JP2003211859A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents
平版印刷版用支持体Info
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Abstract
でき、水インキバランスに優れ、かつ、インキ払い性に
優れる平版印刷版原版に用いられる平版印刷版用支持体
の提供。 【解決手段】アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸
化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
平均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.
01〜0.2μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形
状を表面に有し、かつ、該小波構造の開口径の標準偏差
が0.2以下である平版印刷版用支持体。
Description
および平版印刷版原版に関し、特に、平版印刷版とした
ときに、耐汚れ性と耐刷性とを両立することができる、
最適な表面形状を有する平版印刷版用支持体およびそれ
を用いた平版印刷版原版に関する。 【0002】 【従来の技術】平版印刷法は水と油が本質的に混じり合
わないことを利用した印刷方式であり、これに使用され
る平版印刷版の印刷版面には、水を受容して油性インキ
を反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」とい
う。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以
下、この領域を「画像部」という。)とが形成される。 【0003】平版印刷版に用いられる平版印刷版用アル
ミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」と
いう。)は、その表面が非画像部を担うように使用され
るため、親水性および保水性が優れていること、更には
その上に設けられる画像記録層との密着性が優れている
こと等の相反する種々の性能が要求される。支持体の親
水性が低すぎると、印刷時に非画像部にインキが付着す
るようになり、ブランケット胴の汚れ、ひいてはいわゆ
る地汚れが発生する。また、支持体の保水性が低すぎる
と、印刷時に湿し水を多くしないとシャドー部のつまり
が発生する。よって、いわゆる水幅が狭くなる。そこ
で、湿し水の供給量を多くすると、インキが湿し水を含
んで乳化し、汚れの原因となる場合がある。よって、湿
し水の供給量はこのような汚れが発生しない限度におい
て少なく維持することが望まれる。 【0004】これらの性能の良好な平版印刷版用支持体
を得るためには、アルミニウム板の表面を砂目立て(粗
面化処理)して凹凸を付与するのが一般的である。この
凹凸については下記に示すように、様々な形状が提案さ
れている。特開平8−300844号公報には、中波と
小波の開口径を規定した大波、中波および小波を有する
3重構造が記載されている。特開平11−99758号
公報および特開平11−208138号公報には、大小
の2重構造において小波の径を規定することが記載され
ている。特開平11−167207号公報には、大小の
2重の凹部(ピット)に加えて更に微小な突起を付与す
る技術が記載されている。特許第2023476号明細
書には、開口径を規定した2重構造が記載されている。
特開平8−300843号公報には、表面の滑らかさを
示す因子a30を規定した2重構造が記載されている。
特開平10−35133号公報には複数の電気化学的粗
面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)に際し
て重畳されるピット径の比を規定した構造が記載されて
いる。 【0005】この砂目立てには、ボールグレイニング、
ブラシグレイニング、ワイヤーグレイニング、ブラスト
グレイニング等の機械的粗面化方法、塩酸および/また
は硝酸を含む電解液中でアルミニウム板を電解エッチン
グする電解粗面化方法および米国特許第4,476,0
06号明細書に記載されている機械的粗面化方法と電解
粗面化方法を組み合わせた複合粗面化方法等が用いられ
ている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、耐汚れ性と耐刷性とがトレードオフ
の関係にあり、耐汚れ性と耐刷性との両立ができなかっ
た。そのため、従来技術においては、耐汚れ性と耐刷性
とを両立し、かつ、湿し水の供給量を少なくした場合で
あっても地汚れやシャドー部のつまりが発生しない水イ
ンキバランスに優れる支持体は得られていなかった。 【0007】また、印刷開始時や、印刷開始後、印刷を
一旦停止して平版印刷版を印刷機上で放置した後の印刷
再スタート時には、インキと湿し水とが乾燥した平版印
刷版の非画像部に供給される。その際には、インキも非
画像部に付着してしまうが、印刷を続けるに従い、同時
に供給される湿し水が親水性の非画像部の表面に優先的
に付着してインキが付着しなくなるようになる。「イン
キ払い性」とは、非画像部にインキが付着しなくなるま
でに必要な時間や印刷枚数をいい、「インキ払い性に優
れる」とは、非画像部にインキが付着しなくなるまでに
必要な時間が短く、印刷枚数が少ないことをいう。従
来、そのようなインキ払い性に優れる平版印刷版は、コ
スト等の点で好ましいので、平版印刷版としたときのイ
ンキ払い性に優れる平版印刷版原版およびそれに用いら
れる平版印刷版用支持体が望まれている。 【0008】したがって、本発明は、これらの問題を解
決し、優れた耐汚れ性と高耐刷力とを両立することがで
き、水インキバランスに優れ、かつ、インキ払い性に優
れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版
用支持体を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、平版印刷版用支持体の表面の凹凸構造の大
きさおよびその組み合わせについて鋭意検討した結果、
特定の大きさの凹凸を組み合わせ、更に小さい凹凸の開
口径の標準偏差を一定範囲にした場合に、耐汚れ性と耐
刷性とのバランスを高い水準で維持することができ、汚
れの発生を伴うことなく湿し水を少なくすることがで
き、また、インキ払い性を優れたものとすることができ
ることを見出し、本発明を完成した。 【0010】即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)を
提供する。 【0011】(1)アルミニウム板に粗面化処理および
陽極酸化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であ
って、平均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口
径0.01〜0.2μmの小波構造とを重畳した構造の
砂目形状を表面に有し、かつ、該小波構造の開口径の標
準偏差が0.2以下である平版印刷版用支持体。 【0012】(2)アルミニウム板に粗面化処理および
陽極酸化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であ
って、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径
0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.
2μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形状を表面に
有し、かつ、該小波構造の開口径の標準偏差が0.2以
下である平版印刷版用支持体。 【0013】(3)前記小波構造の開口径に対する深さ
の比の平均が0.2以上である上記(1)または(2)
に記載の平版印刷版用支持体。 【0014】(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記
載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設けてなる
平版印刷版原版。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [平版印刷版用支持体] <表面の砂目形状>本発明の平版印刷版用支持体は、平
均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.0
1〜0.2μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形状
を表面に有することを特徴とする。本発明において、平
均開口径0.5〜5μmの中波構造は、主にアンカー
(投錨)効果によって画像記録層を保持し、耐刷力を付
与する機能を有する。中波構造のピットの平均開口径が
0.5μm未満であると、上層に設けられる画像記録層
との密着性が低下し、平版印刷版の耐刷性が低下する場
合がある。また、中波構造のピットの平均開口径が5μ
mを超えると、アンカーの役割を果たすピット境界部分
の数が減るため、やはり耐刷性が低下する場合がある。 【0016】上記中波構造に重畳される平均開口径0.
01〜0.2μmの小波構造は、主に耐汚れ性を改良す
る役割を果たす。中波構造に小波構造を組み合わせるこ
とで、印刷時に平版印刷版に湿し水が供給された場合
に、その表面に均一に水膜が形成され、非画像部の汚れ
の発生を抑制することができる。小波構造のピットの平
均開口径が0.01μm未満であると、水膜形成に大き
な効果が得られない場合がある。また、小波構造のピッ
トの平均開口径が0.2μmを超えると、中波構造が崩
れてしまい、上述した中波構造による耐刷性向上の効果
が得られない場合がある。 【0017】そして、この小波構造の開口径の標準偏差
が0.2以下、好ましくは0.1以下であると、湿し水
の供給量が少ない場合であっても形成される水膜が極め
て均一となるので、地汚れやシャドー部のつまりが発生
しない。逆に言えば、湿し水の供給量を少なくすること
ができるので、湿し水を多くした場合に発生する汚れを
防止することができる。即ち、小波構造の開口径の標準
偏差が特定値以下である本発明の平版印刷版用支持体
は、平版印刷版としたときの水インキバランスに極めて
優れるのである。 【0018】また、本発明の平版印刷版用支持体は、上
記特定波長の中波構造と上記特定波長の小波構造とを組
み合わせ、更に、小波構造の開口径の標準偏差が特定値
以下であるため、印刷開始時や印刷再スタート時におい
て、平版印刷版の非画像部に湿し水が均一に行き渡るの
で、インキ払い性に優れる。 【0019】小波構造の開口径の標準偏差を0.2以下
とする方法は、特に限定されず、種々の方法を単独でま
たは組み合わせて用いることができる。そのような方法
として、例えば、下記(1)〜(6)の方法が好適に挙
げられる。 (1)粗面化処理の少なくとも一つとして塩酸を主体と
する電解液を用いる電解粗面化処理を行い、かつ、該電
解液の塩酸濃度を比較的低くする方法 この方法においては、電解液の塩酸濃度を比較的低くし
て、塩酸によるアルミニウム板の化学的腐食を抑制し、
粗面化が起こる範囲内で電気化学的な反応(酸化皮膜形
成反応)を優先的に起こらせるようにすることにより、
ピットの均一性を向上させる。 【0020】(2)粗面化処理の少なくとも一つとして
電解粗面化処理を行い、かつ、該電解粗面化処理におけ
る電気量を比較的少なくする方法 この方法においては、電解粗面化処理における電気量を
少なくすることにより、隣り合ったピットがつながって
大きなピットとなることを抑制し、ピットの均一性を向
上させる。 【0021】(3)粗面化処理の少なくとも一つとして
交流を用いた電解粗面化処理を行い、かつ、該電解粗面
化処理に用いられる交流の周波数を比較的大きくする方
法 この方法においては、交流の周波数を比較的大きくし
て、アルミニウム板の表面における電気化学反応の時間
を短くすることで、ピットの異常成長を抑制して、ピッ
トの均一性を向上させる。周波数を大きくしすぎると、
電気化学反応の反応速度が追随できず、ピット生成が行
われなくなる。電解粗面化処理に用いられる交流の周波
数は、後述するように、通常、50〜70Hzであるの
が好ましいが、この方法においては、100〜300H
z程度とする。 【0022】(4)粗面化処理の少なくとも一つとして
交流を用いた電解粗面化処理を行い、かつ、該電解粗面
化処理に用いられる交流の波形のTPを比較的小さくす
る方法 電位ゼロから反応開始電位までの時間が長いと、凹凸や
含有成分に起因すると考えられるアルミニウム板の表面
の不均一性により、局部的な電位の差が生じて不均一な
ピットが生じてしまう。この方法においては、TPを小
さくして、交流電流が反応開始電位まで急速に立ち上が
るようにすることで、アルミニウム板の表面の不均一性
に起因するピットの不均一化を防止する。この点で、T
Pは2msec以下であるのが好ましい。 【0023】(5)粗面化処理の少なくとも一つとして
交流を用いた電解粗面化処理を行い、かつ、該電解粗面
化処理におけるアルミニウム板と電解液との相対速度を
大きくする方法 この方法においては、アルミニウム板と電解液との相対
速度を大きくすることにより、反応部分付近における電
解液の更新を進ませ、ピットの均一性を向上させる。 【0024】(6)粗面化処理の少なくとも一つとして
電解粗面化処理を行い、該電解粗面化処理の後にアルカ
リエッチング処理を行い、かつ、該アルカリエッチング
処理におけるエッチング量を比較的少なくする方法 通常、ピットの開口径が大きくなるほど、標準偏差が大
きくなる傾向があるが、この方法においては、アルカリ
エッチング処理におけるエッチング量を少なくすること
により、小さいピットを生成させて、その結果、ピット
の均一性を向上させる。また、アルカリエッチング処理
におけるエッチング量を少なくすることにより、隣り合
ったピットがつながって大きなピットとなることを抑制
し、ピットの均一性を向上させる。 【0025】また、この小波構造については、ピットの
開口径だけでなく、ピットの深さをも制御することで、
更に良好な耐汚れ性を得ることができる。即ち、小波構
造の開口径に対する深さの比の平均を0.2以上にする
ことが好ましい。これにより均一に形成された水膜が表
面に確実に保持され、非画像部の表面の耐汚れ性が長く
維持される。また、水インキバランスおよびインキ払い
性のバランスも優れたものとなる。 【0026】上記の中波構造と小波構造とを重畳した構
造は、更に、平均波長5〜100μmの大波構造と重畳
した構造であってもよい。この大波構造は、平版印刷版
の非画像部の表面の保水量を増加させる効果を有する。
この表面に保持された水が多いほど、非画像部の表面は
雰囲気中の汚染の影響を受けにくくなり、印刷途中で版
を放置した場合にも汚れにくい非画像部を得ることがで
きる。また、大波構造が重畳されていると、印刷時に版
面に与えられた湿し水の量を目視で確認することが容易
となる。即ち、平版印刷版の検版性が優れたものとな
る。更に、水インキバランスおよびインキ払い性のいず
れも特に優れたものとなる。大波構造の平均波長が5μ
m未満であると、中波構造との差がなくなる場合があ
る。大波構造の平均波長が100μmを超えると、露光
現像後、露出された非画像部がぎらついて見えてしま
い、検版性を損なう場合がある。大波構造の平均波長
は、10〜80μmであるのが好ましい。 【0027】本発明の平版印刷版用支持体において、表
面の中波構造の平均開口径、小波構造の平均開口径、開
口径の標準偏差および開口径に対する深さの平均、なら
びに、大波の平均波長の測定方法は、以下の通りであ
る。 【0028】(1)中波構造の平均開口径 電子顕微鏡を用いて支持体の表面を真上から倍率200
0倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真においてピット
の周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピ
ット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取っ
て開口径とし、平均開口径を算出する。大波構造を重畳
した構造の場合も同じ方法で測定する。また、測定のバ
ラツキを抑制するために、市販の画像解析ソフトによる
等価円直径測定を行うこともできる。この場合、上記電
子顕微鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル化し、
ソフトウェアにより二値化した後、等価円直径を求め
る。本発明者が測定したところ、目視測定の結果とデジ
タル処理の結果とは、ほぼ同じ値を示した。大波構造を
重畳した構造の場合も同様であった。 【0029】(2)小波構造の平均開口径および開口径
の標準偏差 高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて支持体の
表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたS
EM写真において小波構造のピット(小波ピット)を少
なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径と
し、開口径の平均(平均開口径)および標準偏差を算出
する。 【0030】(3)小波構造の開口径に対する深さの比
の平均 小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能
SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮
影し、得られたSEM写真において小波ピットを少なく
とも20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求
めて平均値を算出する。 【0031】(4)大波構造の平均波長 触針式粗さ計で2次元粗さ測定を行い、ISO4287
に規定されている平均山間隔Sm を5回測定し、その平
均値を平均波長とする。 【0032】<表面処理>本発明の平版印刷版用支持体
は、後述するアルミニウム板に表面処理を施すことによ
って、上述した表面の砂目形状をアルミニウム板の表面
に形成させたものである。本発明の平版印刷版用支持体
は、アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を
施して得られるが、この支持体の製造工程は、特に限定
されず、粗面化処理および陽極酸化処理以外の各種の工
程を含んでいてもよい。以下に、上述した表面の砂目形
状を形成させるための代表的方法として、アルミニウム
板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸に
よるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗
面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に機械的粗面
化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット
処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理
を複数回施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチン
グ処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた
電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板
にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理お
よび異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数
回施す方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定され
ない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処
理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸による
デスマット処理を施してもよい。これらの方法により得
られた本発明の平版印刷版用支持体は、上述したよう
に、2種以上の異なる周期の凹凸を重畳した構造が表面
に形成されており、平版印刷版としたときの耐汚れ性お
よび耐刷性のいずれにも優れる。以下、表面処理の各工
程について、詳細に説明する。 【0033】<機械的粗面化処理>機械的粗面化処理
は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均
波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することが
できるため、粗面化処理の手段として有効である。機械
的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面
を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、
研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボー
ルグレイン法、特開平6−135175号公報および特
公昭50−40047号公報に記載されているナイロン
ブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法
を用いることができる。また、凹凸面をアルミニウム板
に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開
昭55−74898号、特開昭60−36195号、特
開昭60−203496号の各公報に記載されている方
法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−
55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした
特願平4−204235号明細書(特開平6−2416
8号公報)に記載されている方法も適用可能である。 【0034】また、放電加工、ショットブラスト、レー
ザー、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食
刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、
微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に
接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アル
ミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パター
ンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもでき
る。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、
特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開
昭63−65017号の各公報等に記載されている公知
の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイ
ス、バイト、レーザー等を使って2方向から微細な溝を
切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表
面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた
角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。
また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードク
ロムメッキ等を行ってもよい。そのほかにも、機械的粗
面化処理としては、特開昭61−162351号公報、
特開昭63−104889号公報等に記載されている方
法を用いることもできる。本発明においては、生産性等
を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもで
きる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化
処理の前に行うのが好ましい。 【0035】以下、機械的粗面化処理として好適に用い
られるブラシグレイン法について説明する。ブラシグレ
イン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商
標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂から
なる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブ
ラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有す
るスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の
表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ロー
ラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層
を設けたローラである研磨ローラを用いることもでき
る。ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好まし
くは10,000〜40,000kg/cm2 、より好
ましくは15,000〜35,000kg/cm2であ
り、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より
好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラ
シ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmであ
る。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴
の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的に
は、10〜100mmである。 【0036】研磨剤は公知の物を用いることができる。
例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、ア
ルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボラ
ンダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いるこ
とができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。
特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくい
ので粗面化効率に優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒
径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭く
することができる点で、3〜50μmであるのが好まし
く、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤は、
例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。
スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例
えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができ
る。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好まし
い。 【0037】機械的粗面化処理に適した装置としては、
例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装
置を挙げることができる。 【0038】<電気化学的粗面化処理>電気化学的粗面
化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理
に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩
酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで、本発
明に特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができ
る。本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解
処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1お
よび第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処
理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生して
スマットが生成することにより表面状態が均一化され、
その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解
粗面化が可能となる。この電解粗面化処理は、例えば、
特公昭48−28123号公報および英国特許第89
6,563号明細書に記載されている電気化学的グレイ
ン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解
グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものである
が、特開昭52−58602号公報に記載されているよ
うな特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3
−79799号公報に記載されている波形を用いること
もできる。また、特開昭55−158298号、特開昭
56−28898号、特開昭52−58602号、特開
昭52−152302号、特開昭54−85802号、
特開昭60−190392号、特開昭58−12053
1号、特開昭63−176187号、特開平1−588
9号、特開平1−280590号、特開平1−1184
89号、特開平1−148592号、特開平1−178
496号、特開平1−188315号、特開平1−15
4797号、特開平2−235794号、特開平3−2
60100号、特開平3−253600号、特開平4−
72079号、特開平4−72098号、特開平3−2
67400号、特開平1−141094の各公報に記載
されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電
解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な
周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。
例えば、米国特許第4,276,129号明細書および
同第4,676,879号明細書に記載されている。 【0039】電解槽および電源については、種々提案さ
れているが、米国特許第4203637号明細書、特開
昭56−123400号、特開昭57−59770号、
特開昭53−12738号、特開昭53−32821
号、特開昭53−32822号、特開昭53−3282
3号、特開昭55−122896号、特開昭55−13
2884号、特開昭62−127500号、特開平1−
52100号、特開平1−52098号、特開昭60−
67700号、特開平1−230800号、特開平3−
257199号の各公報等に記載されているものを用い
ることができる。また、特開昭52−58602号、特
開昭52−152302号、特開昭53−12738
号、特開昭53−12739号、特開昭53−3282
1号、特開昭53−32822号、特開昭53−328
33号、特開昭53−32824号、特開昭53−32
825号、特開昭54−85802号、特開昭55−1
22896号、特開昭55−132884号、特公昭4
8−28123号、特公昭51−7081号、特開昭5
2−133838号、特開昭52−133840号号、
特開昭52−133844号、特開昭52−13384
5号、特開昭53−149135号、特開昭54−14
6234号の各公報等に記載されているもの等も用いる
ことができる。 【0040】電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩
酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第
4,661,219号、同第4,618,405号、同
第4,600,482号、同第4,566,960号、
同第4,566,958号、同第4,566,959
号、同第4,416,972号、同第4,374,71
0号、同第4,336,113号、同第4,184,9
32号の各明細書等に記載されている電解液を用いるこ
ともできる。 【0041】酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%で
あるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用
を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好
ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好まし
く、30〜60℃であるのがより好ましい。 【0042】塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、濃
度1〜100g/Lの塩酸または硝酸の水溶液に、硝酸
アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の
硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウ
ム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオン
を有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽
和するまでの範囲で添加して使用することができる。ま
た、塩酸または硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、
マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等
のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していても
よい。好ましくは、塩酸または硝酸の濃度0.5〜2質
量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lと
なるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を
添加した液を用いることが好ましい。 【0043】更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添
加して使用することによりCuを多く含有するアルミニ
ウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと
錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニ
ア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジ
エチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミ
ン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニ
アの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置
換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。
また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アン
モニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の
アンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好
ましく、20〜50℃がより好ましい。 【0044】電気化学的粗面化処理に用いられる交流電
源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、
三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好まし
く、台形波が特に好ましい。台形波とは、図2に示した
ものをいう。この台形波において電流がゼロからピーク
に達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるの
が好ましい。1msec未満であると、アルミニウム板
の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ム
ラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に
硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加
するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量
成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われ
にくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ
性が低下する傾向にある。 【0045】台形波交流のduty比は1:2〜2:1
のものが使用可能であるが、特開平5−195300号
公報に記載されているように、アルミニウムにコンダク
タロールを用いない間接給電方式においてはduty比
が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.
