JP2003231698A - 自己免疫性を改善せしめるうえで有用なmhcコンジュゲート - Google Patents

自己免疫性を改善せしめるうえで有用なmhcコンジュゲート

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JP2003231698A
JP2003231698A JP2002211742A JP2002211742A JP2003231698A JP 2003231698 A JP2003231698 A JP 2003231698A JP 2002211742 A JP2002211742 A JP 2002211742A JP 2002211742 A JP2002211742 A JP 2002211742A JP 2003231698 A JP2003231698 A JP 2003231698A
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antigen
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Brian R Clark
アール. クラーク ブライアン
Somesh D Sharma
ディー. シャーマ ソメシュ
Bernard L Lerch
エル. ラーチ バーナード
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インビボでのアネルギーの誘発が可能である
か、又は自己免疫障害がこの状態で有効に処置されうる
かの明確な証拠を提供していない。 【解決手段】 本発明は、抗原性ペプチドと抗原結合部
位を有する単離MHC成分とより本質的に構成され、こ
こでこの抗原性ペプチドがこの抗原結合部位と連結され
ている、実質的に純粋なMHC−ペプチド複合体を提供
する。本発明はまた、薬理学的に許容される担体及び上
記MHC−ペプチド複合体を含んで成る薬理組成物を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自己免疫障
害、アレルギー応答、移植片拒絶及びその他の免疫学的
障害の処置におけるT細胞機能の調節のための方法及び
組成物に関する。詳しくは、主要組織適合性複合体(M
HC)糖タンパク質と、かかる障害に関連する抗原のフ
ラグメントに相当するペプチドとの複合体を利用するこ
とによる、ヘルパーT細胞を標的とする複合体に関す
る。 【0002】 【従来の技術】これらの複合体は診断目的のためにラジ
オアイソトープもしくはその他のラベルに、又は該複合
体を治療的に有用にする毒素もしくはその他の物質に更
に複合化せしめることができる。 【0003】望ましくないT細胞の活性化を包括する数
多くの病理学的応答が知られている。例えば、数多くの
アレルギー障害は特定のMHC対立遺伝子に関連してい
るか、又は自己免疫成分を有することが推測されてい
る。 【0004】その他の有害なT細胞仲介応答には、同種
異系宿主に由来するグラフト又は移植片として故意に身
体に導入した外来細胞の破壊が含まれる。「同種異系移
植片拒絶」として知られるこのプロセスは宿主のT細胞
と外来MHC分子との相互作用を包括している。しばし
ばよく、幅広い範囲のMHC対立遺伝子が、同種異系移
植片に対する宿主の応答に関与している。 【0005】自己免疫障害は特に重要な有害な免疫応答
の種類である。自己免疫障害において、自己寛容は失わ
れてしまい、そして免疫系は「自己」の組織をあたかも
それが外来標的であるかのように攻撃する。これには、
重症筋無力症(MG)及び多発性硬化症(MS)を含
む、公衆の注目を浴びた数多くのものが含まれる。 【0006】自己免疫障害及びその他の免疫病理を処理
する大雑把な手法は一般に免疫抑制である。これは免疫
応答を上昇せしめることを必要とする真の外来物質に対
する対象体の能力を失わせる明らかなる欠点を有する。
ほんのわずかに洗練された手法は、標的組織に関与する
抗体又は免疫複合体の排除を基礎とする。これも有害な
副作用を有し、そして成し遂げることが困難である。下
記に詳細する本発明の手法は、「クロノタイプ」試薬、
即ち、自己抗原に対して応答性である免疫系の細胞のみ
を攻撃する試薬を基礎とする。 【0007】免疫応答を説明するのにここで考慮してい
る一般例において、紹介する特異的抗原は、1959年
にBurnetによって初めて提案されたクローン増殖
に由来する。このシナリオに従うと、特定の対象体は数
10万のT及びB細胞を有し、それぞれは様々な抗原決
定基に結合するレセプターを保有しうる。抗原への暴露
により、この抗原はその他を無視して、それが含んでい
る抗原決定基に対する適当なレセプターを抱える細胞に
特異的に結合する。この結合は数千の娘細胞のクローン
集団(それぞれは同一のレセプターにより担われる)を
もたらす。クロノタイプ試薬は、対象の抗原にとって適
切であるT及びB細胞のサブセットのみに影響する。本
発明の組成物においては、この抗原決定基は通常自己免
疫障害に関連するものである。 【0008】本発明のクロノタイプ試薬組成物はTヘル
パー細胞を標的とするために特にデザインされており、
これは自己免疫障害により影響される組織の抗原決定基
に特異的なクローンを代表する。Tヘルパー細胞はMH
Cタンパク質と一緒のときにのみ決定基を認識する;本
発明の複合体は従ってこのMHCタンパク質の有効領域
を含んでいる。 【0009】最近、特異的な抗原に対する免疫応答を妨
害することを試むいくつかの関連の手法がある。例え
ば、自己抗原チログロブリンがリシンAとコンジュゲー
トされており、そしてこのコンジュゲートはこの抗原に
通常応答するリンパ球のインビトロ抗体応答を特異的に
抑制することが示されている。かかる免疫毒素は自己抗
体−分泌性リンパ球クローンを特異的に排除することが
推測されている(Rennie,D.P.ら、Lanc
et(1983年12月10日)1338−133
9)。Diener,E.らのScience(198
6)23):148−150は、酸感受性スペーサーを
用いてダウノマイシンをハプテン(この場合はオバルブ
ミン)にコンジュゲートせしめることによる、リンパ球
機能の抗原特異性抑制を生じせしめる化合物の構築を提
唱している。このコンジュゲートはインビトロ及びイン
ビボでのBリンパ球による抗体分泌のハプテン−特異的
阻害を生じせしめている。ダウノマイシンの、T細胞に
特異的なモノクローナル抗体とのコンジュゲート(酸感
受性スペーサーによる)はコンカナバリンAに対するT
リンパ球による応答も排除した。Steerz,R.
K.M.らJ.Immunol(1985)134:8
41−846は毒素コンジュゲートにおける毒素因子と
して放射物を利用している。ラットに、コールドレセプ
ターを注射する前に、電気魚に由来する放射性ラベルし
た精製レセプターを投与している。このレセプターによ
る注射は実験的な自己免疫重症筋無力症(EAMG)を
誘発する標準的な手法である。障害を誘発せしめるレセ
プターの投与前に、コールドレセプター又は放射性ラベ
ルアルブミンのいずれかのみの事前注射を受けたコント
ロールラットはEAMGの症状を示した;放射性ラベル
レセプターで予備処置したものは軽い症状を示した。ラ
ベルされた、それ故破壊性のレセプターは免疫競合細胞
を特異的に排除することが予測された。予備処置のため
のリシン/レセプターコンジュゲートを利用する似たよ
うな研究がKillen,J.A.らのJ.Immun
ol(1984)133:2549−2553に報告さ
れている。 【0010】一般にT細胞の破壊をもたらす消極的な手
法は、Hixson,J.R.,Medical Tr
ibune(1988年1月28日)4−5に報告され
ているIL−2/毒素のコンジュゲートによる処置であ
る。反対に、しかし関連する手法として、Liu,M.
A.らScience(1988)239:395−3
97は、細胞毒性T細胞特異性を無視して、所望の標的
と細胞毒性T細胞との「リンクアップ(連結)」法を報
告している。この手法において、使用するホルモンがメ
ラノサイト刺激ホルモンのとき、普遍性細胞毒性Tリン
パ球に特異的な抗体はヒト黒色腫細胞を破壊する。 【0011】免疫性の現状のモデルは、抗原が、主要組
織適合性複合体(MHC)における遺伝子によりコード
されるクラスIIの糖タンパク質を表層上に含んでいる
抗原表示細胞(APC)により摂取されることによっ
て、免疫応答を動員せしめることを少なくともある程度
は条件としている。この抗原は、次に表層結合型MHC
糖タンパク質に関連して特異的なTヘルパー細胞へと供
され、そして、この抗原特異性T細胞レセプターと抗原
−MHC複合体との相互作用により、このTヘルパー細
胞は、細胞毒素T細胞機能の誘発、B細胞機能の誘発、
並びにこの応答を補助する及び扇動する数多くの因子の
分泌を含む、抗原特異的免疫応答の仲介を刺激する。 【0012】自己免疫障害におけるMHCクラスIIタ
ンパク質の関与は動物モデルにおいて示されている。M
HCクラスIIタンパク質自体に対する抗体、又はMH
CクラスII遺伝子の発現を誘発する物質に対する抗体
の投与は、これらのモデル系における自己免疫症状の発
症をはばむ。ヘルパーT細胞の役割も、抗CDモノク
ローナル抗体を用いてこの自己免疫系を妨げることによ
り、これらのモデルにおいて実証されている;CD
特徴的なヘルパーT細胞レセプターである(Shizu
ru,J.A.らScience(1988)240:
659−662)。 【0013】最近の実験は、一定の環境のもとでは、ア
ネルギー又は非応答性が自己反応性リンパ球の中で誘発
されうることを示している(Schwarrz,Cel
1(1989)1073−1081を参照のこと;これ
は引用して本明細書に組入れる)。インビトロ実験は、
共刺激シグナルの非存在下において、MHCクラスII
分子による抗原表示は、繁殖的な非応答性状態を同系移
植細胞において誘発せしめることを示唆する(Quil
lら、J.Immunol(1987)138:370
4−3712これは引用して本明細書に組入れる)。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の報告は、インビボでのアネルギーの誘発が可能である
か、又は自己免疫障害がこの状態で有効に処置されうる
かの明確な証拠を提供していない。 【0015】 【課題を解決するための手段】1.本発明は、抗原性ペ
プチドと抗原結合部位を有する単離MHC成分とより本
質的に構成され、ここでこの抗原性ペプチドがこの抗原
結合部位と連結されている、実質的に純粋なMHC−ペ
プチド複合体を提供する。 【0016】2.1つの実施形態において、本発明は、
上記のペプチドが上記の抗原結合部位に非共有的に連結
している複合体を提供する。 【0017】3.1つの実施形態において、本発明は、
上記MHC成分が可溶性である複合体を提供する。 【0018】4.1つの実施形態において、本発明は、
上記ペプチドが約8〜約18個のアミノ酸である複合体
を提供する。 【0019】5.1つの実施形態において、本発明は、
上記ペプチドが自己免疫障害に関連する自己抗原性ペプ
チドである複合体を提供する。 【0020】6.1つの実施形態において、本発明は、
上記ペプチド上のエピトープが、多発性硬化症、リウマ
チ型関節炎又は重症筋無力症に関連する自己反応性T細
胞である複合体を提供する。 【0021】7.1つの実施形態において、本発明は、
上記ペプチドが、ヒトAchRαサブユニットのうちの
残基138〜167、ヒトMBPのうちの残基84〜1
02、又はヒトMBPのうちの残基148〜162を含
んで成る複合体を提供する。 【0022】8.1つの実施形態において、本発明は、
上記MHC成分がクラスII MHCである複合体を提
供する。 【0023】9.1つの実施形態において、本発明は、
上記MHC成分がヒトBリンパ繊維芽細胞より単離され
たものである複合体を提供する。 【0024】10.本発明は、薬理学的に許容される担
体及び上記MHC−ペプチド複合体を含んで成る薬理組
成物を提供する。 【0025】11.1つの実施形態において、本発明
は、上記複合体がリポソームの中に包埋されている薬理
組成物を提供する。 【0026】12.1つの実施形態において、本発明
は、上記複合体が炭水化物成分を実質的に有さない薬理
組成物を提供する。 【0027】13.1つの実施形態において、本発明
は、上記複合体の濃度が約0.02重量%〜約1重量%
である薬理組成物を提供する。 【0028】14.1つの実施形態において、本発明
は、上記薬理学的に許容される担体がリン酸緩衝食塩水
である薬理組成物を提供する。 【0029】15.本発明は、哺乳類における標的T細
胞におけるアネルギーを誘発せしめる方法であって、哺
乳類に、抗原性ペプチドと抗原結合部位を有する単離M
HC成分とより本質的に構成され、ここでこの抗原性ペ
プチドがこの抗原結合部位に連結されている複合体を治
療的に有効な投与量で投与することを含んで成る方法を
提供する。 【0030】16.1つの実施形態において、本発明
は、上記MHC成分がクラスII MHCである方法を
提供する。 【0031】17.1つの実施形態において、本発明
は、上記複合体が脂質膜の中に包埋されている方法を提
供する。 【0032】18.1つの実施形態において、本発明
は、上記標的T細胞が自己免疫障害に関連している方法
を提供する。 【0033】19.1つの実施形態において、本発明
は、上記自己免疫障害が多発性硬化症、リウマチ型関節
炎又は重症筋無力症である方法を提供する。 【0034】20.本発明は、哺乳類における自己免疫
障害を処置する方法であって、哺乳類に、薬理学的に許
容される担体、及び自己抗原性ペプチドと抗原結合部位
を有する単離MHC成分とより本質的に構成され、ここ
でこの抗原性ペプチドがこの抗原結合部位に連結されて
いる純粋なMHC−ペプチド複合体を含んで成る薬理組
成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方
法を提供する。 【0035】21.1つの実施形態において、本発明
は、上記薬理組成物を静脈内投与する方法を提供する。 【0036】22.1つの実施形態において、本発明
は、上記の有効投与量が、体重のkg当り約0.015
μgのMHC−ペプチド複合体〜体重のkg当り約15
μgのMHC−ペプチド複合体である方法を提供する。 【0037】23.1つの実施形態において、本発明
は、上記の有効投与量が、体重のkg当り約0.15μ
gのMHC−ペプチド複合体〜体重のkg当り約10μ
gのMHC−ペプチド複合体である方法を提供する。 【0038】24.1つの実施形態において、本発明
は、自己免疫障害がリウマチ型関節炎又は多発性硬化症
である方法を提供する。 【0039】25.本発明は、抗原性ペプチドと抗原結
合部位を有する単離MHC成分とより本質的に構成され
る複合体を製造するための方法であって:上記MHC成
分を生産する細胞からこの成分を単離し;このMHC成
分をペプチドと接触させてこのペプチドがその抗原結合
部位と結合するようにさせ;そしてこの抗原結合部位に
結合していない過剰のペプチドを除去すること、を含ん
で成る方法を提供する。 【0040】26.1つの実施形態において、本発明
は、上記の過剰なペプチドを除去する段階を、限外濾過
で行う方法を提供する。 【0041】27.1つの実施形態において、本発明
は、上記の複合体を脂質の存在下で透析してリポソーム
を形成する段階を更に含んで成る方法を提供する。 【0042】28.1つの実施形態において、本発明
は、上記のペプチドが上記の抗原結合部位に非共有結合
している方法を提供する。 【0043】29.1つの実施形態において、本発明
は、上記のMHC成分が主要組織適合性複合体のクラス
II糖タンパク質である方法を提供する。 【0044】30.1つの実施形態において、本発明
は、上記ペプチドがMBPのうちのアミノ酸1〜14を
含んで成る方法を提供する。 【0045】 【発明の実施の形態】本発明はT細胞機能を調節するの
に利用できる複合体を提供する。例えば、該複合体は有
害なT細胞仲介型免疫応答、例えばアレルギー応答、同
種異系移植片拒絶及び自己免疫障害を阻止するのに利用
できる。更に、本発明の複合体は免疫応答を助長するた
めに利用でき、従ってワクチンとして利用できる。この
態様において、MHC成分(クラスI又はクラスIIの
両方)は、典型的には共刺激性シグナルに関与するリガ
ンドを抱える競合抗原表示細胞への連結が可能となるよ
うに改質される。他方、この複合体をT細胞増殖を誘発
する単離化共刺激性リガンドに連結させてよい。従っ
て、T細胞はこの複合体により表示される抗原性ペプチ
ドに応答し、そして免疫応答が触発されるであろう。 【0046】本発明の複合体は少なくとも2種の成分を
含む:自己抗原を表示するペプチド又は免疫系に関連の
影響を及ぼす効果を有するその他の抗原性配列、及び抗
原表示に関与するMHCコード化糖タンパク質の有効領
域。MHC糖タンパク質の有効領域は、抗原結合性部位
及び適当なT細胞レセプターによりこのMHCペプチド
複合体が認識されるために必要な配列を含んで成る。こ
のMHC成分はクラスI又はクラスII分子のいづれで
もよい。ペプチド抗原とMHCタンパク質の抗原結合部
位との連結は共有又は非共有結合でよい。 【0047】他の態様において、該複合体は一般に毒素
又はラベルであるエフェクター成分を含んでよい。この
エフェクター領域はMHCコード化糖タンパク質又は自
己抗原性ペプチドのいづれかにコンジュゲートされてい
てよい。エフェクター成分を含む複合体は同時係属出願
U.S.S.N.07/367,751号(1989年
7月21日出願、前掲)に開示され、請求の範囲となっ
ている。 【0048】この系の成分それぞれは下記にそれぞれ説
明する;それに、これらの複合を製造する、評価する及
び利用する方法の説明が続く。 【0049】MHC誘導化成分MHCによりコードされ
る糖タンパク質はヒト及びネズミの系の両方でかなり研
究されている。一般にそれらは、全ての細胞の表層上で
見い出され、且つ、主として細胞毒性T細胞により認識
されるクラスI糖タンパク質;及びマクロファージのよ
うなアクセサリー細胞を含むいくつかの細胞の表層上に
見い出され、且つ、ヘルパーT細胞への抗原の表示に関
与するクラスIIとして分類されている。組織適合性タ
ンパク質のうちのいくつかは単離、且つ、特性化されて
いる。MHC糖タンパク質の構造及び機能の一般的な報
告については、Fundamental Immuno
logy,第2版,W.E.Paul編,Ravens
Press N.Y.1989を参照のこと(これは引
用して本明細書に組入れる)。本明細書で用いる「単離
MHC成分」とは、MHC糖タンパク質、又はMHC糖
タンパク質の有効領域(即ち、抗原結合性部位、又は適
当なT細胞レセプターにより認識されるために必要な部
位及び配列を含んで成るもの)を意味し、これはその天
然状態以外の状態、例えばMHCを通常発現する細胞の
細胞膜と結合していない状態にある。下記に詳細する通
り、該MHC成分は組換的に生産でき、適当な細胞起源
から可溶化されるか、又はリポソームと結合していてよ
い。ヒトMHC分子のためには、ヒトリンパ芽球症細胞
が特に好ましい。 【0050】ネズミI−A(クラスII)組織適合性タ
ンパク質を精製するための方法はTurkewitz
A.P.らMolecular Immunology
(1983)20:1139−1147(引用すること
で本明細書に組入れる)に開示されている。クラスI分
子にとっても適切であるこれらの方法は、非イオン性清
浄剤、例えばNP−40、ツイーン80等を用いての、
所望のMHC分子を含む細胞からの可溶性膜抽出物の調
製を包含する。次にMHC分子を、所望のMHC分子に
対して発生せしめた抗体を含むカラムを用いるアフィニ
ティークロマトグラフィーにより精製する。溶離バッフ
ァーの中に0.02%のツイーン80を利用することは
精製分子の凝集を排除するのに役立つ。 【0051】I−A及びI−Eサブ領域によりコードさ
れる単離抗原は2つの非共有結合ペプチド鎖、即ち、3
2〜38kdのアルファー鎖と26〜29kDのべータ
ー鎖より成ることが示されている。第3の不変の31k
dのペプチドがこの2つのペプチドに非共有的に結合し
ているが、しかしそれは多形態ではなく,そして細胞表
層上の抗原の成分であることが認められていない(Se
kaly,R.P.のJ.Eyp.Med.(198
6)164:1490−1504〔引用することで本明
細書に組入れる〕)。I−A領域の7つの対立遺伝子変
種のアルファー及びベーター鎖がクローンされ、且つ、
配列化されている(Esteen,「Tcell Cl
ones」3−19)。 【0052】ヒトクラスIタンパク質も研究されてい
る。染色体6上のヒトのMHC(HLA)は3つの遺伝
子座、HLA−,HLA−B及びHLA−Cを有し、そ
の最初の2つは同種異系抗原をコードする大量の対立遺
伝子を有する。これらは44kdのサブユニット及び1
2kdのべーター2−マイクログロブリンサブユニット
より成ることが見い出され、これは全ての抗原特異性に
共通している。これらの清浄剤可溶性HLA抗原の単離
は、全て引用することで本明細書に組入れる、Spri
nger,T.A.らProc.Natl.Acad.
