としては、たとえば、食品の食中毒の原因菌による汚
染を判定する場合の有用性の観点から、前記細菌のrR
NAが好適であり、中でもサルモネラ菌またはリステリ
ア菌由来のrRNAがより好適である。被検試料に二本
鎖の核酸が含まれる場合には、本発明の検出方法に供す
る前に、公知のアルカリ処理法や加熱処理法等により、
二本鎖の核酸を予め一本鎖に解離させておくのが好まし
い。
【0019】吸水性基材上の固定相は、かかる被検試料
を吸水性基材上に直接的にまたは間接的に固定化するこ
とにより形成する。
【0020】固定相は、吸水性基材上の所望の位置に、
被検試料を、ディスペンサー等を用いてライン状に直接
塗布し、またピペット等を用いて円形状に直接スポット
し、固定化して形成してもよいが、展開対象成分の展開
方向に対し垂直となる方向の当該吸水性基材の幅と同様
の幅で形成されるのが好ましい。また、吸水性基材上の
固定相の占有面積は吸水性基材の面積に対し百分率で
0.5〜3%であるのが好ましい。
【0021】吸水性基材上への被検試料の直接の固定化
は、後述する、本発明において使用する標識複合体の作
製においてシグナルレポーターと検出プローブとを結合
するための方法に準じて適宜行うことができる。また、
たとえば、簡便に、被検試料を吸水性基材上に直接塗布
し、たとえば、120℃で30分間程度、オーブン中に
維持して加熱処理することにより固定化することもでき
る。
【0022】被検試料を吸水性基材上に間接的に固定化
して固定相を形成する場合、たとえば、被検試料をガラ
ス繊維等からなるパッドに、被検試料を吸水性基材上に
直接固定化する場合と同様にして固定化し、得られたパ
ッドを吸水性基材上に、たとえば、接着することにより
貼り合わせ、固定相とするのが好適である。
【0023】固定相としては、標識複合体を充分に捕捉
し得、それに含まれるシグナルレポーター由来のシグナ
ルの検出が容易に行われうる程度の量で標的核酸が固定
化されうるように、該標的核酸の存在が予想される被検
試料を固定化してなるものが好ましい。固定相における
被検試料の固定化量は、予想される標的核酸の存在量に
応じて適宜決定され得、一概には決定できないが、通
常、被検試料を好ましくは0.1〜100ng/cm2
の範囲で均一に固定化して固定相を形成するのが好まし
い。
【0024】なお、固定相を形成した吸水性基材は、 標
的核酸以外の核酸の当該基材上への非特異的な吸着の防
止、 展開の容易性、ならびに固定化した被検試料の保存
安定性の観点から、公知の方法に従ってブロッキング
剤、界面活性剤および糖を含有する溶液(以下、処理液
という)に浸漬し、乾燥して用いるのが好ましい。ここ
で、使用するブロッキング剤としては、ウシ血清アルブ
ミン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルク、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン等の吸水性基材に対
し吸着性を有するタンパク質が挙げられる。界面活性剤
としては、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル等が挙げられる。糖としては、サッカロース、トレ
ハロース等が挙げられる。なお、前記処理液中のブロッ
キング剤の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%で
ある。前記処理液中の界面活性剤の含有量は、好ましく
は0.01〜1重量%である。前記処理液中の糖の含有
量は、好ましくは0.1〜10重量%である。また、上
記操作の実施は、吸水性基材に対し固定相を形成した後
であれば、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限
り、本発明の検出方法における使用前において任意に行
うことができる。
【0025】本発明の標識複合体は検出プローブとシグ
ナルレポーターとを有してなる。当該検出プローブは、
標的核酸の塩基配列に相補的な塩基配列を有しており、
かつ標的核酸に対して結合性を有する、すなわち、スト
リンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な核酸プロ
ーブであれば特に限定されない。ここで「相補的」と
は、検出プローブの塩基配列が標的核酸の塩基配列の相
補鎖を正確に反映している必要はないが、ストリンジェ
ントな条件下で標的核酸にハイブリダイズできる程度に
は当該相補鎖に充分に類似していることをいう。当該類
似の程度としては、好ましくは80%以上、より好まし
くは85%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0026】当該検出プローブとしては、核酸、修飾核
酸、核酸アナログ等からなるものが挙げられる。検出プ
ローブは一本鎖または二本鎖の核酸でありうるが、一本
鎖の核酸であるのが好ましい。また、その塩基数として
は少なくとも5塩基長程度であり、好ましくは5〜10
0塩基長、より好ましくは15〜50塩基長であるが、
数千塩基長であってもよい。
