JP2003221363A - (メタ)アクリル酸類の製造方法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸類の製造方法Info
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Abstract
エステルを製造及び/又は精製する方法において、個々
の工程単位から排出される高沸点重質成分(高沸物)
を、その中の(メタ)アクリル酸及び/又はその二量体
の含有量によって区分して処理する。 【効果】本発明によれば、(メタ)アクリル酸及び/又
はそのエステルを製造するプラントにおいて、蒸留塔、
高沸物分解反応器などから排出される液性状の類似する
高沸物同士を同一のタンクで混合しても、ポリマーの析
出がないので、取り扱いや保管が容易である。従って、
タンクを統合することができ、建設費及び設備所要面積
を低減する上に極めて有利である。
Description
クリル酸及びこれらのエステル(以下、「(メタ)アク
リル酸類」という)の製造方法に関する。詳しくは、
(メタ)アクリル酸類を製造及び/又は精製する方法に
おいて、個々の工程単位から排出される高沸物を、取り
扱い容易にかつ効率的に保管する方法に関するものであ
る。
タクリル酸(以下、(メタ)アクリル酸という)を製造
するプロセス、更に直接エステル化によって(メタ)ア
クリル酸エステルを製造するプロセスにおいては、脱水
塔、蒸留塔、酢酸分離塔、高沸物分解反応器(高沸物分
解塔)など個々の工程単位から各種の高沸物が発生す
る。通常これら高沸物は一旦タンクに保管され、その後
回収処理、焼却処理、あるいは埋め立て等の処理に付さ
れる。高沸物の種類によっては高沸物分解反応器を経由
してタンクに保管されることもある。保管に際しては、
高沸物の発生源が多岐にわたり、各プロセス特有の物性
を有するため、個別の製造プロセス毎にタンクを設置し
ていた。
方法は、それぞれのプロセスから発生する高沸物を混合
すると、その中に含有される重合禁止剤、副生ポリマー
などが析出するので、これを回避するためのものであ
る。析出ポリマーは装置内面に粘着成分として付着しト
ラブルを起こすからである。そのため、プラントの建設
に当って、個別の高沸物用タンクが必要となり、建設費
が高く、タンクの設置所要面積が広くなるという問題点
があった。
を解決するため鋭意検討を行った結果、各プロセスより
排出される高沸物を特定成分の組成で分類し、類似組成
の高沸物を混合することにより、液性状の変化なしにタ
ンクを統合して管理できることを見出し本発明を完成し
た。
ル酸又はメタクリル酸及びこれらのエステルを製造及び
/又は精製する方法において、個々の工程単位から排出
される高沸点重質成分(高沸物)を、その中の(メタ)
アクリル酸及び/又はその二量体の含有量によって区分
して処理することを特徴とする(メタ)アクリル酸類の
製造方法に存する。
リル酸又はそれらのエステル、即ちアクリルモノマーの
蒸留に際して取得される高沸点重質成分(高沸物)の処
理に適用できる。例えば、プロパンをMo−V−Te系
複合酸化物触媒、或いはMo−V−Sb系複合酸化物触
媒等を用いて、気相酸化させて得られるアクリル酸、又
はプロピレンもしくはイソブチレンをMo−Bi系複合
酸化物触媒の存在下、気相接触酸化し、アクロレインも
しくはメタクロレインを生成し、更にMo−V系複合酸
化物触媒の存在下、気相接触酸化して得られるアクリル
酸もしくはメタクリル酸の製造プロセスに適用できる。
この際、プロピレンを酸化して主としてアクロレインを
生成する前段反応とアクロレインを酸化して主としてア
クリル酸を生成する後段反応をそれぞれ別の反応器で行
うものでも、一つの反応器に前段反応を行う触媒と後段
反応を行う触媒を同時に充填して反応を行うものでも構
わない。更には、アクリル酸又はメタクリル酸を原料と
してそのエステルを製造するプロセスにも適用できる。
アクリル酸エステル類を例示すると、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メ
トキシエチル等があげられ、メタクリル酸エステル類に
ついても同様の化合物を例示することができる。
のアクリルモノマーには、アクリルモノマーの2量体、
