JP2003237572A - 鉄道車両用差圧弁 - Google Patents

鉄道車両用差圧弁

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JP2003237572A
JP2003237572A JP2002039567A JP2002039567A JP2003237572A JP 2003237572 A JP2003237572 A JP 2003237572A JP 2002039567 A JP2002039567 A JP 2002039567A JP 2002039567 A JP2002039567 A JP 2002039567A JP 2003237572 A JP2003237572 A JP 2003237572A
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differential pressure
pressure
chamber
atmosphere
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Takekazu Mihara
丈和 三原
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Nippon Sharyo Ltd
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Nippon Sharyo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の応荷重機能のない差圧弁からの変更が
可能で構造が簡単な応荷重機能付きの鉄道車両用差圧弁
を提供すること。 【解決手段】 車体と台車との間に配設された2個の空
気ばね101,102間の連通・遮断を行う一対の弁
(15,17と16,18)を備え、両空気ばね10
1,102間の内圧差が所定値以上になった場合に、高
圧側から開弁方向に弁体15,16が加圧された弁が開
いて、両空気ばね101,102間の圧力を均一にする
ものであって、大気解放された大気室29,30をもつ
シリンダ部23,24に装填されたピストン27,28
が、一方の空気ばね側から受けた内圧により、対応して
設けられた弁の弁体を弾発部材19,20を介して閉弁
方向に押圧する鉄道車両用差圧弁1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両を構成す
る台車の左右空気ばね間に配設され、左右空気ばねの内
圧差を調整する鉄道車両用差圧弁に関し、特に空気ばね
の内圧に比例して設定圧を変動させる機構を持った応荷
重付きの鉄道車両用差圧弁に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両は、車体が台車の上に空気ばね
を介して載せられ、走行中に発生する振動の一部をその
空気ばねで吸収するようにしている。その空気ばねは、
台車に2個配設されて車体の左右を支えており、台車に
は車体が左右に傾いた場合に空気ばねの内圧差を調整す
ることにより、車体左右の高さの差をなくすようにした
差圧調整装置が設けられている。図9は、そうした差圧
調整装置を示した構造図である。
【0003】差圧調整装置は、例えば台車100を構成
する横梁103の中央を仕切って補助空気室105,1
06が形成され、その補助空気室105,106間に差
圧弁107が連結されている。そして、車体200が載
せられた左右の空気ばね101,102が、この補助空
気室105,106及び差圧弁107を介して連結され
ている。更に、差圧調整装置には、圧縮エアを給排して
空気ばね101,102の高さを一定に保つための自動
高さ調節弁111,112が各々の空気ばね101,1
02に連結されている。
【0004】こうした差圧調整装置では、例えば一つの
空気ばね102がパンクして車体が大きく傾いてしまう
ような場合、車体の傾きに従って負担荷重が大きくなっ
た空気ばね101内の空気をパンクした102側に流
し、もう一方の空気ばね101をパンクさせたと同じ状
態にして高さの差をなくすようにする。すなわち差圧調
整装置は、このように車体200の傾きによって一方の
空気ばねの負担荷重が大きくなり、補助空気室105,
106間の圧力差がある値より大きくなった場合に差圧
弁107が開き、空気ばね101,102間で空気が流
れて内圧を均一にする。
【0005】図10に示した構造の差圧弁107Aで
