JP2003209425A - アレーアンテナの制御方法 - Google Patents

アレーアンテナの制御方法

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JP2003209425A JP2002007413A JP2002007413A JP2003209425A JP 2003209425 A JP2003209425 A JP 2003209425A JP 2002007413 A JP2002007413 A JP 2002007413A JP 2002007413 A JP2002007413 A JP 2002007413A JP 2003209425 A JP2003209425 A JP 2003209425A
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孝 大平
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 送信された無線信号がデジタル振幅変調を含
む変調方法で変調されていても参照信号を必要とせず
に、アレーアンテナの指向性を適応制御する。 【解決手段】 適応制御型コントローラ20は、受信さ
れた受信信号y(t)に基づいて、1フレーム期間にお
いて受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号
点の電力値についてそれぞれ電力比Rを計算し、計算さ
れた各電力比Rから離散電力比R,R,…,R
maxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の
時間平均値又はアンサンブル平均値を目的関数値として
計算し、最急勾配法を用いて目的関数値が実質的に最小
となるように、エスパアンテナ装置100の主ビームを
所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるため
の各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリア
クタンス値を計算して設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のアンテナ素
子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させる
ことができるアレーアンテナの制御方法に関し、特に、
電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically S
teerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna;
以下、エスパアンテナという。)の指向特性を適応的に
変化させることができるアレーアンテナの制御方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来技術のエスパアンテナは、例えば、
従来技術文献1「T. Ohira et al., "Electronically s
teerable passive array radiator antennas for low-c
ost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE Intern
ational Conference on PhasedArray System & Technol
ogy pp. 101-104, Dana point, California, May 21-2
5, 2000」や特開2001−24431号公報において
提案されている。このエスパアンテナは、無線信号が給
電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ
離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1
個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リ
アクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記
可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させるこ
とにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させる
ことができる。
【0003】このエスパアンテナを受信側で適応制御す
る方法として、一般的に、以下の方法が用いられてい
る。すなわち、送信側で各無線パケットデータの先頭部
分に学習シーケンス信号を予め含ませておき、当該学習
シーケンス信号と同一の信号を受信側でも発生させ、受
信側において、受信された学習シーケンス信号と、上記
発生された学習シーケンス信号との相互相関が最大とな
ることを規範(評価基準)として、上記可変リアクタン
ス素子のリアクタンス値を変化させてその指向特性を変
化させる。これにより、エスパアンテナの指向性を最適
パターンとし、すなわち所望波の方向に主ビームを向け
かつ干渉波の方向にヌルを形成するパターンとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来例では、学習シーケンス信号などの参照信号が必要で
あること、また、この参照信号を予め送信側及び受信側
の両方で一致させておく必要があり、これにより、適応
制御のための回路が複雑になるという問題点があった。
【0005】このエスパアンテナを受信側で適応制御す
る方法として、送信された無線信号が周波数変調など振
幅が一定である変調方法のときは、受信された無線信号
の振幅を一定となるように適応制御する、例えば、コン
スタント・モジュラス・アルゴリズムなどの方法を用い
てアレーアンテナを適応制御することが広く行われてい
るが、送信された無線信号が振幅変調を含む変調方法で
変調されているときは使用することができないという問
題点があった。
【0006】本発明の目的は以上の問題点を解決し、送
信された無線信号がデジタル振幅変調を含む変調方法で
変調されていても、参照信号を必要とせずに、アレーア
ンテナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方
向にヌルを向けるように適応制御することができるアレ
