JP2003229741A - 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子 - Google Patents

表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子

Info

Publication number
JP2003229741A
JP2003229741A JP2002153889A JP2002153889A JP2003229741A JP 2003229741 A JP2003229741 A JP 2003229741A JP 2002153889 A JP2002153889 A JP 2002153889A JP 2002153889 A JP2002153889 A JP 2002153889A JP 2003229741 A JP2003229741 A JP 2003229741A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acoustic wave
substrate
surface acoustic
equation
wave device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002153889A
Other languages
English (en)
Inventor
Mare Konishi
希 小西
Jiro Harada
次郎 原田
Satoshi Uda
聡 宇田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2002153889A priority Critical patent/JP2003229741A/ja
Publication of JP2003229741A publication Critical patent/JP2003229741A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来品と同等の性能を有しつつ小型化された
表面弾性波素子の作製を可能とする表面弾性波素子用基
板及びこれを用いた表面弾性波素子を提供すること。 【解決手段】 表面弾性波素子用の圧電体基板であっ
て、ランガサイト(La3Ga5SiO14)の単結晶で形
成され、その表面の方位は、オイラー角表示(φ、θ、
ψ)で(10〜18°、130〜146°、164〜1
74°)の範囲内である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信機器等に使用
される周波数選別用のフィルタ、高安定度の発振器に使
用される共振子等の素子等に使われる表面弾性波素子用
基板及びこれを用いた表面弾性波素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ケーブルテレビ用表面弾性波フィ
ルタなど中心周波数が100MHz以下となる表面弾性
波素子用の基板としては、一般的に、タンタル酸リチウ
ム(LiTaO3、以下、単にLTと称す)Xカット1
12°Y伝搬(以下、X−112°Yと記載する)の基
板が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の表面弾性波素子用の基板では、以下の課題が残され
ている。表面弾性波素子のサイズは、使用される圧電基
板の表面弾性波の伝搬速度v(以下、単にvという)に
左右される。すなわち、基板のvが小さいほど、基板上
に形成する櫛歯電極のピッチが小さくなり、表面弾性波
素子のサイズが小さくなる。しかしながら、上記従来の
表面弾性波素子用基板(LTのX−112°Y基板)を
用いて表面弾性波素子を作製すると、vが大きいため基
板1枚あたり数個しか素子が取得できないので、収率が
悪いという問題があった。
【0004】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、従来品と同等の性能を有しつつ小型化された表面
弾性波素子を作製可能とする表面弾性波素子用基板及び
これを用いた表面弾性波素子を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ランガサ
イト(La3Ga5SiO14)について研究を行ってきた
結果、LTのX−112°Y基板と比較して電機機械結
合係数K2及び遅延時間温度係数TCDは遜色なく、か
つvが小さくなる基板方位をカット面解析により見出す
ことができた。したがって、本発明は、この知見に基づ
いた技術であり、前記課題を解決するために以下の構成
を採用した。
【0006】すなわち、本発明の表面弾性波素子用基板
は、表面弾性波素子用の圧電体基板であって、ランガサ
イト(La3Ga5SiO14)の単結晶で形成され、その
表面の方位は、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(10
〜18°、130〜146°、164〜174°)の範
囲内であることを特徴とする。
【0007】この表面弾性波素子用基板では、表面の方
位がオイラー角表示(φ、θ、ψ)で(10〜18°、
130〜146°、164〜174°)の範囲内である
ので、後述するように、中心周波数が100MHz以下
となる表面弾性波素子として要求される特性、K2
