JP2003245543A - ホルムアルデヒド吸収能を有する生成物及びその製造方法 - Google Patents
ホルムアルデヒド吸収能を有する生成物及びその製造方法Info
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Abstract
可能である、顕著なホルムアルデヒド吸収能を有するホ
ルムアルデヒド吸収剤。 【解決手段】 植物組織、特にカラマツから抽出された
ポリフェノール類、特にタキシホリンを含有する抽出物
を、アルカリ性物質と反応させることにより製造され
る、揮発性有機化合物、特にホルムアルデヒド吸収能を
有するアルカリ処理生成物及びその製造方法。
Description
するアルカリ処理生成物、特にホルムアルデヒド吸収能
を有するホルムアルデヒド吸収剤に関する。特にカラマ
ツ(Larix leptolepis )由来の植物組織を原料として
製造されるホルムアルデヒド吸収剤、その製造方法及び
当該ホルムアルデヒド吸収剤の応用に関する。
国、特に中部山地および北海道に多く生育するマツ科の
落葉針葉樹である。わが国に多数生育するカラマツの森
林資源としての利用範囲は、梱包材、構造材など限られ
たものであって、現状では決して広いものではなく、そ
の有効利用が様々な観点から検討されている。
報には、カラマツから抽出された抽出物、すなわち有効
成分としてタキシホリンを含有する抽出物をセメント用
添加剤として使用する例が開示されている。
求にともなって、建材又は家具などから発生したホルム
アルデヒドに代表されるVOC(揮発性有機化合物)が
室内から放散されにくくなっている現象が顕著である。
このような住宅に居住する人々が、ホルムアルデヒドの
ような有害物質に過敏に反応することにより様々な症状
を発症する、いわゆるシックハウス症候群が大きな社会
問題となっている。
「室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定
方法について、厚生省生活衛生局長生衛発第1093
号、平成12年6月30日」によれば、ホルムアルデヒ
ドの室内濃度指針値は、30分平均値(30分換気後に
対象室内を5時間以上密閉後30分間採取、DNPH誘
導体化固相吸着/溶媒抽出−高速液体クロマトグラフ
法)として、100μg/m3(0.08ppm)とさ
れている。
ルデヒド吸収剤に対する需要は増大している。室内に滞
留するホルムアルデヒドを減少させるか、又は除去する
目的で各種のホルムアルデヒド吸収剤が提案されてき
た。特に植物由来のものを挙げると、例えば特開平11
−226100号公報には、茶葉由来のポリフェノール
であるカテキン類を用いて、建築用材料、家具用材料及
びフィルター等を処理する構成が開示されている。
研究発表要旨集、p.397(1999)」によれば、
樹皮タンニンのホルムアルデヒド吸着能について種々の
濃度及び測定方法が報告されている。例えばカテキン
は、デシケータ中でのホルムアルデヒド濃度を検知管に
より測定する方法によると、40ppm程度の高濃度の
ホルムアルデヒド発生源を用いた場合でも、優れた吸着
能を示すことが報告されている。さらにアルカリ変性さ
せたカテキンや、アンモニアと気相反応させたアカシア
タンニンは、より高いホルムアルデヒド吸着能を示すこ
とが報告されている。
タンニン化合物を得るためには、原料の確保が困難であ
る。すなわち、茶葉由来のカテキンを大量に入手するこ
とは、極めて困難である。また、例えば天然に自生する
アカシアは、多くを伐採し、なおかつこれをホルムアル
デヒド吸収剤として使用するための資源とすることは現
実には不可能である。従って、植物由来の優れたホルム
アルデヒド吸収能を奏する物質を大量に供給するために
は、新たな原料資源を開拓する必要がある。
問題点を解決するためになされたものである。すなわ
ち、この発明の発明者らは、鋭意研究を進める中で、特
にカラマツに多量に含有されるポリフェノール類である
