JP2004189544A - 表面弾性波センサ用基板及びこれを用いた表面弾性波センサ - Google Patents

表面弾性波センサ用基板及びこれを用いた表面弾性波センサ Download PDF

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Abstract

【課題】表面弾性波センサに好適な表面方位を有する表面弾性波センサ基板を提供する。
【解決手段】使用温度範囲が150℃以上の表面弾性波センサ用の圧電体基板として、ランガサイト(La3Ga5SiO14)の単結晶で形成され、その表面の方位が、オイラー角表示で(−5°<φ<5°、130°<θ<145°、20°<ψ<40°)の範囲内とされた基板を採用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランガサイト単結晶からなる圧電体基板に関し、使用温度範囲の限定された表面弾性波センサに用いた場合に、特に優れた高性能の表面弾性波センサを得ることができる表面弾性波センサ用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電体基板上に櫛形電極(interdigital transducer, IDT)を形成した受動型SAWセンサ(表面弾性波センサ)は、(1)無線化が可能であること、及び(2)センサへの電源供給が不要であること、等の利点によりその利用範囲を拡大している。このような表面弾性波素子用の基板としては、従来、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、4硼酸リチウム、水晶等の圧電性単結晶を、適当なカット面で切断、研磨した基板が使用されているが(例えば特許文献1)、近年SAWセンサの圧電体基板として、ランガサイト(LaGaSiO14,LGS)の単結晶基板が注目されており、ランガサイト単結晶基板の(1)融点が高く(約1470℃)、(2)室温から融点までの間に相転移点がない、等の利点から、他の基板を用いた場合に比して、より高温環境下での使用が可能になる。
【0003】
ところで、従来、伝送型フィルタ等の表面弾性波素子に使われる圧電体基板においては、遅延時間温度係数(TCD)及び電気機械結合係数(K)が重要視されており、TCDは零に近いほど、Kは大きいほど望ましいとされている。そこで、下記特許文献2、3では、圧電体基板としてランガサイト(LaGaSiO14)単結晶基板を用い、その表面の方位をオイラー角表示で所定範囲内とすることで、TCDが小さく、かつ比較的大きなKが得られることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−41315号公報
【特許文献2】
特開平10−19047号公報
【特許文献3】
特開平11−27089号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に挙げられているのは、いずれも伝送型SAWフィルタに好適なランガサイト単結晶基板の表面方位を限定するものであり、SAWセンサに用いるための圧電体基板としては不適当なものであった。また、ランガサイト単結晶はその表面方位によって表面弾性波の伝搬特性が変化するため、その方位を適切に制御しない場合、再現性に優れ、かつ高効率のSAWセンサを作製することは到底不可能である。
そこで、本発明者は、ランガサイト単結晶からなる圧電体基板において、SAWセンサ用途に好適に使用するためのランガサイト基板の表面方位について研究を重ね、本発明を完成するに到った。従って本発明の目的は、表面弾性波センサに好適な表面方位を有する表面弾性波素子用基板、及びこれを用いた表面弾性波センサを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するための研究を行うに際して、従来から表面弾性波センサ等に用いる圧電体基板の方位選定の条件として用いられてきた電気機械結合係数K及び遅延時間温度係数TCDに加え、新たにPFA(パワーフロー角;表面弾性波が伝搬する方向と表面弾性波のエネルギーが進む方向との差を表す角度)及び回折係数γ(PFAのψによる微分値)を導入し、ランガサイト単結晶基板からなる表面弾性波センサ用基板に要求される各種条件(Kが大きく、TCDの絶対値が適度に大きく、PFAの絶対値が小さく、γが−1に近い)に基づくカット面解析により適切な方位を見出すことができた。従って、本発明の表面弾性波センサ用基板は、上記解析による知見に基づくものであって、以下の構成を備えたものである。
【0007】