1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、5
0〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低い
と、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、7
0Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分
の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。ただ
し、周波数を100〜300Hzとすることにより、小
波構造の開口径の標準偏差を0.2以下とすることもで
きる。 【0046】電解槽には1個以上の交流電源を接続する
ことができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる
交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な
砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解すること
とを目的として、図3に示したように、補助陽極を設置
し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図3
において、11はアルミニウム板であり、12はラジア
ルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であ
り、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であ
り、16はスリットであり、17は電解液通路であり、
18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリス
タであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であ
り、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチ
ング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の
槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることに
より、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノ
ード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる
電流値との比を制御することができる。主極に対向する
アルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる
電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3
〜0.95であるのが好ましい。 【0047】電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型
等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能である
が、特開平5−195300号公報に記載されているよ
うなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過
する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対して
パラレルであってもカウンターであってもよい。 【0048】(硝酸電解)硝酸を主体とする電解液を用
いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜
5μmのピットを形成することができる。ただし、電気
量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μm
を超えるハニカムピットも生成する。このような砂目を
得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウ
ム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1
000C/dm2 であるのが好ましく、50〜300C
/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は
20〜100A/dm2 であるのが好ましい。また、高
濃度または高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径
0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。 【0049】(塩酸電解)塩酸はそれ自身のアルミニウ
ム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面
に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細
な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、
アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このよ
うな砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのア
ルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和
が、1〜100C/dm2 であるのが好ましく、20〜
70C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流
密度は20〜50A/dm2 であるのが好ましい。 【0050】このような塩酸を主体とする電解液での電
気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気
量の総和を400〜1000C/dm2 と大きくするこ
とでクレーター状の大きなうねりを同時に形成すること
も可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μm
のクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01
〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。したがっ
て、この場合、平均開口径0.5〜5μmの中波構造を
重畳させられないため、本発明の特徴である表面の砂目
形状を作ることができない。 【0051】本発明においては、第1の電解粗面化処理
として、上述した硝酸を主体とする電解液を用いた電解
粗面化処理(硝酸電解)を行い、第2の電解粗面化処理
として、上述した塩酸を主体とする電解液を用いた電解
粗面化処理(塩酸電解)を行うのが好ましい。即ち、本
発明は、粗面化処理として少なくともアルミニウム板に
硝酸電解および塩酸電解を順次施し、更に陽極酸化処理
を施して平版印刷版用支持体を得る、平版印刷版用支持
体の製造方法も提供する。特に、第1の電解粗面化処理
として硝酸電解を行い、第2の電解粗面化処理として塩
酸電解を行う場合において、(a)〜(e)の少なくと
も一つを満たすようにすると、小波構造の開口径の標準
偏差を0.2以下とすることが容易になるので好まし
い。 (a)塩酸電解において、電解液の塩酸濃度を1〜8g
/Lとする。 (b)塩酸電解において、電気量をアノード反応にあず
かる電気量の総和で10〜100C/dm2 とする。 (c)塩酸電解において、交流の周波数を100〜30
0Hzとする。 (d)塩酸電解において、交流の波形のTPを2mse
c以下とする。 (e)塩酸電解後に後述するアルカリエッチング処理を
行い、該アルカリエッチング処理において、エッチング
量を0.1〜0.5g/m2 とする。 【0052】上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる
第1および第2の電解粗面化処理の間に、アルミニウム
板は陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解
処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成する
とともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処
理が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で陰
極電気量が好ましくは3〜80C/dm2 、より好まし
くは5〜30C/dm 2 で行われる。陰極電気量が3C
/dm2 未満であると、スマット付着量が不足する場合
があり、また、80C/dm2 を超えると、スマット付
着量が過剰となる場合があり、いずれも好ましくない。
また、電解液は上記第1および第2の電解粗面化処理で
使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。 【0053】<アルカリエッチング処理>アルカリエッ
チング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接
触させることにより、表層を溶解する処理である。 【0054】電解粗面化処理より前に行われるアルカリ
エッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場
合には、前記アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧
延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的とし
て、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合に
は、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部
分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面
に変えることを目的として行われる。 【0055】アルカリエッチング処理の前に機械的粗面
化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10
g/m2 であるのが好ましく、1〜5g/m2 であるの
がより好ましい。エッチング量が0.1g/m2 未満で
あると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存す
る場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一
なピット生成ができずムラが発生してしまう場合があ
る。一方、エッチング量が1〜10g/m2 であると、
表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行
われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経
済的に不利となる。 【0056】アルカリエッチング処理の前に機械的粗面
化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/m2
であるのが好ましく、5〜15g/m2 であるのがより
好ましい。エッチング量が3g/m2 未満であると、機
械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化でき
ない場合があり、後段の電解処理において均一なピット
形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化
する場合がある。一方、エッチング量が20g/m2 を
超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。 【0057】電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッ
チング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解
させることと、電解粗面化処理により形成されたピット
のエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によ
って異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、
電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッ
チング量は、0.1〜5g/m2 であるのが好ましい。
硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合より
もエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面
化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後
に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことが
できる。 【0058】アルカリ溶液に用いられるアルカリとして
は、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げら
れる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、
カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカ
リ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソ
ーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケ
イ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸
塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金
属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等
のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二
リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のア
ルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチ
ング速度が速い点および安価である点から、カセイアル
カリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属ア
ルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、
カセイソーダの水溶液が好ましい。 【0059】アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応
じて決定することができるが、1〜50質量%であるの
が好ましく、10〜35質量%であるのがより好まし
い。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解してい
る場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜
10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるの
がより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃で
あるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが
好ましい。 【0060】アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させ
る方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶
液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を
アルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アル
カリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙
げられる。 【0061】<デスマット処理>電解粗面化処理または
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚
れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処
理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝
酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ
化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例え
ば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度
0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン
0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることに
より行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法
としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた
槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を
入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニ
ウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。デスマッ
ト処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面
化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もし
くは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する
陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶
液の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温
は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間
は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理
に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミ
ニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。 【0062】<陽極酸化処理>以上のように処理された
アルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。
陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行う
ことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜30
0g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中
で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜
を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる
溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、ス
ルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸
等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。 【0063】この際、少なくともアルミニウム板、電
極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に
含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が
添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成
分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、T
i、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオ
ン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イ
オン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオ
ン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げら
れ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていても
よい。 【0064】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、
電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、
電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の
陽極酸化皮膜量となるように調整される。 【0065】また、特開昭54−81133号、特開昭
57−47894号、特開昭57−51289号、特開
昭57−51290号、特開昭57−54300号、特
開昭57−136596号、特開昭58−107498
号、特開昭60−200256号、特開昭62−136
596号、特開昭63−176494号、特開平4−1
76897号、特開平4−280997号、特開平6−
207299号、特開平5−24377号、特開平5−
32083号、特開平5−125597号、特開平5−
195291号の各公報等に記載されている方法を使用
することもできる。 【0066】中でも、特開昭54−12853号公報お
よび特開昭48−45303号公報に記載されているよ
うに、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電
解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質
量%)であるのが好ましく、また、アルミニウムイオン
濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であ
るのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)
であるのがより好ましい。このような電解液は、例え
ば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸
アルミニウム等を添加することにより調製することがで
きる。 【0067】硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を
行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印
加してもよく、交流を印加してもよい。アルミニウム板
に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜6
0A/dm2 であるのが好ましく、5〜40A/dm2
であるのがより好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う
場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわ
ゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当
初は、5〜10A/m2 の低電流密度で電流を流し、陽
極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2 ま
たはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。連
続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板
に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが
好ましい。このような条件で陽極酸化処理を行うことに
よりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多
孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜5
0nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/
μm2 程度である。 【0068】陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2 である
のが好ましい。1g/m2 未満であると版に傷が入りや
すくなり、一方、5g/m2 を超えると製造に多大な電
力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の
量は、1.5〜4g/m2 であるのがより好ましい。ま
た、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸
化皮膜量の差が1g/m2 以下になるように行うのが好
ましい。 【0069】陽極酸化処理に用いられる電解装置として
は、特開昭48−26638号、特開昭47−1873
9号、特公昭58−24517号の各公報等に記載され
ているものを用いることができる。中でも、図4に示す
装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表
面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板41
6は、図4中矢印で示すように搬送される。電解液41
8が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416
は給電電極420によって(+)に荷電される。そし
て、アルミニウム板416は、給電槽412においてロ
ーラ422によって上方に搬送され、ニップローラ42
4によって下方に方向変換された後、電解液426が貯
溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ4
28によって水平方向に方向転換される。ついで、アル
ミニウム板416は、電解電極430によって(−)に
荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成
され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は
後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410にお
いて、ローラ422、ニップローラ424およびローラ
428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム
板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間
部において、前記ローラ422、424および428に
より、山型および逆U字型に搬送される。給電電極42
0と電解電極430とは、直流電源434に接続されて
いる。 【0070】図4の陽極酸化処理装置410の特徴は、
給電槽412と電解処理槽414とを1枚の槽壁432
で仕切り、アルミニウム板416を槽間部において山型
および逆U字型に搬送したことにある。これによって、
槽間部におけるアルミニウム板416の長さを最短にす
ることができる。よって、陽極酸化処理装置410の全
体長を短くできるので、設備費を低減することがあでき
る。また、アルミニウム板416を山型および逆U字型
に搬送することによって、各槽412および414の槽
壁にアルミニウム板416を通過させるための開口部を
形成する必要がなくなる。よって、各槽412および4
14内の液面高さを必要レベルに維持するのに要する送
液量を抑えることができるので、稼働費を低減すること
ができる。 【0071】<封孔処理>本発明においては、必要に応
じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔
処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処
理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸
アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことがで
きる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平
4−4194号公報、特願平4−33952号明細書
(特開平5−202496号公報)、特願平4−339
51号明細書(特開平5−179482号公報)等に記
載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよ
い。 【0072】<親水化処理>陽極酸化処理後または封孔
処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理として
は、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に
記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米
国特許第3,201,247号明細書に記載されている
ホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,55
9号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特
許第1,091,433号明細書に記載されているポリ
アクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細
書および英国特許第1,230,447号明細書に記載
されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6
409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特
許第3,307,951号明細書に記載されているフィ
チン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開
昭58−18291号公報に記載されている親油性有機
高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許
第3,860,426号明細書に記載されているよう
に、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セ
ルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下
塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に
記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗り
する処理が挙げられる。 【0073】また、特開昭62−019494号公報に
記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号
公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭6
2−097892号公報に記載されているリン酸変性デ
ンプン、特開昭63−056498号公報に記載されて
いるジアミン化合物、特開昭63−130391号公報
に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭
63−145092号公報に記載されているカルボキシ
基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭6
3−165183号公報に記載されているアミノ基とホ
スホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号
公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平
3−215095号公報に記載されているリン酸エステ
ル、特開平3−261592号公報に記載されている1
個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開
平3−215095号公報に記載されているリン酸エス
テル、特開平5−246171号公報に記載されている
フェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン
酸、特開平1−307745号公報に記載されているチ
オサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−
282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグ
ループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げ
られる。更に、特開昭60−64352号公報に記載さ
れている酸性染料による着色を行うこともできる。 【0074】また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアル
カリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性
ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の
下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うの
が好ましい。 【0075】ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金
属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第
2,714,066号明細書および米国特許第3,18
1,461号明細書に記載されている方法および手順に
従って行うことができる。アルカリ金属ケイ酸塩として
は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ
酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶
液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム等を適当量含有してもよい。また、アルカリ金属ケ
イ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第
IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属
塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチ
ウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫
酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸
塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、
例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカ
リウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ
化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウ
ム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙
げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第
IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせ
て用いられる。 【0076】アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着す
るSi量は蛍光X線分析装置により測定することがで
き、その吸着量は約1.0〜15.0mg/m2 である
のが好ましい。このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、
平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐
溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液
中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像
カスの発生を低減することができる。 【0077】また、親水性の下塗層の形成による親水化
処理は、特開昭59−101651号公報および特開昭
60−149491号公報に記載されている条件および
手順に従って行うこともできる。この方法に用いられる
親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルス
ルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等
のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル
酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との
共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親
水性化合物としては、例えば、−NH2 基、−COOH
基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一
つを有する化合物が挙げられる。 【0078】<水洗処理>上述した各処理の工程終了後
には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、
水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持
ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。 【0079】<アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明
の平版印刷版用支持体を得るためには公知のアルミニウ
ム板を用いることができる。本発明に用いられるアルミ
ニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とす
る金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金か
らなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成
分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもでき
る。 【0080】本明細書においては、上述したアルミニウ
ムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をアルミ
ニウム板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含
まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、
マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チ
タン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以
下である。 【0081】このように本発明に用いられるアルミニウ
ム板は、その組成が特定されるものではなく、例えば、
アルミニウムハンドブック第4版(1990年、軽金属
協会発行)に記載されている従来公知の素材、例えば、
JIS A1050、JISA1100、JIS A1
070、Mnを含むJIS A3004、国際登録合金
3103A等のAl−Mn系アルミニウム板を適宜利
用することができる。また、引張強度を増す目的で、こ
れらのアルミニウム合金に0.1質量%以上のマグネシ
ウムを添加したAl−Mg系合金、Al−Mn−Mg系
合金(JISA3005)を用いることもできる。更
に、ZrやSiを含むAl−Zr系合金やAl−Si系
合金を用いることもできる。更に、Al−Mg−Si系
合金を用いることもできる。 【0082】JIS1050材に関しては、本願出願人
によって提案された技術が、特開昭59−153861
号、特開昭61−51395号、特開昭62−1466
94号、特開昭60−215725号、特開昭60−2
15726号、特開昭60−215727号、特開昭6
0−216728号、特開昭61−272367号、特
開昭58−11759号、特開昭58−42493号、
特開昭58−221254号、特開昭62−14829
5号、特開平4−254545号、特開平4−1650
41号、特公平3−68939号、特開平3−2345
94号、特公平1−47545号および特開昭62−1
40894号の各公報に記載されている。また、特公平
1−35910号公報、特公昭55−28874号公報
等に記載された技術も知られている。 【0083】JIS1070材に関しては、本願出願人
によって提案された技術が、特開平7−81264号、
特開平7−305133号、特開平8−49034号、
特開平8−73974号、特開平8−108659号お
よび特開平8−92679号の各公報に記載されてい
る。 【0084】Al−Mg系合金に関しては、本願出願人
によって提案された技術が、特公昭62−5080号、
特公昭63−60823号、特公平3−61753号、
特開昭60−203496号、特開昭60−20349
7号、特公平3−11635号、特開昭61−2749
93号、特開昭62−23794号、特開昭63−47
347号、特開昭63−47348号、特開昭63−4
7349号、特開昭64−1293号、特開昭63−1
35294号、特開昭63−87288号、特公平4−
73392号、特公平7−100844号、特開昭62
−149856号、特公平4−73394号、特開昭6
2−181191号、特公平5−76530号、特開昭
63−30294号および特公平6−37116号の各
公報に記載されている。また、特開平2−215599
号公報、特開昭61−201747号公報等にも記載さ
れている。 【0085】Al−Mn系合金に関しては、本願出願人
によって提案された技術が、特開昭60−230951
号、特開平1−306288号および特開平2−293
189号の各公報に記載されている。また、特公昭54
−42284号、特公平4−19290号、特公平4−
19291号、特公平4−19292号、特開昭61−
35995号、特開昭64−51992号、特開平4−
226394号の各公報、米国特許第5,009,72
2号明細書、同第5,028,276号明細書等にも記
載されている。 【0086】Al−Mn−Mg系合金に関しては、本願
出願人によって提案された技術が、特開昭62−861
43号公報および特開平3−222796号公報に記載
されている。また、特公昭63−60824号、特開昭
60−63346号、特開昭60−63347号、特開
平1−293350号の各公報、欧州特許第223,7
37号、米国特許第4,818,300号、英国特許第
1,222,777号の各明細書等にも記載されてい
る。 【0087】Al−Zr系合金に関しては、本願出願人
によって提案された技術が、特公昭63−15978号
公報および特開昭61−51395号公報に記載されて
いる。また、特開昭63−143234号、特開昭63
−143235号の各公報等にも記載されている。 【0088】Al−Mg−Si系合金に関しては、英国
特許第1,421,710号明細書等に記載されてい
る。 【0089】アルミニウム合金を板材とするには、例え
ば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の
合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常
法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理に
は、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラ
ックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス
処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォー
ムフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、
アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィ
ルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリン
グ処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を
組み合わせた処理が行われる。 【0090】これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介
在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだ
ガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好まし
い。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57
432号、特開平3−162530号、特開平5−14
0659号、特開平4−231425号、特開平4−2
76031号、特開平5−311261号、特開平6−
136466号の各公報等に記載されている。また、溶
湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、
実開平5−49148号公報等に記載されている。本願
出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯
の脱ガスに関する技術を提案している。 【0091】ついで、上述したように清浄化処理を施さ
れた溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、D
C鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳
造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。DC鋳
造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で
凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数
形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚3
00〜800mmの鋳塊を製造することができる。その
鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、
表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削す
る。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行
う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しな
いように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を
行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の
効果が不十分となることがある。 【0092】その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアル
ミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は35
0〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、
またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよ
い。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて2
80〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜5
00℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて
400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜55
0℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて
10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を
細かくすることもできる。 【0093】以上の工程によって、所定の厚さ、例え
ば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板
は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置
によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、ア
ルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよい
が、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状
態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工する
ため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニ
ウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、ア
ルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜に
は、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが
適宜用いられる。 【0094】一方、連続鋳造法としては、双ロール法
(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用い
る方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャス
ターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用
いる方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用い
る場合には、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲
で凝固する。連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に
比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対す
る合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を
有する。連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提
案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−
201166号、特開平5−156414号、特開平6
−262203号、特開平6−122949号、特開平
6−210406号、特開平6−26308号の各公報
等に記載されている。 【0095】連続鋳造を行った場合において、例えば、
ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板
厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することがで
き、熱間圧延の工程を省略することができるというメリ
ットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ベルトを用
いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳
造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロー
ルを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mm
の連続鋳造圧延板が得られる。 【0096】これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造につ
いて説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼鈍、平面性
の改善、スリット等の工程を経て、所定の厚さ、例え
ば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳
造法を用いた場合の中間焼鈍条件および冷間圧延条件に
ついては、本願出願人によって提案された技術が、特開
平6−220593号、特開平6−210308号、特
開平7−54111号、特開平8−92709号の各公
報等に記載されている。 【0097】このようにして製造されるアルミニウム板
には、以下に述べる種々の特性が望まれる。アルミニウ
ム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強
さを得るため、0.2%耐力が140MPa以上である
のが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にも
ある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜1
0分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上
であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより
好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場
合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用す
ることができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフ
ィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質
および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関
して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7
−126820号公報、特開昭62−140894号公
報等に記載されている。 【0098】アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面
化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニ
ウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となる
ことがあるので、表面においてあまり粗大でないことが
好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が2
00μm以下であるのが好ましく、100μm以下であ
るのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ま
しく、また、結晶組織の長さが5000μm以下である
のが好ましく、1000μm以下であるのがより好まし
く、500μm以下であるのが更に好ましい。これらに
関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平
6−218495号、特開平7−39906号、特開平
7−124609号の各公報等に記載されている。 【0099】アルミニウム板の合金成分分布は、化学的
粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アル
ミニウム板の表面の合金成分の不均一な分布に起因して
面質不良が発生することがあるので、表面においてあま
り不均一でないことが好ましい。これらに関して、本願
出願人によって提案された技術が、特開平6−4805
8号、特開平5−301478号、特開平7−1326
89号の各公報等に記載されている。 【0100】アルミニウム板の金属間化合物は、その金
属間化合物のサイズや密度が、化学的粗面化処理や電気
化学的粗面化処理に影響を与える場合がある。これらに
関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平
7−138687号、特開平4−254545号の各公
報等に記載されている。 【0101】本発明においては、上記に示されるような
アルミニウム板をその最終圧延工程において、積層圧
延、転写等により凹凸を付けて用いることもできる。 【0102】本発明に用いられるアルミニウム板は、連
続した帯状のシート材または板材である。即ち、アルミ
ニウムウェブであってもよく、製品として出荷される平
版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉状シ
ートであってもよい。アルミニウム板の表面のキズは平
版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性が
あるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前
の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要があ
る。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい
荷姿であることが好ましい。アルミニウムウェブの場
合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレッ
トにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボ
ールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コ
イル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフ
ェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。
また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材
としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いるこ
とができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定
して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限
るものではない。 【0103】本発明に用いられるアルミニウム板の厚み
は、0.1mm〜0.6mm程度であり、0.15mm
〜0.4mmであるのが好ましく、0.2mm〜0.3
mmであるのがより好ましい。この厚みは、印刷機の大
きさ、印刷版の大きさ、ユーザーの希望等により適宜変
更することができる。 【0104】[平版印刷版原版]本発明の平版印刷版用
支持体には、以下に例示する感光層、感熱層等の画像記
録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができ
る。画像記録層は、特に限定されないが、例えば、コン
ベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイ
プ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サー
マルネガタイプ、無処理タイプが好適に挙げられる。以
下、これらの好適な画像記録層について、詳細に説明す
る。 【0105】<コンベンショナルポジタイプ>コンベン
ショナルポジタイプの感光層を有する本発明の平版印刷
版原版に用いられるポジ型感光性樹脂組成物としては、
露光の前後で現像液に対する溶解性または膨潤性が変化
するものならば使用できるが、その中に含まれる好まし
いものとして、o−キノンジアジド化合物が挙げられ
る。例えば、水不溶性かつアルカリ可溶性の高分子化合
物(以下、「アルカリ可溶性高分子化合物」という。)
とo−キノンジアジド化合物とを含有するポジ型感光性
樹脂組成物の場合、o−キノンジアジド化合物は、少な
くとも一つのo−キノンジアジド基を有する化合物で、
活性光線によりアルカリ水溶液に対する溶解性を増すも
のが好ましい。 【0106】このようなものとしては、種々の構造のも
のが知られており、例えば、J.KOSAR著「Lig
ht−Sensitive Systems」(Joh
nWiley & Sons,Inc,1965年発
行)p.336−352に詳細に記載されている。o−
キノンジアジド化合物としては、特に種々のヒドロキシ
化合物とo−ベンゾキノンジアジドまたはo−ナフトキ
ノンジアジドとを原料とするスルホン酸エステルが好適
である。 【0107】上記のようなo−キノンジアジド化合物と
しては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアル
デヒド樹脂またはクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂と
のエステル;米国特許第3,635,709号明細書に
記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−
5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹
脂とのエステル;特公昭63−13,528号公報に記
載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5
−スルホニルクロライドとレゾルシン−ベンズアルデヒ
ド樹脂とのエステル;特公昭62−44,257号公報
に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ピロガロー
ル・アセトン共縮合樹脂とのエステル; 【0108】特公昭56−45,127号公報に記載さ
れている末端にヒドロキシ基を有するポリエステルに
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニル
クロライドをエステル化させたもの;特公昭50−2
4,641号公報に記載されているN−(4−ヒドロキ
シフェニル)メタクリルアミドのホモポリマーまたは他
の共重合しうるモノマーとの共重合体に1,2−ナフト
キノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエ
ステル化させたもの;特公昭54−29,922号公報
に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−5−スルホニルクロライドとビスフェノール・ホルム
アルデヒド樹脂とのエステル;特公昭52−36,04
3号公報に記載されているp−ヒドロキシスチレンのホ
モポリマーまたは他の共重合しうるモノマーとの共重合
体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホ
ニルクロライドをエステル化させたもの;1,2−ナフ
トキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドと
ポリヒドロキシベンゾフェノンとのエステルがある。 【0109】その他、本発明に使用できる公知のo−キ
ノンジアジド化合物としては、特開昭63−80254
号、特開昭58−5737号、特開昭57−11153
0号、特開昭57−111531号、特開昭57−11
4138号、特開昭57−142635号、特開昭51
−36129号、特公昭62−3411号、特公昭62
−51459号、特公昭51−483号等の各公報に記
載されているもの等を挙げることができる。o−キノン
ジアジド化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形
分に対して、通常、5〜60質量%であり、好ましくは
10〜40質量%である。 【0110】o−キノンジアジド化合物以外の感光性化
合物としては、アルカリ可溶性基を酸分解基で保護した
化合物と光酸発生剤との組み合わせからなる化学増幅系
の感光物(光照射感応性混合物)を用いることができ
る。 【0111】化学増幅系の感光物に用いられる光酸発生
剤としては、公知のものを用いることができる。例え
ば、S.I.Schlesinger,Photog
r.Sci.Eng.,18,387(1974)、
T.S.Bal et al,Polymer,21,
423(1980)等に記載されているジアゾニウム
塩、米国特許第4,069,055号明細書、同4,0
69,056号明細書、特開平3−140140号公報
等に記載されているアンモニウム塩、D.C.Neck
er et al,Macromolecules,1
7,2468(1984)、C.S.Wen et a
l,Teh,Proc.Conf.Rad.Curin
g ASIA,p.478 Tokyo,Oct(19
88)、米国特許第4,069,055号、同4,06
9,056号の各明細書等に記載されているホスホニウ
ム塩、J.V.Crivello et al,Mac
romorecules,10(6),1307(19
77)、Chem.& Eng.News,Nov.2
8,p.31(1988)、欧州特許第104,143
号、米国特許第339,049号、同第410,201
号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−
296514号の各公報等に記載されているヨードニウ
ム塩、J.V.Crivello et al,Pol
ymer J.17,73(1985)、J.V.Cr
ivello et al.J.Org.Chem.,
43,3055(1978)、W.R.Wattet
al,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,22,1789(1984)、
J.V.Crivello et al,Polyme
r Bull.,14,279(1985)、J.V.
Crivello et al,Macromorec
ules,14(5),1141(1981)、J.
V.Crivello et al,J.Polyme
r Sci.,PolymerChem.Ed.,1
7,2877(1979)、欧州特許第370,693
号、米国特許第3,902,114号,欧州特許第23
3,567号、同297,443号、同297,442
号、米国特許第4,933,377号、同410,20
1号、同339,049号、同4,760,013号、
同4,734,444号、同2,833,827号、独
国特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書等に記載されて
いるスルホニウム塩、 【0112】J.V.Crivello et al,
Macromorecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記
載されているセレノニウム塩、C.S.Wen et
al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curi
ng ASIA,p.478 Tokyo,Oct(1
988)等に記載されているアルソニウム塩等のオニウ
ム塩;米国特許第3,905,815号明細書、特公昭
46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭
55−32070号、特開昭60−239736号、特
開昭61−169835号、特開昭61−169837
号、特開昭62−58241号、特開昭62−2124
01号、特開昭63−70243号、特開昭63−29
8339号の各公報等に記載されている有機ハロゲン化
合物;K.Meier et al,J.Rad.Cu
ring,13(4),26(1986)、T.P.G
ill et al,Inorg.Chem.,19,
3007(1980)、D.Astruc,Acc.C
hem.Res.,19(12),377(189
6)、特開平2−161445号公報等に記載されてい
る有機金属/有機ハロゲン化物;S.Hayase e
t al,J.Polymer Sci.,25,75
3(1987)、E.Reichmaniset a
l,J.Pholymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.
Zhu et al,J.Photochem.,3
6,85,39,317(1987)、B.Amit
et al,Tetrahedron Lett.,
(24),2205(1973)、D.H.R.Bar
ton et al,J.ChemSoc.,3571
(1965)、P.M.Collins et al,
J.Chem.Soc.,Perkin I,1695
(1975)、M.Rudinstein et a
l,Tetrahedron Lett.,(17),
1445(1975)、J.W.Walker et
al J.Am.Chem.Soc.,110,717
0(1988)、S.C.Busman et al,
J.ImagingTechnol.,11(4),1
91(1985)、H.M.Houlihan et
al,Macormolecules,21,2001
(1988)、P.M.Collins et al,
J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,
532(1972)、S.Hayase et al,
Macromolecules,18,1799(19
85)、E.Reichmanis et al,J.
Electrochem.Soc.,Solid St
ate Sci.Technol.,130(6)、
F.M.Houlihan et al,Macrom
olcules,21,2001(1988)、欧州特
許第0290,750号、同046,083号、同15
6,535号、同271,851号、同0,388,3
43号、米国特許第3,901,710号、同4,18
1,531号の各明細書、特開昭60−198538
号、特開昭53−133022号の各公報等に記載され
ているo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生
剤; 【0113】M.Tunook et al,Poly
mer Preprints Japan,35
(8)、G.Berner et al,J.Rad.
Curing,13(4)、W.J.Mijs et
al,Coating Technol.,55(69
7),45(1983),Akzo、H.Adachi
etal,Polymer Preprints,J
apan,37(3)、欧州特許第0199,672
号、同84515号、同199,672号、同044,
115号、同0101,122号、米国特許第4,61
8,564号、同4,371,605号、同4,43
1,774号の各明細書、特開昭64−18143号、
特開平2−245756号、特開平4−365048号
(特願平3−140109号明細書)の各公報等に記載
されているイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解
してスルホン酸を発生する化合物;特開昭61−166
544号公報等に記載されているジスルホン化合物を挙
げることができる。 【0114】これらの活性光線または放射線の照射によ
り分解して酸を発生する化合物(光酸発生剤)の添加量
は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常、0.