【0027】前記修飾核酸としては、修飾された糖基、
リン酸基、または修飾塩基を含む核酸が挙げられる。た
とえば、修飾塩基を含む核酸の例としては、たとえば、
アセチル化された塩基(4−アセチルシチジン等)、カ
ルボキシル化された塩基(5−カルボキシメチルアミノ
メチルウリジン等)、またはメチル化された塩基(1−
メチルイノシン等)等を含む核酸が挙げられる。また、
デアザグアニンおよびウラシルを含む核酸をグアニンお
よびチミンを含む核酸の代わりに検出プローブとして用
いてもよい。かかる場合には、ハイブリダイズした際の
検出プローブの熱安定性が低下する。また、5−メチル
シトシンを含む核酸をシトシンを含む核酸の代わりに検
出プローブとして用いてもよい。かかる場合には、ハイ
ブリダイズした際の検出プローブの熱安定性が向上す
る。核酸のホスホジエステル骨格から負電荷を除去する
ような修飾も検出プローブの熱安定性の向上に寄与す
る。また、検出プローブとしてRNAを用いる場合に
は、当該プローブのヌクレアーゼ感受性を低下させる観
点から、2’−O−メチル基の付加など、リボースの糖
基を修飾するのが好ましい。
【0028】前記核酸アナログとしては、たとえば、標
準的な核酸塩基が、N−(2−アミノエチル)グリシン
単位の繰り返しからなるペプチド様骨格に結合している
ペプチド核酸(PNA)が挙げられる〔Nielsen, P. E.
ら、Science, 254:1497〜1500(1991)〕。PNAはヌ
クレアーゼによる分解に対して非常に抵抗性が強い点で
有用である。
【0029】標的核酸の塩基配列の相補鎖との検出プロ
ーブの塩基配列の前記「類似の程度」は、該相補鎖と該
検出プローブの塩基配列との間の配列同一性を求めるこ
とにより評価することができる。かかる配列同一性とは
2つの配列間の塩基の配列類似性をいい、2つの適切に
アラインメントされた配列を比較することにより決定す
る。具体的には、両方の配列に存在する同一の塩基を決
定して適合部位の数を決定し、次いで比較対象の配列領
域内の塩基の総数で前記適合部位の数を割り、得られた
数値に100を乗じて配列同一性(%)を算出する。か
かる配列同一性は、たとえば、BLASTネットワーク
サービスを利用して適宜求めることが可能である。
【0030】本明細書においてストリンジェントな条件
としては、非特異的なハイブリダイゼーション反応を有
意に低下させる条件であれば特に限定されない。核酸の
ハイブリダイゼーションを行うためのストリンジェント
な条件については、たとえば、成書(モレキュラー ク
ローニング(Molecular Cloning)第3版、ザンブルー
ク(Sambrook)とラッセル(Russell)著、コールドス
プリングハーバー)等に記載されている。プローブの長
さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間の配列同一
性、温度、およびイオン強度等の要素が、核酸ハイブリ
ッドの安定性に影響する。たとえば、中ストリンジェン
シーまたは高ストリンジェンシー等のストリンジェント
な条件は、標的核酸と検出プローブの特性に応じて、経
験的に決定することができる。
【0031】上記のような核酸、修飾核酸、核酸アナロ
グ等からなる検出プローブは、所望の性質を有するよう
に公知の方法(たとえば、前記成書参照)に従って適宜
作製することができる。また、任意の配列や修飾(標
識)を有する核酸を合成した市販品を購入することもで
きる。
【0032】シグナルレポーターは検出プローブと直接
的にまたは間接的に結合させることができ、かつ当該レ
ポーターに由来するシグナルを検出可能なものであれば
特に限定されるものではない。好ましくは機器もしくは
目視により、より好ましくは目視により、当該レポータ
ー由来のシグナルを容易かつ簡便に検出可能であるもの
が好適である。
【0033】かかるシグナルレポーターとしては、たと
えば、着色粒子、酵素、蛍光色素や、32P、35S、3
等のラジオアイソトープ等が挙げられる。中でも検出容
易性の観点から、着色粒子、酵素または蛍光色素が好ま
しい。
【0034】本明細書において着色粒子とは着色された
粒子であって、シグナルを当該粒子から直接的に発せら
れる色として検出しうる粒子をいう。たとえば、当該粒
子としては、金コロイド粒子やセレニウムコロイド粒子
のような金属コロイド粒子や、着色された水分散型高分
子粒子などが挙げられる。水への分散性に優れ、また核
酸や酵素等の固定化容易性の観点から、水分散型高分子
粒子からなるものが好ましい。
【0035】金属コロイド粒子は入手容易性および安定
性等の観点より、金コロイド粒子が好ましい。また、核
酸やリガンド等の固定化容易性および検出の容易性の観
点から、その粒径(平均粒径)は5〜80nmが好まし
く、10〜50nmがより好ましい。当該粒径は、たと
えば、透過型電子顕微鏡観察下で各粒子の絶対粒径を測
定し、得られた測定値を平均することにより求められ
る。
【0036】水分散型高分子粒子は、たとえば、公知の
方法に従い、不飽和二重結合を有する単量体の一又は二
