JP2003227893A - 原子炉格納容器内雰囲気の漏洩抑制装置及び原子炉設備 - Google Patents

原子炉格納容器内雰囲気の漏洩抑制装置及び原子炉設備

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JP2003227893A
JP2003227893A JP2002027542A JP2002027542A JP2003227893A JP 2003227893 A JP2003227893 A JP 2003227893A JP 2002027542 A JP2002027542 A JP 2002027542A JP 2002027542 A JP2002027542 A JP 2002027542A JP 2003227893 A JP2003227893 A JP 2003227893A
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reactor
pressure
containment vessel
vessel
reactor containment
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Hiroyuki Nagayoshi
拓至 永▲吉▼
Masaya Otsuka
雅哉 大塚
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Hitachi Ltd
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    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】事故時の原子炉格納容器からの放射性物質の漏
洩を大幅に低減できる機構を、電源を要せず、人的操作
が少なくて済む機構に構成する。 【解決手段】原子炉運転時には閉じられる原子炉格納容
器11のハッチ15,23などのシール部に空洞部3を
設け、その空洞部3に原子炉格納容器11の外部に設け
た加圧容器1を連通管を介して接続する。さらに、同じ
温度における飽和圧力が水よりも大きな液状の加圧媒体
を加圧容器1内へ注入しておき、事故時に発生した原子
炉格納容器11内の熱を分離型ヒートパイプ7で加圧容
器1内の加圧媒体に伝達して空洞部3に高圧を付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炉心の冷却に水を用
いた原子炉設備に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉設備の典型的な例として原子力発
電設備が掲げられる。炉心の冷却材として軽水を用いた
商用の原子力発電設備では、図2のように一般的に原子
炉格納容器を設けている。原子炉格納容器の目的のひと
つは、万一重大な事故が発生して炉心内の放射性物質が
原子炉圧力容器から放出されても、それらを発電設備内
に閉じ込めることで発電所敷地周辺への大量の放出を防
ぐことである。
【0003】1350MWe級改良沸騰水型原子炉(A
BWR)の原子炉建屋の概略構造を図2に示す。原子炉
圧力容器13は黒塗りして示す原子炉格納容器11内に
配置され、原子炉格納容器11の外周には原子炉建屋1
4が設けられている。
【0004】ABWRの原子炉格納容器11は鋼製ライ
ナを内張りした鉄筋コンクリート製で、気密性を有する
ように内壁面が鋼で構成される。原子炉格納容器11の
形状は、全高約36m,内径29m及び側壁厚さ約2m
のほぼ円筒形である。
【0005】原子炉格納容器11の内部は原子炉圧力容
器13などを取り囲むドライウェル25,サプレッショ
ン・チェンバ19及び基礎版などから構成される。ドラ
イウェル25とサプレッション・チェンバ19は鉄筋コ
ンクリート製のダイヤフラム・フロア26により区画さ
れ、ベント管21によって相互に連通されている。原子
炉圧力容器13が破損してドライウェル25内に放出さ
れた蒸気は、ベント管21を通ってサプレッション・チ
ェンバ19内の水中に導かれる。サプレッション・チェ
ンバ19内の水で蒸気を凝縮することで原子炉格納容器
11内の圧力上昇を抑制する。
【0006】放射性物質の外部への漏洩を防ぐため、原
子炉格納容器11上端部のドライウェル・ヘッド15,
機器搬入口及びサプレッション・チェンバ出入口27の
ハッチは二重のガスケットでシール、即ち二重シール化
されている。また所員用エアロックは二重ハッチ構造と
され、二重ハッチ構造では二重のドアがインターロック
によって同時に開かないようになっている。原子炉格納
容器11を貫通する配管及び電気配線貫通部は鋼製ライ
ナに直接固定され、これら配管類には隔離弁や過流量逆
止弁が機能や形態に基づく一定の基準に従って設けられ
ている。これらの対策によって、原子炉格納容器11か
らの漏洩率は、常温、最高使用圧力の0.9倍の圧力,
空気の条件に対して0.4%/d以下にまで低く抑えら
れている。
【0007】原子炉格納容器11を囲む原子炉建屋14
内は非常用ガス処理系によって外気に対して負圧に保た