001〜40質量%であり、0.01〜20質量%であ
るのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ま
しい。 【0115】また、アルカリ可溶性基を酸分解基で保護
した化合物(酸により開裂しうる化合物)は、−C−O
−C−結合または−C−O−Si−結合を有する化合物
であり、以下の例を挙げることができる。 (a)少なくとも一つのオルトカルボン酸エステルおよ
びカルボン酸アミドアセタール群から選ばれるものを含
み、その化合物が重合性を有することができ、上記の群
が主鎖中の架橋要素として、または側方置換基として生
じうるような化合物、(b)主鎖中に反復アセタールお
よびケタール群から選ばれるものを含むオリゴマー性ま
たは重合体化合物、(c)少なくとも一種のエノールエ
ステルまたはN−アシルアミノカーボネート群を含む化
合物、(d)β−ケトエステルまたはβ−ケトアミドの
環状アセタールまたはケタール、(e)シリルエーテル
群を含む化合物、(f)シリルエノールエーテル群を含
む化合物、(g)アルデヒドまたはケトン成分が、現像
剤に対して、0.1〜100g/Lの溶解性を有するモ
ノアセタールまたはモノケタール、(h)第三級アルコ
ール系のエーテル、(i)第三級アリル位またはベンジ
ル位アルコールのカルボン酸エステルおよび炭酸エステ
ル。 【0116】光照射感応性混合物の成分として、酸によ
り開裂しうる化合物である上記(a)の化合物は、独国
特許出願公開第2,610,842号明細書および同第
2,928,636号明細書に記載されている。上記
(b)の化合物を含む混合物は、独国特許第2,30
6,248号明細書および同第2,718,254号明
細書に記載されている。上記(c)の化合物は、欧州特
許出願公開第0,006,626号明細書および同第
0,006,627号明細書に記載されている。上記
(d)の化合物は、欧州特許出願公開第0,202,1
96号明細書に記載されている。上記(e)の化合物
は、独国特許出願公開第3,544,165号明細書お
よび同第3,601,264号明細書に記載されてい
る。上記(f)の化合物は、独国特許出願公開第3,7
30,785号明細書および同第3,730,783号
明細書に記載されている。上記(g)の化合物は、独国
特許出願公開第3,730,783号明細書に記載され
ている。上記(h)の化合物は、例えば、米国特許第
4,603,101号明細書に記載されている。上記
(i)の化合物は、例えば、米国特許第4,491,6
28号明細書およびJ.M.Frechetらの論文
(J.Imaging Sci.30,59−64(1
986))に記載されている。これらのアルカリ可溶性
基を酸分解基で保護した化合物の含有量は、感光性樹脂
組成物の全固形分に対して、通常、1〜60質量%であ
り、好ましくは5〜40質量%である。 【0117】感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性高分
子化合物を含有してもよい。アルカリ可溶性高分子化合
物としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹
脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・
クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、フェノール
変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロ
ゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタクリルアミドの共重合体、ハイドロキノンモ
ノメタクリレート共重合体、特開平7−28244号公
報に記載されているスルホニルイミド系ポリマー、特開
平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基
含有ポリマー等が挙げられる。また、特開昭51−34
711号公報に記載されているようなフェノール性ヒド
ロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866
号に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル
系樹脂や、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性
の高分子化合物も用いることができる。これらのアルカ
リ可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が500〜2
00,000であるのが好ましく、また、数平均分子量
が200〜60,000であるのが好ましい。アルカリ
可溶性高分子化合物は、単独で用いてもよく、2種以上
を組み合わせて使用してもよく、感光性樹脂組成物の全
固形分に対して、80質量%以下の含有量で用いられ
る。 【0118】更に、米国特許第4,123,279号明
細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホ
ルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデ
ヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基
として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物
を併用することは、画像の感脂性を向上させるうえで好
ましい。かかるアルカリ可溶性高分子化合物は、通常、
感光性樹脂組成物の全固形分に対して、90質量%以下
の含有量で用いられる。 【0119】感光性樹脂組成物中には、更に必要に応じ
て、感度を高めるための環状酸無水物、露光後直ちに可
視像を得るための焼き出し剤、画像着色剤としての染
料、その他のフィラー等を加えることができる。 【0120】感光性樹脂組成物中には、感度を高めるた
めに環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加す
るのが好ましい。環状酸無水物としては、米国特許第
4,115,128号明細書に記載されているように無
水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ
無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒ
ドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マ
レイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マ
レイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等があ
る。 【0121】フェノール類としては、ビスフェノール
A、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒド
ロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシ
ベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシ−ト
リフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒド
ロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニ
ルメタン等が挙げられる。 【0122】有機酸類としては、特開昭60−8894
2号公報、特開平2−96755号公報等に記載されて
いる、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸
類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、−リン酸エステル
類、カルボン酸類等があり、具体的には、p−トルエン
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フ
ェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニ
ル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイ
ル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフ
タル酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン
酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコ
ルビン酸等が挙げられる。 【0123】上記の環状酸無水物類、フェノール類およ
び有機酸類の含有量の合計は、感光性樹脂組成物の全固
形分に対して、0.05〜15質量%であるのが好まし
く、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。 【0124】露光後、直ちに可視像を得るための焼き出
し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物
と、酸と塩を形成して色調を変える有機染料との組み合
わせを挙げることができる。 【0125】焼き出し剤に用いられる露光によって酸を
放出する感光性化合物としては、例えば、特開昭50−
36,209号公報に記載されているo−ナフトキノン
ジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド;特開昭53−3
6223号公報に記載されているトリハロメチル−2−
ビロンやトリハロメチル−s−トリアジン;特開昭55
−62444号公報に記載されている種々のo−ナフト
キノンジアジド化合物;特開昭55−77742号公報
に記載されている2−トリハロメチル−5−アリール−
1,3,4−オキサジアゾール化合物;ジアゾニウム塩
等を挙げることができる。これらの化合物は、単独また
は混合して使用することができ、その含有量は、感光性
樹脂組成物の全固形分に対して、0.3〜15質量%で
あるのが好ましい。 【0126】感光性樹脂組成物においては、光分解して
酸性物質を発生する化合物の光分解生成物と相互作用す
ることによってその色調を変える有機染料が、少なくと
も1種以上用いられるのが好ましい。このような有機染
料としては、例えば、ジフェニルメタン系、トリアリー
ルメタン系、チアジン系、オキサジン系、フェナジン
系、キサンテン系、アントラキノン系、イミノナフトキ
ノン系、アゾメチン系の色素を用いることができる。具
体的には次のようなものである。 【0127】ブリリアントグリーン、エオシン、エチル
バイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリ
スタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノール
フタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリ
ンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット
2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、チモールス
ルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレン
ジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7
−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴ
ーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッ
ド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、フエナセタリ
ン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフ
クシン、オイルブルー#603(オリエント化学工業社
製)、オイルピンク#312(オリエント化学工業社
製)、オイルレッド5B(オリエント化学工業社製)、
オイルスカーレット#308(オリエント化学工業社
製)、オイルレッドOG(オリエント化学工業社製)、
オイルレッドRR(オリエント化学工業社製)、オイル
グリーン#502(オリエント化学工業社製)、スピロ
ンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、ビ
クトリアピュアーブルーBOH(保土谷化学工業社
製)、 【0128】パテントピュアーブルー(住友三国化学工
業社製)、スーダンブルーII(BASF社製)、m−
クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミン
B、ローダミン6G、ファーストアッシドバイオレット
R、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチ
ルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシ
アニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフ
トキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒ
ドロオキシエチル−アミノ−フェニルイミノナフトキノ
ン、p−メトキシベンゾイル−p′−ジエチルアミノ−
o′−メチルフェニルイミノアセトアニリド、シアノ−
p−ジエチルアミノフェニルイミノアセトアニリド、1
−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェ
ニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−
p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン
等。 【0129】特に好ましい有機染料は、トリアリールメ
タン系染料である。トリアリールメタン系染料の中で
は、特開昭62−2932471号公報、特願平4−1
12844号明細書(特開平5−313359号公報)
に記載されているような対アニオンとしてスルホン酸化
合物を有するものが特に有用である。 【0130】これらの染料は単独でまたは混合して使用
することができ、その含有量は、感光性樹脂組成物の全
固形分に対して、0.3〜15質量%であるのが好まし
い。また、必要に応じて他の染料、顔料と併用すること
ができ、その使用量は染料および顔料の総質量に対して
70質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下で
あるのがより好ましい。 【0131】<コンベンショナルネガタイプ>コンベン
ショナルネガタイプの感光層を有する本発明の平版印刷
版原版に用いられるネガ型感光性樹脂組成物としては、
例えば、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高
分子化合物(結合剤)とを含有するものが挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるジアゾ樹脂として
は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩と、ホルムアルデヒ
ド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物が挙げら
れる。上記ジアゾ樹脂としては、例えば、p−ジアゾフ
ェニルアミン類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド
等のアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩ま
たはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機
溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩;特公昭47−1167号
公報に記載されているような、前記縮合物と、スルホン
酸塩類、例えば、p−トルエンスルホン酸、プロピルナ
フタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ジ
ブチルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−
5−スルホン酸との反応生成物である有機溶媒可溶性ジ
アゾ樹脂有機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78
340号公報に記載されている6量体以上を20モル%
以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。ま
た、特開昭58−27141号公報に記載されているよ
うな3−メトキシ−4−ジアゾ−ジフェニルアミンを
4,4′−ビス−メトキシ−メチル−ジフェニルエーテ
ルで縮合させメシチレンスルホン酸塩としたもの等も適
当である。更に、特公昭49−48001号公報に記載
されている芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂や、特開
平2−29650号公報に記載されている酸基を有する
芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂も好ましく用いられ
る。また、特開平4−18559号公報に記載されてい
る酸基を有するアルデヒドまたはアセタール化合物で縮
合されたジアゾ樹脂も同様に好ましく用いることができ
る。更に、カルボキシ基、スルホ基、スルフィン酸基、
リンの酸素酸基およびヒドロキシ基からなる群から選ば
れる少なくとも一つの有機基を有する芳香族化合物と、
ジアゾニウム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウム化
合物とを構造単位として含む共縮合体も好ましい。な
お、これらのジアゾ樹脂は、単独で用いてもよく、2種
以上の混合物として用いてもよい。ジアゾ樹脂の含有量
は、感光層の全固形分に対して、1〜70質量%である
のが好ましく、3〜60質量%であるのがより好まし
い。 【0132】ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるアル
カリ可溶性または膨潤性の高分子化合物としては、酸含
有量が好ましくは0.1〜5.0meq/g、より好ま
しくは0.2〜3.0meq/gであり、実質的に水不
溶性(即ち、中性または酸性の水溶液に不溶性)で、皮
膜形成性を有する有機高分子化合物であって、アルカリ
現像液に溶解しまたは膨潤することができ、かつ、上述
したジアゾ樹脂の共存下で光硬化して上記現像液に不溶
化しまたは非膨潤化するものが好ましい。酸含有量が
0.1meq/g未満であると、現像が困難となる場合
があり、5.0meq/gを超えると、現像時の画像強
度が著しく弱くなる場合がある。 【0133】特に好適な結合剤としては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分
として含む共重合体、例えば、特開昭50−11880
2号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、
(メタ)アクリル酸、および、必要に応じて用いられる
他の共重合可能なモノマーからなる多元共重合体、特開
昭53−120903号公報に記載されているような末
端がヒドロキシ基であり、かつ、ジカルボン酸エステル
残基を含む基でエステル化された(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸、および、必要に応じて用いられる
他の共重合可能なモノマーからなる多元共重合体、特開
昭54−98614号公報に記載されているような芳香
族性ヒドロキシ基を末端に有する単量体(例えば、N−
(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等)、
(メタ)アクリル酸、および、必要に応じて用いられる
ヒドロキシスチレン類、アミノスルホニルフェニル基を
有する(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸
エステル類等の他の共重合可能なモノマーからなる多元
共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されてい
るようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニト
リル、および、不飽和カルボン酸からなる多元共重合体
を挙げることができる。 【0134】また、結合剤としては、酸性ポリビニルア
ルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も有用である。
また、ポリビニルアセタールやポリウレタンをアルカリ
可溶化した特公昭54−19773号、特開昭57−9
4747号、同60−182437号、同62−582
42号および同62−123453号の各公報に記載さ
れている結合剤も有用である。 【0135】結合剤の分子量は0.5〜20万であるの
が好ましく、2〜15万であるのがより好ましい。これ
らの結合剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して
用いてもよい。 【0136】感光層におけるジアゾ樹脂および結合剤の
含有量は、これら両者の総量を基準にして、ジアゾ樹脂
が3〜60質量%であり、結合剤が97〜40質量%で
あるのが適当である。ジアゾ樹脂の含有量は、少ない方
が感度は高いが、3質量%未満であると、結合剤を光硬
化させるためには不十分となり、現像時に光硬化膜が現
像液によって膨潤し、膜が弱くなる。逆に、ジアゾ樹脂
の含有量が60質量%を超えると、感度が低くなり、実
用上難点が出てくる。好ましくは、ジアゾ樹脂が5〜4
0質量%であり、結合剤が95〜60質量%である。 【0137】上記感光性樹脂組成物の各成分を溶解する
溶媒に溶かして、本発明の平版印刷版用支持体上に塗布
することによって、本発明の平版印刷版原版が得られ
る。溶媒は、アルカリ可溶性高分子化合物を含有する中
間層を設ける場合には、アルカリ可溶性高分子化合物を
溶解しないものが選択される。具体的には、例えば、γ
−ブチロラクトン、エチレンジクロライド、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2
−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテー
ト、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒ
ドロフルフリルアルコール、アセトン、ジアセトンアル
コール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびこれらの
溶媒の混合物から適切に選択して使用することができ
る。 【0138】上記成分の濃度(固形分)は、2〜50質
量%であるのが適当である。塗布量(固形分)としては
0.5〜4.0g/m2 であるのが好ましい。0.5g
/m 2 よりも少ないと、耐刷性が劣化する場合がある。
4.0g/m2 よりも多いと、耐刷性は向上するが、感
度が低下してしまう場合がある。 【0139】感光性樹脂組成物中には、塗布性を向上さ
せるための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。フッ素系界面活性剤の添加量
は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜
1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%
であるのがより好ましい。 【0140】なお、上述したコンベンショナルネガタイ
プの感光層の下層としては、特開2000−10546
2号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオ
ニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含
有する中間層を設けることができる。 【0141】<フォトポリマータイプ> (感光層)フォトポリマータイプの感光層を有する本発
明の平版印刷版原版に用いられる光重合型感光性組成物
(以下「光重合性組成物」という。)は、付加重合可能
なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチ
レン性不飽和結合含有化合物」という。)と、光重合開
始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要
に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化
合物を含有する。 【0142】光重合性組成物に含有されるエチレン性不
飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照
射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合
し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有す
る化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、
末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましく
は2個以上有する化合物の中から任意に選択することが
でき、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量
体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これ
らの共重合体等の化学的形態を有する。 【0143】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド
が挙げられる。脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カ
ルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、ア
クリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エ−テ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソル
ビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリ
レート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトー
ルヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリ
ゴマー等が挙げられる。 【0144】また、メタクリル酸エステルとして、テト
ラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレン
グリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタン
ジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタク
リレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリス
リトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトー
ルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス[p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ジメ
チルメタン、ビス−[p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル]ジメチルメタン等が挙げられる。 【0145】また、イタコン酸エステルとして、エチレ
ングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジ
イタコネート、1,5−ブタンジオールジイタコネー
ト、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメ
チレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトー
ルジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等
が挙げられる。また、クロトン酸エステルとして、エチ
レングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコ
ールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネ
ート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられ
る。また、イソクロトン酸エステルとしては、エチレン
グリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトール
ジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネ
ート等が挙げられる。また、マレイン酸エステルとし
て、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリ
コールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、
ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。また、本
発明においては、これらのエステルモノマーの混合物を
用いることもできる。 【0146】脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン
酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビ
ス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、
1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエ
チレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレシビ
スアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等
が挙げられる。 【0147】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
下記一般式(A)で表されるヒドロキシ基を有するビニ
ルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性
ビニル基を有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。 【0148】 CH2 =C(R)COOCH2 CH(R′)OH (A) (上記式(A)中、RおよびR′は、それぞれHまたはCH3 を表す。) 【0149】また、特開昭51−37193号公報およ
び特公平2−32293号公報に記載されているような
ウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、
特公昭49−43191号、特公昭52−30490号
の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレ
ート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させ
たエポキシアクリレート類等の多官能の(メタ)アクリ
レートを挙げることができる。更に、日本接着協会誌V
o1.20,No.7,p.300−308(1984
年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介さ
れているものも使用することができる。 【0150】これらのエチレン性不飽和結合含有化合物
の含有量は、光重合性組成物の全固形分に対して、5〜
80質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であ
るのがより好ましい。 【0151】光重合性組成物に含有される光重合開始剤
としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で
公知である種々の光重合開始剤または2種以上の光重合
開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いること
ができる。以下に光重合開始剤の具体例を列挙するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。400nm
以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2
高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合に、
種々の光開始系が提案されている。例えば、米国特許第
2,850,445号明細書に記載されているある種の
光還元性染料、例えば、ローズベンガル、エオシン、エ
リスロジン;染料と開始剤との組み合わせによる系、例
えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−201
89号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカ
ル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号
公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキ
ルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−252
8号公報および特開昭54−155292号公報)、環
状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭4
8−84183号公報)、環状トリアジンとメロシアニ
ン色素の系(特開昭54−151024号公報)、3−
ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681
号公報および特開昭58−15503号公報)、ビイミ
ダジール、スチレン誘導体およびチオールの系(特開昭
59−140203号公報)、有機過酸化物と色素の系
(特開昭59−1504号、特開昭59−140203
号、特開昭59−189340号、特開昭62−174
203号、特公昭62−1641号の各公報、米国特許
第4,766,055号明細書)、染料と活性ハロゲン
化合物の系(特開昭63−258903号公報、特開平
2−63054号公報等)、染料とボレート化合物の系
(特開昭62−143044号、特開昭62−1502
42号、特開昭64−13140号、特開昭64−13
141号、特開昭64−13142号、特開昭64−1
3143号、特開昭64−13144号、特開昭64−
17048号、特開平1−229003号、特開平1−
298348号、特開平1−138204号の各公報
等)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系
(特開平2−179643号公報および特開平2−24
4050号公報)、チタノセンと3−ケトクマリン色素
の系(特開昭63−221110号公報)、チタノセン
とキサンテン色素更にアミノ基またはウレタン基を含む
エチレン性不飽和結合含有化合物を組み合わせた系(特
開平4−221958号公報および特開平4−2197
56号公報)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の
系(特開平6−295061号公報)、チタノセンとベ
ンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−33489
7号公報)等を挙げることができる。 【0152】また、近年、400〜410nmの波長の
レーザー(バイオレットレーサー)が開発され、それに
感応する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系
が開発されており、本発明にはこれらの光開始系を用い
ることもできる。例えば、カチオン色素/ボレート系
(特開平11−84647号公報)、メロシアニン色素
/チタノセン系(特開2000−147763号公
報)、カルバゾール型色素/チタノセン系(特願平11
−221480号明細書(特開2001−42524号
公報))等を挙げることができる。本発明においては、
特にチタノセン化合物を用いた系が感度の点で優れてい
るので、好適に用いられる。 【0153】チタノセン化合物としては、種々のものを
用いることができるが、例えば、特開昭59−1523
96号公報および特開昭61−151197号公報に記
載されている各種チタノセン化合物から適宜選んで用い
ることができる。具体的には、ジ−シクロペンタジエニ
ル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル
−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−
Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェ
ニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス
−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−
トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエ
ニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−
イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4
−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペ
ンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テト
ラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタ
ジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1
−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,
6′−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−
1−イル等を挙げることができる。 【0154】チタノセン化合物と組み合わせる色素とし
て好ましいものは、シアニン系、メロシアニン系、キサ
ンテン系、ケトクマリン系、ベンゾピラン系の色素であ
る。シアニン系色素は、特に限定されないが、下記の構
造を有するものが好適に例示される。 【0155】 【化1】 【0156】(式中、Z1 およびZ2 は、それぞれ独立
に、ベンゾイミダゾール環またはナフトイミダゾール環
を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R11、
R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、置換されて
いてもよいアルキル基を表す。X-は対アニオンを表
す。nは、0または1を表す。) 以下にシアニン系色素の具体例を示す。 【0157】 【化2】 【0158】メロシアニン系色素は、特に限定されない
が、下記の構造を有するものが好適に例示される。 【0159】 【化3】【0160】(式中、Z3 およびZ4 は、それぞれシア
ニン色素で通常用いられる5員環および/または6員環
の含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表
す。R15およびR16は、それぞれアルキル基を表す。Q
1 とQ2 は、それぞれ互いに組み合わせることにより、
4−チアゾリジノン環、5−チアゾリジノン環、4−イ
ミダゾリキノン環、4−オキサゾリジノン環、5−オキ
サゾリジノン環、5−イミダゾリジノン環または4′−
ジチオラノン環を形成するのに必要な原子群を表す。L
1 、L2 、L3 、L4 およびL5 は、それぞれメチン基
を表す。mは1または2を表す。hおよびiは、それぞ
れ独立に、0または1を表す。lは1または2を表す。
jおよびkは、それぞれ0〜3の整数を表す。X- は対
アニオンを表す。) 【0161】 【化4】 【0162】(式中、R17およびR18は、それぞれ独立
に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
ル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニ
ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、置換アリ
ール基またはアラルキル基を表す。Z6 は、酸素原子、
硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキル置換もし
くはアリール置換された窒素原子、またはジアルキル置
換された炭素原子を表す。Z5 は、含窒素ヘテロ5員環
を形成するのに必要な非金属原子群を表す。B1は、置
換フェニル基、無置換のもしくは置換された多核芳香
環、または、無置換のもしくは置換されたヘテロ芳香環
を表す。B2 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アル
コキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミ
ノ基、アシル基またはアルコキシカルボニル基を表す。
B1 とB2 は、互いに結合して環を形成していてもよ
い。)以下にメロシアニン系色素の具体例を示す。 【0163】 【化5】 【0164】 【化6】【0165】キサンテン系色素としては、例えば、ロー
ダミンB、ローダミン6G、エチルエオシン、アルコー
ル可溶性エオシン、ピロニンY、ピロニンBを挙げるこ
とができる。 【0166】ケトクマリン系色素は、特に限定されない
が、下記の構造を有するものが好適に例示される。 【0167】 【化7】 【0168】(式中、R19、R20およびR23は、それぞ
れ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または
アルコキシ基を表す。R22およびR23は、それぞれ独立
に、アルキル基を表すが、少なくとも一方が炭素数4〜
16個のアルキル基を表すのが好ましい。R20とR21、
および、R22とR23は、互いに結合して環を形成してい
てもよい。R24は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アシル基、シアノ基、カルボキシ基、またはそのエ
ステル誘導体もしくはアミド誘導体の基を表す。R
25は、炭素原子数3〜17の複素環残基−CO−R26を
表す。R26は、 【0169】 【化8】 【0170】を表す。) 以下にケトクマリン系色素の具体例を示す。 【0171】 【化9】【0172】ベンゾピラン系色素は、特に限定されない
が、下記の構造を有するものが好適に例示される。 【0173】 【化10】 【0174】(式中、R27〜R29は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒ
ドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基を表す。R27
〜R29は、それらがそれぞれ結合することができる炭素
原子とともに、非金属原子からなる環を形成していても
よい。R30〜R32は、それぞれ独立に、水素原子、アル
キル基、アリール基、ヘテロ芳香族基、シアノ基、アル
コキシ基、カルボキシ基またはアルケニル基を表す。R
29は、R31と同じであってもよいし、Z9 を介してR31
と同じ基がつながったものでもよい。Z9 はカルボニル
基、スルホニル基、スルフィニル基またはアリーレンジ
カルボニル基を表す。また、R31およびR 32は、ともに
非金属原子からなる環を形成していてもよい。Z7 は
O、S、NHまたは置換基を有する窒素原子を表す。Z
8 は、 【0175】 【化11】 【0176】を表す。G1 およびG2 は、それぞれ独立
に、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ア
リールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボ
ニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基またはフルオロスル
ホニル基を表す。ただし、G1 とG2 は同時に水素原子
を表すことはない。また、G1 およびG2 は、炭素原子
とともに非金属原子からなる環を形成していてもよ
い。) 以下にベンゾピラン系色素の具体例を示す。 【0177】 【化12】【0178】更に、光重合性組成物は、上記光重合開始
剤に加えて、必要に応じて、2−メルカプトベンスチア
ゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メル
カプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フ
ェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アル
キルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物を
含有することができる。水素供与性化合物を含有するこ
とにより、更に光重合開始能力が向上することが知られ
ている。 【0179】これらの光重合開始剤(系)の含有量は、
上記エチレン性不飽和結合含有化合物100質量部に対
し、0.05〜100質量部であるのが好ましく、0.
1〜70質量部であるのがより好ましく、0.2〜50
質量部であるのが更に好ましい。 【0180】光重合性組成物に含有される高分子結合剤
は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけで
なく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要がある
ため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分
子重合体が使用される。このような有機高分子重合体と
して、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水
現像が可能になる。このような有機高分子重合体として
は、側鎖にカルボキシ基を有する付加重合体、例えば、
特開昭59−44615号、特公昭54−34327
号、特公昭58−12577号、特公昭54−2595
7号、特開昭54−92723号、特開昭59−538
36号および特開昭59−71048号の各公報に記載
されているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリ
ル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合
体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共
重合体等が挙げられる。 【0181】また、高分子結合剤としては、側鎖にカル
ボキシ基を有する酸性セルロース誘導体を用いることも
できる。また、ヒドロキシ基を有する付加重合体に環状
酸無水物を付加させたものも有用である。 【0182】中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート
/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合
性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。ま
た、水溶性有機高分子重合体として、ポリビニルピロリ
ドン、ポリエチレンオキサイド等が有用である。また、
硬化皮膜の強度を向上させるためには、アルコール可溶
性ポリアミド、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル
等も有用である。また、特公平7−120040号、特
公平7−120041号、特公平7−120042号、
特公平8−12424号、特開昭63−287944
号、特開昭63−287947号、特開平1−2717
41号、特開平11−352691号の各公報に記載さ
れているポリウレタン樹脂も有用である。 【0183】これらの有機高分子重合体には、側鎖にラ
ジカル反応性基を導入することにより、硬化皮膜の強度
を向上させることができる。付加重合反応しうる官能基
として、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ
基等が、光照射によりラジカルになりうる官能基とし
て、メルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリア
ジン構造、オニウム塩構造等が、極性基として、カルボ
キシ基、イミド基等がそれぞれ挙げられる。付加重合反
応しうる官能基としては、アクリル基、メタクリル基、
アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合基が特
に好ましいが、アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸
基、リン酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウ
レイド基、ウレイレン基、スルホ基およびアンモニオ基
からなる群から選ばれる官能基も有用である。 【0184】光重合性組成物の現像性を維持するために
は、本発明における高分子結合剤は適当な分子量および
酸価を有するのが好ましい。重量平均分子量は、500
0〜30万であるのが好ましく、また、酸価は20〜2
00であるのが好ましい。 【0185】高分子結合剤は光重合性組成物中に任意の
量を混和させることができるが、光重合性組成物の全固
形分に対し、10〜90質量%であるのが好ましく、3
0〜80質量%であるのがより好ましい。90質量%を
超えると、形成される画像強度等の点で好ましくない。
また、エチレン性不飽和結合含有化合物と高分子結合剤
との質量比は、1/9〜9/1であるのが好ましく、2
/8〜8/2であるのがより好ましく、3/7〜7/3
であるのが更に好ましい。 【0186】光重合性組成物は、以上の必須成分のほか
に、光重合性組成物の製造中または保存中においてエチ
レン性不飽和結合含有化合物の不要な熱重合を阻止する
ために、少量の熱重合禁止剤を含有するのが好ましい。
好適な熱重合禁止剤としては、ハロイドキノン、p−メ
トキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、
4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキ
シルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒド
ロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合
禁止剤の含有量は、光重合性組成物の全固形分に対し
て、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。 【0187】また、光重合性組成物には、必要に応じ
て、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸や
ベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を含有させ
て、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体等の含有は、光重合性組成物の
全固形分に対して、約0.5〜約10質量%であるのが
好ましい。 【0188】更に、光重合性組成物には、感光層の着色
を目的として、着色剤を含有させてもよい。着色剤とし
ては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pig
ment Blue 15:3、15:4、15:6
等)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の
顔料;エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、
アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料等の
染料が挙げられる。着色剤の含有量は、光重合性組成物
の全固形分に対して、約0.5〜約20質量%であるの
が好ましい。また、光重合性組成物には、硬化皮膜の物
性を改良するため、無機充填剤;ジオクチルフタレー
ト、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等
の可塑剤等の添加剤を含有させてもよい。これらの含有
量は、光重合性組成物の全固形分に対して、10質量%
以下であるのが好ましい。 【0189】光重合性組成物は、後述する接着層上に塗
布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に供され
る。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライ
ト、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロ
ヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコール
エチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイ
ソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキ
シメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノエチルエーテルアセテート−3−メトキシプロピル
アセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸
エチル等が挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは
混合して使用することができる。塗布溶液の濃度(固形
分)は、1〜50質量%であるのが好ましい。光重合性
組成物には、塗布面質を向上させるために、界面活性剤
を含有させることができる。 【0190】感光層の被覆量(固形分)は、約0.1〜
約10g/m2 であるのが好ましく、0.3〜5g/m
2 であるのがより好ましく、0.5〜3g/m2 である
のが更に好ましい。 【0191】また、通常、上記感光層の上には、酸素の
重合禁止作用を防止するために、酸素遮断性保護層が設
けられる。酸素遮断性保護層に含有される水溶性ビニル
重合体としては、ポリビニルアルコール、その部分エス
テル、エ−テル、アセタール、それらに必要な水溶性を
有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコール単
位を含有するその共重合体が挙げられる。ポリビニルア
ルコールとしては、71〜100%加水分解され、重合
度が300〜2400のものが挙げられる。具体的に
は、クラレ社製のPVA−105、PVA−110、P
VA−117、PVA−117H、PVA−120、P
VA−124、PVA−124H、PVA−CS、PV
A−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−
204、PVA−205、PVA−210、PVA−2
17、PVA−220、PVA−224、PVA−21
7EE、PVA−220、PVA−224、PVA−2
17EE、PVA−217E、PVA−220E、PV
A−224E、PVA−405、PVA−420、PV
A−613、L−8等が挙げられる。上記の共重合体と
しては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセ
テートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビ
ニルホルマール、ポリビニルアセタール、それらの共重
合体が挙げられる。その他の有用な重合体としては、ポ
リビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴムが挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。 【0192】酸素遮断性保護層を塗布する際に用いる溶
媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類等を純水と混合して用いてもよい。塗布溶液
の濃度(固形分)は、1〜20質量%であるのが好まし
い。酸素遮断性保護層には、更に塗布性を向上させるた
めの界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の
可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。水溶性の可塑
剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサ
ンジオール、グリセリン、ソルビトールが挙げられる。
また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマー等を添加し
てもよい。酸素遮断性保護層の被覆量は、乾燥後の質量
で、約0.1〜約15g/m2 であるのが好ましく、約
1.0〜約5.0g/m2 であるのがより好ましい。 【0193】(接着層)フォトポリマータイプの感光層
の下層として、以下に示す接着層を設けるのは、本発明
の好ましい態様の一つである。接着層は、アルケニル
基、アルキニル基等のラジカルによって付加反応を起こ
しうる官能基(以下「付加反応性官能基」という。)を
有するシリコーン化合物を含有する。接着層の塗設は、
下記式(1)で表される有機シリコーン化合物(以下
「有機シリコーン化合物(1)」という。)を用いて、
平版印刷版用支持体の表面を処理することにより、支持
体表面の金属、金属酸化物、水酸化物、−OH基、支持
体の化成処理によって形成されるシラノール基等と反応
させて、有機シリコーン化合物と支持体表面との間に共
有結合を形成させ、下記式(2)で表される官能基を支
持体表面に結合させ、または植え付ければよい。 【0194】R1 Si(OR2 )3 (1) (上記式(1)中、R1 は付加反応性官能基を表す。O
R2 は加水分解可能なアルコキシ基または−OCOCH
3 基を表す。) (R3 O)2 (R1 )Si− (2) (上記式(2)中、R3 はR2 と同種もしくは異種のア
ルキル基、水素原子または隣接する別のSi原子との結
合を表す。) 【0195】また、有機シリコーン化合物(1)の代わ
りに、付加反応性官能基(R1 )が中央のSi原子に2
個以上結合している下記式(1a)または(1b)で表
される有機シリコ−ン化合物を用いることもできる。 (R1 )2 Si(OR2 )2 (1a) (R1 )3 SiOR2 (1b) 【0196】また、付加反応性官能基(R1 )が−O−
を介して中央のSi原子に結合する官能基である場合
は、有機シリコーン化合物(1)の代わりに、下記式
(1c)で表される有機シリコーン化合物を用いること
もできる。 (R1 )4 Si (1c) 【0197】有機シリコーン化合物は、中央のSi原子
に結合する1〜4個のR1 のうち少なくとも1個が加水
分解されずに残っている状態で平版印刷版用支持体に塗
布される。有機シリコーン化合物を平版印刷版用支持体
上に塗設する際、そのまま用いてもよく、適当な溶媒で
希釈して用いてもよい。平版印刷版用支持体上で有機シ
リコーン化合物をより強固に結合させるために、水およ
び/または触媒を加えることができる。溶媒としては、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等の
アルコール類が好適に例示され、また、触媒としては、
塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の酸;アンモニア、テトラ
メチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基が好適に例示
される。 【0198】平版印刷版用支持体上の付加反応性官能基
の量は、結合させる付加反応性官能基の種類によって異
なるが、通常、10nm2 あたり0.01〜1000個
であり、0.05〜200個であるのが好ましく、0.