以上を乳化重合することによって調製することができ
る。かかる単量体としては、たとえば、エチレン、プロ
ピレン等のオレフィン系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル等のビニル系単量体、スチレン、メチルスチレン、ク
ロロスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル
等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン
等のジエン系単量体等が好適に用いられる。
【0037】また、本発明に用いられる水分散型高分子
粒子としては、上記単量体の単独重合体や共重合体から
なるものの他、その表面に核酸や酵素等を固定化するた
めのリガンドやスペーサーの導入を目的として、得られ
る粒子に官能基やイオン性基を付与したものでもよく、
また粒子の水性媒体中での分散安定性を高めるなどの目
的で、改質用単量体を共重合してなるものであってもよ
い。
【0038】そのような官能基やイオン性基としては、
たとえば、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、ア
ミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、イソチオシアナ
ート基、アジドカルボニル基、ヒドラジド基、酸無水物
基等を挙げることができ、中でもカルボキシル基が好ま
しい。これらの官能基等を有する水分散型高分子粒子を
調製するには、単量体成分として、たとえば、アクリル
酸、メタクリル酸のようなカルボキシル基を有する単量
体、たとえば、ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルアクリレートのような水酸基を有する単量体、
たとえば、グリシジルメタクリレートのようなグリシジ
ル基を有する単量体を、所望により他の共重合性単量体
と乳化重合させることによって、それぞれカルボキシル
基、水酸基およびグリシジル基を有する粒子として得る
ことができる。また所望の単量体成分を重合させた後、
得られた粒子に官能基を導入することもできる。
【0039】また、前記改質用単量体としては、たとえ
ば、アクリル酸、メタクリル酸、2,2,2−トリフル
オロエチルメタクリレートなどのフッ素化メタクリル酸
エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホ
プロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジル
メタクリレートなどが用いられる。
【0040】水分散型高分子粒子の着色は、たとえば、
スダンブルーやスダンレッドIV、スダンIII、オイ
ルオレンジ、キニザリングリーンなどに代表される顔料
や染料、また種々の蛍光色素・顔料を、当該粒子製造時
に任意に添加することで行うことができる。着色された
水分散型高分子粒子をシグナルレポーターとして用いた
場合、それが直接的に発する色として、目視または機器
〔たとえば、クロマトスキャナー(スキャニングデンシ
トメータ)〕により迅速、簡便にシグナルを検出するこ
とができる。目視確認の容易性の観点からは、青色、赤
色、緑色またはオレンジ色等に着色された水分散型高分
子粒子が好ましく、分散安定性や被検物質の検出感度の
調整の容易性などの観点から、青色または赤色に着色さ
れたものがより好ましい。
【0041】本発明においては、市販されている種々の
着色された水分散型高分子粒子も好適に使用することが
できる。市販されている水分散型高分子粒子としては、
たとえば、p−クロロスチレンの単独重合体または共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体などの、スチレンま
たはその誘導体を単量体成分として含んでなる単独重合
体または共重合体を挙げることができる。また、(メ
タ)アクリル酸の長鎖アルキルエステルまたはその誘導
体からなる単独重合体や、これらと(メタ)アクリル酸
メチルや(メタ)アクリル酸エチル、グリシジル(メ
タ)アクリレート等との共重合体も本発明において用い
られる。さらに、スチレンまたはその誘導体と、(メ
タ)アクリル酸エステルまたはその誘導体との共重合体
も用いられる。また、ゴム、ナイロン、ポリウレタン、
微結晶質セルロース等を用いてもよい。
【0042】なお、本発明の水分散型高分子粒子として
は、前記するような単独重合体または共重合体の1種か
らなるものであっても、2種以上からなるものであって
もよい。
【0043】水分散型高分子粒子は、その使用時や保存
時に融着や凝集を起こさないものが好ましい。従って、
当該粒子としては所望のガラス転移点を有するように選
択された単量体から構成されたものがよい。当該ガラス
転移点としては、好ましくは10℃以上、より好ましく
は室温(15℃)以上である。ガラス転移点は、たとえ
ば、示差走査熱量計で測定できる。
【0044】このような水分散型高分子粒子の粒径(平
均粒径)は、分散性や吸水性基材内での展開性維持の観
