JP2003236703A - 損耗センサ付きスローアウェイチップ - Google Patents

損耗センサ付きスローアウェイチップ

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JP2003236703A JP2002041652A JP2002041652A JP2003236703A JP 2003236703 A JP2003236703 A JP 2003236703A JP 2002041652 A JP2002041652 A JP 2002041652A JP 2002041652 A JP2002041652 A JP 2002041652A JP 2003236703 A JP2003236703 A JP 2003236703A
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sensor line
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被削材が溶着しても確実に検知でき、かつ使
用できるコーナー数を増して経済的な損耗センサ付スロ
ーアウェイチップを提供する。 【解決手段】 すくい面5と逃げ面8との交差稜に切刃
9が形成された導電性母材1の表面に絶縁膜3を形成
し、逃げ面8の切刃9近傍にセンサライン12を形成す
るとともに、このセンサライン12の両端に外部回路と
の接続端子13、14を接続してセンサ回路16を形成
し、センサライン12近傍の切刃9とは反対側に第二の
センサライン22を形成し、この第二のセンサライン2
2に接続端子23を接続して設けるとともに、絶縁膜3
の一部を除去して導電性母材1を露出させて第二のセン
サライン22の他方の接続端子24とした第二のセンサ
回路26を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は切削加工に使用する
スローアウェイチップに関し、特に切刃の損耗を検知す
るセンサラインを設けた損耗センサ付きスローアウェイ
チップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、被削材を切削しながらスロー
アウェイチップの熱的、機械的、電気的特性の変化を検
知してチップの寿命を検知する方法が検討されている。
例えば特開昭62−88552号公報では、母材表面の
切刃部分に沿って一定幅のセンサライン(薄膜回路)を
形成し、被削材を切削しながらセンサラインの電気抵抗
を測定することによってスローアウェイチップの寿命を
判定する方法が開示されている。
【0003】ところが、上記方法ではチップのセンサラ
インが切削中に摩耗して断線しても、鉄等の導電性を有
する被削材がセンサラインの断線した部分を繋ぐように
溶着したり、断線したセンサラインの両端部と導電性母
材との間が導通した場合はセンサ回路が短絡せず、チッ
プの寿命を検知できないという問題があった。
【0004】そこで、同号公報では、導電性母材の表面
に逃げ面の上端側のコーナー部に切削によって摩耗して
断線する閉回路から成るセンサ回路を設けるとともに、
母材と接触した場合に導通する開回路から成るセンサ回
路を設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭62−88552号公報のセンサ回路では、センサ
回路をチップの上端側のコーナーにしか形成することが
できず、使用コーナー数が少なく、経済的でないという
問題があった。
【0006】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、被削材が溶着すると確実なセンシングがで
きなかったり、使用できるコーナー数が少ないという従
来技術の問題点を解消した損耗センサ付きスローアウェ
イチップを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る損耗センサ付きスローアウェイチッ
プでは、すくい面となる上面と逃げ面となる周面との交
差稜に切刃が形成された導電性母材の表面に絶縁膜を形
成し、前記逃げ面の前記切刃近傍に導電パターンから成
るセンサラインを形成するとともに、このセンサライン
の両端に外部回路との接続端子を接続してセンサ回路を
