JP2003219861A - 高生残性ラクトバチルス属細菌およびその利用 - Google Patents

高生残性ラクトバチルス属細菌およびその利用

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培養終期の低pH域での生残性が高く、長時
間培養に適した高生残性乳酸菌および当該乳酸菌を利用
して製造した発酵乳ならびに当該発酵乳を含有する発酵
乳製品を提供すること。 【解決手段】 異性化糖を3質量%以上含み、無脂乳固
形分濃度が16質量%である乳培地において培養したと
きに、酸度22.5における生菌数が1×10cfu
/ml以上であることを特徴とする高生残性ラクトバチ
ルス属細菌および当該細菌を利用して製造した発酵乳な
らびに当該発酵乳を含有する発酵乳製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、培養終期における
菌の死滅が少ない高生残性ラクトバチルス属細菌、当該
細菌を利用した発酵乳の製造方法、当該方法で製造した
発酵乳を含有する発酵乳製品および当該細菌の取得方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】乳酸菌の発酵により得られる発酵乳等の
発酵乳製品は、整腸作用と様々な生理効果を有する食品
である。これらは、乳酸菌で発酵させた乳を適宜シロッ
プや水で希釈するなどして製造されるものであり、乳酸
による爽やかさ、バランスのとれた甘さ等がおいしさの
主要因となる。また、その両者の濃度を高めることでコ
クのある良好な風味が付与される。このため、乳酸菌の
培養は乳酸酸度が可能な限り高まるまで行うことが望ま
しいが、一方、乳酸菌の長時間の培養は生菌数の低下を
招くため、生菌数を重視する発酵乳等の製造において、
この二律背反の問題を解決することが求められている。
【0003】このため、乳酸菌の培養の際にクロレラエ
キス、酵母エキス等の増殖促進物質を培地に添加して、
短時間に酸度を上昇させる試みがなされているが、この
ような場合には、培養初期の増殖性は良好となるもの
の、培養終期には、自ら産生した酸の影響により菌の死
滅が却って促進されてしまい、結果的に生菌数の低下が
生じてしまうことも多い。
【0004】また、長時間培養によって得られた発酵乳
に、各種糖質などの添加物を加え製品化した場合、製品
保存後の菌の生残性が悪く、製品規格の維持や生理作用
の発現のためには問題がある。
【0005】このため、乳酸菌に変異処理を施すなどし
て酸耐性の高い乳酸菌等のスクリーニングが行われてい
るが、従来の方法では、十分に生菌数を維持し、製品化
後の生残性を高めることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、培
養終期における高酸度状態でも高い生菌数を有し、製品
化後の生残性の高い乳酸菌を得ること、すなわち、培養
終期の低pH域での生残性が高く、長時間培養に適した
高生残性乳酸菌を得ることをその課題とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意研究を行ったところ、培養終期にお
ける死滅速度の低いラクトバチルス属細菌は長時間培養
において、高い酸産生能および生菌数を維持できること
を見出した。そして、このような性質を有するラクトバ
チルス属細菌は、至適培養温度より高い温度で培養する
ことにより得られる耐性株から、死滅速度の低い変異株
をスクリーニングすることにより得られることを見出し
た。
【0008】また、このような培養後期における菌の死
滅が少ない高生残性乳酸菌を用いて、乳を発酵させるこ
とにより得られる発酵乳は、高い生菌数を有するととも
に、製品保存時の生残性の高いことを見出し本発明を完
成した。
【0009】すなわち、本発明は異性化糖を3質量%以
上含み、無脂乳固形分濃度が16質量%である乳培地に
おいて培養したときに、酸度22.5における生菌数が
1×10cfu/ml以上であることを特徴とする高
生残性ラクトバチルス属細菌を提供するものである。
【0010】また、本発明は上記の高生残性ラクトバチ
ルス属細菌により乳を発酵することを特徴とする発酵乳
の製造方法を提供するものである。
【0011】更に、本発明は上記の方法により得られた
発酵乳を含有することを特徴とする発酵乳製品を提供す
るものである。
【0012】また更に、本発明はラクトバチルス属細菌
を生育可能な温度範囲の限界に近い高温で継代培養して
得られた菌株から、異性化糖を3質量%以上含み、無脂
乳固形分濃度が16質量%である乳培地において培養し
た時に、酸度22.5における生菌数が1×10cf
u/ml以上であり、酸度21における死滅速度が0.
