JP2003235355A - 薄層屋上緑化設備 - Google Patents

薄層屋上緑化設備

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JP2003235355A JP2002034544A JP2002034544A JP2003235355A JP 2003235355 A JP2003235355 A JP 2003235355A JP 2002034544 A JP2002034544 A JP 2002034544A JP 2002034544 A JP2002034544 A JP 2002034544A JP 2003235355 A JP2003235355 A JP 2003235355A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水マットの特性を踏まえた排水構造を採用
することで、排水性能を十分に確保して耐久性を向上可
能な薄層屋上緑化設備を提供する。 【解決手段】 建築物の屋上に設置した複数の排水マッ
ト5と、これら複数の排水マット5にわたってその上側
に設置した植生マットとを有し、排水マット5を相互に
間隔をあけて設置して、隣接する排水マット5間に排水
溝8を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビルやマンション
や戸建て住宅等の建築物に好適な薄層屋上緑化設備に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、温暖化等に対する都市環境の改善
を目的として、ビルやマンション等の屋上や家屋におけ
る屋根上のスペースを有効活用して設置可能な屋上緑化
設備が普及しつつある。このような屋上緑化設備として
は、屋上庭園タイプと薄層緑化タイプが実用化されてお
り、特に薄層緑化タイプの屋上緑化設備(以下、薄層屋
上緑化設備と称する。)は、屋上庭園タイプの屋上緑化
設備と比較して格段に軽量で、既設の建築物に対しても
容易に適用できること、排水性を良好に維持できるとと
もに建築物の屋上表面の温度変化を抑制できるので、建
築物の耐久性を向上できること、建築物の遮温性と保温
性が高くなり光熱費を低減できること、などの優れた利
点を有することから注目されている。
【0003】前記薄層屋上緑化設備としては、建築物に
防水シートを敷設し、その上に排水マットと遮根シート
と植生マットとを下側から順番に積層してなる薄層緑化
積層体を設置したものが実用化されている。そして、植
生マットとして、耐乾性に優れたセダム類を中心とした
植生を薄い培土に植え付けてマット状にしたものを用い
ることで、薄層緑化積層体に対する保水量を低く設定可
能となし、薄層緑化積層体の重量を軽減するとともに、
温度変化の低減と紫外線の遮断による建築物の耐久性の
低下を防止できるように構成されている。
【0004】また、前記薄層屋上緑化設備において、薄
層緑化積層体の側縁に沿って配置される仕切材として、
例えば特開2001−190152号公報には、薄層緑
化積層体と建築物間に配置される固定部と、固定部の側
縁から上方へ延びて薄層緑化積層体の外側面に沿って配
置される板状の仕切部と有し、帯板をその途中部におい
て折曲してなる略L字状の仕切材が提案されている。ま
た、この公報には、仕切材の固定方法として、天井スラ
ブに対してボルトを打ち込んで仕切材を固定する方法が
記載されるとともに、降雨水の排水孔として、仕切部の
下端部に長さ方向に間隔をあけて形成した角穴状の排水
孔が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記薄層屋
上緑化設備は、ここ2〜3年前の比較的最近になって注
目された緑化設備であることから、その構成について、
まだ十分な検討がなされていない。例えば、薄層屋上緑
化設備に対する降雨水は、植生マットから排水マット内
に流れ込み、建築物の屋上や屋根の勾配により、排水マ
ット内を面内方向に移動して薄層屋上緑化設備の側端か
ら排水されることになるが、排水マット及び仕切材が排
水抵抗になることから、降雨水の排水に関して、本出願
人は次のような問題を有することを見出した。
【0006】即ち、薄層屋上緑化設備の外縁部において
は、仕切部における排水抵抗により、降雨水が滞留し易
くなることから、降雨量が多くなると水位が高くなっ
て、降雨水が仕切材を乗り越えて外部に溢れ出し、この
越流水とともに植生マットの培土が外部に流失して、引
いては植生が枯れるという致命的な問題に発展すること
が考えられる。また、薄層屋上緑化設備の中央部におい
ては、降雨位置から排水孔まで降雨水が排水マット内を
移動する必要があり、降雨水の移動距離(排水距離)が
長くなることから、排水マットでの水平方向への排水抵
抗により降雨水が滞留し易くなり、降雨量が多くなると
水位が高くなって植生マット内にまで降雨水が溢れ、溢
れた降雨水の流れとともに培土が薄層屋上緑化設備の外
縁側へ移動し、培土の少ない領域が発生する。特に、培
土として水よりも軽い軽量土壌を使用すると、植生マッ
ト内に溢れた降雨水の流れにより培土が移動し易くな
り、しかも植生の上部側へ培土が移動して、風により飛
ばされ易くなることから、培土の移動や流失の問題がさ
らに助長される。
【0007】前記公報に記載の薄層屋上緑化設備は、防
水マット上に植生マットが直接的に設置され、排水マッ
トを有さないことから、降雨水は排水マットと比較して
排水抵抗が格段に大きくなる植生マット内を水平に移動
して外部に排出されることになり、前述のような排水の
メカニズムを完全に無視した設計になっている。
【0008】また、前記公報に記載の仕切材では、仕切
材に対して長さ方向に間隔をあけて排水孔を形成してい
るので、植生マットの下側に排水マットを配置させた場
合でも、仕切材のうちの排水孔間の部分からは排水され
ず、しかも排水マット自体が水平方向への降雨の排水抵
抗になることから、図19に示す薄層屋上緑化設備10
0のように、隣接する排水孔101間において薄層屋上
緑化設備100の外縁付近のハッチングで示す領域10
2と、薄層屋上緑化設備100の中央部のハッチングで
示す領域103とに降雨水の滞留し易い部分が発生す
る。そして、降雨水が多くなると、領域102に滞留す
る降雨水が仕切材104を乗り越えて外部に溢れ出し、
この越流水とともに植生マットの培土が外部に流失した
り、領域103に滞留する降雨水が植生マット内にまで
溢れて、培土が降雨水の流れとともに薄層屋上緑化設備
の外縁側へ移動し、薄層屋上緑化設備の中央部に領域1
03に培土の少ない領域が発生したりして、引いては植
生が枯れるという致命的な問題に発展することが考えら
れる。
【0009】更に、排水マットとしては、一般に合成樹
脂繊維材を立体網状に成形したものが使用されている
が、耐圧強度に関する十分な検討がなされておらず、湿
潤状態での耐圧強度の低下や経年変化などにより、排水
マットの厚さが薄くなって、排水抵抗が増大したり許容
排水量が低下し、排水性能が全体的に低下するという問
題もある。
【0010】更にまた、前記公報に記載の仕切材では、
スラブに対して仕切材をボルトで固定する関係上、防水
シートにボルトの挿通孔が形成され、該部分から降雨水
がスラブと防水シート間に流れ込んだり、ボルトとスラ
ブ間の隙間を通ってスラブに染み込み、建築物に悪影響
を及ぼすという問題もある。
【0011】また、薄層屋上緑化設備で使用されている
仕切材は、前記公報に記載の仕切材のように建築物に対
して個別に固定しているが、相互に連結しないのが一般
的である関係上、前述のようなボルトを用いないで仕切
材を固定する場合、即ち接着剤等で仕切材を固定する場
合には、建築物に対する十分な取付強度を確保すること
が困難になり、強風等で仕切材が吹き飛ばされることも
考えられる。
【0012】本発明の目的は、排水マットの特性を踏ま
えた排水構造を採用することで、排水性能を十分に確保
して耐久性を向上可能な薄層屋上緑化設備を提供するこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段及びその作用】本発明に係
る薄層屋上緑化設備は、建築物の屋上に設置した複数の
排水マットと、これら複数の排水マットにわたってその
上側に設置した植生マットとを有し、前記排水マットを
相互に間隔をあけて設置して、隣接する排水マット間に