0.3%以上、TCDの絶対値が18ppm/℃以下、
パワーフロー角PFAの絶対値が2°以下、回折係数γ
が−3以上かつ1以下を満たすことができる。なお、P
FAとは、表面弾性波が伝搬する方向と表面弾性波のエ
ネルギーが進む方向との差を表す角度である。また、γ
とは、PFAをψで微分したものである。
【0008】また、本発明の表面弾性波素子用基板は、
前記表面の方位がオイラー角表示(φ、θ、ψ)で(1
6°、138°、172°)であることが好ましい。す
なわち、この表面弾性波素子用基板では、表面の方位が
オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(16°、138°、
172°)であるので、K2が0.45%、TCDが−
14.8ppm/℃、PFAが0.4°、γが−1.9
7、vが2627m/sとなる表面弾性波素子用として
優れた特性を得ることができる。
【0009】本発明の表面弾性波素子は、圧電体基板上
に表面弾性波を励振、受信、もしくは反射するための金
属膜を形成した表面弾性波素子であって、前記圧電体基
板は、上記本発明の表面弾性波素子用基板であることを
特徴とする。すなわち、この表面弾性波素子では、基板
が上記本発明の表面弾性波素子用基板であるので、表面
弾性波素子として好適な伝搬特性を有し、特に中心周波
数が100MHz以下となる表面弾性波素子を小型化す
るのに好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る表面弾性波素
子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子の一実施形態
を、図1から図3を参照しながら説明する。
【0011】図1は、本発明の表面弾性波素子を用いて
形成した表面弾性波伝送型フィルタの模式図である。こ
の表面弾性波伝送型フィルタでは、圧電体基板10上
に、金属膜で形成された対の櫛型電極、すなわち励振用
電極30および受信用電極40が形成されている。な
お、フィルタ両端の圧電体基板10上には吸着材層50
が形成されている。
【0012】このように構成された表面弾性波伝送型フ
ィルタの励振用電極30に高周波電気信号を入力する
と、圧電体基板10に表面弾性波が励振されて受信用電
極40に到達し、受信用電極40から高周波電気信号が
出力される。この入出力間の周波数特性がバンドパスフ
ィルタの特性を持ち、圧電体基板の表面弾性波伝搬特性
によりフィルタの特性およびその温度特性が決定され
る。
【0013】上記圧電体基板10は、表面弾性波素子用
の圧電体基板であって、ランガサイト(La3Ga5Si
14)の単結晶で形成され、その表面の方位は、オイラ
ー角表示(φ、θ、ψ)で(10〜18°、130〜1
46°、164〜174°)の範囲内とされている。特
に、本実施形態では、最も好適な方位として、表面方位
を、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(16°、138
°、172°)と設定している。
【0014】なお、この圧電体基板10は、CZ法やブ
リッジマン法等により作製したランガサイト単結晶のイ
ンゴットからランガサイト単結晶をウェーハ状に切り出
し、片面を鏡面処理したものから作製したものであり、
この鏡面側に方位1(ψ)となるように上記の櫛型電
極、すなわち励振用電極30及び受信用電極40を配置
している。
【0015】従来知られている中心周波数が100MH
z以下となる表面弾性波素子に用いられるLTのX−1
12°Y基板の特性は、vが3288m/s、K2
0.64%、TCDが18ppm/℃であり、表面弾性
波素子の小型化に求められる特性は、vがより小さいこ
とである。すなわち、中心周波数が100MHz以下と
なる表面弾性波素子の小型化に要求される特性は、K2
が0.3%、TCDの絶対値が18ppm/℃以下、パ
ワーフロー角PFAの絶対値が2°以下、回折係数γが
−3以上かつ1以下、vが3288m/sより小さいこ
とである。
【0016】そこで、ランガサイト単結晶基板の表面弾
性波の伝搬特性を計算で求めた。図3に示す表に、ラン
ガサイト単結晶基板の表面弾性波の伝搬特性を計算する
のに必要な材料定数である、20℃における密度、弾性
定数、圧電定数、誘電率および線膨張係数を示す。ま
た、この表には、各定数の1次及び2次の温度係数も示
す。
【0017】この表に示した各定数等の値は、極めて高
精度の値であることが確認されている。このような高精
度の定数を使用して、圧電基板表面での、ニュートンの
運動方程式、圧電方程式、準静電近似したマックスェル
の方程式を連成して解くことにより、ランガサイト単結
晶基板の特性を解析した結果、上記方位の範囲で上記表
面弾性波素子に要求される特性を満たすことができる。
なお、図2に上記特性を満足する方位(φ、θ、ψ)
を、三次元プロットしたものを示す。また、ランガサイ
ト単結晶基板の特性を上記各方程式を用いて解析する手
法については、後述する。
【0018】
【実施例】次に、本発明に係る表面弾性波素子用基板及
びこれを用いた表面弾性波素子を、実施例により図4及
び図5を参照して具体的に説明する。
【0019】CZ法により4本のランガサイト単結晶
(結晶番号1〜4)を作製し、それらランガサイト単結
晶から指定したカット面方位(φ、θ)となるようにウ
ェーハを切り出し、片面を鏡面処理して基板とした。こ
