JP2003238212A - 光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ及びその製造方法

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JP2003238212A
JP2003238212A JP2002040009A JP2002040009A JP2003238212A JP 2003238212 A JP2003238212 A JP 2003238212A JP 2002040009 A JP2002040009 A JP 2002040009A JP 2002040009 A JP2002040009 A JP 2002040009A JP 2003238212 A JP2003238212 A JP 2003238212A
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optical fiber
electron beam
coating material
curable
cured
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JP2002040009A
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Toshio Oba
敏夫 大庭
Atsuo Kawada
敦雄 川田
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ガラス光ファイバ裸線に電子線硬化性一
次被覆材を被覆し、これを電子線照射により硬化させる
ことによって得られた光ファイバであって、この光ファ
イバの伝送損失が、上記電子線硬化性一次被覆材に光開
始剤を加え、これを紫外線照射により硬化させることに
よって得られた光ファイバの伝送損失の1.00〜1.
05倍であることを特徴とする光ファイバ。 【効果】 本発明によれば、電子照射により被覆材を硬
化させる際の電子線の加速電圧を60〜100kV、光
ファイバに当たるX線の1cm線量当量を5mSv以下
とすることにより、紫外線硬化性被覆材の硬化物を被覆
したものとほぼ同等の低伝送損失であり、しかも被覆層
が深部まで硬化してガラス光ファイバと硬化物被覆層と
の界面が適度に密着した光ファイバを提供することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信に用いられ
る光ファイバ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】光通信
ファイバとしては、石英ガラス系、多成分ガラス系、プ
ラスチック系など種々のものがあるが、現実にはその軽
量性、低損失性、高耐久性、更には伝送容量が大きいこ
とから石英ガラス系のものが広範囲の分野で大量に使用
されている。
【0003】しかし、この石英ガラス系のものは、極め
て細く、外的要因で変化も起こることから、石英ガラス
系の光通信ファイバには、溶融紡糸された石英ガラスフ
ァイバ裸線上に予め硬化物の軟らかい液状の硬化性樹脂
でコーティング、硬化して一次被覆が施され、更にこの
一次被覆層を保護するために、硬化物の硬い液状の硬化
性樹脂で二次被覆が施される。これは光ファイバ芯線と
呼ばれており、更にこの芯線を数本(通常は4本)束
ね、テープ化材を塗布、硬化することにより、テープ芯
線が製造される。
【0004】これらのコーティング材としては、ウレタ
ンアクリレート系の紫外線硬化性樹脂組成物が提案され
ており、特公平1−19694号、特許第252266
3号、特許第2547021号公報に記載されているよ
うに、ウレタンアクリレートオリゴマーと、反応性モノ
マーと、重合開始剤とからなる紫外線硬化液状組成物が
知られている。しかし、近年、生産性向上のため、光フ
ァイバ線引き速度が高速化しており、紫外線硬化では照
射するUVランプの数を増やす以外に解決策がなく、限
られたスペースでの硬化には限界があった。
【0005】一方、特公平2−27296号、特開20
00−304987号、特表2000−515449号
公報には、光ファイバの被覆材に加速電圧を限定した電
子を照射して電子線硬化性被覆材を硬化する方法が示さ
れている。
【0006】電子線硬化性被覆材を硬化させるための電
子線を照射する装置は、何らかの電子発生手段と電子加