排水溝を形成したものである。
【0014】この薄層屋上緑化設備においては、隣接す
る排水マット間に排水溝を形成するので、降雨水は排水
マットから排水溝へ流れ込むまでの間においては、排水
マット内における水平方向への排水抵抗が作用するが、
一旦排水溝内に流入すると、ほとんど抵抗無く円滑に排
水溝を通って薄層屋上緑化設備外へ排出されることにな
る。つまり、この薄層屋上緑化設備では、排水抵抗を有
する排水マット内での排水距離を従来の設備と比較して
格段に短く設定でき、薄層屋上緑化設備の外縁部付近は
いうまでもなく、薄層屋上緑化設備の中央部において
も、円滑に降雨水を排出することが可能となる。このた
め、薄層屋上緑化設備の外縁部付近や中央部における降
雨水の滞留を防止して、降雨水の水位の上昇に起因する
培土の流失や移動、風による消失を効果的に防止でき
る。
【0015】ここで、前記排水溝の幅を30〜100m
mに設定することが好ましい。排水溝の幅が30mm未
満の場合には、通水性能を十分に確保できず、降雨量が
多くなると薄層屋上緑化設備の中央部において降雨水が
滞留し易くなり、100mmを越えると、植生マットが
排水溝内に沈み込まないように、排水溝の上側に植生マ
ットを支持する補強材を別途設ける必要があり、薄層屋
上緑化設備の製作コストが高くなる。
【0016】前記排水溝の深さを20〜50mmに設定
することが好ましい。排水溝の深さが20mm未満の場
合には、通水性能を十分に確保できず、降雨量が多くな
ると薄層屋上緑化設備の中央部において降雨水が滞留し
易くなり、50mmを越えると、排水マットの厚さが厚
くなって、その製作コストが高くなる。
【0017】(溝 蓋)前記排水溝の上面を閉鎖して排
水溝内への植生マットの沈み込みを防止する溝蓋であっ
て、排水溝よりも幅広に構成されて両側部が隣接する排
水マットの上側に設置される蓋本体と、隣接する排水マ
ットの側縁に沿って蓋本体から下方へ延びる1対の位置
規制部とを有する溝蓋を設けてもよい。このような溝蓋
を設けると、設備コストは多少高くなるが、排水溝の幅
を十分に確保して通水性能を向上できるとともに、排水
溝内に植生マットが沈み込んで溝断面が減少することを
防止でき所期の通水性能を長期にわたって維持すること
が可能となる。また、位置規制部により排水マットの間
隔が一様に設定されるので、地震等による排水溝の溝幅
の変動を防止できる。
【0018】前記溝蓋の位置規制部を板状に形成し、位
置規制部に排水マットと排水溝とを連通する複数の排水
孔を形成することが好ましい。このように構成すると、
位置規制部の強度を十分に確保しつつ、位置規制部を設
けることにより、排水溝の側面が滑らかになって降雨水
が流れ易くなるので、通水性能の一層の向上を計ること
ができる。
【0019】(排水マット)前記排水マットの上面の面
積を2500〜40000cm2に設定することが好ま
しい。排水マットの上面の面積は、2500cm2未満
の場合には、十分な排水性能を確保できるが、排水マッ
ト及び植生マットを建築物に固定するための止め金具の
個数が増えて製作コストが高くなるとともに、施工作業
が煩雑になり、40000cm2を越えると、降雨水が
多くなったときに排水マットの中央部の水位が高くなり
易くなる。
【0020】前記排水マットの図心から外縁までの最大
排水距離を25〜100cmに設定することが好まし
い。排水距離は25cm未満の場合には、十分な排水性
能を確保できるが、排水マット及び植生マットを建築物
に固定するための止め金具の個数が増えて製作コストが
高くなるとともに、施工作業が煩雑になり、100cm
を越えると、降雨水が多くなったときに排水マットの中
央部の水位が高くなり易くなる。
【0021】前記排水マットの湿潤状態での変形量10
%の耐圧強度を180〜900kg/m2に設定するこ
とが好ましい。耐圧強度が180kg/m2未満の場合
には、最も荷重制限が低い住宅の場合でも必要強度を長
期にわたって保証できない。耐圧強度が900kg/m
2を越える場合には、最も望ましく、いかなる室の種類
の荷重制限に対しても十分な強度を保証することができ
る。但し、その分水マットの製作コストが高くなる。
【0022】前記排水マットとして、耐圧強度を付与す
るための合成樹脂製の繊維材からなる芯材と、芯材より
も細かいメッシュの網状の合成樹脂製の繊維材からな
り、芯材の上下両面と左右両側面とにわたって外装した
表面材とを有し、表面材を芯材に熱融着させて両者を一
体化させた排水マットを用いることが好ましい。このよ
うに構成すると、強度を発揮する芯材の量を減らして水
平方向への排水抵抗を減らすことができ、また細かいメ
ッシュの表面材で植生マットを受け止めることができる
ので、植生マットが排水マットにめり込むことを防止し
て、排水マット内における水平方向への排水性能の低下
を防止できるとともに、表面材を芯材に熱融着させるこ
とで、芯材の倒れを防止して排水マットの耐圧強度を容
易に向上できる。
【0023】(固定金具)前記排水マット及び植生マッ
トを建築物に固定する固定金具であって、ベース板と、
ベース板に立設固定した支柱と、支柱の途中部に上下移
動自在に装着した中間板と、支柱の端部に着脱自在に固
定したトップ板とを備え、隣接する排水マットにわたっ
てその下側にベース板を、またその上側に中間板を設置
するとともに、トップ板を植生マットの上側に配置し、
これら3枚の板を支柱で一体化してなる固定金具を設け
てもよい。このような固定金具は、建築物に敷設した防
水シートに対して一定間隔おきに接着剤や両面テープで
固定される。この発明では、固定金具を3枚構造に構成
し、排水マットをベース板と中間板間に挟持して隣接す
る排水マットを一体的に連結するので、敷設する全ての
排水マットを一体的に連結し、これに植生マットを固定
できるので、建築物に対する植生マット及び排水マット
の取付強度を格段に向上できる。
【0024】前記固定金具の支柱をボルト部材で構成
し、ベース部材を支柱に固定するための第1ナット部材
と、ベース板と中間板間に排水マットを挟持するための
第2ナット部材と、トップ板を植生マットに押し付ける
ための袋ナットとを設けたものである。このように構成
することで、固定金具を汎用製品で構成することが可能
となり、高さの調整が支柱ボルト部材の変更で容易にで
きる。また、その製作コストを極力低減しつつ、強風に
よる植生マットの剥離を防止できる。また、支柱の先端
部に袋ナットを螺合させ、支柱がそのまま上方へ突出す
ることを防止できるので、保守点検などのために薄層屋
上緑化設備上を移動しているときに、支柱の先端部が足
に突き刺さるという不具合を防止して、保守点検時等に
おける作業の安全性を向上できる。
【0025】前記ベース板及び中間板に排水マットに係
合する係合爪を一体的に形成し、トップ板に植生マット
に係合する係合爪を一体的に形成してもよい。この場合
には、隣接する排水マットの連結強度を一層向上できる
とともに、トップ板と植生マットとの係合強度を高め
て、強風等による植生マットや排水マットの剥離を一層
効果的に防止できる。
【0026】前記ベース板に排水マットの側縁に当接し
て排水マットの側端位置を位置決めする位置決め部を一
体的に形成してもよい。このように構成すると、建築物
の防水シート上に設定間隔おきにベース板を固定し、こ
のベース板の位置決め部に側縁を当接させて排水マット
を設置することで、排水マットを適正位置に容易に設置
することが可能となり、排水マットの施工作業の作業性
を格段に向上できる。
【0027】(仕切材)前記排水マットと植生マットを
含む薄層緑化積層体の側縁に沿って配置される仕切材で
あって、排水マットの下側に配置される固定部と、薄層
緑化積層体の外側面に沿って配置される板状の仕切部と
を有し、前記仕切部の下部にその略全長にわたって、複
数の排水孔を打抜金網状に形成してなる排水部を設けて
なる仕切材を設けてもよい。この場合には、仕切部の下
部にその略全長にわたって、複数の排水孔を打抜金網状
に形成してなる排水部を設けることにより、排水孔の総
開口面積を十分に確保できるとともに、排水孔を仕切材
の全長にわたって略均一に分散できる。このため、薄層
緑化積層体から外部への排水を円滑に且つ仕切材の全長
にわたって均一に行うことが可能となり、仕切材の排水
不良に起因する、薄層屋上緑化設備の部分的な降雨水の
水位の上昇や、仕切材における降雨水の越流を防止し
て、降雨水による培土の流失や移動、風による消失を効
