JP2003219509A - ハイブリッド車両用走行速度制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両用走行速度制御装置

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JP2003219509A JP2002007939A JP2002007939A JP2003219509A JP 2003219509 A JP2003219509 A JP 2003219509A JP 2002007939 A JP2002007939 A JP 2002007939A JP 2002007939 A JP2002007939 A JP 2002007939A JP 2003219509 A JP2003219509 A JP 2003219509A
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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】モータのみによるシリーズ走行モードと、モー
タとエンジンとの組合せによるパラレル走行モードの夫
々に応じた適切な加速を行う。 【解決手段】モデルマッチング補償部で目標駆動トルク
を設定し、外乱補償部で目標駆動トルクを補正した後、
リミッタで目標駆動トルクを制限して駆動トルク指令値
を算出するようにし、リミッタの上下限値を、夫々の走
行モードに応じて切替える。シリーズ走行モードではモ
ータ駆動トルクの上下限値をリミッタの上下限値とし、
パラレル走行モードではモータ駆動トルクの上下限値と
エンジン駆動トルクの上下限値との和をリミッタの上下
限値とする。シリーズ走行モードからパラレル走行モー
ドへの移行期には、目標走行速度を少し前の値にして、
駆動トルク指令値にフィルタをかける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばモータとエンジ
ンとを併載したハイブリッド車両の走行速度を制御する
ハイブリッド車両用走行速度制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】このような走行速度制御装置としては、
例えば特開平8−207619号公報に記載されるもの
がある。この走行速度制御装置は、例えばモデルマッチ
ング補償器等で構成された目標駆動力設定手段で目標走
行速度と走行速度との差から目標駆動力を設定する一
方、外乱補償器等で構成された目標駆動力補正手段で走
行速度と過去の走行速度制御の結果とから目標駆動力を
補正し、この補正された目標駆動力を所定の上下限値で
制限して駆動力指令値を設定し、この駆動力指令値に応
じた駆動力が得られるように駆動源の作動状態を制御す
る。なお、目標駆動力の上下限値とは、例えば所定のエ
ンジン回転数におけるエンジン駆動力の最大値と最小値
等に相当する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の走行速度制御装置は、駆動源がエンジン一つであ
り、例えばモータとエンジンとを併載し、それらを単独
か、若しくは組合せて使用するハイブリッド車両では、
夫々の駆動源の作動状態によっては、必要とする駆動力
が得にくいという問題がある。本発明はこれらの諸問題
に鑑みて開発されたものであり、ハイブリッド車両で
も、必要とする駆動力が得られ、走行速度を目標走行速
度に正確に追従させることができるハイブリッド車両用
走行速度制御装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係るハイブリッド車両用走
行速度制御装置は、複数の駆動源を単独又は組合せて使
用するハイブリッド車両用の走行速度制御装置であっ
て、車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、目
標走行速度を設定する目標走行速度設定手段と、前記走
行速度検出手段で検出された走行速度と前記目標走行速
度設定手段で設定された目標走行速度とに応じて目標駆
動力を設定する目標駆動力設定手段と、過去の走行速度
制御と前記走行速度検出手段で検出された走行速度とに
基づいて目標駆動力を補正する目標駆動力補正手段と、
この補正された目標駆動力を所定の上下限値で制限して
駆動力指令値を設定する駆動力指令値設定手段と、前記
複数の駆動源の作動状態に応じて前記目標駆動力の上下
