JP2003212681A - 寒冷地型コンポスト製造に適した低温活性微生物およびコンポスト製造法 - Google Patents

寒冷地型コンポスト製造に適した低温活性微生物およびコンポスト製造法

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JP2003212681A
JP2003212681A JP2002014944A JP2002014944A JP2003212681A JP 2003212681 A JP2003212681 A JP 2003212681A JP 2002014944 A JP2002014944 A JP 2002014944A JP 2002014944 A JP2002014944 A JP 2002014944A JP 2003212681 A JP2003212681 A JP 2003212681A
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fermentation
kwo
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Kunio Kobayashi
小林國夫
Masahiko Hatayama
畑山政彦
Shinya Watanabe
渡辺慎也
Makoto Osaki
大崎真
Noriyoshi Sato
佐藤紀義
Fusao Tomita
冨田房男
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Kinjirushi Co Ltd
Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
Original Assignee
Kinjirushi Co Ltd
Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Fertilizers (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】寒冷地の冬季の低温環境において、動植物残渣
や家庭ゴミなどを発酵させ優良なコンポストを製造する
こと。 【解決手段】食品加工残渣、農業残渣、動植物残渣もし
くは家庭ゴミなどを原料として発酵させコンポストを製
造する際に、10℃以下の低温環境であっても請求項の
微生物をコンポスト原料に接種することによって、加熱
など外部エネルギーを要することなく発酵を開始する事
ができ、続いて速やかに高温発酵に遷移し、良好なコン
ポスト製造を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適切な微生物をス
ターターとして接種することによって、寒冷地において
も優良なるコンポストを発酵させる技術に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】気温の低い環境では、コンポストの発酵
は、開始することができないか、発酵が始まっても極め
て遅くなってしまう。そのため冬季のコンポスト製造
は、困難であった。とくに寒冷地の冬季は、凍結してし
まいコンポスト製造は、ほとんど不可能であった。従っ
て寒冷地においては、秋に収穫された農作物の残された
葉や茎などの農業残渣は、冬の間は凍結されており、翌
年の春になってから発酵を開始させるので、その年の肥
料としては、間に合わない。
【0003】今までも、冬季環境でもコンポスト発酵を進め
る方法はあった。すなわち、発酵槽を温水や電気で加熱
して温度を上げて、発酵を進める方法がある。しかし、
加温のためのエネルギーは多大で、売値の安いコンポス
トの製造では、費用がかかりすぎるという欠点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】寒冷地の冬季において
は、コンポストの発酵は、発酵が起こらないか、発酵速
度が極めて緩慢である。解決しようとする問題点は、寒
冷条件においても優良なるコンポストを低コストで製造
することである。より具体的には、高コストとなる熱エ
ネルギーを与えての発酵ではなく、外部エネルギーを必
要としないコンポスト製造方法を構築することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋭意選抜し
た、低温でも生育できる微生物をスターターとして接種
して、低温であってもコンポスト発酵を開始させ、微生
物の生育に伴う発酵熱を利用して、さらに続く発酵を促
進することを最も重要な特徴とするものである。本発明
で選抜し同定した4種類の微生物を混合して接種すると
特に効果的で、短時間の内に発酵温度を65℃以上に上げ
ることが可能となり、コンポスト発酵が可能となった。
【発明の実施の形態】