速手段を有しているものであるが、上記のような光ファ
イバの被覆材の硬化に使用されるものは、電子の発生と
加速は真空中で行うが、照射は生産性を考えて連続処理
が容易な大気圧雰囲気中で行うことができるように、大
気圧と真空の境界は薄い金属箔からなるウインドウで仕
切り、電子線をウインドウを透過させて真空から大気圧
に取り出すのが一般的である。
【0007】しかし、この場合、電子を加速する電圧が
高いと、電子が光ファイバコアまで到達し、コアの成分
であるSiO2又はGeO2に欠陥を生じさせるため光フ
ァイバの伝送損失が増加し、一方、加速電圧が低いと、
被覆材深部の硬化性が損なわれ、樹脂と光ファイバとの
密着が悪くなるという問題がある。これに対して、深度
線量分布に基づき電子が光ファイバコアにほとんど到達
しない程度の加速電圧で電子線を照射することにより、
伝送損失の増加が大幅に抑制され、被覆材深部の硬化性
も良好なものを得ることができるが、コーティング材を
紫外線で硬化させたものに比べ、まだ伝送損失が大き
く、実用上問題があった。
【0008】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、小スペースでも硬化が可能な電子照射によ
り硬化させた硬化物被覆層を有する光ファイバであっ
て、紫外線硬化性被覆材の硬化物を被覆したものとほぼ
同等の低伝送損失であり、しかも被覆層が深部まで硬化
してガラス光ファイバと硬化物被覆層との界面が適度に
密着した光ファイバ及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重
ねた結果、上記のような電子線照射装置においては、電
子がウインドウ中の原子に当たることによりX線が発生
しており、このX線は光ファイバにも照射されることに
なるため、このX線が伝送損失を増大させていることを
知見し、電子線照射装置に設けられたウインドウを通過
させた電子線を照射させることにより電子線硬化性被覆
材を硬化させる際に、電子線の加速電圧を60〜100
kVとし、かつ光ファイバに当たるX線の1cm線量当
量を5mSv以下とすることにより、紫外線硬化性被覆
材の硬化物を被覆したものとほぼ同等の低伝送損失であ
り、被覆層が深部まで硬化してガラス光ファイバと硬化
物被覆層との界面が適度に密着した光ファイバが得られ
ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】即ち、本発明は、(1)ガラス光ファイバ
裸線に電子線硬化性一次被覆材を被覆し、これを電子線
照射により硬化させることによって得られた光ファイバ
であって、この光ファイバの伝送損失が、上記電子線硬
化性一次被覆材に光開始剤を加え、これを紫外線照射に
より硬化させることによって得られた光ファイバの伝送
損失の1.00〜1.05倍であることを特徴とする光
ファイバ、(2)ガラス光ファイバ裸線を被覆する電子
線硬化性一次被覆材に、電子線照射装置に設けられたウ
インドウを通過させた電子線を照射させることにより該
電子線硬化性被覆材を硬化させる光ファイバの製造方法
であって、電子線の加速電圧が60〜100kVであ
り、かつ光ファイバに当たるX線の1cm線量当量が5
mSv以下であることを特徴とする光ファイバの製造方
法、(3)光ファイバに当たるX線の1cm線量当量
が、1mSv以下であることを特徴とする(2)記載の
光ファイバの製造方法、(4)ウインドウが、カーボン
箔からなることを特徴とする(2)又は(3)記載の光
ファイバの製造方法、(5)電子線硬化性被覆材が、ポ
リウレタンアクリレートオリゴマー40〜90重量部及
び反応性希釈剤10〜60重量部を含むことを特徴とす
る(2)乃至(4)のいずれか記載の光ファイバの製造
方法を提供する。
【0011】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明の光ファイバは、ガラス光ファイバ裸線に電
子線硬化性一次被覆材を被覆し、これを電子線照射によ
り硬化させることによって得られた光ファイバであっ
て、この光ファイバの伝送損失が、上記電子線硬化性一
次被覆材に光開始剤を加え、これを紫外線照射により硬
化させることによって得られた光ファイバの伝送損失の
1.00〜1.05倍、特に1.00〜1.02倍であ
ることを特徴とする。
【0012】この場合、上記光ファイバの伝送損失は、
