JP2003227471A - 油圧機器の故障診断装置 - Google Patents

油圧機器の故障診断装置

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JP2003227471A
JP2003227471A JP2002031562A JP2002031562A JP2003227471A JP 2003227471 A JP2003227471 A JP 2003227471A JP 2002031562 A JP2002031562 A JP 2002031562A JP 2002031562 A JP2002031562 A JP 2002031562A JP 2003227471 A JP2003227471 A JP 2003227471A
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Kunihiko Imanishi
邦彦 今西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板制御に関
わる油圧機器の故障診断を容易に、短時間でできるよう
にする。 【解決手段】 斜板制御に関わる油圧機器の作動特性値
を検出する複数のセンサと、これらの検出値を入力し
て、1つの画面に並べて表示するモニタ装置(41)とを備
える。また、コントローラ(40)が、これらの検出値を入
力し、各機器別に予め記憶している故障判定基準値と前
記検出値とを比較して異常と判断したとき、当該油圧機
器の異常発生の信号を出力して、モニタ装置(41)で表示
及び/又は音声によって報知させるようにしてもよい。
前記斜板制御に関わる油圧機器の作動特性値が、NCバ
ルブ出力圧、TVCバルブ出力圧、油圧ポンプ吐出圧及
びジェットセンサ出力差圧の内、少なくともいずれか1
つであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧機器の故障診
断装置に関し、特には油圧ショベル等の油圧駆動式作業
車両における斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板の制御
に係わる油圧機器の故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧駆動式作業車両は、駆動源としての
エンジンと、このエンジンにより作動する油圧ポンプと
を有し、例えば油圧ショベルにおいては、エンジンで駆
動される油圧ポンプから供給される圧油により、油圧シ
リンダや油圧モータ等のアクチュエータを作動させて、
走行、旋回、掘削等の種々の作業を行う構成となってい
る。この作業車両においては、各種操作手段や計器類の
他に種々のデータが表示される表示手段を備え、各種の
機器の作動状態を検出して前記表示手段に異常表示を行
い、操作性や整備性等を向上させている。その一例とし
て、特開平7−119183号公報、及び特開平9−4
506号公報に開示されたものがある。
【0003】特開平7−119183号公報に開示され
たものは、エンジンオイル圧力、エンジン冷却水温度、
作動油タンク内圧及び燃料残量を検出し、この検出デー
タをそれぞれ1秒間隔毎に取り込み、最新の1時間分の
検出データをメモリに記憶している。そして、油圧作業
機に故障等が発生すると、異常検出信号に基づき、最新
の1時間分の前記検出データをディスプレイ装置に表示
して故障診断を行うようにしている。
【0004】また特開平9−4506号公報に開示され
たものは、エンジン回転センサと、オールスピードガバ
ナのコントロールラック位置センサとをコントローラの
異常判定部に接続し、エンジン回転センサの検出値がゼ
ロであるときのラック位置センサの検出値が初期コント
ロールラック位置と異なっているときには、回転センサ
異常と判断して警告手段によりオペレータに報知する。
これにより、故障個所の特定および修理を速やかに行
い、建設機械の稼働率を向上させている。
【0005】ところで、エンジン馬力の有効利用及び油
圧ロスの低減のために、例えば油圧ショベルに斜板式可
変容量型油圧ポンプを用いるとともに、該ポンプの斜板
