JP2003236683A - アルミニウムパイプ製フレームの製造方法 - Google Patents

アルミニウムパイプ製フレームの製造方法

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JP2003236683A JP2002037251A JP2002037251A JP2003236683A JP 2003236683 A JP2003236683 A JP 2003236683A JP 2002037251 A JP2002037251 A JP 2002037251A JP 2002037251 A JP2002037251 A JP 2002037251A JP 2003236683 A JP2003236683 A JP 2003236683A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 屈曲せしめられた角パイプを有するアルミニ
ウムパイプ製フレームを、屈曲せしめられた角パイプの
曲げ精度を損ねることなく、高い接合精度をもって、有
利に製造出来る方法を提供する。 【解決手段】 互いに接触するように組み付けられた角
パイプ同士の接触部24の少なくとも一部を摩擦撹拌接
合した後、それら接合された角パイプの非接合部分を屈
曲せしめて、目的とするフレームの一部を与える構成部
品を形成し、その後、かくして形成された構成部品の複
数を互いに接触させた状態で組み付けて、一体的に接合
する工程を含んで構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、アルミニウムパイプ製フレーム
の製造方法に係り、特に、アルミニウム製の角パイプの
複数が互いに組み付けられて、一体的に接合されている
一方、かかる角パイプの少なくとも1本が屈曲せしめら
れてなる構造のアルミニウムパイプ製フレームを有利に
製造する方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車や船舶、或いは建造物等
の様々な構造物の骨組を与えるフレームが、各種の金属
材料等を用いて、構成されているが、その中でも、アル
ミニウム若しくはアルミニウム合金製のパイプの複数を
互いに組み付けて、一体的に接合せしめてなる、所謂ア
ルミニウムパイプ製フレームは、アルミニウムパイプの
使用による軽量化が達成されるばかりでなく、アルミニ
ウムパイプの全体形状や断面形状の最適化によって高い
剛性が発揮されることとなる。このため、近年では、特
に、燃費の向上等の点から軽量化が強く望まれる自動車
等のフレームに対して、一体型や部分型の形態を問わ
ず、アルミニウムパイプ製フレームが、徐々に適用され
始めてきているのである。
【0003】ところで、そのようなアルミニウムパイプ
製フレームを製造する際には、一般に、パイプ同士を互
いに接触するように組み付ける一方、その接触部のそれ
ぞれをアーク溶接(MIG溶接やTIG溶接)等にて溶
接せしめることにより、パイプ同士を、各接触部におい
て一体的に接合する方法が、採用されている。
【0004】ところが、かくの如き従来のアルミニウム
パイプ製フレームの製造方法によって、例えば、アルミ
ニウム製の角パイプの複数が互いに組み付けられて、一
体的に接合されている一方、かかる角パイプの少なくと
も1本が屈曲せしめられてなる構造のフレームを製造す
る場合には、予め屈曲せしめられた角パイプに対して、
それとは別の角パイプを接触させた状態で組み付けられ
て、それらの角パイプ同士が、その接触部において、互
いにアーク溶接されることとなるのであるが、その際
に、以下に示す如き問題が、生じていたのである。
【0005】すなわち、従来手法では、予め屈曲せしめ
られた角パイプとそれに組み付けられる角パイプとの接
合が、それらの接触部を溶融せしめることからなる溶融
溶接となるところから、溶接時の多大な入熱により熱歪
みが生じて、屈曲せしめられた角パイプの曲げ精度が低
下してしまうことが避けられなかったのであり、それ故
に、そのような曲げ精度の低い屈曲角パイプに対して、
更に別の角パイプを接触させた状態で組み付けて、溶接
しようとすると、それら溶接されるべき角パイプ同士の
接触面の間に隙間や段差等が生じることとなって、溶接
精度(接合精度)が著しく低下するといった重大な問題
が、惹起せしめられていたのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、アルミニウム製の角パイプの複数が互い
に組み付けられて、一体的に接合されている一方、かか
る角パイプの少なくとも1本が屈曲せしめられてなる構
造のアルミニウムパイプ製フレームを、屈曲せしめられ
た角パイプの曲げ精度の低下を効果的に防止乃至は抑制
することで、高い接合精度を確保しつつ、有利に製造す
ることが出来る手法を提供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かかる課題の
解決のために、アルミニウム製の角パイプの複数が互い
に組み付けられて、一体的に接合されている一方、かか
る角パイプの少なくとも1本が屈曲せしめられてなる構
造のアルミニウムパイプ製フレームを製造するに際し
て、前記角パイプの幾つかを互いに接触させた状態で組
み付けて、その接触部に対する摩擦撹拌接合操作を行な
うことにより、該接触部の少なくとも一部を接合せしめ
た後、それら接触部の少なくとも一部において接合され
た角パイプのそれぞれの非接合部分を屈曲せしめて、目
的とする前記アルミニウムパイプ製フレームの一部を与
える構成部品を形成し、その後、かくして形成された構
成部品の複数を互いに接触させた状態で組み付けて、一
体的に接合する工程を含むことを特徴とするアルミニウ
ムパイプ製フレームの製造方法を、その要旨とするもの
である。
【0008】要するに、この本発明に従うアルミニウム
パイプ製フレームの製造方法においては、屈曲せしめら
れた角パイプを含んでなる、目的とするアルミニウムパ