果的に防止できる。
【0028】前記排水部を薄層緑化積層体に積層される
遮根シートに対面する位置よりも下側にのみ形成するこ
とが好ましい。薄層緑化積層体としては、排水マットと
遮根シートと植生マットを順次積層したものが広く採用
されており、遮根シートよりも上側に排水部を形成する
と、排水孔からセダム等の植生の根が外部へ伸びて、薄
層屋上緑化設備の外観が低下するので、排水部は遮根シ
ートに対面する位置よりも下側にのみ形成することが好
ましい。
【0029】前記仕切部の単位長さ当たりの排水孔の総
開口面積を12000〜30000mm2/mに設定し
たものである。仕切部の単位長さにおける排水孔の総開
口面積が30000mm2/mよりも大きいと、排水部
における部材の強度を十分に確保できず、また1200
0mm2/mよりも小さいと、十分な排水性能を確保で
きないので、12000〜30000mm2/mに設定
することが好ましい。
【0030】仕切部と排水マット間に排水溝に連なる外
周排水溝が形成されるように仕切材を設けてもよい。こ
の場合には、仕切部の長さ方向の各部における、排水マ
ットから仕切部へ供給される降雨水量のバラツキを外縁
排水溝内において平滑にして、薄層緑化積層体から外部
への排水を仕切材の全長にわたってより均一に行うこと
が可能となり、仕切材の排水性能を一層向上することが
可能となる。
【0031】また、前記固定部に排水マットの側端位置
を位置決めするための位置決め部を、仕切部から一定距
離隔てた位置に形成し、位置決め部に対して排水マット
の側縁を当接させて薄層緑化積層体を設置することで、
排水マットと仕切部間に一定幅の外縁排水溝を形成して
もよい。このように構成すると、薄層緑化積層体を仕切
材に沿って施工するときに、排水マットの側縁を位置決
め部に当接させて仕切材を施工することで、仕切部と排
水マットの側縁間に一定幅の排水溝を容易に形成するこ
とが可能となる。尚、位置決め部は予め立起させておい
てもよいが、施工時に立起させるように構成すると、仕
切材をコンパクトに重ねて配置できるので、輸送性や保
管性を改善する上で好ましい。更に、このような位置決
め部を設けると、地震等による排水マットの水平方向に
対する位置ズレを防止できるので好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図1、図2、図1
0、図12に示すように、薄層屋上緑化設備1は、建築
物2のスラブや屋根上に敷設した防水シート3と、防水
シート3上に設置した薄層緑化積層体4と、薄層緑化積
層体4の側縁に沿って設けた仕切材10と薄層緑化積層
体4を防水シート3に固定するための固定金具50とを
備えている。
【0033】防水シート3としては、加硫ゴム系、非加
硫ゴム系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂
系、改質アスファルト系などの周知の防水シート3を採
用でき、この防水シート3は建築物2のスラブや屋根に
敷設され、接着剤により建築物2に固定されている。ま
た、この防水シート3を施工する際には、幅1.0〜
2.0mの汎用の防水シートの原反を施工現場へ搬送
し、施工現場において建築物2のスラブや屋根に接着剤
を塗布した状態で、側縁の一部を重ね併せて必要箇所に
敷設し、重ね合わせ部分を融着させて施工することにな
る。防水シート3の敷設範囲は、少なくとも薄層緑化積
層体4の下側の領域全体に形成されていればよいが、薄
層緑化積層体4からはみ出して設けてもよい。また、防
水シート3に代えて、防水塗料を塗布したり吹き付けた
りして、防水性を有するプライマー層を形成してもよい
し、建築物2に形成されている既設の防水層をそのまま
利用してもよい。
【0034】薄層緑化積層体4は、排水マット5と遮根
シート6と植生マット7とを下側から順番に積層してな
るもので、既設の建築物2に対して施工できるように、
薄層緑化積層体4と防水シート3との合計重量が、建築
基準法の許容積載荷重に準拠して、許容積載荷重よりも
小さくなるように設定されている。具体的には、許容積
載荷重は室の種類によって異なり、例えば住宅の場合に
は130kg/m2、事務室の場合には180kg/
2、教室の場合には210kg/m2、百貨店又は店舗
の売り場の場合には240kg/m2にそれぞれ設定さ
れていることから、薄層緑化積層体4と防水シート3と
の合計重量は、これらの許容積載荷重よりも小さく設定
することになるが、室の種類によって重量を変更すると
汎用性が低下するので、許容積載荷重が最も小さい住宅
の許容積載荷重を基準にして、130kg/m2以下、
好ましくは20〜60kg/m2に設定することにな
る。
【0035】植生マット7は、アルブム、タイトゴメ、
リフレクサム、マルバマンネン、メキシコマンネンなど
のベンケイソウ科に属するセダム類や芝生などのよう
に、比較的乾燥に強い植生を薄い培土に植え付けてマッ
ト状にした、周知の構成のものである。この植生マット
7としては、薄層屋上緑化設備1の形状に応じた任意の
形状のものを採用できるが、汎用性を高めるため、平面
サイズが50cm×100cm或いは100cm×10
0cmの長方形又は正方形のマット状に成形したものを
好適に利用できる。
【0036】遮根シート6は、植生マット7からの水は
通すが植生の根の通過を阻止するもので、合成繊維や天
然繊維からなる透水性に優れた織布や不織布に根が嫌う
薬剤を含浸させたもので、その側端部は植生マット7の
側縁に沿って上方へ折曲されている。この遮根シート6
としては任意の厚さのものを採用できるが、薄層緑化積
層体4の厚さをできるだけ薄肉軽量に構成するため、植
生の根の通過を阻止できる範囲で極力薄肉に構成するこ
とが好ましく、例えば厚さ2mm以下に設定することに
なる。遮根シート6としては、例えば幅1.0〜2.0
mの汎用サイズのものを使用し、隣接する遮根シート6
に関してはその側縁を30cm重ねて施工することにな
る。
【0037】排水マット5は、遮根シート6を通過した
植生マット7からの水を薄層緑化積層体4外へ円滑に排
出するためのもので、耐圧強度を付与するための合成樹
脂製の繊維材からなる図示外の芯材と、芯材よりも細か
いメッシュの網状の合成樹脂製の繊維材からなり、芯材
の少なくとも上下両面と長手方向両側の左右両側面に外
装した表面材とからなり、表面材を芯材に熱融着させ
て、両者を一体化させた空隙の多い網状構造に構成され
ている。より具体的には、合成樹脂製の繊維材を押出成
形法によりマット状に成形した芯材を製作するととも
に、合成樹脂製の繊維材を網状に編製してなる筒状或い
は平坦な表面材を製作し、芯材を筒状の表面材に内装し
たり、芯材に平坦な表面材を巻き付け、両者を加熱融着
させて一体化させ、必要な耐圧強度を確保しつつ大きな
空隙を持つ立体網状構造体に構成されている。この排水
マット5では、芯材の上下両面及び左右側面を表面材で
被覆し、芯材と表面材を融着させるので、芯材を構成す
る各ループの横倒れを防止することが可能となり、同一
線径の繊維材を採用しつつ排水マット5の耐圧強度を向
上できる。但し、十分な耐圧強度と排水性能を確保で
き、しかも安価に製作可能なものであれば、任意の構成
の排水マットを採用することが可能である。
【0038】排水マット5の長期荷重強度(但し、変形
量10%)は、湿潤状態での全面載荷で1800kg/
2以上に設定することが好ましいが、耐圧強度を高く
すると、それに応じて排水マット5の芯材を構成する繊
維材の線径が太くなって製作コストが高くなるので、製
作コスト及び安全率を考慮して、180〜900kg/
2とすることが好ましい。また、短期荷重強度(但
し、変形量10%)は、乾燥状態での局部載荷で300
0kg/m2以上に設定することが好ましいが、製作コ
スト及び安全率を考慮して、2000〜7000kg/
2にすることが好ましい。尚、後述のように排水溝8
を形成した場合において、排水マット5の高さが低くな
ると、それに応じて排水マット5内における排水性能や
排水溝8内における通水性能が低下するので、排水性能
や通水性能を十分に確保可能な排水マット5の変形量が
10%のときの荷重を求めた。
【0039】排水マット5の素材としては、耐環境性に
優れ十分な耐圧強度を確保できるものであれば任意の素
材を採用でき、例えばポリエチレンやポリプロピレンや
ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂材料を好適