Sci.USA(1976)73:2481−248
5;Clementson,K.J.ら「Membra
ne Proteins」Azzi,A.編;Bjor
kman,P.,Ph.D.Thesis Harva
rd(1984)に記載されている。 【0053】更なる研究が、クラスIヒト抗原であるH
LA−A2の3次元構造の詳細絵図によりもたらされて
いる(Bjorkman,P.Jら、Nature(1
987)329:506−512,512−518;こ
れは引用することで本明細書に組入れる)。この絵図に
おいて、β2−マイクログロブリンと重鎖のアルファー
3セグメントが結合している;重鎖のアルファー1及び
アルファー2領域はペプチドが結合する抗原結合性部位
を形成しているものと認められる(Science(1
987)238:613−614;引用することで本明
細書に組入れる;Bjorkman,P.JらNatu
re(前掲))。可溶性HLA−A2は、引用すること
で全てを本明細書に組入れるTurner,M.J.ら
J.Biol.Chen.(1977)252:755
5−7567に記載の通り、ホモ接合ヒトリンパ芽球症
細胞系J−Yからの原形質膜のパパイン消化の後に精製
できる。パパインはトランスメンブラン領域付近の44
kdの鎖を切断して、アルファー1、アルファー2、ア
ルファー3及びβ2マイクログロブリンを含んで成る分
子をもたらす。クラスIHLA−A2抗原の推定三次元
構造の代表を図2に示す。 【0054】クラスIIMHC抗原の三次元構造は詳し
く知られていないが、クラスII糖タンパク質はクラス
IIと似たように、抗原結合性部位を含むドメイン構造
を有すると考えられている。これは膜二重層から伸び
た、2本のクラスII鎖のN−末端ドメイン領域より成
る。一方の鎖のN−末端領域は、MHCクラスI抗原の
アルファー1及びアルファー2の領域と相同性の2つの
ドメインを有する。クラスII遺伝子のクローニング
(Estees前掲に記載)は、下記に記載のようなク
ラスIIMHC結合性ドメインの取扱いを可能とする。 【0055】本発明の複合体のMHC糖タンパク質領域
は、リンパ球からの単離により獲得でき、そして所望の
ペプチド抗原に結合する能力についてスクリーンされう
る。これらのリンパ球は該複合体で処置すべき個体の種
に由来する。例えば、それらは標的自己免疫障害に苦し
む個体に由来するヒトB細胞から単離でき、当業界に知
られる技法を利用して、複製欠陥エプステイン−バ−ウ
ィルスによる形質転換によって不死化せしめる。 【0056】MHC糖タンパク質は、パパインによる処
理、3MのKClによる処理及び清浄剤による処理での
可溶化を含む様々な技法を用いて多数の細胞から単離さ
れる。好ましい方法においては、リンパ球からのクラス
IIタンパク質の清浄剤抽出、それに続くアフィニティ
ー精製が利用される。次に清浄剤は透析により、又は選
択結合性ビーズ、例えばBio Beadsによって除
去できる。 【0057】他方、多数のクラスIIタンパク質のそれ
ぞれのアミノ酸配列が知られ、そしてその遺伝子がクロ
ーンされており、従って組換法によってタンパク質を作
ることができる。第1世代合成MHCタンパク質におい
て、重(アルファー)及び軽(ベーター)鎖は、疎水性
ドメインの欠落を及ぼすカルボキシ末端切除を利用して
合成され、そしてこのカルボキシ末端は毒素又はラベル
のコンジュゲーションを助長するために任意的に選択で
きる。例えば、図3に示すMHCタンパク質において
は、リジン残基が導入されている。更に、この鎖のジス
ルフィド結合を形成せしめる手段を担うためにカルボキ
シ末端付近にシステイン残基が含まされている。この合
成遺伝子は発現ベクターの中への挿入及び類似体をコー
ドするための遺伝子配列の操作に役立つ制限部位を含ま
せることもできる。次にこのアルファー及びベーター鎖
を発現ベクターの中に挿入し、適当な宿主例えばE.コ
リ(E.coli)又はその他の適切な細胞の中で個別
に発現させ、次いで獲得できた組換タンパク質をペプチ
ド抗原の存在下で組換える。 【0058】遺伝子の多様性は配列の容易な操作を可能
とするため、好ましい構築体の第2世代は図4に示すよ
うにハイブリドなクラスIとクラスIIの特徴を含み、
ここでクラスIIMHCのアルファー1とベーター1の
ドメインは柔軟性領域を通じて連結され、これはこれら
のドメイン間での分子内二量化を可能とし、端から端に
わたるベーターシート接触をもたらしめる。次にこのベ
ーター1セグメントをクラスIのアルファー2ドメイン
と融合させ、ここでこの複合体を安定化せしめるために
べーター2マイクログロブリンは共発現される。クラス
I遺伝子のトランスメンブラン及び細胞内ドメインも誘
発させることができるが、しかしながら該複合体を輸送
するためにリポソームを利用しない限り、それを行う意
味はないであろう。より簡単なバージョンはアルファー
1及びベーター1ドメインと、毒素コンジュゲーション
のためのC末端リシンとを有する(図4)。 【0059】適当なDNA配列からの発現ベクターの構
築及び組換体の製造は本質的に当業界に知られる方法に
よって実施される。発現は原核系又は真核系の中で行う
ことができる。原核系はたいていE.コリの様々な株で
代表される。しかしながら、その他の微生物株、例えば
バチルス属(bacilli)、例えばバチルス スブ
チリス(Bacillus subitils)、シュ
ードモナス(Pseudomosas)の様々な種、又
はその他の細菌株を利用することもできる。かかる原核
系において、宿主と適合する種に由来する複製起点及び
コントロール配列を含むプラスミドが利用される。例え
ば、E.コリは一般に、E.コリの種に由来するプラス
ミドであるpBR322の誘導体を用いて形質転換され
る(Bolivarら、Gene(1977)2:9
5)。一般に利用され、本明細書で規定する原核コント
ロール配列には、転写開始のためのプロモーター、任意
的にオペレーターを、リボソーム結合部位配列と一緒に
含み、それには、一般に用いられているプロモーター、
例えばベーターラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラ
クトース(lac)プロモーター系(Changeら、
Natute(1977)198:1056)及びトリ
プトファン(trp)プロモーター系(Goeddel
ら、Nacleic Acids Res.(198
0)8:4057)、並びにラムダー誘導Prプロモー
ター及びN−遺伝子リボソーム結合部位(Shimat
akeら、Nature(1981)292:128)
が含まれる。上記又は下記の全ての文献は引用すること
で本明細書に組入れる。 【0060】真核系宿主において有用な発現系は適当な
原核系遺伝子に由来するプロモーターを含んで成る。例
えば酵母において有用なプロモーターのクラスには、3
−ホスホグリセラートキナーゼ(Hitzemanら、
J.Biol.Chem.(1980)255:207
3)についてのプロモーターを含む、解糖酵素の合成の
ためのプロモーターが含まれる。その他のプロモーター
には、エノラーゼ遺伝子(Holland,M.J.
ら、J.Biol.Chem,(1981)256:1
385)又はYEp13から獲得したLeu2遺伝子
(Broach,J.らGene(1978)8:12
1)に由来するものが挙げられる。 【0061】適切な哺乳類系プロモーターにはSV40
由来の初期及び後期プロモーター(Eiersら、Na
ture(1978)273:113)、又はポリオー
マ、アデノウィルスII、ウシパピロマウィルスもしく
は鳥類サルコマウィルスに由来するようなその他のウィ
ルス性プロモーターが含まれる。適当なウィルス及び哺
乳類系エンハンサーは上記に記載されている。 【0062】発現系は、当業界によく知られている標準
のリゲーション及び制限技法を採用する標準方法によ
り、MHC配列に作動連結すべき上記のコントロール因
子から構築される。単離したプラスミド、DNA配列又
は合成オリゴヌクレオチドを切断し、仕立て、そして所
望の形態に再リゲートさせる。 【0063】部位特異的DNA切断は、適当な制限酵素
で、当業界によく知られ、且つ、これらの市販の制限酵
素の製造業者により特定された条件のもとで処理するこ
とにより実施される。別えばNew England
Biolabsの製品カタログを参照のこと。一般に
は、約1μgのプラスミド又はDNA配列を約20μl
のバッファー溶液の中で一単位の酵素で切断せしめる;
本明細書の実施例においては、典型的には、DNA基質
の完全な消化を確実とするために過剰の制限酵素を用い
ている。約37℃で約1hr〜2hrのインキュベーシ
ョン時間が有用であるが、その変更は寛容される。各イ
ンキュベーションの後、タンパク質をフェノール/クロ
ロホルム抽出によって除去し、次いでエーテル抽出を続
けてよく、そして核酸は水性画分から、エタノールによ
る沈殿、それに続いてセファデックスG−50スピンカ
ラムに付することによって回収できる。所望するなら
ば、切断フラグメントのサイズ分離を標準の技術を用い
てポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲル電気泳動
により実施してよい。サイズ分離の一般的な詳細はMe
thods in Enzymdogy(1980)6
5:499−560に見い出せる。 【0064】制限切断フラグメントは、E.コリDNA
ポリメラーゼIの大きなフラグメント(クレノウ)によ
り、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)
の存在下において、約15〜25分のインキュベーショ
ン時間を利用し、20〜25℃で、50mMのトリスp
H7.6,50mMのNaCl,6mMのMgCl
6mMのDTT及び5〜10μMのdNTPの中で処理
することによってブラント末端化してよい、このクレノ
ウフラグメントは5’接着末端を補完するが、しかしな
がら突出し3’一本鎖を、たとえ4種のdNTPが存在
していたとしても傷つけてしまう。所望するなら、接着
末端の性質により示される制限内で、1種のみの、又は
特定のdNTPを供給することによって選択修復を行っ
てよい。クレノウによる処理の後、その混合物をフェノ
ール/クロロホルム及びエタノールで抽出し、続いてセ
ファデックスG−50スピンカラムに付する。 【0065】合成オリゴヌクレオチドは市販の自動オリ
ゴヌクレオチド合成装置を用いて調製される。アニーリ
ング前又はラベリングのための一本鎖のリン酸化は、過
剰の、例えば約10単位のポリヌクレオチドキナーゼを
0.1nmdeの基質に対して、50mMのトリス、p
H7.6,10mMのMgCl,5mMのジチオスレ
イトール、1〜2mMのATP,1.7pmoleの
32P−ATP(2.9mCi/mmole),0.1
mMのスペルジミン、0.1mMのEDTAの存在下で
用いることによって達せられる。 【0066】リゲーションは15〜30μlの容量の中
で、下記の標準条件及び温度のもとで行った:20mM
のトリス−HCl,pH7.5,10mMのMgC
,10mMのDTT,33μg/mlのBSA,1
0mM〜50mMのNaCl、及び0℃で40μMのA
TP,0.01〜0.02(Weiss)単位のT
NAリガーゼ(「接着末端」リゲーションのため)又は
14℃で1mMのATP,0.3〜0.6(Weis
s)単位のTDNAリガーゼ(「ブラント末端」リゲ
ーションのため)。分子内「接着末端」リゲーションは
通常33〜100μg/mlの総DNA濃度(5〜10
0μMの最終濃度)で行った。分子内「ブラント末端」
リゲーション(通常、10〜30倍の過剰量のリンカー
を利用する)は1μMの総最終濃度で行う。 【0067】「ベクターフラグメント」を利用するベク
ターの構築において、ベクターフラグメントは通常5’
リン酸を除くため及びベクターの再リゲーションを防ぐ
ために細菌性アルカリホスファターゼ(BAP)で処理
する。BAP消化はpH8にて約150mMのトリスの
中で、Na及びMg2+の存在下において、ベクター
のμg当り約1単位のBAPを用いて、60℃で約1h
r行う。核酸フラグメントを回収するため、その調製品
をフェノール/クロロホルム及びエタノール沈殿で抽出
し、そしてセファデックG−50スピンカラムヘの適用
によって脱塩する。他方、再リゲーションは、不要のフ
ラグメントの追加の制限酵素消化により二重消化せしめ
たベクターにおいては防がれうる。 【0068】配列改質を必要とするcDNA又はゲノム
DNA由来のベクターの領域に関して、部位特異的プラ
イマー誘発化突然変異誘発が利用できる。これは所望の
突然変異を提供する、一定の誤対合を除いて突然変異す
べき一本鎖ファージDNAに相補性であるプライマー合
成オリゴヌクレオチドを用いることによって行われる。
簡単に述べると、ファージに相補性な鎖の合成を誘導す
るプライマーとして合成オリゴヌクレオチドを用い、そ
して得られる二本鎖DNAをファージ保持宿主細菌へと
形質転換させる。形質転換細菌の培養物をトップアガー
においてプレートして、ファージが抱える単一細胞から
プラークを形成させる。 【0069】理論的には、新しいプラークの50%が、
一本鎖として突然変異形態を有するファージを含み;5
0%はもとの配列を有するであろう。得られるプラーク
をリン酸化合成プライマーと、ある温度であって正しい
対合を可能とするが、ただしもとの鎖との誤対合はハイ
ブリダイゼーションを妨げるのに十分であるような温度
でハイブリダイズさせる。次にプーブとハイブリダイズ
するプラークを拾い、培養し、次いでDNAを回収す
る。 【0070】しかしながら、本発明のタンパク質におい
て、合成遺伝子を好適に利用できる。遺伝子のデザイン
は制限部位を含んでよく、これはコード配列領域を、類
似体をコードするこれらで置き換える遺伝子の容易な操
作を可能とする。 【0071】プラスミドの構築のための正しいリゲーシ
ョンは、E.コリGeneticStock Cent
er,CGSC #6135より獲得できるE.コリ株
MM294又はその他の適当な宿主をこのリゲーション
混合物でまず形質転換することによって確認できる。有
効な形質転換体は、アンピシリン、テトラサイクリンも
しくはその他の抗生物質耐性により、又は当業界に知ら
れるプラスミド構築の手法に応じたその他のマーカーを
用いて選ばれうる。この形質転換体に由来するプラスミ
ドを次にClewell,D.B.ら、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA(1969)62:1
159、の方法、任意的にクロラムフェニコール増幅
(Clewell,D.B.J.Bacteriol
(1972)110:667)を続けて用意する。この
単離DNAを制限により分析するか、及び/又はSan
ger,F.らProc.Natl.Acad.Sc
i.USA(1977)74:5463、更にはMes
singらNucleic Acids Res(19
81)9:309のジデオキシ法、又はMaxamらM
ethods in Enzymdogy(1980)
65:499の方法により配列化する。 【0072】構築したベクターを次にタンパク質の製造
のために適当な宿主の中に導入する。用いる宿主細胞に
応じて、形質転換はかかる細胞に適する標準技術を用い
て行う。Cohen,S.N.,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA(1972)69:2110
に記載の塩化カルシウムを用いるカルシウム処理、又は
ManiatisらMolecalar Clonin
g:A Laboratory Manual(198
2)Cold Spring HarborPres
s,頁254に記載のRbCl法が、原核系又は実質的
な細胞壁バリヤーを含むその他の細胞にとって利用され
る。かかる細胞壁を有さない哺乳動物細胞にとっては、
Grahamとvan der Eb.のVirolo
gy(1978)52:546のリン酸カルシウム沈殿
法又はエレクトロポレーションが好ましい。酵母への形
質転換はVan Solingnen,P.らJ.Ba
cter.(1977)130:946及びHsia
o,C.L.らProc.Natl.Acad.Sc
i.USA(1979)76:3829の方法に従って
実施する。 【0073】次にこの形質転換細胞を、MHC配列の発
現にとって好ましい条件で培養し、次いで組換生産タン
パク質をこの培養物から回収する。 【0074】抗原性ペプチド 数多くの自己免疫障害に関する自己抗原性タンパク質又
は組織が知られている。例えば、実験的誘発型自己免疫
障害において、病理に関与する抗原が特性化されてい
る:ラット及びマウスの関節炎において、天然のII型
コラーゲンがコラーゲン誘発型関節炎において同定さ
れ、そしてミコバクテリア−ヒートショックタンパク質
がアジュバント関節炎において同定されている(Stu
artら(1984)Ann.Rev.Immuno
l.2:199−218;van Edenら(198
8)Nature 331:171−173。);チロ
グロブリンがマウスにおける実験的アレルギー性甲状腺
炎(EAT)において同定されている(Maronら
(1988),J.Exp.Med.152:1115
−1120);実験的アレルギー性重症筋無力症(EA
