JP2003212340A - 複層ガラスの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送用治具 - Google Patents

複層ガラスの搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送用治具

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JP2003212340A
JP2003212340A JP2002016404A JP2002016404A JP2003212340A JP 2003212340 A JP2003212340 A JP 2003212340A JP 2002016404 A JP2002016404 A JP 2002016404A JP 2002016404 A JP2002016404 A JP 2002016404A JP 2003212340 A JP2003212340 A JP 2003212340A
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jig
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Akihiro Takeda
章裕 武田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バキューム式吸盤によって複層ガラスを搬送す
るに際し、複層ガラスを構成する一対の板ガラス間での
相対的ずれの発生を抑制して、安定良く搬送することの
できる搬送方法およびその方法の実施に使用する搬送用
治具。 【解決手段】複層ガラスGの一方の板ガラスG1の面に
バキューム式吸盤1を吸着させて搬送するもので、バキ
ューム式吸盤1により吸着保持する側の板ガラスG1に
対し、他方の板ガラスG2の相対位置を規制して搬送す
る搬送方法、および、複層ガラスGの面に吸着可能なバ
キューム式の治具用吸盤6と、治具用吸盤6を吸着させ
る側の板ガラスG1に対し、他方の板ガラスG2の相対
位置を規制する位置規制具8とを備えた搬送用治具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の板ガラスを
有する複層ガラスの一方の板ガラスの面にバキューム式
吸盤を吸着させ、そのバキューム式吸盤により前記複層
ガラスを保持して搬送する複層ガラスの搬送方法に関
し、さらに、その搬送方法の実施に使用する複層ガラス
の搬送用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】複層ガラスの製造工場などでは、従来、
バキューム式吸盤を有する天井クレーンや搬送装置など
を使用し、複層ガラスを構成する一方の板ガラスの面に
バキューム式吸盤を吸着させ、そのバキューム式吸盤の
吸着力によって、複層ガラス全体を保持して搬送してい
た。つまり、バキューム式吸盤を吸着させた側の板ガラ
スについては、バキューム式吸盤の吸着力によって直接
的に保持し、他方の板ガラスについては、両板ガラスの
周縁部を接合するシール材を介して間接的に保持して搬
送していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来の搬
送方法や装置では、複層ガラスを保持したり、搬送した
りする際、両板ガラス間における相対的な位置関係が安
定せず、バキューム式吸盤を吸着させた側の板ガラスに
対して、他方の板ガラスが相対的にずれる可能性があっ
た。特に、複層ガラスの製造直後に搬送するような場合
には、両板ガラスの周縁部を接合するシール材が完全に
硬化していない場合もあり、その場合には、両板ガラス
間での相対的なずれ発生の可能性が高く、両板ガラス間
でずれが発生すると、複層ガラスの品質低下を招くおそ
れもあり、この点に改良の余地があった。
【0004】本発明は、このような従来の問題点に着目
したもので、その目的は、バキューム式吸盤の吸着力に
