JP2003210619A - ゴルフクラブセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 番手が小さくなるほど総合的な飛距離が増加
すると共に、番手が増えるほどボールが止まり易く、ま
たラフからでもショットし易くなり、初心者でも扱い易
いゴルフクラブのセットを提供する。 【解決手段】 ロフト１５°以上のウッド型のゴルフク
ラブのセットよりなる。番手が増えるほどヘッドの重心
高さ、ヘッド体積、ヘッド最大高さが大きい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クラブ長さが異な
る複数本のゴルフクラブよりなるゴルフクラブセットに
係り、詳しくはクラブ長さが漸次短くなるに従って、ヘ
ッドのロフト角が漸次大きくなるゴルフクラブセットに
関するものである。さらに詳しくは、本発明は、特にゴ
ルフクラブヘッドが中空部を有したタイプのゴルフクラ
ブセットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】クラブ長さの異なる複数本のゴルフクラ
ブよりなるゴルフクラブセットにあっては、クラブ長さ
が短くなるに従ってヘッドのロフトを大きくしている。
また、ウッド型、ユーティリティ型等と称される中空ヘ
ッドを有したゴルフクラブセットにあっては、クラブ長
さが短くなるほどヘッド体積を小さくする設計を伝統的
に行ってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ヘッド体積が小さくな
ると、必然的にヘッドの重心高さも低くなるが、従来の
ゴルフクラブセットにあっては、それにつれて打球のバ
ックスピン量が減少し、ボールのランが増え、狙った距
離を打ち分けにくくなる。また、従来のゴルフクラブセ
ットにあっては、クラブ長さが長くなるほどヘッド体積
を大きくしているが、これに伴ってヘッドの重心高さが
高くなり、バックスピン量が増え、ボールのランが少な
くなり、キャリーとランを合せたトータルの飛距離が小
さくなってしまう。

【０００４】また、一般ゴルファーのクラブ使用状況を
みると、クラブ長さが短いゴルフクラブほど、ラフ（芝
を短く刈ってない区域）で使用される頻度が高い。ラフ
の芝の上に乗った状態にあるボールを打とうとする場合
に、ゴルフクラブヘッドが小さいと、ボールの下側をゴ
ルフヘッドが通り抜け、ボールが飛ばない所謂だるま落
としの様な結果になったり、フェース部上端とクラウン
部との交点となる角部にボールが当たり、ボールが高々
と上がって飛距離が出ない所謂天ぷらになってしまう事
がある。

【０００５】本発明の目的は、中空ヘッドを有するゴル
フクラブのセットにおいて、ロフト角が大きく長さが短
いゴルフクラブでは狙った距離を打ち分けることが容易
であり、ロフト角が小さく長さが長いゴルフクラブでは
バックスピンが少なく飛距離が大きいゴルフクラブセッ
トを提供することを目的とする。また、本発明は、だる
ま落しや天ぷらなどのミスショットを起こしにくいゴル
フクラブゴルフクラブセットを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のゴルフクラブセ
ットは、クラブ長さの異なる複数本のゴルフクラブより
なるゴルフクラブセットであって、各ゴルフクラブのヘ
ッドは中空部を有しており、クラブ長さが漸次短くなる
に従って、各ゴルフクラブのヘッドのロフト角が、漸次
大きくなるゴルフクラブセットにおいて、該ゴルフクラ
ブのクラブ長さが短くなるほどゴルフクラブヘッドの重
心高さが高くなることを特徴とするものである。

【０００７】かかる本発明のゴルフクラブセットにおい
ては、ゴルフクラブのクラブ長さが短くなるほどゴルフ
クラブヘッドの重心高さが高くなり、打球のバックスピ
ン量が増加し、ボールのラン（着地後の転がり距離）が
少なくなる。そのため、クラブ長さの短いゴルフクラブ
によりボールを目標地点近くに止め易くなる。即ち、距
離を正確に打ち分け易くなる。一方、本発明では、ゴル
フクラブのクラブ長さが長くなるほどゴルフクラブヘッ
ドの重心高さが低くなり、これにより打球のバックスピ
ン量が減少するようになり、ボールのランが増加し、総
合的な飛距離（キャリーとランの合計）が増加する。

【０００８】本発明では、ゴルフクラブのクラブ長さが
短くなるほどヘッド体積を大きくすることが好ましい
（請求項２）。一般に、ゴルフクラブセットの各ゴルフ
クラブのスイングバランスを揃えるために、クラブ長さ
が短くなるほどヘッド重量を大きくする設計を行ってい
る。請求項２のようにゴルフクラブのクラブ長さが短く
なるほどヘッド体積を大きくすると、それに伴ってヘッ
ド重量も増大するようになり、各ゴルフクラブのヘッド
の設計が容易となる。なお、ヘッド体積を大きくする
と、ヘッドの重心軸周りの慣性モーメントが大きくな
り、打球の方向性も良くなる。