イプ製フレームの一部を構成する構成部品を形成した
後、そのような構成部品同士や、構成部品と真っ直ぐな
角パイプとを、それぞれ一体的に接合することによっ
て、目的とするアルミニウムパイプ製フレームを製造す
るようにしたものであって、特に、上述の如き構成部品
を形成する際に、それを与える幾つかの角パイプ同士の
接触部の接合操作として、摩擦撹拌接合操作、即ち、例
えば、接触部に対して、ロッド状の回転治具の先端に同
心的に設けたピンを、回転治具と共に一体に回転させつ
つ差し込み、相対的に移動させることにより、接触部を
溶融せしめることなく、その少なくとも一部を接合せし
める接合操作が採用されているところから、構成部品を
形成する際における角パイプ同士の接合時の接触部への
入熱が少なくされて、角パイプのそれぞれにおける熱歪
みの発生が有利に解消乃至は抑制され得るのである。
【0009】しかも、本発明手法においては、かかる摩
擦撹拌接合操作により、角パイプ同士を接触部の少なく
とも一部において接合せしめた後、非接合部分が屈曲せ
しめられて、所定の角パイプの所定箇所に屈曲部が形成
されるようになっているため、予め屈曲せしめられた角
パイプを他の角パイプに対して接合する場合とは異なっ
て、その接合時における入熱に起因して、屈曲せしめら
れた角パイプの曲げ精度が低下するようなことも、効果
的に皆無ならしめられ得るのである。
【0010】それ故、このような本発明に従うアルミニ
ウムパイプ製フレームの製造方法にあっては、屈曲せし
められた角パイプを含む構成部品の形成過程で、かかる
屈曲角パイプの曲げ精度が低下するようなことが、極め
て有利に防止乃至は抑制され得るのであり、それによっ
て、そのような構成部品同士や、構成部品と真っ直ぐな
角パイプとを、それぞれ互いに接触させた状態で組み付
けて、一体的に接合する際に、接合されるべき角パイプ
同士の接触面の間に隙間や段差等が生じるようなこと
も、効果的に解消され得ることとなるのである。
【0011】従って、かくの如き本発明に従うアルミニ
ウムパイプ製フレームの製造方法によれば、アルミニウ
ム製の角パイプの複数が互いに組み付けられて、一体的
に接合されている一方、かかる角パイプの少なくとも1
本が屈曲せしめられてなる構造のアルミニウムパイプ製
フレームが、屈曲せしめられた角パイプの曲げ精度の低
下を招くことなく、それによって、高い接合精度を十分
に確保しつつ、極めて有利に製造され得るのである。そ
して、その結果として、優れた接合品質と所望の形状を
有し、しかも軽量性に富んだアルミニウムパイプ製フレ
ームの製造が、有利に実現され得ることとなったのであ
る。
【0012】なお、かかる本発明手法では、構成部品の
複数を互いに接触させた状態で組み付けて、一体的に接
合する工程において採用される接合方式が、特に限定さ
れるものではなく、一般的な溶接方式や摩擦撹拌接合方
式等が適宜に採用されることとなる。
【0013】そして、このような本発明に従うアルミニ
ウムパイプ製フレームの製造方法の好ましい態様の一つ
によれば、前記複数の構成部品の一体的な接合が、それ
ら複数の構成部品の接触部に対する摩擦撹拌接合操作を
行なうことにより実現される。これによって、構成部品
同士を接触部において接合する際における、それら構成
部品の接触部への入熱が少なく為され得て、構成部品の
それぞれにおける熱歪みの発生も有利に解消乃至は抑制
され得、以て、各構成部品の屈曲せしめられた角パイプ
の曲げ精度がより十分に確保され得ると共に、接合部に
おける残留応力も可及的に小さく為され得るのであり、
その結果として、更に一層高度な接合品質と形状精度に
優れたアルミニウムパイプ製フレームを製造することが
可能となるのである。
【0014】また、本発明に従うアルミニウムパイプ製
フレームの製造方法の別の有利な態様の一つによれば、
接合されるべき前記幾つかの角パイプのうちの一つを、
その端面において、他の一つに突き合わせることにより
接触させた状態で組み付けて、その接触部に対する摩擦
撹拌接合操作を行なう際に、かかる摩擦撹拌接合操作の
実施に先立って、該他の一つの角パイプに突き合わされ
る該一つの角パイプの内部に、該一つの角パイプの厚
さ:tに対して、板厚:wが、次式:t<w<10tを
満たす寸法とされたアルミニウム製板材を、該一つの角
パイプにおける、該摩擦撹拌接合操作により形成される
接合部の内側に位置するように、挿入せしめるようにさ
れる。これによって、角パイプ同士の突合せ部の接合時
において、かかる突合せ部の周辺部位に座屈等が生ずる
ようなことが有利に回避され得、以て、角パイプ同士の
突合せ部が、優れた接合品質と高度な接合強度とをもっ
て、有利に接合され得るのである。
【0015】さらに、本発明に従うアルミニウムパイプ
製フレームの製造方法の望ましい他の態様の一つによれ
ば、前記接触部の少なくとも一部が接合された幾つかの
角パイプのそれぞれにおける非接合部分を屈曲せしめた
後、かかる屈曲部と、該屈曲部を有する角パイプが接合
される他の角パイプとの間の隙間内にビードが充填され
るように、それら屈曲部と他の角パイプとを、不活性ガ
スアーク溶接若しくはレーザー溶接により接合するよう
にされる。これによって、構成部品、ひいてはアルミニ
ウムパイプ製フレーム全体の強度の向上が、より有利に
図られ得ることとなる。
【0016】更にまた、本発明に従うアルミニウムパイ
プ製フレームの製造方法の更に別の有利な態様の一つに
よれば、前記目的とするアルミニウムパイプ製フレーム
が、自動車用フレームとして適用されることとなる。こ
れによって、自動車用フレームの軽量化に加えて、接合
品質と形状精度の向上が、有利に実現され得るのであ
る。
【0017】また、本発明に従うアルミニウムパイプ製
フレームの製造方法の好ましい他の態様の一つによれ
ば、前記構成部品の複数を形成した後、それら構成部品
の複数を互いに接触させた状態で組み付けて、一体的に
接合する一方、互いに対向位置せしめられたアルミニウ
ム製の2枚の面板間に、アルミニウム製のコアが少なく