本発明の表面弾性波センサ用基板は、使用温度範囲が150℃以上の表面弾性波センサ用の圧電体基板であって、ランガサイト(LaGaSiO14)の単結晶で形成され、その表面の方位が、オイラー角表示で(−5°<φ<5°、130°<θ<145°、20°<ψ<40°)の範囲内とされたことを特徴としている。
【0008】
上記構成の表面弾性波センサ用基板は、表面方位が上記範囲とされていることで、Kが0.25%以上、TCDの絶対値が15ppm/℃以上、PFAの絶対値が5°以下、γが−2以上0以下であるという表面弾性波センサ用の圧電体基板に求められる条件を満たすことができ、もって再現性が良く、かつ高効率の表面弾性波センサを構成することができる圧電体基板を提供することができる。
【0009】
上記の表面弾性波センサ用基板においては、当該基板を用いて構成される表面弾性波センサの使用温度範囲が150℃以上1000℃以下とされた構成とすることが好ましい。
本発明に係る基板では、その音速特性の面では、特に高温で使用することに問題はないと考えられるが、ランガサイト単結晶の融点、及び表面弾性波センサを構成する電極等の材料の融点等を勘案すると、使用温度範囲は1000℃以下とすることが好ましい。
【0010】
上記の表面弾性波センサ用基板において、前記表面の方位が、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(0°、140°、25°)とされた構成とすることが好ましい。
上記構成によれば、150℃以上の温度範囲においてセンサ用途に好適な温度依存性を有する表面弾性波センサ用基板とすることができ、係る基板を用いるならば、使用温度範囲が極めて広い表面弾性波センサを構成することができる。
【0011】
次に、本発明の表面弾性波センサは、圧電体基板上に表面弾性波を励振、受信、もしくは反射するために形成された金属膜を備えた表面弾性波センサであって、前記圧電体基板として、先に記載の表面弾性波センサ用基板を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、先の本発明の表面弾性波センサ用基板により、再現性が良く、効率の良い表面弾性波センサを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。図1は、本発明の表面弾性波素子を用いて形成した表面弾性波センサの模式図である。
この表面弾性波センサでは、圧電体基板10上に、金属膜で形成された対の櫛型電極、すなわち励振用電極30および受信用電極40が形成されている。なお、センサ両端の圧電体基板10上には吸着材層50が形成されている。
【0013】
このように構成された表面弾性波センサでは、励振用電極30に信号を入力して、圧電体基板10に表面弾性波を励振し、この表面弾性波を受信用電極40にて受信する。これをループ状に結合して自励振動を発生させ、温度による音速の上昇すなわち発振周波数の上昇から温度を測定するようになっている。
【0014】
上記圧電体基板10としては、ランガサイト(LaGaSiO14)の単結晶で形成されており、その表面の方位が、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(−5〜5°、130〜145°、20〜40°)の範囲内とされた圧電体基板が用いられる。係る圧電体基板10を用いることで、使用温度範囲が150℃以上であり、係る温度範囲で良好な再現性と効率とが得られる表面弾性波センサを構成することができる。本発明の表面弾性波センサは、特に高温での温度センサに好適な表面弾性波センサである。
特に、本実施形態では、最も好適な方位として表面方位を、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(0°、140°、25°)と設定している。係る方位を有する基板は、150℃以上の温度範囲で温度に対する音速変化量が適度な傾きを呈するので、極めて広い温度範囲で使用できる表面弾性波センサを構成することを可能にするものである。
本発明に係る圧電体基板10を用いて構成された表面弾性波センサでは、その構成材料が安定である限り高い温度で使用することが可能であるが、ランガサイト単結晶の融点が1470℃であり、また薄膜の形態で形成される電極30,40の安定性の面から、表面弾性波センサの使用温度範囲は1000℃以下とするのが好ましいと考えられる。
【0015】
なお、この圧電体基板10は、CZ法やブリッジマン法等により作製したランガサイト単結晶のインゴットからランガサイト単結晶をウェーハ状に切り出し、片面を鏡面処理したものから作製したものであり、この鏡面側に方位1(ψ)となるように上記の櫛型電極、すなわち励振用電極30及び受信用電極40を配置している。
【0016】
