JP2003231724A - 電気絶縁用樹脂組成物 - Google Patents
電気絶縁用樹脂組成物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 臭気の発生が抑制されるとともに、未反応物
の残存を抑制することにより安定器等に使用される亜鉛
メッキケース材を腐食させない電気絶縁用樹脂組成物の
提供。 【解決手段】 (A)フタル酸系不飽和ポリエステル、
(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシ
レン樹脂、(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリ
ル酸エステルまたはそれらの誘導体である反応性単量体
および(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とする
電気絶縁用樹脂組成物であって、前記(A)フタル酸系
不飽和ポリエステル100重量部に対し、前記(B)イ
ソフタル酸系不飽和ポリエステル20〜60重量部、前
記(C)キシレン樹脂30〜70重量部、前記(D)反
応性単量体40〜300重量部、前記(E)金属石鹸
(硬化促進剤)0.1〜2.0重量部含んでなるもの。
の残存を抑制することにより安定器等に使用される亜鉛
メッキケース材を腐食させない電気絶縁用樹脂組成物の
提供。 【解決手段】 (A)フタル酸系不飽和ポリエステル、
(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシ
レン樹脂、(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリ
ル酸エステルまたはそれらの誘導体である反応性単量体
および(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とする
電気絶縁用樹脂組成物であって、前記(A)フタル酸系
不飽和ポリエステル100重量部に対し、前記(B)イ
ソフタル酸系不飽和ポリエステル20〜60重量部、前
記(C)キシレン樹脂30〜70重量部、前記(D)反
応性単量体40〜300重量部、前記(E)金属石鹸
(硬化促進剤)0.1〜2.0重量部含んでなるもの。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低粘度で樹脂の反
応性に優れるとともに、未反応の反応性モノマーを低減
することで、蛍光灯安定器等に用いられる亜鉛メッキ銅
板製ケース材の亜鉛メッキに対する腐食性を低減するこ
とを可能とした電気絶縁用樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】蛍光灯の安定器には柔軟性不飽和ポリエ
ステルを主成分とし、反応性単量体としてはスチレンを
用いる方法が一般的である。しかしながら、スチレンを
使うタイプでは臭気が問題になることが多い。特に、安
定器を製造する工場の近くに住宅等がある場合には、環
境への配慮から臭気を抑制することが求められる。 【0003】このような臭気への対策としては、アクリ
ル酸エステルまたはメタクリル酸などのアリル酸エステ
ルを使用することが挙げられる。しかしながら、これら
のものは従来の芳香族系ビニル単量体に比較して共重合
反応が起こりにくい、すなわち反応率が低いという課題
がある。樹脂の反応率が低い場合、未反応のアクリル酸
エステルおよび熱分解したアクリル酸等が、安定器に使
用されている亜鉛メッキケース材を腐食し、タール状物
となって安定器から抽出するという問題がある。 【0004】また、安定器の小型化、運転と停止の繰り
返し回数の増加により、安定器には激しい冷熱サイクル
が加えられる。特に、屋外で使用される安定器について
は、運転時と停止時における温度差、季節間の温度差等
が屋内に比べて大きいため、一層激しい冷熱サイクルが
加えられることになる。 【0005】このような厳しい条件下で使用される安定
器において、コンパウンドとして反応性の低い低臭気モ
ノマー、例えばアクリル系モノマーを使用すると、安定
器の運転初期段階でアクリル系モノマー等の未反応物が
亜鉛メッキケース材を腐食させタール状物を抽出しやす
くなり、電気的トラブルを発生させやすくなる。また、
反応性が低いと冷熱や熱劣化により樹脂が分解し、それ
に伴うクラックによりレアショートが発生することがあ
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うなアクリル系モノマー等の未反応物による亜鉛メッキ
ケース材の腐食やそれに伴うタール状物の抽出、および
樹脂組成物の反応性の低さに基づく樹脂の分解等の課題
を解決するためになされたものであって、臭気を抑制す
るとともに、樹脂組成物の反応性を向上させることによ
り、安定器の信頼性を向上させることのできる電気絶縁
用樹脂組成物を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成しようと鋭意研究した結果、不飽和ポリエステル類
を主剤とし、これに主モノマーとしてアクリル系モノマ
ー、硬化促進剤として金属石鹸類を配合し、さらに必要
に応じて硬化剤としてケトンパーオキサイド等を配合
し、これらの配合割合を所定の割合とすることにより上
記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた
ものである。 【0008】すなわち、本発明の電気絶縁用樹脂組成物
は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソ
フタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とする電気絶
縁用樹脂組成物であって、前記(A)フタル酸系不飽和
ポリエステル100重量部に対し、前記(B)イソフタ
ル酸系不飽和ポリエステル20〜60重量部、前記
(C)キシレン樹脂30〜70重量部、前記(D)反応
性単量体40〜300重量部、前記(E)金属石鹸(硬
化促進剤)0.1〜2.0重量部含んでなることを特徴
とする。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 【0010】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は(A)フ
タル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソフタル酸系不
飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、(D)アクリ
ル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルまたはそれ
らの誘導体である反応性単量体および(E)金属石鹸
(硬化促進剤)を必須成分とするものである。 【0011】また、本発明では(A)フタル酸系不飽和
ポリエステル100重量部に対し、(B)イソフタル酸
系不飽和ポリエステル20〜60重量部、(C)キシレ
ン樹脂30〜70重量部、前記(D)反応性単量体40
〜300重量部および(E)金属石鹸(硬化促進剤)
0.1〜2.0重量部の割合で含んでなることを特徴と
する。 【0012】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、上記し