形成した損耗センサ付きスローアウェイチップにおい
て、前記センサライン近傍の前記切刃とは反対側に第二
のセンサラインを形成し、この第二のセンサラインに接
続端子を接続して設けるとともに、前記絶縁膜の一部を
除去して前記導電性母材を露出させて前記第二のセンサ
ラインの他方の接続端子とした第二のセンサ回路を形成
したことを特徴とする。
【0008】上記損耗センサ付きスローアウェイチップ
では、前記センサラインの一対の接続端子を前記母材の
着座面となる底面に設け、この一方の接続端子と前記セ
ンサラインの一方端側とを接続ラインで接続するととも
に、他方の接続端子と前記センサラインの他方端側とを
前記すくい面に形成された折り返しラインを経由して前
記一方端側の接続ラインの近傍を通過する接続ラインで
接続することが望ましい。
【0009】また、上記損耗センサ付きスローアウェイ
チップでは、前記母材の着座面と逃げ面との交差稜に他
の切刃を設けるとともに、この他の切刃近傍に他の第二
のセンサラインを設け、この他の第二のセンサラインを
前記すくい面と逃げ面との交差稜に形成した切刃近傍の
センサラインの他方端側に接続して、このセンサライン
の他方端側に接続される前記折り返しラインを前記他の
切刃近傍に形成される第二のセンサラインの接続端子と
することが望ましい。
【0010】さらに、請求項4に係る損耗センサ付きス
ローアウェイチップでは、すくい面となる上面と逃げ面
となる周面との交差稜に切刃が形成された導電性母材の
表面に絶縁膜を形成し、前記逃げ面の前記切刃から所定
間隔離間した位置に導電パターンから成るセンサライン
を形成するとともに、このセンサラインの両端に外部回
路との接続端子を接続してセンサ回路を形成した損耗セ
ンサ付きスローアウェイチップにおいて、前記絶縁膜の
一部を除去して前記導電性母材を露出させて第二の接続
端子を設け、この第二の接続端子と前記センサラインの
接続端子との間で、前記センサラインと前記母材との導
通を検知する第二のセンサ回路を形成したことを特徴と
する。
【0011】また、請求項5に係る損耗センサ付きスロ
ーアウェイチップでは、すくい面となる上面と逃げ面と
なる周面との交差稜に切刃が形成された導電性母材の表
面に絶縁膜を形成し、前記逃げ面の前記切刃から所定間
隔離間した位置に導電パターンから成るセンサラインを
形成するとともに、このセンサラインの両端に外部回路
との接続端子を接続してセンサ回路を形成した損耗セン
サ付きスローアウェイチップにおいて、前記センサライ
ン近傍の前記切刃とは反対側に第二のセンサラインを形
成し、この第二のセンサラインに接続端子を接続して設
けるとともに、前記絶縁膜の一部を除去して前記導電性
母材を露出させて前記第二のセンサラインの他方の接続
端子とした第二のセンサ回路を形成したことを特徴とす
る。
【0012】上記損耗センサ付きスローアウェイチップ
では、前記センサラインの一対の接続端子を前記母材の
着座面となる底面に設け、この一方の接続端子と前記セ
ンサラインの一方端側とを接続ラインで接続するととも
に、他方の接続端子と前記センサラインの他方端側とを
前記すくい面に形成された折り返しラインを経由して前
記一方端側の接続ラインの近傍を通過する接続ラインで
接続することが望ましい。
【0013】また、上記損耗センサ付きスローアウェイ
チップでは、前記第二のセンサ回路の接続端子を前記母
材の着座面となる底面に設けることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、各請求項に係る損耗センサ
付きスローアウェイチップの実施形態を添付図面に基づ
いて詳細に説明する。図1は請求項1に係る損耗センサ
付きスローアウェイチップを示す概略断面図であり、図
2はその要部拡大図である。また、図1(a)は、スロ
ーアウェイチップを手前上方から見た斜視図であり、図
1(b)は手前下方から見た斜視図である。
【0015】図1および図2において、1はスローアウ
ェイチップ、2は母材、3は絶縁膜、4は導電膜、5は
すくい面、6は着座面、8は逃げ面、9は切刃、10は
コーナー部、11はクランプ孔、12はセンサライン、
13は一方の接続端子、14は他方の接続端子、16は
センサ回路、17は一方の接続ライン、18は折り返し
ライン、20は他方の接続ライン、22は第二のセンサ