れ、原子炉建屋14外への内部気体の直接放出を防ぐと
もに、放出しなければならない放射性物質の量を最低限
としている。原子炉建屋14も高い機密性を持ち、約6
mmaqの負圧に対して、外気から空気漏入は建屋空間容積
の50%/d以下としている。非常用ガス処理系は、湿
温除去装置,排気ファン及びフィルタ装置等より構成さ
れ、漏入と同量の処理能力を持っている。フィルタ装置
にはヨウ素用チャコール・フィルタ及び高性能粒子フィ
ルタが設けられており、それぞれ対象とする成分の9
9.99%及び99.9%を除去できる。非常用ガス処理
系に吸入された原子炉建屋14内の空気は、フィルタ装
置によって放射性物質を除去した後、地上高約73mに
設けられた排気口より放出される。なお、非常用ガス処
理系は非常用電源に接続されており、発電所外部からの
電源供給が無くとも運転制御ができるようになってい
る。
【0008】また、電気配線貫通部を介した原子炉格納
容器11からの漏洩を低減する発明として特開平7−1
04089号公報や特許第2813360号公報に開示
された内容がある。特開平7−104089号公報に開
示されたものは、原子炉格納容器11内部より取り出さ
れる電気配線は合成樹脂によって原子炉格納容器11を
貫通するスリーブ内に固定されている。この発明は、合
成樹脂で満たされているスリーブ内に空洞部を設け、こ
の空洞部内に原子炉格納容器11内よりも高圧のガスを
外部電源作動型コンプレッサより供給するもので、劣化
などが原因で合成樹脂内に漏洩経路が発生しても放射性
物質の漏洩を防ぐことができる。なお、ガス圧力は原子
炉格納容器11内の圧力よりも常に高くなるように調整
される。
【0009】特許第2813360号公報に開示された
内容は、貫通部を外側から加圧室で覆い、その加圧室内
をガスボンべなどの加圧装置からのガスで加圧して原子
炉格納容器内の圧力よりも加圧室内の圧力を高く維持し
て原子炉格納容器内から貫通部を通じて外部へ原子炉格
納容器内の雰囲気が外部へ漏洩するのを抑制する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】万一重大な事故が発生
して炉心内の放射性物質が原子炉圧力容器から放出され
た場合でも、ABWRの原子炉格納容器では鋼製ライナ
の採用やハッチのシールの二重化により漏洩量を極めて
低く抑えられる。また特開平7−104089号公報や
特許第2813360号公報に開示された機構を用いれ
ば、さらに電気配線貫通部を漏洩経路とする漏洩を低減
できる。
【0011】しかしながら、原子炉格納容器からの放射
性物質の漏洩量はできるだけ少ないことが望ましい。ま
た漏洩量を低減する何らかの機構を設けた場合には、必
要時に確実に起動し、かつ連続的に機能できる高い信頼
性が求められ、さらに電源や加圧室やガスボンベが確保
できない場合などの厳しい条件下でも機能できることが
望ましい。
【0012】本発明の目的は、電源や人的操作を極力省
いて、事故時の原子炉格納容器からの放射性物質の漏洩
を大幅に低減できる装置と、その装置を備えた原子炉設
備を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の基本的構成は、
加圧媒体を入れる加圧容器と、前記加圧容器を原子炉格
納容器の開口のシール部に形成された空間に接続する管
路と、前記原子炉格納容器内の熱を前記加圧容器内に伝
達する手段を備えるものであり、原子炉格納容器内が冷
却材の漏洩により異常な熱を持つに至った場合に、その
熱が加圧容器内に伝達されて加圧容器内の加圧媒体を加
熱して加圧容器内の圧力を高めてその圧力をシール部の
空間に加えてシール部を越えて漏洩しようとする原子炉
格納容器内の雰囲気の原子炉格納容器外への移動を抑制
する。
【0014】このような基本的構成を原子炉設備に採用
すると、水によって冷却される炉心を内蔵する原子炉圧
力容器と、前記原子炉圧力容器を内蔵する原子炉格納容
器と、前記原子炉格納容器の内外間の貫通部をシール部
を介して閉じる手段とを備えた原子炉設備において、前
記シール部に想定される前記原子炉格納容器の内外部を
結ぶ漏洩経路中に空間を有し、前記原子炉格納容器の外
部に設けられた加圧容器と前記空間とを接続する管路を
有し、さらに、100℃以上の温度領域で同じ温度にお
ける飽和圧力が前記水よりも大きな液状の加圧媒体を前
記加圧容器内へ注入する手段を備えた原子炉設備を提供
できる。
【0015】同じく、水によって冷却される炉心を内蔵
する原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器を内蔵する
原子炉格納容器と、前記原子炉格納容器の内外間の貫通
部を閉じる二重ハッチとを備えた原子炉設備において、
前記原子炉格納容器の外部に設けられた加圧容器と前記
二重ハッチの各ハッチ間の空間とを接続する管路を有
し、さらに、100℃以上の温度領域で同じ温度におけ
る飽和圧力が前記水よりも大きな液状の加圧媒体を前記
加圧容器内へ注入する手段を備えた原子炉設備を提供で