特にガラス光ファイバ裸線に上記電子線硬化性一次被覆
材を30〜40μm厚さで被覆、硬化し、更に電子線硬
化性又は紫外線硬化性二次被覆材を20〜40μm、特
に25〜35μm厚さで被覆、硬化してなる光ファイバ
芯線が上記伝送損失比を有することが好ましい。
【0013】ここで、上記光ファイバ芯線は、被覆材を
硬化させる際の電子線の加速電圧を60〜100kVと
し、かつ光ファイバに当たるX線の1cm線量当量を5
mSv以下にして製造する。
【0014】本発明の光ファイバ芯線において、被覆材
が被覆されるガラス光ファイバ裸線としては、石英ガラ
ス系のものを用いることが好ましいが、これに限定され
ず、光ファイバ用として公知のものを使用することがで
きる。
【0015】一方、このガラス光ファイバ裸線を被覆す
る一次被覆材は、電子線硬化可能なものであり、電子線
硬化可能な樹脂を主成分とするものである。
【0016】電子線硬化可能な樹脂としては、電子線照
射によりラジカル重合可能な官能基を有するものであれ
ばよいが、ラジカル重合性に優れる(メタ)アクリロイ
ル基を分子中に1個以上有する化合物が望ましい。ま
た、硬化皮膜の特性の調整が容易なことから、ポリウレ
タンアクリレートオリゴマー及び反応性希釈剤を含有す
るものが好ましく、ポリウレタンアクリレートオリゴマ
ーを40〜90重量部、望ましくは50〜70重量部、
反応性希釈剤を10〜60重量部、望ましくは30〜5
0重量部含有していることが好ましい。ポリウレタンア
クリレートオリゴマーが40重量部未満であると硬化皮
膜特性が損なわれる恐れがあり、90重量部を超える
と、粘度が高くなり、ガラス光ファイバに均一に塗工す
ることが困難になる場合がある。
【0017】一方、反応性希釈剤は被覆材としての特性
を維持しつつ、粘度を調整する目的で使用されるが、6
0重量部を超えると特性が損なわれたり、粘度が低くな
りすぎる恐れがあり、10重量部未満では、粘度が高く
なりすぎる恐れがある。
【0018】上記ポリウレタンアクリレートオリゴマー
は、例えばポリエーテルジオールとジイソシアネートと
を反応させ、更に水酸基含有(メタ)アクリレートを反
応させることにより得ることができる。
【0019】ポリエーテルジオールとしては、アルキレ
ンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオ
キシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、3−
メチルテトラヒドロフラン等のC2-5アルキレンオキシ
ド)の単独重合体又は共重合体、脂肪族C12-40ポリオ
ール(例えば、1,2−ヒドロキシステアリルアルコー
ル、水添ダイマージオールなど)を開始剤とした上記ア
ルキレンオキシドの単独重合体又は共重合体、ビスフェ
ノールAのアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオ
キシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなど)
付加体、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド
(例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テ
トラヒドロフランなど)付加体などが挙げられる。これ
らのポリエーテルジオールは単独で又は2種以上組み合
わせて使用できる。
【0020】ジイソシアネート成分としては、芳香族、
脂肪族、脂環族等の有機ジイソシアネートが挙げられ
る。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートな
どが使用される。
【0021】水酸基を有する(メタ)アクリレートとし
ては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロ
キシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
サン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートな
どが挙げられる。これらの水酸基含有(メタ)アクリレ
ートは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
なかでも好ましい水酸基含有(メタ)アクリレートは、