とも配置され、且つ少なくとも、それら2枚の面板とコ
アとが一体的に接合されてなるサンドイッチパネル若し
くは押出形材を、該構成部品に接触させた状態で組み付
けて、その接触部に対する摩擦撹拌接合操作を行なうこ
とにより、それらサンドイッチパネル若しくは押出形材
と該構成部品とを、該接触部の少なくとも一部において
一体的に接合するようにされる。これによって、アルミ
ニウムパイプ製フレームの形状精度を損ねることなく、
その内側に、壁部材を有利に配設することが出来、以て
フレーム全体の強度を効果的に高めることが可能となる
ばかりでなく、例えば、かかるサンドイッチパネルや押
出形材を床部として利用することによって、床部が一体
形成された自動車用フレーム等として、極めて有利に適
用され得ることとなる。
【0018】さらに、本発明に従うアルミニウムパイプ
製フレームの製造方法の望ましい更に他の態様の一つに
よれば、前記構成部品の複数を形成した後、それら構成
部品の複数を互いに接触させた状態で組み付けて、一体
的に接合する一方、該構成部品を与える前記角パイプと
は別のアルミニウム製の角パイプの複数を、それぞれの
側面において互いに接触させつつ、幅方向に並列的に並
べると共に、それら複数の角パイプのうち、少なくと
も、その幅方向の最も外側に位置せしめられる角パイプ
を該構成部品に接触させた状態で組み付けて、該角パイ
プの該構成部品との接触部と該角パイプ同士の接触部と
に対する摩擦撹拌接合操作をそれぞれ行なうことによ
り、該複数の角パイプと該構成部品とを、各接触部の少
なくとも一部においてそれぞれ一体的に接合するように
される。このような構成を採用する場合にあっても、ア
ルミニウムパイプ製フレーム全体の強度の向上が有利に
図られ得ると共に、床部が一体形成された自動車用フレ
ーム等への適用が、極めて有利に実現され得るのであ
る。
【0019】また、構成部品を与える角パイプとは別の
角パイプの複数が、該構成部品と接合される場合には、
有利には、かかる構成部品を与える角パイプとは別の複
数の角パイプのうちの少なくとも一つが、その内部に、
制振材を有して構成されることとなる。これによって、
アルミニウムパイプ製フレームに対して、優れた制振性
能が付与され得て、例えば、自動車用フレーム等とし
て、更に有利に適用され得ることとなるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明に係るアルミニウムパイプ製フ
レームの製造方法の構成について、図面を参照しつつ、
詳細に説明することとする。
【0021】先ず、図1及び図2には、本発明手法に従
って製造されたアルミニウムパイプ製フレームの一例と
して、自動車の一体型フレームの一種たる周囲型フレー
ムが、その正面形態と側面形態とにおいて、それぞれ、
概略的に示されている。それらの図からも明らかなよう
に、フレーム10は、矩形の横断面形状を有する6本の
角パイプ12a,12b,14a,14b,16a,1
6bが、互いに組み付けられ、一体的に接合されている
一方、それら6本の角パイプ12a〜16bのうちの4
本の角パイプ12a,12b,14a,14bが、コ字
状に屈曲せしめられてなる構造を有している。
【0022】より具体的には、フレーム10にあって
は、コ字状に屈曲せしめられた4本の角パイプ12a〜
14bのうち、それぞれ2本ずつが、全体としてH字形
状を呈するように互いに接合される一方、それら4本の
角パイプ12a〜14bのうちの2本の角パイプ12
a,12bが、コ字状の開口側のそれぞれの端面におい
て互いに突き合わされて、一体的に接合されており、ま
た、その突合せ接合された2本のコ字状の角パイプ12
a,12bとは別の2本のコ字状の角パイプ14a,1
4bに対して、真っ直ぐな角パイプ16a,16bが、
それぞれ、コ字状の脚部に跨るようにして、一体的に接
合されているのである。
【0023】なお、このようなフレーム10を与える6
本の角パイプ12a〜16bは、何れも、アルミニウム
若しくはアルミニウム合金製の展伸材や鋳物材、押出材
等からなっており、その材質は、特に限定されるもので
はなく、フレーム10に対する要求品質等に応じて適宜
に選択されるものではあるものの、ここでは、角パイプ
12a〜16bのそれぞれの構成材料として、代表的な
構造用材であって、且つ強度に優れた6000系アルミ
ニウム合金が、用いられている。
【0024】そして、そのような6本の角パイプ12a
〜16bを用いて、フレーム10を製造するに際して
は、例えば、図3に示されるように、先ず、一直線に延
びる2本の角パイプ12a,14aを、幅方向に隣り合
うようにして水平に並べ、且つ対応する側面同士におい
て接触させた状態で配置する。このとき、これら2本の
角パイプ12a,14aの接触部18が離間しないよう
に、好ましくは、適当な拘束治具(図示せず)により、
2本の角パイプ12a,14bが、取外し可能な状態
で、変位不能に拘束される。
【0025】次いで、2本の角パイプ12a,14bの
接触部18に対する摩擦撹拌接合操作を行なうのである
が、本工程では、そのような摩擦撹拌接合操作が、図4
に示されるように、先端部に鋼等の硬質材料からなるピ
ン20が同心的に設けられたロッド状の回転治具22を
用いて、実施される。
【0026】すなわち、かかる回転治具22に設けられ
たピン20を、回転治具22と共に軸心回りに一体に高
速回転させつつ、2本の角パイプ12a,14aの接触
部18における、その長さ方向の中心部よりも一方側に
所定寸法偏奇した位置に差し込み、更に、回転治具22
の先端面の一部が、2本の角パイプ12a,14aの接
触部18の表面に当接するまで差し込むことにより、か
かる接触部18と、ピン20及び回転治具22の先端部
との接触面において摩擦熱を発生させ、以て接触部18
の周辺部位を可塑化せしめる。そして、そのような接触
部18への差込み状態下でのピン20の高速回転に伴う
撹拌作用にて、接触部18の周辺部位の組織を入り交じ