の基板の鏡面側に指定した伝搬方位(ψ)となるように
櫛型電極、すなわち励振用電極及び受信用電極をAlに
より形成して表面弾性波素子とした。電極の膜厚は、2
00nm、電極間距離(λ)は74μm、電極指幅は
9.25μm(スプリット電極なので1/8λ)、電極
対数は励振用電極及び受信用電極ともに12λとした。
【0020】作製した表面弾性波素子のvとK2とを測
定した。vはフィルタの中心周波数と電極間距離から求
め、K2は素子の2端子アドミッタンスを測定し、これ
から一般に知られるスミスの等価回路モデルによって求
めた。また、TCV(Temperature Coefficient of Vel
ocity:伝搬速度温度係数)を0〜50℃の範囲で求
め、それと線膨張係数からTCDを求めた。これらの結
果を図4及び図5に示す。図4は、上記方位の範囲内と
なるように作製した素子の測定結果を示した表で、上記
表面弾性波素子に要求される特性を満足することが確認
できる。一方、図5は上記方位の範囲外となるように作
製した素子の測定結果を示した表で、上記表面弾性波素
子に要求される特性を満足しないことが確認できる。
【0021】この範囲内で特に、K2が大きく、TCD
が適度に小さく、PFAが小さく、γが小さい方位が、
オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(16°、138°、
172°)である。すなわち、この方位での特性は、K
2が0.45%、TCDが−14.8ppm/℃、PF
Aが0.4°、γが−1.97、vが2627m/sと
なる。
【0022】このように本発明の実施形態及び実施例の
表面弾性波素子では、圧電体基板10表面の方位が上記
範囲内であるので、LTのX−112°Y基板と比較し
てK 2及びTCDは遜色なく、かつvが小さく、小型化
が実現できる。
【0023】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0024】〔ランガサイト単結晶基板の特性の解析手
法〕単結晶における三次元空間では、カット面と伝搬方
向の組み合わせが無数にあるので、所望の特性をもつカ
ット面を実験的に見つけることはほとんど不可能であ
る。したがって、圧電結晶の材料定数から所望の特性を
有するカット面を解析する手段が用いられる。
【0025】以下に、解析の方法を簡単に示す。 「圧電媒質中における関係式」圧電結晶では、圧電性の
ため圧力・変形による機械的な波動と電磁界が常に同時
に存在する。しかし、電磁界の伝搬速度は弾性波より10
5倍も速いので静電界部分のみを考慮すれば十分であ
る。すなわち、電界E、磁界Hの全てを考える必要はな
く、静電ポテンシャルφのみを考えればよい。図6に解
析用の座標系を示す。X1は表面弾性波の伝搬方向、X2
紙面の奥から手前に垂直な方向、X3は表面に垂直な圧電
媒質の深さ方向である。X3≧0の半無限基板を圧電媒質
領域、X3<0の領域を真空領域とする。
【0026】圧電媒質中で機械的な挙動と静電界との相
互関係を表すのが次の式(1)(2)で示される圧電方
程式である。
【数1】
【数2】
【0027】ここで、T、S、EとDはそれぞれ圧電媒質中
における応力、ひずみ、電界と電束密度である。cE
電界Eが一定状態の弾性定数テンソル、eはその圧電定
数、εSはひずみSが一定状態の誘電率テンソルである。
なおT、Sはそれぞれ応力とひずみの工学的表記方法で、
テンソル表記法と次の式(3)ような対応関係がある。
(Tについても同様)
【数3】
【0028】ひずみテンソルSijは変位ui(i=1〜3)によ
って次の式(4)で示される。
【数4】 次に、静電近似を用いるので、電界Eは静電ポテンシャ
ルφを用いて次の式(5)ように示される。
【数5】
【0029】また、圧電体の微小部分に対するニュート
ンの運動方程式は次の式(6)ように示せる。
【数6】 ここで、ρは圧電媒質の密度。
【0030】また、圧電媒質中には電荷が存在しないの
で、
【数7】 である。すなわち、次の式(7)となる。
【数8】
【0031】圧電媒質領域(X3>0)では、表面波の変
位uiと静電ポテンシャルφは次の式(8)(9)で表さ
れる。
【数9】
【数10】 ここで、A1〜A3は表面弾性波の変位の振幅係数、A4は静
電ポテンシャルの振幅係数である。αはX3方向の規格化
減衰定数でωとvはそれぞれ表面弾性波の各周波数と伝
搬速度である。
【0032】次に、式(8)、(9)を式(1)〜(5)に
代入して、応力Tと電束密度Dを求める。これらを式
(6)、(7)に代入して振幅係数A1〜A4について整理す
ると次のように表すことができる。
【数11】
【0033】ここで、行列[Xij]の各要素は圧電媒質の
材料定数:弾性定数c、圧電定数e、誘電率εをSAW伝搬
方向に合わせて座標変換することにより決定されるもの
である。振幅係数がゼロでないためには、行列[Xij]の
値はゼロでなければならない。すなわち、次の式(1
1)となる。
【数12】
【0034】ここで行列式をαについて展開すると、次
の8次方程式が得られる。
【数13】 但し、C0〜C8は実数であり、奇数項には虚数単位jが付
く、そこでZ=jαとすると、Zについては実数を係数とす
る8次方程式となるため、Zの根は共役複素(a±jb)で
ある。結果、αは次の8つの根を持つことになる。すな
わち、次の式(13)となる。
【数14】
【0035】このように伝搬速度vを与えればαについ