1〜50個であるのがより好ましい。付加反応性官能基
量が10nm2 あたり0.01個未満であると、十分な
光接着強度が得られにくい。有機シリコーン化合物を厚
く塗り重ねることによって、10nm2 あたりの付加反
応性官能基量を実質的にいくらでも多くすることができ
るが、最表面に露出した状態で存在させることのできる
付加反応性官能基量は10nm2 あたり高々10個であ
るので、厚く塗り過ぎても無駄になる。付加反応性官能
基量が多すぎて、非画像部の親水性が不足しないように
するためには、10nm2 あたりの付加反応性官能基の
量を1000個以下とするのが好ましい。 【0199】したがって、有機シリコーン化合物を希釈
する溶媒の種類と量、支持体表面上での加水分解用に加
える水の量(添加する場合)、支持体表面上での加水分
解を促進するための触媒の種類および量(添加する場
合)、有機シリコーン化合物の溶液を支持体上に施用す
る方法、支持体に施用した後の乾燥雰囲気、乾燥温度、
乾燥時間等のプロセスパラメータを種々変更し、支持体
表面に保持される付加反応性官能基の量が上記範囲とな
るように制御することが必要である。支持体表面に保持
される付加反応性官能基の量は、接着層を設けた後の支
持体表面をケイ光X線分析法、赤外線吸収法等の適当な
方法で測定し、表面に存在するSi原子量の定量、炭素
−炭素の多重結合量の定量等を行うことによって決定す
ることができる。 【0200】本発明においては、有機シリコーン化合物
(1)のみを用いて支持体表面に接着層を塗設しただけ
では、平版印刷版としたときに印刷汚れを生じる場合が
ある。本発明の平版印刷版用支持体に、付加反応性官能
基により結合した接着層を設け、更に光重合性組成物を
塗布して感光層を設け、これに像様露光して画像通りの
界面光接着を起こさせ、現像液で未露光部を取り去るこ
とにより、支持体上には光のパターン通りの光重合密着
膜が残る。これにインクと水を塗ると、インクは光重合
接着した像様露光部に、水は未露光部にそれぞれ付着す
るが、上記有機シリコーン化合物を単独で使用した場合
には、水が付着するべき未露光部に過剰の有機官能基が
存在して水のほかにインクも付着し、印刷物上に汚れと
なって観察されることがある。 【0201】そこで、この印刷汚れを防ぐために、平版
印刷版用支持体の表面上に付加反応性官能基(R1 )の
ほかにヒドロキシ基を多く固定して、親水性を強くする
ことが好ましい。好ましくは、平版印刷版用支持体の表
面への付加反応性官能基の結合において、有機シリコー
ン化合物(1)のほかに、下記式(3)で表される有機
シリコーン化合物(以下「有機シリコーン化合物
(3)」という。)を併用し、支持体表面に上記式
(2)で表される反応サイトを結合すると同時に、下記
式(4)で表される親水性サイトを結合することが好ま
しい。 【0202】Si(OR4 )4 (3) (上記式(3)中、−OR4 は加水分解可能なアルコキ
シ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基また
は−OCOCH3 基である。R4 はR2 と同じであって
も、異なっていてもよい。) (R3 O)2 (OH)Si− (4) (上記式(4)中、R3 はアルキル基、水素原子または
隣接する別のSi原子との結合を表す。) 【0203】上記式(4)においては、R3 が水素原子
であるのが親水性の面からは最も好ましい。なお、R3
が水素原子以外のものである場合は、必要に応じて、表
面をアルカリ溶液で洗うことによって、親水性を高める
ことができる。 【0204】有機シリコーン化合物(1)と有機シリコ
ーン化合物(3)との混合比は、支持体の性状によって
それぞれのものの支持体表面への結合(植えつけ)効率
が変動するため、一概に好適な範囲を決めることができ
ない。しかし、具体的には、両者の比を種々に変えて接
着層を設け、付加反応性官能基R1 に基づく光接着性
と、上記式(4)で示される部分構造に由来する親水性
とが両立する条件を実験的に確定して使用することにな
る。いずれにしても、付加反応性官能基の量が上記範囲
となるようにすればよい。具体的には、有機シリコーン
化合物(1)に対する有機シリコーン化合物(3)の混
合モル比は、0.05〜500であるのが好ましく、
0.2〜200であるのがより好ましく、1〜100で
あるのが更に好ましい。また、上記範囲で、有機シリコ
ーン化合物(3)に由来する親水性基の量を多くすれば
するほど非画像部の親水性が増す。ただし、親水性基の
密度が低い場合でも、付加反応性官能基を親水化処理す
ることによって親水性基の密度を向上させることができ
る。 【0205】平版印刷版用支持体の表面への付加反応性
官能基の結合には、大別すると、上述したように、有機
シリコーン化合物をそのまま用いる方法(以下「SC
法」という。)と、有機シリコーン化合物を加水分解す
るとともに重縮合させて得られた−Si−O−Si−結
合を含む無機高分子に付加反応性官能基が固定された形
の有機無機複合体を用いる方法(以下「SG法」とい
う。)とがある。この有機無機複合体を平版印刷版用支
持体に塗布して乾燥させると、無機高分子部分が支持体
と密着し、付加反応性官能基はそのまま支持体表面に残
る。 【0206】SC法の場合、平版印刷版用支持体の表面
における付加反応性官能基の結合位置は支持体表面上の
特定の性質をもった位置となりやすく、支持体表面上に
一様に分布させるのが困難な場合がある。つまり、特定
の酸点や塩基点においてのみSi原子との間の共有結合
が形成され、付加反応性官能基の分布が平版印刷版用支
持体表面の酸点や塩基点の分布に支配されやすい。した
がって、光接着強度や非画像部親水性にムラを生じる場
合がある。こうした状況のときはSG法を用いるのが有
利である。 【0207】細かく見れば、上述したSC法、SG法の
ほかに、中間の態様、例えば、有機シリコーン化合物
(1)中のOR2 の一部または全部が加水分解して2分
子または3分子が結合した形の有機シリコーン化合物を
出発原料として用いることもできる。 【0208】SG法によれば、有機シリコーン化合物
(1)を、必要に応じて、有機シリコーン化合物(3)
と所望の混合比に混合し、液中で、必要により触媒の存
在下で、付加反応性官能基R1 では反応を起こさせずに
−OR2 および−OR4 で加水分解させるとともに重縮
合反応を行わせて、中心のSi原子が−Si−O−Si
−結合でつながった無機高分子を含む液状組成物とし
て、これを平版印刷版用支持体表面に塗布し、必要に応
じて、乾燥させることによって、支持体上に付加反応性
官能基を結合することができる。SG法を用いると、平
版印刷版用支持体の表面上に結合固定される付加反応性
官能基の分布が支持体表面の酸点や塩基点等の化学的な
性質の分布に左右されることが少ない。また、出発原料
として有機シリコーン化合物(1)と有機シリコーン化
合物(3)とを併用する場合、上記式(2)で示される
付加反応性官能基サイトと上記式(4)で示される親水
性サイトとの相対比が有機シリコーン化合物(1)と有
機シリコーン化合物(3)の仕込み比でほぼ決められる
ため、最適表面を得るための処方決定の道筋がSC法よ
りも整然とするという利点がある。 【0209】有機シリコーン化合物(1)の具体例とし
ては、以下のものを挙げることができる。 CH2 =CH−Si(OCOCH3 )3 、 CH2 =CH−Si(OC 2H5 )3 、 CH2 =CH−Si(OCH3 )3 、 CH2 =CHCH2 −Si(OC 2H5 )3 、 CH2 =CHCH2 NH(CH2 )3 −Si(OC
H3 )3 、 CH2 =CHCOO−(CH2 )3 −Si(OCH3 )
3 、 CH2 =CHCOO−(CH2 )3 −Si(OC
2H5 )3 、 CH2 =C(CH3 )COO−(CH2 )3 −Si(O
CH3 )3 、 CH2 =C(CH3 )COO−(CH2 )3 −Si(O
C 2H5 )3 、 CH2 =C(CH3 )COO−(CH2 )4 −Si(O
CH3 )3 、 CH2 =C(CH3 )COO−(CH2 )5 −Si(O
CH3 )3 、 CH2 =CHCOO−(CH2 )4 −Si(OCH3 )
3 、 (CH2 =C(CH3 )COO−(CH2 )3 )2 −S
i(OCH3 )2 、 CH2 =C(CH=CH2 )−Si(OCH3 )3 、 CH2 =CH−SO2 NH−(CH2 )3 −Si(OC
H3 )3 、 CH2 =CH−ph−O−Si(OCH3 )3 (式中、phは、ベンゼン環を示す。以下同じ。)、 CH2 =CH−ph−CONH−(CH2 )3 −Si
(OCH3 )3 、 CH2 =CH−ph−CH2 NH−(CH2 )3 −Si
(OCH3 )3 、 HC≡C−Si(OC 2H5 )3 、 CH3 C≡C−Si(OC 2H5 )3 、 【0210】 【化13】 【0211】CH2 =CHCH2 O−Si(OCH3 )
3 、 (CH2 =CHCH2 O)4 Si 、 HO−CH2 −C≡C−Si(OC 2H5 )3 、 CH3 CH2 CO−C≡C−Si(OC 2H5 )3 、 CH2 =CHS−(CH2 )3 −Si(OCH3 )3 、 CH2 =CHCH2 O−(CH2 )2 −SCH2 −Si
(OCH3 )3 、 CH2 =CHCH2 S−(CH2 )3 −S−Si(OC
H3 )3 、 (CH3 )3 CCO−C≡C−Si(OC 2H5 )3 、 (CH2 =CH)2 N−(CH2 )2 −SCH2 −Si
(OCH3 )3 、 CH3 COCH=C(CH3 )−O−Si(OCH3 )
3 。 【0212】また、有機シリコーン化合物(3)の具体
例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−プロ
ポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テト
ラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2
−エチルヘキシルオキシ)シラン、テトラキス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、テ
トラアセトキシシランを挙げることができる。中でも、
テトラエトキシシランが好ましい。 【0213】平版印刷版用支持体の表面へ付加反応性官
能基を結合するのにSC法を用いる場合もSG法を用い
る場合も、溶媒の種類、支持体への施用方法、乾燥方法
等は共通であるが、SG法の場合、付加反応性官能基が
保持された無機高分子組成物をあらかじめ調液しておく
必要がある。以下にその好ましい具体例を示す。有機シ
リコーン化合物(1)および有機シリコーン化合物
(3)を加水分解とともに重縮合させてSG法に好適な
組成物とするのに用いることができる溶媒は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エ
チレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコー
ル類である。溶媒の使用量は、使用する有機シリコーン
化合物(1)および有機シリコーン化合物(3)の総質
量に対して、通常、0.2〜500倍であり、0.5〜
100倍であるのが好ましく、1〜20倍であるのがよ
り好ましい。使用量が0.2倍未満であると、反応液が
経時でゲル化しやすく不安定となり好ましくない。ま
た、500倍を超えると、反応が数日を要するようにな
り好ましくない。有機シリコーン化合物を加水分解する
ために加える水の量は、通常、有機シリコーン化合物1
モルあたり0.1〜1000モルであり、0.5〜20
0モルであるのが好ましく、1.5〜100モルである
のがより好ましい。水の量が有機シリコーン化合物1モ
ルあたり0.1モル未満であると、加水分解とそれに続
く重縮合反応の進行が非常に遅くなり、安定な表面処理
が可能となるまでに数日を要するので好ましくない。一
方、水の量が有機シリコーン化合物1モルあたり100
0モルを超えると、生成した組成物を金属表面に塗設し
た場合に、密着不良を起こすほか、組成物の経時安定性
が悪く、すぐにゲル化してしまうことが多いため、塗布
作業を安定して行いにくくなる。 【0214】SG法に好適な組成物を調液するための反
応温度は、室温から100℃程度までが通常であるが、
後述する触媒の種類によっては室温より低い温度または
100℃を超える温度を用いることもできる。また、溶
媒の沸点よりも高い温度で反応させることも可能であ
り、必要に応じて、反応器に還流冷却器を付設すること
ができる。 【0215】必要に応じて使用される触媒としては、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、リンゴ酸、シ
ュウ酸等の酸;アンモニア、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の
塩基が挙げられる。触媒の添加量は、有機シリコーン化
合物(1)および、必要に応じて、追加される有機シリ
コーン化合物(3)の合計量に対して、通常、有機シリ
コーン化合物1モルあたり0.001〜1モルであり、
0.002〜0.7モルであるのが好ましく、0.00
3〜0.4モルであるのがより好ましい。触媒添加量を
有機シリコーン化合物1モルあたり1モルより多くして
も、その添加効果に比べて経済的に特に利益があるわけ
ではない。 【0216】酢酸、リンゴ酸等の弱酸を触媒として用い
る場合は、反応温度を40〜100℃とするのが好まし
いが、硫酸、硝酸等の強酸を触媒として用いる場合は、
10〜60℃とするのが好ましい。リン酸を触媒として
用いる場合は、10〜90℃で反応を行わせることがで
きる。 【0217】SG法に用いられる組成物の調液工程、お
よび、これを平版印刷版用支持体に塗布し乾燥する工程
において、多くの場合、熱が加えられるが、揮発性の酸
を触媒として使用すると、周囲の装置に揮発して付着
し、これを腐食させることがある。したがって、主とし
て鉄を素材とする装置でこの方法を使用する場合は、不
揮発性の硫酸および/またはリン酸を触媒として用いる
のが好ましい。 【0218】以上述べたように、有機シリコーン化合物
(1)と有機シリコーン化合物(3)と、有機溶媒、
水、および、場合により触媒からなる組成物を、適当な
反応温度、反応時間、および場合により適当なかくはん
条件を選んで反応させると、加水分解とともに重縮合反
応が起こり、Si−O−Si結合を含む高分子またはコ
ロイド状高分子が生成し、液状組成物の粘度が上昇し、
ゾル化する。有機シリコーン化合物(1)と有機シリコ
ーン化合物(3)とを併用してゾル液を調製する場合、
両方の有機シリコーン化合物を反応の最初から反応容器
内に装荷してもよく、一方のみで加水分解と重縮合反応
をある程度進めた後に他方を加え、反応を終了させても
よい。SG法に用いられる上記ゾル液は、室温で放置す
ると重縮合反応が引き続き進行しゲル化することがあ
る。したがって、一度上記の方法で調液したゾル液を、
平版印刷版用支持体への塗布時に希釈のために使用する
溶媒と同種の溶媒であらかじめ希釈しておくことによ
り、ゾル液のゲル化を防止し、または遅延させることが
できる。 【0219】SC法およびSG法のいずれにおいても、
支持体上に目的量の有機シリコーン化合物または付加反
応性官能基を結合するために、また、支持体上での有機
シリコーン化合物または付加反応性官能基の分布ムラが
ないようにするために、これらの処理液を支持体に塗布
する前に溶媒を加えて濃度調整を行うことが好ましい。
この目的に使用する溶媒としてはアルコール類、特にメ
タノールが好適であるが、他の溶剤、有機化合物、無機
添加剤、界面活性剤等を加えることもできる。他の溶剤
の例としては、メチルエチルケトン、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキ
シ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸
メチル、乳酸エチル、アセチルアセトン、エチレングリ
コールが挙げられる。添加することのできる有機化合物
の例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラー
ル樹脂、ウレタン樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール
−アセトン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレン
グリコールが挙げられる。無機添加剤の例としては、コ
ロイダルシリカ、コロイダルアルミナが挙げられる。エ
チレングリコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル等の高沸点溶剤は、支持体に塗布する濃度にまで希
釈された液の安定性を高め、支持体に結合された付加反
応性官能基の反応再現性を保証する働きがある。ノボラ
ック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂等の有機化合物
も同様の効果を有するが、得られる支持体の表面の親水
性を低下させる副作用があり、添加量を細かく調整する
必要がある。 【0220】SG法に好適なゾル液または液状組成物
は、平版印刷版用支持体の表面に塗設した後、風乾さ
せ、または加熱乾燥させると、Si−O−Si結合から
なる無機高分子がゲル化すると同時に支持体表面と共有
結合する。乾燥は、溶媒、残留水および場合により添加
される触媒を揮散させるために行うが、省くこともでき
る。SC法においては、この乾燥工程は溶媒、残留水等
の揮散という目的のほかに、有機シリコーン化合物と平
版印刷版用支持体との密着性を高くするという目的を有
する。したがって、目的によっては、乾燥終了後にも更
に加温し、加熱を継続してもよい。乾燥および場合によ
り継続されるその後の加熱における最高温度は、付加反
応性官能基が分解しない温度であるのが好ましい。した
がって、使用される乾燥温度条件は、通常、室温から2
00℃であり、室温から150℃であるのが好ましく、
室温から120℃であるのがより好ましい。乾燥時間
は、通常、1秒〜30分間であり、5秒〜10分間であ
るのが好ましく、10秒〜3分間であるのがより好まし
い。 【0221】本発明において用いられる液状組成物(有
機シリコーン化合物またはその溶液もしくはゾル液)の
施工方法は、ハケ塗り、浸せき塗布、アトマイジング、
スピンコーティング、ドクターブレード塗布等、各種の
ものも使用することができ、必要とする処理膜厚等を勘
案して決められる。 【0222】<サーマルポジタイプ> (感熱層)サーマルポジタイプの感熱層は、アルカリ可
溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。ここ
で、アルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中の主鎖お
よび/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これ
らの共重合体、およびこれらの混合物を包含する。した
がって、サーマルポジタイプの感熱層は、アルカリ現像
液に接触すると溶解する特性を有する。アルカリ可溶性
高分子化合物としては、下記(1)〜(6)の酸性基の
うち少なくとも一つを高分子の主鎖および/または側鎖
中に有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点
で好ましい。 【0223】(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar
−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(−SO2 NHCO
R、−SO2 NHSO2R、−CONHSO2 R)(以
下「活性イミド基」という。) (4)カルボキシ基(−CO2 H) (5)スルホ基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 H2 ) 【0224】上記(1)〜(6)中、Arは、置換基を
有していてもよい2価のアリール連結基を表す。Rは、
置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。 【0225】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ可溶性高分子化合物の中でも、(1)フ
ェノール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性
イミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が好まし
く、特に、(1)フェノール基または(2)スルホンア
ミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物が、アルカ
リ現像液に対する溶解性、膜強度を十分に確保する点か
ら最も好ましい。 【0226】つぎに、これらのアルカリ可溶性高分子化
合物の重合成分の代表的な例について述べる。 (1)フェノール性ヒドロキシ基を有する重合性モノマ
ーとしては、フェノール性ヒドロキシ基と、重合可能な
不飽和結合とをそれぞれ一つ以上有する低分子化合物か
らなる重合性モノマーが挙げられ、例えば、フェノール
性ヒドロキシ基を有するアクリルアミド、メタクリルア
ミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまた
はヒドロキシスチレン等が挙げられる。 【0227】具体的には、例えば、N−(2−ヒドロキ
シフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフ
ェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)
メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メ
タクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタ
クリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、
m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシ
フェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタク
リレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p
−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシ
スチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリ
レート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタク
リレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタ
クリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメ
タクリレート等が挙げられる。これらフェノール性ヒド
ロキシ基を有するモノマーは、2種以上を組み合わせて
使用してもよい。 【0228】(2)スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマーとしては、1分子中、窒素原子に少なくとも一つ
の水素原子が結合したスルホンアミド基(−NH−SO
2 −)と、重合可能な不飽和結合とをそれぞれ一つ以上
有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げら
れ、例えば、アクリロイル基、アリル基またはビニロキ
シ基と、モノ置換アミノスルホニル基または置換スルホ
ニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。この
ような化合物としては、例えば、特開平8−12302
9号公報に記載されている一般式(I)〜(V)で示さ
れる化合物が挙げられる。 【0229】(2)スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマーとして、具体的には、m−アミノスルホニルフェ
ニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェ
ニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニル
フェニル)アクリルアミド等を好適に使用することがで
きる。 【0230】(3)活性イミド基を有する重合性モノマ
ーとしては、特開平11−84657号公報に記載され
ている活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、
1分子中に、活性イミド基と、重合可能な不飽和結合を
それぞれ一つ以上有する低分子化合物とからなる重合性
モノマーが挙げられる。 (3)活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリ
ルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。 【0231】(4)カルボキシ基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物としては、例えば、1分子中に、カルボ
キシ基と、重合可能な不飽和基とをそれぞれ一つ以上有
する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とす
る重合体を挙げることができる。 (5)スルホ基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と
しては、例えば、1分子中に、スルホ基と、重合可能な
不飽和基とをそれぞれ一つ以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げること
ができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ可溶性高分子化合物と
しては、例えば、1分子中に、リン酸基と、重合可能な
不飽和基とをそれぞれ一つ以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げること
ができる。 【0232】サーマルポジタイプの感熱層に用いられる
アルカリ可溶性高分子化合物を構成する、上記(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特
に1種のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最
小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最
小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることも
できる。共重合の方法としては、従来公知のグラフト共
重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用い
ることができる。 【0233】前記共重合体は、共重合させる上記(1)
〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体
中に10モル%以上含まれているのが好ましく、20モ
ル%以上含まれているのがより好ましい。10モル%未
満であると、現像ラチチュードを十分に向上させること
ができない傾向がある。 【0234】本発明では、化合物を共重合して共重合体
を形成する場合、その化合物として、上記(1)〜
(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもで
きる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の
例としては、下記(m1)〜(m12)の化合物を例示
することができるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 【0235】(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族ヒ
ドロキシ基を有するアクリル酸エステル類およびメタク
リル酸エステル類、(m2)アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロ
エチル、グリシジルアクリレート等のアルキルアクリレ
ート、(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のア
ルキルメタクリレート、 【0236】(m4)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリ
ルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフ
ェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアク
リルアミド等のアクリルアミドまたはメタクリルアミ
ド、(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチル
ビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチ
ルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニル
エーテル類、(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビ
ニルエステル類、 【0237】(m7)スチレン、α−メチルスチレン、
メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン
類、(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケト
ン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等の
ビニルケトン類、(m9)エチレン、プロピレン、イソ
ブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類、 【0238】(m10)N−ビニルピロリドン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等、(m11)マレイ
ミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチル
メタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミ
ド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等
の不飽和イミド、(m12)アクリル酸、メタクリル
酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン
酸。 【0239】アルカリ可溶性高分子化合物としては、赤
外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点
で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好まし
く、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−ク
レゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルム
アルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアル
デヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およ
びm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデ
ヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹
脂が好ましく挙げられる。 【0240】また、フェノール性ヒドロキシ基を有する
アルカリ可溶性高分子化合物としては、更に、米国特許
第4,123,279号明細書に記載されているよう
に、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オク
チルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。アルカリ
可溶性高分子化合物は、その重量平均分子量が500以
上であることが好ましく、1,000〜700,000
であることがより好ましい。また、その数平均分子量が
500以上であることが好ましく、750〜650,0
00であることがより好ましい。分散度(重量平均分子
量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好まし
い。 【0241】アルカリ可溶性高分子化合物は、それぞれ
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その
合計の含有量が、感熱層の全固形分に対して、1〜90
質量%であるのが好ましく、2〜70質量%であるのが
より好ましく、2〜50質量%であるのが更に好まし
い。含有量が1質量%未満であると、耐久性が悪化する
傾向にあり、また、90質量%を超えると、感度および
画像形成性が低下する傾向があるため好ましくない。 【0242】本発明に用いられる光熱変換物質は、光を
吸収して発熱する物質である。光熱変換物質は、露光エ
ネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用
解除を効率よく行うことを可能とする。本発明における
光熱変換物質は、記録に用いられる光を吸収して熱に変
換する機能を有するものであれば特に限定されないが、
記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外
域に光吸収域がある顔料または染料が好ましい。 【0243】前記顔料としては、市販の顔料、ならび
に、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料を利用することができる。 【0244】前記顔料の種類としては、例えば、黒色顔
料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、
紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔
料、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックを用いるこ
とができる。 【0245】これらの顔料は表面処理をせずに用いても
よく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法
には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤
を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップ
リング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート)を顔
料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処
理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印
刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。 【0246】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあるのが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあ
るのがより好ましく、0.1〜1μmの範囲にあるのが
更に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満であると
分散物の感熱層塗布液中での安定性の点で好ましくな
く、また、10μmを超えると感熱層の均一性の点で好
ましくない。 【0247】前記顔料を分散する方法としては、インキ
製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用
できる。分散機としては、例えば、超音波分散器、サン
ドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボ
ールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロ
イドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダ
ーが挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CM
C出版、1986年刊)に記載がある。 【0248】前記染料としては、市販の染料および文献
(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンア
ゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタ
ロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染
料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、
ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケル
チオレート錯体)等の染料を用いることができる。 【0249】本発明においては、これらの顔料または染
料の中でも、赤外光または近赤外光を吸収するものが、
赤外光または近赤外光を発光するレーザの利用に適する
点で特に好ましい。 【0250】そのような赤外光または近赤外光を吸収す
る顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられる。
また、赤外光または近赤外光を吸収する染料としては、
例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−8
4356号、特開昭59−202829号、特開昭60
−78787号の各公報等に記載されているシアニン染
料、特開昭58−173696号、特開昭58−181
690号、特開昭58−194595号の各公報等に記
載されているメチン染料、特開昭58−112793
号、特開昭58−224793号、特開昭59−481
87号、特開昭59−73996号、特開昭60−52
940号、特開昭60−63744号の各公報等に記載
されているナフトキノン染料、特開昭58−11279
2号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国
特許第434,875号明細書に記載されているシアニ
ン染料、米国特許第5,380,635号明細書に記載
されているジヒドロペリミジンスクアリリウム染料を挙
げることができる。 【0251】また、前記染料として米国特許第5,15
6,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤
も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,92
4号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公
報(米国特許第4,327,169号明細書)に記載さ
れているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1
81051号、特開昭58−220143号、特開昭5
9−41363号、特開昭59−84248号、特開昭
59−84249号、特開昭59−146063号およ
び特開昭59−146061号の各公報に記載されてい
るピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公
報に記載されているシアニン色素、米国特許第4,28
3,475号明細書に記載されているペンタメチンチオ
ピリリウム塩等、特公平5−13514号公報、特公平
5−19702号公報に記載されているピリリウム化合
物;Epolight III−178、Epolig
ht III−130、Epolight III−1
25、Epolight IV−62A(いずれもエポ
リン社製)等は特に好ましく用いられる。 【0252】また、前記染料として特に好ましい別の例
として、米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)または(II)として記載されている近赤外吸収
染料を挙げることができる。 【0253】これらの顔料または染料の含有量は、感熱
層の全固形分に対して、好ましくは0.01〜50質量
%、より好ましくは0.01〜30質量%、更に好まし
くは0.1〜10質量%、染料の場合、特に好ましくは
0.5〜10質量%、顔料の場合、特に好ましくは1〜
10質量%である。顔料または染料の含有量が0.01
質量%未満であると感度が低くなる場合があり、また、
50質量%を超えると感熱層の均一性が失われ、感熱層
の耐久性が悪くなる場合がある。 【0254】これらの染料または顔料は他の成分と同一
の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加し
てもよい。別の層とする場合、本発明の熱分解性であり
かつ分解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の
溶解性を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層
へ添加するのが好ましい。 【0255】感熱層は、更に、必要に応じて、種々の添
加剤を含有することができる。例えば、熱分解性であ
り、分解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の
溶解性を実質的に低下させる物質を併用すると、画像部
の現像液への溶解阻止性の向上を図ることができるの
で、好ましい。そのような物質としては、例えば、オニ
ウム塩、キノンジアジド類、芳香族スルホン化合物、芳
香族スルホン酸エステル化合物が挙げられる。 【0256】オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウ
ム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム
塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩
が挙げられる。 【0257】中でも、好適なものとしては、例えば、
S.I.Schlesinger,Photogr.S
ci.Eng.,18,387(1974)、T.S.