り合わせて、接合部を形成し、更に、かかるピン20及
び回転治具22を接触部18に沿って相対的に移動せし
めることにより、2本の角パイプ12a,14aを、そ
の接触部18において、溶融させることなく、一体的に
接合せしめるのである。
【0027】なお、このとき、ピン20及び回転治具2
2が、接触部18に対する相対移動によって、図4にお
いて二点鎖線で示される位置、つまり、接触部18にお
ける、その長さ方向の中心部よりも他方側に所定寸法偏
奇した位置に達した時点で、接触部18から引き抜かれ
るのであり、それによって、2本の角パイプ12a,1
4aが、接触部18における長さ方向の中間部分のみに
接合部(24)が形成される一方、ピン20が差し込ま
れたなかった両側端部部分が非接合部分(26,28)
とされ、以て、そのような2本の角パイプ12a,14
aにて、その接触部18の中間部分のみが部分的に一体
接合された形態を有する接合体が形成されることとなる
(図5参照)。
【0028】また、かかる本工程では、2本の角パイプ
12a,14aの接触部18の接合操作が摩擦撹拌接合
操作にて実施されて、それら2本の角パイプ12a,1
4aの接触部18が非溶融状態で接合されることになる
ところから、2本の角パイプ12a,14aの接合時に
おける接触部18への入熱が少なくされて、角パイプ1
2a,14aのそれぞれにおける熱歪みの発生が有利に
解消乃至は抑制され、以て、互いに接合された角パイプ
12a,14a同士において、幅方向に隣り合って水平
に並んだ状態が可及的に維持され得るようになっている
のである。
【0029】次ぎに、図5に示されるように、部分的に
一体接合されてなる接合体の2本の角パイプ12a,1
4aのそれぞれにおける両端部部分の非接合部分26
a,28aを、接合部24を形成する、角パイプ12
a,14aのそれぞれの中間部分に対して直角となるよ
うに、公知のプレス成形等により曲げ加工して、角パイ
プ12a、14aを、それぞれコ字状に屈曲せしめ、ま
た、その一方で、図6に示される如く、2本の角パイプ
12a,14aのうちの一方の角パイプ12aの非接合
部分26a,26aの長さ方向中間部を山形状を呈する
ように、公知のプレス成形等により屈曲せしめる。これ
によって、2本の角パイプ12a,14aが接触部18
の一部において接合されると共に、それら2本の角パイ
プ12a,14aのそれぞれの非接合部分26a,28
aが屈曲せしめられ、更には、角パイプ12aの非接合
部分26a,26bの長さ方向中間部に、山形屈曲部3
8aがそれぞれ設けられてなる、目的とするフレーム1
0の一部を与える構成部品30を形成するのである。
【0030】このとき、上述の如く、構成部品30を与
える2本の角パイプ12a,14aのそれぞれにおい
て、接合による熱歪みの発生が可及的に解消されている
ことに加えて、2本の角パイプ12a,14aに対する
曲げ加工が、それらの接合後に行なわれることとなるた
め、構成部品30における角パイプ12a,14aのそ
れぞれにおける、水平に並んで位置せしめられた状態で
の曲げ精度が、十分に高いレベルで確保されているので
ある。
【0031】そして、かくして構成部品30を形成した
後、必要に応じて、図7に示される如く、構成部品30
の2本の角パイプ12a,14aにおいて、それらに対
してコ字状の屈曲形態をそれぞれ与えるコ字状屈曲部3
2a,34a同士の間に形成される隙間内にビード36
が充填されるように、それら各コ字状屈曲部32a,3
4a同士を、公知の不活性ガスアーク溶接やレーザー溶
接する。これによって、構成部品30、ひいては目的と
するフレーム10全体の強度の向上が、有利に図られ得
ることとなる。
【0032】その後、図8に示されるように、構成部品
30を与える2本の角パイプ12a,14aのうち、一
方の角パイプ12aの各非接合部分26a,26aにお
ける、山形に屈曲せしめられた山形屈曲部38a,38
aの対向面間に、真っ直ぐな角パイプ16aを、その両
端面が、各山形屈曲部38a,38aのそれぞれの対向
面となる内側側面に突き合わされるように配置する。な
お、このとき、互いに突き合わされて、位置せしめられ
る、屈曲した角パイプ12aと真っ直ぐな角パイプ16
aの突合せ部40,40が離間しないように、好ましく
は、適当な拘束治具(図示せず)により、屈曲した角パ
イプ12aを含む構成部品30と真っ直ぐな角パイプ1
6aとが、取外し可能な状態で、変位不能に拘束され
る。
【0033】そして、引き続いて、図9に示される如
く、構成部品30を与える2本の角パイプ12a,14
aの接触部18を摩擦撹拌接合した際に用いられる回転
治具22を使用して、構成部品30の角パイプ12aと
真っ直ぐな角パイプ16aの突合せ部40を、摩擦撹拌
接合する。即ち、回転治具22に設けられたピン20
を、回転治具22と共に軸心回りに一体に高速回転させ
つつ、2本の角パイプ12a,16aの突合せ部40に
差し込み、更に、回転治具22の先端面の一部が、角パ
イプ16aの表面に当接するまで差し込むことにより、
突合せ部40と、ピン20及び回転治具22の先端部と
の接触面において摩擦熱を発生させ、以て突合せ部40
の周辺部位を可塑化せしめる。そして、そのような突合
せ部40への差込み状態下でのピン20の高速回転に伴
う撹拌作用にて、突合せ部40の周辺部位の組織を入り
交じり合わせて、接合部を形成し、更に、かかるピン2
0及び回転治具22を突合せ部40に沿って、角パイプ
16aの周方向に相対的に移動せしめることにより、2
本の角パイプ12a,16aを、その突合せ部40にお
いて、溶融させることなく、一体的に接合せしめるので
ある。
【0034】なお、ここでは、図9からも明らかなよう
に、角パイプ12aの山形屈曲部38a,38aの内側
側面に対する角パイプ16aの突合せ操作に先立って、
角パイプ16aの両端部分の内部に(図9では、角パイ
プ16aの一方の端部分の内部のみを示した)、該角パ
イプ16aと同一材質の6000系アルミニウム合金か