点から、また核酸やリガンド等の固定化性の観点から、
好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下であ
り、核酸やリガンド等を固定する際の精製の容易性の観
点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは
0.1μm以上である。すなわち、水分散型高分子粒子
の粒径としては、好ましくは0.01〜3μm、より好
ましくは0.1〜2μmである。なお、当該粒径は、金
属コロイド粒子と同様の方法により測定できる。
【0045】シグナルレポーターとして酵素を用いる場
合、シグナルは、その基質に対する当該酵素の作用によ
り生ずる産物から発せられる。本発明に用いうる酵素と
して好適には、公知の酵素免疫測定法において標識とし
て常用される酵素を挙げることができる。たとえば、ペ
ルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラ
ーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼ等が挙
げられる。中でも、より高感度で安定な検出を達成する
観点から、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファタ
ーゼが好ましい。
【0046】また、当該酵素の基質としては、酵素反応
産物の検出が可能であれば特に限定されるものではない
が、迅速、簡便に当該産物の検出を行いうる観点から発
色性基質が好ましい。かかる発色性基質は、使用する酵
素に応じ、公知の酵素免疫測定法において用いられる発
色性基質から適宜選択することができる。
【0047】発色性基質としては、たとえば、酵素がペ
ルオキシダーゼの場合、ペルオキシダーゼと過酸化水素
との組み合わせにより反応して発色しうる基質であれば
よく、たとえば、2,2’−アジノ−ビス(3−エチル
ベンズチアゾリン)−6−スルホン酸、o−フェニレン
ジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジ
ン(以下、TMBという) 、o−ジアニジジン、3,
3’−ジアミノベンジジン、3−アミノ−9−エチルカ
ルバゾール、4−クロロ−1−ナフトール等が挙げら
れ、発色性および無毒性という観点からTMBが好まし
い。
【0048】本発明においては、基質は溶液状態で、た
とえば、酵素基質液として用いるのが好適である。酵素
基質液としては、前記発色性基質を、たとえば、水、ホ
ウ酸緩衝液、リン酸緩衝液等に溶解してなるものが好適
である。また、当該基質液には適切な酵素反応を行う上
で好適な、その他の成分(たとえば、過酸化水素等)を
所望により含有させてもよい。
【0049】また、シグナルレポーターとして使用しう
る蛍光色素としては、フルオレセイン、テトラメチルロ
ーダミン、Cy3、Cy5等が挙げられる。
【0050】標識複合体は前記のようなシグナルレポー
ターと検出プローブとを直接的にまたは間接的に結合す
ることにより得られる。間接的に結合させる場合とは、
たとえば、シグナルレポーターと検出プローブとの結合
を任意の物質を介して行うような場合をいう。たとえ
ば、シグナルレポーターとして酵素を使用する場合、た
とえば、前記水分散型高分子粒子を介して酵素と検出プ
ローブとを結合することにより標識複合体を得てもよ
い。
【0051】シグナルレポーターは検出プローブの5’
末端、3’末端および配列内部の少なくとも1つに直接
的にまたは間接的に結合させればよい。両者は必ずしも
1対1で結合させる必要はなく、たとえば、1つの検出
プローブに対し複数のシグナルレポーターを直接的にま
たは間接的に結合させてもよい。
【0052】標識複合体の調製は以下に示すようにして
行う。たとえば、シグナルレポーターと検出プローブと
の結合は、任意の物質間の結合方法として一般に公知で
ある、共有結合、物理的吸着もしくはイオン結合を利用
する方法を用いて好適に行うことができる。結合安定性
の観点から、共有結合を利用する方法を採用するのが好
ましい。
【0053】たとえば、シグナルレポーター等に存在す
る官能基やイオン性基を介して直接結合する、または水
溶性カルボジイミドや他の炭素数l〜12の炭素鎖基を
有する二官能性の有機化合物をスペーサーとして介在さ
せて結合する。また、たとえば、リガンドをシグナルレ
ポーターに結合しておき、一方、当該リガンドに結合し
うる化合物(以下、リガンド結合化合物という)を検出
プローブに結合し、当該リガンドとリガンド結合化合物
との結合を利用して両者を結合させることも可能であ
る。かかるリガンド−リガンド結合化合物の組み合わせ
の好適な例としては、ビオチン−アビジン、ビオチン−
ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン(DIG)−抗D
IG抗体、FITC−抗FITC抗体等が挙げられる。
中でも、ビオチン−ストレプトアビジン、DIG−抗D
IG抗体の組み合わせは、それらが結合して形成される
複合体の安定性が高く、より好適に用いられる。たとえ