制御システムを備えて、エンジン回転数や操作バルブの
操作量に応じて油圧ポンプの斜板の角度を制御し、ポン
プの吐出量を制御することが行われている。
【0006】以下に、従来技術の第3例として、上記の
ポンプ斜板制御システムの一例について説明する。図5
は斜板制御システムを示す概略系統図である。図5にお
いて、エンジン1に設けられたガバナ2のガバナレバー
は、スロットルレバー3により操作される。エンジン1
にはエンジン回転センサ4が設けられ、ガバナ2にはガ
バナレバーの操作角度を検出するスロットルセンサ5が
設けられている。斜板式可変容量型の第1ポンプ10と
第2ポンプ20とはエンジン1に連結して駆動され、第
1ポンプ10は第1操作バルブ11を介して第1アクチ
ュエータ12に接続している。第1ポンプ10には斜板
角度を制御する第1サーボバルブ13が付設され、第1
サーボバルブ13は第1NCバルブ14に接続してい
る。第1操作バルブ11と第1NCバルブ14とは、第
1ジェットセンサ15を介して接続している。また、第
2ポンプ20は第2操作バルブ21を介して第2アクチ
ュエータ22に接続している。第2ポンプ20には斜板
角度を制御する第2サーボバルブ23が付設され、第2
サーボバルブ23は第2NCバルブ24に接続してい
る。第2操作バルブ21と第2NCバルブ24とは、第
2ジェットセンサ25を介して接続している。さらに、
第1操作バルブ11と第2操作バルブ21とは圧力比例
制御バルブ30に接続しており、第1、第2操作バルブ
11,21は該圧力比例制御バルブ30の操作量に比例
して作動し、第1、第2アクチュエータ12,22に圧
油を供給する。第1NCバルブ14と第2NCバルブ2
4とはTVCバルブ(トルク可変制御バルブ)31に接
続し、TVCバルブ31はコントロールポンプ33、第
1ポンプ10の第1吐出回路10a及び第2ポンプ20
の第2吐出回路20aと接続している。第1ポンプ10
の第1吐出回路10aには第1ポンプ吐出圧センサ16
が設けられ、第2ポンプ20の第2吐出回路20aには
第2ポンプ吐出圧センサ26が設けられている。コント
ローラ40は、エンジン回転センサ4、スロットルセン
サ5、作業モードを切り換えるモード切換スイッチ6、
第1ポンプ吐出圧センサ16、第2ポンプ吐出圧センサ
26、TVCバルブ31に付設されたソレノイド32お
よびモニタ表示器45と接続している。コントローラ4
0は上記各センサからの検出信号を入力し、ソレノイド
32およびモニタ表示器45に所定の信号を出力する。
【0007】図6は、図5に示すポンプ斜板制御システ
ムの流量制御部の概略構造図である。図6において、第
1、第2ポンプ10,20の吐出回路は操作バルブ11
に接続し、ジェットセンサ15の絞り50を介してNC
バルブ14に接続している。NCバルブ14の上部に位
置するピストン51は、ジェットセンサ15の絞り50
の下流側の圧力Ptにより図示の下向きに付勢されてい
る。ピストン51の下方に位置するスプール52はスプ
リング53により図示の上向きに付勢され、その上端部
はピストン51の下端部に当接している。スプール52
の下端部は絞り50を介してオイルタンク54に接続し
ていて、その圧力はPdである。ジェットセンサ15
は、操作バルブ11を通ったオイルタンク54への戻り
油の流量を検出して、NCバルブ14のPt、Pdとし
ている。コントロールポンプ33の吐出回路は、TVC
バルブ31からNCバルブ14のスプール52を経てサ
ーボバルブ13に接続している。TVCバルブ31とN
Cバルブ14との間の圧力をPec、NCバルブ14と
サーボバルブ13との間の圧力をPecnとする。ま
た、55はサーボピストンである。
【0008】次に、流量制御の作動について概要を説明
する。 エンジン回転・油圧センシング制御。 これは、エンジン回転数を、負荷が変化しても常に一定
の回転数に保持し、エンジンの馬力を有効に活用する機
能である。図5において、コントローラ40はエンジン
回転センサ4及びスロットルセンサ5からの信号を入力
し、予め記憶しているエンジンセット回転数と実際のエ
ンジン回転数とを比較する。そして両者間に差が生じた
場合には、コントローラ40は、TVCバルブ31のソ