【０００９】本発明では、ゴルフクラブのクラブ長さが
短くなるほど、ホゼル部以外のヘッドの最大高さが高く
なることが好ましい（請求項３）。このようにヘッドの
最大高さを高くすることにより、ヘッドの重心高さを高
くする設計が行い易くなる。また、クラブ長さの短いゴ
ルフクラブは、しばしば深いラフで使用されるが、この
場合にヘッドの最大高さが大きいと、だるま落しや天ぷ
らなどのミスショットが出にくくなる。

【００１０】本発明において、クラブ長さは、ゴルフ規
則（日本ゴルフ協会２００１年１月１日実施版）にて定
義されている「クラブの全長」すなわち図３の通り、グ
リップの上端からクラブのソールまでをシャフトの軸線
（またはその延長線）に沿って図った長さである。

【００１１】ロフト角とは、クラブヘッドを通常のアド
レスポジションをとって置き、その側方への水平投影面
のフェース面中心点（フェース面の上下方向及び左右方
向の中心）における接線と鉛直線との交叉角度である。

【００１２】ヘッドの体積とは、ホゼル部まで含めたヘ
ッドの体積である。

【００１３】ヘッドの重心高さとは、図２（ａ）の通
り、クラブヘッドを水平面上にソールし、且つ該水平面
とトウ側との隙間が該水平面とヒール側との隙間と同一
となるようにした状態（以下、標準ソール状態とい
う。）としたときの該水平面から重心Ｇまでの距離ＨＧ
Ｒである。ホゼル部を除いたヘッド最大高さとは、クラ
ブヘッドを標準ソール状態にて水平面上に置いたときの
該水平面からクラウン部の最高位部までの距離である。

【００１４】なお、本発明のゴルフクラブセットは、ド
ライバーと通称されるロフト角１４°未満のウッド型ゴ
ルフクラブは含まないものとする。ただし、本発明のゴ
ルフクラブセットが販売等により譲渡されたり展示され
たりする場合、ドライバーが付帯されてもよく、この場
合、ドライバーと本発明のゴルフクラブセットとに同一
の商標が付されてもよく、またドライバーと本発明のゴ
ルフクラブセットとが同一又は類似した外観ないし美観
を有するようにデザインされてもよい。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して実施の形態
について説明する。図１は実施の形態に係るゴルフクラ
ブセットのゴルフクラブを示す正面図、図２（ａ）は図
１のゴルフクラブのヘッドの左側面図、図２（ｂ）は同
ヘッドの正面図である。図３はゴルフクラブの長さの定
義説明図である。

【００１６】図１の通り、ゴルフクラブは、ヘッド１０
と、該ヘッド１０に装着されたシャフト２０と、該シャ
フト２０の上部に装着されたグリップ２１とからなる。

【００１７】ヘッド１０は、打球面となるフェース１１
を前面に有する。ヘッド１０のヒール側にはホゼル部１
２が一体に設けられており、このホゼル部１２にシャフ
ト２０の下端が挿入され、接着剤によって固定されてい
る。

【００１８】本発明のゴルフクラブセットは、市販の一
般的なゴルフクラブセットと同様に、番手が増えるごと
にクラブ長さが漸次短くなり、それに従って、ゴルフク
ラブヘッドのロフト角が漸次大きくなる様に設計されて
いる。

【００１９】このゴルフクラブのヘッド１０は、中空部
を有する。一般に、中空部を有するゴルフクラブヘッド
は、ヘッドの大きさや重心位置などの設計が容易であ
る。ヘッド素材としては、アルミニウム合金；チタン合
金；ベリリウムカッパーなどの銅合金；ステンレスなど
が好適である。なお、繊維強化樹脂などを用いることも
できる。ヘッド素材がアルミニウム合金やチタン合金な
どの低比重材であると、ウエイト部材を配材することに
よりヘッドの重心設計を行い易い。

【００２０】この中空ヘッドを有するゴルフクラブの一
例として、一般にウッド型ゴルフクラブと称されるもの
が挙げられ、これにはブラッシー、スプーン、バッフィ
ー、クリークと通称される２番〜５番ウッド、あるいは
６番以降のウッド（最近では１１番ウッド程度まで販売
されている。）が例示される。なお、近年市販されるよ
うになったユーティリティゴルフクラブと称されるゴル
フクラブの一部にも、この中空ヘッドを有するタイプの
ゴルフクラブが存在する。前記の通り、ドライバーは本
発明のゴルフクラブセットには含まれない。

