JP2003238588A - 海綿由来アズマミド類 - Google Patents

海綿由来アズマミド類

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JP2003238588A
JP2003238588A JP2002040259A JP2002040259A JP2003238588A JP 2003238588 A JP2003238588 A JP 2003238588A JP 2002040259 A JP2002040259 A JP 2002040259A JP 2002040259 A JP2002040259 A JP 2002040259A JP 2003238588 A JP2003238588 A JP 2003238588A
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cancer
hdac
diseases
inhibitory activity
azumamides
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Nobuhiro Fuseya
伸宏 伏谷
Shigeki Matsunaga
茂樹 松永
Yoichi Nakao
洋一 中尾
Satoru Yoshida
悟 吉田
Koji Nagai
浩二 永井
Nobuaki Shinto
信昭 新堂
Hiroshi Terada
央 寺田
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬、殊にヒストン脱アセチル化酵素(HDA
C)阻害剤として有用な新規化合物の提供。 【解決手段】 海綿の1種であるミカーレ イズエン
シスからの海綿抽出成分である本発明の新規なアズマミ
ド類またはその製薬学的に許容される塩は、HDAC阻害活
性を有し、また、ヒト癌細胞において細胞増殖阻害活性
を有することから、ヒストンのアセチル化の関与する疾
患や病態、殊に腫瘍や細胞増殖性疾患の治療及び改善に
有用である。ここに、細胞増殖性疾患としては、例え
ば、感染症、自己免疫疾患、皮膚病が挙げられる。特に
本発明化合物は良好なヒト癌細胞に対する細胞増殖抑制
活性を有することから、抗腫瘍剤(例えば大腸癌、肺
癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、脳腫瘍及び白血病等に
対する薬剤等)として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する分野】本発明は医薬、殊にヒストン脱ア
セチル化酵素阻害剤として有用な、海綿抽出成分である
アズマミド類またはその製薬学的に許容される塩に関す
る。 【0002】 【従来の技術】細胞の核内のDNAはヌクレオソームを基
本としたクロマチン構造を形成している。ヌクレオソー
ムはコアヒストン(ヒストンH2A, H2B, H3, H4それぞれ
2分子ずつから成る8量体)とDNAとが巻き付いた構造体
で、ヒストンN末端に存在する正電荷を帯びたリジン残
基は負電荷を帯びたDNAと電荷的に安定な状態を形成す
ることでヌクレオソームは高次に折り畳まれた状態で存
在している(Wolffe,A.P. et al Cell 84, 817-819, 19
96)。核内で遺伝子の転写反応が起こるためにはその構
造を解けた状態にして、様々な転写因子がDNAに接触で
きるようにすることが必要である。転写が抑制されてい
る遺伝子領域のヒストンはアセチル化の程度が低く、活
発に転写が起こっている遺伝子領域のヒストンはアセチ
ル化の程度が高いといったように、ヒストンのアセチル
化と転写活性化の関連性が以前より知られていた(Hebb
es,T.R. et al EMBO J. 7, 1395-1402, 1988、Grunstei
n,M.et al Nature 389, 349-352, 1997)。ヌクレオソ
ーム中のヒストンのリジン残基がアセチル化されるとそ
の正電荷は中和され、ヌクレオソーム構造が弛緩するこ
とで様々な転写因子がDNAに接触できるようになり、転
写が起こりやすくなると考えられている(Hong,L.et al
J.Biol.Chem. 268, 305-314, 1993)。 【0003】ヒストンのアセチル化はヒストンアセチル
化酵素(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(Histone
Acetyltransferase); HAT)とヒストン脱アセチル化酵
素(ヒストンデアセチラーゼ(Histone Deacetylase); H
DAC)とのバランスによって制御されていることが知ら
れており、近年、いくつかのHAT並びにHDACが同定され
その転写調節における重要性が報告されている(Ogryzk
o,V.V. et al Cell 87, 953-959, 1996、Brown,C.E. et
al Trends Biochem.Sci. 25(1), 15-19, 2000、Grozin
ger,C.M. et al Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96, 4868-487
3, 1999)。 【0004】一方で、細胞周期停止、形質転換細胞の形
態正常化、分化誘導など多彩な作用を有する酪酸は、細