レノイド32に所定の制御電流信号を出力し、このTV
Cバルブ31は第1、第2NCバルブ14,24を介し
て第1、第2サーボバルブ13,23にそれぞれ供給す
る出力圧を上記制御電流信号に比例して変化させ、これ
により第1、第2サーボバルブ13,23は第1、第2
ポンプ10,20のそれぞれの斜板角を変えて各ポンプ
容量を制御する。例えば作業中に第1、第2アクチュエ
ータ12,22の負荷が大きくなってポンプ吐出圧が高
くなると、エンジン回転数は低下する。このとき、コン
トローラ40は入力したエンジン回転センサ4の検出信
号に基づいて前記制御電流信号を出力し、TVCバルブ
31は第1、第2サーボバルブ13,23への出力圧を
下げ、第1、第2ポンプ10,20のそれぞれの斜板角
を小さくし、ポンプ吐出量を絞ってポンプ吸収トルクを
減らし、エンジンの負荷を軽減してエンジン回転数を復
元させるようにしている。これにより、エンジン回転数
を低下させる(作業量を低下させる)ことなく作業でき
るので、エンジンにかかる負荷を軽減して燃費を低減で
きる。なお、本制御は、例えばモード切換スイッチ6に
より選択された作業モードが軽負荷モードの場合に行わ
れる。
【0009】2)流量制御。 これは、第1、第2操作バルブ11,21の作動量に応
じて第1、第2ポンプ10,20の斜板を制御して吐出
量を制御し、操作性の向上、油圧ロスの低減を図る機能
である。図6において、まず操作バルブ11が中立の場
合、ジェットセンサ差圧(Pt−Pd)は最大となり、
スプリング53の力とジェットセンサ出力圧Pdがスプ
ール52の下端を押す力の和よりも、ジェットセンサ出
力圧Ptがピストン51を押す力が大きくなる。これに
より、スプール52は下方に押されるので、NCバルブ
14のサーボバルブ13とオイルタンク54とを接続す
る回路の開口面積は大きくなる。その結果、NCバルブ
14の出力圧Pecnは最小となり、第1、第2ポンプ
10,20の吐出量は最小になって、操作バルブ11の
中立時の油圧ロスは低減される。次に、操作バルブ11
を中立位置から動かすと、そのストローク量に応じてジ
ェットセンサ差圧(Pt−Pd)が低下するので、スプ
ール52は上方に押される。これによりサーボバルブ1
3とTVCバルブ31とを接続するNCバルブ14の回
路の開口面積は大きくなり、NCバルブ14の出力圧P
ecnは増加し、第1ポンプ10の吐出量は増加する。
なお、第2操作バルブ21を操作した時の第2ポンプ2
0の吐出量の制御においても、上記と同様である。以上
により、圧力比例制御バルブ30の操作量に比例して増
減する第1、第2操作バルブ11,21の操作量に応じ
てそれぞれ対応する第1、第2ポンプ10,20の吐出
量を増減し、ファインコントロール時に生じる無駄な流
量を低減するとともに、ファインコントロール性能を向
上するようにしている。
【0010】また、モニタ表示器45には例えばエンジ
ン水温、エンジン油温等の通常運転情報、燃料消費量等
の作業情報、エアクリーナ目詰まり等の不具合情報、及
び作業モードの操作スイッチ情報等が表示される。ま
た、サービスマンが、例えば隠しスイッチ操作(オペレ
ータには知らせていない)などのような特定の操作をす
ることにより、モニタ表示器45にエンジン回転数やポ
ンプ圧力等を表示させることができるようになってい
る。
【0011】このとき、ポンプの斜板制御系統に故障が
発生した場合には、サービスマンは故障診断マニュアル
に従い、例えばサービス専用の特別な操作やスイッチ等
により特定の操作をして、エンジン回転数やポンプ圧力
を1つずつ順次モニタ表示器45に表示させている。ま
た、一方、ポンプの斜板制御に関わるNCバルブ出力
圧、TVCバルブ出力圧及びジェットセンサ差圧等につ
いては別に測定機器を用いて実測し、この実測値に基づ
き故障診断を行うようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成においては以下のような問題点がある。特開平7―1
19183号公報及び特開平9−4506号公報に開示
されたものにおいては、エンジン関係の情報を検出して
エンジン不具合に起因する油圧系統の故障診断を行うよ
