JP2003212920A - フッ素含有乳化剤の回収法 - Google Patents

フッ素含有乳化剤の回収法

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JP2003212920A
JP2003212920A JP2002017540A JP2002017540A JP2003212920A JP 2003212920 A JP2003212920 A JP 2003212920A JP 2002017540 A JP2002017540 A JP 2002017540A JP 2002017540 A JP2002017540 A JP 2002017540A JP 2003212920 A JP2003212920 A JP 2003212920A
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Masataka Eda
昌隆 江田
Chu Funaki
宙 舟木
Hiroki Kamiya
浩樹 神谷
Kota Omori
浩太 大森
Takeshi Kamiya
武志 神谷
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Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd
AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
Jemco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含フッ素ポリマーの凝集排水よりフッ素含有
乳化剤を回収する方法の提供。 【解決手段】 2価金属イオンと3価金属イオンとから
なる金属水酸化物層の間にフッ素含有乳化剤以外のアニ
オンを中間層として持つ層状複水酸化物を用い、フッ素
含有乳化剤を含む水性媒体中で含フッ素モノマーを重合
させて得られる含フッ素ポリマーを分離した後の、フッ
素含有乳化剤を1質量ppm以上10質量%以下含み、
浮遊固形分および浮遊固形分になりうる物質の含有量が
1質量%以下である排水のpHを前記層状複水酸化物形
成時と同様のpHに調整した後、該フッ素含有乳化剤に
対して該層状複水酸化物中の3価金属イオンを1倍モル
以上30倍モル以下、前記層状複水酸化物を該排水に添
加することにより、前記排水中の該フッ素含有乳化剤を
層状複水酸化物の層間に内包させ、該排水から該層状複
水酸化物を分離し、該フッ素含有乳化剤を回収する、フ
ッ素含有乳化剤の回収法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状複水酸化物を
使用したフッ素含有乳化剤の回収法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ
素ポリマーの乳化重合工程での乳化剤として、ペルフル
オロ鎖を主成分とするフッ素含有乳化剤が用いられてい
る。このようなフッ素含有乳化剤の回収法として、陰イ
オン交換樹脂(以下、IERという。)を用いる方法が
知られている。例えば、特公昭47−51233号公報
には、乳化重合のラテックスを凝集・洗浄し、乳化剤を
水溶液として捕集、濃縮後有機溶剤で該含フッ素乳化剤
を回収する方法が記載されており、本文中にはIERを
用いた該含フッ素乳化剤の回収方法も記載されている。
USP4282162には、希薄乳化剤水溶液をpH0
〜7の範囲で弱塩基性IERに接触させ、該乳化剤を吸
着させ、アンモニア水で脱着させる方法が記載されてい
る。WO99/62830には、含フッ素ポリマーの凝
集排水にノニオンまたはカチオン性界面活性剤を添加
し、凝集排水中のポリ四フッ化エチレン(以下、PTF
Eという。)微粒子を安定化し、IERの充填塔の閉塞
を防止する方法が記載されている。
【0003】特開昭55−120630号公報、USP
5312935およびDE2908001には、PTF
Eの凝集排水を限外ろ過法で濃縮するとともにPTFE
製造に用いたペルフルオロオクタン酸アンモニウム(以
下、APFOという。)の一部を回収した後、IERで
APFOを吸着・回収する方法が記載されている。特開
昭55−104651号公報、USP4282162お
よびDE2903981には、APFOをIERに吸着
させ、ついで酸と有機溶剤との混合物を用いてペルフル
オロオクタン酸を脱着し回収する方法が開示されてい
る。WO99/62858には、あらかじめ四フッ化エ
チレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重
合体(以下、PFAという。)の凝集排水に石灰水を添
加してpHを6〜7.5に調整後、塩化アルミニウム、
塩化鉄等の金属塩を添加して未凝集のPFAを凝集さ
せ、ついで機械的に凝集物を分離・除去した後に、得ら
れた排水のpHを硫酸で7以下に調整し、強塩基性IE
Rを用いてフッ素含有乳化剤を吸着・回収する方法が記
載されている。特開2001−62313には、イオン
交換樹脂に吸着したフッ素含有乳化剤を水、アルカリ、
有機溶剤の混合液を用いて脱着する方法が記載されてい
る。
【0004】また、日本化学会第76春季年会および日
本化学会第80秋季年会では、アルミニウムと亜鉛の層
状複水酸化物を用いて、ペルフルオロオクタン酸および
そのアンモニウム塩を挿入固定する技術が報告されてい
る。しかしながらIERを用いる方法ではIERとの接
触の前に未凝集の含フッ素ポリマーを含む、浮遊固体成
分を高度に除去する必要があり、このSS成分の除去が
該フッ素含有乳化剤の回収効率に多大な影響を与えるだ
けでなく、SS成分を高度に除去するための簡便かつ高
効率の方法が見つかっていないなど、実際の操作上での
課題が多く残されている。また、日本化学会第76春季
年会および日本化学会第80秋季年会で報告された層状
複水酸化物を用いた挿入固定法では、あくまでペルフル
オロオクタン酸およびそのアンモニウム塩のみが溶解し
た水溶液での技術が示されただけで、他の夾雑物が含ま
