JP3929789B2 - 損耗センサ付きスローアウェイチップ及びそれを用いた切削工具並びに切削方法 - Google Patents

損耗センサ付きスローアウェイチップ及びそれを用いた切削工具並びに切削方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は切削加工に使用するスローアウェイチップに関し、特に切刃の損耗を検知するセンサラインを設けた損耗センサ付きスローアウェイチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被削材を切削しながらスローアウェイチップの熱的、機械的、電気的特性の変化を検知してチップの寿命を検知する方法が検討されている。例えば特開昭62−88552号公報では、母材表面の切刃部分に沿って一定幅のセンサライン(薄膜回路)を形成し、被削材を切削しながらセンサラインの電気抵抗を測定することによってスローアウェイチップの寿命を判定する方法が開示されている。
【0003】
ところが、上記方法ではチップのセンサラインが切削中に摩耗して断線しても、鉄等の導電性を有する被削材がセンサラインの断線した部分を繋ぐように溶着したり、断線したセンサラインの両端部と導電性母材との間が導通した場合はセンサ回路が短絡せず、チップの寿命を検知できないという問題があった。
【0004】
そこで、同号公報では、導電性母材の表面に逃げ面の上端側のコーナー部に切削によって摩耗して断線する閉回路から成るセンサ回路を設けるとともに、母材と接触した場合に導通する開回路から成るセンサ回路を設けることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−88552号公報のセンサ回路では、センサ回路をチップの上端側のコーナーにしか形成することができず、使用コーナー数が少なく、経済的でないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被削材が溶着すると確実なセンシングができなかったり、使用できるコーナー数が少ないという従来技術の問題点を解消した損耗センサ付きスローアウェイチップを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る損耗センサ付きスローアウェイチップでは、すくい面となる上面と逃げ面となる周面との交差稜に切刃が、着座面となる底面と前記逃げ面との交差稜に他の切刃がそれぞれ形成された導電性母材と、前記導電性母材の表面に形成された絶縁膜とを備えており、前記絶縁膜上における前記逃げ面の前記切刃近傍に左右に延びるセンサラインが、前記逃げ面の他の切刃近傍に左右に延びる他のセンサラインがそれぞれ形成されており、前記逃げ面において、前記センサラインよりも前記切刃から離れた位置には左右に延びる第二のセンサラインが、前記他のセンサラインよりも前記他の切刃から離れた位置には左右に延びる他の第二のセンサラインがそれぞれ形成されており、前記左右に延びる第二のセンサラインは、一端が途切れており、他端が逃げ面に形成された第二の接続ラインを介して分岐しており、その一方が前記センサライン、逃げ面に形成された一方の接続ラインを順次介して、底面に形成された一方の接続端子と接続されており、他方がすくい面に形成された折り返しライン、逃げ面に形成された他方の接続ラインを順次介して、底面に形成された他方の接続端子と接続されており、前記左右に延びる他の第二の接続ラインは、一端が途切れており、他端が逃げ面に形成された他の第二の接続ラインを介して分岐しており、その一方が前記他のセンサライン、逃げ面に形成された他の一方の接続ラインを順次介して、すくい面に形成された他の一方の接続端子と接続されており、他方が底面に形成された他の折り返しライン、逃げ面に形成された他の他方の接続ラインを順次介して、すくい面に形成された他の他方の接続端子と接続されており、前記すくい面及び底面には、絶縁膜の一部を除去して前記導電性母材を露出させることにより形成した他方の第二の接続端子及び他の他方の第二の接続端子がそれぞれ形成されており、前記切刃使用時には、前記他の折り返しラインが一方の第二の接続端子として機能し、前記一方の接続端子、前記センサライン、前記他方の接続端子を順次経由するセンサ回路が機能し、前記第二のセンサラインは、前記導電性母材が露出して被削材が溶着することにより、前記一方の第二の接続端子と他方の第二の接続端子が導通し、前記センサラインが断線しても前記センサ回路が断線しない場合を検知し、前記他の切刃使用時には、前記折り返しラインが一方の第二の接続端子として機能し、前記他の一方の接続端子、前記他のセンサライン、前記他の他方の接続端子を順次経由する他のセンサ回路が機能し、前記他の第二のセンサラインは、前記導電性母材が露出して被削材が溶着することにより、前記他の一方の第二の接続端子と他の他方の第二の接続端子が導通し、前記他のセンサラインが断線しても前記他のセンサ回路が断線しない場合を検知することを特徴とする。