きる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施例における原子
炉設備の一部を図1に模式的に示す。本実施例における
原子炉設備は原子力発電設備である。原子力発電設備の
原子炉格納容器11は図1中で黒塗り表示されている。
その原子炉格納容器11の上部にサプレッション・チェ
ンバ19を有し、その上部には分離型ヒートパイプ7の
蒸発器7aを配置している。分離型ヒートパイプ7とは
外部を高温側とする蒸発器7aと外部を低温側とする蒸
気の凝縮器7bをループ状に配管接続したものであり、
本実施例では内部に水を封入している。
【0017】分離型ヒートパイプの凝縮器7bは、原子
炉格納容器11外に設けられて外気が通過可能なドラフ
トチューブ29内に配置している。事故時に原子炉圧力
容器13から原子炉冷却材がドライウェル25内に放出
されて漏洩状態を起こすと、放出された原子炉冷却材は
高温の蒸気となってドライウェル25内に一旦は残留す
るが、すぐさまベント管21を介してサプレッション・
チェンバ19に導入される。
【0018】その高温の蒸気をサプレッション・チェン
バ19内の冷却水(プール水)によって凝縮すること
で、原子炉格納容器11の内部圧力の上昇を抑制する。
サプレッション・チェンバ19への蒸気流入が続いて内
部の冷却水が飽和に達してこれ以上の凝縮が不可能とな
ると、分離型ヒートパイプによるサプレッション・チェ
ンバ19から外気への熱放出が開始される。上述したよ
うに分離型ヒートパイプ内には水が封入されているた
め、サプレッション・チェンバ19内の温度が水の飽和
温度以上となると、蒸発器7a内の封入水がサプレッシ
ョン・チェンバ19内の蒸気から受け取った熱で沸騰し
始め、同時に熱を奪われたサプレッション・チェンバ1
9内の蒸気は凝縮する。
【0019】蒸発器7a内で発生した蒸気は分離型ヒー
トパイプの蒸気の流路である蒸気側配管7cを通って凝
縮器7bの入口から凝縮器7b内に流入し、ドラフトチ
ューブ29内の外気に熱を放出して凝縮水となり、凝縮
器7bの出口から凝縮した液体の流路である凝縮水側配
管7dを介して再び蒸発器7aに戻る。
【0020】以上のように、流体の移動により事故時に
発生した原子炉格納容器内の熱を原子炉格納容器外の外
気に輸送して放出する仕組みによって分離型ヒートパイ
プは極めて効率良くサプレッション・チェンバ19内の
熱を原子炉格納容器11外に放出できるため、本実施例
で示す原子炉設備では原子炉格納容器11の破損に至る
ような内部圧力の上昇は発生しない。また分離型ヒート
パイプの作動には一切の動力は不要であり、かつ、可動
部等を有さないために確実に作動することが期待でき
る。
【0021】本発明の原子炉設備における原子炉格納容
器11からの放射性物質の漏洩低減機構は、加圧容器
1,原子炉格納容器の開口をシールするためのシール部
に形成された空間である空洞部3,連通管5,加圧媒体
注入・廃棄系,高圧ガス供給系及び排気系104から構
成する。
【0022】加圧媒体注入・廃棄系は、加圧媒体保管容
器44,ポンプ45,加圧媒体廃棄系105及び付随す
るバルブ,配管等によって構成する。本系統により、加
圧媒体の加圧容器への注入,保管,使用済み加圧媒体の
一時保管,廃棄処理等を行う。
【0023】高圧ガス供給系は圧縮空気系101,不活
性系103,ヘッダ41及び付随するバルブ,配管等に
より構成される。圧縮空気系101及び不活性系103
はともに現行ABWRにも設けられているため、沸騰水
型原子炉の場合には配管類の僅かな追加によって必要な
系統を構成できる。本系統により、空洞部3,連通管5
及び加圧容器1内の不活性化,加圧ガス供給源のバック
アップ等に用いる。また排気系104も現行ABWRに
設けられているため、加圧容器1との間の配管と圧力逃
がしバルブ43の追加によって容易に構成できる。加圧
容器1より排気系104に流入した加圧媒体蒸気は原子
炉建屋14外に設けられている排気塔に導かれ、高所よ
り外気へと放出される。
【0024】なお、高圧ガス供給系及び加圧媒体注入・
廃棄系の役割と原子炉の運転状態との関係は、運転方法
に関連して後述する。
【0025】加圧容器1は原子炉格納容器11の上部
に、分離型ヒートパイプの蒸気側配管7cに内部を貫通
させて配置し、内部には加圧媒体として1−プロパノー
ルを注入している。このような構成とすることで、分離
型ヒートパイプの作動時には蒸気側配管7c内を流れる
蒸気の熱、即ち事故時に原子炉格納容器内に発生した熱
の一部を加圧容器1内に伝達し、その加圧容器1内の加
圧媒体にも伝達できる。本実施例では蒸気から加圧媒体
への伝熱面積を増大するために、加圧容器1内で分離型
ヒートパイプの蒸気側配管7cを螺旋状としている。蒸
気側配管7cを加圧容器1に貫通することが何らかの支
障で出来ない場合には、蒸気側配管7cの配管を加圧容
器1の外面に巻きつけるなどして蒸気側配管7cと加圧
容器1とを熱伝達可能に接触させるようにしても良い。
【0026】原子炉格納容器の開口部を閉じる手段とし
てドライウェル・ヘッド15や機器搬入ハッチ23が原
子炉格納容器に対して脱着自在に装備されている。ドラ
