JP2003236423A - 塗装方法および塗装システム - Google Patents

塗装方法および塗装システム

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JP2003236423A
JP2003236423A JP2002041435A JP2002041435A JP2003236423A JP 2003236423 A JP2003236423 A JP 2003236423A JP 2002041435 A JP2002041435 A JP 2002041435A JP 2002041435 A JP2002041435 A JP 2002041435A JP 2003236423 A JP2003236423 A JP 2003236423A
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Japan
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coating
coated
coating machine
distance
machine
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JP2002041435A
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English (en)
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Nobuyuki Sasaki
信行 佐々木
Zenichi Yasuda
善一 安田
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗装機を水平方向でレシプロさせることな
く、高い塗着効率にて被塗物を塗装する。 【解決手段】 i)塗装機と被塗物との間の距離Hに応
じて塗装パターン幅Wpが変化する塗装機を用意し、i
i)被塗物を適当な搬送装置で一方向に搬送し、iii)被
塗物の塗装すべき幅Wsを、必要な場合には適当な装置
で検知し、iv)WpがWp≧Wsとなるように、Wsに
基づいて、塗装機と被塗物との間の距離Hsを適当な手
段で選択し、v)適当な移動装置を用いて、塗装機を、
塗装機と被塗物との間の距離がHsとなる位置に移動さ
せ、vi)当該位置に配置した塗装機で被塗物を塗装す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送される被塗物
に塗料を塗装する塗装方法および塗装システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】水平コンベアー等の上に載置されて搬送
されるシート状の被塗物を塗装する方法としては、小型
の霧化塗装機を、被塗物の幅方向(被塗物の搬送面と平
行な面において、搬送方向と直交する方向)において、
被塗物の両縁間でレシプロ(往復移動)させながら塗装
する方法がある。この塗装方法で使用される霧化塗装機
は、例えば、エアスプレー(二流体ノズル)、エアレス
スプレー、エアミックススプレー、またはHVLPスプ
レー等である。この塗装方法において、塗装機のレシプ
ロの幅(運行幅)は被塗物の幅に応じて設定される。レ
シプロの幅を適切に設定することによって、被塗物の両
縁まで十分に塗装されることが確保されるともに、塗料
が被塗物以外の部分に付着することが防止される。
【0003】この塗装方法により塗装される被塗物の一
例として、シート状の建材が挙げられる。シート状の建
材の塗装は、その表面に所望の外観および/または性能
(例えば耐候性)を付与するために実施される。特に建
材の表面に美観を付与したものは、化粧建材として広く
使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の塗装方法によれ
ば、塗装機のレシプロ幅を適宜選択することにより、種
々の寸法の被塗物の塗装が可能となる。しかし、連続的
に搬送されている被塗物に対して、塗装機をレシプロさ
せながら塗装する場合、レシプロの速度および被塗物の
搬送速度を最適に設定しないと、塗布が不均一となり、
均一な塗膜を形成できない。また、レシプロの速度によ
り被塗物の搬送速度が律速され、生産性が低下するとい
う問題がある。さらに、建材の中には、1つの建材にお
いて、その幅が一定でないもの(例えば等脚台形状の建
材)がある。かかる被塗物を塗装機のレシプロにより塗
装する場合、塗装機のレシプロ幅を被塗物の最も大きい
幅に合わせて塗装を実施するのが一般的である。その場
合、被塗物の幅が小さい部分では、被塗物の存在しない
部分(例えばコンベア)に塗料が塗着されることとな
り、塗料の無駄が生じる。そのため、幅の一定でない被
塗物を効率的に塗装する方法が望まれている。
【0005】また、被塗物の幅が一定であるとしても、
上記の塗装方法により被塗物を塗装するときの塗着効率
は一般に30〜70%程度であり、相当な量の塗料が被
塗物に塗着していないのが実情である。塗着しなかった
塗料は、塗装ブースの給排気設備により強制排気されて
回収され、あるいはコンベアー下部で回収される。回収
された塗料の一部は、塗料および塗膜の品質が実用上許
容される範囲内で再利用されるものの、回収された塗料
の大部分は廃棄される。このことは、経済的な観点から
好ましくない。
【0006】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
であり、塗装機をレシプロさせることなく、種々の幅の
被塗物を、高い塗着効率で塗装する塗装方法および塗装
システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、塗装すべき幅がWsである、搬送される
被塗物に塗料を塗装する方法であって、塗装機と被塗物
との間の距離Hに応じて塗装パターン幅Wpが変化する
塗装機を用意すること、WpがWp≧Wsとなるよう
に、Wsに応じて、塗装機と被塗物との間の距離Hsを
選択すること、塗装機と被塗物との間の距離がHsとな
る位置に塗装機を配置し、当該位置に配置した塗装機で
被塗物を塗装することを含む塗装方法を提供する。
【0008】この塗装方法は、塗装機と被塗物との間の
距離Hに応じて塗装パターン幅Wpが変化する塗装機を
使用し、被塗物の塗装すべき幅Wsに応じて、被塗物と
塗装機との間の距離Hsを適切に選択し、選択した距離
Hsだけ被塗物から離れた位置に塗装機を配置して塗装
を実施することを特徴とする。したがって、本発明の方
法によれば、塗装機をレシプロさせることなく、被塗物
の幅全体を一括的に塗装することができ、且つ均一な塗
膜を形成することができる。
【0009】塗装パターンとは、塗装機および被塗物が
ともに静止しているときに、塗装機の吐出口から吐出さ
れる塗料が被塗物上に形成する形状をいう。また、塗装
パターン幅Wpとは、形成される塗装パターンの寸法の
うち、被塗物の搬送面と平行な面において被塗物の搬送
方向と直交する方向の長さをいう。
【0010】本発明の塗装方法は、塗装機と被塗物との
間の距離Hに応じて塗装パターン幅Wpが変化する塗装
機によって実施可能となる。そのような塗装機は、例え
ば、塗料を霧化して噴出させる方式の塗装機であり、好
ましくは、後述する、超音速空気流を利用して塗料を霧
化する塗装機である。Hに応じてWpが変化する塗装機
は、一般に、Hが大きいほど、Wpが大きい塗装パター
ンを形成する。また、この塗装機により形成される塗装
パターンの単位面積あたり(即ち、単位幅あたり)の塗
料の塗着量は、単位時間あたりの塗料吐出量Gが一定で
ある場合には、Hが大きいほど小さくなる。したがっ
て、本発明の塗装方法においては、所望の厚さの塗膜が
形成されるように、塗装機の単位時間あたりの塗料吐出
量Gを、選択したHsに応じて調節することが好まし
い。
【0011】被塗物の塗装すべき幅Wsとは、被塗物の
塗装すべき領域の長さのうち、被塗物の搬送面と平行な
面において被塗物の搬送方向と直交する方向(この方向
を幅方向とも呼ぶ)の長さをいう。Wsは一般に被塗物