ば、シグナルレポーターとして酵素を用いる場合、なん
らかのスペーサーを介在させることにより標識複合体に
おける自由度を高めることができ、酵素反応の効率を高
める観点から好ましい。
【0054】また、たとえば、前記水分散型高分子粒子
を介してシグナルレポーターと検出プローブとを結合す
る場合、たとえば、(シグナルレポーター)−(水分散
型高分子粒子)−(検出プローブ)の形を有する標識複
合体を得る場合、当該標識複合体はシグナルレポーター
と水分散型高分子粒子との間および水分散型高分子粒子
と検出プローブとの間を、前記するようにして結合する
ことにより調製することができる。
【0055】標識複合体は、検出プローブをシグナルレ
ポーターへ結合させた後、たとえば、膜分離法や濾過、
遠心分離法等の慣用の分離法によって、たとえば、結合
を行った反応場である溶媒等から分離精製することによ
り得られる。標識複合体は、たとえば、水中に浸漬し
て、または凍結乾燥して保存すればよい。また、本発明
の検出方法において使用する場合には、得られた標識複
合体を、たとえば、水、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液等
に分散または溶解しておくのが好適である。
【0056】シグナルレポーターとして着色粒子や蛍光
色素を用いた場合は、固定相において、それらが発する
色や蛍光をシグナルとして、たとえば、目視により検出
する。ラジオアイソトープを用いた場合は、たとえば、
オートラジオグラフィにより固定相における放射能の存
在をシグナルとして検出する。
【0057】シグナルレポーターに酵素を用いた場合
は、本発明の検出方法の工程(a)において、標識複合
体を吸水性基材上に導入した後、さらに酵素基質液を本
発明の所望の効果の発現が得られるように導入する。当
該酵素基質液の導入位置は前記標識複合体の導入位置と
同一であっても、異なっていてもよい。
【0058】酵素反応に要する時間は、酵素基質液の展
開時間を含め、酵素基質液を導入してから好ましくは1
〜20分間程度である。ただし、当該時間は酵素、基
質、反応条件等に依存するため、特に限定されるもので
はない。たとえば、本発明の好適な態様において、発色
性基質を用いた場合、吸水性基材上の固定相においてシ
グナルとして検出される色は、固定相において捕捉され
た標識複合体中のシグナルレポーターの酵素の作用によ
り基質から生じた発色性産物に由来する。
【0059】本発明の検出方法においては、展開対象成
分は、吸水性基材上でストリンジェントな条件下に展開
される。従って、展開対象成分は、当該条件に適合する
組成を有する、好ましくは水系の分散液または溶液とし
て吸水性基材上に導入する。「条件に適合する組成」と
は、被検試料中の標的核酸と検出プローブとがハイブリ
ダイズ可能な組成をいい、用いる核酸のTm値や反応環
境の温度等に応じて適宜選択すればよい。かかる組成や
温度の条件については、前記成書等で詳述されている。
【0060】たとえば、前記標識複合体の分散液や溶
液、酵素基質液を、予め作製しておいた上記組成を有す
る緩衝液(ハイブリダイゼーションバッファー)の濃縮
液および所望により水で希釈し、所望の組成に調整した
後に吸水性基材上に導入する。また、標識複合体の分散
液等は当初よりハイブリダイゼーションバッファーの組
成を有するように調製しておいてもよい。
【0061】展開は、標識複合体を導入後、好ましくは
1〜10分間程度行えばよい。また、該標識複合体の導
入後、非特異的な核酸の吸着を洗い流す目的で洗浄液を
導入してもよい。当該洗浄液としては前記ハイブリダイ
ゼーションバッファーが好適である。
【0062】本発明に用いられる吸水性基材としては、
水性の液体を吸収可能な性質を有する基材であれば特に
限定されるものではない。本発明においては、展開対象
成分が速やかに展開できるような適度な吸水性を有する
吸水性基材が好ましい。かかる吸水性基材の具体例とし
ては、例えば、不織布、濾紙、ガラス繊維布、ガラスフ
ィルター、ニトロセルロース、多孔質膜等が挙げられ
る。
【0063】吸水性基材の吸水性の程度は、たとえば、
厚さ1mm×幅5mm×長さ100mmの吸水性基材の
片端部を水に1分間浸漬した場合に、水に浸漬された部
分と浸漬されない部分との境界位置からの吸水距離が
0.5〜5cmであるのが好ましい。また、吸水性の程
度は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性
重合体を、たとえば、吸水性基材の表面に被覆する、も
しくは吸水性基材に含浸させることにより適宜調整する
こともできる。
【0064】吸水性基材の形状は、前記混合物等を展開
できる形状であれば特に限定されるものではなく、たと
えば、矩形のシート状(片状)やロッド状等の形状が好
ましい。
【0065】吸水性基材には、前記固定相に加え、滴下
パッド部(展開対象成分を滴下するための部分) 、およ
び/または固定相を挟んで展開対象成分を導入するため
の部分とは反対側に、当該展開対象成分の吸水性基材上
における展開を、その水性液体の吸収力により促進させ
