JP2003219849A - 酸素吸収性組成物および酸素吸収シート - Google Patents

酸素吸収性組成物および酸素吸収シート

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JP2003219849A
JP2003219849A JP2002022954A JP2002022954A JP2003219849A JP 2003219849 A JP2003219849 A JP 2003219849A JP 2002022954 A JP2002022954 A JP 2002022954A JP 2002022954 A JP2002022954 A JP 2002022954A JP 2003219849 A JP2003219849 A JP 2003219849A
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oxygen
absorbing
layer
present
emulsion
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JP2002022954A
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English (en)
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Hiroaki Takahata
弘明 高畑
Ko Tsubouchi
香 坪内
Tatsuma Kuroda
竜磨 黒田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素吸収反応を迅速に開始できるとともに、
酸素吸収反応によっても内容物に影響を及ぼすような臭
気を発生しない酸素吸収性組成物と、該酸素吸収性組成
物を用いてなる酸素吸収シートとを提供する。 【解決手段】 本発明にかかる酸素吸収性組成物は、酸
性の水性液体と、不飽和脂肪酸およびそのエステルの少
なくとも一方を含む油性液体と、乳化剤とを混合して乳
化させたエマルジョンを、酸素吸収成分として含んでお
り、例えば、マヨネーズが挙げられる。また、本発明に
かかる酸素吸収シートは、上記酸素吸収性組成物を含む
酸素吸収層を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素吸収性組成物
および酸素吸収シートに関するものであり、特に、優れ
た酸素吸収能力を有する酸素吸収性組成物と、該酸素吸
収性組成物を含み、包装用資材として好適に利用可能な
酸素吸収シートとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種包装、特に酸素の作用によ
り劣化し易い食品等の内容物の包装においては、その包
装完了後の包装体内部に存在する酸素が問題となる。上
記劣化し易い内容物では、包装体内の酸素のために酸化
が生じ易くやすく、特に食品の場合では、酸化による劣
化(腐敗等)、微生物の増殖等が生じる。
【0003】そこで、従来より、包装体内に上記酸素が
残存することに伴う各種の問題点を防止するために、包
装体内の酸素を除去する技術が種々提案されている。具
体的には、例えば、包装材または包装用の容器そのもの
に酸素吸収機能を付与したり、内容物包装時に包装体内
部に酸素吸収性組成物を封入したりする技術を挙げるこ
とができる。
【0004】上記酸素吸収性組成物としては、鉄粉含有
組成物が良く知られているが、このような鉄を含む系を
酸素吸収性組成物として用いると、酸素吸収反応に水を
必要とする。
【0005】他の酸素吸収性組成物としては、例えば、
特開平4−187238号公報に開示されている不飽和
脂肪酸を含む組成物が挙げられる。この組成物は、ポリ
オレフィン、不飽和脂肪酸またはこれを含む油脂、およ
び金属触媒からなり、好ましくは粉末状とした上で、包
装体内に封入することで使用される。
【0006】上記構成の酸素吸収性組成物では、不飽和
脂肪酸を主な酸素吸収剤として用いているため、水分が
存在しなくても下でも十分な酸素吸収性を発揮できる。
また、不飽和脂肪酸は食品としても利用可能な化合物で
あるため、特に、食品や医薬品を包装する際に好適に利
用することが可能となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の酸素吸収性組成物は、実際には実用性に欠けるとい
う問題点を有している。
【0008】具体的には、上記従来の酸素吸収性組成物
では、その構成上、酸素吸収反応の開始そのものに時間
を要する。劣化し易い内容物を包装する場合、酸素吸収
反応は迅速に実施されなければ、外気を完全に遮断でき
ても内部に残存する酸素により劣化が生じてしまうた
め、実用性に欠けることになる。
【0009】また、上記従来の酸素吸収性組成物では、
その構成上、酸素吸収反応に伴い臭気も発生する。劣化
し易い内容物が、食品等香気を重要な特性とするもので
あれば、臭気の発生により内容物の香気が損なわれるこ
とになるため、実用性に欠けることになる。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であって、その目的は、酸素吸収反応を迅速に開始でき
るとともに、酸素吸収反応によっても内容物に影響を及
ぼすような臭気を発生しない酸素吸収性組成物と、該酸
素吸収性組成物を用いてなる酸素吸収シートとを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、酸素吸収剤として、不
飽和脂肪酸を含むエマルジョンを使用することが有効で
あることを独自に見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0012】すなわち、本発明にかかる酸素吸収性組成
物は、上記の課題を解決するために、酸性の水性液体
と、不飽和脂肪酸およびそのエステルの少なくとも一方
を含む油性液体と、乳化剤とを混合して乳化させたエマ
ルジョンを、酸素吸収成分として含むことを特徴として
いる。
【0013】上記構成によれば、不飽和脂肪酸類を含む
上記エマルジョンを酸素吸収成分として用いることで、
迅速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、しか
も、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回避す