らなり、且つ角パイプ16aの両端部分の内部形状に対
応した矩形形状を呈する裏当て板42が、それぞれ挿入
位置せしめられており、また、角パイプ16aが、その
両端面おいて、角パイプ12aの山形屈曲部38a,3
8aの内側側面に突き合わされた状態下で、角パイプ1
6aの両端部分内に挿入された裏当て板42が、厚さ方
向の一方の面において、角パイプ12aの山形屈曲部3
8a,38aの各内側側面に当接して、位置せしめられ
るようになっている。
【0035】そして、そのような裏当て板42の存在下
で、それら角パイプ12a,16aの突合せ部40に対
する摩擦撹拌接合操作が実施されているのであり、これ
によって、回転治具22と共に一体に高速回転せしめら
れるピン20を突合せ部40に差し込んで相対移動させ
た際に、角パイプ16aの両端部分において座屈が生ず
るようなことが阻止され得るようになっているのであ
る。なお、この裏当て板42の厚さ:wは、特に限定さ
れるものではないものの、好ましくは、それが挿入され
る角パイプ16aの厚さ:tと比較して、t<w<10
tを満たす寸法とされる。何故なら、裏当て板42の厚
さ:wが、角パイプ16aの厚さ:tと同等以下である
場合、高速回転せしめられるピン20や回転治具22の
先端部との接触により発生する摩擦熱によって可塑化さ
れた突合せ部40の周辺部位のメタルの多くが、角パイ
プ16aの内側に向かって流動せしめられることとなっ
て、健全な接合部の形成が困難となるからであり、ま
た、裏当て板42の厚さ:wが、角パイプ16aの厚
さ:tの10倍以上となると、裏当て板42の厚さ:w
が必要以上に厚くなって、裏当て板42、ひいてはそれ
が挿入される角パイプ16a、更には角パイプ16aが
接合される構成部品30全体の重量が、無用に増大せし
められることとなるからである。
【0036】また、このような本工程では、構成部品3
0の角パイプ12aと真っ直ぐな角パイプ16aの突合
せ部40の接合操作が摩擦撹拌接合操作にて実施され
て、それら2本の角パイプ12a,16aの突合せ部4
0が非溶融状態で接合されているところから、2本の角
パイプ12a,16aの接合時における突合せ部40へ
の入熱が少なくされて、角パイプ12a,16a、ひい
ては構成部品30全体における熱歪みの発生が有利に解
消乃至は抑制され、それによって、構成部品30を与え
る、屈曲せしめられた2本の角パイプ12a,14aの
それぞれの曲げ精度が真っ直ぐな角パイプ16aの接合
により低下するようなことが、効果的に阻止されるよう
になっているのである。
【0037】そして、かくして、目的とするフレーム1
0の左側半分の部位を与える構成部品30を形成する一
方で、それと同一の工程を行なうことによって、フレー
ム10の右側半分の部位を与える構成部品(44)を形
成する。
【0038】その後、図10に示される如く、上述のよ
うにして形成された二つの構成部品30,44を、真っ
直ぐな角パイプ16a,16bが一体接合されていない
側の角パイプ14a,14bにおける各非接合部28
a,28bの端面同士において、突き合わせるように配
置する。このとき、それら2本の角パイプ14a,14
bの突合せ部46を形成する角パイプ14a,14bの
それぞれの両端部分の内部に、それら角パイプ14a,
14bと同一材質の6000系アルミニウム合金からな
り、且つ角パイプ14a,14bの両端部分の内部形状
に対応した矩形形状を呈する裏当てブロック48,48
が、それぞれ挿入位置せしられるように、角パイプ14
a,14bが、両端部分において、各裏当てブロック4
8,48に対して、その両側から外嵌された状態で、互
いに突き合わされることとなる。
【0039】また、ここでは、特に、前述せるように、
2つの構成部品30,44の全体における熱歪みの発生
が有利に解消乃至は抑制されて、それら各構成部品3
0,44を与える、屈曲せしめられた角パイプ12a,
14a,12b,14bの曲げ精度が、何れも高いレベ
ルで十分に確保されているところから、2つの構成部品
30,44を、角パイプ14a,14bにおける各非接
合部28a,28bの端面同士において突き合わせて配
置する際に、それらの端面同士の間で、段差や隙間が生
ずるようなことがなく、それ故に、角パイプ14a,1
4bが、両端部分において、各裏当てブロック48,4
8の両端部に対して、極めてスムーズに外嵌せしめられ
て、互いに突き合わされるようになっているのである。
【0040】なお、この裏当てブロック48の長さ:m
も、特に限定されるものではないものの、前述せる裏当
て板42の厚さ:wの好適範囲を規定したのと同じ理由
から、角パイプ14a,14bのそれぞれの端部部分に
挿入される挿入長さ、つまり裏当てブロック48の半分
の長さ:m/2が、それが挿入される角パイプ14a,
14bの厚さ:tと比較して、t<m/2<10tを満
たす寸法とされていることが、望ましいのである。
【0041】そして、必要に応じて、互いに突き合わさ
れた角パイプ14a,14bの突合せ部46が離間しな
いように、二つの構成部品30,44を、適当な拘束治
具(図示せず)にて拘束した後、各構成部品30,44
の各パイプ12a,12bと真っ直ぐな角パイプ16
a,16bとを突合せ接合せしめる摩擦撹拌接合操作と
同様な操作を行なって、角パイプ14a,14bの突合
せ部46を、一体的に接合する。かくして、図1及び図
2に示される如き構造を有する、目的とするフレーム1
0を得るのである。
【0042】このように、本実施形態においては、屈曲
せしめられた角パイプ12,14と真っ直ぐな角パイプ
16とを含む二つの構成部品30,44の形成過程で、
それら屈曲せしめられた角パイプ12,14の曲げ精度
が、高いレベルで十分に確保されて、形成された二つの
構成部品30,44を互いに突き合わせて、一体的に接
合する際に、接合されるべき角パイプ14同士の突合せ
部46に隙間や段差等が生じるようなことが、効果的に
解消され得るようになっているところから、軽量性に富
んだアルミニウム製の6本の角パイプ12a〜16bか