うる手段である吸水パッド部等を設けてもよい。滴下パ
ッド部は、たとえば、ポリエステルやレーヨン製の不織
布等を所望の形状にて吸水性基材上の所望の位置に貼り
合わせることにより適宜作製できる。また、吸水パッド
部に使用する吸水パッドとしては水性液体の吸収性に優
れる材料が好適であり、たとえば、ガラス繊維性不織布
等を使用することができる。
【0066】なお、滴下パッド部は、吸水性基材上で、
前記するような所望の展開移動距離が確保できる位置に
設けられるのが望ましい。
【0067】たとえば、本発明に使用する吸水性基材の
一例として、図1に示す吸水性基材を挙げることができ
る。吸水性基材の大きさは本発明の所望の効果の発現が
得られれば特に限定されるものではないが、たとえば、
3〜10mm×40〜80mm程度の大きさを有する。
【0068】図1に示す吸水性基材は、滴下パッド1、
吸水性基材2、吸水パッド3および固定相4からなる。
滴下パッド1と固定相4との間には、前記好ましい範囲
にある展開移動距離を確保しうる距離が存在する。
【0069】たとえば、当該吸水性基材を用いて本発明
の検出方法を実施する場合、標識複合体をピペット等を
用いて滴下パッド1に滴下する。滴下された標識複合体
は、吸水性基材2上で図の右から左へ延びた矢印の向き
に展開され、一定時間後、固定相4に到達する。固定相
4では、被検試料中に標的核酸が存在する場合、当該標
的核酸に対し標識複合体中の検出プローブがハイブリダ
イズし、標的核酸の分布状態に応じて標識複合体が捕捉
される(捕捉されなかった標識複合体は吸水パッド3ま
で流れて行く)。さらに所望により洗浄液を滴下パッド
1に滴下して展開し、吸水性基材2上を洗浄する。この
時点で、シグナルレポーターが前述の着色粒子の場合、
固定相4に標識複合体が捕捉されておれば、捕捉が生じ
た位置が呈色し、色としてシグナルが検出される。シグ
ナルレポーターが酵素の場合は、たとえば、該酵素の作
用により発色の得られる発色性基質を滴下パッド1から
さらに展開すれば、固定相4が同様に呈色し、色として
シグナルが検出される。いずれにしても固定相4におい
て、使用したシグナルレポーターに応じたシグナルが検
出されれば、被検試料中に標的核酸が存在すると判定す
る。なお、本発明の検出方法は、シグナルの検出を目視
観察により行いうる条件で実施するのが好適であるが、
目視観察によっては困難である場合、たとえば、シグナ
ルが色であれば、前記クロマトスキャナー等を用いてシ
グナルの検出を行うのが好適である。
【0070】さらに本発明の別の態様として、本発明の
検出方法において有用な標的核酸の検出用キットを提供
する。当該キットとしては、本発明において好適に使用
されうる任意の吸水性基材と、検出プローブとシグナル
レポーターとを有する前記標識複合体とを含んでなるも
のを挙げることができる。さらに、当該キットには、任
意にその他の構成物、たとえば、被検試料を入手する手
段や、酵素基質液、ハイブリダイゼーションバッファー
等の適当な試薬、本発明の検出方法を実施するための説
明書等を含めてもよい。本発明のキットに含まれる吸水
性基材への被検試料の固定化(該吸水性基材上での固定
相の形成)は、該キットの使用時に所望の被検試料を用
い、前記する固定相の形成方法に従って行えばよい。
【0071】本発明の検出方法によれば、標識複合体等
を、本発明において使用する、任意の被検試料を固定化
した固定相を有する吸水性基材上に、たとえば、滴下す
るだけで、たとえば、食中毒の原因菌による食品の汚染
の判定、疾患の病因または病状の診断、生物の遺伝子型
タイピング等を迅速、簡便に行うことができる。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて、さらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定さ
れるものではない。
【0073】製造例1:被検試料の調製 表1に示したサルモネラ属細菌および非サルモネラ属細
菌を5mLのニュートリエント ブロス(Nutrie
nt Broth)(商品名、日水製薬製の粉末培地を
用いて調製)中にて37℃、一晩培養して得た培養液か
ら、ISOGEN(商品名、ニッポンジーン製)を用
い、添付のマニュアルに従って全RNAを抽出し、滅菌
脱イオン水に溶解して被検試料とした。得られたRNA
はO.D.260の値をもとに1μg/μLとなるよう
適宜希釈した(1O.D.260=0.04μg/μL
換算)。
【0074】
【表1】
【0075】製造例2:サルモネラ属細菌rRNA検出
用標識複合体の調製 着色ラテックス粒子(平均粒径0.18μm、日東電工
製)の水分散液に水溶性カルボジイミド(1−エチル−
3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩
酸塩 10mg/mL、0.01M−ホウ酸緩衝液pH
8.2、同仁化学研究所製)0.5mL、ストレプトア
ビジン(1mg/mL、0.01M−ホウ酸緩衝液pH
8.2、ロシュ・ダイアグノスティックス製)2mLを
加えて10℃で3時間反応させた後、洗浄液として0.