Balet al,Polymer,21,423(1
980)および特開平5−158230号公報に記載さ
れているジアゾニウム塩、米国特許第4,069,05
5号明細書、同4,069,056号明細書および特開
平3−140140号公報に記載されているアンモニウ
ム塩、D.C.Necker et al,Macro
molecules,17,2468(1984)、
C.S.Wenet al,Teh,Proc.Con
f.Rad.Curing ASIA,p.478,T
okyo,Oct(1988)、米国特許第4,06
9,055号明細書および同4,069,056号明細
書に記載されているホスホニウム塩、J.V.Criv
ello et al,Macromorecule
s,10(6),1307(1977)、Chem.&
amp、Eng.News,Nov.28,p31
(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許
第339,049号、同第410,201号の各明細
書、特開平2−150848号公報および特開平2−2
96514号公報に記載されているヨードニウム塩、
J.V.Crivello et al,Polyme
r J.17,73(1985)、J.V.Crive
llo et al.J.Org.Chem.,43,
3055(1978)、W.R.Watt et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.
V.Crivello et al,Polymer
Bull.,14,279(1985)、J.V.Cr
ivello et al,Macromorecul
es,14(5),1141(1981)、J.V.C
rivello et al,J.Polymer S
ci.,Polymer Chem.Ed.,17,2
877(1979)、欧州特許第370,693号、同
第233,567号、同第297,443号、同第29
7,442号、米国特許第4,933,377号、同第
3,902,114号、同第410,201号、同第3
39,049号、同第4,760,013号、同第4,
734,444号、同第2,833,827号、独国特
許第2,904,626号、同第3,604,580号
および同第3,604,581号の各明細書に記載され
ているスルホニウム塩、J.V.Crivello e
t al,Macromorecules,10
(6),1307(1977)およびJ.V.Criv
elloet al,J.Polymer Sci.,
Polymer Chem.Ed.,17,1047
(1979)に記載されているセレノニウム塩、C.
S.Wen et al,Teh,Proc.Con
f.Rad.Curing ASIA,p478,To
kyo,Oct(1988)に記載されているアルソニ
ウム塩が挙げられる。 【0258】オニウム塩の対イオンとしては、例えば、
四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナ
フタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホ
ン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼ
ンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホ
ン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベン
ゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−
フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2
−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼ
ンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸が挙げられる。
中でも、六フッ化リン酸;トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸等の
アルキル芳香族スルホン酸が好ましい。 【0259】好適なキノンジアジド類としてはo−キノ
ンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用い
られるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個の
o−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解により
アルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物
を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは
熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キ
ノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化するこ
との両方の効果により感材系の溶解性を助ける。 【0260】本発明に用いられるo−キノンジアジド化
合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−セン
シティブ・システムズ」(John Wiley &
Sons.Inc.)p.339−352に記載されて
いる化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒド
ロキシ化合物または芳香族アミノ化合物と反応させたo
−キノンジアジドのスルホン酸エステルまたはスルホン
酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403
号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)
−ジアジドスルホン酸クロライドまたはナフトキノン−
(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピ
ロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第
3,046,120号明細書および同第3,188,2
10号明細書に記載されているベンゾキノン−(1,
2)−ジアジドスルホン酸クロライドまたはナフトキノ
ン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライド
とフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好
適に使用される。 【0261】更に、ナフトキノン−(1,2)−ジアジ
ド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアル
デヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂と
のエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4
−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂
とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用
なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許文
献に報告され知られている。例えば、特開昭47−53
03号、特開昭48−63802号、特開昭48−63
803号、特開昭48−96575号、特開昭49−3
8701号、特開昭48−13354号、特公昭41−
11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−
17481号等の各公報、米国特許第2,797,21
3号、同第3,454,400号、同第3,544,3
23号、同第3,573,917号、同第3,674,
495号、同第3,785,825号、英国特許第1,
227,602号、同第1,251,345号、同第
1,267,005号、同第1,329,888号、同
第1,330,932号、独国特許第854,890号
等の各明細書に記載されているものを挙げることができ
る。 【0262】オニウム塩やo−キノンジアジド化合物の
添加量は、感熱層の全固形分に対して、好ましくは1〜
50質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ま
しくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物
は単一で使用できるが、2種以上の混合物として使用し
てもよい。 【0263】また、画像のディスクリミネーション(疎
水性/親水性の識別性)の強化や表面のキズに対する抵
抗力を強化する目的で、特開2000−187318号
公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20
のパーフルオロアルキル基を2個または3個有する(メ
タ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用
することができる。このような化合物の含有量は、感熱
層の全固形分に対して、0.1〜10質量%であるのが
好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。 【0264】感熱層には、キズに対する抵抗性を付与す
る目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を含有
させることもできる。具体的には、米国特許第6,11
7,913号明細書に記載されているような、長鎖アル
キルカルボン酸のエステル等を挙げることができる。こ
のような化合物の含有量は、感熱層の全固形分に対し
て、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜
5質量%であるのがより好ましい。 【0265】また、感熱層には、必要に応じて、低分子
量の酸性基を有する化合物を含有させてもよい。酸性基
としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基を挙げる
ことができる。中でもスルホ基を有する化合物が好まし
い。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレン
スルホン酸等の芳香族スルホン酸類;脂肪族スルホン酸
類を挙げることができる。 【0266】また、感熱層は、更に感度を向上させる目
的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を含有
することもできる。環状酸無水物類としては、例えば、
米国特許第4,115,128号明細書に記載されてい
る無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テト
ラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無
水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無
水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸が挙
げられる。 【0267】フェノール類としては、例えば、ビスフェ
ノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノ
ール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキ
シトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラ
ヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフ
ェニルメタンが挙げられる。 【0268】有機酸類としては、例えば、特開昭60−
88942号公報、特開平2−96755号公報等に記
載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキ
ル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類、カルボン
酸類が挙げられる。具体的には、例えば、p−トルエン
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フ
ェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニ
ル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイ
ル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフ
タル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、
エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビ
ン酸が挙げられる。 【0269】上記の環状酸無水物類、フェノール類およ
び有機酸類の含有量は、添加される層の全固形分に対し
て、0.05〜20質量%であるのが好ましく、0.1
〜15質量%であるのがより好ましく、0.1〜10質
量%であるのが特に好ましい。 【0270】また、感熱層は、現像条件の変化に対する
処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740
号公報および特開平3−208514号公報に記載され
ているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121
044号公報および特開平4−13149号公報に記載
されているような両性界面活性剤、欧州特許出願公開第
950,517号明細書に記載されているようなシロキ
サン系化合物、特開平11−288093号公報に記載
されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を含有
することができる。 【0271】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが挙
げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキル
ジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチ
ルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチ
ル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、
N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品
名「アモーゲンK」、第一工業社製)が挙げられる。上
記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の添加量
は、それぞれ、添加される層の全固形分に対して、0.
05〜15質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量
%であるのがより好ましい。 【0272】また、感熱層は、露光による加熱後直ちに
可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての
染料や顔料を含有することができる。焼き出し剤として
は、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸
放出剤)と塩を形成しうる有機染料との組み合わせが例
示される。具体的には、特開昭50−36209号公報
および特開昭53−8128号公報に記載されているo
−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと
塩形成性有機染料の組み合わせ、特開昭53−3622
3号、特開昭54−74728号、特開昭60−362
6号、特開昭61−143748号、特開昭61−15
1644号および特開昭63−58440号の各公報に
記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染
料との組み合わせが挙げられる。かかるトリハロメチル
化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系
化合物とがあり、いずれも経時安定性に優れ、明瞭な焼
き出し画像を与える。 【0273】画像着色剤としては、前述の塩形成性有機
染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有
機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性
染料が挙げられる。具体的には、例えば、オイルイエロ
ー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#
312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラ
ックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント
化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレ
ット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ロ
ーダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグ
リーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.
I.52015)が挙げられる。また、特開昭62−2
93247号公報および特開平5−313359号公報
に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料の
添加量は、添加される層の全固形分に対して、0.01
〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜3質量%で
あるのがより好ましい。 【0274】また、感熱層は、塗膜の柔軟性等を付与す
るために、必要に応じ、可塑剤を含有することができ
る。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコー
ル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、
リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオ
クチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル
酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマーが用
いられる。本発明の感熱層は1層でもよいし、特開平1
1−218914号公報に記載されているような2層構
造として設けてもよい。 【0275】感熱層は、通常、上記各成分を溶媒に溶か
して得られる感熱層塗布液を、平版印刷版用支持体上に
塗布することにより製造することができる。ここで使用
する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ
エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテ
ート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラ
クトン、トルエン等を挙げることができるが、これに限
定されるものではない。これらの溶媒は単独でまたは混
合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全
固形分)の濃度は、1〜50質量%であるのが好まし
い。 【0276】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げるこ
とができる。 【0277】また、感熱層の塗布量(固形分)は、用途
によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2 で
あるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなる
と、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果た
す感熱層の皮膜特性が低下する。 【0278】本発明における感熱層には、塗布性を改善
するための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。界面活性剤の添加量は、感熱
層の全固形分に対して、0.01〜1質量%であるのが
好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ま
しい。 【0279】(下塗層)サーマルポジタイプの感熱層と
支持体との間には、必要に応じて、下塗層を設けること
ができる。下塗層に含有される成分としては種々の有機
化合物が挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロ
ース;デキストリン;アラビアガム;2−アミノエチル
ホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基
を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホス
ホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メ
チレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホ
スホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、
ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の
有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフ
ィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン
酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリ
シン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールア
ミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上混合して用いてもよい。 【0280】下塗層は次のような方法で設けることがで
きる。即ち、水もしくはメタノール、エタノール、メチ
ルエチルケトン等の有機溶剤またはそれらの混合溶剤に
上記の有機化合物を溶解させた溶液を平版印刷版用支持
体上に塗布し乾燥させて設ける方法と、水もしくはメタ
ノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤
またはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させ
た溶液に、アルミニウム板を浸せきさせて上記化合物を
吸着させ、その後水等によって洗浄し乾燥させて設ける
方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の好ま
しくは0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方
法で塗布することができる。また、後者の方法では、溶
液の濃度は好ましくは0.01〜20質量%、より好ま
しくは0.05〜5質量%であり、浸せき温度は好まし
くは20〜90℃、より好ましくは25〜50℃であ
り、浸せき時間は好ましくは0.1秒〜20分、より好
ましくは2秒〜1分である。上記方法に用いる溶液は、
アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩
基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質により、pH1
〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録
材料の調子再現性改良のために黄色染料を含有すること
もできる。下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 で
あるのが適当であり、5〜100mg/m2 であるのが
好ましい。被覆量が2mg/m2 未満であると、十分な
耐刷性が得られない場合がある。また、200mg/m
2 を超えても同様である。 【0281】上記のようにして作成されたサーマルポジ
タイプの感熱層を有する平版印刷版原版は、通常、像露
光および現像処理が施される。像露光に用いられる活性
光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を
持つ光源が好ましく、中でも、固体レーザ、半導体レー
ザが好ましい。発光波長としては、760〜850nm
が好ましい。 【0282】<サーマルネガタイプ> (感熱層)サーマルネガタイプの感熱層は、赤外線レー
ザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感熱層で
あれば、いずれのものも適用することができる。このよ
うなサーマルネガタイプの感熱層の一つとして、光重合
層が好適に挙げられる。光重合層は、(A)赤外線吸収
剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)
と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化す
る(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましくは
更に(D)バインダーポリマーを含有する。光重合層に
おいては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換
し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル
重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重
合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重
結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発生
したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化す
る。 【0283】また、光重合層のほかに、サーマルネガタ
イプの感熱層の一つとして、酸架橋層が好適に挙げられ
る。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する
化合物(以下「酸発生剤」という。)と、(F)発生し
た酸により架橋する化合物(以下「架橋剤」という。)
とを含有し、更に、これらを含有する層を形成するため
の、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可
溶性高分子化合物を含有する。酸架橋層においては、光
照射または加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸
が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士の間または架橋
剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成
され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤
に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを
効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収
剤が配合される。 【0284】また、このほかにも、サーマルネガタイプ
の感熱層の一つとして、(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒
子が(J)親水性高分子マトリックス中に分散され、露
光部の熱により疎水性のポリマーが溶融し、互いに融着
してポリマーによる疎水性(親インク性)領域、即ち、
画像部を形成する感熱層も好適に挙げられる。 【0285】光重合層に用いられる各化合物について以
下に述べる。 (A)赤外線吸収剤 赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を
有する。赤外線吸収剤が発生させた熱により、ラジカル
発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸を発生させ
る。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長7
60〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料
である。 【0286】前記染料としては、市販の染料および文献
(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、例えば、サーマルポジタイプの感熱層に含有
される光熱変換物質として、上記に例示した染料が挙げ
られる。これらの染料のうち特に好ましいものとして、
シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニ
ッケルチオレート錯体が挙げられる。中でも、シアニン
色素が好ましく、特に、下記一般式(I)で示されるシ
アニン色素が最も好ましい。 【0287】 【化14】 【0288】一般式(I)中、X1 は、ハロゲン原子ま
たは−X2 −L1 を表す。ここで、X2 は酸素原子また
は硫黄原子を表し、L1 は炭素原子数1〜12の炭化水
素基を表す。R1 およびR2 は、それぞれ独立に、炭素
原子数1〜12の炭化水素基を示す。感熱層塗布液の保
存安定性から、R1 およびR2 は、それぞれ炭素原子数
2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R
1 とR2 とは互いに結合し、5員環または6員環を形成
していることが特に好ましい。Ar1 およびAr2 は、
それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化
水素基を表す。Y1 およびY2 は、それぞれ独立に、硫
黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレ
ン基を表す。R3 およびR4 は、それぞれ独立に、置換
基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素
基を表す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個
以下のアルコキシ基、カルボキシ基およびスルホ基が挙
げられる。R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独
立に、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素
基を表し、原料の入手性から、水素原子であるのが好ま
しい。Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1 〜R8
のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1-は
必要ない。Z1-は、感熱層塗布液の保存安定性から、ハ
ロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレー
トイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンまたはス
ルホン酸イオンであるのが好ましく、過塩素酸イオン、
ヘキサフルオロフォスフェートイオンまたはアリールス
ルホン酸イオンであるのがより好ましい。 【0289】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特願平11−310623号明細書(特開2001
−133969号公報)の段落番号[0017]〜[0
019]に記載されたものを挙げることができる。 【0290】前記顔料としては、市販の顔料、ならび
に、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料を利用することができる。具体的には、
例えば、サーマルポジタイプの感熱層に含有される光熱
変換物質として、上記に例示した顔料が挙げられる。こ
れらの顔料の詳細は、サーマルポジタイプの感熱層に用
いられる顔料と同様である。 【0291】染料または顔料の含有量は、感熱層の全固
形分に対して、0.01〜50質量%であるのが好まし
く、0.1〜10質量%であるのがより好ましく、更
に、染料の場合には、0.5〜10質量%であるのが更
に好ましく、また、顔料の場合には、1.0〜10質量
%であるのが更に好ましい。含有量が0.01質量%未
満であると、感度が低くなることがあり、50質量%を
超えると、平版印刷版とした場合に、非画像部に汚れが
発生することがある。 【0292】(B)ラジカル発生剤 ラジカル発生剤としては、例えば、オニウム塩が挙げら
れる。具体的には、例えば、ヨードニウム塩、ジアゾニ
ウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。これらのオニウ
ム塩は酸発生剤としての機能も有するが、後述するラジ
カル重合性化合物と併用すると、ラジカル重合開始剤と
して機能する。本発明において好適に用いられるオニウ
ム塩は、下記一般式(III)〜(V)で表されるオニ
ウム塩である。 【0293】 【化15】 【0294】上記一般式(III)中、Ar11およびA
r12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭
素原子数20個以下のアリール基を表す。このアリール
基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハ
ロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキ
ル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基および炭素
原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z
11- はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオ
ロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン
およびスルホン酸イオンからなる群から選択される対イ
オンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフル
オロフォスフェートイオン、アリールスルホン酸イオン
である。 【0295】上記一般式(IV)中、Ar21は、置換基
を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基
を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニト
ロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数
12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のア
リールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミ
ノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭
素原子数12個以下のアリールアミノ基および炭素原子
数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z
21- はZ11- と同義の対イオンを表す。 【0296】上記一般式(V)中、R31、R32およびR
33は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素
原子数20個以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基
としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個
以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ
基および炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙
げられる。Z31- はZ11- と同義の対イオンを表す。 【0297】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特願平11−3106
23号明細書(特開2001−133969号公報)の
段落番号[0030]〜[0033]に記載されたもの
を挙げることができる。 【0298】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であるのが好ましく、3
60nm以下であるのがより好ましい。このように吸収
波長を紫外線領域にすることにより、本発明の平版印刷
版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。 【0299】これらのオニウム塩の含有量は、感熱層の
全固形分に対して、0.1〜50質量%であるのが好ま
しく、0.5〜30質量%であるのがより好ましく、1
〜20質量%であるのが更に好ましい。含有量が0.1
質量%未満であると感度が低くなり、また、50質量%
を超えると印刷時非画像部に汚れが発生する場合があ
る。これらのオニウム塩は、1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。また、これらのオニウ
ム塩は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層
を設けそこへ添加してもよい。 【0300】(C)ラジカル重合性化合物 ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性
不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、
末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましく
は2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合
物群は当該産業分野において広く知られるものであり、
本発明においてはこれらを特に限定なく用いることがで
きる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即
ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合
物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。 【0301】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。
好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロ
キシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有
する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と、単官能ま
たは多官能のイソシアネート類またはエポキシ類との付
加反応物、単官能または多官能のカルボン酸との脱水縮
合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート
基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カル
ボン酸エステルまたはアミド類と、単官能または多官能
のアルコール類、アミン類またはチオール類との付加反
応物、更に、ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置
換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類
と、単官能または多官能のアルコール類、アミン類また
はチオール類との置換反応物も好適である。また、別の
例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和
ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用す
ることも可能である。 【0302】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、フォトポリマー
タイプの感光層に含有されるエチレン性不飽和結合含有
化合物として、上記に例示したものが挙げられる。 【0303】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号お
よび特開昭57−196231号の各公報に記載されて
いる脂肪族アルコール系エステル類、特開昭59−52
40号、特開昭59−5241号および特開平2−22
6149号の各公報に記載されている芳香族系骨格を有
するもの、特開平1−165613号公報に記載されて
いるアミノ基を含有するもの等も好適に挙げられる。 【0304】また、イソシアネート基とヒドロキシ基と
の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化
合物も好適であり、その具体例としては、例えば、特公
昭48−41708号公報に記載されている1分子に2
個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート
化合物に、下記式(VI)で表されるヒドロキシ基を含
有するビニルモノマーを付加させた、1分子中に2個以
上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等
が挙げられる。 【0305】 CH2 =C(R41)COOCH2 CH(R42)OH (VI) (上記式(VI)中、R41およびR42は、それぞれHまたはCH3 を表す。) 【0306】これらのラジカル重合性化合物について、
どのような構造を用いるか、単独で使用するか2種以上
を併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳
細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に
設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が
好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、
画像部、即ち、硬化膜の強度を高くするためには、3官
能以上のものがよく、更に、異なる官能数や異なる重合
性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化
合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合
物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両
方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出という点で好ましくな
い場合がある。また、感熱層中の他の成分(例えば、バ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択および使用
法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用
や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させ
うることがある。また、支持体、オーバーコート層等の
密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択すること
もありうる。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配
合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多す
ぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、画像記
録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層
成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液から
の析出が生じるなどの問題を生じうる。 【0307】これらの観点から、ラジカル重合性化合物
の配合比は、多くの場合、感熱層の全固形分に対して、
5〜80質量%であるのが好ましく、20〜75質量%
であるのがより好ましい。また、これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。そのほか、ラジカ
ル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大
小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観
点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更
に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成および
塗布方法も実施しうる。 【0308】(D)バインダーポリマー 本発明においては、更にバインダーポリマーを使用する
のが好ましい。バインダーポリマーとしては線状有機ポ
リマーを用いることが好ましい。線状有機ポリマーとし
ては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像ま
たは弱アルカリ水現像を可能とするために、水または弱
アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマ
ーが選択される。線状有機ポリマーは、感熱層を形成す
るための皮膜形成剤としてだけでなく、水または弱アル
カリ水の種類や、有機溶剤現像剤としての用途に応じて
選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用い
ると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマー
としては、側鎖にカルボキシ基を有するラジカル重合
体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−
34327号、特公昭58−12577号、特公昭54
−25957号、特開昭54−92723号、特開昭5
9−53836号、特開昭59−71048号の各公報
に記載されているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、
アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸
共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイ
ン酸共重合体等が挙げられる。また、同様に、側鎖にカ
ルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられ
る。このほかに、ヒドロキシ基を有する重合体に環状酸
無水物を付加させたもの等が有用である。 【0309】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れ
ており、好適である。 【0310】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特開平11−352691号の各公報等に記載されてい
る酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非
常に、強度に優れるので、耐刷性および低露光適性の点
で有利である。 【0311】更に、このほかに、水溶性線状有機ポリマ
ーとして、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサ
イド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるた
めに、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリ
ンのポリエーテル等も有用である。 【0312】本発明で使用される線状有機ポリマーの重
量平均分子量は、好ましくは5000以上であり、より
好ましくは1万〜30万であり、また、数平均分子量
は、好ましくは1000以上であり、より好ましくは2
000〜25万である。多分散度(重量平均分子量/数
平均分子量)は1以上であり、好ましくは1.1〜10
である。 【0313】これらの線状有機ポリマーは、ランダムポ
リマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいず
れであってもよいが、ランダムポリマーであるのが好ま
しい。 【0314】バインダーポリマーは単独で用いてもよ
く、混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有
量は、感熱層の全固形分に対して、20〜95質量%で
あるのが好ましく、30〜90質量%であるのがより好
ましい。含有量が20質量%未満であると、画像形成し
た際、画像部の強度が不足する場合がある。また、含有
量が95質量%を超えると、画像形成されない場合があ
る。また、ラジカル重合性化合物と線状有機ポリマーと
の質量比は、1/9〜7/3であるのが好ましい。 【0315】つぎに、酸架橋層に用いられる各化合物に
ついて以下に述べる。 (A)赤外線吸収剤 酸架橋層に必要に応じて用いられる赤外線吸収剤は、前
記光重合層において説明した(A)赤外線吸収剤と同様
のものを用いることができる。赤外線吸収剤の含有量
は、感熱層の全固形分に対して、0.01〜50質量%
であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがよ
り好ましく、更に、染料の場合には、0.5〜10質量
%であるのが更に好ましく、また、顔料の場合には、
1.0〜10質量%であるのが更に好ましい。含有量
が、0.01質量%未満であると、感度が低くなること
があり、50質量%を超えると、平版印刷版としたとき
に、非画像部に汚れが発生することがある。 【0316】(E)酸発生剤 酸発生剤とは、200〜500nmの波長領域の光を照
射し、または100℃以上に加熱することにより、酸を
発生する化合物をいう。酸発生剤としては、光カチオン
重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の
光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されて