01以下である菌株を選抜することを特徴とする高生残
性ラクトバチルス属細菌の取得方法を提供するものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本明細書中において、死滅速度と
は、乳酸菌をブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等の
異性化糖を固形分換算で3質量%(以下、単に「%」と
もいう)以上含み、無脂乳固形分濃度が16質量%であ
る乳培地で培養した際に、培養時間、酸度および生菌数
を経時的に測定し、この測定値より、横軸に培養時間お
よび縦軸に酸度とする回帰式1を作成し、更に横軸に培
養時間および縦軸に生菌数の対数とする回帰式2を作成
し、この回帰式2の導関数に、回帰式1より算出された
所望の酸度の培養時間を代入して得られる数値の絶対値
を意味する。この死滅速度の数値が小さいとき、その酸
度における菌の死滅する割合が少ないことを示す。
【0014】また、本明細書中において酸度とは、培養
液(被験サンプル)9gを中和する0.1mol/lの
水酸化ナトリウム溶液の量(ml)のことである。上記
無脂乳固形分16%の乳培地において酸度22.5は、
ほぼpH3.65に対応し、酸度21はほぼpH3.7に
対応する。
【0015】更に、酸度22.5におけるラクトバチル
ス属の生菌数(酸度21における死滅速度)を測定する
条件等を具体的に示すと、ブドウ糖果糖液糖(ブリック
ス75°)10%、無脂乳固形分濃度16%、遊離オレ
イン酸0.0023%、マンガン0.08ppmを含む乳
培地に菌を接種し、接種した菌の至適温度近辺で培養を
行い、菌数、酸度変化を経時的に測定し、酸度22.5
に達した時点の生菌数を測定し、死滅速度を算出する。
【0016】本発明の高生残性ラクトバチルス属細菌
は、異性化糖を3質量%以上含み、無脂乳固形分濃度が
16質量%以上である乳培地において培養したときに、
酸度22.5における生菌数が1×10cfu/ml
以上となる菌であるが、中でも培地中のオレイン酸含量
が0.002%〜0.0025%、特に0.002%〜0.
0023%であり、マンガン含量が0.05ppm〜0.
4ppm、特に0.05ppm〜0.1ppmである場合
の酸度22.5における生菌数が1×10cfu/m
l以上となる菌が優れたものとして挙げられる。酸産生
能、生残性等のラクトバチルス属の生育特性は、培地中
の微量成分量、具体的にはオレイン酸およびマンガン含
量に影響を受ける。すなわち、一般にオレイン酸含量が
低いと菌の生残性は低下し、マンガン含量が低いと菌の
増殖能は低下するが、前記条件下において高い生菌数お
よび遅い死滅速度を有する株は、オレイン酸含量が低い
等の比較的劣悪な培地条件で長時間培養した場合であっ
ても優れた生菌数を有し、製品化後も高い生残性を維持
するものとなる。このため、本発明の高生残性ラクトバ
チルス属細菌は、オレイン酸含量の低い培地において発
酵される飲食品等への適用が好ましい。具体的には、オ
レイン酸含量の低い脱脂乳培地に対して本菌株を用いた
場合に、特に優れた効果が発揮される。
【0017】本発明の高生残性ラクトバチルス属細菌
は、例えば、次のような方法によって得ることができ
る。まず、親株となるラクトバチルス属細菌をILS培
地等の培地に接種し、これを菌の生育が可能な温度範囲
の限界に近い高温で培養する。次いで、得られたコロニ
ーを継代して同様の操作を繰り返し、高温培養に強い菌
株を選択する。
【0018】次いで、このようにして選択された菌株
を、異性化糖を3質量%以上含み、無脂乳固形分濃度が
16質量%である乳培地にて培養し、酸度22.5にお
ける生菌数が1×10cfu/ml以上であり、酸度
21における死滅速度が0.01以下である菌株を選抜
することにより、培養終期に菌の死滅が少ない菌株、す
なわち高生残性ラクトバチルス属細菌が得られる。
【0019】この取得方法において、親株となるラクト
バチルス属細菌は特に限定されず、ラクトバチルス・ア
シドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクト
バチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・プ
ランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネ
リ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.case
i)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、
ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクト
バチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチ
ルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノ
ーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア
(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracas
ei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatu
s)、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)
等が用いられるが、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバ
チルス・ラムノーザス、ラクトバチルス・パラカゼイ等
酸耐性の高いものは、長時間培養された場合でも高い生
菌数を維持できるため好ましく、特にラクトバチルス・
カゼイは製品化後の菌の生残性改善の効果が高いため好
ましい。
【0020】また、この方法において使用されるILS
培地等での培養温度は、ラクトバチルス属細菌の生育が
可能な温度範囲の限界に近い高温、すなわち、至適温度
よりも3℃〜6℃高い温度に設定すればよく、具体的に
ラクトバチルス・カゼイであれば40℃〜43℃、好ま
しくは42℃の培養温度であり、ラクトバチルス・アシ
ドフィルスであれば44℃〜46℃、ラクトバチルス・
ブルガリクスであれば46℃〜49℃である。
【0021】更に、この方法において使用される乳培地
は、異性化糖を3質量%以上、好ましくは3%〜7.5
%含み、無脂乳固形分濃度が16質量%であるものが好
ましい。また、本発明の高生残性ラクトバチルス属細菌
を取得するに当たっては、この乳培地のオレイン酸濃度
をオレイン酸及びその誘導体(以下、「オレイン酸等」
という)で調整することが好ましい。オレイン酸等とし
ては、特に限定されるものではなく、遊離のオレイン酸
やオレイン酸の無機塩の他、一般的に乳化剤として用い
られているシュガーエステル、グリセリド、ソルビタン
エステル、プロピレングリコールエステル等において、
その脂肪酸部分がオレイン酸であるものを挙げることが
できる。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、グリ
セリンオレイルエステル、ポリグリセリンオレイルエス
テル、ソルビタンオレイルエステル、プロピレングリコ
ールオレイルエステルおよびショ糖オレイルエステル等
が挙げられる。中でも、オレイン酸モノグリセリドや、
ポリグリセリンモノオレイルエステルは、培養終了時菌
数の増加効果、生残性改善効果が高いため好ましく、ま
た、溶解性等の物性の面からはショ糖オレイルエステル
等が好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせ
て使用することができる。これらのオレイン酸等の添加
量は特に限定されないが、菌の生残性を高めるために
は、オレイン酸の終濃度として0.01%〜0.04%、
特に0.015%〜0.025%が好ましい。
【0022】更にまた、この乳培地のマンガン濃度をマ
ンガンを含む塩類や各種植物等のエキス類、具体的には
硫酸マンガン等のマンガン塩の1種以上や生姜エキス、
茶類エキスまたはネギエキスから選ばれた1種以上(以
下、「エキス類」という)により調整することもでき
る。茶類エキスとしては、例えば緑茶、紅茶、ウーロン
茶、ジャスミン茶、グアバ茶等を水、酸性水等の水性溶
媒もしくはエタノール、酢酸エチル、グリセリン、プロ
ピレングリコールエステル等の有機溶媒またはこれらの
混合溶媒で抽出した抽出物等が挙げられ、中でも水抽出
物を用いれば、ラクトバチルス属細菌の増殖性が高ま
り、オレイン酸と組合わせて用いた場合の培養終期にお
ける死滅速度が低下するため好ましく、特にpH5.0
以下の酸性水抽出物を用いることが好ましい。また、ネ
ギエキスとしては、ネギをそのままあるいは細断あるい
は破砕等の処理を施して、上記茶類エキスと同様の溶媒
で抽出したものが、生姜エキスとしては、生姜をそのま
まあるいは脱皮、破砕等の処理を施して同様の溶媒で抽
出したものが挙げられ、両者とも茶類エキスと同様に水
性溶媒、特に酸性水を溶媒とした抽出物を用いることが
好ましい。これらマンガン塩あるいはエキスの添加量は
特に限定されないが、菌の増殖性を高めるためには、マ
ンガンの終濃度として0.05ppm〜1ppm、特に
0.08ppmとすることが好ましい。
【0023】次に、本発明の方法を用い、親株としてラ
クトバチルス・カゼイ YIT9029(FERM B
P−1366:以下、「YIT9029」という)から
高生残性ラクトバチルス属細菌を取得する方法の具体例
を示す。まず、親株であるYIT9029を下記組成の
ILS培地に10%接種し、42℃で7時間培養する。
これを20代継代を繰り返し、最終段階で生じたコロニ
ーからシングルコロニーを拾い、高温培養に強い菌株を