れている実際の含フッ素ポリマーの凝集排水を用いて実
際に回収を示した報告は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フッ素含有
乳化剤を資源として有効に活用するために、安定かつ容
易に吸着固定することにより、未凝集の含フッ素ポリマ
ーを含むSS成分が存在する系であっても、フッ素含有
乳化剤を含む排水から該フッ素含有乳化剤を簡便、か
つ、高収率で回収する技術を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、2価金属イオンと3価金属イオンとが水酸化物を形
成する範囲のpHの水溶液中で形成させた2価金属イオ
ンと3価金属イオンとからなる金属水酸化物層の間にフ
ッ素含有乳化剤以外のアニオンを中間層として持つ層状
複水酸化物を用い、フッ素含有乳化剤を含む水性媒体中
で少なくとも1種の含フッ素モノマーを重合させて得ら
れる含フッ素ポリマーを分離した後の、フッ素含有乳化
剤を1質量ppm以上10質量%以下含み、浮遊固形分
および浮遊固形分になりうる物質の含有量が1質量%以
下である排水のpHを前記層状複水酸化物形成時と同様
のpHに調整した後、該フッ素含有乳化剤に対して該層
状複水酸化物中の3価金属イオンを1倍モル以上30倍
モル以下になるよう、前記層状複水酸化物を該排水に添
加することにより、前記排水中の該フッ素含有乳化剤を
層状複水酸化物の層間に内包させ、該含フッ素ポリマー
の排水から該層状複水酸化物を分離し、該フッ素含有乳
化剤を回収する、フッ素含有乳化剤の回収法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】層状複水酸化物は、2価の金属塩
と3価の金属塩を同時に水酸化物として沈殿させること
により得られる複水酸化物で、形成された層の間に分子
やアニオンを内包させることにより分子やアニオンを固
定化することができる。層状複水酸化物は3価金属イオ
ンと2価金属イオンで水酸化物の形成pHが重なってい
るか、もしくは該水酸化物形成pHの範囲が近ければ同
時に水酸化物として沈殿させることで形成可能である。
前記2価金属イオンとしてはベリリウム、カドミウム、
コバルト、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、
ニッケル、鉛、白金、パラジウム、亜鉛、錫、カルシウ
ム等の金属イオンを例示でき、3価金属イオンとしては
アルミニウム、ビスマス、セリウム、クロム、鉄、ガリ
ウム、インジウム、マンガン、チタン、タリウム、コバ
ルト、ランタン、スカンジウム等の金属のイオンを例示
できる。本発明において、層状複水酸化物を形成する金
属としては、環境または生態系に悪影響を及ぼすことが
なく、入手も容易であることから、2価金属イオンとし
てはマグネシウムおよび/または亜鉛イオンが好まし
く、マグネシウムイオンがより好ましい。3価金属イオ
ンとしてはアルミニウムイオンが好ましく用いられる。
以下、これらの好ましい2価金属イオンと3価金属イオ
ンとを用いる場合について説明する。これらの組み合わ
せにおいては、アルミニウムイオンとマグネシウムおよ
び/または亜鉛イオンとが水酸化物を形成するpH範囲
で水酸化物を形成させると層状複水酸化物が得られる。
【0008】一般に層状複水酸化物によるアニオンの吸
着の方法として、共沈法、イオン交換法、再構築法の3
種類が知られているが、本発明は、このうち、イオン交
換法に関するものである。イオン交換法は目的回収物以
外(例:塩化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオンな
ど)が層状複水酸化物の層間に内包された構造の層状複
水酸化物(以下アニオンを含む層状水酸化物と記す)を
あらかじめ用意しておき、該層状複水酸化物を目的アニ
オンが溶解している液中に添加し、既に内包されている
アニオンと入れ替わる形で目的アニオンを層間に内包さ
せる方法である。
【0009】本発明においては、まず、水酸化ナトリウ
ムおよび/または水酸化カリウムの水溶液に、該水溶液
のpHをアルミニウムイオンと、マグネシウムおよび/
または亜鉛イオンとが水酸化物を形成する範囲に保ちつ
つ、マグネシウムおよび/または亜鉛のイオンと、アル
ミニウムのイオンとを含む混合水溶液を添加することに
より層状複水酸化物を生成させる。本発明において、マ
グネシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン
は、どのような原料を用いても問題ないが、入手の容易
さから、以下の原料が好ましい。マグネシウムイオンと
亜鉛イオンの中ではマグネシウムイオンが好ましい。
【0010】マグネシウムイオンの原料としては塩化マ
グネシウム、塩化マグネシウム六水和物、硝酸マグネシ
ウム六水和物、硝酸マグネシウム、酸化マグネシウム、
硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム七水和物、炭酸マ
グネシウムを用いるのが好ましく、とりわけ塩化マグネ
シウム、塩化マグネシウム六水和物が好ましい。亜鉛イ
オンの原料としては塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、酸化
亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛七水和物を用いるのが好まし
く、とりわけ塩化亜鉛が好ましい。アルミニウムイオン
は塩化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、硫酸
アルミニウム、硝酸アルミニウムが好ましく、塩化アル
ミニウム、塩化アルミニウム6水和物がより好ましい。
【0011】本発明においては、層状複水酸化物形成時
に、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムの
水溶液に、該水溶液のpHをアルミニウムイオンとマグ
ネシウムおよび/または亜鉛イオンとが水酸化物を形成