よって複層ガラスを保持して搬送するに際し、複層ガラ
スを構成する一対の板ガラス間での相対的ずれの発生を
抑制して、複層ガラスの品質低下を防止しながら、安定
良く搬送することのできる搬送方法およびその方法の実
施に使用する搬送用治具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1の発明
の特徴構成は、図1〜図8に例示するごとく、一対の板
ガラスG1,G2を有する複層ガラスGの一方の板ガラ
スG1の面にバキューム式吸盤1,27を吸着させ、そ
のバキューム式吸盤1,27により前記複層ガラスGを
保持して搬送する複層ガラスの搬送方法であって、前記
バキューム式吸盤1,27により吸着保持する側の板ガ
ラスG1に対し、他方の板ガラスG2の相対位置を規制
して搬送するところにある。
【0006】請求項2の発明の特徴構成は、図1、図
2、図3、図6、図7に例示するごとく、複層ガラスG
の搬送方法であって、前記複層ガラスGの面を上下方向
に沿わせ、かつ、前記一対の板ガラスG1,G2におけ
る上下方向での端縁の相対位置を規制して搬送するとこ
ろにある。
【0007】請求項3の発明の特徴構成は、図1、図
2、図6、図7に例示するごとく、複層ガラスGの搬送
方法であって、前記一対の板ガラスG1,G2における
下端縁の相対位置を規制して搬送するところにある。
【0008】請求項4の発明の特徴構成は、図1〜図4
に例示するごとく、請求項1〜3のいずれか1項に記載
の搬送方法の実施に使用する複層ガラスの搬送用治具5
であって、前記複層ガラスGの板ガラスの面に吸着可能
なバキューム式の治具用吸盤6と、その治具用吸盤6を
吸着させる側の板ガラスに対し、他方の板ガラスの相対
位置を規制するように前記治具用吸盤6に連結された位
置規制具8とを備えて構成されているところにある。
【0009】請求項5の発明の特徴構成は、図1〜図3
に例示するごとく、複層ガラスの搬送用治具5であっ
て、前記位置規制具8が、前記治具用吸盤6を吸着させ
る側とは異なる側の板ガラスの端縁に接当する接当部材
7を備えているところにある。
【0010】請求項6の発明の特徴構成は、図4に例示
するごとく、複層ガラスの搬送用治具5であって、前記
位置規制具8が、前記治具用吸盤6を吸着させる側とは
異なる側の板ガラスの面に吸着可能なバキューム式の治
具用補助吸盤15を備えているところにある。
【0011】なお、上述のように、図面との対照を便利
にするために符号を記したが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【0012】〔作用および効果〕請求項1の発明の特徴
構成によれば、一対の板ガラスを有する複層ガラスの一
方の板ガラスの面にバキューム式吸盤を吸着させ、その
バキューム式吸盤により複層ガラスを保持して搬送する
複層ガラスの搬送方法であって、バキューム式吸盤によ
り吸着保持する側の板ガラスに対し、他方の板ガラスの
相対位置を規制して搬送するので、複層ガラスの保持、
搬送に際して、両板ガラス間における相対的な位置関係
が安定することになる。したがって、バキューム式吸盤
を吸着させた側の板ガラスに対して、他方の板ガラスが
相対的にずれる可能性が回避され、たとえ両板ガラスの
周縁部を接合するシール材が完全に硬化していない場合
であっても、両板ガラス間での相対的なずれの発生はな
く、ずれの発生に伴う複層ガラスの品質低下を確実に防
止して、安定良く搬送することができる。
【0013】請求項2の発明の特徴構成によれば、複層
ガラスを搬送するに際し、複層ガラスの面を上下方向に
沿わせて搬送するので、例えば、複層ガラスの面を水平
方向に沿わせて搬送するのに比較して、より安定良く安
全に搬送することができ、かつ、その一対の板ガラスに
おける上下方向での端縁の相対位置を規制して搬送する
ので、両板ガラス間における上下方向でのずれの発生を
確実に防止することができる。
【0014】請求項3の発明の特徴構成によれば、上述