に利用できる。特に、ポリプロピレンは、耐酸性、耐ア
ルカリ性、耐微生物性などに優れた特性を有するので好
適である。
【0040】本発明の特徴とする構成は、このような構
成の排水マット5を防水シート3上に相互に間隔をあけ
て配置することにより、排水マット5間に排水溝8を形
成して、図1に示すように、薄層屋上緑化設備1の全体
に格子状に排水溝8を形成し、また排水マット5を比較
的小型なマット状に構成することにより、排水マット5
の図心からその外側縁、即ち排水溝8までの最大排水距
離を極力短く設定して、排水マット5内における降雨水
の滞留を少なくし、薄層屋上緑化設備1の排水性能を全
体的に高めて、排水不良による培土の流失や移動を防止
するように構成した点にある。尚、遮根シート6及び植
生マット7は隣接する複数の排水マット5にわたって敷
設される。また、隣接配置される複数の排水マットを1
単位とし、隣接する単位間に排水溝を形成してもよい。
【0041】このため、排水マット5の厚さ(排水溝8
の深さ)、排水マット5の上面の面積、排水マット5の
図心からの外側縁までの最大排水距離、排水溝8の幅は
それぞれ次のように設定されている。排水マット5の厚
さは、20mm未満の場合には、排水溝8の深さが低く
なって十分な通水性能を確保できず、50mmを越える
と排水マット5の製作コストが高くなるので、20〜5
0mmに設定されている。
【0042】排水マット5の平面サイズは、固定金具5
0により、植生マット7とともに排水マット5をその四
隅で固定できるようにするため、基本的には植生マット
7の平面サイズから排水溝8の溝幅を差し引いたサイズ
に設定することになるが、排水マット5の上面の面積が
大きくなりすぎると、排水マット5の中央部において降
雨水の滞留が発生し易くなり、小さすぎると建築物2に
対して排水マット5を固定するための固定金具50の個
数が多くなり製作コストが高くなるとともに施工作業が
煩雑になるので、排水マット5の上面の面積は2500
〜40000cm2に設定することが好ましい。
【0043】排水マット5の図心から外側縁までの最大
排水距離は、25cm未満の場合には排水マット5の中
央部において降雨水の滞留が発生し易くなり、100c
mを越えると、建築物2に対して排水マット5を固定す
るための固定金具50の個数が多くなって、製作コスト
が高くなるとともに施工作業が煩雑になるので、25〜
100cmに設定することが好ましい。
【0044】排水溝8の幅は、30mm未満の場合に
は、排水量を十分に確保できず、降雨量が多くなると薄
層屋上緑化設備1の中央部において降雨水の滞留が発生
することがあり、100mmを越えると、植生マット7
が排水溝8内に沈み込まないように、排水溝8内におい
て植生マット7を支持する補強材を別途設ける必要があ
り、薄層屋上緑化設備1の製作コストが高くなるので、
30〜100mmに設定することが好ましい。
【0045】このように排水マット5を比較的小型なマ
ット状に構成するとともに、隣接する排水マット5間に
排水溝8を形成して、薄層屋上緑化設備1の全体に格子
状に排水溝8を形成することで、各排水マット5内にお
ける降雨水の水平方向への移動距離(排水距離)を極力
短く設定して、排水マット5内における降雨水の滞留を
少なくでき、しかも各排水マット5から排水溝8内に排
出された降雨水を流通抵抗の少ない排水溝8から薄層屋
上緑化設備1外へ円滑に排出できるので、排水不良によ
る培土の流失や移動を防止できることになる。
【0046】(仕切材)次に、薄層屋上緑化設備1の外
縁部に配置される仕切材10について説明する。仕切材
10は、図2〜図5に示すように、ステンレス板や鉄板
などの金属製の一定長さの帯板をその幅方向の途中部に
おいて約90°折曲して断面略L字状に形成したもの
で、薄層緑化積層体4の側縁部と防水シート3間に配置
される固定部11と、固定部11の側縁から薄層緑化積
層体4の側面に沿って上方へ延びる仕切部12とを備え
ている。この仕切材10は、後述する連結手段13を介
して長さ方向に連結され、薄層緑化積層体4の外側縁に
沿って連続的に配置されている。尚、鉄板のように錆び
やすい素材で構成する場合には、加工後に防錆処理を施
すことになる。
【0047】排水マット5と仕切材10の仕切部12間
には外周排水溝9が形成され、この外周排水溝9は排水
溝8に連通されている。このように、外周排水溝9を形
成すると、排水溝8から薄層屋上緑化設備1の外縁部へ
流れ込む降雨水量のバラツキを外縁排水溝9内において
平滑にできるので、仕切材10からの排水を全長にわた
ってより均一に行うことが可能となり、薄層屋上緑化設
備1の外縁部における排水性能を一層向上することが可
能となる。但し、仕切材10を設けないで水はけの良い
構造、例えば砂利等を薄層緑化積層体4の外側に配置さ
せて、薄層緑化積層体4の側縁の全体から一様に排水で
きるように構成する場合には、外周排水溝9を省略して
もよい。
【0048】仕切部12の上端部には折返部14が形成
され、仕切材10の強度アップと、仕切材10を取り扱
う際における安全性を向上するように構成され、仕切部
12の下半部には、複数の排水孔15が打抜金網状(パ
ンチングメタル状)に一体形成され、これら複数の排水
孔15により降雨等を薄層緑化積層体4から外部へ排水
するための排水部16が形成されている。
【0049】排水孔15の形状は、丸孔状や角穴状、細
長いスリット状や十文字状、ハート形や星形、或いはこ
れらの組み合わせなど任意の形状に形成可能である。ま
た、図4に示すように千鳥状に配置してもよいし、縦横
の行列状に配置してもよい。更に、スリット状に形成す
る場合には、縦方向に細長く形成してもよいし、横方向
に細長く形成してもよいし、斜め方向に細長く形成して
もよい。更に、全ての排水孔15は、同じサイズに設定
してもよいが、意匠性を向上させるなどの目的で、異な
るサイズの排水孔15を形成してもよく、例えば上側へ
行くにしたがってサイズを小さく設定してもよい。
【0050】排水孔15は仕切部12の全面に設けるこ
とも可能ではあるが、仕切部12の強度が低下するの
で、仕切部12の下半部にのみ形成することが好まし
い。より具体的には、図2に示すように、排水孔15は
仕切部12の遮根シート6に対応する位置よりも下側に
配置され、植生の根が排水孔15から外部へ延びること
による、薄層屋上緑化設備1の外観低下が防止されるよ
うに構成されている。また、排水性能をできるだけ良好
に確保するため、仕切部12の下端部まで形成すること
が好ましい。特に、排水孔15の一部が固定部11側に
形成されるように構成すると、固定部11と仕切部12
との境界部にまで排水孔15を形成することが可能とな
り、排水性を向上できるとともに、仕切材10をL字状
に折り曲げて仕切部12と固定部11とを形成するとき
の加工性を向上できるので好ましい。但し、図3では、
固定部11と仕切部12の境界部が最下端の排水孔15
の途中部に位置するように仕切材10を折り曲げたが、
該境界部が幅方向の途中部の排水孔15に位置するよう
に仕切材10を折り曲げてもよい。また、図5に示すよ
うに、遮根シート6の外縁部を上方へ折曲させる場合に
は、遮根シート6の上端位置まで排水孔15を形成して
もよい。更に、遮根シート6の上縁部を折返部14内に
装着して、排水孔15を仕切部12の上端部まで形成し
てもよい。
【0051】排水孔15の直径は、排水性を十分に確保
しつつ仕切部12の強度を十分に確保するため4〜6m
mに設定することが好ましい。排水マット5に対面する
部分における仕切部12の単位長さあたりに対する排水
孔15の総開口面積は、12000〜30000mm2
/mに設定され、また排水部16における排水孔15の
開口率は30〜65%に設定されている。このように設
定すると、十分な排水性能を確保しつつ、仕切材10の
機械的強度を向上できるので好ましい。
【0052】固定部11には先端部を仕切部12の下端
に位置させた三角形状の折曲用切欠部17が一定間隔お
きに形成され、この折曲用切欠部17において仕切材1
0を薄層緑化積層体4の外縁に沿って折曲できるように
構成されている。折曲用切欠部17の個数は任意に設定
可能であるが、間隔が広すぎると薄層緑化積層体4の側
縁に沿って配置させる事が困難になり、狭すぎると、固
定部11の強度を十分に確保できないことから、200
〜300mmに1つの割合で形成することが好ましい。