【００２１】本発明のゴルフクラブセットは、中空ヘッ
ドを有し、ロフト角及びクラブ長さが異なる複数本のド
ライバー以外の２本以上（好ましくは３本以上とりわけ
４本以上）のゴルフクラブの集合であればよく、各ゴル
フクラブの呼称の如何には全く制限がない。以下の説明
では、クラブ長さが短くなることを「番手が増える」と
称することがあるが、この「番手」は上記の２番〜ｎ番
ウッドの「番」に限定されるものではなく、「番手が増
える」とは単にクラブ長さが短くなりヘッドのロフト角
が大きくなることのみを示す。

【００２２】本発明のゴルフクラブセットは、上記の通
り、クラブ長さが異なるゴルフクラブの集合体である
が、クラブ長さの順に並べた場合に隣接するゴルフクラ
ブ（以下、「番手が１つだけ異なる」ということがあ
る。）のクラブ長さの差は６〜３０ｍｍ特に１０〜２０
ｍｍ程度が好ましい。ゴルフクラブの番手が１つだけ増
える度に飛距離が一定距離ずつ増大するようにするため
に、１つだけ番手が異なる各ゴルフクラブのクラブ長さ
の差はほぼ均等であることが好ましい。「ほぼ均等」と
は±２ｍｍの変動を許容することを意味する。

【００２３】本発明のゴルフクラブは、フェアウェーに
あるボールを打ち易くするために、ロフト角が１５°以
上とりわけ１７°以上であることが好ましい。ロフト角
は４５°以下とりわけ３０°以下であることが好まし
い。番手が１つだけ異なるゴルフクラブのロフトの差異
は２°〜６°とりわけ２°〜４°であることが好まし
い。１つだけ番手が異なる各ゴルフクラブのロフト角の
差はほぼ均等であることが好ましい。このほぼ均等とは
±０．５°の変動を許容することを意味する。

【００２４】本発明のゴルフクラブセットにあっては、
ゴルフクラブの番手が増える毎に重心高さ（ＨＧＲ）が
高くなる。このゴルフクラブセットのゴルフクラブの重
心高さは１５〜２８ｍｍ特に１６〜２２ｍｍが好まし
く、番手が最少のゴルフクラブの重心高さは１５〜２１
ｍｍ特に１６〜２０ｍｍであることが好ましい。

【００２５】１つだけ番手が異なる各ゴルフクラブの重
心高さの差ΔＨＧＲは０．２ｍｍ以上特に０．３ｍｍ以
上であることが好ましい。また、ΔＨＧＲは３ｍｍ以下
程度であることが好ましい。

【００２６】前記の通り、この重心高さが高くなるほど
打球のバックスピン量が増加し、落下後のランが減少す
る。そのため、番手の大きなゴルフクラブを用いたショ
ットにより、ボールを高く上げると共にバックスピンを
利用してボールを目標地点近くに止めることが容易とな
る。逆に、重心高さが低くなるほど、ボールの弾道が低
くなると共に打球のバックスピン量が減少し、ランが増
え、総合的な飛距離が増大する。

【００２７】なお、一般にゴルフクラブセットの各クラ
ブ長さのバランスが揃っていることが、プレーヤーにと
ってスイングし易く望ましいが、そのためには、ゴルフ
クラブのクラブ長さが短くなるほど（即ち番手が増える
ほど）ヘッドの重量を増加させることが必要となる。番
手が増えるにつれてヘッド体積を大きくすることによ
り、番手増加に伴ってヘッドの重量を増大させるように
ヘッドを設計することが容易となる。また、ヘッド体積
を大きくするとヘッドの重心軸周りの慣性モーメントが
大きくなり、飛距離及び方向性が安定する。

【００２８】なお、ヘッドの重量を大きくするには、適
当な部位にウエイト部材を溶接や圧入などにより取付
け、そのウエイト部材の重量を調整してもよい。ウエイ
ト部材としては、ウエイト部材の体積を小さくするため
に、比重１０以上のタングステン、タングステン合金等
が好適である。

【００２９】本発明のゴルフクラブセットのゴルフクラ
ブのゴルフクラブのヘッド体積は１４０〜３００ｃｃ特
に１５０〜２１０ｃｃであることが好ましく、番手が最
少のゴルフクラブのヘッド体積は１４０〜２００ｃｃ特
に１５０〜１７０ｃｃであることが好ましい。番手が最
多のゴルフクラブの重量は１８０〜３００ｇ特に１９５
〜２５０ｇであることが好ましく、番手が最少のゴルフ
クラブの重量は１８０〜２２５ｇ特に１９５〜２１５ｇ
であることが好ましい。１つだけ番手が異なるゴルフク
ラブのヘッド体積（Ｖ）の差（ΔＶ）は２ｃｃ以上とり
わけ５ｃｃ以上であることが好ましく、５０ｃｃ以下と
りわけ４０ｃｃ以下であることが好ましい。