3量体、これらのエステル化物、無水マレイン酸、ベン
ズアルデヒド、β―ヒドロキシプロピオン酸、β―ヒド
ロキシプロピオン酸エステル類、β―アルコキシプロピ
オン酸、β―アルコキシプロピオン酸エステル等の高沸
点不純物が含有されるのが一般的である。このような高
沸点不純物を含むアクリルモノマーを蒸留すると、蒸留
塔の塔頂成分として(メタ)アクリル酸類が取得される
一方、塔底成分として高沸物が得られる。また、高沸物
は蒸留塔以外の工程において、例えば、高沸物分解反応
器において、濃縮、生成、分離されるもの(分解残留
物、濃縮物など)も含まれる。本発明はかかる高沸物の
貯蔵、輸送、保管などの処理に適用される。
ル酸エステルの製造プロセスを例として説明する。図1
は、プロピレンを原料としてアクリル酸を製造するプロ
セスフロー図の一例である。図中の記号と番号は下記の
通りである。 A:アクリル酸捕集塔 B:脱水塔 C:軽沸分離塔(酢酸分離塔) D:高沸分離塔(アクリル酸精製塔) E:高沸分解反応器 1〜3:重合防止剤供給ライン 4 :アクリル酸を含有する酸化反応ガス 5 :アクリル酸水溶液 11:粗アクリル酸 15:アクリル酸抜出ライン 19:高純度アクリル酸抜出ライン 21:高沸物抜出ライン
ロレインを分子状酸素含有ガスを用いて接触気相酸化し
て得たアクリル酸含有ガスは、ライン4を経てアクリル
酸捕集塔Aに導入し、水と接触させアクリル酸水溶液を
得る。次にアクリル酸水溶液を脱水塔Bへ供給する。脱
水塔では、共沸剤を供給し、塔頂から水及び共沸剤から
なる共沸混合物を留出させ、塔底からは酢酸を含むアク
リル酸を得る。脱水塔の塔頂から留出した水および共沸
剤からなる共沸混合物は貯槽10に導入し、ここで主と
して共沸剤からなる有機相と主として水からなる水相と
に分離する。有機相は脱水塔Bに循環する。一方、水相
はライン7を経てアクリル酸捕集塔Aに循環させて、ア
クリル酸含有ガスと接触させる捕集水として用いること
により有効に活用することができる。必要に応じてライ
ン8から水を補給する。また、ライン7のプロセス液中
の共沸剤を回収するため、共沸剤回収塔(図示せず)を
経て、アクリル酸捕集塔Aに循環させてもよい。
き出した粗アクリル酸は、残存する酢酸を除去するため
に軽沸分離塔(酢酸分離塔)Cに導入する。ここで塔頂
からライン12,13を経て酢酸を分離除去する。ライ
ン13の酢酸はアクリル酸を含むので、一部もしくは全
量がプロセスへ戻される場合がある。一方、塔底からラ
イン14を経て実質的に酢酸を含まないアクリル酸を得
る。このアクリル酸は相当に純度が高いのでそのままア
クリル酸エステルの製造原料として使用することもで
き、場合によりライン15を経て製品とすることもあ
る。更に高純度のアクリル酸を得るためには、ライン1
6を経て高沸分離塔(アクリル酸精製塔)Dに導入して
高沸点物をライン17より分離除去し、高純度アクリル
酸をライン18,19を経て得ることが出来る。ライン
17の高沸物は高沸分解反応器Eに導かれ、一部はアク
リル酸としてライン20よりプロセスへ回収される。高
沸物はライン21より分離除去され、タンク(図示せ
ず)に貯蔵保管される。
ロー図の他の一例である。図1における脱水塔Bと軽沸
分離塔(酢酸分離塔)Cを1塔の蒸留塔Fに纏めたプロ
セスであり、物質の流れは基本的に図1と同じである。
ロー図の他の一例である。 A:アクリル酸捕集塔 G:放散塔 D:高沸分離塔(アクリル酸精製塔) H:高沸除去塔 K:溶剤精製塔 1〜3:重合防止剤供給ライン 4 :アクリル酸を含有する酸化反応ガス 5 :アクリル酸含有溶液 11:粗アクリル酸 13:高純度アクリル酸抜出ライン
ロレインを分子状酸素含有ガスを用いて接触気相酸化し
て得たアクリル酸含有ガスは、ライン4を経てアクリル
酸捕集塔Aに導入し、溶剤と接触させアクリル酸含有溶
液を得る。次にアクリル酸含有溶液を放散塔Gへ供給す
る。放散塔Gでは、ライン10よりガス(アクリル酸捕
集塔Aの塔頂より排出されるライン6のガス、或いは、
ライン6のガス中の有機物を酸化して除去した後のガス
等)を供給し、塔頂から水及び酢酸を留出させ、塔底か
らは溶剤を含むアクリル酸を得る。放散塔Gの塔頂から
留出した水および酢酸はアクリル酸捕集塔Aに導入し、
水と酢酸は最終的にアクリル酸捕集塔Aの塔頂より排出
される。放散塔Gの塔底からライン11を経て、高純度