【0013】
また、上記損耗センサ付きスローアウェイチップでは、前記第二のセンサ回路の接続端子を前記母材の着座面となる底面に設けることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、各請求項に係る損耗センサ付きスローアウェイチップの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は請求項1に係る損耗センサ付きスローアウェイチップを示す概略断面図であり、図2はその要部拡大図である。また、図1(a)は、スローアウェイチップを手前上方から見た斜視図であり、図1(b)は手前下方から見た斜視図である。
【0015】
図1および図2において、1はスローアウェイチップ、2は母材、3は絶縁膜、4は導電膜、5はすくい面、6は着座面、8は逃げ面、9は切刃、10はコーナー部、11はクランプ孔、12はセンサライン、13は一方の接続端子、14は他方の接続端子、16はセンサ回路、17は一方の接続ライン、18は折り返しライン、20は他方の接続ライン、22は第二のセンサライン、23は第二の接続端子、24は他方の第二の接続端子、26は第二のセンサ回路、27は第二の接続ラインである。
【0016】
スローアウェイチップ1は、両主面が多角形状を呈する略平板状で、導電性母材2の表面に絶縁膜3を被着形成しており、絶縁膜3の表面に後述する所定の回路パターンをなす導電膜4が被着形成されている。このスローアウェイチップ1では、一方の主面がすくい面5、他方の主面が着座面6、周面が逃げ面8として機能し、すくい面5と逃げ面8との交差稜部分が切刃9として機能する。
【0017】
逃げ面8のコーナー部10近傍には、所定幅を有する導電パターンからなるセンサライン12が設けられている。このセンサライン12は逃げ面8の上端部の切刃9に沿って平行に形成され、その形成幅によって工具寿命(摩耗量)の限界摩耗度合いを規定することができる。例えばセンサライン12の下端部の位置を切刃9の寿命基準量(逃げ面の摩耗限界)、例えば0.05〜0.7mmに一致させておき、切削加工中に切刃9が摩耗してセンサライン12が断線したことをセンシングすることによって切刃9の寿命を検知することができる。
【0018】
センサライン12の両端には、図5に示す外部回路56、57と電気的に接続可能な導電層からなる接続端子13、14が接続される。この一対の接続端子13、14は母材2の着座面となる底面に設けることが望ましい。これと接続される図5の外部端子56、57の位置決めが容易にできるからである。一方の接続端子13は、接続ライン17を介してセンサライン12の一方端側に接続されるとともに、他方の接続端子14は一方端側の接続ライン17の近傍を通過する接続ライン20とすくい面5に形成された折り返しライン18を介してセンサライン12の他方端側に接続される。このように折り返しライン18をすくい面5の中央よりに形成すると、切り屑の影響を極力避けることができる。
【0019】
第一の接続端子13−一方の接続ライン17−センサライン12−折り返しライン18−他方の接続ライン20と経由して閉回路でセンサ回路16が構成される。
【0020】
逃げ面8のセンサライン12よりも切刃9から遠い側には、導電パターンからなる第二のセンサライン22が形成されている。この第二のセンサライン22には第二の接続端子23が接続されている。また、着座面8の略中央部には絶縁膜3を除去して母材2が表面に露出した他方の第二の接続端子24が環状に形成されている。
【0021】
第二の接続端子23−第二の接続ライン27−第二のセンサライン22−(母材2)−母材2が表面に露出した他方の第二の接続端子24と経由して開回路の第二のセンサ回路26が構成される。
【0022】
本発明によれば、閉回路であるセンサ回路16と開回路である第二のセンサ回路26の両回路を設けることが大きな特徴である。センサライン12が断線しかつセンサ回路16が切れない場合でも、第二のセンサ回路26によって被削材の溶着を検知することができ、スローアウェイチップ1の切刃9の損耗状態を確実に検知することができる。したがって、被削材の切削面が傷つく恐れがなく、スローアウェイチップ1の切削能力を最大限に発揮できて切削作業の無人化も可能となることから、経済的に優れた工具となる。
【0023】