する範囲に保ちつつ、マグネシウムおよび/または亜鉛
イオンと、アルミニウムイオンとを含む混合水溶液を添
加する必要がある。このpH範囲は、アルミニウムイオ
ンとマグネシウムイオンを用いる場合は9以上11以下
の範囲が好ましく、アルミニウムイオンと亜鉛イオンを
用いる場合は6以上9以下の範囲が好ましい。アルミニ
ウムとマグネシウム、亜鉛の3成分のイオンを用いる場
合はpH範囲は6以上11以下とすることが好ましい。
マグネシウムおよび/または亜鉛のイオンと、アルミニ
ウムのイオンとを含む混合水溶液におけるアルミニウム
イオンと2価金属イオンのモル比(形成される層状複水
酸化物中の3価イオンと2価イオンのモル比)は3:1
〜1:3が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。
【0012】層状複水酸化物形成にあたって、水酸化ナ
トリウムおよび/または水酸化カリウムの水溶液に添加
する2価の金属イオン、例えばマグネシウムおよび/ま
たは亜鉛のイオンと、3価の金属イオン、例えばアルミ
ニウムのイオンとを含む混合水溶液の3価の金属イオ
ン、2価の金属イオンの濃度はそれぞれ0.01mol
/L以上、2mol/L以下とするのが好ましい。ここ
で、2価の金属イオンの濃度とは、マグネシウムまたは
亜鉛イオンを添加する際はその濃度であり、両者を添加
する場合はそれらの濃度の合計をいう。3価の金属イオ
ン、2価の金属イオンの濃度が0.01mol/L未満
であると、層状複水酸化物形成時に水の量が多くなって
しまい、結果として含フッ素モノマーを重合させて得ら
れる含フッ素ポリマーを分離した後の排水に添加した際
の、該フッ素含有乳化剤の濃度が下がり、ひいては回収
効率が低下し易い。上記金属イオンの濃度が2mol/
Lを超えると、該金属イオン水溶液が酸性であるため、
層状複水酸化物を形成させるときに、金属イオン水溶液
の添加により、該層状複水酸化物含有水溶液の一部が局
所的に層状複水酸化物を形成するのに最適なpHの範囲
を逸脱し、該金属イオンが層状複水酸化物形成に有効に
利用され難くなる。しかし、一時、前記の濃度範囲を外
れた金属イオン水溶液を添加した場合でも、改めて適切
な濃度範囲の金属イオン水溶液を添加すれば、その後は
層状複水酸化物の合成が可能となる。
【0013】該層状複水酸化物を合成させる際の水温は
10℃以上50℃以下で実施するのが好ましい。水温が
これ以下でもこれ以上でも、フッ素含有乳化剤を含む層
状複水酸化物の形成が低下してしまう。特にこれ以下の
水温での反応率は著しく低下するため、反応器には温度
制御装置を装備するのが好ましい。
【0014】本発明において、処理対象となる含フッ素
ポリマー重合後の排水に含まれるフッ素含有乳化剤とし
ては、炭素原子数5〜13の、ペルフルオロアルカン
酸、ω−ヒドロペルフルオロアルカン酸、ω−クロロペ
ルフルオロアルカン酸,ペルフルオロアルカンスルホン
酸等の塩が好ましく、これらは直鎖構造でも分岐構造で
もよく、それらの混合物でもよい。また、分子中にエー
テル性の酸素原子を含有してもよい。この炭素原子数の
範囲にあると乳化剤としての作用効果に優れる。前記酸
の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩
等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、
アンモニウム塩またはナトリウム塩がより好ましく、ア
ンモニウム塩が最も好ましい。
【0015】前記酸の具体例としては、ペルフルオロペ
ンタン酸、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプ
タン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン
酸、ペルフルオロデカン酸、ペルフルオロドデカン酸、
ω−ヒドロペルフルオロヘプタン酸、ω−ヒドロペルフ
ルオロオクタン酸、ω−ヒドロペルフルオロノナン酸、
ω−クロロペルフルオロヘプタン酸、ω−クロロペルフ
ルオロオクタン酸、ω−クロロペルフルオロノナン酸
等、CF3CF2CF2OCF(CF3)COOH、CF3
CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CO
OH、CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF2O]2
F(CF3)COOH、CF3CF2CF2O[CF(CF
3)CF2O]3CF(CF3)COOH、CF3CF2CF
2CF2CF2OCF(CF3)COOH等、ペルフルオロ
ヘキサンスルホン酸、ペルフルオロヘプタンスルホン
酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロノ
ナンスルホン酸、ペルフルオロデカンスルホン酸等、が
挙げられる。
【0016】アンモニウム塩の具体例としては、ペルフ
ルオロペンタン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサン
酸アンモニウム、ペルフルオロヘプタン酸アンモニウ
ム、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、AP
FOという。)、ペルフルオロノナン酸アンモニウム、
ペルフルオロデカン酸アンモニウム、ペルフルオロドデ
カン酸アンモニウム、ω−ヒドロペルフルオロヘプタン
酸アンモニウム、ω−ヒドロペルフルオロオクタン酸ア
ンモニウム、ω−ヒドロペルフルオロノナン酸アンモニ
ウム、ω−クロロペルフルオロヘプタン酸アンモニウ
ム、ω−クロロペルフルオロオクタン酸アンモニウム、
ω−クロロペルフルオロノナン酸アンモニウム等、CF
3CF2CF2OCF(CF3)COONH4、CF3CF2
CF2OCF(CF 3)CF2OCF(CF3)COONH
4、CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF 2O]2CF