ることができる。その結果、従来の酸素吸収性組成物よ
りも実用性の高い、優れた酸素吸収性組成物とすること
ができる。
【0014】本発明にかかる酸素吸収性組成物は、上記
構成に加えて、さらに、酸化触媒および酸化開始剤の少
なくとも一方を含むことを特徴としている。
【0015】上記構成によれば、酸化触媒および酸化開
始剤の少なくとも一方を含めることで、酸素吸収反応の
開始を早めたり、酸素吸収反応の進行をより一層促進し
たりすることができる。それゆえ、使用初期に高い酸素
吸収性を要する用途に好適に用いることができる。
【0016】本発明にかかる酸素吸収性組成物は、上記
構成に加えて、上記エマルジョンが、水性液体として酢
酸水溶液、油性液体として植物油、乳化剤としてレシチ
ンまたはレシチンを含有する混合物を用いてなるもので
あることを特徴としている。
【0017】上記構成によれば、エマルジョンの主成分
の全てが食品用途に適用可能なものとなっている。それ
ゆえ、上記エマルジョンを含む酸素吸収性組成物を食品
や医薬品を包装する際の酸素吸収剤として好適に用いる
ことができる。
【0018】本発明にかかる酸素吸収シートは、上記の
課題を解決するために、酸性の水性液体と、不飽和脂肪
酸およびそのエステルの少なくとも一方を含む油性液体
と、乳化剤とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸
素吸収成分として含む酸素吸収性組成物を含有する酸素
吸収層を含むことを特徴としている。
【0019】上記構成によれば、上記エマルジョンを含
む酸素吸収性組成物を酸素吸収層として用いることで、
迅速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、しか
も、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回避す
ることができる。その結果、実用性が高く優れた酸素吸
収性を発揮できる包装用のシートを提供することができ
る。
【0020】本発明にかかる酸素吸収シートは、上記構
成に加えて、さらに、上記酸素吸収層に、酸化触媒およ
び酸化開始剤の少なくとも一方が含まれることを特徴と
している。
【0021】上記構成によれば、酸素吸収層に酸化触媒
および酸化開始剤の少なくとも一方を含めることで、酸
素吸収層による酸素吸収反応の開始を早めたり、酸素吸
収反応の進行をより一層促進したりすることができる。
それゆえ、使用初期に高い酸素吸収性を要する用途に好
適に用いることができる。
【0022】本発明にかかる他の酸素吸収シートは、上
記の課題を解決するために、酸性の水性液体と、不飽和
脂肪酸およびそのエステルの少なくとも一方を含む油性
液体と、乳化剤とを混合して乳化させたエマルジョン
を、酸素吸収成分として含む酸素吸収性組成物を用いて
形成される酸素吸収層と、酸化触媒および酸化開始剤の
少なくとも一方を含む酸素吸収反応促進層とを含み、上
記酸素吸収層と酸素吸収反応促進層とが互いに隣接して
いることを特徴としている。
【0023】上記構成によれば、上記エマルジョンを含
む酸素吸収性樹脂組成物を酸素吸収層として用いること
で、迅速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、
しかも、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回
避することができる。また、酸素吸収層に酸素吸収反応
促進層が隣接して設けられるため、酸素吸収反応促進層
によって酸素吸収層の酸素吸収反応の開始を早めたり、
酸素吸収反応の進行をより一層促進したりすることがで
きる。それゆえ、優れた酸素吸収能力を有する多層構成
の包装用シートを提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図3に基づいて説明すれば以下の通りである。
なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】本発明にかかる酸素吸収性組成物は、酸素
吸収成分として、酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸およ
びそのエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、乳
化剤とを混合することで乳化させたエマルジョンを含む
ものである。
【0026】上記酸性の水性液体は、特に限定されるも
のではないが、基本的には、酸性の水溶液であることが
好ましい。この水性液体そのものが、高い流動性を有す
る懸濁液やスラリーであってもよいが、水溶液であれば
取扱いが容易となるため、本発明において用いられるエ
マルジョンの製造過程の煩雑化を回避することが可能と
なる。
【0027】上記水性液体に含まれる酸としては、水溶
性酸であれば特に限定されるものではない。例えば、酢
酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、
酒石酸等のカルボン酸系有機酸;メチルスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸等のスルホン酸系有機酸;黒炉酢酸、
ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等のハロゲン化有機酸;
リン酸、ピロリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、炭酸等の無機
酸;等の各種の水溶性の酸が挙げられる。これら化合物
は単独で用いても良いし、2種類以上を混合した混合物
として用いても良い。
【0028】上記の各種酸の中でもカルボン酸系有機酸
が好ましく、そのうち酢酸が特に好ましい。カルボン酸
系有機酸は、食品用途に広く用いられており、特に酢酸
は、食品用途で最も一般的なものである。それゆえ、本
発明で用いられるエマルジョンを安価に製造できるとい
う利点がある。
【0029】上記水性液体には、本発明にかかる酸素吸
収性組成物の用途に応じて、酸以外に各種の添加剤や混
合物が含まれていても良い。この添加剤や混合物として
は、エマルジョンの酸素吸収能力を妨げるものではな
く、かつ、エマルジョンの製造を煩雑化しないものであ
れば特に限定されるものではない。
【0030】上記不飽和脂肪酸およびそのエステルの少