【0006】本発明のコンポスト製造方法は、低温でも発酵
できる性質を有した微生物を使用するところに特長があ
る。すなわち、低温下でも増殖が可能で、その増殖に伴
って発酵熱を生成し、そのために発酵基質そのものの温
度上昇をうながす。ひとたび温度が上昇したなら、種々
の微生物が続いて増殖して、コンポストの発酵が連続し
て進行して、短時間の間に発酵基質の温度は、65℃以上
に上昇する。発明者らは、鋭意研究を行い、低温下のコ
ンポスト製造に適した下記の4種類の微生物(請求項2
〜5の微生物)を自然界から単離同定した。これらの微
生物は、いずれもコンポスト中から分離したものであ
る。
【0007】「キャンディダ・アストロマリナ (Candida au
stromarina) KWO-A、FREM P-18661」(酵母の一種)、
「ロネラsp. (Rohnella sp.) KWO-B、FREM P-18662」
(細菌の一種)、「シュードモナスsp. (Pseudomonas s
p.) KWO-C、FREMP-18663」(細菌の一種)、「ゲオトリ
クム・カンディダム (Geotricum candidum )KWO-D、FRE
MP-18664」(糸状菌類の一種) 上記の微生物は、それぞれの染色体上にあるリボゾーム
遺伝子の一部の塩基配列(細菌では16SrRNA、酵母およ
び糸状菌類では18SrRNA遺伝子)を決定して、その配列
をデーターベース(BLAST)を用いてホモロジー検索を
おこない、属および種を同定したものである。本発明で
使用する微生物の16Sもしくは18Sリボゾ−ムRNA遺伝子
の塩基配列は、後述の「配列表」に示した。
【0008】本発明において最も重要な10℃以下の低温環境
から最初に温度を上げるのに必要な微生物は、G. candi
dum KWO-D (FREM P-18664)であり、低温域でも活発に増
殖して発酵熱を放出し、コンポスト原料の温度を5℃か
ら15℃程度にまで上げることに寄与している。細菌類で
あるRohnellasp. KWO-B (FREM P-18662)および Pseudom
onas sp. KWO-C (FREM P-18663)は、中温域(15〜30
℃)で活躍している。低温から温度の上昇してきたコン
ポスト原料をさらに発酵させ、基質の分解を進めるとと
もに温度を上げる。とくに後者Pseudomonas sp. KWO-C
は、コンポスト発酵の中温域での停滞時間を短縮する効
果がある。Pseudomonas sp. KWO-Cをスターターとして
加えると、中温域での温度上昇の延滞時間を消滅させ、
コンポスト原料の温度は、次の発酵段階へと速やかに移
行できる。Candida austromarina KWO-A (FREM P-1866
1)は、中温より高い(30〜50℃)環境で活躍する菌で、こ
の微生物をスターターとして接種すると、65℃への達成
時間を短縮できる。これらの微生物をスターターとし
て、コンポスト原料に接種すると、5℃の環境温度であ
っても75時間という短い時間で65℃という高温まで上昇
させることができ、その後は、良好な発酵が維持され、
発酵終了後には良質のコンポストを得ることができる。
【0009】
【実施例】本発明は、食品加工残渣、農業残渣もしく
は、家庭ゴミなどの動植物廃棄物を発酵させコンポスト
にする場合に、請求項の微生物を接種すると、10℃以下
の低温下であっても発酵が順調に進行するというもので
ある。以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
【0010】スターター微生物の拡大培養 本発明では、請求項の微生物のうち1種もしくは、2〜
4種の微生物をスターターとしてコンポスト原料に接種
する。そのためのスターターの培養を行った。10L容の
ジャーファーメンターを使用し、通気量毎分6L、回転数
350rpmでYG変法培地(1Lあたりの組成:酵母エキス5
g、グルコース20g、リン酸1カリウム0.3g、リン酸2
カリウム0.2g、硫酸マグネシウム5水和物0.2g、pH6.
8)を用いた。培養温度は、C. austromarina KWO-A(FRE
M P-18661)は、30℃で、Rohnellasp. KWO-B(FREM P-18
662)およびPseudomonassp. KWO-C (FREM P-18663)は、
25℃で、G.candidum KWO-D (FREM P-18664)は、15℃で
行った。増殖が、終了した後に培養液を直接コンポスト
原料に散布して、発酵を開始した。また、菌体を保存し
ておくためには、培養液を遠心分離して、それぞれの菌
体を集め、体積の10%にあたるグリセロールを添加した
後、小分けし-80℃で保存し、要時に解凍してコンポス
ト発酵に用いた。
【0011】
【実施例1】請求項2〜5の4種類の微生物の役割を明
