JP2003229722A - 周波数逓倍回路および送受信装置 - Google Patents

周波数逓倍回路および送受信装置

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JP2003229722A
JP2003229722A JP2002027942A JP2002027942A JP2003229722A JP 2003229722 A JP2003229722 A JP 2003229722A JP 2002027942 A JP2002027942 A JP 2002027942A JP 2002027942 A JP2002027942 A JP 2002027942A JP 2003229722 A JP2003229722 A JP 2003229722A
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JP2002027942A
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Sadao Igarashi
貞男 五十嵐
Hidetoshi Tsubota
英俊 坪田
Koichi Obinata
宏一 小日向
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RF Chips Tech Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率の向上を図ることにより消費電流の低減
が可能な周波数逓倍回路、およびこれを用いた送受信回
路を提供する。 【解決手段】 ミキサ部41,差動部42によりギルバ
ート・ミキサが構成され、差動部42の前段にハイパス
フィルタ(HPF)53が設けられている。発振信号S
OSC は分岐して、信号S1は入力部a1−a2に入力さ
れる。信号S2は、HPF53により位相変化した信号
S22に変換され、差動部42を介して入力部b1−b
2に入力される。ミキサ部41は、信号S1,S22の
間に生じる位相差によって、差動部42に対して動作タ
イミングがずれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力信号を2倍波
に変調して出力する周波数逓倍回路、および、これを用
いて構成されたRF(Radio Frequency :無線周波数)
帯を利用する無線通信システムの送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周波数逓倍回路は、入力される基本波の
周波数をn倍(n=1, 2,…)に変調して得られる高調
波を出力する回路であり、無線通信システムにおいて
は、送信機および受信機に広く用いられている。
【0003】無線通信システムの受信系では、希望帯域
(例えばRF帯)の受信信号を局部発振信号(ローカル
信号)SLOと混合し、IF(Intermediate Frequency:
中間周波数)信号SIFに周波数変換する処理が行われ
る。また送信系では、逆にIF信号SIFをローカル信号
LOと混合し、希望帯域(例えばRF帯)の送信信号に
変換する処理が行われる。このように、2以上の入力信
号を混合して周波数変換された信号を出力する回路をミ
キサといい、ミキサにはローカル信号SLOが局部発振器
から与えられる。
【0004】ただし、局部発振器の発振周波数fLOとア
ンテナ出力の周波数fRFが合致すると、図19(A)の
ように、アンテナ130の出力が局部発振器110から
回路部120へと回り込み、スプリアス(目的外の信号
成分)が発生する。こうしたスプリアスの対策として
は、局部発振器110を、本来の周波数fLOとは異なる
周波数fOSC で出力するようにし、ループが形成されな
いようにするのが一般的である。この場合、最終的なロ
ーカル信号SLOは、図19(B)に示したように、局部
発振器110の次段に変調器110Aを設け、そこで、
局部発振器110の出力信号を変調することにより得ら
れる。通常、変調器110Aには、2逓倍(ダブラー;
doubler )の周波数逓倍回路が用いられ、局部発振器1
10からは、本来の周波数fLOの2分の1の周波数f
OSC の信号を出力するようにしている。
【0005】この周波数逓倍回路は、図20に示したよ
うに、ミキサ部101と、差動部102とを備え、ギル
バートセル形ダブルバランスミキサとして構成されてい
る。ミキサ部101は、周波数変調を行う回路部であ
り、交差結合された2つの差動トランジスタ対(Q10
3,Q104),(Q105,Q106)からなる。差
動部102は、ミキサ部101の前段に設けられ、1つ
の差動トランジスタ対(Q101,Q102)からな
る。この回路では、発振信号SOSC は入力信号S1,S
2に分岐され、ミキサ部101のベース側入力部a1−
a2と、差動部102にそれぞれ入力される。差動部1
02のトランジスタQ101,Q102の各ベースに平
衡入力された入力信号S2は、コレクタ側の差動電流と
なって、さらにミキサ部101のエミッタ側入力部b1
−b2に入力される。
【0006】ミキサ部101では、こうして2つの入力
部から入力される同一周波数成分(発振信号SOSC )の
混合により、その2倍波すなわちローカル信号SLOが得
られる。なお、こうしたギルバートセル形の回路では、
回路の対称性を保つように、各差動トランジスタ対の特
性がよく揃えられていれば、基本波成分である発振信号
OSC は高い比率で除去される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
周波数逓倍回路では、ミキサ部101に入力部a1−a
2から直接入力される入力信号S1と、差動部102に
て反転増幅された後に入力部b1−b2から入力される
入力信号S2には、常にほぼ180°の位相差がある。
また、発振信号SOSC のような大振幅信号の入力に対
し、差動部102のトランジスタQ101,Q102は
互いに逆のON/OFFを行うスイッチング動作状態と
なる。そのため、ミキサ部101と差動部102とが同
期したようになり、差動部102のスイッチング動作に
よって、ミキサ部101では必ず2つのうちの一方の差
動トランジスタ対の動作が封じられることとなってい
た。
【0008】これを図20を用いて説明する。同図に