ヒドロキシC2-4アルキル(メタ)アクリレート、特
に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどである。
【0022】また、これら反応に際し、ウレタン化触媒
としてアミン系触媒、錫系又は鉛系の金属触媒などを使
用してもよい。
【0023】一方、反応性希釈剤としては、エチレン性
不飽和基を有する化合物が望ましく、ラウリルアクリレ
ート、イソボロニルアクリレート、N−ビニルカプロラ
クタム、エチレングリコールジアクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、N−ビニルピロリド
ンなどが例示される。
【0024】更に、上記被覆材には、前記成分の他に例
えば光重合開始剤、増感剤等の反応促進剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等の安定剤、有機溶剤、可塑剤、界面
活性剤、シランカップリング剤、着色顔料、有機又は無
機粒子等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で
必要に応じて添加することができる。
【0025】また、被覆材の粘度は、ガラス光ファイバ
に均一塗工可能な粘度である1,000〜10,000
mPa・sが望ましい。
【0026】なお、上記被覆材成分は、一次被覆材及び
二次被覆材に共通であるが、この場合、二次被覆材はそ
の硬化物のヤング率が一次被覆材の硬化物のヤング率の
2倍以上であるように選択され、特に、一次被覆材の硬
化皮膜は、外部応力及び温度変化によるマイクロベンド
から光ファイバを保護するために2MPa以下のヤング
率を有することが望ましく、その上にコーテイングされ
る二次被覆材の硬化皮膜は、光ファイバを補強するため
に4MPa以上であることが望ましい。
【0027】本発明において、上記被覆材はガラス光フ
ァイバ上にコーテイングダイなどを用いて被覆され、こ
の被覆材に電子線を照射して硬化させることによって光
ファイバ芯線を得ることができる。
【0028】この場合、一次被覆材を光ファイバ裸線に
コーテイングし、これを電子線照射して硬化後、更に二
次被覆材をコーテイングし、これを電子線照射により硬
化する方法、一次被覆材を光ファイバ裸線にコーテイン
グし、これを電子線照射して硬化後、更に二次被覆材を
コーテイングし、これを紫外線照射により硬化する方法
が採用できる。また、一次被覆材を光ファイバ裸線にコ
ーテイングし、直ちに二次被覆材をコーテイングし、電
子線を照射する方法も可能であるが、この場合、光ファ
イバの伝送損失の増加防止効果以外にも、工程が簡略化
できる利点がある。なお、紫外線硬化の場合は、有効量
の光重合開始剤の添加が必須である。
【0029】電子線照射は、電子線発生手段と電子線加
速手段が真空に保たれたチャンバ内に配置され、上記発
生手段で発生し、上記加速手段により加速された電子線
をチャンバに真空と大気圧とを隔絶するように設けられ
たウインドウを通過させて、大気圧下の光ファイバ上の
被覆材に照射するように構成された電子照射装置により
行われる。電子線照射は、例えばカーテンビーム方式の
電子線を照射することによって行うことができるが、本
発明においては、電圧60〜100kV、望ましくは7
0〜90kVで加速した電子を照射することによって行
う。加速電圧が100kVを超えると光ファイバの伝送
損失が増加し、60kV未満であると、被覆材の深部の
硬化が不足し、光ファイバと被覆材との密着力が低下す
る。
【0030】また、本発明においては、電子線照射時の
ガラス光ファイバに当たるX線の1cm線量当量を5m
Sv以下、望ましくは1mSv以下とする。線量当量
が、5mSvを超えると、電子線照射により被覆材を硬
化させた後の波長1310nm及び1550nmでの光
ファイバの伝送損失が増大し、実用に耐え得る伝送損失
の光ファイバ芯線が得られなくなる。
【0031】更に、上記電子線照射装置において、真空
と大気圧とを隔絶するウインドウとしては、耐熱性のあ
る箔、例えばチタン箔、カーボン箔などを用いることが
できるが、上述のX線の線量当量を低減するためには、
原子番号のより小さいカーボン箔のウインドウを用いる
ことが好ましい。
【0032】なお、電子線の吸収線量は電子発生部のフ
ィラメントに流す電流値とガラス光ファイバの線引き速