たようにスチレンを含んでいないため臭気の発生を抑制
することができる。また、スチレンのような芳香族系化
合物を含まないことによる問題、例えば共重合反応が起
こりにくい問題についても、フタル酸系不飽和ポリエス
テルにイソフタル酸系不飽和ポリエステルを加えること
で、反応性(重合度)を向上させることができる。例え
ば、反応性単量体としてメタクリル酸2−ヒドロキシル
エチルを用いた場合には、電気絶縁用樹脂組成物の硬化
物中に残存するメタクリル酸2−ヒドロキシルエチルの
量を大幅に減少させることができる。 【0013】本発明では、電気絶縁用樹脂組成物中の未
反応のアクリル系成分、例えば上記メタクリル酸2−ヒ
ドロキシルエチル等を減少させることにより、蛍光灯安
定器等に使用される亜鉛メッキケース材の腐食を抑制
し、電気的トラブルの発生を抑制することが可能とな
る。 【0014】また、一般的に、樹脂組成物にイソフタル
酸が含まれるとその硬化物が硬くなる傾向にあるが、本
発明の電気絶縁用樹脂組成物ではキシレン樹脂を含有さ
せることにより、従来と同等の柔軟性を得ることが可能
となっている。 【0015】本発明に用いられる(A)フタル酸系不飽
和ポリエステルは、無水フタル酸とその他の酸成分とア
ルコール成分とを加えて反応させることにより得られる
ものである。ここで用いられるその他の酸成分として
は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和
酸およびテトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタ
ル酸等の飽和酸等が挙げられ、これらは単独または2種
以上を混合して使用することができる。 【0016】アルコール成分としては、プロピレングリ
コール、エチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌ
レート、ポリエーテルポリアルコール等が挙げられ、こ
れらは単独または2種以上を混合して使用することがで
きる。 【0017】また、(A)フタル酸系不飽和ポリエステ
ルは、必要に応じて変成成分を添加して変成したもので
あってもよい。変成成分としては、例えばアマニ油、大
豆油、トール油、石油樹脂、ジシクロペンタジエンが挙
げられる。変成量は、(A)フタル酸系不飽和ポリエス
テルに対して5〜60重量%とすることが好ましい。 【0018】本発明に用いられる(B)イソフタル酸系
不飽和ポリエステルは、イソフタル酸とその他の酸成分
とアルコール成分とを加えて反応させて得られるもので
ある。ここで用いられるその他の酸成分としては、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸および
テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の
飽和酸等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混
合して使用することができる。 【0019】アルコール成分としては、プロピレングリ
コール、エチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌ
レート、ポリエーテルポリアルコール等が挙げられ、こ
れらは単独または2種以上を混合して使用することがで
きる。 【0020】また、(B)イソフタル酸系不飽和ポリエ
ステルは、必要に応じて変成成分を添加して変成したも
のであってもよい。変成成分としては、例えばアマニ
油、大豆油、トール油、米ぬか油、ジシクロペンタジエ
ン、マレイン化アマニ油、マレイン化大豆油が挙げら
れ、これらは単独または2種以上を混合して使用するこ
とができる。変成量は、(B)フタル酸系不飽和ポリエ
ステルに対して5〜60重量%とすることが好ましい。 【0021】(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル
の配合割合は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル1
00重量部に対して、20〜60重量部とすることが好
ましい。(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステルの配
合割合が20重量部未満では、十分な反応性、可とう性
が得られず、60重量部を超えると十分な電気的特性、
機械的特性が得られなくなる。(B)イソフタル酸系不
飽和ポリエステルのより好ましい配合割合は、(A)フ
タル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、3
5〜55重量部である。 【0022】本発明に用いられる(C)キシレン樹脂
は、キシレンとアルデヒドとの縮合により得られるもの
であり、例えば市販品であるニカノールL、ニカノール
LL、ニカノールH、ニカノールM(三菱瓦斯化学社
製、商品名)が挙げられ、これらは単独または2種以上
を混合して使用することができる。 【0023】(C)キシレン樹脂の配合割合は、(A)
フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、
30〜70重量部とすることが好ましい。(C)キシレ
ン樹脂の配合割合が30重量部未満および70重量部を
超える場合には、十分な反応性、可とう性が得られなく
なる。(C)キシレン樹脂のより好ましい配合割合は、
(A)フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対
して、40〜60重量部である。 【0024】本発明に用いられる(D)反応性単量体
は、アクリル酸エステルおよびその誘導体、メタクリル
酸エステルおよびその誘導体の、いわゆるアリル酸エス
テルと呼ばれるもののうちから選ばれるものである。 【0025】(D)反応性単量体としては、例えばメタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル等が挙げられ
る。また、場合によりメタクリル酸アルキル(炭素数2
〜9)、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステア
リル、メタクリル酸ラウリル等も使用することができ、
これらは単独または2種以上を混合して使用することが
できる。 【0026】(D)反応性単量体の配合割合は、(A)
フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、
40〜300重量部とすることが好ましい。(D)反応
性単量体の配合割合が40重量部未満では、粘度が高く
作業性が低下するため好ましくなく、300重量部を超
えると十分な可とう性が得られなくなる。(D)反応性
単量体のより好ましい配合割合は、(A)フタル酸系不
飽和ポリエステル100重量部に対して、100〜20
0重量部である。 【0027】また、本発明に用いられる(E)金属石鹸
(硬化促進剤)としては、ナフテン酸またはオクチル酸
の金属塩、例えばコバルト、亜鉛、ジルコニウムまたは
マンガン等の金属塩が挙げられ、これらは単独または2
種以上を混合して使用することができる。 【0028】(E)金属石鹸の配合割合は、(A)フタ
ル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.