イウェル・ヘッド15や機器搬入ハッチ23が据えられ
る原子炉格納容器側のフランジ等の対向面には、例えば
図4のように、二個のガスケット49間の領域をシール
部として備え、そのシール部には空間である空洞部3が
二個のガスケット49間の領域に環状の溝として形成さ
れている。
【0027】このように、ドライウェル・ヘッド15や
機器搬入ハッチ23のシール部には空洞部3を設け、連
通管5を介して加圧容器1と接続している。また作業員
用ハッチは二重ハッチとなっているため、両ハッチ間の
空間3aを空洞部としてそのまま利用し、同様に連通管
5を介して加圧容器1と接続している。なお、図の煩雑
さを避けるために連通管5の一部を省略しているが、図
1中のA及びBはそれぞれ実際には接続されていること
を示す。本実施例におけるドライウェル・ヘッド15の
シール部への空洞部3の設置方法を図3及び図4を用い
て説明する。なお、原子炉格納容器11側面に横向きに
貫通している機器搬入口等のシール部への空洞部3設置
も同様である。ドライウェル・ヘッド15のシールには
ガスケット49用いる。ガスケット49は金属等で製作
されたリング状の薄板であり、原子炉格納容器11側と
ドライウェル・ヘッド15側のフランジ47の間に挟ん
で用いる。シール時にはガスケット49とフランジ47
の接触面で気密が保たれる。
【0028】図3に模式的に示すように、本実施例にお
ける原子炉設備では半径の異なる二つのガスケット49
を用い、フランジ47面の半径方向の二箇所で気密を確
保する。空洞部3は、シール時に両ガスケット49でフ
ランジ47面の半径方向で挟まれる位置に原子炉格納容
器11側のフランジ47面上に設けた浅い溝であり、連
通管5と接続している。図3中のI部の構造を、更にフ
ランジ47面の半径方向で切断して図4に示す。図中に
はシール時のガスケット49の配置位置も記しており、
空洞部3が二つのガスケット49に挟まるよう位置して
いることが分かる。加圧容器1からの配管、フランジ4
7側面から半径方向に設けた孔及び空洞部3の底面から
フランジ47面に垂直に設けた孔で連通管5を構成して
いる。図3に示す溝状の空洞部3はフランジ47の周方
向で連続しているので、連通管5との接続は周方向で1
ヶ所以上あればよい。またシール時には両フランジ47
面からの押し付け圧によってガスケット49が多少潰さ
れるが両フランジ47面が接触することはない。従って
空洞部3として設ける溝の深さは小さくて良い。更にガ
スケット49の材質や厚み、フランジ47面の締付け圧
から両フランジ47面間の距離が空洞部3として十分確
保できるようであれば、両ガスケット49と両フランジ
47面に囲まれた空間を空洞部3としてそのまま利用で
きるため、溝を設ける必要も無い。
【0029】連通管5はヘッダ41やバルブを介して圧
縮空気系101及び不活性系103と接続し、さらにこ
れとは独立して加圧容器1と不活性系103をバルブを
介して接続する。また加圧容器1と加圧媒体供給・廃棄
系は、加圧容器1上部からの供給配管44a及び下部か
らの排出用配管44bを介して接続する。
【0030】続いて、漏洩低減機構の動作について図1
に基づいて説明する。炉心の冷却材として水を用いれ
ば、原子炉圧力容器13内部の放射性物質が原子炉格納
容器11内に放出されるような場合には、併せて高温,
高圧の蒸気もドライウェル25に放出される。上述した
ように、ドライウェル25内の蒸気の一部はベント管2
1を介してサプレッション・チェンバ19内に流れ込
み、プール水によって凝縮される。プール水の温度が沸
点よりも十分低い間は流入してきた蒸気をほぼ全て凝縮
できるため原子炉格納容器11内圧力の上昇は抑制で
き、放射性物質の原子炉格納容器11からの漏洩は無視
できる。やがてプール水温が沸点近くまで上昇すると流
入蒸気を全て凝縮できなくなって原子炉格納容器11内
圧力は上昇し始めるが、サプレッション・チェンバ19
上部が高温蒸気雰囲気となるため分離型ヒートパイプに
よる熱放出が開始される。分離型ヒートパイプはサプレ
ッション・チェンバ19内の蒸気を蒸発器7aの外側で
凝縮することで原子炉格納容器11内圧力の上昇を緩和
するともに、加圧容器1を貫通する蒸気配管7cに蒸気
を供給する。蒸気配管7c内の蒸気による加熱によって
加圧容器1内の加圧媒体が昇温され、発生した加圧媒体
蒸気によって加圧容器1内、連通管5及び空洞部3が加
圧される。このように、本発明における漏洩低減機構
は、漏洩低減が必要となると人的操作や起動信号などを
要することなく起動する。
【0031】ところで、流体の飽和圧力は温度の上昇と
もに急激に増加する。このため加圧媒体の選択を誤る
と、原子炉格納容器11の最高使用圧力よりも高圧で空
洞部3を加圧し、シール部の破損などを招く恐れがあ
る。このため、図1に示すように加圧容器1には圧力逃
しバルブ43を設け、空洞部3が所定の値を超えて加圧
されないようにしている。
【0032】しかしながら、加圧媒体の選択,加熱容器
1を貫通する蒸気配管7cの長さや形状,加圧容器1自
身の放熱特性を適切に選定すれば、むしろ理想的な加圧
特性を実現できる。加圧容器1内の加圧媒体の温度は原