の幅である。
【0012】Wsが既知である場合、Wsを検知する必
要はない。Wsが既知でない場合、Wsは適当なセンサ
ー手段を用いて検知される。Wsの検知は、レーザーを
用いた変位センサー等で直接的に検知してよい。あるい
は、Wsの検知は、被塗物の例えば側面に、Wsと関連
させた、バーコードのような適当なマークを付し、これ
を読み取ることにより実施してよい。
【0013】本発明の塗装方法においては、WpがWp
≧Wsとなるように、Wsに応じて、塗装機と被塗物と
の間の距離Hsを選択し、塗装機と被塗物との間の距離
がHsとなる位置に塗装機を配置し、当該位置に配置し
た塗装機で被塗物を塗装する。WpとWsとの差が小さ
くなるように距離Hsを選択すれば、塗装機から吐出さ
れる塗料のほとんどすべてが被塗物に付着するため、塗
着効率を向上させることができる。
【0014】但し、Wp≧Wsの関係を満たしても、被
塗物が、塗装機が形成する塗装パターン内に含まれない
位置に配置されて搬送されると、不十分にしか塗装され
ないことに留意すべきである。即ち、被塗物は、塗装さ
れている間、その塗装すべき幅Ws全体が塗装パターン
内に含まれる位置に配置して搬送する必要がある。被塗
物は、好ましくは、Wpの中点とWsの中点とが一致す
るように配置して搬送される。一般に、Wpの中点は、
塗装機のヘッドと対向する。
【0015】本発明の塗装方法を応用することにより、
塗装すべき幅が互いに異なる2つの被塗物XおよびY
を、連続的に塗装することができる。具体的には、被塗
物Xの塗装すべき幅WsXに応じて、Wp≧WsXとなる
ように、塗装機と被塗物Xとの間の距離HsXを選択
し、また、被塗物Yの塗装すべき幅WsYに応じて、W
p≧WsYとなるように、塗装機と被塗物Yとの間の距
離HsYを選択し、塗装機を被塗物Xから距離HsXだけ
離れた位置に配置して、被塗物Xを塗装し、被塗物Xを
塗装した後、被塗物Yを塗装する前に、塗装機と被塗物
との間の距離をHsXからHsYに変え、それから、被塗
物Yを塗装することによって、塗装すべき幅が異なる2
つの被塗物を連続的に塗装できる。上記の方法は、最初
に被塗物XのWsXに応じてHsXを選択して被塗物Xを
塗装し、次に被塗物YのWsYに応じてHsYを選択し、
それから、被塗物Yを塗装する手順で実施してよい。あ
るいは、上記の方法は、被塗物Xを塗装する前に、Hs
XおよびHsYをともに予め選択してから、被塗物Xおよ
びYをこの順に塗装する手順で実施してよい。
【0016】この塗装方法によれば、塗装機の位置を変
えるだけで、塗装ロットの変更に対応できる。特に、こ
の塗装方法は、塗装ロットの変更が被塗物の寸法の変更
のみを伴う場合に、有用である。
【0017】また、本発明の塗装方法を応用することに
より、1つの被塗物においてWsが一定でない被塗物を
効率良く塗装することが可能となる。Wsが一定でない
被塗物は、例えば、上底、下底および高さを有する台形
状の被塗物であり、その高さ方向を搬送方向とする(即
ち、上底および下底が幅方向となる)被塗物である。W
sが一定でない被塗物は、Wsを当該被塗物のn箇所
(n≧2)にて検知し、検知したWs1〜Wsnに応じ
て、当該被塗物を1つ塗装する間に、塗装機と被塗物と
の間の距離Hsを変化させることによって、塗料をむだ
にすることなく、塗装できる。このとき、距離Hsの変
化に応じて、塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量Gを
変化させることが好ましい。Gは被塗物における単位面
積あたりの塗着量が一定となるように変化させることが
好ましく、それにより被塗物の搬送速度を変化させるこ
となく、均一な厚さの塗膜を形成することができる。
【0018】本発明の塗装方法は、被塗物の搬送装置、
塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて塗装パターン幅
Wpが変化する塗装機、塗装機と被塗物との間の距離H
を所望の値とするために用いる、塗装機の移動装置、お
よびWpがWp≧Wsとなるように、被塗物の塗装すべ
き幅Wsに基づいて、塗装機と被塗物との間の距離Hs
を選択する手段を含む塗装システムによって好ましく実
施される。
【0019】この塗装システムは、好ましくは、Wsを
検知する手段を更に含む。Wsを検知する手段を有する
システムによれば、Wsが既知でない被塗物を塗装し得
る。
【0020】また、この塗装システムは、好ましくは、
塗装機と被塗物との間の距離がHsとなるように、塗装
機の移動装置を制御する手段を更に含む。
【0021】本発明の塗装方法および塗装システムにお
いて、塗装機は、高圧塗料が流入する塗料導入口と、高
圧空気が流入する空気導入口とが開口する高圧室、高圧
室に形成された、高圧塗料と高圧空気との混合体が吐出
される楕円状の絞り口、および絞り口の吐出側に形成さ
れた、該絞り口の中心軸から両側に該絞り口の長軸方向
に開き、かつ向かい合う扇形壁を有する扇形溝状の案内
部を含んで成るヘッドを有するものであることが好まし
い。
【0022】かかるヘッドを有する塗装機においては、
高圧空気が高圧室から絞り口を通過する際に超音速に近
い高速となって、塗料を微粒化するとともに加速する。
この加速され、微粒化された(即ち、霧化した)塗料が
塗装機から吐出されて、被塗物を塗装する。この塗装機
は、図3に示すような偏平な円形の塗装パターンを形成
し、塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて、塗装パタ
ーン幅Wpが変化するものである。この塗装機はまた、
塗装パターン全体にわたって均一な塗膜を形成するとと
もに、塗着効率が高いという特徴を有する。上記ヘッド
の詳細は、「塗布具」として特許第3143449号の
明細書に記載されており、その記載内容はこの引用によ
って本明細書に含まれるものとする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の塗装方法および塗
装システムについて具体的に説明する。本発明の塗装方
法は、塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて塗装パタ
ーン幅Wpが変化する塗装機を使用して実施され、塗装
すべき幅がWsである被塗物を、適当な搬送装置で一方
向に搬送し、WpがWp≧Wsとなるように、Wsに基
づいて、塗装機と被塗物との間の距離Hsを適当な手段
で選択し、適当な移動装置を用いて、塗装機を、塗装機
と被塗物との間の距離がHsとなる位置に移動させ、当
該位置に配置した塗装機で被塗物を塗装する方法であ
る。
【0024】本発明において使用される塗装機は先に説
明したとおり、塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて
塗装パターン幅Wpが変化する塗装機である。本発明の
塗装方法に適した塗装機は、上述のように、特許第31
43449号の明細書に記載のヘッドを有する塗装機で
ある。この塗装機が有するヘッドの長軸方向の断面を模
式的に図2の(a)に示すとともに、当該ヘッドの一部
切欠き斜視図を図2の(b)に示す。このヘッド(20
0)は、塗料導入口(204)および空気導入口(20
6)とが開口する高圧室(202)、高圧室に形成され
た絞り口(208)、および向かい合う扇形壁(21
2)を有する扇形溝状の案内部(210)を有する。
【0025】絞り口(208)は楕円状であって、その
短径は一般に0.4〜3mm程度であり、短径/長径の比
は0.05〜0.75の範囲である。案内部(210)
は絞り口の長軸の方向に開き、その開き角度αは好まし
くは50〜120°である。2つの扇形壁(212)
は、互いに平行であってもよく、あるい前方に向かって
テーパ状に拡幅していてよい。扇形壁(212)がテー
パ状に拡幅する場合、絞り口の短軸方向において、案内
部(210)の開き角度は15°以下であることが好ま
しい。
【0026】このヘッドは、塗料導入口(204)に導
通し、高圧塗料供給源からの高圧塗料を高圧室(20
2)に案内する塗料流路(214)をさらに備え、ま