タキシホリンに着目した。そして、カラマツ抽出物をア
ルカリ処理することにより得られる、タキシホリン誘導
体を実質的に含有するアルカリ処理生成物が、顕著なホ
ルムアルデヒド吸収能を奏することを見い出し、この発
明を完成させるに至った。
されたポリフェノール類を含有する抽出物を、アルカリ
性物質と反応させることにより製造されるホルムアルデ
ヒド吸収能を有するアルカリ処理生成物に関する。
及び根等の植物体のあらゆる単一組織及びこれらの混合
物が含まれる。
ルとしては、フラバノノールであるタキシホリン、アロ
マデンドリン、フラバノン類のケルセチン、ケンフェロ
ール、又はリグニン、リグナン等のアルカリ性条件下で
酸化的に自己重合する物質及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。従って、上述したポリフェノールを含有
する植物を適宜選択して使用するのがよい。
に際しては、好ましくは70〜90℃、特に好ましくは
70℃の熱水によるか、又はアセトンにより処理するの
がよい。この抽出を効率よく行うために、好ましくは植
物組織を破砕して粉末状とするのがよい。
抽出物を精製してもよい。例えば具体的には限外ろ過、
クロマトグラフィ、イオン交換などの工程により行うの
がよい。
明の目的を損なわない範囲で、特に従来使用されていな
かった植物組織、すなわち従来何らかの理由により有効
利用されていなかった植物組織を使用して製造すること
ができる。また、有効成分の抽出は植物組織を破砕して
行うため、従来廃棄するしかなかった廃材等を使用する
こともできる。従って、この発明は、限られた資源の有
効利用という観点から、極めて有意義なものである。
る生成物は、好ましくは植物組織をカラマツ属(Larix
属)由来として製造するのがよい。
epis ( Japanese larch )、Larix laricina ( Tamarach
)、Larix occidentalis ( Western larch )、Larix de
cidua ( European larch )、Larix dahurica ( Mongoli
ana larch ) 及びLarix sibirica ( Siberian larch )
の6種が含まれるが、いずれもこの発明の構成に適用し
て好適である。特にわが国に多数が生育するカラマツ
( Larix leptolepis)の使用は、資源の有効利用を図
る観点からも好ましい。
在している。従って、森林資源として、わが国に多数生
育するカラマツの新たな用途を開拓し、資源としてのカ
ラマツを積極的に有効利用することが可能となる。
は、タキシホリンが主成分として抽出されるが、他のポ
リフェノール成分も少量ではあるが不可避的に混入す
る。これらの他のポリフェノール成分は、特に必要のな
い限り、除去しなくても問題ない。
されるアルカリ性物質としては、水に溶解した際にアル
カリ性を呈するものであれば、どのような物質でも使用
可能であるが、好ましくは気相又は液相のアンモニア又
はモノメチルアミン等の第一級アミン類を使用するのが
よい。
液として混合するのがよい。濃度はアンモニア水溶液の
場合は20〜30%、アミン水溶液の場合は70%に設
定して、水溶液として混合するのがよい。また、抽出物
を閉空間にて気相反応により処理してもよい。この場合
の濃度は、特に限定されるものではないが、反応を早く
進めるためにはより飽和濃度に近い状態にするのがよ
い。この工程により、抽出物のホルムアルデヒド吸収能
は飛躍的に向上する。
リ性物質と反応させることで、顕著なホルムアルデヒド
吸収能を奏するアルカリ処理生成物を効率的に製造する
ことができる。従って、製造コスト低減に貢献する。
は、タキシホリン誘導体を実質的に含むことを特徴とす
る。このアルカリ処理生成物には、上述したように、こ
の発明の目的を損なわない範囲で、他の成分が少量含ま
れていてもよい。
ルであるタキシホリンを原料として使用すれば、顕著な