は、最大振幅入力時の配線毎の極性が示されている。ト
ランジスタQ101〜Q106は、正極性の信号に対し
てON、負極性の信号に対してOFFとなる。図示の場
合では、差動部102のトランジスタQ102はONと
なり、これと結合された差動トランジスタ対(Q10
5,Q106)のうちONとなるトランジスタQ105
からトランジスタQ102にコレクタ電流が流れる。し
かし、トランジスタQ101はOFFとなるので、差動
トランジスタ対(Q103,Q104)の配線経路は遮
断され、トランジスタQ104がON状態であるにも関
わらず、本来ならば流れるべきトランジスタQ104,
Q101を通じた電流が流れない。
【0009】こうして、最大振幅入力時には、ミキサ部
101の2つの差動トランジスタ対のうち、動作が有効
な状態となるのは、常に一方のみとなる。その結果、回
路の効率が低下し、最大出力電力Pomaxの低下を招くと
いう問題が生じていた。
【0010】のみならず、ローカル信号SLOとして要求
される出力信号レベルは一般に高く、また、その周波数
LOが近年ますます高くなりつつあることから、周波数
逓倍回路の効率は低下する傾向にある。そのため、所望
の出力電力を得るには、より大きな電流が必要となる。
送受信回路においては、このことは周波数逓倍段だけの
問題に留まらず、送受信系全体の消費電流を上昇させる
要因となっていた。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、効率の向上を図ることにより消費電
流の低減が可能な周波数逓倍回路、およびこれを用いた
送受信回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の周波数逓倍回路
は、同一周波数の第1および第2の入力信号を混合し、
周波数を2倍に変調して出力する周波数逓倍回路であっ
て、交差結合された2つの差動対により構成されると共
に、第1の入力信号が入力される第1の入力部、および
第2の入力信号が入力される第2の入力部を有するミキ
サ部と、第1および第2の入力部の少なくとも一方の前
段に設けられ、第1および第2の入力信号の間に相対位
相差を与える位相差発生手段とを備えたものである。
【0013】ここで、本発明の周波数逓倍回路におい
て、例えば、第2の入力部の前段に差動部が設けられて
いてもよい。その場合、差動部はミキサ部と共にギルバ
ートセル形ダブルバランスミキサを構成し、第2の入力
信号が差動部を介して第2の入力部に入力されるように
なされる。
【0014】本発明の周波数逓倍回路では、互いに相対
位相差のある信号がミキサ部に入力され、その2倍波が
出力される。入力信号間の相対位相差によって、ミキサ
部は前段に設けられる他の回路部、例えば差動部との動
作タイミングがずれ、他の回路部からの影響が低減され
て動作が有効に出力に寄与する。これにより、電力を取
り出す効率が向上する。
【0015】本発明に係る位相差発生手段としては、例
えば、RC構成のハイパスフィルタ,ロウパスフィル
タ、セルサイズの大きなトランジスタ、または容量素子
などを用いることができる。このうち、位相差発生手段
としてRCハイパスフィルタを設ける場合には、入力信
号の位相を変化させるだけでなく、信号に含まれる低域
成分が除去される。また、簡易な構成のために面積効率
が高い。
【0016】位相差発生手段として、第1の入力部の前
段にRCハイパスフィルタおよびRCロウパスフィルタ
の一方を設けると共に、差動部の前段に他方を設ける場
合には、第1および第2の入力信号は互いに逆方向に位
相がずらされ、相対位相差を90°まで広げることがで
きる。これは、位相差発生手段として、第1の入力部の
前段にRCハイパスフィルタを設けると共に、差動部に
ミキサ部を構成するものよりもセルサイズの大きなトラ
ンジスタを設ける場合、もしくは、ミキサ部の第2の入
力部と差動部との間に容量素子を設ける場合もまた同様
である。
【0017】位相差発生手段として、差動部に、ミキサ
部を構成するものよりもセルサイズの大きなトランジス
タを設ける場合には、従来からの変更点がこのトランジ
スタサイズのみとなる。これにより、回路を構成する素
子を増やさずに済み、極めて簡易に構成することができ
る。
【0018】本発明の送受信装置は、送信信号および受
信信号の送受信を行う送受信回路部、局部発振信号源と
なる局部発振器、ならびに、局部発信器からの信号を同
一周波数の第1および第2の入力信号に分けて混合し、
その2倍波を送受信回路部に出力する周波数逓倍回路を
含んで構成され、周波数逓倍回路が、交差結合された2
つの差動対により構成されると共に、第1の入力信号が
入力される第1の入力部、および第2の入力信号が入力
される第2の入力部を有するミキサ部と、第1および第
2の入力部の少なくとも一方の前段に設けられ、第1お
よび第2の入力信号間に相対位相差を与える位相差発生
手段とを備えたものである。
【0019】本発明の送受信装置では、局部発振器の次
段に、本発明の周波数逓倍回路が設けられており、局部
発振器出力をローカル信号に変換する電力効率が従来よ
りも向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態を具体的に説明する前
に、図1〜図5を参照し、本発明の一実施の形態に係る
周波数逓倍回路の基本的な構成、および作用効果につい
て説明する。この周波数逓倍回路は、ギルバート形ダブ
ルバランスミキサを構成するミキサ部41,差動部42
を備えている。ミキサ部41は、入力部Aと入力部Bと
を有している。また、入力された原信号S0 は、同一の
入力信号S1,S2に分岐され、信号S1は入力部A
に、信号S2は差動部42を介して入力部Bに入力され
るようになっている。この周波数逓倍回路では、これに
加え、ミキサ部41の入力部A、入力部Bの少なくとも
一方の前段に、入力信号S1,S2に相対位相差を与え
る位相差発生手段43が設けられる。
【0021】すなわち、位相差発生手段43は、図1に
て点線で囲まれた回路部分K,L,M,Nの少なくとも
いずれかに設けられ、入力信号S1,S2の少なくとも
一方に、他方に対する位相ずれを、ミキサ部41に入力
される前に生じさせるようになっている。位相差発生手
段43が回路部分Kに設けられた場合は、信号S1は位
相変化して信号S12となり、位相差発生手段43が回