限値を設定する上下限値設定手段とを備えたことを特徴
とするものである。
【0005】また、本発明のうち請求項2に係るハイブ
リッド車両用走行速度制御装置は、前記請求項1の発明
において、作動している駆動源が増加したとき、前記駆
動力指令値にフィルタをかけることを特徴とするもので
ある。
【0006】
【発明の効果】而して、本発明のうち請求項1に係るハ
イブリッド車両用走行速度制御装置によれば、検出され
た走行速度と目標走行速度とに応じて目標駆動力を設定
し、過去の走行速度制御と検出された走行速度とに基づ
いて目標駆動力を補正し、この補正された目標駆動力を
所定の上下限値で制限して駆動力指令値を設定するにあ
たり、複数の駆動源の作動状態に応じて目標駆動力の上
下限値を設定する構成としたため、例えばモータとエン
ジンとを複数の駆動源として併載したときには、モータ
が単独で作動しているときの目標駆動力の上下限値を当
該モータの駆動力の上下限値とし、モータとエンジンと
が同時に作動しているときの目標駆動力の上下限値をモ
ータの駆動力の上下限値とエンジンの駆動力の上下限値
との和とすることにより、必要な駆動力を常時得ること
ができるので、走行速度を目標走行速度に正確に追従さ
せることができる。
【0007】また、本発明のうち請求項2に係るハイブ
リッド車両用走行速度制御装置によれば、作動している
駆動源が増加したとき、前記駆動力指令値にフィルタを
かける構成としたため、例えばモータとエンジンとを複
数の駆動源として併載したときには、モータが単独で作
動している状態からモータとエンジンとが同時に作動し
ている状態に移行したときには、前記目標駆動力の上下
限値が切替わっても駆動力指令値自体にフィルタをかけ
て駆動力が著しく変化するのを防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のハイブリッド車両
用走行速度制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて
説明する。図1は本発明のハイブリッド車両用走行速度
制御装置の一実施形態を示す概略構成図である。図中、
符号1は一つ目の駆動源としてのモータ、符号2は二つ
目の駆動源としてのエンジンであり、両者はクラッチ3
によって断続可能となっている。前記モータ1は、駆動
輪32に減速機構を介して連結された交流同期モータで
あり、駆動トルク制御の対象となると共に、回生ブレー
キ制御により車両運動エネルギをバッテリ8に回収する
ものである。また、前記エンジン2は、希薄燃焼可能
な、所謂リーンバーンエンジンであり、例えばスロット
ルアクチュエータ2aによる吸入空気量、インジェクタ
による燃料噴射量、点火プラグによる点火時期のの制御
により、エンジントルクを指令値に一致するように制御
することができる。また、前記クラッチ3は電磁クラッ
チであり、エンジン出力軸と無段変速機5の入力軸とを
連結して所謂パラレル走行を行ったり、両者を切り離し
て所謂シリーズ走行を行ったりするためのものである。
【0009】また、図中の符号4は、発電用モータであ
り、前記シリーズ走行モードでバッテリ8の充電状態に
応じてエンジン出力トルクを電気エネルギに変換し、バ
ッテリ8に充電する。前記バッテリ8は高電圧バッテリ
であり、前記駆動用モータ1からの回生エネルギや発電
用モータ4で発電された電気エネルギを蓄積する。この
バッテリ8と駆動用モータ1及び発電用モータ4との間
には直流ー交流変換を行うインバータ7が介装されてい
る。このインバータ7は高電圧インバータである。ま
た、前記無段変速機5は、所謂ベルト式無段変速機であ
り、プライマリプーリ(入力側プーリ)5aとセカンダ
リプーリ(出力側プーリ)5bの夫々のベルト接触半径
を制御することにより変速比を指令値に一致するように
制御することができる。前記無段変速機5のセカンダリ
プーリ5bは、最終減速機31を介して駆動輪32に連
結されている。
【0010】前記無段変速機5は変速機コントローラ1
2によって制御され、前記クラッチ3はクラッチコント
ローラ13によって制御され、前記エンジン2はエンジ
ンコントローラ14によって制御され、前記駆動用モー
タ1並びに発電用モータ4はインバータ7を介してモー
タコントローラ15によって制御され、前記バッテリ8
はバッテリコントローラ16によって制御されるように
構成され、それらのコントローラの上位に統合コントロ
ーラ10と車速制御コントローラ11とが位置する。