MG)においてはアセチルコリンレセプター(ACh
R)(Lindstromら(1988)Adv.Im
munol.42:233−284);そしてマウス及
びラットにおける実験的アレルギー性起脳炎(EAE)
においてはミエリン塩基性タンパク質(MBP)(Ac
ha−Orbeaら、前掲を参照のこと)。更に、例え
ば標的抗原がヒトにおいて同定されている:ヒトリウマ
チ型関節炎におけるII型コラーゲン(Holoshi
tzら(1986)Lancet ii:305−30
9);及び重症筋無力症におけるアセチルコリンレセプ
ター(Lindstromら(1988)前掲)。上記
の全ての文献は引用することで本明細書に組入れる。 【0075】抗原表示細胞(APCs)の表層上のMH
C糖タンパク質による抗原の表示は、抗原性タンパク質
の小さなペプチド単位への加水分解に続いて起こると信
じられている。抗原性タンパク質におけるこれら小さめ
のセグメントの位置は実験的に決定できる。これらのセ
グメントは長さにおいて18残基数であり、そしてアグ
レトープ(MHC分子により認識)及びエピトープ(T
ヘルパー細胞上のT細胞レセプターにより認識)の両方
を含むと考えられている。このエピトープ自体は5〜6
個のアミノ酸の連続又は非連続配列であり、これはTヘ
ルパー細胞の抗原特異的レセプターを認識する。アグレ
トープは、ペプチドとMHC糖タンパク質との結合にと
って重要な連続又は非連続配列である。 【0076】関連の8〜18個のアミノ酸のサブユニッ
トの決定の実験プロセスは、骨格筋のアセチルコリンレ
セプターのアルファーサブユニットを利用して例示して
いる。重症筋無力症(MG)において、自己免疫応答は
このサブユニットの領域に向けられている。神経筋接合
部のシナプス後部膜上でのアセチルコリンレセプターの
欠失はMG症状の原因となる。 【0077】MGにおいて、アセチルコリンレセプター
(AChR)のアルファーサブユニットに対する自己抗
体は、AChRに向けられた自己免疫応答に関連する。
MG患者のうちの85%がアルファーサブユニットに反
応性な自己抗体を有する。これらのうち、60%が残基
60及び80の間に位置している主免疫原領域(MI
R)と呼ばれるアルファーサブユニットのペプチドセグ
メントに結合する抗体を有する(TzartosとLi
ndstrom,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA(1980)77:755)。自己反応性ヒ
トT細胞により認識されるペプチドセグメントはアルフ
ァーサブユニット上にも位置している(Hohfiel
dらProc.Natl.Acad.Sci.USA
(1987))。これらのT細胞により認識されるエピ
トープは残基1−30,125−147,169−18
1,257−271及び351−368にある。更に、
ヒトにおいてAChRぺプチド195−212及び25
7−269が、HLA−DR5及びHLA−DR3のD
Qw2 MHCハプロタイプの重症筋無力症患者のそれ
ぞれにおけるエプトープとして一部特性化されている
(Acha−Orbea(1989)前掲を参照のこ
と)。 【0078】このレセプターのアルファーサブユニット
に関連するエピトープの表示が可能である、アグレトー
プを抱えるペプチドは容易に決定される。例えば、マウ
スのモデルにおける適切なペプチドの決定は以下の通り
に実施される。 【0079】トルペドカリホルニカス(Torpedo
californicus)AChRで免疫したとき
にヒト重症筋無力症の数多くの特徴を有する障害を発症
するマウスの株をモデルとして用いた。MHCクラスI
I糖タンパク質をレクチン及びモノクローナル抗体アフ
ィニティー支持体を用いてこの株のマウスの脾臓細胞が
単離した。この精製MHCクラスIIタンパク質を清浄
剤透析によってリン脂質小胞の中に含ませた。得られる
小胞を次に清浄なガラスカバースリップに融合させて、
図5に示すようなそれぞれの上にMHC分子を含む平ら
な脂質二重層を作った(Brian and McCo
nnell,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA(1984)81:6159、これは引用するこ
とで本明細書に組入れる)。 【0080】付着平面脂質膜の中に包埋されたMHCク
ラスII分子を含む一枚のカバースリップを数枚の24
穴培養プレートの各ウエルの中に入れた。アルファーサ
ブユニット配列に相当し、且つ、1又は複数の放射性ラ
ベル化アミノ酸残基(下記の通りに調製)を含む約40
種の重複20残基合成ペプチドのそれぞれをカバースリ
ップ及びPBSと一緒にウェルの中に入れ、そして数日
インキュベートした。MHCクラスII糖タンパク質抗
原結合部位におけるペプチドの結合の程度は、カバース
リップ上のMHCクラスII−平面脂質膜、対、平面脂
質膜のみ、の中に一体化された放射活性の値により決定
した。放射活性の特異的な一体化は、結合ペプチドが、
平面脂質膜の中に存在している複数の種のMHCクラス
II分子のうちの一つのアグレトープ(MHCクラスI
Iペプチド結合部位)を含むことを示唆する。これによ
り、AChRのアルファーサブユニットのための一連の
アグレトープを、AChR又は精製アルファーサブユニ
ットによる免疫に基づいてMG症状を示すマウス株につ
いて規定する。 【0081】次に、アグレトープを含む各アルファーサ
ブユニット合成ペプチドセグメントを再びカバースリッ
プ上の平面脂質膜に包埋されている単離MHCクラスI
Iタンパク質の抗原結合部位の中に含ませる。一枚のカ
バースリップを24穴培養プレートの各ウェルに加え、
次いでこの各ウェルにAChRに対して免疫されたマウ
ス(及び付着性MHCクラスIIタンパク質が単離され
た株)に由来する脾臓細胞を加えた。DNAへのトリチ
ウム化チミジンの取込みにより決定されるT細胞ハイブ
リドーマ増殖は、T細胞への結合のためのアグレトープ
及びエピトープの両者をMHCクラスIIタンパク質結
合ペプチドが含むことを示唆する。T細胞クローンの活
性化はIL−3生産を測定することによって決定される
(Quillら、前掲を参照のこと)。 【0082】ペドカリホルニカスAChRのアルファー
サブユニット由来の重複(10残基が重複)20残基ペ
プチドのセットの構成員を合成するよう、迅速多重ペプ
チド合成(RAMPS)のためのDuponの装置及び
技術を利用した。このペプチドの配列は知られ、そして
図6に示す。1又は複数の放射活性アミノ酸が各合成ペ
プチドの中に一体化されている。ペプチドを合成するた
めに側鎖保護型FMOCアミノ酸のペンタフルオロフェ
ニル活性エステルを利用し、標準の逐次固相ペプチド合
成法、それに続く標準の側鎖脱保護及び固相支持体から
のペプチドの同時遊離を利用した。 【0083】他方、抗原性タンパク質、例えばアセチル
コリンレセプタータンパク質の8〜18個のアミノ酸の
推定セグメントを含む重複配列が、Geysen H.
M.らJ.Immun.Meth.(1987)10
2:274(引用することで本明細書に組入れる)の方
法で合成できる。合成した放射性ラベル化ペプチドを、
それぞれ(プレート上で)、前記の通り脂質膜の中へと
配合せしめた精製MHCタンパク質とインキュベートす
ることにより試験した。 【0084】中枢神経系におけるミエリン鞘の破壊をも
たらす多発性硬化症(MS)においては、ミエリンの主
要タンパク質成分が主な自己抗原である。MBPタンパ
ク質の適切なセグメントは、ウシミエリン塩基性タンパ
ク質で免疫したときに実験的アレルギー性起脳炎(EA
G)を発症するマウスの株を用いて実験的に決定するこ
ともでき、MBPの配列は図7に示す。 【0085】全身性エリテマトーデス(SLE)は複雑
な症候であるが、しかしこれは赤血球に対する自己免疫
応答に由来する。この障害の抗原性エフェクターである
ペプチドは赤血球の表層上のタンパク質の中に認められ
る。 【0086】リウマチ型関節炎(RA)は、滑液の中で
見い出せるタンパク質に対する免疫応答に由来する慢性
炎症障害である。 【0087】インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)
は、インスリンの分泌にとって重要なランゲルハンス島
内のべーター細胞の自己免疫攻撃に由来する。島細胞表
層抗原及びインスリンに対する循環抗体はIDDMに先
行することが知られている。IDDMにおける免疫応答
を排除するうえで重要なペプチドはインスリン配列及び
ベーター細胞膜表層タンパク質の一部であると信じられ
ている。 【0088】関連の抗原性ペプチドサブユニットはそれ
らが比較的短いため、ペプチド合成にとっての標準の自
動化方法を用いて容易に合成できる。他方、それらは単
離又は合成DNAを用いて組換的に作製されうるが、こ
れはこの長さのペプチドにとっての最も効率的な手法で
はない。 【0089】従って、まとめると、一連のラベル化試験
ペプチドを用意し、そしてMHCタンパク質を含む平面
脂質膜の中のMHCと結合するものがアグレトープを含
んでいることが示される。 【0090】同定したペプチドを次に常用の固相合成で
調製し、そして障害誘発性ヘルパーT細胞クローンにつ
いてのエピトープを含むサブセットを、ネズミ抗原表示
細胞(APC)を有する(又は単離MHC複合体を有す
る)候補のペプチドと、全長タンパク質で免疫したマウ
スに由来する脾臓又はリンパ腺のT細胞とのインキュベ
ーションによって決定した。有用な候補はこの系におい
てT細胞の増殖を刺激するであろう。この第2の小さな
サブセットは適当なペプチド成分を代表する。 【0091】複合体の形成 該複合体の因子は当業界に知られる標準の手段により連
結させることができる。この抗原性ペプチドは、MHC
タンパク質のポケット領域に、例えばこの二成分を混合
することによって非共有的に連結させることができる。
過剰のペプチドは数多くの標準的な手順のいづれか、例
えば限外濾過又は透析によって除去できる。このペプチ
ドは標準の手順を用いて、例えば光アフィニティーラベ
ル化によって共有結合させることができる(例えばHa
llら、Biochemistry 24:5702−
5711(1985)を参照のこと、これは引用するこ
とで本明細書に組入れる)。 【0092】例えば、AChRペプチド195−215
(これはヒト及びマウスにおけるMGのエピトープとし
て特性化されている)は、MGに関連するMHC抗原に
由来のポリペプチドのN末端抗原結合部位に連結させる
ことができる。一文字アミノ酸コードにおけるAChr
ペプチドのアミノ酸配列はDTPYLDITYHFIM
QRIPLYFVである。該ペプチドをコードするオリ
ゴヌクレオチドはアミノ酸にとっての既知のコドンを利
用して合成され、好ましくは発現のために利用する生物
において好ましく利用されるコドンをオリゴヌクレオチ
ドのデザインにおいて利用する。例えばもしE.コリで
発現させるなら、AChR195−215をコードする
適切なオリゴヌクレオチドは 5’GAC ACC CCG TAC CTG GAC
ATC ACC TAC CAC TTC ATC
ATG CAG CGT ATC CCG CTG T
AC TTC CTG 3’ でありうる。 【0093】次にこの配列を当業界に知られる技法を利
用してMHC抗原に由来するペプチドをコードする配列
に一体化せしめる。この一体化部位は、この分子が発現
されて折りたたまれたとき、このAChRペプチド抗原
が標的T細胞にとってのエピトープとして有用となるで
あろうようになる。 【0094】あるプロトコールにおいて、AChR19
5−215ペプチドを適当なMHC分子のN−末端に連
結させる。もし組換複合体をマウスにおいて用いるな
ら、例えば、このAChRペプチドをI−Ab−アルフ
ァー又はI−Ab−ベーター鎖のいづれかをコードする
配列の中に一体化せしめてよい。これらの鎖をコードす
る配列は知られており、そして図8(アルファー鎖)及
び図9(ベーター鎖)に示し;更に、この鎖の制限酵素
部位及び有意義なドメインをこの図に示す。もしACh
Rペプチドをベーター鎖の中に一体化させるなら、例え
ばオリゴヌクレオチドをリーダーペプチドの代替物とし
て挿入してよい。ポリオリゴヌクレオチド内で配列を置
き換える方法は当業界に知られ、その例はプラスミドの
構築の章に説明してある。 【0095】AChRペプチドの、適当なヒトHLA抗
原に由来するペプチドをコードする配列への一体化のた
めに類似のプロトコールが利用できる。例えば、ヒトに
おいて、ハプロタイプDRがMGに関与する。そ
れ故、AChRペプチドを例えばDR2対立遺伝子のベ
ーター鎖をコードする配列の中に一体化させることがで
きる。数多くのDRハプロタイプに由来するHLA−D
R−ベーター鎖をコードする配列と同様に、主要血清学
特異性DR1−9にとってのDRサブ領域における構造
ベースが知られている。例えばBellら(1987)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
4:6234−6238を参照のこと(これは引用する
ことで本明細書に組入れる)。 【0096】前述した通り、自己免疫抗原ペプチドとM
HC成分とはペプチド結合を介して連結させてよい。し
かしながら、連結のその他の態様が当業者に自明であ
り、そして例えばアルファー及び/又はベーター鎖の炭
水化物成分等を含む糖タンパク質上の炭水化物基を介す
る連結が含まれうる。 【0097】複合体の評価 本発明の複合体はインビトロ系を用いて、又はインビボ
モデルを用いてアッセイできる。インビトロ系において
は、該複合体を、該複合体のペプチドに関与する症状の
原因であるタンパク質又は抗原によって免疫された、又
はそれらに対する免疫性を示す対象体由来の末梢血液T
細胞とインキュベートする。この有用な複合体は同系T
細胞においてアネルギーを誘発し、そして追加の抗原に
よる刺激によってさえもT細胞の増殖を防ぐ。 【0098】インビボ系においては、APCの存在下に
おいて、単離エピトープ又は全長抗原に対する応答で増
殖するT細胞をクローンする。これらのクローンは、自
己免疫障害を誘発させるために免疫化していない組織適
合性動物に注射した。関連の複合体に関連する症状は軽
減されるか、又はこの障害の症状は消えるであろう。 【0099】いづれかのタイプの複合体、即ち、エフェ
クター成分を有するもの又は有さないものが利用でき
る。ある態様において、その処置は2重である。個体
を、抗原の有効領域を含むMHC−コード化抗原表示糖
タンパク質の複合体で処理して免疫系を下降制御する。
更なる下降制御は、MHCコード化抗原表示糖タンパク
質、処置すべき自己免疫障害に特異的な抗原の有効領域
及びエフェクター成分を含む三成分複合体による処理に
よって達せられる。更に、複合体のパネルを処置のため
に利用できうる。例えば、複数の抗原のペプチドが自己
免疫応答に関与することが予測されるとき、及び/又は
複数の抗原が関与することが予測されるとき、個体を、
適当なMHCコード化抗原表示ポリペプチド及び抗原の
有効領域を含むパネルから選ばれた複数の複合体で処置
してよい;これらはエフェクター成分を有しても有して
いなくてもよい。 【0100】ラベル化複合体の投与は診断用途におい
て、障害に関与する免疫系のかかる領域の同定を可能に
する。 【0101】治療及び/又は診断のためのMHC複合体
の選択 自己免疫障についての個体の診断又は処置において用い
るべき本発明のMHC複合体を選ぶため、自己抗原の表
示に関与するタイプのMHC抗原を同定する。 【0102】特異的な自己免疫機能不全は特定のMHC
のタイプに関連する。ヒトにおけるDQ/DRハプロタ
イプ及び関連の自己免疫障害のリストを図10に示す。
どの対立遺伝子、従ってどのMHCコード化ポリペプチ
ドが自己免疫障害に結びついているかを同定する方法は
当業界に知られている。EP286447に記載の方法
が適切である。本法において、いくつかの工程を行っ
た。まず、MHC抗原と自己免疫障害との関連を遺伝的
研究を基礎として決定する。この研究を実施するための
方法は当業者に周知であり、そしてヒトに関連する全て
の既知のHLA障害についての情報はコペンハーゲンの
HLA and Disease Registryに
保存されている。この障害に関連するポリペプチドをコ
ードする遺伝子座がこの障害との最大の関連性を有する
ものである(図10参照)。 【0103】第二に、障害関連MHC抗原/ポリペプチ
ドをコードする特定の対立遺伝子を同定する。この対立
遺伝子の同定において、影響を受け易い対立遺伝子が有
力であると仮定される。対立遺伝子の同定は特定のサブ
タイプと障害との強力な陽性関係を決定することによっ
て達成される。これは数多くの方法で達成されることが
でき、全て当業者に知られている。例えば、サブダイピ
ングは複合型リンパ球応答(MLR)タイピング及びプ
ライム化リンパ球試験(PL7)によって達成されう
る。両方の方法はWeirとBlackwell編、H
andbookof Experimental Im
munology(引用して本明細書に組入れる)に記
載されている。これは、検査すべきMHC遺伝子座に特
異的なプローブを用いてDNA制限フラグメント長多形
態(RFLP)を分析することによって達成されうる。
例えば、Nepom(1986)Annals N.