したように複層ガラスの面を上下方向に沿わせて搬送す
るに際し、一対の板ガラスにおける下端縁の相対位置を
規制して搬送するので、重力によりずれようとする板ガ
ラス下端縁の下方への移動を規制して、両板ガラス間に
おけるずれの発生を効果的に防止することができる。
【0015】請求項4の発明の特徴構成によれば、上述
した請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送方法の実
施に使用する複層ガラスの搬送用治具であって、複層ガ
ラスの板ガラスの面に吸着可能なバキューム式の治具用
吸盤と、その治具用吸盤を吸着させる側の板ガラスに対
し、他方の板ガラスの相対位置を規制するように治具用
吸盤に連結された位置規制具とを備えて構成されている
ので、搬送用治具におけるバキューム式治具用吸盤を搬
送対象である複層ガラスの面に吸着させれば、その位置
規制具が両板ガラス間における相対的な位置ずれを防止
するので、この搬送用治具を使用することにより、従来
の搬送装置をそのまま使用して、上述したように複層ガ
ラスをずれのない状態で安定良く搬送することができ
る。
【0016】請求項5の発明の特徴構成によれば、複層
ガラスの搬送用治具であって、前記位置規制具が、バキ
ューム式治具用吸盤を吸着させる側とは異なる側の板ガ
ラスの端縁に接当する接当部材を備えているので、その
接当部材を一方の板ガラス端縁に接当させて、バキュー
ム式治具用吸盤を他方の板ガラスに吸着させることによ
り、両板ガラス間でのずれを確実に防止することができ
る。
【0017】請求項6の発明の特徴構成によれば、複層
ガラスの搬送用治具であって、前記位置規制具が、バキ
ューム式治具用吸盤を吸着させる側とは異なる側の板ガ
ラスの面に吸着可能なバキューム式の治具用補助吸盤を
備えているので、一方の板ガラスに治具用吸盤を、他方
の板ガラスに治具用補助吸盤を吸着させることにより、
両板ガラス間でのずれを確実に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による複層ガラス搬送方法
の実施の形態を図面に基づいて説明し、その搬送方法の
実施に使用する搬送用治具と搬送装置について言及す
る。搬送の対象である複層ガラスGは、図2〜図4に示
すように、例えば、一対の矩形の板ガラスG1,G2を
互いに対面配置し、その一対の板ガラスG1,G2周縁
部を熱可塑性樹脂からなるシール材Sで接合し、両板ガ
ラスG1,G2間の間隙部Vを封止して構成されてい
る。このような複層ガラスGを搬送するには、図1に示
すように、複数のバキューム式吸盤1を有する吸着装置
2が使用され、その吸着装置2は、例えば、ワイヤ3に
より天井クレーン4から吊り下げられて、上下昇降なら
びに移動自在に構成されている。
【0019】このような吸着装置2や天井クレーン4な
どは従来公知であるため、詳しい説明は省略するが、要
するに、複層ガラスGの一方の板ガラスG1の面に各バ
キューム式吸盤1を接当させ、図外のバキュームポンプ
により吸盤1内の空気を吸引して吸着させ、その吸着力
により複層ガラスGの面を上下方向に沿わせた立ち姿勢
で複層ガラスGを保持し、立ち姿勢のまま天井クレーン
4により所望の箇所にまで搬送するように構成されてい
る。この複層ガラスGの搬送に使用される治具について
説明すると、図1および図2に示す第1の実施形態で
は、搬送用治具5が、複層ガラスGの板ガラスG1,G
2の面に吸着可能な複数のバキューム式治具用吸盤6
と、ゴムや合成樹脂製の接当部材7を有する位置規制具
8を備え、治具用吸盤6を保持する吸盤保持枠9とその
吸盤保持枠9に連結の連結枠10を介して、位置規制具
8がバキューム式の治具用吸盤6に連結されて構成され
ている。
【0020】各治具用吸盤6は、吸盤保持枠9に対して
相対移動自在に保持され、その吸盤保持枠9に対して治
具用吸盤6を遠近方向に移動させる手動操作用の回動レ
バー13が枢着されている。したがって、吸着解除状態
にある治具用吸盤6を板ガラスG1,G2の面に接当さ