子炉格納容器11内からの蒸気によって加熱されるため
100℃以上となり得る。一方、原子炉格納容器11か
らの熱漏洩があるとはいえ、加圧容器1周囲の温度は加
圧媒体の温度よりは低い。このため加圧容器1から周囲
への熱漏洩が発生する。そこで、蒸気配管7cの加圧容
器1貫通部の長さなどを調整し、加熱媒体への加熱量と
加圧容器1外への熱漏洩量が一定のバランスとなるよう
に設定しておく。図5は、加圧媒体が1−プロパノール
の場合の、原子炉格納容器11内圧力と加圧媒体のガス
圧力をサプレッション・チェンバ19内温度に対してプ
ロットしたグラフである。プロットにあたってはサプレ
ッション・チェンバ19内の蒸気から加圧媒体への熱移
動過程において蒸気配管7cなどからの熱の損失は無視
し、さらに漏洩低減機構が起動してから十分な時間が経
過しているとした。このため、加圧容器1からの熱漏洩
を無視すると、加圧媒体の温度はサプレッション・チェ
ンバ19内の蒸気温度と同等まで昇温される。なお、本
実施例における原子炉ではサプレッション・チェンバ1
9内の最高温度は約140℃であり、サプレッション・
チェンバ19内の冷却水及び炉心の冷却材はともに軽水
である。
【0033】加圧容器1から周囲への熱漏洩が無い場合
のガス圧力(図中一点鎖線)は、100〜140℃の温
度範囲で常に原子炉格納容器11内圧力とほぼ同等なサ
プレッション・チェンバ19内飽和圧力(図中実線)よ
り高い。しかし130℃前後でサプレッション・チェン
バ19内飽和圧力の約2倍と明らかに過圧となってい
る。圧力逃しバルブ43が開くことによって過圧を避け
ても、高温状態が長時間持続すれば圧力逃しバルブ43
が開状態でのままとなって加圧容器1内の加圧媒体がい
ずれは無くなってしまう。一方、一点鎖線は加圧容器1
の周囲温度が40℃で加熱量と放熱量の比を4:1とし
た場合の加圧ガス圧力特性である。この場合には、10
0〜140℃の原子炉格納容器11内温度範囲で、加圧
ガス圧力は常にサプレッション・チェンバ19内飽和圧
力を0.1〜0.3kgf/cm2上回るだけであり、過圧の問
題は発生しない。また熱漏洩があると加熱量の変化に対
する加圧ガス圧力の応答は鈍くなる。これによって加圧
媒体への加熱量が振動しても加圧ガス圧力はほぼ一定に
保たれ、空洞部3や連通管5に過渡的な熱的,機械的負
荷が加わることが無く、漏洩低減機構の構成要素の健全
性維持が容易となる。
【0034】続いて、事故時以外の運用について説明す
る。図1の説明で上述したように、本実施例における加
圧容器1はABWR等では既に設けられている圧縮空気
系101及び不活性系103と接続している。定期検査
などの原子炉停止期間中は、原子炉格納容器11はシー
ルされていないため、加圧容器1内の加圧媒体は全て加
圧媒体保管容器44にドレンしておく。加圧媒体が微燃
性等の望ましくない特性を有する場合には、加圧容器1
内を不活性系103からの窒素ガスを吹き込んで乾燥
し、必要に応じては加圧容器1内を不活性化しておく。
原子炉起動時には、加圧容器1,連通管5及び空洞部3
内に不活性系103より窒素ガスを導入してから原子炉
格納容器11をシールした後、加圧媒体供給系を作動さ
せることによりポンプ45で加圧容器1に加圧媒体保管
容器44内の加圧媒体を供給する。こうすることで、原
子炉格納容器11内だけでなく加圧容器1から空洞部3
まで原子炉運転中は不活性化される。通常運転中の空洞
部3の加圧源は、加圧媒体,不活性系103及び圧縮空
気系101のいずれも選択可能である。加圧媒体を用い
る場合は電源が不要、不活性系103または圧縮空気系
101を用いる場合は加圧媒体ガスの漏洩に伴う加圧媒
体の加圧容器1への追加供給が不要、とそれぞれ利点が
ある。
【0035】発生する確率は無視できるほど小さいため
実際には起こり得ないと考えられる外部全交流電源喪
失,非常用電源起動失敗と復旧失敗が重なるような事態
を想定しても、本実施例では加圧媒体によって空洞部3
を加圧でき、原子炉格納容器11からの放射性物質の漏
洩を低減できる。電源が確保できた時点で、加圧源を不
活性系103や圧縮空気系101に適宜切り替えれば良
い。なお、発電容量が150MWe程度の所謂小型炉を
想定し、加圧媒体を1−プロパノール、原子炉格納容器
11の漏洩率をABWR並の0.4%/d と見なした場
合の漏洩量は、液体の容積で0.1m3/d未満となる。
従って、1週間にわたって電源の確保や加圧媒体の追加
が不可能となることを想定しても、加圧媒体は液体の容
積で0.7m3 未満あれば良い。マージンとして2倍の加
圧媒体を確保するようにしても、加圧媒体の容積はせい
ぜい2m3 となり、加圧容器1の設置は空間的に困難と
はならない。
【0036】加圧媒体の例としては、本実施例で使用し
た1−プロパノールなどの低級アルコール類の一部が挙
げられる。文献(流体の熱物性値集(社)日本機会学会
昭和63年)を基に、適用可能な媒体を予測される平
均的な使用温度である約137℃における飽和圧力概略値
ともに列挙すれば、メタノール(9.1kgf/cm2g)、
エタノール(6.0kgf/cm2g)、n−プロパノール(2.