ーアンテナの制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係るアレー
アンテナの制御方法は、送信された無線信号を受信信号
として受信するための励振素子と、上記励振素子から所
定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上
記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リ
アクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子
のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数の
可変リアクタンス素子をそれぞれ導波器又は反射器とし
て動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるア
レーアンテナの制御方法において、上記送信された無線
信号はデジタル振幅変調を含む変調方法で変調され、上
記無線信号の互いに異なる2つの信号点の電力値のうち
大きい電力値を小さい電力値で除算した商の値を電力比
Rとしたとき、上記無線信号は上記デジタル振幅変調の
複数の信号点においてそれぞれ所定の離散電力比R
,…,Rmaxを有し、上記励振素子によって受信
された受信信号に基づいて、所定の期間において上記受
信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電
力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算
された各電力比Rから上記離散電力比R,R,…,
maxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値
を目的関数値として計算し、上記目的関数値が実質的に
最小又は最大となるように、上記アレーアンテナの主ビ
ームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向
けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を
計算して設定するステップを含むことを特徴とする。
【0008】また、第2の発明に係るアレーアンテナの
制御方法は、所定の間隔で並置してなる複数P個のアン
テナ素子を備え、送信された無線信号を受信するための
アレーアンテナによって受信された複数P個の受信信号
をそれぞれP個の移相手段により所定の移相量だけ移相
させた後合成して、合成後の受信信号を出力するアレー
アンテナの制御方法において、上記送信された無線信号
はデジタル振幅変調を含む変調方法で変調され、上記無
線信号の互いに異なる2つの信号点の電力値のうち大き
い電力値を小さい電力値で除算した商の値を電力比Rと
したとき、上記無線信号は上記デジタル振幅変調の複数
の信号点においてそれぞれ所定の離散電力比R
,…,Rmaxを有し、上記合成後の受信信号に基
づいて、所定の期間において上記受信信号の互いに異な
る組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞ
れ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rか
ら上記離散電力比R,R,…,Rmaxをそれぞれ
減算した値の絶対値のうちの最小値を目的関数値として
計算し、上記目的関数値が実質的に最小又は最大となる
ように、上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向
に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各移相手
段の移相量を計算して設定するステップを含むことを特
徴とする。
【0009】さらに、上記アレーアンテナの制御方法に
おいて、上記目的関数値は、上記期間において上記受信
信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点の電力
値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算さ
れた各電力比Rから上記離散電力比R,R,…,R
maxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最小値の
時間平均値又はアンサンブル平均値であることを特徴と
する。
【0010】またさらに、上記アレーアンテナの制御方
法において、上記デジタル振幅変調は、多値QAM又は
ASKであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0012】<第1の実施形態>図1は本発明に係る第
1の実施形態であるアレーアンテナの制御装置の構成を
示すブロック図である。この実施形態のアレーアンテナ
の制御装置は、図1に示すように、1つの励振素子A0
と、6個の非励振素子A1乃至A6とを備えてなるエス
パアンテナ装置100と、適応制御型コントローラ20
とを備えて構成される。
【0013】ここで、受信側での適応制御に用いる、送
信側から送信される無線信号としては、詳細後述するよ
うに、例えば、16QAM、64QAM、256QAM
などの多値直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitu
de Modulation)やASK(Amplitude Shift Keying)
などのデジタル振幅変調を含む変調方法で変調された無
線信号を用いる。従って、上記無線信号はデジタル振幅
変調されているので、各標本化された信号点においてそ
の振幅は離散的に変化する。本実施形態では、受信信号
の振幅値を時系列的に標本化観測し、それらの自乗(瞬
時電力値)が簡単な整数比系列となることに着目した目
的関数を定義しこれを最小化することを規範としてい
る。ここで、具体的には、上記無線信号の互いに異なる
2つの信号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力
値で除算した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信
号は上記デジタル振幅変調の複数の信号点においてそれ
ぞれ所定の離散電力比R,R,…,Rmaxを有す
ることを利用している。
【0014】本実施形態において、適応制御型コントロ
ーラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算
機で構成され、エスパアンテナ装置100の励振素子A
0によって受信された受信信号y(t)に基づいて、例
えば1フレームの時間期間などの所定の期間において上
記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点
の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記
計算された各電力比Rから上記離散電力比R,R
…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最
小値の時間平均値又はアンサンブル平均値を目的関数値
として計算し、非線形計画法における反復的な数値解法
である、例えば、最急勾配法を用いて、受信信号y
(t)のみから計算可能な上記目的関数値が実質的に最
小となるように、上記エスパアンテナ装置100の主ビ
ームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌルを向け
るための各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6
のリアクタンス値を計算して設定することを特徴として
いる。
【0015】図1において、エスパアンテナ装置100
は、接地導体11上に設けられた励振素子A0及び非励
振素子A1乃至A6から構成され、励振素子A0は、半
径rの円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A
6によって囲まれるように配置されている。好ましく
は、各非励振素子A1乃至A6は上記半径rの円周上に
互いに等間隔を保って設けられる。各励振素子A0及び
非励振素子A1乃至A6の長さは、例えば約λ/4(但
し、λは所望波の波長)になるように構成され、また、
上記半径rもλ/4になるように構成される。励振素子
A0の給電点は同軸ケーブル5を介して低雑音増幅器
(LNA)1に接続され、また、非励振素子A1乃至A
6はそれぞれ可変リアクタンス素子12−1乃至12−
6に接続され、これら可変リアクタンス素子12−1乃
至12−6のリアクタンス値は適応制御型コントローラ
20からのリアクタンス値信号によって設定される。
【0016】図2は、エスパアンテナ装置100の縦断
面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶
縁され、各非励振素子A1乃至A6は、可変リアクタン
ス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に
対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子1
2−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素
子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実
質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子
12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、
可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非
励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較し
て長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リ
アクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を
有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コ
ンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A
0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の
可変リアクタンス素子12−2乃至12−6に接続され
た非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。
【0017】従って、図1のエスパアンテナ装置100
において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変
リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス
値を変化させることにより、エスパアンテナ装置100
の平面指向性特性を変化させることができる。
【0018】図1のアレーアンテナの制御装置におい
て、エスパアンテナ装置100の励振素子A0は無線信
号を受信し、上記受信された信号は同軸ケーブル5を介
して低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、
次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信
号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換す
る。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ
信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル
信号を適応制御型コントローラ20及び復調器4に出力
する。次いで、適応制御型コントローラ20は、エスパ
アンテナ装置100の励振素子A0によって受信された
受信信号y(t)に基づいて、例えば1フレームの時間
期間などの所定の期間において上記受信信号の互いに異
なる組み合わせの各2つの信号点の電力値についてそれ
ぞれ上記電力比Rを計算し、上記計算された各電力比R
から上記離散電力比R,R,…,Rmaxをそれぞ
れ減算した値の絶対値のうちの最小値の時間平均値又は
アンサンブル平均値を目的関数値として計算し、最急勾
配法を用いて上記目的関数値が実質的に最小となるよう
に、エスパアンテナ装置100の主ビームを所望波の方
向に向けかつ干渉の方向にヌルを向けるための各可変リ
アクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値
(k=1,2,…,6)を計算してその値を示すリ
アクタンス値信号を各可変リアクタンス素子12−1乃
至12−6に出力することによりそれらリアクタンス値
を設定する。一方、復調器4は、入力される受信信
号y(t)に対して復調処理を行ってデータ信号である
復調信号を出力する。
【0019】次いで、エスパアンテナ装置100につい
て定式化を行う。この定式化モデルにおいては、励振素
子A0として半波長ダイポールアンテナを用い、非励振
素子A1乃至A6として円形アレー配列された6本のダ
イポールアンテナを用いる。素子間隔は全てλ/4であ
り、各ダイポールは半径λ/100の導体円柱とする。
素子の長さ方向の波長短縮率は0.926とする。各非
励振素子A1乃至A6の中央部に可変リアクタンス素子
12−1乃至12−6であるバラクタダイオードが直列
に装荷されており、それらのリアクタンス値の組合せで
その指向性が決定される。
【0020】上記アンテナの構造パラメータからモーメ
ント法による電磁界解析を用いて素子間の相互結合を求
め、これをインピーダンス行列Zで表すと次式のように
なる(例えば、従来技術文献2「大平孝,“エスパアン
テナの主ビームを所望方法へ形成するためのリアクタン
スを簡単に求める方法:準同期合成と最急勾配法”,電
子情報通信学会研究技術報告,AP2001−48,p
p.1−6,2001年7月」参照。)。
【0021】
【数1】
【0022】エスパアンテナ装置100の構造は巡回的
な対称性を有しているため、この行列Zの49個の要素
のうち独立な要素は6個の要素となる。これらはその物
理的意味からそれぞれ以下のように呼ばれるべき複素パ
ラメータである。
【0023】
【表1】 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― z00:励振素子の自己入力インピーダンス z01:励振素子と非励振素子との間の結合インピーダンス z11:非励振素子の自己入力インピーダンス z12:互いに隣接する2つの非励振素子間の結合インピーダンス z13:次に隣接する(1つ間をおいて隣接する)2つの非励振素子間の結合イ ンピーダンス z14:互いに対向する2つの非励振素子間の結合インピーダンス ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0024】なお、後述する実施例で用いた各インピー
ダンス値は以下の通りである。 (a)z00=+52.0−5.7j (b)z01=+23.9−29.2j (c)z11=+64.0−3.4j (d)z21=+29.7−29.8j (e)z31=−13.9−27.6j (f)z41=−26.0−16.7j ここで、インピーダンス値の単位は全てΩである。バラ
クタダイオードであるリアクタンス素子12−1乃至1
2−6のリアクタンス値をx,x,…,x とする
と、エスパアンテナ装置100の指向性(アレーファク
タ)D(θ,φ)は次式で表される(例えば、従来技
術文献2参照)。
【0025】
【数2】D(θ,φ)=a(θ,φ)i(x,x
,…,x
【0026】ここで、上付きのTは転置を表し、a
(θ,φ)は、エスパアンテナ装置100の位相中心を
中央の非励振素子A0にとった場合のステアリングベク
トルであり、仰角θと方位角φの関数として次式で表さ
れる。
【0027】
【数3】
【0028】ここで、dは半径rに等しい素子間隔であ
り、βは自由空間中の伝播定数である。また、i
(x,x,…,x)はエスパアンテナの等価ウエ
イトベクトルであり、次式で表される。
【数4】i(x,x,…,x)=Z−1(v
−Xi)=v(Z+X)−1 ここで、uは次式で表される単位ベクトルである。
【数5】u=[1,0,…,0] また、Xは、RF受信機の入力インピーダンスzと可
変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタン
ス値を成分とする次式の対角行列であるリアクタンス行
列である。
【数6】 X=diag[z,jx,jx,…,jx
【0029】複数の信号波が到来する場合にはそれらの
信号波形を成分とするベクトル
【数7】s(t)=[s(t),s(t),…,s
(t)] を定義する。ここで、mは信号の数である。これらを同
時に受信した場合のエスパアンテナ装置100の出力信
号は次式で表される。
【数8】y(t)=i(x,x,…,x
(θ,Φ)s(t)+n(t) ここで、A(θ,Φ)はアレーマニホールドであり、次
式で表される。
【数9】A(Θ,Φ)=[a(θ,φ),a
(θ,φ),…,a(θ,φ)] ここで、
【数10】Θ={θ,θ,…,θ
【数11】Φ={φ,φ,…,φ} であり、n(t)は加算的雑音である。
【0030】次いで、本実施形態で用いる「ブラインド
適応ビーム形成」について説明する。適応ビーム形成の
目的は上記数8で導出したアンテナ受信出力信号y
(t)に含まれる信号対干渉雑音の電力比SINR=S
/(N+I)を最大化することである。ブラインド制御
とは所望波に含まれる信号情報を全く参照することなく
アンテナ可変パラメータ(一般的にはウエイトベクト
ル:ここでは、可変リアクタンス素子12−1乃至12
−6のリアクタンス値)を更新することである。
【0031】本実施形態に係るブラインド制御では、送
信信号の振幅が標本化点においてその自乗(瞬時電力
値)が簡単な整数比をもつ値となることを利用する。現
在多くの無線システムで用いられているデジタル変調方
式のうち、特にPSKではこの比の値が全て1となる。
これが16QAMの場合には、図3に示すI/Q平面上
の信号点配置から明らかなように、ここで第1象限のみ
を考慮すれば、各標本化された信号点において、Iチャ
ンネルの振幅値m=1,3と、Qチャンネルの振幅値n
=1,3とに基づく瞬時電力値Pは次式で表される。
【0032】
【数12】P=(2m−1)+(2n−1)
【0033】従って、16QAMのときに取りうる瞬時
電力値Pは次の表2に示すようになる。
【0034】
【表2】
【0035】この表2から互いに異なる各2つの信号点
の瞬時電力比は1:5:9となる。ある標本化信号点に
おける瞬時電力値Pと次の標本化信号点での瞬時電力
値P との比は、1:1、1:5、1:9、5:1、
5:5、5:9、9:1、9:5、9:9のいずかをと
る。これらの2値P,Pを比較し大きい方を小さい
方で除算した商の値をRとして次式のように計算する