せた状態で、回動レバー13を吸着側へ回動すると、治
具用吸盤6が板ガラスG1,G2の面に強制的に押圧さ
れて、各治具用吸盤6が板ガラスG1,G2の面に吸着
され、回動レバー13を吸着解除側へ回動すると、各治
具用吸盤6が板ガラスG1,G2の面から強制的に離間
されて吸着が解除されるように構成されている。
【0021】この第1の実施形態による搬送用治具5を
使用して複層ガラスGを搬送するには、図2に示すよう
に、バキューム式吸盤1を有する吸着装置2と天井クレ
ーン4により複層ガラスGを立ち姿勢で吊り下げた際、
下方に位置する複層ガラスGの下端縁に位置規制具8の
接当部材7を接当させる。そして、複層ガラスGを構成
する一対の板ガラスG1,G2において、バキューム式
吸盤1を吸着させる側の板ガラスG1の面に各治具用吸
盤6を吸着させる。この状態で複層ガラスGを吊り下げ
保持すると、バキューム式吸盤1により吊り下げ保持さ
れる側の板ガラスG1に対して、他方の板ガラスG2の
相対位置が規制される。例えば、シール材Sが完全に硬
化していなくて両板ガラスG1,G2間の接合が不十分
で、板ガラスG2が下方へずれようとしても、板ガラス
G2の下端縁が、接当部材7に対する接当により受け止
められて、板ガラスG1に対する相対移動が阻止され
る。
【0022】したがって、天井クレーン4による搬送時
においても、両板ガラスG1,G2の相対位置関係は、
搬送用治具5によって確実に保持され、搬送中において
両板ガラスG1,G2間でずれが発生することはない。
なお、この搬送用治具5の第1の実施形態においては、
位置規制具8の接当部材7が、複層ガラスGの下端縁に
接当する構成のものを示したが、位置規制具8の接当部
材7は、必ずしも複層ガラスGの下端縁、つまり、両板
ガラスG1,G2の下端縁に接当する必要はなく、例え
ば、バキューム式吸盤1により吊り下げ保持される側と
は異なる側の板ガラスG2の下端縁にのみ接当するよう
に構成することもできる。
【0023】また、この第1の実施形態において、図示
はしないが、例えば、連結枠10などに持ち上げ搬送に
適した取っ手を設け、作業者がその取っ手を介して複層
ガラスGを持ち上げ、天井クレーン4などを使用するこ
となく、人為的に所望の箇所にまで自由に搬送し得るよ
うに構成することもできる。その場合においても、両板
ガラスG1,G2の相対位置関係は、搬送用治具5によ
って確実に保持されるので、両板ガラスG1,G2間で
のずれを生じることなく、複層ガラスGを人為的に搬送
することができる。
【0024】図3に示す第2の実施形態では、第1の実
施形態で示したのとほとんど同じ構成の搬送用治具5が
使用されている。したがって、構成上での説明は省略す
るが、具体的な使用の形態において第1の実施形態とは
異なる。すなわち、この第2の実施形態においては、複
層ガラスGを立ち姿勢で吊り下げた際、上方に位置する
複層ガラスGの上端縁に位置規制具8の接当部材7を接
当させて、バキューム式吸盤1を吸着させる側とは異な
る側の板ガラスG2の面に各治具用吸盤6を吸着させ
る。この状態で複層ガラスGを吊り下げ保持すると、板
ガラスG2が下方へずれようとしても、接当部材7が板
ガラスG1の上端縁に接当して受け止められるので、板
ガラスG1に対する板ガラスG2の相対移動が阻止され
る。なお、この第2の実施形態においても、位置規制具
8の接当部材7が、両板ガラスG1,G2の上端縁に接
当するのではなく、バキューム式吸盤1により吊り下げ
保持される側の板ガラスG1上端縁にのみ接当するよう
に構成することもできる。
【0025】以上、第1と第2の実施形態において、位
置規制具8に接当部材7を設け、第1の実施形態では、
その接当部材7に両板ガラスG1,G2の下端縁あるい
は一方の板ガラスG2の下端縁のみを、また、第2の実
施形態では、接当部材7に両板ガラスG1,G2の上端
縁あるいは一方の板ガラスG1の上端縁のみを接当させ
る構成を示したが、接当部材7は、板ガラス端縁への接
