JP2003236429A - 周面浸漬型のグラビアコータ - Google Patents

周面浸漬型のグラビアコータ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チャンバー内の塗液に含まれる気泡を積極的
に排出して、気泡を含む塗液がセルに充填されるのを解
消し、さらにドクタのグラビアロールとの接触部から塗
液が漏出するのを阻止して、常に適正な塗工が行える周
面浸漬型のグラビアコータを提供する。 【解決手段】 グラビアロール2と、塗工ブロック3
と、チャンバー4内に塗液を強制送給する塗液供給装置
5と、チャンバー4内の余剰な塗液を回収する塗液回収
装置6とを備えている。チャンバー4内のドクタ8側の
端部に気層部23を含む状態で塗液を送給し、しかも負
圧装置27で気層部23に負圧空気を作用させた状態で
塗工を行う。塗液に含まれる気泡を気層部23に浮上さ
せて拡散させ、排気通路25を介して排出することによ
り、塗液中の気泡を効果的に除去できる。ドクタ8に塗
液の送給圧が作用しないので塗液の漏れ出しを確実に解
消できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周面浸漬型のグラ
ビアコータに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来装置に特開2001−22
4995号公報や、特開平8−58069号公報等があ
る。そこでは、塗工ブロックの一側にチャンバー(塗液
溜)を凹み形成し、チャンバーに溜めた塗液をグラビア
ロールを介してウェブに塗工している。チャンバーの上
下端とグラビアロールの外周面との間は、それぞれドク
タとシール体とで密閉してある。チャンバーには設定塗
工量より多い量の塗液がポンプで連続して加圧送給され
ており、消費されなかった余分な塗液は排液通路を介し
て回収タンクに回収される。本発明のグラビアコータ
は、チャンバー内の液位を下げ、チャンバー上方に気層
部を含む状態にして塗工を行う。この点に関しては特開
平11−244755号公報がある。但し、この塗工装
置は、塗液ダムを備えたダイヘッドとベースロールとの
間にウェブを通し、塗液ダムの一側に設けたリップで塗
工しており、本発明が対象とするグラビアコータとは塗
工形態が異なる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】グラビアロールは、そ
の外周面に設けた一群の微少セルに塗液を充填し、ドク
タで掻きとって塗工するが、塗工後のセル内の空気がチ
ャンバー内に取り込まれやすい。そのため、チャンバー
内の塗液に気泡を生じやすく、気泡を含む塗液がセルに
充填され、あるいは微少気泡をセル内に閉じ込めた状態
のままで塗工され、塗工むらを生じる。ポンプによる塗
液の送給圧を高めてチャンバーの内圧を高めると、気泡
が充填されるのをある程度までは解消できる。しかし、
内圧が高くなるとドクタやシール体のグラビアロールと
の接触部から塗液が漏出しやすく、とくにドクタ側から
漏出した塗液がドクタ外面で固化すると、固化した塗液
塊によってグラビアロールの外周面が擦られるため、筋
状の塗布疵を生じてしまう。
【0004】本発明の目的は、チャンバー内の塗液に含
まれる気泡を積極的に排出して、気泡を含む塗液がセル
に充填されるのを解消できるうえ、ドクタやシール体の
グラビアロールとの接触部から塗液が漏出するのを阻止
して、常に適正な塗工を行える周面浸漬型のグラビアコ
ータを提供することにある。本発明の目的は、セル内に
閉じ込められた気泡を分離し確実に脱泡できる周面浸漬
型のグラビアコータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のグラビアコータ
は、グラビアロール2と、その外周側に配置される塗工
ブロック3と、塗工ブロック3のチャンバー4の開口縁
を封止するドクタ8およびシール体10と、塗工ブロッ
ク3のチャンバー4内に塗液を強制送給する塗液供給装
置5と、チャンバー4内の余剰な塗液を回収する塗液回
収装置6とを備えており、チャンバー4内のドクタ8側