は、本例の場合、補助空気室105,106に接続され
ポート121,122のうち、ポート121側の圧力が
スプリング123の付勢力を上回ったところで弁125
が開き、空気ばね101は、空気が流れ出してパンクし
た空気ばね102の高さに合わせられる。ところで、こ
の差圧弁107Aは、弁125,127が開く作動圧が
スプリング123の付勢力によって一定の値に設定され
てしまうものであるが、これに対して本出願人は、乗車
条件に応じて作動圧が変動する構造のいわゆる応荷重付
差圧弁を提案している(特開平2−300535号公
報)。図11は、当該公報に記載された応荷重付差圧弁
の構造を示した断面図である。
【0006】この応荷重付差圧弁(以下、単に「差圧
弁」と記す)107Bは、図示するような流路の形成さ
れた本体150内に、弁体131,141が、スプリン
グ132,142の付勢力に、一対のピストン135,
136/145,146の押圧力が加わった力で弁座1
34,144に当接するよう構成され、ピストン13
5,136/145,146の空気受圧面積の和が弁体
131,141の空気受圧面積Aより小さく(x分の
1)設定されている。
【0007】そこで、差圧弁107Bが補助空気室10
5,106のそれぞれに各ポート137,147を接続
した場合、空気ばね101,102が均等な内圧aであ
り、スプリング132,142付勢力がbであるとする
と、弁体131,141はb+2(a×A/x)の力で
弁座134,144に押圧されることになる。従って、
この差圧弁107Bは、弁座134,144の押圧力が
空気ばね101,102の内圧aに比例しているため、
スプリング132,142の付勢力一定でも空気ばね1
01,102の平均荷重変動に応じて作動圧が変動す
る。つまり、空車時には作動圧が小さくなり、逆に満車
時には高くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した両
差圧弁107A,107Bにはそれぞれ次のような問題
点があった。先ず、図10に示した作動圧一定の差圧弁
107Aは、その構造が簡単で反応も速い点で有効では
あるが、いわゆる「カント負け」や「輪重抜け」の問題
があった(詳細は後述する)。すなわち、差圧弁107
Aの作動圧が低い場合にはカント負けが発生し、逆に作
動圧が高い場合には輪重抜けが発生し易くなる。従っ
て、作動圧一定の差圧弁107Aは、カント負けが発生
しない内圧差以上で、かつ輪重抜けが生じない内圧差以
下でその作動圧を設定する必要がある。
【0009】しかし、近年の車体軽量化に伴って輪重抜
けが生じない内圧差の値が下がり、カント負けが発生し
ない内圧差との幅が狭くなってきている。そのため、作
動圧一定の差圧弁107Aのようなタイプのものでは対
応が困難で、差圧弁107Bのような応荷重付差圧弁の
有効性が大きくなってきている。しかしながら、この差
圧弁107Bは、その構造が複雑で、かつ作動圧一定の
差圧弁107Aのようなタイプのものとも構造が大きく
違うため、製造コストが高くなるという問題があった。
【0010】そこで本発明は、かかる課題を解決すべ
く、従来の応荷重機能のない差圧弁からの変更が可能で
構造が簡単な応荷重機能付きの鉄道車両用差圧弁を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鉄道車両用
差圧弁は、車体と台車との間に配設された2個の空気ば
ね間の連通・遮断を行う一対の弁を備え、両空気ばね間
の内圧差が所定値以上になった場合に、高圧側から開弁
方向に弁体が加圧された弁が開いて、両空気ばね間の圧
力を均一にするものであって、大気解放された大気室を
もつシリンダ部に装填されたピストンが、一方の空気ば
ね側から受けた内圧により、対応して設けられた前記弁
の弁体を弾発部材を介して閉弁方向に押圧するものであ
ることを特徴とする。
【0012】よって本発明は、弁体を閉弁方向に押圧す
る力をピストンにかかる空気ばねの内圧によって変動さ
せる応荷重付差圧弁であり、特にピストンから弾発部材
を介し、一方の空気ばね側から受けた内圧で弁体を閉弁
方向に押圧するようにしたものであって、構造が簡単な
ものになっている。そして、従来の作動圧一定の差圧弁
とはシリンダ部を設けた点において異なるだけなので、
応荷重機能のない差圧弁から応荷重機能付差圧弁への変
更を容易に行うことができる。
【0013】また、本発明に係る鉄道車両用差圧弁は、
車体と台車との間に配設された2個の空気ばね間の連通