なくとも一方を含む油性液体は、特に限定されるもので
はない。なお、常温(25℃)付近で液体であると、エ
マルジョンの製造が容易となるため好ましい。
【0031】上記不飽和脂肪酸またはそのエステルとし
ては、具体的には、オレイン酸等のモノエン酸;リノー
ル酸等のジエン酸;α−リノレン酸(通常、単にリノレ
ン酸と称する)、γ−リノレン酸等のトリエン酸;エイ
コサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサ
エン酸等の高度不飽和脂肪酸;これら各不飽和脂肪酸の
エステル類;等が挙げられる。これら不飽和脂肪酸類は
天然物であっても合成物であってもよい。また、これら
不飽和脂肪酸類は1種類のみ用いられてもよく、2種類
以上を混合して用いてもよい。
【0032】さらに、上記油性液体としては、不飽和脂
肪酸を多く含む各種天然油・油脂類をそのまま、あるい
は混合して用いることができる。具体的には、例えば、
大豆油、ナタネ油、亜麻仁油、ひまわり油、月見草種子
油、綿実油、ツバキ油、紅花油(サフラワー油)等の種
子油;オリーブ油等の果実油;米油、コーン油等の胚芽
油;魚油;等が挙げられる。これら天然油・油脂類も、
単独で用いても良いし、2種類以上を混合した混合物と
して用いても良い。
【0033】上記天然油・油脂類では、オレイン酸を多
く含むものとして、オリーブ油、ツバキ油が挙げられ、
α−リノレン酸を多く含むもとして、亜麻仁油が挙げら
れ、γ−リノレン酸を多く含むものとして、月見草種子
油が挙げられ、リノール酸を多く含むものとして大豆
油、コーン油、綿実油、紅花油、ひまわり油が挙げら
れ、エイコサペンタエン酸・ドコサペンタエン酸・ドコ
サヘキサエン酸を多く含むものとして魚油が挙げられ
る。
【0034】なお、本発明では、上記不飽和脂肪酸およ
びそのエステルをまとめて不飽和脂肪酸類と表現するも
のとする。
【0035】上記の各種不飽和脂肪酸類あるいは天然油
・油脂類の中でも植物油が好ましく用いられる。植物油
は、サラダ油等として食品用途で一般的に用いられてお
り、各種不飽和脂肪酸を多く含むものである。したがっ
て、不飽和脂肪酸類に含まれる個々の化合物をそのまま
あるいは混合物として用いても良いが、植物油をそのま
ま用いても特に差はないと見なすことができる。それゆ
え、本発明で用いられるエマルジョンを安価に製造でき
るという利点がある。
【0036】上記油性液体には、本発明にかかる酸素吸
収性組成物の用途に応じて、不飽和脂肪酸類以外に各種
の添加剤や混合物が含まれていても良い。この添加剤や
混合物としては、エマルジョンの酸素吸収能力を妨げる
ものではなく、かつ、エマルジョンの製造を煩雑化しな
いものであれば特に限定されるものではない。
【0037】上記乳化剤としては、上記水性液体と油性
液体とを混合して乳化させることができるものであれば
特に限定されるものではない。
【0038】上記乳化剤としては、具体的には、例え
ば、石鹸、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オクチル硫
酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ラウリルジメ
チルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性界
面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジ
メチルベタイン等の両性界面活性剤;ポリエチレングリ
コール型界面活性剤等の非イオン性(ノニオン性)界面
活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステル、例えばレシチン等のリン脂質等の食
品用乳化剤(非イオン性);等が挙げられる。これら乳
化剤は1種類のみ用いられてもよく、2種類以上を混合
して用いてもよい。
【0039】上記の各種乳化剤の中でも、非イオン性界
面活性剤に含まれる食品用乳化剤が好ましく用いられ、
中でもレシチンまたはレシチンを含有する混合物が好ま
しく用いられる。上記混合物はレシチンを含んでいれば
特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、
卵黄は、レシチンを成分として含有しており、好ましく
用いられる。食品用乳化剤は、食品用途で一般的に用い
られており、特に卵黄はマヨネーズ等の食品の原料とし
て用いられている。イオン性の界面活性剤には、一般的
に経口摂取したり皮膚に接触したりすると好ましくない
ものが含まれているが、食品用乳化剤は、食品に用いら
れるものであり、上記のような好ましくない性質はな
い。それゆえ、特に、本発明にかかる酸素吸収性組成物
を食品包装用のシートに適用する場合には好ましい。
【0040】したがって、本発明にかかる酸素吸収性組
成物のより好ましい構成としては、上記水性液体として
酢酸水溶液を用い、上記油性液体として植物油を用い、
上記乳化剤としてレシチンまたはレシチンを含有する混
合物を用いてなるエマルジョンを含む構成を挙げること
ができる。このようなエマルジョンとしては、具体的に
は、例えばレシチンを成分とする卵黄を用いてなるマヨ
ネーズを挙げることができる。なお、マヨネーズの場
合、乳化剤としては、卵黄に代えて全卵を用いることも
できる。
【0041】上記構成では、エマルジョンの主成分の全
てが食品用途に適用可能なものとなっており、特に、マ
ヨネーズは食品そのものである。それゆえ、上記エマル
ジョンを含む酸素吸収性組成物を、食品や医薬品を包装
する際の酸素吸収剤として好適に用いることができる。
【0042】上記エマルジョンにおける乳化形態として
は、水中油滴型(Oil-in-Water emulsion,O/W型)であ
ってもよいし、油中水滴型(Water-in-Oil emulsion,W
/O型)であってもよい。一般に、水溶性の乳化剤を用い
る場合には、水中油滴型となり、油溶性の乳化剤を用い
る場合には、油中水滴型となる。本発明では、上述した
ように、エマルジョンとしてマヨネーズを好適に用いる
ことができるが、このマヨネーズは水中油滴型のエマル
ジョンである。
【0043】本発明における上記エマルジョンの具体的
な組成は、特に限定されるものではない。すなわち、水
性液体と油性液体とが、乳化剤によって乳化できるよう
な比率で混合されていればよい。一般的には、体積比
で、水性液体1に対して油性液体1〜10の範囲内で混