た、空気導入口(206)に導通し、高圧空気供給源か
らの高圧空気を高圧室(202)に案内する空気流路
(216)をさらに備えている。高圧塗料および高圧空
気は、それぞれ塗料導入口(204)および空気導入口
(206)から高圧室(202)に導入され、混合され
る。高圧室(202)内で混合された混合体は絞り口
(208)から案内部(210)を通過する際、急激に
膨張しながら、超音速に近い高速となり、塗料は微粒化
されながら加速され、運動エネルギーを保持しつつ、図
3に示すような、Wpを有する偏平な塗装パターンを形
成する。空気は、案内部(210)を出たところで運動
エネルギーが圧力に変わって流速を失い、吐出される塗
料の伴流とならない。したがって、このヘッドを含む塗
装機によれば、塗料を効率良く被塗物に塗着させること
ができる。
【0027】本発明の塗装方法において、塗装機は、塗
装パターン幅Wpの範囲が異なるものを2以上用意し、
被塗物の塗装すべき幅Wsに応じて、1の塗装機を選択
し、選択した塗装機を使用するようにしてよい。機械的
および空間的な制約により、塗装機と被塗物との間の距
離Hはある値以上とすることができず(この値をHmax
と呼ぶ)、Hmaxのときの塗装パターン幅Wpは塗装機
によって決まっている。そのため、ある被塗物のWsが
HmaxのときのWpよりも大きいと、その塗装機で当該
被塗物を塗装することはできない。そこで、Hmaxのと
きのWpが異なる2以上の塗装機を用意し、これらを1
つの塗装システムに設置すれば、1つの塗装システムで
塗装し得る被塗物の種類を多くすることが可能となる。
【0028】図2に示すヘッドを有する塗装機のHmax
のときのWpは、案内溝の長軸方向の断面での開き角度
αによって異なる。したがって、図2に示すヘッドを有
する塗装機を使用する場合には、αの異なるものを2以
上用意すれば、Wpの範囲が異なる2以上の塗装機が用
意されることとなる。
【0029】図2に示すヘッドを有し、開き角度αがそ
れぞれ異なる3種類の塗装機が、異なるWpの範囲を有
することを模式的に図4に示す。塗装機A、BおよびC
は、それぞれ案内部の開き角度がαA、αB、およびαC
であるヘッドを有する。ここで、αA>αB>αCであ
る。塗装機A、BおよびCにより形成される塗装パター
ンのWpは、HがHmaxのとき、それぞれLa、Lbお
よびLcとなる。LaとαA、LbとαB、およびLcと
αCはそれぞれ、以下の関係を有する。 La=2Hmax・tan(αA/2) Lb=2Hmax・tan(αB/2) Lc=2Hmax・tan(αC/2)
【0030】これらの3種類の塗装機を使用する場合、
被塗物は、その塗装すべき幅WsがLb<Ws≦Laの
範囲内にあれば、塗装機Aで塗装され、Lc<Ws≦L
bの範囲内にあれば、塗装機Bで塗装され、Ws≦Lc
の範囲にあれば塗装機Cで塗装される。塗装機は、Ws
に応じて、適当な手段(例えば演算装置)を用いて選択
される。選択した塗装機は、それのみが作動するよう
に、当該手段に接続された適当な制御手段により制御さ
れる。
【0031】被塗物は、適当な搬送装置を用いて一方向
に搬送される。一般に被塗物は、水平方向に搬送され
る。被塗物は、前述のように、塗装される間、Wsの中
点がWpの中点と一致するように配置して搬送すること
が好ましい。そのように被塗物を搬送して、本発明の方
法を実施すれば、被塗物の塗装すべき領域において、塗
装されない部分の発生が防止される。
【0032】被塗物の塗装すべき幅Wsは、予めわかっ
ている場合がある。その場合には、Wsを検知すること
を要しない。Wsを検知する必要がある場合には、Ws
は塗装技術の分野において公知の装置を用いて検知され
る。Wsを検知する装置は、超音波もしくはレーザーを
用いた変位センサー、またはカメラ等であってよい。あ
るいは、Wsは、被塗物の形状および寸法に関するデー
タを蓄積したデータベースをあらかじめ作成するととも
に、所定の形状および寸法を表すマーク(例えばバーコ
ード)を被塗物に付し、このマークを読み取って、デー
タベースを参照する方法により、検知することができ
る。
【0033】Wsの検知は、塗装機による塗装と一連し
て実施することが好ましい。その場合、被塗物を搬送し
ながら、搬送方向の上流側でWsを検知し、検知した結
果を利用して塗装が実施される。尤も、Wsの検知は、
塗装機による塗装と一連して実施する必要は必ずしもな
い。例えば、Wsは、被塗物の搬送を開始する前に、適
当な計測器(例えば巻尺等)を用いて測定することによ
り検知してよい。
【0034】本発明の塗装方法においては、Wp≧Ws
の関係を満たすように、塗装機と被塗物との間の距離H
sを選択する。距離Hsは、好ましくは、WpがWsの
1.1〜1.4倍となるように選択され、より好ましく
は、WpがWsの1.1〜1.2倍となるように選択さ
れる。
【0035】前述のように、複数の塗装機を使用する場
合には、適切な塗装機を選択したうえで、選択した塗装
機と被塗物との間の距離Hsを選択する。Hsの選択
は、コンピュータのような演算装置を用いて行われる。
Hsを選択する演算装置は、好ましくはWsを検知する
手段と接続される。それにより、Wsを検知した後、た
だちにHsを選択する演算を実施できる。Hsの選択
は、種々の距離HとWpとの関係を蓄積したデータベー
スから検索する方法で行ってよい。その場合、検索はコ
ンピュータを用いて行ってよく、あるいは換算表等を利
用して人が直接行ってよい。
【0036】塗装機が図2に示すようなヘッドを有する
塗装機である場合、開き角度α、距離H、およびWpの
間には、H=Wp/2tan(α/2)の関係が成り立
つ。したがって、Wp≧Wsとするためには、塗装機と
被塗物との間の距離が、Ws/2tan(α/2)以上
となるように、Hsを選択する必要がある。
【0037】距離Hsを選択した後、塗装機を、塗装機
と被塗物との間の距離がHsとなる位置に移動させる。
塗装機の移動は適当な移動装置を用いて実施される。こ
の移動装置は、距離Hsを前述のように演算装置で選択
する場合には、この演算装置に接続した制御手段で制御
することが好ましい。それにより、Wsの検知(Wsの
検知を要する場合のみ)、距離Hsの選択、および塗装
機の配置を一連して実施でき、塗装工程の効率を向上さ
せることが可能となる。
【0038】前述のように、被塗物は一般に水平方向に
沿って一方向に搬送される。その場合、塗装機の移動
は、適当な昇降装置を用いて塗装機を上下動させること
により実施される。塗装機の昇降装置は、例えば、シリ
ンダー、チェーンまたはベルトの機構を利用する装置で
あってよい。本発明においては、図5に示すような、ラ
ックギア(52)とピニオンギア(54)とを組み合わ
せて、電動モータの回転運動を直線運動に変える機構を
利用した昇降装置(50)を使用することが好ましい。
この昇降装置によれば、塗装機(58)を被塗物(11
0)の上方の所望の位置に正確に配置させることが可能
である。
【0039】尤も、本発明の塗装方法および塗装システ
ムにおいて、被塗物の搬送方向および塗装機の移動方向
はそれぞれ水平方向および上下方向に限られない。本発
明の塗装方法および塗装システムにおいて、塗装機の搬
送方向および塗装機の移動方向は、塗装機から吐出され
る塗料が被塗物に塗着する限りにおいて、即ち、両方向
が互いに平行とならない限りにおいて、任意のものであ
ってよい。例えば、被塗物を鉛直方向(即ち、上下方
向)に搬送し、被塗物と塗装機との間の距離をHsとす
るために塗装機を水平方向に移動させる態様も本発明に
含まれる。
【0040】被塗物の塗装は、塗装機を被塗物から距離
Hsだけ離れた位置に配置して実施する。このとき、距
離Hsに応じて、塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量
Gを選択し、被塗物に所望の厚さの塗膜が形成されるよ
うにする。前述のように、Gが一定である場合には、H
sが大きいほど、単位面積あたりの塗着量は小さくな
る。また、HsおよびGが一定である場合には、被塗物
の搬送速度が大きいほど、単位面積あたりの塗着量は小