【0053】折曲用切欠部17の形状は三角形状に形成
したが、少なくと固定部11の側縁から仕切部12の下
端部まで切り欠かれているものであれば、台形状や細長
いスリット状に形成することも可能である。
【0054】排水部16は仕切部12の全長にわたって
連続的に形成することも可能であるが、図6に示す仕切
材10Aのように間欠的に形成して、隣接する排水部1
6間に排水孔15を有しない補強部18を形成してもよ
い。補強部18の幅は任意に設定可能であるが、広すぎ
ると排水孔15の開口面積が少なくなって排水性能が低
下し、狭すぎると十分な強度アップを期待できないの
で、20〜100mmの範囲に設定することが好まし
い。また、この補強部18を折曲用切欠部17に対応さ
せて形成し、折曲用切欠部17における仕切材10の強
度低下を補償して、仕切材10が折曲用切欠部17にお
いて折曲することによる取扱性の低下を防止してもよ
い。
【0055】図2〜図6に示すように、固定部11の長
さ方向の途中部には仕切部12から一定の間隔をあけて
略U字状の立起用切欠部20が形成され、立起用切欠部
20の仕切部12側の両端部には折目線21に沿って内
側へ延びる折曲案内用の切欠部からなる折曲案内部21
aが形成され、立起用切欠部20と折目線21とで囲ま
れる部分には略台形状の位置決め部22が形成され、こ
の位置決め部22は、下側から手指で押し操作すること
で、折目線21に沿って折れ曲がって、固定部11の上
側に略垂直に立起するように構成されている。尚、位置
決め部22は、予め立起させておいてもよいが、仕切材
10をコンパクトに重ねることができなくなるので、必
要に応じて立起させることが好ましい。また、折曲案内
部21aとしては、切欠部以外に折り目やミシン目など
を形成してもよいし、これらを組み合わせて形成しても
よい。
【0056】この位置決め部22は、図2に示すよう
に、薄層緑化積層体4の側縁に仕切材10を施工すると
きに、位置決め部22を排水マット5の側縁に当接する
まで固定部11を排水マット5と防水シート3間に挿入
することで、排水マット5と仕切部12間に一定幅の外
周排水溝9が容易に形成されるようにするためのもので
ある。そして、このように排水マット5と仕切部12間
に外周排水溝9を形成することで、排水孔15が排水マ
ット5で塞がれて仕切材10における排水性能の低下が
防止されることになる。また、このような位置決め部2
2を設けると、地震等による排水マット5の水平方向に
対する位置ズレを防止できるので好ましい。
【0057】尚、位置決め部22は、任意の形状に形成
することが可能で、台形状以外の方形状や三角形状に形
成してもよい。例えば、図7に示す仕切材10Bのよう
に、立起用切欠部20に代えて略コ字状の立起用切欠部
20Bを形成し、台形状の位置決め部22に代えて方形
状の位置決め部22Bを立起可能の形成してもよいし、
図8に示す仕切材10Cのように、立起用切欠部20に
代えて固定部11の側縁から途中部まで延びる立起用切
欠部20Cを形成し、この立起用切欠部20Cの奧部に
方形状や三角形状の位置決め部22Cを立起可能に形成
してもよい。また、図2に仮想線で示すように、位置決
め部22の端部に排水マット5側へ折曲可能な係合部2
3を一体的に形成し、この係合部23を排水マット5に
係合させ、地震等による排水マット5端部の上下方向や
水平方向に対する位置ズレを防止してもよい。係合部2
3としては、排水マット5に挿入可能な形状であれば、
三角形状や鋸歯状などの任意の形状のものを採用でき
る。但し、この位置決め部22、22B、22Cは必ず
しも必要なものではなく、省略することも可能である。
【0058】次に、仕切材10の具体例について説明す
ると、図4に示すように、例えば厚さ1mm、幅150
mm、長さL1が2000mmのステンレス鋼板をその
幅方向の途中部で折曲して、幅W1が80mmの固定部
11と、高さH1が70mmの仕切部12とを形成し、
固定部11に底辺の長さBが80mmの二等辺三角形状
の折曲用切欠部17を仕切材10の長さ方向に250m
mのピッチPで一定間隔おきに形成し、仕切部12の下
部に仕切部12の下端からの高さH2が30mmの範囲
に、直径5mmの排水孔15を千鳥状に形成した排水部
16を仕切材10の全長に形成し、固定部11に仕切部
12からの距離L2が25mmの位置に高さH3が20
mmの略U字状の立起用切欠部20を形成することにな
る。
【0059】連結手段13は、図3、図9に示すよう
に、薄層緑化積層体4側において仕切部12と固定部1
1とに沿って配置可能な縦壁部30と水平壁部31とを
有する断面略L字状の連結板32と、仕切部12に連結
板32を固定するボルト部材33及びナット部材34と
を備えている。
【0060】仕切部12の両端部上部にはボルト部材3
3の取付孔35が形成され、連結板32の縦壁部30の
両端上部には取付孔35に対応させてボルト部材33の
挿通孔36が形成されている。連結板32の挿通孔36
間の距離は、隣接する仕切材10を突き合わせた状態
で、その突き合わせ側において隣接する取付孔35間の
距離と同じに設定され、2本の仕切材10を略隙間なく
直列状に連結できるように構成されている。
【0061】縦壁部30の高さは仕切材10の折返部1
4の下端の高さよりも高く設定され、連結板32はその
縦壁部30の上端部を折返部14に内嵌装着することに
より強固に組付けられている。縦壁部30の下部には仕
切材10の排水孔15に対応させて排水孔37が形成さ
れ、連結板32を仕切材10に組み付けた状態で両排水
孔15,37を連通させることで、連結板32を設けた
位置における排水性の低下を防止できるように構成され
ている。
【0062】水平壁部31には折曲用切欠部17に対応
させて折曲用切欠部38が形成され、仕切材10をその
連結部分において薄層緑化積層体4の外縁形状に応じて
折曲できるように構成されている。
【0063】この連結手段13を用いて2本の仕切材1
0を連結する際には、縦壁部30の上端部を折返部14
に内嵌装着して、縦壁部30と水平壁部31とを仕切材
10の仕切部12と固定部11とに密接させ、更に両排
水孔15,37が連通するように連結板32を位置合わ
せした状態で、2本のボルト部材33を2つの取付孔3
5と挿通孔36とにわたってそれぞれ挿通させて、ボル
ト部材33にナット部材34を締結することで、2本の
仕切材10を直列状に連結することになる。
【0064】尚、連結板32に形成する排水孔37の直
径を仕切材10に形成する排水孔15よりも多少大径に
構成して、両排水孔15,37とが容易に連通できるよ
うに構成してもよい。また、ボルト部材33とナット部
材34に代えて、リベット等の固定具を介して連結板3
2と仕切材10とを連結してもよいし、これらの固定具
と接着剤とを併用して連結板32を仕切材10と連結し
てもよい。更に、連結板32を省略して隣接する仕切材
10の少なくとも仕切部12を重ね合わせ、この重ね合
わせた部分において前述のような固定具で両仕切材10
を連結してもよい。
【0065】(溝蓋)排水溝8の幅を広く設定すると経
年変化により植生マット7が排水溝8内に沈み込んで溝
断面が小さくなり、通水性能が低下することが考えられ
るので、次のような構成の溝蓋40を設けてもよい。図
10、図11に示すように、この溝蓋40は、射出成形
などにより一体成形した合成樹脂材料からなる断面略Π
字状の素細長い部材で、排水溝8よりも幅広に構成され
て両側部が隣接する排水マット5の上側に設置される蓋
本体41と、隣接する排水マット5の側縁に沿って蓋本
体41から下方へ延びる1対の位置規制部42とを備え
ている。
【0066】蓋本体41は、平坦な板状に形成され、そ
の両側部には隣接する排水マット5上に載置されて溝蓋
40を支持する支持部が位置規制部42から側方へ突出
状に形成されている。尚、位置規制部42間において蓋
本体41に、一定間隔おきに排水用の貫通孔を形成し、
蓋本体41の上側の植生マット7から排水溝8への排水
性を高めるためるように構成してもよい。
【0067】位置規制部42は上下方向に延びる板状に
形成され、その途中部には排水マット5と排水溝8とを
連通する複数の排水孔43が、例えば図11(a)
(b)(c)で示すような配列で形成されている。排水
孔43の形状は、丸孔状や角穴状、細長いスリット状や
十文字状、ハート形や星形、或いはこれらの組み合わせ
など任意の形状に形成可能である。また、千鳥状に配置