合されればよい。また、乳化剤については、乳化が可能
な程度加えられるものであって、水性液体および油性液
体の種類や混合比率に応じて、適宜変化するものであ
り、特に限定されるものではない。
【0044】なお、上記エマルジョンに関する他の条件
等も特に限定されるものではない。例えば、本発明にお
けるエマルジョンとして好適に用いられるマヨネーズ
は、一般にクリーム状の半固形状態となっているが、も
ちろんこのような半固形状態に限定されるものではな
く、好適な酸素吸収能力を発揮することができれば、流
動性の高い液状でも、完全な固形状でもよい。
【0045】上記エマルジョンでは、その用途に応じ
て、各種の添加剤や混合物が含まれていても良い。この
添加剤や混合物としては、エマルジョンの酸素吸収能力
を妨げるものではなく、かつ、エマルジョンの製造を煩
雑化しないものであれば特に限定されるものではない。
【0046】具体的には、例えば、食塩や香辛料、調味
料等を挙げることができる。すなわち、本発明では、マ
ヨネーズそのものをエマルジョンまたは酸素吸収性組成
物として用いることができるが、マヨネーズには一般的
に、食塩や、胡椒等の香辛料、アミノ酸等の調味料が含
まれている。これらは、酸素吸収能力に影響を及ぼすも
のではないと考えられるので、単なる混合物として含ま
れていても構わない。あるいは、用途によっては、上記
香辛料や調味料が着香料等として機能する場合もあり、
それゆえ、これら香辛料や調味料が、エマルジョン(酸
素吸収性組成物)に新たな特性を付与する添加剤となり
得る場合もある。
【0047】本発明にかかる酸素吸収性組成物には、上
記エマルジョンが酸素吸収成分として用いられている
が、その用途に応じて、さらに他の成分が含まれていて
も良い。本発明では、酸素吸収成分に加えて、酸素吸収
反応促進成分が含まれているとより好ましい。
【0048】上記酸素吸収反応促進成分としては、具体
的には、例えば、酸化触媒や酸化開始剤を挙げることが
できる。すなわち本発明にかかる酸素吸収性組成物に
は、上記酸化触媒および酸化開始剤の少なくとも一方が
含まれていてもよい。
【0049】上記酸化吸収反応促進成分は、本発明にか
かる酸素吸収性組成物の酸素吸収反応を促進するもので
あれば特に限定されるものではない。具体的には、例え
ば、上記酸化触媒としては、遷移金属の化合物等からな
る金属触媒が挙げられ、より具体的には、コバルト、マ
ンガン、鉄、銅、ニッケル、チタン、バナジウム、クロ
ム等の金属の有機酸塩が挙げられる。上記有機酸として
は、ステアリン酸、アセチルアセトン酸、ジメチルカル
バミン酸、ナフテン酸等が挙げられる。上記酸化開始剤
としては、アゾ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
【0050】上記酸化触媒および/または酸化開始剤を
酸素吸収性組成物に加えることで、酸素吸収反応の開始
を早めたり、酸素吸収反応の進行をより一層促進したり
することができる。それゆえ、本発明にかかる酸素吸収
性組成物を、使用初期に高い酸素吸収性を要する用途に
好適に用いることができる。
【0051】本発明にかかる酸素吸収性組成物の組成と
しては、上記エマルジョンが酸素吸収成分に含まれてい
ればよく、それ以外については特に限定されるものでは
ない。一般的には、酸素吸収成分として上記エマルジョ
ンが50重量%以上(重量比で1/2以上)含まれてい
れば良いが、好ましくは、75重量%以上(重量比で3
/4以上)、より好ましくは90重量%以上(重量比で
9割以上)含まれていると良い。本発明にかかる酸素吸
収性組成物に、上記エマルジョンが50重量%以上含ま
れていれば、該酸素吸収性組成物の主成分が上記エマル
ジョンとなり、良好な酸素吸収能力を発揮できるため好
ましい。
【0052】本発明では、好ましくは、酸素吸収反応促
進成分が含まれているが、酸素吸収成分と酸素吸収反応
促進成分との比率も特に限定されるものではない。一般
的には、重量比で、酸素吸収成分1に対して、酸素吸収
反応促進成分が0.0001〜100の範囲内となって
いればよい。
【0053】なお、酸素吸収成分および酸素吸収反応促
進成分以外の成分については、その種類や組成比は、用
途に応じて、適宜、選択・設定されるものであり、特に
限定されるものではない。
【0054】本発明にかかる酸素吸収性組成物の製造方
法については、水性液体および油性液体を乳化させるこ
とができればよく、特に限定されるものではない。例え
ば、乳化剤を加えた水性液体を撹拌しながら、油性液体
を徐々に加えて混合してもよいし、その逆でもよい。撹
拌手段としても、公知のホモジナイザーや撹拌装置等を
用いることができ、特に限定されるものではない。
【0055】このように、本発明では、上記エマルジョ
ンを含む酸素吸収性組成物を用いている。それゆえ、迅
速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、しか
も、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回避す
ることができる。その結果、従来の酸素吸収性組成物よ
りも実用性の高い、優れた酸素吸収性組成物とすること
ができる。
【0056】上記エマルジョンを含む本発明にかかる酸
素吸収性組成物が、優れた酸素吸収能力を発揮できる理
由は明らかではない。しかしながら、本発明では、酸性
の水性液体と、酸素吸収性を有する物質として公知であ
る不飽和脂肪酸を含む油性液体とを乳化させてエマルジ
ョンとするのみで、後述の実施例で説明するように、不
飽和脂肪酸単体よりも優れた酸素吸収能力を発揮するこ
とができる。それゆえ、上記水性液体および乳化状態の
少なくとも一方が、不飽和脂肪酸の酸素吸収反応を向上
させていると考えられる。
【0057】本発明にかかる酸素吸収性組成物の使用方
法や用途も特に限定されるものではないが、好ましく
は、内容物を包装してなる包装体内部の酸素を吸収する
用途に好適に用いられる。この場合、例えば袋状や容器
状の包装体内に、酸素吸収性組成物を内容物とともに封
入してもよいし、包装体を構成する包装材そのものに酸
素吸収性組成物が含まれていても良い。
【0058】前者の場合、内容物とともに本発明にかか
る酸素吸収性組成物を包装する手法が挙げられる。この
場合、上記酸素吸収性組成物が半固形であることから、
添加剤として、酸素吸収反応を妨げない公知の固化剤を
加えて固化させ、例えば錠剤化したり、公知の酸素を透