選択する。次いでこれらを異性化糖を3質量%以上含
み、無脂乳固形分濃度が16質量%である乳培地にて培
養し、酸度22.5における生菌数が1×10cfu
/ml以上であり、酸度21における死滅速度が0.0
1以下である菌株を選抜し、高生残性ラクトバチルス属
細菌を得た。
【0024】 < ILS培地 > ( 成 分 ) ( % ) Trypticase 1 Yeast抽出物 0.5 Tryptose 0.3 リン酸(I)カリウム 0.3 リン酸(II)カリウム 0.3 クエン酸(III)アンモニウム 0.2 酢酸ナトリウム・3HO 0.17 L−システイン塩酸塩 0.2 Tween80 0.1 塩類溶液(下記塩類を100mlの水に溶解したもの) 0.5 MgSO・7HO 11.5g FeSO・7HO 0.68g MnSO・7HO 2.4g
【0025】このようにして得られた高生残性ラクトバ
チルス属細菌の菌株の一つをラクトバチルス・カゼイ
YIT10003(以下、「YIT10003」とい
う)と命名し、FERM BP−7707として、平成
13年8月14日付で独立行政法人産業技術総合研究所
特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日
本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託
した。
【0026】上記YIT10003の菌学的性質を下記
表1に示す。なお、本発明のYIT10003は親株で
あるYIT9029と菌学的性質においてほぼ一致する
が、上記したように、異性化糖を3質量%以上含み、無
脂乳固形分濃度が16質量%である乳培地において培養
したときに、酸度22.5における生菌数が1×10
cfu/ml以上であり、更に、酸度21における死滅
速度が0.01以下であるという特徴を有する。
【0027】
【表1】
【0028】上記のようにして得られた高生残性ラクト
バチルス属細菌により乳を発酵させて得られる発酵乳
は、菌の生残性が高いものであり、例えば特段の工夫を
しなくても従来以上の生菌数を保証できるものである。
なお、ここで、乳とは、牛乳(全脂乳)およびその加工
品である脱脂乳、その他の山羊乳、羊乳等の獣乳等、更
には植物性の豆乳等であり、発酵乳とは、前記乳を上記
ラクトバチルス属細菌を用いて発酵して得られる発酵物
のことである。
【0029】本発明の発酵乳の製造にあたっては、本発
明の高生残性ラクトバチルス属細菌以外の微生物を併用
することも可能である。このような微生物としては、例
えば上記列挙したラクトバチルス属細菌のうち培養終期
における死滅速度があまり低くないものやラクトコッカ
ス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococc
us lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチ
ス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lacti
s subsp. cremoris)、ラクトコッカス・ラクチス サ
ブスピーシーズ.ダイアセチラクチス(Lactococcus lac
tis subsp. diacetilactis)等のラクトコッカス属細
菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcocc
us thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ビ
フィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium.brev
e)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacte
rium. bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B
ifidobacterium.longum)、ビフィドバクテリウム・イ
ンファンティス(Bifidobacterium.infantis)、ビフィ
ドバクテリウム・カテヌラータム(Bifidobacterium.ca
tenulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(B
ifidobacterium.animaris)ビフィドバクテリウム・シ
ュードカテヌラータム(Bifidobacterium. pseudocate
nulatum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティ
ス(Bifidobacterium.adolescentis)等のビフィドバク
テリウム属細菌、サッカロマイセス・セルビシエ(Sacc
haromyses cerevisiae)、トルラスポラ・デルブルエッ
キー(Torulaspora delbrueckii)、キャンジダ・ケフ