ライン、23は第二の接続端子、24は他方の第二の接
続端子、26は第二のセンサ回路、27は第二の接続ラ
インである。
【0016】スローアウェイチップ1は、両主面が多角
形状を呈する略平板状で、導電性母材2の表面に絶縁膜
3を被着形成しており、絶縁膜3の表面に後述する所定
の回路パターンをなす導電膜4が被着形成されている。
このスローアウェイチップ1では、一方の主面がすくい
面5、他方の主面が着座面6、周面が逃げ面8として機
能し、すくい面5と逃げ面8との交差稜部分が切刃9と
して機能する。
【0017】逃げ面8のコーナー部10近傍には、所定
幅を有する導電パターンからなるセンサライン12が設
けられている。このセンサライン12は逃げ面8の上端
部の切刃9に沿って平行に形成され、その形成幅によっ
て工具寿命(摩耗量)の限界摩耗度合いを規定すること
ができる。例えばセンサライン12の下端部の位置を切
刃9の寿命基準量(逃げ面の摩耗限界)、例えば0.0
5〜0.7mmに一致させておき、切削加工中に切刃9
が摩耗してセンサライン12が断線したことをセンシン
グすることによって切刃9の寿命を検知することができ
る。
【0018】センサライン12の両端には、図5に示す
外部回路56、57と電気的に接続可能な導電層からな
る接続端子13、14が接続される。この一対の接続端
子13、14は母材2の着座面となる底面に設けること
が望ましい。これと接続される図5の外部端子56、5
7の位置決めが容易にできるからである。一方の接続端
子13は、接続ライン17を介してセンサライン12の
一方端側に接続されるとともに、他方の接続端子14は
一方端側の接続ライン17の近傍を通過する接続ライン
20とすくい面5に形成された折り返しライン18を介
してセンサライン12の他方端側に接続される。このよ
うに折り返しライン18をすくい面5の中央よりに形成
すると、切り屑の影響を極力避けることができる。
【0019】第一の接続端子13−一方の接続ライン1
7−センサライン12−折り返しライン18−他方の接
続ライン20と経由して閉回路でセンサ回路16が構成
される。
【0020】逃げ面8のセンサライン12よりも切刃9
から遠い側には、導電パターンからなる第二のセンサラ
イン22が形成されている。この第二のセンサライン2
2には第二の接続端子23が接続されている。また、着
座面8の略中央部には絶縁膜3を除去して母材2が表面
に露出した他方の第二の接続端子24が環状に形成され
ている。
【0021】第二の接続端子23−第二の接続ライン2
7−第二のセンサライン22−(母材2)−母材2が表
面に露出した他方の第二の接続端子24と経由して開回
路の第二のセンサ回路26が構成される。
【0022】本発明によれば、閉回路であるセンサ回路
16と開回路である第二のセンサ回路26の両回路を設
けることが大きな特徴である。センサライン12が断線
しかつセンサ回路16が切れない場合でも、第二のセン
サ回路26によって被削材の溶着を検知することがで
き、スローアウェイチップ1の切刃9の損耗状態を確実
に検知することができる。したがって、被削材の切削面
が傷つく恐れがなく、スローアウェイチップ1の切削能
力を最大限に発揮できて切削作業の無人化も可能となる
ことから、経済的に優れた工具となる。
【0023】一方の接続ライン17および他方の接続ラ
イン20は、センサライン12に対して(換言すれば切
刃9に対して)直交方向ではなく、所定の傾斜角度を有
するように逃げ面8に形成される。また、一対の接続端
子13、14を有するセンサ回路16の配置位置と、一
対の接続端子13’、14’を有するセンサ回路16’
の配置位置とは、2つの逃げ面8が交差する交差陵線の
中央に対して点対称となるように全く同じ構成で配置す
る。このように構成すると、双方の接続端子13、1
4、13’、14’を後述する図5のチップホルダ50
の外部端子56、57に接続できるようになる。第二の
センサ回路26も2つの逃げ面8が交差する交差陵線の
中央に対して点対称となるように配置されている。
【0024】また、母材2の着座面6と2つの逃げ面8
との交差稜線に他の切刃9’を設けるとともに、この他
の切刃9’の近傍に他の第二のセンサライン26’を設
け、この他の第二のセンサライン26’をすくい面5と
逃げ面8との交差稜に形成した切刃9近傍のセンサライ