・遮断を行う一対の弁を備え、両空気ばね間の内圧差が
所定値以上になった場合に、高圧側から開弁方向に弁体
が加圧された弁が開いて、両空気ばね間の圧力を均一に
するものであって、大気解放された大気室をもつシリン
ダ部に装填されたピストンが、一方の空気ばね側から受
けた内圧により、対応して設けられた前記弁の弁体をロ
ッドを介して閉弁方向に押圧するとともに、当該ロッド
に重ねて配置された弾発部材が、当該弁体を閉弁方向に
押圧するものであることを特徴とする。
【0014】よって本発明は、弁体を閉弁方向に押圧す
る力をピストンにかかる空気ばねの内圧によって変動さ
せる応荷重付差圧弁であり、特にピストンからロッドを
介し、一方の空気ばね側から受けた内圧で弁体を閉弁方
向に押圧するようにしたものであって、構造が簡単なも
のになっている。そして、従来の作動圧一定の差圧弁と
はシリンダ部を設けた点において異なるだけなので、応
荷重機能のない差圧弁から応荷重機能付差圧弁への変更
を容易に行うことができる。
【0015】また、本発明に係る鉄道車両用差圧弁は、
2つの弁室とその弁室同士を連通する2つの流路とが形
成された弁本体に対し、当該弁室を構成する各開口部分
に着脱可能な2つのシリンダブロックを装着してなるも
のであって、弁本体には、2つの流路のうち異なる流路
側をそれぞれ連通・遮断する弁が各弁室内に設けられ、
シリンダブロックには、ポートと、そのポートと前記弁
室とを連通する流路と、大気解放された大気室を構成し
てピストンが装填されたシリンダ部とが形成され、当該
ポートに連通した一方の空気ばね側からの内圧を受けた
ピストンが、対応して設けられた弁の弁体を弾発部材を
介して閉弁方向に押圧するものであることを特徴とす
る。
【0016】よって、本発明によれば、鉄道車両用差圧
弁を従来の作動圧一定のものから新たに応荷重付きのも
のへ変更する場合にでも、従来の弁本体に装着されてい
たポートブロック(詳細は後述する)を取り外してシリ
ンダブロックを替わりに取り付けるだけで良い。従っ
て、新たに別の差圧弁を製造する必要なく、従来から取
り付けられている差圧弁を利用することで、非常に低く
コストを抑え、かつ簡単に応荷重付きの差圧弁に変更で
きる。
【0017】また、本発明に係る鉄道車両用差圧弁は、
2つの弁室とその弁室同士を連通する2つの流路とが形
成された弁本体に対し、当該弁室を構成する各開口部分
に着脱可能な2つのシリンダブロックを装着してなるも
のであって、弁本体には、2つの流路のうち異なる流路
側をそれぞれ連通・遮断する弁が各弁室内に設けられ、
シリンダブロックには、ポートと、そのポートと前記弁
室とを連通する流路と、大気解放された大気室を構成し
てピストンが装填されたシリンダ部とが形成され、当該
ポートに連通した一方の空気ばね側からの内圧を受けた
ピストンが、対応して設けられた前記弁の弁体をロッド
を介して閉弁方向に押圧するとともに、当該ロッドに重
ねて配置された弾発部材が、当該弁体を閉弁方向に押圧
するものであることを特徴とする。
【0018】よって、本発明によれば、鉄道車両用差圧
弁を従来の作動圧一定のものから新たに応荷重付きのも
のへ変更する場合にでも、従来の弁本体に装着されてい
たポートブロック(詳細は後述する)を取り外してシリ
ンダブロックを替わりに取り付けるだけで良い。従っ
て、新たに別の差圧弁を製造する必要なく、従来から取
り付けられている差圧弁を利用することで、非常に低く
コストを抑え、かつ簡単に応荷重付きの差圧弁に変更で
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る鉄道車両用差
圧弁(以下、単に「差圧弁」と記す)の一実施形態につ
いて、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、第
1実施形態の差圧弁を模式的に示した断面図である。こ
の差圧弁1は、横梁103(図9参照)に取り付けら
れ、一対のポート21,22がそれぞれ補助空気室10
5,106を介して空気ばね101,102に連通され
る。
【0020】差圧弁1は、弁本体2に対し一対のシリン
ダブロック3,4が螺設されて全体が構成されており、
そのシリンダブロック3,4にポート21,22が形成
されている。弁本体2には、シリンダブロック3,4が
螺設可能な開口部分に弁室11,12が形成されてお
り、そこに螺設されたシリンダブロック3,4にシリン
ダ部23,24とともに流路25,26が形成され、そ