1〜2.0重量部とすることが好ましい。(E)金属石
鹸の配合割合が0.1重量部未満では、反応性が低く十
分な硬化物特性が得られなくなり、2.0重量部を超え
るとポットライフが短くなるため好ましくない。(E)
金属石鹸のより好ましい配合割合は、(A)フタル酸系
不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.4〜
0.8重量部である。 【0029】本発明の電気絶縁用樹脂組成物において
は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソ
フタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)の他に、本発明の目的に
反しない範囲において、必要に応じて他の成分例えば、
硬化剤、重合禁止剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤等
を配合することができる。 【0030】硬化剤としては、有機過酸化物、例えばベ
ンゾイルパーオキサイド、ターシャルブチルパーオキサ
イド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド等のアシルパーオキサイド、クメンパーオ
キサイド等が挙げられ、これらは単独または2種以上を
混合して使用することができる。 【0031】硬化剤の添加量は、上記(A)〜(E)の
各成分からなる樹脂組成物100重量部に対して、0.
5〜2重量部とすることが好ましい。添加量が0.5重
量部未満では、例えば未反応モノマーを十分に低減させ
ることができず、十分な硬化性を得られないことがあ
る。また、2.0重量部を超えるとゲル化時間が早くな
り作業性が低下するとともに、硬化発熱が大きくなるた
め、安定器に使用した場合にはその信頼性を損なう可能
性がある。硬化剤のより好ましい添加量は、上記(A)
〜(E)の各成分からなる樹脂組成物100重量部に対
して、0.8〜1.2重量部である。 【0032】重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パ
ラターシャリブチルカテコール、ピロガロール等のキノ
ン類が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合し
て使用することができる。 【0033】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、電気絶
縁分野に広く使用することができ、特に蛍光灯安定器の
注型材料として用いれば、安定器に用いられる亜鉛メッ
キケース材を腐食させず、かつ安定器からの抽出も抑制
されるため好適である。 【0034】 【実施例】次に本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。なお、実施例および比較例において、「部」とは
「重量部」を意味するものである。 【0035】(実施例1〜3)本発明の樹脂組成物にお
いて必須成分である(A)フタル酸系不飽和ポリエステ
ル(A−1またはA−2)、(B)イソフタル酸系不飽
和ポリエステル(B−1またはB−2)、(C)キシレ
ン樹脂、(D)反応性単量体および(E)硬化促進剤
と、硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイドと
をそれぞれ表1に示すような割合で配合した後、十分に
攪拌して樹脂組成物を作製した。なお、表1における各
成分の配合量は、重量部で示したものである。 【0036】(C)キシレン樹脂としては、三菱瓦斯化
学社製 ニカノールk100(商品名)を使用し、
(E)硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトを使用
した。また、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル(A
−1またはA−2)、(B)イソフタル酸系不飽和ポリ
エステル(B−1またはB−2)は、以下のようにして
調整したものを使用した。 【0037】(A)フタル酸系不飽和ポリエステルの調
整方法 (A−1)無水フタル酸7部、大豆油54部、ペンタエ
リスリトール14部、無水マレイン酸14部、プロピレ
ングリコール11部およびハイドロキノン0.02部を
加えて180〜210℃で反応させ、酸価15の樹脂を
得た。さらに、この樹脂にハイドロキノン0.01部を
配合した。 【0038】(A−2)無水フタル酸10部、無水テト
ラヒドロフタル酸4部、無水マレイン酸22部、大豆油
脂肪酸24部、エチレングリコール22部、ジエチレン
グリコール14部およびグリセリン4部にハイドロキノ
ン0.02部を加えて180〜210℃で反応させ、酸
価15の樹脂を得た。さらに、この樹脂にハイドロキノ
ン0.01部を配合した。 【0039】(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル
の調整方法 (B−1)イソフタル酸15部、無水マレイン酸13
部、無水テトラヒドロフタル酸7部、プロピレングリコ
ール25部、ハイドロキノン0.01部を加えて200
〜220℃で反応させ、酸価15の樹脂を得た。さら
に、この樹脂にハイドロキノン0.01部を配合した。 【0040】(B−2)イソフタル酸12部、無水マレ
イン酸11部、無水テトラヒドロフタル酸6部、プロピ
レングリコール20部、マレイン化アマニ油5部、ハイ
ドロキノン0.01部を加えて200〜220℃で反応
