JP2003211030A - 複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置 - Google Patents

複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置

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JP2003211030A
JP2003211030A JP2002077994A JP2002077994A JP2003211030A JP 2003211030 A JP2003211030 A JP 2003211030A JP 2002077994 A JP2002077994 A JP 2002077994A JP 2002077994 A JP2002077994 A JP 2002077994A JP 2003211030 A JP2003211030 A JP 2003211030A
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temperature
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fine particles
composite structure
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JP2002077994A
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Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Hironori Hatono
広典 鳩野
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Tomokazu Ito
朋和 伊藤
Atsushi Yoshida
篤史 吉田
Kaori Yamaguchi
香織里 山口
Jun Aketo
純 明渡
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微粒子を含むエアロゾルを高速で基材に吹
き付けてダイレクトに複合構造物を形成させる複合構造
物作製方法及び複合構造物作製装置において、複合構造
物を長時間安定的に生産性良く形成させることができる
複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置を提供す
る。 【解決手段】 上記複合構造物作製方法及び複合構造物
作製装置において、エアロゾル搬送管及びノズルを加熱
する手段を配設し、エアロゾル搬送管内壁及びノズル内
壁を加熱することにより、エアロゾル搬送管内壁及びノ
ズル内壁への微粒子や凝集粒の付着を大幅に抑制させる
ことができ、また付着した凝集粒の再飛散によって生じ
る構造物の欠陥も低減させることができた。さらに、微
粒子を十分に加速させることで基材への構造物の形成速
度を向上させることができた。その結果、複合構造物を
長時間安定的に生産性良く形成させることが可能となっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子をガス中に
分散させたエアロゾルを基材に吹き付け、微粒子の材料
からなる構造物を基材上に形成させることによって基材
と構造物からなる複合構造物を作製する複合構造物作製
方法及び複合構造物作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】基材上の膜の形成方法としては数μm以
上の厚膜の場合、溶射法が一般に知られているが、その
他ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989年
1月号)が提案されている。この方法は金属やセラミッ
クスの超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微小な
ノズルを通して加速せしめ、基材表面に超微粒子の圧粉
体層を形成させ、これを加熱して焼成させることにより
被膜を形成する。前記ガスデポジション法による微粒子
膜の形成装置において、ノズルの加熱に関する技術とし
ては、特開平6−49656が開示されており、ノズル