の端部に気層部23を含む状態で塗液を送給しながら塗
工を行う。塗液回収装置6は、チャンバー4内の気層部
23および液層部に連通する気液通路24と、気液通路
24から分岐される排気通路25および液回収通路26
と、排気通路25および気液通路24を介して気層部2
3に負圧空気を作用させる負圧装置27を含む。
【0006】具体的には、負圧装置27が、圧縮空気を
噴出するノズル28と、ノズル28の噴出口29に臨ん
で配置されるディフューザー30とを含む空気エゼクタ
からなる。
【0007】チャンバー4内は、その内部に突設した堰
部15で、給液口12に連通する高圧室16と、回収口
13に連通する低圧室17とに区分されており、堰部1
5とグラビアロール2の外周面との間に、通路断面積の
小さな隘路部Tが形成されたものとなっている。
【0008】
【発明の作用効果】本発明では、チャンバー4のドクタ
8側の端に気層部23が存在する状態で、しかも負圧装
置27で気層部23に負圧空気を作用させて塗工を行う
ようにしたので、チャンバー4内の塗液に含まれる気泡
を気層部23へ浮上させ、拡散させて積極的に排出でき
る。従って、気泡を含む塗液がセルに充填されるのを解
消して、気泡に由来する塗工むらを解消できるうえ、ド
クタ8やシール体10のグラビアロール2との接触部か
ら塗液が漏出するのを阻止でき、とくにドクタ8のグラ
ビアロール2との接触部に塗液塊が形成されるのを解消
して、常に適正な塗工を行うことができる。
【0009】圧縮空気を噴出するノズル28と、ノズル
28の噴出口29に臨んで配置されるディフューザー3
0とを含む空気エゼクタで構成した負圧装置27によれ
ば、ノズル28から噴出する圧縮空気の量を調整するだ
けで、チャンバー4に作用する負圧力を簡単にしかも正
確に調整できるので、塗材やその粘度の違い、あるいは
グラビアロール2に形成されるセルの大きさの違いな
ど、塗工条件の違いに応じて気層部23に作用する負圧
力を調整して、塗液に含まれる気泡の除去を的確に行う
ことができる。
【0010】チャンバー4内に堰部15を突設して、チ
ャンバー4内を高圧室16と低圧室17とに区分し、堰
部15とグラビアロール2の外周面との間に通路断面積
の小さな隘路部Tを形成した塗工ブロック3によれば、
塗液が高圧室16から堰部15を介して低圧室17へ流
れるとき、堰部15でせき止められた塗液は、通路断面
積の小さな隘路部Tを通り抜けるとき圧力が上がる。そ
のためセル内に捕捉された気泡はセルから押し流されて
分離し、確実に脱泡できるので、気泡を含んだ状態のま
まで塗工されるのを防止し、気泡に由来する塗工むらを
解消して適正な塗工品質を維持する。
【0011】
【実施例】図1ないし図3は、本発明に係る周面浸漬型
のグラビアコータの実施例を示す。図1においてグラビ
アコータは、ウェブWを一方向へ送給案内するバックア
ップロール1と、バックアップロール1の下面側に配置
されてウェブWの下面に圧接するグラビアロール2と、
グラビアロール2の一側面に配置した塗工ブロック3
と、塗工ブロック3のチャンバー4内へ塗液を送給する
塗液供給装置5と、チャンバー4内の余剰塗液を回収す
る塗液回収装置6などで構成する。ウェブWは紙、フィ
ルム、金属箔などのウェブからなり、図外の送給ローラ
で矢印方向へ所定の速度で送給される。
【0012】図3において、塗工ブロック3は本体部3
aと、本体部3aの左右両側に固定される側板3bとで
構成してあり、本体部3aのグラビアロール2と向き合
う側面にチャンバー4を凹み形成している。図2に示す
ようにチャンバー4の上縁に隣接する傾斜面に板状のド
クタ8をボルト9で固定し、さらにチャンバー4の下縁
に隣接する傾斜面にシール体10をボルト11で固定し
て、チャンバー4とグラビアロール2の外周面との間を
封止している。チャンバー4の左右は、先の側板3bで
封止する。塗工ブロック3の幅方向下部には、チャンバ
ー4に連通する給液口12を1個ないし数個設け、塗工
ブロック3の上部で幅方向幅方向3箇所にはチャンバー
4に連通する回収口13が設けてある。
【0013】グラビアロール2のセル内に留まる微少気