Y.Acad.Sci.475,1。MHC遺伝子座に
ついてのプローブを用意する方法は当業者に知られてい
る。例えば、Gregersenら(1986)Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 79:59
66;Weissmanら、Medicine in
Transition:the Centennial
of University of Illinoi
s College of Medicine(E.
P.Cohen編、1981)を参照のこと(これらは
引用して本明細書に組入れる)。 【0104】障害感受性を授けるサブタイプの最も完璧
な同定は、遺伝子座のゲノムDNA又はこの遺伝子座内
でコードされるmRNAに至るcDNAのシーケンシン
グによって達せられる。所望の領域を増幅するための、
プローブによる特に所望されるDNAを同定するため技
術は当業界に知られ、そして例えばポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)技術が含まれる。 【0105】特定の自己免疫障害に対する感受性を授け
る対立遺伝子が同定されたら、この対立遺伝子内でコー
ドされるポリペプチドも同定できる。即ち、ポリペプチ
ド配列はそれをコードする対立遺伝子内のDNAの配列
より推定できる。診断及び/又は治療のために用いる本
発明のMHC抗原複合体は自己免疫障害症状に関連する
MHC抗原の有効領域及び同じ障害症状に関連する自己
免疫抗原に由来する。 【0106】例えば、リウマチ型関節炎患者のうちの9
0%以上がDR4(Dw4),DR4(Dw14)又は
DR1のハプロタイプを有する(図10参照)。ヒトリ
ウマチ型関節炎における標的抗原はII型コラーゲンで
あることも知られている。それ故、リウマチ型関節炎を
有する個体の処置又は診断のために用いる本発明の複合
体には、II型コラーゲンの有効領域と複合した、障害
誘発に関する抗原表示の可能な、又は障害抑制に関する
抗原表示の可能でないDR4(Dw4),DR1及び/
又はDR4(Dw14)に由来のポリペプチドを含むも
のが挙げられる。 【0107】自己免疫障害の診断及び/又は処置のため
の本発明の複合体の利用に適しうるプロトコールを図1
1に示す。簡潔すると、自己免疫障害を有する(又はそ
れに感受性である)個体を同定し、そして自己免疫機能
不全を同定する。同定は症候学的に、及び/又は家族履
歴の調査によることができる。個体のMHCタイプは当
業界に知られる1又は複数の方法、例えばMLR、血清
学アッセイ及びDNA分析(RFLP及びPCR技法を
含む)による細胞ダイピングを含む方法により決定され
る。個体のT細胞はインビトロで、自己反応性T細胞に
より認識される自己ペプチドを決定するために検査され
る;これは先に説明した本発明のラベル化複合体を利用
することで達せられ、これは式X’−MHC−ペプチ
ド(ここでXはラベル成分である)で表わされる。どの
複合体がT細胞を標的とするかを決定した後、個体を、
特異的な自己反応性T細胞複製を抑制することのできる
本発明の複合体、及び/又は自己反応性T細胞を殺すこ
とのできるもので処置する。これらはそれぞれ、タイプ
MHC2−ペプチド、及びX’−MHC−ペプチド
(ここでXはT細胞を殺すことのできる成分である)の
複合体である。治療(残留自己反応性T細胞により決
定)は、前述した本発明のラベル化複合体を用いるT細
胞結合研究によりモニターされる。 【0108】本明細書で用いている語「個体」は、基本
的に同等なMHC系を保有する全ての哺乳類及び全ての
脊椎動物を包括する。 【0109】インビボ試験のためのモデル系 下記は自己免疫障害に関するモデル系であり、これらは
かかる症状に対する本発明の効果を評価するために利用
できる。 【0110】全身性エリテマトーデス(SLE) 自己免疫ニュージーランドブラック(NZB)マウス及
び表現型が正常なニュージーランドホワイト(NZW)
マウス株のFハイブリドは、親のNZB株よりもより
急性に重症な全身性自己免疫障害を発症した。これらの
マウスは、ヒトにおけるSLEとめざましく類似な核抗
原に対する抗体及びそれに続く雌に優性な致死的免疫複
合仲介型糸球体腎炎の発症を含むいくつかの異常を示し
た。引用することで本明細書に組入れるKnight
ら、J.Exp.Med.(1978)147:165
3。 【0111】ヒト及びネズミの障害の形態の両方におい
て、MHC遺伝子生産物との強い関連性が報告されてい
る。HLA−DR2とHLA−DR3の個体はSLEを
発症する一般の集団よりも高い危険性にあり(Rein
ertsenら、N.Engl.J.Med(197
0)299:515)、他方、NZB/W Fマウス
(H−2d/u)においては、NZWの親に由来するh
−2ハプロタイプに連結した遺伝子が狼瘡様腎炎の発
症に寄与する。 【0112】本発明の効果は生存率、並びに尿タンパク
質及び抗DNA抗体の出現のような徴候の発症の進行に
より決定できる。 【0113】尿タンパク質はUristix(Mile
s Laboratories,Inc.,Elkha
rt,IN)の利用によりカロリー計算的に決定でき、
下記のおよその尿タンパク質が表示される:微量、10
mg/dl;1+,30mg/dl;3+,300mg
/dl;そして4+,1000mg/dl。高い度合い
の尿タンパク質は複合体によるマウスの処置によって顕
著に遅延する。 【0114】NZB/W Fマウスにおける抗−DN
A特異的抗体の存在は、ZoualiとStoller
のJ.Immunol.Methods(1986)9
0:105(引用することで本明細書に組入れる)に記
載の結合化免疫収着アッセイ(ELISA)の改良型を
利用して決定される。 【0115】重症筋無力症(MG) 重症筋無力症はHLA−Dに結びついているいくつかの
ヒト自己免疫障害の一つである。Safenberg
ら、Tissue Antigens(1978)1
2:136;McDevittら、Arth.Rheu
m.(1977)20:59(これらは引用することで
本明細書に組入れる)。MGにおいて、アセチルコリン
レセプター(AcChoR)に対する抗体が、シナプス
後方膜におけるAcChoRの仲介損失によって筋神経
伝達を損傷せしめる。 【0116】SJL/J雌マウスはヒトMGにとっての
モデル系である。これらの動物において、実験的自己免
疫重症筋無力症(EAMG)は、マウスを他の種に由来
する可溶性AcChoRタンパク質で免疫することによ
って誘発される。EAMGに対する感受性はMHCにあ
る程度結びついており、そしてH−2内の領域まで地図
化されている。Christadossら、J.Imm
unol.(1979)123:2540。 【0117】AcChoRタンパク質を、引用するWa
ldorら、Proc.Natl.Acad.Sci.
(USA)(1983)80:2713の方法に従って
トルペド カリホルニカより精製し、そしてアッセイし
た。完全フロインドアジュバント中の乳濁AcChoR
15μgを背中、後足及び尾の根もとの6箇所にわたっ
て皮内注射した。動物を同じ方法で4週間後に再び免疫
した。 【0118】評価は抗AcChoR抗体の測定によって
なされることができ、抗AcChoR抗体のレベルはW
aldorら、前掲に記載のマイクロリッターELIS
Aによって測定される。この標準の試薬容量はウェル当
り50μlである。試薬は通常ウェルの中でRTで2h
rインキュベートする。炭酸水素バッファーpH9.6
で希釈した5μgのAcChoRを各ウェルに加える。
AcChoRとインキュベートした後、これらのプレー
トを、0.05%のツイーン及び0.05%のNaN
を含むリン酸緩衝食塩水より成る洗浄液で4回すすぐ。
マウス血清を0.01MのPBS(pH7.2)、1.
5mfrのMgCl,2.0mM の2−メルカプト
エタノール、0.05%のツイーン80、0.05%の
NaN(P−ツイーンバッファー)に希釈し、そして
プレート上でインキュベートした。このプレートを洗っ
た後、P−ツイーンバッファーに希釈したベーターガラ
クトシダーゼコンジュゲート化ヒツジ抗マウス抗体を各
ウェルに加えた。最終洗浄の後、酵素基質p−ニトロフ
ェニルガラクトピラノシドをプレートに加え、そして基
質触媒の程度を1hr後の 405nmでの吸収により
決定した。 【0119】非免疫化マウスと比べて、抗−AcCho
OR抗体がAcChoRで免疫したマウスの中に存在し
ていることが予測される。複合体による処置は免疫化マ
ウスにおける抗AcChoR抗体の力価を有意義に低下
せしめるものと予測される。 【0120】臨床EAMGに対する複合体による処置の
効果を評価できる。重症筋無力症は、頭及び首のうなだ
れを伴う丸い姿勢、背中の過大な弓なり、ゆがんだ(s
played)手足、異常な歩行及び筆記の困難さの特
徴を含む。複合体の投与により、抗体力価が低下した後
の期間の後に軽い症状が標準試験の後に見られ、従って
改善されたのであろう。 【0121】リウマチ型関節炎(RA) ヒトにおいて、リウマチ型関節炎に対する感受性はHL
A D/DRに関連する。マウスにおける天然II型コ
ラーゲンに対する免疫応答は、ヒトRAを擬態する数多
くの組織学的及び病理学的特徴を有する関節炎について
の実験モデルを確立するために利用されている。マウス
におけるコラーゲン誘発型関節炎(CIA)に対する感
受性はH−2I領域、特にI−Aサブ領域に地図化され
ている。Huseら、Fed.Proc.(1984)
43:1820。 【0122】感受性株DBA−1由来のマウスは、Wo
oleyとLuthraのJ.Immunol.(19
85)134:2366(引用することで本明細書に組
入れる)に記載の技術を利用してマウスを天然II型コ
ラーゲンで処置することによってCIAを有すようにさ
せる。 【0123】別のモデルにおいて、ラットにおけるアジ
ュバント関節炎がヒト関節炎及び細菌抗原により誘発さ
れる自己免疫応答のプロトタイプにとっての実験モデル
となるHoloschitzら、Prospects
of Immunolgy(CRC Press)(1
986);Pearson Arthritis Rh
eum.(1964)7:80。この障害は細胞仲介型
免疫応答の結果であり、これはアジュバント(MT)に
対して反応性であるT細胞のクローンによるその伝達性
によって証明される;同じクローン化細胞による研究に
基づき、この障害における標的自己抗原は軟骨のプロテ
オグリカン分子の一部であることが認められた。 【0124】ラットにおけるアジュバント障害は、Pe
arson、前掲に記載の通り、即ち、複数の貯蔵部
位、好ましくは皮内的に、又は足にもしくは尾の根もと
に付与するフロインドアジュバント(殺菌した結核菌又
はその化学画分、鉱物油及び乳化剤)の単一注射により
発生する。このアジュバントは他の抗原なしで付与す
る。 【0125】障害の出現の複合体処置の効果をモニター
した。この出現は組織学的であり、そして、滑膜被覆細
胞の増殖を伴う急性及び半急性滑膜炎、接続組織パンヌ
スによる骨及び関節軟骨の浸潤、並びに特に冒された接
合部の近くでの骨膜新骨形成が含まれる。重症又は慢性
の場合、骨性硬直と同じような崩壊的変化が生ずる。こ
れらの組織学的症候はフロインドアジュバントに対する
感化の約12日後にコントロール動物において認められ
るものと予測される。 【0126】インスリン依存性真正糖尿病(IDDM) IDDMは、膵臓のランゲルハンス島のインスリン分泌
細胞の選択的破壊の結果として観察される。この病気に
おける免疫系の関与は、単核細胞によるランゲルハンス
島の早期浸潤の形態学的証拠、抗ランゲルハンス島細胞
抗体の検出、IDDM母集団における対立遺伝子HLA
−DR3および−DR4の高頻度およびIDDMと各種
の自己免疫病との間の臨床的関連によって示唆される。
自発性IDDMと甲状腺炎の動物モデルはBBラットで
発現した。ヒトと同様に、ラットの病気はMHC抗原を
コードする遺伝子によって部分的にコントロールし、島
の浸潤を特徴とし、抗島抗体の存在と関連する。I−E
と等価のクラスII MHC抗原は、BBラットにおけ
る自己免疫病の発現に関与するものと思われる。ビオタ
ードら、Proc Natl Acad Sci(US
A),(1985),82,6627。 【0127】形態学的評価では、インスリン炎は、島内
に単核炎症細胞が存在することを特徴とする。甲状腺炎
は、最低基準として甲状腺内における病巣の間質リンパ
球浸潤液を特徴とする。最も重症の場合は、散在性の多
量なリンパ球浸潤液、小胞の破壊、線維症、および病巣
のヒュルトレ細胞の変化を示す。ビオタードら、同上を
参照されたい。 【0128】BBラットの本発明の複合体での治療は、
IDDMおよび甲状腺炎に関連した臨床的および形態学
的症状の発現を改善しまたは防止することが期待され
る。 【0129】もう一つのモデルでは、NODマウス種
(H−2K)は、自己免疫IDDMのネズミでの
モデルである。これらの動物における病気は、抗島細胞
抗体、重症リンスリン炎、β細胞の自己免疫破壊の証拠
を特徴とする。カナザワら、Diabetologi
a,(1984),27,113。この病気は、リンパ
球によって受動的に転位し、サイクロスポリン−Aで処
理することによって防止することができる(イケハラ
ら、Proc NatlAcad Sci USA,
(1985),82,7743;モリら、Diabet
ologia(1986),29,244。未処理の動
物は、深いグルコース不耐性およびケトン症を発現し、
および病気の徴候から数週間以内に死亡する。雌性動物
の90%および雄性動物の20〜30%が、誕生から6
か月以内に糖尿病を発現する。飼育の研究は、罹病率に
関する少なくとも2個の遺伝的配座を定義し、その内の
一つはMHCに配置されている。血清学的および分子の
水準でのNODクラスII抗原の特徴決定は、自己免疫
病の罹病率はI−Aに関連することを示している。アチ
ャ−オーベアおよびマックデビット、Proc Nat
l Acad Sci USA,(1987),84,
235。 【0130】雌NODマウスを複合体で処理すると、糖
尿病の徴候を示す以前の時間が長くなりおよび/または
この病気を改善または防止することが期待される。 【0131】実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE) 実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、多くの点で
多発性硬化症(MS)のヒトの病気に類似している中枢
神経系の誘発された自己免疫症である。この病気は、マ
ウスおよびラットのような多くの種で誘発させることが
できる。 【0132】この病気は麻痺が急に起こることを特徴と
する。CNSにおける単核細胞による脈管周囲の浸潤
が、マウスとラットのいずれにも観察される。この病気
を誘発する方法と症状学は、アランソン(1985)T
he AutoimmuneDiseases(ローゼ
およびマッカイ監修、アカデミックプレス・インコーポ
レーテド)399〜427頁およびアチャ−オーベア
ら、(1989),Ann Rev Imm,7,37
7〜405。 【0133】遺伝子が媒介する罹病性の一つは、MHC
クラスII領域に配置されている(ムーアら(198
0)J Immunol,124,1815〜182
0)。最も良好に解析された脳脊髄炎発症タン白質はミ
エリン塩基性タン白質(MBP)であるが、他の脳脊髄
炎発症抗原が脳に見出されている。免疫原性エピトープ
が配置されている(アチャ−オーベアら、同上)。PL
マウス種(H−2)では、MBP中における2個の脳
脊髄炎発症ペプチドである、MBPペプチドp35〜4
7(MBP35〜47)およびアセチル化MBP p1
〜9(MBP1〜9)が特性決定された。 【0134】EAEが誘発された個体における病状の改
善に対する本発明の複合体の効果は、生存率、および症
状の発現の新工場鏡によって測定することができる。 【0135】処方及び投与 もしMHCサブユニットのトランメンブラン領域を含ま
せるなら、本発明の複合体は脂質単層又は二重層に含ま
せた後に投与することが好ましい。典型的には、この目
的のためにリポソームが利用されるが、しかしながらあ
らゆる形態の脂質膜、例えば平面脂質膜又は細胞(例え
ば赤血球細胞)の細胞膜が利用されうる。下記の実施例
に示すデーターは、二量体MHC分子を含んで成るMH
C−ペプチド複合体が主として凝集体として存在してい
ることを示す。 【0136】リポソームは下記の標準方法に従って調製
できる。しかしながら、もしトランスメンブラン領域を
削除したら、この複合体はペプチド含有薬品にとって常
用に利用されている手法で投与されうる。 【0137】投与は全身的とし、そして注射、好ましく
は静脈内により行われ、従って投与の注射ルートに適合
する製剤が利用できる。適切な処方はRemingto
n’s Pharmaceutical Scienc
es,Mack Publishing Compan
y,Philadelphia,PA,第17版(19
85)(引用することで本明細書に組入れる)に見い出
せる。本発明の複合体及び薬理学的に有効な担体を含ん
で成る様々な薬理組成物が調製できる。該薬理組成物は
様々な薬剤デリバリーシステムに適切である。薬剤デリ
バリーの現在の方法の簡単な参考については、Lang
er,Science 249:1527−1533
(1990)(引用することで本明細書に組入れる)を
参照のこと。 【0138】本発明の薬理組成物を調製するうえで、そ
の薬物速度論及び生体分布性について変えるために本発
明の複合体を改質することがしばしば所望される。薬物
速度論の一般的詳細については、Remington’
s Pharmaceutical Science
s、前掲、第37〜39章を参照のこと。薬物速度論及
び生体分布性を変える数多くの方法が当業者に知られて
いる(例えば、Langer前掲を参照のこと)。例え
ば、複合体の血清半減期を上昇させるのに適切な方法に
は、血流からの複合体の排除に関与する炭水化物の除去
の処理が含まれる。好ましくは、実質的に全ての炭水化
物がこの処理により除去される。炭水化物成分の少なく
とも75%、好ましくは約90%、そして最も好ましく
は約99%が除去されたら、実質的に全ての炭水化物が
除去されたといえる。可溶性巨大分子、例えばタンパク
質、多糖類又は合成ポリマー、例えばポリエチレングリ
コールヘのコンジュゲーションも有効である。その他の
方法には、タンパク質、脂質(例えばリポソーム)、炭
水化物又は合成ポリマーのような物質より成る小胞の中
での該複合体の保護が含まれる。 【0139】本発明のリポソームは典型的には、この複
合体がT細胞レセプターと相互作用しうるような状態で
リポソームの上に位置しているMHC−ペプチド複合体
を含む。そのトランスメンブラン領域は通常は、膜の形
成時に膜の中にまず一体化せしめる。このリポソームは
特定の自己反応性T細胞を薬剤(例えば毒素又は化学治
療薬)が標的とするために利用できる。他方、リポソー
ムの中に包埋された複合体を標的細胞におけるアネルギ
ーの誘発のために利用できる。 【0140】リポソームの電荷は血液からのリポソーム
の排除において重要な決定要素であり、負荷電リポソー
ムは網内細胞系によってより迅速に取り込まれ(Jul
iano,Biochem.Biophys.Res.