さくなる。したがって、所望の厚さの塗膜を得るために
は、距離Hsおよび被塗物の搬送速度を考慮して、単位
時間あたりの塗料吐出量Gを選択する必要がある。
【0041】単位時間あたりの塗料吐出量Gは、距離H
sを選択した後、距離Hsのときの塗装パターン幅W
p、被塗物の搬送速度v、および塗膜の所望の厚さtか
ら決定することができる。具体的には、下記の式(1)
に従って、Gを算出することができる。Gの算出は、適
当な演算装置(例えばコンピュータ)を用いて実施する
とよい。
【0042】
【数1】 (式中、Gは単位時間あたりの塗料吐出量(g/mi
n)、tは塗膜の厚さ(m)、γは塗料の密度(g/
3)、NVは塗料中の固形分の重量割合、vは被塗物
の搬送速度(m/min)、ηは塗装機の塗着効率、Wp
は塗装パターン幅(m)を示す)
【0043】上記の式において、塗膜の厚さt、塗料の
密度γ、塗料の固形分の重量割合NV、および塗装機の
塗着効率ηは、被塗物を塗装する前に予め求めておく必
要がある。これらを求める作業は、事前準備として本発
明の方法を実施する前に行われる。以下に事前準備の手
順を簡単に説明する。
【0044】塗膜の厚さtは、被塗物の種類、および最
終的に得ようとする製品の種類に応じて、所望の値とな
るように選択する。例えば、被塗物が窯業建材である場
合には、被塗物の上にシーラー層、ベースコート層、お
よび模様付け層の3層、ならびに場合によりさらにクリ
アコート層が、それぞれ30〜60μm厚となるように
形成される。したがって、窯業建材を被塗物とする場
合、各層の塗装は、tを30×10-6〜60×10-6
に設定して実施される。
【0045】塗料の密度γおよび塗料の固形分の重量割
合NVは、使用する塗料に応じて決まっている。例え
ば、窯業建材の塗装に使用する塗料の密度γは一般に約
1.1(g/cm3)(即ち、1.1×106(g/
3))であり、その固形分の重量割合NVは約0.3
0である。このような塗料を最終的な塗膜の厚さが30
〜60μmとなるように塗布すると、単位面積あたりの
塗着量は一般に100〜200g/m2程度となる。
【0046】上記の式(1)において、Wpを代入し、
塗着効率ηとして予測される値(例えば、過去当該塗装
機を使用して、対象とする塗料を使用したときの塗着効
率等)を代入して、単位時間あたりの予測される塗料吐
出量G’を算出し、Gの見当を付ける。Wpは、Wp≧
Wsとなるように予め選択した値である。
【0047】次に予測したG’で塗装できる塗装機を選
択する。塗装機として先に説明した図2に示すようなヘ
ッドを有するものを使用する場合、その塗料吐出量は、
絞り口の開口面積によって変化し、開口面積が大きいほ
ど、大きくなる。したがって、予測したG’で塗装する
ことが確保されるように、絞り口の開口面積を選択する
必要がある。また、Wpの範囲が異なる塗装機を複数用
意する場合には、選択した開口面積を有する絞り口を備
え、かつ開き角度αが異なるものを複数用意する必要が
ある。なお、絞り口の開口面積の大小は、絞り口の短径
/長径の比が一定である場合には、短径(または長径)
の大小によって比較できる。
【0048】次に、正確な塗着効率ηを求める。選択し
た塗装機を塗装システムに装着し、上述のように被塗物
のWsに応じて距離Hsを選択し、被塗物から距離Hs
だけ離れた位置に配置した塗装機で、単位時間あたりの
塗料吐出量をG’に設定して試し塗装を実施する。試し
塗装した後、試し塗装で実際に使用した塗料の量(即
ち、塗装機から吐出された塗料の量)を求め、これと被
塗物に実際に付着した塗料の量から、塗着効率ηを算出
する。この算出したη、ならびにt、γ、NV、v、お
よび距離HsのときのWpから、製品とすべき被塗物を
塗装する際の単位時間あたりの塗料吐出量Gを式(1)
に従って求める。単位時間あたりの塗料吐出量Gは、適
当な演算装置(例えばコンピュータ)を用いて求める。
【0049】被塗物から距離Hsだけ離れた位置に配置
した塗装機を使用し、求めた単位時間あたりの塗料吐出
量Gで被塗物を塗装すれば、所望の厚さの塗膜が被塗物
に形成される。単位時間あたりの塗料吐出量を求めた値
Gとするためには、塗料を塗装機に供給するポンプの流
量を調節する必要がある。ポンプの流量は、ポンプの流
量制御弁の開閉によって調節される。ポンプの流量制御
弁は、電動弁、エアー弁、および塗装装置において一般
的に使用されているその他の弁から選択される。ポンプ
の流量制御弁の調節は、好ましくは、単位時間当たりの
塗料吐出量Gを求めた演算装置に接続された制御手段か
ら信号を送ることにより実施される。それにより、単位
時間当たりの塗料吐出量を、速やかに所望の値にし得
る。
【0050】次に、本発明の塗装方法を応用して、塗装
すべき幅Wsが1つの被塗物において一定でない被塗物
を塗装する方法を説明する。Wsが一定でない被塗物
は、例えば、図6に示すような、上底(u)が下底
(b)よりも短い等脚台形状の被塗物(60)である。
以下、この被塗物を、下記の〜の条件を満たすよう
に、即ち、 台形の高さ方向が搬送方向と一致する Wsの中点がWpの中点と一致する 搬送方向において上底(u)が下底(b)の下流側に
位置する(即ち、上底が先に塗装される) ように搬送しながら、塗装する方法を説明する。
【0051】まず、被塗物の塗装すべき幅Wsとして上
底の長さWsuおよび下底の長さWsbの2つを検知する
とともに、搬送される被塗物がある一点(ここではWs
を検知する装置)を通過するのに要する時間Tを測定す
る。WsuおよびWsbは、先に説明した適当な検知手段
によって検知される。Tは、Wsuを検知してからWsb
を検知するまでに要した時間に相当する。時間Tは、被
塗物の上底が検知手段を通過してから下底が検知手段を
通過するまでの時間ともいえる。WsuおよびWsbが既
知の場合には、これらを検知する必要はない。被塗物の
搬送速度および被塗物の長さ(台形の高さ)が予めわか
っている場合には、時間Tは、それらから算出でき、測
定する必要はない。
【0052】Wpの範囲が異なる複数の塗装機が用意さ
れている場合には、被塗物と塗装機との間の距離HがH
max以下であるときに、WpがWsu≦Wp≦Wsbの範
囲内にある塗装機を選択する。Wpがこの範囲内にない
と、1つの塗装機で台形状の被塗物を塗装することがで
きない。
【0053】次に、Wp≧Wsuとなるような塗装機と
被塗物との間の距離Hsuを選択し、Wp≧Wsbとなる
ような塗装機と被塗物との間の距離Hsbを選択する。
台形状の被塗物において、WsはWsuからWsbまで直
線的に増加する。したがって、本発明の塗装方法で台形
状の被塗物を塗装するには、図7に示すように、被塗物
(60)の上底(u)が塗装機(62)を通過してか
ら、下底(b)が塗装機(62)を通過するまでの間
に、塗装機(62)と被塗物(60)との間の距離がH
uからHsbとなるように、Hsを一定速度で変化させ
ればよい。Hsを変化させる速度Vhは、Hsu、Hsb
およびTから、下記の式(2)に従って算出する。
【0054】
【数2】 Vh=A・(Hsb−Hsu)/T ...(2) (式中、Aは塗装機の移動装置によって定まる定数であ
る)
【0055】求めた速度Vhにて塗装機を、被塗物を1
つ塗装する間に移動させれば、被塗物のWsに応じてW
pを変化させながら塗装を実施できる。この塗装方法に
よれば、1つの被塗物においてWsが変化する場合で
も、塗料が被塗物以外の部分に付着することを有効に防
止でき、効率よく塗装することができる。
【0056】Vhは、適当な演算装置を用いて求めるこ
とができる。塗装機を速度Vhにて移動させることは、
Vhを求めた演算装置に接続された制御手段から、塗装
機の移動装置(たとえば昇降装置)に速度信号を送るこ
とによって実施される。塗装機の移動装置が、図5に示
すようなラックギアとピニオンギアとの組み合わせから
成る昇降装置である場合、電動モータの回転数をインバ
ータで変更することにより、容易に昇降速度を変化させ
得る。
【0057】前述のように、1つの塗装機で塗装を実施
する場合、選択した距離Hsが大きいほど、単位面積あ
たりの塗着量は小さくなる。したがって、図6に示すよ