一方の接続ライン17および他方の接続ライン20は、センサライン12に対して(換言すれば切刃9に対して)直交方向ではなく、所定の傾斜角度を有するように逃げ面8に形成される。また、一対の接続端子13、14を有するセンサ回路16の配置位置と、一対の接続端子13’、14’を有するセンサ回路16’の配置位置とは、2つの逃げ面8が交差する交差陵線の中央に対して点対称となるように全く同じ構成で配置する。このように構成すると、双方の接続端子13、14、13’、14’を後述する図5のチップホルダ50の外部端子56、57に接続できるようになる。第二のセンサ回路26も2つの逃げ面8が交差する交差陵線の中央に対して点対称となるように配置されている。
【0024】
また、母材2の着座面6と2つの逃げ面8との交差稜線に他の切刃9’を設けるとともに、この他の切刃9’の近傍に他の第二のセンサライン26’を設け、この他の第二のセンサライン26’をすくい面5と逃げ面8との交差稜に形成した切刃9近傍のセンサライン12の他方端側に接続して、このセンサライン12の他方端側に接続される折り返しライン18を他の切刃9’近傍に形成される第二のセンサライン26’の接続端子23’とすることが望ましい。このようにすくい面5の折り返しライン18が2つの逃げ面8の交差陵線の中央に対して切刃9と点対称な位置に配置される切刃9’の第二のセンサライン26’の接続端子23’を兼ねる構成とすれば、回路の単純化が可能となる。
【0025】
この回路構成においては、切刃9の損耗状態を精度よく検知できるようにするために、センサライン12と第二のセンサライン22との間をできるだけ近接させて形成することが望ましく、例えばセンサライン12と第二のセンサライン22の幅の1/3以下とすることが望ましい。
【0026】
本発明によれば、着脱式であるスローアウェイチップにおいて、センサライン12を母材2の逃げ面8の各コーナー部10に1つづつ、つまり、図1のように母材2の主面が多角形状(図1では四角形)からなる場合、4つの逃げ面8に2つづつ存在する8つのコーナー部10それぞれにセンサライン12を形成して8コーナーすべてを切刃9として使用できることから、経済性に優れている。
【0027】
また、母材2のすくい面5と着座面6と逃げ面8との交差稜部分に存在する第一の接続端子13と一方の接続ライン17との間、センサライン12と折り返しライン18の間、折り返しライン18と他方の接続ライン20との間、および他方の接続ライン20と第二の接続端子14との間の高さを他の交差稜部分の高さよりも低くすること、換言すればこれらの部分に切り欠きを設けることが望ましい。このように配線ライン部分のエッジを除去すると、スローアウェイチップ1の取り扱い等により、特に損傷しやすいライン部分を保護して、損傷を防止することができる。なお、切り欠きの形状としては、R形状、C面状、多段階に窪ませた形状でもよい。
【0028】
スローアウェイチップ1の形状としては、すくい面5および着座面6が正方形のものに限定されるものではなく、すくい面5および着座面6が円形、正三角形、菱形等の形状、あるいは楕円形、上記以外の正多角形、平行四辺形等のものが適応可能である。
【0029】
次に、参考例に係る発明の実施形態を図3に基づいて説明する。
図3に示すスローアウェイチップ30は、図1および図2と同様に、導電性母材2の表面に絶縁膜3が被着形成され、さらに絶縁膜3の表面に導電膜4が被着形成された構成からなるが、センサライン31が逃げ面8の切刃9から所定間隔離間して設けられる。
【0030】
また、センサライン31には、一対の接続端子35、36が接続して設けられている。さらに、一対の接続端子35、36に近接して絶縁膜3を除去して母材2が露出した他方の第二の接続端子39が設けられている。
【0031】
センサ回路33は、一方の接続端子35−一方の接続ライン40−センサライン31−折り返しライン41−他方の接続ライン42−接続端子36と経由するように構成されている。また、接続端子35(36)−接続ライン40(42)−センサライン31−(母材2)−第二の接続端子39と経由するように第二のセンサ回路33が形成される。
【0032】
つまり、センサ回路33のセンサライン31が断線してセンサ回路33が遮断された場合、またはセンサライン31に被削材が溶着する等によってセンサライン31が断線し、センサ回路33が遮断されない場合、第二のセンサ回路38が導通することによってセンサライン31の異常状態を検知することができ、切刃9の摩耗状態を確実に検知することができる。
【0033】
このようにセンサライン31の配設位置を限界摩耗量位置に合わせてセンサライン31自身の母材2の導通状態を測定できる第二のセンサ回路とすれば、図1の第二のセンサ回路26の第二のセンサライン22を省略することも可能である。
【0034】
さらに、図3に示すスローアウェイチップでも、2つの逃げ面8の交差陵線中央に対して点対称をなすように同じ回路構成からなるセンサ回路33’およびセンサ回路38’を設けてもよい。
【0035】
次に、参考例に係る発明の実施形態を図4に基づいて説明する。