してもよいし、縦横の行列状に配置してもよい。位置規
制部42の上下方向のサイズは、排水マット5と同じ厚
さに設定してもよいが、使用する排水マット5の最も薄
いものより多少小さく設定して、両排水マット5に浮か
した状態に支持すると、厚さの異なる排水マット5に対
して同一構成の溝蓋40を適用できるので好ましい。
尚、板状の位置規制部42に代えて、棒状部材の位置規
制部を蓋本体41の長さ方向に一定間隔おきに突出状に
形成してもよい。
【0068】尚、溝蓋40としては、排水溝8内への植
生マット7の沈み込みを防止できるものであれば、任意
の構成のものを採用できる。例えば、複数の排水孔を形
成した断面略コ字状に構成し、開口が下側へ向くように
この溝蓋を排水溝8内に装着してもよい。また、全体を
網状に構成して通水性を高めても良い。更に、排水溝8
の上側において隣接する排水マット5に一定間隔おきに
桟を配置させて、排水溝8の上側における植生マット7
の排水溝8内への沈み込みを防止してもよい。更にま
た、外周排水溝9の上側にも、溝蓋40と同様の目的で
溝蓋を設けてもよい。但し、この溝蓋40は、セダムの
ように植生マット7が軽量で、しかも排水溝8の溝幅が
比較的狭い場合、例えば溝幅が30〜60mmの場合に
は、植生マット7が排水溝8内にほとんど沈み込まない
ので省略してもよい。
【0069】(固定金具)次に、薄層緑化積層体4を建
築部に固定するための固定金具50について説明する。
図1、図12〜図17に示すように、固定金具50は、
ベース板51と、ボルト部材からなる支柱52と、支柱
52をベース板51に立設固定するために支柱52の下
端部に螺合させた第1ナット部材53と、支柱52の途
中部に上下移動自在に装着した中間板54と、中間板5
4を下側へ操作するために支柱52の途中部に螺合させ
た第2ナット部材55と、支柱52の端部に着脱自在に
装着したトップ板56と、支柱52の端部に螺合させた
袋ナット57とを備えている。尚、符号58は、支柱5
2に装着したワッシャである。
【0070】この固定金具50は、排水溝8の交差部に
おける防水シート3上と、排水溝8と外周排水溝9との
交差部における仕切材10の固定部11上とにおいて、
ベース板51を接着剤や両面テープで固定して設置され
ている。そして、この固定金具50のベース板51と中
間板54間において隣接する排水マット5の4隅を挟持
することで、排水マット5を建築物2に固定するととも
に、隣接する排水マット5を連結し、更に排水マット5
上に遮根シート6を敷設し、その上に設置した植生マッ
ト7の4隅をトップ板56で押さえ込むことで、薄層緑
化積層体4を建築物2に固定するように構成されてい
る。但し、1枚の植生マット7の下側に2枚以上の排水
マット5を隣接配置させる場合には、これら複数枚の排
水マット5を連結する固定金具として、固定金具50に
おいて、短尺な支柱を用いるとともに、トップ板56を
省略し、ベース板51と中間板54とで排水マット5は
挟持するが、植生マット7はトップ板56で押さえない
ように構成してもよい。また、遮根シート6は中間板5
4の下側には配置させてもよい。
【0071】ベース板51と中間板54とトップ板56
とは、平坦なステンレス鋼板や鉄板などの金属板をプレ
ス成形して製作したもので、ステンレス鋼板のように耐
食性に優れた金属板を用いる場合には、プレス成形して
そのまま使用できるが、鉄板のように錆びやすい素材で
構成する場合には、プレス加工後に防錆処理を施すこと
になる。
【0072】ベース板51の中央部には支柱52が挿通
する挿通孔51aが形成され、ベース板51の四隅には
排水マット5に差し込まれる係合爪51bがベース板5
1の四隅を上方へ折曲させて形成され、ベース板51の
四隅の近傍部には排水マット5の隅部を位置決めするた
めの1対の台形状の位置決め部51cが切り起こしによ
りそれぞれ形成され、排水マット5は、隅部の2辺を位
置決め部51cの側面に当接させて位置決めした状態
で、隅部を係合爪51bに突き刺して、ベース板51に
位置決め係合されている。係合爪51bはその基部の両
端部を切り欠いて矢印状に形成され、排水マット5に突
き刺した状態で係合爪51bが抜け難くなるように構成
されている。
【0073】中間板54の中央部には支柱52が挿通す
る挿通孔54aが形成され、中間板54の四隅には排水
マット5に差し込まれる第1係合爪54bが中間板54
の四隅を下方へ折曲させて形成され、中間板54の四隅
の近傍部には第2係合爪54cが切り起こしにより形成
され、中間板54は第1係合爪54b及び第2係合爪5
4cを排水マット5に突き刺して排水マット5に係合さ
れている。この第1係合爪54bもベース板51に形成
した係合爪51bと同様に、基部の両端部を切り欠いて
矢印状に形成されている。
【0074】トップ板56は、隣接する4枚の植生マッ
ト7を押さえつつ、植栽の生育を阻害しないようにその
面積を極力小さくするため、略十文字状に形成されてい
る。トップ板56の中央部には支柱52が挿通する挿通
孔56aが形成され、トップ板56の4つの腕部56b
には下方へ延びて植生マット7に差し込まれる係合爪5
6cが切り起こしにより形成され、トップ板56は係合
爪56cを植生マット7に突き刺して植生マット7に係
合されている。
【0075】尚、固定金具50としては、薄層緑化積層
体4を強固に防水シート3に固定できるものであれば、
任意の構成のものを採用することが可能である。前記固
定金具50の中間板54を省略した周知の構成の固定金
具を採用することも可能である。また、この固定金具5
0は、排水溝8や外周排水溝9を有しないような薄層屋
上緑化設備に対しても適用できる。
【0076】次に、薄層屋上緑化設備1の施工方法につ
いて説明する。先ず、屋上スラブや屋根上に防水シート
3を敷設固定するとともに、ベース板51の挿通孔51
aに支柱52を挿通させて、第1ナット部材53を支柱
52に螺合させ、ベース板51に支柱52を立設固定す
る。
【0077】次に、図1、図12に示すように、排水溝
8の交差部に対応する防水シート3上に、支柱52を立
設させたベース板51を接着剤や両面テープで順次固定
するとともに、仕切材10を薄層屋上緑化設備1の外縁
に沿って折曲させて、仕切部10の固定部11を防水シ
ート3上に接着剤や両面テープで順次固定し、更に隣接
する仕切材10を連結板32で連結するとともに、排水
溝8と外周排水溝9との交差部において固定部11上
に、支柱52を立設させたベース板51を接着剤や両面
テープで順次固定する。
【0078】次に、図2、図12に示すように、排水マ
ット5間に所定幅の排水溝8を形成されるように、薄層
屋上緑化設備1の中央部の排水マット5に関しては、そ
の四隅をベース板51の位置決め部51cの側面に当接
させて、ベース板51で位置決めしながら設置するとと
もに、仕切部10と排水マット5間に所定幅の外周排水
溝9が形成されるように、薄層屋上緑化設備1の外縁部
の排水マット5に関しては、その四隅をベース板51の
位置決め部51c及び仕切材10の位置決め部22で位
置決めしながら設置する。このようにベース板51及び
仕切材10で位置決めしながら排水マット5を設置でき
るので、ベース板51及び仕切材10を予め適正な位置
に施工することで、排水マット5間に要求幅の排水溝8
が、また排水マット5と仕切部11間に要求幅の外周排
水溝9が形成されるように排水マット5を容易に施工す
ることが可能となる。
【0079】次に、排水溝8が閉鎖されるように溝蓋4
0を装着し、排水マット5から上方へ突出する支柱52
に対して中間板54を装着して、第2ナット部材55を
支柱52に締結し、ベース板51と中間板54間に排水
マット5を挟持する。この状態で、ベース板51の係合
爪51b及び中間板54の第1係合爪54bと第2係合
爪54cとが排水マット5に係合して、隣接する排水マ
ット5が連結され、風などによる植生マット7の剥離が
効果的に防止され、引いては排水マット5の剥離が効果
的に防止されることになる。但し、固定金具50で植生
マット7を押さえない場合には、支柱52を短尺に構成
し、遮根シート6の敷設後、遮根シート6から上方へ突
出する支柱に中間板54を装着して、第2ナット部材5
5を支柱に締結し、ベース板51と中間板54間に排水
マット5を挟持することになる。
【0080】次に、複数の排水マット5にわたって遮根
シート6を敷設してから、四隅に支柱52が位置するよ