表面弾性波センサ用の基板としては、先に記載のように、Kが大きく、TCDの絶対値が適度に大きく、PFAの絶対値が小さく、γが−1に近い、という特性を有するものが好ましい。また、素子の小型化の点で、音速は低い方が好ましい。そこで、ランガサイト単結晶基板の表面弾性波の伝搬特性を計算で求めた。
表1に示す表に、ランガサイト単結晶基板の表面弾性波の伝搬特性を計算するのに必要な材料定数である、20℃における密度、弾性定数、圧電定数、誘電率および線膨張係数を示す。また、この表には、各定数の1次及び2次の温度係数も示されている。
【0017】
この表に示した各定数等の値は、極めて高精度の値であることが確認されている。このような高精度の定数を使用して、圧電基板表面での、ニュートンの運動方程式、圧電方程式、準静電近似したマックスェルの方程式を連成して解くことにより、ランガサイト単結晶基板の特性を解析した結果、上記方位の範囲で上記表面弾性波素子に要求される特性を満たすことができる。また、ランガサイト単結晶基板の特性を上記各方程式を用いて解析する手法については、後述の実施例にて詳細に説明している。
【0018】
【表1】
Figure 2004189544
【0019】
【実施例】
次に、本発明に係る表面弾性波素子用基板及びこれを用いた表面弾性波素子を、実施例により図2ないし図12を参照して具体的に説明する。
【0020】
本発明者は、ランガサイト単結晶基板のカット面解析によって表面弾性波センサ用基板としての特性を満たす表面方位を探索するとともに、得られた表面方位を有する圧電体基板を作製し、音速の温度特性の測定を行い、上記カット面解析により得られた探索結果の検証を行った。図2ないし図9は、表面弾性波センサに好適な特性として、Kが0.25%以上、TCDの絶対値が15ppm/℃以上、PFAの絶対値が5°以下、γが−2以上0以下、という条件を満たす表面方位を各温度毎に探索した結果を示す分布図である。図示した結果は、温度条件を図2から順に150℃、200℃、250℃、300℃、400℃、500℃、750℃、1000℃として解析したものである。これらの図において、点線に囲まれた領域内に黒丸で示された点が、先の表面弾性波センサに適する特性を満たす方位を示している。
【0021】
これら図2〜図9に示すように、150℃以上1000℃以下の範囲において、圧電体基板の表面方位を、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(−5〜5°、130〜145°、20〜40°)の範囲内とすることで、先の表面弾性波センサに適した特性が得られることが分かる。
また、図2〜図9から、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(0°、140°、25°)の表面方位において、150℃〜1000℃の温度範囲で共通して好ましい特性が得られることが分かる。すなわち、係る表面方位を有する表面弾性波センサ用基板を用いるならば、極めて広い使用温度範囲の表面弾性波センサが得られると言える。
【0022】
図10に、(φ、θ、ψ)=(0°、140°、25°)なる表面方位を備えた圧電体基板の音速特性を示す。図10のグラフに示す曲線は、上記解析により得られた0℃〜1300℃超の温度範囲における音速特性を示している。図10のグラフに示すように、上記表面方位とすることで、150℃から1300℃を越える温度範囲において、音速の変化量が温度に対して適度な傾きを有し(すなわちTCDが適度に大きい)、かつ音速変化量が温度に対して単調に変化する圧電体基板が得られることが分かる。すなわち、係る基板により優れた再現性の表面弾性波センサを構成することが可能である。
【0023】
次に、上記カット面解析により得られた結果を検証するために、(φ、θ、ψ)=(0°、140°、25°)なる表面方位を備えた圧電体基板を作製し、その音速特性を測定した。
まず、CZ法によりランガサイト単結晶を作製し、そのランガサイト単結晶から指定したカット面方位(φ、θ)となるようにウェーハを切り出し、片面を鏡面処理して基板とした。この基板の鏡面側に指定した伝搬方位(ψ)となるように櫛型電極、すなわち励振用電極及び受信用電極をAlにより形成して表面弾性波センサを作製した。電極の膜厚は、200nm、電極間距離(λ)は74μm、電極指幅は9.25μm、電極対数は励振用電極及び受信用電極ともに12λとした。
【0024】
上記にて得られた表面弾性波センサについて、TCV(Temperature Coefficient of Velocity:伝搬速度温度係数)を100〜1000℃の範囲で求めた。その結果を図10に併記する。図10に示すように、カット面解析により得られた音速特性と、実測値とは非常によく一致しており、このことから、本例で用いたカット面解析により得られた範囲の表面方位とすれば、表面弾性波センサに好適な圧電体基板が得られると言える。