うな台形状の被塗物を塗装する場合において、単位時間
あたりの塗料吐出量Gを一定にして塗装を実施すると、
下底側ほど単位面積あたりの塗着量が少なくなって、薄
い塗膜が形成される。このことは、1つの被塗物におい
て均一な塗膜が形成されないという不都合をもたらす。
この不都合を回避するために、1つの被塗物を塗装する
間に距離Hsを変化させる場合には、それに応じて単位
時間あたりの塗料吐出量Gをも変化させることが好まし
い。
【0058】塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量Gを
変化させることは、具体的には、1つの被塗物を塗装す
る間に、塗料を塗装機に供給するポンプの流量を変化さ
せることにより実施される。ポンプの流量を変化させる
ことは、ポンプの流量制御弁の開閉を変化させることに
より実施される。図6に示す台形状の被塗物(60)を
上底(u)側から下底(b)側に順に塗装する場合、ポ
ンプの流量制御弁を、その開き度合いが、1つの被塗物
を塗装する間に徐々に大きくなるように作動させて、単
位時間あたりの塗料吐出量の増加速度(増加する割合)
がVtとなるようにする。Vtは、被塗物の上底(u)
を塗装するときに選択すべき単位時間あたりの塗料吐出
量Gu、被塗物の下底(b)を塗装するときに選択すべ
き単位時間あたりの塗料吐出量Gb、およびTから、下
記の式(3)に従って算出する。GuおよびGbはそれぞ
れ、式(1)に基づいて求められる。
【0059】
【数3】Vt=B・(Gb−Gu)/T ...(3) (式中、Bは流量制御弁、ならびに配管径および長さに
よる圧力損失によって定まる定数である)
【0060】Vtは、適当な演算装置を用いて求めるこ
とができる。流量制御弁の開閉を、単位時間あたりの塗
料吐出量Gが速度Vtで変化するように変化させること
は、例えば、Vtを求めた演算装置に接続された制御手
段から、流量制御弁を開閉する装置に速度信号を送るこ
とによって実施される。
【0061】上記の方法は、Wsが一定でない被塗物を
塗装する方法の1つの態様である。この態様において
は、塗装機と被塗物との間の距離Hsを一定速度Vhに
て連続的に変化させるとともに、塗装機の単位時間あた
りの塗料吐出量Gを一定速度Vtにて連続的に変化させ
る。
【0062】図6に示すような等脚台形の被塗物を塗装
する方法の別の態様は、次の手順で実施することができ
る。まず、台形の被塗物において、上底Wsu、上底と
下底の中間の位置における幅Wsm、および下底Wsb
検知する。検知したWsu、Wsm、およびWsbに基づ
いて、WpがWp≧Wsmとなるような塗装機と被塗物
との間の距離Hsmを選択し、Wp≧Wsbとなるような
塗装機と被塗物との間の距離Hsbを選択する。それか
ら、塗装機と被塗物との間の距離HsがHsmとなる位
置に塗装機を配置して、被塗物の上底から幅Wsmの位
置までの領域を塗装する。次いで、塗装機と被塗物との
距離HsがHsbとなる位置に塗装機を配置して、被塗
物の幅Wsmの位置から下底までの領域を塗装する。こ
のとき、所望の厚さの塗膜を形成するために、塗装機と
被塗物との距離がHsmおよびHsbであるときの所要の
単位時間あたりの塗料吐出量GmおよびGbをそれぞれ算
出し、算出したGmおよびGbが得られるようにポンプの
流量制御弁を調節する。この態様において、塗装機と被
塗物との間の距離Hs、および塗装機の単位時間あたり
の塗料吐出量Gは、間欠的に変化する。
【0063】図示した等脚台形において、上底の中点と
下底の中点とを結んだ線(図6中、一点鎖線で示す)は
搬送方向と平行となる。したがって、上底(u)の中点
をWpの中点と一致させて被塗物を搬送すれば、Wsの
中点とWpの中点は、上底から下底が塗装されるまでの
間、常に一致する。よって、塗装機と被塗物との間の距
離を上記のように連続的または間欠的に移動させても、
被塗物において未塗装の部分は生じない。しかし、台形
が等脚台形でない場合には、例えば上底の中点をWpの
中点と一致させて搬送を開始すると、Wsの中点はWp
の中点から次第にずれる。その結果、上記のように塗装
機を移動させても、Wsが塗装パターン内に含まれず、
適切に塗装されない部分が生じることがある。この不都
合を回避するためには、図8に示すように、被塗物(8
0)を内包する最小の等脚台形(82)を求め、求めた
等脚台形(82)を被塗物と仮定して、この等脚台形
(82)を上記の方法に従って塗装することが好まし
い。
【0064】このように、Wsが一定でない被塗物の塗
装方法としては、Wsを被塗物の搬送方向に沿って順に
n箇所(n≧2)にて検知し、(1)測定したWs1
Wsnに応じて、塗装機と被塗物との間の距離を連続的
に変化させて塗装する方法、(2)Wsm−Wsm+1間の
領域(1≦m≦n−1)を、i)Wsm≧Wsm+1である
場合には、Wp≧Wsmとなるように、塗装機と被塗物
との間の距離Hsmを選択し、被塗物から距離Hsmだけ
離れた位置に塗装機を配置して塗装し、ii)Wsm+1
Wsmである場合には、Wp≧Wsm+1となるように、塗
装機と被塗物との間の距離Hsm+1を選択し、被塗物か
ら距離Hsm+1だけ離れた位置に塗装機を配置して塗装
するように、各領域を、塗装機の位置を順次、間欠的に
変化させて塗装する方法がある。上記(1)および
(2)の方法においては、塗装機と被塗物との間の距離
に応じて、塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量Gをも
連続的または間欠的に変化させることが好ましい。
【0065】可能な場合にはWsを連続的に検知してよ
い。その場合には、連続的に検知したWsに応じて、連
続的に塗装機と被塗物との間の距離Hsを変化させてよ
い。あるいは、Wp≧Wsである限りにおいて、Hsを
間欠的に(例えば段階的に)変化させてよい。いずれの
ようにHsを変化させる場合も、Hsの変化に応じて、
塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量Gも変化させるこ
とが好ましい。
【0066】以上において説明した本発明の塗装方法に
おいては、塗装機がレシプロされないため、レシプロ速
度と被塗物の搬送速度との関係を考慮して最適な塗装条
件を設定することが不要となり、したがって、容易に被
塗物の幅全体を、均一に所定膜厚の塗膜が形成されるよ
うに塗装することが可能となる。また、本発明の塗装方
法においては、上記の式(1)に従って塗料吐出量を設
定することにより、所望の搬送速度で被塗物を搬送し
て、所望の膜厚の塗膜を塗装することができる。即ち、
本発明によれば、塗装速度を容易に調整することが可能
である。さらに、塗装機として、図2に示すようなヘッ
ドを有する塗装機を使用すれば、高い塗着効率にて塗装
を実施することができる。
【0067】上述の本発明の塗装方法を実施するのに適
した、本発明の塗装システムの一例を模式的に図1に示
す。図1に示す塗装システム(10)は、被塗物(11
0)を搬送する搬送装置(102)、ならびに、図2に
示す構造のヘッドを有し、Wpの範囲がそれぞれ異なる
3種類の塗装機(20a,20b、20c)を備えた塗
装システムである。この塗装システムはまた、上流側に
ワークの塗装すべき幅Wsを検知する検知装置としてセ
ンサー(104)を有し、センサーは演算装置(10
6)に接続されて、検知結果を信号(S1)として送
る。
【0068】演算装置(106)は、Wsに応じて塗
装機と被塗物との間の距離Hsを選択する機能、選択
した距離Hsに応じて、塗装機の単位時間あたりの塗料
吐出量Gを選択する機能、Wsに応じて複数の塗装機
から1の塗装機を選択する機能、Wsが一定でない被
塗物を塗装する場合に、被塗物のn箇所(n≧2)にて
検知したWs1〜Wsnに応じて、1つの被塗物を塗装す
る間に、塗装機と被塗物との間の距離Hsをどのように
変化させるか、即ち、Hsのプロファイルを決定する機
能、Wsが一定でない被塗物を塗装する場合に、塗装
機と被塗物との間の距離Hsの変化に応じて、単位時間
あたりの塗料吐出量Gをどのように変化させるか(即
ち、塗料の流量制御弁の開閉をどのように変化させる