と、次の表3に示すようになる。
【0036】
【数13】 R=max(P,P)/min(P,P
【0037】ここで、関数max(・)は、引数に含ま
れる複数の値のうち最大値を示す関数であり、関数ma
x(・)は、引数に含まれる複数の値のうち最大値を示
す関数である。
【0038】
【表3】
【0039】この表3から明らかなように、16QAM
のときの電力比Rは次式で表された離散値の4通りのみ
とりうる。
【数14】R=1.0,1.8,5.0,9.0
【0040】受信側では送信信号に干渉信号と雑音が重
畳されるためこの商の値が上記離散値からゆらぐ。この
ゆらぎの程度を表す評価関数Qを次式のように定義す
る。
【0041】
【数15】Q=min{|R−1.0|,|R−1.8
|,|R−5.0|,|R−9.0|}
【0042】この評価関数は図4に示すように、1≦r
<∞を定義域とする折れ線グラフとなる。送信信号に同
期していない干渉信号と雑音はランダムなので、評価関
数値Qも時間的に変動する。そこで、本実施形態では、
例えば1フレームなどの所定の期間中において多数の標
本化信号点における評価関数値Qの時間平均値又はアン
サンブル平均値(期待値)E(Q)をとり、これを最小
化すること、すなわち次式の目的関数Jを規範とする。
【0043】
【数16】J=E(Q)→min→0
【0044】すなわち、数16で表された目的関数を実
質的に最小値となるように適応制御する。この規範は受
信信号の振幅の相対値だけで決定されるので受信レベル
変動や受信機利得変動の影響を受けないというメリット
もある。この規範に基づいてリアクタンス値を、例えば
最急勾配法などの非線形計画法における反復的な数値解
法を用いて反復更新することにより、アンテナ出力の信
号対干渉雑音電力比(SINR)が最大となるように、
すなわち、エスパアンテナ装置100の主ビームを所望
波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように
最適ビームが形成される。
【0045】また、同様に、64QAMのときの瞬時電
力値Pは次の表4のようになり、標本化された信号点で
の電力比Rは次の表5のようになり、16QAMのとき
と同様に当該エスパアンテナ装置100を適応制御可能
である。なお、表5において、電力比Rの計算値は便宜
上、小数点第5位を四捨五入して小数点第4位まで示し
ている。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】なお、以上の実施形態においては、数16
で表された目的関数を用いているが、本発明はこれに限
らず、数15で表された評価関数を目的関数として用い
てもよい。
【0049】次いで、最急勾配法を用いたアンテナビー
ムの適応制御について説明する。最急勾配法を用いると
きの可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリア
クタンス値のセット(リアクタンスベクトル)xに対す
る漸化式は次式で表される。
【0050】
【数17】x(n+1)=x(n)+μ∇Jn
【数18】
【0051】ここで、nはxの更新の次数、パラメータ
μは試行錯誤的に定められるステップサイズである。こ
こで、最急勾配法は、最急降下法を含む方法の概念であ
るが、本実施形態では、目的関数の値を最大するように
最適解を求める方法を用いる。
【0052】さらに、最急勾配法による具体的な、最適
解を求める手順について説明する。上記数17の漸化式
を用いた最急勾配法によって目的関数Jnを可能な限り
大きくするような良好なリアクタンスベクトルxを発見
するためには、以下の手順を用いる。 (i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目
の反復)を1に設定し、予め決められたリアクタンスベ
クトルの初期値x(1)(例えば、当該エスパアンテナ
装置100をオムニアンテナに設定にするときのリアク
タンスベクトル)によって処理を開始する。 (ii)次いで、この初期値(n=1のとき)又は現在
の推定値(n≧2のとき)を使用して、反復数パラメー
タn(すなわち、n回目の反復)における目的関数Jn
の勾配ベクトル∇Jnを計算する。 (iii)勾配ベクトル∇Jnの方向と同一の方向に初
期値又は現在の推定値を変更することで、リアクタンス
ベクトルxにおける次の推定値を計算する。 (iv)反復数パラメータnを1だけインクリメント
し、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰
り返し処理は、リアクタンスベクトルxが実質的に収束
する反復数まで実行される。
【0053】図5は、図1の適応制御型コントローラ2
0によって実行される、最急勾配法によるより具体的な
適応制御処理を示すフローチャートである。
【0054】図5のステップS1において、まず、反復
数パラメータnを1にリセットし、リアクタンスベクト
ルx(1)にその初期値を設定挿入し、ステップS2に
おいて素子パラメータkを1にリセットする。次いで、
ステップS3において受信信号y(t)を測定し、ステ
ップS4において数15及び数16を用いて目的関数J
の値を計算し、J(0)に設定挿入する。さらに、ステ
ップS5においてリアクタンス値xに所定の摂動値Δ
を加算し、その加算値をリアクタンス値x として
設定した後、ステップS6において受信信号y(t)を
測定し、ステップS7において数15及び数16を用い
て目的関数Jの値を計算する。そして、ステップS8に
おいてJ−J(0)の値を計算して∂Jn/∂xに代
入し、ステップS9においてリアクタンス値xに所定
の摂動値Δxを減算しその減算値をリアクタンス値x
として設定することにより摂動前の値に戻した後、ス
テップS10において素子パラメータkはK(=6)以
上であるか否かが判断される。ステップS10でNOで
あれば、ステップS11で素子パラメータkを1だけイ
ンクリメントしてステップS5に戻り、上述の処理を繰
り返す。一方、ステップS10でYESであるときは、
ステップS12において、上記数17の漸化式を用い
て、リアクタンスベクトルxの次の推定値x(n+1)
を計算した後、ステップS13において反復数パラメー
タnが所定の反復数Nに到達しているか否かを判断し、
NOであれば、ステップS14において反復数パラメー
タnを1だけインクリメントした後、ステップS2から
の処理を繰り返す。一方、ステップS13でYESであ