9kgf/cm2g)、i−プロパノール(5.3kgf/cm
2g)、sec−ブタノール(2.5kgf/cm2g)、tert−ブ
タノール(4.9kgf/cm2g)となる。これらの媒体は工
業的に広く利用されているため物性が明らかであり、低
コストで導入可能である。一方低級アルコール類ではあ
るが、n−ブタノール(0.91kgf/cm2g)やi−ブタ
ノール(1.7kgf/cm2g)は約137℃における軽水
(2.3kgf/cm2g)よりも飽和圧力が低いため、単体で
は適用できない。しかし、単体では適用できない媒体も
適用可能な媒体との混合媒体とすれば、新たな加圧特性
を得ることが可能となるため利用価値は小さくない。ま
た、水を冷却材とした原子炉設備ならば水の供給源は複
数あるため、混合媒体の一成分として水を採用しても漏
洩低減機構の構成要素の増加や変更は極めて少なくてす
む。
【0037】以上のように図1に示す構成とすれば、蒸
気の蓄積による原子炉格納容器11内圧力の上昇によっ
て、何らの人的操作が無くとも自動的に空洞部3が適切
な圧力で加圧される。また加圧には原子炉格納容器11
内に蒸気として蓄積される熱エネルギの一部を使うので
電源を確保する必要も無い。さらに本機構は可動部を一
切有しないため、作動の信頼性は高く,低コストで実現
できる。
【0038】本発明の第2実施例を図6〜図8に模式的
に示す。加圧容器1と接続されている系統の構成は第1
実施例と同一なので説明は省略する。また図1と同様
に、図6において連通管5は図中A,B,Cの位置で実
際には接続されている。
【0039】図6に示す原子炉格納容器11の構造及び
内部構成は図2に示すABWRと同様である。ABWR
の原子炉格納容器11は鉄筋コンクリート製であり、鋼
製ライナ12が内張りされている。本実施例では、加圧
容器1の一部を原子炉格納容器11の鉄筋コンクリート
内に埋め込み、鋼製ライナ12と加圧容器1の壁が直接
に接触、または鋼製ライナ12の一部を加圧容器1の壁
の一部とを共有した構造としている。このとき加圧容器
1の外壁面と接触、または共有される鋼製ライナ12の
内側がサプレッション・チェンバ19となるようにして
おく。鋼製ライナ12は板状金属で熱伝導は良好なの
で、サプレッション・チェンバ19内温度が上昇すれば
加圧媒体は極めて速やかに昇温される。加圧媒体の加熱
方法を除けば機器構成等は上述の第1実施例と同一なの
で、動作,特性及び運用方法とも第1実施例と同様であ
る。但し、分離型ヒートパイプ等の熱源となる機器の起
動を待つ必要が無いため、本実施例ではサプレッション
・チェンバ19への蒸気流入直後から空洞部3の加圧が
開始される。
【0040】ところでABWR以外の原子炉設備では、
金属性の所謂鋼製の原子炉格納容器11を採用したもの
もある。この場合も図6に示す実施例と同様に、加圧容
器1を原子炉格納容器11の外壁と接触、または原子炉
格納容器11の壁の一部と加圧容器1の壁の一部とを共
有すれば良い。
【0041】図7は、事故時に原子炉格納容器11内の
熱の外部への放出を促進するために、鋼製の原子炉格納
容器11の外周にサプレッション・チェンバ19と接す
るように水プール20を配置した原子炉設備への本発明
の適用例を示す模式図である。サプレッション・チェン
バ19内の温度が上昇すると、その熱は速やかに外周の
水プール20に伝わるので、水プール20内の水の沸
騰,蒸発によって効率良く原子炉格納容器11内に蓄積
された熱を取り出すことができる。発生した蒸気は外気
との連通管20aを介して放出される。図8に示す実施
例では、加圧容器1は鋼製の原子炉格納容器11の外壁
に接触させて水プール20内に配置している。
【0042】その他の構成や作用は第1実施例と同じで
ある。
【0043】図8は大気の自然循環を利用して事故時に
原子炉格納容器11からの放熱を行う原子炉設備への本
発明の適用例を示す模式図である。図8に概略を示す原
子炉設備は所謂加圧水型原子炉(PWR)であり、原子
炉圧力容器13の他の大型機器として蒸気発生器65や
加圧器などが原子炉格納容器11内に配置されている。
なお、従来の技術として上述したABWRやこれまでの
実施例で示した原子炉設備と異なり、この原子炉格納容
器11はサプレッション・チェンバ19に対応する部位
は無いが、以下に述べるように本発明は適用可能であ
る。この原子炉設備は、事故時に原子炉格納容器11内
に放出された蒸気を鋼製の原子炉格納容器11の内壁で
凝縮させることで原子炉格納容器11内の熱エネルギを
放出できるようになっている。
【0044】原子炉格納容器11の上半部の外周には図
中矢印で流れの向きを示すように外気が自然循環可能な
流路が形成されている。原子炉格納容器11からの熱に
よって熱せられた空気が上昇して空気流出口63から出
ると同時に常温の空気が空気流入口61から入ってくる
ため、人的操作を要さずに外気の循環は発生し、電源な
どが無くとも連続的に原子炉格納容器11からの熱除去
が可能となっている。また原子炉格納容器11の上部位
置に設けられた水プール20内の水を原子炉格納容器1
1の上からスプレイ噴霧することで、原子炉格納容器1
1の外壁を冷却することもできるようになっている。
【0045】本実施例では、原子炉格納容器11頂部か
らやや離れた位置に底部を原子炉格納容器11の壁面と
共有させて加圧容器1を配置している。上述したよう
に、この原子炉格納容器11内には蒸気凝縮のための大
量の水を保有していないため、原子炉圧力容器13から
放出された高温の蒸気はほとんど凝縮することなく、主
に浮力によって原子炉格納容器11内を上昇する。この
ため蒸気が集まりやすい頂部近傍が最も高温となる。加
えて、自然対流による流れは向きや速度が周期的に変動
することが多いため、原子炉格納容器11頂部近傍は温
度変動が大きくなることも予測される。加圧容器1を頂
部より離れた位置に配置すれば、過剰な加熱を避けつつ