Commun.63:651(1975))、従って血
流の中で短めの半減期を有する。長い循環半減期を有す
るリポソームが治療及び診断用途のために一般に所望さ
れる。例えば、血流の中で8,10,12又は24時間
まで維持されうるリポソームが好ましい。 【0141】典型的には、リポソームは約5〜15モル
%の負荷電リン脂質、例えばホスファチジルグリセロー
ル、ホスファチジルセリン又はホスファチジルイノシト
ールによって調製する。加えた負荷電リン脂質、例えば
ホスファチジルグリセロールは、自発性リポソーム凝集
を防ぐにも働き、それ故所望されないリポソーム凝集形
成の危険性を小さくする。少なくとも約50モル%の濃
度での膜硬化剤、例えばスフィンゴミエリン又は飽和中
性リン脂質及び5〜15モル%のモノシアリルガングリ
オシドが、血流におけるリポソーム調製物の循環を高め
るのに担う(これは、引用することで本明細書に組入れ
る米国特許第4,837,028号に記載されてい
る)。 【0142】更に、リポソーム懸濁物は、脂質をフリー
ラジカル及び保存に基づく脂質−過酸化的損傷から守る
脂質保護剤を含みうる。親油性フリーラジカルクエンチ
ャー、例えばα−トコフェロール及び水溶性鉄特異的キ
レート剤、例えばフェリオキシアニンが好ましい。 【0143】例えばSzokaら、Ann.Rev.B
iophys.Bioeng.9:467(198
0)、米国特許第4,235,871号、第4,50
1,728号及び第4,837,028号(全て引用す
ることで本明細書に組入れる)に記載の通り、様々な方
法がリポソームを調製するのに有用である。一方法は不
均質なサイズの多重板状小胞をもたらす。この方法にお
いては、小胞形成脂質を適当な有機溶媒又は溶媒系の中
に溶かし,次いで真空又は不活性ガスのもとで乾かして
薄い脂質フィルムを形成せしめている。所望するなら、
フィルムを適当な溶媒、例えば第三ブタノールの中に再
溶解させ、次いで凍結乾燥させて、より容易に水和され
る粉末状形態にあるより均質な脂質混合物を形成せしめ
る。このフィルムを標的化薬剤及び標的用成分の水性溶
液で覆って、典型的には攪拌しながら15〜60分にわ
たって水和させる。得られる多重板状小胞のサイズ分布
は、より強い攪拌条件のもとでの脂質の水和により、又
は清浄剤、例えばデオキシコレートの添加により小さめ
のサイズにシフトさせることができる。 【0144】水和媒質は標的化薬剤を、最終リポソーム
懸濁物中のリポソームの内部容量の中で所望される濃度
で含む。典型的な薬剤溶液は緩衝食塩水溶液の中に10
〜100mg/mlの複合体を含む。 【0145】リポソームの調製に続いて、所望のサイズ
範囲及び比較的狭いリポソームサイズの分布を得るため
にリポソームはサイズ分別されうる。ある好ましいサイ
ズ範囲は約0.2〜0.4ミクロンであり、これは典型
的には0.22ミクロンのフィルターである常用のフィ
ルターでの濾過によってリポソーム懸濁物を減菌するこ
とを可能とする。このフィルター濾過法は、もしリポソ
ームが約0.2〜0.4ミクロンまでにサイズ分別され
たなら、高仕組ベースで実施できる。 【0146】リポソームを所望のサイズヘとサイズ分別
するのにいくつかの技法が有用である。あるサイズ分別
法は引用することで本明細書に組入れる米国特許第4,
737,323号に記載されている。リポソーム懸濁物
をバス又はプローブ音波処理のいづれかにより音波処理
することは、サイズが約0.5ミクロン以下である小さ
な単板小胞に至る多大なサイズ縮小をもたらす。ホモジ
ネーションは大きなリポソームを小さめのものへと砕断
するためにエネルギーを与えることを基礎とする別の方
法である。典型的なホモジネーション手順において、多
重板状小胞を標準のエマルションホモジナイザーを介し
て特定のリポソームサイズ、典型的には約0.1〜0.
5ミクロンのサイズが認められるまで再循環させる。両
方の方法において、粒径分布は常用のレーザービーム粒
径識別によりモニターできる。 【0147】小孔ポリカーボネート膜又は非対称性セラ
ミック膜を介するリポソームの押出しも、リポソームの
サイズを比較的よく規定されたサイズ分布へと小さくす
る有効な方法である。典型的には、懸濁物を、所望のリ
ポソームサイズ分布が得られるまで1又は数回にわたっ
て膜を介して循環させる。リポソームサイズにおける段
階的縮小を得るためにリポソームを順次小さめの多孔膜
を介して押出してよい。 【0148】最も効率的な封入法のもとでさえも、最初
にサイズ分けしたリポソーム懸濁物は遊離(封入されて
いない)形態における複合体を50%以上含みうる。 【0149】リポソーム懸濁物から捕促されていない化
合物を除くためのいくつかの方法が有用である。一方法
において、懸濁物を高速遠心によりペレット化して、上
清液の中に遊離化合物及び非常に小さなリポソームを残
させる。別の方法は、懸濁物を限外濾過により濃縮し、
次いで交換媒質の中にこの濃縮リポソームを再懸濁させ
ることを包括する。他方、溶質分子から大きめのリポソ
ーム粒子を分けるためにゲル濾過が利用されうる。 【0150】上記の処理に続いて、リポソーム懸濁物を
静脈内投与において有用な所望濃度にする。これは、例
えば遠心もしくは限外濾過によってリポソームが濃縮さ
れた場合はリポソームを適当な容量の注射媒質に再懸濁
する、又は薬剤除去工程が全懸濁物容量を増加させた場
合はこの懸濁物を濃縮することを包括しうる。次にこの
懸濁物を前記の通りに濾過により減菌する。MHC−ペ
プチド複合体を含んで成るリポソームは、投与の手法、
導入すべき薬剤、処置すべき特定の障害、等に従って変
わる投与量において、非経口的又は局所的に投与されう
る。 【0151】ミセルは非極性領域を有する分子の溶解度
を高めるために当業界において一般に利用されている。
従って当業者はミセルが本発明の組成物において有用で
あることを認識するであろう。本発明の複合体を含んで
成るミセルは当業界によく知られる方法に従って調製で
きる(例えばRemington’s Pharmac
eutical Sciences,前掲、第20章を
参照のこと)。本発明の複合体を含んで成るミセルは標
準の界面活性剤又は清浄剤を用いて一般に調製される。 【0152】ミセルは水性溶液中で界面活性剤(疎水性
領域と、1又は複数のイオン性、又はそうでなければ強
力な親水性基とを含む分子)により形成される。固形界
面活性剤の濃度が増えるにつれ、大気/水又はガラス/
水の界面に収着した単層は、更なる占拠がこの2枚の単
層の中に既にある界面活性剤分子の多大な圧縮を必要に
せしめるほどに密に充填される。この濃度を超えるよう
な溶解界面活性における量の更なる増分は、ミセルヘと
凝集する新たな分子の量に相当する。この過程はいわゆ
る「臨界ミセル濃度」と呼ばれる特徴的な濃度で始ま
る。 【0153】希薄な界面活性剤溶液の中で形成されるミ
セルの形はほぼ球形である。界面活性剤分子の極性頭部
基は外部球形殻に並んでおり、ここでその炭化水素鎖は
中心に向って配向して、ミセルにとっての球形中核を形
成している。この炭化水素鎖はランダムコイルとなり、
且つ、からみ合っており、そしてミセルの内部は非極性
の液状特性を有している。ポリオキシエチル化非イオン
性清浄剤のミセルにおいては、このポリオキシエチレン
成分は外を向いており、そして水により浸入される。こ
の配備はエネルギー的に好ましく、なぜなら親水性頭部
基水と接触し、そして炭化水素成分は水性媒質から除か
れており、且つ、極性頭部基によって水との接触が遮蔽
されているからである。ミセルの内部に位置する界面活
性剤分子の炭化水素尾部は弱いファンデルワールスカに
よって互いと相互作用している。 【0154】ミセルのサイズ又はその凝集体の数は幾何
学的要因により大いに支配されている。炭化水素中核の
半径は界面活性剤分子の伸びきった炭化水素鎖の長さを
超えることはできない。従って、鎖長を長くすること、
又は同族列を増やすことは球形ミセルの凝集数を増や
す。炭化水素領域が単独の通常のアルキル鎖である界面
活性剤にとっては、球形を構成する最大凝集数はC
10,C12,C14及びC16のそれぞれにとって
約27,39,54,72及び92である。もし界面活
性剤の濃度を数%上げる、そしてもし電解質を加える
(イオン性界面活性剤のケース)又は温度を高めたら
(非イオン界面活性剤のケース)、ミセルのサイズは大
きくなる。このような条件のもとでは、ミセルは球形を
維持するのに大きくなりすぎてしまい、形が楕円形、円
筒形又は最終的に板状となってしまう。 【0155】一般の界面活性剤は当業者によく知られ、
そして本発明のミセルに利用できる。適当な界面活性剤
にはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、オクタオキシエチレングリコー
ルモノドデシルエーテル、オクトキシノール9及びPL
URONIC F−127°(WyandotteCh
emicals Corp.)が含まれる。好ましい界
面活性剤はIV注射に適合する非イオン系ポリオキシエ
チレン及びポリオキシプロピレン清浄剤であり、例えば
TWEEN−80°,PLURONIC F−68°,
n−オクチル−β−D−グルコピラノシド等である。更
に、リポソームの調製において用いるのに説明したリン
脂質もミセル形成に利用できる。 【0156】本発明のMHCサブユニットは親油性トラ
ンスメンブラン領域及び比較的親水性な細外胞ドメイン
を含んで成るため、一般の界面活性剤又はリン脂質及び
このサブユニットの存在下において複合ミセルが形成さ
れる。本発明の複合ミセルはサブユニット、リン脂質及
び/又は界面活性剤の任意の組合せを含んで成りうる。
従って、該ミセルはサブユニットと清浄剤、リン脂質及
び清浄剤の両方と組合せたサブユニット、又はサブユニ
ットとリン脂質を含んで成りうる。 【0157】本発明の複合体を含んで成る薬理組成物に
関して、その投与量は例えば特定の複合体、投与の方
法、処置すべき特定の障害及びその重症度、患者の総合
的な健康状態及び症状、並びにかかりつけの医師の判断
に応じて変わりうる。ネズミ対象体にとっての投与量レ
ベルは一般に約10μg〜約500μgである。約50
μg〜約300μgの総投与量が好ましい。例えば、障
害の経過にわたって施す処置において、25μg又は1
00μgの3回の投与が有効である。総投与量は約0.