泡を取り除くために、チャンバー4の内部に堰部15を
設けて、堰部15とグラビアロール2の外周面との間に
通路断面積の小さな隘路部Tを形成している。図2に示
すように堰部15の突端は垂直の平坦面15aからな
り、その下端側に斜めの導入面15bが形成してある。
平坦面15aは、ドクタ8とシール体10との間のグラ
ビアロール2の浸漬周面Sと正対する状態で、しかも隘
路部Tの断面積が、グラビアロール2の浸漬周面Sの周
方向中央部において最小となるように形成する。この堰
部15によって、チャンバー4の内部は下側のU字状の
高圧室16と、上側のU字状の低圧室17とに区分され
る。先の給液口12は高圧室16に連通する状態で設
け、回収口13は低圧室17に連する状態で設けてあ
る。堰部15でせき止められた塗液は、通路断面積の小
さな隘路部Tを通り抜けるとき圧力が上がる。そのため
塗液が強制的にセル内へ充填され、セル内にあった微少
気泡は押し出されるので、セル内の気泡を確実に脱泡で
きる。
【0014】図1において塗液供給装置5は、塗液タン
ク19内の塗液を加圧送給するポンプ20と、ポンプ2
0を駆動するモータ21と、モータ21の運転状態を制
御する制御装置(図示していない)と、ポンプ20と給
液口12を連通する給液通路22等で構成する。塗液供
給装置5による塗液送給量は、基本的にグラビアロール
2の消費量より多く設定するが、チャンバー4内の液位
が回収口13の下半部に達し、低圧室17の上部に気層
部23が存在するように設定される。つまり、グラビア
ロール2の消費量に、各回収口13から流出する塗液量
を加えた量の塗液を塗液供給装置5でチャンバー4に供
給する。
【0015】チャンバー4内の塗液に含まれる気泡を強
制的に排出するために塗液回収装置6を有する。塗液回
収装置6は、低圧室16の気層部23および液層部に連
通する気液通路24と、気液通路24から上方へ分岐さ
れる排気通路25と、気液通路24から下方へ分岐され
る液回収通路26と、排気通路25と気液通路24を介
して気層部23に負圧空気を作用させる負圧装置27
と、液回収通路26の終端に配置される回収タンク33
とで構成する。負圧装置27は、圧縮空気を噴出するノ
ズル28と、ノズル28の噴出口29に臨んで配置され
るディフューザー30とを含む空気エゼクタからなり、
ノズル28の周囲を囲む2次室31の入口32に排気通
路25を接続する。液回収通路26の終端は、回収タン
ク33内の塗液中に浸漬されて塞がれている。
【0016】ノズル28から圧縮空気を噴出すると、デ
ィフューザー30内の通路が負圧になるため、2次室3
1内の空気がディフューザー30内へ吸い込まれる。そ
の結果、排気通路25と気液通路24を介して気層部2
3に負圧空気が作用し、気層部23を負圧状態に維持で
きる。一方、チャンバー4内の塗液に含まれる気泡の圧
力はチャンバー4の内圧に等しいので、自己の浮力で塗
液面へと浮上し、気層部23との界面において破裂し気
層部23中に分散する。従って、塗液中の気泡は速やか
に気層部23に排出され、負圧装置27を介して排出さ
れる。気層部23に負圧空気を作用させるので、ドクタ
8から塗液が漏れ出るのを確実に防止でき、従ってドク
タ8のグラビアロール2との接触縁の外面に塗液塊がで
きるのを解消して、塗工品質を向上する。なお、気層部
23に作用させる負圧空気は、塗工量にもよるがマイナ
ス約10〜50mmAqとする。このように負圧装置を空
気エゼクタで構成すると、ノズル28から噴出す圧縮空
気の量を調整することにより、気層部23に作用する負
圧力を簡単に調整できるので、塗材や塗工条件等の違い
に適応して負圧力を調整できる。
【0017】図4および図5はそれぞれグラビアコータ
の異なる別実施例を示す。図4においては、塗工ブロッ
ク3をグラビアロール2の下半外周側に斜めに配置し
た。この実施例によれば、堰部15を通過した塗液の殆
どが低圧室17の内周面に沿って流下して気液通路24
へ流れ込むので、低圧室17の殆どの部分が気層部23
となる。このように、本発明のグラビアコータにおける
塗工ブロック3のグラビアロール2に対する配置関係