らかにするために、スターター微生物を種々の組み合わ
せで混合して、コンポスト製造を行った。コンポスト原
料として西洋わさび残渣および種子圧搾残渣を5:3に混
合して、容量合計10Lで実施した。それぞれの組成は、
表1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】発酵条件は、室温5℃として、コンポスト原料
へ5℃の空気を毎分0.5L通気し、好気的条件を保った。
スターター微生物として請求項2〜5の4種の微生物を
それぞれ単独で接種して、各微生物の能力を調べた。摂
種菌数は、それぞれ100億個から500億個の範囲で接種し
た。その結果、G. candidum KWO-D接種区においての
み、初期の温度上昇(5から15℃まで)時間が短縮さ
れたが、その他3種においては遅延した。一方、45℃
付近に見られる温度上昇が停滞する期間では、G.candid
um KWO-D接種区では顕著な遅延が起こった(図1)。
【0014】組み合わせ接種試験(その1)。 請求項2〜5の4種の微生物の組み合わせを変えた接種
試験を行った。先に明らかになった低温域で温度上昇を
促進するG. candidum KWO-Dとその他の3種の微生物を
組み合せて接種する発酵を行った。接種量は、それぞれ
100億個から500億個の範囲で接種した。その結果、G. c
andidum KWO-Dに加えてRohnella sp. KWO-Bもしくは、P
seudomonassp. KWO-Cを接種した場合には、45℃付近
の温度上昇の停滞期間は顕著に遅延した(図2)。
【0015】組み合わせ接種試験(その2)。 また、G. candidum KWO-Dを除いたその他の3種の組み
合わせ接種試験を行った。接種量は、それぞれ100億個
から500億個の範囲で接種した。その結果、C. austroma
rina KWO-AとRohnellasp. KWO-Bの組み合わせ区、次
に、Rohnella sp. KWO-BとPseudomonas sp. KWO-Cの組
み合わせ区、その次にC. austromarina KWO-AとPseudom
onassp. KWO-Cの組み合わせ区の順に温度上昇時間は短
縮された(図3)。
【0016】組み合わせ接種試験(その1)。3種の微生物
を組み合わせ。 実施区1では、C. austromarina KWO-A (FREM P-1866
1)、Rohnellasp. KWO-B(FREM P-18662)およびG.candid
um KWO-D (FREM P-18664)を接種した。実施区2において
は、C. austromarina KWO-A (FREM P-18661)、Pseudomo
nas sp. KWO-C (FREM P-18663) およびG.candidum KWO
-D (FREM P-18664) を接種した。実施区3では、Rohnel
lasp. KWO-B(FREM P-18662)、Pseudomonas sp. KWO-C(F
REM P-18663) およびG. candidum KWO-D (FREMP-18664)
を接種した。そして、実施区4では、4種の微生物をす
べて接種した。接種量は、それぞれ100億個から500億個
の範囲で接種した。請求項2〜5の微生物のうち3種の
組み合わせ接種試験では、最も温度上昇時間が短縮され
たのは、実施区1であり、次に実施区2、そして実施区3
の順に温度上昇時間が短縮された(図4)。
【0017】この結果から、C. austromarina KWO-A (FREM
P-18661)を接種した実施区では、45℃付近の温度上昇の
延滞がおきにくいことが判る。また、Rohnella sp. KWO
-B (FREM P-18662)およびPseudomonassp. KWO-C (FREM
P-18663)の接種区に、加えてG. candidum KWO-D (FREM
P-18664)を接種した実施区では、温度上昇が遅くなっ
た。請求項の4種の微生物すべてを接種した実施区で
は、コンポスト原料の品温は速やかに上昇し、発酵開始
から約70時間で65℃を超え、発酵は順調に進行した。
【0018】単独接種および組み合わせ接種試験の結果か
ら、請求項2〜5の4種の微生物のコンポスト発酵過程
における働きは、コンポスト原料の品温が、温度5〜1
5℃はG. candidum KWO-D、15〜40℃は、Rohnella
sp. KWO-BおよびPseudomonas sp. KWO-CR1、そして品
温40℃以上では、C. austromarinaの働きが重要であ
ることがわかった。
【0019】本発明の発酵で得たコンポストの組成 請求項2〜5の4種の微生物すべてを混合接種して発酵
さてできたコンポストの組成は、pH7.1、ECmS/cm 6.