ン12の他方端側に接続して、このセンサライン12の
他方端側に接続される折り返しライン18を他の切刃
9’近傍に形成される第二のセンサライン26’の接続
端子23’とすることが望ましい。このようにすくい面
5の折り返しライン18が2つの逃げ面8の交差陵線の
中央に対して切刃9と点対称な位置に配置される切刃
9’の第二のセンサライン26’の接続端子23’を兼
ねる構成とすれば、回路の単純化が可能となる。
【0025】この回路構成においては、切刃9の損耗状
態を精度よく検知できるようにするために、センサライ
ン12と第二のセンサライン22との間をできるだけ近
接させて形成することが望ましく、例えばセンサライン
12と第二のセンサライン22の幅の1/3以下とする
ことが望ましい。
【0026】本発明によれば、着脱式であるスローアウ
ェイチップにおいて、センサライン12を母材2の逃げ
面8の各コーナー部10に1つづつ、つまり、図1のよ
うに母材2の主面が多角形状(図1では四角形)からな
る場合、4つの逃げ面8に2つづつ存在する8つのコー
ナー部10それぞれにセンサライン12を形成して8コ
ーナーすべてを切刃9として使用できることから、経済
性に優れている。
【0027】また、母材2のすくい面5と着座面6と逃
げ面8との交差稜部分に存在する第一の接続端子13と
一方の接続ライン17との間、センサライン12と折り
返しライン18の間、折り返しライン18と他方の接続
ライン20との間、および他方の接続ライン20と第二
の接続端子14との間の高さを他の交差稜部分の高さよ
りも低くすること、換言すればこれらの部分に切り欠き
を設けることが望ましい。このように配線ライン部分の
エッジを除去すると、スローアウェイチップ1の取り扱
い等により、特に損傷しやすいライン部分を保護して、
損傷を防止することができる。なお、切り欠きの形状と
しては、R形状、C面状、多段階に窪ませた形状でもよ
い。
【0028】スローアウェイチップ1の形状としては、
すくい面5および着座面6が正方形のものに限定される
ものではなく、すくい面5および着座面6が円形、正三
角形、菱形等の形状、あるいは楕円形、上記以外の正多
角形、平行四辺形等のものが適応可能である。
【0029】次に、請求項4に係る発明の実施形態を図
3に基づいて説明する。図3に示すスローアウェイチッ
プ30は、図1および図2と同様に、導電性母材2の表
面に絶縁膜3が被着形成され、さらに絶縁膜3の表面に
導電膜4が被着形成された構成からなるが、センサライ
ン31が逃げ面8の切刃9から所定間隔離間して設けら
れる。
【0030】また、センサライン31には、一対の接続
端子35、36が接続して設けられている。さらに、一
対の接続端子35、36に近接して絶縁膜3を除去して
母材2が露出した他方の第二の接続端子39が設けられ
ている。
【0031】センサ回路33は、一方の接続端子35−
一方の接続ライン40−センサライン31−折り返しラ
イン41−他方の接続ライン42−接続端子36と経由
するように構成されている。また、接続端子35(3
6)−接続ライン40(42)−センサライン31−
(母材2)−第二の接続端子39と経由するように第二
のセンサ回路33が形成される。
【0032】つまり、センサ回路33のセンサライン3
1が断線してセンサ回路33が遮断された場合、または
センサライン31に被削材が溶着する等によってセンサ
ライン31が断線し、センサ回路33が遮断されない場
合、第二のセンサ回路38が導通することによってセン
サライン31の異常状態を検知することができ、切刃9
の摩耗状態を確実に検知することができる。
【0033】このようにセンサライン31の配設位置を
限界摩耗量位置に合わせてセンサライン31自身の母材
2の導通状態を測定できる第二のセンサ回路とすれば、
図1の第二のセンサ回路26の第二のセンサライン22
を省略することも可能である。
【0034】さらに、図3に示すスローアウェイチップ
でも、2つの逃げ面8の交差陵線中央に対して点対称を
なすように同じ回路構成からなるセンサ回路33’およ
びセンサ回路38’を設けてもよい。
【0035】次に、請求項5に係る発明の実施形態を図
4に基づいて説明する。この請求項5に係るスローアウ
ェイチップでも、すくい面5と逃げ面8との交差稜に切
刃9が形成され、この切刃9から所定間隔離間した位置