うに遮根シート6上に植生マット7をセットし、植生マ
ット7の上側からトップ板56を支柱52に装着して、
支柱52の上端部に袋ナット57を螺合させ、隣接する
4枚の植生マット7の隅部をトップ板56で押さえて、
薄層屋上緑化設備1を施工することになる。
【0081】このように、この薄層屋上緑化設備1で
は、排水溝8の交差部の防水シート3上と、排水溝8と
外周排水溝9との交差部の固定部11上に固定金具50
を固定し、固定金具50のベース板51と中間板54に
より、隣接する排水マット5の四隅を挟持して、敷設す
る全ての排水マット5を一体的に連結し、これに植生マ
ット7を固定するので、植生マット7及び排水マット5
を強固に建築物2に固定することが可能となり、強風に
よる植生マット7や排水マット5の剥離や地震等による
植生マット7や排水マット5の水平方向の移動を効果的
に防止できる。
【0082】尚、本実施例では、植生マット7を平坦に
敷設する場合について説明したが、図18に示すよう
に、植生マット7を山形に配置させて薄層屋上緑化設備
1に築山を形成する場合には、前記と同様にして、防水
シート3の所定位置に支柱52を立設固定したベース板
51を固定してから、防水シート3上に排水マット5及
び遮根シート6を順次配置させ、遮根シート6上にポリ
エチレンによる立体網状構造体や、ポリエチレンやポリ
プロピレンなどの発泡成形体からなるブロック状の嵩上
げ材60を設置するとともに、その上に繊維材などから
なる充填材61を装填し、更にその上に第2遮根シート
62を敷設してから植生マット7を設置することにな
る。また、建築物2に対する植生マット7の固定は、前
記固定金具50における支柱52に代えて、長尺な支柱
を用いたり、支柱52に対してネジ棒63を連結ナット
64で連結し、このように延長した支柱の上端にトップ
板56を装着し、更にパッキン65を装着してから袋ナ
ット57を締結することで、植生マット7に沿った傾斜
状にトップ板56を配置して、トップ板56により植生
マット7を固定することになる。パッキン65として
は、トップ板56の傾斜に応じて変形可能な合成ゴムや
コイルバネなどからなる弾性パッキンや、該傾斜に応じ
た傾斜面を形成した剛体からなるパッキン等を使用でき
る。
【0083】
【発明の効果】本発明に係る薄層屋上緑化設備によれ
ば、隣接する排水マット間に排水溝を形成するという簡
単な構成で、降雨水を円滑に薄層屋上緑化設備外へ排出
することが可能となり、薄層屋上緑化設備の外縁部付近
や中央部における降雨水の滞留を防止して、降雨水の水
位の上昇に起因する培土の流失や移動、風による消失を
効果的に防止できる。
【0084】ここで、排水溝の幅を30〜100mmに
設定すると、通水性能を十分に確保しつつ、補強材を別
途設けることなく排水溝内への植生マットの沈み込みを
防止できる。
【0085】排水溝の深さを20〜50mmに設定する
と、通水性能を十分に確保しつつ、排水マットが厚くな
ることによる製作コストの上昇を抑制できる。
【0086】(溝 蓋)排水溝の上面を閉鎖して排水溝
内への植生マットの沈み込みを防止する溝蓋を設ける
と、設備コストは多少高くなるが、排水溝内に植生マッ
トが沈み込んで溝断面が減少することを防止でき、所期
の通水性能を長期にわたって維持することが可能とな
る。また、位置規制部により排水マットの間隔が一様に
設定されるので、溝の通水性能が向上し、地震等による
排水溝の溝幅の変動を防止できる。
【0087】溝蓋の位置規制部を板状に形成し、位置規
制部に排水マットと排水溝とを連通する複数の排水孔を
形成すると、位置規制部の強度を十分に確保しつつ、位
置規制部を設けることにより、溝の通水性能の向上を計
ることができる。
【0088】(排水マット)排水マットの上面の面積を
2500〜40000cm2に設定したり、排水マット
の図心から外縁までの最大排水距離を25〜100cm
に設定すると、止め金具の個数を抑えて、製作コストの
上昇及び施工作業の煩雑さを抑制しつつ、排水マットの
中央部における降雨水の排水性を十分に確保できる。
【0089】排水マットの湿潤状態での変形量10%の
長期耐圧強度を180〜900kg/m2に設定する
と、建築物の種類による荷重制限を満たす製品とするこ
とができ、長期的な使用に対しても品質を保証すること
ができる。それ以上に耐圧強度を上げれば、それだけ保
証が確保されるが、経済性は劣る傾向となる。
【0090】排水マットとして、芯材と表面材とからな
り、表面材を芯材に熱融着させて、両者を一体化させた
ものを用いると、細かいメッシュの表面材で植生マット
を受け止めることができるので、植生マットが排水マッ
トにめり込むことを防止して、排水マットにおける排水
性能の低下を防止できるとともに、表面材を芯材に熱融
着させることで、芯材の倒れを防止して排水マットの耐
圧強度を容易に向上できる。
【0091】(固定金具)固定金具として、ベース板と
支柱と中間板とトップ板とを備え、隣接する排水マット
にわたってその下側にベース板を、またその上側に中間
板を設置するとともに、トップ板を植生マットの上側に
配置し、これら3枚の板を支柱で一体化する固定金具を
設けると、敷設する全ての排水マットを一体的に連結
し、これに植生マットを固定できるので、建築物に対す
る植生マット及び排水マットの取付強度を格段に向上で
きる。
【0092】固定金具の支柱をボルト部材で構成し、ベ
ース部材を支柱に固定するための第1ナット部材と、ベ
ース板と中間板間に排水マットを挟持するための第2ナ
ット部材と、中間板とトップ板間に植生マットを挟持す
るための袋ナットとを設けると、固定金具を汎用製品で
構成することが可能となり、製作コストを極力低減しつ
つ、強風による植生マットの剥離を防止できる。また、
支柱の先端部に袋ナットを螺合させることで、保守点検
時等における移動の安全性を向上できる。
【0093】ベース板及び中間板に排水マットに係合す
る係合爪を一体的に形成し、トップ板に植生マットに係
合する係合爪を一体的に形成すると、隣接する排水マッ
トの連結強度を一層向上できるとともに、トップ板と植
生マットとの係合強度を高めて、強風等による植生マッ
トの剥離を一層効果的に防止できる。
【0094】ベース板に排水マットの側縁に当接して排
水マットの側端位置を位置決めする位置決め部を一体的
に形成すると、建築物の適正位置に固定したベース板の
位置決め部に、側縁を当接させて排水マットを設置する
ことで、排水マットを適正位置に容易に設置することが
可能となり、排水マットの施工作業の作業性を格段に向
上できる。
【0095】(仕切材)薄層屋上緑化設備の側縁に、固
定部と仕切部とを有し、仕切部の下部にその略全長にわ
たって、複数の排水孔を打抜金網状に形成してなる排水
部を設けてなる仕切材を設けると、排水孔の総開口面積
を十分に確保できるとともに、排水孔を仕切材の全長に
わたって略均一に分散できる。このため、薄層緑化積層
体から外部への排水を円滑に且つ仕切材の全長にわたっ
て均一に行うことが可能となり、仕切材の排水不良に起
因する、薄層屋上緑化設備の部分的な降雨水の上昇や、
仕切材における降雨水の越流を防止して、降雨水による
培土の流失や移動、風による消失を効果的に防止でき
る。
【0096】排水部を薄層緑化積層体に積層される遮根
シートに対面する位置よりも下側にのみ形成すると、排
水孔からセダム等の植生の根が外部へ伸びることを防止
して、植生の根による薄層屋上緑化設備の外観低下を防
止できる。
【0097】仕切部の単位長さ当たりの排水孔の総開口
面積を12000〜30000mm 2/mに設定する
と、仕切材の強度を十分に確保しつつ、その肉厚を極力
薄肉に構成して、仕切材の製作コストの上昇を抑制でき
るとともに、十分な排水性能を確保できる。
【0098】仕切部と排水マット間に排水溝に連なる外
周排水溝が形成されるように仕切材を設けると、仕切部
の長さ方向の各部における、排水マットから仕切部へ供
給される降雨水量のバラツキを外縁排水溝内において平
滑にして、薄層緑化積層体から外部への排水を仕切材の
全長にわたってより均一に行うことが可能となり、仕切
材の排水性能を一層向上することが可能となる。
【0099】また、前記固定部に位置決め部を形成する
と、薄層緑化積層体を仕切材に沿って施工するときに、
排水マットの側縁を位置決め部に当接させて仕切材を施
工することで、仕切部と排水マットの側縁間に一定幅の