は、必ずしも正横である必要は無く、グラビアロール2
の外周面の任意位置に配置できる。他の構造は先に説明
した実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付
してその説明を省略する。以下の実施例においても同様
の扱いとする。
【0018】図5に示すグラビアコータは、先の実施例
と比べてチャンバー4の内部構造が異なる。そこでは、
堰部15を省略してチャンバー4を樋状の凹部として構
成した。この実施例では、チャンバー4内の塗液に含ま
れる気泡の浮上を促進し、気層部23に拡散した気泡を
効果的に排出できる。
【0019】上記の実施例以外に、真空ポンプや送風機
を利用して負圧装置を構成することができる。塗材によ
っては、液回収通路26を介して回収した塗液を塗液タ
ンク19に戻してもよい。チャンバー4の断面形状や内
部構造は、実施例で説明した形状や構造に限定する必要
は無く、任意の形状や構造に設定できる。要は、チャン
バー4内に塗液を溜めることができ、そのドクタ8側に
気層部23が存在する状態で塗工を行えればよい。堰部
15は塗工ブロック3の本体部3aとは別体の部材とし
て形成することができ、その場合には堰部15をグラビ
アロール2に対して接離移動操作して、隘路部Tの間隔
を調整することができる。チャンバー4内の液位は、低
圧室17、回収口13、あるいは気液通路24のいずれ
かに堰を設けて設定し、あるいは調整することができ
る。排気通路25は、ディフューザー30のノズル28
の側に連通してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】グラビアコータを概念的に示す原理説明図であ
る。
【図2】塗工ブロックの断面図である。
【図3】塗工ブロックの一部破断斜視図である。
【図4】グラビアコータの別の実施例を概念的に示す原
理説明図である。
【図5】グラビアコータのさらに別の実施例を概念的に
示す原理説明図である。
【符号の説明】
2 グラビアロール 3 塗工ブロック 4 チャンバー 5 塗液供給装置 6 塗液回収装置 8 ドクタ 10 シール体 12 給液口 13 回収口 15 堰部 16 高圧室 17 低圧室 23 気層部 24 気液通路 25 排気通路 26 液回収通路 27 負圧装置 28 ノズル 29 噴出口 30 ディフューザー 31 2次室

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラビアロール2と、その外周側に配置
    される塗工ブロック3と、塗工ブロック3のチャンバー
    4の開口縁を封止するドクタ8およびシール体10と、
    塗工ブロック3のチャンバー4内に塗液を強制送給する
    塗液供給装置5と、チャンバー4内の余剰な塗液を回収
    する塗液回収装置6とを備えており、チャンバー4内の
    ドクタ8側の端部に気層部23を含む状態で塗液を送給
    しながら塗工を行うグラビアコータであって、 塗液回収装置6が、チャンバー4内の気層部23および
    液層部に連通する気液通路24と、気液通路24から分
    岐される排気通路25および液回収通路26と、排気通
    路25および気液通路24を介して気層部23に負圧空
    気を作用させる負圧装置27とを含む周面浸漬型のグラ
    ビアコータ。
  2. 【請求項2】 負圧装置27が、圧縮空気を噴出するノ
    ズル28と、ノズル28の噴出口29に臨んで配置され
    るディフューザー30とを含む空気エゼクタからなる請
    求項1記載の周面浸漬型のグラビアコータ。
  3. 【請求項3】 チャンバー4内がその内部に突設した堰
    部15で、給液口12に連通する高圧室16と、回収口
    13に連通する低圧室17とに区分されており、 堰部15とグラビアロール2の外周面との間に、通路断
    面積の小さな隘路部Tが形成してある請求項1または2
    記載の周面浸漬型のグラビアコータ。
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