の流路25,26を通してポート21,22と弁室1
1,12とがとつながっている。
【0021】弁本体2には、弁室11,12を連通する
2つの流路13,14が形成されており、弁室11,1
2内には、それぞれの流路13,14に対して弁体1
5,16を弁座17,18に当接させた弁が構成されて
いる。従って、空気ばね101の内圧は、弁室11内の
弁体15に対して閉弁方向に作用すると同時に、流路1
4から弁体16に対して開弁方向に作用する。一方、空
気ばね102の内圧は、弁室12内の弁体16に対して
閉弁方向に作用すると同時に、流路13から弁体15に
対して開弁方向に作用するようになっている。
【0022】またシリンダブロック3,4には、シリン
ダ部23,24内にピストン27,28が摺動可能に装
填されており、更にそのピストン27,28で画設され
たシリンダ部23,24内に大気解放された大気室2
9,30が形成されている。従って、ピストン27,2
8は、それぞれ空気ばね101,102の内圧が常に作
用するように構成されている。そして、そのピストン2
7,28と弁体15,16との間にはスプリング19,
20が連結され、ピストン27,28に作用する内圧が
スプリング19,20を介して弁体15,16に伝達さ
れ、それによって弁体15,16が弁座17,18側に
押圧されている。
【0023】こうして構成された差圧弁1は、次の関係
によって作動圧が決定される。図4に示すように弁体1
5側を見た場合、空気ばね101の内圧がP1、空気ば
ね102の内圧がP2であるとし、弁体15が塞いだ流
路13の断面積がA1で、ピストン27に対してスプリ
ング19を圧縮させる方向に内圧P1が作用する受圧面
積がA2であるとする。このとき弁体15を弁座17に
押圧する力FはF=P1(A1+A2)−P2・A1で
表せられる。そして、弁体15が弁座17から離間して
差圧弁1が作動するのはF<0のときであるから、P2
−P1>P1(A2/A1)の関係のときに差圧弁1が
作動する。すなわち、差圧弁1の弁体15側が開く場合
の内圧差、すなわち作動圧P2−P1は、P1(A2/
A1)となる。
【0024】これを同じように構成された反対の弁体1
6側について見た場合には、空気ばね101,102の
内圧差がP1−P2>P2(A2/A1)のときに弁体
16側が開いて差圧弁1が作動する。即ち、作動圧P1
−P2はP2(A2/A1)となる。従って、差圧弁1
の作動圧は、内圧P(P1,P2)及び面積比(A2/
A1)に比例し、内圧Pが乗客の多少に伴う車体重量の
変動によって変化すれば、適宜作動圧も変化することに
なる。そのため、差圧弁1の作動圧は、カント負けが発
生し易い満車時には大きくなる一方、輪重抜けが発生し
易い空車時には小さくなり、カント負けや輪重抜けへの
対応が差圧弁1自らによって行われる。次に、このカン
ト負け及び輪重抜けについて、差圧弁1の適応を簡単に
説明する。
【0025】鉄道軌道の曲線区間は、車両が通過すると
きに遠心力で車体が外側に倒れないようにするため、外
側レールが内側レールより高く敷設されている(これを
カントという)。従って、曲線区間で停車したような場
合には、図6に示すように傾いた車体200に押し付け
られて低い内軌側の空気ばね201の負担荷重が大きく
なる。このとき差圧弁210が作動してしまうと、内軌
側の空気ばね201から空気が送られた外軌側の空気ば
ね202が膨らみ、逆に傾きをより大きくしてしまう。
更に、内軌側の自動高さ調節弁203は、空気ばね20
1の加圧状態に関係なく高低を検知して圧縮エアを供給
するため、圧縮エアは差圧弁210を通って反対側の自
動高さ調節弁204から排出され続け、状況は好転しな
いまま無駄にエアが消費されてしまうことになる。こう
した現象をカント負けといい、特に満車時には車体20
0の重心が高くなって起こりやすい。
【0026】これに対し、作動圧がP(A2/A1)で
設定される本実施形態の差圧弁1では、乗客が多く乗る
満車時には、車体が重くなった分だけ空気ばね101,
102に対してかかる内圧Pが大きくなり、作動圧もそ
れに従って大きくなる。そのため、面積比A2/A1を
調整することにより、車両が走行する線区の最大カント
上で、満車条件にて発生するであろう内圧差より大きい
作動圧を設定すれば、線区のカント上で停車したような
場合にでも、差圧弁1が作動してしまって車体の傾きを
より大きくしたり圧縮エアを無駄に消費してしまうよう
なことはなく、適切にカント負けを回避することができ