ホルムアルデヒド吸収能を有するホルムアルデヒド吸収
剤を極めて簡易な工程で工業的に大量に製造することが
できる。
含む分子量304.3のフラバノノール化合物である。
このようなフラバノノール化合物には、他にアロマデン
ドリンが挙げられる。すなわちタキシホリンとは、カテ
キン及びロイコアントシアンが含まれるいわゆるタンニ
ンとは全く別個の植物ポリフェノールの1種である。タ
キシホリンは、カラマツ、特にカラマツ心材に豊富に含
まれている。このタキシホリンは、アンモニア等でアル
カリ処理することにより、酸化的に自己重合する。この
明細書でいうタキシホリン誘導体とは、このタキシホリ
ンの酸化的自己重合体及びそのアルカリ塩をいう。
アンモニアを用いる場合には、好ましくはモル比にして
タキシホリン:アンモニア=1:9又は1:9以上とす
るのがよい。
にホルムアルデヒド吸収能を有する吸収剤に関する。上
述の工程により得られたアルカリ処理生成物を水等の溶
媒に溶解し、これを空気清浄器、加湿器、換気扇、冷暖
房機器、集塵装置等のフィルタに塗布又は含浸させるの
がよい。また、乾固されたアルカリ処理生成物を破砕し
て、適当な粒径に加工するか、又は粉末状にしてフィル
タ材に混入させてもよい。また、これらを紙材や不織布
等の通気性材料で包装するか、又はプラスチック等の適
宜の容器に詰めて使用することができる。このとき使用
されるアルカリ処理生成物の量は、用途等を考慮して、
適宜決定すればよい。
ルデヒド吸収能を有するアルカリ処理生成物、すなわち
ホルムアルデヒド吸収剤を含有する塗料に関する。例え
ば市販の塗料に添加する場合には、アルカリ処理生成物
の性状を考慮して適切な量を添加すればよい。その含有
量は条件等によりこの発明の目的を損なわない範囲で適
宜設定することができるが、被塗布領域1平方メートル
あたり、好ましくは20〜50gが含まれるように添加
するのがよい。
ヒド吸収能を有するアルカリ処理生成物、すなわちホル
ムアルデヒド吸収剤を含有する着色料に関する。ここで
いう着色料とは、上述の塗料のように対象物の表面のみ
に適用する場合のみならず、例えば粉末、液体に混入し
て対象物全体に適用することが想定されている。この場
合には、その含有量は条件等によりこの発明の目的を損
なわない範囲で適宜設定することができる。アルカリ処
理生成物の性状を考慮して、適切な量を対象物に添加す
ればよい。
のある自然な褐色を有しているので極めて応用範囲は広
い。
上述のフィルタ、調度品、家具、ふすま材、障子材等の
建具、及び板材等の建築資材といった対象物にアルカリ
処理前の抽出物を塗布または含浸する工程(第1の工
程)と、この対象物に対してアルカリ薫蒸する工程(第
2の工程)の2段階の工程で行うことで、吸収能を付与
することができる。
に行うこともできる。すなわち対象物をアルカリ薫蒸す
る工程をまず行った後に、アルカリ処理前の抽出物を塗
布または含浸する工程をおこなってもよい。
アルデヒド吸収能を必要とする箇所に現場状況に応じて
施工することができる。
実施の形態を実施例として説明する。
ち、カラマツ( Larix leptolepis)心材の木粉0.4
kgを70℃の熱水2l(リットル)で1時間処理し
た。得られた抽出液をロータリーエバポレータで濃縮し
た。ここで、木粉とは、メッシュ番号にして9〜100
メッシュの粉末を含み、このうち10〜16メッシュの
粉末が7割程度を占める粉末を意味する。多糖類(アラ
ビノガラクタン等)を除去するために、得られた濃縮抽
出液を、約5倍量のエタノールに滴下した。これらの工
程により、カラマツ心材ポリフェノール分画(沈殿以外
の溶液分画)を減圧下で濃縮して黒褐色、ペースト状の
抽出物を得た。
バノノール類の一種であるタキシホリンである。その他
の成分としてケルセチン、ケンフェロール、アロマデン
ドリンなどその類縁化合物(フラボノイド)をごく微量
だけ不可避的に含んでいる。
造 実施例1−1で得られたカラマツ心材抽出物10gにア