いる公知の酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる公
知の化合物およびそれらの混合物;酸を発生する基また
は化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物
等が挙げられる。酸発生剤としては、下記式(I)〜
(V)で表される化合物が好ましい。 【0317】 【化16】 【0318】上記式(I)〜(V)中、R1 、R2 、R
4 およびR5 は、それぞれ独立に、置換基を有していて
もよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。R3 は、ハ
ロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数10以下
の炭化水素基または炭素数10以下のアルコキシ基を表
す。Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、置換基を
有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。
R6 は、置換基を有していてもよい炭素数20以下の2
価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の整数を表す。R
1 、R2 、R4 およびR5 は、それぞれ炭素数1〜14
の炭化水素基であるのが好ましい。 【0319】上記式(I)〜(V)で表される酸発生剤
の好ましい態様は、本願出願人によって提案された特願
平11−320997号明細書(特開2001−142
230号公報)の段落番号[0197]〜[0222]
に詳細に記載されている。これらの化合物は、例えば、
特開平2−100054号公報および特開平2−100
055号公報に記載されている方法により合成すること
ができる。 【0320】また、酸発生剤として、ハロゲン化物、ス
ルホン酸等を対イオンとするオニウム塩を用いることも
できる。中でも、下記一般式(VI)〜(VIII)で
表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩およびジアゾ
ニウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げ
ることができる。 【0321】 【化17】 【0322】上記一般式(VI)〜(VIII)中、X
- は、ハロゲン化物イオン、ClO 4 - 、PF6 - 、S
bF6 - 、BF4 - またはR7 SO3 - を表す。ここ
で、R 7 は、置換基を有していてもよい炭素数20以下
の炭化水素基を表す。Ar3 およびAr4 は、それぞれ
独立に、置換基を有していてもよい炭素数20以下のア
リール基を表す。R8 、R9 およびR10は、それぞれ独
立に、置換基を有していてもよい炭素数18以下の炭化
水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開平10−
39509号公報の段落番号[0010]〜[003
5]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載さ
れている。 【0323】酸発生剤の含有量は、感熱層の全固形分に
対して、0.01〜50質量%であるのが好ましく、
0.1〜25質量%であるのがより好ましく、0.5〜
20質量%であるのが更に好ましい。酸発生剤の含有量
が0.01質量%未満であると、画像が得られないこと
があり、また、50質量%を超えると、平版印刷版とし
たときに、印刷時において非画像部に汚れが発生するこ
とがある。の酸発生剤は単独で使用してもよいし、2種
以上を組み合わせて使用してもよい。 【0324】(F)架橋剤 架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で
置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチ
ル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシ
メチル基を有する化合物、(iii)エポキシ化合物。 【0325】以下、上記(i)〜(iii)の化合物に
ついて詳述する。 (i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で
置換された芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシ
メチル基、アセトキシメチル基またはアルコキシメチル
基でポリ置換されている芳香族化合物または複素環化合
物が挙げられる。ただし、レゾール樹脂として知られる
フェノール類とアルデヒド類とを塩基性条件下で縮重合
させた樹脂状の化合物も含まれる。ヒドロキシメチル基
またはアルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合
物または複素環化合物の中でも、ヒドロキシ基に隣接す
る位置にヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基
を有する化合物が好ましい。また、アルコキシメチル基
でポリ置換された芳香族化合物または複素環化合物の中
でも、アルコキシメチル基が炭素数18以下の化合物が
好ましく、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物
がより好ましい。 【0326】 【化18】 【0327】 【化19】 【0328】上記一般式(1)〜(4)中、L1 〜L8
は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチル
等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒド
ロキシメチル基またはアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上させるこ
とができる点で好ましい。 【0329】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−ア
ルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許出願公開第0,133,
216号、西独特許第3,634,671号および同第
3,711,264号の各明細書に記載されている、単
量体およびオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮
合物ならびに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、欧州特許
出願公開第0,212,482号明細書に記載されてい
るアルコキシ置換化合物等が挙げられる。中でも、例え
ば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N
−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基
を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好まし
く、N−アルコキシメチル誘導体がより好ましい。 【0330】(iii)エポキシ化合物としては、一つ
以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリ
ゴマー、ポリマー等のエポキシ化合物が挙げられ、例え
ば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生
成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエ
ピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げられる。そのほ
かに、米国特許第4,026,705号明細書および英
国特許第1,539,192号明細書に記載されている
エポキシ樹脂を挙げることができる。 【0331】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の
化合物を用いる場合の含有量は、感熱層の全固形分に対
して、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜75
質量%であるのがより好ましく、20〜70質量%であ
るのが更に好ましい。架橋剤の添加量が、5質量%未満
であると、得られる画像記録材料の感熱層の耐久性が低
下することがあり、また、80質量%を超えると、保存
時の安定性が低下することがある。 【0332】本発明においては、架橋剤として、(i
v)下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好
適に使用することができる。 【0333】 【化20】 【0334】上記一般式(5)中、Ar1 は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。前記芳香族
炭化水素環としては、原料の入手性の点で、ベンゼン
環、ナフタレン環またはアントラセン環が好ましい。ま
た、前記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。上記のうち、Ar1
としては、高感度化が可能である点で、置換基を有して
いないベンゼン環またはナフタレン環;ハロゲン原子、
炭素数6以下の炭化水素基、炭素数6以下のアルコキシ
基、炭素数6以下のアルキルチオ基、ニトロ基等を置換
基として有するベンゼン環またはナフタレン環がより好
ましい。 【0335】R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立
に、水素または炭素数12以下の炭化水素基を表す。R
1 、R2 およびR3 としては、それぞれ水素原子、メチ
ル基が好ましい。mおよびnは、それぞれ独立に、1〜
8の整数を表す。 【0336】(G)アルカリ可溶性高分子化合物 アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹
脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が
挙げられる。ノボラック樹脂としては、フェノール類と
アルデヒド類とを酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げら
れる。 【0337】中でも、フェノールとホルムアルデヒドと
から得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルム
アルデヒドとから得られるノボラック樹脂、p−クレゾ
ールとホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドとから得られる
ノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒ
ドとから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレ
ゾールとホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹
脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−
/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のい
ずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドとから得ら
れるノボラック樹脂や、フェノールとパラホルムアルデ
ヒドとを原料とし、触媒を使用せず密閉状態で高圧下で
反応させて得られるオルソ結合率の高い高分子量ノボラ
ック樹脂等が好ましい。ノボラック樹脂は、重量平均分
子量が800〜300,000で、数平均分子量が40
0〜60,000であるものの中から、目的に応じて好
適なものを選択して用いるのが好ましい。 【0338】また、側鎖にヒドロキシアリール基を有す
るポリマーも、ノボラック樹脂と同様に好適に用いられ
る。前記ヒドロキシアリール基としては、ヒドロキシ基
が一つ以上結合したアリール基が挙げられる。前記アリ
ール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ア
ントラセニル基、フェナントレニル基等が挙げられる。
中でも、入手の容易性および物性の観点から、フェニル
基およびナフチル基が好ましい。側鎖にヒドロキシアリ
ール基を有するポリマーの具体例としては、下記式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか
1種を含むポリマーを挙げることができる。ただし、本
発明はこれらに限定されるものではない。 【0339】 【化21】 【0340】上記式(IX)〜(XII)中、R11は、
水素原子またはメチル基を表す。R 12およびR13は、そ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数10以
下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基または
炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。ここで、R
12とR13とが結合して縮環し、ベンゼン環、シクロヘキ
サン環等を形成していてもよい。R14は、単結合または
炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単
結合または炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。
R16は、単結合または炭素数10以下の2価の炭化水素
基を表す。X1は、単結合、エーテル結合、チオエーテ
ル結合、エステル結合またはアミド結合を表す。pは、
1〜4の整数を表す。qおよびrは、それぞれ独立に、
0〜3の整数を表す。 【0341】アルカリ可溶性高分子化合物としては、本
願出願人によって提案された特願平11−320997
号明細書(特開2001−142230号公報)の段落
番号[0130]〜[0163]に詳細に記載されてい
る。アルカリ可溶性高分子化合物は、単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0342】アルカリ可溶性高分子化合物の含有量は、
感熱層の全固形分に対して、5〜95質量%であるのが
好ましく、10〜95質量%であるのがより好ましく、
20〜90質量%であるのが更に好ましい。アルカリ水
可溶性樹脂の含有量が、5質量%未満であると、感熱層
の耐久性が劣化することがあり、また、95質量%を超
えると、画像形成されないことがある。 【0343】また、酸架橋層としては、上述した以外に
も、特開平8−276558号公報に記載されているフ
ェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特開平
7−306528号公報に記載されているジアゾニウム
化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−203
037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有す
る複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架
橋反応を利用したネガ型画像形成材料等を用いることも
できる。 【0344】つぎに、(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子
と(J)親水性高分子マトリックスとを用いる感熱層に
用いられる各化合物について以下に述べる。 (H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子 疎水性熱溶融性樹脂微粒子(以下「微粒子ポリマー」と
いう。)は、微粒子ポリマー同士が熱により溶融合体す
るものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性
成分に分散するものがより好ましい。微粒子を形成する
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)ア
クリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ
(メタ)アクリル酸ブチル、ポリアクリロニトリル、ポ
リ酢酸ビニル;それらの共重合体のラテックス等が好ま
しいものとして挙げられる。親水性表面を有する微粒子
ポリマーは、微粒子を構成するポリマー自体が親水性で
あるもの、ポリマーの主鎖または側鎖に親水性基を導入
して親水性を付与したもの等のポリマー自体が親水性で
あるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコ
ール等の親水性ポリマー、親水性オリゴマーまたは親水
性低分子化合物を、微粒子ポリマー表面に吸着させて表
面を親水性化したものを包含するが、これらに限定され
るものではない。 【0345】微粒子ポリマーの他の好ましい特性とし
て、画像部の膜強度を向上させるという観点から、微粒
子ポリマーが熱反応性官能基を有するポリマーにより構
成されることが挙げられる。前記熱反応性官能基として
は、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アク
リロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基
等);付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロ
ック体、その反応相手である活性水素原子を有する官能
基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基
等);付加反応を行うエポキシ基、その反応相手である
アミノ基、カルボキシ基またはヒドロキシ基;縮合反応
を行うカルボキシ基とヒドロキシ基またはアミノ基;開
環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシ
基等を挙げることができる。しかし、加熱により化学結
合が形成される機能を有するものであれば、どのような
反応を行う官能基でもよい。これらの熱反応性官能基の
微粒子ポリマーへの導入は、重合時に行ってもよいし、
重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。 【0346】微粒子ポリマーの含有量は、感熱層の全固
形分に対して、50質量%以上であるのが好ましく、6
0〜95質量%であるのがより好ましい。 【0347】感熱層に、上記のような熱反応性官能基を
有する微粒子ポリマーを用いる場合は、必要に応じて、
これらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加して
もよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、
熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合
物を挙げることができる。具体的には、ロフィンダイマ
ー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジ
アゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩等を含ん
だオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナート
等が挙げられる。これらの化合物の含有量は、感熱層の
全固形分に対して、1〜20質量%であるのが好まし
く、3〜10質量%であるのがより好ましい。上記範囲
内であると、機上現像する場合にも機上現像性を損なわ
ず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られ
る。 【0348】(J)親水性高分子マトリックス 上記微粒子ポリマーは、親水性樹脂からなるマトリック
ス中に分散させることで、機上現像する場合には機上現
像性が良好となり、更に感熱層自体の皮膜強度も向上す
る。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カル
ボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル
基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カ
ルボキシメチル等の親水基を有するものが好ましい。 【0349】親水性樹脂の具体例としては、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシ
メチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロース
アセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレ
イン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー
類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリ
ル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレ
ートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチ
ルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒド
ロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコ
ポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリ
マーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレー
トのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチル
アクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエ
チレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー
類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が少なくとも
60質量%、好ましくは少なくとも80質量%である加
水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、
ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリ
ルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル
アミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロール
アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙
げることができる。 【0350】親水性樹脂の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、5〜40質量%であるのが好ましく、10〜
30質量%であるのがより好ましい。上記範囲内である
と、機上現像する場合にも良好な機上現像性が得られ、
また、良好な皮膜強度が得られる。 【0351】このような(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒
子と(J)親水性高分子マトリックスとを用いる感熱層
に、上述した(A)赤外線吸収剤を含有させることによ
り、赤外線レーザ照射等による画像記録が可能となる。
用いられる赤外線吸収剤は先に例示したものと同様であ
り、赤外線吸収剤の含有量は、感熱層の全固形分に対し
て、30質量%以下であるのが好ましく、5〜25質量
%であるのがより好ましく、7〜20質量%であるのが
更に好ましい。上記範囲内であると、良好な感度が得ら
れる。 【0352】(K)その他の成分 サーマルネガタイプの感熱層は、上記各成分のほかに、
必要に応じて、更に、種々の化合物を添加してもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色
剤として使用することができる。また、フタロシアニン
系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等
の顔料も着色剤として好適に用いることができる。これ
らの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別が
つきやすいので、添加する方が好ましい。着色剤の含有
量は、感熱層の全固形分に対して、0.01〜10質量
%であるのが好ましい。 【0353】また、感熱層が光重合層である場合、塗布
液の調製中または保存中において、ラジカル重合性化合
物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止
剤を添加することが好ましい。好適な熱重合防止剤とし
てはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t
−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチル
カテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミ
ニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、感
熱層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であ
るのが好ましい。 【0354】また、必要に応じて、酸素による重合阻害
を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高
級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感
熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の含
有量は、感熱層の全固形分に対して、約0.1〜約10
質量%であるのが好ましい。 【0355】更に、感熱層は、必要に応じて、塗膜の柔
軟性等を付与するために可塑剤を含有することができ
る。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブ
チル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸
ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン
酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。 【0356】上記感熱層を設けて本発明の平版印刷版原
版を得るには、上記各成分を溶媒に溶かして、平版印刷
版用支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒と
しては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メ
チルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メ
トキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテ
ート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメト
キシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テト
ラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエ
ン、水等を挙げることができるが、本発明はこれらに限
定されるものではない。溶媒は、単独でまたは混合して
使用される。溶媒中の濃度は、好ましくは1〜50質量
%である。 【0357】感熱層塗布液中には、現像条件に対する処
理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号
公報および特開平3−208514号公報に記載されて
いるような非イオン界面活性剤、特開昭59−1210
44号公報および特開平4−13149号公報に記載さ
れているような両性界面活性剤を添加することができ
る。 【0358】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。 【0359】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業社製)等が挙げられる。 【0360】上記非イオン界面活性剤および両性界面活
性剤の感熱層塗布液中に占める割合は、それぞれ感熱層
の全固形分に対して、0.05〜15質量%であるのが
好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。 【0361】また、塗布し乾燥させて得られる感熱層の
塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、通常、
0.5〜5.0g/m2 であるのが好ましい。塗布する
方法としては、種々の方法を用いることができるが、例
えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カ
ーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレー
ド塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が
少なくなるにつれて、見かけの感度は大きくなるが、画
像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。 【0362】<無処理タイプ>無処理タイプの感熱層
は、熱可塑性微粒子ポリマー、熱反応性官能基を有する
微粒子ポリマー、熱反応性官能基を有する化合物を内包
するマイクロカプセル、および、スルホン酸発生ポリマ
ーからなる群から選ばれる少なくとも一つの成分を含有
する。 【0363】熱可塑性微粒子ポリマーとしては、Res
each DisclosureNo.33303(1
992年1月)、特開平9−123387号、同9−1
31850号、同9−171249号、同9−1712
50号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号
明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーを好
適なものとして挙げることができる。具体例としては、
エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカ
ルバゾール等のモノマーのホモポリマーもしくはコポリ
マーまたはそれらの混合物を挙げることができる。中で
も、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを用いるの
が好ましい。 【0364】スルホン酸発生ポリマーとしては、例え
ば、特開平10−282672号公報に記載されている
スルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−も
しくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリ
マー等を挙げることができる。 【0365】しかし、特に好ましいのは、熱反応性官能
基を有する微粒子ポリマーおよび熱反応性官能基を有す
る化合物を内包するマイクロカプセルである。これらに
共通に用いられる熱反応性官能基としては、重合反応を
行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メ
タクリロイル基、ビニル基、アリル基等);付加反応を
行うイソシアネート基またはそのブロック体、その反応
相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミ
ノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等);付加反応を行
うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキ
シ基またはヒドロキシ基;縮合反応を行うカルボキシ基
とヒドロキシ基またはアミノ基;開環付加反応を行う酸
無水物とアミノ基またはヒドロキシ基等を挙げることが
できる。しかし、加熱により化学結合が形成される機能
を有するものであれば、どのような反応を行う官能基で
もよい。 【0366】このような熱反応性官能基を有する微粒子
ポリマーとしては、アクリロイル基、メタクリルロイル
基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒド
ロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、酸無水
物;それらを保護した基を有するものを挙げることがで
きる。これらの基のポリマー粒子への導入は、重合時に
行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行って
もよい。 【0367】重合時に導入する場合は、これらの基を有
するモノマーを乳化重合し、または懸濁重合するのが好
ましい。そのような基を有するモノマーの具体例とし
て、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニ
ルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシア
ネートエチルメタクリレートまたはそのアルコール等に
よるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチ
ルアクリレートまたはそのアルコール等によるブロック
イソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2
−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ア
クリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アク
リレート、2官能メタクリレート等を挙げることができ
るが、本発明はこれらに限定されない。これらのモノマ
ーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマー
としては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、
アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニ
ル等を挙げることができるが、熱反応性官能基を有しな
いモノマーであれば、これらに限定されない。熱反応性
官能基の導入を重合後に行う場合に用いる高分子反応と
しては、例えば、国際公開第96/34316号パンフ
レットに記載されている高分子反応を挙げることができ
る。 【0368】上記熱反応性官能基を有する微粒子ポリマ
ーの中でも、微粒子ポリマー同士が熱により合体するも
のが好ましく、その表面は親水性で、水に分散するもの
が、特に好ましい。微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固
温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触
角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して
作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなる
ことが好ましい。このように微粒子ポリマー表面を親水
性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコール等の親水性ポリマーもしくはオリゴマー、また
は親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させ
てやればよいが、その方法はこれらに限定されるもので
はない。 【0369】熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの
凝固温度は、70℃以上であるのが好ましいが、経時安
定性を考えると100℃以上であるのがより好ましい。
熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの平均粒径は、
0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜
2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μ
mであるのが更に好ましい。平均粒径が大きすぎると解
像度が悪くなり、また、小さすぎると経時安定性が悪く
なってしまう。 【0370】熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの
含有量は、感熱層の全固形分に対して、50質量%以上
であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好
ましい。 【0371】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
上記熱反応性官能基を有する化合物を内包している。こ
の熱反応性官能基を有する化合物としては、重合性不飽
和基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシラート
基、酸無水物、アミノ基、エポキシ基およびイソシアネ
ート基ならびにそのブロック体から選ばれた少なくとも
一個の官能基を有する化合物を挙げることができる。 【0372】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基等を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
ような化合物群は当該産業分野において広く知られるも
のであり、本発明においては、これらを特に限定なく用
いることができる。これらの化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体およびオリ
ゴマーもしくはそれらの混合物またはそれらの共重合体
が挙げられる。 【0373】重合性不飽和基を有する化合物の具体例と
しては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
マレイン酸等)、そのエステルおよびアミドが挙げら
れ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコ
ールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アミンとのアミドが挙げられる。また、ヒドロキシ基、
アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽
和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミド
と、単官能もしくは多官能イソシアネートまたはエポキ
シドとの付加反応物、および、単官能または多官能のカ
ルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に挙げられる。ま
た、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基
を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単
官能または多官能のアルコール、アミンおよびチオール
との付加反応物、更に、ハロゲン基、トシルオキシ基等
の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまた
はアミドと、単官能または多官能アルコール、アミンお
よびチオールとの置換反応物も好適に挙げられる。ま
た、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、
不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換
えた化合物が挙げられる。 【0374】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである、重合性不飽和基を有する化合物の
モノマーの具体例としては、フォトポリマータイプの感
光層に用いられるエチレン性不飽和結合含有化合物とし
て上記に例示した、各アクリル酸エステル、各メタクリ
ル酸エステル、各イタコン酸エステル、各クロトン酸エ
ステル、各イソクロトン酸エステルおよび各マレイン酸
エステルが挙げられる。 【0375】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号お
よび特開昭57−196231号の各公報に記載されて
いる脂肪族アルコール系エステル類、特開昭59−52
40号、特開昭59−5241号および特開平2−22
6149号の各公報に記載されている芳香族系骨格を有
するもの、特開平1−165613号公報に記載されて
いるアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。 【0376】また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミ
ンとのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビ
ス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、
1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエ
チレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビ
スアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等
を挙げることができる。その他の好ましいアミド系モノ
マーの例としては、特公昭54−21726号公報に記
載されているシクロへキシレン構造を有するものを挙げ
ることができる。 【0377】また、重合性不飽和基を有する化合物とし
て、イソシアネート基とヒドロキシ基との付加反応を用
いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適に用
いられ、その具体例としては、例えば、特公昭48−4
1708号公報中に記載されている1分子に2個以上の
イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
に、下記式(I)で示されるヒドロキシ基を有する不飽
和モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不
飽和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。 【0378】 CH2 =C(R1 )COOCH2 CH(R2 )OH (I) (上記式(I)中、R1 およびR2 は、それぞれHまたはCH3 を示す。) 【0379】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号および特公平2−16765号の各公
報に記載されているようなウレタンアクリレートや、特
公昭58−49860号、特公昭56−17654号、
特公昭62−39417号および特公昭62−3941
8号の各公報に記載されているエチレンオキサイド系骨
格を有するウレタン化合物も好適なものとして挙げるこ
とができる。 【0380】更に、特開昭63−277653号、特開
昭63−260909号および特開平1−105238
号の各公報に記載されている、分子内にアミノ構造やス
ルフィド構造を有するラジカル重合性化合物を好適なも
のとして挙げることができる。 【0381】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号、特公昭49−43191号および
同52−30490号の各公報に記載されているような
ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)
アクリル酸とを反応させたエポキシアクリレート類等の
多官能の(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、特公昭46−43946号、特公平1−4033
7号および同1−40336号の各公報に記載されてい
る特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報
に記載されているビニルホスホン酸系化合物等も好適な
ものとして挙げることができる。また、ある場合には、
特開昭61−22048号公報に記載されているペルフ
ルオロアルキル基を含有する化合物も好適に使用され
る。更に、日本接着協会誌、20巻7号、p.300−
308(1984年)に、光硬化性モノマーおよびオリ
ゴマーとして紹介されているものも好適に使用すること
ができる。 【0382】エポキシ基を有する化合物としては、グリ
セリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェ
ノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの水素
添加物のポリグリシジルエーテル等が好適に挙げられ
る。 【0383】イソシアネート基を有する化合物として
は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイ
ソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート;そ
れらをアルコールまたはアミンでブロックした化合物が
好適に挙げられる。 【0384】アミノ基を有する化合物としては、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ポリエチレンイミン等が好適に挙げられる。 【0385】ヒドロキシ基を有する化合物としては、末
端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトール
等の多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール
類等が好適に挙げられる。カルボキシ基を有する化合物
としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸
等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸等の脂肪族多価
カルボン酸等が好適に挙げられる。酸無水物を有する化
合物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸無水物等が好適に挙げられる。 【0386】エチレン性不飽和結合を有する化合物の共
重合体としては、アリルメタクリレートの共重合体が好
適に挙げられる。具体的には、アリルメタクリレート/
メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチル
メタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。 【0387】熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルの製造方法としては、公知の方法が適
用できる。例えば、マイクロカプセルの製造方法とし
て、米国特許第2,800,457号明細書および同第
2,800,458号明細書に記載されているコアセル
ベーションを利用した方法、英国特許990,443号
明細書、米国特許第3,287,154号明細書、特公
昭38−19574号、同42−446号および同42
−711号の各公報に記載されている界面重合法による
方法、米国特許第3,418,250号明細書および同
第3,660,304号明細書に記載されているポリマ
ーの析出による方法、米国特許第3,796,669号
明細書に記載されているイソシアネートポリオール壁材
料を用いる方法、米国特許第3,914,511号に記
載されているイソシアネート壁材料を用いる方法、米国
特許第4,001,140号、同第4,087,376
号および同第4,089,802号の各明細書に記載さ
れている尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムア
ルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、
米国特許第4,025,445号明細書に記載されてい
るメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロ
ース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公
報および同51−9079号公報に記載されているモノ
マー重合によるin situ法、英国特許第930,
422号明細書および米国特許第3,111,407号
明細書に記載されているスプレードライング法、英国特
許第952,807号明細書および同第967,074
号明細書に記載されている電解分散冷却法等を用いるこ
とができる。 【0388】熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルに用いられるマイクロカプセル壁は、
3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有する
ものであるのが好ましい。この観点から、マイクロカプ
セルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混
合物が好ましく、中でも、ポリウレアおよび/またはポ
リウレタンがより好ましい。上記マイクロカプセル壁に
は、上記熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよ
い。 【0389】熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmで
あるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがよ
り好ましく、0.10〜1.0μmであるのが更に好ま
しい。平均粒径が大きすぎると解像度が悪くなり、ま
た、小さすぎると経時安定性が悪くなってしまう。 【0390】このような熱反応性官能基を有する化合物
を内包するマイクロカプセルは、マイクロカプセル同士
が熱により合体するものであってもよいし、合体しない
ものであってもよい。要は、マイクロカプセル内包物の
うち、塗布時にカプセル表面またはマイクロカプセル外
に滲み出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入
したものが、熱により化学反応を起こせばよい。また、
添加された親水性樹脂、または、添加された低分子化合
物と反応してもよい。また、2種以上のマイクロカプセ
ルに、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような
官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士
を反応させてもよい。したがって、熱によってマイクロ