させ、酸価25の樹脂を得た。さらに、この樹脂にハイ
ドロキノン0.01部を配合した。 【0041】(比較例1、2) (A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(D)反応性単
量体および(E)硬化促進剤を表1に示すような割合で
配合した後、十分に攪拌して樹脂組成物を作製した。な
お、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(D)反応
性単量体および(E)硬化促進剤は、本発明の実施例と
同様のものを使用した。 【0042】次に、実施例1〜3および比較例1、2の
樹脂組成物を硬化させ、未反応の反応性単量体(メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、以下2HEMAと呼ぶ)の量
を測定した。また、実施例1〜3および比較例1、2の
樹脂組成物を使用して安定器を作製し、安定器運転段階
での未反応物の抽出の有無を調べた。結果を表1に示
す。なお、表1における未反応物の抽出の有無は、分母
を測定数とし、分子を測定したもののうち黒色物が抽出
したものの数で示したものである。また、残存2HEMA量
の測定は、ガスクロマトグラフィー法により以下のよう
にして行った。 【0043】(残存2HEMA量の測定方法)残存2HEMAの分
析は、島津製作所製GC装置(C-R17A)を用い、以下のよう
にして行った。 【0044】まず、樹脂組成物の硬化物をハンマーやカ
ッターで小片にし、さらにメノー乳鉢を用いて細かく粉
砕した。粉砕したサンプルを約0.1gとり、精密天秤を用
いて正確に秤量した(ssp W[g])。このサンプルに塩化
メチレンを20ml加え、室温で24時間抽出を行った。次
に、内部標準物質(n−ドデカン)を約0.03gとり、精
密天秤を用いて正確に秤量した後(sis W[g])、上記抽出
液にこのn−ドデカンを加えた。 【0045】また、上記抽出液とは別に、2HEMAおよびn
-ドデカンを約0.03gづつとり、それぞれ精密天秤を用い
て正確に秤量した後(f2HEMA W[g]、fis W[g])、これ
らに塩化メチレン20mlを加え補正係数用サンプルとした。さ
らに、上記抽出液と補正係数用サンプルとを下記CG条件
で分析した。この際、打ち込み量は2μLとした。 【0046】カラム:UA-1(フロンティアラボ製)30ml
-1.0F I.D 0.25mmφ、FILM1.0μm 温度 :INJ=150℃、COL=150℃、DET=240℃ ガス :ヘリウム 400kgf/cm2 【0047】次に、下記式(1)により補正係数Fを求
めた。 F=((f2HEMA W)/(fis W))/((f2HEMA A)/(fis A)) …(1) ここで、f2HEMA Aは補正係数用サンプルのGC分析で得ら
れた2HEMAのAREA面積であり、fis Aは補正係数用サンプ
ルのGC分析で得られたn-ドデカンのAREA面積である。 【0048】さらに、上記補正係数Fを用いて、下記式
(2)により残存2HEMA含有量を算出した。 残存2HEMA(%)={(s2HEMA A)×F×(sis W)/(sis A)}/(ssp W)×100 …(2) ここで、s2HEMA Aは抽出液のGC分析で得られた2HEMAのA
REA面積であり、sis Aは抽出液のGC分析で得られたn-ド
デカンのAREA面積である。 【0049】 【表1】 【0050】本発明の実施例においては、比較例に比べ
て大幅に残存2HEMA量を減らすことが可能となり、これ
により安定器運転段階での未反応物の抽出も大幅に減ら
すことができることが確認された。 【0051】 【発明の効果】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、
(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソフタ
ル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とし、各成分
の配合割合を所定の範囲内とすることにより、臭気の発
生を抑制するとともに、安定器に使用される亜鉛メッキ
ケース材の腐食および安定器等からの樹脂組成物の抽出
を抑制し、安定器の信頼性を向上させることが可能とな
る。
応性に優れるとともに、未反応の反応性モノマーを低減
することで、蛍光灯安定器等に用いられる亜鉛メッキ銅
板製ケース材の亜鉛メッキに対する腐食性を低減するこ
とを可能とした電気絶縁用樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】蛍光灯の安定器には柔軟性不飽和ポリエ
ステルを主成分とし、反応性単量体としてはスチレンを
用いる方法が一般的である。しかしながら、スチレンを
使うタイプでは臭気が問題になることが多い。特に、安
定器を製造する工場の近くに住宅等がある場合には、環
境への配慮から臭気を抑制することが求められる。 【0003】このような臭気への対策としては、アクリ
ル酸エステルまたはメタクリル酸などのアリル酸エステ
ルを使用することが挙げられる。しかしながら、これら
のものは従来の芳香族系ビニル単量体に比較して共重合
反応が起こりにくい、すなわち反応率が低いという課題
がある。樹脂の反応率が低い場合、未反応のアクリル酸
エステルおよび熱分解したアクリル酸等が、安定器に使
用されている亜鉛メッキケース材を腐食し、タール状物
となって安定器から抽出するという問題がある。 【0004】また、安定器の小型化、運転と停止の繰り