ンモニア水(アンモニア約28%含有)を100ml加
えた。アルカリ環境下に室温で14日間静置することに
より暗赤褐色の沈殿を得た。デカンテーションにより、
上澄み液を除去した後、乾燥(風乾、減圧乾燥)して固
形状の非水溶性のアルカリ処理生成物を得た。このアル
カリ処理生成物には、主たる生成物であるタキシホリン
誘導体以外の他の成分として、未反応のタキシホリン
と、ケルセチン、ケンフェロール、アロマデンドリン及
びこれらのアルカリ処理により生じる誘導体等とが不可
避的に少量含まれている。これらの他の成分は、特に必
要のない限り、除去しなくても問題ない。このアルカリ
処理生成物を乳鉢を用いて粉砕して、微粒子状とし、以
下の試験に供した。
験1 実施例1−1で得られたカラマツ心材抽出物及び実施例
1−2で得られたアルカリ処理生成物それぞれについ
て、1gずつ秤量し、ろ紙に添着した。このろ紙を内容
積が約20lのガラス製デシケータ中に入れた。さらに
このデシケータ中に気中濃度がほぼ40ppmとなるよ
うに、ホルムアルデヒド水溶液をマイクロシリンジを用
いて添加した。ガステック検知管(ガステック社製)を
用いて、デシケータ中に残存するホルムアルデヒド量
(%)を、40ppmを100%として、経時的に測定
した。
リ処理を行ったカラマツ心材抽出物と無処理のカラマツ
心材抽出物のホルムアルデヒド吸収能の比較を示すグラ
フである。縦軸は残存ホルムアルデヒド量(%)を、横
軸は時間(分)を示している。
の吸収反応は、初期においては、そのホルムアルデヒド
吸収能は十分大きい。従って、ホルムアルデヒド濃度の
経時的な低下割合は大きい。やがて吸収剤がホルムアル
デヒドを吸収するにつれて、残存ホルムアルデヒド量の
減少及び吸収剤の吸着能の低下などから、経時的に徐々
にホルムアルデヒド濃度の低下割合は減少していって、
最終的に平衡状態に達する現象であるといえる。従っ
て、これらの実験結果を非線形最小自乗法により統計的
に解析したところ、下記式(II)により非常に良好な
近似を得た。
時間(分)を示している。A+Cは実験開始時のホルム
アルデヒド量(すなわち、100%)に相当する。Cは
平衡状態に達した残存ホルムアルデヒド量に相当する。
初期のホルムアルデヒド吸収能は、曲線の接線の傾き
(−AB)の絶対値|AB|に相当していて、式(I
I)を時間xで微分して得られる式F′(x)=−AB
×exp(−B×x)の係数で与えられる。
アルデヒドが、アルカリ処理されているか又は無処理の
カラマツ心材抽出物により、経時的に除去されていく様
子が観察される。具体的にはアルカリ処理により、無処
理の抽出物に関しては、確かにホルムアルデヒド吸収能
は示すものの実験開始から24時間(1440分)後に
約58%が残存していた。一方、アルカリ処理を施した
カラマツ心材抽出物では、検出限界以下であることがわ
かる。従って、すべての時点でアルカリ処理によりホル
ムアルデヒド吸収能が飛躍的に向上していることがわか
った。
材から抽出した抽出物をホルムアルデヒドに経時的に曝
露すると、無処理の抽出物は、当初デシケータ内に40
ppmの濃度で存在していたホルムアルデヒドの40%
程度を吸収するにとどまるのに対し、アルカリ処理をし
た抽出物は、ほぼ100%の吸収能を示すということに
ある。この100%というホルムアルデヒド吸収能は、
従来のホルムアルデヒド吸収剤からは予想し得ない顕著
な数字である。
70℃の熱水2l(リットル)で1時間処理した。ここ
でいう粉末とは、メッシュ番号にして9〜100メッシ
ュの粉末を含み、このうち10〜16メッシュの粉末が
7割程度を占める粉末を意味する。得られた抽出液をロ
ータリーエバポレータで濃縮した。多糖類(アラビノガ
ラクタン等)を除去するために、得られた濃縮抽出液
を、約5倍量のエタノールに撹拌しながら滴下した。こ
れらの工程により、カラマツ樹皮ポリフェノール分画
(沈殿以外の溶液分画)を減圧下で濃縮して黒褐色、ペ