ィア等のサッカロマイセス属、トルラスポラ属、キャン
ジダ属等に属する酵母等が好ましいものとして挙げられ
る。中でも上記ラクトバチルス属細菌、ストレプトコッ
カス属細菌およびラクトコッカス属細菌から選ばれる乳
酸菌のうち1種以上を併用して発酵乳製品を製造すれ
ば、高い嗜好性を得られるため継続的な飲用が容易であ
り好ましい。
【0030】この発酵乳の製造において、前記した高生
残性ラクトバチルス属細菌の取得方法で用いられる乳培
地と同様に、発酵時の発酵基質中のオレイン酸量を、オ
レイン酸等で調整することが好ましい。これらのオレイ
ン酸等の添加量は特に限定されないが、菌の生残性をよ
り高めるためには、オレイン酸の終濃度として0.01
%〜0.04%、特に0.015%〜0.025%が好ま
しい。また、この発酵乳の製造において、前記したスク
リーニングで用いられる乳培地と同様に、発酵基質中の
マンガン量をエキス類等で調整することもできる。これ
らエキス等の添加量は特に限定されないが、菌の増殖性
を高めるためには、マンガンの終濃度として0.05p
pm〜0.4ppm、特に0.05ppm〜0.3ppm
とすることが好ましい。
【0031】また、上記発酵乳を使用し、発酵乳製品を
製造することができる。この発酵乳製品とは、前記発酵
乳をそのままあるいは適宜加工した後、容器に充填する
などした所謂市販製品を指す。その形態としては、プレ
ーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ
や、ハードタイプ等の固形状、ドリンクタイプの液状等
いずれの形態であっても良く、豆乳を原料とする発酵豆
乳であっても良い。の製品とすることも可能である。中
でも、発酵乳製品であれば、菌の生残性が高いため好ま
しい。
【0032】この発酵乳製品の製造に際しては、発酵乳
以外の各種の食品素材、すなわち各種糖質や乳化剤、増
粘剤、増粘剤、甘味料、酸味料、果汁等を適宜添加する
ことができる。具体的には、蔗糖、異性化糖、グルコー
ス、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラク
トース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリト
ール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、
還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、蔗糖脂
肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等
の乳化剤、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガ
ム、ペクチン、ローカストビーンガム等の増粘(安定)
剤、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料、レモン果
汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁類等が挙げら
れる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミ
ンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類やカルシ
ウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等を添加する
ことが可能である。
【0033】また、発酵乳製品の製造は常法に従えばよ
く、例えば、殺菌した乳培地に本発明のラクトバチルス
属細菌を接種培養し、これを均質化処理して発酵乳を
得、次いで、別途調製したシロップ溶液を添加混合し、
ホモゲナイザー等で均質化し、更にフレーバーを添加し
て最終製品に仕上げればよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではな
い。
【0035】実 施 例 1 ラクトバチルス属細菌のスクリーニング:ILS培地
に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029(FERM
BP−1366)を10%接種し、42℃で7時間培
養した。これを更にILS培地で20代継代を繰り返
し、最終段階で生じたコロニーからシングルコロニー2
0個(A〜T)を選抜した。これら20株および親株で
あるYIT9029株をそれぞれ単独で10%還元脱脂
乳培地で3代継代し、スターターとした。これをそれぞ
れ10%ブドウ糖果糖液糖(ブリックス75°)を含
み、無脂乳固形分濃度が16%である乳培地(遊離オレ
イン酸濃度0.0023%、マンガン濃度0.08pp
m)で培養した。この培養中に酸度および生菌数を経時
的に測定し、酸度22.5に達するまでの時間およびそ
のときの生菌数ならびに酸度21における死滅速度を算