路部分L〜Nの少なくともいずれかに設けられた場合
は、信号S2は位相変化して信号S22となる。なお、
以下の具体的な実施の形態においても、信号S1,S2
に対し、位相変化させた後の信号を信号S12,S22
と呼称し、これらを位相差発生手段43の前後で呼び分
けることにする。
【0022】ミキサ部41に対する入力信号S1,S2
間に相対位相差を与えることは、ミキサ部41と、信号
S2の入力経路上の回路部(ここでは差動部42)との
動作タイミングをずらすことに他ならない。これによ
り、他の回路部からの影響(具体的には差動部42のス
イッチング動作)によってミキサ部41の動作が封じら
れ、その出力が遮断されることが防止される。
【0023】入力信号S1,S2間に相対位相差を与え
ることの作用効果は、図2に示したように、従来と同様
に構成されたギルバート・ミキサ回路において、入力端
a1−a2と入力端c1−c2それぞれに周波数および
信号レベルが同一である信号S1,S2を印加し、この
2信号間の相対位相差を変化させることにより容易に確
認することができる。入力端c1−c2において信号S
2に信号S1との相対位相差を生じさせることは、ミキ
サ部41からみれば、上記入力部A,Bにおける信号間
に相対位相差を与えることと等価であり、これによって
本発明の回路の理想状態を作り出すことができる。な
お、トランジスタQ1〜Q6は、従来の周波数逓倍回路
のトランジスタQ101〜Q106に対応している。
【0024】図3,図4は、そのようなシュミレーショ
ンを行った結果得られる入力信号S1,S2間の相対位
相差に対する出力信号レベルの一例を示している。図3
は、入力信号レベルが十分に大きく、回路が常に飽和領
域で動作を行う場合、図4は、入力信号レベルが十分に
小さく、回路が非飽和領域で動作する場合である。
【0025】非飽和領域動作の場合には、入力信号S
1,S2間の位相差の有無に関わらず出力信号レベルは
ほぼ一定である。これは、ミキサ部42では、他の回路
部と同期するか否かに関係なく、動作が直接出力に寄与
していることを示している。
【0026】一方、飽和領域動作においては、入力信号
間に位相差がない従来の場合(相対位相差0°,180
°)から相対位相差が大きくなるにつれて出力信号レベ
ルは増大し、相対位相差がほぼ90°で最大(ここでは
位相差0°からの信号レベル上昇分は6dB程度)とな
る。これは、差動部42のトランジスタQ1,Q2が飽
和領域でON/OFFすることにより、位相差のない従
来の場合ではミキサ部41の動作が封じられ、その分だ
け出力が低下するが、相対位相差が大きくなるほど、ミ
キサ部41は差動部42と動作タイミングがずれて、動
作が封じられる率が下がり、高効率に出力が得られるこ
とを示している。
【0027】また、図5は、入力信号S1,S2の位相
差をパラメータとしたギルバート・ミキサにおける入力
信号レベル対出力信号レベルを模式的に示した特性図で
ある。入力信号S1,S2の位相差が90°である本発
明の周波数逓倍回路と、入力信号間の位相差0°の従来
回路は、非飽和領域では同じ線形の入出力特性を示す
が、本発明の回路では、その線形性が従来回路よりも大
きな入力信号レベルまで保たれ、最大出力電力Pomax
より大きくなる。
【0028】以下、具体的な実施の形態について図面を
参照して詳細に説明する。
【0029】図6は、本発明の一実施の形態に係る送受
信装置の主要部の構成を示している。この送受信装置
は、例えば携帯電話などの無線通信における送受信機で
あって、図示したのは、その高周波段の一具体例であ
る。ここでは、高周波回路部10は、上段に示した送信
(TX)系と、下段に示した受信(RX)系とに分か
れ、それぞれスイッチ31,バンドパスフィルタ(BP
F)32を介してアンテナ33から信号を送信・受信す
るようになっている。
【0030】送信系は、ローパスフィルタ(LPF)1
1,12、変調部13、BPF14、周波数変換部15
およびパワーアンプ(PA)16を備え、変調部13に
は、局部発振器(OSC)1が分周器3を介して接続さ
れ、周波数変換部15には、OSC2が周波数逓倍回路
4を介して接続された構成となっている。LPF11,
12の各々は、入力されたIチャネルのベースバンド
(BB)信号SI およびQチャネルのベースバンド信号
Q に含まれる所定周波数成分を弁別し、変調部13に
出力する機能を有している。変調部13は、ミキサ回路
13A,13Bおよび加算器13Cからなり、LPF1
1,12を介してミキサ回路13A,13Bに入力され
た信号を、OSC1からの信号と混合することにより変
調し、IF信号SIFとして出力する機能を有している。
BPF14は、変調部13の出力からIF信号SIF以外
の成分を除去する機能を有している。
【0031】周波数変換部15は、位相器15A,15
B、ミキサ回路15C,15Dおよび加算器15Eから
なり、IF信号SIFに周波数変換を施してRF信号SRF
を得る機能を有している。ここでは、変調部13からの
IF信号SIFとOSC2からのローカル信号SLOが、そ
れぞれ、位相器15A,15Bにより位相差90°の2
種類のバランス信号に2分割され、位相(0°,180
°)のIF信号SIFと位相(90°,270°)のロー
カル信号SLOがミキサ回路15Cに、位相(90°,2
70°)のIF信号SIFと位相(0°,180°)のロ
ーカル信号SLOがミキサ回路15Dに入力されて混合さ
れ、周波数fRFに周波数変換されたRF信号SRFが生成
されるようになっている。更に、この周波数変換部15
では、ミキサ回路15C,15Dの出力は加算器15E
にて加算され、周波数fRFと対をなす側波帯成分である
イメージ信号が除去されるようになっている。また、パ
ワーアンプ16は、周波数変換部15から出力されたR
F信号SRFを増幅する機能を有している。
【0032】一方、受信系は、ロウノイズアンプ(LN
A)26、周波数変換部25、BPF24、復調部23
およびLPF21を備え、復調部23には、OSC1が
分周器3を介して接続され、周波数変換部25には、O
SC2が周波数逓倍回路4を介して接続された構成とな
っている。受信系は、送信系とは逆の操作を行う回路で
あり、LNA26は、帯域外成分をブロックして受信信
号を増幅する機能を有している。周波数変換部25は、
位相器25B、ミキサ回路25C,25Dおよび加算器