【0025】
このように本発明の実施形態及び実施例の表面弾性波センサ用基板では、圧電体基板10表面の方位を上記範囲内とすることで、従来得られていなかった表面弾性波センサに用いて好適な、Kが大きく、TCDが適度に大きく、かつPFAの絶対値が小さく、γが小さい圧電体基板を実現できる。そして、係る圧電体基板を用いるならば、優れた再現性と高効率の表面弾性波センサを実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0026】
〔ランガサイト単結晶基板の特性の解析手法〕
単結晶における三次元空間では、カット面と伝搬方向の組み合わせが無数にあるので、所望の特性をもつカット面を実験的に見つけることはほとんど不可能である。したがって、圧電結晶の材料定数から所望の特性を有するカット面を解析する手段が用いられる。
【0027】
以下に、解析の方法を簡単に示す。
「圧電媒質中における関係式」
圧電結晶では、圧電性のため圧力・変形による機械的な波動と電磁界が常に同時に存在する。しかし、電磁界の伝搬速度は弾性波より10倍も速いので静電界部分のみを考慮すれば十分である。すなわち、電界E、磁界Hの全てを考える必要はなく、静電ポテンシャルφのみを考えればよい。
解析用の座標系としては、真空中に配置された圧電体表面における表面弾性波の伝搬方向をXとし、その伝搬方向に対して直交する方向をX、さらに圧電体表面を原点とする圧電媒質の深さ方向をXとした座標系が用いられる。但し、X≧0の半無限基板を圧電媒質領域、X<0の領域を真空領域とする。
【0028】
圧電媒質中で機械的な挙動と静電界との相互関係を表すのが次の式(1)(2)で示される圧電方程式である。
【数1】
Figure 2004189544
【数2】
Figure 2004189544
【0029】
ここで、T、S、EとDはそれぞれ圧電媒質中における応力、ひずみ、電界と電束密度である。cは電界Eが一定状態の弾性定数テンソル、eはその圧電定数、εはひずみSが一定状態の誘電率テンソルである。なおT、Sはそれぞれ応力とひずみの工学的表記方法で、テンソル表記法と次の式(3)ような対応関係がある。(Tについても同様)
【数3】
Figure 2004189544
【0030】
ひずみテンソルSijは変位u(i=1〜3)によって次の式(4)で示される。
【数4】
Figure 2004189544
次に、静電近似を用いるので、電界Eは静電ポテンシャルφを用いて次の式(5)ように示される。
【数5】
Figure 2004189544
【0031】
また、圧電体の微小部分に対するニュートンの運動方程式は次の式(6)ように示せる。
【数6】
Figure 2004189544
ここで、ρは圧電媒質の密度。
【0032】
また、圧電媒質中には電荷が存在しないので、
【数7】
Figure 2004189544
である。すなわち、次の式(7)となる。
【数8】
Figure 2004189544
【0033】
圧電媒質領域(X>0)では、表面波の変位uと静電ポテンシャルφは次の式(8)(9)で表される。
【数9】
Figure 2004189544
【数10】
Figure 2004189544
ここで、A〜Aは表面弾性波の変位の振幅係数、Aは静電ポテンシャルの振幅係数である。αはX方向の規格化減衰定数でωとvはそれぞれ表面弾性波の各周波数と伝搬速度である。
【0034】
次に、式(8)、(9)を式(1)〜(5)に代入して、応力Tと電束密度Dを求める。これらを式(6)、(7)に代入して振幅係数A〜Aについて整理すると次のように表すことができる。
【数11】
Figure 2004189544
【0035】
ここで、行列[Xij]の各要素は圧電媒質の材料定数:弾性定数c、圧電定数e、誘電率εをSAW伝搬方向に合わせて座標変換することにより決定されるものである。振幅係数がゼロでないためには、行列[Xij]の値はゼロでなければならない。すなわち、次の式(11)となる。
【数12】
Figure 2004189544
【0036】
ここで行列式をαについて展開すると、次の8次方程式が得られる。
【数13】
Figure 2004189544
但し、C〜Cは実数であり、奇数項には虚数単位jが付く、そこでZ=jαとすると、Zについては実数を係数とする8次方程式となるため、Zの根は共役複素(a±jb)である。結果、αは次の8つの根を持つことになる。すなわち、次の式(13)となる。
【数14】
Figure 2004189544