に導電パターンから成るセンサライン12が形成されて
いる。このセンサライン12の両端に外部回路との接続
端子を接続してセンサ回路を形成している。
【0036】また、センサライン12近傍の切刃9とは
反対側に第二のセンサライン45を形成し、この第二の
センサライン45に接続端子47を接続して設けるとと
もに、絶縁膜4の一部を除去して導電性母材1を露出さ
せて第二のセンサライン45の他方の接続端子48とし
た第二のセンサ回路44を形成している。つまり、この
スローアウェイチップでは、第二の接続端子47−第二
の接続ライン46−第二のセンサライン45−(母材
2)−他方の第二の接続端子48で第二のセンサ回路4
4となる。
【0037】上述した図1および図3、図4の回路構成
については、いずれにおいても切刃9の損耗状態を正確
に検知することができるが、センサ回路作製の容易性お
よび切刃9の切削特性の点では、切刃9の表面が導電膜
4からなる図1の回路がより好適に使用できる。
【0038】(取り付け例)上述したスローアウェイチ
ップ1、30には、母材2の中央には、母材2を貫通す
るクランプ孔11が形成されており、図5に示すよう
に、スローアウェイチップ1は、クランプ孔11にクラ
ンプねじ54が螺合されるか、もしくは、金具(図示せ
ず)にてすくい面5側から押さえられることによりチッ
プホルダ50等に装着される。
【0039】また、チップホルダ50の先端にはチップ
装着用のポケット51が形成され、ポケット51の底面
はチップ座52となっている。またポケット51の側面
はチップの側面に当接し、チップを拘束するための拘束
面53となっている。スローアウェイチップ1はこのポ
ケット51に納められ、着座面6がチップ座52に、ま
たチップ1の側面が拘束面53に当接される。そして上
方からクランプねじ54がスローアウェイチップ1のク
ランプ孔11に差し込まれて、その先端がチップ座52
の中央に形成されたねじ孔55に螺合されることによ
り、スローアウェイチップ1はチップホルダ50に装着
される。
【0040】さらに、チップ座52には、装着されたス
ローアウェイチップ1の切削に使用するコーナー部に設
けられたセンサライン12と接続された接続端子13、
14に対向する位置に、例えば上方へ弾力付勢され、チ
ップ座52から数mm突出したセンサ回路用の一対の外
部端子56、57が突設されている。同様に第二のセン
サ回路についても、第二のセンサライン22と接続され
た開回路接続端子23、24に対向する位置に、例えば
上方へ弾力付勢され、チップ座52から数mm突出した
センサ回路用の一対の外部端子58、59が突設されて
いる。そして、スローアウェイチップ1がポケット51
に装着されると、スローアウェイチップ1の着座面6に
よって外部端子56、57、58、59は押し下げら
れ、外部端子56、57、58、59の上端はチップ座
52と面一となる。このとき外部端子56、57、5
8、59の上端はスローアウェイチップ1の着座面6に
設けられた接続端子13、14、23、24とそれぞれ
電気的に接触した状態となる。
【0041】また、外部端子56、57および58、5
9には、細線で示すように、チップホルダ50内に敷設
された閉回路センサ用のリード線60および開回路セン
サ用のリード線61がつながれている。このリード線6
0、61はオーム計等の抵抗値の検知回路62に接続さ
れており、スローアウェイチップ1の切刃9(切削に使
用するコーナー部8)に設けられたセンサライン12、
22を含むセンサ回路16および第二のセンサ回路26
の抵抗値を測定することができる。
【0042】なお、図5の装着状態では、スローアウェ
イチップ1のコーナー部10の切刃9が切削に用いられ
る。そして、コーナー部10の切刃9が摩耗した場合に
は、クランプねじ54や押さえ金具を緩めて、すくい面
5の中央を中心にしてスローアウェイチップ1を90°
回転させて、コーナー部10と隣接する別のコーナー部
10を切刃9として切削に使用できる。このようにスロ
ーアウェイチップ1を90°ずつ回転させて、チップ1
の一方の主面側の4つのコーナー部を順次切削に使用す
ることができる。さらに、スローアウェイチップ1の上
下を反転させてホルダ50等に装着すれば、他方の主面
の4つのコーナー部を順に切削に使用することができ、