25Eからなり、受信されたRF信号SRFをローカル信
号SLOと混合することにより周波数変換を行い、IF信
号SIFとして出力する機能を有している。ここでは、R
F信号SRFが分岐されミキサ回路25C,25Dの双方
に入力されると共に、位相器25BによりOSC2から
のローカル信号SLOが位相差90°の2種類のバランス
信号に2分割され、位相(0°,180°)のローカル
信号SLOがミキサ回路25Cに、位相(90°,270
°)のローカル信号SLOがミキサ回路25Dに入力され
るようになっている。ミキサ回路25C,25Dでは、
RF信号SRFとローカル信号SLOとが混合され、IF信
号SIFが生成される。加算器25Eは、ミキサ回路25
C,25Dそれぞれの出力信号を加算し、イメージ信号
が除去された所望の周波数のIF信号SIFを出力するよ
うになっている。
【0033】BPF24は、周波数変換部25の出力か
らIF信号SIF以外の成分を除去する機能を有してい
る。復調部23は、ミキサ回路23A,23Bおよび加
算器23Cからなり、分岐されてミキサ回路23A,2
3B双方に入力されたIF信号SIFそれぞれを、OSC
1からの信号と混合し、更に加算器23Cによりこれら
を加算して復調する機能を有している。LPF21は、
入力された復調信号に含まれる所定周波数成分を弁別し
て出力する機能を有している。
【0034】なお、ここでは、OSC1はIF信号SIF
の2倍の周波数の発振信号を出力し、これを分周器3が
2分の1に分周して変調部13および復調部23に供給
するようになっている。また、OSC2は、ローカル信
号SLOの2分の1の周波数の発振信号SOSC を出力し、
これを周波数逓倍回路4が2逓倍してローカル信号S LO
に変調し周波数変換部15,25に供給するようになっ
ている。これらは、OSC1,2の電波が外部に漏れる
のを防止する目的で、OSC1,2の発振信号を直接回
路に投入しないように構成したものである。
【0035】次に、図7を参照して、本実施の形態の特
徴部分である周波数逓倍回路4の具体的な回路構成につ
いて説明する。
【0036】周波数逓倍回路4は、従来の回路と同様に
ミキサ部41,差動部42からなるギルバート・ミキサ
として構成されており、入力された発振信号SOSC を信
号S1,S2の2つに分岐させ、これらを混合すること
により2逓倍してローカル信号SLOとして出力するよう
になっている。また、周波数逓倍回路4では、入力部a
1−a2と入力部b1−b2に入力される2信号間に相
対位相差を与えるために、ミキサ部41の前段で、どち
らか一方の信号の位相をずらす操作を行う回路部を設け
るようになっている。ここでは、そのような回路とし
て、コンデンサC3,C4および抵抗R3からなるラダ
−形のRCハイパスフィルタ(HPF)53が差動部4
2の前段に設けられている。周知のように、フィルタの
周波数特性は、回路構成に応じた通過帯域を有すると共
に位相変化を伴うことから、このHPF53では、入力
信号S2が、位相遅れのある信号S22に変換される。
【0037】よって、発振信号SOSC はこれと同一の入
力信号S1,S2に分岐され、さらに信号S1はミキサ
部41の入力部a1−a2に平衡入力される。一方、信
号S2は、HPF53によって信号S2の位相を変化さ
せた(遅らせた)信号S22に変換され、差動部42を
介して入力部b1−b2に平衡入力される。
【0038】また、差動部42は、ミキサ部41の入力
部b1−b2に対し信号入力(ここでは信号S22)を
行う回路部であり、1つの差動トランジスタ対(Q1,
Q2)から構成されている。トランジスタQ1,Q2の
コレクタは、入力部b1−b2でもあるトランジスタ対
(Q3,Q4),(Q5,Q6)それぞれのエミッタに
結合されている。また、トランジスタQ1,Q2は、各
ベースが信号S22の入力配線に平衡に接続され、エミ
ッタが定電流源を介して接地されている。なお、発振信
号SOSC の入力端からミキサ部41,差動部42までの
各信号配線上には、DCカット用のコンデンサC1〜C
4が設けられている。
【0039】ミキサ部41は、入力部a1−a2,入力
部b1−b2に入力される同一周波数の入力信号(ここ
では信号S1,S22)を混合し、その2倍波を出力す
るための回路部であり、定電圧源VCCに対し交差結合
された2つの差動トランジスタ対(Q3,Q4),(Q
5,Q6)から構成されている。トランジスタQ3,Q
5のコレクタは負荷抵抗R1に結合され、トランジスタ
Q4,Q6のコレクタは負荷抵抗R2に結合されてい
る。また、トランジスタQ4,Q5のベースは入力部a
1−a2のうちa1側端子に接続され、トランジスタQ
3,Q6のベースはa2側端子に接続されている。
【0040】ここでは、ミキサ部41には、入力部a1
−a2,入力部b1−b2からそれぞれ信号S1,S2
2が入力される。信号S22は、信号S1とは同一周波
数であるが互いに位相の異なる信号であり、その前段の
差動部42の動作信号であることから、ミキサ部41と
差動部42の動作タイミングはずらされる。これによ
り、ミキサ部41のトランジスタ対(Q3,Q4),
(Q5,Q6)は、いずれも入力電流を差動部42のト
ランジスタQ1,Q2に制限されることが回避され、そ
の動作が有効に出力に寄与するようになる。
【0041】このHPF53は、コンデンサC3,C4
が、こうしたバランスミキサ回路の入力部に常套的に配
されるDCカットコンデンサを兼ねており、構成自体も
平易であることから、面積効率が高いという利点を有す
る。また、低域成分をカットする機能を備えているため
にノイズ低減も期待することができる。なお、HPF5
3のカットオフ周波数fc は、信号S2の周波数近くに
設定するとよい。
【0042】前述したように、出来るだけ大きな出力電
力を得るには、信号S1,S22間に与える位相差は9
0°付近まで大きくすることが望ましい(図5参照)。
しかしながら、実際には、この周波数逓倍回路4の線形
動作領域でのコンバージョンゲインCGは、損失のため
に信号S1,S22の相対位相差に比例して低下し、入
出力特性は図8に示したようになる。ただし、本実施の
形態においては、入力信号である発振信号SOSC の信号
レベルは比較的高く、元々、線形動作領域を用いないこ
とから、ゲイン低下は問題とならない。寧ろ、HPF5