(CF3)COONH4、CF3CF2CF2O[CF(C
3)CF2O]3CF(CF3)COONH4、CF3CF
2CF2CF2CF2OCF(CF3)COONH4等、ペル
フルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、ペルフルオ
ロヘプタンスルホン酸アンモニウム、ペルフルオロオク
タンスルホン酸アンモニウム、ペルフルオロノナンスル
ホン酸アンモニウム、ペルフルオロデカンスルホン酸ア
ンモニウム等、が挙げられる。
【0017】リチウム塩の具体例としては、ペルフルオ
ロペンタン酸リチウム、ペルフルオロヘキサン酸リチウ
ム、ペルフルオロヘプタン酸リチウム、ペルフルオロオ
クタン酸リチウム、ペルフルオロノナン酸リチウム、ペ
ルフルオロデカン酸リチウム、ペルフルオロドデカン酸
リチウム、ω−ヒドロペルフルオロヘプタン酸リチウ
ム、ω−ヒドロペルフルオロオクタン酸リチウム、ω−
ヒドロペルフルオロノナン酸リチウム、ω−クロロペル
フルオロヘプタン酸リチウム、ω−クロロペルフルオロ
オクタン酸リチウム、ω−クロロペルフルオロノナン酸
リチウム等、CF3CF2CF2OCF(CF3)COOL
i、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(C
3)COOLi、CF3CF2CF2O[CF(CF3
CF2O]2CF(CF3)COOLi、CF3CF2CF2
O[CF(CF3)CF2O]3CF(CF3)COOL
i、CF3CF2CF2CF2CF2OCF(CF3)COO
Li等、ペルフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、ペ
ルフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、ペルフルオロ
オクタンスルホン酸リチウム、ペルフルオロノナンスル
ホン酸リチウム、ペルフルオロデカンスルホン酸リチウ
ム等、が挙げられる。
【0018】ナトリウム塩の具体例としては、ペルフル
オロペンタン酸ナトリウム、ペルフルオロヘキサン酸ナ
トリウム、ペルフルオロヘプタン酸ナトリウム、ペルフ
ルオロオクタン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸ナ
トリウム、ペルフルオロデカン酸ナトリウム、ペルフル
オロドデカン酸ナトリウム、ω−ヒドロペルフルオロヘ
プタン酸ナトリウム、ω−ヒドロペルフルオロオクタン
酸ナトリウム、ω−ヒドロペルフルオロノナン酸ナトリ
ウム、ω−クロロペルフルオロヘプタン酸ナトリウム、
ω−クロロペルフルオロオクタン酸ナトリウム、ω−ク
ロロペルフルオロノナン酸ナトリウム等、CF3CF2
2OCF(CF3)COONa、CF3CF2CF2OC
F(CF3)CF2OCF(CF3)COONa、CF3
2CF2O[CF(CF3)CF2O]2CF(CF3)C
OONa、CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF
2O]3CF(CF3)COONa、CF3CF2CF2CF
2CF2OCF(CF3)COONa等、ペルフルオロヘ
キサンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロヘプタンス
ルホン酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸
ナトリウム、ペルフルオロノナンスルホン酸ナトリウ
ム、ペルフルオロデカンスルホン酸ナトリウム等、が挙
げられる。
【0019】カリウム塩の具体例としては、ペルフルオ
ロペンタン酸カリウム、ペルフルオロヘキサン酸カリウ
ム、ペルフルオロヘプタン酸カリウム、ペルフルオロオ
クタン酸カリウム、ペルフルオロノナン酸カリウム、ペ
ルフルオロデカン酸カリウム、ペルフルオロドデカン酸
カリウム、ω−ヒドロペルフルオロヘプタン酸カリウ
ム、ω−ヒドロペルフルオロオクタン酸カリウム、ω−
ヒドロペルフルオロノナン酸カリウム、ω−クロロペル
フルオロヘプタン酸カリウム、ω−クロロペルフルオロ
オクタン酸カリウム、ω−クロロペルフルオロノナン酸
カリウム等、CF3CF2CF2OCF(CF3)COO
K、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(C
3)COOK、CF3CF2CF2O[CF(CF3)C
2O]2CF(CF3)COOK、CF3CF2CF2
[CF(CF3)CF2O]3CF(CF3)COOK、C
3CF2CF2CF2CF2OCF(CF3)COOK等、
ペルフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、ペルフルオ
ロヘプタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロオクタン
スルホン酸カリウム、ペルフルオロノナンスルホン酸カ
リウム、ペルフルオロデカンスルホン酸カリウム等、が
挙げられる。
【0020】本発明におけるフッ素含有乳化剤として
は、特に、炭素原子数6〜12のペルフオロアルカン酸
のアンモニウム塩が好ましく、ペルフルオロヘプタン酸
アンモニウム、APFO、ペルフルオロノナン酸アンモ
ニウムまたはペルフルオロデカン酸アンモニウムがより
好ましく、APFOが最も好ましい。
【0021】本発明において、前記含フッ素ポリマーの
重合後の排水とは、フッ素含有乳化剤を含む水性媒体中
で少なくとも1種の含フッ素モノマーを重合させて得ら
れる含フッ素ポリマーを分離した後の排水であり、通常
は乳化重合後の含フッ素ポリマーの凝集排水が好まし
く、含フッ素モノマーの(共)重合体または含フッ素モ
ノマーと含フッ素モノマー以外のモノマーとの共重合体
の製造工程からの凝集排水が特に好ましい。具体的に、
前記製造工程からの凝集排水とは、含フッ素モノマーま
たは含フッ素モノマーと含フッ素モノマー以外のモノマ
ーとを、フッ素含有乳化剤を含む水性媒体中で乳化重合
または水性分散重合して得られた含フッ素ポリマー水分