合計8つのコーナー部10を使用することができる。な
お、他方の主面のコーナー部を使用する場合は、すくい
面と着座面が逆転して機能する。
【0043】(材質)スローアウェイチップ1の母材と
しては、サーメット、超硬合金、立方晶窒化ホウ素質焼
結体(CBN/cubic Boron Nitride)、ダイヤモンド
焼結体(PCD/Polycrystalline Diamond)等が好適
に使用できる。
【0044】一方、センサ回路16、26、33、3
8、44を形成する導電パターンは、スローアウェイチ
ップ1の母材2に対する接合力が強いこと、被削材と反
応せず、センサライン12、22の電気抵抗値が常に所
定値を示し、スローアウェイチップ1の摩耗度合い、欠
損の発生の有無を正確に検出することができること、被
削材の加工表面に反応生成物が発生しにくいこと、耐酸
化性に優れ、酸化物生成によるセンサライン12、22
の電気抵抗値の変化がなく、スローアウェイチップ1の
摩耗度合い、欠損の発生の有無を正確に検出することが
できること等の理由から、Ti、Zr、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W等の4a、5a、6a族金属、C
o、Ni、Fe等の鉄族金属、あるいはAlなどの金属
材料やTiC、VC、NbC、TaC、Cr32、Mo
2C、WC、W2C、TiN、VN、NbN、TaN、C
rN、TiCN、VCN、NbCN、TaCN、CrC
N等の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒
化物、およびこれに、Al、Siの群から選ばれる少な
くとも1種を固溶させたもの、特にTiN、(Ti、A
l)N、(Ti、Al)CNの群から選ばれる少なくと
も1種、さらにはTiNが好適である。
【0045】(作製方法)また、センサ回路16、2
6、33、38、44を形成するには、例えば所定のセ
ラミック粉末を成形、焼成することによって作製した母
材2の表面のほぼ全面に、CVD法やイオンプレーティ
ング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、めっき法等
の公知の薄膜形成法によって、所定厚み、特に母材2と
の密着性および所定の抵抗値に制御する点で0.05〜
20μmの絶縁膜3を成膜した後、上記いずれかの方法
によって導電膜を成膜し、レーザ加工、マスクを用いた
ブラスト加工、ドリルを用いた切削加工等によって、導
電膜を所定パターンのセンサ回路に加工する。
【0046】加工によりセンサ回路16、26、33、
38、44を形成する方法としては、母材2表面に被着
形成された導電性薄膜に対してYAGレーザやCO2
ーザを照射走査するようなレーザ加工法が望ましい。こ
のようなレーザー加工法では、微細で精度のよいライン
を形成できるとともに、多種にわたる母材2や被膜に対
応できる。
【0047】さらに、絶縁層3は、PVD法やCVD法
等の公知の薄膜形成法を用いて、絶縁性を確保するとと
もに、絶縁層3および導電膜4の剥離を防止するために
1〜10μmの厚みに形成されることが望ましい。
【0048】
【実施例】超硬合金の表面にCVD法でTiN層を1μ
m、ついでTiCN層を5μm、TiC層を2μm形成
した超硬コーティングからなる母材の表面にCVD法で
膜厚5μmのアルミナからなる絶縁層を形成し、スパッ
タリング法で膜厚0.5μmのTiN薄膜を形成した。
そして、レーザー加工により、センサライン幅を0.2
mmとし、センサラインと第二のセンサラインの間を
0.05mmとした図1および図3に示す回路パターン
のセンサ回路を有するスローアウェイチップをそれぞれ
作製した。
【0049】得られたチップに対して、下記の条件で切
削試験を行った。 被削材: SCM435 切削速度:200m/min 切込み量:2.0mm 送り量: 0.3mm/rev その他: 湿式切削 図1および図3のセンサ回路を有するスローアウェイチ
ップ5個づつについて、それぞれ8コーナーを用いて切
削試験を行ったところ、いずれも30分前後で検知回路
29がセンサ回路断線と判断して作動し、センサ回路を
確認したところセンサライン12はコーナー部(ノーズ
R部)で断線していることが確認された。
【0050】(比較例)実施例の図1のセンサ回路に対