の先端にノズルを加熱自在とする加熱装置を配置し、ま
たノズルの先端に近接して基材上に堆積される超微粒子
を加熱するレーザービーム加熱装置を配置することで、
基材上に堆積される超微粒子を加熱された状態での噴射
と、基材上に堆積中の超微粒子膜への加熱とを単独に或
いは併用して行うことができ、基材上に堆積される超微
粒子膜に部分的な特性を有する膜を形成することができ
るというものであり、実施例として、BaTiO3超微粒子を
使用する際には、約700℃に加熱したノズルから噴射
し、基材に堆積中の超微粒子に表面温度約1000℃で
レーザービームを照射することにより焼成処理を同時に
行えるといったものが挙げられている。前記ガスデポジ
ション法による微粒子膜の形成装置におけるノズル及び
搬送管の加熱に関する技術としては、特開平7−166
332が開示されており、基材上に超微粒子膜あるいは
圧粉体を形成させる際に、搬送管単独または搬送管とノ
ズルとの両者を、搬送管は300℃〜、ノズルは500
℃〜といった高温に加熱することで、その内壁に超微粒
子が付着凝集せず、凝集体が再飛散することによる凝集
体を含んだ膜の形成やノズル詰まりが抑制されるといっ
たものである。前記ガスデポジション法を改良した先行
技術として微粒子ビーム堆積法あるいはエアロゾルデポ
ジション法と呼ばれる脆性材料の膜あるいは構造物の形
成方法がある。エアロゾルデポジション法とは脆性材料
の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを搬送し、高
速で基材表面に噴射して衝突させ、微粒子を破砕・変形
せしめ、基材との界面にアンカー層を形成して接合させ
るとともに、破砕した断片粒子同士を接合させることに
より、基材との密着性が良好で強度の大きい脆性材料構
造物を基材上にダイレクトに形成させることができる手
法であり、特開平11−21677号公報、特開200
0−212766号公報に開示されるものが知られてい
る。特開平11−21677号公報に開示される技術
は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送する際、
微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止するた
めに、中間に分級装置を配置するようにしている。特開
2000−212766号公報は、粒径が100nmか
ら5μmの範囲にあるセラミックスなどの超微粒子をガ
スに分散させてエアロゾルとした後、ノズルより高速の
超微粒子ビームとして基材に向けて噴射して堆積物を形
成させる。このときに超微粒子や基材に、イオン、原
子、分子ビームや低温プラズマ等の高エネルギー原子な
どを照射して作製される構造物を強固なものとする工夫
がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常セラミックスや金
属等の微粒子は、粒子間に水分、静電気、ファンデルワ
ールス力などの力を受けて、一次粒子が凝集して比較的
粒径の大きい二次粒子すなわち凝集粒を形成している。
セラミックス等の構造物を基材上にダイレクトに形成さ
せる前記エアロゾルデポジション法では、エアロゾルに
含まれる凝集粒がエアロゾル搬送管内壁やノズル内壁に
付着し詰まりが生じ、満足のいく複合構造物を長時間安
定して作製できないといった問題やエアロゾル搬送管内
壁やノズル内壁に付着した凝集粒が再飛散し、構造物形
成時に様々な弊害を起こす不具合があった。すなわち十
分な速度まで加速されなかった凝集粒が基材へ衝突する
際に、凝集粒の持つ運動エネルギーが凝集粒から一次粒
子への解砕に消費されるなどし、一次粒子の破砕が抑制
されるため、基材への構造物の形成速度が小さく目的の
複合構造物が形成されるのに時間がかかり効率が悪くな
ったり、凝集粒が形成された構造物に衝突して構造物を
削り取るエッチングを発生させたり、あるいは構造物中
に凝集粒が取り込まれて、その強度を低下させるなどと
いうこの手法固有の問題があった。さらに基材に有機物
等を使用する際には、ノズル温度を高温にすると基材が
変形する恐れがあるといった問題があった。またこのノ
ズル内壁に付着するという問題は微粒子に金属材料を用
いる場合も同様に懸念される。
【0004】本発明は前記の問題を解決するためになさ