4、水分 22.3%、全炭素 10.3%、全窒素 1.6%、CN比
8.3、全リン酸 1.7%、全カリウム 0.6%((財)日
本肥料検定協会による分析値)となり、優良なコンポス
トを得た。本発明の微生物を適切に組み合せて接種すれ
ば、コンポストの高温発酵に入るまでの時間を大幅に短
縮することができるものだ。
【0020】
【実施例2】パイロットスケールでのコンポスト発酵を
行った。中スケールの発酵槽(底がメッシュの縦1.5m、
横1.5m、深さ1.2mの箱形)を用いて、気温マイナス5℃
の環境で、コンポスト発酵試験を行った。この試験の初
期においては、通気は行わなかった。請求項2〜5の4
種の微生物すべてを混合して接種したところ、80時間
で槽内部の温度は、30〜40℃にまで上昇した。その
後、下方から通気すると共に撹拌を行い、コンポスト発
酵を続けた。温度は、やがて70℃近くに達して、発酵
性有機物は、消費されていった。発酵が、終了し完成し
たコンポストを分析すると、全窒素量2%、全リン酸量
1.76%、全カリウム量0.68%、CN比6.54となり、やや
カリウムが少ないが、良好なコンポストであった。
【0021】できあがったコンポストを用いて、長芋を栽培
した。実験構成は、対照区としてオーガニック栽培など
でしばしば用いられる、牛厩肥(10アールあたり3ト
ン)+化成肥料とし、コンポスト施肥区として2つ、す
なわち5トン/10a区および3トン/10a区で栽培
し、収量、成分などの比較調査を行った。本発明で発酵
させたコンポスト施肥区では、対照区との比較では窒素
量が少ないため収量的には劣った。しかし、コンポスト
施肥区では、品質が良く食味も優れた原料が収穫された
(表2)。
【0022】
【表2】
【0023】
【実施例3】連続大容量でのコンポスト製造を行った。
農産物残渣を1日あたり4トンずつ連続して発酵させる大
型発酵施設でコンポスト製造を行った。連続発酵装置
は、下方から空気(平均気温5℃)を通風し、上方で
は、幅3mのコンベアーを用いて、発酵中のコンポスト
原料を持ち上げ撹拌する仕組みとした。全体は、半地下
式となっており、周囲の気温が下がっても、発酵基質か
らの熱の損失を減らす仕組みとなっている。
【0024】西洋わさび残渣と種子圧搾残渣 (5:3で合計4
トン)を発酵基質とした。まず、前処理として、これら
の基質に対して、予め培養した請求項の4種の微生物を
接種した。それぞれの接種量は、C. austromarina KWO-
A、Rohnellasp. KWO-B、Pseudomonassp. KWO-CおよびG.
candidum KWO-Dを前培養液の重量比で12:3:4:1
として、コンポスト原料に対しての接種量は0.5%と
して発酵を行った。接種後、連続発酵式コンポスト化プ
ラントへ移して発酵を開始した。7〜8日間の発酵を行
った後、発酵物を4週間堆積しておいた後に分析した。
コンポスト組成は、全窒素量:2.00%、全リン酸量:1.
76%、全カリウム量:0.68%、全炭素:13.08%であ
り、優良なコンポストを得た。
【0025】コンポストを用いた馬鈴薯の栽培試験 北海道小清水地区に置いて男爵馬鈴薯の栽培試験を行っ
た。1区13.7平方メートルとして、2反復の栽培試験を
行った。実施区としては、対照区としてコンポストを使
用しない区と上記コンポストを10アールあたり3トンお
よび5トンの施肥量(試験区)で行った。その結果、収
量は、コンポスト施肥区で多かった(表3)。
【0026】
【表3】
【0027】馬鈴薯の成分分析値を比較するとコンポスト施
肥の効果が明らかとなった。遊離アミノ酸組成をみる
と、対照区に対し、コンポスト施用区においてアミノ酸
が多い。旨味成分であるグルタミン酸が特に多い(表
4)。還元糖は対照区が多く、コンポスト施肥5トン区
が少ないが、Brixをみると5トン区が最も多い。B
rixを高めている物質は、おそらくショ糖と推測さ
れ、甘味はBrixが高いほど甘いと言われている。馬
鈴薯においては、還元糖量はショ糖に対して極めて少な
いと思われ、甘さはBrixで判断するほうが適当であ
る。コンポスト施肥区ではデンプン含量が多かった。ビ
タミンC含量には、大きな差はなかった。
【0028】
【表4】
【0029】官能評価:収穫した馬鈴薯を蒸煮して蒸かし芋
にし、18名のパネラーを用いて官能試験を行った。その
結果、本発明を用いて製造したコンポストを施肥した畑
で収穫された馬鈴薯は「おいしい」という、明確な結果
を得た(表5)。
【0030】
【表5】
【0031】キャベツの栽培試験を行った。北海道網走市で
実施し、コンポスト施肥区(10アールあたり3トンと
5トン区)を対照区と比較した。栽培されたキャベツ
は、ジャガイモ同様に初期生育が良好で、青果基準の大
きさになるまでの栽培期間が、数日早まった。収量もコ
ンポスト施肥区では、5%から10%多かった(表
6)。キャベツの分析の結果、コンポスト施肥区では、
Brix値が、1〜2程度高かった。さらに、官能評価
(24名)を行い、キャベツを生で食べて美味しいもの
を選でもたった結果、コンポスト施肥5トン区/10a
を選んだのが18名、コンポスト施肥3トン区/10a
区を選択したのが、4名、そして対照区(慣行栽培)
が、2名となり、コンポスト施肥効果は明瞭であった。
【0032】
【表6】
【0033】
【実施例4】デンプン粕を原料としたコンポストの製造
を行った。デンプン粕は、水分含量が70〜80%と高いの