過する材質からなる、公知の形状の小さな容器や袋に、
本発明にかかる酸素吸収性組成物を封入して、酸素吸収
パック体を形成したりするとよい。
【0059】後者の場合、包装材となるシートそのもの
に、本発明にかかる酸素吸収性組成物を含ませる手法が
挙げられる。具体的には、本発明にかかるエマルジョン
を含む酸素吸収性組成物を含有する酸素吸収層を形成す
る手法を挙げることができる。すなわち、本発明にかか
る酸素吸収シートは、上記酸素吸収層が含まれる構成と
なっていればよい。
【0060】上記構成によれば、上記エマルジョンを含
む酸素吸収性樹脂組成物を酸素吸収層として用いること
で、迅速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、
しかも、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回
避することができる。その結果、実用性が高く優れた酸
素吸収性を発揮できる包装用のシートを提供することが
できる。
【0061】上記酸素吸収層の具体的な構成は、特に限
定されるものではない。例えば、本発明にかかる酸素吸
収性組成物が、上記エマルジョンを含んでいるため、酸
素吸収性組成物そのものを平板状に塗布して乾燥または
固化させて塗膜とすることで、上記酸素吸収層を形成す
ることができる。上記塗膜の形成方法や乾燥または固化
方法も特に限定されるものではなく、従来公知の各種方
法を用いることができる。
【0062】また、本発明にかかる酸素吸収性組成物に
は、前述したように、酸素吸収成分以外に他の成分が含
まれていてもよいので、上記酸素吸収層にも、酸素吸収
成分以外の他の成分が含まれていても良い。本発明で
は、好ましくは、上記酸素吸収層に、酸素吸収反応促進
成分、具体的には酸化触媒および酸化開始剤の少なくと
も一方が含まれていていると好ましい。
【0063】上記酸素吸収反応促進成分が含まれている
と、酸素吸収層による酸素吸収反応の開始を早めたり、
酸素吸収反応の進行をより一層促進したりすることがで
きる。それゆえ、本発明にかかる酸素吸収シートを、使
用初期に高い酸素吸収性を要する用途に好適に用いるこ
とができる。
【0064】本発明にかかる酸素吸収シートは、上記酸
素吸収層のみ単層となっていてもよいが、上記酸素吸収
層と所望の機能を有する1層以上の他の層とからなる多
層構成となっていてもよい。
【0065】上記多層構成の酸素吸収シートとして、例
えば、図1に示すように、酸素吸収層1(図中下層)と
酸素バリア層2(図中上層)とを積層した積層シートを
挙げることができる。なお、図1に示す構成を含め、本
実施の形態において、積層シート(酸素吸収シート)を
例示する図面では、例えば包装袋とした場合に外側とな
る層が図中上方となるように記載するものとする。
【0066】上記酸素バリア層2は、積層して内部の内
容物を包装した場合に、内部への酸素の透過をある程度
妨げることができるようになっておればよく、その具体
的な材質や膜厚、酸素の透過率等の条件、あるいは形成
方法については特に限定されるものではない。一般的に
は、例えば、アルミニウム等の金属膜;ポリエチレンテ
レフタレート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニリデンジ
クロライド等の熱可塑性樹脂膜;等が挙げられる。
【0067】さらに、本発明にかかる酸素吸収シートに
おいては、前述したように、酸素吸収層1に酸化触媒や
酸化開始剤等の酸素吸収反応促進成分が含まれていても
よいが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2
(a)に示すように、上記酸素吸収層1(図中上層)
と、上記酸化触媒および酸化開始剤の少なくとも一方を
含む酸素吸収反応促進層3(図中下層)とを含み、上記
酸素吸収層1と酸素吸収反応促進層3とが互いに隣接し
ている構成であってもよい。
【0068】上記構成では、酸素吸収層1に酸素吸収反
応促進層3が直接積層されることになる。そのため、酸
素吸収反応促進層3によって酸素吸収層1の酸素吸収反
応の開始を早めたり、酸素吸収反応の進行をより一層促
進したりすることができる。それゆえ、優れた酸素吸収
能力を有する多層構成の酸素吸収シートを提供すること
ができる。
【0069】さらには、図2(b)に示すように、酸素
バリア層2と酸素吸収反応促進層3とで酸素吸収層1を
挟持する構成(図中上から酸素バリア層2−酸素吸収層
1−酸素吸収反応促進層3の順で積層する構成)であっ
てもよい。
【0070】なお、上記酸素吸収反応促進層3に含まれ
る酸化触媒および/または酸化開始剤の含有量について
は、酸素吸収層1の酸素吸収反応をどの程度促進させた
いかに応じて適宜設定されるものであり、特に限定され
るものではない。同様に、上記酸素吸収反応促進層3を
形成するその他の具体的な材質や膜厚、接着力等の条件
や形成方法等についても特に限定されるものではない。
【0071】したがって、図示しないが、例えば、図2
(b)に示す三層構成の酸素吸収シートにおいて、酸素
吸収層1と酸素吸収反応促進層3とが逆になっている構
成、すなわち、酸素バリア層2−酸素吸収反応促進層3
−酸素吸収層1の順で積層する構成であってもよい。
【0072】上述したように、本実施の形態では、酸素
吸収層1と、所望の機能を有する1層以上の他の層とか
らなる構成、および酸素吸収層1と酸素バリア層2と酸
素吸収反応促進層3とからなる構成を例示したが、本発
明にかかる多層構成の酸素吸収シートはこれらの構成に
限定されるものではない。
【0073】すなわち、本発明にかかる多層構成の酸素
吸収シートは、酸素吸収層1、酸素バリア層2および酸
素吸収反応促進層3以外の他の機能層を適宜有していて
もよい。上記他の機能層の具体的な構成は特に限定され
るものではなく、例えば、補強等の機能を有する基材層
や、剥離防止機能を有する接着層等が挙げられる。これ
ら他の機能層の配置位置も特に限定されるものではな
く、多層構成の酸素吸収シートにおいて、該機能層が発
揮する機能に応じた適当な位置に配置されていればよ
い。さらに、これら追加的に設けられる他の機能層の具
体的な材質や膜厚等の条件、あるいは形成方法等につい
ても特に限定されるものではない。
【0074】上記酸素吸収層1、酸素バリア層2および
酸素吸収反応促進層3、並びに基材層等の機能層は、そ
れ自体が接着性を有していることが好ましい。これによ