て8つの根が求まるが、その中に物理的な意味を持つ、
すなわち変位u1〜u3の式(8)および静電ポテンシャル
φの式(9)を満足するのは4つしかないSAWの伝搬モー
ドに対する物理的な解釈から4つの根を決める。
【0036】「真空中における関係式」真空領域(X3
0)においては、変位は当然存在せず、次の式(14)
ように静電ポテンシャルφ’だけを考えればよい。
【数15】
【0037】ここで、A5は静電領域における静電ポテン
シャルφ’の振幅係数で、γはX3方向の規格化減衰定数
を表している。また、真空中であるから、静電ポテンシ
ャルφ’はラプラス方程式を満足する。すなわち、次の
式(15)となる。
【数16】 式(14)をこの式に代入すると、次の式(16)が得
られる。
【数17】
【0038】「レイリー波モード」レイリー波(Raylei
gh Wave)はSAWの最も基本的な伝搬モードである。変位
と静電ポテンシャルの振幅は表面から遠ざかるにつれて
指数関数的に減衰するので、次の式(17)の条件を満
足しなければならない。
【数18】 すなわち、式(13)に示されている4組8根の中から、
式(17)を満足する4つの根を選ぶわけである。
【0039】次に、選んだ4つの根をαj(j=1〜4)として
式(11)に代入すると、各αjに対するAiとA4の比が次
の式(18)ように求められる。
【数19】 これから、圧電媒質中の変位と静電ポテンシャルは次の
式(19)(20)のように4つの波の線形結合で表さ
れる。
【数20】
【数21】
【0040】ここで、4つの根αjは、実数部が小さい順
位に並べたとすると、これらは下記の波に対する減衰定
数に対応する。 α1:遅い横波 α2:速い横波 α3:縦波 α4:電磁波
【0041】同様に真空領域(X3<0)における静電ポ
テンシャルφ’が表面波であるためには、波の振幅も表
面から遠ざかるにつれて指数関数的に減少しなければな
らない。
【数22】 式(16)から、式(21)を満足する根(γ=1)を
選ぶと、真空中における静電ポテンシャルφ’は次の式
(22)のように表される。
【数23】
【0042】次に、基板表面における機械的および電気
的境界条件を示す。 [a]基板表面が電気的に開放(open) 圧電基板表面が自由表面なので、応力に関して次の式
(23)の条件を満足する。
【数24】
【0043】また、電気的境界条件は、基板表面におい
て電界の接線成分と電束密度の法線成分が連続であるこ
とから、次の式(24)(25)で示される。
【数25】
【数26】
【0044】以上の境界条件式(23)〜(25)に式
(19)、(20)および(22)を代入すると、式
(24)からF5はFj(j=1〜4)で表せるので、結果的
に次の方程式(26)が得られる。
【数27】
【0045】ここで、行列[Yij]の各要素は次のように
示される。
【数28】 この方程式の解が意味を持つためにはF1〜F4がゼロでな
いことが必要であり、従って行列式がゼロでなければな
らない。
【数29】
【0046】[b]基板表面が電気的に短絡(short) 基板表面が電気的短絡、すなわち薄い完全導体が置かれ
た場合には、ひずみ波に伴う電磁波は真空領域(X3
0)には存在せず、また、基板表面における境界条件は
次の式(28)(29)のようになる。
【数30】
【数31】
【0047】この結果、電気的短絡した表面が電気的開
放の場合の行列[Yij]とは、次のY4jだけが異なり、他の
Y1j、Y2j、Y3jは上記と同じになる。
【数32】 したがって、基板表面を電気的に短絡した場合には、境
界条件式(27)を変更するだけでよい。以上のように
レイリー波モードに対する関係式が得られたが、これら
の式からは、伝搬速度vを表す式を解析的に求めること
ができないため、本発明では数値計算法を用いて伝搬速
度vを求めた。
【0048】レイリー波モードの伝搬特性は伝搬速度v
を用いて次のように評価される。 電気機械結合係数K2
【数33】 ここに、v、vmはそれぞれ基板表面電気的開放状態と電
気的短絡状態の伝搬速度である。
【0049】遅延時間温度係数
【数34】 ここで、τは遅延時間、Tは温度、lは伝搬距離であ
り、αは伝搬方向に対する線膨張係数を表している。な
お、TCDと周波数温度特性TCFの関係は以下の通りであ
る。
【数35】
【0050】パワーフロー角PFA
【数36】 ここで、PFAとは櫛型電極IDTによってSAWが励振された
ときに、伝搬する位相速度の方向X1と、エネルギー全体
の進む方向、いわゆる群速度の方向のなす角である。す
なわち、圧電基板は異方性のために等位相面に垂直な位
相速度vの方向とエネルギーが進む方向が異なる。表面
波の伝搬速度vが伝搬方向によって変化するために生ず
る現象である。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾
性波素子によれば、基板表面の方位がオイラー角表示
(φ、θ、ψ)で(10〜18°、130〜146°、
164〜174°)の範囲内であるので、表面弾性波素
子として要求される特性を満たすことができ、特に中心
周波数が100MHz以下となる表面弾性波素子を小型
化するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態における表面弾性波
素子(伝送型フィルタ)を示す平面図である。
【図2】 本発明に係る一実施形態における表面弾性波