【0011】前記統合コントローラ10は、前記バッテ
リコントローラ16でモニタされたバッテリの充電状態
及び走行速度センサ6で検出された自車両の走行速度及
びアクセルセンサ9で検出されたアクセルペダルの踏込
み量或いは踏み込み速度、つまり運転者の加速意思に応
じて、通常のアクセルペダル踏込み時の制御を司るもの
であり、具体的にはモータ1及びエンジン2のトルク指
令値及び無段変速機5の変速比指令値を算出し、それら
を制御する各コントローラに出力する。一方の前記車速
制御コントローラ11は、メインスイッチ(図ではS
W、運転者の手動操作による自動走行速度制御要求スイ
ッチ)17の状態、セットスイッチ(運転者の手動操作
による自動走行速度制御の目標走行速度設定スイッチ)
18の状態、アクセルスイッチ(運転者の手動操作によ
る加速要求スイッチ)19の状態、コーストスイッチ
(運転者の手動操作による減速要求スイッチ)20の状
態、キャンセルスイッチ(運転者の手動操作による自動
走行速度制御停止スイッチ)21の状態、ブレーキペダ
ルの踏込みをモニタするブレーキスイッチ22の状態、
エンジンコントローラ14でモニタされたエンジン2の
作動状態、モータコントローラ15でモニタされたモー
タ1の作動状態、並びにクラッチコントローラ13でモ
ニタされたクラッチ3の締結、開放状態に基づき、図3
の演算処理に従って、アクセルペダルが踏込まれていな
いときの自車両の自動走行速度制御を司るものである。
【0012】前記各コントローラはマイクロコンピュー
タ等の演算処理装置を備えて構成されるが、前記車速制
御コントローラ11も、マイクロコンピュータ等の演算
処理装置を備えている。この車速制御コントローラ11
の演算処理装置内では、図2に示す演算処理が行われ
る。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定され
た所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、こ
の演算処理では、特に通信のためのステップを設けてい
ないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶
装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他
のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0013】この演算処理では、まずステップS1で前
記モータ1が駆動源として単独で作動しているシリーズ
状態か、モータ1とエンジン2とが組合されて駆動源と
して作動しているパラレル状態かと共に、前記走行速度
センサ6で検出された走行速度を読込む。次にステップ
S2に移行して、前記キャンセルスイッチ21又はブレ
ーキスイッチ22がON状態であるか否かを判定し、そ
れらのスイッチがON状態である場合にはステップS6
に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行す
る。
【0014】前記ステップS3では、前記セットスイッ
チ18がON状態であるか否かを判定し、当該セットス
イッチ18がON状態である場合にはステップS4に移
行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。前
記ステップS4では、自動走行速度制御の目標走行速度
の設定が要求されているとして、そのときの走行速度V
spを目標走行速度Vspr に設定してからステップS5に
移行する。
【0015】前記ステップS5では、自動走行速度制御
ASCD(Auto Speed Control Device )作動フラグを
セットしてからメインプログラムに復帰する。一方、前
記ステップS7では、前記ASCD作動フラグがセット
されているか否かを判定し、当該ASCD作動フラグが
セットされている場合にはステップS8に移行し、そう
でない場合には前記ステップ6に移行する。前記ステッ
プS6では、前記ASCD作動フラグ並びに各種の変数
を初期化(クリア)してからメインプログラムに復帰す
る。
【0016】これに対し、前記ステップS8では、後述
する図3の演算処理から得られる各種のパラメータを用
いて、モータのみの駆動力によるシリーズ走行モードか
らモータとエンジンの駆動力の組合せによるパラレル走
行モードへの走行モード移行時の前記目標走行速度V
