JP2003234259A - 球状基板、半導体装置および球状基板の製造方法 - Google Patents

球状基板、半導体装置および球状基板の製造方法

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JP2003234259A JP2002032033A JP2002032033A JP2003234259A JP 2003234259 A JP2003234259 A JP 2003234259A JP 2002032033 A JP2002032033 A JP 2002032033A JP 2002032033 A JP2002032033 A JP 2002032033A JP 2003234259 A JP2003234259 A JP 2003234259A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶方位を精度よく識別することが可能な球
状基板およびその製造方法、さらにこの球状基板を用い
た半導体装置を提供する。 【解決手段】 球状基板1は識別マーク2を備える。識
別マーク2は、球状基板1の表面が平面化された平面領
域を含んでいてもよい。このようにすれば、球状基板1
が識別マーク2を有するので、球状基板1を利用した半
導体装置の製造工程において、球状基板1の位置合せを
精度良く行うことができる。また、球状基板1の表面に
おける平面領域は比較的容易に検出することができるの
で、識別マーク2の検出を容易かつ確実に行うことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、球状基板、半導
体装置および球状基板の製造方法に関し、より特定的に
は、識別マークを有する球状基板、半導体装置および球
状基板の製造方法に関する。なお、この明細書において
「球状基板」とは、例えば半導体装置を作成するために
用いる半導体基板の形状が球状となっているものをい
う。そのため、「球状基板」の基板表面は特に加工を施
す前においてはほぼ球面状である。また、球状基板の材
質としては半導体に限らずあらゆる材質を適用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、全く新しいシリコン半導体装置と
して、従来のシリコンウェハを用いず、球状のシリコン
単結晶体の表面上に集積回路を形成した球状半導体(ボ
ールセミコンダクター)が提案されている。
【0003】このような球状半導体は、従来のシリコン
ウェハを用いた半導体装置に比べて以下のような利点を
有している。まず、球状のシリコン球を直径約2mmの
チューブ内に流しながら、成膜やエッチングなど全ての
製造工程を行うので、従来のようにその製造工程におい
て高価なクリーンルームを必要としない。したがって、
従来の半導体装置と比べると、製造設備のコストを1桁
以上削減できると考えられている。また、1つの工場の
内部において、シリコンの単結晶粒の成長から露光、エ
ッチングなどの処理工程を連続的に行うので、従来のよ
うなバッチ式の生産方式に比べて、半導体装置の製造工
期を大幅に短縮することができる。さらに、球状基板の
表面に半導体素子を形成するので、半導体チップを搭載
する基板の表面上における占有面積当りの素子の集積度
を向上させることができる。たとえば縦横の長さがそれ
ぞれ1mmである(1mm平方である)従来の半導体チ
ップに対して、直径が1mmの球状半導体では、素子の
数を約3倍にすることができる(素子の集積度を約3倍
に向上させることができる)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の球状半導体においては、以下のような問題があった。
すなわち、従来の球状半導体では、半導体素子を形成す
る基板が球状であり、特に識別マークなどが存在しな
い。そのため、球状基板の表面に形成される半導体素子
などは球状基板の結晶方位とは無関係に配置されてい
た。つまり、図84に示すように、半導体素子の一例と
しての電界効果トランジスタのチャネルの方向(矢印1
02で示した方向)は、球状基板101の結晶方位(た
とえば<100>方向)と無関係に決定されることにな
る。
【0005】このため、球状半導体の製造条件によって
は、図85に示すように、電界効果トランジスタのチャ
ネル方向(矢印102で示す方向)が球状基板の<10
0>方向とほぼ平行になった場合と、図84に示したよ
うに<100>方向からずれている場合が発生し得る。
図84および図85は、従来の球状半導体の問題点を説
明するための模式図である。ここで、チャネル方向が<
100>方向とほぼ平行な場合(図85に示したような
場合)、電界効果トランジスタのチャネル領域における
電子の移動度が大きくなるので、図84に示した場合よ
り電界効果トランジスタの性能が向上することになる。
したがって、球状基板101の表面に形成された素子に
ついて、球状基板101の結晶方位との位置関係により
その特性にばらつきが発生するという問題があった。ま
た、球状基板101の表面に素子を形成する成膜工程あ
るいはエッチング工程などにおいて、その処理速度など
に結晶方位依存性があるような場合、球状基板101の
結晶方位と素子との位置関係によっては形成される膜厚
やエッチング量などにばらつきが発生する恐れもあっ
た。この結果、やはり形成された素子に特性ばらつきが
発生する。このため、球状半導体の歩留りが低下するこ
とになっていた。
【0006】この発明は、上記のような課題を解決する
ために成されたものであり、この発明の目的は、結晶方
位を精度よく識別することが可能な球状基板およびその
製造方法、さらにこの球状基板を用いた半導体装置を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の1の局面に従
った球状基板は識別マークを備える。
【0008】このようにすれば、球状基板が識別マーク
を有するので、球状基板を利用した半導体装置の製造工
程において、球状基板の位置合せを精度良く行うことが
できる。
【0009】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは球状基板の複数個所に設けられていること
が好ましい。
【0010】また、上記1の局面に従った球状基板にお
いて、識別マークは、球状基板の2箇所以上8箇所以下
の領域にそれぞれ形成されていてもよい。
【0011】この場合、複数の識別マークを用いて球状
基板の位置合せを行うことができるので、球状基板の位
置合せの精度を向上させることができる。
【0012】上記1の局面に従った球状基板では、球状
基板の表面において、識別マークとなる領域の曲率半径
が識別マークとなる領域以外の領域の曲率半径と異なっ
ていてもよい。
【0013】この場合、球状基板の表面における曲率の
違いを検出することにより、識別マークを容易かつ確実
に認識できる。
【0014】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは球状基板の表面に形成された凸部および凹
部の少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。
【0015】この場合、球状基板の表面における凸部ま
たは凹部を検出することにより、識別マークを容易かつ
確実に認識できる。
【0016】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは、球状基板の表面層を改質処理することに
より形成された領域、球状基板の表面層に不純物を導入
することにより形成された領域、球状基板の表面上に識
別層が塗布された領域からなる群から選択される少なく
とも一つを含んでいてもよい。
【0017】この場合、球状基板自体の表面形状を変更
することなく、識別マークを配置することができる。し
たがって、本発明による識別マークを備える球状基板に
対して従来の球状基板用の製造装置をそのまま適用する
ことができる。したがって、本発明による球状基板を用
いた半導体装置の製造工程において、新たな装置を準備
する必要が無いので、半導体装置の製造コストの増大を
抑制できる。
【0018】また、球状基板の表面には識別マークとし
て凸部や凹部が設けられておらず、比較的滑らかであ
る。一方、凸部や凹部が設けられた球状基板の機械的強
度は、凸部などの影響により凸部などが形成されない場
合より低下する。つまり、上記のように比較的滑らかな
表面を有する球状基板は、その機械的強度を高く保つこ
とができる。
【0019】また、球状基板の表面に凸部などが存在す
ると、球状基板を用いた半導体装置の製造工程において
球状基板をハンドリングする際、上記凸部などが製造装
置を構成する部材と接触したり、引っ掛かったりする恐
れがある。そして、このような接触や引っ掛かりが発生
すると、球状基板に損傷が発生する場合があった。一
方、本発明による球状基板は、すでに述べたように滑ら
かな表面を有するので、このような接触や引っ掛かりの
可能性を低減できる。したがって、球状基板において損
傷が発生する確率を低減できる。
【0020】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは球状基板の表面層に不純物を導入すること
により形成された領域を含んでいてもよく、不純物が導
入された領域は、球状基板の表面上に形成される半導体
素子の動作に必要な不純物領域より、球状基板の表面か
ら見て深い位置に形成されていてもよい。
【0021】この場合、球状基板において識別マークが
形成された領域上に半導体素子を形成できる。つまり、
識別マークを形成することに起因して、球状基板の表面
における素子形成が可能な領域の面積(有効面積)が小
さくなることを防止できる。
【0022】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは磁性体を有する領域を含んでいてもよい。
【0023】この場合、球状基板の識別マークを、磁気
検知装置を用いて非接触状態で認識することができる。
また、球状基板の保持装置に磁場発生部材を組み込み、
この磁場発生部材により発生させた磁力を球状基板の磁
性体を有する識別マークに作用させることにより、球状
基板の識別マークが特定の方向に向くように、球状基板
の位置を決定することができる。つまり、自己整合的に
球状基板の位置合せを行うことができる。
【0024】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは、球状基板の表面が平面化された平面領域
を含んでいてもよい。
【0025】この場合、球状基板の表面における平面領
域は比較的容易に検出することができるので、識別マー
クの検出を容易かつ確実に行うことができる。
【0026】この発明の他の局面に従った球状基板は、
表面の一部が平面化された平面領域を備える。
【0027】このようにすれば、平面領域を球状基板の
識別マークとして利用できる。このような平面領域は比
較的容易に検出できるので、球状基板の位置合せを容易
かつ確実に行うことができる。
【0028】上記1の局面または他の局面に従った球状
基板において、球状基板がほぼ球形状であると考えた場
合の中心点から平面領域までの最短距離をdとし、球状
基板がほぼ球形状であると考えた場合の球状基板の平均
半径をLとした場合、d≧L/2という関係を満足する
ように平面領域が形成されていることが好ましい。
【0029】この場合、平面領域の面積が大きくなるこ
とを抑制できる。ここで、この平面領域が形成された場
合の球状基板の表面積は、平面領域を形成しない場合の
球状基板の表面積より小さくなる。そして、平面領域の
面積が大きくなるほど、球状基板の表面積の減少の度合
いは大きくなる。したがって、平面領域の面積を小さく
抑えることにより、球状基板の表面積の減少の度合いを
小さくすることができる。このため、球状基板において
素子を形成することができる有効面積(表面積)の減少
を抑制できる。
【0030】この発明の別の局面に従った半導体装置で
は、上記1の局面または他の局面に従った球状基板にお
いて、平面領域上に半導体素子が形成されている。
【0031】この場合、識別マークとして利用される平
面領域も、半導体素子を形成する領域として利用するの
で、識別マークとしての平面領域を形成したことによる
有効面積(球状基板の表面において素子を形成すること
が可能な領域の面積)の減少の程度を小さくできる。
【0032】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは、球状基板の中央部から見て所定の結晶方
位に対応する部分に形成されていてもよい。
【0033】この場合、識別マークによって球状基板の
結晶方位を検出することができる。したがって、球状基
板の表面に電界効果トランジスタなどの素子を形成する
場合、球状基板の結晶方位を考慮して当該素子の配置
(球状基板の結晶方位に対する当該素子の方向)を決定
できる(たとえば、特定の結晶方位に電界効果トランジ
スタのチャネルの方向を合せるといったことが可能にな
る)。このため、結晶方位に対する素子の配置がばらつ
くことを抑制できるので、このような素子の配置のばら
つきに起因する素子の特性のばらつきを低減できる。こ
の結果、球状基板を用いた半導体装置の歩留りが素子の
特性ばらつきにより低下することを抑制できる。
【0034】上記1の局面に従った球状基板において、
結晶方位はミラー指数で表すと<111>方向であっても
よい。
【0035】この場合、球状基板の表面のうち、法線ベ
クトルの方向が<100>方向である表面(<100>
方向に垂直な表面)には識別マークが存在しないことに
なる。つまり<100>方向に垂直な表面に素子などを
形成することができる。このため、電子の移動度の高い
結晶方位にトランジスタなどの素子を形成することがで
きる。したがって、球状基板を用いた半導体装置の特性
を向上させることができる。
【0036】上記1の局面に従った球状基板において、
識別マークは、球状基板の表面において所定の結晶方位
に対応する部分のうちの1つまたは2つのみに形成され
ていてもよい。
【0037】この場合、識別マークが1つだけ形成され
る構成では、球状基板の表面における識別マークによる
有効面積の減少の程度を最も小さくできる。したがっ
て、球状基板表面に多くの素子を形成する場合有利であ
る。
【0038】また、識別マークを2つ形成した構成で
は、複数の識別マークを用いることで球状基板の位置合
せ精度を向上させることができる。また、識別マークは
2つだけ形成されるので、有効面積の減少の程度を比較
的小さくすることもできる。
【0039】この発明のさらに他の局面に従った半導体
装置は、上記1の局面または他の局面に従った球状基板
を用いている。
【0040】このようにすれば、識別マークを利用して
球状基板の位置決めを正確に行なった状態で、半導体装
置を構成する素子を球状基板の表面に形成できる。した
がって、素子やこれらの素子を用いて構成される集積回
路の位置合せを精密に行なうことができる。
【0041】また、球状基板の特定の結晶方位に対応す
る位置に識別マークを形成しておけば、球状基板の結晶
方位を容易に識別できるので、球状基板の結晶方位を考
慮して素子の配置を決定できる。したがって、結晶方位
に対する素子あるいは集積回路の配置のばらつきを低減
できるので、高性能であってかつ性能ばらつきの小さい
素子(機能素子)や集積回路を備える半導体装置を得る
ことができる。
【0042】この発明のさらに別の局面に従ったシステ
ムは、上記さらに他の局面に従った半導体装置を備え
る。
【0043】このようにすれば、高性能かつ特性ばらつ
きの小さな半導体装置を利用して、高性能なシステムを
実現できる。また、球状基板を用いた半導体装置を用い
ているので、通常のチップ状の半導体装置を用いた場合
より、外部からの機械的な衝撃などにより半導体装置が
破損するといった危険性が少ない。したがって、耐衝撃
性に優れたシステムを得ることができる。
【0044】上記さらに別の局面に従ったシステムは、
上記さらに他の局面に従った半導体装置を複数集積した
集合体を用いてもよい。
【0045】この場合、球状基板を用いた半導体装置を
複数個集積することにより、多数の素子を集積した大規
模集積回路を構成することができる。また、球状基板を
用いた半導体装置は、垂直方向に積み上げるように集積
することができるので、積み上げる階層数を増やせる限
り、実効的な素子の集積度(球状基板が配置される回路
基板の単位面積あたりの素子数)を大きくすることがで
きる。
【0046】また、本発明による半導体装置を構成する
球状基板には識別マークが形成されているので、半導体
装置の位置合せを容易に行なうことができる。したがっ
て、システムを構成する半導体装置を所定の位置に設置
するといった作業の生産性を大幅に向上させることがで
きる。このため、システムの製造コストを低減できる。
【0047】この発明のもう一つの局面に従った識別装
置は、球状基板の識別マークを認識する識別装置であっ
て、球状基板の表面における光の光学的反射率の変化を
検出する手段を備える。
【0048】このようにすれば、識別マークとして球状
基板の表面に凸部あるいは凹部などの形状変化部、また
は光の反射率が変化するような改質部が球状基板に形成
されている場合、これらの識別マークを光の光学的反射
率の変化により容易に認識できる。また、識別マークの
検出に用いる光は指向性が良いため、識別マークを精度
良く識別することができる。
【0049】この発明のまた別の局面に従った識別装置
は、球状基板の識別マークを認識する識別装置であっ
て、球状基板の表面における磁場の強さの変化を検出す
る手段を備える。
【0050】このようにすれば、球状基板に光を照射す
ることなく、磁場の強さを検出することで識別マークを
認識できる。そのため、球状基板の処理工程によっては
球状基板に直接光を照射したくないような場合や、識別
マーク上に別の膜が形成されているような場合であって
も、識別マークを検出することができる。
【0051】この発明のその他の局面に従った製造装置
は、球状半導体装置の製造装置であって、球状基板を磁
力により保持するための磁場発生装置を備える。
【0052】このようにすれば、球状基板に形成された
識別マークが磁性を有する場合、磁場発生装置により発
生させた磁力により当該識別マークの位置を制御するこ
とができる。つまり、球状基板の位置合せを自己整合的
に精度良く行うことができる。
【0053】この発明のまたもう一つの局面に従った球
状半導体装置は、球状基板と、球状基板の表面に形成さ
れたソース領域とこのソース領域とチャネル領域を介し
て対向する位置に形成されたドレイン領域とを含む電界
効果トランジスタとを備える球状半導体装置であって、
チャネル領域を流れる電流の向きは球状基板の<100>
方向とほぼ平行である。
【0054】このようにすれば、電子の移動度が大きく
なる方向である<100>方向に平行な方向においてチ
ャネル領域の電流を流すことができるので、電界効果ト
ランジスタの特性を向上させることができる。したがっ
て、高性能の球状半導体装置を実現できる。
【0055】この発明のまたその他の局面に従った球状
基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して単結晶粒
を形成する工程と、単結晶粒の表面を研磨して平坦化す
る工程と、表面が平坦化された単結晶粒を保持パッドに
保持する工程と、保持パッドに保持された単結晶粒の表
面の一部を除去することにより、単結晶粒の表面に平面
領域を形成する平面領域形成工程とを備える。また、上
記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであ
ってもよい。
【0056】このようにすれば、球状基板の識別マーク
となる平面領域を、研磨法(たとえば、化学機械研磨法
(CMP法:Chemical Mechanical Polishing)を用い
て容易に形成できる。また、このような研磨工程は、多
数の球状基板に対して同時に実施することが可能である
ので、識別マークを有する球状基板を安価かつ大量に製
造することができる。
【0057】この発明のさらに別の局面に従った球状基
板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して単結晶粒を
形成する工程と、単結晶粒の所定の結晶方位が保持パッ
ドの表面に対してほぼ垂直になるように、単結晶粒を保
持パッドに保持する工程と、保持パッドに保持された単
結晶粒の表面のうち、保持パッドにより保持された領域
とは反対側に位置する領域を除去することにより平面領
域を形成する平面領域形成工程とを含む。上記単結晶粒
を形成する工程では、半導体はシリコンであってもよ
い。
【0058】このようにすれば、球状基板の識別マーク
となる平面領域を、CMP法などの研磨法を用いて容易
に形成できる。また、このようにして形成された平面領
域は、球状基板の特定の結晶方位を示すことになるの
で、この平面領域からなる識別マークを用いて球状基板
の結晶方位を容易に認識できる。また、このような研磨