る。
【0027】次に、鉄道軌道の曲線区間と直線区間との
間には、徐々にカントを減少させるための緩和曲線が施
されている。この緩和曲線上に車体が入ると、図7に示
すように前後の異なるカント量によって前台車位置30
1と後台車位置302で傾きが異なり、空気ばね311
〜314が強制変位を受ける。この強制変位に対し、そ
れぞれの自動高さ調節弁が個々に空気ばね高さを本来の
高さになるように吸気又は排気を実施するため、空気ば
ね311〜314の負担荷重にアンバランスが生じる。
そして、負担荷重が大きい側では輪重値が大きく、逆に
負担荷重が小さければ輪重値も小さくなる。こうした輪
重の現象を輪重抜けという。
【0028】例えば、前台車位置301の空気ばね31
1,312が2Pずつの荷重4Pを負担するとして、各
車輪321〜324の輪重値がそれぞれPとなる台車
(台車が持つ質量は無視する)に、負担荷重の4P全部
が一方の空気ばね311側に作用した極端な例を仮定す
る。この場合、先ず差圧弁の作動圧が4Pとすると(図
8(a)参照)、左右一対の車輪321,322の輪重
値は2Pと0で、輪抜けが100%となる。これに対し
て、差圧弁の作動圧を2Pに下げれば(図8(b)参
照)、負担荷重は3PとPとに変化し、輪重値は1.5
Pと0.5Pとになり、輪重抜けは50%に抑えられ
る。更には、差圧弁の作動圧が小さい方が有利に輪重抜
けを抑えられる。
【0029】空気ばね311,312が、空車時には2
Pずつの荷重4Pを負担し、満車時には4Pずつの荷重
8Pを負担する台車を仮定する。輪重抜け量は軌道から
の強制変位量により決定されるため、空車時に負担荷重
4P全部が一方の空気ばね311側に作用するような輪
重抜けが100%となる軌道条件においても、満車時で
は空気ばね312に2P、空気ばね311に6Pが作用
し、輪重抜けは50%と、空車時の半分の抜け量とな
る。このように輪重抜け量は軌道条件が同じであれば、
空気ばねの負担荷重が大きくなる満車時よりも負担荷重
の小さい空車時に大きい値となる。従って、空車時にお
いて作動圧の小さい差圧弁が有効に輪重抜けを抑えられ
る。この点で本実施形態の差圧弁1の作動圧は空気ばね
の内圧Pに比例しており、乗客の少ない空車時ほど小さ
くなる。そのため、差圧弁1の作動圧を最も輪重抜けが
生じやすい空車状態で好ましい値(例えば輪重抜け率が
60%以下)となるように設定すれば、脱線の要因の一
つと考えられる輪重抜けを有効に抑えることができる。
【0030】よって、以上のことから本実施形態の差圧
弁1では、空気ばねの内圧差、すなわち作動圧P(A2
/A1)を、満車時及び空車時での内圧Pにおいて、前
述したカント負け及び輪重抜けに適応するように面積比
(A2/A1)の調整によって設定すればよい。
【0031】更に本実施形態では、こうした応荷重付き
の差圧弁1を従来の作動圧から簡単に変更することがで
きるように構成されている点に特徴を有する。図3は、
作動圧一定の差圧弁を模式的に示した断面図である。こ
の差圧弁150と本実施形態の差圧弁1とは、弁本体2
が共通するものであり、そこに螺設されたシリンダブロ
ック3,4が異なっているだけである。すなわち、従来
の差圧弁150は、弁本体2の開口部分にポートブロッ
ク151,152が螺設されており、弁室11,12の
中には弁体15,16とスプリング19,20が内設さ
れ、スプリング19,20の付勢力によって弁体15,
16が弁座17,18に押圧されている。
【0032】従来は、図9に示す差圧弁107に図3に
示すタイプの差圧弁150(図10と同じ構造)が取り
付けられていたが、近年の車体軽量化に伴いカント負け
及び輪重抜けに対応できなくなってきており、新たに応
荷重付きのものへの変更が進んでいる。そうした場合に
でも本実施形態の差圧弁1では、ポートブロック15
1,152を取り外してシリンダブロック3,4を替わ
りにはめ込むだけで、図3から図1に示す差圧弁1へと
容易に変更させることができる。従って、新たに別の差
圧弁を製造する必要なく、従来から取り付けられている
差圧弁150を利用することで、非常に低くコストを抑
え、かつ簡単に応荷重付きの差圧弁に変更できるように
なっている。
【0033】また、本実施形態の差圧弁1は、動作部分
の構造が弁体15,16とピストン27,28とをスプ
リング19,20を介して連結したシンプルなものであ
るため、図11に示す従来の応荷重付差圧弁に比べて反
応が早く、差圧弁が作動してほしい状況になった際に、