うにしている。したがって、上記のような斜板式可変容
量型油圧ポンプの斜板の制御に関わる油圧機器(例え
ば、図5,6のTVCバルブ31、NCバルブ14,2
4、ジェットセンサ15,25等)の故障診断には大き
な効果は期待できず、故障した油圧機器の特定には多大
の時間を要するのが現状である。また、第3例に示した
斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板制御装置において
は、斜板制御に関わる油圧機器(TVCバルブ31、N
Cバルブ14,24、ジェットセンサ15,25等)は
数が多く、しかもそれらの機器の作動特性値が制御状態
によってそれぞれ異なる様々な条件で互いに影響し合っ
ているため、異常又は故障の発生個所を特定するのに熟
練を要する。従来は、異常や故障の発生した後にサービ
スマンが故障診断マニュアルに従って、サービス専用の
特別な操作を行ったり特殊なスイッチを操作することに
より、診断に必要な各油圧機器の作動特性値をモニタ表
示器45に1つずつ順次表示させている。また、上記斜
板制御に関わる油圧機器の作動特性値はモニタ表示器4
5には表示されないために、この特性値を別個の測定機
器で順次測定して、これらの結果に基づいて故障診断を
行なわなければならない。従って、異常のある、又は故
障した油圧機器を特定するのに多大の時間がかかってい
るため、診断時の作業性が良くない。
【0013】本発明は、上記の問題点に着目してなされ
たものであり、斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板の制
御に関わる油圧機器の故障診断を、容易に、短時間で行
うことのできる油圧機器の故障診断装置を提供すること
を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、第1発明は、油圧駆動式作業車両
に備えた斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板の制御に関
わる油圧機器の故障を診断する故障診断装置において、
前記斜板の制御に関わる油圧機器の作動特性値を検出す
る複数のセンサと、これらの検出値を入力して、1つの
画面に並べて表示するモニタ装置とを備えた構成として
いる。
【0015】第1発明によると、斜板式可変容量型油圧
ポンプの斜板制御に関わる油圧機器の作動状態を示す作
動特性値を検出し、その検出値が1つの画面に並べて表
示される。そのため、従来、エンジン回転数やポンプ圧
等については、サービスマンが各検出値を所定の操作
(例えば、サービス専用の特別な操作やスイッチ等によ
り)で1個ずつ個別に表示し、又は、例えばNCバルブ
出力圧、TVCバルブ(トルク可変制御バルブ)出力
圧、ジェットセンサ差圧等の斜板制御に関わる油圧機器
の作動特性値については所定の測定器具によって測定し
ていたが、これらの互いに関連する複数の作動特性値の
検出値を同一画面で同時に見ることができる。従って、
オペレータが、簡単な操作と少ない操作回数で複数の特
性値を見て故障判定基準値と比較することができ、異常
の有無を容易に判断できるとともに、故障発生時に、オ
ペレータやサービスマンが容易に、かつ短時間で故障診
断を行うことができる。
【0016】第2発明は、油圧駆動式作業車両に備えた
斜板式可変容量型油圧ポンプの斜板の制御に関わる油圧
機器の故障診断装置において、前記斜板の制御に関わる
油圧機器の作動特性値を検出する複数のセンサと、これ
らの検出値を入力し、各機器別に予め記憶している故障
判定基準値と前記検出値とを比較して異常と判断したと
き、当該油圧機器の異常発生の信号を出力するコントロ
ーラと、前記油圧機器の異常発生の信号を受けて、表示
及び/又は音声によって報知するモニタ装置とを備えた
構成としている。
【0017】第2発明によると、コントローラは、斜板
式可変容量型油圧ポンプの斜板の制御に関わる油圧機器
の作動特性値の検出値を入力し、その検出値と予め記憶
している故障判定基準値と比較して異常と判断した場合
に、異常発生した油圧機器名などの異常個所をモニタ装
置により表示や音声等で知らせる。そのため、オペレー