のアクリル酸を得るために高沸分離塔(アクリル酸精製
塔)Dに導入して高沸点物をライン14より分離除去
し、高純度アクリル酸をライン13を経て得ることが出
来る。ライン14の高沸物は具体的には無水マレイン
酸、ベンズアルデヒド等であり、高沸除去塔Hに導か
れ、これら高沸点物はライン16より排出される。塔底
より溶剤はライン17を経て溶剤精製塔Kに導かれる。
回収された溶剤は塔頂よりライン7を経てアクリル酸捕
集塔Aに戻されるが、その一部又は大部分をライン17
から直接ライン7を経て(図示せず)アクリル酸捕集塔
Aに返送してもよい。塔底よりライン18を経て更なる
高沸物が分離除去され、タンク(図示せず)に貯蔵保管
される。る。
ロセスフロー図の一例である。図中の記号と番号は下記
の通りである。 L:エステル化反応器 M:アクリル酸分離塔 N:高沸分解反応器 Q:アルコール抽出塔 P:アルコール回収塔 R:軽沸分離塔 S:エステル精製塔 1〜3:重合防止剤供給ライン 31:アクリル酸供給ライン 32:アルコール供給ライン 33:エステル化反応混合物 35:循環アクリル酸 37:高沸点不純物の抜出ライン 39:粗アクリル酸エステルの抜出ライン 41:水供給ライン 42:回収アルコール水ライン 46:アクリル酸エステル製品抜出ライン
らアルコール、ライン35から循環アクリル酸、ライン
48から循環アルコールを、それぞれエステル化反応器
Lに供給する。エステル化反応器Lには強酸性イオン交
換樹脂などの触媒が充填される。ライン33を経て、生
成エステル、未反応アクリル酸、未反応アルコール、及
び生成水からなるエステル化反応混合物を抜き出し、ア
クリル酸分離塔Mに供給する。アクリル酸分離塔Mから
ライン34を経て未反応アクリル酸の実質的全量を含む
塔底液を抜き出し、ライン35を経て循環液としてエス
テル化反応器Lへ供給する。該塔底液の一部はライン3
6を経て高沸分解反応器Nに供給し、分解され得られた
有価物はライン40を経てプロセスに循環される。循環
されるプロセス内の場所は、プロセス条件によって異な
る。重合物などの高沸点不純物はライン37を経て系外
へ除去され、タンク(図示せず)に貯蔵保管される。ま
た、アクリル酸分離塔Mの塔頂からは、ライン38を経
て生成エステル、未反応アルコール、及び生成水が留出
する。流出物の一部は還流液としてアクリル酸分離塔M
に循環し、残りはライン39を経て抽出塔Qに供給され
る。ライン41よりアルコール抽出の為の水が供給さ
れ、ライン42を経て回収されたアルコールを含む水は
アルコール回収塔Pに供給される。回収されたアルコー
ルはライン48を経てエステル化反応器に循環される。
沸分離塔Rへ供給される。ライン44よりアクリル酸エ
ステルを含む軽沸物は抜き出され、プロセス内へ循環さ
れる。循環されるプロセス内の場所は、プロセス条件に
よって異なる。軽沸物を除去された粗アクリル酸エステ
ルはライン45を経てアクリル酸エステル製品精製塔S
へ供給される。塔頂よりライン46を経て、高純度アク
リル酸エステルを得る。塔底から若干の高沸物を含む液
は、通常アクリル酸を多く含むのでライン47を経て抜
き出され、プロセス内へ循環される。循環されるプロセ
ス内の場所は、プロセス条件によって異なる。
したように、(メタ)アクリル酸類を分離、濃縮、回
収、精製するための個々の工程単位から排出される高沸
点不純物成分の全てを含むものである。代表的には、図
1及び図2に示されるライン21、図3に示されるライ
ン16及びライン18、図4に示されるライン37から
排出される塔底液が該当する。
高沸物分解塔の塔底成分、高沸物分解反応器の分解残留
物などとして得られる。蒸留塔の形式やその棚段形状、
充填物形状などは特に限定されるものではない。また蒸
留中や蒸留後の操作において、(メタ)アクリル酸類の
重合を防止するために重合防止剤を特に制限なく使用す
ることができる。これらの重合防止剤も高沸物の一部を
構成することがある。高沸物分解反応器の形状・形式な
ども限定されず、例えば、塔型反応器、槽型反応器など
いずれも使用できる。
詳述するに、その組成は、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸類のラジ
カル重合物(単に、ポリマーと呼ばれることも多い)、