より短時間で作動することができる。
【0034】次に、本発明に係る差圧弁の第2実施形態
について説明する。図2は、本実施形態の差圧弁を前記
第1実施形態と同様に模式的に示した断面図である。こ
の差圧弁51は、第1実施形態の差圧弁1と同様に従来
の差圧弁150(図3参照)と弁本体2を共通にしたも
のである。すなわち、図3に示す従来の差圧弁150の
弁本体2に対し、シリンダブロック53,54をポート
ブロック151,152と取り替え可能にしたものであ
る。この差圧弁51では、シリンダブロック53,54
のシリンダ部61,62内にピストン65,66が摺動
可能に装填され、そのピストン65,66には、弁室1
1,12に突き出したロッド63,64が一体に形成さ
れている。
【0035】ピストン65,66で画設されたシリンダ
部61,62内には大気に解放された大気室67,68
が形成され、ピストン65,66が、それぞれ空気ばね
101,102の内圧によって加圧されるようになって
いる。ピストン65,66と一体のロッド63,64は
弁体15,16に突き当てられ、ピストン65,66に
かかる空気ばね101,102の内圧が弁体15,16
に直接伝達されるようになっている。また、弁体15,
16とシリンダ部61,62との間にはスプリング5
5,56が配設され、弁体15,16は、このスプリン
グ55,56の付勢力に加えて空気ばね101,102
の内圧によって弁座17,18側に押圧されている。
【0036】すなわち図5に示すように、空気ばね10
1,102の内圧がP1,P2で、スプリング55,5
6の付勢力がNとし、弁体15が塞いだ流路13の断面
積がA1で、更にピストン65の受圧面積がA3である
とすると、弁体15を弁座17に押圧する力FはF=P
1(A1+A3)+N−P2・A1である。弁体15が
弁座17から離間して差圧弁1が作動するのはF<0の
ときであるから、P2−P1>P1(A3/A1)+N
/A1の関係のときに差圧弁1が作動する。従って、差
圧弁1の弁体15側が開くときの内圧差、すなわち作動
圧P2−P1は、P1(A3/A1)+N/A1であ
る。これを同じ構造の弁体16側について見れば、空気
ばね101,102の内圧差がP1−P2>P2(A3
/A1)+N/A1のときであり、作動圧はP2(A3
/A1)+N/A1である。
【0037】従って、差圧弁51の作動圧は、内圧P
(P1,P2)及び面積比(A3/A1)に比例するた
め、内圧Pが乗客の多少に伴う車体重量の変動によって
変化すれば、適宜作動圧も変化し得る。そのため、差圧
弁51の作動圧は、カント負けが発生し易い満車時には
作動圧が大きくなる一方、輪重抜けが発生し易い空車時
には小さくなってカント負けや輪重抜けへの対応が自動
的に行われる。そして、第1実施形態の場合と同様に、
空気ばねの内圧差、すなわち作動圧P1(A3/A1)
は、満車時及び空車時での内圧Pにおいて、前述したカ
ント負け及び輪重抜けに適応するように面積比(A3/
A1)の調整によって設定すればよい。
【0038】そして、本実施形態の差圧弁51でも、新
たに別の差圧弁を製造する必要なく、従来から取り付け
られている差圧弁150を利用することで、非常に低く
コストを抑え、かつ簡単に応荷重付き差圧弁に変更でき
る。また、差圧弁51は、動作部分の構造が弁体15,
16とピストン65,66とをスプリング55,56及
びロッド63,64を介して連結したシンプルなもので
あるため、図11に示す従来の応荷重付差圧弁に比べて
反応が早く、差圧弁が作動してほしい状況になった際
に、より短時間で作動することができる。
【0039】以上、鉄道車両用差圧弁について実施形態
を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、そ
の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明は、一方の空気ばね側からの内圧
を受けたピストンが、対応して設けられた弁の弁体を弾
発部材或いはロッドを介して閉弁方向に押圧する構成に
したので、簡単な応荷重付差圧弁とすることができ、従
来の応荷重機能のない差圧弁からの変更を容易に行うこ
とが可能となった。また、本発明は、弁本体に対して着
脱可能なシリンダブロックに、弁体を閉弁方向に押圧す
るピストンを設けたので、新たに別の差圧弁を製造する
必要なく、従来から取り付けられている差圧弁を利用す
ることで、非常に低くコストを抑え、かつ簡単に応荷重