工程は、多数の球状基板に対して同時に実施することが
可能であるので、識別マークを有する球状基板を安価か
つ大量に製造することができる。
【0059】上記またその他の局面またはさらに別の局
面に従った球状基板の製造方法において、平面領域形成
工程は、化学機械研磨法を用いて単結晶粒の表面の一部
を削り取る工程を含んでいてもよい。
【0060】この場合、化学機械研磨法(CMP法)を
用いることにより、平坦性のすぐれた平面領域を容易に
得ることができる。
【0061】この発明の1の局面に従った研磨装置は、
球状基板の表面を研磨するための研磨装置であって、球
状基板を保持するための窪みが表面に形成された保持部
材を備える。
【0062】このようにすれば、保持部材の窪みに球状
基板を保持することにより、研磨工程における球状基板
の位置決めを容易に行うことができる。このため、球状
基板の一部を確実に研磨により除去することができる。
【0063】この発明の他の局面に従った研磨装置は、
球状基板を保持するための保持部材を備える研磨装置で
あって、保持部材は、球状基板を構成する材料との摩擦
係数の高い材料により形成された保持部、球状基板の外
形に沿って変形することが可能な保持部、および球状基
板を構成する材料との摩擦係数の高い材料により形成さ
れるとともに球状基板の外形に沿って変形することが可
能な保持部からなる群から選択される少なくとも一つを
含む。
【0064】このようにすれば、保持部材の任意の位置
で球状基板を保持することができる。したがって、保持
部材の表面上に多数の球状基板を配置して、それぞれの
球状基板の位置で当該球状基板を保持することができる
ので、球状基板を大量に一括して研磨することができ
る。このため、研磨工程の生産性を向上させることがで
きる。
【0065】上記1の局面または他の局面に従った研磨
装置は、球状基板の研磨量を検出する研磨量検出手段
と、研磨量検出手段により検出された研磨量のデータに
基づいて、球状基板の研磨を終了する制御手段とを備え
ていてもよい。
【0066】この場合、球状基板の表面に形成される被
研磨領域である平面領域の面積を任意に変更することが
できる。
【0067】上記1の局面または他の局面に従った研磨
装置において、制御手段は、球状基板の研磨前の平均半
径をLとし、球状基板の研磨前の中心点から研磨された
平面までの最短距離をdとした場合、研磨量検出手段に
より検出された研磨量に基づいて上記最短距離を導出す
るとともに、d≧L/2という関係を満足するように、
球状基板の研磨を終了することが好ましい。
【0068】この場合、被研磨領域である平面領域の面
積が大きくなることを抑制できる。そのため、平面領域
の面積を小さく抑えることにより、球状基板の表面積の
減少の度合いを小さくすることができる。この結果、球
状基板において素子を形成することができる有効面積
(表面積)の減少を抑制できる。
【0069】この発明の1の局面に従った球状基板の製
造方法は、溶融した半導体を冷却して単結晶粒を形成す
る工程と、単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程
と、平坦化された単結晶粒の表面上に保護膜を形成する
工程と、保護膜と単結晶粒の表面層との一部を、異方性
エッチングを用いて除去するエッチング工程とを備え
る。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコ
ンであってもよい。
【0070】このようにすれば、保護膜の膜質や厚みを
変更することにより球状基板となる単結晶粒の表面のう
ち、エッチングされた部分の曲率を任意に変更できる。
これは、エッチングされた部分の曲率が、保護膜の研磨
前の表面における曲率や保護膜の材料と単結晶粒の材料
とのエッチングレートの差によって変化するためであ
る。したがって、任意の曲率を有する識別マークを備え
た球状基板を得ることができる。
【0071】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
において、保護膜は、レジスト膜、化学気相成長法によ
り形成された膜、およびスパッタリング法により形成さ
れた膜からなる群から選択される少なくとも1つを含ん
でいてもよい。
【0072】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
では、保護膜の厚さをW、保護膜が形成された単結晶粒
の平均直径をD、エッチング工程により除去された部分
の単結晶粒の表面部分における曲率をCとして表した
際、保護膜と単結晶粒を構成する材料とのエッチング工
程におけるエッチングレートがほぼ等しい場合W=1/
C−D/2という関係を満足し、前記保護膜の材料のエ
ッチングレートが単結晶粒を構成する材料のエッチング
レートより大きい場合W≧1/C−D/2という関係を
満足し、保護膜の材料のエッチングレートが単結晶粒を
構成する材料のエッチングレートより小さい場合W≦1
/C−D/2という関係を満足することが好ましい。
【0073】この場合、保護膜の厚さWを保護膜の材料
と単結晶粒の材料とに適合するように決定すれば、保護
膜として様々な材料を用いることが可能になる。したが
って、保護膜の材料の選択の自由度が大きくなるので、
保護膜として従来用いられていた絶縁膜などを流用でき
る。したがって、球状基板の製造コストを低減できる。
【0074】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
において、エッチング工程における保護膜を構成する材
料のエッチングレートは、単結晶粒を構成する材料のエ
ッチングレートより大きくてもよい。
【0075】ここで、保護膜の厚さの均一性が悪い場
合、保護膜が相対的に薄く形成された部分では先に単結
晶粒の表面が露出する。そして、単結晶粒の露出した表
面はエッチングにより除去される。このとき、保護膜を
構成する材料のエッチングレートが単結晶粒を構成する
材料のエッチングレートより小さい場合、保護膜の残存
する部分をエッチングしている時に、単結晶粒において
上記先に露出した部分のエッチングが進んでしまう。つ
まり、保護膜の厚さの不均一性が単結晶粒の表面におけ
るエッチングされた部分に増幅して反映されることにな
る。したがって、上述のように保護膜を構成する材料の
エッチングレートを、単結晶粒を構成する材料のエッチ
ングレートより大きくしておけば、保護膜の厚さが不均
一であっても、その不均一性が単結晶粒の表面に反映さ
れる程度を小さくできる。また、単結晶粒のエッチング
により除去される除去厚さを相対的に小さくできる。こ
のため、球状基板の表面の形状が不均一になること(製
造ばらつきの発生)を抑制できる。
【0076】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
において、エッチング工程における保護膜を構成する材
料のエッチングレートは、単結晶粒を構成する材料のエ
ッチングレートより小さくてもよい。
【0077】この場合、単結晶粒から構成される球状基
板の表面に、極めて曲率が小さく平面に近いような曲
面、平面、あるいは凹形状部を形成することができる。
また、保護膜のエッチングレートが相対的に小さいの
で、単結晶粒の表面のうち露出した部分がエッチングを
受けている時に、このエッチングにより保護膜が除去さ
れる度合いを小さくできる。そのため、単結晶粒の表面
において保護膜が無くなった部分(露出した部分)の面
積が拡大する程度を小さくできる。したがって、球状基
板の表面において曲率が異なる部分(エッチングされた
部分)の面積を小さくすることができる。このため、球
状基板における有効面積の減少を抑制することができ
る。
【0078】また、保護膜のエッチングレートが相対的
に小さいため、保護膜の厚さを薄くしても単結晶粒の表
面の一部のみを充分エッチングすることができる。その
ため、保護膜の材料コストを低減できる。また、保護膜
を形成するための成膜工程の時間も短縮することができ
るので、球状基板の製造に要する工期を短縮できる。
【0079】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
は、エッチング工程においてエッチングされた単結晶粒
の部分の表面層をさらに除去する工程を備えていてもよ
い。
【0080】この場合、単結晶粒においてエッチングを
受けた表面層に、エッチング工程に起因するダメージな
どが発生していても、上記表面層をさらに除去すること
でダメージの発生した領域を除去することができる。し
たがって、エッチングを受けた領域(識別マークとなる
べき領域)上に素子を形成した際、エッチング工程に起
因するダメージにより素子の特性が劣化することを防止
できる。つまり、識別マークとなるべき領域上に特性の
優れた素子を形成することが可能になる。この結果、球
状基板における実効的な有効面積(素子などを形成する
ことが可能な面積)の減少を有効に抑制できる。
【0081】上記1の局面に従った球状基板の製造方法
において、表面層をさらに除去する工程は、エッチング
された単結晶粒の部分の表面層を再研磨することにより
除去する工程およびエッチングされた単結晶粒の部分の
表面層に対して犠牲酸化を加える工程からなる群から選
択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0082】この場合、エッチングされた単結晶粒の部
分の表面層を容易に除去することができる。
【0083】この発明の他の局面に従った球状基板の製
造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を
有する単結晶粒を形成する工程と、突起部の少なくとも
一部を残存させるように、単結晶粒の表面を研磨して平
坦化する工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程
では、半導体はシリコンであってもよい。
【0084】このようにすれば、球状基板となる単結晶
粒の表面を、素子形成に適した程度に平坦化できると同
時に、工程数を増やすことなく、突起部からなる識別マ
ークを形成できる。
【0085】この発明の別の局面に従った球状基板の製
造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起部を
有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面上
に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程と、
保護膜をエッチングにより部分的に除去することによ
り、突起部を露出させる工程と、露出した突起部を除去
するとともに、単結晶粒の表面において突起部が形成さ
れていた領域に凹部を形成する工程とを備える。上記単
結晶粒を形成する工程では、半導体はシリコンであって
もよい。
【0086】このようにすれば、識別マークとしての凹
部を容易に形成できる。また、識別マークとして凸部を
形成する場合、球状基板を用いた半導体装置の製造工程
においてこの凸部が半導体製造装置の構成部材と接触す
ることにより破損する恐れがある。しかし、上記のよう
に識別マークとして凹部を形成すると、このような破損
の可能性を低減できる。
【0087】上記別の局面に従った球状基板の製造方法
において、凹部を形成する工程では水酸化カリウムを含
む溶液を用いてもよい。
【0088】この場合、一般的な水酸化カリウムを含む
溶液を用いて、単結晶粒の表面の一部を除去することに
より容易に識別マークとしての凹部を形成することがで
きる。このため、識別マークを形成するために特別な装
置を準備したりする必要がない。
【0089】上記別の局面に従った球状基板の製造方法
において、凹部を形成する工程では異方性エッチングを
用いてもよい。
【0090】この場合、単結晶粒に形成される凹部の占
有面積は、保護膜において突起部が露出している面積
(保護膜が除去されて下地である単結晶粒の表面が露出
している領域の面積)により決定される。つまり、識別
マークとしての凹部の面積を精度良く規定することがで
きる。したがって、単結晶粒の表面における凹部以外の
領域の面積である有効面積のばらつきを低減できる。ま
た、保護膜において突起部が露出した部分の面積を極力
小さくしておけば、識別マークとしての凹部の占有面積
を小さくできるので、結果的に単結晶粒からなる球状基
板の有効面積の減少を抑制することができる。
【0091】この発明のもう一つの局面に従った球状基
板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突
起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表
面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程
と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
より、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状
態で残存する保護膜をマスクとして、突起部および突起
部下に位置する単結晶粒の表面層を酸化する酸化工程
と、酸化工程の後、保護膜を除去する工程と、保護膜を
除去した後、単結晶粒の表面から酸化された突起部を除
去するとともに、単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工
程と、エッチングにより単結晶粒の表面層の酸化された
部分を除去することによって凹部を形成する工程とを備
える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリ
コンであってもよい。
【0092】このようにすれば、凹部の広さや深さは酸
化工程における酸化された領域の広さや深さにより決定
される。したがって、酸化工程において酸化される領域
のサイズを調整することにより、凹部の広さや深さを精
度良く決定することができる。
【0093】この発明のまた別の局面に従った球状基板
の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起
部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面
上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程
と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
より、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状
態で残存する保護膜をマスクとして、突起部および突起
部下に位置する単結晶粒の表面層を酸化する酸化工程
と、酸化工程の後、保護膜および酸化された突起部を研
磨により除去することにより、単結晶粒の表面を平坦化
する平坦化工程と、単結晶粒の表面層の酸化された部分
をエッチングにより除去することによって凹部を形成す
る工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程では、
半導体はシリコンであってもよい。
【0094】このようにすれば、凹部の広さや深さは酸
化工程における酸化された領域の広さや深さにより決定
される。したがって、酸化工程において酸化される領域
のサイズを調整することにより、凹部の広さや深さを精
度良く決定することができる。
【0095】また、保護膜と酸化された突起部とを同時
に研磨することにより単結晶粒の表面を平坦化している
ので、保護膜と突起部とを別々に除去する場合より工程
数を削減できる。
【0096】上記もう一つの局面またはまた別の局面に
従った球状基板の製造方法において、凹部を形成する工
程では単結晶粒を構成する材料より酸化膜についてより
エッチングレートの大きい(単結晶粒を構成する材料と
酸化膜とで選択比のある)エッチング工程を利用しても
良い。また、凹部を形成する工程ではフッ化水素を含む
溶液を用いてもよい。
【0097】この場合、一般的なフッ化水素を含む溶液
を用いて、単結晶粒の表面の酸化された部分を除去する
ことにより容易に識別マークとしての凹部を形成するこ
とができる。このため、識別マークを形成するために特
別な装置を準備したりする必要がない。
【0098】この発明のその他の局面に従った球状基板
の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突起
部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表面
上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程
と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
より、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状
態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位置す
る単結晶粒の表面層に不純物を導入する工程と、不純物
を導入する工程の後、保護膜を除去する工程と、保護膜
を除去した後、単結晶粒の表面から突起部を除去すると
ともに、単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程とを備
える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体はシリ
コンであってもよい。
【0099】このようにすれば、識別マークとしての不
純物を導入した領域(不純物拡散領域)を容易に形成で
きる。また、単結晶粒からなる球状基板の識別マークが
形成された部分は、球状基板の他の領域と同様に曲面を
構成している。したがって、識別マークとして凸部また
は凹部を形成した場合のように、この凸部または凹部が
他の部材と接触して球状基板に損傷が発生する、あるい
は識別マークが認識できなくなる、といった危険性を低
減できる。
【0100】この発明のまたもう一つの局面に従った球
状基板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面
に突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒
の表面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する
工程と、保護膜をエッチングにより部分的に除去するこ
とにより、突起部を露出させる工程と、突起部が露出し
た状態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位
置する単結晶粒の表面層に不純物を導入する工程と、不
純物を導入する工程の後、保護膜および突起部を研磨に
より除去することにより、単結晶粒の表面を平坦化する
平坦化工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程で
は、半導体はシリコンであってもよい。
【0101】このようにすれば、識別マークとしての不
純物を導入した領域(不純物拡散領域)を容易に形成で
きる。また、単結晶粒からなる球状基板の識別マークが
形成された部分は、球状基板の他の領域と同様に曲面を
構成している。したがって、識別マークとして凸部また
は凹部を形成した場合のように、この凸部または凹部が
他の部材と接触して球状基板に損傷が発生する、あるい
は識別マークが認識できなくなる、といった危険性を低
減できる。
【0102】また、保護膜と突起部とを同時に研磨によ
り除去するので、保護膜と突起部とを別々の工程により
除去する場合より球状基板の製造工程を簡略化できる。
【0103】上記その他の局面またはまたもう一つの局
面に従った球状基板の製造方法において、不純物を導入
する工程は、突起部が露出した状態で、露出した突起部
上に不純物を含む膜を形成する工程と、不純物を含む膜
から突起部下に位置する単結晶粒の表面層に不純物を拡
散により導入する工程とを含んでいてもよい。
【0104】この場合、特別な注入装置などを準備する
ことなく、不純物拡散領域からなる識別マークを有する
球状基板を得ることができる。
【0105】上記その他の局面またはまたもう一つの局
面に従った球状基板の製造方法において、不純物を導入
する工程では不純物注入装置を用いてもよい。
【0106】この場合、不純物注入装置における不純物
の注入エネルギーを変更することにより、球状基板とな
る単結晶粒における不純物の注入深さを任意に変更でき
る。したがって、たとえば球状基板の表面に形成される
素子の動作に必要な不純物拡散領域より深い位置に識別
マークとしての不純物拡散領域を形成することができ
る。このようにすれば、識別マーク上に素子を配置する
ことができるので、識別マークを形成することにより有
効面積の減少を抑制できる。
【0107】この発明の1の局面に従った不純物注入装