(メタ)アクリル酸のミカエル付加物である二量体(ダ
イマー)、三量体(トリマー)、四量体(テトラマー)
などのオリゴマー、アクリル酸ダイマーエステル、アク
リル酸トリマーエステル、アクリル酸テトラマーエステ
ル、重合禁止剤、マレイン酸、ベンズアルデヒド、フル
フラール、アルコキシプロピオン酸、アルコキシプロピ
オン酸エステル、アルコール類(例えば、メタノール、
エタノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、2
−エチルヘキシルアルコール等)、ポリマーと(メタ)
アクリル酸とのミカエル付加物等が含まれている。
二量体(ダイマー)、三量体(トリマー)の構造式は次
のように表わされる。 アクリル酸の二量体: H2C=CH-C(=O)-O-CH2-CH2-C(=O)
-OH アクリル酸の三量体: H2C=CH-C(=O)-O-CH2-CH2-C(=O)
-O-CH2-CH2-C(=O)-OH
アルデヒド類は、高純度(メタ)アクリル酸を製造する
際にアルデヒド除去剤(例えば、ヒドラジン類など)と
反応させて重沸物化し排出されることがある。これも高
沸物に含有される一成分となることがある。従って、既
に述べた通り、本発明では高純度(メタ)アクリル酸製
造プロセスより排出される高沸物は、粗アクリル酸プロ
セスの高沸物と同様に取り扱うことができる。
により、その組成は一様ではない。例えば、(メタ)ア
クリル酸製造プロセスにおいて、(メタ)アクリル酸を
5〜30重量%、(メタ)アクリル酸二量体を5〜90
重量%、エトキシプロピオン酸を0〜50重量%、ポリ
マー成分その他を5〜50重量%、水分1重量%以下の
高沸物を挙げることができる。また、(メタ)アクリル
酸エステル製造プロセスにおいて、(メタ)アクリル酸
エステル5〜40重量%、(メタ)アクリル酸0.1〜
10重量%、ポリマー成分その他を5〜60重量%、水
分1重量%以下の高沸物を挙げることができる。
成を(メタ)アクリル酸及び/又はその二量体の含有量
によって区分して処理することにある。(メタ)アクリ
ル酸及び/又はその二量体の含有量が大きい高沸物、中
でもそれらの合計含有量が10重量%以上、特に20重
量%以上の高沸物は親水性が大きく、ポリマーに対する
溶解性も大きい。従って、(メタ)アクリル酸及びその
二量体の合計含有量が10重量%以上の高沸物は相互に
混合しても液性状が変化することなく、ポリマーの析出
もない。
二量体の含有量が小さい高沸物、中でもそれらの合計含
有量が10重量%未満、特に8重量%未満の高沸物は疎
水性が大きい。かかる高沸物は疎水性が大きくて,かつ
ポリマー成分を相当量溶解しているものである。従っ
て、(メタ)アクリル酸及びその二量体の合計含有量が
10重量%未満の高沸物は相互に混合しても液性状が変
化することなく、ポリマーの析出もない。しかしなが
ら、(メタ)アクリル酸及び/又はその二量体の含有量
が大きい親水性高沸物と、該含有量の小さい疎水性高沸
物とは、液性状が異なるので、ポリマー含有量に関わら
ず両者を混合するとポリマーの析出が起こる。なお、本
発明において、「(メタ)アクリル酸及び/又はその二
量体の含有量」とは、高沸物がいずれか一成分のみを含
有する場合は、当該成分の含有量を意味し、二成分以上
を含有する場合は、両者の合計含有量を意味するもので
ある。
なく任意の割合で混合することができ、いずれの場合も
ポリマーの析出を回避することができる。混合操作も特
に限定されるものではない。例えば、蒸留塔の塔底液と
して得られた各種の高沸物、高沸物分解反応器における
分解物あるいは分解残留物などを、(メタ)アクリル酸
及び/又はその二量体の含有量によって区分した後は、
同種の液性状を有する高沸物同士を配管ラインで混合
し、又は直接タンクに導入して保管することができる。
場合によっては、混合用の小さな予備タンクを用いて混
合することもできる。
の混合状態を高める目的で、外部循環ラインを設けるこ
ともできる。該循環ラインにストレーナーを設置して微
量のポリマーなどの固形成分を除去することが好まし
い。なお、図5において、71,72は高沸物導入ライ
ン、73は高沸物排出ライン、74は循環ポンプ、75
はストレーナーを表わす。
に混合してもポリマーの析出はないので自由に、任意の
割合で混合することができる。更に、(メタ)アクリル