して、第二のセンサ回路を形成せずセンサ回路のみから
なるスローアウェイチップを作製し、実施例と同様に切
削試験を行ったところ、40コーナー中の10コーナー
においてセンサ回路が作動しなかった。また、このセン
サ回路が作動しなかったコーナー部のセンサラインを顕
微鏡で観察したところ、被削材の溶着によってセンサラ
インと母材とが短絡していた。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係る損
耗センサ付きスローアウェイチップによれば、逃げ面の
切刃近傍に両端が接続端子に接続されたセンサラインを
形成するとともに、このセンサライン近傍の切刃とは反
対側に第二の接続端子に接続された第二のセンサライン
を形成したことから、被削材がセンサ回路に溶着してセ
ンサ回路が導電性母材と導通した場合でも確実にセンサ
回路の損耗状態を検知することができ、経済性に優れた
スローアウェイチップとなる。
【0052】また、請求項4に係る損耗センサ付きスロ
ーアウェイチップによれば、センサライン両端に接続端
子を接続して設けるとともに、導電性母材を露出させて
第二の接続端子を設け、この第二の接続端子と前記セン
サラインの接続端子間で、第二のセンサラインと母材と
の導通を検知することから、センサ回路の構成を簡単に
でき、かつ被削材がセンサ回路に溶着してセンサ回路が
導電性母材と導通した場合でも確実にセンサ回路の損耗
状態を検知することができ、経済性に優れたスローアウ
ェイチップとなる。
【0053】さらに、請求項5に係る損耗センサ付きス
ローアウェイチップによれば、逃げ面の切刃から所定間
隔離間した位置に両端が接続端子に接続されたセンサラ
インを形成するとともに、このセンサライン近傍の切刃
とは反対側に第二の接続端子に接続された第二のセンサ
ラインを形成したことから、被削材がセンサ回路に溶着
してセンサ回路が導電性母材と導通した場合でも確実に
センサ回路の損耗状態を検知することができ、経済性に
優れたスローアウェイチップとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係るスローアウェイチップの一例を
示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、
(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図2】図1のスローアウェイチップの要部拡大断面図
である。
【図3】請求項4に係るスローアウェイチップの一例を
示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、
(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図4】請求項5に係るスローアウェイチップの一例を
示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、
(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図5】図1のスローアウェイチップをチップホルダに
装着した状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1、30:スローアウェイチップ、2:母材、3:絶縁
膜、4:導電膜、5:すくい面、6:着座面、8:逃げ
面、9、9’:切刃、12、12’:センサライン、1
3、13’:一方の接続端子、14、14’:他方の接
続端子、16、16’、33、33’:センサ回路、1
7、17’、40、40’:一方の接続ライン、18、
18’、41、41’:折り返しライン、20、2
0’、42、42’:他方の接続ライン、22、2
2’、45:第二のセンサライン、23、23’、4
7:一方の第二の接続端子、24、24’、48:他方
の第二の接続端子、26、26’、38、38’、4
4:第二のセンサ回路、27、27’、46:第二の接
続ライン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すくい面となる上面と逃げ面となる周面
    との交差稜に切刃が形成された導電性母材の表面に絶縁
    膜を形成し、前記逃げ面の前記切刃近傍に導電パターン