当に際してのクッション用であるため、必ずしも必要な
ものではない。したがって、第1と第2の実施形態にお
いて、接当部材7をなくして、位置規制具8を板ガラス
端縁に直接接当させるように構成することもできる。
【0026】図4に示す第3の実施形態では、搬送用治
具5が、一対のバキューム式治具用吸盤6,15、つま
り、第1と第2の実施形態で示したのと同じバキューム
式の治具用吸盤6と、別のバキューム式の治具用補助吸
盤15とを備えている。そして、治具用吸盤6の吸盤保
持枠9と、治具用補助吸盤15を保持する補助吸盤保持
枠16とが、コの字状の連結枠体17により連結され、
この連結枠体17と治具用補助吸盤15などが、位置規
制具8として機能するように構成され、かつ、連結枠体
17については、その長さが変更固定自在に構成され
て、両吸盤6,15が互いに遠近方向に位置変更固定自
在に構成されている。一対の治具用吸盤6,15に関
し、便宜上、一方を「治具用吸盤」と称し、他方を「治
具用補助吸盤」と称しているが、実質的に同じ構成のも
のであり、したがって、治具用補助吸盤15に関して
は、その具体的な説明を省略する。
【0027】この第3の実施形態による搬送用治具5を
使用して複層ガラスGを搬送するには、複層ガラスGを
立ち姿勢で吊り下げた際、上方または下方に位置する複
層ガラスGの端縁側、好ましくは、上端縁側において、
連結枠体17が上端縁を跨ぐように配置して、複層ガラ
スGを構成する一対の板ガラスG1,G2において、例
えば、バキューム式吸盤1を吸着させる側の板ガラスG
1の面に治具用補助吸盤15を吸着させ、他方の板ガラ
スG2の面に治具用吸盤6を吸着させる。この状態で複
層ガラスGを吊り下げ保持すると、他方の板ガラスG2
が下方へずれようとしても、板ガラスG2が、両吸盤
6,15や連結枠体17などによって一方の板ガラスG
1側に保持されて、板ガラスG1に対する相対移動が阻
止される。
【0028】図5に示す第4の実施形態では、バキュー
ム式吸盤1により吸着保持される側の板ガラスG1に対
して他方の板ガラスG2の相対位置を規制する位置規制
具8が、可撓性の紐状体18により構成されている。こ
の第4の実施形態では、複層ガラスGを構成する一対の
板ガラスG1,G2において、バキューム式吸盤1を吸
着させる側の板ガラスG1の上端縁と他方の板ガラスG
2の下端縁とにわたって紐状体18を掛けわたして結び
つける。この状態で複層ガラスGを吊り下げ保持する
と、他方の板ガラスG2が下方へずれようとしても、板
ガラスG2が、紐状体18によって一方の板ガラスG1
側に保持されて、板ガラスG1に対する相対移動が阻止
される。
【0029】つぎに、本発明による搬送用治具の構成を
応用した複層ガラス搬送装置の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。複層ガラス搬送装置は、図6に示すよう
に、工場などの床面に設置固定された装置本体21、装
置本体21に対して縦軸心L1周りに旋回自在に取り付
けられた旋回枠体22、複数本のリンクにより構成され
て旋回枠体22に取り付けられたリンク機構23、リン
ク機構23に取り付けられた可動枠体24などからなる
搬送機構を備えている。その可動枠体24には、図7お
よび図8に示すように、円形の吸盤保持枠25と長方形
に組み付けられた矩形の吸盤保持枠26とが取り付けら
れ、円形吸盤保持枠25には2つのバキューム式吸盤2
7が取り付けられ、矩形吸盤保持枠26には4つのバキ
ューム式吸盤27が位置変更固定自在に取り付けられて
いる。そして、この合計6つのバキューム式吸盤27を
有する吸盤保持枠25,26は、回動用エアシリンダ2
8の伸縮により可動枠体24に対して横軸心L2周りに
回動固定自在に構成されている。
【0030】このような搬送装置は従来公知であるた
め、詳しい説明は省略するが、要するに、複層ガラスG
の一方の板ガラスG1の面にバキューム式吸盤27を接
当させ、操作盤Aに設けられた各種のスイッチ類を操作