置は、球状の処理対象物を保持する手段と、処理対象物
を回転させながら、処理対象物に不純物を注入する手段
とを備える。上記球状の処理対象物は、本発明に従った
球状基板であってもよい。
【0108】このようにすれば、球状の処理対象物の表
面全体に、ほぼ均一に不純物を注入することができる。
【0109】この発明のさらに別の局面に従った球状基
板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突
起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表
面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程
と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
より、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状
態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位置す
る単結晶粒の表面層に改質領域を形成する工程と、改質
領域を形成する工程の後、保護膜を除去する工程と、保
護膜を除去した後、単結晶粒の表面から突起部を除去す
るとともに、単結晶粒の表面を平坦化する平坦化工程と
を備える。上記単結晶粒を形成する工程では、半導体は
シリコンであってもよい。
【0110】このようにすれば、改質された領域からな
る識別マークを備える球状基板を容易に得ることができ
る。また、単結晶粒からなる球状基板の識別マークが形
成された部分は、球状基板の他の領域と同様に曲面を構
成している。したがって、識別マークとして凸部などを
形成した場合のように、この凸部などが他の部材と接触
して球状基板に損傷が発生する、あるいは凸部が破損す
ることで識別マークが認識できなくなる、といった危険
性を低減できる。
【0111】この発明のさらに他の局面に従った球状基
板の製造方法は、溶融した半導体を冷却して、表面に突
起部を有する単結晶粒を形成する工程と、単結晶粒の表
面上に、突起部を埋設するように保護膜を形成する工程
と、保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
より、突起部を露出させる工程と、突起部が露出した状
態で残存する保護膜をマスクとして、突起部下に位置す
る単結晶粒の表面層に改質領域を形成する工程と、改質
領域を形成する工程の後、保護膜および突起部を研磨に
より除去することにより、単結晶粒の表面を平坦化する
平坦化工程とを備える。上記単結晶粒を形成する工程で
は、半導体はシリコンであってもよい。
【0112】このようにすれば、改質された領域からな
る識別マークを備える球状基板を容易に得ることができ
る。また、識別マークとして凸部などを形成した場合と
は異なり、この凸部などが他の部材と接触して球状基板
に損傷が発生する、あるいは凸部が破損することで識別
マークが認識できなくなる、といった危険性を低減でき
る。
【0113】また、保護膜および突起部を同時に除去す
るので、球状基板の製造工程を簡略化できる。
【0114】上記さらに別の局面またはさらに他の局面
に従った球状基板の製造方法において、改質領域は酸化
領域および窒化領域の少なくともいずれか一方を含んで
いてもよい。
【0115】この場合、識別マークを形成するための一
般的な酸化工程あるいは窒化工程を利用するので、特別
な装置を準備する必要が無い。
【0116】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一ま
たは相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は
繰返さない。
【0117】(実施の形態1)図1は、本発明による球
状基板の実施の形態1を説明するための断面模式図であ
る。図2は、図1に示した球状基板の底面図である。図
3は、図1に示した球状基板を斜め下側から見た場合の
形状を示す模式図である。図4は、図3の矢印93に示
した方向から見た球状基板の側面図である。図1〜4を
参照して、本発明による球状基板の実施の形態1を説明
する。
【0118】図1〜4に示すように、球状基板1は球状
の半導体基板であって、その表面の一部が平坦化された
識別マークとしての平面部2を備える。なお、球状基板
1の材料としては、シリコンを用いている。球状基板1
の直径は2L(半径はL)であり、球状基板1がほぼ球
形状である場合の中心から平面部2までの距離はdとし
ている。ここで、球状基板1としては、シリコン・オン
・インシュレータ基板(SOI基板)を用いてもよく、
その他の材料からなる基板、たとえばガリウム砒素、ゲ
ルマニウム、シリコンゲルマニウムなどからなる基板を
用いてもよい。
【0119】このようにすれば、球状基板1を利用した
半導体装置の製造工程において、球状基板1の位置合せ
を精度良く行うことができる。
【0120】また、球状基板1の表面における平面領域
としての平面部2は比較的容易に検出することができる
ので、球状基板1における識別マークの検出を容易かつ
確実に行うことができる。
【0121】また、図1〜図4に示した球状基板1で
は、球状基板1がほぼ球形状であると考えた場合の中心
点から平面部2までの最短距離をd(図1参照)とし、
球状基板1がほぼ球形状であると考えた場合の球状基板
1の平均半径をL(図1参照)とした場合、d≧L/2
という関係を満足するように平面部2が形成されている
ことが好ましい。
【0122】この場合、平面部2の面積が必要以上に大
きくなることを抑制できる。ここで、この平面部2が形
成された場合の球状基板1の表面積は、平面部2を形成
しない場合の球状基板1の表面積より小さくなる。そし
て、平面部2の面積が大きくなるほど、球状基板1の表
面積の減少の度合いは大きくなる。したがって、平面部
2の面積をできるだけ小さくすることにより、球状基板
1の表面積の減少の度合いを小さくすることができる。
このため、球状基板1において素子を形成することがで
きる有効面積(表面積)の減少を抑制できる。
【0123】図1〜4に示した球状基板の製造方法を、
図5〜9を参照して説明する。図5〜9は、図1〜4に
示した球状基板の製造方法を説明するための模式図であ
る。
【0124】まず、多結晶シリコン粒を溶融した後、こ
の溶融した半導体としての多結晶シリコンを冷却して凝
固させることにより、図5に示したような単結晶粒3を
作製する。このとき、単結晶粒3は完全な球状というわ
けではなく、ミラー指数で<111>方向に突起4が形
成されている。なお、図5は<110>方向に対して垂
直な平面における単結晶粒3の断面を示している。
【0125】また、単結晶粒3において、<100>方
向に対してほぼ垂直な平面における断面について見る
と、図6に示すように、単結晶粒3の外形はほぼ円形状
となっている。図6は、図5に示した単結晶粒3におい
て、<100>方向に対してほぼ垂直な平面における断
面を示す断面模式図である。
【0126】次に、単結晶粒3の表面を研磨することに
より突起4(図5参照)を除去する(単結晶粒3の表面
を平坦化する工程を実施する)。この結果、外形がほぼ
球形状の球状基板1(図7参照)を得ることができる。
このとき、球状基板1の表面の粗度は従来のシリコンウ
ェハの表面粗度と同程度になるように研磨を行なう。
【0127】次に、図1〜4に示した識別マークとして
の平面部2を形成するため、化学機械研磨法(CMP
法)を用いて球状基板の一部を除去する。具体的には、
まず、図7に示すように、球状基板1を挿入固定するた
めの凹部6が複数個形成された保持部材としての保持パ
ッド5を備えるCMP装置を準備する。球状基板1を保
持するための窪みとしての凹部6に、それぞれ球状に研
磨された球状基板1を配置する。
【0128】次に、図8に示すように、保持パッド5に
おいて球状基板1が保持された面上に研磨パッド7を配
置する。この研磨パッド7と保持パッド5とを相対的に
矢印94に示す方向に移動させることにより、研磨パッ
ド7によって球状基板1の上部を研磨する。なお、この
とき研磨パッド7と保持パッド5との間には研磨剤など
を含むスラリー(研磨液)が供給されている。
【0129】このような平面領域形成工程としての研磨
工程の結果、図9に示すように、球状基板1の上部が研
磨されることにより、識別マークとなる平面部2が形成
される。
【0130】このようにすれば、球状基板1においてC
MP法を用いて容易に識別マークとしての平面部2を形
成できる。また、保持パッド5には複数の凹部6が形成
され、それぞれの凹部6に球状基板1を配置するので、
複数の球状基板1について同時に平面部2を形成でき
る。この結果、識別マークとしての平面部2を有する球
状基板1を安価かつ大量に製造することができる。
【0131】また、CMP法を用いて平面部2を形成す
るので、平坦性に優れた平面部2を得ることができる。
【0132】なお、この識別マークとしての平面部2を
形成するための球状基板1の研磨量は、識別マークとし
ての平面部2を認識可能な状態にできる範囲内でできる
だけ少ないことが好ましい。ただし、平面部2上に集積
回路やその他の回路素子などの半導体装置を形成する場
合、この平面部2上に形成される半導体装置などのサイ
ズを考慮して球状基板1の研磨量を決定することが好ま
しい。
【0133】また、球状基板1において、識別マークと
しての平面部2を形成するための研磨工程前の平均半径
L(図1参照)と、球状基板1の中心から平面部2まで
との距離d(図1参照)とが、d≧L/2という関係を
満たすように、図7〜9に示した工程における研磨量を
決定することが好ましい。
【0134】このようにして、図1〜4に示した球状基
板を得ることができる。なお、識別マークとしての平面
部2は図1〜4に示したように1ヵ所に限らず、球状基
板1の表面の数ヵ所を研磨することにより、複数個の平
面部(識別マーク)を形成することも可能である。たと
えば、球状基板1の表面の2ヵ所を削って、識別マーク
としての平面部2を2ヵ所に形成してもよい。ここで、
球状基板1は球体であるため、1つの識別マークとして
の平面部2によってその位置を固定した場合、平面部2
の中央部と球状基板1の中心とを通る中心軸回りに回転
する自由度を有することになる。このため、1つの識別
マークとしての平面部2によっては球状基板1の配置を
確実に決定することは難しい場合もある。したがって、
識別マークとしての平面部2を2ヵ所以上形成すれば、
球状基板1の位置決めを確実かつ容易に行なうことがで
きる。
【0135】図10は、図5〜9に示した球状基板の製
造方法において用いるCMP装置の構成を説明するため
の模式図である。図10を参照して、CMP装置は制御
手段としての制御部8と、研磨パッド7を保持パッド5
に対して相対的に移動させるための駆動部9と、研磨パ
ッド7および保持パッド5の位置などを測定するための
研磨量検出手段としての検出部10とを備える。制御部
8は検出部10からの研磨量nデータに基づいて駆動部
9を制御する。
【0136】図10に示したCMP装置では、検出部1
0によって保持パッド5と研磨パッド7との間の距離を
測定することにより、球状基板1の研磨量を検出するこ
とができる。したがって、所定の研磨量だけ球状基板1
が研磨されたかどうかを、検出部10からの情報(デー
タ)に基づいて検出することができる。制御部8は、球
状基板1の研磨量が所定の値となったところで駆動部9
を制御し、研磨パッド7の運動を停止させる。この結
果、球状基板1における研磨量を任意に制御することが
できる。このため、識別マークとなる平面部2の大きさ
を任意に変更できる。
【0137】また、制御手段としての制御部8は、球状
基板1の研磨前の平均半径をL(図1参照)とし、球状
基板1の研磨前の中心点から研磨された平面までの最短
距離をd(図1参照)とした場合、検出部10により検
出された研磨量のデータに基づいて上記最短距離dを導
出するとともに、d≧L/2という関係を満足するよう
に、球状基板1の研磨を終了することが好ましい。
【0138】この場合、被研磨領域である平面部2の面
積が必要以上に大きくなることを抑制できる。そのた
め、球状基板1において素子を形成することができる有
効面積(表面積)の減少を抑制できる。
【0139】(実施の形態2)図11〜図14は、本発
明による球状基板の製造方法の実施の形態2を説明する
ための断面模式図である。図11〜図14を参照して、
本発明による球状基板の製造方法の実施の形態2を説明
する。
【0140】まず、本発明による球状基板の製造方法の
実施の形態1と同様の工程を用いて、突起部の除去され
たほぼ球形状の球状基板1(図11参照)を準備する。
そして、図11に示すように、研磨装置としてのCMP
装置を構成する保持パッド11上に複数の球状基板1を
配置する。このとき、保持部材としての保持パッド11
は球状基板1を構成する材料であるシリコンに対して摩
擦係数の高い材料で形成されている。また、保持パッド
11はある程度の弾力性を有する。
【0141】次に、図12に示すように、保持パッド1
1において球状基板1が配置された表面側から研磨パッ
ド7を球状基板1に対して押圧する。このとき、保持パ
ッド11はある程度の弾力性を有していることから、研
磨パッド7によって球状基板1が押圧されることによ
り、保持パッド11の上部表面に凹部12が形成されて
いる。凹部12の形状は、球状基板1の外形に沿った形
状となっている。そして、球状基板1はこの凹部12に
嵌ったような状態で固定される。この場合、保持パッド
11の任意の位置で球状基板1を保持できる。したがっ
て、多数の球状基板1を一括して研磨することができ
る。
【0142】次に、図13に示すように、研磨パッド7
を保持パッド11に対して相対的に水平方向に移動させ
ることにより、図8に示した工程と同様に球状基板1の
上部表面を研磨する。この結果、球状基板1の上部表面
側には平坦化された領域である識別マークとしての平面
部2が形成される。
【0143】そして、所定量の研磨が終了した後、研磨
を終了する。その後、研磨パッド7を取外すと、図14
に示すように、球状基板1の上部表面側に識別マークと
しての平面部2が形成されている。また、研磨パッド7
により球状基板1が押圧されない状態になるので、保持
パッド11の上部表面は図11に示した場合と同様にほ
ぼ平坦な状態に戻っている。このようにして、本発明に
よる球状基板の実施の形態1と同様の球状基板1を得る
ことができる。
【0144】このように、保持パッド11がある程度の
弾力性を有しているため、研磨パッド7を球状基板1に
押圧した際に保持パッド11の上部表面が球状基板1の
形状に沿って窪み、凹部12(図12参照)が形成され
る。球状基板1はこの凹部12の内部に嵌め込まれた状
態となることにより保持されている。このようにすれ
ば、保持パッド11において予め球状基板1の外形に沿
ったような凹部を形成するといった加工を行なう必要が
ない。このため、CMP装置の製造コストを低減するこ
とができる。
【0145】また、保持パッド11において予め凹部を
形成しないので、保持パッド11の表面上に球状基板1
を集積して搭載することができる。したがって、保持部
材としての保持パッド11での単位面積当りに配置され
る球状基板1の数を増大させることができる。すなわ
ち、識別マークとなる平面部2を一度に形成する球状基
板1の数を増やすことができるので、球状基板1の生産
性を向上させることができる。
【0146】なお、上述した製造方法においては、保持
パッド11として球状基板1を構成する材料との摩擦係
数が高い材料でありかつ弾力性を有するものを用いた
が、保持パッド11として単に球状基板1を構成する材
料との摩擦係数の高い材料であって剛性の高い材料を用
いてもよい。この場合、球状基板1を保持パッド11の
上部表面に摩擦力により保持することができる。
【0147】また、保持パッド11の材料として、球状
基板1の材料との摩擦係数はそう大きくはないが、弾力
性を有するような材料を用いてもよい。この場合、図1
2に示したように球状基板1が研磨パッド7により押圧
される際に、球状基板1が保持パッド11にめり込んだ
状態で固定されることになる。この結果、図11〜14
に示した工程と同様に球状基板1の上部表面に識別マー
クとしての平面部2を形成することができる。この結
果、本発明による球状基板の実施の形態1と同様の球状
基板を得ることができる。
【0148】(実施の形態3)図15〜図18は、本発
明による球状基板の製造方法の実施の形態3を説明する
ための断面模式図である。図15〜図18を参照して、
本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3を説明
する。
【0149】まず、本発明による球状基板の製造方法の
実施の形態1と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した
後、その溶融した多結晶シリコンを冷却して単結晶粒3
(図15参照)を作製する。このとき、既に述べたよう
に単結晶粒3は完全な球状ではなく、<111>方向に
突起4(図15参照)が形成されている。
【0150】次に、単結晶粒3の表面の一部をCMP法
を用いて研磨することにより平面化する。具体的には、
まず図15に示すように、その表面に凹部14が形成さ
れた保持パッド13を備えるCMP装置を準備する。保
持パッド13の表面に形成された凹部14は、上述の単
結晶粒3の表面に形成された突起4が挿入されるような
大きさに形成されている。また、この凹部14は、保持
パッド13の上部表面に対してほぼ垂直な方向に延在す
るように形成されている。
【0151】この保持パッド13の上部表面上に突起4
が表面に形成された複数の単結晶粒3を供給する。そし
て、保持パッド13の上部表面上において複数の単結晶
粒3を転がるように移動させることにより、図15に示
すように保持パッド13の凹部14に単結晶粒3の突起
4の1つが嵌った状態となる。この結果、単結晶粒3の
<111>方向に延びる突起4の1つがCMP装置の保
持パッド13の上部表面に対してほぼ垂直になった状態
で単結晶粒3が保持パッド13に保持される。つまり、
単結晶粒3の所定の結晶方位としての<111>方向が
保持パッド13の表面に対してほぼ垂直になるように、
単結晶粒3が保持パッド13に保持されている。
【0152】次に、図16に示すように、保持パッド1
3の単結晶粒3が保持された面上に研磨パッド7を配置
する。そして、図8に示した工程と同様に、研磨パッド
7と保持パッド13とを相対的に水平方向に移動させる
ことにより、単結晶粒3の上部表面側(保持パッド13
により保持された領域とは反対側に位置する領域)を研
磨することにより除去する平面領域形成工程を実施す
る。この結果、図17に示すように、単結晶粒3には識
別マークとして作用する平面部2が形成される。なお、
この平面部2を形成するための研磨量としては、図17
に示した段階で残存している突起4を除去するための研
磨工程を考慮して、やや多めに設定しておく。このよう
にすれば、図17に示した工程の段階で残存している突
起4を除去するための研磨を行なった後においても、識
別マークとしての平面部2を識別することができる。も
ちろん、識別マークとしての平面部2上に集積回路やそ
の他の半導体素子などからなる半導体装置を形成しても
よい。この場合、これらの半導体装置に必要な領域の面
積に応じて研磨量(すなわち、平面部2の面積)を決定
することが好ましい。
【0153】この後、残存する突起4を除去するための
研磨工程を実施することにより、図18に示すように、
識別マークとしての平面部2が形成された球状基板1を
得ることができる。このとき、球状基板1の表面の粗度
は、従来のシリコンウェハの表面における粗度と同程度
になるように研磨工程を実施する。
【0154】上述のような工程によって、識別マークと
しての平面部2を有する球状基板1を一括して大量に、
かつ容易に得ることができる。また、図15〜図18に
示した製造方法によって得られる球状基板1において
は、識別マークとしての平面部2は<111>方向に対
してほぼ垂直な方向に延在する平面部となっている。こ
のため、この識別マークとしての平面部2により球状基
板1の結晶方位を識別することができる。
【0155】なお、図16からもわかるように、保持パ
ッド13はある程度の柔軟性を有しており、研磨パッド
7を単結晶粒3へと押圧した際に単結晶粒3は保持パッ
ド13へとめり込んだ状態となる。そして、このとき、
保持パッド13の表面には単結晶粒3の外形に沿った凹
部15が形成され、この凹部15に単結晶粒3が嵌り込
んで固定された状態となっている。この結果、保持パッ
ド13において単結晶粒3を確実に固定することができ
る。
【0156】また、識別マークとしての平面部2が位置
する部分の結晶方位は、この平面部2を形成するための
研磨を行なう際に、単結晶粒3の保持の方法を変更する
ことによりさまざまに変更することが可能である。たと
えば、図19〜図21に示した工程を実施すれば、識別
マークとなる平面部2が<100>方向にほぼ垂直な方