れたものであり、エアロゾル搬送管内壁及びノズル内壁
への凝集粒の付着を抑制すること、微粒子を十分に加速
させることで基材への構造物の形成速度を向上させるこ
とにより、膜厚や諸特性が安定した複合構造物を長時間
安定的に生産性良く形成させることができる複合構造物
作製装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用、効果】本発明で
は、微粒子、特に好適には脆性材料微粒子をガス中に分
散させたエアロゾルを脆性材料もしくは延性材料ででき
た基材に高速で噴射・衝突させてダイレクトに複合構造
物を作製する複合構造物作製方法およびこれに基づく装
置であり、エアロゾル発生器と、その下流側のエアロゾ
ル搬送管と、その下流側のノズルを有し、微粒子をガス
中に分散させたエアロゾルをノズル先端から基材に吹き
付けて微粒子の材料からなる構造物を基材上に形成させ
ることによって基材と構造物からなる複合構造物を作製
する複合構造物方法或いは複合構造物作製装置におい
て、エアロゾル搬送管及びノズルには、その内壁側全体
が加熱されるように、加熱手段が配設されており、少な
くともエアロゾルを基材に吹き付けるときには、エアロ
ゾル搬送管の温度及びノズルの温度が50℃〜150℃
になるように制御され、ノズルの温度はエアロゾル搬送
管の温度と同じかそれ以上であり、かつエアロゾル搬送
管内壁全体の温度がエアロゾル搬送管内を通過するエア
ロゾルの温度より高くなるように制御されるようにし
た。
【0006】エアロゾル搬送管内壁及びノズル内壁を加
熱することで、微粒子を十分に加速し、基材への複合構
造物の形成速度を大幅に向上させることができる。そし
てその形成速度の向上はエアロゾル搬送管の温度及びノ
ズルの温度が50℃〜150℃になるときに最大にな
る。従って、少なくともエアロゾルを基材に吹き付ける
ときにエアロゾル搬送管の温度及びノズルの温度を上記
温度域にすれば、生産性が向上する。また、エアロゾル
搬送管の温度及びノズルの温度が75℃以上であると、
基材への構造物の形成速度が室温25℃のときの2倍以
上と、より一層向上させることができるのでさらに好適
である。エアロゾル搬送管の温度及びノズルの温度が1
50℃以上になるとエッチングがおこり部分的に剥離が
生じる恐れがあり、また熱に弱い材料の基材を用いた場
合などは、基材を変質させる恐れもあるのであまり好適
ではない。また、エアロゾル搬送管内壁及びノズル内壁
を加熱することで、エアロゾル搬送管内壁全体及びノズ
ル内壁の温度が通過するエアロゾルの温度より高くなる
ので、熱対流効果によりエアロゾル搬送管内壁及びノズ
ル内壁への微粒子や凝集粒の付着を大幅に低減させるこ
とができ、エアロゾル搬送管内壁やノズル内壁に付着し
た凝集粒が再飛散し、構造物形成時にエッチングなどの
欠陥が生じるといった不具合を解消できる。エアロゾル
搬送管から導出されるエアロゾルの温度がノズル内壁の
温度を超えるとノズル内での熱対流効果が抑制される恐
れがあり、あまり好適ではない。さらに、エアロゾル搬
送管内壁及びノズル内壁からエアロゾルに熱が伝達され
るので、エアロゾルをより一層乾燥させ、再凝集を抑制
することができる。その結果、凝集粒の少ない微粒子ビ
ームを得ることができ、膜厚や諸特性が安定した複合構
造物を長時間安定的に形成させることができる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、エアロ
ゾル搬送管全体を加熱するが、エアロゾル搬送管におい
て、エアロゾルを導入する導入口近傍における温度をエ
アロゾル搬送管に導入されるエアロゾルの温度より25
℃以上高くなるように、またエアロゾルを導出する導出
口近傍における温度は導入口近傍における温度と同じか
それ以上であるようにすることが好適である。さらには
導入口から導出口にかけて徐々に温度を上昇させるよう
にするとなおよい。そうすることでエアロゾル搬送管内
壁全体の温度が通過するエアロゾル温度より高いことに
よる熱対流効果が顕著になり、エアロゾル搬送管内壁へ
の微粒子の付着を大幅に低減させることができるので、
エアロゾル搬送管内壁に微粒子が付着し詰まりが生じた
り、エアロゾル搬送管内壁に付着した凝集粒が再飛散す
ることが抑制され、微粒子を十分な速度まで加速させた
凝集粒の少ない微粒子ビームを得ることができるので、
基材への構造物の形成速度を向上させることができる。