3を設けることで、ゲイン低下と引き換えに位相差の寄
与分だけ最大出力電力Pomaxを引き上げることができ、
比較的信号レベルが高い動作領域における出力信号レベ
ルの向上を図ることができる。
【0043】そこで、周波数逓倍回路4は、信号S2の
周波数(発振信号SOSC の周波数)によって実現可能な
HPF53の構成、信号S1,S22の位相差、見込ま
れる発振信号SOSC の信号レベル等の兼ね合いを考慮し
て、ミキサ部41が従来どおり信号S1,S2が入力さ
れる(位相差0°)ときに比べて大きな出力電力が得ら
れる動作領域で動作するよう、適宜に設計される。例え
ば、本実施の形態のように、送受信装置にて局部発振器
出力の逓倍に適用する場合には、信号S1,S22間の
位相差を45°〜60°程度とする構成が主に用いられ
ることが考えられる。
【0044】次に、高周波回路部10、特に周波数逓倍
回路4の動作について説明する。
【0045】送信系では、図6において、Iチャネルの
ベースバンド(BB)信号SI がLPF11に入力され
る。また、Qチャネルのベースバンド信号SQ がLPF
12に入力される。LPF11,12は、入力された信
号SI ,SQ のうち所定周波数成分を変調部13に出力
する。変調部13は、LPF11,12を介して入力さ
れた信号をOSC1からの発振信号と混合して変調し、
IF信号SIFを出力する。BPF14は、IF信号SIF
からノイズ成分を除去して周波数変調部15に出力す
る。周波数変調部15は、IF信号SIFとOSC2から
の発振信号SOSCを逓倍して得られるローカル信号SLO
とを混合し、周波数fRFに周波数変換されたRF信号S
RFを出力する。パワーアンプ16は、周波数変調部15
からのRF信号SRFを増幅して出力する。
【0046】こうして、送受信回路はRF信号SRFを高
周波の送信信号として出力する。この信号は、更に、ス
イッチ31,BPF32を介してアンテナ33に入力さ
れ、ここから出力される。
【0047】受信系では、送信系とは逆の信号処理が行
われる。すなわち、アンテナ33に入力された受信信号
が、BPF32,スイッチ31を介し、RF信号SRF
してLNA26に出力される。LNA26は、RF信号
RFを増幅して周波数変換部25に出力する。周波数変
換部25は、RF信号SRFとOSC2からの発振信号S
OSC を逓倍して得られるローカル信号SLOとを混合し、
周波数fIFに周波数変換されたIF信号SIFを出力す
る。BPF24は、IF信号SIFからノイズ成分を除去
して復調部23に出力する。復調部13は、IF信号S
IFをOSC1からの発振信号と混合して復調し、LPF
21に出力する。LPF21は、復調信号のうち所定周
波数成分を出力する。
【0048】ここで、OSC2の発振信号SOSC は、周
波数逓倍回路4によって2逓倍されローカル信号SLO
して周波数変換部15,25に出力される。なお、この
発振信号SOSC は信号レベルが高く、周波数逓倍回路4
の各トランジスタQ1〜Q6は、通常の飽和領域で動作
するものとする。
【0049】周波数逓倍回路4では、入力された発振信
号SOSC が2つに分岐され、一方は信号S1としてミキ
サ部41に、もう一方は信号S2としてHPF53に入
力される。HPF53は、入力された信号S2を位相変
化(遅れ)のある信号に変換し、信号S1との間に位相
差を有する信号S22として差動部42へ出力する。差
動部42は、トランジスタQ1,Q2にベース入力され
た信号S22を差動増幅して、コレクタ電流としてミキ
サ部41の入力部b1−b2へ出力する。なお、このと
きトランジスタ対(Q1,Q2)は、飽和領域動作、つ
まりON/OFFのスイッチング動作を行う。ミキサ部
41は、トランジスタQ3〜Q6に対し、入力部a1−
a2からベース入力される信号S1と、入力部b1−b
2からエミッタ入力される信号S22とを混合し、周波
数変調を行うことで、発振信号S OSC の2倍波をローカ
ル信号SLOとして出力する。
【0050】その際、入力される信号S1,S22に位
相差があるために、ミキサ部41とその前段の差動部4
2とでは、動作タイミングがずれる。これにより、ミキ
サ部41のトランジスタ対(Q3,Q4),(Q5,Q
6)はいずれも、入力電流を差動部42のトランジスタ
対(Q1,Q2)のON/OFF動作によって制限され
ることが回避され、差動状態を保つことができるように
なる。トランジスタ対(Q3,Q4),(Q5,Q6)
の動作が有効に出力に寄与するようになる。
【0051】よって、周波数逓倍回路4の出力電力は増
大し、その効率が向上する。結果、この周波数逓倍回路
4においては、所定のローカル信号SLO出力に対する消
費電流が少なくて済む、あるいは、より高い信号レベル
のローカル信号SLOを出力することができるという利点
が生じる。また、高周波回路部10においては、この周
波数逓倍回路4は信号源であるから、回路全体の消費電
流が抑制されることとなる。
【0052】以上説明したように本実施の形態における
周波数逓倍回路4では、入力された発振信号SOSC を分
岐させて信号S1,S2に分け、信号S1をミキサ部4
1に入力すると共に、信号S2をHPF53により位相
変化させて信号S22に変換し、この信号S22を差動
部42を介してミキサ部41に入力するようにしたの
で、ミキサ部41は、信号S1,S22間に生じる位相
差によって差動部42との動作タイミングがずれ、トラ
ンジスタ対(Q3,Q4),(Q5,Q6)の差動状態
が保たれる。従って、その出力電力を増大させ、効率を
向上させることができる。換言すると、大きな消費電流
を必要とせずに所定の信号レベルの出力を得ることが可
能であり、また同時に、出力信号レベルを向上させるこ
とも可能である。
【0053】また、本実施の形態における送受信装置で
は、発振信号SOSC からローカル信号SLOを得、周波数
変調部15,25に出力するために、OSC2の次段に
この周波数逓倍回路4を設けるようにしたので、大きな
消費電流を必要とせずに高い信号レベルのローカル信号
LOが得られると共に、全体の消費電流を低減させるこ
とができる。
【0054】[変形例]次に、図7に示した周波数逓倍
回路4の変形例について説明する。なお、以下で説明す
る変形例は、図7に示した回路例と構成が部分的に異な
っているのみであり、回路全体の作用、動作は、基本的