向に延在する平面部であるような球状基板を得ることが
できる。ここで、図19〜図21は、図15〜図18に
示した本発明による球状基板の製造方法の実施の形態3
の変形例を説明するための断面模式図である。図19〜
図21を参照して、本発明による球状基板の製造方法の
実施の形態3の変形例を説明する。
【0157】まず、表面において<111>方向に延在
する突起4(図19参照)を有する単結晶粒3(図19
参照)を準備する。単結晶粒3においては、その表面に
形成された複数の突起4の長さはほぼ等しくなっている
ことが好ましい。そして、このような単結晶粒3を図1
9に示すように保持パッド16の上部表面上に配置す
る。保持パッド16の上部表面には、特に凹部などは形
成されていない。重力以外に特別な力が働かない限り、
保持パッド16の上部表面上において単結晶粒3は、単
結晶粒3のそれぞれの表面に8個ずつ形成され<111
>方向に延びる突起4のうちの4つの突起4によって支
持されることになる。
【0158】次に、図20に示すように、図16に示し
た工程と同様に研磨パッド7を単結晶粒3の上から押圧
する。そして、研磨パッド7を保持パッド16に対して
相対的に水平方向に移動させることにより、単結晶粒3
の上部表面を研磨する。この結果、単結晶粒3の上部表
面が部分的に除去される。また、このとき保持パッド1
6としてある程度の弾力性を有する材料を用いておけ
ば、研磨パッド7によって単結晶粒3が保持パッド16
側へと押圧されたとき、図20に示すように単結晶粒3
が部分的に保持パッド16の上部表面に埋込まれたよう
な状態となる。この結果、保持パッド16の上部表面に
は凹部17が形成され、単結晶粒3はこの凹部17の内
部に部分的に埋込まれた状態となる。この結果、単結晶
粒3を保持パッド16の上部表面において確実に保持す
ることができる。そして、このように研磨パッド7によ
って単結晶粒3の研磨を行なうことにより、図21に示
すように単結晶粒3の上部表面が部分的に平坦化され識
別マークとしての平面部2が形成される。
【0159】その後、図18に示した工程と同様に、単
結晶粒3の表面に残存した他の突起4を除去するための
研磨工程を実施することにより、図18に示したような
識別マークとしての平面部2を有する球状基板1を得る
ことができる。このとき、識別マークとしての平面部2
は、上述のように<100>方向に対してほぼ垂直な方
向に延在する平面となっている。
【0160】なお、ここでは保持パッド16(図20参
照)としてある程度の弾力性を有する材料を用いたが、
球状基板1(図18参照)を構成する材料(すなわち単
結晶粒3を構成する材料)に対して摩擦係数の高い材料
をこの保持パッド16の材料として用いれば、ある程度
剛性の高い材料を保持パッド16の材料として用いても
よい。この場合、保持パッド16の上部表面は図20に
示した工程においても凹部17を形成するといったこと
はない。しかしが、この単結晶粒3と保持パッド16と
の接触部の摩擦によって単結晶粒3を保持することがで
きる。
【0161】(実施の形態4)図22は、本発明による
球状基板の実施の形態4を示す断面模式図である。図2
2を参照して、本発明による球状基板の実施の形態4を
説明する。
【0162】図22に示すように、球状基板1はその外
形が球形状であって、一部に曲率の異なる部位である識
別マークとしての曲面状部18を備える。球状基板1の
表面の曲率の違いを検出することにより、識別マークと
しての曲面状部18を容易に検出できる。したがって、
このような識別マークとしての曲面状部18によって
も、本発明の実施の形態1における識別マークとしての
平面部2(図1参照)と同様の効果を得ることができ
る。
【0163】図23〜図25は、図22に示した球状基
板の製造方法を説明するための断面模式図である。図2
3〜図25を参照して、図22に示した球状基板の製造
方法を説明する。
【0164】まず、本発明の実施の形態1における球状
基板の製造方法と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した
後、この溶融したシリコンを冷却して単結晶粒(図示せ
ず)を作製する。この単結晶粒の表面においては、既に
述べたように<111>方向に延在する突起が形成され
ている。そして、この突起を除去するため、単結晶粒の
表面を研磨して平坦化する工程を実施する。この結果、
突起が除去されると共に表面の粗度が従来のシリコンウ
ェハの表面と同程度になった球状基板1(図23参照)
を得ることができる。なお、球状基板1としては、SO
I基板を用いてもよく、その他の材料からなる基板、た
とえばガリウム砒素、ゲルマニウム、シリコンゲルマニ
ウムなどからなる基板を用いてもよい。ここで、球状基
板1の直径をDとする。
【0165】次に、この球状基板1の表面に保護膜19
(図23参照)を形成する。保護膜19の厚さWは、識
別マークとなる曲面状部18(図22参照)の曲率に合
わせて適宜選択することが好ましい。たとえば、曲面状
部18の曲率を小さくしたい場合(曲面状部18の曲率
半径を大きくしたい場合)には、この保護膜19の厚さ
Wを相対的に厚くする。つまり、保護膜19の厚さWを
変更することにより、曲面状部18の曲率を変更するこ
とができる。この結果、任意の曲率を有する識別マーク
としての曲面状部18を得ることができる。
【0166】保護膜19の材料としては、たとえばレジ
ストを用いることができる。球状基板1の表面へレジス
トを塗布する方法としては、霧状のレジストを球状基板
1の表面に吹きつけるといった方法を用いることができ
る。もちろん、他の方法によって球状基板1の表面にレ
ジストを塗布してもよい。また、保護膜19の材料とし
ては、CVD(Chemical Vapor Deposition)膜やスパ
ッタリング法を用いて形成された膜などを用いてもよ
い。
【0167】次に、表面に保護膜19が形成された球状
基板1について、異方性エッチングを行なうことにより
その一部を除去する。具体的には、図23に示すよう
に、保護膜19が形成された球状基板1を保持パッド2
0上に配置する。そして、図23中の矢印に示した方向
からエッチング種を供給することにより、エッチング工
程を実施する。
【0168】この結果、図24に示すように、球状基板
1の上部表面側(エッチング種が供給される側)からま
ず保護膜19がエッチングされることにより除去され
る。このとき、保護膜19においてエッチングされた領
域の表面の曲率は、図23に示した(エッチング前の)
保護膜19の外周面の曲率とほぼ等しくなっている。
【0169】そして、エッチングが進むにつれ、保護膜
19のみではなく球状基板1の上部表面もエッチングに
より除去される。この結果、図25に示すように、球状
基板1の上部表面側が部分的に除去された状態となる。
このとき、球状基板1の上部表面側のエッチングにより
除去された部分(曲面状部18)の表面の曲率は、図2
3において示した保護膜19の外周面の曲率を反映した
曲率となっている。このため、曲面状部18の表面の曲
率は、球状基板1のエッチングされていない領域におけ
る表面の曲率とは異なったものになる。この結果、曲面
状部18を他の領域とは区別できるので、曲面状部18
を識別マークとして利用することが可能になる。この
後、球状基板1の表面から保護膜19を除去することに
より、図22に示したような球状基板1を得ることがで
きる。
【0170】なお、図23および図24に示したエッチ
ング工程におけるエッチング量は、識別マークとしての
曲面状部18が後の工程において識別できることを前提
として、できる限り少なくすることが好ましい。ただ
し、識別マークを構成する曲面状部18上に集積回路や
半導体素子などの半導体装置を形成する場合、これらの
半導体装置が占有する面積を考慮してエッチング条件を
決定することが好ましい。
【0171】また、図23に示した保護膜19の厚さ
W、エッチング前の球状基板1の直径D、および球状基
板1のエッチング後の識別マークを構成する曲面状部1
8(図22参照)の曲率Cについては、以下のような関
係を満たすことが好ましい。すなわち、保護膜19を構
成する材料と球状基板1を構成する材料であるシリコン
とについて、図23および図24に示したエッチング工
程でのエッチングレートがほぼ等しい場合、W=1/C
−D/2という関係を満たすことが好ましい。また、保
護膜19のエッチングレートがシリコンのエッチングレ
ートよりも大きい場合、W≧1/C−D/2、逆に保護
膜19のエッチングレートがシリコンのエッチングレー
トよりも小さい場合には、W≦1/C−D/2という関
係を満足することが好ましい。上記のような関係を満足
すれば、保護膜19として様々な材料を用いることが可
能である。
【0172】また、図23および図24に示したエッチ
ング工程において、保護膜19のエッチングレートは球
状基板1を構成する材料であるシリコンのエッチングレ
ートよりも大きくなるように、保護膜19の材料を選択
してもよい。この場合、図23および図24に示した工
程における球状基板1のエッチング速度を相対的に低く
抑えることができる。したがって、保護膜19の厚さW
の不均一性などが球状基板1の表面における曲面状部1
8に増幅して反映されることを抑制できるので、識別マ
ークとしての曲面状部18の曲率や大きさなどについて
製造ばらつきを抑えることが可能になる。
【0173】また、識別マークとしての曲面状部18と
して、極めて曲率の小さい曲面(平面に近いような曲
面)、あるいは識別マークとしての曲面状部18をほぼ
平坦な面とするような場合、あるいは識別マークとして
の曲面状部18として、凹形状となるような表面領域を
形成する場合には、保護膜19の材料として、球状基板
1を構成するシリコンよりもそのエッチングレートが小
さくなるような材料を用いることが好ましい。また、保
護膜19のエッチングレートが相対的に小さいので、球
状基板1の表面のうち露出した部分がエッチングを受け
ている時に、このエッチングにより保護膜19が除去さ
れる度合いを小さくできる。そのため、球状基板1の表
面において保護膜19が無くなった部分の面積が拡大す
る程度を小さくできる。したがって、曲面状部18の面
積を小さくすることができる。このため、球状基板1に
おける有効面積の減少を抑制することができる。
【0174】また、保護膜19のエッチングレートが相
対的に小さいため、保護膜19の厚さを薄くしても球状
基板1の表面の一部のみを充分エッチングすることがで
きる。そのため、保護膜19の材料コストを低減でき
る。また、保護膜19を形成するための成膜工程の時間
も短縮することができるので、球状基板1の製造に要す
る工期を短縮できる。
【0175】また、図23〜図25に示した工程の後、
さらに識別マークを構成する曲面状部18の表面層を再
研磨により部分的に除去することにより平坦化してもよ
い。また、この識別マークを構成する曲面状部18につ
いて、犠牲酸化処理を行なってもよい。このようにすれ
ば、識別マークを構成する曲面状部18の表面に存在す
るエッチングダメージ部分を除去することができる。こ
の結果、識別マークとしての曲面状部18において図2
3および図24に示したエッチング工程に起因するエッ
チングダメージ部分が残存することを防止することがで
きる。したがって、曲面状部18上に素子を形成した場
合に、その素子が上記エッチングダメージにより動作不
良や特性劣化を起こすことを防止できるので、球状基板
1を用いた半導体装置の歩留りを向上させることが可能
になる。
【0176】(実施の形態5)図26は、本発明による
球状基板の実施の形態5を示す断面模式図である。図2
6を参照して、本発明による球状基板の実施の形態5に
ついて説明する。
【0177】図26に示すように、球状基板21は、ほ
ぼ球形状を有しているが、その表面に識別マークとして
の複数の(8つの)凸部22が形成されている。凸部2
2は、<111>方向にそれぞれ突出するように配置さ
れている。また、凸部22が形成された領域以外の球状
基板21の表面は、基本的には従来のシリコンウェハの
表面と同程度の表面粗度を有している。なお、凸部22
は2個所以上8個所以下の領域に形成されることが好ま
しい。
【0178】このようにすれば、凸部22が形成された
領域以外の領域においては一定の平坦性を維持する一
方、複数の凸部22を検出することにより球状基板21
の結晶方位を容易に識別することができる。
【0179】また、凸部22は<111>方向に突出す
るように配置されているので、球状基板21において容
易に<100>方向を特定することができる。また、球
状基板21において<100>方向に面した表面には、
識別マークとしての凸部22は形成されていない。この
ため、後述するように球状基板21の表面に電界効果ト
ランジスタなどを形成する場合、<100>方向にチャ
ネル電流の向きを合わせるように電界効果トランジスタ
を配置することができる。この結果、電界効果トランジ
スタにおける移動度の値を大きくすることができる。
【0180】図27は、図26に示した球状基板の製造
方法を説明するための断面模式図である。図27を参照
して、図26に示した球状基板の製造方法を説明する。
【0181】まず、本発明による球状基板の製造方法の
実施の形態1〜5と同様に、多結晶シリコン粒を溶融し
た後、溶融した半導体としてのシリコンを冷却して単結
晶粒3(図27参照)を作製する。単結晶粒3の表面に
は、<111>方向に延びる突起部としの突起4が複数
個形成されている。
【0182】そして、図27に示すように、単結晶粒3
の表面を研磨することにより、突起4を小さくする。こ
のとき、突起4が形成されていない領域では、研磨によ
って単結晶粒3の表面の粗度は小さくなる(平坦化され
る)。この結果、突起4はその先端部が除去されて、凸
部22として球状基板21の表面に残存する。一方、凸
部22が配置された領域以外の領域においては、その表
面の粗度は従来のシリコンウェハの表面粗度とほぼ同等
な値となっている。このようにして、図26に示した球
状基板を得ることができる。
【0183】このようにすれば、球状基板21となる単
結晶粒3の表面を、素子形成に適した程度に平坦化でき
ると同時に、工程数を増やすことなく突起22からなる
識別マークを形成できる。
【0184】図26に示した球状基板21では、<11
1>方向に突出するように凸部22が配置されているの
で、既に述べたように球状基板21の結晶方位を考慮し
てチャネル電流の向きが決められたような電界効果トラ
ンジスタを球状基板21の表面に形成できる。つまり、
球状基板21を用いて、特性の優れた電界効果トランジ
スタを含む半導体装置を得ることができる。
【0185】図28は、図26に示した球状基板を用い
た半導体装置の模式図である。図29は、図28の線分
XXIX−XXIXにおける断面模式図である。図30
は、図29における領域XXXの部分拡大断面模式図で
ある。図28〜図30を参照して、本発明による球状基
板を用いた半導体装置を説明する。
【0186】図28〜図30に示すように、半導体装置
は球状基板21(図26参照)を利用したものであり、
球状基板21の表面には<111>方向に突出した識別
マークとしての凸部22が配置されている。また、図3
0に示した矢印27の方向は[100]方向を示す。そ
して、図30に示すように、球状基板21の表面にはソ
ース領域23およびこのソース領域23とチャネル領域
を介して対向するように配置されたドレイン領域24が
形成されている。このソース領域23およびドレイン領
域24の間のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜25が
形成されている。ゲート絶縁膜25上にはゲート電極2
6が形成されている。このソース領域23、ドレイン領
域24、ゲート絶縁膜25およびゲート電極26から半
導体素子としての電界効果トランジスタが構成される。
【0187】この電界効果トランジスタは、[100]方
向とチャネル電流の向きがほぼ平行になるように配置さ
れている。このような電界効果トランジスタは、移動度
の点で特に有利になる。この結果、電界効果トランジス
タの電気的特性を改善することができる。なお、電界効
果トランジスタのチャネル電流の向きは、[100]方向
と等価な方向(<100>方向)であれば、他の方向と
平行になるように設定されていてもよい。
【0188】このようにすれば、識別マークとしての凸
部22を利用して球状基板21の位置決めを正確に行な
った状態で、半導体装置を構成する素子としての電界効
果トランジスタを球状基板21の表面に形成できる。
【0189】また、球状基板21の特定の結晶方位に対
応する位置に識別マークとしての凸部22を形成してい
るので、球状基板21の結晶方位を容易に識別できる。
したがって、球状基板21の結晶方位を考慮して素子と
しての電界効果トランジスタの配置を決定できる。この
ため、結晶方位に対する電界効果トランジスタなどの素
子あるいは集積回路の配置のばらつきを低減できるの
で、高性能であってかつ性能ばらつきの小さい機能素子
や集積回路を備える半導体装置を得ることができる。
【0190】(実施の形態6)図31は、本発明による
球状基板の実施の形態6を示す断面模式図である。図3
1を参照して、本発明による球状基板の実施の形態6を
説明する。
【0191】図31に示すように、球状基板28はその
外形がほぼ球形状であり、シリコンからなる球状半導体
基板である。球状基板28においては、その表面に<1
11>方向に向かって開口した識別マークとしての凹部
29が形成されている。
【0192】この結果、図31に示した球状基板28に
おいては、識別マークとしての凹部29を用いて容易に
<100>方向を特定できる。また、球状基板28の中
心から見た場合の<100>方向においては、球状基板
28の表面には突起や凹部などの構造はなく滑らかな表
面となっている。このため、図28〜図30に示した半
導体装置と同様に、球状基板28の表面においてチャネ
ル電流の向きを[100]方向に合わせたような電界効果
トランジスタを有する半導体装置を容易に製造すること
ができる。このような半導体装置における電界効果トラ
ンジスタでは、チャネル領域における移動度が改善され
るため、電界効果トランジスタの電気的特性を向上させ
ることができる。
【0193】また、識別マークは凹部29であるため、
本発明の実施の形態5のような凸部22(図26参照)
を識別マークとして用いる場合とは異なり、この識別マ
ークとしての凹部29が他の部材に引っかかるあるいは
破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0194】なお、識別マークとしての凹部29を識別
する方法としては、従来のフォトリソグラフィ工程にお
けるアライメントマークの検出方法と同様の方法を用い
ることができる。
【0195】図32〜図34は、図31に示した球状基
板の製造方法を説明するための断面模式図である。図3
2〜図34を参照して、図31に示した球状基板の製造
方法を説明する。
【0196】まず、本発明の実施の形態1における球状
基板の製造方法と同様に、多結晶シリコン粒を溶融した
後、溶融した半導体としてのシリコンを冷却して単結晶
粒3(図32参照)を作製する。このとき、図32に示
すように、単結晶粒3の表面には突起4が形成されてい
る。突起4は、<111>方向に延びるように形成され
ている。
【0197】次に、球状基板を形成するためには、上述
の突起4を除去するような研磨工程を実施する必要があ
る。そこで、まず単結晶粒3の表面に突起4が残存した
状態で、単結晶粒3の表面上に保護膜30(図33参
照)を形成する。この結果、図33に示すような構造を
得る。なお、保護膜30を形成する場合、突起4を除去
するための研磨工程を行なう前に保護膜30を形成して
もよいが、突起4を除去するための研磨工程をある程度
実施して、突起4を一部除去した後に(突起4が残存し
た状態で)保護膜30を形成してもよい。保護膜30の
厚さとしては、図33に示すように、突起4が保護膜3
0に埋設される程度の厚さであればよい。
【0198】なお、保護膜30の外周表面は、できるだ
け下地の突起4の影響を受けない程度に平坦化されてい
ることが好ましい。保護膜30としてはたとえばレジス
ト膜を用いることができる。単結晶粒3の表面にレジス
トを塗布する方法としては、霧状のレジストを単結晶粒
3へと吹きつけるといった方法を用いることができる。
ただし、他の方法により単結晶粒3の表面上にレジスト
を塗布してもよい。なお、この場合も保護膜30として
のレジスト膜の厚さは突起4が完全に埋没する程度の厚
さであればよい。また、レジスト膜の外周表面はできる
だけ下地の構造である突起4の形状の影響が現われない
程度に平坦化されていることが好ましい。あるいは、レ
ジスト膜に対するベーク処理などの後に最終的にレジス
ト膜の外周表面が平坦化されていればよい。
【0199】なお、保護膜30の材料としては、他の材
料を用いてもよい。たとえば、CVD膜やスパッタリン
グによって形成された膜などを保護膜30として用いて
もよい。この場合も、膜を形成した後に後処理、たとえ