返し回数の増加により、安定器には激しい冷熱サイクル
が加えられる。特に、屋外で使用される安定器について
は、運転時と停止時における温度差、季節間の温度差等
が屋内に比べて大きいため、一層激しい冷熱サイクルが
加えられることになる。 【0005】このような厳しい条件下で使用される安定
器において、コンパウンドとして反応性の低い低臭気モ
ノマー、例えばアクリル系モノマーを使用すると、安定
器の運転初期段階でアクリル系モノマー等の未反応物が
亜鉛メッキケース材を腐食させタール状物を抽出しやす
くなり、電気的トラブルを発生させやすくなる。また、
反応性が低いと冷熱や熱劣化により樹脂が分解し、それ
に伴うクラックによりレアショートが発生することがあ
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うなアクリル系モノマー等の未反応物による亜鉛メッキ
ケース材の腐食やそれに伴うタール状物の抽出、および
樹脂組成物の反応性の低さに基づく樹脂の分解等の課題
を解決するためになされたものであって、臭気を抑制す
るとともに、樹脂組成物の反応性を向上させることによ
り、安定器の信頼性を向上させることのできる電気絶縁
用樹脂組成物を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成しようと鋭意研究した結果、不飽和ポリエステル類
を主剤とし、これに主モノマーとしてアクリル系モノマ
ー、硬化促進剤として金属石鹸類を配合し、さらに必要
に応じて硬化剤としてケトンパーオキサイド等を配合
し、これらの配合割合を所定の割合とすることにより上
記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた
ものである。 【0008】すなわち、本発明の電気絶縁用樹脂組成物
は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソ
フタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とする電気絶
縁用樹脂組成物であって、前記(A)フタル酸系不飽和
ポリエステル100重量部に対し、前記(B)イソフタ
ル酸系不飽和ポリエステル20〜60重量部、前記
(C)キシレン樹脂30〜70重量部、前記(D)反応
性単量体40〜300重量部、前記(E)金属石鹸(硬
化促進剤)0.1〜2.0重量部含んでなることを特徴
とする。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 【0010】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は(A)フ
タル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソフタル酸系不
飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、(D)アクリ
ル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルまたはそれ
らの誘導体である反応性単量体および(E)金属石鹸
(硬化促進剤)を必須成分とするものである。 【0011】また、本発明では(A)フタル酸系不飽和
ポリエステル100重量部に対し、(B)イソフタル酸
系不飽和ポリエステル20〜60重量部、(C)キシレ
ン樹脂30〜70重量部、前記(D)反応性単量体40
〜300重量部および(E)金属石鹸(硬化促進剤)
0.1〜2.0重量部の割合で含んでなることを特徴と
する。 【0012】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、上記し
たようにスチレンを含んでいないため臭気の発生を抑制
することができる。また、スチレンのような芳香族系化
合物を含まないことによる問題、例えば共重合反応が起
こりにくい問題についても、フタル酸系不飽和ポリエス
テルにイソフタル酸系不飽和ポリエステルを加えること
で、反応性(重合度)を向上させることができる。例え
ば、反応性単量体としてメタクリル酸2−ヒドロキシル
エチルを用いた場合には、電気絶縁用樹脂組成物の硬化
物中に残存するメタクリル酸2−ヒドロキシルエチルの
量を大幅に減少させることができる。 【0013】本発明では、電気絶縁用樹脂組成物中の未
反応のアクリル系成分、例えば上記メタクリル酸2−ヒ
ドロキシルエチル等を減少させることにより、蛍光灯安
定器等に使用される亜鉛メッキケース材の腐食を抑制
し、電気的トラブルの発生を抑制することが可能とな
る。 【0014】また、一般的に、樹脂組成物にイソフタル
酸が含まれるとその硬化物が硬くなる傾向にあるが、本
発明の電気絶縁用樹脂組成物ではキシレン樹脂を含有さ
せることにより、従来と同等の柔軟性を得ることが可能
となっている。 【0015】本発明に用いられる(A)フタル酸系不飽
和ポリエステルは、無水フタル酸とその他の酸成分とア
ルコール成分とを加えて反応させることにより得られる
ものである。ここで用いられるその他の酸成分として
は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和
酸およびテトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタ
ル酸等の飽和酸等が挙げられ、これらは単独または2種
以上を混合して使用することができる。 【0016】アルコール成分としては、プロピレングリ