素子に要求される特性を満足する方位(φ、θ、ψ)
を、三次元プロットしたグラフである。
【図3】 ランガサイト単結晶の20℃における材料定
数(密度。弾性定数、圧電定数、誘電率および線膨張係
数)と各定数の1次および2次の温度係数を示した表で
ある。
【図4】 本発明で規定する範囲内となる表面方位で作
製した弾性表面波素子のSAW特性を測定した結果を示
した表である。
【図5】 本発明で規定する範囲外となる表面方位で作
製した弾性表面波素子のSAW特性を測定した結果を示
した表である。
【図6】 本発明に係るランガサイト単結晶基板の特性
の解析手法において、解析用の座標系を説明する図であ
る。
【符号の説明】
10 圧電体基板 30 励振用電極 40 受信用電極 50 吸音材層 SAW 表面弾性波
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 次郎 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス工場電 子デバイス開発センター内 (72)発明者 宇田 聡 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス工場電 子デバイス開発センター内 Fターム(参考) 5J097 AA29 BB11 FF01 GG05 KK06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面弾性波素子用の圧電体基板であっ
    て、 ランガサイト(La3Ga5SiO14)の単結晶で形成さ
    れ、 その表面の方位は、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で
    (10〜18°、130〜146°、164〜174
    °)の範囲内であることを特徴とする表面弾性波素子用
    基板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表面弾性波素子用基板
    において、 前記表面の方位は、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で
    (16°、138°、172°)であることを特徴とす
    る表面弾性波素子用基板。
  3. 【請求項3】 圧電体基板上に表面弾性波を励振、受
    信、もしくは反射するための金属膜を形成した表面弾性
    波素子であって、 前記圧電体基板は、請求項1又は2に記載の表面弾性波
    素子用基板であることを特徴とする表面弾性波素子。
JP2002153889A 2001-11-30 2002-05-28 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子 Pending JP2003229741A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002153889A JP2003229741A (ja) 2001-11-30 2002-05-28 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-367342 2001-11-30
JP2001367342 2001-11-30
JP2002153889A JP2003229741A (ja) 2001-11-30 2002-05-28 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003229741A true JP2003229741A (ja) 2003-08-15

Family

ID=27759581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002153889A Pending JP2003229741A (ja) 2001-11-30 2002-05-28 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003229741A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018163842A1 (ja) * 2017-03-09 2018-09-13 株式会社村田製作所 弾性波装置、高周波フロントエンド回路及び通信装置
KR20190109502A (ko) * 2017-03-09 2019-09-25 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018163842A1 (ja) * 2017-03-09 2018-09-13 株式会社村田製作所 弾性波装置、高周波フロントエンド回路及び通信装置
KR20190109502A (ko) * 2017-03-09 2019-09-25 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치
KR20190109522A (ko) * 2017-03-09 2019-09-25 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치
CN110383685A (zh) * 2017-03-09 2019-10-25 株式会社村田制作所 弹性波装置、高频前端电路以及通信装置