ースト状の抽出物を得た。
のフラボン類といった多種多様のフラボノイド類縁化合
物を多量に含んでいる。
造 実施例2−1で得られたカラマツ樹皮抽出物10gにア
ンモニア水(アンモニア約28%含有)を100ml加
えた。アルカリ環境下に室温で14日間静置することに
より暗赤褐色の沈殿を得た。デカンテーションにより、
上澄み液を除去した後、乾燥(風乾、減圧乾燥)して固
形状の非水溶性のアルカリ処理生成物を得た。このアル
カリ処理生成物を乳鉢を用いて粉砕して微粒子状とし、
以下の試験に供した。
験2 実施例2−1で得られたカラマツ樹皮抽出物及び実施例
2−2で得られたアルカリ処理生成物それぞれについ
て、1gずつ秤量し、ろ紙に添着した。このろ紙を内容
積が約20lのガラス製デシケータ中に入れた。さらに
このデシケータ中に気中濃度がほぼ40ppmとなるよ
うに、ホルムアルデヒド水溶液をマイクロシリンジを用
いて添加した。ガステック検知管(ガステック社製)を
用いて、デシケータ中に残存するホルムアルデヒド量
(%)を、40ppmを100%として、経時的に測定
した。
リ処理を行ったカラマツ樹皮抽出物と無処理のカラマツ
樹皮抽出物のホルムアルデヒド吸収能の比較を示すグラ
フである。縦軸は残存ホルムアルデヒド量(%)を、横
軸は時間(分)を示している。
が、アルカリ処理されているカラマツ樹皮抽出物及び無
処理のカラマツ樹皮抽出物のいずれによっても、経時的
に除去されていくが、アルカリ処理を行った方が顕著な
ホルムアルデヒド吸収能を示すことが理解される。この
ように、抽出物のアルカリ処理によりホルムアルデヒド
吸収能が飛躍的に向上することがわかった。従って、カ
ラマツ樹皮もこの発明のホルムアルデヒド吸収能を有す
る生成物の原材料として極めて有用であることが確認さ
れた。
いて統計的に解析したところ、無処理のカラマツ樹皮抽
出物は、約80%のホルムアルデヒド吸収能を示し、ア
ルカリ処理したカラマツ樹皮抽出物では、約90%のホ
ルムアルデヒド吸収能を示した。
にアセトン4l(リットル)を投入し、室温中で72時
間静置した。得られた抽出液をロータリーエバポレータ
により減圧下で濃縮後結晶化処理を行い、約3gのタキ
シホリン粗結晶を得た。得られたタキシホリン粗結晶を
アンモニア水(アンモニア濃度約28%)によりガラス
デシケータ中で室温下、196時間気相処理した。処理
終了後減圧乾燥し、水溶性部及び非水溶性部を含む褐色
の粉末を得た。
条件で、ホルムアルデヒド吸収実験に供試した結果を表
3及び図3に示す。
リ処理を行ったタキシホリンのホルムアルデヒド吸収能
の比較を示すグラフである。縦軸は残存したホルムアル
デヒドの量(%)を示し、横軸は測定時間(分)を示し
ている。
定開始(100%)から2時間後には10%以下にまで
ホルムアルデヒド残存量が減少し、24時間後には約3
%となった。この結果、水溶性部及び非水溶性部の混合
物にも高いホルムアルデヒド吸収能が認められた。
ンモニア水(アンモニア約28%含有)との混合物は、
自然な褐色を呈しているので、そのまま塗料として使用
することができる。また、実施例1−2により得られる
固形状の非水溶性のアルカリ処理生成物はさらに自然な
雰囲気の深みのある褐色を呈しているので、これもその
まま適当な溶媒を加え塗料として使用することができ
る。
を評価した。結果を表4に示す。表4はカラマツ心材抽
出物、そのアンモニア水との混合物及びアルカリ処理生
成物によって得られる色調を説明するための表である。
LE+NH3はカラマツ心材抽出物とアンモニア水との
混合物を示す。LEDはアルカリ処理生成物を示す。L
Eはエタノールを適当量含むペースト状で、LE+NH
3とLEDは水溶液状態で塗布した。
に規定される「L*a*b*表色系」で、L*は明度を
示す。a*、b*は色相と彩度からなる色度を示す。Δ
E*は色差を示す。無塗装の場合はL*=63.10、
a*=4.75、b*=23.53であったが、この板
にカラマツ心材抽出物を塗布するとL*=53.62、