spr を補正してからステップS9に移行する。前記ステ
ップS9では、前記アクセルスイッチ19の作動状態を
読込み、当該アクセルスイッチ19がON状態である場
合には加速要求されているとして、前記ステップS8で
補正された目標走行速度Vspr に所定走行速度補正値Δ
Vを加算し、新たな目標走行速度Vspr を算出してから
ステップS10に移行する。
【0017】前記ステップS10では、前記コーストス
イッチ20の作動状態を読込み、当該コーストスイッチ
20がON状態である場合には減速要求されているとし
て、前記ステップS8で補正された目標走行速度Vspr
から所定走行速度補正値ΔVを減算し、新たな目標走行
速度Vspr を算出してからステップS11に移行する。
前記ステップS11では、図3に示す演算処理に従って
モデルマッチング補償器演算、つまり目標駆動トルクの
算出を行ってからステップS12に移行する。
【0018】前記ステップS12では、図3に示す演算
処理に従って第2外乱補償器演算、つまり目標駆動トル
ク補正値の算出を行ってからステップS13に移行す
る。前記ステップS13では、図3に示す演算処理に従
って駆動トルク指令値の補正を行ってからステップS1
4に移行する。前記ステップS14では、図3に示す演
算処理に従って駆動トルク指令値の上下限制限を行って
からステップS15に移行する。
【0019】前記ステップS15では、図3に示す第1
外乱補償器演算を行ってからステップS16に移行す
る。前記ステップS16では、無段変速機5の変速比と
してプライマリプーリ5aの回転数指令値を算出してか
らステップS17に移行する。具体的には、例えば等出
力線、等燃費線、最適燃費線等からなるエンジン特性図
を用いて、前記ステップS13で補正され、或いは前記
ステップS14で制限されて算出された駆動トルク指令
値を実現し且つ燃費が最低となる運転点になるようにプ
ライマリプーリの回転数を設定する。
【0020】前記ステップS17では、前記ステップS
13で補正され、或いは前記ステップS14で制限され
て算出された駆動トルク指令値を、後述するようにして
前記モータ1及びエンジン2に配分し、夫々の駆動トル
ク配分指令値Tmr、Terを算出してからステップS18
に移行する。前記ステップS18では、前記ステップS
16で算出されたプライマリプーリ回転数指令値並びに
ステップS17で算出された駆動トルク配分指令値を出
力してからメインプログラムに復帰する。
【0021】次に、前記ステップS11からステップS
15で行われる図3の演算処理について説明する。この
演算処理は、主として前記目標走行速度Vspr 及び検出
された走行速度Vspから目標駆動トルクy4 を算出する
目標駆動力設定手段としてのモデルマッチング補償部4
1と、既に出力された前記駆動トルク指令値y5 、つま
り過去の走行速度制御及び前記検出された走行速度から
目標駆動トルクの補正値y6 を算出し、前記目標駆動ト
ルクを補正する目標駆動力補正手段としての外乱補償部
42及び加減算器45と、この補正された目標駆動トル
クy1 に対し、それを制限する上下限値Tdmax、Tdmin
を設定する上下限値設定手段としての上下限値設定部4
3と、前記状下限値設定部43で設定された上下限値T
dmax、T dminで前記補正された目標駆動トルクy1 を制
限して前記駆動トルク指令値y5を算出するリミッタ4
4とを備えて構成される。
【0022】また、前記モデルマッチング補償部41
は、前記目標走行速度Vspr から検出された走行速度V
spを減ずる加減算器51と、この加減算器51の出力に
モデルマッチング手法を施すモデルマッチング補償器5
2とを備えて構成される。また、前記外乱補償部42
は、前記駆動トルク指令値y5 に近似ゼロ手法を施す第
1外乱補償器53と、この第1外乱補償器53の出力に
遅延演算子を乗じる無駄時間要素54と、前記検出され
た走行速度Vspに近似ゼロ手法を施す第2外乱補償器5
5と、前記第2外乱補償器55の出力から前記無駄時間
要素54の出力を減じて前記目標駆動トルクの補正値y
6 を算出する加減算器56とを備えて構成される。
【0023】前記図3の構成は、制御対象の伝達特性を
パルス伝達関数P(z-1) で表したときの制御器である。
-1は前記遅延演算子であり、z-1を乗じると1サンプ
リング周期前の値となる。前記外乱補償器は外乱やモデ
ル化誤差による影響を抑制するものであり、モデルマッ
チング補償器は制御対象の応答特性を規範モデルH