JPWO2018163842A1 (ja) * 2017-03-09 2019-11-21 株式会社村田製作所 弾性波装置、高周波フロントエンド回路及び通信装置
KR102294196B1 (ko) 2017-03-09 2021-08-27 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치
KR102311140B1 (ko) 2017-03-09 2021-10-12 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 탄성파 장치, 고주파 프론트 엔드 회로 및 통신 장치
US11463068B2 (en) 2017-03-09 2022-10-04 Murata Manufacturing Co., Ltd. Acoustic wave device, high frequency front end circuit, and communication apparatus
CN110383685B (zh) * 2017-03-09 2023-02-21 株式会社村田制作所 弹性波装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1902817B (zh) 边界声波装置
US11309861B2 (en) Guided surface acoustic wave device providing spurious mode rejection
EP3474447B1 (en) Quartz orientation for guided saw devices
Assila et al. High-frequency resonator using A 1 Lamb wave mode in LiTaO 3 plate
US9843304B2 (en) Transducer with bulk waves surface-guided by synchronous excitation structures
CN107525610B (zh) 基于厚度方向激励剪切波模式的fbar微压力传感器
Vidal-Álvarez et al. Delay lines based on a suspended thin film of X-cut lithium niobate
JP3244094B2 (ja) 弾性表面波装置
US8610518B1 (en) Elastic guided wave coupling resonator filter and associated manufacturing
Adachi et al. Surface acoustic wave properties of La3Ga5SiO14 (Langasite) single crystals
JPH09298446A (ja) 弾性表面波装置及びその設計方法
JP3255502B2 (ja) 高安定弾性表面波素子
JP2003229741A (ja) 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子
JP2011041127A (ja) 弾性波装置
Santosh et al. Investigation of properties of surface acoustic waves generated by periodically patterned ZnO on silicon substrate
JP4465464B2 (ja) ラム波型弾性波素子
Satoh et al. High-coupling and high-temperature stable surface acoustic wave substrates using groove-type interdigital transducer
da Cunha et al. Comparison between ST-cut quartz 25/spl deg/and-60/spl deg/NSPUDT propagation directions
JP2006270360A (ja) 弾性表面波素子
JP2004189544A (ja) 表面弾性波センサ用基板及びこれを用いた表面弾性波センサ
JP2021516904A (ja) Sawフィルタデバイスにおける発生源抑制のための変換器構造
JP4244708B2 (ja) 表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子
Belkhelfa et al. Design optimization of SAW temperature sensor based one port resonator using FEM simulation
WO2010029762A1 (ja) ラム波型弾性波素子
Qi et al. AlScN-Based Dual-Mode Devices with Temperature Compensated Strategy and Process Optimization

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070921

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071127