度により決まり、通常は10〜40kGyとなるように
調整されるが、特に限定されるものではなく、被覆材の
硬化に問題ない限りできるだけ低いほうが望ましい。
【0033】また、電子線照射はガラス光ファイバに対
し、少なくとも2方向から照射することが必要である
が、3方向以上からの照射が好ましく、全周方向から均
一に照射することが更に好ましい。
【0034】
【実施例】以下、実施例、比較例、参考例及び実験例を
示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施
例に制限されるものではない。なお、各例中の部は、い
ずれも重量部である。
【0035】[電子線硬化性一次被覆材の調製]アロニ
ックスM−113(東亜合成工業社製アクリル化合物)
106.8g、2,4−トリレンジイソシアネート1
7.3g、ジブチルチンジラウレート0.5g、2,6
−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン0.15g
を反応容器に仕込み、乾燥空気下で、15℃以下に保つ
速度で2−ヒドロキシエチルアクリレート11.3gを
滴下した。次いで、反応温度を30℃にし、2時間反応
させた後、数平均分子量7,950のポリプロピレング
リコール398gを添加し、50〜60℃で3時間反応
させ、アロニックスM−113を20重量%含有するポ
リウレタンアクリレートオリゴマーA(以下、オリゴマ
ーAと称する)を得た。
【0036】次に、オリゴマーA75部、アロニックス
M−113 5部、ラウリルアクリレート10部、N−
ビニルピロリドン10部を混合して電子線(EB)硬化
性一次被覆材(EB−1)を調製した。この被覆材の2
5℃における粘度は4,500mPa・sであった。
【0037】[紫外線硬化性一次被覆材の調製]上記E
B−1 100部に光開始剤ダロキュアー1173(チ
バガイギ社製商品名)3部を混合し、紫外線(UV)硬
化性一次被覆材(UV−1)を調製した。この被覆材の
25℃における粘度は4,000mPa・sであった。
【0038】[紫外線硬化性二次被覆材の調製]2,4
−トリレンジイソシアネート51.5g、数平均分子量
2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール4
2.3g、数平均分子量400のポリオキシプロピレン
グルコール22.0g、トリオキシプロピレングリコー
ル1.6gの混合液を反応容器に仕込み、窒素雰囲気
下、70〜80℃で3時間反応させた。次いで、この反
応物を40℃まで冷却し、反応容器内を乾燥空気で置換
し、2−ヒドロキシアクリレート50.0gを加え、徐
々に昇温して温度60〜70℃とし2時間反応させた。
次いで、ジブチルチンラウレートを0.1g仕込み、更
に4時間反応させてポリウレタンアクリレートオリゴマ
ーB(以下、オリゴマーBと称する)を得た。
【0039】次に、オリゴマーB70部、イソボルニル
アクリレート10部、N−ビニルピロリドン10部、ト
リシクロデカンジメタノールジアクリレート10部、光
開始剤ダロキュアー1173(チバガイギ社製商品名)
3部を混合し、紫外線(UV)硬化性二次被覆材(UV
−2)を調製した。この被覆材の25℃における粘度は
3,500mPa・sであった。
【0040】[実施例1]速度730m/分で線引きし
た外径125μmの石英ガラス光ファイバに、コーテイ
ングダイを用い、電子線硬化性一次被覆材(EB−1)
を外径200μmになるよう塗工し、3方向から同時に
電子線を照射可能な電子線照射装置を用いて、加速電圧
80kV、ビーム電流25mAの条件で電子線を照射
し、一次被覆材を硬化した。なお、この電子線照射装置
に使用したウインドウは厚さ10μmのチタン箔であっ
た。
【0041】更に、コーテイングダイを用い紫外線硬化
性二次被覆材(UV−2)を外径245μmになるよう
塗工し、全周方向から紫外線を照射可能な6kWの紫外
線照射装置を3台用いて紫外線を照射し、二次被覆材を
硬化して光ファイバ芯線を得た。この光ファイバ芯線の
伝送損失をOTDR法により波長1310nm、155
0nmで測定した結果を表1に示す。また、光ファイバ
芯線の光ファイバと硬化物被覆層との密着状態は良好で
あった。
【0042】[比較例1]一次被覆材に照射する電子線
の加速電圧を110kVとした以外は、実施例1と同様
にして光ファイバ芯線を製造し、その伝送損失を測定し