01M−ホウ酸緩衝液pH8.2を加え、遠心分離して
洗浄を行い、同緩衝液で固形分濃度5重量%に調整し
た。なお、以下の記述ではストレプトアビジンをSAと
略す。得られたSA固定化着色ラテックス懸濁液を固形
分が終濃度0.1重量%となるよう前記ホウ酸緩衝液で
希釈し、ここに終濃度50pmol/mLの5’末端を
公知の方法によりビオチン標識した下記の配列番号:1
記載の塩基配列からなる検出プローブを添加して穏やか
に攪拌しながら10℃で3時間反応させ、標識複合体を
調製した。洗浄液としてホウ酸緩衝液を加え、遠心分離
して洗浄を行い、同緩衝液で固形分濃度5重量%に調整
した。なお、検出プローブは標的核酸であるサルモネラ
属細菌のrRNA(サルモネラ属細菌23SrRNA)
の塩基配列に相補的であり、該rRNAに対して結合性
を有する配列である。 配列番号:1 5’−CTTCACCTAC GTGTCAGC−3’
【0076】製造例3:サルモネラ属細菌rRNA検出
用クロマトグラフ型試験片の作製 本製造例では、サルモネラ属細菌23SrRNAを検出
するためのクロマトグラフ型試験片を以下に示す方法で
作製した。なお、本明細書において「上流」とは、後述
の滴下パッドが配置される、吸水性基材の末端側を意味
する。また、得られた試験片の構成は図1に示す吸水性
基材と同様である。
【0077】吸水性基材の材料としてナイロン66メン
ブレン(孔径5μm、6mm×40mm、PALL製)
を用いた。この上流端から22.5mmの箇所に製造例
1で調製した被検試料1.5μLを、ピペットを用いて
ドット状にスポットした。風乾の後、120℃で30分
間、加熱処理して、被検試料をメンブレンに固定化し、
固定相を形成した。固定化後、1重量%ウシ血清アルブ
ミン(オリエンタル酵母製)、1重量%サッカロース
(和光純薬製)、0.1重量%ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレート(和光純薬製)にメンブレンを浸
漬してブロッキングし、室温で乾燥させた。なお、被検
試料中のRNAの濃度条件は0、0.1、1μg/mL
の3種とした。
【0078】吸水性基材の上流端より3mmのところか
ら、ポリエステル製不織布ハイボン4880C(厚さ
2.5mm、大きさ7×12mm、シンワ製)を貼り合
わせて滴下パッドを設置した。
【0079】さらに、吸水性基材の下流端より5〜10
mmのところから吸水パッドとしてガラス繊維製の吸水
材(15mm×30mm、厚さ1mm、Whatman
製)を貼り合わせ、試験片を作製した。当該試験片を1
00個作製して、以降の検出に用いた。
【0080】実施例1:クロマトグラフ方式によるサル
モネラ属細菌rRNAの存在の特異的検出 製造例2にて調製した標識複合体を用いて、以下の組成
の展開用組成液を調製した。
【0081】〔展開用組成液の組成〕 2×SSC 50%(w/v) ホルムアミド 100μg/mL サケ精子DNA 0.1%(w/v) SDS 0.01重量% 標識複合体
【0082】なお、2×SSCは33.3mM NaC
l、33.3mM クエン酸ナトリウムからなる。
【0083】37℃に保温した該展開用組成液を、製造
例3で作製した試験片の滴下パッドに100μL滴下し
た。10分間の展開後、固定相における発色の有無を目
視で観察した。その結果を表2に示す。なお、表2にお
ける判定基準は以下の通りである。
【0084】〔判定基準〕 +:ラテックス由来の着色あり ±:ラテックス由来の薄い着色あり −:着色なし
【0085】
【表2】
【0086】表2に示すように、試験片に固定化した被
検試料にサルモネラ属細菌RNAが含まれない場合、ま
たサルモネラ属細菌以外の細菌のRNAが含まれる場
合、標識複合体の検出プローブがハイブリダイズする対
象が固定相に存在せず、該標識複合体の固定相における
捕捉は生じないものと思われ、固定相では、着色ラテッ
クス粒子の色としてのシグナルは検出されなかった。一
方、サルモネラ属細菌のRNAを1μg/mLの濃度で
固定化した場合、固定相で当該シグナルが検出された。
これは被検試料に含まれるサルモネラ属細菌23SrR
NAと検出プローブとがハイブリダイズしたために固定
相に標識複合体が捕捉され、結果として着色ラテックス
粒子由来の色がシグナルとして検出されえたものと思わ
れる。また試験片に固定化したサルモネラ属細菌のRN
Aの濃度を0.1μg/mLとした場合には、固定相に
て弱いシグナルが検出された。これは標的核酸の量が減
少したために固定相で捕捉される標識複合体が減少し、