散液から、含フッ素ポリマーを塩析等で凝集して、含フ
ッ素ポリマーを分離除去した後の排水をいう。該排水に
は、含フッ素モノマーの重合時に使用されたフッ素含有
乳化剤が含有されるほか、未凝集の含フッ素ポリマーな
どのSS成分も含まれる。以下、該凝集排水を典型例と
して説明する。
【0022】含フッ素モノマーとしては、四フッ化エチ
レン(以下、TFEという。)、CF2=CFCl、C
FH=CF2、CFH=CH2、フッ化ビニリデン(以
下、VdFという。)等のフルオロエチレン、ヘキサフ
ルオロプロピレン(以下、HEPという。)、CF2
CHCF3等のフルオロプロピレン、CF2=CFOCF
3、CF2=CFO(CF22CF3(以下、PPVEと
いう。)、CF2=CFO(CF24CF3等の炭素原子
数3〜10のペルフルオロビニルエーテル、CH2=C
H(CF23CF3等の炭素原子数4〜10の(ペルフ
ルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。これらの含
フッ素モノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を
併用してもよい。このうち、TFEを含むものが好まし
く、TFE単独およびTFE/プロピレンが特に好まし
い。
【0023】含フッ素モノマー以外のモノマーとして
は、酢酸ビニル等のビニルエステル、エチルビニルエー
テル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル、ノルボルネン、
ノルボナジエン等の環状構造を有する単量体、メチルア
リルエーテル等のアリルエーテル、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン等のオレフィン等が挙げられる。含フ
ッ素モノマーの以外のモノマーは、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0024】本発明において、含フッ素ポリマーとして
は、PTFE、TFE/プロピレン共重合体(以下、T
FE/P共重合体という。)、TFE/プロピレン/V
dF共重合体(以下、TFE/P/VdF共重合体とい
う。)、TFE/HFP共重合体、TFE/PPVE共
重合体、TFE/エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリ
デン等が挙げられる。より好ましくは、PTFE、TF
E/P共重合体、TFE/P/VdF共重合体またはT
FE/PPVE共重合体であり、最も好ましくは、PT
FEである。
【0025】本発明において、含フッ素ポリマーの凝集
排水の調整は次のように行われる。すなわち、凝集排水
がアルカリ性の場合はあらかじめ塩酸および/または硫
酸および/または硝酸を用いて該排水のpHの調整を行
い、また、凝集排水が酸性の場合は水酸化カリウムおよ
び/または水酸化ナトリウムを用いて該凝集排水のpH
を、前記複水酸化物形成時のpHと同様の値に調整す
る。すなわち、複水酸化物の金属イオンとして、アルミ
ニウムイオンと亜鉛イオンを用いる場合は6以上8以
下、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを用いる
場合は9以上11以下に調整する。pHが上記の範囲を
外れるとアルミニウムイオンと亜鉛イオン、またはアル
ミニウムイオンとマグネシウムイオンがそれぞれ独立し
て水酸化物を形成し、水酸化アルミニウム、水酸化亜
鉛、水酸化マグネシウムを形成するため、層状複水酸化
物を形成しにくくなり、結果としてフッ素含有乳化剤の
回収効率が低下し易くなる。
【0026】本発明において、回収目的物であるフッ素
含有乳化剤の濃度は1質量ppm以上10質量%以下で
あり、10質量ppm以上5質量%以下が好ましく、3
0質量ppm以上1質量%以下がより好ましい。該フッ
素含有乳化剤濃度が上記下限濃度より低いと、回収液中
でのアニオンを含む層状複水酸化物のイオン交換による
該フッ素含有乳化剤の捕捉効率が低下し易くなる。また
上記上限より高濃度の場合はpHを変化させることによ
り該フッ素含有乳化剤を析出させるなど、より簡便で効
率的な方法を用いることができる。
【0027】凝集排水中に含まれる未凝集の含フッ素ポ
リマー微粒子等の浮遊固形分もしくは浮遊固形分になり
うる物質(以下、これらを総称してSS成分という。)
はフッ素含有乳化剤の回収および回収率に悪影響は及ぼ
さないものの、アニオンを含む層状複水酸化物を凝集排
水に添加して生成したフッ素含有乳化剤を含む層状複水
酸化物から該フッ素含有乳化剤を再生する際の妨げにな
る可能性があるため、フッ素含有乳化剤を含む層状複水
酸化物生成前に1質量%以下、好ましくは0.3質量%
以下、とりわけ0.05質量%以下まで除去しておくこ
とが好ましい。なお、浮遊固形分になりうる物質として
は、含フッ素ポリマーの塩析凝集に使用された金属塩お
よび/または該凝集排水のpHの変化によって析出する
物質および/または該凝集排水の温度低下もしくは温度
上昇によって析出する物質などが挙げられる。以下、S
S成分を典型例として説明する。未凝集ポリマーの除去
方法としては多価金属カチオンを含有する金属塩によ
る、塩析が効果的である。具体的には塩化アルミニウ
ム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が
挙げられる。凝集物はAPFOが含有された状態で沈殿
することがあるため、水酸化ナトリウムおよび/または
水酸化カリウムを添加してpHを7以上に調整すること
により、APFOを凝集物から水中に再溶解させること
が好ましい。
【0028】本発明において、凝集排水に前記金属塩化
物を添加して凝集させたSS成分の凝集物を除去する方
法としては、一般的な固液分離方法が採用でき、特に、
ろ過、デカンテーション、遠心分離およびシックナーか
らなる群より選ばれる1種以上の方法を用いることがよ
り好ましい。ろ過は、加圧下に実施することも好まし
い。凝集物を含む排水を静置し、凝集物を沈降させて、