015〜約15μg/kg、好ましくは約0.15〜約
10μg/kgに範囲する。 【0158】薬理組成物は予防的及び/又は治療的処置
のため、非経口的、局所的、経口的又は局部的(例えば
エロゾールによる)又は経皮的投与を目的とする。この
薬理組成物は投与の方法に応じて様々な単位投与形態で
投与されうる。例えば、経口投与に適する単位投与形態
には粉末、錠剤、ピル及びカプセルが含まれる。 【0159】好ましくは、該薬理組成物は静脈内投与さ
れる。従って、本発明は、許容される担体、好ましくは
水性担体に溶解又は懸濁された複合体の溶液を含んで成
る静脈内投与のための組成物を提供する。様々な水性担
体、例えば水、緩衝水、0.4%の食塩水等が利用され
うる。例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)が本発明の
可溶性複合体の投与のために特に適切である。好ましい
製剤は0.02%のツイーン−80を含むPBSであ
る。この組成物は常用のよく知られている滅菌技法によ
り滅菌するか、又は滅菌濾過してよい。得られる水性溶
液は使用されるために包装されるか、又は凍結乾燥され
てよく、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌水性溶液と合わ
せられる。この組成物は、適当な生理学的条件のために
必要な薬理学的に許容される補助物質、例えばpH調節
及び緩衝剤、等張性調節剤、湿潤剤等例えば酢酸ナトリ
ウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリ
エタノールアミンオレエート、他を含むことがてきる。 【0160】該複合体の濃度は広範囲にわたり、即ち、
約0.05重量%以下、通常は少なくとも約1重量%か
ら、10〜30重量%ほどに変えることができ、そして
選ばれた投与の特定態様に従って、主として流体容量、
粘度等によって選ばれるであろう。静脈内投与のために
好ましい濃度はPBS中で約0.02%〜約0.1%又
はそれ以上である。 【0161】固形組成物に関しては、常用の非毒性固形
担体が利用でき、これには例えば薬理級のマンニトー
ル、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウ
ム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グ
ルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれ
る。経口投与のためには、薬理学的に許容される非毒性
組成物は、通常利用されている賦形剤、例えば既に挙げ
たような担体のいづれかを含ませることにより作られる
ことができ、そして一般には活性成分の10〜95%に
する。 【0162】エロゾール投与のためには、該複合体は界
面活性剤及び噴射剤と一緒に、微細分割形態において供
せられるのが好ましい。この界面活性剤はむろん無毒で
なくてはならず、そして噴射剤に可溶性であることが好
ましい。代表的なかかる試薬は、6〜22個の炭素原子
を含む脂肪酸のエステル又は半エステル、例えばカプロ
ン酸、オクタノン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、リノール酸、リノレニン酸、オレステアリン
酸及びオレイン酸と、脂肪多価アルコール又はその環状
無水物、例えばエチレングリコール、グリセロール、エ
リスリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビト
ール、ソルビトールに由来するヘキシトール無水物、と
のエステル、並びにこれらのエステルのポリオキシエチ
レン及びポリオキシプロピレン誘導体である。複合エス
テル、例えば複合又は天然グリセリドが利用できる。こ
の界面活性剤は該組成物の0.1〜20重量%、好まし
くは0.25〜5重量%を構成しうる。この組成物の残
りは通常噴射剤である。液化噴射剤は一般に周囲条件で
ガスであり、そして加圧のもとで凝縮する。適当な液化
噴射剤は、5個まで炭素を含む低級アルカン、例えばブ
タン及びプロパンであり、そして好ましくはフッ素化又
はフルオロ塩素化アルカンである。前記した混合物も利
用できる。エロゾールの製造において、適当なバルブの
付いた容器に、微細に分割した化合物及び界面活性剤を
含む適当な噴射剤を充填する。この成分は従ってバルブ
の作動により放出されるまで高い圧力に維持される。 【0163】該複合体を含む組成物は治療的、予防的又
は診断的用途のために投与できる。治療的用途において
は、組成物を、前記した障害に既に苦しんでいる患者
に、この障害の症状及びその合併症を治癒又は少なくと
も部分的に軽減するのに十分な量で投与する。これを成
し遂げるのに適切な量を「治療的に有効な投与量」と定
義する。これに有効な量は障害の重症度並びに患者の体
重及び一般的状態に依存するであろう。前述した通り、
これは典型的には約0.5mg/kg〜約25mg/k
g、好ましくは約3〜約15mg/kgであろう。 【0164】予防的用途においては、本発明の複合体を
含む組成物を、特定の障害に対して感受性である、又は
その危険性を有する患者に投与する。かかる量は「予防
的に有効な投与量」と定義する。この用途において、そ
の正確な量はここでも患者の健康状態及び体重に依存す
る。その投与量は一般に前記した範囲であろう。 【0165】診断用途において、適切な複合体又はその
カクテルを含む組成物を、自己免疫障害症状を有すると
予測される患者に投与して、この障害に関連する自己反
応性T細胞の存在を決定する。他方、特定の処置の効力
をモニターすることができる。これを成し遂げるのに十
分な量は「診断的に有効な投与量」と定義する、この用
途において、その正確な量は患者の健康状態等に依存す
るが、一般には投与当り0.01〜1000mg、特に
患者当り約10〜約100mgの範囲であろう。 【0166】治療的又は診断的用途のためのキットを供
することもできる。従って、本発明の課題の組成物は通
常容器中の凍結乾燥状態で供される。ラベルもしくは毒
素にコンジュゲートされた、又はコンジュゲートしてい
ない複合体をキットの中に、バッファー、例えば、トリ
ス、リン酸塩、炭酸塩等、安定剤、殺生物剤、不活性タ
ンパク質、例えば血清アルブミン等、更には使用のため
の仕様書のセットと一緒に含ませてよい。一般に、これ
らの材料は複合体の量に基づいて約5重量%以下、そし
て通常はタンパク質濃度に基づいて少なくとも0.00
1重量%の量で存在するであろう。しばしば、活性成分
を希釈する不活性増量剤又は賦形剤を含ませることが所
望され、この賦形剤は全組成物の約1〜99重量%にお
いて存在しうる。アッセイにおいてこの複合体に結合す
ることのできる抗体を使用するとき、これは別個々のバ
イヤルの中に通常存在するであろう。この抗体は当業界
に知られる技術に従ってラベルにコンジュゲートされ、
そして処方されるのが典型的である。 【0167】本発明は、自己免疫性のような所望されな
い自己応答の原因である免疫系の状況を同定、且つ、阻
止するのに利用できる方法及び組成物に向けられてい
る。本発明の組成物及び方法は、MHCによりコードさ
れる糖タンパク質と一緒に特定の抗原を認識するヘルパ
ーT細胞を標的とするようにデザインされている。本発
明の複合体はT細胞レセプターに結合し、そして標的リ
ンパ球及びその他の細胞において免疫系の非応答性をも
たらす。 【0168】本発明は、免疫反応を起こさせるように抗
原自体により触発される相互作用と類似の状況で免疫系
と相互作用する抗原の形態を提供する。本発明の組成物
は、(1)MHCコード化抗原表示糖タンパク質の有効
領域;及び(2)抗原の有効領域;の精製化=成分複合
体である。これらの二成分は共有又は非共有連結によっ
て結合している。インビトロ及びインビボ実験の両者に
由来する証拠は、かかる複合体が同系移植T細胞におけ
る慢性アネルギーを誘発せしめることを確立する。 【0169】その他の観点において、本発明は薬理学的
組成物に向けられ、ここで本発明の複合体が活性成分で
ある。この組成物は自己免疫障害のような免疫応答に関
連する特定の抗原との免疫系反応の一部を下降制御する
のに用いることができる。 【0170】 【実施例】下記の実施例によって本発明を例示するが、
本発明を限定するものではない。 【0171】実施例1 マウスI−A 及びラットMBPペプチドの複合体に
よるインビトロでのT細胞の下降制御 ヒト多発性硬化症を擬態する障害モデルであるマウスに
おける実験的アレルギー性起脳炎を誘発することで知ら
れるミエリン塩基性タンパク質(MBP)に対して向け
られたT細胞クローンにおける非応答性又はアネルギー
の誘発におけるクラスII MHC−ペプチド複合体の
効果を下記に示す。 【0172】スタンフォード大学のPat Jones
博士から、ラットMBPペプチド(1−11)に対する
マウスの免疫によって調製し、そして抗原特異性につい
て特性化されたT細胞クローンAJ1.2及び4R3.
4を獲得した。 【0173】ラットNSFペプチドを有するI−A
合体を、精製マウスI−A及び合成ラットMBPペプ
チド(1−13)を利用して作り、このペプチドの配列
は周知であり(Zamvilら(1986)Natur
e 324:258260)、そして Ac−ASQKRPSQRHGSK である。 【0174】マウスI−AをTurkewitzら、
前掲に基づく改良方法により精製した。基本的には、I
−Aを含む細胞の可溶性膜抽出物を、10−2.16
抗体(これはプロテインAでのアフィニティークロマト
グラフィーにより精製され、且つ、CNBr活性化セフ
ァロース4bに結合されている)を含むカラムを用いる
アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。N
P−40可溶性膜抽出物、10.216MAbの精製及
びそのCnBr活性化セファロース4Bへの結合、並び
にI−Aの精製の調製計画をそれぞれ図12,13a
並びに14に示す。図13bは精製した10−2.16
抗体の純度を示すポリアクリルアミドゲルのコピーであ
る。I−Aの純度(これはポリアクリルアミドゲル分
析によりモニター)を図15に示す。 【0175】I−AとラットMBPペプチドの複合体
を作るため、30mMのオクチルグルコシドを含むPB
S中の10μgのアフィニティー精製I−Ak と50
倍過剰量のHPLC精製MBPペプチドとを125μl
の全容量で混ぜ合わせた。サンプルを37℃で16時
間、定常に攪拌しながらインキュベートし、次いでリポ
ソームの準備のためにG−24セファデックス脱塩によ
りペプチドから分離させるか、又は細胞研究のためにP
BS、続いてRPMI培地に対して4℃で36時間透析
した。 【0176】リポソームヘのI−A−MBPペプチド
複合体の導入は下記の通りである。25:75:2のモ
ル比でコレステロール:ジパルミトイルホスファチジル
コリン(DPPC):ジパルミトイルホスファチジルエ
タノールアミン−フルオレセイン(DPPEF)より成
る脂質溶液を30mMのオクチルグルコシド(OG)を
含むクロロホルム中で調製した。脂質を真空のもとで乾
かし、そして17mMのOGを含む予め作っておいたP
BS中のI−Aペプチド複合体を乾燥脂質と5:1
(w/w)の比で混ぜ合わせた。この混合物を2−3分
間ボルテックスに付し、4℃に冷やし、そして最後にP
BS、続いてRPMI倍地に対して4℃で36時間透析
した。(125−I)−ラベル化I−Aを用いる実験
においては、脂質混合物の中に蛍光化脂質は含ませず、
そしてリポソームの中へのI−Aの一体化をシンチグ
ラフィーにより決定した。 【0177】平面脂質膜を滅菌12mmガラスカバース
リップの上に、アフィニティー精製I−A単独又は精
製I−A+MBP(1−13)を含むリポソーム50
〜100μlを用いて、Wattsらの(1985)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 82:
5480−5484(引用することで本明細書に組入れ
る)の方法によって準備した。平面膜におけるI−A
の存在は、蛍光抗I−A抗体による染色の後での蛍光
顕微鏡により確認した。バックグランド以上の蛍光は、
蛍光抗I−Aにより染色に基づいて認められなかっ
た。 【0178】MBPペプチド刺激の6〜8日後に獲得し
たAJ1.2及び4R3.4細胞を2回洗い、そして4
×10の細胞を平面膜に付加した。このプレートを3
7℃で5%のCOの中で48〜72時間インキュベー
トし、次いでコロニーの形成について目視検査した。 【0179】清浄剤可溶化クラスII分子の効果を、1
×10のAJ1.2又は4R3.4を、50〜100
μlの精製I−A単独、精製I−A+MBP(1−
13)、及び倍地単独と、37℃で5%のCOの中で
5時間培養することにより調べた。このインキュベーシ
ョンの後、これらの細胞を900μlに希釈し、そして
増殖アッセイにおける抗原表示細胞(APC)及び抗原
〔MBP(1−13)〕に対するそれらの応答能力につ
いて試験した。細胞増殖の表示として3−(4.5−ジ
メチル−チアゾール−2−7’)−2.5−ジフェニル
テトラゾリウムブロミド(MTT)の取込みを利用し
た。通常は3H−チミジン取込みによってモニターされ
るDNA合成と、MTT取込みにより測定されるミトコ
ンドリアの活性は別々の細胞機能であるが、脾臓細胞培
養の刺激の開始から3日後にモニターしたこれら2通り
の活性は互いと非常によく似ていた(Molecula
rDevice Application Bulle
tin Number 011−A,1988年2月9
日)。 【0180】データーは、倍地のみで培養した細胞に比
してのクラスI+Agとインキュベートした細胞増殖の
%抑制として示し、そして次式により計算した: (式中、 T細胞=I−A−MBP(1−13)複合体と予備
インキュベートしたT細胞 T細胞=I−A−MBP(1−13)のみと予備イ
ンキュベートしたT細胞 T細胞=倍地と予備インキュベートしたT細胞であ
る)。 【0181】クラスII MHCのみの存在下で培養し
た細胞の増殖は、ほとんどの研究において倍地のみで培
養した細胞と一般に等しいため、この後者の数を%抑制
を得るうえで利用した。トリプリケートウェルの標準偏
差は大半の実験で<10%であった。 【0182】まず2通りの定量的研究を、I−A+M
BP(1−13)を含むリポソームから調製した平面膜
へのT細胞クローンの結合を、I−A+MBP(1−
13)での予備処置が変更するであろうかを決定するた
めに行った。AJ1.2細胞をこれらの研究のために用
い、なぜならこれらはMBP(1−13)のみの存在下
において、即ち、抗原表示細胞(APC)なしで平面膜
上に特徴的なコロニーを形成するからである。AJ1.
2細胞とI−A+MBP(1−13)との5時間にわ
たるインキュベーションは、I−A又は倍地単独とイ
ンキュベートした細胞に比して、平面膜上に形成される
コロニーの数を阻害した。第2の実験において、AJ
1.2細胞をI−A+MBP(1−13)を含むリポ
ソームと、又はI−Aのみと5時間にわたってインキ
ュベートし、そして平面膜を前記の通りに調製した。清
浄剤可溶化I−AMBP(1−13)について前述し
た通り、細胞をI−A+MBP(1−13)を含むリ
ポソームと一緒に培養することは、I−Aのみを含む
リポソームとインキュベートした細胞に比して、コロニ
ーの数を減少させた。コロニーは正確に測定できなかっ
たが、その数におけるはっきりとした差が認められた。 【0183】これらの研究はT細胞クローンの機能に対
するI−A+MBP(1−13)の効果の定量を可能
としなかったため、我々はAPC及びMBP(1−1
3)の存在下における4R3.4又はAJ1.2細胞の
増殖に対するこの複合体の予備インキュベーションの効
果を調べた。従って、4R3.4又はAJ.1細胞を5
0〜100μlのI−A+MBP(1−13)、I−
、又は倍地のみと37℃で5時間にわたり予備イン
キュベーションした。これらの細胞を適当な濃度へと希
釈し、そしてAPCに加えた。抗原〔MBP(1−1
3)〕を13.3μm〜53.2μmに範囲する最終濃
度となるように加えた。 【0184】本研究において用いたAPCは雌のA/J
マウスの脾臓から調製した。簡潔すると、脾臓を取出
し、そして個別の細胞懸濁物を、滅菌顕微鏡スライドの
急冷先端の間で緩やかに裂くことによって用意した。赤
血球を低張ショックで溶解させた。残留細胞を抗生物質
を含むRPMIで2回洗い、そして10μg/mlのミ
トマイシンCと37℃で1時間インキュベートした。こ
のインキュベーションに続いて、脾臓細胞を抗生物質を
含むRPMIで5回洗い、計測し、そしてAPCとして
用いた。細胞とAPC及びMBP(1−13)の72時
間インキュベーションの後、増殖の程度をMTT取込み
を用いて定量した。研究1,3及び4においては、4R
3.4細胞を上記の通りにインキュベートした。研究2
においては、4R3.4細胞を、I−A+MBP(1
−13)又はI−Aのみを含むリポソームと予備イン
キュベートした。次にT細胞を10%のフィコール溶液
を通じて遠心により未結合リポソームから分け、洗い、
そして増殖アッセイに利用した。研究5〜8はクローン
AJ1.2なしで実施した。I−Aのみとインキュベ
ートさせた細胞は倍地中で培養した細胞と同程度に増殖
した。この方法で予備インキュベートさせたT細胞クロ
ーンはAPCの非存在下で増殖しなかった。 【0185】上記で示すデーターは、クラスII MH
C+MBP(1−13)の複合体か、MBP(1−1
1)に特異的なT細胞クローンにおける劇的な非応答性
を誘発することを示した。更に、このデーターが示すに
は、この複合体はMBP−刺激型T細胞クローンと免疫
学的に反応性であり、それ故それに結合する。 【0186】ヒトHLA−DR2−MBP複合体の調製
及び安定性 HLA−DR2に対するヒトMBP(83−102)ペ
プチドの最大結合のための最適pHはpH7と決定され
た。ホモ接合リンパ球芽球症細胞由来のアフィニティー
精製DR2を10倍過剰量の放射性ヨウ素化MBP(8
3−102)ペプチドと37℃で48時間にわたり、様
々なpHでインキュベートせしめた。未結合のペプチド
を透析により除去し、次いで結合ペプチドの量をシリカ
ゲルTLCアッセイから計算した。サンプルを還元及び
非還元ポリアクリルアミドゲルで分析もした。バンドを
切り出し、計測し、そして結合ペプチドの量を比活性よ
り計算した。 【0187】ヒトDR2−MBP(83−102)複合
体の安定性も4℃で調べた。DR2と1251−MBP
(83−102)との複合体を前記の通りに調製し、そ
して4℃で保存した。毎週、1μlのアリコートをトリ
プリケートでシリカゲルTLCプレート上に適用した。
プレートを流し、展開し、そして%解離を計算した。4
2日間にわたり、この複合体の有意な解離は認められな
かった。 【0188】実施例2 自己免疫機能不全を有する個体からのB細胞のEBV形
質転換 自己免疫機能不全を有する個体由来の末梢血液単核細胞
(PBMNC)を、全血又はバッフィーを滅菌リン酸緩
衝食塩水(PBS),pH7.2で1:1に希釈し、こ
の懸濁物をフィコールーヒパックの上に載せ、次いで卓
上型遠心器で1800〜2000RPMにて20分間遠
心することにより単離した。フィコールーヒパックとP
BS−血漿の界面のバンドにあるPBMNCをピペット
で回収し、そしてPBSで2回洗った。細胞を10%の
胎児血清(FBS)を含むRPMI1640の中で5×
10細胞/mlに再懸濁し、ポリスチレンフラスコの
中でプレートし、そして37℃で1時間インキュベート
して単球を除去した。非付着細胞を集め、遠心でペレッ
ト化し、そしてCa++−Mg++を含まず、15%の
FBSを含むダルベッコPBSの中で10×10細胞
/mlで再懸濁させた。AET−SRBC(2%v/
v)をPBMCと1:1で混合し、この混合物を100
×gで20分間遠心し、次いで氷上で1時間インキュベ
ートした。このペレットを緩やかに再懸濁し、そしてこ
の懸濁物を先に記載の通りフィコールーヒパックを介し
て遠心した。B細胞及び残留単球を含むバンドを回収し
た。 【0189】B細胞の形質転換はB95−8細胞系(W
allsとCrowfordのLymphocyte
s:A Practical Approach(G.