に同様である。
【0055】図9は、周波数逓倍回路4の第1の変形例
を示している。この変形例では、入力部a1−a2の前
段にHPF63が設けられている。HPF63は、コン
デンサC1,C2および抵抗R4によって、HPF53
と同様に構成されている。本変形例では、HPF63
が、信号S1を位相変化(遅れ)のある信号S12に変
換して出力するので、ミキサ部41に対する入力信号S
12,S2の間に位相差が発生する。ミキサ部41とそ
の前段の差動部42は、動作信号である信号S12,S
2の位相ずれによって動作タイミングがずれる。
【0056】なお、このように、ここではミキサ部41
とその前段の差動部42との動作タイミングをずらすこ
とが肝要であって、そのためには、ミキサ部41に入力
される2信号に与えられる位相差は相対的なものであれ
ばよい。
【0057】図10は、周波数逓倍回路4の第2の変形
例を示している。この変形例では、信号S2が入力され
る差動部42の前段に、LPF73が設けられている。
LPF73は、抵抗R5,R6およびコンデンサC5に
よって構成されている。すなわち、本変形例では、LP
F73が、信号S2を位相変化(進み)のある信号S2
2に変換して出力するので、ミキサ部41に対する入力
信号S1,S22の間に位相差が発生する。
【0058】図11は、周波数逓倍回路4の第3の変形
例を示している。この変形例では、信号S1が入力され
る入力部a1−a2の前段に、LPF83が設けられて
いる。LPF83は、抵抗R7,R8およびコンデンサ
C6によって、LPF73と同様に構成されている。す
なわち、本変形例では、LPF83が、信号S1を位相
変化(進み)のある信号S12に変換して出力するの
で、ミキサ部41に対する入力信号S12,S2の間に
位相差が発生する。
【0059】図12は、周波数逓倍回路4の第4の変形
例を示している。差動部42は、高域側でゲインが低下
する周波数特性を有している。本変形例は、この差動部
42における減衰域を低域側にずらし、これをLPFと
して利用するようにしたものである。ここでは、差動部
42は、LPFとして機能するに十分な程度までセルサ
イズが大きなトランジスタQ11,Q12から構成され
る。すなわち、トランジスタQ11,Q12は、差動部
42に通常用いられるトランジスタQ1,Q2に比べ
て、エミッタ長を長くしたものとなっている。これは、
例えば、こうした回路に通常用いられるトランジスタを
複数個結合させて実現することができる。そのセルサイ
ズは任意であるが、例えばトランジスタQ3〜Q6より
も大きくすることを1つの目安として選ぶとよく、結合
個数が2,3個であってもよい。この回路は、従来と同
等の素子数で構成することができるという利点を有して
いる。本変形例においては、差動部42において信号S
2が位相変化(進み)のある信号S22に変換されて出
力されることにより、ミキサ部41に対する入力信号S
1,S22の間に位相差が発生する。
【0060】図13は、周波数逓倍回路4の第5の変形
例を示している。この変形例では、差動部42とミキサ
部41との間にコンデンサC7が設けられている。この
ように配されたコンデンサC7は、一種のLPFであ
り、信号S2を位相変化(進み)のある信号S22に変
換するものである。これにより、ミキサ部41に対する
入力信号S1,S22の間に相対位相差が発生する。
【0061】この周波数逓倍回路の具体的な性能データ
をシミュレーションによって示す。以下の条件を用い
て、本変形例(C7有り)と従来例(C7無し)それぞ
れの場合について入出力特性を調べた。なお、ここで
は、信号S1は、ミキサ部41のトランジスタQ3〜Q
6のベース電圧、信号S2,S22はエミッタ電流に相
当するものとし、それぞれの位相を比較して位相差を求
めている。
【0062】入力周波数…1GHz 出力周波数…2GHz Vcc=2.8V Icc=2mA
【0063】図14にシミュレーション結果を示す。入
力信号レベルが高い動作領域では、従来例に対し、本変
形例は高い出力信号レベルを示す。例えば、入力信号レ
ベル−10dBm(図14の矢印の位置)のとき、 (本変形例) 出力信号レベルPout … −16.7dBm 入力信号S1,S22の位相差 … 43.5° (従来例) 出力信号レベルPout … −21.9dBm 入力信号S1,S2の位相差 … 2.7° となる。
【0064】これにより、本周波数逓倍回路では、コン
デンサC7を挿入して入力信号S1,S2間に位相差を
与えるために、従来よりも出力電力Pout が高くなるこ
とがわかる。
【0065】次に、以上に説明した周波数逓倍回路4お
よびその変形例が組み合わせられた応用例について説明
する。
【0066】[応用例]図15は、第1の応用例に係る
周波数逓倍回路の構成を示している。この応用例は、入
力部a1−a2の前段にLPF83が、差動部42の前
段にHPF53がそれぞれ設けられたものである。これ
により、信号S1は位相が進んだ信号S12に変換さ
れ、信号S2は位相が遅れた信号S22に変換され、ミ
キサ部41に入力される信号S12,S22間に相対位
相差が発生する。
【0067】実施の形態および変形例のように、位相差
発生手段43がLPFまたはHPF単体の場合には、実
際に回路を構築する際の条件を考慮すると、発生可能な
位相ずれは45°程度までと想定される。これに対し、
本応用例では、信号S1,S2の位相を同時に逆方向に
ずらすことにより、より相対位相差を広げることができ
る。また、相対位相差90°を実現することが可能であ
り、位相差の寄与による出力信号レベルの増分を最大に
まで引き上げることができる。
【0068】ただし、相対位相差を90°近辺まで大き
くすることができるのは、先に実施の形態で示したよう
に(図8)、回路がかなり大きな電力を扱う場合に限ら
れる。例えば、出力の大きな外付け発振器の逓倍段とし
て用いる場合などがそれにあたる。
【0069】図16は、第2の応用例に係る周波数逓倍
回路の構成を示している。この応用例は、上記第1の応
用例とは逆に、入力部a1−a2の前段にHPF63
が、差動部42の前段にLPF73がそれぞれ設けられ
たものである。これにより、信号S1は位相が遅れた信
号S12に変換され、信号S2は位相が進んだ信号S2
2に変換され、ミキサ部41に入力される信号S12,
S22間に相対位相差が発生する。本応用例において