カプセル同士が、熱で溶融合体することは画像形成上好
ましいことであるが、必須ではない。 【0391】感熱層における熱反応性官能基を有する化
合物を内包するマイクロカプセルの含有量は、感熱層の
全固形分に対して、10〜60質量%であるのが好まし
く、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範
囲内であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度
および耐刷性が得られる。 【0392】熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルを感熱層に含有させる場合、内包物を
溶解させることができ、かつ、壁材を膨潤させることが
できる溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加すること
ができる。このような溶剤によって、内包された熱反応
性官能基を有する化合物のマイクロカプセル外への拡散
が促進される。このような溶剤の選択は、マイクロカプ
セル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内
包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易
に選択することができる。例えば、架橋ポリウレアやポ
リウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場
合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステ
ル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン
類、脂肪酸類等が好ましい。 【0393】具体的には、メタノール、エタノール、第
三ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラ
ン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げら
れるが、本発明はこれらに限られない。また、これらの
溶剤を2種以上用いてもよい。 【0394】また、マイクロカプセル分散液には溶解し
ないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いるこ
とができる。その添加量は、素材の組み合わせにより決
まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成
が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化す
る。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが有効であ
り、10〜90質量%であるのが好ましく、15〜85
質量%であるのがより好ましい。 【0395】無処理タイプの感熱層が、熱反応性官能基
を有する微粒子ポリマーおよび/または熱反応性官能基
を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する
場合には、必要に応じて、これらの反応を開始させまた
は促進させる化合物を添加してもよい。反応を開始させ
または促進させる化合物としては、熱によりラジカルま
たはカチオンを発生するような化合物を挙げることがで
きる。例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合
物、過酸化物、アゾ化合物、オニウム塩(ジアゾニウム
塩、ジフェニルヨードニウム塩等)、アシルホスフィ
ン、イミドスルホナート等が挙げられる。これらの化合
物の含有量は、感熱層の全固形分に対して、1〜20質
量%であるのが好ましく、3〜10質量%であるのがよ
り好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわ
ず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られ
る。 【0396】無処理タイプの感熱層には親水性樹脂を含
有させてもよい。親水性樹脂を含有させることにより、
機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強
度も向上する。また、親水性樹脂を架橋硬化させて、現
像処理不要の平版印刷版原版を得ることができる。親水
性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ
基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミ
ノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシ
メチル基等の親水基を有するものや、親水性のゾルゲル
変換系結着樹脂が好ましい。 【0397】親水性樹脂の具体的としては、フォトポリ
マータイプの感光層に用いられる(J)親水性高分子マ
トリックスとして用いられる親水性樹脂として列挙した
ものが挙げられる。 【0398】また、上記親水性樹脂は、架橋硬化させて
用いてもよい。親水性樹脂を架橋硬化させる耐水化剤と
しては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹
脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアルデヒド類;N−
メチロール尿素、N−メチロールメラミン、メチロール
化ポリアミド樹脂等のメチロール化合物;ジビニルスル
ホン、ビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)等の活
性ビニル化合物;エピクロルヒドリン、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリアミド・ポリアミ
ン・エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロ
ヒドリン樹脂等のエポキシ化合物;モノクロル酢酸エス
テル、チオグリコール酸エステル等のエステル化合物;
ポリアクリル酸、メチルビニルエーテル/マレイン酸共
重合物等のポリカルボン酸類;ホウ酸、チタニルスルフ
ェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩等の無機系架橋
剤;変成ポリアミドポリイミド樹脂等が挙げられる。そ
のほかに、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用すること
ができる。 【0399】無処理タイプの感熱層においては、親水性
樹脂の中でも、ゾルゲル変換系結着樹脂を用いるのが好
ましい。以下、詳細に説明する。無処理タイプの感熱層
に好適に用いられるゾルゲル変換系結着樹脂としては、
多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状
構造を形成し、かつ、多価元素が未結合のヒドロキシ
基、アルコキシ基等も有していて、これらが混在した樹
脂状構造となっている高分子体であって、ヒドロキシ
基、アルコキシ基等が多い段階ではゾル状態であり、エ
ーテル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が
強固となるような高分子体が挙げられる。 【0400】ゾルゲル変換系結着樹脂は、樹脂組織の親
水性度が変化する性質に加えて、ヒドロキシ基等の一部
が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面
を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持ってい
る。ゾルゲル変換を行うヒドロキシ基、アルコキシ基等
を有する多価元素は、アルミニウム、ケイ素、チタン、
ジルコニウム等が挙げられる。中でも、ケイ素を用いる
シロキサン結合によるゾルゲル変換系が好ましい。以
下、シロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明
するが、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を用い
るゾルゲル変換系は、下記の説明のケイ素をそれぞれの
元素に置き換えて実施することができる。 【0401】シロキサン結合によるゾルゲル変換系は、
ゾルゲル変換が可能な、少なくとも1個のシラノール基
を有するシラン化合物を含む系である。 【0402】ゾルゲル変換によって形成される無機親水
性結着樹脂は、好ましくはシロキサン結合およびシラノ
ール基を有する樹脂である。無処理タイプの感熱層は、
少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を
含むゾルの系である塗布液を平版印刷版用支持体に塗布
し、塗布後、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロ
キサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することに
よって形成される。また、このゾルゲル変換系によって
形成される感熱層は、膜強度、柔軟性等の物理的性能の
向上や、塗布性の改良等を目的として、後述する有機親
水性ポリマー、架橋剤等を含有することもできる。 【0403】ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下
記一般式(I)で表され、また、少なくとも1個のシラ
ノール基を有するシラン化合物は、下記一般式(II)
で表される。また、感熱層に含まれる物質系は、必ずし
も一般式(II)で表されるシラン化合物単独である必
要はなく、一般に、シラン化合物が部分加水分解により
重合したオリゴマーからなっていてもよく、シラン化合
物とそのオリゴマーの混合組成からなっていてもよい。 【0404】 【化22】 【0405】上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、
下記一般式(II)で示されるシラン化合物の少なくと
も1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形
成され、一般式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つ
はヒドロキシ基を表し、他は下記一般式(II)中の記
号のR0 およびYから選ばれる有機残基を表す。i、j
およびkは、それぞれ独立に、0以上の整数を表すが、
これらの合計が0となることはない。 【0406】(R0 )n Si(Y)4-n (II) 【0407】上記一般式(II)中、R0 はヒドロキシ
基、炭化水素基またはヘテロ環基を表す。Yは水素原
子、ハロゲン原子、−OR1 、−OCOR2 または−N
(R3)(R4 )を表す。R1 およびR2 は、それぞれ
炭化水素基を表す。R3 およびR4 は、それぞれ独立
に、水素原子または炭化水素基を表す。nは、0〜3の
整数を表す。 【0408】上記一般式(II)中のR0 の炭化水素と
しては、例えば、炭素数1〜12の置換されていてもよ
い直鎖状または分岐状のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ドデシル基等)、炭素数2〜12の置換されていて
もよい直鎖状または分岐状のアルケニル基(例えば、ビ
ニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘ
キセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基
等)、炭素数7〜14の置換されていてもよいアラルキ
ル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニ
ルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル
基等)、炭素数5〜10の置換されていてもよい脂環式
基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基、ノルボニル基、アダマンチル基等)、炭素数6〜1
2の置換されてもよいアリール基(例えば、フェニル
基、ナフチル基等)が挙げられる。 【0409】これらに用いられる置換基としては、ハロ
ゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロ
キシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ
基、エポキシ基、−OR′基(R′は、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル
基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキシエチ
ル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、
N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロモエチル
基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピル
基、ベンジル基等を表す。以下同じ。)、−OCOR′
基、−COOR′基、−COR′基、−N(R″)
(R″′)基(R″およびR″′は、それぞれ独立に、
水素原子またはR′を表す。以下同じ。)、−NHCO
NHR′基、−NHCOOR′基、−Si(R′)3 基
(ただし、三つのR′は、同一であっても、異なってい
てもよい。)、−CONHR″基、−NHCOR′基等
が挙げられる。上記アルキル基等は、複数の上記置換基
により置換されてもよい。その場合、複数の置換基は同
一であってもよく、異なっていてもよい。 【0410】上記一般式(II)中のR0 のヘテロ環基
としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子
から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環して
いてもよいヘテロ環基が挙げられる。ヘテロ環として
は、例えば、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モル
ホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール
環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾ
チアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テ
トラヒドロフラン環等が挙げられ、これらは置換基を有
していてもよい。置換基としては、上記アルキル基等に
用いられる置換基と同様のものを用いることができる。
また、上記ヘテロ環基は、複数の上記置換基により置換
されてもよい。その場合、複数の置換基は同一であって
もよく、異なっていてもよい。 【0411】上記一般式(II)中のYの−OR1 基の
R1 としては、例えば、炭素数1〜10の置換されても
よい脂肪族基を表す。このような脂肪族基としては、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
プチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニ
ル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−
ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−
メトキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチ
ル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−
メトキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチル
オキサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシ
ル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシ
クロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベン
ジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる。 【0412】上記一般式(II)中のYの−OCOR2
基のR2 としては、例えば、R1 と同一の内容の脂肪族
基、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基が挙げ
られる。このような芳香族基としては、例えば、フェニ
ル基、ナフチル基等が挙げられる。 【0413】上記一般式(II)中のYの−N(R3 )
(R4 )基のR3 およびR4 の炭化水素基としては、例
えば、炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基が挙
げられる。このような脂肪族基としては、上記R1 と同
様の内容のものが挙げられる。R3 およびR4 の炭素数
の総和が16以内であるのが好ましい。上記一般式(I
I)で示されるシラン化合物の具体例としては、以下の
ものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 【0414】即ち、例えば、テトラクロルシラン、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソ
プロポキシシラン、テトラ−n−プロピルシラン、メチ
ルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n
−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリメトキ
シシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−デシ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラ
ン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメ
トキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリメトキ
シヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン等が挙げられる。 【0415】無機親水性結着樹脂の形成には、上記一般
式(II)で示されるシラン化合物とともに、Ti、Z
n、Sn、Zr、Al等のゾル−ゲル変換の際に樹脂に
結合して成膜可能な金属化合物を併用することができ
る。このような金属化合物としては、例えば、Ti(O
R′)4 、TiCl4 、Zn(OR′)2 、Zn(CH
3 COCHCOCH3 )2 、Sn(OR′)4 、Sn
(CH3 COCHCOCH3 )4 、Sn(OCOR′)
4 、SnCl4、Zr(OR′)4 、Zr(CH3 CO
CHCOCH3 )4 、Al(OR′)3 、Al(CH3
COCHCOCH3 )3 等が挙げられる。 【0416】更に、一般式(II)で示されるシラン化
合物、および、それと併用することができる上記金属化
合物の加水分解反応および重縮合反応を促進するため
に、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好まし
い。触媒は、酸もしくは塩基性化合物をそのままで、ま
たは、水、アルコール等の溶媒に溶解させた状態として
用いることができる(以下、酸を用いるものを「酸性触
媒」、塩基性化合物を用いるものを「塩基性触媒」とい
う。)。溶媒に溶解させる場合の濃度は、特に限定され
ないが、濃度が濃い方が加水分解反応および重縮合反応
の速度が速くなる傾向がある。ただし、濃度の濃い塩基
性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成すること
があるため、塩基性触媒の濃度(水溶液での濃度換算)
は1N以下であるのが好ましい。 【0417】酸性触媒および塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒が好ましい。具体的には、酸
性触媒としては、ハロゲン化水素(例えば、塩酸)、硝
酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、
炭酸、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸)、構造式RC
OOHで表されるカルボン酸のRに置換基を有する置換
カルボン酸、スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン
酸)等が挙げられる。また、塩基性触媒としては、アン
モニア性塩基(例えば、アンモニア水)、アミン類(例
えば、エチルアミン、アニリン)等が挙げられる。 【0418】上述したように、無処理タイプの感熱層と
しては、ゾル−ゲル法によって作成される感熱層(親水
性樹脂としてゾルゲル変換系結着樹脂を含有させた感熱
層)が好ましい。上記ゾル−ゲル法の詳細は、作花済夫
「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1
988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄
膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等
の成書等に詳細に記載されている。 【0419】親水性樹脂の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、5〜70質量%であるのが好ましく、10〜
50質量%であるのがより好ましい。上記範囲内である
と、良好な機上現像性および皮膜強度が得られる。 【0420】無処理タイプの感熱層には、光熱変換物質
を添加することが必要である。光熱変換物質は、波長7
00nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の
顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。 【0421】前記顔料としては、市販の顔料、ならび
に、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料を利用することができる。具体的には、
例えば、サーマルポジタイプの感熱層に含有される光熱
変換物質として、上記に例示した顔料が挙げられる。 【0422】これらの顔料は、サーマルポジタイプの感
熱層に含有される顔料と同様に、表面処理をせずに用い
てもよく、表面処理を施して用いてもよい。 【0423】中でも、赤外線を吸収する顔料が、赤外線
を発光するレーザの利用に適する点で好ましい。このよ
うな赤外線を吸収する顔料としては、カーボンブラック
が好ましく、中でも、水溶性または親水性の樹脂と分散
しやすく、かつ、親水性を損わないように、親水性樹脂
やシリカゾルで表面がコートされたカーボンブラックが
特に好ましい。顔料の粒径は、0.01μm〜1μmの
範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μm
の範囲にあることがより好ましい。 【0424】前記染料としては、市販の染料および文献
(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンア
ゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カ
ルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シア
ニン染料等の染料が挙げられる。中でも、赤外線を吸収
する染料が、赤外線を発光するレーザでの利用に適する
点で特に好ましい。 【0425】赤外線を吸収する染料としては、例えば、
特開昭58−125246号、特開昭59−84356
号、特開昭60−78787号の各公報等に記載されて
いるシアニン染料、特開昭58−173696号、特開
昭58−181690号、特開昭58−194595号
の各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−
112793号、特開昭58−224793号、特開昭
59−48187号、特開昭59−73996号、特開
昭60−52940号、特開昭60−63744号の各
公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58
−112792号公報等に記載されているスクワリリウ
ム染料、英国特許434,875号明細書に記載されて
いるシアニン染料や米国特許第4,756,993号明
細書に記載されている染料、米国特許第4,973,5
72号明細書に記載されているシアニン染料、特開平1
0−268512号公報に記載されている染料を挙げる
ことができる。 【0426】また、染料として、米国特許第5,15
6,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤
も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,92
4号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公
報(米国特許第4,327,169号明細書)に記載さ
れているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1
81051号、同58−220143号、同59−41
363号、同59−84248号、同59−84249
号、同59−146063号、同59−146061号
の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭
59−216146号公報に記載されているシアニン染
料、米国特許第4,283,475号明細書に記載され
ているペンタメチンチオピリリウム塩等、特公平5−1
3514号公報および同5−19702号公報に記載さ
れているピリリウム化合物;Epolight III
−178、Epolight III−130、Epo
light III−125(いずれもエポリン社製)
等も好適に用いられる。中でも、特に好ましい染料は水
溶性染料であり、以下に具体例を構造式で列挙する。 【0427】 【化23】【0428】 【化24】【0429】 【化25】【0430】 【化26】【0431】 【化27】【0432】 【化28】【0433】 【化29】【0434】 【化30】【0435】前記金属微粒子としては、光熱変換性で光
照射によって熱融着する金属微粒子であれば特に限定さ
れないが、8〜11族(第VIII族および第IB族)
に属する金属の単体または合金の微粒子であるのが好ま
しく、Ag、Au、Cu、PtおよびPdから選ばれる
金属の単体または合金の微粒子であるのがより好まし
い。金属微粒子は、分散安定剤を含む水溶液に上記金属
の塩または錯塩の水溶液を添加し、更に還元剤を添加し
て金属コロイドとした後、不要な塩類を除去して用いら
れる。 【0436】分散安定剤としては、例えば、クエン酸、
シュウ酸等のカルボン酸およびその塩;PVP、PV
A、ゼラチン、アクリル樹脂等のポリマーが挙げられ
る。還元剤としては、例えば、卑金属塩(例えば、Fe
SO4 、SnSO4 )、水素化ホウ素化合物、ホルマリ
ン、デキストリン、ブドウ糖、ロッセル塩、酒石酸、チ
オ硫酸ナトリウム、次亜リン酸塩が挙げられる。金属コ
ロイドの平均粒子径は、1〜500nmであるのが好ま
しく、1〜100nmであるのがより好ましく、1〜5
0nmであるのが更に好ましい。その分散度は多分散で
もよいが、変動係数が30%以下の単分散の方が好まし
い。不要な塩類を除去する方法としては、例えば、限外
ろ過法;コロイド分散系にメタノールと水との混合溶液
またはエタノールと水との混合溶液を添加して、自然沈
降させ、または遠心沈降させて、その上澄み液を除去す
る方法が挙げられる。 【0437】光熱変換物質の含有量は、顔料または染料
の場合、感熱層の全固形分に対して、30質量%以下で
あるのが好ましく、5〜25質量%であるのがより好ま
しく、7〜20質量%であるのが更に好ましい。また、
金属微粒子の場合、感熱層の全固形分の5質量%以上で
あるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ま
しく、20質量%以上であるのが更に好ましい。金属微
粒子の含有量が5質量%未満であると、感度が低くなっ
てしまう場合がある。 【0438】無処理タイプの感熱層には、必要に応じ
て、上述した成分以外に、種々の化合物を含有すること
ができる。例えば、耐刷性を一層向上させるために多官
能モノマーを感熱層のマトリックス中に含有させること
ができる。このような多官能モノマーとしては、マイク
ロカプセル中に内包されるモノマーとして例示したもの
を用いることができる。特に好ましいモノマーとして
は、トリメチロールプロパントリアクリレートを挙げる
ことができる。 【0439】また、無処理タイプの感熱層には、画像形
成後、画像部と非画像部との区別をつけやすくするた
め、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤と
して使用することができる。具体的には、オイルイエロ
ー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#
312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラ
ックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエン
ト化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタ
ルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレッ
ト(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミ
ンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(C
I42000)、メチレンブルー(CI52015)、
特開昭62−293247号公報に記載されている染料
を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、
アゾ系顔料、酸化チタン等の顔料も、同様に好適に用い
ることができる。これらの含有量は、感熱層の全固形分
に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましい。 【0440】また、無処理タイプの感熱層がエチレン性
不飽和結合を有する化合物を含有する場合、その不要な
熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加す
ることが好ましい。好適な熱重合防止剤としてはハイド
ロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−
p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコー
ル、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニト
ロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、感熱層の全
固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好
ましい。 【0441】また、無処理タイプの感熱層には、必要に
応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸
やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加し
て、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体の含有量は、感熱層の全固形分
に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好まし
い。 【0442】更に、無処理タイプの感熱層は、必要に応
じて、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を含有す
ることができる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸
ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、
リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリ
ル等が用いられる。 【0443】また、無処理タイプの感熱層は、無機微粒
子を含有することができる。無機微粒子としては、例え
ば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム、アルギン酸カルシウム等が挙げられる。これら
は光熱変換性ではなくても、皮膜の強化、感熱層の表面
粗面化による界面接着性の強化等の効果を奏する。無機
微粒子の含有量は、感熱層の全固形分に対して、1.0
〜70質量%であるのが好ましく、5.0〜50質量%
であるのがより好ましい。1%以下であると期待される
効果が小さく、また、70質量%以上であると本来必要
な光熱変換物質の含有量が制約される場合がある。 【0444】また、無処理タイプの感熱層は、親水性ゾ
ル状粒子を含有することができる。親水性ゾル状粒子と
しては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、酸化マグ
ネシウムゾル、炭酸マグネシウムゾル、アルギン酸カル
シウムゾルが好適に挙げられる。中でも、シリカゾル、
アルミナゾル、アルギン酸カルシウムゾルまたはこれら
の混合物が好ましい。これらは光熱変換性ではなくて
も、親水性の向上、ゾルゲル膜の強化等の効果を奏す
る。 【0445】シリカゾルは、表面に多くのヒドロキシ基
を有し、内部はシロキサン結合(−Si−O−Si)で
構成されている。シリカゾルは、粒子径1〜100nm
のシリカ超微粒子が、水または極性溶媒の中に分散した
ものであり、コロイダルシリカとも称されている。シリ
カゾルの詳細は、加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカ
の応用技術」第3巻、(株)シーエムシー(1991
年)に記載されている。アルミナゾルは、5〜200n
mのコロイドの大きさを有するアルミナ水和物(ベーマ
イト系)であり、水中の陰イオン(例えば、フッ化物イ
オン、塩化物イオン等のハロゲンイオン、酢酸イオン
(acetate)等のカルボン酸アニオン(carb
oxylato)等)を安定剤としてアルミナが分散さ
れたものである。これらの親水性ゾル状粒子は、いずれ
も、市販品として容易に入手することができる。 【0446】上記親水性ゾル状粒子の平均粒径は、10
〜50nmであるのが好ましく、10〜40nmである
のがより好ましい。親水性ゾル状粒子の粒径が上記範囲
内であると、親水性樹脂内において、光熱変換物質とし
て含有される金属微粒子等や、上述した疎水性熱溶融性
樹脂微粒子等の疎水性化前駆体(露光しない状態では疎
水性であり、露光により疎水性となる成分)とともに安
定に分散して、感熱層の膜強度を十分に保持することが
でき、また、レーザー光等により露光して製版し、平版
印刷版として印刷したときに、非画像部へのインキの付
着汚れを生じない、極めて親水性に優れたものになると
いう効果が得られる。 【0447】上記光熱変換物質(好ましくはカーボンブ
ラック、金属微粒子)と上記親水性ゾル状粒子の存在割
合は、質量比で、100/0〜30/70であるのが好
ましく、100/0〜40/60であるのがより好まし
い。また、光熱変換物質、疎水性化前駆体および親水性
ゾル状粒子の合計の含有量は、感熱層の全固形分に対し
て、2〜95質量%であるのが好ましく、5〜85質量
%であるのがより好ましい。 【0448】感熱層は、通常、上記各成分を溶媒に溶か
して得られる感熱層塗布液を、親水層(陽極酸化皮膜層
または親水化処理後の陽極酸化皮膜層)上に塗布するこ
とにより製造することができる。ここで使用する溶媒と
しては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メ
チルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メ
トキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテ
ート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメト
キシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テト
ラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエ
ン、水等を挙げることができるが、本発明はこれらに限
定されるものではない。これらの溶剤は単独でまたは混
合して使用される。溶媒中の上記成分(全固形分)の濃
度は、1〜50質量%であるのが好ましい。 【0449】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げるこ
とができる。 【0450】また、感熱層の塗布量(固形分)は、用途
によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2 で
あるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなる
と、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果た
す感熱層の皮膜特性が低下する。 【0451】本発明における感熱層には、塗布性を改善
するための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。界面活性剤の添加量は、感熱
層の全固形分に対して、0.01〜1質量%であるのが
好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ま
しい。 【0452】<バックコート層>このようにして、本発
明の平版印刷版用支持体上に、各種の画像記録層を設け
て得られた本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に
応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止
するために、有機高分子化合物からなる被覆層(以下
「バックコート層」という。)を設けることができる。
バックコート層の主成分としては、ガラス転移点20℃
以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共
重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂
が好適に用いられる。飽和共重合ポリエステル樹脂は、
ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとからなる。
ジカルボン酸ユニットとしては、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロ
ルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン
酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等
の飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。 【0453】バックコート層は、更に、着色のための染
料、顔料等;平版印刷版用支持体との密着性を向上させ
るためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からな
るジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン
性ポリマー等;滑り剤として通常用いられる、ワック
ス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサ
ンよりなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサ
ン、ポリエチレン粉末等を適宜含有することができる。 【0454】バックコート層の厚さは、基本的には合紙
がなくとも画像記録層を傷付けにくい程度であればよ
く、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが0.
01μm以下であると、平版印刷版原版を重ねて取り扱
った場合の画像記録層の擦れ傷を防ぐことが困難とな
る。厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷版の周
辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤して
厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させるこ
とがある。 【0455】バックコート層を平版印刷版原版の裏面に
被覆するには種々の方法を適用することができる。例え
ば、上記各成分を適当な溶媒の溶液にして、または乳化
分散液にして、塗布し乾燥させる方法、あらかじめフィ
ルム状に成形したものを接着剤や熱で貼り合わせる方
法、溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、貼り合わせる
方法等が挙げられる。中でも、上述した塗布量を確保す
るうえで好ましいのは、溶液にして塗布し乾燥させる方
法である。溶媒としては、特開昭62−251739号
公報に記載されているような有機溶剤が単独でまたは混
合して用いられる。塗布の方式および条件としては、画
像記録層を塗布する方式および条件の多くを利用するこ
とができる。即ち、例えば、コーティングロッドを用い
る方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、
スライドビードコーターを用いる方法が利用できる。バ
ックコート層は、画像記録層を設ける前に設けてもよ
く、設けた後に設けてもよく、画像記録層と同時に設け
てもよい。 【0456】[露光および現像処理]本発明の平版印刷
版原版は、画像記録層の種類に応じて、従来公知の露光
および現像処理を行って平版印刷版とすることができ
る。中でも、画像記録層が少なくとも、赤外域に光吸収
域がある光熱変換物質(赤外線吸収剤)を含有する場合
は、デジタルデータに基づき赤外線レーザーを照射して
所望の画像様に露光し、後述するようにアルカリ現像液
を用いる方法で現像処理を行うのが好ましい。このよう
な方法で、露光および現像処理を行うと、ポジ型の平版
印刷版原版(サーマルポジタイプ)の場合は、露光部の
画像記録層に含有される赤外線吸収剤によりレーザー光
が効率よく吸収され、露光による吸収エネルギーの蓄積
により露光部の画像記録層のみが発熱してアルカリ可溶
性となり、アルカリ現像液を用いた現像処理により、露
光部の画像記録層のみが除去されて所望の画像が形成さ
れる。また、ネガ型の平版印刷版原版(サーマルネガタ
イプ)の場合は、露光部の画像記録層に含有される赤外
線吸収剤によりレーザー光が効率よく吸収され、露光に
よる吸収エネルギーの蓄積により露光部の画像記録層の
みが発熱して酸を発生し、この酸により共存する架橋剤
が架橋反応を起こし、露光部の画像記録層のみがアルカ
リ不溶性となる一方、未露光部の画像記録層がアルカリ
現像液を用いた現像処理により除去されて、所望の画像
が形成される。また、画像記録層がコンベンショナルポ
ジタイプである場合は、同様に、後述するアルカリ現像
液を好適に用いることができる。画像記録層がコンベン
ショナルネガタイプである場合は、例えば、特開平3−
103857号公報に記載されているような現像液を用
いることができる。 【0457】以下、上記方法の現像処理に用いられるア
ルカリ現像液(以下、単に「現像液」ともいう。)につ
いて説明する。現像処理に用いられるアルカリ現像液は
アルカリ性水溶液であり、従来公知のアルカリ水溶液の
中から適宜選択して用いることができるが、ケイ酸アル
カリまたは非還元糖と、塩基とを含有するアルカリ水溶
液が好適に挙げられ、特にpH12.5〜14.0のも
のがより好適に挙げられる。 【0458】ケイ酸アルカリは、水に溶解したときにア
ルカリ性を示すものであり、例えば、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等のアルカリ金属
ケイ酸塩;ケイ酸アンモニウム等が挙げられる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。 【0459】ケイ酸アルカリを用いるアルカリ水溶液に
おいては、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2 と
アルカリ酸化物M2 O(Mはアルカリ金属またはアンモ
ニウム基を表す。)との混合比率および濃度の調整によ
り、現像性を容易に調節することができる。中でも、酸
化ケイ素SiO2 とアルカリ酸化物M2 Oとの混合比率
(SiO2/M2 O:モル比)が0.5〜3.0のもの
が好ましく、1.0〜2.0のものがより好ましい。S
iO2 /M2 Oが0.5未満であると、アルカリ強度が
強くなっていくため、平版印刷版原版に用いられるアル
ミニウム板をエッチングしてしまうという弊害が生じる
ことがあり、また、3.0を超えると、現像性が低下す
ることがある。 【0460】また、上記アルカリ水溶液におけるケイ酸
アルカリの濃度は、1〜10質量%であるのが好まし
く、3〜8質量%であるのがより好ましく、4〜7質量
%であるのが更に好ましい。濃度が1質量%未満である
と、現像性および処理能力が低下することがあり、ま
た、10質量%を超えると、沈殿や結晶を生成しやすく
なり、更に廃液時の中和の際にゲル化しやすくなり、廃
液処理に支障をきたすことがある。 【0461】非還元糖と塩基とを含有するアルカリ水溶
液において、「非還元糖」とは、遊離性のアルデヒド基
やケトン基を持たないために還元性を有しない糖類を意
味する。非還元糖は、還元基同士の結合したトレハロー
ス型少糖類と、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体
と、糖類に水素添加して還元した糖アルコールとに分類
され、これらのいずれも好適に用いることができる。 【0462】上記トレハロース型少糖類としては、例え
ば、サッカロース、トレハロースが挙げられる。上記配
糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配
糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。上記糖アルコー
ルとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、
キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニッ
ト、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシッ
ト、アロズルシット等;二糖類の水素添加で得られるマ
ルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還
元水あめ)等が挙げられる。上述した非還元糖の中で
も、糖アルコール、サッカロースが好ましく、D−ソル
ビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に
緩衝作用がある点でより好ましい。これらの非還元糖
は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。アルカリ水溶液における非還元糖の含有量
は、0.1〜30質量%であるのが好ましく、1〜20
質量%であるのがより好ましい。 【0463】上記ケイ酸アルカリまたは上記非還元糖と
組み合わせて用いられる塩基としては、従来公知のアル
カリ剤を適宜選択することができる。アルカリ剤として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、
リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二
カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナト
リウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等の無機
アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、
クエン酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ剤として
は、更に、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメ
チルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピ
ルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ
ソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジア
ミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も好適に挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。 【0464】中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムが好ましい。これらを用いると、非還元糖に対する添
加量を調整することにより、広いpH領域においてpH
調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。 【0465】アルカリ現像液は、上述したアルカリ水溶
液に、界面活性剤を含有させて得られる。界面活性剤と
しては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カ
チオン界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。 【0466】初めに、ノニオン界面活性剤について詳細
に説明する。ノニオン界面活性剤としては、例えば、下
記一般式(I)で表される非イオン性化合物が好適に挙
げられる。 A−W (I) 上記一般式(I)中、Aは、A−HのlogPが1.5
以上である疎水性有機基を表す。Wは、W−Hのlog
Pが1.0未満である非イオン性の親水性有機基を表
す。ここで、logPとは、C.Hansch,A.L
eo,“Substituent Constants
for Correlation Analysis
in Chemistry and Biolog
y”,J.Wile & Sons(1979)に記載
されているように、疎水性パラメータとして一般的に使
用されるものであり、目的とする分子(A−HおよびW
−H)のオクタノール/水の2層系に対して、各層に分
配される割合から算出した平衡濃度比Pの対数として定
義される。ここでは、上記一般式(I)中のAおよびW
の各基を特定する指標として使用しており、AおよびW
の各有機基に便宜的に水素原子結合させた、A−H構造
およびW−H構造に対して、A.K.Ghoseet.