るときは、十分に収束しているものと判断し、計算され
たリアクタンスベクトルxの値を有するリアクタンス値
信号を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出
力して設定する。
【0055】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、適応制御型コントローラ20は、エスパアンテナ装
置100の励振素子A0によって受信された受信信号y
(t)に基づいて、例えば1フレームの時間期間などの
所定の期間において受信信号の互いに異なる組み合わせ
の各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電力比
Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離散電
力比R,R,…,R maxをそれぞれ減算した値の
絶対値のうちの最小値の時間平均値又はアンサンブル平
均値を目的関数値として計算し、非線形計画法における
反復的な数値解法である、例えば、最急勾配法を用い
て、受信信号y(t)のみから計算可能な目的関数値
(数16)が実質的に最小となるように、上記エスパア
ンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ
干渉の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素
子12−1乃至12−6のリアクタンス値を計算して設
定する。従って、送信された無線信号がデジタル振幅変
調を含む変調方法で変調されていても、参照信号を必要
とせずに、アレーアンテナの指向性を所望波の方向に主
ビームを向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適
応制御することができる。ここで、参照信号を必要とし
ないので、当該装置の構成を簡単化できる。また、目的
関数Jは受信信号y(t)のみで記述されているので、
適応制御コントローラ20の計算処理をきわめて簡単に
実行できる。
【0056】以上の実施形態においては、6本の非励振
素子A1乃至A6を用いているが、その本数は少なくと
も複数本あれば、当該アレーアンテナ装置の指向特性を
電子的に制御することができる。それに代わって、6個
よりも多くの非励振素子を備えてもよい。また、非励振
素子A1乃至A6の配置形状も上記の実施形態に限定さ
れず、励振素子A0から所定の距離だけ離れていればよ
い。すなわち、各非励振素子A1乃至A6に対する間隔
は一定でなくてもよい。
【0057】以上の実施形態においては、最急勾配法を
用いて各可変リアクタンス素子12のリアクタンス値を
計算しているが、本発明はこれに限らず、以下に示す順
次ランダム法、ランダム法、高次元二分法などの非線形
計画法における反復的な数値解法を用いてもよい。
【0058】なお、順次ランダム法においては、以下の
手順を用いる。 (i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目
の反復)を1に設定し、リアクタンスベクトルの所定の
初期値x(1)(例えば、当該エスパアンテナ装置10
0をオムニアンテナに設定にするときのリアクタンスベ
クトル)によって処理を開始する。 (ii)次いで、この初期値(n=1のとき)又は現在
の推定値(n≧2のとき)を使用して、反復数パラメー
タn(すなわち、n回目の反復)における推定値への加
算値を所定の存在範囲内で乱数を発生させて計算する。 (iii)計算された加算値を上記推定値に加算するこ
とにより、リアクタンスベクトルにおける次の推定値を
計算する。 (iv)反復数パラメータnを1だけインクリメント
し、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰
り返し処理は、目的関数Jの値が所定のしきい値(例え
ば0.9)以上になるまで実行される。
【0059】また、ランダム法においては、以下の手順
を用いる。 (i)最初に、リアクタンスベクトルの所定の初期値x
(1)(例えば、当該エスパアンテナ装置100をオム
ニアンテナに設定にするときのリアクタンスベクトル)
によって処理を開始する。 (ii)次いで、この初期値を使用して、当該初期値へ
の加算値を所定の存在範囲内で乱数を発生させて計算す
る。 (iii)計算された加算値を上記初期値に加算するこ
とにより、リアクタンスベクトルにおける推定値を計算
する。 (iv)計算された推定値における目的関数Jの値が所
定のしきい値(例えば0.9)以上であれば、当該推定
値を設定すべきリアクタンスベクトルとするが、NOで
あれば、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。
【0060】さらに、高次元二分法においては、以下の
手順を用いる。 (i)最初に、反復数パラメータn(すなわち、n回目
の反復)を1に設定して処理を開始する。 (ii)次いで、リアクタンスベクトルの各リアクタン
ス値の所定の存在範囲(なお、2回目以降は、前に選択
された推定値の存在範囲)を均等に二分し、二分された
各存在範囲の平均値(各可変リアクタンス素子12−1
乃至12−6に対して2つの平均値)を計算する。 (iii)この2つの平均値に対する目的関数Jの値を
計算し、目的関数Jの値が大きい方を、リアクタンスベ
クトルにおける次の推定値とする。 (iv)反復数パラメータnを1だけインクリメント
し、ステップ(ii)に戻って処理を繰り返す。この繰
り返し処理は、目的関数Jの値が所定のしきい値(例え
ば0.9)以上になるまで実行される。
【0061】以上の実施形態においては、目的関数Jを
適応制御のためのリアクタンス値を求めるための目的関
数とし、それを最小となるようにリアクタンスベクトル
の最適解を計算しているが、本発明はこれに限らず、目
的関数Jの逆数を適応制御のためのリアクタンス値を求
めるための目的関数とし、それを最大となるようにリア
クタンスベクトルの最適解を計算してもよい。
【0062】<第2の実施形態>図6は、本発明に係る
第2の実施形態であるアレーアンテナの制御装置の構成
を示すブロック図である。
【0063】この実施形態では、アレーアンテナ50の
各アンテナ素子51−1乃至51−Pで受信した信号
を、可変移相器53−1乃至53−Pと加算器である合
成器54によって構成されたRF帯のBFN(Beam Form
ing Network)回路で合成する構成を採用し、このアレー