タは異常の発生個所を容易に知ることができる。また、
常時モニタして自動的に故障診断をすることにより、早
期に異常個所を発見できる。従って、従来は、作業能率
が悪いとか燃料消費量が多いとかいう不具合(故障)が
発生した後に、オペレータやサービスマンが故障診断マ
ニュアルに従って各油圧機器の特性値を順に測定して故
障診断していたものが、本発明によると、具体的な不具
合(故障)が発生する前に異常発生の傾向を自動的に診
断し、異常のある油圧機器を早期に特定することができ
るので、異常状態のままで作業して作業能率の低下、燃
費の増大等を招くことがない。
【0018】第3発明は、第1発明において、前記油圧
機器の作動特性値の検出値を入力し、各機器別に予め記
憶している故障判定基準値と前記検出値とを比較して異
常と判断したとき、当該油圧機器の異常発生の信号を出
力するコントローラを付設し、前記モニタ装置は、前記
油圧機器の異常発生の信号を受けて、表示及び/又は音
声によって報知する構成としている。
【0019】第3発明によると、コントローラが前記作
動特性値の検出値を入力し、この検出値と予め記憶して
いる故障判定基準値と比較して異常と判断した場合に、
異常発生した油圧機器名などの異常個所をモニタ装置に
より表示や音声等で知らせる。このため、第1発明の効
果に加え、さらに第2発明と同様に、オペレータは異常
の発生個所を容易に知ることができるともに、自動的な
故障診断により具体的な不具合(故障)が発生する前に
異常発生の傾向を診断し、異常のある油圧機器を早期に
特定することができるので、異常状態のままで作業して
作業能率の低下、燃費の増大等を招くことがない。
【0020】第4発明は、第1又は第2発明において、
前記斜板の制御に関わる油圧機器の作動特性値が、NC
バルブ出力圧、TVCバルブ出力圧、油圧ポンプ吐出圧
及びジェットセンサ出力差圧の内、少なくともいずれか
1つである構成としている。
【0021】第4発明によると、前記油圧機器の特性値
の検出値は、斜板の制御に最も影響を及ぼす、NCバル
ブの出力圧、TVCバルブの出力圧、油圧ポンプの吐出
圧及びジェットセンサの出力差圧のうち、少なくともい
ずれか1つを含み、他の検出値とともに同一の画面に表
示される。従来は、これらの検出値は斜板制御に関わる
油圧機器の故障診断時にしか個別に測定しないから、モ
ニタ画面に表示することがなかったが、本発明により同
一画面で同時にモニタできる。したがって、斜板制御に
関わる故障の原因となっている油圧機器等の異常個所を
的確に特定することができ、故障診断時の作業性を向上
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して詳述する。
【0023】図1は、斜板式可変容量型油圧ポンプの故
障診断装置の系統図である。図5で説明した構成と同一
のものには同一符号を付して以下での説明は省略し、異
なる部分についてのみ説明する。図1において、斜板制
御に関わる各油圧機器の作動特性値を検出する各種セン
サを設ける。即ち、第1ジェットセンサ15及び第2ジ
ェットセンサ25には、ジェットセンサ出力差圧(図6
でのPt−Pdに相当)を検出する第1ジェット差圧セ
ンサ17及び第2ジェット差圧センサ27がそれぞれ設
けられている。また、第1NCバルブ14及び第2NC
バルブ24には、NCバルブの出力圧を検出する第1N
C圧センサ18及び第2NC圧センサ28がそれぞれ設
けられている。さらに、TVCバルブ31にはTVCバ
ルブの出力圧を検出するTVC圧センサ34が、コント
ロールポンプ33の吐出回路には吐出圧を検出するコン
トロール圧センサ35がそれぞれ設けられている。これ
らの各センサは、その検出値をコントローラ40に入力
している。これらの斜板制御に関わる油圧機器の作動特
性値を検出するセンサは、制御回路内に常時装着してい
てもよいし、又は、診断の必要なときに容易に装着でき
るように電気信号用コネクタや油圧機器用カプラ等で着
脱自在に装着するようにしてもよい。
【0024】また、コントローラ40には、リアルタイ
ムモニタ表示器42とモニタ表示器43とを備えたモニ
タ装置41が接続されている。図2に示すように、リア