    から成るセンサラインを形成するとともに、このセンサ
    ラインの両端に外部回路との接続端子を接続してセンサ
    回路を形成した損耗センサ付きスローアウェイチップに
    おいて、前記センサライン近傍の前記切刃とは反対側に
    第二のセンサラインを形成し、この第二のセンサライン
    に接続端子を接続して設けるとともに、前記絶縁膜の一
    部を除去して前記導電性母材を露出させて前記第二のセ
    ンサラインの他方の接続端子とした第二のセンサ回路を
    形成したことを特徴とする損耗センサ付きスローアウェ
    イチップ。
  2. 【請求項2】 前記センサラインの一対の接続端子を前
    記母材の着座面となる底面に設け、この一方の接続端子
    と前記センサラインの一方端側とを接続ラインで接続す
    るとともに、他方の接続端子と前記センサラインの他方
    端側とを前記すくい面に形成された折り返しラインを経
    由して前記一方端側の接続ラインの近傍を通過する接続
    ラインで接続したことを特徴とする請求項1に記載の損
    耗センサ付きスローアウェイチップ。
  3. 【請求項3】 前記母材の着座面と逃げ面との交差稜に
    他の切刃を設けるとともに、この他の切刃近傍に他の第
    二のセンサラインを設け、この他の第二のセンサライン
    を前記すくい面と逃げ面との交差稜に形成した切刃近傍
    のセンサラインの他方端側に接続して、このセンサライ
    ンの他方端側に接続される前記折り返しラインを前記他
    の切刃近傍に形成される第二のセンサラインの接続端子
    とすることを特徴とする請求項2に記載の損耗センサ付
    きスローアウェイチップ。
  4. 【請求項4】 すくい面となる上面と逃げ面となる周面
    との交差稜に切刃が形成された導電性母材の表面に絶縁
    膜を形成し、前記逃げ面の前記切刃から所定間隔離間し
    た位置に導電パターンから成るセンサラインを形成する
    とともに、このセンサラインの両端に外部回路との接続
    端子を接続してセンサ回路を形成した損耗センサ付きス
    ローアウェイチップにおいて、前記絶縁膜の一部を除去
    して前記導電性母材を露出させて第二の接続端子を設
    け、この第二の接続端子と前記センサラインの接続端子
    との間で、前記センサラインと前記母材との導通を検知
    する第二のセンサ回路を形成したことを特徴とする損耗
    センサ付きスローアウェイチップ。
  5. 【請求項5】 すくい面となる上面と逃げ面となる周面
    との交差稜に切刃が形成された導電性母材の表面に絶縁
    膜を形成し、前記逃げ面の前記切刃から所定間隔離間し
    た位置に導電パターンから成るセンサラインを形成する
    とともに、このセンサラインの両端に外部回路との接続
    端子を接続してセンサ回路を形成した損耗センサ付きス
    ローアウェイチップにおいて、前記センサライン近傍の
    前記切刃とは反対側に第二のセンサラインを形成し、こ
    の第二のセンサラインに接続端子を接続して設けるとと
    もに、前記絶縁膜の一部を除去して前記導電性母材を露
    出させて前記第二のセンサラインの他方の接続端子とし
    た第二のセンサ回路を形成したことを特徴とする損耗セ
    ンサ付きスローアウェイチップ。
  6. 【請求項6】 前記センサラインの一対の接続端子を前
    記母材の着座面となる底面に設け、この一方の接続端子
    と前記センサラインの一方端側とを接続ラインで接続す
    るとともに、他方の接続端子と前記センサラインの他方
    端側とを前記すくい面に形成された折り返しラインを経
    由して前記一方端側の接続ラインの近傍を通過する接続
    ラインで接続したことを特徴とする請求項4または請求
    項5に記載の損耗センサ付きスローアウェイチップ。
  7. 【請求項7】 前記第二のセンサ回路の接続端子を前記
    母材の着座面となる底面に設けたことを特徴とする請求
    項1ないし請求項6のいずれかに記載の損耗センサ付き
    スローアウェイチップ。
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