ばアニール処理などを行なうことによって、最終的に保
護膜30の外周表面が平坦化されていればよい。
【0200】次に、保護膜30が形成された保護膜付単
結晶粒36(図33参照)に対してエッチング処理を行
なう。エッチング条件としては、保護膜30を構成する
材料と単結晶粒3を構成するシリコンとのそれぞれに対
してエッチングレートの異なるようなエッチング処理を
行なう。このとき、保護膜30に対するエッチングレー
トより単結晶粒3を構成するシリコンに対するエッチン
グレートが大きくなっていることが好ましい。ここで
は、エッチング処理方法としてウェットエッチングを用
い、エッチング用の処理液として一般的な水酸化カリウ
ム水溶液を用いた。この結果、保護膜30の表面層がエ
ッチングにより部分的除去されることにより、突起4が
露出する。さらに、続けてエッチングを行うことで、突
起4および突起4下に位置する単結晶粒3の一部分が除
去される。
【0201】この結果、図34に示すように、保護膜3
0が部分的に除去されるとともに、突起4が形成されて
いた領域においては、保護膜30に開口部31が形成さ
れた状態になる。そして、この開口部31では、単結晶
粒3を構成するシリコンがエッチングにより除去され、
表面に凹部が形成される。そして、エッチング処理を続
行することにより、開口部31では、保護膜30下に接
する単結晶粒3の外周表面よりも凹んだ状態となる凹部
29(図31参照)が形成される。この凹部29が識別
マークとなる。
【0202】この後、保護膜30を除去することによ
り、図31に示したような球状基板28を容易に得るこ
とができる。
【0203】なお、上述のように保護膜30を除去した
後、さらに球状基板1の外周面を再研磨する工程を行な
ってもよい。また、識別マークとしての凹部29は、最
終的に図31のように保護膜30(図34参照)を除去
した後においても識別できるような深さおよび占有面積
を有するように設定される。
【0204】(実施の形態7)図35は、本発明による
球状基板の製造方法の実施の形態7を説明するための模
式図である。図35を参照して、本発明による球状基板
の製造方法の実施の形態7を説明する。
【0205】本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態7は、基本的には図32〜図34に示した球状基板
の製造方法と同様である。ただし、図34において示し
たエッチング工程において、ウェットエッチングではな
く異方性エッチングであるドライエッチングを用いる点
が異なる。以下、具体的に説明する。
【0206】まず、図32および図33に示した工程と
同様の工程を実施する。ただし、単結晶粒3(図33参
照)の表面上に形成される保護膜30(図33参照)を
構成する材料としては、ドライエッチングのエッチング
種に対してエッチング阻止能力の高い材料を用いること
が好ましい。たとえば、保護膜30の材料としてシリコ
ン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはこれらの材料もし
くは他の材料のCVD膜やスパッタリングにより形成さ
れた膜などを用いることができる。なお、ここでは保護
膜30としてレジスト膜を用いる。
【0207】次に、保護膜30が形成された単結晶粒
を、エッチング方向に対して満遍なく回転させながらド
ライエッチングを行なう工程を実施する。なお、以下説
明するドライエッチングの条件としては、レジスト膜か
らなる保護膜30(図33参照)に対するエッチングレ
ートよりも、単結晶粒3(図33参照)を構成するシリ
コンに対するエッチングレートの方が大きな条件を選択
する。このエッチング工程としては、具体的には図35
に示すような工程を実施する。
【0208】図35に示すように、保護膜30(図33
参照)が形成された保護膜付単結晶粒36を、エッチン
グ装置の処理室内部に配置された保持台33上に複数個
配置する。そして、この保持台33を矢印34、35に
示すように揺動させる。この結果、保持台33上におい
て保護膜付単結晶粒36が転がることになる。この状態
で、矢印32に示す方向からエッチング種を処理室内部
に導入する。この結果、保護膜付単結晶粒36が転がっ
ているので、矢印32で示したエッチング方向に対して
満遍なく回転させながらエッチングを行なうことができ
る。
【0209】なお、この時保持台33自体が揺動するよ
うにエッチング装置が構成されていてもよいが、保持台
33をエッチング装置に固定する一方で、エッチング装
置自体を揺動させてもよい。
【0210】ここで、保護膜付単結晶粒36の表面から
見た場合のエッチング種の入射速度は、図35の矢印3
2で示したようなエッチング種の入射速度(絶対入射速
度)と保護膜付単結晶粒36の回転速度とを合成した速
度になる。そして、保護膜付単結晶粒36の回転速度が
大きくなった場合には、この保護膜付単結晶粒36の表
面から見た場合のエッチング種の速度(相対速度)と、
上述のエッチング種の絶対入射速度(図35の矢印32
で示されたエッチング種の入射速度)とのずれ量が大き
くなる。この場合、保護膜付単結晶粒36の表面に対し
て、エッチング種が斜めに入射する割合が大きくなる。
このため、保護膜付単結晶粒36の表面に対してできる
だけ垂直方向にエッチング種を入射させたい場合(エッ
チングを保護膜付単結晶粒36の表面から保護膜付単結
晶粒36の中心に向かってできるだけ垂直方向に行ない
たい場合)は、保護膜付単結晶粒36の表面全体がほぼ
均一にエッチングされる許容範囲内で、できるだけ保護
膜付単結晶粒36の回転速度を小さくすることが好まし
い。
【0211】そして、このようなドライエッチングを行
なうことにより、図33に示すように単結晶粒3の突起
4が形成されていた領域に凹部29(図31参照)から
なる識別マークを形成する。以下、図34に示した工程
と同様の工程を実施することにより、図31に示した球
状基板と同様の構造を有する球状基板28を得ることが
できる。
【0212】この場合、球状基板28(図31参照)に
形成される凹部29の占有面積は、保護膜30(図34
参照)において突起部4(図33参照)が露出していた
面積(保護膜30が除去されて下地である単結晶粒3
(図34参照)の表面が露出している領域の面積)によ
り決定される。つまり、識別マークとしての凹部29
(図31参照)の面積を精度良く規定することができ
る。したがって、球状基板28(図31参照)の表面に
おける凹部29以外の領域の面積である有効面積のばら
つきを低減できる。また、保護膜30(図34参照)に
おいて開口部31(図34参照)の面積を極力小さくし
ておけば、識別マークとしての凹部4(図31参照)の
占有面積を小さくできるので、結果的に球状基板28
(図31参照)の有効面積の減少を抑制することができ
る。
【0213】なお、上述のようなドライエッチングを行
なう際に、保護膜付単結晶粒36を回転させないように
すれば、単結晶粒3(図33参照)の表面に形成された
8つの<111>方向に延在する突起4(図33参照)
のうちいずれか1つのみをエッチングにより除去するこ
とも可能である。この場合、球状基板28(図31参
照)において、識別マークとして作用する凹部を1つだ
け形成することも可能となる。また、ドライエッチング
の方向を調整して、複数の突起4(図33参照)のうち
いずれか2つ、または3つのみといったように、複数の
突起4のうちの一部のみをエッチングにより除去するこ
ともできる。この場合、球状基板28において識別マー
クとして作用する凹部29(図31参照)を2つあるい
は3つと特定の数だけ形成することもできる。
【0214】この場合、複数の識別マークとしての凹部
29(図31参照)を用いて球状基板28(図31参
照)の位置合せを行うことができると同時に、球状基板
28における有効面積の減少の程度を小さくすることが
できる。
【0215】図36は、図35に示したエッチング工程
の第1の変形例を説明するための模式図である。図36
に示すように、保護膜付単結晶粒36を回転させながら
エッチングを行なう工程において、保護膜付単結晶粒3
6をホルダ37によって保持し、このホルダ37を矢印
34、35に示すように揺動、あるいは回転することに
より、図35に示した場合と同様に保護膜付単結晶粒3
6を回転させながらドライエッチングを行なうことがで
きる。この結果、保護膜付単結晶粒36の表面のほぼ全
体についてエッチングを行なうことができる。
【0216】なお、ホルダ37においては、保護膜付単
結晶粒36を保持する手段として真空吸着、あるいは静
電吸着などの手段を用いることができる。たとえば、図
36に示したホルダ37では、その中央部に真空吸着用
の吸引用開口部が形成され、この吸引用開口部は吸引用
排気ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0217】図37は、図35に示したエッチング工程
の第2の変形例を説明するための模式図である。図37
を参照して、図35に示したドライエッチング工程の第
2の変形例を説明する。
【0218】図37に示すように、保護膜付単結晶粒3
6を回転させながらドライエッチングする方法として、
チャンバ38の上部から下部へと保護膜付単結晶粒36
を回転させながら落下させる。そして、同時に保護膜付
単結晶粒36に対して矢印32に示すように異なる方向
からエッチング種を吹きつけてもよい。
【0219】具体的には、チャンバ38には、チャンバ
38の内部に異なる方向からエッチング種を導入するこ
とが可能なエッチング種導入部95が設置されている。
このエッチング種導入部95から矢印32に示すように
チャンバ38の内部にエッチング種が導入される。そし
て、チャンバ38の上部から下部へと保護膜付単結晶粒
36を回転させる際、このエッチング種導入部95から
矢印32に示すように保護膜付単結晶粒36へと異なる
方向からエッチング種を入射させる。この結果、矢印3
9に示すようにチャンバ38内部を落下する保護膜付単
結晶粒36は、実質的にその表面が満遍なくエッチング
されることになる。したがって、図35に示したエッチ
ング装置を用いた場合と同様の効果を得ることができ
る。
【0220】なお、ここでは保護膜付単結晶粒36を回
転させながら矢印39に示すように落下させているが、
チャンバ38を含むエッチング装置自体を回転させても
よい。この場合、保護膜付単結晶粒36の表面における
エッチングの均一性をより向上させることができる。
【0221】(実施の形態8)図38〜図40は、本発
明による球状基板の製造方法の実施の形態8を説明する
ための断面模式図である。図38〜図40を参照して、
本発明による球状基板の製造方法の実施の形態8を説明
する。
【0222】本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態8は、図31に示した球状基板28を形成するため
の球状基板の製造方法であって、まず図32および図3
3に示した工程と同様の工程を実施することにより、突
起4(図33参照)が形成された状態の単結晶粒3(図
33参照)の表面に保護膜30(図33参照)を形成す
る。保護膜30の厚さは、単結晶粒3の表面に形成され
た突起4が完全に埋設された状態になる程度の厚さとす
ることが好ましい。また、保護膜30の表面は下地の構
造物である突起4の影響をほとんど受けない程度に平坦
化されていることが好ましい。保護膜30の材料として
は、レジスト、あるいはシリコン酸化膜、シリコン窒化
膜、もしくはその他の材料などのCVD膜やスパッタリ
ングによって形成された膜を用いることができる。ここ
では、保護膜30としてレジスト膜を用いる。
【0223】レジストを単結晶粒3の表面へ塗布する方
法は、図33において説明した場合と同様に霧状のレジ
ストを単結晶粒3の表面に吹きつけるといった方法を用
いることができる。なお、他の方法を用いてもよい。保
護膜30としてのレジスト膜の表面については、上述の
ように下地の突起4の影響を受けない程度に平坦化する
ことが好ましい。また、保護膜30としてのレジスト膜
に対してベーク処理などを行なった後、最終的に平坦化
されていればよい。また、CVD膜などにより保護膜3
0を形成した場合であっても、保護膜30の成膜処理の
後にアニール処理などの後処理を行なうことによって、
最終的に保護膜30の表面を平坦化していればよい。
【0224】その後、図33に示したように保護膜が形
成された保護膜付単結晶粒36について、エッチングを
行なうことにより単結晶粒3の表面に形成された突起4
を部分的に露出させる。この結果、図38に示すような
構造となる。ここで、エッチングとしては等方性エッチ
ング、たとえばウェットエッチングなどを用いてもよい
し、単結晶粒3の表面に形成された保護膜30の表面を
満遍なくエッチングできればドライエッチングなどの異
方性エッチングを用いてもよい。また、CMP法などの
研磨法を用いてもよい。なお、このような研磨を行なう
場合には、保護膜30の材料として、ある程度の硬さを
有する材料を選択することが好ましい。たとえば、単結
晶粒3(図32参照)を構成する材料であるシリコンと
同程度の硬さを有する材料を保護膜30(図33参照)
の材料として選択することが好ましい。この場合、研磨
工程において保護膜30の表面の平坦化をより容易に行
なうことができる。
【0225】次に、保護膜30(図38参照)をマスク
として、保護膜30の開口部31(図38参照)におい
て露出している単結晶粒3の突起部の表面を酸化する酸
化工程を実施する。この結果、図39に示すように、保
護膜30において開口部31が形成されていた領域で
は、単結晶粒3を構成するシリコンが酸化された改質領
域としての酸化領域40が形成される。この酸化領域4
0は、突起4が位置していた領域に形成されているの
で、単結晶粒3において<111>方向に配置された状
態となっている。
【0226】酸化領域40を形成する方法としては、通
常の拡散炉を用いて加熱処理する方法を用いることがで
きる。また、酸化領域40を形成する方法としては他の
方法を用いてもよい。たとえば、開口部31において露
出した単結晶粒3の表面に酸素もしくはその化合物を注
入してもよい。また、開口部31において露出した単結
晶粒3の表面に窒素もしくはその化合物を注入あるいは
導入することにより、酸化領域40が形成された領域に
窒化領域を形成してもよい。
【0227】なお、酸化領域40の大きさ(たとえば単
結晶粒3の中心部に向けた浸入深さ)は、最終的に単結
晶粒3の表面を研磨して球状基板を形成した場合にも、
酸化領域40が形成されていた領域を識別できる程度の
深さであればよい。この酸化領域40の大きさを変更す
ることにより、最終的に形成される凹部29(図31参
照)のサイズを任意に変更できる。
【0228】次に、単結晶粒3の表面から保護膜30を
エッチングによって除去する。そして、単結晶粒3の表
面を研磨する。なお、図39に示したように保護膜30
が形成された状態の単結晶粒3に対して直接、平坦化工
程である研磨工程を実施してもよい(つまり、保護膜3
0ごと単結晶粒3を研磨してもよい)。この場合、保護
膜30を除去すると同時に、単結晶粒3の表面を平坦化
することができるので、製造工程数を削減できる。
【0229】この結果、図40に示すように、シリコン
からなる基部42の表面に、突起4(図32参照)が形
成されていた方向に酸化膜41が残存した球状基板28
を得ることができる。酸化膜41は、識別マークとなる
凹部29に埋め込まれた状態となっている。なお、基部
42および酸化膜41の表面はともに上述の研磨工程に
よって平坦化されている。
【0230】次に、フッ化水素を含む溶液などを用いた
エッチングにより基部42の表面から酸化膜41を除去
する。なお、このエッチング工程においては、基部42
を構成するシリコンとシリコン酸化膜からなる酸化膜4
1とについて選択比のあるエッチングであれば、他のエ
ッチング方法を用いてもよい。この結果、図31に示し
た球状基板28と同様の構造を有する球状基板を得るこ
とができる。
【0231】なお、上述の製造方法においては、まず保
護膜30を除去した後で、識別マークを構成する凹部2
9の内部から酸化膜41を除去しているが、保護膜30
(図39参照)を除去する前に、酸化領域40(図39
参照)を構成する酸化膜をウェットエッチングなどによ
って除去し、その後保護膜30を除去するといった方法
を用いてもよい。
【0232】また、酸化領域40が形成された部分で
は、シリコンを窒化、あるいは炭化した化合物などのよ
うに、シリコン酸化膜とは異なる他のシリコン化合物を
形成してもよい。
【0233】(実施の形態9)図41は、本発明による
球状基板の実施の形態9を示す断面模式図である。図4
1を参照して、本発明による球状基板の実施の形態9を
説明する。
【0234】図41に示すように、球状基板44はほぼ
球形状の外形を有しており、結晶方位の<111>方向
において磁性を帯びた領域である磁性体領域43が形成
されている。この磁性体を有する領域である磁性体領域
43は識別マークとして機能する。磁性体領域43は後
述するように磁性を有する不純物を球状基板44の表面
に導入することにより形成された領域である。
【0235】このように磁性体領域43として十分な強
さの磁界を発生させることが可能な領域を形成しておけ
ば、この磁性体領域43によって形成される磁界を用い
て自己整合的に球状基板44の位置合せを行なうことが
できる。
【0236】たとえば、球状基板44を利用して球状の
半導体装置を製造する場合を考える。半導体装置の製造
工程において用いる処理装置(製造装置)、たとえばス
テッパ、エッチャ、注入装置、あるいは研磨装置など、
には一般的に基板を保持するための基板保持機構が設置
されている。この基板保持機構に磁場発生装置を組込ん
でおく。そして、球状基板44を基板保持機構で保持す
る際に、磁場発生装置により磁場を発生させれば、その
磁場によって球状基板44の識別マークとしての磁性体
領域43を基板保持機構の磁場発生装置に吸着すること
ができる。この結果、球状基板44の位置決めを容易に
行なうことができる。
【0237】また、図41に示すように、球状基板44
において<111>方向に識別マークとしての磁性体領
域43を配置しておけば、基板保持機構の磁場発生装置
に球状基板44の磁性体領域43を吸着させることによ
り、球状基板44の結晶方位を容易に特定できる。たと
えば、磁場発生装置に対向する球状基板44の表面領域
およびその表面領域とは反対側に位置する球状基板44
の表面領域の結晶方位は、それぞれ自動的に<111>
方向となる。また、磁気検知装置を用いれば球状基板4
4の磁性体領域43を非接触状態で容易に検出できる。
【0238】また、球状基板44の表面形状をほぼ球形
状としたままで識別マークとしての磁性体領域43を形
成するので、球状基板44に対して従来の球状基板用の
製造装置をそのまま適用することができる。したがっ
て、本発明による球状基板44を用いた半導体装置の製
造工程において、新たな装置を準備する必要が無いの
で、半導体装置の製造コストの増大を抑制できる。
【0239】また、球状基板44の表面には識別マーク
としての凸部や凹部が設けられておらず、比較的滑らか
であるので、その機械的強度を高く保つことができる。
【0240】なお、磁性体領域43に変えて、球状基板
44の表面層を改質処理することにより得られる領域、
あるいは球状基板44の表面上に識別層を塗布した領域
を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0241】図42〜44は、図41に示した球状基板
の製造方法を説明するための断面模式図である。図42
〜44を参照して、図41に示した球状基板の製造方法
を説明する。
【0242】まず、図32、図33および図38に示し
た工程と同様の工程を実施することにより、その表面に
保護膜30(図38参照)が形成された単結晶粒3(図
38参照)を作製する。保護膜30としてはレジスト膜
を用いる。なお、保護膜30の材料として他の材料、た
とえばBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜や
他のCVD法によって形成される膜(CVD膜)、ある
いはスパッタリング法によって形成される膜を用いても
よい。また、保護膜30を部分的に除去するエッチング
としてはドライエッチングあるいはウェットエッチング
のいずれの方法を用いてもよい。また、保護膜30を部
分的に除去する方法として、CMP法などの研磨方法を
用いてもよい。
【0243】そして、図42に示すように、保護膜30
が表面に配置された単結晶粒3の表面上に不純物を含む
膜45を堆積する。膜45に含まれる不純物としてはた
とえば磁性を有する不純物(磁性体不純物)を用いるこ
とができる。
【0244】次に、不純物を含む膜45から、保護膜3
0の開口部31において露出した単結晶粒3の部分に不
純物を拡散することにより導入する。この結果、特別な
注入装置などを用いることなく、図43に示すように磁
性体導入部46が形成される。この不純物導入部として
の磁性体導入部46の深さ(単結晶粒3の中心方向に向
けた深さ)が最終的に球状基板44(図41参照)とな