胞内に高アセチル化ヒストンを蓄積させ、HDAC阻害作用
を有することが以前より知られていた(Counsens,L.S.e
t al J.Biol.Chem. 254, 1716-1723, 1979)。また、微
生物代謝産物のトリコスタチンA(TSA)は細胞周期の
停止、分化誘導を示し(Yoshida,M. et al Cancer Res
47, 3688-3691, 1987、Yoshida,M. et al Exp.Cell Re
s 177, 122-131, 1988)、またアポトーシスを誘導する
ことが見出された。TSAは細胞内に高アセチル化ヒスト
ンを蓄積させるが、部分精製したHDACを用いた検討から
TSAが強力なHDAC阻害剤であることが明らかとなった(Y
oshida,M. et al J.Biol.Chem. 265, 17174-17179, 199
0)。 【0005】他のHDAC阻害剤についても研究が進んでい
る。微生物代謝産物であるトラポキシン(TPX)は細胞増
殖を抑制し、v-sis形質転換細胞の形態を正常化する作
用が知られていたが(Itazaki,H. et al J.antibiotics
43(12), 1524-1534,1990)、後にHDAC阻害剤であるこ
とが明らかとなった(Kijima,M. et al J.Biol.Chem. 2
68, 22429-22435, 1993)。その阻害形式は不可逆的で
あることからこのTPXを分子プローブとしてこれに結合
するヒトHDACのクローニングも報告されている(Taunto
n,J. et al Science 272 408-411, 1996)。その他、De
pudecin(Kwon,H.J.et al Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,
3356-3361, 1998)、フェニル酪酸(Warrell,R.P.Jr.
et al J.Natl.Cancer Inst. 90(21), 1621-1625, 199
8)、FR901228(Nakajima,H.et al Exp.Cell Res. 241,
126-133,1998)、MS-27-275(Saito,A. et al Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 96, 4592-4597, 1999)、SAHA(R
ichon,V.M. et al Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 95, 3003-
3007, 1998)、CHAP (cyclic hydroxamic acid-contain
ing peptide)(Furumai,R. et al Proc.Natl.Acad.Sci.
USA, 98, 87-92, 2001)などの化合物がHDAC阻害作用を
有することが報告されている。 【0006】HDAC阻害剤は、細胞周期停止、形質転換細
胞の形態正常化、分化誘導、アポトーシス誘導、血管新
生阻害作用などを有することから、抗腫瘍剤としての効
果が期待されている(Marks,P.A. et al J.Natl.Cancer
Inst., 92, 1210-1216, 2000、Kim,M.S. et al Nature
Med. 7 437-443, 2001)。またその他にも、例えば感
染症、自己免疫疾患、皮膚病(Darkin-Rattray,S.J. et
al Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93, 13143-13147, 1996)
などの細胞増殖性疾患の治療・改善薬、またハンチント
ン病などの進行性神経変性疾患の予防・治療薬(Steffa
n,J.S. et al Nature 413, 739-743, 2001)、さらに遺
伝子治療におけるベクター導入の効率化(Dion, L.D. e
t al Virology 231, 201-209, 1997)、導入遺伝子の発
現亢進(Chen,W.Y. et al Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,
5798-5803, 1997)など様々な応用も試みられており、
有用な医薬となることが期待されている。既知のHDAC阻
害剤のいくつかは医薬として開発が進められているが、
今なお、活性強度、安定性、体内動態や毒性などの更に
改善された薬剤の創製が切望されている。 【0007】一方、海綿類からは、これまで幾つかの生
理活性物質が単離されている。例えば、ディスコデルミ
ア カリックス(Discodermia calyx)からは抗腫瘍活性
を有するカリクリンA(特開昭62-178595号公報)が、
ディスコデルミア キイイエンシス(Discodermia kiien
sis)からは抗菌作用を有するテトラデカペプチドである
ディスコデルミン類(特開昭62-100597号公報)が、ま
た、海綿テオネラ エスピー(Theonella sp.)からはト
ロンビン阻害活性を有する環状ペプチド化合物(特開平
2-289598号公報)が単離されている。しかしながら、本
発明のアズマミド類又はその類似物については、海綿よ
り抽出されたとの報告はなく、また、化学的に合成され
たとの報告も無い。即ち、HDAC阻害作用を有する、海綿
抽出成分のアズマミド類は本発明により初めて明らかに
なったものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、HDACの関与
する疾患、殊に腫瘍や細胞増殖性疾患の予防若しくは治
療剤として有用な新規化合物の提供を目的とするもので
ある。 【0009】 【課題を解決する方法】本発明者等は、海綿に含まれる
生理活性物質につき鋭意研究した結果、天草諸島産海綿
ミカーレ イズエンシス(Mycale izuensis)から新規な
環状ペプチド化合物を単離し、その薬理作用を検討した
結果、これらの化合物が優れたHDAC阻害作用を有し、ま
たヒト癌細胞に対する良好な細胞増殖阻害活性を有する
ことを知見し、本発明を完成した。 【0010】即ち、本発明は、下記一般式(I)で示さ
れる新規なアズマミド類(Azumamides)またはその製薬
学的に許容される塩に関する。更に、本発明は、当該化
合物を有効成分として含有する医薬組成物、殊にHDAC阻
害剤並びに抗腫瘍剤にも関する。 【化2】 (式中、R1はアミノ基又は水酸基を、R2は水素原子又
は水酸基を、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原
子又はメチル基をそれぞれ意味する。以下同様。) 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳述する。本
発明のアズマミド類またはその製薬学的に許容される塩
は、天草諸島等の日本近海に生息する海綿の1種である
ミカーレ イズエンシスから常法により入手することが
できる。以下、本発明化合物の製造方法を説明する。 【0012】(製造方法)本発明化合物の海綿よりの単
離は、通常の抽出、精製の手段を適宣利用して行うこと
ができる。好ましくは、海綿から活性成分をアルコール
等の溶媒で抽出し、更に水と水と混和しない有機溶剤を
用いて二層分配により精製する。また、活性成分を含む
画分を適当な担体に接触させ活性成分を吸着させ、次い
で適当な溶媒で溶出することにより活性を有する本発明
化合物を精製することができる。好ましくは、アンバー
ライトXAD-2、ダイヤイオンHP-20、ダイヤイオンCHP-2
0、又はダイヤイオンSP-900のような多孔性吸着樹脂に
接触・吸着させ、次いでメタノール、エタノール、アセ
トン、ブタノール、アセトニトリル又はクロロホルム等
の有機溶媒と水との混合液を用いて、本発明化合物を溶
出させることができる。このとき有機溶媒と水の混合比
率を段階的に又は連続的に変化させることが有利であ
る。次に、上記の各操作法を用いて得た本発明化合物含
有画分は、シリカゲル、ODS等を用いたカラムクロマト
グラフィー、遠心液々分配クロマトグラフィー、ODSを
用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の定法によ
り、さらに純粋に分離精製することができる。 【0013】本発明化合物(I)の製薬学的に許容され
る塩としては、無機若しくは有機塩基との塩であり、製
薬学的に許容される塩である。これらの塩としては、好
ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カル
シウム、アルミニウムなど無機塩基、メチルアミン、エ
チルアミン、エタノールアミンなどの有機塩基、又は、
リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩を挙げ
ることができる。これらの塩は常法の造塩反応を用いて
入手できる。また、本発明化合物は不斉炭素原子及び二
重結合を有するので、これに基づく立体異性体(ラセミ
体、光学異性体、ジアステレオマー等)及び幾何異性体
(シス体又はトランス体)が存在する。本発明化合物
は、これらの立体異性体又は幾何異性体の混合物もしく
は単離されたものを包含する。更に本発明は、本発明化
合物(I)又はその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結
晶多形の物質をも包含する。 【0014】一般式(I)で示された化合物の1種又は
2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は,当分
野において通常用いられている薬剤用担体,賦形剤等を
用いて通常使用されている方法によって調製することが
できる。投与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散
剤,液剤,吸入剤等による経口投与,又は,静注,筋注
等の注射剤,坐剤,点眼剤,眼軟膏,経皮用液剤,軟膏
剤,経皮用貼付剤,経粘膜液剤,経粘膜貼付剤等による
非経口投与のいずれの形態であってもよい。 【0015】本発明による経口投与のための固体組成物
としては,錠剤,散剤,顆粒剤等が用いられる。このよ
うな固体組成物においては,一つ又はそれ以上の活性物
質が,少なくとも一つの不活性な賦形剤,例えば乳糖,
マンニトール,ブドウ糖,ヒドロキシプロピルセルロー
ス,微結晶セルロース,デンプン,ポリビニルピロリド
ン,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合され
る。組成物は,常法に従って,不活性な添加剤,例えば
滑沢剤や崩壊剤,溶解補助剤を含有していてもよい。錠
剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性