か)を選択する機能等を有する。演算装置は、〜の
機能を有する1つの装置であってよく、1つ又は2つの
機能を有する複数の演算装置から成る演算装置群であっ
てよい。この塗装システムが、Wsが一定である被塗物
のみを塗装するシステムである場合、演算装置はおよ
びの機能を要しない。
【0069】演算装置(106)は、制御手段(コント
ローラ)(108)に接続されている。コントローラ
は、塗装機の昇降装置、塗料の流量制御弁、および塗装
機のON/OFFを制御するためのものである。
【0070】各塗装機(20a〜20c)は、エアー供
給源(120)および塗料供給装置(122)に接続さ
れている。エアー供給源(120)から供給される高圧
空気(A)は、各塗装機(20a〜20c)に備えられ
たエアー圧力制御弁(124a〜c)によって所定の圧
力に調節されて、塗装機のヘッドの高圧室に送られる。
塗料供給源から供給される塗料(P)は、各塗装機に接
続されている塗料流量制御弁(126a〜c)によって
所定の流量に調節されて、塗装機のヘッドの高圧室に送
られる。塗料(P)の吐出圧力は塗料吐出圧力計(13
0a〜c)で測定され、測定された圧力はエアー圧力制
御弁(124a〜c)に信号(S5)として送られる。
図2に示す構造のヘッドを有する塗装機においては、塗
料が空気流路に流入することを防止するため、高圧空気
(A)の圧力(pA)が塗料(P)の圧力(pP)よりも
大きくなるように高圧空気および塗料を高圧室に送るこ
とが好ましい。そのため、エアー圧力制御弁(124a
〜c)は、塗料吐出圧力計(130a〜c)からの信号
に基づいて、pA≧pPとなるように高圧空気の圧力を調
節する。
【0071】塗装機と被塗物との間の距離は、昇降装置
(50a〜c)によって任意に変化させられる。昇降装
置(50a〜c)は、コントローラ(108)から送ら
れる信号(S2)に基づいて制御され、塗装機と被塗物
との間の距離がWsに応じて選択した値Hsとなるよう
に塗装機を移動させる。さらに、Wsが一定でない被塗
物を塗装する場合には、センサー(104)が検知した
n箇所のWsに応じて、1つの被塗物を塗装する間に、
塗装機と被塗物との間の距離が変化するように、コント
ローラ(108)によって昇降装置(50a〜c)の作
動が制御される。
【0072】塗料流量制御弁(126)は、コントロー
ラ(108)から送られる信号(S3)によって制御さ
れ、選択した距離Hsに応じて所定量の塗料が塗装機か
ら吐出されるように開閉される。それにより、所望の厚
さの塗膜が被塗物の上に形成される。さらに、Wsが一
定でない被塗物を塗装する場合には、コントローラから
送られる信号によって、1つの被塗物を塗装する間に変
化するHsに応じて、塗料の流量が変化するように弁の
開閉が制御される。
【0073】塗装機のON/OFF(塗装機からの塗料
の吐出)もまた、コントローラから送られる信号(S
4)によって制御してよい。制御は、具体的には次のよ
うにして実施する。まず、塗装機が設置されている位置
よりも上流側に被塗物の検知センサーを設置する。そし
て、そのセンサーが被塗物を検知したときに、塗料の吐
出を開始する(即ち、ONの信号を送る)。ONの信号
は、センサーによる被塗物の検知が終了した後、予め設
定した時間が経過するまで、コントローラから送られ続
ける。図示したシステムにおいては、幅Wsを検知する
センサー(104)が被塗物の検知センターを兼ねてい
る。
【0074】上記において説明した本発明の塗装方法お
よび塗装システムの態様は、例示的なものであり、本発
明はこれらに限定されるものではない。例えば、塗装機
はWpの範囲が異なるものを4以上用意し、1つの塗装
システムに配置してよい。また、台形状の被塗物を塗装
する場合、台形の下底が先に塗装されるように被塗物を
搬送してよい。その場合、被塗物と塗装機との間の距離
Hsは、1つの被塗物が塗装される間に次第に短くなる
ように変化することとなる。
【0075】本発明の塗装方法および塗装システムは、
建材、特に窯業建材の塗装に好ましく適用される。塗装
後の窯業建材は、化粧建材として使用される。窯業建材
は、具体的には、石綿スレート板、木片セメント板、珪
酸カルシウム板、炭酸マグネシウム板、スラグ石膏板、
軽量気泡コンクリート板、およびそれらを用いたパネル
板である。窯業建材は、塗装面に凹凸加工が施されたも
のであってよい。
【0076】一般的な建材は、幅900mm×長さ303
0mm、または幅450mm×長さ3030mmの長方形状で
ある。形状寸法がこの範囲外にある建材もあり、それら
は、幅が200〜2000mmの範囲内にあり、500mm
以上の長さを有する長方形状である。等脚台形状の建材
としては、例えば、上底1000mm×下底1500mm×
高さ(長さ)1000mmのものがある。
【0077】本発明の方法およびシステムは、60rp
mのB型回転粘度計で測定した粘度が、0.1〜3N・
s/m(1〜30ポアズ)である塗料を用いて塗装す
るのに適している。粘度が0.1N・s/m未満であ
ると、微粒化(即ち、霧化)が過度に促進されて図3に
示すような塗装パターンを得ることが困難となる場合が
ある。粘度が3N・s/mを越えると、塗料が良好に
微粒化されず、そのために、塗膜の表面粗さが大きくな
る、ならび塗膜の乾燥時にクラックが生じるといった問
題が発生する場合がある。このような粘度を有する塗料
は、水性エマルション塗料、および溶剤型アクリルウレ
タン塗料であることが好ましい。
【0078】本発明の塗装方法および塗装システムは建
材以外の被塗物の塗装にも当然に適用される。塗料も上
記の塗料に限られず、水溶性樹脂塗料および溶剤型合成
樹脂塗料であってよい。例えば、鋼板を被塗物とし、こ
れにポリエステル/メラミン樹脂塗料を塗装する場合に
も、本発明の塗装方法および塗装システムを好ましく適
用できる。
【0079】また、本発明の塗装方法および塗装システ
ムは、骨材を含有する塗料を使用する塗装に適用してよ
い。骨材は、塗料に用いられるものであれば特に限定さ
れなず、例えば、ホタル石、珪砂、石英等の通常の天然
素材や、陶磁器粉砕粒子、炭酸カルシウム粒子、雲母
片、プラスチックビーズ等が骨材として使用される。骨
材は着色した着色骨材であってもよい。
【0080】
【実施例】次に、実施例を参照して本発明をより具体的
に説明するが、本発明はそのような実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0081】実施例1および比較例1に共通する塗装条
件を下記に示す。 1.被塗物 (1)種類:窯業建材(サイディングボード) (2)寸法および形状:上底(Wsu)0.3m×下底
(Wsb)0.5m×長さ(高さ)1.0mの等脚台形 2.塗料 (1)種類:アクリルエマルション塗料(日本ペイント
(株)製、商品名:オーデタイト350) (2)固形分の重量割合NV:0.30 (3)粘度:0.5N・s/m(5ポアズ)(B型回
転粘度計(60rpm)で測定した値) (4)密度γ:1.1g/cm3=1.1×106g/m3 3.所望の塗着量 160g/m2(したがって乾燥後の塗膜の所望厚さt
は43.6μm) 4.被塗物の搬送速度v 10m/分
【0082】(実施例1)図1に示すような塗装システ
ムを使用して、被塗物を次の手順で塗装した。この塗装
システムでは、図5に示す移動装置を使用して、塗装機
を上下動させた。
【0083】(1)塗装機の絞り口の開口面積、塗装機
の開き角度、およびHsの選択 図2に示すようなヘッドを有する塗装機を使用して被塗
物を塗装するために、塗装機のヘッドの絞り口(208)
の適切な開口面積を選択した。開口面積の選択に際し、
Wp=1.1Wsとした。したがって、被塗物の上底を
塗装する際のWpuは0.33mとなり、被塗物の下底
を塗装する際のWpbは0.55mとなる。また、塗着
効率ηの予測値を0.9とした。Wpuおよび塗着効率
ηの予測値、ならびに上記塗装条件に示したNV、t、
vおよびγを上述の式(1)に代入したところ、被塗物
の上底を塗装するときの予測される単位時間あたりの塗
料吐出量Gu’は、586g/minと算出された。同様に
して、被塗物の下底を塗装する際の単位時間あたりの予