また、エアロゾル搬送管の導入口近傍における温度がエ
アロゾル搬送管に導入されるエアロゾルの温度より50
℃以上高くすると、熱対流効果がより一層顕著になる
上、構造物の形成速度をより一層向上させることができ
るのでさらに好適である。
【0008】本発明の好ましい態様においては、使用さ
れるガスは乾燥空気、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム
などであるが、これ以外の種類のガスでも良い。脆性材
料微粒子は酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、半導体
などであり、その一次粒子径は0.1〜5μmが適当で
あるが、これ以外の種類、粒子径のものでも良い。また
延性材料としては各種金属材料やプラスチック材料が挙
げられ、混合微粒子は単純に脆性材料微粒子と延性材料
微粒子をボールミルなどで乾式攪拌混合させて作製す
る。また複合微粒子は脆性材料微粒子の表面にめっきや
PVD、CVD、機械的混砕によるメカノケミカル被
覆、吸着、蒸気析出などの表面改質方法にて金属や有機
物の層を形成したものである。これら混合、複合微粒子
は主体的には脆性材料微粒子であり、本発明で挙げてい
る作用、効果が期待されるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、以下に、本発明における主
要な用語について、説明する。エアロゾル発生器 本発明において、エアロゾル発生器とは材料微粒子をガ
ス中に分散させることによりエアロゾルを発生させるも
ので、材料微粒子の粉体を収容する容器と、材料微粒子
の粉体に近接させた、ガスを導入する導入部と、エアロ
ゾルを導出する導出部を有する。その一態様としては、
容器を振動させつつ導入部よりガスを粉体に吹き付けて
エアロゾルを発生させる。さらに粉体とその上部に設置
される導出部の相対位置を変動させて、その間の距離を
利用してエアロゾル中の材料微粒子の重力分級を行なう
ことができる。エアロゾル発生器は、材料微粒子を加熱
制御する手段を有しており、材料微粒子及び発生するエ
アロゾルを加熱することもできる。材料微粒子の粉体に
は熱電対が差し込んであり、材料微粒子の温度を直接測
定することができる。また、導出部にも熱電対が設置し
てあり、導出されるエアロゾルの温度を直接測定するこ
とができる。加熱手段を使用しないときには、発生する
エアロゾルの温度は室温であり、ほぼ25℃である。
【0010】ノズル及びノズルの加熱手段 本発明において、ノズルとは、エアロゾルが通過する空
間を持つノズル本体と、エアロゾルを導入するための導
入開口部と、エアロゾルを噴射させるための導出開口部
とを有する硬質の構成部であり、ノズル本体の空間形状
に工夫をもたせて、エアロゾルの噴出状態を安定的に制
御する。導入開口部と導出開口部との間に形状の同一性
は必要としていない。本発明ではこれに近接して加熱手
段が配設される。その一態様としての以下に挙げる実施
例に用いているノズルには、ノズル内壁全体を加熱する
ように、ラバーヒーターをノズルの周囲にノズル外壁に
密着するように取り付けてある。またノズル先端には導
出開口部から1cm以内の部位に熱電対の測定部を取り
付けてあり、ノズル先端の温度をコントローラーで制御
することができる。ノズル先端の温度とノズル内壁の温
度はほぼ等しいので、ノズル内壁の加熱制御の際には、
ノズル先端の温度を測定した。ノズルの加熱手段として
は、ラバーヒーターに限らず、マントルヒーターでノズ
ルを囲ってもよいし、リボンヒーターやニクロム線など
の電熱線をノズルに直に巻きつけたり、ノズルに埋め込
んだりしてもよい。
【0011】エアロゾル搬送管及びエアロゾル搬送管の
加熱手段 本発明において、エアロゾル搬送管とは、エアロゾル発
生器で発生させたエアロゾルをノズルまで搬送するため
の管状の構成部である。エアロゾル発生器からノズルの
導入開口部までの経路は直線でもよいし、エアロゾルの
搬送を妨げない程度にたわんでいてもよい。可撓性の部
材を使ってもよい。エアロゾル搬送管に近接するように
加熱手段が配設されており、エアロゾル搬送管の導入口
近傍及び導出口近傍には、導入口から2cm以内、導出
口から2cm以内の部位にそれぞれ熱電対の測定部を取
り付けてあり、コントローラーでエアロゾル搬送管の温