付きの差圧弁に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の鉄道車両用差圧弁を模式的に示
した断面図である。
【図2】第2実施形態の鉄道車両用差圧弁を模式的に示
した断面図である。
【図3】第2実施形態の鉄道車両用差圧弁を模式的に示
した断面図である。
【図4】第1実施形態の鉄道車両用差圧弁の動作部分を
拡大して示した断面図である。
【図5】第2実施形態の鉄道車両用差圧弁の動作部分を
拡大して示した断面図である。
【図6】カント負けを模式的に示した図である。
【図7】傾いた台車によって空気ばねが強制変位を受け
た状態を模式的に示した図である。
【図8】輪重抜けを模式的に示した図である。
【図9】鉄道車両に設けられている差圧調整装置を示し
た構造図である。
【図10】作動圧一定の鉄道車両用差圧弁を示した断面
図である。
【図11】従来の応荷重付の鉄道車両用差圧弁を示した
断面図である。
【符号の説明】
1 鉄道車両用差圧弁 2 弁本体 3,4 シリンダブロック 11,12 弁室 13,14 流路 15,16 弁体 19,20 スプリング 21,22 ポート 23,24 シリンダ部 27,28 ピストン 29,30 大気室 101,102 空気ばね

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と台車との間に配設された2個の空
    気ばね間の連通・遮断を行う一対の弁を備え、両空気ば
    ね間の内圧差が所定値以上になった場合に、高圧側から
    開弁方向に弁体が加圧された弁が開いて、両空気ばね間
    の圧力を均一にする鉄道車両用差圧弁において、 大気解放された大気室をもつシリンダ部に装填されたピ
    ストンが、一方の空気ばね側から受けた内圧により、対
    応して設けられた前記弁の弁体を弾発部材を介して閉弁
    方向に押圧するものであることを特徴とする鉄道車両用
    差圧弁。
  2. 【請求項2】 車体と台車との間に配設された2個の空
    気ばね間の連通・遮断を行う一対の弁を備え、両空気ば
    ね間の内圧差が所定値以上になった場合に、高圧側から
    開弁方向に弁体が加圧された弁が開いて、両空気ばね間
    の圧力を均一にする鉄道車両用差圧弁において、 大気解放された大気室をもつシリンダ部に装填されたピ
    ストンが、一方の空気ばね側から受けた内圧により、対
    応して設けられた前記弁の弁体をロッドを介して閉弁方
    向に押圧するとともに、当該ロッドに重ねて配置された
    弾発部材が、当該弁体を閉弁方向に押圧するものである
    ことを特徴とする鉄道車両用差圧弁。
  3. 【請求項3】 2つの弁室とその弁室同士を連通する2
    つの流路とが形成された弁本体に対し、当該弁室を構成
    する各開口部分に着脱可能な2つのシリンダブロックを
    装着してなるものであって、 弁本体には、2つの流路のうち異なる流路側をそれぞれ
    連通・遮断する弁が各弁室内に設けられ、シリンダブロ
    ックには、ポートと、そのポートと前記弁室とを連通す
    る流路と、大気解放された大気室を構成してピストンが
    装填されたシリンダ部とが形成され、 当該ポートに連通した一方の空気ばね側からの内圧を受
    けたピストンが、対応して設けられた弁の弁体を弾発部
    材を介して閉弁方向に押圧するものであることを特徴と
    する鉄道車両用差圧弁。
  4. 【請求項4】 2つの弁室とその弁室同士を連通する2
    つの流路とが形成された弁本体に対し、当該弁室を構成
    する各開口部分に着脱可能な2つのシリンダブロックを
    装着してなるものであって、 弁本体には、2つの流路のうち異なる流路側をそれぞれ
    連通・遮断する弁が各弁室内に設けられ、シリンダブロ
    ックには、ポートと、そのポートと前記弁室とを連通す
    る流路と、大気解放された大気室を構成してピストンが
    装填されたシリンダ部とが形成され、 当該ポートに連通した一方の空気ばね側からの内圧を受
    けたピストンが、対応して設けられた前記弁の弁体をロ
    ッドを介して閉弁方向に押圧するとともに、当該ロッド
    に重ねて配置された弾発部材が、当該弁体を閉弁方向に
    押圧するものであることを特徴とする鉄道車両用差圧
    弁。
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