った際に残存する程度の深さとなるように、磁性体導入
部46を形成する。なお、磁性体導入部46は最終的に
磁性体領域43(図41参照)となる。
【0245】次に、不純物を含む膜45(図43参照)
を除去する。その結果、図44に示すような構造を得
る。そして、保護膜30をエッチングなどを用いて除去
する。その後、露出した単結晶粒3の表面を研磨して平
坦化することにより、図41に示すような球状基板44
を得ることができる。なお、このとき保護膜30ごと研
磨を行なって保護膜30を除去しつつ単結晶粒3の表面
を平坦化してもよい。
【0246】この結果、突起4(図32参照)が存在し
ていた<111>方向において、図41に示すように球
状基板44の表面は平坦化されているが磁性体不純物
(磁性を有する不純物)が存在する領域である磁性体領
域43が形成される。この識別マークとしての磁性体領
域43によって、球状基板44の<111>方向を識別
することができる。この識別マークとしての磁性体領域
43を検知する方法としては、磁性体領域43により形
成される磁界を検知するといった方法を用いることがで
きる。
【0247】なお、識別マークを形成するために単結晶
粒3(図43参照)に導入される不純物としては、磁性
体不純物以外の不純物であって、球状基板44(図41
参照)の基部42(図41参照)を構成するシリコンと
物理的特性あるいは化学的特性が異なり、外部から識別
することが可能な不純物であれば他の不純物を用いても
よい。
【0248】(実施の形態10)図45は、本発明によ
る球状基板を用いた半導体装置(球状半導体装置)の製
造工程において用いる製造装置を示す模式図である。図
45を参照して、本発明による球状基板を用いた半導体
装置の製造装置を説明する。
【0249】図45に示すように、製造装置は露光装置
であって、球状基板44の表面に転写するためのパター
ンを形成する露光光を準備するイメージングシステム4
7と、球状基板44の表面へとイメージングシステム4
7から放出された露光光を投影するためのレンズシステ
ム48と、球状基板44を保持するためのホルダ49と
を備える。球状基板44は、図41に示した球状基板と
同様の構造を備えている。球状基板44の表面の<11
1>方向には識別マークとしての磁性体領域43が形成
されている。
【0250】ホルダ49は、磁場発生装置50と、この
磁場発生装置50に接続され、球状基板44を保持する
部位(ホルダ49の上部表面)にまで磁場を伝達するた
めの磁場伝達部材51とを備える。基板保持機構である
ホルダ49の上部表面には、磁場伝達部材51の一方端
部が露出した状態になっている。そして、磁場発生装置
50において磁場を発生させることにより、磁場伝達部
材51の一方端部(ホルダ49の上部表面に露出した側
の端部)に球状基板44の磁性体領域43を吸着するこ
とができる。この結果、ホルダ49において球状基板4
4の位置合せを自己整合的に行うことができるととも
に、球状基板44を保持、固定することができる。この
状態で、イメージングシステム47およびレンズシステ
ム48を用いて球状基板44の表面に所定のパターンを
転写することができる。なおこのとき球状基板44の表
面にはレジスト膜などが形成されている。
【0251】図46は、図45に示した露光装置のホル
ダの第1の変形例を説明するための部分断面模式図であ
る。図46を参照して、露光装置のホルダの第1の変形
例を説明する。
【0252】図46に示すように、第1の変形例として
のホルダ49は、基本的には図45に示した露光装置の
ホルダ49と同様の構造を備えるが、球状基板44を吸
着する吸着部に磁場発生装置52が直接露出した状態と
なっている。磁場発生装置52としては、コイルや電磁
石を用いることができる。
【0253】この結果、図45に示した露光装置におけ
るホルダ49と同様に、磁場発生装置52において磁場
を発生させることにより、球状基板44の磁性体領域4
3をホルダ49の上部表面に吸着することができる。こ
の結果、磁場を用いて球状基板44の方向(ホルダ49
に対する球状基板44の結晶方位)を決定することがで
きる。
【0254】図47は、図45に示した露光装置のホル
ダの第2の変形例を説明するための部分断面模式図であ
る。図47を参照して、ホルダ49の第2の変形例を説
明する。
【0255】図47に示すように、ホルダ49は基本的
には図46に示したホルダと同様の構造を備えるが、磁
場発生装置52はホルダ49に形成された開口部53の
内部に配置されている。開口部53は、図示していない
が真空ポンプなどと接続されている。このため、ホルダ
49の上部表面において、開口部53からホルダ49の
雰囲気ガスを吸引するように真空ポンプを動作させるこ
とにより、球状基板44を吸引してホルダ49の上部表
面に固定することができる。また、このとき磁場発生装
置52において磁場を発生させることにより、識別マー
クとしての磁性体領域43が磁場発生装置52側に向く
ように、球状基板44の方向を決定することができる。
なお、磁場発生装置52において発生させる磁場の強度
を十分大きくすることにより、球状基板44をホルダ4
9へと吸着するための吸着部材としても磁場発生装置5
2を利用できる。
【0256】このようにしても、図45に示した露光装
置におけるホルダ49と同様の効果を得ることができ
る。
【0257】図48は、図45に示した露光装置のホル
ダの第3の変形例を説明するための部分断面模式図であ
る。図48を参照して、ホルダ49の第3の変形例を説
明する。
【0258】図48に示すように、ホルダ49は基本的
には図47に示したホルダ49と同様の構造を備える
が、電磁石などのような開口部53(図47参照)内部
に配置された磁場発生装置52(図47参照)に代え
て、開口部53を囲むように配置されたコイル54を備
える。このコイル54に電流を供給することにより、図
47に示した磁場発生装置52と同様にホルダ49にお
いて磁場を発生させることができる。この結果、図47
に示したホルダと同様の効果を得ることができる。
【0259】図49および図50は、図45に示した露
光装置におけるホルダの第4の変形例を説明するための
部分断面模式図である。図49および図50を参照し
て、ホルダ49の第4の変形例を説明する。
【0260】図49および図50に示すように、ホルダ
49においては磁場発生装置52が上下方向に移動可能
になっている。そして、磁場発生装置52により磁場を
発生させることにより、磁場発生装置52の上部表面上
に球状基板44の磁性体領域43を吸着させる場合に
は、磁場発生装置52の上端部がホルダ49の上部表面
から突出した状態となるように磁場発生装置52を配置
する。そして、磁場発生装置52により磁場を発生させ
る。この結果、磁場発生装置52の上端に球状基板44
の磁性体領域43を吸着させることができる。したがっ
て、図45に示した露光装置のホルダと同様の効果を得
ることができる。
【0261】また、ホルダ49から球状基板44を取外
す場合には、磁場発生装置52における磁場の発生を中
止するとともに、磁場発生装置52を図50に示すよう
に下側に移動させる。図50からもわかるように、この
時、磁場発生装置52はホルダ49に形成された開口部
55の内部に引っ込んだ状態となる。磁場発生装置52
は開口部55の延在する方向に摺動可能になっている。
この結果、ホルダ49から球状基板44を確実に取外す
ことができる。
【0262】図51は、図45に示した露光装置におけ
るホルダの第5の変形例を説明するための分断面模式図
である。図51を参照して、ホルダ49の第5の変形例
を説明する。
【0263】図51に示すように、ホルダ49は基本的
には図46に示したホルダ49と同様の構造を備える
が、磁場発生装置としてコイル54と、このコイル54
の中心軸に沿うように配置された磁性体芯56とを備え
る。コイル54に電流を供給することにより、磁場を発
生させることができる。そして、このとき磁性体芯56
の上部表面に、図46に示したホルダ49と同様に球状
基板44の磁性体領域43(図46参照)を吸着するこ
とができる。この結果、図46に示したホルダと同様の
効果を得ることができる。
【0264】図52は、図45に示した露光装置におけ
るホルダの第6の変形例を説明するための部分断面模式
図である。図52を参照して、ホルダ49の第6の変形
例を説明する。
【0265】図52に示すように、ホルダ49は、基本
的には図51に示したホルダと同様の構造を備えるが、
コイル54の内周側に開口部53が形成されている。開
口部53は図示していない真空ポンプと接続されてい
る。そして、磁性体芯56はこの開口部53の内部に配
置されている。
【0266】この結果、コイル54に電流を供給するこ
とにより磁場を発生させ、この磁場によって球状基板4
4をホルダ49の上部表面に吸着することができる。さ
らに、真空ポンプを動作させることにより開口部53の
上部において球状基板44を真空吸着することが可能と
なる。この結果、図47に示したホルダ49と同様の効
果を得ることができる。
【0267】なお、球状基板44を保持する方法とし
て、磁場を用いる方法や真空吸着する方法、あるいはこ
れらを併用する方法などを示したが、球状基板44を物
理的に把持部材などで挟み込んで保持するといった方法
などを用いてもよい。なお、上述のように磁場を発生さ
せる装置(磁場発生装置50、52およびコイル54な
ど)は、球状基板44を吸着する機能を有するととも
に、球状基板44における識別マークとしての磁性体領
域43の方向を決定する機能も有する。
【0268】また、磁場の発生方法としては、コイル5
4を用いる方法、あるいは磁性体(すなわち磁石)を用
いる方法、あるいはこれらを併用する方法などを用いて
もよい。また、たとえば図46に示すように磁力で球状
基板44を保持する場合、ホルダ49から球状基板44
を取外す時(リリースする時)には、発生させる磁場を
弱めるような操作を行なえばよい。たとえば、図48に
示すようなコイル54を用いる場合には、コイル54に
供給する電流を減少させる、あるいは反転させるといっ
た操作を行なえばよい。
【0269】また、磁場発生装置52として磁石を用い
るような場合、図49および図50に示したようにこの
磁場発生装置52を移動可能に構成しておけば、図50
に示すように磁場発生装置52をホルダ49の内部へと
引込めるというような操作を行うことにより、容易に球
状基板44をホルダ49から取外すことができる。ま
た、もし磁石とコイルとを併用しているような場合に
は、球状基板44がホルダ49に吸着される場合とは逆
方向の電流をコイルに印加することにより、十分な強度
を有する反対方向の磁場を発生させればよい。このよう
にして、球状基板44をホルダ49から容易に取外すこ
とができる。
【0270】(実施の形態11)図53〜図55は、本
発明による球状基板の製造方法の実施の形態11を説明
するための断面模式図である。図53〜図55に示した
球状基板の製造方法は、図41に示した球状基板の製造
方法であって、識別マークとしての磁性体領域43(図
41参照)を形成するために単結晶粒3(図53参照)
へと不純物を導入する導入方法が異なる。すなわち、以
下に説明する製造方法においては、識別マークとしての
磁性体領域43(図41参照)を形成するために、単結
晶粒3の表面に不純物を注入する工程を行なっている。
以下具体的に説明する。
【0271】まず、本発明の球状基板の製造方法の実施
の形態1と同様に、単結晶粒を溶融した後、その溶融し
たシリコンを冷却して図32に示すような単結晶粒3を
得る。次に、この単結晶粒3の表面上に2層からなる保
護膜を形成する。具体的には、図53に示すように、単
結晶粒3の表面上にシリコン酸化膜からなる1層目保護
膜57を形成する。さらに、1層目保護膜57上に金属
膜からなる2層目保護膜58を形成する。この1層目保
護膜57および2層目保護膜58の材料としては、識別
マークとしての磁性体領域43を形成するために注入さ
れる不純物(注入種)の注入工程において、この不純物
の透過を防止する阻止能力の高い材料を用いることが好
ましい。
【0272】次に、2層目保護膜58の一部をエッチン
グにより除去する。この結果、図54に示すような構造
を得る。このエッチングの条件としては、単結晶粒3を
構成するシリコンについても除去できるようなエッチン
グ条件を採用する。この結果、図54に示すようにエッ
チング後の2層目保護膜58の表面と、2層目保護膜5
8および1層目保護膜57に形成された開口部59にお
いて露出する単結晶粒3の部分の上部表面とがほぼ1つ
の曲面を形成する。
【0273】この後、図54に示した単結晶粒3を回転
させながら不純物(ここでは磁性を有する不純物)を注
入する。注入方法としては、具体的には図35〜37に
示した装置と同様の構成を備える不純物注入装置を用い
ることができる。すなわち、図35〜図37は、保護膜
付単結晶粒36(図35参照)を回転させながらドライ
エッチングを行なう装置を示していたが、矢印32(図
35参照)に示した方向から導入されるエッチング種に
代えて、注入されるべき不純物を矢印32(図5参照)
に示した方向から照射する。そして、保護膜付単結晶粒
36(図35参照)に代えて保持台33上に図54に示
した単結晶粒3を配置する。このようにすれば、図54
に示した1層目保護膜57および2層目保護膜58が表
面に形成された単結晶粒3の表面全体に満遍なく不純物
を照射することができる。
【0274】この結果、開口部59(図54参照)にお
いて露出した単結晶粒3(図54参照)の部分には磁性
を有する不純物が注入され、図55に示すように注入部
60が形成される。このとき、注入部60は、1層目保
護膜57および2層目保護膜58を除去した後において
も残存可能なように十分な深さにまで到達するように形
成される。ここで、注入部60は最終的に識別マークと
しての磁性体領域43(図41参照)となる。
【0275】なお、この注入工程において、1層目保護
膜57および2層目保護膜58が表面に形成された単結
晶粒3の回転速度が速過ぎる場合には、注入される不純
物が単結晶粒3の表面に対して斜めに入射することにな
る。したがって、単結晶粒3の表面に対してほぼ垂直な
方向(単結晶粒3の中心部に向かう方向)から極力不純
物を注入したい場合、許容できる範囲内でできるだけ単
結晶粒3の回転速度を小さくすることが好ましい。
【0276】この後、図44に示した工程と同様に、2
層目保護膜58、1層目保護膜57をそれぞれエッチン
グなどにより除去した後、露出した基部42(図55参
照)の表面を研磨などによって平坦化する。この結果、
図41に示したような球状基板44を得ることができ
る。
【0277】なお、注入部60(図55参照)を形成す
るための注入工程において、注入エネルギーを適宜選択
することにより注入部60の深さ方向の位置や広がりを
任意に変更できる。たとえば、注入部60を基部42
(図55参照)の表面から十分深い領域(球状基板44
(図41参照)の表面上に形成される半導体素子の動作
に必要な不純物領域の位置より深い部分に位置する領
域)に形成することもできる。そして、この注入部60
を、球状基板44(図41参照)の表面における素子な
どの形成のための不純物領域が形成される領域の深さよ
りも十分深い領域に形成すれば、この注入部60が形成
された領域上にも電界効果トランジスタなどの半導体素
子やその他の素子を形成することが可能になる。この結
果、球状基板44の表面において素子などを形成するこ
とが可能な有効面積を大きくすることができる。
【0278】また、図54および55において説明した
注入工程において、1層目保護膜57および2層目保護
膜58が形成された単結晶粒3(図54参照)を回転さ
せることなく1方向から不純物を注入すれば、球状基板
44(図41参照)において<111>方向である8つ
の方向のうちいずれか1つの方向に位置する領域にのみ
不純物を注入することができる。すなわち、球状基板4
4において、識別マークとしての磁性体領域43(図4
1参照)を1つだけ形成することも可能である。
【0279】(実施の形態12)図56は、本発明によ
る球状基板の実施の形態12を示す断面模式図である。
図56を参照して、本発明による球状基板の実施の形態
12を説明する。
【0280】図56に示すように、球状基板62はほぼ
球形状の外形を有しており、<111>方向において凹
部の中に埋込まれた識別マークとしての酸化膜61を有
する。すなわち、球状基板62は、シリコンからなるほ
ぼ球形状の基部42と、この基部42の表面に形成され
た凹部の内部に充填された状態となっている識別マーク
としての酸化膜61とを備える。
【0281】図56に示した球状基板62においては、
識別マークとして作用する改質領域である酸化膜61の
存在により、球状基板62における<111>方向を検
出することができる。たとえば、図57に示すように、
球状基板62の表面における光の屈折率の変化を測定す
ることによって、識別マークを構成する酸化膜61の位
置を検出することができる。
【0282】図57は、図56に示した球状基板につい
て、識別マークを検出するとともに球状基板の位置決め
を行なう装置(識別装置)の構成を説明するための模式
図である。図57に示すように、装置は制御部63と測
定部65と位置決め部64とを備える。制御部63は測
定部65および位置決め部64を制御する。測定部65
は、球状基板62の表面に光を照射し、その反射光を検
出することによって球状基板62の表面に形成された識
別マークとしての酸化膜61の位置を検出する。なお、
測定部65では、照射した光の屈折率の変化を測定する
ことによって、球状基板62の表面における酸化膜厚の
変化を識別する。そして、識別マークとしての酸化膜6
1は、他の領域よりもその酸化膜の厚みが厚くなってい
るので、容易に酸化膜61を検出することができる。酸
化膜61の位置データは測定部65から制御部63へと
伝送される。制御部63は、その伝送された位置データ
に基づいて、位置決め部64に制御信号を伝送する。位
置決め部64は、制御部63からの制御信号に基づいて
球状基板62の位置を制御する。
【0283】既に述べたように、識別マークとしての酸
化膜61は、球状基板62の<111>方向に形成され
ている。したがって、図57に示した装置を用いて、球
状基板62において結晶方位を正確に把握し、その結晶
方位に合せて球状基板62を配置することができる。
【0284】なお、球状基板62に代えて、図41に示
すように識別マークとして磁性体領域43を有する球状
基板44を識別する場合には、測定部65(図57参
照)に磁場の強さの変化を検出する手段としての磁気検
出装置を配置することが好ましい。このようにすれば、
磁性体領域43(図41参照)を有する球状基板44
(図41参照)について、識別マークとしての磁性体領
域43を容易に検出することができる。
【0285】図56に示した球状基板62の製造方法
は、基本的には図38〜図40に示した球状基板の製造
方法と同様である。すなわち、図38〜図40に示した
球状基板の製造方法では、図40に示した工程において
球状基板28(図40参照)の表面から酸化膜41(図
40参照)を除去していたが、この酸化膜41(図40
参照)を除去することなく残存させれば図56に示した
球状基板62を得ることができる。
【0286】なお、識別マークとして作用する領域は、
図56に示したように酸化膜61に限られず、窒化膜、
あるいは他のシリコン化合物膜であってもよい。
【0287】(実施の形態13)図58は、本発明によ
る球状基板の実施の形態13を説明するための断面模式
図である。図58を参照して、本発明による球状基板の
実施の形態13を説明する。
【0288】図58に示すように、球状基板62は、基
本的に図56に示した球状基板と同様の構造を備える
が、識別マークを構成する領域の材質が異なる。すなわ
ち、図58に示した球状基板62においては、SOG
(Spin On Glass)膜66からなる識別マ
ークが形成されている。識別層としてのSOG膜66
は、球状基板62の<111>方向に位置する領域に形
成されている。このような球状基板62によっても、本
発明による球状基板の実施の形態12と同様の効果を得
ることができる。
【0289】図59および図60は、図58に示した球
状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。
図59および図60を参照して、図58に示した球状基
板の製造方法を説明する。
【0290】まず、図32〜図34に示した工程と同様
の工程を実施することにより、図59に示したような球
状基板を準備する。図59に示した球状基板において
は、シリコンからなる基部42の表面に凹部29が形成
されている。この凹部29は<111>方向に位置する
領域に形成されている。
【0291】次に、図59に示した球状基板の表面全体
にSOG膜67(図60参照)を形成する。この結果、
図60に示したような構造を得る。
【0292】この後、等方性エッチングを行なうことに
より、基部42の表面に形成されたSOG膜67の部分
を除去するとともに、凹部29の内部にのみSOG膜6