コール、エチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌ
レート、ポリエーテルポリアルコール等が挙げられ、こ
れらは単独または2種以上を混合して使用することがで
きる。 【0017】また、(A)フタル酸系不飽和ポリエステ
ルは、必要に応じて変成成分を添加して変成したもので
あってもよい。変成成分としては、例えばアマニ油、大
豆油、トール油、石油樹脂、ジシクロペンタジエンが挙
げられる。変成量は、(A)フタル酸系不飽和ポリエス
テルに対して5〜60重量%とすることが好ましい。 【0018】本発明に用いられる(B)イソフタル酸系
不飽和ポリエステルは、イソフタル酸とその他の酸成分
とアルコール成分とを加えて反応させて得られるもので
ある。ここで用いられるその他の酸成分としては、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸および
テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の
飽和酸等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混
合して使用することができる。 【0019】アルコール成分としては、プロピレングリ
コール、エチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌ
レート、ポリエーテルポリアルコール等が挙げられ、こ
れらは単独または2種以上を混合して使用することがで
きる。 【0020】また、(B)イソフタル酸系不飽和ポリエ
ステルは、必要に応じて変成成分を添加して変成したも
のであってもよい。変成成分としては、例えばアマニ
油、大豆油、トール油、米ぬか油、ジシクロペンタジエ
ン、マレイン化アマニ油、マレイン化大豆油が挙げら
れ、これらは単独または2種以上を混合して使用するこ
とができる。変成量は、(B)フタル酸系不飽和ポリエ
ステルに対して5〜60重量%とすることが好ましい。 【0021】(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル
の配合割合は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル1
00重量部に対して、20〜60重量部とすることが好
ましい。(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステルの配
合割合が20重量部未満では、十分な反応性、可とう性
が得られず、60重量部を超えると十分な電気的特性、
機械的特性が得られなくなる。(B)イソフタル酸系不
飽和ポリエステルのより好ましい配合割合は、(A)フ
タル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、3
5〜55重量部である。 【0022】本発明に用いられる(C)キシレン樹脂
は、キシレンとアルデヒドとの縮合により得られるもの
であり、例えば市販品であるニカノールL、ニカノール
LL、ニカノールH、ニカノールM(三菱瓦斯化学社
製、商品名)が挙げられ、これらは単独または2種以上
を混合して使用することができる。 【0023】(C)キシレン樹脂の配合割合は、(A)
フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、
30〜70重量部とすることが好ましい。(C)キシレ
ン樹脂の配合割合が30重量部未満および70重量部を
超える場合には、十分な反応性、可とう性が得られなく
なる。(C)キシレン樹脂のより好ましい配合割合は、
(A)フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対
して、40〜60重量部である。 【0024】本発明に用いられる(D)反応性単量体
は、アクリル酸エステルおよびその誘導体、メタクリル
酸エステルおよびその誘導体の、いわゆるアリル酸エス
テルと呼ばれるもののうちから選ばれるものである。 【0025】(D)反応性単量体としては、例えばメタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル等が挙げられ
る。また、場合によりメタクリル酸アルキル(炭素数2
〜9)、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステア
リル、メタクリル酸ラウリル等も使用することができ、
これらは単独または2種以上を混合して使用することが
できる。 【0026】(D)反応性単量体の配合割合は、(A)
フタル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、
40〜300重量部とすることが好ましい。(D)反応
性単量体の配合割合が40重量部未満では、粘度が高く
作業性が低下するため好ましくなく、300重量部を超
えると十分な可とう性が得られなくなる。(D)反応性
単量体のより好ましい配合割合は、(A)フタル酸系不
飽和ポリエステル100重量部に対して、100〜20
0重量部である。 【0027】また、本発明に用いられる(E)金属石鹸
(硬化促進剤)としては、ナフテン酸またはオクチル酸
の金属塩、例えばコバルト、亜鉛、ジルコニウムまたは
マンガン等の金属塩が挙げられ、これらは単独または2
種以上を混合して使用することができる。 【0028】(E)金属石鹸の配合割合は、(A)フタ
ル酸系不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.