適切な加熱量を位置によって調整できると同時に、加熱
量の時間的な変動も避けることができる。なお、高温の
加熱源が必要な加圧媒体を用いる場合は、容積は同じで
相対的に底部面積を小さくした加圧容器1を原子炉格納
容器11頂部に配置すれば良い。底部面積の低下によっ
て加熱量を低減すると同時に、加圧容器1の側面や上面
からの放熱量を増大できるため、加熱源の温度の振動な
どが加圧ガス圧力の変化に与える影響を低減できる。
【0046】なお、PWRでは通常運転中でも原子炉格
納容器内11を不活性化しないため、少なくともABW
Rが有するような大きな規模の不活性系103を有して
いない。このため図8に示す本実施例では、高圧ガス供
給系から不活性系103を削除してある。事故時のバッ
クアップの加圧源として圧縮空気系101が利用可能で
あれば、不活性系103は必須ではない。なお加圧容器
1,連通管5及び空洞部3の全容積は原子炉格納容器1
1容積に比べて遥かに小さいので、新規に不活性系を設
けても極めて小規模なもので良く、新規に不活性系を設
けることに対する技術的な困難は見当たらない。その他
の構成や作用は第1実施例と同じである。
【0047】本発明の第3実施例を図9に模式的に示
す。図9に一部を示す原子炉設備では隔離時凝縮器51
を採用している。隔離時凝縮器51は所謂静的安全機器
の一種であり、事故時には自動的に起動し、電源を確保
することなく機能する。事故時に原子炉格納容器11に
放出されたり原子炉圧力容器13内に蓄積された蒸気
は、配管49aを介して原子炉格納容器11外部の水プ
ール20内に設置された隔離時凝縮器51に流入し、凝
縮水は配管49bを介して原子炉圧力容器13に流れ込
む。また凝縮できなかった蒸気は配管49cを介してサ
プレッション・チェンバ19にベントすることが可能で
ある。
【0048】本実施例では、隔離時凝縮器51の上流側
の配管49aを加圧容器1を貫通するように配置して加
圧媒体の加熱源している。また加圧容器1に放熱フィン
9を設け、加圧容器1からより大きな熱放出が可能とし
ている。これは、加圧容器1からの放熱を相対的に大き
くすることで、ドライウェル25に放出された高温の蒸
気が隔離時凝縮器51の上流側の配管49aに急激に流
れ込んでも、加圧ガス圧力を急激に上昇させないためで
ある。特に事故発生直後は、高温の蒸気はドライウェル
25にしか存在しない。このような状態では、原子炉格
納容器11の平均的な内圧力は上昇していないのにも関
わらず加圧容器1内が加熱されることになるため、空洞
部3の過圧が発生しやすくなってしまう。
【0049】また、図9左側に記す原子炉圧力容器13
と接続された隔離時凝縮器51の上流側の配管49aの
途中に加圧容器1を右側の場合と同様に配置した場合
も、放熱フィン9などの放熱促進機構を設けた加圧容器
1とした方が良い。これは、原子炉圧力容器13から直
接取り出した蒸気は温度が高いこと、及び、事故の進展
に伴って蒸気量が急激に変化することが考えられるため
である。
【0050】なお、加圧媒体の加熱源としては、隔離時
凝縮器51の下流側の原子炉圧力容器13と接続された
配管49bや図10に示すようにプール水も利用でき
る。これらの場合には、隔離時凝縮器51の上流側配管
49aを加熱源とした場合と比べて加熱源の最大温度や
温度の時間変化が相対的に小さいため、過圧が発生しに
くい特性を容易に与えることができる。加熱源以外の機
器構成を第1実施例と同一とすれば、本実施例における
漏洩低減機構の動作,特性及び運用は同様である。
【0051】このように、本発明の各実施例によれば、
万一、原子炉圧力容器が破損して内部の放射性物質が原
子炉格納容器内に放出されても、炉心の冷却材として水
を用いた原子炉設備であれば原子炉格納容器からの放射
性物質の外部への漏洩量を大幅に低減することで、原子
炉設備から環境への放射性物質の放出量も大幅に低減で
きる。又、原子炉格納容器からの放射性物質の漏洩低減
機構は、放射性物質と併せて原子炉圧力容器から放出さ
れる炉心冷却材の蒸気の持つ熱エネルギを利用して機能
する。このため、人的操作や何らの電気信号や高圧ガス
の常時確保を要することなく起動し、作動のために電源
などの動力源を確保する必要もない。さらに可動部が少
なく構造も単純であり、原子炉設備が一般的に具備して
いる高圧ガス供給設備と容易に組合せて機能を多重化で
きるため、高い信頼性を有しながら低コストで実現でき
る。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、原子炉格
納容器内に発生した異常な熱をエネルギー源として利用
して原子炉格納容器内の放射性物質の漏洩を大幅に低減
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における原子炉設備を示す
模式図である。
【図2】改良沸騰水型原子炉(ABWR)の原子炉建屋
内構造を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例におけるドライウェル・ヘ
ッドのシール部位の構成を示す模式図である。
【図4】図3におけるI部を拡大して一部の断面を示す
鳥瞰図である。
【図5】本発明における空洞部の加圧特性例を示すグラ
フ図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施例の第1の変形例を示す模式
図である。
【図8】本発明の第2実施例の第2の変形例を示す模式
図である。
【図9】本発明の第3実施例を示す模式図である。
【図10】本発明の第3実施例の第1の変形例を示す模
式図である。
【符号の説明】
1…加圧容器、3…空洞部、5…連通管、7…分離型ヒ
ートパイプ、9…放熱フィン、11…原子炉格納容器、
12…鋼製ライナ、13…原子炉圧力容器、14…原子
炉建屋、15…ドライウェル・ヘッド、17……トップ