【0037】
このように伝搬速度vを与えればαについて8つの根が求まるが、その中に物理的な意味を持つ、すなわち変位u〜uの式(8)および静電ポテンシャルφの式(9)を満足するのは4つしかないSAWの伝搬モードに対する物理的な解釈から4つの根を決める。
【0038】
「真空中における関係式」
真空領域(X<0)においては、変位は当然存在せず、次の式(14)ように静電ポテンシャルφ’だけを考えればよい。
【数15】
Figure 2004189544
【0039】
ここで、Aは静電領域における静電ポテンシャルφ’の振幅係数で、γはX方向の規格化減衰定数を表している。また、真空中であるから、静電ポテンシャルφ’はラプラス方程式を満足する。すなわち、次の式(15)となる。
【数16】
Figure 2004189544
式(14)をこの式に代入すると、次の式(16)が得られる。
【数17】
Figure 2004189544
【0040】
「レイリー波モード」
レイリー波(Rayleigh Wave)はSAWの最も基本的な伝搬モードである。変位と静電ポテンシャルの振幅は表面から遠ざかるにつれて指数関数的に減衰するので、次の式(17)の条件を満足しなければならない。
【数18】
Figure 2004189544
すなわち、式(13)に示されている4組8根の中から、式(17)を満足する4つの根を選ぶわけである。
【0041】
次に、選んだ4つの根をα(j=1〜4)として式(11)に代入すると、各αに対するAとAの比が次の式(18)ように求められる。
【数19】
Figure 2004189544
これから、圧電媒質中の変位と静電ポテンシャルは次の式(19)(20)のように4つの波の線形結合で表される。
【数20】
Figure 2004189544
【数21】
Figure 2004189544
【0042】
ここで、4つの根αは、実数部が小さい順位に並べたとすると、これらは下記の波に対する減衰定数に対応する。α:遅い横波α:速い横波α:縦波α:電磁波
【0043】
同様に真空領域(X<0)における静電ポテンシャルφ’が表面波であるためには、波の振幅も表面から遠ざかるにつれて指数関数的に減少しなければならない。
【数22】
Figure 2004189544
式(16)から、式(21)を満足する根(γ=1)を選ぶと、真空中における静電ポテンシャルφ’は次の式(22)のように表される。
【数23】
Figure 2004189544
【0044】
次に、基板表面における機械的および電気的境界条件を示す。
[a]基板表面が電気的に開放(open)圧電基板表面が自由表面なので、応力に関して次の式(23)の条件を満足する。
【数24】
Figure 2004189544
【0045】
また、電気的境界条件は、基板表面において電界の接線成分と電束密度の法線成分が連続であることから、次の式(24)(25)で示される。
【数25】
Figure 2004189544
【数26】
Figure 2004189544
【0046】
以上の境界条件式(23)〜(25)に式(19)、(20)および(22)を代入すると、式(24)からFはF(j=1〜4)で表せるので、結果的に次の方程式(26)が得られる。
【数27】
Figure 2004189544
【0047】
ここで、行列[Yij]の各要素は次のように示される。
【数28】
Figure 2004189544
この方程式の解が意味を持つためにはF〜Fがゼロでないことが必要であり、従って行列式がゼロでなければならない。
【数29】
Figure 2004189544
【0048】
[b]基板表面が電気的に短絡(short)
基板表面が電気的短絡、すなわち薄い完全導体が置かれた場合には、ひずみ波に伴う電磁波は真空領域(X<0)には存在せず、また、基板表面における境界条件は次の式(28)(29)のようになる。
【数30】
Figure 2004189544
【数31】
Figure 2004189544
【0049】
この結果、電気的短絡した表面が電気的開放の場合の行列[Yij]とは、次のY4jだけが異なり、他のY1j、Y2j、Y3jは上記と同じになる。
【数32】
Figure 2004189544
したがって、基板表面を電気的に短絡した場合には、境界条件式(27)を変更するだけでよい。以上のようにレイリー波モードに対する関係式が得られたが、これらの式からは、伝搬速度vを表す式を解析的に求めることができないため、本発明では数値計算法を用いて伝搬速度vを求めた。
【0050】
レイリー波モードの伝搬特性は伝搬速度vを用いて次のように評価される。
▲1▼電気機械結合係数K
【数33】
Figure 2004189544