6(図58参照)を残存させる。その結果、図58に示
したような球状基板62を得ることができる。
【0293】(実施の形態14)図61は、本発明によ
る球状基板の実施の形態14を説明するための断面模式
図である。図61を参照して本発明による球状基板の実
施の形態14を説明する。
【0294】図61に示すように、球状基板1はほぼ球
形状の外形を有し、その<111>方向における表面に
はレジスト膜69からなる識別マークが形成されてい
る。また、レジスト膜69が配置された領域以外の表面
領域には、球状基板1の表面層が改質された表面改質部
68が形成されている。この表面改質部68としては、
たとえば親水性の酸化膜を形成してもよい。また、この
場合、レジスト膜69を構成する材料としては、疎水性
のレジスト膜を用いることが好ましい。
【0295】このように、図61に示した球状基板1に
おいても、<111>方向に識別マークとして作用する
レジスト膜69が配置されているので、図58に示した
球状基板と同様の効果を得ることができる。
【0296】図62および図63は、図61に示した球
状基板の製造方法を説明するための断面模式図である。
図62および図63を参照して、図61に示した球状基
板1の製造方法を説明する。
【0297】まず、本発明の実施例6における製造方法
と同様に、図32に示したような単結晶粒3を準備す
る。そして、この表面に突起4(図62参照)が形成さ
れた単結晶粒3(図62参照)について、その表面を改
質する工程を実施する。その結果、図62に示すよう
に、単結晶粒3の表面に表面改質部68が形成される。
表面改質部68は、レジスト膜69(図61参照)を構
成する材料との親和性が悪くなるような処理を施された
領域である。たとえば、表面改質部68として親水性の
酸化膜が形成される。
【0298】その後、突起4(図62参照)を研磨する
ことにより除去する。その結果、図63に示すような構
造を得る。このとき、突起4が形成されていた領域にお
いては、疎水性のシリコン表面が露出した露出部70が
形成されている。そして、この状態で疎水性のレジスト
を単結晶粒3の表面上に塗布する。
【0299】この結果、表面改質部68には親水性の酸
化膜が形成されているため、表面改質部68上からは疎
水性のレジストがはじかれてしまう。一方、露出部70
では疎水性のシリコン表面が露出しているため、この露
出部70上に疎水性のレジスト膜が塗布された状態とな
る。その後、ベーク処理など所定の処理を行なうことに
より、図61に示したような球状基板1を得ることがで
きる。
【0300】なお、疎水性のレジスト膜を用いる代わり
に、疎水性の材料であれば識別マークとして露出部70
上に配置することが可能である。
【0301】(実施の形態15)図64は、本発明によ
る球状基板を利用した測定装置としての加速度センサを
示す断面模式図である。図65および図66は、図64
に示した加速度センサの動作を説明するための断面模式
図である。図64〜図66を参照して、本発明による球
状基板を利用した加速度センサを説明する。
【0302】図64に示すように、加速度センサ75
は、中空であって球形状のケース71と、このケース7
1の内壁面上に配置された電極72a〜72dと、この
ケース71の内部に保持され、その表面の全部または一
部にメタル層73が形成された球状基板1とを備える。
球状基板1は、その一部が平坦化された識別マークとし
ての平面部2を有する。なお、球状基板1として、図6
4に示すように識別マークとしての平面部2を有するも
のではなく、たとえば図22に示したような球状基板を
用いてもよい。球状基板1は、その表面に形成されたメ
タル層73と電極72a〜72dとの間に働く静電力に
よって空隙74を形成した状態でケース71内に保持さ
れている。
【0303】加速度センサ75においては、この加速度
センサ75が静止した状態、あるいは等速度運動状態の
場合、図64に示すように球状基板1が識別マークとし
ての平面部2を鉛直上向きに配置した状態で静止してい
る。
【0304】次に、図65に示すように、加速度センサ
75を図65の矢印の方向(右方向)に加速している状
態では、加速度が加えられることによって球状基板1が
傾いた状態となる。この結果、球状基板1のメタル層7
3と電極72a〜72dのそれぞれとの間の位置関係が
変化する。そのため、このメタル層73と電極72a〜
72dとの間の静電容量が変化することになる。そし
て、この静電容量の変化によって加速度センサ75に加
えられた加速度の大きさを検出することができる。
【0305】また、図66は、加速度センサ75に対し
て図66の矢印方向(左方向)に加速度が加えられた状
態を示している。この場合も、加速度が加えられること
によって球状基板1が傾いている。そのため、図65に
示した場合と同様に静電容量の変化から加速度の大きさ
を検出することができる。
【0306】図64〜図66に示した加速度センサ75
は、球状基板1の配置を決定する際に重力を積極的に利
用している。また、構造が簡単であり、かつ静電容量の
変化を検出するという比較的簡単な制御を行なうことに
より加速度の大きさを検出することができる。また、ケ
ース71は球形状であるため、ケース71と球状基板1
との位置合わせを容易に行なうことができる。さらに、
図64に示したように、重力によって自己整合的に識別
マークとして作用する平面部2が鉛直上方向に位置する
ことになる。そのため、非常に単純な構成で精度の高い
加速度センサを実現することができる。
【0307】図67は、図64〜66に示した加速度セ
ンサの変形例を示す断面模式図である。図67を参照し
て、図64〜図66に示した加速度センサ75の変形を
説明する。
【0308】図67に示すように、加速度センサ75は
基本的には図64〜図66に示した加速度センサ75と
同様の構造を備えるが、球状基板1にいて、平面部2の
外縁部が曲面状に加工された肩部76が形成されてい
る。また、メタル層73においても、肩部76上に位置
する領域において表面が曲面状に成形された肩部77が
形成されている。このようにすれば、ケース71の内部
において電極72a〜72dのいずれかに球状基板1の
平面部2の外周部が引っかかるといった不良の発生を抑
制できる。また、このように表面を曲面状に形成した肩
部76、77を形成しておけば、この肩部77がケース
71や電極72a〜72dと衝突したような場合、ケー
ス71や電極72a〜72dにおいて損傷が発生する危
険性を低減することができる。
【0309】(実施の形態16)図68は、本発明によ
る球状基板を利用した加速度センサを説明するための断
面模式図である。図69および図70は、図68に示し
た加速度センサの動作を説明するための断面模式図であ
る。図68〜図70を参照して、本発明による球状基板
を用いた加速度センサを説明する。
【0310】図68に示すように、加速度センサ75
は、球形状であって中空のケース71と、このケース7
1の内壁面上に配置された磁気センサ78a〜78d
と、このケース71の内部に保持された球状基板44と
を備える。球状基板44は、図41に示した球状基板4
4と同様の構成を備え、シリコンからなる基部42と、
この基部42の表面の所定領域に形成された識別マーク
としての磁性体領域43とを含む。球状基板44は、ケ
ース71の内壁と磁性体領域43との間に働く磁力によ
って、空隙74を介してケース71中で浮いたような状
態で保持されている。
【0311】図68は、加速度センサ75が静止した状
態、あるいは等速度運動中のように加速度が加えられて
いない状態を示している。そして、図69に示すよう
に、矢印方向(左方向)に加速度が加えられた場合に
は、図69に示したようにケース71の内部において球
状基板44が相対的に右側に寄った状態となる。また、
たとえば図70に示すように、加速度センサに矢印方向
(下方向)の加速度が加えられた場合には、ケース71
の内部において球状基板44は相対的に上方向にずれた
領域に位置する。この結果、球状基板44の位置がずれ
ることにより、磁気センサ78a〜78dによって検出
される磁界の大きさが変化する。したがって、加速度の
大きさをこの磁界の変化により検出することができる。
【0312】なお、磁気センサ78a〜78dに代え
て、磁気センサ78a〜78dと同じ位置に磁場発生装
置を設置しておいてもよい。そして、たとえば図69ま
たは図70のように球状基板44が所定の位置からずれ
た場合に、球状基板44の位置ずれを修正するために、
磁場発生装置により発生させる磁場の大きさにより加速
度を検出してもよい。この場合、図69のように球状基
板44が所定の位置からずれた場合に、図68に示した
ようにケース71内部においてほぼ中央部に位置するよ
うに球状基板44の位置を修正するため、磁気センサ7
8bの位置に形成された磁場発生装置により大きな磁場
を発生させる必要がある。したがって、この磁場発生装
置にはより大きな電流が流れることになる。この電流値
の変化によって球状基板44の変位を検出することがで
きるので、結果的に加速度を検出することができる。
【0313】なお、このような磁場発生装置をケース7
1の内部に配置した磁場発生方式の方が、加速度センサ
75に大きな加速度が加えられるような場合、磁場発生
装置において発生させる磁場の強度をその加速度の大き
さに合わせて大きくするので、球状基板44とケース7
1の内壁や磁場発生装置とが接触するといった現象の発
生を抑制することができる。この結果、加速度センサの
故障の発生を抑制することができるのでより好ましい。
【0314】(実施の形態17)図71は、本発明によ
る球状基板を利用した集積回路を適用したシステムとし
てのICカードを示す模式図である。また、図72は、
図71の線分LXXII−LXXIIにおける断面模式
図である。図71および72を参照して本発明による球
状基板を利用した集積回路を適用したICカードを説明
する。
【0315】図71に示すように、本発明による球状基
板を利用した集積回路を適用したICカード79は、樹
脂シート80と、この樹脂シート上に形成された配線8
1と、樹脂シート80に形成されたマウント85(図7
2参照)に収容された、球状基板を利用した集積回路
(球状集積回路82(図72参照))とを備える。
【0316】図72に示すように、球状集積回路82
は、その一部が削り取られることにより形成された識別
マークとしての平面部2を有する球状基板1の表面上に
複数の半導体素子(図しせず)が形成されることにより
構成されている。球状基板1の表面において、平面部2
の中央部には一方の球状基板側端子84aが形成されて
いる。また、球状基板1において、球状基板側端子84
aと反対側に位置する領域における表面上に他の球状基
板側端子84bが形成されている。
【0317】マウント85は、球状基板1の形状に沿う
ように、平面部2に対向する領域は平面状の壁面を有す
るように形成されている。そして、マウント85におい
て、上述の球状基板側端子84a、84bと対向する位
置にはICカード側の端子83a、83bがそれぞれ球
状基板側端子84a、84bと接触するように配置され
ている。端子83a、83bはそれぞれ配線81と接続
されている。球状集積回路82は、球状基板側端子84
a、84b、端子83a、83bを介して外部の配線8
1と電気的に接続されている。
【0318】このように、本発明による球状基板を利用
した球状集積回路82をICカード79(図71参照)
に適用しているので、従来のように平板状の半導体装置
(集積回路チップ)をICカード79に適用した場合の
ように、ICカード79が曲げられた場合に集積回路チ
ップが割れるなどの損傷が発生することを防止できる。
すなわち、図71に示したICカード79では、ICカ
ード79を曲げたりしたような場合であっても、球状集
積回路82が従来の集積回路チップより高い剛性を示す
ので、この球状集積回路82が割れるといったおそれが
ほとんどない。
【0319】また、図72に示すように、球状集積回路
82が形成された球状基板1には、識別マークとして作
用する平面部2が形成されているので、マウント85へ
と球状集積回路82を搭載する際位置合わせなどを容易
に行なうことができる。
【0320】図73は、図71および72に示したIC
カードの変形例を説明するための断面模式図である。図
73は図72に対応する。図73を参照して、図71お
よび72に示したICカードの変形例を説明する。
【0321】図73に示したICカードの変形例におい
て、球状集積回路82は識別マークとしての磁性体領域
43がその表面に形成された球状基板44を用いてい
る。そして、マウント85は、球状基板44の外形に適
合するようにほぼ球形状に形成されており、マウント8
5の側壁面においては、球状基板44の識別マークとし
ての磁性体領域43が配置されるべき領域に磁場発生装
置86が配置されている。なお、磁場発生装置86が配
置された領域には、磁場発生装置に代えて単純な磁性体
を配置しておいてもよい。このようにすれば、マウント
85の内部に球状集積回路82を搭載した場合、磁力に
よって磁性体領域43が自己整合的に磁場発生装置86
と対向する領域へと移動する。この結果、球状集積回路
82の位置合わせを容易に行なうことができる。
【0322】なお、球状集積回路82の表面において
は、図72に示した球状集積回路82と同様に球状基板
側端子84a、84bが形成されている。磁性体領域4
3と磁場発生装置86とが対向するように球状集積回路
82が位置合わせされた際、球状基板側端子84a、8
4bと対向する領域に位置するように端子83a、83
bが形成されている。球状基板側端子84a、84bは
端子83a、83bとそれぞれ電気的に接続された状態
となる。端子83a、83bは配線81と電気的に接続
されている。この結果、球状集積回路82は球状基板側
端子84a、84b、端子83a、83bを介して配線
81と電気的に接続される。このように、球状集積回路
82を用いることにより、マウント作業や位置合わせを
容易に行なうことができ、かつ破損しにくいICカード
を実現できる。
【0323】なお、図73に示したように磁力を用いて
球状集積回路82を位置合わせしてもよいが、静電力を
用いて球状集積回路82を位置合わせすることも考えら
れる。この場合、識別マークとしては磁性体領域43に
代えて金属膜などを磁性体領域43が形成された領域に
形成することが好ましい。
【0324】(実施の形態18)図74は、本発明によ
る球状基板を利用した集積回路または機能素子を複数個
用いて形成された大規模集積回路の構造を示す断面模式
図である。図74を参照して、本発明による球状基板を
利用したシステムとしての大規模集積回路を説明する。
【0325】図74に示すように、基板87の表面上に
球状基板1a〜1cが搭載されている。球状基板1a〜
1cは識別マークとしての平面部2を有する。このと
き、平面部2に接続用の電極を設けておけば、特にバン
プなどを用いることなく基板87に球状基板1a〜1c
を接続することができる。なお、球状基板1a〜1cの
表面には半導体素子やその他の機能素子が形成されてい
る。そして、このような半導体素子などを形成する領域
として球状基板1a〜1cの表面が利用されているた
め、基板87上における同一の占有面積において、従来
よりもより多くの半導体素子を配置することができる。
すなわち、実効的な集積度を向上させることができる。
【0326】図75は、図74に示した大規模集積回路
の第1の変形例を示す断面模式図である。図75を参照
して、大規模集積回路の第1の変形例を説明する。
【0327】図75に示すように、基板87上に配置さ
れた球状基板1d〜1fにおいては、平面部2に加えて
平面部88が形成されている。このように、球状基板1
d〜1fの中心に対して点対称になるような位置に複数
の平面部88を形成することにより、図75に示すよう
に球状基板1d〜1fを横方向に連結した集合体を形成
することができる。そして、この平面部88において接
続用の電極などを形成しておけば、バンプなどを用いる
ことなく球状基板1d〜1fを横方向に連結することが
できる。また、このような平面部2、88を形成してお
けば、球状基板1d〜1fの位置合わせを容易に行なう
ことができる。この結果、図74に示した大規模集積回
路による効果が得られるとともに、球状基板1d〜1f
の占有面積をより小さくすることができるので、実効的
な集積度をより高めることができる。
【0328】図76は、図74に示した大規模集積回路
の第2の変形例を示す断面模式図である。図76を参照
して、図74に示した大規模集積回路の第2の変形例を
説明する。
【0329】図76に示すように、基板87上に球状基
板1g〜1iを垂直方向に積層した集合体を形成しても
よい。このとき、球状基板1g〜1iには、上部と下部
の2ヵ所に(その中心点から見てほぼ点対称となる位置
に)平面部89が形成されている。この平面部89に接
続用電極などを設けておけば、特にバンプなどを用いる
ことなく球状基板1g〜1iを積層して連結することが
できる。このようにすれば、基板87における球状基板
1g〜1iの占有面積をより小さくすることができるの
で、実効的な集積度をさらに向上させることができる。
【0330】図77は、図74に示した大規模集積回路
の第3の変形例を示す断面模式図である。図77を参照
して、図74に示した大規模集積回路の第3の変形例を
説明する。
【0331】図77に示すように、球状基板1j、1
k、1m〜1qのそれぞれにおいて、球状基板の中心部
から点対称になるような4ヵ所に平面部88、89をそ
れぞれ形成する。その結果、図77に示すように、横方
向および垂直方向のそれぞれに球状基板1j、1k、1
m〜1qを連結、積層した集合体を形成することができ
る。このようにすれば、球状基板1j、1k、1m〜1
qを安定して連結できるので、立体構造の大規模集積回
路を容易に構成することができる。また、このように平
面部88、89を形成することにより、球状基板1j、
1k、1m〜1qをより密に積層配置することができる
ので、実効的な集積度を向上させることができる。
【0332】上述した大規模集積回路においては、球状
基板1a〜1k、1m〜1qに形成された平面部2、8
8、89にも半導体素子などを形成する(平面部2、8
8、89の面積も半導体素子を形成することが可能な有
効面積に加えられる)と考えれば、従来のように基板8
7上に単純に半導体素子などを配置する場合よりも半導
体素子の集積度は約3倍程度向上する。
【0333】また、球状基板において、その中心部から
見て点対称となる6ヵ所に平面部を形成しておけば、図
77に示したように基板87の表面に平行な方向および
基板87に垂直な方向に加えて、図77における紙面に
垂直な方向(奥行方向)にも球状基板を積層配置するこ
とができる。このようにすれば、さらに大規模な大規模
集積回路を容易に構成することができる。
【0334】このように、本発明による球状基板を用い
て、この球状基板の表面に集積回路や機能素子などを形
成している場合、この球状基板を横方向に連結するある
いは積上げるといったことができるので、基板に対して
垂直方向の積上げ階層や横方向の連結数を増やせる限り
において実質的に複雑な大規模集積回路を構成すること
が可能となる。また、基板に対して垂直方向に球状基板
を積上げていけば、基板87の表面における占有面積を
一定にした状態で大規模集積回路を構成する素子数を増
大することができる。すなわち、実効的な集積度を高め
ることができる。
【0335】また、本発明による球状基板1a〜1k、
1m〜1qにおいては、平面部2、88、89などから
なる識別マークが形成されているので、球状基板の位置
合わせが極めて容易である。そのため、図74〜77に
示したような大規模集積回路を形成する工程の生産性を
向上させることができる。
【0336】(実施の形態19)図78は、本発明によ
る球状基板を利用した集積回路を備えるシステムとして
の半導体装置の模式図である。図79は、図78に示し
た半導体装置の部分拡大模式図である。図80は、図7
8に示した半導体装置を構成する球状基板の側面模式図
である。図81は、図80に示した球状基板の底面模式
図である。図82は図80に示した球状基板を斜め下か
ら見た模式図である。図83は図82の矢印93側から
見た球状基板の側面模式図である。図78〜83を参照
して、本発明による集積回路の実施の形態19を説明す
る。
【0337】図78に示すように、半導体装置は平板状
の基板87と、平板状の基板87上に配置された複数の
球状基板90とからなる。そして、基板87の表面上に
は集積回路を構成する素子91(図79参照)が形成さ
れている。また、球状基板90の表面には、その球面状
の表面上に集積回路を構成する素子(図示せず)が形成
され、また、識別マークとしての平面部2(図79参
照)の表面上にも集積回路を構成する素子92(図79
参照)および電極(図示せず)が形成されている。球状
基板90の表面に形成された素子を含む回路は、平面部
2に形成された接続用の電極(図示せず)において平板
状の基板87上に形成された素子91などを含む回路と
電気的に接続されている。
【0338】このように、球状基板90において、曲面