上澄み液をろ過することにより凝集物を除去することが
好ましい。また、設備メンテナンスの容易さ等の点か
ら、シックナーまたはスクリューデカンターが最も好ま
しい。
【0029】アニオンを含む該層状複水酸化物の該含フ
ッ素ポリマーの凝集排水に対する添加量は、アニオンを
含む該層状複水酸化物の3価イオンが該フッ素含有乳化
剤に対して1モル倍以上10モル倍以下、かつ2価イオ
ンが該フッ素含有乳化剤に対して1モル倍以上20モル
倍以下が好ましい。アニオンを含む該層状複水酸化物の
添加量が前記より少ないと該フッ素含有乳化剤の回収率
が不充分であり、前記より多いと得られた該フッ素含有
乳化剤の該層状複水酸化物に対する比率が小さくなりす
ぎるため、最終的な該フッ素含有乳化剤の再生効率が低
下し易い。また、該層状複水酸化物の過剰使用は、含有
する金属成分のため、最終的な排水処理過程の負荷が増
大する面からも好ましくない。
【0030】本発明において、アニオンを含む該層状複
水酸化物を生成する反応において、アニオンを含む水に
対して該金属イオン水溶液を添加する際および、該フッ
素含有乳化剤を含有する該含フッ素ポリマーの凝集排水
にアニオンを含む該層状複水酸化物を添加する際には、
該フッ素含有乳化剤含有凝集排水を撹拌することが好ま
しい。撹拌方法としては、特に限定されないが、撹拌に
よって生成した凝集物粒子を機械的に破壊しないものが
好ましい。かかる撹拌装置の撹拌翼としては、低速回転
で凝集排水全体を均一に混合できる撹拌翼が好ましく、
フルゾーン翼、マックスブレンド翼またはアンカー翼か
らなる群より選ばれる1種が好ましい。該撹拌翼におけ
る攪拌時のG値は、1〜300が好ましく、5〜250
がより好ましく、10〜200が最も好ましい。ここ
で、G値とは以下の式によって導かれる値をいう。
【0031】
【数1】
【0032】ここでPは攪拌動力(W)、Vは液容積
(m3)、ηは液粘性係数(Pa・S)、gcは換算係数
(kgm/kg秒3)をあらわす。
【0033】アニオンを含む該層状複水酸化物添加中は
該含フッ素ポリマー凝集排水内に存在する炭酸イオンお
よび/または炭酸ガスを除去するため、窒素ガスやアル
ゴンガスなどの不活性ガスでバブリング、もしくは不活
性ガスで炭酸イオンおよび/または炭酸ガスを追い出し
た後、反応容器を密閉するのが好ましい。これは層状複
水酸化物が炭酸イオンと反応し、炭酸イオンと該層状複
水酸化物の結合力が高いために、該フッ素含有乳化剤の
回収の妨げになるためである。バブリングを実施する場
合の不活性ガスの流量は0.1Nm3/m3・h〜10N
3/m3・hが好ましく、0.1Nm3/m3・h〜5N
3/m3・hがより好ましい。ガス流量がこれより少な
いと系内の炭酸イオンおよび/または炭酸ガスの除去が
十分行われず、これ以上の流量だと、気化熱によって水
溶液の温度が低下し易く、好ましくない。
【0034】このようにして凝集排水中において、フッ
素含有乳化剤を層間に含む層状複水酸化物が生成するの
で、生成した層状複水酸化物を凝集排水から分離するこ
とにより、フッ素含有乳化剤を回収することができる。
層状複水酸化物を凝集排水から分離する方法としては、
周知の固液分離方法を適宜用いることができ、特に、ろ
過、デカンテーション、遠心分離およびシックナーから
なる群より選ばれる1種以上の方法を用いることがより
好ましい。ろ過は、加圧下に実施することも好ましい。
層間にフッ素含有乳化剤を含む層状複水酸化物からのフ
ッ素含有乳化剤の回収は、例えば、この層状複水酸化物
を鉱酸に溶解し、含フッ素炭化水素を用いてフッ素含有
乳化剤を抽出する方法を採用できる。層状複水酸化物の
溶解に用いる鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸が挙げら
れる。フッ素含有乳化剤の抽出に用いる含フッ素炭化水
素としては、炭素原子数が2または3個であり、1個以
上の水素原子および1個以上のフッ素原子を含むものが
好ましく、トリフルオロジクロルエタン、フルオロジク
ロルエタン、ペンタフルオロプロパン、ペンタフルオロ
ジクロルプロパン等を例示できる。
【0035】本発明のフッ素含有乳化剤の回収法は、前
記フッ素含有乳化剤だけでなく、トリフルオロ酢酸、ペ
ンタフルオロプロパン酸等の低分子量含フッ素カルボン
酸および/またはその塩、トリフルオロメタンスルホン
酸および/またはその塩等にも適用できる。
【0036】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。なお、APF
O、ペルフルオロオクタン酸(以下、PFOAとい
う。)またはペルフルオロオクタン酸ナトリウムの濃度
は、メタノールとジブチルアミン酢酸塩1質量%水溶液
の混合溶液を溶媒とした高速液体クロマトグフィー−マ
ススペクトル法を用いて測定した。この方法で検出され
る種はペルフルオロオクタノエート(C715COO-
である。
【0037】[排水中のSS成分の測定(単位:質量
%)]PTFEの水性分散液からPTFEを凝集・分離
した後の凝集排水の10gをハロゲン式水分測定器HR
−73(商品名、メトラートレド社製)に入れ、200
℃で質量が一定になるまで乾燥させた後の蒸発残分をS
S成分とした。
【0038】[実施例1]内容積500mLのガラス製
ビーカーにイオン交換水100mLを入れ、0.2N水
酸化ナトリウム水溶液でpHを10.0に調整した。そ
こに炭酸ナトリウム0.364g(3.44mmol)
を溶解させた。この希薄炭酸ナトリウム水溶液に塩化ア
ルミニウムと塩化マグネシウムの混合水溶液[Al3+
オン濃度0.075mol/L、Mg2+イオン0.15
mol/L]約22.9mL[Al 3+イオン総量1.7
2mmol、Mg2+イオン総量3.43mmol]を2
時間かけて滴下した。該混合水溶液滴下中は、窒素ガス
を1Nm3/m3/hの一定流量で希薄炭酸ナトリウム水
溶液をバブリングし、水溶液中の溶存炭酸イオンおよび
炭酸ガスを除去した。滴下中はアンカー翼を用いてG値
が100になるように攪拌を続けた。滴下の間0.2N