スラブ、19…サプレッション・チェンバ、20…水プ
ール、21…ベント管、23…ハッチ、25…ドライウ
ェル、26…ダイヤフラム・フロア、27…サプレッシ
ョン・チェンバ出入口、29…ドラフトチューブ、30
…重力落下注水プール、41…ヘッダ、43……圧力逃
しバルブ、44…加圧媒体保管容器、45…ポンプ、4
7……フランジ、49…ガスケット、51…凝縮器、6
1…空気流入口、63…空気流出口、65…蒸気発生
器、101…圧縮空気系、103…不活性系、104…
排気系、105…加圧媒体廃棄系。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加圧媒体を入れる加圧容器と、前記加圧容
    器を原子炉格納容器の開口のシール部に形成された空間
    に接続する管路と、前記原子炉格納容器内の熱を前記加
    圧容器内に伝達する手段を備える原子炉格納容器内雰囲
    気の漏洩抑制装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記加圧媒体は同じ温
    度における飽和圧力が原子炉冷却材よりも大きい原子炉
    格納容器内雰囲気の漏洩抑制装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2において、前記空間
    は二重ハッチの各ハッチ間の空間である原子炉格納容器
    内雰囲気の漏洩抑制装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は請求項2において、前記シー
    ル部は二重のガスケットが施され、前記各ガスケット間
    に空間が形成される原子炉格納容器内雰囲気の漏洩抑制
    装置。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4までのいずれか一項
    において、前記加圧容器は前記原子炉格納容器の外側に
    備える原子炉格納容器内雰囲気の漏洩抑制装置。
  6. 【請求項6】水によって冷却される炉心を内蔵する原子
    炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器を内蔵する原子炉格
    納容器と、前記原子炉格納容器の内外間の貫通部をシー
    ル部を介して閉じる手段とを備えた原子炉設備におい
    て、 前記シール部に想定される前記原子炉格納容器の内外部
    を結ぶ漏洩経路中に空間を有し、前記原子炉格納容器の
    外部に設けられた加圧容器と前記空間とを接続する管路
    を有し、さらに、100℃以上の温度領域で同じ温度に
    おける飽和圧力が前記水よりも大きな液状の加圧媒体を
    前記加圧容器内へ注入する手段を備えた原子炉設備。
  7. 【請求項7】水によって冷却される炉心を内蔵する原子
    炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器を内蔵する原子炉格
    納容器と、前記原子炉格納容器の内外間の貫通部を閉じ
    る二重ハッチとを備えた原子炉設備において、 前記原子炉格納容器の外部に設けられた加圧容器と前記
    二重ハッチの各ハッチ間の空間とを接続する管路を有
    し、さらに、100℃以上の温度領域で同じ温度におけ
    る飽和圧力が前記水よりも大きな液状の加圧媒体を前記
    加圧容器内へ注入する手段を備えた原子炉設備。
  8. 【請求項8】請求項6又は請求項7において、前記空間
    に原子炉格納容器内の圧力よりも高圧なガスを供給する
    高圧ガス供給設備を備えた原子炉設備。
  9. 【請求項9】請求項6又は請求項7又は請求項8におい
    て、前記原子炉格納容器は蒸気を凝縮するサプレッショ
    ン・チェンバを備え、前記サプレッション・チェンバ内
    に蒸発器側を、前記原子炉格納容器外の外気中に凝縮器
    側をそれぞれ配した分離型ヒートパイプを有し、前記分
    離型ヒートパイプの前記蒸発器側から前記凝縮器側への
    蒸気の流路の一部が前記加圧容器内を貫通または前記加
    圧容器に接触している原子炉設備。
  10. 【請求項10】請求項6又は請求項7又は請求項8にお
    いて、前記原子炉格納容器が鋼製の壁面を有し、加圧容
    器は前記壁面を構成している鋼に接触又はその鋼を少な
    くとも前記加圧容器の一部分に利用して構成されている
    原子炉設備。
  11. 【請求項11】請求項6又は請求項7又は請求項8にお
    いて、前記原子炉格納容器外に配備されたプールと、前
    記プール内のプール水中に配備された蒸気凝縮器と、前
    記原子炉圧力容器内又は原子炉格納容器内の蒸気を前記
    蒸気凝縮器の入口に誘導する蒸気の流路と、前記蒸気凝
    縮器の出口から前記蒸気の凝縮後の液体を前記原子炉格
    納容器内のサプレッション・チェンバ内又は前記原子炉
    圧力容器内に誘導する前記液体の流路とを備え、前記蒸
    気の流路の一部が加圧容器内を貫通または前記加圧容器
    に接触している原子炉設備。
  12. 【請求項12】請求項6又は請求項7又は請求項8にお
    いて、前記原子炉格納容器外に配備されたプールと、前
    記プール内のプール水中に配備された蒸気凝縮器と、前
    記原子炉圧力容器内又は原子炉格納容器内の蒸気を前記
    蒸気凝縮器の入口に誘導する蒸気の流路と、前記蒸気凝
    縮器の出口から前記蒸気の凝縮後の液体を前記原子炉格
    納容器内のサプレッション・チェンバ内又は前記原子炉
    圧力容器内に誘導する前記液体の流路とを備え、前記加
    圧容器の一部が前記プール水と接触している原子炉設
    備。
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