アンテナの制御装置は、複数P個のアンテナ素子1−1
乃至1−Pが互いに所定の間隔で配置されてなるアレー
アンテナ50(例えば、リニアアレーであり、2次元形
状又は3次元形状で配置されてもよい。)のビームを制
御するための適応制御型制御装置であり、適応制御型コ
ントローラ60を備えたことを特徴としている。ここ
で、適応制御型コントローラ60は、合成後の受信信号
に基づいて、非線形計画法における反復的な数値解法で
ある、例えば、最急勾配法を用いて、上記目的関数(数
16)の値が最小となるように、当該アレーアンテナ5
0の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉の方向にヌ
ルを向けるための可変移相器53−1乃至53−Pの移
相量に対応する各移相制御電圧v(p=1,2,…,
P)を計算して設定することを特徴としている。
【0064】以下、図6に示すアレーアンテナの制御装
置の構成について説明する。図6において、複数P個の
アンテナ素子51−1乃至51−Pが互いに所定の間隔
で1直線上に並置されてなるアレーアンテナ50によっ
て無線信号が受信され、各アンテナ素子51−1乃至5
1−Pで受信された無線信号はそれぞれ、低雑音増幅器
(LNA)52−1乃至52−Pを介して可変移相器5
3−1乃至53−Pに入力される。各可変移相器53−
1乃至53−Pはそれぞれ、入力される無線信号を、適
応制御型コントローラ60から出力される各移相制御電
圧v(p=1,2,…,P)に対応した各移相量だけ
移相した後、合成器54に出力する。合成器54は入力
されるP個の無線信号を電力合成して、合成後の無線信
号を、所定の中間周波数の中間周波信号に周波数変換す
るダウンコンバータ55及び中間周波信号の帯域成分の
みを帯域ろ波する帯域通過フィルタ(BPF)56を介
して復調器57に出力する。復調器57は、入力される
無線信号を、送信機側の変調方法(例えば、QAM、A
SKなど)に対応した復調方法を用いてベースバンド信
号に復調して、所望のベースバンド信号のみを取り出す
低域通過フィルタ(LPF)58を介してA/D変換器
9に出力する。A/D変換器59は、入力されるアナロ
グのベースバンド信号をディジタルのベースバンド信号
にA/D変換して、変換後のベースバンド信号信号を外
部装置に出力する。一方、ダウンコンバータ55から出
力される中間周波数信号は、A/D変換器61を介して
受信信号y(t)として適応制御型コントローラ60に
入力される。ここで、この受信信号y(t)は、合成器
54において合成された無線信号の電力レベルに比例す
るレベルを有する。
【0065】適応制御型コントローラ60は、上記受信
信号y(t)に基づいて、非線形計画法における反復的
な数値解法である、例えば、最急勾配法を用いて、図5
の適応制御処理と同様の処理を実行することにより、上
記目的関数(数16)の値が最小となるように、当該ア
レーアンテナ50の主ビームを所望波の方向に向けかつ
干渉の方向にヌルを向けるための可変移相器53−1乃
至53−Pの移相量に対応する各移相制御電圧v(p
=1,2,…,P)を計算し、それを可変移相器53−
1乃至53−Pに印加することにより対応する各移相量
を設定する。
【0066】なお、この実施形態においても、第1の実
施形態と同様に、適応制御に用いる無線信号としては、
デジタル振幅変調を含む変調方法で変調された無線信号
を用いる。
【0067】この実施形態に係る適応制御型コントロー
ラ60においても、第1の実施形態に係る適応制御型コ
ントローラ20と同様に、送信された無線信号がデジタ
ル振幅変調されていても、参照信号を必要とせずに、ア
レーアンテナの指向性を所望波の方向に主ビームを向け
かつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御するこ
とができる。ここで、参照信号を必要としないので、当
該装置の構成を簡単化できる。また、目的関数Jは受信
信号y(t)のみで記述されているので、適応制御コン
トローラ60の計算処理をきわめて簡単に実行できる。
【0068】以上の実施形態においては、最急勾配法を
用いて各可変移相器53−1乃至53−Pの移相量に対
応する移相制御電圧vを計算しているが、本発明はこ
れに限らず、上述の順次ランダム法、ランダム法、高次
元二分法などの非線形計画法における反復的な数値解法
を用いてもよい。また、目的関数Jはその逆数を用いて
もよい。
【0069】
【実施例】図7は、図1のエスパアンテナ装置100を
用いて実行された、ブラインド適応ビーム形成のシミュ
レーションのフローを示す図である。このシミュレーシ
ョンでは、上述の定式化モデルと同様に、非励振素子A
0として半波長ダイポールアンテナを用い、非励振素子
A1乃至A6として円形アレー配列された6本のダイポ
ールアンテナを用いる。また、エスパアンテナ装置10
0に到来する所望波と干渉波の到来方向は未知(適応制
御)とし、トレーニング信号も用いないこと(ブライン
ド処理)とする。本実施例においては、所望波に加えて
干渉波も同時に到来する環境でシミュレーションする。
所望波は16QAMランダム変調信号、干渉波は定振幅
ランダム位相信号、雑音は加算的ガウス雑音とする。こ
れら所望波、干渉波、雑音は相互に無相関とする。簡単
のため伝送路における帯域制限フィルタ、遅延広がり、
角度広がり、フェージング、ドップラ効果、同期誤差を
全て無視する。この条件下で、数16で表された規範に
基づいて6個の可変リアクタンス素子12−1乃至12
−6の各リアクタンス値を適応制御する。
【0070】ここで、エスパアンテナ装置100に接続
されるRF受信機の入力インピーダンスはz=50Ω
とする。
【0071】図7のシミュレーションフローにおいて
は、干渉波ステアリングベクトル、所望波ステアリング
ベクトル、アンテナ構造のパラメータ、到来波信号、お
よび雑音に基づいて、ステップSS1乃至SS5の処理
を行うことにより当該アンテナビームの適応制御を行
い、最後に、指向性アレーファクタおよび出力SINR
を計算して出力する(ステップSS6,SS7)。この
ステップSS1乃至SS7の処理では、受信信号y
(t)に基づいて目的関数J(数16)を計算し、リア
クタンス行列の更新を行ってリアクタンス行列を計算し
た後、等価ウエイトベクトルを計算する。そして、等価
ウエイトベクトルから指向性アレーファクタを計算する
一方、受信信号y(t)と雑音n(t)とから出力SI