が特徴で、このままでは、コンポスト発酵に適していな
い。そこで、底面が、網になっているプレ発酵槽を使用
し、デンプン粕と共に籾殻や麦の茎(ばっかん)あるい
は、大豆枝豆の外側を混合して、請求項2〜5の4種微
生物を混合して接種して、脱水と発酵を同時に行い、水
分含量65%にまで減少させた。その後、通気と撹拌ので
きる発酵槽に移動して、コンポスト発酵を行った。コン
ポスト発酵過程は、実施例3の経過とほとんど変わら
ず、順調に品温は上昇し、やがて70℃となってコンポ
スト化が進行した。
【0034】
【実施例5】麦、トウモロコシおよびわさびなどの農業
残渣によるコンポスト製造 農業作物の収穫の後には、麦の茎や葉、トウモロコシの
芯や葉、わさびの葉や不要な根が、農業残渣として残
る。これを冬期間に効率的にコンポスト化できれば、リ
サイクルできる意義は大きい。本発明の微生物スタータ
ーが、これらの農業残渣についても有効であることを次
に示す。
【0035】発酵試験は、容量10Lの発酵槽を用いた。成分
の配合は、各々の農業残渣3.50キロgを用い、さらに窒
素成分を増加させるために種子圧搾残渣2.40キロgも合
わせて用いた。発酵にあたっては、水分を約60〜70%に
調整した。そのためトウモロコシ試験区では、水を1.10
キロgを添加した。同様に麦試験区では、1.65キロgを
添加した。わさび残渣試験区では、添加を行わなくとも
72%であった。スターター微生物は、-85℃で冷凍保存し
てある本発明の請求項2〜5の微生物を解凍して、各農
業残渣発酵槽に接種した。通気は、5℃の空気を毎分0.
6リットルの流量で供給した。
【0036】5℃の環境下でも発酵の温度経過は順調で、品
温は速やかに上昇し、発酵4日後には、65℃に達し
た。しかし、上昇の程度には若干の差があり、わさび農
業残渣が最も速く、ついで麦、そしてトウモロコシ農業
残渣の順であった(図5)。発酵は、順調に終了した。
発酵によって元の水分及び炭素成分が空中に放出される
ため重量の減少が生ずる。それぞれの発酵後の重量は、
トウモロコシ農業残渣においては、総重量の91.6%に減
少していた。麦農業残渣では88.5%に、わさび農業残渣
では87.7%になっていた。できあがったいずれのコンポ
ストも優良なコンポストであった。
【0037】
【発明の効果】本発明を用いれば、北海道の冬のような
低温下の条件においてもコンポスト発酵を行うことが可
能で、その際にエネルギー消費につながる加熱などを必
要としないので、より低コストでコンポスト製造が可能
になった。しかも、できあがったコンポストを用いると
作物の収量が増え、品質も向上した。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】コンポスト製造において、請求項の微生物を単
独で接種して発酵させた際のコンポスト原料の温度変化
の図である。(実施例1)
【符号の説明】
−◆−:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661(請求
項1の微生物) −△−:Rohnella sp. KWO-B、FREM P-18662(請求項
2の微生物) ―○―:Pseudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663(請求
項3の微生物) ―●―:G. candidum KWO-D、FREM P-18664(請求項4
の微生物) ―――:室温
【図2】コンポスト製造において、請求項の微生物のう
ち2種類を混合して接種して発酵させた際の温度変化の
図である。(実施例1)
【符号の説明】
−□−:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661に加え
てG. candidum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試
験区。 −◆−:Rohnella sp. KWO-B、FREM P-18662に加えて
G. candidum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試験
区。 −△−:Pseudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663に加え
てG. candidum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試
験区。 −○−:4種(請求項2〜5の微生物)混合接種した試
験区。 ―――:室温
【図3】コンポスト製造において、請求項の微生物のう
ち2種類を混合して接種して発酵させた際の温度変化の
図である。(実施例1)
【符号の説明】
―△―:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661に加え
てRohnella sp. KWO-B、FREM P-18662を混合接種した
試験区。 ―◆―:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661に加え
てPseudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663を混合接種し
た試験区。 ―□―:Rohnella sp. KWO-B、FREM P-18662に加えてP
seudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663を混合接種した
試験区。 ―○―:4種(請求項2〜5の微生物)混合接種した試
験区。 ―――:室温
【図4】コンポスト製造に置いて、請求項の微生物のう
ち3種類を混合して接種して発酵させた際の温度変化の
図である。(実施例1)
【符号の説明】
―△―:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661に加え
てRohnella sp. KWO-B、FREM P-18662あわせてG. candidum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試験
区。 ―●―:C. austromarina KWO-A、FREM P-18661に加え
てPseudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663あわせてG. candidum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試験
区。 ―□―:Rohnella sp. KWO-B、FREM P-18662に加えてP
seudomonas sp. KWO-C、FREM P-18663あわせてG. cand
idum KWO-D、FREM P-18664を混合接種した試験区。 ―○―:4種(請求項2〜5の微生物)混合接種した試
験区。 ―――:室温
【図5】コンポスト製造に置いて、請求項2〜5の4種
の微生物を混合して接種して各種農業加工廃棄物を発酵
させた際の温度変化の図である。(実施例5)
【符号の説明】
―□―:トウモロコシ加工廃棄物をコンポスト原料とし
た場合 ―△―:麦(ばっかく)をコンポスト原料とした場合 ―○―:わさび加工廃棄物をコンポスト原料とした場合 ―――:室温
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:72) C12R 1:38 (C12N 1/14 1:01 C12R 1:645) B09B 3/00 ZABD (C12N 1/20 C12R 1:38) (C12N 1/20 C12R 1:01) (72)発明者 小林國夫 名古屋市中川区八幡本通2丁目61番地 金 印わさび株式会社内 (72)発明者 畑山政彦 名古屋市中川区八幡本通2丁目61番地 金 印わさび株式会社内 (72)発明者 渡辺慎也 名古屋市中川区八幡本通2丁目61番地 金 印わさび株式会社内 (72)発明者 大崎真 名古屋市中川区八幡本通2丁目61番地 金 印わさび株式会社内 (72)発明者 佐藤紀義 名古屋市中川区八幡本通2丁目61番地 金 印わさび株式会社内 (72)発明者 冨田房男 札幌市西区発寒4条5丁目7−8 Fターム(参考) 4B065 AA01X AA41X AA57X AA73X BA22 CA55 4D004 AA03 AA04 AC04 BA04 CA19 CB06 CC07 DA03 DA06 4H061 AA02 CC41 CC55 EE66 GG49 KK02 LL02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】10℃以下の低温環境でコンポストを生産す
    る方法において、生活ゴミや動植物残渣に、単独もしく
    は複数のスターター微生物を接種して、増殖させ、その
    発酵熱を利用して温度を迅速に40℃以上に上昇させてコ
    ンポスト発酵を開始し、その後に続く発酵も接種したス
    ターター微生物によって続行させ、最終的には65℃以上
    の温度に上昇させてコンポスト発酵を遂行させる発酵方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1の発酵方法において、「キャンディ
    ダ・アストロマリナ(Candida austromarina) KWO-A、FR
    EM P-18661」(酵母の一種)をスターター微生物とし
    て接種することを特長とするコンポスト製造方法および
    コンポスト製造用のスターター微生物。
  3. 【請求項3】請求項1の発酵方法において、「ロネラ s
    p. (Rohnellasp.) KWO-B、FREM P-18662」(細菌の一
    種)をスターター微生物として接種するコンポスト製造
    方法およびコンポスト製造用のスターター微生物。
  4. 【請求項4】請求項1の発酵法において、「シュードモ
    ナス sp.(Pseudomonassp.) KWO-C、FREM P-18663」
    (細菌の一種)をスターター微生物として接種するコン
    ポスト製造方法およびコンポスト製造用のスターター微
    生物。
  5. 【請求項5】請求項1の発酵方法において、「ゲオトリ
    クム・カンディダム(Geotricum candidum )KWO-D、FREM
    P-18664」(糸状菌類の一種)をスターターとして接
    種するコンポスト製造方法およびコンポスト製造用のス
    ターター微生物。
  6. 【請求項6】請求項2、請求項3,請求項4および請求
    項5の微生物のいずれかを、あるいは4種すべてを含有
    する発酵スターター用微生物製剤
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