酸及び/又はその二量体の含有量が10重量%以上であ
る親水性高沸物は、それ自体が親水性であるので、プロ
セス内で発生する有価物を含有する各種の排水、酢酸水
などと混合しても、ポリマーの析出がない。この場合、
親水性高沸物の粘度を下げ、タンクへの移送や洗浄を容
易にする効果もある。なお、(メタ)アクリル酸及び/
又はその二量体の含有量が10重量%未満である疎水性
高沸物は少量の水であっても、ポリマーの析出を促進す
るので、その含有量は2重量%以下、特に1重量%以下
に保持することが好ましい。
るが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例に
限定されるものではない。なお、アクリル酸二量体の分
析は、下記の通りである。アクリル酸の加熱により二量
体を生成させ、高真空下で蒸留精製したアクリル酸二量
体(純度≧95重量%)によるガスクロマトグラフィーの
検量線を予め作成しておき、これに基づいてサンプル中
の二量体を定量した。機器は島津製作所製GC14A、カラ
ムは東京化成社製FFAP-10を使用した。
解反応器から下記組成の高沸物1を取得した。 アクリル酸 ; 8重量% アクリル酸ダイマー ; 72重量% マレイン酸 ; 8重量% その他(ポリマー、重合禁止剤等) ; 12重量% 水分 ; 0.1重量%以下 同様に、アクリル酸エチルプラントの高沸分解反応器か
ら下記組成の高沸物2を取得した。 アクリル酸 ; 15重量% アクリル酸ダイマー ; 7重量% アクリル酸エチル ; 3重量% エトキシプロピオン酸 ; 36重量% エトキシプロピオン酸エチル ; 13重量% その他(ポリマー、重合禁止剤等) ;25.4重量% 水分 ; 0.6重量%
0:90、50:50、及び90:10で常温下に混合
した。混合後の液性状を観察したがいずれの場合も析出
物は認められなかった。本実施例1は、アクリル酸及び
その二量体の含有量が80重量%の高沸物1と、同含有
量が22重量%の高沸物2の混合態様を示すものであ
る。いずれも親水性高沸物であるので混合しても液性状
の変化がないことが分かる。
上記の高沸物1と高沸物2を重量比10:4で導入し
た。両者の混合結果は良好で、タンク液の循環に用いた
ポンプのストレーナーに析出物は認められなかった。
高沸分解反応器から下記組成の高沸物3を取得した。 アクリル酸 ; 7重量% アクリル酸ダイマー ; 0重量% ブトキシプロピオン酸ブチル ; 68重量% アクリル酸ブチル ; 11重量% その他(ポリマー、重合禁止剤等) ; 14重量% 水分 ;0.1重量%以下 上記の高沸物1と高沸物3を、重量比10:90、5
0:50、及び90:10で常温下に混合した。いずれ
の場合も、混合後速やかに混合容器の内面にべっとりと
したポリマーの析出が認められた。その後の液性状を観
察したところ、固形浮遊物の発生が認められた。本比較
例1は、アクリル酸及びその二量体の含有量が80重量
%の親水性高沸物1と、同含有量が7重量%の疎水性高
沸物3の混合態様を示すものである。高沸物の液性状が
異なり、混合によりポリマーの析出が生じたことを示す
ものである。
ルプラントの高沸分解反応器から下記の組成の高沸物4
を取得した。 アクリル酸 ;0.2重量% アクリル酸ダイマー ; 0重量% 2−エチルヘキソキシプロピオン酸2−エチルヘキシル ; 24重量% アクリル酸2−エチルヘキシル ; 31重量% その他(ポリマー、重合禁止剤等) ; 44重量% 水分 ;0.1重量%以下 比較例1で使用した高沸物3と上記高沸物4を、重量比
10:90、50:50、及び90:10で常温下に混
合した。混合後の液性状を観察したがいずれの場合も析
出物は認められなかった。本実施例3は、アクリル酸及
びその二量体の含有量が7重量%の高沸物3と、同含有
量が0.2重量%の高沸物4の混合態様を示すものであ
る。いずれも疎水性高沸物であるので混合しても液性状
の変化がないことが分かる。
に、上記の高沸物3と高沸物4を重量比2:1で導入し
た。両者の混合結果は良好で、タンク液の循環に用いた
ポンプのストレーナーに析出物は認められなかった。
を、重量比10:90、50:50、及び90:10で
常温下に混合した。いずれの場合も、混合後速やかに混
合容器の内面にべっとりとしたポリマーの析出が認めら