部上のみではなく平面領域としての平面部2上にも半導
体素子からなる集積回路を形成することにより、平面部
2を形成することに伴う球状基板90における素子の形
成領域の面積(有効面積)の減少を最小限にとどめるこ
とができる。
【0339】また、平面部2に素子92を形成すること
は、その平面部2の表面が平坦化されているため、形成
される素子92としてのトランジスタなどの面方位を一
定方向に揃えたい場合(たとえば、チャネル領域を流れ
る電流の向きを特定の結晶方位に合せたい場合)などに
特に有用である。また、既に述べたように、このような
平面部2を形成しておけば、球状基板90を平板状の基
板87上に搭載する場合に位置合わせを容易に行なうこ
とができる。また、球状基板90においては、実施の形
態18で示したように複数箇所に平面部を設けておけ
ば、球状基板90の上に他の球状基板を積層して配置す
る、あるいは横方向に連結して球状基板を配置するとい
ったことを容易に行なうことができる。この結果、集積
回路を構成する素子の集積度を向上させることができ
る。
【0340】なお、上述した実施の形態1〜19におい
ては、球状基板を構成する材料としてシリコンを用いて
説明したが、その他の半導体材料を球状基板の材料とし
て用いてもよい。また、さらにその他のあらゆる材料か
らなる球状基板に対しても、本発明は適用可能である。
【0341】また、球状基板においては、識別マークを
2ヵ所適切な位置に配置すれば、球状基板の位置決めを
確実に行なうことができる。たとえば、2つの識別マー
クを、球状基板の中心を通る回転対称軸上に位置しない
ように配置しておけば、球状基板の位置決めを確実に行
なうことができる。
【0342】なお、球状基板の位置決めの精度をさらに
高める場合には、位置決めの確認を行なうため第3の識
別マークを球状基板に形成することが好ましい。この結
果、3ヵ所で球状基板の位置決めを行なうことができる
とともに球状基板を固定することができる。また、球状
基板を立体的に積層固定するためには、球状基板におい
て4ヵ所、あるいは5ヵ所もしくは6ヵ所に識別マーク
を配置することが好ましい。本発明に示したように、<
111>方向の突起を利用して識別マークを形成してお
けば、極めて簡単に識別マークを8ヵ所において形成す
ることができる。なお、このように8ヵ所よりも多数の
箇所に識別マークを設けた場合には、位置決め精度の向
上に対してほとんど寄与することがなく、反対に半導体
素子などを形成することが可能な有効面積の減少や球状
基板の製造工程数の増加を招くといったデメリットが大
きくなる。したがって、識別マークは、1つの球状基板
に対して2ヵ所〜8ヵ所程度設けることが好ましい。
【0343】また、本発明による球状基板では、識別マ
ークを<111>方向に配置することができるので、球
状基板における結晶方位を確定することができる。この
結果、従来のようにやみくもに球状基板の表面にトラン
ジスタを形成する場合よりも、球状基板の表面において
特定の結晶方位にチャネル方向を合わせたようにトラン
ジスタを形成することができる。たとえば、移動度の点
で有利な[100]方向にチャネル方向を揃えたトラン
ジスタを最大限設置することができる。
【0344】また、場合によっては、球状基板に論理回
路とその他の素子とを混載する場合などが考えられる。
この場合には、結晶方位に対する依存性の強いトランジ
スタ部、すなわち論理回路を選択的に[100]方向に
対してほぼ垂直な方向となる面付近に設けることが好ま
しい。そして、トランジスタ部を形成した場合には移動
度の点で不利となるその他の領域においては、結晶方位
に対する依存性の弱いキャパシタや外部接続端子などを
設けるといったことが可能になる。すなわち、結晶方位
を考慮して論理回路やその他の素子の配置を決定するこ
とにより、球状基板を用いた半導体装置の性能の最適化
を図ることができる。
【0345】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の
意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意
図される。
【0346】
【発明の効果】このように、本発明によれば、球状基板
に識別マークを設けることにより、球状基板における結
晶方位を精度良く識別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による球状基板の実施の形態1を説明
するための断面模式図である。
【図2】 図1に示した球状基板の底面図である。
【図3】 図1に示した球状基板を斜め下側から見た場
合の形状を示す模式図である。
【図4】 図3の矢印93に示した方向から見た球状基
板の側面図である。
【図5】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための模式図である。
【図6】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための模式図である。
【図7】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第3
工程を説明するための模式図である。
【図8】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第4
工程を説明するための模式図である。
【図9】 図1〜4に示した球状基板の製造方法の第5
工程を説明するための模式図である。
【図10】 図5〜9に示した球状基板の製造方法にお
いて用いるCMP装置の構成を説明するための模式図で
ある。
【図11】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態2の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図12】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態2の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図13】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態2の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図14】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態2の第4工程を説明するための断面模式図である。
【図15】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図16】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図17】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図18】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の第4工程を説明するための断面模式図である。
【図19】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の変形例の第1工程を説明するための断面模式図
である。
【図20】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の変形例の第2工程を説明するための断面模式図
である。
【図21】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態3の変形例の第3工程を説明するための断面模式図
である。
【図22】 本発明による球状基板の実施の形態4を示
す断面模式図である。
【図23】 図22に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための断面模式図である。
【図24】 図22に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための断面模式図である。
【図25】 図22に示した球状基板の製造方法の第3
工程を説明するための断面模式図である。
【図26】 本発明による球状基板の実施の形態5を示
す断面模式図である。
【図27】 図26に示した球状基板の製造方法を説明
するための断面模式図である。
【図28】 図26に示した球状基板を用いた半導体装
置の模式図である。
【図29】 図28の線分XXIX−XXIXにおける
断面模式図である。
【図30】 図29における領域XXXの部分拡大断面
模式図である。
【図31】 本発明による球状基板の実施の形態6を示
す断面模式図である。
【図32】 図31に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための断面模式図である。
【図33】 図31に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための断面模式図である。
【図34】 図31に示した球状基板の製造方法の第3
工程を説明するための断面模式図である。
【図35】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態7を説明するための模式図である。
【図36】 図35に示したエッチング工程の第1の変
形例を説明するための模式図である。
【図37】 図35に示したエッチング工程の第2の変
形例を説明するための模式図である。
【図38】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態8の第1工程を説明するための断面模式図である。
【図39】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態8の第2工程を説明するための断面模式図である。
【図40】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態8の第3工程を説明するための断面模式図である。
【図41】 本発明による球状基板の実施の形態9を示
す断面模式図である。
【図42】 図41に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための断面模式図である。
【図43】 図41に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための断面模式図である。
【図44】 図41に示した球状基板の製造方法の第3
工程を説明するための断面模式図である。
【図45】 本発明による球状基板を用いた半導体装置
の製造工程において用いる製造装置を示す模式図であ
る。
【図46】 図45に示した露光装置のホルダの第1の
変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図47】 図45に示した露光装置のホルダの第2の
変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図48】 図45に示した露光装置のホルダの第3の
変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図49】 図45に示した露光装置におけるホルダの
第4の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図50】 図45に示した露光装置におけるホルダの
第4の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図51】 図45に示した露光装置におけるホルダの
第5の変形例を説明するための分断面模式図である。
【図52】 図45に示した露光装置におけるホルダの
第6の変形例を説明するための部分断面模式図である。
【図53】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態11の第1工程を説明するための断面模式図であ
る。
【図54】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態11の第2工程を説明するための断面模式図であ
る。
【図55】 本発明による球状基板の製造方法の実施の
形態11の第3工程を説明するための断面模式図であ
る。
【図56】 本発明による球状基板の実施の形態12を
示す断面模式図である。
【図57】 図56に示した球状基板について、識別マ
ークを検出するとともに球状基板の位置決めを行なう装
置の構成を説明するための模式図である。
【図58】 本発明による球状基板の実施の形態13を
説明するための断面模式図である。
【図59】 図58に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための断面模式図である。
【図60】 図58に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための断面模式図である。
【図61】 本発明による球状基板の実施の形態14を
説明するための断面模式図である。
【図62】 図61に示した球状基板の製造方法の第1
工程を説明するための断面模式図である。
【図63】 図61に示した球状基板の製造方法の第2
工程を説明するための断面模式図である。
【図64】 本発明による球状基板を利用した加速度セ
ンサを示す断面模式図である。
【図65】 図64に示した加速度センサの動作を説明
するための断面模式図である。
【図66】 図64に示した加速度センサの動作を説明
するための断面模式図である。
【図67】 図64〜66に示した加速度センサの変形
例を示す断面模式図である。
【図68】 本発明による球状基板を利用した加速度セ
ンサを説明するための断面模式図である。
【図69】 図68に示した加速度センサの動作を説明
するための断面模式図である。
【図70】 図68に示した加速度センサの動作を説明
するための断面模式図である。
【図71】 本発明による球状基板を利用した集積回路
を適用したICカードを示す模式図である。
【図72】 図71の線分LXXII−LXXIIにお
ける断面模式図である。
【図73】 図71および72に示したICカードの変
形例を説明するための断面模式図である。
【図74】 本発明による球状基板を利用した集積回路
または機能素子を複数個用いて形成された大規模集積回
路の構造を示す断面模式図である。
【図75】 図74に示した大規模集積回路の第1の変
形例を示す断面模式図である。
【図76】 図74に示した大規模集積回路の第2の変
形例を示す断面模式図である。
【図77】 図74に示した大規模集積回路の第3の変
形例を示す断面模式図である。
【図78】 本発明による球状基板を利用した集積回路
を備える半導体装置の模式図である。
【図79】 図78に示した半導体装置の部分拡大模式
図である。
【図80】 図78に示した半導体装置を構成する球状
基板の側面模式図である。
【図81】 図80に示した球状基板の底面模式図であ
る。
【図82】 図80に示した球状基板を斜め下から見た
模式図である。
【図83】 図82の矢印93側から見た球状基板の側
面模式図である。
【図84】 従来の球状半導体の問題点を説明するため
の模式図である。
【図85】 従来の球状半導体の問題点を説明するため
の模式図である。
【符号の説明】
1,1a〜1k,1m〜1q,21,28,44,6
2,90 球状基板、2,88,89 平面部、3 単
結晶粒、4 突起、5 保持パッド、6,12、14,
15,17,29 凹部、7 研磨パッド、8,63
制御部、9 駆動部、10 検出部、11,13,1
6,20 保持パッド、18 曲面状部、19 保護
膜、22 凸部、23 ソース領域、24 ドレイン領
域、25 ゲート絶縁膜、26 ゲート電極、27 矢
印、30 保護膜、31,53,55,59 開口部、
32,34,35,39,93,94 矢印、33 保
持台、36 保護膜付単結晶粒、37,49 ホルダ、
38 チャンバ、40 酸化領域、41,61 酸化
膜、42 基部、43 磁性体領域、45 不純物を含
む膜、46 磁性体導入部、47 イメージングシステ
ム、48 レンズシステム、50,52,86 磁場発
生装置、51 磁場伝達部材、54 コイル、56磁性
体芯、57 1層目保護膜、58 2層目保護膜、60
注入部、64 位置決め部、65 測定部、66,6
7 SOG膜、68 表面改質部、69 レジスト膜、
70 露出部、71 ケース、72a〜72d 電極、
73 メタル層、74 空隙、75 加速度センサ、7
6,77 肩部、78a〜78d 磁気センサ、79
ICカード、80 樹脂シート、81 配線、82 球
状集積回路、83a,83b 端子、84a,84b
球状基板側端子、85 マウント、87 基板、91,
92 素子、95 エッチング種導入部。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 識別マークを備える球状基板。
  2. 【請求項2】 前記球状基板の表面において、前記識別
    マークとなる領域の曲率半径は、前記識別マークとなる
    前記領域以外の領域の曲率半径と異なる、請求項1に記
    載の球状基板。
  3. 【請求項3】 前記識別マークは前記球状基板の表面に
    形成された凸部および凹部の少なくともいずれか一方を
    含む、請求項1に記載の球状基板。
  4. 【請求項4】 前記識別マークは、前記球状基板の表面
    層を改質処理することにより形成された領域、前記球状
    基板の表面層に不純物を導入することにより形成された
    領域、前記球状基板の表面上に識別層が塗布された領域
    からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求
    項1に記載の球状基板。
  5. 【請求項5】 前記識別マークは、前記球状基板の表面
    が平面化された平面領域を含む、請求項1に記載の球状
    基板。
  6. 【請求項6】 表面の一部が平面化された平面領域を備
    える球状基板。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の球状基板にお
    いて、前記平面領域上に半導体素子が形成されている、
    半導体装置。
  8. 【請求項8】 前記識別マークは、前記球状基板の中央
    部から見て所定の結晶方位に対応する部分に形成されて
    いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の球状基板。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6および8のいずれか1項に
    記載の球状基板を用いた半導体装置。
  10. 【請求項10】 溶融したシリコンを冷却して単結晶粒
    を形成する工程と、前記単結晶粒の表面を研磨して平坦
    化する工程と、 表面が平坦化された前記単結晶粒を保持パッドに保持す
    る工程と、 前記保持パッドに保持された前記単結晶粒の表面の一部
    を除去することにより、前記単結晶粒の表面に平面領域
    を形成する平面領域形成工程とを備える、球状基板の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 球状基板を保持するための保持部材を
    備える研磨装置であって、 前記保持部材は、前記球状基板を構成する材料との摩擦
    係数の高い材料により形成された保持部、前記球状基板
    の外形に沿って変形することが可能な保持部、および前
    記球状基板を構成する材料との摩擦係数の高い材料によ
    り形成されるとともに前記球状基板の外形に沿って変形
    することが可能な保持部からなる群から選択される少な
    くとも一つを含む、研磨装置。
  12. 【請求項12】 溶融したシリコンを冷却して単結晶粒
    を形成する工程と、 前記単結晶粒の表面を研磨して平坦化する工程と、 前記平坦化された単結晶粒の表面上に保護膜を形成する
    工程と、 前記保護膜と前記単結晶粒の表面層との一部を、異方性
    エッチングを用いて除去するエッチング工程とを備え
    る、球状基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 溶融したシリコンを冷却して、表面に
    突起部を有する単結晶粒を形成する工程と、 前記単結晶粒の表面上に、前記突起部を埋設するように
    保護膜を形成する工程と、 前記保護膜をエッチングにより部分的に除去することに
    より、前記突起部を露出させる工程と、 露出した前記突起部を除去するとともに、前記単結晶粒
    の表面において前記突起部が形成されていた領域に凹部
    を形成する工程とを備える、球状基板の製造方法。
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