(z -1) の特性に一致させるものである。ここで、駆動ト
ルク指令値を入力、検出された走行速度を出力とする部
分を制御対象とすると、前記パルス伝達関数P(z-1) は
下記1式で示す積分要素P1(z-1) と前記無駄時間要素
2(z-1) =z-nとの積で表すことができる。
【0024】
【数1】
【0025】但し、ΔTはサンプリング周期、Mは車両
質量、Rはタイヤ転がり動半径を示す。このとき、前記
第1外乱補償器55の応答特性C1(z-1) 及び第2外乱
補償器53の応答特性C2(z-1) は、夫々、下記2式及
び3式の時定数Tbのローパスフィルタで表れる。
【0026】
【数2】
【0027】また、制御対象の無駄時間を無視して、規
範モデルを時定数Taの一次のローパスフィルタとする
と、前記モデルマッチング補償器52のゲインC3 は下
記4式の定数Kとなる。
【0028】
【数3】
【0029】従って、前記モデルマッチング補償部41
で算出される目標駆動トルクの今回値y4(k)は、前記目
標走行速度の前回値Vspr(k-1)及び走行速度の前回値V
sp(k -1) を用いて下記5式で表れる(図2の演算処理の
ステップS11)。
【0030】
【数4】
【0031】一方、前記第2外乱補償器55の出力の今
回値y3(k)は、当該第2外乱補償器55の出力の前回値
3(k-1)を用いて下記6式で表れる(図2の演算処理の
ステップS12)。
【0032】
【数5】
【0033】これに対し、前記無駄時間要素54の出力
は、今回からn回前のサンプリング時刻におけるy2
値であるからy2(k-n)と表れる。従って、前記加減算器
45から出力される補正された目標駆動トルクの今回値
1(k)は下記7式で表れる(図2の演算処理のステップ
S13)。
【0034】
【数6】
【0035】この補正された目標駆動トルクの今回値y
1(k)に対し、前記リミッタ44で上下限値制限をかけた
値が駆動トルク指令値の今回値y5(k)となるのである
が、前記第1外乱補償器53では前記遅延演算子z-1
よって、当該第1外乱補償器53の出力の前回値y
2(k-1)及び駆動トルク指令値の前回値y5(k-1)を用い
て、下記8式に従って出力の今回値y2(k)が算出される
(図2の演算処理のステップS15)。
【0036】
【数7】
【0037】次に、前記上下限値設定部43による目標
駆動トルクの上下限値Tdmax、Tdm inの設定について説
明する。まず、エンジントルク上下限値設定器61でエ
ンジン回転数Ne からエンジントルク上下限値Temax
eminを設定する。このエンジントルク上下限値
emax、Teminは、例えば図4aに示すようなエンジン
の出力特性マップから容易に設定することが可能であ
る。また、モータトルク上下限値設定器62でモータ回
転数Nm からモータトルク上下限値Tmmax、Tmminを設
定する。このモータトルク上下限値Tmmax、Tmminは、
例えば図4bに示すようなモータの出力特性マップから
容易に設定することが可能であるし、モータの出力は一
定であるから、その出力(正転、逆転で符号は異なる)
をモータ回転数N m で除して算出するようにしてもよ
い。
【0038】この設定されたエンジントルク上下限値T
emax、Teminとモータトルク上下限値Tmmax、Tmmin
を加算器64で加算して駆動源でのトルク上下限値を算
出するのであるが、本実施形態ではモータのみで走行す
る場合と、エンジンとモータとの組合せで走行する場合
の二つの走行モードがある。モータのみで走行する場合
には、エンジントルク上下限値Temax、Teminを考慮す
る必要はないので、前記エンジントルク上下限値設定器
61と加算器64との間にスイッチ65を設け、走行モ
ード信号がモータとエンジンとの組合せで走行している
ときには当該エンジントルク上下限値設定器61と加算
器64とを接続し、モータのみで走行しているときには
当該エンジントルク上下限値設定器61と加算器64と
を切断、或いはエンジントルク上下限値Temax、Temin
を“0”として出力する出力器に接続する。
【0039】そして、前記加算器64の出力に、乗算器
66で、前記無段変速機5の変速比Gcvt を乗じ、更に
乗算器67で前記最終減速機31の減速比Gf を乗じて
前記目標駆動トルクの上下限値Tdmax、Tdminを算出設
定する。従って、最終的な目標駆動トルクの上下限値T
dmax、Tdminは下記9式〜12式で表れる。