しながら、図外のバキュームポンプにより吸盤27内の
空気を吸引して吸着させ、その吸着力により複層ガラス
Gを保持して、装置本体21に対して旋回する旋回枠体
22と、旋回枠体22に対して上下昇降ならびに遠近移
動するリンク機構23との協働により、ハンドルBを把
持しながら、所望の箇所にまで搬送するように構成され
ている。そして、その搬送に際しては、吸盤保持枠2
5,26の横軸心L2周りにおける回動固定により、複
層ガラスGの面を上下方向に沿わせた立ち姿勢でも、ま
た、複層ガラスGの面を横方向に沿わせた横姿勢でも自
由に搬送することができるように構成されている。
【0031】この搬送装置において、矩形吸盤保持枠2
6に左右一対のブラケット30が固着され、かつ、両ブ
ラケット30に対して可動枠31が取り付けられるとと
もに、その可動枠31の両端にL字状の位置規制具32
が取り付けられて、その左右一対の位置規制具32が、
可動枠31、ブラケット30、矩形吸盤保持枠26、さ
らには、円形吸盤保持枠25などを介して、バキューム
式吸盤27に連結され、各位置規制具32には、ゴムや
合成樹脂からなる接当部材33が取り付けられている。
前記可動枠31は、図7および図8において矢印で示す
ように、両ブラケット30に対してスライド固定自在に
構成され、それによって、両位置規制具32の接当部材
33が、各バキューム式吸盤27に対して、その遠近方
向に相対位置変更固定自在に構成されている。そして、
各位置規制具32は、回転用アクチュエータ34を介し
て可動枠31に取り付けられ、各回転用アクチュエータ
34による回動操作で、各位置規制具32が、回転軸心
L4周りに回転して後述する作用位置と非作用位置とに
切り換え自在に構成されている。
【0032】この搬送装置により複層ガラスGを搬送す
るには、上述したように複層ガラスGの一方の板ガラス
G1の面にバキューム式吸盤27を吸着させて搬送する
のであり、複層ガラスGを立ち姿勢で搬送する際には、
各位置規制具32を複層ガラスGに近接する作用位置に
切り換え、各位置規制具32の接当部材33を複層ガラ
スGの下端縁に接当させた状態で、複層ガラスGを構成
する一方の板ガラスG1の面に各バキューム式吸盤27
を吸着させる。この状態で複層ガラスGを保持すると、
バキューム式吸盤27により保持される側の板ガラスG
1に対して、他方の板ガラスG2の相対位置が規制さ
れ、搬送時に板ガラスG2が下方へずれようとしても、
板ガラスG2の下端縁が、接当部材33により受け止め
られて、板ガラスG1に対する相対移動が阻止される。
【0033】なお、搬送する複層ガラスGの大きさに応
じて可動枠31をスライドさせ、両ブラケット30に対
する接当部材33の位置を変更固定することにより、複
層ガラスGの大きさにかかわらず、常に安定良く搬送す
ることができ、また、例えば、単板の板ガラスを搬送す
る際など、位置規制具32が必要ないか、あるいは、邪
魔になる場合には、両位置規制具32を非作用位置に切
り換えて使用することになる。さらに、この搬送装置に
おいても、位置規制具32の接当部材33は、必ずしも
複層ガラスGの下端縁、つまり、両板ガラスG1,G2
の下端縁に接当する必要はなく、例えば、バキューム式
吸盤27により保持される側とは異なる側の板ガラスG
2の下端縁にのみ接当するように構成することもでき
る。
【0034】以上、本発明による搬送用治具の構成を工
場などの床面に設置固定された複層ガラス搬送装置に応
用した例を示したが、複層ガラス搬送装置としては、こ
のような床面への設置固定式に限るものではなく、例え
ば、図6に示した複層ガラス搬送装置において、その構
成要素21〜24に代えて、天井クレーンを構成要素と
するものや、ワイヤ吊りタイプのバランサを構成要素と
するものであってもよい。
【0035】〔別実施形態〕 (1)これまでの実施形態では、複層ガラスGの面を上
下方向に沿わせた姿勢で搬送する例を示したが、上下方
向に沿わせた姿勢とは、必ずしも鉛直方向に沿わせるこ
とを意味するものではない。つまり、両板ガラスG1,