コーティング剤で被膜してもよい。 【0016】経口投与のための液体組成物は,薬剤的に
許容される乳剤,液剤,懸濁剤,シロップ剤,エリキシ
ル剤等を含み,一般的に用いられる不活性な溶剤,例え
ば精製水,エタノールを含む。この組成物は不活性な溶
剤以外に可溶化剤、湿潤剤,懸濁化剤のような補助剤,
甘味剤,矯味剤,芳香剤,防腐剤を含有していてもよ
い。非経口投与のための注射剤としては,無菌の水性又
は非水性の液剤,懸濁剤,乳剤を含有する。水性の溶剤
としては,例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれ
る。非水性の溶剤としては,例えばプロピレングリコー
ル,ポリエチレングリコール,オリーブ油のような植物
油,エタノールのようなアルコール類,ポリソルベート
80(商品名)等がある。このような組成物は,さらに
等張化剤、防腐剤,湿潤剤,乳化剤,分散剤,安定化
剤,溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテ
リア保留フィルターを通す濾過,殺菌剤の配合又は照射
によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成
物を製造し,使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶
解、懸濁して使用することもできる。 【0017】通常、経口投与の場合、1日の投与量は約
0.001から100mg/kg、好ましくは0.01〜50mg/kgが適当で
ある。静脈内注射の場合、1日の投与量は約0.0001から5
0mg/kg、好ましくは、約0.001から20mg/kgが、それぞれ
適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する
ことが好ましい。投与頻度、投与量は症状、年令、性別
等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。 【0018】 【実施例】以下,実施例に基づき本発明を更に詳細に説
明する。本発明化合物は下記実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 天草諸島産海綿ミカーレ イズエンシス2.2kgをメタノ
ール(MeOH)およびエタノールで順次抽出し、抽出物を濃
縮後、水(H2O)とジエチルエーテルで二層分配した。得
られた水層をブタノールで抽出し、ブタノール画分を、
水−メタノール系を用いた逆相フラッシュクロマトグラ
フィーで分画した。50%メタノール溶出画分を、Sephade
x LH 20とメタノールを用いてゲルろ過後、逆相HPLC [5
C18 Cosmosil ARII, MeOH/H2O/トリフルオロ酢酸(TFA)
(30:70:0.05から60:40:0.05)]で分画し、得られた活性
画分を0.05%TFA含有の10〜17%プロパノール(PrOH)−水
を移動相として用いた逆相HPLC(5C18 Cosmosil ARII)
で精製した結果、アズマミドA (2.7mg)、B (1.6mg)、C
(1.4mg)及びD (0.6mg)を得た。また、逆相フラッシュク
ロマトグラフィーにおいて70%メタノールで溶出した画
分を、Sephadex LH 20とメタノールを用いてゲルろ過
後、逆相のHPLC[5C18 Cosmosil ARII, MeOH/H2O/TFA (5
0:50:0.05から80:20:0.05)]で分画し、さらにPrOH/H2O/
TFA (20:80:0.05) を移動相として用いた逆相HPLC(5C
18 Cosmosil ARII)で精製することにより、アズマミド
E (0.9mg)及びF (1.1mg) を得た。上記の実施例で得ら
れたアズマミドA〜Fの化学構造式と物理化学的性状を以
下に示す。 【0019】 【化3】 【0020】(a)アズマミドAの物理化学的性質 色及び形状: 無定型褐色固体(amorphous brown solid) 比旋光度: [α]23 D +32.9° (c 0.1; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 514.3018 [M+H]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 216.0 (6,600), 212.0 (8,190), 208.5 (8,310), 205.5
(6,940)1 H及び13C NMRスペクトラム(DMSO-d6中): 表1に
示す通り (b)アズマミドBの物理化学的性質 色及び形状:無定型黄色固体(amorphous yellow solid) 比旋光度: [α]23 D +45.4° (c 0.1; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 552.2778 [M+Na]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 278.5 (1,010), 256.5 (798), 220.5 (7,250), 203.0
(17,600)1 H及び13C NMRスペクトラム(CD3OH中): 表2に示