【0040】
【数8】
【0041】次に、前記図2の演算処理のステップS1
7で行われる駆動トルク配分指令値について説明する。
前記駆動トルク指令値y5 を前記無段変速機5の変速比
cv t 及び最終減速機31の減速比Gf で除し、下記1
3式で示す無段変速機入力軸トルクTinr を算出する。
【0042】
【数9】
【0043】そこで、バッテリ充電状態等に基づいてモ
ータ配分係数Km を設定すると、エンジン配分係数Ke
は(1−Km )で表れるので、夫々の走行モードにおけ
るモータ駆動トルク配分指令値Tmr、エンジン駆動トル
ク配分指令値Terは下記14式〜17式で表れる。
【0044】
【数10】
【0045】次に、前記図2の演算処理のステップS8
で行われる目標走行速度の補正について説明する。前記
5式と7式とを目標走行速度Vspr について整理する
と、下記18式を得る。
【0046】
【数11】
【0047】ここで、前記18式における前記加減算器
45の出力値y1 に駆動トルク指令値の前回値
5(k-1)、第1外乱補償器53の出力y2 に(n−1)
回前の値y2( k-n-1)、第2外乱補償器55の出力y3
前回値y3(k-1)、走行速度Vspには今回値Vsp(k) を代
入すると、下記19式に示すように、少し前と同じ目標
走行速度Vspr(k)を得る。
【0048】
【数12】
【0049】本実施形態では、前記モータのみの走行モ
ード、即ちシリーズ走行モードからモータとエンジンと
を組合せた走行モード、即ちパラレル走行モードへの移
行期、換言すれば作動している駆動源の数が増加したと
きに、駆動トルク指令値が前回値と一致するように目標
走行速度Vspr(k)を設定する。即ち、前記図3の制御器
では、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへの
移行期には、目標駆動トルクの上下限値Tdmax、Tdmin
がエンジン駆動トルク上下限値Temax、Temin分だけ増
減することになるが、目標走行速度Vspr が少し前の値
になることにより、駆動トルク指令値y5 も前回と同等
に設定され、一種の初期化が施される。
【0050】図5は、本実施形態によるモータのみの走
行モード、即ちシリーズ走行モードにおける駆動トルク
と走行速度の経時変化を示したものである。同図から明
らかなように、時刻t01からの目標走行速度Vspr の加
速要求に対し、モータ駆動トルク配分指令値Tmrのみか
らなる駆動トルク指令値y5 は増加されるが、前記目標
駆動トルクの上限値Tdmaxもモータ駆動トルク上限値T
mmaxのみであり、モータ回転数Nm の増大に伴って次第
に減少する。このため、実際に発生するモータ駆動トル
クTm は時刻t02で前記モータ駆動トルク上限値Tmmax
となって飽和するが、目標駆動トルクの上限値Tdmax
当該モータ駆動トルク上限値Tmmaxのみからなるために
駆動トルク指令値y5 と等価なモータ駆動トルク配分指
令値Tmrも当該目標駆動トルクの上限値Tdmaxで制限さ
れる。このため、前記時刻t02以後も、前記外乱補償部
42から出力される目標駆動トルク補正値y6 も絶対値
の小さな値になり、シリーズ走行モードに適した加速が
行われている。
【0051】これに対し、図6は、本実施形態によるモ
ータとエンジンとの組合せによる走行モード、即ちパラ
レル走行モードにおける駆動トルクと走行速度の経時変
化を示したものである。同図から明らかなように、時刻
11からの目標走行速度Vsp r の加速要求に対し、モー
タ駆動トルク配分指令値Tmrとエンジン駆動トルク配分
指令値Terとの和からなる駆動トルク指令値y5 は増加
されるが、前記目標駆動トルクの上限値Tdmaxもモータ
駆動トルク上限値Tmmaxとエンジン駆動トルク上限値T
emaxとの和であり、モータ回転数Nm の増大に伴って次
第に減少するものの、モータ駆動トルク上限値Tmmax
独よりも遙かに大きい。このため、実際に発生する前記
駆動トルク指令値y5 が目標駆動トルクの上限値Tdmax
で制限されることはなく、モータ駆動トルク配分指令値
mrとエンジン駆動トルク配分指令値Terとからなる駆
動トルク指令値y5 によってパラレル走行モードに適し
た速やかな加速が可能となっている。なお、このとき
も、前記外乱補償部42から出力される目標駆動トルク
補正値y6 も絶対値の小さな値に維持される。
【0052】一方、図7は、本実施形態による時刻t21