た。結果を表1に示す。
【0043】[参考例1]速度730m/分で線引きし
た外径125μmの石英ガラス光ファイバに、コーテイ
ングダイを用い、紫外線硬化性一次被覆材(UV−1)
を外径200μmになるよう塗工し、全方向から同時に
紫外線を照射可能な6kWの紫外線照射装置を1台用い
て、紫外線を照射し一次被覆材を硬化した。
【0044】更に、コーテイングダイを用い、紫外線硬
化性二次被覆材(UV−2)を外径245μmになるよ
う塗工し、全周方向から紫外線を照射可能な6kWの紫
外線照射装置を3台用いて紫外線を照射し、二次被覆材
を硬化して光ファイバ芯線を得た。この光ファイバ芯線
の伝送損失をOTDR法により波長1310nm、15
50nmで測定した結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 上記表中、伝送損失比は、参考例1の伝送損失を1とし
たときの値である。
【0046】表1より、実施例の光ファイバ芯線は、比
較例に比べ伝送損失の増加が少なく、参考例に示した紫
外線硬化性被覆材の硬化物で被覆したものに比べても遜
色ない伝送損失を示しており、実用に十分耐え得るもの
であることがわかる。
【0047】[実験例1]参考例1と同様の方法で製造
した光ファイバ芯線に、ソフテックス社製X線照射装置
M−1005を用い、加速電圧60kVで発生させたX
線を、線量当量を変えて照射し、照射前と照射後の伝送
損失を測定した結果を表2に示す。なお、X線1cm線
量当量は松下電器産業社製X線量測定装置パナドーズを
用いて測定した。
【0048】
【表2】 表2より、X線がガラス光ファイバの伝送損失に影響を
与えることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、電子照射により被覆材
を硬化させる際の電子線の加速電圧を60〜100k
V、光ファイバに当たるX線の1cm線量当量を5mS
v以下とすることにより、紫外線硬化性被覆材の硬化物
を被覆したものとほぼ同等の低伝送損失であり、しかも
被覆層が深部まで硬化してガラス光ファイバと硬化物被
覆層との界面が適度に密着した光ファイバを提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H050 BA02 BA03 BA12 BA13 BA22 BA32 BB34W BC03 BD07 4G060 AA01 AC12 AC16 AD22 AD44 AD51

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス光ファイバ裸線に電子線硬化性一
    次被覆材を被覆し、これを電子線照射により硬化させる
    ことによって得られた光ファイバであって、この光ファ
    イバの伝送損失が、上記電子線硬化性一次被覆材に光開
    始剤を加え、これを紫外線照射により硬化させることに
    よって得られた光ファイバの伝送損失の1.00〜1.
    05倍であることを特徴とする光ファイバ。
  2. 【請求項2】 ガラス光ファイバ裸線を被覆する電子線
    硬化性一次被覆材に、電子線照射装置に設けられたウイ
    ンドウを通過させた電子線を照射させることにより該電
    子線硬化性被覆材を硬化させる光ファイバの製造方法で
    あって、電子線の加速電圧が60〜100kVであり、
    かつ光ファイバに当たるX線の1cm線量当量が5mS
    v以下であることを特徴とする光ファイバの製造方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバに当たるX線の1cm線量当
    量が、1mSv以下であることを特徴とする請求項2記
    載の光ファイバの製造方法。
  4. 【請求項4】 ウインドウが、カーボン箔からなること
    を特徴とする請求項2又は3記載の光ファイバの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 電子線硬化性被覆材が、ポリウレタンア
    クリレートオリゴマー40〜90重量部及び反応性希釈
    剤10〜60重量部を含むことを特徴とする請求項2乃
    至4のいずれか1項記載の光ファイバの製造方法。
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