G2が、その面に沿って相対的に位置ずれを生じる可能
性のある姿勢を総称するものであり、したがって、本明
細書における「上下方向」とは、鉛直方向を含んで、両
板ガラスG1,G2間において面に沿う位置ずれの可能
性がある姿勢を総称するものと定義する。ただし、本発
明による搬送方法、搬送用治具、および、搬送装置を実
施するにあたり、複層ガラスGの面を上下方向のみなら
ず、水平方向に沿わせた姿勢で搬送する場合にも適用す
ることが可能である。
【0036】(2)これまでの実施形態では、搬送対象
である複層ガラスGの一例として、一対の矩形の板ガラ
スG1,G2を互いに対面配置した構成のものを示した
が、複層ガラスGを構成する板ガラスG1,G2の形
状、さらには、種類などについては不問であり、また、
その一対の板ガラスG1,G2の周縁部を接合するシー
ル材Sに関しても、熱可塑性樹脂からなるシール材に限
らず、アルミなどの金属製スペーサを介在させ、その金
属製スペーサと両板ガラスG1,G2とを各種の接着剤
で接着して接合する複層ガラスの搬送にも適用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による複層ガラス搬送用治具と
搬送装置を示す側面図
【図2】第1の実施形態による複層ガラス搬送用治具の
側面図
【図3】第2の実施形態による複層ガラス搬送用治具の
側面図
【図4】第3の実施形態による複層ガラス搬送用治具の
側面図
【図5】第4の実施形態による複層ガラス搬送用治具の
側面図
【図6】複層ガラス搬送装置を示す全体の側面図
【図7】複層ガラス搬送装置の要部の側面図
【図8】複層ガラス搬送装置の要部の背面図
【符号の説明】
1 バキューム式吸盤 5 搬送用治具 6 バキューム式の治具用吸盤 7 搬送用治具の接当部材 8 搬送用治具の位置規制具 15 バキューム式の治具用補助吸盤 27 搬送装置のバキューム式吸盤 G 複層ガラス G1,G2 一対の板ガラス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の板ガラスを有する複層ガラスの一
    方の板ガラスの面にバキューム式吸盤を吸着させ、その
    バキューム式吸盤により前記複層ガラスを保持して搬送
    する複層ガラスの搬送方法であって、 前記バキューム式吸盤により吸着保持する側の板ガラス
    に対し、他方の板ガラスの相対位置を規制して搬送する
    複層ガラスの搬送方法。
  2. 【請求項2】 前記複層ガラスの面を上下方向に沿わ
    せ、かつ、前記一対の板ガラスにおける上下方向での端
    縁の相対位置を規制して搬送する請求項1に記載の複層
    ガラスの搬送方法。
  3. 【請求項3】 前記一対の板ガラスにおける下端縁の相
    対位置を規制して搬送する請求項2に記載の複層ガラス
    の搬送方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬
    送方法の実施に使用する複層ガラスの搬送用治具であっ
    て、 前記複層ガラスの板ガラスの面に吸着可能なバキューム
    式の治具用吸盤と、その治具用吸盤を吸着させる側の板
    ガラスに対し、他方の板ガラスの相対位置を規制するよ
    うに前記治具用吸盤に連結された位置規制具とを備えて
    構成されている複層ガラスの搬送用治具。
  5. 【請求項5】 前記位置規制具が、前記治具用吸盤を吸
    着させる側とは異なる側の板ガラスの端縁に接当する接
    当部材を備えている請求項4に記載の複層ガラスの搬送
    用治具。
  6. 【請求項6】 前記位置規制具が、前記治具用吸盤を吸
    着させる側とは異なる側の板ガラスの面に吸着可能なバ
    キューム式の治具用補助吸盤を備えている請求項4に記
    載の複層ガラスの搬送用治具。
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