ここに、v、vはそれぞれ基板表面電気的開放状態と電気的短絡状態の伝搬速度である。
【0051】
▲2▼遅延時間温度係数
【数34】
Figure 2004189544
ここで、τは遅延時間、Tは温度、lは伝搬距離であり、αは伝搬方向に対する線膨張係数を表している。
なお、TCDと周波数温度特性TCFの関係は以下の通りである。
【数35】
Figure 2004189544
【0052】
▲3▼パワーフロー角PFA
【数36】
Figure 2004189544
ここで、PFAとは櫛型電極IDTによってSAWが励振されたときに、伝搬する位相速度の方向Xと、エネルギー全体の進む方向、いわゆる群速度の方向のなす角である。すなわち、圧電基板は異方性のために等位相面に垂直な位相速度vの方向とエネルギーが進む方向が異なる。表面波の伝搬速度vが伝搬方向によって変化するために生ずる現象である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の表面弾性波素子用基板によれば、基板表面の方位がオイラー角表示(φ、θ、ψ)で(−5〜5°、130〜145°、20〜40°)の範囲内であることで、使用温度範囲が150℃以上の表面弾性波センサとして要求される特性を満たすことができ、係る基板を用いることで、再現性が良く、効率が良い表面弾性波センサを得ることができる。
また、基板表面の方位がオイラー角表示(φ、θ、ψ)で(0°、140°、40°)とされるならば、150℃から1300℃を越える極めて広い温度範囲で使用できる表面弾性波センサを構成できる表面弾性波センサ用基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態における表面弾性波センサを示す平面図である。
【図2】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図3】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図4】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図5】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図6】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図7】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図8】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図9】実施例におけるカット面解析の結果を示す分布図である。
【図10】本発明の実施例の圧電体基板の温度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10;圧電体基板 30;励振用電極 40;受信用電極 50;吸音材層 SAW;表面弾性波

Claims (4)

  1. 使用温度範囲が150℃以上の表面弾性波センサ用の圧電体基板であって、
    ランガサイト(LaGaSiO14)の単結晶で形成され、
    その表面の方位が、オイラー角表示で(−5°<φ<5°、130°<θ<145°、20°<ψ<40°)の範囲内とされたことを特徴とする表面弾性波センサ用基板。
  2. 請求項1に記載の表面弾性波センサ用基板において、
    当該基板を用いて構成される表面弾性波センサの使用温度範囲が150℃以上1000℃以下とされたことを特徴とする表面弾性波センサ用基板。
  3. 請求項1又は2に記載の表面弾性波センサ用基板において、
    前記表面の方位が、オイラー角表示(φ、θ、ψ)で(0°、140°、25°)とされたことを特徴とする表面弾性波センサ用基板。
  4. 圧電体基板上に表面弾性波を励振、受信、もしくは反射するために形成された金属膜を備えた表面弾性波センサであって、
    前記圧電体基板として、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表面弾性波センサ用基板を備えたことを特徴とする表面弾性波センサ。
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JP2007263877A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Toppan Printing Co Ltd 露点計及び露点測定方法

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