って、剥離防止を専らの目的とする接着層を設けること
なく層間剥離を防止することができる。上記各層に接着
性を付与する具体的な手法については、例えば、上記各
層を形成する材料に、さらに従来公知の各種接着剤を含
めた上で、上記各層を形成する手法が挙げられるが、特
に限定されるものではない。
【0075】本発明にかかる多層構成の酸素吸収シート
のうち、酸素吸収反応促進層3を備えている構成におい
ては、一般的には、前述した通り、酸素吸収層1と酸素
吸収反応促進層3とは、他の層を介することなく隣接し
て配置される。しかしながら、酸素吸収反応促進層3に
よる酸素吸収反応の促進効果が著しく損なわれない限
り、酸素吸収層1と酸素吸収反応促進層3との間に他の
層を介在させてもよい。
【0076】本発明にかかる酸素吸収シートが上述した
ような多層構成となっている場合、積層された各種層の
数、すなわち酸素吸収シートが何層構成となっているか
についても特に限定されるものではなく、該酸素吸収シ
ートの用途に応じて適宜設定される。
【0077】さらに、本発明にかかる酸素吸収シート
は、例えば、酸素吸収包装袋の素材として用いられるよ
うなシール層付きの構成であってもよい。具体的には、
上述した各種の多層構成の酸素吸収シートに対して、一
方の最外層となるように、シール層が構成されればよ
い。
【0078】具体的には、例えば、図3に示すように、
酸素バリア層2−酸素吸収層1−酸素吸収反応促進層3
−シール層4の順で積層する構成が挙げられる。前述し
た図2(b)に示す三層構成の酸素吸収シートでは、図
中上方の酸素バリア層2は包袋袋とした場合に外側とな
るので、この多層構成にシール層4を設けるのであれ
ば、図3に示すように、上記酸素バリア層2とは反対と
なる図中下方の酸素吸収反応促進層3のさらに下方にシ
ール層4を積層すればよい。
【0079】もちろん上記シール層付きの酸素吸収シー
トの構成は、図3に示す構成に限定されるものではな
い。例えば、図3に示す四層構成において、酸素吸収層
1と酸素吸収反応促進層3とが逆になっている構成であ
っても良く、また、上記基材層や接着層等の他の機能層
が設けられている構成であっても良い。なお、シール層
4を設ける構成では、図3に示すように、シール層4と
酸素バリア層2とで、少なくとも酸素吸収層1が挟持さ
れていることが好ましい。これによって、包装袋とした
とき、該包装袋の内部の酸素のみを吸収させることがで
きるので、本発明にかかる酸素吸収シートの実用性をさ
らに一層向上させることができる。
【0080】上記シール層4の具体的な材質は、例えば
シーラントとして従来知られている樹脂(ここではシー
ラント樹脂と称する)を好適に用いることができる。具
体的には、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ヒー
トシール性ポリエステル;等の樹脂が挙げられる。これ
らシーラント樹脂の具体的な種類は、被着体の材質に応
じて適宜選択される。例えば、食品包装用容器、特にレ
トルト食品包装用容器に使用する酸素吸収シートにおい
ては、シール層4の材料として、上記各シーラント樹脂
のうちポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0081】本発明にかかる酸素吸収シートは、種々の
物品を内容物として包装できる用途に非常に好適に用い
ることができる。このときの酸素吸収シートの使用形態
については、特に限定されるものではない。例えば、酸
素吸収シートを従来公知の各種方法で袋状に加工しても
よいし、容器状に加工してもよい。さらには、従来公知
の各種容器の内面側に、従来公知の各種方法で、本発明
にかかる酸素吸収シートを積層してもよい。
【0082】以上のように、本発明にかかる酸素吸収性
組成物は、高い酸素吸収能力を発揮することが可能であ
り、また、本発明にかかる酸素吸収シートは、高い酸素
吸収能力を発揮できる酸素吸収層を備えている。そのた
め、本発明にかかる酸素吸収組成物および酸素吸収シー
トは、特に、酸素によって劣化し易い内容物を、ほぼ密
封して包装する用途に好適に用いることができる。
【0083】上記劣化し易い内容物(物品)としては、
各種食品や医薬品、医薬部外品、化粧品等が挙げられる
が、このような内容物を密封して包装する場合、包装体
の内部に酸素が残存し、この残存酸素によって、内容物
が大きな影響を受ける可能性がある。これに対して、本
発明にかかる酸素吸収性組成物および酸素吸収シート
は、特に使用初期に高い酸素吸収能力を発揮できるた
め、残存酸素を迅速に吸収することができるので、内容
物の劣化を効果的に回避することができる。
【0084】
【実施例】以下、実施例・比較例および図4に基づいて
本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定
されるものではない。なお、実施例および比較例におけ
る酸素吸収の評価方法は、以下に示すようにして実施し
た。また、実施例・比較例で用いる酸素吸収シート製造
用の接着剤は、以下に示すようにして調製した。
【0085】〔酸素吸収の評価〕酸素吸収の評価は、図
4に示す評価装置を用いて行った。具体的には、試験管
11を、その開口部11aが若干下方側となるように略
水平に配置し、試験管11内に試料(酸素吸収シート)
20を入れる。また、弾性材からなる栓12に貫通孔1
2aを形成しておく。U字状における一方の先端13a
を該U字状の部分から見て略水平に加工してなるガラス
管13を準備し、該ガラス管13の上記先端13aを、
上記栓12の貫通孔12aに貫通させる。ガラス管13
が貫通した上記栓12で試験管11の開口部11aを封
止する。このときガラス管13のU字状の部分は、湾曲
部分が下方になり、先端部分が上方となるように固定さ
れる。ガラス管13に所定量の液体(例えば水銀)14
を入れることで、U字状の部分に該液体14が蓄積され
る。
【0086】試験管11内部を酸素100%の条件下と
しておき、試験管11の底側を120℃で加熱する。試
験管11内部の試料20が酸素を吸収すれば、試験管1
1内の酸素が減少するため、ガラス管13内の液体14
が試験管11側(栓12に貫通している先端13a側)
に引き込まれる。これによって、試験管11内の体積変
化を経時的にモニターする。
【0087】〔接着剤調製例〕接着剤の主剤として、武
田薬品工業(株)製タケラック(登録商標)A515
を、硬化剤として、武田薬品工業(株)製タケネート