ルタイムモニタ表示器42は複数のセンサ検出値を並べ
て表示可能としたものであり、液晶表示器及びプラズマ
表示器等のグラフィック画面表示器、及び/又は複数の
データを同時に表示可能とした文字表示器で構成され
る。本実施形態では、グラフィック画面表示器での構成
例を挙げている。モニタ表示器43は前記エンジン水温
及びエンジン油温等の通常運転情報、燃料消費量及び稼
働時間等の作業情報、エアクリーナ目詰まり及びNCバ
ルブ油圧異常等の不具合情報、並びに作業モードの操作
スイッチ情報などを表示可能とするものであり、同じく
グラフィック画面表示器及び/又は文字表示器で構成さ
れ、本実施形態では図3に示すようにグラフィック画面
表示器で構成した例を挙げている。
【0025】また、モニタ装置41は、リアルタイムモ
ニタ表示器42の各種のリアルタイムモニタ画面を選択
表示させるための画面選択スイッチ42aと、モニタ表
示器43の各種モニタ画面を選択表示させ、又は表示内
容をリセットするための各種操作スイッチ43aとを有
している。なお、本実施形態では、図2及び図3に示す
ように、リアルタイムモニタ表示器42及びモニタ表示
器43にはグラフィック画面表示器の前面に透明タッチ
スイッチシートを装着したタッチパネル付きのプログラ
マブル表示器を用いており、前記画面選択スイッチ42
a及び前記各種操作スイッチ43aはこの透明タッチス
イッチから構成されているが、本発明はこれに限定する
ものではない。
【0026】次に、作動について説明する。コントロー
ラ40は、エンジン回転センサ4、スロットルセンサ
5、第1、第2ジェットセンサ15,25、第1、第2
ポンプ吐出圧センサ16,26、第1、第2ジェット差
圧センサ17,27、第1、第2NC圧センサ18,2
8、TVCセンサ34及びコントロールポンプ圧センサ
35等からの各センサ検出信号を入力し、この入力した
センサ検出信号に基づくそれぞれのモニタデータをリア
ルタイムモニタ表示器42に出力する。オペレータが画
面選択スイッチ42aで所望の画面を選択すると、リア
ルタイムモニタ表示器42はこの選択された画面に応じ
た複数の現在のモニタデータを並べて表示する。
【0027】ここで図2に、リアルタイムモニタ表示器
42の、斜板制御に関わる油圧機器の特性値を表示する
リアルタイムモニタ画面の一例を示す。図2には、エン
ジン回転数、NO1ポンプ油圧、コントロールポンプ油
圧、NO1ジェットセンサ差圧、TVCバルブ油圧及びNO
1NCバルブ油圧のそれぞれのモニタデータが同一画面
に並べて表示されている。また、画面を選択して切り換
えることにより、NO2ポンプ油圧、NO2ジェットセンサ
差圧、NO2NCバルブ油圧等のそれぞれのデータが同一
画面に並べて表示される。なお、TVCバルブ油圧は図
示では圧力値で表示されているが、例えば油圧に比例す
るTVC電流値で表示しても構わない。
【0028】次に、オペレータは、上記リアルタイムモ
ニタ画面に表示されている斜板制御に関わる油圧機器の
特性値を確認する。一方、オペレータやサービスマンは
故障診断マニュアルを携えており、この故障診断マニュ
アルには斜板制御に関わる各油圧機器別に、測定条件と
その条件での故障判定基準値がそれぞれ記載されてい
る。この故障判定基準値は各機器の異常発生の有無を判
定するための基準値であり、例えば各測定条件別に稼動
中の作動特性値の正常値としている。そして、オペレー
タやサービスマンは、故障診断マニュアルに基づいて、
上記の確認した特性値を各測定条件での故障判定基準値
とそれぞれ比較し、比較の結果により、それぞれの油圧
機器の異常の有無を判定する。なお、上記の測定条件の
一例としては、第1、第2NCバルブの出力圧の診断の
場合、1)エンジン回転数、2)作動油温度、3)全操
作レバーが中立か、4)走行空転時か、などが設定され
ている。そして、リアルタイムモニタ画面では、これら
の関連性のあるモニタデータが並べて表示される。
【0029】次に、他の実施例として、コントローラ4
0が上記のような故障診断を自動的に行なう例を図4を
参照して説明する。図4は、自動故障診断の処理フロー
チャート例である。コントローラ40は、故障診断対象
の機器別に、例えば斜板制御に関わる各油圧機器別に、