C.B.Kluas編、IRL Press)で行っ
た。B95−8細胞を倍地の中に1:3で希釈し、そし
て37℃で5日間培養した。この上清液を集め、250
×gで15分間遠心し、そして0.45ミクロンのミリ
ポアフィルターで濾過した。次にEBVを10,000
RPMで2時間、4℃で遠心により濃縮し、そしてウィ
ルスを含むペレットを10%FBSを含むRPMI 1
640の中にもとの容量1%で懸濁した。 【0190】B細胞を形質転換させるため、このウィル
スストックを2×10の細胞を含む培養倍地で1:9
に希釈した。4℃で1〜2時間ウィルスを細胞に吸収さ
せた後、この細胞を250×gで遠心した。得られる細
胞ペレットを約0.7×10 〜7.0×10細胞/
mlで、10%のFBSを含むRPMI 1640に懸
濁した。形質転換細胞を標準方法によりクローンした。 【0191】この手順で作った形質転換B細胞はヒトM
HC糖タンパク質の単離のために適切である。 【0192】実施例3 マウスにおけるEAEの誘発 T細胞クローンAJ1.2及び4R3.4の養子移入並
びにMBP(1−13)によるマウスの免疫化はマウス
がEAEを発症する原因となる。 【0193】EAEを、完全MBPによるマウスにおけ
るEAEの誘発に関する方法を利用してペプチドで誘発
させた。簡潔すると、MBP(1−13)をPBSの中
に溶かし、次いで完全フロインドアジュバントと強く混
合して厚みのある乳濁物を形成せしめた。雌のA/Jマ
ウスに100μgのこの混合物をわき腹に4箇所で注射
した。24及び72時間後、400ngの百日咳毒素を
静脈内注射した。EAEの発症及び死亡率について2種
の個体によりマウスを毎日観察した。図17における結
果は、MBP(1−13)による免疫化に由来するマウ
スにおけるEAEの発症を示す。 【0194】EAEの養子移入のため、MBP(1−1
1)による免疫後のマウスB10A(4R)株から獲得
したT細胞クローン4R3.4を用いた。B10A(4
R)マウスに350radの全身放射量を付し、次いで
400ngの百日咳毒素を静脈内注射した。2〜3時間
後、3日前にMBP(1−13)で刺激せしめた10×
10の4R3.4細胞を静脈内注射した。EAEの候
症及び死亡率についてこれらの動物を1日2回観察し
た。この研究の結果を図18にまとめた。 【0195】実施例4 I−A−MBP(91−103)複合体によるEAE
の下降制御 本実施例は、本発明の複合体によるインビボ治療が受動
誘発型EAEの予防をもたらすことを実証する。更に、
この治療は処置動物の死亡率及び病的状態を有意に下げ
る。 【0196】I−A/MBP(91−103)による
処置がT細胞の活性化に従うEAEの発症を防ぐであろ
うことを実証するため、SJLマウスにインビボでMB
P(91−103)反応性T細胞ブラストを注射した。
簡潔すると、生後10〜12週目のSJLマウスに完全
フロインドアジュバント中の400μgのMBP(91
−103)(Ac−FFKNIVTPRPPP−アミ
ド、純度>95%)を背中で免疫した。10〜12日
後、局所的漏出リンパ腺細胞を集め、そして24穴プレ
ート(Falcon)の中で、10%の胎児中血清、1
%のペニシリン/ストレプトマイシン及び50μg/m
lのMBPを含む1.5mlのRPMI 1640倍地
中で6×10細胞/ウェルの濃度で培養した。4日間
のインビトロ刺激に続いて、MBP(91−103)反
応性T細胞ブラストをフィコールーヒパック勾配(Hy
paque 1077,Sigma,MO)を介して集
め、そして標準技法に従ってPBSで2回洗った。約
1.3〜1.5×10の細胞を各マウスに注射した。 【0197】起脳炎MBP(91−103)反応性T細
胞を受容したマウスに、次に100μlのPBS中の1
00μgの可溶性I−A/MBP(91−103)複
合体、100μlのPBS中の100μgのI−A
MBP(1−14)(SJLマウスにおいて起脳炎性で
ないペプチド)、又はPBSのみのいづれかを、0,3
及び7日目にて受容させた(全投与量は300μg)。
EAEの臨床的徴候について動物を毎日観察して等級付
けした:1級、尾の色調の欠失;2級、後足の弱体化;
3級、後足の麻痺;4級、ひん死状態;5級、死亡。動
物取扱い協会の規則に従い、自分自身で食事を取ること
のできないマウスは殺した。 【0198】I−A/MBP(91−103)複合体
を受容した7匹のマウスのうちの1匹のみが16日目に
臨床的EAEを発症した(図19)。他方、I−A
MBP 1−14を受容した4匹の動物全て及びPBS
を受容した7匹の動物のうちの6匹に麻痺が生じた。前
者のグループにおいて、障害の発生の平均は9.7日目
であり、そして後者のグループにおいては9.0日目で
あり、平均重症度(mean severity)はそ
れぞれ2.3及び2.7であった。 【0199】I−A対立遺伝子により表示されるその
他の自己抗原が障害誘発を阻止できないことも実証す
る。SJLマウスを、完全フロインドアジュバント中の
プロテオリポタンパク質(PLP)のペプチド139−
151で免疫してEAEを誘発せしめた。SJLマウス
は、PBSに溶かし、次いで4mg/mlのミオバクテ
リア チューバキュロシス(Myobacterium
tuberculosis)H37Raを含む完全フ
ロインドアジュバントと1:1の比で混合したペプチド
で免疫した。動物に152μgのペプチドを両わき腹に
おいて皮下注射し、この投与量は100%の動物にEA
Eを誘発せしめることが見い出されている量である。同
じ日及び48時間後に、全ての動物に400μgの百日
咳毒素を静脈内的に付与した。マウスを前述の通りに免
疫後1,4及び7日目にPBS,15μgのI−A
み、又は15μgのI−A+PLP(139−15
1)で処置した。 【0200】表1に示す通り、適当なI−A/PLP
(139−151)ペプチド複合体を受容した動物は、
アジュバント中のペプチドでの免疫により誘発される重
症な急性麻痺障害から守られていた。I−A/PLP
ペプチド処置グループにおいて死亡は認められなかっ
た。6匹の動物に麻痺が生じたが、麻痺した動物の平均
重症度は2.2であり、そして発症日は10.6であっ
た。他方、I−A複合体のみを受容した6匹の動物全
ては死亡し、発症の平均日は8.2日であった。5匹の
動物が11日目に死亡し、そして1匹の動物が21日目
に死亡した。食塩水を受容した、又は処置されていない
動物は87%の死亡率であり、そして発症の平均日は
9.7(p<0.0001 I−A/PLP(139
−151))であった。 【0201】 【表1】 我々の観察が示唆するには、I−A/MBP(91−
103)複合体(300μg)によるインビボ治療は受
動誘発型EAEの予防をもたらす。更に、45μgのI
−A/PLP(139−151)による治療は、この
治療を受けた動物の死亡率及び病的状態を有意に下げ
た。 【0202】本発明の複合体を、マウスにおけるEAE
の再発を防止する能力についても試験した。これらの実
験において、SJLマウスは0日目にて1.2×10
p91−103反応性T細胞を腹腔内的に受容した。
8〜12日目の間に初期麻痺徴候が発症し、そして全て
の動物は22日目まで少なくとも2級の臨床級にまで回
復した。マウスは27,37及び47日目に50μgの
MHC複合体(同系のペプチドを有する及び有さな
い)、又はPBSを静脈内的に受容した。実験1におい
ては、マウスを102日間にわたって観察し、そして実
験2においては、それらを112日間にわたって観察し
た。結果は、同系ペプチドを有する複合体は再発を防ぐ
うえでコントロールよりも有意により有効であることを
示唆した。 【0203】実施例5 MHC II−HSP(180−188)複合体による
RAの下降制御 ルイスラットは、不完全フロインドアジュバント中に乳
濁せしめたミオバクテリア チューバキュロシスの皮下
注射に応答して、関節炎、通称アジュバント関節炎の状
態を発症する。この関節炎のモデルは、リウマチ型関節
炎の処置のために開発される薬剤の薬効を評価するのに
必要な数多くの評価を可能とする。組織の病理性、並び
に単球及びリンパ球細胞の浸潤は強力なT細胞仲介応答
を示唆する。ここで説明する実験は、ペプチド−MHC
クラスII複合体を認識し、且つ、結合するペプチド−
特異的T細胞をアネルギー化する技術を利用する。この
研究は、この障害の誘発のすぐ後での可溶性MHCクラ
スII−ペプチド複合体によるインビボ処置を包括す
る。この結果は、食塩水処置を受けたグループに比して
の、MHCクラスII−ペプチド処置ラットにおける骨
退化の有意な低下を示した。 【0204】ルイスラットMHCクラスII RT1B
及びRT1D分子を、セファロース4Bカラムに結合さ
せたOX−6及びOX−17モノクローナル抗体によ
り、脾臓細胞膜のNP−40抽出物からアフィニティー
精製した。RT1B、対、RT1Dの相対収率は1:2
であった。MHCクラスII分子にこのペプチドを、5
6μgのRT1B及び113μgのRT1D分子を50
倍モル過剰量のヒートショックタンパク質(HSP)ペ
プチド、p(180−188)を37℃で48時間にわ
たり、1%のオクチルグルコシドを含む全容量1mlの
リン酸バッファーpH7.5の中で混合することによっ
て負荷せしめた。未結合ペプチドを、4℃でPBSバッ
ファーに対してこのサンプルを長い間透析することによ
って除去した。この最終複合体濃度は170μg/ml
であり、そしてWhittakerBioproduc
t,Inc.により記載のリムルス アメボサイト(L
imulus amebocyte)リゼート手順によ
り試験した通り、エンドトキシンを有さなかった。 【0205】6匹の雄のルイスラット(生後77日目)
に、関節炎を誘発するために両後足に、不完全フロイン
ドアジュバント中の1mgのミコバクテリア チューバ
キュロシスを注射した。3匹のラットは、障害の誘発か
ら1,4及び7日後にMHCクラスII+HSP180
−188複合体を静脈内的に処置した。他の3匹のラッ
トには上記の通りに食塩水を与えた。関節炎指数を全体
外観により決定し、そして以下の基準に従った:0)変
化なし;1)指の接合部に若干の変化;2)若干から軽
い足の水腫又は2本以上の指の膨らみ;3)若干のかさ
ぶたを伴う足の膨らみ、足の指及び爪の軽い硬化;4)
足のひどい膨らみ、著しいかさぶた、及び著しい足の指
及び爪の硬化。 【0206】MHCクラスIIぺプチド又は食塩水で処
置したラットは20日目にそれらのほとんどの足に、4
の関節炎指数の膨らみを有していた。何匹かのラットの
足において見られる膨らみの相違は注射したMTの量に
反映するようである。しかしながら、障害の誘発から3
5日後に足のラジオグラフを得たとき、MHCクラスI
Iペプチド処置と食塩水処置グループとの間に有意な差
は認められなかった。 【0207】第2の実験において、18匹の動物を5週
間にわたって障害の進行中に処置した。表2に示す通
り、本発明のMHC−ペプチドで処置した動物は大いに
低められた関節炎指数及び有意に低められた接合部の膨
らみを、食塩水処置グループに比して有していた。動物
は4,8及び12日目に25μgのMHCペプチドを受
容した。 【0208】 【表2】35日目に、全ての動物の足根骨接合物をノギスを用い
て測定した。測定値は両後足の厚みの合計を示す。 【0209】実施例6 複合体の血清半減期の上昇 本実施例は該複合体の様々な改質が血清半減期の上昇を
もたらすというデーターを示す。 【0210】これらの研究のためのプロトコールは一般
に下記の通りである:アフィニティー精製した可溶性M
HC分子をヨードビーズ法(Pierce Chemi
cal Co.,Rockford,IL)により
125Iでラベルした。過剰の 25Iは0.1%の中
性清浄剤を含むPBSに対する透析により除去した。ラ
ベル化タンパク質の性状を薄層クロマトグラフィー、セ
ルロースアセテート電気泳動及びポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動により評価した。マウスにMHC糖タンパク
質を尾静脈注射により投与し、このマウスは注射の少な
くとも一日前に飲料水中のルゴール溶液を付してある。
様々な時点で血液サンプルを採血した。注目の器官を得
るためにこれらの動物を殺した。血液及び器官のサンプ
ルにおける放射活性を標準技術に従ってガンマーウェル
カウンターで検出した。 【0211】A.血清半減期に対するアンアロレツイン
の効果 IAをラベルし、そして前記の通りにマウスに投与し
た。 【0212】これらのマウスを3通りのセットに分け
た:(1)I−A(10μg静脈内);(2)I−A
(10μg静脈内)+アシアノレツイン(10mg静
脈内)+アンアロレツイン(100mg腹腔内);及び
(3)I−A(10μg静脈内)+アシアロレツイン
(10mg腹腔内)。血流を様々な時点で抜き取り、そ
して血液中に保持された注射投与量の%を計算した。 【0213】3通りのセットの平均血清半減期は下記の
通りであった: セット1−3分。 【0214】セット2−40分。 【0215】セット3−35分。 【0216】B.血清半減期に対するリポソームの効果 I−Aを前記の通りラベルした。このラベル化I−A
分子を標準の技術によってリポソームの内側に捕促さ
せた(例えばRemington、前掲を参照のこ
と)。前述の通りに10匹のマウスに10μgのI−A
を注射し、そして4通りのセットに分けた;(1)I
−Aのみ;(2)リポソームI−A;(3)ブラン
クリポソームを一緒に注射するリポソームI−A;及
び(4)ブランクリポソーム+、10分後にブランクリ
ポソームと一緒に注射するリポソームI−A。注射後
様々な時点で血液サンプルを採取し、そして血液中に保
持されたI−Aの注射投与量の%を計算した。 【0217】3通りのセットの血清平均半減期は下記の
通りであった: セット1−2分。 【0218】セット2−7分。 【0219】セット3−10分。 【0220】セット4−60分。 【0221】C.血清半減期に対する過ヨウ素酸/シア
ノボロハイドライド処理の効果 3mMのタウロデオキシコレートを含むリン酸バッファ
ー,pH7.5中のI−Aを前述の通りにラベルし
た。このラベル化分子を過ヨウ素酸及びシアノボロハイ
ドライド還元に4℃で5又は21時間、0.1Mの酢酸
バッファー,pH5.5中での20mMの過ヨウ素酸ナ
トリウム及び40mMのシアノボロハイドライド(最終
濃度)を用いて処理した。この反応をエチレングリコー
ル(最終濃度0.7%)の添加により止めた。処理した
I−Aを透析により精製し、次いで前述の通りにマウ
スに投与した(10μg静脈内)。9匹のマウスを3通
りのセットに分けた:(1)I−A(未処理);
(2)I−A(5hr.処理);及び(3)I−A
(21hr.処理)。様々な時点で血液サンプルを獲得
し、そして血液中に保持された注射投与量の%を計算し
た。 【0222】3通りのセットの血清半減期は下記の通り
であった: セット1−4分。 【0223】セット2−7分。 【0224】セット3−70分。 【0225】実施例7 以下に紹介する結果は、本発明のMHCペプチド複合体
が清浄剤なしでは凝集体として主に存在していることを
示している。 【0226】125IでラベルされたIA−P複合体
を前述の通りに調製した。この複合体(1.5mg/m
l)をリン酸緩衝食塩水(PBS)に対して長く透析し
て清浄剤を除去し、そして6mlb.v.のセファデッ
クス−G200カラムに載せた(分画サイズ5000〜
600,000)。図20に示す結果は、凝集した複合
体がカラムをボイドボリュームにて通過することを示
し、従ってこれは600,000より大きい分子量を有
することになる。 【0227】同様に透析したIA複合体(1.5mg
/ml)も遠心し、そしてそのペレットを計測した。こ
れを行うため、200mlの複合体(300μg)を5
mlのPBSに希釈し、そして固定角度ローターで10
0,000×gで60分間遠心した。この結果を下記の
表3に示す。 【0228】 【表3】 クロマトグラフィー及び遠心実験の両方の結果は、MH
C−ペプチド複合体が凝集又はミセル状でほとんど存在
していることを示す。これらの結果は、本発明の単一サ
ブユニット複合体も、清浄剤なしでは凝集又はミセル状
にあることを強く示唆している。 【0229】実施例8 本実施例は、可溶化MHCクラスII−AchRのαペ
プチド100−116複合体の投与がAchR−反応性
T細胞の機能を変更し、そしてこのことにより、EAM
G、すなわち、抗体に仲介されるがT細胞依存性の自己
免疫疾患の経過を調節する。 【0230】AchR及びAchRペプチド トルペド カリホルニカ(Pacific Bioma
rine))由来のエレクトロプラクス組織をホモナイ
ズし、そしてその膜分画を界面活性剤(2%のTrit
on X−100,100mMのNaCl,10mMの
MOPS,0.1mMのEDTA,0.02%のNaN
)により可溶化した。抗−AchRモノクロナール抗
体mAb35を用いたアフィニティー・クロマトグラフ
ィーによりこの可溶化膜からAchRを単離し、そして
1.0%n−オクチルβ−D−グルコピラノシド(O
G)/PBSに対し透析した。 【0231】トルペドAchRサブユニット・ペプチド
100−116(YAIVHMTKLLLDYPGK
I)を、標準的な手順を使用して、固相9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル(FMOC)手順により合成し
た。このペプチドを、逆相HPLCにより精製し、そし
てHPLC及び質量分析法により特徴付けした。 【0232】ラットMHC IIの精製及びペプチド装
填 ラットのクラスII RT1.B及びRT1.D分子
を、均一化した脾臓から、界面活性剤(0.5%のNP
−40,10mMのTris HCl pH8.3,1
mMのPMSF,0.02%のNaN)により可溶化
し、そしてモノクロナール抗体OX6及びOX7を用い
たアフィニー・クロマトグラフィーにより精製した。こ
のRT1.B/D混合物を、37℃で、24時間、50
倍のモル数過剰のペプチドAchRα 100−116
と共にインキュベートし、次に、未結合のペプチドを除
去するために、0.1%のOG/PBSに対し、4℃で
の透析を24時間行った。ニトロセルロース・フィルタ
ー結合及びTLCによる分析(B.Nagら(199
1)J.Immunol.Meth.142:105)
により、RT1.Bの70〜80%及びRT1.Dの9
0〜100%がペプチドAchRα 100−116に
結合したことが明らかとなった。この複合体は、4℃