1〜2.0重量部とすることが好ましい。(E)金属石
鹸の配合割合が0.1重量部未満では、反応性が低く十
分な硬化物特性が得られなくなり、2.0重量部を超え
るとポットライフが短くなるため好ましくない。(E)
金属石鹸のより好ましい配合割合は、(A)フタル酸系
不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.4〜
0.8重量部である。 【0029】本発明の電気絶縁用樹脂組成物において
は、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソ
フタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)の他に、本発明の目的に
反しない範囲において、必要に応じて他の成分例えば、
硬化剤、重合禁止剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤等
を配合することができる。 【0030】硬化剤としては、有機過酸化物、例えばベ
ンゾイルパーオキサイド、ターシャルブチルパーオキサ
イド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパ
ーオキサイド等のアシルパーオキサイド、クメンパーオ
キサイド等が挙げられ、これらは単独または2種以上を
混合して使用することができる。 【0031】硬化剤の添加量は、上記(A)〜(E)の
各成分からなる樹脂組成物100重量部に対して、0.
5〜2重量部とすることが好ましい。添加量が0.5重
量部未満では、例えば未反応モノマーを十分に低減させ
ることができず、十分な硬化性を得られないことがあ
る。また、2.0重量部を超えるとゲル化時間が早くな
り作業性が低下するとともに、硬化発熱が大きくなるた
め、安定器に使用した場合にはその信頼性を損なう可能
性がある。硬化剤のより好ましい添加量は、上記(A)
〜(E)の各成分からなる樹脂組成物100重量部に対
して、0.8〜1.2重量部である。 【0032】重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パ
ラターシャリブチルカテコール、ピロガロール等のキノ
ン類が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合し
て使用することができる。 【0033】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、電気絶
縁分野に広く使用することができ、特に蛍光灯安定器の
注型材料として用いれば、安定器に用いられる亜鉛メッ
キケース材を腐食させず、かつ安定器からの抽出も抑制
されるため好適である。 【0034】 【実施例】次に本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。なお、実施例および比較例において、「部」とは
「重量部」を意味するものである。 【0035】(実施例1〜3)本発明の樹脂組成物にお
いて必須成分である(A)フタル酸系不飽和ポリエステ
ル(A−1またはA−2)、(B)イソフタル酸系不飽
和ポリエステル(B−1またはB−2)、(C)キシレ
ン樹脂、(D)反応性単量体および(E)硬化促進剤
と、硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイドと
をそれぞれ表1に示すような割合で配合した後、十分に
攪拌して樹脂組成物を作製した。なお、表1における各
成分の配合量は、重量部で示したものである。 【0036】(C)キシレン樹脂としては、三菱瓦斯化
学社製 ニカノールk100(商品名)を使用し、
(E)硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトを使用
した。また、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル(A
−1またはA−2)、(B)イソフタル酸系不飽和ポリ
エステル(B−1またはB−2)は、以下のようにして
調整したものを使用した。 【0037】(A)フタル酸系不飽和ポリエステルの調
整方法 (A−1)無水フタル酸7部、大豆油54部、ペンタエ
リスリトール14部、無水マレイン酸14部、プロピレ
ングリコール11部およびハイドロキノン0.02部を
加えて180〜210℃で反応させ、酸価15の樹脂を
得た。さらに、この樹脂にハイドロキノン0.01部を
配合した。 【0038】(A−2)無水フタル酸10部、無水テト
ラヒドロフタル酸4部、無水マレイン酸22部、大豆油
脂肪酸24部、エチレングリコール22部、ジエチレン
グリコール14部およびグリセリン4部にハイドロキノ
ン0.02部を加えて180〜210℃で反応させ、酸
価15の樹脂を得た。さらに、この樹脂にハイドロキノ
ン0.01部を配合した。 【0039】(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル
の調整方法 (B−1)イソフタル酸15部、無水マレイン酸13
部、無水テトラヒドロフタル酸7部、プロピレングリコ
ール25部、ハイドロキノン0.01部を加えて200
〜220℃で反応させ、酸価15の樹脂を得た。さら
に、この樹脂にハイドロキノン0.01部を配合した。 【0040】(B−2)イソフタル酸12部、無水マレ
イン酸11部、無水テトラヒドロフタル酸6部、プロピ
レングリコール20部、マレイン化アマニ油5部、ハイ
ドロキノン0.01部を加えて200〜220℃で反応
させ、酸価25の樹脂を得た。さらに、この樹脂にハイ
ドロキノン0.01部を配合した。 【0041】(比較例1、2) (A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(D)反応性単
量体および(E)硬化促進剤を表1に示すような割合で
配合した後、十分に攪拌して樹脂組成物を作製した。な
お、(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(D)反応
性単量体および(E)硬化促進剤は、本発明の実施例と
同様のものを使用した。 【0042】次に、実施例1〜3および比較例1、2の
樹脂組成物を硬化させ、未反応の反応性単量体(メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、以下2HEMAと呼ぶ)の量
を測定した。また、実施例1〜3および比較例1、2の
樹脂組成物を使用して安定器を作製し、安定器運転段階
での未反応物の抽出の有無を調べた。結果を表1に示
す。なお、表1における未反応物の抽出の有無は、分母
を測定数とし、分子を測定したもののうち黒色物が抽出
したものの数で示したものである。また、残存2HEMA量
の測定は、ガスクロマトグラフィー法により以下のよう
にして行った。 【0043】(残存2HEMA量の測定方法)残存2HEMAの分