れた。その後の液性状を観察したところ、固形浮遊物の
発生が認められた。本比較例2は、アクリル酸及びその
二量体の含有量が80重量%の親水性高沸物1と、同含
有量が0.2重量%の疎水性高沸物4の混合態様を示す
ものである。高沸物の液性状が異なり、混合によりポリ
マーの析出が生じたことを示すものである。
を、重量比10:90、50:50、及び90:10で
常温下に混合した。いずれの場合も、混合後速やかに混
合容器の内面にべっとりとしたポリマーの析出が認めら
れた。その後の液性状を観察したところ、固形浮遊物の
発生が認められた。本比較例3は、アクリル酸及びその
二量体の含有量が22重量%の親水性高沸物2と、同含
有量が7重量%の疎水性高沸物3の混合態様を示すもの
である。高沸物の液性状が異なり、混合によりポリマー
の析出が生じたことを示すものである。
を、重量比10:90、50:50、及び90:10で
常温下に混合した。いずれの場合も、混合後速やかに混
合容器の内面にべっとりとしたポリマーの析出が認めら
れた。その後の液性状を観察したところ、固形浮遊物の
発生が認められた。本比較例4は、アクリル酸及びその
二量体の含有量が22重量%の親水性高沸物2と、同含
有量が0.2重量%の疎水性高沸物4の混合態様を示す
ものである。高沸物の液性状が異なり、混合によりポリ
マーの析出が生じたことを示すものである。
び/又はそのエステルを製造するプラントから排出され
る液性状の類似する高沸物同士を同一のタンクで混合し
ても、ポリマーの析出がないので、取り扱いや保管が容
易である。従って、タンクを統合することができ、建設
費及び設備面積を低減する上に極めて有利である。
プロセスフロー図の一例である。
一例である。
一例である。
図の一例である。
る。
とめた蒸留塔 G:放散塔 H:高沸除去塔 K:溶剤精製塔 L:エステル化反応器 M:アクリル酸分離塔 N:高沸分解反応器 Q:アルコール抽出塔 P:アルコール回収塔 R:軽沸分離塔 S:エステル精製塔 T:高沸物貯蔵タンク
Claims (7)
- 【請求項1】アクリル酸又はメタクリル酸及びこれらの
エステル(以下、「(メタ)アクリル酸類」という)を
製造及び/又は精製する方法において、個々の工程単位
から排出される高沸点重質成分(以下「高沸物」とい
う)を、その中のアクリル酸又はメタクリル酸(以下、
(メタ)アクリル酸という)及び/又はその二量体の含
有量によって区分して処理することを特徴とする(メ
タ)アクリル酸類の製造方法。 - 【請求項2】高沸物が(メタ)アクリル酸類を塔頂成分
として取得する蒸留塔の塔底成分である請求項1に記載
の(メタ)アクリル酸類の製造方法。 - 【請求項3】高沸物が(メタ)アクリル酸類の分解反応
器の残留物である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸
類の製造方法。 - 【請求項4】高沸物を、当該高沸物中の(メタ)アクリ
ル酸及びその二量体の合計含有量が10重量%以上の親
水性高沸物と、同合計含有量が10重量%未満の疎水性
高沸物とに区分して処理する請求項1〜3のいずれか1
項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。 - 【請求項5】高沸物中の水分含有量が2重量%以下であ
る請求項1〜4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリ
ル酸類の製造方法。 - 【請求項6】(メタ)アクリル酸及びその二量体の合計
含有量が10重量%以上の親水性高沸物を2種類以上混
合して同一の貯槽で保管する請求項1〜5のいずれか1
項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。 - 【請求項7】(メタ)アクリル酸及びその二量体の合計
含有量が10重量%未満の疎水性高沸物を2種類以上混
合して同一の貯槽で保管する請求項1〜5のいずれか1
項に記載の(メタ)アクリル酸類の製造方法。
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---|---|---|---|
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