らなるフレーム10が、優れた接合品質と高い形状精度
をもって、有利に製造され得ることとなったのである。
【0043】また、かかる本実施形態では、二つの構成
部品30,44の形成過程において、或いはそれら二つ
の構成部品30,44を一体化せしめる際において、互
いに突き合わされた突合せ部40,46を摩擦撹拌接合
操作により突合せ接合するのに先立って、それら各突合
せ部40,46を与える角パイプ14,16の内部に、
それぞれ、適度な厚さ乃至は長さとされた裏当て板42
乃至は裏当てブロック48が挿入位置せしめられた後、
突合せ部40,46に対する摩擦撹拌接合操作が実施さ
れて、そのような摩擦撹拌接合時における突合せ部4
0,46の周辺部位での座屈等の発生が回避され得るよ
うになっているため、それらの突合せ部40,46が、
優れた接合品質と高度な接合強度とをもって、より有利
に接合され得るのである。
【0044】ところで、上述の如き工程に従って製造さ
れたフレーム10に対して、床部を設けることも、可能
である。
【0045】すなわち、例えば、図11に示されるよう
に、フレーム10を与える二つの構成部品30,44の
それぞれにおける、互いの突合せ部46において一体接
合されたコ字状の角パイプ12a,12bの内側に、フ
レーム10を構成する角パイプ12a〜16bと同一材
質のアルミニウム合金からなるサンドイッチパネル50
を嵌め込むように位置せしめた状態で、接合して、床部
51を形成するのである。
【0046】なお、図12に示される如く、このサンド
イッチパネル50は、例えば、特開平5−138778
号公報や特開2001−138043号公報等に明らか
にされるような構造、つまり、互いに対向位置せしめら
れた、前記アルミニウム合金製の2枚の面板52,52
間に、それと同一材質のアルミニウム合金製のコア54
が配置され、且つそれら2枚の面板52,52とコア5
4とが一体的に接合されてなる構造を有するものであ
る。
【0047】そして、かくの如き構造のサンドイッチパ
ネル50をフレーム10に接合する際には、例えば、先
ず、サンドイッチパネル50の幅方向両端部に位置せし
められた枠パイプ56,56を、それぞれの外側側面に
おいて、フレーム10を与える二つの構成部品30,4
4の互いに突合せ接合された角パイプ12a,12bの
各内側側面に接触させた状態で、組み付け、その後、そ
れらの接触部58,58に対する摩擦撹拌接合操作を行
なうことにより、各接触部58に沿って接合部を形成
し、以てサンドイッチパネル50と各構成部品30,4
4とを一体的に接合するのである。なお、ここでの摩擦
撹拌接合操作は、例えば、各構成部品30,44の2本
の角パイプ12,14を摩擦撹拌接合する際と同様な操
作が、実施される。
【0048】また、図13に示されるように、二つの構
成部品30,44を与える角パイプ12a〜16bと同
一材質の押出形材からなる角パイプ62の複数(ここで
は、8本)を用いて、フレーム10の内側に床部63を
形成することも可能である。
【0049】すなわち、例えば、二つの構成部品30,
44の互いに突合せ接合された角パイプ14a,14b
の内側に、押出形材からなる複数の角パイプ62を幅方
向に並べると共に、その両方の最も外側に位置する2本
の角パイプ62,62の外側側面を、二つの構成部品3
0,44の角パイプ12a,12bの各内側側面に接触
させた状態で、組み付け、その後、二つの構成部品3
0,44の角パイプ12a,12bとそれらに接触する
角パイプ62,62の接触部64や、角パイプ60同士
の接触部64に対する摩擦撹拌接合操作をそれぞれ行な
うことにより、各接触部64に沿って接合部を形成し、
以て複数の角パイプ62と各構成部品30,44とを一
体的に接合するのである。なお、ここでの摩擦撹拌接合
操作も、例えば、各構成部品30,44の2本の角パイ
プ12,14を摩擦撹拌接合する際と同一の操作が、行
なわれることとなる。また、このように、複数の角パイ
プ62にて床部63を形成する場合には、好ましくは、
角パイプ62の内部に、ゴム材料等からなる制振材68
が挿入配置せしめられる。それによって、フレーム10
に対して、優れた制振性能が付与され得ることとなる。
【0050】このように、フレーム10の内側に、サン
ドイッチパネル50や複数の角パイプ62からなる床部
51,63を形成することにより、フレーム10を骨格
として製造される自動車の床部の強度向上が、有利に図
られ得るのである。
【0051】なお、ここにおいて、前記実施形態では、
二つの構成部品30,44の形成過程において、或いは
それら二つの構成部品30,44を一体化せしめる際に
おいて、互いに突き合わされた突合せ部40,46が摩
擦撹拌接合されていたが、それらの突合せ部40,46
を、例えば、公知の溶融溶接手法により接合すること
も、可能である。
【0052】また、前記実施形態では、本発明を、自動
車の一体型フレームの一種たる周囲型フレームの製造方
法に適用した具体例が示されていたが、本発明は、その
他、自動車のスペースフレーム等の別の一体型フレーム
やサブフレーム等の部分型フレームの製造方法、更には
自動車以外の船舶や建造物等の様々な構造物の骨組を与
えるフレームの製造方法の何れに対しても有利に適用さ
れ得るものであることは、言うまでもないところであ
る。
【0053】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更に
は、上記した発明の実施の形態以外にも、本発明の趣旨
を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、
種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであること
が、理解されるべきである。
【0054】先ず、横断面矩形形状を呈し、横断面の長
辺長さ:30mm、横断面の短辺長さ:25mm、厚
さ:2.5mmの6061−T6アルミニウム合金製の