a*=7.03、b*=30.57となり、ΔE*=1
2.02であった。アンモニア等のアルカリで処理をし
ていないので、その色調はあまり大きく変化していな
い。これに対してカラマツ心材抽出物とアンモニア水の
等量混合物を添加したものはL*=50.72、a*=
5.25、b*=30.43、ΔE*=14.18とな
った。また、アルカリ処理生成物を塗布した場合にはL
*=39.42、a*=12.63、b*=14.1
3、ΔE*=26.67と大きく変化した。得られた色
調は自然な雰囲気の深みのある褐色で、高級感があるも
のであった。
布したカバ材を雑巾で複数回水拭きすることで評価し
た。アンモニア処理したもの(LE+NH3及びLE
D)は、試行初期(1回目及び2回目)には、塗料の雑巾
への移行がわずかに認められたものの、それ以降の試行
では塗料の雑巾への移行は認められなかった。従って、
十分な耐水性を有していると判断された。
出物をアルカリ処理することにより得られるタキシホリ
ン誘導体を実質的に含有するアルカリ処理生成物は、従
来と比較して顕著なホルムアルデヒド吸収能を奏する。
また、この発明のアルカリ処理生成物の製造方法によれ
ば、極めて簡易な工程でこれを大量に製造することがで
きる。
植物組織、特にカラマツ由来の植物組織を有効に利用す
ることができる。また、従来廃棄するしかなかった廃材
等を利用することもできる。従って、この発明は、資源
の有効利用という観点から、極めて有意義なものであ
る。
物のホルムアルデヒド吸収能を比較したグラフである。
物のホルムアルデヒド吸収能を比較したグラフである。
吸収能を示すグラフである。
Claims (12)
- 【請求項1】 植物組織から抽出されたポリフェノール
類を含有する抽出物を、アルカリ性物質と反応させるこ
とを特徴とするホルムアルデヒド吸収能を有するアルカ
リ処理生成物。 - 【請求項2】 前記植物組織がカラマツ由来であること
を特徴とする請求項1に記載のアルカリ処理生成物。 - 【請求項3】 前記アルカリ性物質が、アンモニア又は
アミン類であることを特徴とする請求項1又は2に記載
のアルカリ処理生成物。 - 【請求項4】 タキシホリン誘導体を実質的に含むこと
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアル
カリ処理生成物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のア
ルカリ処理生成物を含むことを特徴とするホルムアルデ
ヒド吸収剤。 - 【請求項6】 請求項5に記載のホルムアルデヒド吸収
剤を含有する塗料。 - 【請求項7】 請求項5に記載のホルムアルデヒド吸収
剤を含有する着色料。 - 【請求項8】 植物組織を、アセトンもしくは70〜9
0℃の熱水により処理することでポリフェノール類を含
有する抽出物を得る工程と、前記抽出物をアルカリ性物
質と反応させてアルカリ処理生成物を得る工程とを含む
ことを特徴とするホルムアルデヒド吸収能を有するアル
カリ処理生成物の製造方法。 - 【請求項9】 前記植物組織が、カラマツ由来であるこ
とを特徴とする請求項8に記載の製造方法。 - 【請求項10】 前記アルカリ性物質が、アンモニア又
はアミン類であることを特徴とする請求項8又は9に記
載の製造方法。 - 【請求項11】 対象物にアルカリ処理前の植物組織か
ら抽出されたポリフェノール類を含有する抽出物を塗布
もしくは含浸した後に、前記対象物に対してアルカリ薫
蒸することを特徴とする対象物へのホルムアルデヒド吸
収能付与方法。 - 【請求項12】 前記対象物をアルカリ薫蒸した後に、
前記対象物にアルカリ処理前の植物組織から抽出された
ポリフェノール類を含有する抽出物を塗布もしくは含浸
することを特徴とする対象物へのホルムアルデヒド吸収
能付与方法。
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