水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下してpHを9.8以
上10.2以下に調整した。塩化アルミニウムと塩化マ
グネシウムの混合水溶液の滴下直後から白色沈殿を生成
し始めた。この混合水溶液の滴下開始後2時間で沈殿の
生成は終了した。攪拌を停止すると生成した沈殿はゆっ
くりと沈降した。この沈殿をデカンテーションで回収し
た。以上の操作は全て室温下(25℃)で行った。
【0039】内容積2Lのビーカー中で水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加して、pHを10.0に調整したPTF
Eの乳化重合後の凝集排水1L(SS成分2300pp
m、APFO濃度148ppm)に、この炭酸イオンを
含む層状複水酸化物を30分かけて添加した(凝集排水
中に含まれるフッ素含有乳化剤量に対し、炭酸イオンを
含む層状複水酸化物中のアルミニウムイオンは5.0倍
モル以下に相当する)。添加中はビーカー底部から窒素
バブリングを行い、アンカー翼を用いてG値が100に
なるように攪拌を続けた。添加終了後6時間攪拌を続け
た後、攪拌を停止し、沈殿物を3μmのメンブランフィ
ルターで濾取した。以上の操作は2Lビーカーを恒温槽
に浸し、内温を35℃に調整して行った。この沈殿物を
濾紙ごと70℃で15時間乾燥した。沈殿物の乾燥重量
は3.89gであった。乾燥した沈殿物を示差熱重量分
析(DTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、XRDで
分析したところ、PTFEに帰属する弱いピークと、層
状複水酸化物に帰属するピーク、さらにPFOAに帰属
する弱いピークが検出された。このことから、この沈殿
物は微量のPTFEとPFOAが層状複水酸化物と共に
沈殿したものであることが確認された。上澄液を分析し
たところAPFOの濃度は86ppmであり、従って、
層状複水酸化物に含まれるPFOAの固定率は40.7
%であった。
【0040】[実施例2]実施例1に記載と同様の方法
で生成した炭酸イオンを含む層状複水酸化物をPTFE
の乳化重合後の凝集排水500mL(SS成分2300
ppm、APFO濃度148ppm)に30分かけて添
加した(凝集排水中に含まれるフッ素含有乳化剤量に対
し、層状複水酸化物中のアルミニウムイオンは9.9倍
モル以下に相当する)以外は全く同じ方法で操作を行っ
た結果、得られた濾液を分析したところAPFOの濃度
は51ppmであり、従って、この沈殿に含まれるPF
OAの固定率は64.8%であった。
【0041】[実施例3]イオン交換水を用いて塩化ナ
トリウム飽和水溶液を100mL調製した。内容積50
0mLのガラス製ビーカーに前記塩化ナトリウム飽和水
溶液100mLを入れ、水酸化ナトリウム水溶液でpH
を10.0に調整した。この塩化ナトリウム水溶液に塩
化アルミニウムと塩化マグネシウムの混合水溶液[Al
3+イオン濃度0.075mol/L、Mg2+イオン0.
15mol/L]約22.9mL[Al3+イオン総量
1.72mmol、Mg2+イオン総量3.43mmo
l]を2時間かけて滴下した。この滴下の際、ビーカー
底部から窒素バブリングを行って、水溶液中に溶解する
炭酸イオンの除去を行った。滴下の間0.2N水酸化ナ
トリウム水溶液を適宜滴下してpHを9.8以上10.
2以下に調整した。塩化アルミニウムと塩化マグネシウ
ムの混合水溶液の滴下直後から白色沈殿を生成し始め
た。上記操作によって得られた水溶液から、これに含ま
れる白色沈殿をデカンテーションによって回収した。
【0042】この白色沈殿を実施例2に記載と同様の方
法で、PTFEの乳化重合後の凝集排水500mL(S
S成分2300ppm、APFO濃度148ppm)に
30分かけて添加し(凝集排水中に含まれるフッ素含有
乳化剤量に対し、層状複水酸化物中のアルミニウムイオ
ンは9.9倍モル以下に相当する)、添加終了後も6時
間攪拌と窒素バブリングを続行した。これによって得ら
れた水溶液を実施例1に記載の方法でろ過し、実施例1
と同様の分析を行った結果、濾液中のAPFOの濃度は
24.5ppmであり、従って、この沈殿に含まれるP
FOAの固定率は83.1%であった。
【0043】[実施例4]塩化マグネシウムの代わりに
塩化亜鉛を用い、pH7.5で反応を行った以外は実施
例1に記載と同様の操作で炭酸イオンを含む層状複水酸
化物を合成した。この炭酸イオンを含む層状複水酸化物
をPTFEの乳化重合後の凝集排水500mL(SS分
1900ppm、APFO濃度162ppm)に添加し
た。(凝集排水中に含まれるフッ素含有乳化剤量に対
し、層状複水酸化物中のアルミニウムイオンは9.0倍
モル以下に相当する)この結果、得られた濾液を分析し
たところ、濾液中のAPFOの濃度は37ppmであ
り、従って、この沈殿に含まれるPFOAの固定率は7
7.2%であった。
【0044】[実施例5]PTFE乳化重合後の凝集排
水の代わりにTFE/P共重合体の乳化重合後の凝集排
水200mL(SS分1400ppm、APFO濃度7
12ppm)を用いた以外は実施例1に記載と同様の方
法で操作を行った。(凝集排水中に含まれるフッ素含有
乳化剤量に対し、層状複水酸化物中のアルミニウムイオ
ンは5.2倍モル以下に相当する)この結果、得られた
濾液を分析したところ、濾液中のAPFOの濃度は12
1ppmであり、従って、この沈殿に含まれるPFOA
の固定率は83.0%であった。
【0045】[実施例6]PTFEの乳化重合後の凝集
排水520mL(SS成分2200ppm)に塩化アル
ミニウム水溶液(1.64mol/L)を0.8g添加
して生成した沈殿物を3μmのメンブランフィルターで
除去した結果、得られた排水のSS分は230ppm、
APFO濃度145ppmであった。これに1N水酸化
ナトリウム水溶液を添加してpH10.0に調整した。
この排水510mLに対し、実施例1と同様の方法で合
成した炭酸イオンを含む層状複水酸化物を32分かけて
添加した(凝集排水中に含まれるフッ素含有乳化剤量に