角パイプを4本準備する一方、先端のピン直径:3m
m、ピン高さ:3mm、回転治具肩部半径:6mmであ
る鋼製の回転治具を準備した。
【0055】そして、準備された4本の角パイプのうち
の2本を幅方向に隣り合うようにして水平に並べ、且つ
対応する側面同士において接触させた状態で配置して、
公知の拘束治具により拘束した後、準備された回転治具
を用いて、回転数:2000rpm、接合速度:500
mm/分の条件で、2本の角パイプの接触部の長さ方向
中間部分に対する摩擦撹拌接合操作を実施して、それら
2本の角パイプが、接触部の長さ方向中間部分において
一体接合されてなる接合体を得た。また、その一方で、
残りの2本の角パイプに対しても、同様な操作を実施し
て、もう一つの接合体を得た。
【0056】次いで、かくして得られた二つの接合体を
用い、それらの非接合部分を公知のベンダーで、接合部
分に対して直角に位置するように、曲げ加工して、それ
ぞれの接合体を、コ字状に屈曲せしめられた2本の角パ
イプが、全体としてH字形状を呈するように互いに接合
されてなる形態と為した。その後、それら二つの接合体
を、コ字状に屈曲せしめられた2本の角パイプのうちの
1本の角パイプの端面同士において突き合わせて配置し
た。このとき、それら互いに突き合わされる角パイプの
端面同士の間における隙間や段差の有無を視認により調
べたところ、そのような隙間や段差は認められなかっ
た。
【0057】引き続き、前記準備された回転治具を用い
て、端面同士において突き合わされた角パイプの突合せ
部に対する摩擦撹拌接合操作を、前記と同様な条件で実
施し、以て、H字形状を呈する二つの接合体が、互いに
一体的に突合せ接合せしめられてなる、目的とするフレ
ームを得た。
【0058】そして、かくして得られたフレームを用
い、公知の手法により、角パイプ同士の接合部に対する
引張試験と疲労試験を行なった。その結果、破断が、接
合部ではなく、その周辺部分で生じていることが、確認
された。これらのことから、本発明に従って製造された
フレームが、屈曲せしめられた角パイプにおいて高い曲
げ精度が確保され得ると共に、接合部において十分な接
合強度が発揮され得ることが、認められるのである。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従うアルミニウムパイプ製フレームの製造方法によれ
ば、アルミニウム製の角パイプの複数が互いに組み付け
られて、一体的に接合されている一方、かかる角パイプ
の少なくとも1本が屈曲せしめられてなる構造のアルミ
ニウムパイプ製フレームが、屈曲せしめられた角パイプ
の曲げ精度の低下を招くことなく、それによって、高い
接合精度を十分に確保しつつ、極めて有利に製造され得
ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明手法に従って製造されるアルミニウムパ
イプ製フレームの一例を示す正面説明図である。
【図2】図1におけるII矢視説明図である。
【図3】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の一例を示す説明図であって、ア
ルミニウムパイプ製フレームの構成部品を与える2本の
角パイプを幅方向に並べて、互いに接触させて配置した
状態を示している。
【図4】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の別の例を示す説明図であって、
アルミニウムパイプ製フレームの構成部品を与える2本
の角パイプの接触部を摩擦撹拌接合している状態を示し
ている。
【図5】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の更に別の例を示す説明図であっ
て、アルミニウムパイプ製フレームの構成部品を与える
2本の角パイプの非接合部分をそれぞれ屈曲せしめた状
態を示している。
【図6】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の他の例を示す説明図であって、
アルミニウムパイプ製フレームの構成部品を与える2本
の角パイプのうちの一方における非接合部分を更に屈曲
せしめた状態を示す、図5におけるVI矢視に相当する図
である。
【図7】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の更に他の例を示す説明図であっ
て、アルミニウムパイプ製フレームの構成部品を与える
2本の角パイプの屈曲部同士の間に形成された隙間を溶
接した状態を示す、図6におけるVII−VII拡大断面に相
当する図である。
【図8】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の別の例を示す説明図であって、
アルミニウムパイプ製フレームの構成部品に別の角パイ
プを突き合わせて、組み付けた状態を示している。
【図9】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製フ
レームを製造する工程の別の例を示す説明図であって、
アルミニウムパイプ製フレームの構成部品と別の角パイ
プとの突合せ部を摩擦撹拌接合している状態を示す、図
8におけるIX−IX拡大断面に相当する図である。
【図10】本発明手法に従って、アルミニウムパイプ製
フレームを製造する工程の他の例を示す説明図であっ
て、アルミニウムパイプ製フレームの構成部品の二つを
互いに突き合わせて配置した状態を示している。
【図11】本発明手法に従って製造されたアルミニウム
パイプ製フレームに対して、サンドイッチパネルからな
る床部を設けた状態を示す図1に対応する図である。
【図12】図11のXII−XII断面における拡大断面説明
図である。
【図13】本発明手法に従って製造されたアルミニウム
パイプ製フレームに対して、複数の角パイプからなる床
部を設けた状態を示す図12に対応する図である。
【符号の説明】
10 フレーム 12,14,16