排水溝を容易に形成することが可能となる。尚、位置決
め部は予め立起させておいてもよいが、施工時に立起さ
せるように構成すると、仕切材をコンパクトに重ねて配
置できるので、輸送性や保管性を改善する上で好まし
い。更に、このような位置決め部を設けると、地震等に
よる排水マットの水平方向に対する位置ズレを防止でき
るので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 植生マット及び遮根シートを除去した状態で
の薄層屋上緑化設備の平面図
【図2】 植生マット及び遮根シートを設けた状態での
図1のII-II線縦断面図
【図3】 仕切材の連結部分の分解斜視図
【図4】 (a)は仕切材の平面図、(b)は仕切材の
正面図
【図5】 仕切材の位置決め部付近の要部平面図
【図6】 他の実施例に係る仕切材の(a)は平面図、
(b)は正面図
【図7】 他の実施例に係る仕切材の位置決め部付近の
平面図
【図8】 他の実施例に係る仕切材の位置決め部付近の
平面図
【図9】 隣接する仕切材の連結部分における図1相当
【図10】 植生マット及び遮根シートを設けた状態で
の図1のX-X線縦断面図
【図11】 (a)(b)(c)は排水孔のレイアウト
を変更した溝蓋の側面図
【図12】 植生マット及び遮根シートを設けた状態で
の図1のXII-XII線縦断面図
【図13】 固定金具の縦断面図
【図14】 固定金具の分解斜視図
【図15】 ベース板の平面図
【図16】 中間板の平面図
【図17】 トップ板の平面図
【図18】 築山を形成した場合における薄層屋上緑化
設備の断面図
【図19】 従来の薄層屋上緑化設備における排水方法
の説明図
【符号の説明】
1 薄層屋上緑化設備 2 建築物 3 防水シート 4 薄層緑化積層体 5 排水マット 6 遮根シート 7 植生マット 8 外周排水溝 9 外周排水溝 10 仕切材 11 固定部 12 仕切部 13 連結手段 14 折返部 15 排水孔 16 排水部 17 折曲用切欠部 18 補強部 20 立起用切欠部 21 折目線 21a 折曲案内部 22 位置決め部 23 係合部 10A 仕切材 10B 仕切材 20B 立起用切欠部 22B 位置決め部 10C 仕切材 20C 立起用切欠部 22C 位置決め部 30 縦壁部 31 水平壁部 32 連結板 33 ボルト部材 34 ナット部材 35 取付孔 36 挿通孔 37 排水孔 38 折曲用切欠部 40 溝蓋 41 蓋本体 42 位置規制部 43 排水孔 50 固定金具 51 ベース板 51a 挿通孔 51b 係合爪 51c 位置決め部 52 支柱 53 第1ナット部材 54 中間板 54a 挿通孔 54b 第1係合爪 54c 第2係合爪 55 第2ナット部材 56 トップ板 56a 挿通孔 56b 腕部 56c 係合爪 57 袋ナット 58 ワッシャ 60 嵩上げ材 61 充填材 62 遮根シート 63 ネジ棒 64 連結ナット 65 パッキン

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の屋上に設置した複数の排水マッ
    トと、これら複数の排水マットにわたってその上側に設
    置した植生マットとを有し、前記排水マットを相互に間
    隔をあけて設置して、隣接する排水マット間に排水溝を
    形成したことを特徴とする薄層屋上緑化設備。
  2. 【請求項2】 前記排水溝の幅を30〜100mmに設
    定した請求項1記載の薄層屋上緑化設備。
  3. 【請求項3】 前記排水溝の深さを20〜50mmに設
    定した請求項1又は2記載の薄層屋上緑化設備。
  4. 【請求項4】 前記排水溝の上面を閉鎖して排水溝内へ
    の植生マットの沈み込みを防止する溝蓋であって、排水
    溝よりも幅広に構成されて両側部が隣接する排水マット
    の上側に設置される蓋本体と、隣接する排水マットの側
    縁に沿って蓋本体から下方へ延びる1対の位置規制部と
    を有するを溝蓋を設けた請求項1〜3のいずれか1項記
    載の薄層屋上緑化設備。
  5. 【請求項5】 前記溝蓋の位置規制部を板状に形成し、
    位置規制部に排水マットと排水溝とを連通する複数の排
    水孔を形成した請求項4記載の薄層屋上緑化設備。
  6. 【請求項6】 前記排水マットの上面の面積を2500
    〜40000cm2に設定した請求項1〜5のいずれか
    1項記載の薄層屋上緑化設備。
  7. 【請求項7】 前記排水マットの図心から外縁までの最
    大排水距離を25〜100cmに設定した請求項1〜6
    のいずれか1項記載の薄層屋上緑化設備。
  8. 【請求項8】 前記排水マットの湿潤状態での変形量1
    0%の耐圧強度を180〜900kg/m2に設定した
    請求項1〜7のいずれか1項記載の薄層屋上緑化設備。
  9. 【請求項9】 前記排水マットとして、耐圧強度を付与
    するための合成樹脂製の繊維材からなる芯材と、芯材よ
    りも細かいメッシュの網状の合成樹脂製の繊維材からな
    り、芯材の上下両面と左右両側面とにわったて外装した
    表面材とを有し、表面材を芯材に熱融着させて両者を一
    体化させた排水マットを用いた請求項1〜8のいずれか
    1項記載の薄層屋上緑化設備。
  10. 【請求項10】 前記排水マット及び植生マットを建築
    物に固定する固定金具であって、ベース板と、ベース板
    に立設固定した支柱と、支柱の途中部に上下移動自在に
    装着した中間板と、支柱の端部に着脱自在に固定したト
    ップ板とを備え、隣接する排水マットにわたってその下
    側にベース板を、またその上側に中間板を設置するとと
    もに、トップ板を植生マットの上側に配置し、これら3
    枚の板を支柱で一体化してなる固定金具を設けた請求項
    1〜9のいずれか1項記載の薄層屋上緑化設備。
  11. 【請求項11】 前記固定金具の支柱をボルト部材で構
    成し、ベース部材を支柱に固定するための第1ナット部
    材と、ベース板と中間板間に排水マットを挟持するため
    の第2ナット部材と、トップ板を植生マットに押し付け
    るための袋ナットとを設けた請求項10記載の薄層屋上
    緑化設備。
  12. 【請求項12】 前記ベース板及び中間板に排水マット
    に係合する係合爪を一体的に形成し、トップ板に植生マ
    ットに係合する係合爪を一体的に形成した請求項10又
    は11記載の薄層屋上緑化設備。
  13. 【請求項13】 前記ベース板に排水マットの側縁に当
    接して排水マットの側端位置を位置決めする位置決め部
    を一体的に形成した請求項10〜12のいずれか1項記
    載の薄層屋上緑化設備。
  14. 【請求項14】 前記排水マットと植生マットを含む薄
    層緑化積層体の側縁に沿って配置される仕切材であっ
    て、排水マットの下側に配置される固定部と、薄層緑化
    積層体の外側面に沿って配置される板状の仕切部とを有
    し、前記仕切部の下部にその略全長にわたって、複数の
    排水孔を打抜金網状に形成してなる排水部を設けてなる
    仕切材を設けた請求項1〜13のいずれか1項記載の薄
    層屋上緑化設備。
  15. 【請求項15】 前記排水部を薄層緑化積層体に積層さ
    れる遮根シートに対面する位置よりも下側にのみ形成し
    た請求項14記載の薄層屋上緑化設備。
  16. 【請求項16】 前記仕切部の単位長さ当たりの排水孔
    の総開口面積を12000〜30000mm2/mに設
    定した請求項14又は15記載の薄層屋上緑化設備。
  17. 【請求項17】 前記仕切部と排水マット間に排水溝に
    連なる外周排水溝が形成されるように仕切材を設けた請
    求項14〜16のいずれか1項記載の薄層屋上緑化設
    備。
  18. 【請求項18】 前記固定部に排水マットの側端位置を
    位置決めするための位置決め部を、仕切部から一定距離
    隔てた位置に形成し、位置決め部に対して排水マットの
    側縁を当接させて薄層緑化積層体を設置することで、排
    水マットと仕切部間に一定幅の外縁排水溝を形成した請
    求項17記載の薄層屋上緑化設備。
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