からの加速走行中に、時刻t24でシリーズ走行モードか
らパラレル走行モードに移行したときの駆動トルクと走
行速度の経時変化を示したものである。前記図5と同様
に、シリーズ走行モードでは目標駆動トルクの上限値T
dmaxはモータ駆動トルク上限値Tmmaxのみであり、前記
時刻t21以後、モータ駆動トルク配分指令値Tmrのみか
らなる駆動トルク指令値y5 が増大され、それに伴って
モータ駆動トルクTm も増大するが、やがて時刻t22
飽和し、その後は前記モータ駆動トルク上限値Tmmax
相当する駆動トルク指令値y5 がモータに向けて出力さ
れる。その後、前記時刻t24でパラレル走行モードに移
行すると、前記19式に従って少し前の(この場合は時
刻t23と同じ)目標走行速度Vspr となるため、加速中
の目標走行速度Vspr と実際の走行速度Vspとの差が小
さくなり、モータ駆動トルク配分指令値Tmrとエンジン
駆動トルク配分指令値Terとの和からなる駆動トルク指
令値y5 に初期化が施され、駆動トルク指令値y5 の急
激な増加を抑制防止すると共に、それ以後はパラレル走
行モードに適した速やかな加速が可能となる。
【0053】図8は、従来の走行速度制御装置におい
て、駆動トルク指令値の上限値Tdmaxをエンジン駆動ト
ルク上限値Temaxに固定したものであり、前記図5と同
様に、モータのみの走行モード、即ちシリーズ走行モー
ドにおける加速走行中の駆動トルクと走行速度の経時変
化を示したものである。同図から明らかなように、時刻
31からの目標走行速度Vspr の加速要求に対し、モー
タ駆動トルク配分指令値Tmrのみからなる駆動トルク指
令値y5 は増加されるが、前記目標駆動トルクの上限値
dmaxはエンジン駆動トルク上限値Temaxであり、実際
に発生するモータ駆動トルクTm が時刻t32でモータ駆
動トルク上限値Tmmaxとなって飽和するにも関わらず、
前記目標駆動トルク補正値y6 は目標走行速度Vspr
実際の走行速度Vspとの差に応じて絶対値が大きくな
り、その結果、モータ駆動トルク配分指令値Tmrからな
る駆動トルク指令値y5 はその後も増加し続ける。やが
て時刻t33で駆動トルク指令値y5 はモータ駆動トルク
上限値Tmmax以下となるが、未だ絶対値の大きな目標駆
動トルク補正値y6 の影響で車両は更に加速され、その
結果、走行速度Vspが目標走行速度Vspr に対してオー
バシュートしてしまっている。
【0054】図9は、前記図8と同様に、従来の走行速
度制御装置において、駆動トルク指令値の上限値Tdmax
をエンジン駆動トルク上限値Temaxに固定し、前記図6
と同様に、モータとエンジンとの組合せによる走行モー
ド、即ちパラレル走行モードにおける駆動トルクと走行
速度の経時変化を示したものである。同図から明らかな
ように、時刻t51からの目標走行速度Vspr の加速要求
に対し、モータ駆動トルク配分指令値Tmrとエンジン駆
動トルク配分指令値Terとの和からなる駆動トルク指令
値y5 は増加されるが、前記目標駆動トルクの上限値T
dmaxはエンジン駆動トルク上限値Temaxであるため、前
記時刻t41からさほど経時していない時刻t42から時刻
43までの間、駆動トルク指令値y5 が当該目標駆動ト
ルクの上限値Tdmaxで制限され、モータにもエンジンに
も駆動トルクの余裕があるのに、走行速度Vspは目標走
行速度Vspr に対してゆっくりとしか加速されない。
【0055】また、図10は、前記図8と同様に、従来
の走行速度制御装置において、駆動トルク指令値の上限
値Tdmaxをエンジン駆動トルク上限値Temaxに固定し、
前記図7と同様に、時刻t51からの加速走行中に、時刻
54でシリーズ走行モードからパラレル走行モードに移
行したときの駆動トルクと走行速度の経時変化を示した
ものである。前記時刻t51以後、モータ駆動トルク配分
指令値Tmrのみからなる駆動トルク指令値y5 が増大さ
れ、それに伴ってモータ駆動トルクTm も増大するが、
やがて時刻t52で飽和し、それによって走行速度Vsp
加速が小さくなる。すると、目標走行速度Vspr と走行
速度Vspとの差が大きくなり、駆動トルク指令値y5
大きくなるが、実際のモータ駆動トルクTm は前記時刻
52以後、減少し続ける。その後も増大する駆動トルク
指令値y5 は時刻t53で前記目標駆動トルク上限値T
dmaxとなり、その後は当該目標駆動トルク上限値Tdmax
で制限される。この間もモータ駆動トルクTm は減少し