析は、島津製作所製GC装置(C-R17A)を用い、以下のよう
にして行った。 【0044】まず、樹脂組成物の硬化物をハンマーやカ
ッターで小片にし、さらにメノー乳鉢を用いて細かく粉
砕した。粉砕したサンプルを約0.1gとり、精密天秤を用
いて正確に秤量した(ssp W[g])。このサンプルに塩化
メチレンを20ml加え、室温で24時間抽出を行った。次
に、内部標準物質(n−ドデカン)を約0.03gとり、精
密天秤を用いて正確に秤量した後(sis W[g])、上記抽出
液にこのn−ドデカンを加えた。 【0045】また、上記抽出液とは別に、2HEMAおよびn
-ドデカンを約0.03gづつとり、それぞれ精密天秤を用い
て正確に秤量した後(f2HEMA W[g]、fis W[g])、これ
らに塩化メチレン20mlを加え補正係数用サンプルとした。さ
らに、上記抽出液と補正係数用サンプルとを下記CG条件
で分析した。この際、打ち込み量は2μLとした。 【0046】カラム:UA-1(フロンティアラボ製)30ml
-1.0F I.D 0.25mmφ、FILM1.0μm 温度 :INJ=150℃、COL=150℃、DET=240℃ ガス :ヘリウム 400kgf/cm2 【0047】次に、下記式(1)により補正係数Fを求
めた。 F=((f2HEMA W)/(fis W))/((f2HEMA A)/(fis A)) …(1) ここで、f2HEMA Aは補正係数用サンプルのGC分析で得ら
れた2HEMAのAREA面積であり、fis Aは補正係数用サンプ
ルのGC分析で得られたn-ドデカンのAREA面積である。 【0048】さらに、上記補正係数Fを用いて、下記式
(2)により残存2HEMA含有量を算出した。 残存2HEMA(%)={(s2HEMA A)×F×(sis W)/(sis A)}/(ssp W)×100 …(2) ここで、s2HEMA Aは抽出液のGC分析で得られた2HEMAのA
REA面積であり、sis Aは抽出液のGC分析で得られたn-ド
デカンのAREA面積である。 【0049】 【表1】 【0050】本発明の実施例においては、比較例に比べ
て大幅に残存2HEMA量を減らすことが可能となり、これ
により安定器運転段階での未反応物の抽出も大幅に減ら
すことができることが確認された。 【0051】 【発明の効果】本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、
(A)フタル酸系不飽和ポリエステル、(B)イソフタ
ル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシレン樹脂、
(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステ
ルまたはそれらの誘導体である反応性単量体および
(E)金属石鹸(硬化促進剤)を必須成分とし、各成分
の配合割合を所定の範囲内とすることにより、臭気の発
生を抑制するとともに、安定器に使用される亜鉛メッキ
ケース材の腐食および安定器等からの樹脂組成物の抽出
を抑制し、安定器の信頼性を向上させることが可能とな
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)フタル酸系不飽和ポリエステル、
(B)イソフタル酸系不飽和ポリエステル、(C)キシ
レン樹脂、(D)アクリル酸エステルもしくはメタクリ
ル酸エステルまたはそれらの誘導体である反応性単量体
および(E)金属石鹸を必須成分とする電気絶縁用樹脂
組成物であって、前記(A)フタル酸系不飽和ポリエス
テル100重量部に対し、前記(B)イソフタル酸系不
飽和ポリエステル20〜60重量部、前記(C)キシレ
ン樹脂30〜70重量部、前記(D)反応性単量体40
〜300重量部、前記(E)金属石鹸(硬化促進剤)
0.1〜2.0重量部を含んでなることを特徴とする電
気絶縁用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002033023A JP2003231724A (ja) | 2002-02-08 | 2002-02-08 | 電気絶縁用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002033023A JP2003231724A (ja) | 2002-02-08 | 2002-02-08 | 電気絶縁用樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003231724A true JP2003231724A (ja) | 2003-08-19 |
Family
ID=27775969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002033023A Withdrawn JP2003231724A (ja) | 2002-02-08 | 2002-02-08 | 電気絶縁用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003231724A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005285424A (ja) * | 2004-03-29 | 2005-10-13 | Kyocera Chemical Corp | 高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物 |
JP2009528409A (ja) * | 2006-02-28 | 2009-08-06 | エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ポリエステル−グラフト−ポリ(メタ)アクリラートコポリマーの合成 |
JP2019026804A (ja) * | 2017-08-03 | 2019-02-21 | 日立化成株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた電気機器絶縁物の製造方法 |
-
2002
- 2002-02-08 JP JP2002033023A patent/JP2003231724A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019026804A (ja) * | 2017-08-03 | 2019-02-21 | 日立化成株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた電気機器絶縁物の製造方法 |
JP7031161B2 (ja) | 2017-08-03 | 2022-03-08 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた電気機器絶縁物の製造方法 |
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