も、信号S1,S2の位相を同時に逆方向にずらすこと
で、より相対位相差を広げることができると共に、相対
位相差90°を実現することが可能である。
【0070】図17は、第3の応用例に係る周波数逓倍
回路の構成を示している。この応用例は、上記第2の応
用例におけるLPF73を、同じく信号S2の入力経路
上に設けられるLPFとしての機能を有する他の回路要
素で替えたものである。ここでは、差動部42のトラン
ジスタQ11,Q12がそれにあたる。これにより、信
号S1は位相が遅れた信号S12に変換され、信号S2
は位相が進んだ信号S22に変換され、ミキサ部41に
入力される信号S12,S22間に相対位相差が発生す
る。この場合も、信号S1,S2の位相を同時に逆方向
にずらすことで、より相対位相差を広げることができる
と共に、相対位相差90°を実現することも可能であ
る。
【0071】図18は、第4の応用例に係る周波数逓倍
回路の構成を示している。この応用例では、上記第2の
応用例におけるLPF73に替えて、コンデンサC7が
設けられている。これにより、信号S1は位相が遅れた
信号S12に変換され、信号S2は位相が進んだ信号S
22に変換され、ミキサ部41に入力される信号S1
2,S22間に相対位相差が発生する。この場合も、信
号S1,S2の位相を同時に逆方向にずらすことで、よ
り相対位相差を広げることができると共に、相対位相差
90°を実現することも可能である。
【0072】以上に示した変形例および応用例のうちい
ずれの構成を採用するかは、回路に要求される入力およ
び出力信号レベル、発生させるべき位相差などとの兼ね
合いによって適宜に決定される。また、変形例同士を組
み合わせた構成は他にも考えられ、そうした回路を用い
てもよい。
【0073】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れず種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施の
形態では、周波数逓倍回路の基本構成にバイポーラトラ
ンジスタを用いるようにしたが、本発明の周波数逓倍回
路は、基本構成がギルバート形バランスミキサであれば
よく、MOS−FETなどの素子で構成されていても構
わないのは勿論である。
【0074】また、本発明の周波数逓倍回路は、無線通
信システムの送受信回路における局部発振器出力の逓倍
段に限定されず、所定周波数の入力信号を2逓倍する回
路として広く適用することができる。
【0075】更に、本発明の送受信装置は、図6に示し
た構成に限定されず、RF帯を利用した種々の無線通信
システムにおける送受信装置に対し適用可能である。ま
た、送信系または受信系のみからなる通信システムに対
しても適用可能である。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし8
のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路によれば、ミキ
サ部の第1および第2の入力部の少なくとも一方の前段
に、各々に入力される第1および第2の入力信号間に相
対位相差を与える位相差発生手段を設けるようにしたの
で、ミキサ部は、その前段に設けられる他の回路部との
動作タイミングがずれ、他の回路部、例えばミキサ部の
前段に設けられる差動部からの動作制限の影響が低減さ
れる。よって、ミキサ部の差動対の動作が有効に出力に
寄与するようになり、出力電力を増大させ、効率を向上
させることが可能となる。これにより、大きな消費電流
を必要とせずに、所望の出力レベルまたは従来以上の信
号レベルの出力を得ることが可能であり、例えば、発振
器出力の逓倍段に用いて、その回路系全体の消費電流を
低減させることが可能となる。
【0077】また、請求項3または4に記載の周波数逓
倍回路によれば、位相差発生手段としてRCフィルタを
設けるようにしたので、簡易な構成で入力信号の位相を
変化させることができる。特に、RCフィルタがハイパ
スフィルタである場合には、同時に、信号に含まれる低
域成分を除去することができる。
【0078】また、請求項5記載の周波数逓倍回路によ
れば、位相差発生手段として、第1の入力部の前段にR
CハイパスフィルタおよびRCロウパスフィルタの一方
を設けると共に、差動部の前段に他方を設けるようにし
たので、第1および第2の入力信号は互いに逆方向に位
相がずらされ、信号の一方の位相をずらす場合よりも大
きな相対位相差を発生させることができる。また、相対
位相差を90°まで広げることができ、位相差にる出力
電力の増分を最大となるまで引き上げることができる。
【0079】また、請求項7記載の周波数逓倍回路によ
れば、位相差発生手段として、差動部に、ミキサ部を構
成するものよりもセルサイズの大きなトランジスタを設
けるようにしたので、従来の回路からトランジスタサイ
ズのみを変更すればよく、素子点数を増やさずに済み、
極めて簡易に構成することができる。
【0080】また、請求項9に記載の送受信装置によれ
ば、本発明の周波数逓倍回路を局部発振器の次段に設け
るようにしたので、大きな消費電流を必要とせずに高い
信号レベルの局部発振信号を供給することが可能であ
り、回路系全体の消費電流を低減させることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の周波数逓倍回路の基本的な構成を説明
するための概念図である。
【図2】本発明の周波数逓倍回路における基本的な作用
効果を説明するためのシュミレーション回路を示す回路
図である。
【図3】図2に示した回路によるシュミレーションから
得られた飽和領域における入力信号間の相対位相差に対
する出力信号レベルを示す特性図である。
【図4】図2に示した回路によるシュミレーションから
得られた非飽和領域における入力信号間の相対位相差に
対する出力信号レベルを示す特性図である。
【図5】図2に示した回路における入力信号レベルに対
する出力信号レベルを示す特性図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る送受信回路の構成
を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る周波数逓倍回路の
具体的な構成を示す回路図である。