度を加熱制御することができる。その一態様としての以
下に挙げる実施例に用いているエアロゾル搬送管には、
SUS304製で外径3mm内径2mm全長80cmの
チューブを用いた。エアロゾル搬送管の周囲には全体を
加熱するように、断熱材で囲まれたチューブヒーターを
エアロゾル搬送管の周囲に密着するように取り付けてあ
る。また、エアロゾル搬送管外壁の導入口から1cm、
導出口から1cmの部位にそれぞれ熱電対の測定部を取
り付けた。エアロゾル搬送管内壁の温度とエアロゾル搬
送管外壁に取り付けた熱電対の測定部における温度はほ
ぼ等しいので、エアロゾル搬送管内壁の加熱制御の際に
は、エアロゾル搬送管外壁の温度を測定した。エアロゾ
ル搬送管の加熱手段としては、チューブヒーターに限ら
ず、ベルトヒーターやシースヒーター、リボンヒーター
等を使用してもよいし、エアロゾル搬送管自身に通電し
て加熱してもよい。
【0012】以下に本発明の実施の形態を図に基づいて
説明する。図1は、本発明における一態様としての複合
構造物作製装置の装置図であり、材料微粒子10が充填
されたエアロゾル発生器1がガスボンベ2と送気管3を
介して連結されており、エアロゾル搬送管4を介して構
造物形成室5に連結されている。構造物形成室5はエア
ロゾル搬送管4とつながるノズル6およびこれに対向し
て配置される基材7を有しており、排気ポンプ8と連結
される。基材7はX−Yステージ9上に配置して、ノズル
6との相対位置を変動させながら構造物形成を行なえ
ば、所望形状の複合構造物が形成できる。
【0013】図2は以下で説明される実施例に用いるノ
ズル6の拡大図であり、ノズル外壁に密着させるように
ラバーヒーター11が取り付けてある。ノズル6の先端
には熱電対12が取り付けてあり、構造物形成室外のコ
ントローラーに連結され、ノズルの温度を制御すること
ができる。
【0014】図3は以下で説明される実施例に用いるエ
アロゾル搬送管4の拡大図であり、エアロゾル搬送管に
密着させるようにチューブヒーター13が取り付けてあ
る。エアロゾル搬送管の導出口近傍には熱電対14、導
入口近傍には熱電対15が取り付けてあり、構造物形成
室外のコントローラーに連結され、エアロゾル搬送管の
温度を制御することができる。
【0015】以下で説明される実施例にあっては材料微
粒子として内部歪を有する微粒子を用いたため、内部歪
を付与するための前処理装置として、図示しない遊星ミ
ルを用いた。材料微粒子11をエアロゾル発生器1内に
設置した後、ガスボンベ2を開き、ガスを送気管3を通
じてエアロゾル発生器1に導入し、微粒子をガス中に分
散させたエアロゾルを発生させる。このエアロゾルをエ
アロゾル搬送管4を通じてさらに構造物形成室5の方向
へ搬送し、高速に加速しつつノズル6より基材7に向け
て噴射させる。このときの微粒子の速度は亜音速から音
速程度まで加速されている。十分に加速されて運動エネ
ルギーを得たエアロゾル中の微粒子は、基材7に衝突
し、その衝撃のエネルギーにより細かく破砕されて、発
生した微細断片粒子が基材7に接合し、さらに微細断片
粒子同士が接合して緻密質の複合構造物を形成する。基
材7はX−Yステージ9により揺動され、所定の面積を持
つ複合構造物が形成されていく。また複合構造物形成中
は排気ポンプ8を運転し、構造物形成室5内は圧力が1
kPa以下の低真空状態に置かれている。
【0016】
【実施例】(実施例1)図1に示した複合構造物作製装
置を使用して酸化アルミニウムと真鍮の複合構造物を作
製する実験を行った。粒径0.4μmの酸化アルミニウ
ム微粒子に遊星ミルを用いて内部歪を付与し、乾燥させ
たものをエアロゾル発生器に充填した。また、X−Yステ
ージに真鍮基材を取り付けた。エアロゾル発生器は室温
25℃、エアロゾル搬送管とノズルを加熱し、エアロゾ
ル搬送管の導入口近傍における温度は75℃、導出口近
傍における温度が75℃、ノズルの先端の温度が100
℃とした。まず、排気ポンプを作動させ構造物形成室の
圧力を0.2kPaにした。ボンベを開けてエアロゾル
発生器に窒素ガスを毎分5リットルの流量で送気し、エ
アロゾルを発生させ、エアロゾル搬送管を介して、ノズ
ルより加速したエアロゾルを基材に噴出させ、X−Yステ
ージを操作しながら基材上に17mm×10mmの酸化
アルミニウムの膜を形成させた。20分間で膜厚15μ
mの良好な酸化アルミニウム膜と真鍮基材との複合構造