角パイプ 18 接触部 20 ピン 22 回転治具 26,28 非接
合部分 30、44 構成部品 42 裏当て板 48 裏当てブロック 51,63 床部 68 制振材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 103:10 B23K 103:10 Fターム(参考) 3D003 AA12 BB01 CA18 4E067 AA05 BG00 DA17 DD02 EA07 4E081 AA10 BA28 CA07 DA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム製の角パイプの複数が互い
    に組み付けられて、一体的に接合されている一方、かか
    る角パイプの少なくとも1本が屈曲せしめられてなる構
    造のアルミニウムパイプ製フレームを製造するに際し
    て、 前記角パイプの幾つかを互いに接触させた状態で組み付
    けて、その接触部に対する摩擦撹拌接合操作を行なうこ
    とにより、該接触部の少なくとも一部を接合せしめた
    後、それら接触部の少なくとも一部において接合された
    角パイプのそれぞれの非接合部分を屈曲せしめて、目的
    とする前記アルミニウムパイプ製フレームの一部を与え
    る構成部品を形成し、その後、かくして形成された構成
    部品の複数を互いに接触させた状態で組み付けて、一体
    的に接合する工程を含むことを特徴とするアルミニウム
    パイプ製フレームの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の構成部品の一体的な接合が、
    それら複数の構成部品の接触部に対する摩擦撹拌接合操
    作を行なうことにより実現されている請求項1に記載の
    アルミニウムパイプ製フレームの製造方法。
  3. 【請求項3】 接合されるべき前記幾つかの角パイプの
    うちの一つを、その端面において、他の一つに突き合わ
    せることにより接触させた状態で組み付けて、その接触
    部に対する摩擦撹拌接合操作を行なう際に、かかる摩擦
    撹拌接合操作の実施に先立って、該他の一つの角パイプ
    に突き合わされる該一つの角パイプの内部に、該一つの
    角パイプの厚さ:tに対して、板厚:wが、次式:t<
    w<10tを満たす寸法とされたアルミニウム製板材
    を、該一つの角パイプにおける、該摩擦撹拌接合操作に
    より形成される接合部の内側に位置するように、挿入せ
    しめるようにした請求項1又は請求項2に記載のアルミ
    ニウムパイプ製フレームの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記接触部の少なくとも一部が接合され
    た幾つかの角パイプのそれぞれにおける非接合部分を屈
    曲せしめた後、かかる屈曲部と、該屈曲部を有する角パ
    イプが接合される他の角パイプとの間の隙間内にビード
    が充填されるように、それら屈曲部と他の角パイプと
    を、不活性ガスアーク溶接若しくはレーザー溶接により
    接合するようにした請求項1乃至請求項3の何れかに記
    載のアルミニウムパイプ製フレームの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記目的とするアルミニウムパイプ製フ
    レームが、自動車用フレームである請求項1乃至請求項
    4の何れかに記載のアルミニウムパイプ製フレームの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記構成部品の複数を形成した後、それ
    ら構成部品の複数を互いに接触させた状態で組み付け
    て、一体的に接合する一方、互いに対向位置せしめられ
    たアルミニウム製の2枚の面板間に、アルミニウム製の
    コアが少なくとも配置され、且つ少なくとも、それら2
    枚の面板とコアとが一体的に接合されてなるサンドイッ
    チパネル若しくは押出形材を、該構成部品に接触させた
    状態で組み付けて、その接触部に対する摩擦撹拌接合操
    作を行なうことにより、それらサンドイッチパネル若し
    くは押出形材と該構成部品とを、該接触部の少なくとも
    一部において一体的に接合するようにした請求項1乃至
    請求項5の何れかに記載のアルミニウムパイプ製フレー
    ムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記構成部品の複数を形成した後、それ
    ら構成部品の複数を互いに接触させた状態で組み付け
    て、一体的に接合する一方、該構成部品を与える前記角
    パイプとは別のアルミニウム製の角パイプの複数を、そ
    れぞれの側面において互いに接触させつつ、幅方向に並
    列的に並べると共に、それら複数の角パイプのうち、少
    なくとも、その幅方向の最も外側に位置せしめられる角
    パイプを該構成部品に接触させた状態で組み付けて、該
    角パイプの該構成部品との接触部と該角パイプ同士の接
    触部とに対する摩擦撹拌接合操作をそれぞれ行なうこと
    により、該複数の角パイプと該構成部品とを、各接触部
    の少なくとも一部においてそれぞれ一体的に接合するよ
    うにした請求項1乃至請求項5の何れかに記載のアルミ
    ニウムパイプ製フレームの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記構成部品を与える角パイプとは別の
    複数の角パイプのうちの少なくとも一つが、その内部
    に、制振材を有して構成されている請求項7に記載のア
    ルミニウムパイプ製フレームの製造方法。
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