【００３０】本発明では、ゴルフクラブの番手が増える
ほどヘッドの最大高さを高くすることにより、前記の通
り重心高さを高くする設計が容易となる。また、ヘッド
の最大高さを高くすることにより、だるま落しや天ぷら
などのミスショットが防止される。１つだけ番手が異な
るゴルフクラブのヘッド最大高さの差は０．５ｍｍ以上
とりわけ１ｍｍ以上であることが好ましく、また５ｍｍ
以下とりわけ４ｍｍ以下であることが好ましい。ゴルフ
クラブセットのゴルフクラブのヘッド最大高さは３２〜
５０ｍｍとりわけ３４〜４８ｍｍであることが好まし
く、番手が最少のゴルフクラブのヘッド最大高さは３２
〜４２ｍｍとりわけ３４〜４０ｍｍであることが好まし
い。

【００３１】

【実施例】以下、実施例及び比較例について説明する。

【００３２】実施例１，２ ３番、４番、５番、６番及び７番ウッドよりなる５本組
のゴルフクラブセットを製作した。各ゴルフクラブのヘ
ッドはＴｉ−６Ａｌ−４Ｖのチタン合金により製造し、
カーボンシャフトを装着してフェアウェーウッドのセッ
トとした。シャフトは番手の増加につれて短くし、ロフ
ト角、重心高さ、ヘッド体積及びヘッド最大高さは番手
の増加につれて大きくした。

【００３３】各ゴルフクラブの上記のデータの正確な値
を表１〜５に示す。

【００３４】比較例１ 重心高さ、ヘッド体積及びヘッド最大高さを番手の増加
と共に小さくするようにした表１〜５に示す諸元を有し
た３〜７番ウッドよりなるゴルフクラブセットを同様に
して製造した。

【００３５】

【表１】

【００３６】

【表２】

【００３７】

【表３】

【００３８】

【表４】

【００３９】

【表５】

【００４０】比較例は、従来の典型的なウッド型ゴルフ
クラブセットである。実施例１は、ヘッド高さ、体積を
ほぼ一定に変化させ、合わせて重心高さもほぼ一定に変
化させたゴルフクラブヘッドであり、実施例２は、番手
が増す毎にヘッド高さ、ヘッド重心高さ、ヘッド体積の
増加量が増えるゴルフクラブセットである。なお、上記
以外にも、ヘッドの大きさを異ならせて各種のゴルフク
ラブセットを試作してみたが、およそヘッド体積が１５
０ｃｃ〜２５０ｃｃ以内に収まるセットが好ましいこと
が認められた。

【００４１】試打評価の結果、比較例に比べ、実施例１
は、番手が増加するに従って、バックスピンが増加し、
安定した番手毎の飛距離を得られ、高ロフトの番手のゴ
ルフクラブヘッドでは、ラフに有るボールも難なく打つ
ことができた。実施例２も、番手が増加するに従って、
バックスピンが増加し、安定した番手毎の飛距離を得ら
れ、高ロフトのクラブでは、グリーン上でボールがワン
バウンド以内に止まる程であった。実施例１，２のゴル
フクラブは、番手が増加するほど従来のクラブより球が
上がり易く、使い易いものとなり、非力なゴルファーに
とっても、扱いやすいものであった。

【００４２】

【発明の効果】以上の通り、本発明によると、番手が小
さくなるほど総合的な飛距離が増加すると共に、番手が
増えるほどボールが止まり易く、またラフからでもショ
ットし易くなり、初心者でも扱い易いゴルフクラブのセ
ットが提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態に係るゴルフクラブセットのゴルフ
クラブを示す正面図である。

【図２】図２（ａ）は図１のゴルフクラブのヘッドの左
側面図、図２（ｂ）は同ヘッドの正面図である。

【図３】ゴルフクラブの寸法の定義説明図である。

【符号の説明】

１０ ヘッド １１ フェース １２ ホゼル部 １３ クラウン部 ２０ シャフト ２１ グリップ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クラブ長さの異なる複数本のゴルフクラ
   ブよりなるゴルフクラブセットであって、各ゴルフクラ
   ブのヘッドは中空部を有しており、クラブ長さが漸次短
   くなるに従って、各ゴルフクラブのヘッドのロフト角が
   漸次大きくなるゴルフクラブセットにおいて、 該ゴルフクラブのクラブ長さが短くなるほどゴルフクラ
   ブヘッドの重心高さが高くなることを特徴とするゴルフ
   クラブセット。
2. 【請求項２】 請求項１において、ゴルフクラブのクラ
   ブ長さが短くなるほどゴルフクラブヘッドの体積が大き
   くなることを特徴とするゴルフクラブセット。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、ゴルフクラブ
   のクラブ長さが短くなるほどゴルフクラブヘッドのヘッ
   ド最大高さ（但し、ホゼル部を除く。）が高くなること
   を特徴とするゴルフクラブセット。