測される塗料吐出量Gb’は977g/minと算出され
た。
【0084】本実施例では、図2に示すようなヘッドを
有する塗装機であって、絞り口(208)の短径/長径の
比が0.75であって、絞り口(208)の短径がそれぞ
れ異なる(即ち、開口面積がそれぞれ異なる)5種類の
塗装機((株)明治機械製作所製、商品名:マグナムコ
ートガン)について、短径と単位時間あたりの塗料吐出
量との関係を予め求めておいた。表1にその関係を示
す。
【表1】
【0085】表1より、上記台形状の被塗物の塗装に
は、短径1.0mmの塗装機が適していることがわかった
ので、これを塗装機として選択した。本実施例では、
1.0mmの短径を有し、開き角度がそれぞれ60°、9
0°、120°である3種類の塗装機を配置して、図1
に示すような塗装システムを構成した。本システムのH
maxは0.8mである。開き角度αおよびHmaxのときの
パターン幅Lの関係を表す式L=2Hmax・tan(α/
2)より、3種類の塗装機それぞれについて、Lを算出
した。求めたLの値から、上記台形状の被塗物を塗装す
る塗装機として、開き角度60°のものを選択した。
【0086】開き角度60°の塗装機を使用する場合、
Wpu=0.33mにして被塗物の上底を塗装するとき
の被塗物と塗装機との間の距離Hsuは、0.29mと
算出された。Wpb=0.55mにして被塗物の下底を
塗装するときの被塗物と塗装機との間の距離Hsbは、
0.48mと算出された。開き角度の選定、ならびにH
uおよびHsbの算出は、いずれも演算装置を用いて行
った。
【0087】(2)塗着効率の算出 単位あたりの塗料吐出量が上記Gu’およびGb’となる
ように、ポンプを調節して、試し塗装を実施した。試し
塗装の結果を表2に示す。表2において、塗着効率η
は、実測した単位時間あたりの塗料吐出量および塗着量
から、式(1)に従って算出した。
【0088】
【表2】
【0089】この結果から、本実施例で使用するシステ
ムの塗着効率ηは0.88であるとした。
【0090】(3)被塗物の塗装 本実施例で塗装する被塗物において、WsはWsuから
Wsbまで直線的に増加する。本実施例では、図5に示
す移動装置を用いてHsを一定速度Vhにて連続的に変
化させるとともに、塗料吐出量Gを一定速度Vtにて連
続的に変化させて被塗物を塗装する手法を採用した。
【0091】VhおよびVtを塗装の前に次のようにし
て決定した。まず、先に求めた塗着効率η=0.88等
の値を式(1)に代入して、被塗物の上底および下底を
それぞれ塗装するときの単位時間あたりの塗料吐出量G
uおよびGbを求めた。Guは600g/mとなり、Gb
1000g/mとなった。また、被塗物がある一点を通
過するのに要する時間Tを、被塗物の長さ(台形の高
さ)を搬送速度で除して求めた。Tは0.1分となっ
た。これらの値から、上記式(2)および(3)に従っ
て、VhおよびVtを算出した。Vhは1.96(m/
min)となり、Vtは4200((g/min)/min)と
なった。なお、本実施例で使用するシステムにおいて、
式(2)におけるAは1.03とした。これは、塗装機
の移動装置で使用する電動機の滑りとラックギアおよび
ピニオンギアのバックラッシュによる動作精度が3%で
あることによる。また、式(3)におけるBは1.05
とした。これは、ポンプから流量計を経て塗装機のヘッ
ドに至るまでの配管の圧力損失による流量減少分を2%
とし、ポンプ効率を97%としたことによる。
【0092】以上のようにして決定した条件で、被塗物
を塗装した。塗装は、塗装機のヘッドと被塗物の幅の中
心とが対向するように実施した。塗着膜の厚さは0.4
3μmとなった。実測した単位時間あたりの塗料吐出量
と塗着量から算出した塗着効率は、0.88(88%)
であった。
【0093】さらに、本実施例において使用した塗装シ
ステムで塗装した塗膜の厚さの均一性を評価するため
に、透明フィルムを、上記被塗物の上底を塗装するとき
の条件にて塗装した。透明フィルム上に形成した塗膜の
厚さを、幅方向に沿って測定した結果を図9に示す。
【0094】(比較例1)塗装機をレシプロさせなが
ら、被塗物を塗装した。ここでは、塗装機としてHVL
Pスプレーガン(ITW社製、商品名:デヴィルビスT
−AGHV−46MP、ノズル口径1.8mm)を使用し
た。被塗物と塗装機との間の距離Hsは、実塗装ライン
において一般的に採用されている距離である、0.3m
とした。Hsが0.3mであるときの塗装パターン幅
は、0.3mであった。Hsを0.3mとしたときに良
好な霧化状態が得られる条件は、霧化空気圧力0.2M
Pa、パターン空気圧力0.24MPaであった。
【0095】レシプロ幅を0.5m、塗り重ね回数を2
回とする場合のレシプロ速度を、下記の式に従って求め
たところ、33.3m/minとなった。そこで、レシプ
ロ速度を33m/minに設定した。 レシプロ速度=(レシプロ幅×被塗物の搬送速度×塗り
重ね回数)÷(2×塗装パターン幅×ガンの数)
【0096】これらの条件で、塗着量が所望の塗着量
(160g/m2)となるように、単位時間あたりの塗
料吐出量を調節して1800g/minとし、被塗物を塗
装した。塗着効率を、下記の式に従って求めたところ、
0.44(44%)であった。 塗着効率=(実側塗着量×被塗物の搬送速度×レシプロ
幅)÷(単位時間あたりの塗料吐出量)
【0097】また、塗膜の厚さの均一性を評価するため
に、透明フィルムを、同じ塗装条件でレシプロ塗装し
た。透明フィルム上に形成された塗膜の厚さを、幅方向
に沿って測定した結果を図10に示す。
【0098】実施例1および比較例1の結果から、本発
明の塗装方法によれば、均一な塗膜を高い塗着効率にて
得られることがわかった。
【0099】
【発明の効果】本発明の塗装方法および塗装システムに
よれば、塗装機を被塗物の幅方向においてレシプロさせ
ることなく、被塗物を塗装することが可能である。した
がって、本発明によれば、塗装条件を容易に最適化でき
る、ならびに塗装速度を容易に調整することができると
いう利点がもたらされる。さらに、本発明によれば、塗
装機と被塗物との間の距離、およびそれに応じて塗料の
吐出量を変化させることによって、塗装すべき幅が一定
でない被塗物(例えば台形状の被塗物)を、均一に且つ
効率良く塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の塗装システムの一例を示す模
式図である。
【図2】 図2の(a)は本発明の塗装方法および塗装
システムに適した塗装機のヘッドを模式的に示す断面図
であり、(b)はその斜視図である。
【図3】 図3は、図2に示すヘッドを有する塗装機が
形成する塗装パターンの平面図である。
【図4】 図4は、図2に示すヘッドの開き角度αが異
なる3種類の塗装機が、異なる塗装パターン幅の範囲を
有することを示す模式図である。
【図5】 図5は、塗装機の移動装置の一例を示す模式
図である。
【図6】 図6は、等脚台形状の被塗物の斜視図であ
る。
【図7】 図7は、図6に示す被塗物を塗装する方法の
一例を示す模式図である。
【図8】 図8は、等脚台形でない被塗物、およびそれ
を塗装するときに被塗物と仮定する等脚台形を示す模式
図である。
【図9】 図9は、本発明の塗装方法で塗装することに
より形成された塗膜の幅方向の厚さの分布を示すグラフ
である。
【図10】 図10は、レシプロ塗装することにより形
成された塗膜の幅方向の厚さの分布を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10...塗装システム、20a,20b,20c...塗装
機、104...センサー、106...演算装置、108...コントロ
ーラ、110...被塗物、120...エアー供給源、122...塗料
供給装置、124a,124b,124c...エアー圧力制御弁、
126a,126b,126c...塗料流量制御弁、130a,130
b,130c...塗料吐出圧力計、200...ヘッド、202...高
圧室、204...塗料導入口、206...空気導入口、208...絞