測定条件とその条件での故障判定基準値(正常値など)
を予め記憶している。図4において、先ずステップS1
で、作業時オペレータが操作している間に、コントロー
ラ40は、各測定条件に関する情報をそれぞれ対応する
条件検出センサ(例えば、操作レバー中立位置検出セン
サ、エンジン作動油温センサ等)からリアルタイムで入
力するとともに、各油圧機器に関するそれぞれのモニタ
データ(例えば、第1、第2ポンプ吐出圧、第1、第2
ジェットセンサの出力差圧、第1、第2NCバルブの出
力圧、及びTVC圧)をリアルタイムで入力する。そし
てステップS2で、入力した各モニタデータをリアルタ
イムモニタ表示器42に出力する。次にステップS3
で、コントローラ40は、上記条件検出センサから入力
した測定条件信号、及び各油圧機器に関するモニタデー
タを、前記予め記憶している測定条件及び故障判定基準
値と比較する。そして、ステップS4で、前記比較結果
が異常と判断した場合には、ステップS5で、モニタ表
示器43に異常個所(異常のある油圧機器名など)を表
示する。
【0030】図3は、モニタ表示器43の、斜板制御に
関わる油圧機器の異常を表示するモニタ画面の一例を示
す。同図に示すように、モニタ画面には、例えばどのバ
ルブに異常が発生したかのエラーメッセージが表示され
る。なお、表示内容はエラーメッセージに限定されず、
エラーコード等で表示してもよい。
【0031】モニタ画面に油圧機器等の異常が表示され
た場合、モニタ画面の指示内容に従ってオペレータはエ
ンジンを停止し、該当する異常個所を点検する。そし
て、異常機器の修理ができないときには、異常内容をサ
ービスマンに連絡する。サービスマンは、リアルタイム
モニタ画面により異常内容に関係する特性値、例えば斜
板制御に関わる各油圧機器の作動状態の特性値を同一画
面で同時に確認するとともに、上記モニタ画面の異常表
示に従って当該油圧機器の異常個所を特定して修理す
る。なお、モニタ画面に複数の油圧機器の異常情報が表
示された場合には、システムの上流側の油圧機器から故
障個所の特定を行うことにより、効率的に故障診断でき
る。
【0032】本発明の油圧機器の故障診断装置は上記の
ような構成としたため、同一のリアルタイムモニタ画面
に並べて表示された、複数の関連する油圧機器の作動特
性値を短時間で(つまり、少ない操作回数で)同時に確
認することができ、故障診断時の作業性を向上できる。
また、異常のある、又は故障した油圧機器を容易に特定
できるので、短時間で修理を行うことができる。さら
に、オペレータはリアルタイムモニタ画面により一目で
油圧機器の作動特性値を確認でき、異常個所が分かり易
いため、異常発生のままで作業車両の作業を継続するこ
とによる作業能率の低下や燃費の増大を招くことはな
い。また、コントローラが、稼動中にリアルタイムで入
力した各測定条件信号と各油圧機器のモニタデータと
を、各測定条件に応じた故障判定基準値と比較すること
により、自動的に油圧機器の故障診断を行うので、異常
個所を早期に発見できる。このため、異常発生の状態の
まま作業車両で作業を継続して作業能率の低下や燃費の
増大を招くことはない。上記油圧機器の作動特性値を検
出するセンサをコネクタやカプラ等で着脱自在に構成
し、診断が必要なときに制御回路の所定個所に接続して
装着することにより、センサに検出時の信号ストレスが
常時かかることがないので、センサ寿命を長くできる。
また、センサユニットとして他の作業車両にも共通に使
用可能となるので、車両の製造コスト及びメンテナンス
コストの低減が図れる。
【0033】なお、上記の実施形態では、モニタ装置が
モニタ表示器とリアルタイムモニタ表示器とを別個に有
する構成で説明したが、両表示器の機能を1つの表示器
で構成しても構わない。また、リアルタイムモニタ表示
器にポンプ油圧、ジェットセンサ差圧、TVC油圧及び
NCバルブ油圧の少なくともいずれか一つを表示する例
を示したが、この中から所望のものを選択して表示する
ようにしてもよい。さらに、モニタ装置は、異常発生の
際にモニタ画面による異常表示を行うことに限定するこ
となく、異常表示及び/又は音声(警報音を含む)によ