物が形成された。構造物形成時にはノズルからの凝集粒
の噴出はほとんどみられず、実験後ノズル及びエアロゾ
ル搬送管を分解すると、目視ではノズル内壁及びエアロ
ゾル搬送管内壁には、ほとんど粉体の付着はみられなか
った。
【0017】(実施例2)エアロゾル発生器は室温25
℃、エアロゾル搬送管とノズルを加熱し、エアロゾル搬
送管の導入口近傍における温度は50℃、出口近傍にお
ける温度が50℃、ノズルの先端の温度が100℃とし
た。それ以外の条件は実施例1と同様にして実験を行っ
たところ、膜厚13μmの良好な酸化アルミニウム膜と
真鍮基材との複合構造物が形成された。構造物形成時に
はノズルからの凝集粒の噴出はほとんどみられず、実験
後ノズル及びエアロゾル搬送管を分解すると、目視では
ノズル内壁には粉体の付着がほとんどなく、エアロゾル
搬送管内壁にはわずかの粉体の付着がみられた。
【0018】(比較例)エアロゾル発生器、エアロゾル
搬送管、及びノズルをいずれも加熱せずに室温25℃、
それ以外の条件は実施例1と同様にして実験を行ったと
ころ、膜厚5μmの酸化アルミニウム膜と真鍮基材との
複合構造物が形成された。形成された膜には表面に凹凸
があり部分的に膜厚の小さな箇所が見られた。構造物形
成時にはノズルからの凝集粒の噴出がみられ、実験後ノ
ズル及びエアロゾル搬送管を分解すると、目視ではノズ
ル内壁及びエアロゾル搬送管内壁にかなりの粉体の付着
がみられた。
【0019】以上の実験結果を表1に示した。表1よ
り、エアロゾル搬送管の導出口近傍における温度及びノ
ズルの先端の温度が50℃〜150℃になるように加熱
手段によって制御され、ノズルの温度はエアロゾル搬送
管の温度と同じかそれ以上であり、かつエアロゾル搬送
管内壁全体の温度がエアロゾル搬送管内を通過するエア
ロゾルの温度より高くなるようにし、エアロゾル搬送管
の導入口近傍における温度をエアロゾル発生器から導入
されるエアロゾルの温度より25℃以上高く、またエア
ロゾル搬送管の導出口近傍における温度は導入口近傍に
おける温度と同じかそれ以上であるように制御すること
で、エアロゾル搬送管及びノズル内壁への粉体の付着を
抑制することができ、付着した凝集粒の再飛散によって
生じる構造物の欠陥も低減させることができ、構造物の
形成速度が向上し、効率のよい長時間安定した形成が可
能となった。さらに、エアロゾル搬送管の導入口近傍に
おける温度をエアロゾル発生器から導入されるエアロゾ
ル温度より50℃以上高くすることで構造物の形成速度
は2倍以上に向上し生産性のよい形成が可能となった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】上述のように、本発明による複合構造物
作製装置を用いれば、材料微粒子をガス中に分散させた
エアロゾルを基材に高速で噴射・衝突させて形成される
複合構造物を長時間安定的に効率よく形成できるため、
様々な複合構造物を作製するのに好適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例にかかる複合構造物作製装置の装置図で
ある。
【図2】実施例にかかるノズル加熱手段の模式図であ
る。
【図3】実施例にかかるエアロゾル搬送管の加熱手段の
模式図である。
【符号の説明】
1…エアロゾル発生器 2…窒素ガスボンベ 3…送気管 4…エアロゾル搬送管 5…構造物形成室 6…ノズル 7…基材 8…排気ポンプ 9…X−Yステージ 10…材料微粒子 11…ラバーヒーター 12…熱電対 13…チューブヒーター 14…熱電対 15…熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 24/04 C23C 24/04 (72)発明者 鳩野 広典 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 伊藤 朋和 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 吉田 篤史 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 山口 香織里 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 明渡 純 