り口、210...案内部、212...扇形壁、214...塗料流路、
216...空気流路、50,50a,50b,50c...昇
降装置、52...ラックギア、54...ピニオンギア、5
8...塗装機、60...台形状の被塗物、62...塗装
機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D073 AA01 BB03 CB03 CB20 CB21 4D075 AA01 AA35 AA39 AA43 AA55 AA65 AA81 AA83 AA85 AA86 DA06 DC01 EA05 4F035 AA03 BB03

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗装すべき幅がWsである、搬送される
    被塗物に塗料を塗装する方法であって、 塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて塗装パターン幅
    Wpが変化する塗装機を用意すること、 WpがWp≧Wsとなるように、Wsに応じて、塗装機
    と被塗物との間の距離Hsを選択すること、 塗装機と被塗物との間の距離がHsとなる位置に塗装機
    を配置し、当該位置に配置した塗装機で被塗物を塗装す
    ることを含む塗装方法。
  2. 【請求項2】 被塗物の塗装すべき幅Wsを検知するこ
    とを更に含む請求項1に記載の塗装方法。
  3. 【請求項3】 塗膜の厚さが所望の厚さとなるように、
    塗装機と被塗物との間の距離Hsに応じて、塗装機の単
    位時間あたりの塗料吐出量Gを選択することを更に含む
    請求項1または請求項2に記載の塗装方法。
  4. 【請求項4】 塗装パターン幅Wpの範囲が異なる2以
    上の塗装機を用意し、被塗物の塗装すべき幅Wsに応じ
    て、1の塗装機を選択し、選択した塗装機で被塗物を塗
    装する請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装方法。
  5. 【請求項5】 被塗物を水平方向で搬送させ、塗装機を
    上下動させることによって、塗装機と被塗物との間の距
    離がHsとなる位置に塗装機を配置する請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の塗装方法。
  6. 【請求項6】 被塗物が、塗装すべき幅Wsが一定でな
    い被塗物であり、Wsを当該被塗物のn箇所(n≧2)
    にて検知し、検知したWs1〜Wsnに応じて、当該被塗
    物を1つ塗装する間に、塗装機と被塗物との間の距離H
    sを変化させることを更に含む請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の塗装方法。
  7. 【請求項7】 塗装機と被塗物との間の距離Hsを、一
    定速度Vhにて変化させる請求項6に記載の塗装方法。
  8. 【請求項8】 塗装すべき幅がWsXである被塗物Xを
    塗布した後、塗装すべき幅がWsY(WsX≠WsY)で
    ある別の被塗物Yを連続的に塗装する方法であって、 被塗物XおよびYをともに請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の方法に従って塗装すること、および塗装機と被
    塗物との間の距離を、WsXに応じて選択した距離HsX
    から、Ws Yに応じて選択した距離HsYに、被塗物Xを
    塗装した後、被塗物Yを塗装する前に変えることを含む
    塗装方法。
  9. 【請求項9】 塗装機が、 高圧塗料が流入する塗料導入口と、高圧空気が流入する
    空気導入口とが開口する高圧室、 高圧室に形成された、高圧塗料と高圧空気との混合体が
    吐出される楕円状の絞り口、および絞り口の吐出側に形
    成された、該絞り口の中心軸から両側に該絞り口の長軸
    方向に開き、かつ向かい合う扇形壁を有する扇形溝状の
    案内部を含んで成るヘッドを有する請求項1〜8のいず
    れか1項に記載の塗装方法。
  10. 【請求項10】 塗装すべき幅がWsである被塗物を塗
    装する塗装システムであって、 被塗物の搬送装置、 塗装機と被塗物との間の距離Hに応じて塗装パターン幅
    Wpが変化する塗装機、 塗装機と被塗物との間の距離Hを所望の値とするために
    用いる、塗装機の移動装置、およびWpがWp≧Wsと
    なるように、Wsに基づいて、塗装機と被塗物との間の
    距離Hsを選択する手段を含む塗装システム。
  11. 【請求項11】 被塗物の塗装すべき幅Wsを検知する
    装置を更に含む請求項10に記載の塗装システム。
  12. 【請求項12】 塗装機と被塗物との間の距離がHsと
    なるように、塗装機の移動装置を制御する手段を更に含
    む請求項10または請求項11に記載の塗装システム。
  13. 【請求項13】 塗装機と被塗物との間の距離Hsに応
    じて、塗装機の単位時間あたりの塗料吐出量Gを選択す
    る手段を更に含む請求項10〜12のいずれか1項に記
    載の塗装システム。
  14. 【請求項14】 塗装パターン幅Wpの範囲が異なる塗
    装機を2以上含む請求項10〜13のいずれか1項に記
    載の塗装システム。
  15. 【請求項15】 被塗物の塗装すべき幅Wsに応じて、
    1の塗装機を選択する手段を更に含む請求項14に記載
    の塗装システム。
  16. 【請求項16】 被塗物の搬送装置が被塗物を水平方向
    で搬送する装置であり、塗装機の移動装置が塗装機を上
    下動させる昇降装置である請求項10〜15のいずれか
    1項に記載の塗装システム。
  17. 【請求項17】 塗装機が、 高圧塗料が流入する塗料導入口と、高圧空気が流入する
    空気導入口とが開口する高圧室、 高圧室に形成された、高圧塗料と高圧空気との混合体が
    吐出される楕円状の絞り口、および絞り口の吐出側に形
    成された、該絞り口の中心軸から両側に該絞り口の長軸
    方向に開き、かつ向かい合う扇形壁を有する扇形溝状の
    案内部を含んで成るヘッドを有する請求項10〜16の
    いずれか1項に記載の塗装システム。
  18. 【請求項18】 塗装機の移動装置が、塗装機が塗料を
    吐出している間も塗装機を移動させる機能を有し、 塗装すべき幅Wsが一定でない被塗物を1つ塗装する間
    に、Wsに応じて塗装機と被塗物との間の距離Hsが変
    化するように、距離Hsのプロファイルを決定する手段
    を更に含む請求項10〜17のいずれか1項に記載の塗
    装システム。
  19. 【請求項19】 被塗物に塗装する塗料が、60rpm
    のB型回転粘度計で測定した粘度として0.1〜3N・
    s/m2の粘度を有する請求項1〜9のいずれか1項に
    記載の塗装方法。
  20. 【請求項20】 60rpmのB型回転粘度計で測定し
    た粘度として0.1〜3N・s/m2の粘度を有する塗
    料を被塗物に塗装するために用いる、請求項10〜18
    のいずれか1項に記載の塗装システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007037074A1 (ja) * 2005-09-27 2007-04-05 Kansai Paint Co., Ltd. 多彩模様塗膜の塗料条件・塗装条件の決定装置、決定方法、決定プログラム及びその記録媒体
JP2008094410A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Toyo Glass Co Ltd ガラスびん口部天面のコーティング方法
JP2015501219A (ja) * 2011-11-04 2015-01-15 チャパ アルマンド サエンス 金属要素に塗料を適用するための連続的方法

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