続けている。しかしながら、前記時刻t54でパラレル走
行モードに移行すると、エンジン駆動トルクTe が加わ
るため、実際の駆動トルクであるモータ駆動トルクTm
とエンジン駆動トルクTe との和は速やかに増大し、そ
の結果、走行速度Vspが急激に加速し始める。これによ
り、駆動トルク指令値y5 は、時刻t55以後、前記目標
駆動トルク上限値Tdmaxより小さくなるのであるが、前
記時刻t54以後の急激な加速が違和感となる。
【0056】なお、前記実施形態では各コントローラと
してマイクロコンピュータを適用した場合について説明
したが、これに代えてカウンタ、比較器等の電子回路を
組み合わせて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置
の一実施形態を示す車両概略構成図である。
【図2】図1の車速制御コントローラ内で行われる演算
処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の演算処理の一部を示すブロック図であ
る。
【図4】図3の演算処理で用いられる制御マップであ
る。
【図5】図1のハイブリッド車両用走行速度制御装置に
よる走行速度と駆動トルクの経時変化を示すタイミング
チャートである。
【図6】図1のハイブリッド車両用走行速度制御装置に
よる走行速度と駆動トルクの経時変化を示すタイミング
チャートである。
【図7】図1のハイブリッド車両用走行速度制御装置に
よる走行速度と駆動トルクの経時変化を示すタイミング
チャートである。
【図8】従来の走行速度制御装置による走行速度と駆動
トルクの経時変化を示すタイミングチャートである。
【図9】従来の走行速度制御装置による走行速度と駆動
トルクの経時変化を示すタイミングチャートである。
【図10】従来の走行速度制御装置による走行速度と駆
動トルクの経時変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1はモータ 2はエンジン 3はクラッチ 4は発電用モータ 5は無段変速機 6は走行速度センサ 7はインバータ 8はバッテリ 9はアクセルセンサ 10は統合コントローラ 11は車速制御コントローラ 12は変速機コントローラ 13はクラッチコントローラ 14はエンジンコントローラ 15はモータコントローラ 16はバッテリコントローラ 41はモデルマッチング補償部 42は外乱補償部 43は上下限値設定部 44はリミッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D044 AA01 AA45 AA49 AB01 AC03 AC15 AC24 AC26 AC39 AD02 AD14 AD17 AE18 AE21 3G093 AA06 BA15 BA23 DA01 DA06 DB03 DB05 DB19 EA01 FA04 FB05 5H115 PA01 PA08 PG04 PI16 PU01 PV09 QN02 QN03 QN27 SE03 TB00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の駆動源を単独又は組合せて使用す
    るハイブリッド車両用の走行速度制御装置であって、車
    両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、目標走行
    速度を設定する目標走行速度設定手段と、前記走行速度
    検出手段で検出された走行速度と前記目標走行速度設定
    手段で設定された目標走行速度とに応じて目標駆動力を
    設定する目標駆動力設定手段と、過去の走行速度制御と
    前記走行速度検出手段で検出された走行速度とに基づい
    て目標駆動力を補正する目標駆動力補正手段と、この補
    正された目標駆動力を所定の上下限値で制限して駆動力
    指令値を設定する駆動力指令値設定手段と、前記複数の
    駆動源の作動状態に応じて前記目標駆動力の上下限値を
    設定する上下限値設定手段とを備えたことを特徴とする
    ハイブリッド車両用走行速度制御装置。
  2. 【請求項2】 作動している駆動源が増加したとき、前
    記駆動力指令値にフィルタをかけることを特徴とする請
    求項1に記載のハイブリッド車両用走行速度制御装置。
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