り報知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜板式可変容量型油圧ポンプの故障診
断装置の系統図である。
【図2】本発明の故障診断装置のリアルタイムモニタ画
面例である。
【図3】本発明の故障診断装置のモニタ画面例である。
【図4】本発明の故障診断装置の自動故障診断時のフロ
ーチャート例である。
【図5】従来の可変容量型油圧ポンプの斜板制御システ
ムの系統図である。
【図6】従来の可変容量型油圧ポンプの斜板制御システ
ムの流量制御部説明図である。
【符号の説明】
1…エンジン、4…エンジン回転センサ、5…スロット
ルセンサ、10…第1ポンプ、11…第1操作バルブ、
12…第1アクチュエータ、13…第1サーボバルブ、
14…第1NCバルブ、15…第1ジェットセンサ、1
6…第1ポンプ吐出圧センサ、17…第1ジェット差圧
センサ、18…第1NC圧センサ、20…第2ポンプ、
21…第2操作バルブ、22…第2アクチュエータ、2
3…第2サーボバルブ、24…第2NCバルブ、25…
第2ジェットセンサ、26…第2ポンプ吐出圧センサ、
27…第2ジェット差圧センサ、28…第2NC圧セン
サ、30…圧力比例制御バルブ、31…TVCバルブ、
34…TVC圧センサ、35…コントロールポンプ圧セ
ンサ、40…コントローラ、41…モニタ装置、42…
リアルタイムモニタ表示器、43…モニタ表示器。
フロントページの続き Fターム(参考) 3H045 AA04 AA10 AA12 AA24 AA32 BA41 CA00 CA01 CA02 CA03 CA09 CA13 DA25 EA34 EA49 EA50 3H070 AA01 BB04 CC11 CC33 CC35 DD96 3H082 AA02 AA20 AA21 BB26 CC02 DA02 DA06 DA18 DA41 DA42 DB26 DB28 DB35 DB37 DE05 EE02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧駆動式作業車両に備えた斜板式可変
    容量型油圧ポンプの斜板の制御に関わる油圧機器の故障
    を診断する故障診断装置において、前記斜板の制御に関
    わる油圧機器の作動特性値を検出する複数のセンサと、
    これらの検出値を入力して、1つの画面に並べて表示す
    るモニタ装置(41)とを備えたことを特徴とする油圧機器
    の故障診断装置。
  2. 【請求項2】 油圧駆動式作業車両に備えた斜板式可変
    容量型油圧ポンプの斜板の制御に関わる油圧機器の故障
    診断装置において、前記斜板の制御に関わる油圧機器の
    作動特性値を検出する複数のセンサと、これらの検出値
    を入力し、各機器別に予め記憶している故障判定基準値
    と前記検出値とを比較して異常と判断したとき、当該油
    圧機器の異常発生の信号を出力するコントローラ(40)
    と、前記油圧機器の異常発生の信号を受けて、表示及び
    /又は音声によって報知するモニタ装置(41)とを備えた
    ことを特徴とする油圧機器の故障診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の油圧機器の故障診断装置
    において、前記油圧機器の作動特性値の検出値を入力
    し、各機器別に予め記憶している故障判定基準値と前記
    検出値とを比較して異常と判断したとき、当該油圧機器
    の異常発生の信号を出力するコントローラ(40)を付設
    し、前記モニタ装置(41)は、前記油圧機器の異常発生の
    信号を受けて、表示及び/又は音声によって報知するこ
    とを特徴とする油圧機器の故障診断装置。
  4. 【請求項4】 前記斜板の制御に関わる油圧機器の作動
    特性値が、NCバルブ出力圧、TVCバルブ出力圧、油
    圧ポンプ吐出圧及びジェットセンサ出力差圧の内、少な
    くともいずれか1つであることを特徴とする請求項1又
    は2記載の油圧機器の故障診断装置。
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