この請求項5に係るスローアウェイチップでも、すくい面5と逃げ面8との交差稜に切刃9が形成され、この切刃9から所定間隔離間した位置に導電パターンから成るセンサライン12が形成されている。
このセンサライン12の両端に外部回路との接続端子を接続してセンサ回路を形成している。
【0036】
また、センサライン12近傍の切刃9とは反対側に第二のセンサライン45を形成し、この第二のセンサライン45に接続端子47を接続して設けるとともに、絶縁膜4の一部を除去して導電性母材1を露出させて第二のセンサライン45の他方の接続端子48とした第二のセンサ回路44を形成している。つまり、このスローアウェイチップでは、第二の接続端子47−第二の接続ライン46−第二のセンサライン45−(母材2)−他方の第二の接続端子48で第二のセンサ回路44となる。
【0037】
上述した図1および図3、図4の回路構成については、いずれにおいても切刃9の損耗状態を正確に検知することができるが、センサ回路作製の容易性および切刃9の切削特性の点では、切刃9の表面が導電膜4からなる図1の回路がより好適に使用できる。
【0038】
(取り付け例)
上述したスローアウェイチップ1、30には、母材2の中央には、母材2を貫通するクランプ孔11が形成されており、図5に示すように、スローアウェイチップ1は、クランプ孔11にクランプねじ54が螺合されるか、もしくは、金具(図示せず)にてすくい面5側から押さえられることによりチップホルダ50等に装着される。
【0039】
また、チップホルダ50の先端にはチップ装着用のポケット51が形成され、ポケット51の底面はチップ座52となっている。またポケット51の側面はチップの側面に当接し、チップを拘束するための拘束面53となっている。スローアウェイチップ1はこのポケット51に納められ、着座面6がチップ座52に、またチップ1の側面が拘束面53に当接される。そして上方からクランプねじ54がスローアウェイチップ1のクランプ孔11に差し込まれて、その先端がチップ座52の中央に形成されたねじ孔55に螺合されることにより、スローアウェイチップ1はチップホルダ50に装着される。
【0040】
さらに、チップ座52には、装着されたスローアウェイチップ1の切削に使用するコーナー部に設けられたセンサライン12と接続された接続端子13、14に対向する位置に、例えば上方へ弾力付勢され、チップ座52から数mm突出したセンサ回路用の一対の外部端子56、57が突設されている。同様に第二のセンサ回路についても、第二のセンサライン22と接続された開回路接続端子23、24に対向する位置に、例えば上方へ弾力付勢され、チップ座52から数mm突出したセンサ回路用の一対の外部端子58、59が突設されている。そして、スローアウェイチップ1がポケット51に装着されると、スローアウェイチップ1の着座面6によって外部端子56、57、58、59は押し下げられ、外部端子56、57、58、59の上端はチップ座52と面一となる。このとき外部端子56、57、58、59の上端はスローアウェイチップ1の着座面6に設けられた接続端子13、14、23、24とそれぞれ電気的に接触した状態となる。
【0041】
また、外部端子56、57および58、59には、細線で示すように、チップホルダ50内に敷設された閉回路センサ用のリード線60および開回路センサ用のリード線61がつながれている。このリード線60、61はオーム計等の抵抗値の検知回路62に接続されており、スローアウェイチップ1の切刃9(切削に使用するコーナー部8)に設けられたセンサライン12、22を含むセンサ回路16および第二のセンサ回路26の抵抗値を測定することができる。
【0042】
なお、図5の装着状態では、スローアウェイチップ1のコーナー部10の切刃9が切削に用いられる。そして、コーナー部10の切刃9が摩耗した場合には、クランプねじ54や押さえ金具を緩めて、すくい面5の中央を中心にしてスローアウェイチップ1を90°回転させて、コーナー部10と隣接する別のコーナー部10を切刃9として切削に使用できる。このようにスローアウェイチップ1を90°ずつ回転させて、チップ1の一方の主面側の4つのコーナー部を順次切削に使用することができる。さらに、スローアウェイチップ1の上下を反転させてホルダ50等に装着すれば、他方の主面の4つのコーナー部を順に切削に使用することができ、合計8つのコーナー部10を使用することができる。なお、他方の主面のコーナー部を使用する場合は、すくい面と着座面が逆転して機能する。
【0043】
(材質)
スローアウェイチップ1の母材としては、サーメット、超硬合金、立方晶窒化ホウ素質焼結体(CBN/cubic Boron Nitride)、ダイヤモンド焼結体(PCD/Polycrystalline Diamond)等が好適に使用できる。
【0044】