(登録商標)A50を、溶媒として酢酸エチルを用い
た。上記主剤、硬化剤、および酢酸エチルを、重量比
で、主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:15となる
ように混合し、本実施例・比較例で用いる酸素吸収シー
ト製造用の接着剤とした。
【0088】〔実施例1〕本発明におけるエマルジョン
として、市販のマヨネーズ(味の素(株)製)を用い
た。前記接着剤11gに、上記マヨネーズ0.14m
g、および過酸化物(日本油脂(株)製パーヘキサ(登
録商標)22−50(S)、化合物名2,2−ビス(te
rt−ブチルパーオキシ)ブタン)0.14mgを混合し
て本発明にかかる酸素吸収性組成物(1)を得た。
【0089】この酸素吸収性組成物(1)を用いて、8
75cm2の面積を有するアルミニウムフィルムとCP
Pフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡績
(株)製パイレン(登録商標)P1146、厚さ50μm)
とを貼り合わせて積層し、窒素雰囲気下、40℃で1日
乾燥させることで、本発明にかかる酸素吸収シート
(1)を得た。
【0090】上記酸素吸収シート(1)について、前述
した評価方法で酸素吸収を評価した。その結果を表1に
示す。
【0091】〔実施例2〕前記実施例1において、上記
過酸化物を0.42mg用いた以外は同様にして、本発
明にかかる酸素吸収性組成物(2)、およびこれを用い
た酸素吸収シート(2)を得た。この酸素吸収シート
(2)について、前述した評価方法で酸素吸収を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0092】〔比較例1〕前記実施例1において、マヨ
ネーズの代わりにオレイン酸(分子量282、1分子中
の二重結合数1)単品を用いた以外は同様にして、比較
酸素吸収性組成物(1)、およびこれを用いた比較酸素
吸収シート(1)を得た。この比較酸素吸収シート
(1)について、前述した評価方法で酸素吸収を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0093】〔比較例2〕前記実施例1において、マヨ
ネーズの代わりにリノール酸(分子量280、1分子中
の二重結合数2)単品を用いた以外は同様にして、比較
酸素吸収性組成物(2)、およびこれを用いた比較酸素
吸収シート(2)を得た。この比較酸素吸収シート
(2)について、前述した評価方法で酸素吸収を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0094】〔比較例3〕前記実施例1において、マヨ
ネーズの代わりにリノレン酸(分子量278、1分子中
の二重結合数3つ)単品を用いた以外は同様にして、比
較酸素吸収性組成物(3)、およびこれを用いた比較酸
素吸収シート(3)を得た。この比較酸素吸収シート
(3)について、前述した評価方法で酸素吸収を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0095】〔比較例4〜6〕前記比較例1〜3のそれ
ぞれにおいて、上記過酸化物を0.42mg用いた以外
は同様にして、比較酸素吸収性組成物(4)〜(6)、
およびこれを用いた比較酸素吸収シート(4)〜(6)
を得た。これら比較酸素吸収シート(4)〜(6)につ
いて、前述した評価方法で酸素吸収を評価した。その結
果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】表1の結果から明らかなように、本発明に
かかる酸素吸収シート(1)・(2)では、1分子内の
二重結合が1または2の不飽和脂肪酸単品を用いた比較
酸素吸収シート(1)・(2)・(4)・(5)より
も、迅速に酸素吸収反応が開始される。しかも、本発明
にかかる酸素吸収シート(1)・(2)は、1分子内の
二重結合が3の不飽和脂肪酸単品を用いた比較酸素吸収
シート(3)・(6)と同等かそれ以上で迅速に酸素吸
収反応が開始される。
【0098】マヨネーズに用いられているサラダ油は、
単一の不飽和脂肪酸またはそのエステルを精製したもの
ではない上に、該マヨネーズには、食酢や卵黄が含まれ
ている。したがって、本発明にかかる酸素吸収性組成物
(1)・(2)と、比較酸素吸収性組成物(1)〜
(6)とを比較した場合、本発明にかかる酸素吸収性組
成物(1)・(2)の方が、同一体積内における1分子
内の二重結合数は、明らかに少ない。それにもかかわら
ず、本発明にかかる酸素吸収シート(1)・(2)は、
リノレン酸単品を用いた比較酸素吸収シート(1)〜
(6)と同等かそれ以上の効果を発揮できる。
【0099】また、本発明にかかる酸素吸収性組成物
(1)・(2)は、従来公知の酸素吸収剤と比較して
も、酸素吸収に伴う臭気がほとんど発生しない。そのた
め、本発明にかかる酸素吸収シート(1)・(2)は、
特に食品や医薬品の包装に好適に用いることができる。
【0100】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる酸素吸収
性組成物は、酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸およびそ
のエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、乳化剤
とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸素吸収成分
として含む構成であり、より好ましくは、マヨネーズに
代表される、水性液体として酢酸水溶液、油性液体とし
て植物油、乳化剤として卵黄を用いてなるエマルジョン
を用いている構成である。
【0101】それゆえ、上記構成では、上記エマルジョ
ン、特にマヨネーズを酸素吸収成分として用いること
で、迅速に酸素吸収反応を開始することが可能となり、
しかも、酸素吸収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回
避することができる。その結果、従来よりも実用性の高
い、優れた酸素吸収性組成物とすることができ、食品や
医薬品等、劣化し易い内容物を包装した包装体内部で、
残存酸素を除去する用途に好適に用いることができると
いう効果を奏する。
【0102】また、本発明にかかる酸素吸収性組成物
は、上記構成に加えて、さらに、酸化触媒および酸化開