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人 産業技術総合研究所 つくばセンター 内 Fターム(参考) 4D075 AA01 AA03 AA71 AA86 BB22X BB32X CA47 DA06 DB01 EA02 EB01 EC02 4F033 BA05 DA01 EA01 HA01 LA13 4F042 AA02 AB06 BA19 DB01 DB17 DD38 DD47 4G075 AA24 AA27 AA30 BB10 CA02 DA02 DA18 EA06 EB01 EC01 FC20 4K044 AA06 AB05 BA10 BB01 CA21 CA23 CA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子をガス中に分散させたエアロゾル
    をエアロゾル搬送管を通してノズルから噴射し、基材に
    吹き付けて微粒子の材料からなる構造物を基材上に形成
    させることによって基材と構造物からなる複合構造物を
    作製する複合構造物作製方法において、少なくとも前記
    エアロゾルを前記基材に吹き付けるときには、前記エア
    ロゾル搬送管の温度及び前記ノズルの温度が50℃〜1
    50℃になるように加熱手段によって制御され、前記ノ
    ズルの温度は前記エアロゾル搬送管の温度と同じかそれ
    以上であり、かつ前記エアロゾル搬送管内壁全体の温度
    が前記エアロゾル搬送管内を通過する前記エアロゾルの
    温度より高くなるように制御することを特徴とする複合
    構造物作製方法。
  2. 【請求項2】 前記エアロゾル搬送管において、前記エ
    アロゾルを導入する導入口近傍における温度を前記エア
    ロゾル搬送管に導入される前記エアロゾルの温度より2
    5℃以上高く、かつ前記エアロゾルを導出する導出口近
    傍における温度は前記導入口近傍における温度と同じか
    それ以上であるように制御することを特徴とする請求項
    1に記載の複合構造物作製方法。
  3. 【請求項3】 前記微粒子には脆性材料微粒子または脆
    性材料微粒子と延性材料微粒子が混合された混合微粒子
    または脆性材料微粒子の表面に延性材料を被覆した複合
    微粒子を使用することを特徴とする請求項1または2に
    記載の複合構造物作製方法。
  4. 【請求項4】 エアロゾル発生器と、その下流側のエア
    ロゾル搬送管と、その下流側のノズルを有し、微粒子を
    ガス中に分散させたエアロゾルを前記ノズル先端から噴
    射して基材に吹き付けて微粒子の材料からなる構造物を
    基材上に形成させることによって基材と構造物からなる
    複合構造物を作製する複合構造物作製装置において、前
    記ノズル及び前記エアロゾル搬送管には、その内壁側が
    加熱されるように、加熱手段が配設されており、少なく
    とも前記エアロゾルを前記基材に吹き付けるときには、
    前記エアロゾル搬送管の温度及び前記ノズルの温度が5
    0℃〜150℃になるように加熱手段によって制御さ
    れ、前記ノズルの温度は前記エアロゾル搬送管の温度と
    同じかそれ以上であり、かつ前記エアロゾル搬送管内壁
    全体の温度がエアロゾル搬送管内を通過する前記エアロ
    ゾルの温度より高くなるように制御されることを特徴と
    する複合構造物作製装置。
  5. 【請求項5】 前記エアロゾル搬送管において、前記エ
    アロゾルを導入する導入口近傍における温度を前記エア
    ロゾル搬送管に導入される前記エアロゾルの温度より2
    5℃以上高くなるように、また前記エアロゾルを導出す
    る導出口近傍における温度は導入口近傍における温度と
    同じかそれ以上であるように制御されることを特徴とす
    る請求項4に記載の複合構造物作製装置。
  6. 【請求項6】 前記微粒子には脆性材料微粒子または脆
    性材料微粒子と延性材料微粒子が混合された混合微粒子
    または脆性材料微粒子の表面に延性材料を被覆した複合
    微粒子を使用することを特徴とする請求項4または5に
    記載の複合構造物作製装置。
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