【図8】図7に示した周波数逓倍回路における入力信号
レベルに対する出力信号レベルを示す特性図である。
【図9】図7に示した周波数逓倍回路に対する第1の変
形例を示す回路図である。
【図10】図7に示した周波数逓倍回路に対する第2の
変形例を示す回路図である。
【図11】図7に示した周波数逓倍回路に対する第3の
変形例を示す回路図である。
【図12】図7に示した周波数逓倍回路に対する第4の
変形例を示す回路図である。
【図13】図7に示した周波数逓倍回路に対する第5の
変形例を示す回路図である。
【図14】図13に示した周波数逓倍回路の特性のシュ
ミレーション結果を示す特性図である。
【図15】図7および図10に示した周波数逓倍回路に
対する応用例を示す回路図である。
【図16】図8および図9に示した周波数逓倍回路に対
する応用例を示す回路図である。
【図17】図16に示した周波数逓倍回路に対する応用
例を示す回路図である。
【図18】図16に示した周波数逓倍回路に対する応用
例を示す回路図である。
【図19】従来の送受信装置における局部発振器からの
回り込みの原理を説明するための図である。
【図20】従来の周波数逓倍回路の構成を示す回路図で
ある。
【符号の説明】
1,2…局部発振器、3…分周器、4…周波数逓倍回
路、10…高周波回路部、11,12,21…LPF
(ローパス・フィルタ)、13…変調部、14,24…
BPF(バンドパス・フィルタ)、15,25…周波数
変換部、16…PA(パワーアンプ)、26…LNA
(ロウノイズアンプ)、31…スイッチ、32…BP
F、33…アンテナ、41…ミキサ部、42…差動部、
53,63…HPF(ロウパスフィルタ)、73,83
…LPF(ハイパスフィルタ)、a1−a2,b1−b
2…入力部、Q1〜Q6,Q11,Q12…トランジス
タ、R1〜R7…抵抗、C1〜C7…コンデンサ、S
OSC …局部発振器出力、S1,S12,S2,S22…
入力信号、SLO…ローカル信号、SIF…IF(中間周波
数)信号、SRF…RF(無線周波数)信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪田 英俊 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 アールエフ・チップス・テクノロジー株 式会社内 (72)発明者 小日向 宏一 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 アールエフ・チップス・テクノロジー株 式会社内 Fターム(参考) 5K011 DA06 JA01 KA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一周波数の第1および第2の入力信号
    を混合し、周波数を2倍に変調して出力する周波数逓倍
    回路であって、 交差結合された2つの差動対により構成されると共に、
    前記第1の入力信号が入力される第1の入力部、および
    前記第2の入力信号が入力される第2の入力部を有する
    ミキサ部と、 前記第1および第2の入力部の少なくとも一方の前段に
    設けられ、前記第1および第2の入力信号の間に相対位
    相差を与える位相差発生手段とを備えたことを特徴とす
    る周波数逓倍回路。
  2. 【請求項2】 前記第2の入力部の前段に設けられ、前
    記ミキサ部と共にギルバートセル形ダブルバランスミキ
    サを構成する差動部をさらに備え、 前記第2の入力信号は、前記差動部を介して前記第2の
    入力部に入力されるようになされていることを特徴とす
    る請求項1記載の周波数逓倍回路。
  3. 【請求項3】 前記位相差発生手段として、少なくと
    も、前記ミキサ部の第1の入力部の前段にRCフィルタ
    が設けられていることを特徴とする請求項1または2に
    記載の周波数逓倍回路。
  4. 【請求項4】 前記位相差発生手段として、前記差動部
    の前段にRCフィルタが設けられていることを特徴とす
    る請求項2または3に記載の周波数逓倍回路。
  5. 【請求項5】 前記位相差発生手段として、前記ミキサ
    部の第1の入力部の前段にRCハイパスフィルタおよび
    RCロウパスフィルタの一方が設けられると共に、前記
    差動部の前段に他方が設けられていることを特徴とする
    請求項2記載の周波数逓倍回路。
  6. 【請求項6】 前記位相差発生手段として、前記ミキサ
    部の第2の入力部と前記差動部との間に容量素子が設け
    られていることを特徴とする請求項2または3に記載の
    周波数逓倍回路。
  7. 【請求項7】 前記位相差発生手段として、前記差動部
    に、前記ミキサ部を構成するトランジスタより大きなセ
    ルサイズのトランジスタが設けられていることを特徴と
    する請求項2または3に記載の周波数逓倍回路。
  8. 【請求項8】 前記位相差発生手段は、前記ミキサ部が
    前記第1および第2の入力信号の相対位相差が0°のと
    きよりも大きな出力電力が得られる動作領域で動作する
    ような相対位相差を与えるように構成されていることを
    特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の周
    波数逓倍回路。
  9. 【請求項9】 送信信号および受信信号の送受信を行う
    送受信回路部、局部発振信号源となる局部発振器、なら
    びに、前記局部発信器からの信号を同一周波数の第1お
    よび第2の入力信号に分けて混合し、その2倍波を前記
    送受信回路部に出力する周波数逓倍回路を含んで構成さ
    れた送受信装置であって、 前記周波数逓倍回路が、 交差結合された2つの差動対により構成されると共に、
    前記第1の入力信号が入力される第1の入力部、および
    前記第2の入力信号が入力される第2の入力部を有する
    ミキサ部と、 前記第1および第2の入力部の少なくとも一方の前段に
    設けられ、前記第1および第2の入力信号間に相対位相
    差を与える位相差発生手段とを備えて構成されているこ
    とを特徴とする送受信装置。
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