一方、センサ回路16、26、33、38、44を形成する導電パターンは、スローアウェイチップ1の母材2に対する接合力が強いこと、被削材と反応せず、センサライン12、22の電気抵抗値が常に所定値を示し、スローアウェイチップ1の摩耗度合い、欠損の発生の有無を正確に検出することができること、被削材の加工表面に反応生成物が発生しにくいこと、耐酸化性に優れ、酸化物生成によるセンサライン12、22の電気抵抗値の変化がなく、スローアウェイチップ1の摩耗度合い、欠損の発生の有無を正確に検出することができること等の理由から、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W等の4a、5a、6a族金属、Co、Ni、Fe等の鉄族金属、あるいはAlなどの金属材料やTiC、VC、NbC、TaC、Cr32、Mo2C、WC、W2C、TiN、VN、NbN、TaN、CrN、TiCN、VCN、NbCN、TaCN、CrCN等の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、およびこれに、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種を固溶させたもの、特にTiN、(Ti、Al)N、(Ti、Al)CNの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはTiNが好適である。
【0045】
(作製方法)
また、センサ回路16、26、33、38、44を形成するには、例えば所定のセラミック粉末を成形、焼成することによって作製した母材2の表面のほぼ全面に、CVD法やイオンプレーティング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、めっき法等の公知の薄膜形成法によって、所定厚み、特に母材2との密着性および所定の抵抗値に制御する点で0.05〜20μmの絶縁膜3を成膜した後、上記いずれかの方法によって導電膜を成膜し、レーザ加工、マスクを用いたブラスト加工、ドリルを用いた切削加工等によって、導電膜を所定パターンのセンサ回路に加工する。
【0046】
加工によりセンサ回路16、26、33、38、44を形成する方法としては、母材2表面に被着形成された導電性薄膜に対してYAGレーザやCO2レーザを照射走査するようなレーザ加工法が望ましい。このようなレーザー加工法では、微細で精度のよいラインを形成できるとともに、多種にわたる母材2や被膜に対応できる。
【0047】
さらに、絶縁層3は、PVD法やCVD法等の公知の薄膜形成法を用いて、絶縁性を確保するとともに、絶縁層3および導電膜4の剥離を防止するために1〜10μmの厚みに形成されることが望ましい。
【0048】
【実施例】
超硬合金の表面にCVD法でTiN層を1μm、ついでTiCN層を5μm、TiC層を2μm形成した超硬コーティングからなる母材の表面にCVD法で膜厚5μmのアルミナからなる絶縁層を形成し、スパッタリング法で膜厚0.5μmのTiN薄膜を形成した。そして、レーザー加工により、センサライン幅を0.2mmとし、センサラインと第二のセンサラインの間を0.05mmとした図1および図3に示す回路パターンのセンサ回路を有するスローアウェイチップをそれぞれ作製した。
【0049】
得られたチップに対して、下記の条件で切削試験を行った。
被削材: SCM435
切削速度:200m/min
切込み量:2.0mm
送り量: 0.3mm/rev
その他: 湿式切削
図1および図3のセンサ回路を有するスローアウェイチップ5個づつについて、それぞれ8コーナーを用いて切削試験を行ったところ、いずれも30分前後で検知回路29がセンサ回路断線と判断して作動し、センサ回路を確認したところセンサライン12はコーナー部(ノーズR部)で断線していることが確認された。
【0050】
(比較例)
実施例の図1のセンサ回路に対して、第二のセンサ回路を形成せずセンサ回路のみからなるスローアウェイチップを作製し、実施例と同様に切削試験を行ったところ、40コーナー中の10コーナーにおいてセンサ回路が作動しなかった。また、このセンサ回路が作動しなかったコーナー部のセンサラインを顕微鏡で観察したところ、被削材の溶着によってセンサラインと母材とが短絡していた。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る損耗センサ付きスローアウェイチップによれば、前記逃げ面において、前記センサラインよりも前記切刃から離れた位置に、第二のセンサラインを形成したことから、センサ回路の構成を簡単にでき、かつ被削材がセンサ回路に溶着してセンサ回路が導電性母材と導通した場合でも確実にセンサ回路の損耗状態を検知することができ、経済性に優れたスローアウェイチップとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係るスローアウェイチップの一例を示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図2】図1のスローアウェイチップの要部拡大断面図である。