出した。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示す菌株のうち、酸度22.5にお
ける生菌数が1×10cfu/ml以上であり、酸度
21における死滅速度が0.01以下である菌株が10
株得られた。これらのうちL株をラクトバチルス・カゼ
イ YIT10003とした(以下、「YIT1000
3」という)。
【0038】実 施 例 2 発酵乳の製造:下記に示す3種類の組成の乳培地を98
℃で90分間殺菌し、YIT9029およびYIT10
003をそれぞれ単独で0.5%接種し、37℃で酸度
22.5まで培養して経時的に酸度および生菌数を測定
した。その結果を表3に示した。
【0039】< 培 地 > A培地:10%ブドウ糖果糖液糖を含む無脂乳固形分濃
度16%の脱脂粉乳 (オレイン酸終濃度0.0023%、マンガン濃度0.0
8ppm) マンガン(Mn)添加A培地:ウーロン茶エキスでA培
地のマンガン濃度を調整 (オレイン酸終濃度0.0023%、マンガン濃度0.1
8ppm) B培地:10%ブドウ糖果糖液糖を含む無脂乳固形分濃
度16%の脱脂粉乳 (オレイン酸終濃度0.004%、マンガン濃度0.03
ppm)
【0040】
【表3】
【0041】表3からYIT10003を用いて酸度を
22.5まで培養するのに要した時間は、親株であるY
IT9029と比べて何れの培地でも短いことが示され
た。また、酸度22.5での生菌数も、親株より多いこ
とが分かった。特に、マンガン添加A培地(オレイン酸
含量が低く、マンガン含量が高い培地)を用いた場合の
結果は良好であった。
【0042】実 施 例 3 発酵乳の保存試験:実施例2と同様のA培地を98℃で
90分間殺菌し、YIT10003を0.5%接種し、
37℃で6日間培養して発酵乳(生菌数2.6×10
cfu/ml)を製造した。得られた発酵乳をブドウ糖
果糖液糖(ブリックス75°)溶液で5倍希釈し(糖の
終濃度15%)、ポリスチレン容器に充填、密封し、1
5℃で14日間静置保存した。この発酵乳(乳製品乳酸
菌飲料)の製造直後および保存14日目に生菌数を測定
したところ、14日間ほぼ一定の生菌数が維持された。
【0043】
【発明の効果】本発明のラクトバチルス属細菌は、培養
終期における生菌数が多く、死滅速度が低い生残性の高
いものである。
【0044】従って本発明の高生残性ラクトバチルス属
細菌で乳を発酵させた発酵乳およびその発酵乳を含有す
る発酵乳製品は、保存中の生菌数の低下や死滅速度の増
加が抑制され、製品規格の維持や生理作用の発現に優れ
たものとなる。
【0045】また、オレイン酸類等の特別の増殖因子を
加えなくても高い生残性が保証できるので、発酵乳の製
造面においても有利である。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B001 AC30 BC14 EC99 4B065 AA30X AC05 AC12 BA21 CA42

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異性化糖を3質量%以上含み、無脂乳固
    形分濃度が16質量%である乳培地において培養したと
    きに、酸度22.5における生菌数が1×10cfu
    /ml以上であることを特徴とする高生残性ラクトバチ
    ルス属細菌。
  2. 【請求項2】 更に、酸度21における死滅速度が0.
    01以下である請求項第1項記載の高生残性ラクトバチ
    ルス属細菌。
  3. 【請求項3】 ラクトバチルス・カゼイである請求項第
    1項または第2項記載の高生残性ラクトバチルス属細
    菌。
  4. 【請求項4】 ラクトバチルス・カゼイYIT1000
    3(FERM BP−7707)である請求項第1項な
    いし第3項の何れかの項記載の高生残性ラクトバチルス
    属細菌。
  5. 【請求項5】 請求項第1項ないし第4項の何れかの項
    記載の高生残性ラクトバチルス属細菌を用いて乳を発酵
    すること特徴とする発酵乳の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項第5項記載の方法により得られた
    発酵乳を含有することを特徴とする発酵乳製品。
  7. 【請求項7】 ラクトバチルス属細菌を生育可能な温度
    範囲の限界に近い高温で継代培養して得られた菌株か
    ら、異性化糖を3質量%以上含み、無脂乳固形分濃度が
    16質量%である乳培地において培養した時に、酸度2
    2.5における生菌数が1×10cfu/ml以上で
    あり、酸度21における死滅速度が0.01以下である
    菌株を選抜することを特徴とする高生残性ラクトバチル
    ス属細菌の取得方法。
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