検出されるシグナルのレベルが低下したことによるもの
と考えられる。いずれにしても、標的核酸であるサルモ
ネラ属細菌23SrRNAが含まれるサルモネラ属細菌
RNAを含む被検試料では固定相においてシグナルが検
出されたことから、本発明の検出方法により、被検試料
中の標的核酸の存在を検出できることが分かる。
【0087】これらの反応は展開用組成液を滴下するだ
けの操作で進行し、約10分間で結果を得ることができ
た。一般的なハイブリダイゼーション法が洗浄や発色等
の煩雑な操作と1〜2日間程度の時間を必要とするのに
対して、本発明の検出方法ではクロマトグラフ方式を採
用することにより、展開用組成液の滴下のみで操作を完
結させることができる。従って、本発明は、被検試料中
の標的核酸の迅速かつ簡便な検出方法として有効である
ことは明らかである。
【0088】配列表フリーテキスト 配列番号:1は、サルモネラ属細菌の23SrRNAの
塩基配列に基づいてデザインしたプローブの配列であ
る。
【0089】
【発明の効果】本発明により、従来のハイブリダイゼー
ション法に比べて非常に操作性に優れた、迅速かつ簡便
に被検試料中の標的核酸の存在を検出することができる
標的核酸の検出方法、ならびに当該検出方法に好適に使
用される標的核酸の検出用キットが提供される。本発明
の検出方法によれば、たとえば、食中毒の原因菌による
食品の汚染の判定、疾患の病因または病状の診断、生物
の遺伝子型タイピング等を迅速、簡便に行うことができ
る。
【0090】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> NITTO DENKO CORPORATION <120> Method of detecting target gene <130> ND-13-020 <160> 1
【0091】 <210> 1 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed probe based on nucleotide sequence of Salmonella 23SrRNA. <400> 1 cttcacctac gtgtcagc 18
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に使用する、被検試料を固定化
してなる固定相を有する吸水性基材の一例を示す模式図
である。
【符号の説明】 1 滴下パッド 2 吸水性基材 3 吸水パッド 4 固定相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 浅井 量子 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA13 CA04 CA05 CA11 HA08 HA11 HA12 4B063 QA01 QA18 QQ06 QQ52 QQ54 QR01 QR32 QR56 QR66 QR75 QR82 QS03 QS12 QS34 QS36 QX02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的核酸との結合性を有する検出プロー
    ブを用いる標的核酸の検出方法において、(a)被検試
    料を固定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、該
    検出プローブとシグナルレポーターとを有する標識複合
    体を導入する工程、(b)ストリンジェントな条件下、
    吸水性基材上で該標識複合体を展開する工程、ならびに
    (c)固定相において該シグナルレポーターからのシグ
    ナルを検出する工程、を含み、固定相において該シグナ
    ルが検出される場合に被検試料中に標的核酸が含まれる
    と判定する、標的核酸の検出方法。
  2. 【請求項2】 シグナルレポーターが着色粒子、酵素ま
    たは蛍光色素である請求項1記載の検出方法。
  3. 【請求項3】 標的核酸が一本鎖核酸である請求項1ま
    たは2記載の検出方法。
  4. 【請求項4】 一本鎖核酸がリボソームRNAである請
    求項3記載の検出方法。
  5. 【請求項5】 リボソームRNAがサルモネラ菌または
    リステリア菌由来のものである請求項4記載の検出方
    法。
  6. 【請求項6】 吸水性基材と、請求項1に記載の標識複
    合体とを含んでなる標的核酸の検出用キット。
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