al,J.Comput.Chem.9,80(198
8)に記載されている方法に基づき、既知データより計
算し、求めたものである。 【0467】具体的な構造としては、有機基AおよびW
は、互いに異なり、それぞれ上述のlogPを満足する
1価の有機残基を表す。このような有機残基は、互いに
同じであってもよく異なっていてもよい置換基(例え
ば、ハロゲン原子)を有していてもよく、かつ、不飽和
結合を含んでいてもよい炭化水素基、ヘテロ環基、ヒド
ロキシ基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、
アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキ
シラート基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニ
ル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ
基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、シアノ基または
ニトロ基を表す。 【0468】置換基を有していてもよく、かつ、不飽和
結合を含んでいてもよい炭化水素基としては、例えば、
アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリー
ル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル
基、置換アルキニル基が挙げられる。 【0469】アルキル基は、炭素原子数が1から20ま
での直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が好適に挙
げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチ
ル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、
ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル
基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シ
クロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル
基が挙げられる。これらの中では、炭素原子数1から1
2までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、
または、炭素原子数5から10までの環状のアルキル基
が好ましい。 【0470】置換アルキル基は、置換基とアルキレン基
との結合により構成される。置換アルキル基に用いられ
る置換基としては、水素以外の1価の非金属原子団が用
いられる。置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子
(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アル
コキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジ
チオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジ
アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジ
アリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ
基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アル
キルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイル
オキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、
N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキ
ル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスル
ホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、 【0471】アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミ
ノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′
−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイ
ド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリ
ールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレ
イド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイ
ド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′
−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジ
アルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジア
ルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N
−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリール
ウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウ
レイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレ
イド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキ
ルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−
アリールウレイド基、 【0472】アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロ
キシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキ
シカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキ
シカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシ
カルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシ
カルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキ
シ基およびその共役塩基基(以下「カルボキシラート
基」という。)、アルコキシカルボニル基、アリーロキ
シカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバ
モイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−ア
リールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイ
ル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、ア
ルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アル
キルスルホニル基、 【0473】アリールスルホニル基、スルホ基(−SO
3 H)およびその共役塩基基(以下「スルホナト基」と
いう。)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスル
ホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィ
ナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、
N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリール
スルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスル
フィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスル
ファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、
N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールス
ルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファ
モイル基、 【0474】N−アシルスルファモイル基およびその共
役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基
(−SO2 NHSO2 −(alkyl))およびその共
役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基
(−SO2 NHSO2 −(aryl))およびその共役
塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−C
ONHSO2 −(alkyl))およびその共役塩基
基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CON
HSO2 −(aryl))およびその共役塩基基、アル
コキシシリル基(−Si(O−(alkyl))3 )、
アリーロキシシリル基(−Si(O−(ary
l))3 )、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3 )
およびその共役塩基基、 【0475】ホスホノ基(−PO 3H2 )およびその共
役塩基基(以下「ホスホナト基」という。)、ジアルキ
ルホスホノ基(−PO3 −(alkyl)2 )、ジアリ
ールホスホノ基(−PO3 −(aryl)2 )、アルキ
ルアリールホスホノ基(−PO 3 (−(alkyl))
−(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3
H−(alkyl))およびその共役塩基基(以下「ア
ルキルホスホナト基」という。)、モノアリールホスホ
ノ基(−PO3 H−(aryl))およびその共役塩基
基(以下「アリールホスホナト基」という。)、ホスホ
ノオキシ基(−OPO 3H2 )およびその共役塩基基
(以下「ホスホナトオキシ基」という。)、ジアルキル
ホスホノオキシ基(−OPO3 −(alkyl)2 )、
ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3 −(ary
l)2 )、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OP
O3 (−(alkyl))−(aryl))、モノアル
キルホスホノオキシ基(−OPO3 H−(alky
l))およびその共役塩基基(以下「アルキルホスホナ
トオキシ基」という。)、モノアリールホスホノオキシ
基(−OPO3 H−(aryl))およびその共役塩基
基(以下「アリールホスホナトオキシ基」という。)、
シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アル
キニル基が挙げられる。 【0476】上記アリール基の具体例としては、フェニ
ル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、ク
ロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェ
ニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、
エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキ
シフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオ
フェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフ
ェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノ
フェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノ
キシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイル
フェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフ
ェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、
ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基が挙げられ
る。 【0477】上記アルケニル基の具体例としては、ビニ
ル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル
基、2−クロロ−1−エテニル基が挙げられる。上記ア
ルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピ
ニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル
基、フェニルエチニル基が挙げられる。上記アシル基
(R4 CO−)の具体例としては、R4 が水素原子また
は上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基もしく
はアルキニル基である基が挙げられる。 【0478】置換アルキル基に用いられるアルキレン基
としては、上述した炭素数1から20までのアルキル基
の水素原子のいずれか一つを除し、2価の有機残基とし
たものが挙げられ、炭素原子数1から12までの直鎖
状、炭素原子数3から12までの分岐状または炭素原子
数5から10までの環状のアルキレン基が好適に挙げら
れる。好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロ
ロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、ト
リフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエト
キシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチ
ル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチ
ルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホ
リノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイル
オキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキ
シエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル
基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルア
ミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロ
ピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエ
チル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボ
ニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシ
カルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル
基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカル
ボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニル
メチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフ
ェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、
N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピル
カルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カル
バモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニ
ル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホ
ブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル
基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプ
ロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファ
モイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニ
ル)スルファモイルオクチル基、 【0479】 【化31】 【0480】ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル
基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプ
ロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナト
ブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナ
トヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナト
オキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチ
ルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p
−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プ
ロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル
基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル
基、2−ブチニル基、3−ブチニル基が挙げられる。 【0481】アリール基としては、例えば、1〜3個の
ベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員
不飽和環が縮合環を形成したものが挙げられる。その具
体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル
基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル
基、フルオレニル基が挙げられる。これらの中では、フ
ェニル基、ナフチル基が好ましい。 【0482】置換アリール基は、置換基がアリール基に
結合したものであり、上記アリール基の環形成炭素原子
上に、置換基として水素以外の1価の非金属原子団を有
するものが用いられる。好ましい置換基の例としては、
上述したアルキル基、置換アルキル基、置換アルキル基
における置換基が挙げられる。置換アリール基の好まし
い具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロ
モフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェ
ニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフ
ェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェ
ニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル
基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フ
ェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエ
チルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチ
ルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N
−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−
フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミ
ノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル
基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェ
ノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル
基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプ
ロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニ
ル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スル
ホフェニル)カルバモイルフェニル基、 【0483】スルホフェニル基、スルホナトフェニル
基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモ
イルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフ
ェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−
メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェ
ニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、
ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェ
ニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナト
フェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホ
ナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、
2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メ
チルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル
基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基
が挙げられる。 【0484】アルケニル基としては、例えば、置換アル
キル基の置換基として上述したものが挙げられる。置換
アルケニル基は、置換基が上記アルケニル基に結合した
ものである。好ましい置換基の例としては、上述した置
換アルキル基における置換基が挙げられる。置換アルケ
ニル基の好ましい具体例としては、 【0485】 【化32】 【0486】が挙げられる。 【0487】アルキニル基としては、例えば、置換アル
キル基の置換基として上述したものが挙げられる。置換
アルキニル基は、置換基が上記アルキニル基に結合した
ものである。好ましい置換基の例としては、上述した置
換アルキル基における置換基が挙げられる。 【0488】ヘテロ環基は、ヘテロ環上の水素を一つ除
した1価の基、および、この1価の基から更に水素を一
つ除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合し
てできた1価の基である。好ましいヘテロ環の例として
は、 【0489】 【化33】【0490】 【化34】【0491】が挙げられる。 【0492】置換オキシ基(R5 O−)としては、R5
が水素以外の1価の非金属原子団であるものを用いるこ
とができる。好ましい置換オキシ基の例としては、アル
コキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモ
イルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N
−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキル
カルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイ
ルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル
オキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ
基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基が挙げられ
る。 【0493】これらの置換オキシ基に置換基として用い
られるアルキル基およびアリール基としては、上述した
アルキル基、置換アルキル基、アリール基および置換ア
リール基が挙げられる。また、これらの置換オキシ基に
置換基として用いられるアシル基(R6 CO−)として
は、R6 が上述したアルキル基、置換アルキル基、アリ
ール基または置換アリール基であるのものが挙げられ
る。上記置換オキシ基の中では、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基が好
ましい。 【0494】好ましい置換オキシ基の具体例としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロ
ピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘ
キシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ
基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシ
エチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、
エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ
基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ
基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ
基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシ
エトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリル
オキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メト
キシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、ク
ロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセ
チルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ
基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、
ホスホナトオキシが挙げられる。 【0495】置換チオ基(R7 S−)としては、R7 が
水素以外の1価の非金属原子団であるものを用いること
ができる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキル
チオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリール
ジチオ基、アシルチオ基が挙げられる。 【0496】これらの置換チオ基に置換基として用いら
れるアルキル基およびアリール基としては、上述したア
ルキル基、置換アルキル基、アリール基および置換アリ
ール基が挙げられる。また、これらの置換チオ基に置換
基として用いられるアシル基(R6 CO−)としては、
R6 が上述したアルキル基、置換アルキル基、アリール
基または置換アリール基であるのものが挙げられる。上
記置換チオ基の中では、アルキルチオ基、アリールチオ
基が好ましい。 【0497】好ましい置換チオ基の具体例としては、メ
チルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシ
エチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカル
ボニルチオ基が挙げられる。 【0498】置換アミノ基(R8 NH−,(R9 )(R
10)N−)としては、R8 、R9 およびR10が、それぞ
れ水素以外の1価の非金属原子団のものを用いることが
できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アル
キルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリ
ールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アル
キル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−ア
ルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、
ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−
ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、
N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−
N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、
N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキ
ルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド
基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド
基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド
基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−
アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジア
リール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリ
ール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′
−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル
−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキ
シカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ
基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ
基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ
基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ
基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ
基が挙げられる。 【0499】これらの置換アミノ基に置換基として用い
られるアルキル基およびアリール基としては、上述した
アルキル基、置換アルキル基、アリール基および置換ア
リール基が挙げられる。また、これらの置換アミノ基に
置換基として用いられるアシル基(R6 CO−)として
は、R6 が上述したアルキル基、置換アルキル基、アリ
ール基または置換アリール基であるのものが挙げられ
る。上記置換アミノ基の中では、N−アルキルアミノ
基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ
基、アシルアミノ基が好ましい。 【0500】好ましい置換アミノ基の具体例としては、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、
モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニル
アミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基が挙
げられる。 【0501】置換カルボニル基(R11−CO−)として
は、R11が水素以外の1価の非金属原子団であるものを
用いることができる。置換カルボニル基の好ましい例と
しては、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコ
キシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバ
モイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジア
ルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、
N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N
−アリールカルバモイル基が挙げられる。 【0502】これらの置換カルボニル基に置換基として
用いられるアルキル基およびアリール基としては、上述
したアルキル基、置換アルキル基、アリール基および置
換アリール基が挙げられる。また、アシル基(R6 CO
−)としては、R6 が上述したアルキル基、置換アルキ
ル基、アリール基または置換アリール基であるのものが
挙げられる。上記置換カルボニル基の中では、ホルミル
基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル
基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−
アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモ
イル基、N−アリールカルバモイル基が好ましく、ホル
ミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロ
キシカルボニル基がより好ましい。 【0503】好ましい置換カルボニル基の具体例として
は、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキ
シ基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル
基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモ
イル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノ
カルボニル基が挙げられる。 【0504】置換スルフィニル基(R12−SO−)とし
ては、R12が水素以外の1価の非金属原子団であるもの
を用いることができる。置換スルフィニル基の好ましい
例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフ
ィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィ
ナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、
N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリール
スルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスル
フィナモイル基が挙げられる。これらの置換スルフィニ
ル基に置換基として用いられるアルキル基およびアリー
ル基としては、上述したアルキル基、置換アルキル基、
アリール基および置換アリール基が挙げられる。上記置
換スルフィニル基の中では、アルキルスルフィニル基、
アリールスルフィニル基が好ましい。好ましい置換スル
フィニル基の具体例としては、へキシルスルフィニル
基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基が
挙げられる。 【0505】置換スルホニル基(R13−SO2 −)とし
ては、R13が水素原子以外の1価の非金属原子団である
ものを用いることができる。置換スルホニル基の好まし
い例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基が挙げられる。これらの置換スルホニル基に置換
基として用いられるアルキル基およびアリール基として
は、上述したアルキル基、置換アルキル基、アリール基
および置換アリール基が挙げられる。好ましい置換スル
ホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロ
ロフェニルスルホニル基が挙げられる。 【0506】スルホナト基(−SO3 −)は、上述した
ように、スルホ基(−SO3 H)の共役塩基陰イオン基
を意味する。スルホナト基は、通常、対陽イオンと共に
使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとして
は、従来公知のものを用いることができる。例えば、種
々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホ
スホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、金
属イオン類(Na+ 、K+ 、Ca2+、Zn2+等)が挙げ
られる。 【0507】カルボキシラート基(−CO2 −)は、上
述したように、カルボキシ基(−CO2 H)の共役塩基
陰イオン基を意味する。カルボキシラート基は、通常、
対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。対陽イオン
は、スルホナト基の場合と同様である。 【0508】置換ホスホノ基は、ホスホノ基の有するヒ
ドロキシ基の一つまたは二つが他の有機オキソ基によっ
て置換されたものを意味する。好ましい置換ホスホノ基
の例としては、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホス
ホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホ
スホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。置換
ホスホノ基の中では、ジアルキルホスホノ基、ならびに
ジアリールホスホノ基が好ましい。好ましい置換ホスホ
ノ基の具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチル
ホスホノ基、ジフェニルホスホノ基が挙げられる。 【0509】ホスホナト基(−PO3 2- 、−PO
3 H- )は、ホスホノ基(−PO3 H2 )の酸第一解離
または酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味
する。ホスホナト基は、通常、対陽イオンと共に使用さ
れるのが好ましい。対陽イオンは、スルホナト基の場合
と同様である。 【0510】置換ホスホナト基とは、上述した置換ホス
ホノ基の有するヒドロキシ基を一つ有機オキソ基に置換
したものの共役塩基陰イオン基を意味する。好ましい置
換ホスホナト基としては、モノアルキルホスホノ基(−
PO3 H−(alkyl))、モノアリールホスホノ基
(−PO3 H−(aryl))の共役塩基が挙げられ
る。置換ホスホナト基は、通常、対陽イオンと共に使用
されるのが好ましい。対陽イオンは、スルホナト基の場
合と同様である。 【0511】上記一般式(I)中、Aが芳香族を含有す
る有機基であり、Wがポリオキシアルキレン基を含有す
る非イオン性の有機基であるのが好ましい。 【0512】A−HおよびW−Hの具体例を以下に示
す。 【0513】 【化35】【0514】 【化36】【0515】また、上記一般式(I)で表されれる非イ
オン性化合物の具体例を以下に示す。 【0516】 【化37】【0517】 【化38】【0518】 【化39】【0519】上記一般式(I)で表される非イオン性化
合物の中でも、下記式(I−A)または(I−B)で示
される化合物が好ましい。 【0520】 【化40】 【0521】(上記式(I−A)および(I−B)中、
R1 およびR2 は、それぞれHまたは炭素数1〜100
のアルキル基を表す。nおよびmは、それぞれ独立に、
0〜100の整数を表す。) 【0522】上記一般式(I−A)で表される化合物と
しては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル等が挙げられる。上記一般式(I
−B)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン
ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルナフチル
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルナフチルエーテ
ル、ポリオキシエチレンノニルナフチルエーテル等が挙
げられる。 【0523】上記一般式(I−A)または(I−B)で
表される化合物のそれぞれにおいて、ポリオキシエチレ
ン鎖の繰り返し単位数(n)は、3〜50であるのが好
ましく、5〜30であるのがより好ましく、また、ポリ
オキシプロピレン鎖の繰り返し単位数(m)は、0〜1
0であるのが好ましく、0〜5であるのがより好まし
い。上記一般式(I−A)または(I−B)で表される
化合物は、ポリオキシエチレン部とポリオキシプロピレ
ン部とがランダムの共重合体であってもよく、ブロック
の共重合体であってもよい。上記一般式(I−A)また
は(I−B)で表されるノニオン芳香族エーテル系活性
剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用され
る。 【0524】つぎに、ノニオン界面活性剤以外の界面活
性剤について説明する。アニオン界面活性剤としては、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Y−23)等
のアルキルベンゼンスルホン酸塩類;ブチルナフタレン
スルホン酸ナトリウム(Y−24)、ペンチルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム(Y−25)、ヘキシルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム(Y−26)、オクチルナフ
タレンスルホン酸ナトリウム(Y−27)等のアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウム
(Y−28)等のアルキル硫酸塩類;ドデシルスルホン
酸ナトリウム(Y−29)等のアルキルスルホン酸塩
類;ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム(Y−30)
等のスルホコハク酸エステル塩類等が挙げられる。 【0525】カチオン界面活性剤としては、アルキルア
ミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド(Y−3
1)等の第四級アンモニウム塩類;ポリオキシエチレン
アルキルアミン塩類;ポリオキシエチレンポリアミン誘
導体等が挙げられる。第四級アンモニウム塩類の具体例
としては、下記式で表されるものが挙げられる。 【0526】 【化41】 【0527】(上記式中、R4 〜R7 は、それぞれ独立
に、炭素原子数1〜30のアルキル基またはアルケニル
基を表す。X- は、酸基イオン、酸エステルイオン(例
えば、R−O−SO3 - )、ハロゲンイオン、水酸化物
イオン等の陰イオンを表す。) 【0528】両性界面活性剤としては、カルボキシベタ
イン類、アルキルアミノカルボン酸類、スルホベタイン
類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類等が挙げら
れる。アミノカルボン酸型両性界面活性剤の具体例とし
ては、下記式で表される化合物およびその塩類が挙げら
れる。 【0529】 【化42】 【0530】(上記式中、R8 およびR9 は、それぞれ
炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。d、eおよび
fは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。) R8 およびR9 は、それぞれ脂肪族炭化水素基であるの
が好ましく、直鎖であっても分岐していてもよく、ま
た、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的に
は、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。上記式
の化合物の塩類としては、アルカリ金属塩(例えば、ナ
トリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)、アンモニウム
塩、アミン塩等が挙げられる。 【0531】ベタイン型両性界面活性剤の具体例として
は、下記式で表されるものが挙げられる。 【0532】 【化43】 【0533】(上記式中、R10〜R12は、それぞれ独立
に、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。gは1〜
10の整数を表す。) R10〜R12は、それぞれ脂肪族炭化水素基であるのが好
ましく、直鎖であっても分岐していてもよく、また、飽
和であっても不飽和であってもよい。具体的には、アル
キル基、アルケニル基等が挙げられる。 【0534】界面活性剤の含有量は、現像液中、0.1
〜15質量%であるのが好ましく、0.5〜8.0質量
%であるのがより好ましく、1.0〜5.0質量%であ
るのが更に好ましい。含有量が少なすぎると、現像性低
下および感光層成分の溶解性低下を招き、逆に多すぎる
と、平版印刷版の耐刷性を低下させる。 【0535】アルカリ現像液は、キレート剤を含有する
ことができる。キレート剤としては、例えば、Na2 P
2 O7 、Na5 P3 O3 、Na3 P3 O9 、Na2 O4
P(NaO3 P)PO3 Na2 、カルゴン(ポリメタリ
ン酸ナトリウム)等のポリリン酸塩;エチレンジアミン
テトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ジエ
チレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリ
ウム塩、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリ
ウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレン
ジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム
塩、ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウ
ム塩、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そ
のカリウム塩、そのナトリウム塩、1,3−ジアミノ−
2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナ
トリウム塩等のアミノポリカルボン酸類;2−ホスホノ
ブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、
そのナトリウム塩、2−ホスホノブタノントリカルボン
酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、
1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、その
カリウム塩、そのナトリウム塩、1−ヒドロキシエタン
−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリ
ウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリ
ウム塩、そのナトリウム塩等の有機ホスホン酸類が挙げ
られる。 【0536】キレート剤の含有量は、使用される硬水の
硬度およびその使用量に応じて決定されるが、使用時の
現像液中、0.001〜5質量%であるのが好ましく、
0.01〜1.0質量%であるのがより好ましく、0.
05〜0.5質量%であるのが更に好ましい。 【0537】 【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.平版印刷版用支持体の作成 (実施例1) <アルミニウム板>Si:0.06質量%、Fe:0.
30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.00
1質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001
質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと
不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製
し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500m
m、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表
面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、
550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下が
ったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧
延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500
℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上
げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。この
アルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す
表面処理に供した。 【0538】<表面処理>表面処理は、以下の(b)〜
(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。な
お、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを
行った。 【0539】(b)アルカリエッチング処理 上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.
6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度
70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理
を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その
後、スプレーによる水洗を行った。 【0540】(c)デスマット処理 温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイ
オンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマ
ット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマ
ット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を
用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用い
た。 【0541】(d)電気化学的粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g
/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニ
ウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃で
あった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流
値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8m
sec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用い
て、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理
を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用
した電解槽は図3に示すものを使用した。電流密度は電
流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム
板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2 であっ
た。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させ
た。その後、スプレーによる水洗を行った。 【0542】(e)アルカリエッチング処理 アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミ
ニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレ
ーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム
板を0.25g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気
化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミ
ニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成
したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らか
にした。その後、スプレーによる水洗を行った。 【0543】(f)デスマット処理 温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウム
イオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデス
マット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デス
マット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流
を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用い
た。 【0544】(g)電気化学的粗面化処理 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面
化処理を行った。このときの電解液は、塩酸2.5g/
L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温
度35℃であった。交流電源波形は図2に示した波形で
あり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TP
が0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交
流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面
化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用い
た。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。電流
密度は電流のピーク値で25A/dm2 、電気量はアル
ミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2 で
あった。その後、スプレーによる水洗を行った。 【0545】(h)アルカリエッチング処理 アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミ
ニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレ
ーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム
板を0.1g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化
学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニ
ウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成し
たピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかに
した。その後、スプレーによる水洗を行った。 【0546】(i)デスマット処理 温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデス
マット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行っ
た。 【0547】(j)陽極酸化処理 図4に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を
行い、実施例1の平版印刷版用支持体を得た。第一およ
び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用い
た。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アル
ミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃で
あった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的
な酸化皮膜量は2.7g/m2 であった。 【0548】(実施例2〜6および比較例1〜3)上記
(g)における塩酸濃度および電気量、ならびに、上記
(h)におけるアルミニウム板の溶解量を、第1表に示
すようにした以外は、実施例1と同様の方法により、実
施例2〜6および比較例1〜3の平版印刷版用支持体を
得た。 (比較例4)上記(d)、(e)および(f)を行わな
かった以外は、実施例6と同様の方法により、比較例4
の平版印刷版用支持体を得た。 【0549】(実施例7)上記(b)の前に、下記
(a)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、
実施例7の平版印刷版用支持体を得た。 (a)機械的粗面化処理 図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨
剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてア
ルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状
ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図1
において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状
ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支
持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒
径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・
10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mm
であった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス
製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラ
シは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ
200mm)の距離は300mmであった。ブラシロー
ラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシロ
ーラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して
7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方
向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシ
の回転数は200rpmであった。 【0550】(実施例8および9ならびに比較例5〜
7)上記(g)における塩酸濃度および電気量、ならび
に、上記(h)におけるアルミニウム板の溶解量を、第
1表に示すようにした以外は、実施例7と同様の方法に
より、実施例8および9ならびに比較例5〜7の平版印
刷版用支持体を得た。 【0551】(比較例8)上記(d)、(e)および
(f)を行わなかった以外は、実施例8と同様の方法に
より、比較例8の平版印刷版用支持体を得た。 (比較例9〜12)上記(g)における塩酸濃度および
電気量、ならびに、上記(h)におけるアルミニウム板
の溶解量を、第1表に示すようにした以外は、比較例8
と同様の方法により、比較例9〜12の平版印刷版用支
持体を得た。 【0552】2.平版印刷版用支持体の表面形状の測定 上記で得られた平版印刷版用支持体の表面の凹部につい
て、下記(1)〜(4)の測定を行った。結果を第1表
に示す。なお、第1表中、「−」は、該当する波長の凹
部がなかったことを示す。 【0553】(1)中波構造の平均開口径 SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍
で撮影し、得られたSEM写真においてピットの周囲が
環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を
50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均
開口径を算出した。 【0554】(2)小波構造の平均開口径および開口径
の標準偏差 高分解能SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率5
0000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波
構造のピット(小波ピット)を50個抽出し、その直径
を読み取って開口径とし、開口径の平均(平均開口径)
および標準偏差を算出した。 【0555】(3)小波構造の開口径に対する深さの比
の平均 小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能
SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮
影し、得られたSEM写真において開口径0.3μm以
下の小波ピットを20個抽出し、開口径と深さとを読み
取って比を求めて平均値を算出した。 【0556】(4)大波構造の平均波長 触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で
2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されてい
る平均山間隔Sm を5回測定し、その平均値を平均波長
とした。2次元粗さ測定は、以下の条件で行った。cu
t off0.8、傾斜補正FLAT−ML、測定長3
mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/se
c、触針先端径2μm 【0557】3.平版印刷版原版の作成 上記で得られた平版印刷版用支持体を、温度30℃の3
号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理槽の中に10秒
間浸せきさせることで、アルカリ金属ケイ酸塩処理(シ
リケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレ
ーによる水洗を行った。上記のようにして得られたアル
カリ金属ケイ酸塩処理後の平版印刷版用支持体上に、下
記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗
膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は10mg/m
2 であった。 【0558】<下塗液組成> ・下記高分子化合物 0.2g ・メタノール 100g ・水 1g 【0559】 【化44】 【0560】更に、下記組成の感熱層塗布液を調製し、
下塗りした平版印刷版用支持体に、この感熱層塗布液を
乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.7g/m2 にな
るよう塗布し、乾燥させて感熱層(サーマルポジタイプ
の画像記録層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。 【0561】 <感熱層塗布液組成> ・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均 分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 1.0g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ・p−トルエンスルホン酸 0.002g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン 酸にしたもの 0.02g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05g ・メチルエチルケトン 12g 【0562】 【化45】 【0563】4.露光および現像処理 上記で得られた各平版印刷版原版に、下記の方法で画像
露光および現像処理を行い、平版印刷版を得た。平版印
刷版原版を出力500mW、波長830nmビーム径1
7μm(1/e 2 )の半導体レーザーを装備したCRE
O社製TrenndSetter3244を用いて主走
査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/cm2
で像様露光した。その後、非還元糖と塩基とを組み合わ
せたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりなるカリ
ウム塩5.0質量%およびオルフィンAK−02(日信
化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1LにC
12H25N(CH2 CH2 COONa)2 を1g添加した
アルカリ現像液を用いて現像処理を行った。現像処理
は、上記アルカリ現像液を満たした自動現像機PS90
0NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現像温
度25℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了した
後、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))等で
処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。 【0564】5.平版印刷版の評価 上記で得られた平版印刷版の各特性を下記の方法で評価
した。 (1)水インキバランス 三菱重工社製のIF2型2色枚葉印刷機を用いて印刷を
行い、通常の印刷条件で印刷を開始した後、良好な印刷
物が得られるようになった後に、水目盛りを調節して、
版面に供給される水の量を印刷物上で網点の絡みまたは
非画像部の汚れが発生するまで、即ち、水量の下限ま
で、絞った。その後、再度、水目盛りを調節して、版面
に供給される水の量を画像部の濃度が薄くなるまで、即
ち、水量の上限まで、増やしていった。このようにした
ときの良好な印刷物が得られる水量の下限から上限まで
の範囲の相対評価を6段階で行った。結果を第1表に示
す。水量の下限から上限までの範囲が広い方から順に、
◎、◎○、○、○△、△、△×で表した。 【0565】(2)インキ払い性 三菱重工社製のIF2型2色枚葉印刷機を用いて印刷を
行い、通常の印刷条件で印刷を開始した後、良好な印刷
物が得られるようになった後に、水目盛りを調節して、
版面に水を供給するのを一旦停止し、印刷版の全面にイ
ンキを付着させた。その後、再度、水目盛りを調節し
て、版面に供給される水の量を通常の量に戻したときか
ら、良好な印刷物が得られるまでに発生した損紙の枚数
を5段階で評価した。インキ払い性がよい場合は損紙が
少なくなり、インキ払い性が悪い場合は損紙が多くな
る。結果を第1表に示す。インキ払い性のよい方から順
に、○(損紙20枚以下)、○△(21〜40枚)、△
(41〜60枚)、△×(61〜80枚)、×(81枚
以上)で表した。 【0566】(3)耐汚れ性 三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC
−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印
刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価し
た。結果を第1表に示す。耐汚れ性をブランケットの汚
れの程度により10段階評価した。数字が大きいほど耐
汚れ性に優れることを示す。 【0567】(4)耐刷性 小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本
インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のイン
キを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと
目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価
した。結果を第1表に示す。 【0568】(5)検版性 小森コーポレーション社製のリスロン印刷機に得られた
平版印刷版を取り付け、湿し水の供給量を増加させなが
ら版面の非画像部の光り具合を目視で観察し、光り始め
たときの湿し水の供給量で検版性(水上がりの見やす
さ)を評価した。結果を第1表に示す。光り始めたとき
の湿し水量が多いものから少ないものまでを○、△、×
の3段階で評価した。 【0569】第1表から明らかなように、特定波長の中
波構造と特定波長の小波構造とを重畳した構造の砂目形
状を表面に有し、かつ、小波構造の開口径の標準偏差が
0.2以下である本発明の平版印刷版用支持体(実施例
1〜9)を用いた本発明の平版印刷版原版は、平版印刷
版としたときの耐汚れ性、耐刷性および検版性に優れる
だけでなく、更に、水インキバランスおよびインキ払い
性にも優れる。特に、小波ピットの開口径に対する深さ
が十分に大きい場合(実施例1、2および4〜8)は、
水インキバランスおよびインキ払い性のバランスに優れ
る。また、上記砂目形状に、更に特定波長の大波構造を
重畳した場合(実施例7〜9)は、大波構造を重畳しな
い場合に比べて、水インキバランスおよびインキ払い性
のいずれも特に優れる。 【0570】 【表1】 【0571】 【表2】【0572】 【表3】 【0573】 【表4】【0574】 【発明の効果】以上に説明したように、表面形状に特徴
を有する本発明の平版印刷版用支持体を用いれば、従来
トレードオフの関係から脱しえなかった耐汚れ性と耐刷
性のバランスを高い水準で維持することができ、更に、
水インキバランスおよびインキ払い性を優れたものとす
ることができる。
機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程
の概念を示す側面図である。 【図2】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図
の一例を示すグラフである。 【図3】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型
セルの一例を示す側面図である。 【図4】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図で
ある。 【符号の説明】 1 アルミニウム板 2、4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5、6、7、8 支持ローラ 11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 40 主電解槽 50 補助陽極槽 410 陽極酸化処理装置 412 給電槽 414 電解処理槽 416 アルミニウム板 418、426 電解液 420 給電電極 422、428 ローラ 424 ニップローラ 430 電解電極 432 槽壁 434 直流電源
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸
化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
平均開口径0.5〜5μmの中波構造と平均開口径0.
01〜0.2μmの小波構造とを重畳した構造の砂目形
状を表面に有し、かつ、該小波構造の開口径の標準偏差
が0.2以下である平版印刷版用支持体。
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JP2002013964A JP3784328B2 (ja) | 2002-01-23 | 2002-01-23 | 平版印刷版用支持体 |
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JP2002013964A JP3784328B2 (ja) | 2002-01-23 | 2002-01-23 | 平版印刷版用支持体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018159087A1 (ja) | 2017-02-28 | 2018-09-07 | 富士フイルム株式会社 | 平版印刷版の作製方法 |
-
2002
- 2002-01-23 JP JP2002013964A patent/JP3784328B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018159087A1 (ja) | 2017-02-28 | 2018-09-07 | 富士フイルム株式会社 | 平版印刷版の作製方法 |
EP3879346A1 (en) | 2017-02-28 | 2021-09-15 | FUJIFILM Corporation | Method for producing lithographic printing plate |
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