始剤の少なくとも一方を含む構成であることが好まし
い。
【0103】上記構成では、酸化触媒や酸化開始剤等の
酸素吸収反応促進成分を含んでいるため、酸素吸収反応
の開始を早めたり、酸素吸収反応の進行をより一層促進
したりすることができる。それゆえ、使用初期に高い酸
素吸収性を要する用途に好適に用いることができるとい
う効果を奏する。
【0104】さらに、本発明にかかる酸素吸収シート
は、以上のように、酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸お
よびそのエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、
乳化剤とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸素吸
収成分として含む酸素吸収性組成物を含む酸素吸収層を
含む構成である。また、上記酸素吸収層には、酸化触媒
および酸化開始剤の少なくとも一方が含まれていてもよ
い。
【0105】あるいは、本発明にかかる他の酸素吸収シ
ートは、以上のように、酸性の水性液体と、不飽和脂肪
酸およびそのエステルの少なくとも一方を含む油性液体
と、乳化剤とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸
素吸収成分として含む酸素吸収性組成物を用いて形成さ
れる酸素吸収層と、酸化触媒および酸化開始剤の少なく
とも一方を含む酸素吸収反応促進層とを含み、上記酸素
吸収層と酸素吸収反応促進層とが互いに隣接している構
成である。
【0106】それゆえ、上記各構成では、上記酸素吸収
性組成物を酸素吸収層として用いることで、迅速に酸素
吸収反応を開始することが可能となり、しかも、酸素吸
収反応の進行に伴う臭気の発生もほぼ回避することがで
きる。また、酸素吸収層に酸素吸収反応促進層が隣接し
て設けられていれば、酸素吸収層の酸素吸収反応の開始
を早めたり、酸素吸収反応の進行をより一層促進したり
することができる。その結果、実用性が高く優れた酸素
吸収性を発揮できる包装用のシートを提供することがで
きるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる酸素吸収シート
の概略構成を示す断面図である。
【図2】(a)・(b)は、本発明の実施の一形態にか
かる他の酸素吸収シートの概略構成を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の実施の一形態にかかるさらに他の酸素
吸収シートの概略構成を示す断面図である。
【図4】酸素吸収を評価するために用いる装置の概略構
成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 酸素吸収層 3 酸素吸収反応促進層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/28 B32B 9/00 Z B32B 9/00 27/18 G 27/18 A61J 1/00 370B (72)発明者 黒田 竜磨 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4B021 LA17 LA24 MC04 MK20 MK21 MP08 4F100 AB10 AB33 AH02A AK07 AK51 AT00B BA02 BA03 BA10A BA10B CA09A CA30A CA30C GB23 GB66 JD14A JM01A 4G066 AA02C AA02D AB05B AB07B AC13C AE01B AE20B BA03 BA05 CA37 DA03 EA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸およびそ
    のエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、乳化剤
    とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸素吸収成分
    として含むことを特徴とする酸素吸収性組成物。
  2. 【請求項2】さらに、酸化触媒および酸化開始剤の少な
    くとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸
    素吸収性組成物。
  3. 【請求項3】上記エマルジョンが、水性液体として酢酸
    水溶液、油性液体として植物油、乳化剤としてレシチン
    またはレシチンを含有する混合物を用いてなるものであ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素吸収
    性組成物。
  4. 【請求項4】酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸およびそ
    のエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、乳化剤
    とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸素吸収成分
    として含む酸素吸収性組成物を含有する酸素吸収層を含
    むことを特徴とする酸素吸収シート。
  5. 【請求項5】さらに、上記酸素吸収層に、酸化触媒およ
    び酸化開始剤の少なくとも一方が含まれることを特徴と
    する請求項4に記載の酸素吸収シート。
  6. 【請求項6】酸性の水性液体と、不飽和脂肪酸およびそ
    のエステルの少なくとも一方を含む油性液体と、乳化剤
    とを混合して乳化させたエマルジョンを、酸素吸収成分
    として含む酸素吸収性組成物を用いて形成される酸素吸
    収層と、 酸化触媒および酸化開始剤の少なくとも一方を含む酸素
    吸収反応促進層とを含み、 上記酸素吸収層と酸素吸収反応促進層とが互いに隣接し
    ていることを特徴とする酸素吸収シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017019562A (ja) * 2015-07-10 2017-01-26 キユーピー株式会社 液状調味料容器及び容器詰液状調味料

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