対し、層状複水酸化物中のアルミニウムイオンは9.9
倍モル以下に相当する)以外は実施例1と同様にしてそ
うさを行い、得られた濾液を分析したところ、濾液中の
APFOの濃度は42ppmであり、従って、この沈殿
に含まれるPFOAの固定率は70.1%であった。
【0046】[比較例1]0.2N水酸化ナトリウム水
溶液を添加して、pHを8.7に調整したPTFEの乳
化重合後の凝集排水3.7L(SS成分2300pp
m、APFO濃度40ppm)に、実施例1に記載と同
様の方法で生成した炭酸イオンを含む層状複水酸化物
を、30分かけて添加した(凝集排水中に含まれるフッ
素含有乳化剤量に対し、炭酸イオンを含む層状複水酸化
物中のアルミニウムイオンは5.0倍モル以下に相当す
る)。以降の操作も実施例1と同様の方法で行った結
果、上澄液を分析したところAPFOの濃度は33.2
ppmであり、従って、層状複水酸化物に含まれるPF
OAの固定率は17.0%であった。
【0047】[比較例2]実施例1で用いた排水の代わ
りにPTFEの乳化重合後の凝集排水21L(SS成分
2300ppm、APFO濃度40ppm)を用いた以
外は、実施例1に記載と同様の操作を行った(凝集排水
中に含まれるフッ素含有乳化剤量に対し、炭酸イオンを
含む層状複水酸化物中のアルミニウムイオンは0.88
倍モル以下に相当する)。この結果、上澄液を分析した
ところAPFOの濃度は39ppmであり、従って、層
状複水酸化物に含まれるPFOAの固定率は3.0%で
あった。
【0048】
【発明の効果】本発明のフッ素含有乳化剤の回収法によ
れば、含フッ素ポリマーの凝集排水から簡便にフッ素含
有乳化剤を回収できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江田 昌隆 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 (72)発明者 舟木 宙 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 (72)発明者 神谷 浩樹 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 (72)発明者 大森 浩太 秋田県秋田市茨島3−1−6 株式会社ジ ェムコ内 (72)発明者 神谷 武志 秋田県秋田市茨島3−1−6 株式会社ジ ェムコ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2価金属イオンと3価金属イオンとが水
    酸化物を形成する範囲のpHの水溶液中で形成させた、
    2価金属イオンと3価金属イオンとからなる金属水酸化
    物層の間にフッ素含有乳化剤以外のアニオンを中間層と
    して持つ層状複水酸化物を用い、フッ素含有乳化剤を含
    む水性媒体中で少なくとも1種の含フッ素モノマーを重
    合させて得られる含フッ素ポリマーを分離した後の、フ
    ッ素含有乳化剤を1質量ppm以上10質量%以下含
    み、浮遊固形分および浮遊固形分になりうる物質の含有
    量が1質量%以下である排水のpHを前記層状複水酸化
    物形成時と同様のpHに調整した後、該フッ素含有乳化
    剤に対して該層状複水酸化物中の3価金属イオンを1倍
    モル以上30倍モル以下になるよう、前記層状複水酸化
    物を該排水に添加することにより、前記排水中の該フッ
    素含有乳化剤を層状複水酸化物の層間に内包させ、該排
    水から該層状複水酸化物を分離し、該フッ素含有乳化剤
    を回収することを特徴とするフッ素含有乳化剤の回収
    法。
  2. 【請求項2】 前記2価金属イオンがマグネシウムイオ
    ンおよび亜鉛イオンから選ばれる1種または2種であ
    り、前記3価金属イオンがアルミニウムイオンである請
    求項1に記載のフッ素含有乳化剤の回収法。
  3. 【請求項3】 フッ素含有乳化剤が、炭素原子数5〜1
    3の、ペルフルオロアルカン酸、ペルフルオロアルカン
    スルホン酸およびこれらの化合物中のフッ素の一部が塩
    素もしくは水素で置換された酸のアルカリ金属塩もしく
    はアンモニウム塩の群から選ばれる1種または2種以上
    および/または、分子中にエーテル性の酸素原子を含有
    するペルフルオロアルカン酸、ペルフルオロアルカンス
    ルホン酸およびこれらの化合物中のフッ素の一部が塩素
    もしくは水素で置換された酸のアルカリ金属塩またはア
    ンモニウム塩の群から選ばれる1種または2種以上であ
    る、請求項1または2に記載のフッ素含有乳化剤の回収
    法。
  4. 【請求項4】 前記フッ素含有乳化剤の濃度が1質量p
    pm以上10質量%以下である、請求項1〜3のいずれ
    かに記載のフッ素含有乳化剤の回収法。
  5. 【請求項5】 前記含フッ素ポリマーの排水が、含フッ
    素ポリマーを構成するモノマーのうち少なくとも1種が
    四フッ化エチレンである、含フッ素ポリマーの乳化重合
    または水性分散重合後の凝集排水である、請求項1〜4
    のいずれかに記載のフッ素含有乳化剤の回収法。
  6. 【請求項6】 前記含フッ素ポリマーが、ポリ四フッ化
    エチレン、四フッ化エチレン/エチレン共重合体、四フ
    ッ化エチレン/プロピレン共重合体、四フッ化エチレン
    /プロピレン/フッ化ビニリデン共重合体、四フッ化エ
    チレン/六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレ
    ン/CF2=CFO(CF22CF3共重合体、ポリフッ
    化ビニリデンから選ばれる1種または2種以上である、
    請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素含有乳化剤の回
    収法。
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