す通り (c)アズマミドCの物理化学的性質 色及び形状:無定型黄色固体(amorphous yellow solid) 比旋光度: [α]22 D +23.6° (c 0.1; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 531.2811 [M+H]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 278.0 (754), 209.0 (5,770)1 H及び13C NMRスペクトラム(CD3OH中): 表3に示
す通り (d)アズマミドDの物理化学的性質 色及び形状:無定型黄色固体(amorphous yellow solid) 比旋光度: [α]20 D +32.6° (c 0.05; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 486.2702 [M+H]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 21
2.0 (6,300)1 H及び13C NMRスペクトラム(CD3OH中): 表4に示
す通り (e)アズマミドEの物理化学的性質 色及び形状:無定型黄色固体(amorphous yellow solid) 比旋光度: [α]21 D +58.5° (c 0.06; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 515.2888 [M+H]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 21
2.0 (11,600)1 H及び13C NMRスペクトラム(CD3OH中): 表5に示
す通り (f)アズマミドFの物理化学的性質 色及び形状:無定型黄色固体(amorphous yellow solid) 比旋光度: [α]21 D +53.6° (c 0.1; MeOH) 高分解能FABマススペクトラム: 515.2856 [M+H]+ 紫外可視吸収スペクトラム(λmax MeOH nm (ε)): 21
7.0 (7,430)1 H及び13C NMRスペクトラム(CD3OH中): 表6に示
す通り 【0021】 【表1】【0022】 【表2】【0023】 【表3】【0024】 【表4】【0025】 【表5】【0026】 【表6】【0027】 【発明の効果】一般式(I)に示される本発明化合物
は、後記試験例に示すように、HDAC阻害作用を有し、ま
たヒト癌細胞に対する細胞増殖抑制活性を示すことが確
認された。従って、一般式(I)で示される本発明のア
ズマミド類またはその製薬学的に許容される塩は、ヒス
トンのアセチル化の関与する疾患や病態、殊に腫瘍や細
胞増殖性疾患の治療及び改善に有用である。ここに、細
胞増殖性疾患としては、例えば、感染症、自己免疫疾
患、皮膚病が挙げられる。特に本発明化合物は良好なヒ
ト癌細胞に対する細胞増殖抑制活性を有することから、
抗腫瘍剤(例えば大腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、子宮
頸癌、脳腫瘍及び白血病等に対する薬剤等)として有用
である。更に、本発明化合物はハンチントン病などの進
行性神経変性疾患の予防・治療薬、あるいは遺伝子治療
におけるベクター導入の効率化や導入遺伝子の発現亢進
にも有用である。 【0028】本発明化合物の有用性は以下の試験により
確認されたものである。 試験例1:HDAC阻害試験 (1)HDACの部分精製 K562細胞より単離した核を吉田らの方法(Yoshida,M. e
t al J.Biol.Chem 265, 17174-17179, 1990)に従って
抽出し、その抽出液をQ Sepharose FFカラム(ファルマ
シア社; 17-0510-01)を用い、0〜0.5MのNaClの濃度勾
配によりHDACの部分精製を行った。その後、HDA緩衝液
[15mMリン酸カリウム(pH7.5)、5%グリセロール、0.2
mM EDTA]で透析を行った。 【0029】(2)HDAC阻害活性の測定 Nare, B. et al Anal. Biochem. 267, 390-396, 1999に
従って合成された、ビオチン化[3H]アセチルヒストン
H4ペプチド(aa 14-21:Biotin-Gly-Ala-[3H-acetyl] L
ys-Arg-His-Arg-[3H-acetyl] Lys-Val-amide (Amersham
Pharmacia Biotech社製)、以下[3H]アセチルヒスト
ンと略記する。)をHDAC阻害アッセイの基質として使用
した。[3H]アセチルヒストンをHDA緩衝液で37μMに希
釈しこれを25μlと、(1)で精製・透析したHDAC画分2
5μlとを混合し室温にて2時間反応させた後、1M塩酸を
50μl添加して反応を停止させ、さらに酢酸エチル800μ
lを加え混合・遠心を行い、酢酸エチル層400μlをシン
チレーターバイアルに採取し、5mlのシンチレーターを
添加して遊離した[3H]酢酸の放射活性を液体シンチレ
ーションカウンターにて測定した。基質と酵素とを混合
する前に予めDMSOで溶解・希釈した薬物を2μl添加し、
上記のアッセイを行うことで、薬物のHDACに対する阻害
活性を検討した。本発明のアズマミド類は良好なHDAC阻
害活性を示し、例えば、アズマミドAおよびEのHDAC酵素
に対する阻害IC50値はそれぞれ0.013及び0.17μMであっ