で、少なくとも8週間安定であった。 【0233】EAMGの誘発及び可溶化MHC II:
AchRα 100−116による治療 雄のLewisラット(生後8〜12週間)に、完全f
reundのアジュバント中で乳化したTc AchR
を、両方の後ろ足に、そして腹膜中に600ngの百日
咳毒を注射した。病気(臨床段階1〜3)のラットを、
湿った食べ物で飼養し、そして歯を、一週間おきに切り
取った。 【0234】AchR免疫化後、1,4及び7日目に、
個々のラットに、生理食塩水、25μgのMHC II
単独(MHC II:0)、又は25μgのT.c.A
chRαペプチド100−116と複合体化したMHC
II(MHC II:AchRα 100−116)
を、静脈中に投与した。T細胞を、AchR免疫化後9
日目に、膝窩のリンパ節から精製し、そして抗原のパネ
ルに対する増殖についてテストした。 【0235】T細胞増殖検定 末梢リンパ節由来のT細胞を、ナイロン・ウール・クロ
マトグラフィーにより単離した。2×10のT細胞及
び3×10の照射された同系の脾臓細胞を、0.2m
lの培養培地(RPMI 1640,10%のFBS,
10mMのHEPES,5×10−5Mの2−ME,1
00U/mのペニシリン、100U/mのストレプトマ
イシン)中で、ペプチド又は全抗原と共に、3日間37
℃,5%COの下で、インキュベートし、1μCiの
3H−チミジンにより18時間、パルス照射し、そして
カウントした。 【0236】LewisラットにおけるEAMGの時間
経過 T.c.AchRによるLewisラットの免疫化は、
予め予期できる時間経過を伴って体重の減少及び筋肉の
弱体化の進行を引き起こす抗−AchR抗体を誘導す
る。免疫化後一週間内の体重の減少は、単核細胞による
神経筋接合への浸潤が原因の「急性期」と同時に起こ
る。第二の、持続性の体重減少は、33〜40日目に始
まり、これは、ヒト患者におけるMGに似た臨床的症状
を伴った「慢性期」である。個々のラットの体重の変化
を、病気の始まり、進行、そして死期の範囲(横座標と
の交差により示される)を説明するために示す。 【0237】未処理のラットにおいては、進行性EAM
Gは、3段階に分類できる。段階1においては、抗−A
chR抗体は、AchRのエンドサイトーシスを引き起
こす。神経筋接合での閾値以下のレベルのAchRは、
特に後方の筋肉において、筋肉の収縮を減少させる。弱
い背中及び後ろ足の筋肉は、特徴的なネコ背を引き起こ
す。段階2においては、首の筋肉における弱さにより頭
が支えられない状態での頻繁な休眠期間を引き起こす進
行した弱さを特徴とする。段階3においては、横隔膜及
び肋間の筋肉が弱り、苦しみながらの呼吸を引き起こ
す。下顎骨の筋肉の衰退は、過大な歯の成長を導く。 【0238】可溶化MHC I:AchRα 100−
116の治療的効果をテストするために、臨床的な症状
が上記の慢性期において現れた後に、ラットを治療し
た。 【0239】可溶化MHC II:AchRα 100
−116により誘発される抗原特異的な非応答性 生理食塩水処理ラットにおいて、T細胞のAchRαペ
プチド100−116に対する応答は、AchR(α2
βγδ)(図21)に対する応答の30%に等しく、1
00−116がAchRに応答性のT細胞内の主要なエ
ピトープであるという文献報告を確信させるものであ
る。MHC:0処理ラット由来のT細胞は、生理食塩水
処理ラット由来のT細胞同じようなレベルで、それぞれ
の抗原に対し応答する。 【0240】MHC II:AchRα 100−11
6処理ラットの全Tc AchR及びAchRα100
−116に対するT細胞応答は、生理食塩水処理ラット
のT細胞増殖レベル(図21)のそれぞれ、22%及び
20%であった。百日咳毒に対しての、MHC II:
AchRα 100−116処理ラット由来のT細胞の
増殖は、生理食塩水及びMHC II:0処理ラット由
来のT細胞と同じであり、このことは、T細胞の不活性
化が抗原特異的であるということを示している(図2
1)。 【0241】可溶化MHC II:AchRα 100
−116の治療効果 臨床段階1のEAMG(接種後約42〜56日目)のラ
ットのランダム群に、静脈中に、5週間間隔で、生理食
塩水、25μgのMHC II:HSP 180−18
8(無関係のヒートショックペプチドを含むMHC I
I)、25μgのMHC II単独(MHC II:
0)、又は5μgのAchRα 100−116単独
(0:AchRα 100−116)を、注射した。体
重及び臨床的な症状を観察した。 【0242】MHC II:AchRα 100−11
6による臨床段階1のEAMGのラットの治療は、誘発
後、140日目に67%の生存率を生じさせた。これに
反し、その対照群内の最大生存率は、20%(16.7
%の生理食塩水、0%のTcAchR α 100−1
16単独、20%のMHC II単独、20%のMHC
II:HSP180−188)であった。それぞれの
治療群における代表ラットについてのEAMGの時間経
過を、表4に示す。 【0243】4匹の生存MHC II:AchRα 1
00−116処理ラットは、比較的重症のEAMG(最
大値2.0,2.5,2.5及び3.0)を、その後
の、最初の治療的注射後約3週間目の緩解傾向を示し
た。 【0244】 【表4】 それぞれの処理群からの代表ラットを、AchR免疫化
によるEAMG誘発後61,123及び224日目につ
いて示す。それぞれのラットの臨床段階を示す。123
日目までに、上記のMHC II:AchRα 100
−116処理ラットは、MHC II:HSP 180
−188により治療された上記の長く生存したラットに
比べ、回復した動作及び姿勢を示している。 【0245】これらの結果は、EAMG誘発の初期に注
射された可溶化MHC II:AchRα 100−1
16複合体がAchRαペプチド100−116にそし
て全AchRに対し応答するT細胞を有意に減少させる
ことを示している。可溶化MHC II:AchRα
100−116複合体の効果は、抗原特異的である、な
ぜなら、この複合体は、無関係の抗原である百日咳毒に
対するT細胞に影響を与えないからである。EAMGの
慢性期の間の可溶化MHC II:AchRα100−
116複合体による治療は、この病気の死亡率及び臨床
的な症状を減少させる。 【0246】実施例9 本実施例は、本発明の複合体が重症筋無力症(MG)に
関連するヒトT細胞におけるアネルギーを誘導する能力
を示す。 【0247】本実験におけるT細胞は、若い初期MG患
者の胸腺由来のものであった。それらは、残基138−
167のAchRαサブユニットを認識し、そしてDR
4Dw4により制限される。本実験においては、2×1
のT細胞を、各種の時間の間、複合体(DR4:p
138−167)、DR4単独、又はペプチド単独のい
ずれかと共に、予めインキュベートした。異なった抗原
によりパルス照射された抗原表示細胞(APC)を次に
添加し、そしてそのT細胞の増殖を先に記載したように
トリチウム含有チミジンを使用して測定した。上記の刺
激性抗原は、p138−167及びr37−181と名
付けられた組み換えにより製造されたAchRαサブユ
ニット・ポリペプチドを含み、これは、Beeson
et al.,EMBO J9:2101−2106
(1990)及びBeeson et al.,Bio
chem.Soc.Trans.17:219−220
(1989)(これらの両方が引用により本明細書中に
取む込まれる)の中に記載されているように調製され
た。 【0248】T細胞と10μgm/mlの複合体との一
夜の前インキュベーションは、次に抗原を存在させたと
きに、このT細胞において非応答性を導く。低濃度での
且つより短い時間でのインキュベーションは、アネルギ
ーを誘導するときには、効果的でなかった。 【0249】アネルギー化細胞の生育能力を、トリパン
ブルーによりテストした。T細胞を、培地、又は5μg
/mlの複合体、及び各種時間にカウントするために取
り出された部分と共にインキュベートした。細胞を、生
きているもの又は死んでいるもののどちらかとして、生
存細胞におけるトリパンブルー排除に基づきカウントし
た。結果を図22A及び22B中に表す。培地とインキ
ュベートした細胞においては、細胞の全数は徐々に増加
したが、一方、死細胞の数は同じに残存した。複合体と
インキュベートした細胞においては、細胞の全数は最初
の6時間の間は急激にそしてその後はよりゆっくりと減
少した。死細胞の全数は、徐々に増加したので、インキ
ュベーション数日後には、細胞のほとんど90%が死滅
した。これらの結果は、細胞の死がT細胞におけるアネ
ルギー誘導の結果として起こる。 【0250】上記複合体とT細胞との相互作用の特異性
をテストするために、T細胞(1×10)を、各種形
態の複合体と共にインキュベートした。これらは、関連
複合体DR4:p138−167,DR4単独、等モル
(比例)量であるが一緒に結合しない「可溶化DR4及
び見せ掛けの(sham)」p138−167、並びに
DR4:MBP p1−14複合体であった。見せ掛け
のペプチドを、可溶化p138−167単独が上記複合
体と同じ効果があることを示した先の実験のように使用
した。見せ掛けのp138−167は、透析、そしてそ
れ故に上記複合体から放出されることができるいくつか
の可溶化ペプチドの効果について制御することを含むよ
うな上記複合体としての調製に供されたp138−16
7のサンプルであった。一夜の前インキュベート後、照
射PBL(2×10)及び刺激性抗原を添加した。 【0251】無関係の複合体とペプチドとの等価な濃度
は、アネルギーを誘導体しなかった。培地との一夜のイ
ンキュベーション及びその後のrec α37−181
による刺激は、良好な増殖応答を生じさせた。DR4:
p138−167との前インキュベーションは、実質的
に次の増殖を減少させた。しかしながら、他の物質のい
ずれかとの前インキュベーションは、培地との前インキ
ュベーションに比べて、増殖に対して全く効果を及ぼさ
なかった。 【0252】各種の複合体との前インキュベーションの
効果に加えて、各種抗体を細胞表面マーカーに添加する
効果、又はIL2 0.5%をDR4:p138−16
7との前インキュベーション時に添加する効果を研究し
た。抗−TCR Ab(抗−TAC−786)の添加
は、上記複合体により引き起こされたバックグランド刺
激を抑制し、いかなる抗原誘導応答をも抑制し、そして
前インキュベーション後のIL2による刺激に対する応
答をも部分的に抑制した。抗−DR Ab(L123)
は、複合体との前インキュベーションにより誘導体され
た抗原誘導応答に対して全く効果を及ぼさなかった。抗
−TACと抗−DRとの組合せは、バックグランド増殖
を減少させたが、抗原誘導増殖はIL2−誘導増殖に対
して全く効果を及ぼさなかった。上記T細胞の0.5%
のIL2の存在中での複合体との前インキュベーション
は、その複合体の抑制効果を減少させなかった。 【0253】同様に、上記複合体の、非−DR4、非−
AchR T細胞系に対する非特異的効果を同定するた
めに実験を計画した。KLH又は破傷風毒素に対して作
られた系由来の細胞(2×10)を、上記複合体と共
に一夜、前インキュベートした。次にそれらを、照射P
BL(2×10)及び抗原により刺激を与えられた。
上記複合体との前インキュベーションは、特異的抗原に
対するバックグランド増殖応答に対するどんな効果もも
っていなかった。従って、この複合体は、無関係の細胞
系に対する、どんな非特異的な刺激性の又は抑制的な効
果ももっていないようである。 【0254】最後に、図23A及び23Bは、アネルギ
ーを誘導するのに必要な複合体のモル濃度がペプチド単
独のものよりもはるかに低いことを示している。図から
分かる通り、1.7×10−8を超える濃度でのp13
8−167とのT細胞の前インキュベーションは、組み
換えに対する応答において減少をもたらした。低濃度で
の前インキュベーションは、培地との予備インキュベー
ション(はるか左)に比べて、背景増殖における増加を
引き起こした。1.7×10−5の濃度に達するまで
は、増殖応答は、背景レベルまで低下しなかった。 【0255】1.7×10−11より高い濃度でのDR
4:p138−167とのT細胞の前インキュベーショ
ンは、抗原誘導増殖応答を抑制した。1.7×10−8
を超える濃度では、この抗原誘導増殖は、バックグラン
ドレベルまで低下した。使用された複合体の最も低い濃
度、1.7×10−11は、抗原誘導増殖における増加
を、背景増殖における増加を、そしてIL2に対する増
殖応答における増加をもたらした。 【0256】このように、複合体及びp138−167
単独の両方が、幾つかの刺激を引き起こす。より高い濃
度において、両者は、抗原特異的応答を抑制する。しか
しながら、相対的な抑制(すなわち、バックグランド刺
激のレベルに対する)のために必要なp138−167
の量は、DR4:p138−167のものの約1000
倍(モル数)であった。 【0257】先の例中に記載した結果は、本発明の複合
体がインビボにおける自己免疫疾患を治療する能力を示
している。これらのデータは、アネルギーの誘導を示す
インビトロにおけるデータと一緒になって、請求する複
合体の効果を確立している。本発明は、明確さと理解の
目的のために上記の例中で幾分詳細に記載されたが、添
付した請求項の範囲内で、特定の変更及び修正をするこ
とができることは言うまでもない。 【0258】 【発明の効果】インビトロ及びインビボ実験の両者に由
来する証拠は、かかる複合体が同系移植T細胞における
慢性アネルギーを誘発せしめることを確立する。 【0259】その他の観点において、本発明は薬理学的
組成物に向けられ、ここで本発明の複合体が活性成分で
ある。この組成物は自己免疫障害のような免疫応答に関
連する特定の抗原との免疫系反応の一部を下降制御する
のに用いることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明の典型的な複合体の図解であ
る。 【図2】図2は、ヒトHLA−A2抗原(クラスI)の
三次元構造を示す。 【図3】図3は、改良クラスIIMHCコード化糖タン
パク質の活性領域の図式である。 【図4】図4は、好ましい第二世代MHCタンパク質の
デザインを示す。 【図5】図5は、抗原表示細胞の表層を擬態した、MH
C糖タンパク質を含む平面膜二重層の図解である。 【図6】図6は、アセチルコリンレセプタータンパク質
のアルファーサブユニットに関するアミノ酸配列及びコ
ードMRNAを示す。 【図7】図7は、ミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸
配列を示す。 【図8】図8は、I−A−ベーター鎖をコードするヌ
クレオチド配列を示す。 【図9】図9は、I−A−ベ−ター鎖をコードするヌ
クレオチド配列を示す。 【図10】図10は、ヒトにおけるDQ/DRハプロタ
イプ及び関連の自己免疫障害のリストである。 【図11】図11は、自己免疫障害の診断及び/又は処
置のための本発明の複合体の利用に適するプロトコール
を示す。 【図12】図12は、ND−40可溶性膜抽出物を含む
I−Aの製造のための計画を示す。 【図13A】図13Aは、10−2.16モノクローナ
ル抗体のアフィニティー精製及びCNBr活性化セファ
ロース4Bへのその結合についての計画である。 【図13B】図13Bは、図13Aにおける計画によっ
て精製した10−2.16モノクローナル抗体の純度を
示すゲルのコピーである。 【図14】図14は、I−Aの精製のための方法を示
す。 【図15】図15は、図14における計画により精製し
たI−Aの純度を示すポリアクリルアミドゲルであ
る。 【図16】図16は、I−A及びMBP(1−13)
を含む複合体による増殖の阻止に基づく8種の試験結果
を示す棒グラフである。 【図17】図17は、MBP(1−13)での免疫に由
来するマウスにおけるEAEの発症を示すグラフであ
る。 【図18】図18は、MBP(1−11)で免疫した後
のマウスのB10A(4R)株から獲得したT細胞クロ
ーン4R3.4によるEAEの養子移入を示すグラフで
ある。 【図19】図19A〜Cは、PBSのみ(19a),I
−A/MBp1−14(非起脳炎ペプチド)(19
b)及びI−A/MBp91−103(19C)を用
いたマウスにおける受動誘発型EAEの処置を示す。 【図20】図20は、本発明の複合体が凝集体として存
在していることを示し、なぜなら、それらはボイドボリ
ュームでカラムを通過し、従って600,000以上の
分子量を有するからである。 【図21】図21は、本発明の複合体(MHC II:
AChRα 100−116)がラットにおけるMGの
処置において有効であることを示す。 【図22】図22A及び22Bは、T細胞におけるアネ
ルギーの誘発に細胞死が追尾することを示しており、図
23A及び23Bは、アネルギーを誘発するのに必要な
本発明の複合体のモル濃度が、ペプチドのみよりもはる
かに低いことを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/08 A61P 37/08 C07K 14/74 C07K 14/74 19/00 19/00 // A61K 38/00 A61K 39/00 H 39/00 37/02 (72)発明者 ソメシュ ディー. シャーマ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94022, ロス アルトス,スチュアート コート 44 (72)発明者 バーナード エル. ラーチ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94303, パロ アルト,コリナ ウェイ 3889 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA03 BA41 ZA02 ZA94 ZB07 ZB08 ZB13 4C085 AA03 BB12 CC21 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA50 DA86 EA20

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 抗原性ペプチドと抗原結合部位を有する
    単離MHC成分とより本質的に構成され、ここでこの抗
    原性ペプチドがこの抗原結合部位と連結されている、実
    質的に純粋なMHC−ペプチド複合体。
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