【図3】 参考例に係るスローアウェイチップの一例を示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図4】 参考例に係るスローアウェイチップの一例を示す図であり、(a)は手前上方から見た斜視図、(b)は手前下方から見た斜視図である。
【図5】図1のスローアウェイチップをチップホルダに装着した状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1、30:スローアウェイチップ、2:母材、3:絶縁膜、4:導電膜、5:すくい面、6:着座面、8:逃げ面、9、9’:切刃、12、12’:センサライン、13、13’:一方の接続端子、14、14’:他方の接続端子、16、16’、33、33’:センサ回路、17、17’、40、40’:一方の接続ライン、18、18’、41、41’:折り返しライン、20、20’、42、42’:他方の接続ライン、22、22’、45:第二のセンサライン、23、23’、47:一方の第二の接続端子、24、24’、48:他方の第二の接続端子、26、26’、38、38’、44:第二のセンサ回路、27、27’、46:第二の接続ライン

Claims (3)

  1. すくい面となる上面と逃げ面となる周面との交差稜に切刃が、着座面となる底面と前記逃げ面との交差稜に他の切刃がそれぞれ形成された導電性母材と、
    前記導電性母材の表面に形成された絶縁膜とを備えており、
    前記絶縁膜上における前記逃げ面の前記切刃近傍に左右に延びるセンサラインが、前記逃げ面の他の切刃近傍に左右に延びる他のセンサラインがそれぞれ形成されており、
    前記逃げ面において、前記センサラインよりも前記切刃から離れた位置には左右に延びる第二のセンサラインが、前記他のセンサラインよりも前記他の切刃から離れた位置には左右に延びる他の第二のセンサラインがそれぞれ形成されており、
    前記左右に延びる第二のセンサラインは、一端が途切れており、他端が逃げ面に形成された第二の接続ラインを介して分岐しており、その一方が前記センサライン、逃げ面に形成された一方の接続ラインを順次介して、底面に形成された一方の接続端子と接続されており、他方がすくい面に形成された折り返しライン、逃げ面に形成された他方の接続ラインを順次介して、底面に形成された他方の接続端子と接続されており、
    前記左右に延びる他の第二の接続ラインは、一端が途切れており、他端が逃げ面に形成された他の第二の接続ラインを介して分岐しており、その一方が前記他のセンサライン、逃げ面に形成された他の一方の接続ラインを順次介して、すくい面に形成された他の一方の接続端子と接続されており、他方が底面に形成された他の折り返しライン、逃げ面に形成された他の他方の接続ラインを順次介して、すくい面に形成された他の他方の接続端子と接続されており、
    前記すくい面及び底面には、絶縁膜の一部を除去して前記導電性母材を露出させることにより形成した他方の第二の接続端子及び他の他方の第二の接続端子がそれぞれ形成されており、
    前記切刃使用時には、前記他の折り返しラインが一方の第二の接続端子として機能し、前記一方の接続端子、前記センサライン、前記他方の接続端子を順次経由するセンサ回路が機能し、前記第二のセンサラインは、前記導電性母材が露出して被削材が溶着することにより、前記一方の第二の接続端子と他方の第二の接続端子が導通し、前記センサラインが断線しても前記センサ回路が断線しない場合を検知し、
    前記他の切刃使用時には、前記折り返しラインが一方の第二の接続端子として機能し、前記他の一方の接続端子、前記他のセンサライン、前記他の他方の接続端子を順次経由する他のセンサ回路が機能し、前記他の第二のセンサラインは、前記導電性母材が露出して被削材が溶着することにより、前記他の一方の第二の接続端子と他の他方の第二の接続端子が導通し、前記他のセンサラインが断線しても前記他のセンサ回路が断線しない場合を検知することを特徴とする損耗センサ付きスローアウェイチップ。
  2. 請求項に記載の損耗センサ付きスローアウェイチップをチップホルダに装着した切削工具。
  3. 請求項に記載の損耗センサ付きスローアウェイチップをチップホルダに装着する工程と、
    前記切刃に被削材を接触させて切削を行なう工程とを含む切削方法。
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