た。 【0030】試験例2:ヒト癌細胞に対する細胞増殖抑
制試験 96穴テストプレート中にヒト白血病K562細胞を5×103
/wellになるよう播種し、37℃、0.5% CO2インキュベー
ター中で培養した。18時間後、溶媒(DMSO)および種々
の濃度の化合物アズマミド Eを加え、37℃、0.5% CO2
ンキュベーター中でさらに72時間培養した。培養後、細
胞の増殖をアラマーブルー(BIOSOURCE社)を用いて測
定し、0.1% DMSO添加・細胞ありおよび0.1% DMSO添加・
細胞なしの条件の測定値をそれぞれ0%阻害、100%阻害と
して化合物各濃度の増殖阻害%を求め、増殖を50%阻害す
る濃度(IC50値)をlogistic回帰により算出した。その
結果、化合物アズマミド EのK562細胞に対する細胞増殖
阻害のIC50値は4.5μMであった。 【0031】試験例3:細胞内ヒストンのアセチル化誘
導作用 6穴テストプレート中にK562細胞を1.5×106個/wellにな
るよう播種し、その後、溶媒(DMSO)および種々の濃度
(0.19〜19.4μM)のアズマミド Eを添加し、37℃、0.5
% CO2インキュベーター中で6時間培養した。蛋白質の抽
出は以下の方法で行った。遠心分離により回収した細胞
沈殿物をTNE buffer (10 mM Tris・HCl(pH 8.0), 150 m
M NaCl, 1 mM EDTA, 1% NP-40, 1 tablet / 10mL Compl
ete mini (Roche社))により溶解し、氷上で10分間放置
した。その後遠心分離により上清を回収し、抽出した蛋
白質の濃度をブラッドフォード法にて定量した。各サン
プルを等蛋白質量に揃えて定法に従いSDS-PAGE、ウェス
タンブロットを行った。一次抗体には抗アセチル化ヒス
トンH3およびH4抗体(UPSTATEbiotechnology社)を、二
次抗体にはHRP標識抗ウサギ抗体(Amersham Pharmacia
Biotech社)を使用し、ECL(Amersham Pharmacia Biote
ch社)にて発光を検出した。結果、アズマミド E処理サ
ンプルでは溶媒処理サンプルに比較して顕著で且つ用量
依存的なアセチル化ヒストンH3およびH4のバンドが検出
されたことから、アズマミド EはK562細胞内においても
ヒストン脱アセチル化酵素を阻害しヒストンのアセチル
化を亢進させていることが確認された。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成14年4月4日(2002.4.4) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0021 【補正方法】変更 【補正内容】 【0021】 【表1】 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0022 【補正方法】変更 【補正内容】 【0022】 【表2】 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0023 【補正方法】変更 【補正内容】 【0023】 【表3】 【手続補正4】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0024 【補正方法】変更 【補正内容】 【0024】 【表4】 【手続補正5】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0025 【補正方法】変更 【補正内容】 【0025】 【表5】 【手続補正6】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0026 【補正方法】変更 【補正内容】 【0026】 【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/00 A61P 43/00 111 43/00 111 A61K 37/02 (72)発明者 吉田 悟 埼玉県上尾市原市2381−26 (72)発明者 永井 浩二 東京都板橋区小豆沢1−1−8 山之内製 薬株式会社内 (72)発明者 新堂 信昭 茨城県つくば市御幸が丘21 山之内製薬株 式会社内 (72)発明者 寺田 央 茨城県つくば市御幸が丘21 山之内製薬株 式会社内 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA02 AA07 BA24 CA51 DC32 MA52 MA55 NA14 ZB071 ZB261 ZB351 ZC201 4C087 AA01 AA02 BB02 CA06 MA52 MA55 NA14 ZB07 ZB26 ZB35 ZC20 4H045 AA10 AA30 BA13 CA50 DA55 EA28 FA71

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(I)で示されるアズマミド
    類またはその製薬学的に許容される塩。 【化1】 (式中、R1はアミノ基又は水酸基を、R2は水素原子又
    は水酸基を、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原
    子又はメチル基をそれぞれ意味する。)
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