NRを計算している。
【0072】このシミュレーションにおいては、所望波
に加えて干渉波も同時に到来する環境でシミュレーショ
ンを行う。所望波の到来方向を0度に固定し、干渉波の
到来方向が45度、90度、135度、180度とした
場合のリアクタンス制御結果と指向性パターン(電力パ
ターン)をそれぞれ図8乃至図11に示す。これらの図
面において、ポーラチャートの外周上の記号DおよびI
はそれぞれ所望波と干渉波の到来方位を示す。図8乃至
図11の4パターンとも、ほぼ所望波の到来方向へ主ビ
ームが形成されると同時に干渉波の方向に深いヌル点が
形成されていることがわかる。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るアレー
アンテナの制御方法によれば、従来技術のエスパアンテ
ナやリニアアレーアンテナなどのアレーアンテナの制御
方法において、当該アレーアンテナによって受信された
受信信号の振幅値を時系列的に標本化観測し、それらの
自乗(瞬時電力値)が簡単な整数比系列となることに着
目した目的関数を定義しこれを最小化又は最大化するこ
とを規範として、上記アレーアンテナの主ビームを所望
波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための
各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設
定する。従って、送信された無線信号がデジタル振幅変
調された無線信号であっても、参照信号を必要とせず
に、アレーアンテナの指向性を所望波の方向に主ビーム
を向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるように適応制御
することができる。ここで、参照信号を必要としないの
で、当該装置の構成を簡単化できる。また、目的関数は
受信信号のみで記述されているので、適応制御処理の計
算処理をきわめて簡単に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態であるアレーア
ンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のエスパアンテナ装置100の詳細な構
成を示す断面図である。
【図3】 図1のエスパアンテナ装置100によって受
信される16QAM信号の信号点配置を示す図である。
【図4】 図1の適応制御型コントローラ20によって
実行される適応制御処理において用いるMARD法につ
いての、電力比Rに対する評価値Qを示すグラフであ
る。
【図5】 図1の適応制御型コントローラ20によって
実行される、最急勾配法による適応制御処理を示すフロ
ーチャートである。
【図6】 本発明に係る第2の実施形態であるアレーア
ンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 図1のエスパアンテナ装置100を用いて実
行された、ブラインド適応ビーム形成のシミュレーショ
ンのフローを示す図である。
【図8】 図7のシミュレーション結果であって、干渉
波方向が45度のときの放射電力パターンを示す指向特
性図である。
【図9】 図7のシミュレーション結果であって、干渉
波方向が90度のときの放射電力パターンを示す指向特
性図である。
【図10】 図7のシミュレーション結果であって、干
渉波方向が135度のときの放射電力パターンを示す指
向特性図である。
【図11】 図7のシミュレーション結果であって、干
渉波方向が180度のときの放射電力パターンを示す指
向特性図である。
【符号の説明】
A0…励振素子、 A1乃至A6…非励振素子、 1…低雑音増幅器(LNA)、 2…ダウンコンバータ、 3…A/D変換器、 4…復調器、 5…給電用同軸ケーブル、 11…接地導体、 12−1乃至12−4…可変リアクタンス素子、 20…適応制御型コントローラ、 50…アレーアンテナ、 51−1乃至51−N…アンテナ素子、 52−1乃至52−N…低雑音増幅器(LNA), 53−1乃至53−N…可変移相器、 54…合成器、 55…ダウンコンバータ、 56…帯域通過フィルタ(BPF)、 57…復調器、 58…低域通過フィルタ(LPF)、 59…A/D変換器、 60…適応制御型コントローラ、 61…A/D変換器、 100…エスパアンテナ装置。
フロントページの続き Fターム(参考) 5J020 AA03 BA02 BA06 BC08 DA03 DA04 5J021 AA05 AA10 AB02 BA01 CA06 DB03 EA05 FA07 FA13 FA26 FA29 GA02 GA06 GA08 HA06 5K059 CC03 CC04 DD37

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信された無線信号を受信信号として受
    信するための励振素子と、 上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数
    の非励振素子と、 上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変
    リアクタンス素子とを備え、 上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化さ
    せることにより、上記複数の可変リアクタンス素子をそ
    れぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテ
    ナの指向特性を変化させるアレーアンテナの制御方法に
    おいて、 上記送信された無線信号はデジタル振幅変調を含む変調
    方法で変調され、上記無線信号の互いに異なる2つの信
    号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力値で除算
    した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信号は上記
    デジタル振幅変調の複数の信号点においてそれぞれ所定
    の離散電力比R,R,…,Rmaxを有し、 上記励振素子によって受信された受信信号に基づいて、
    所定の期間において上記受信信号の互いに異なる組み合
    わせの各2つの信号点の電力値についてそれぞれ上記電
    力比Rを計算し、上記計算された各電力比Rから上記離
    散電力比R,R,…,Rmaxをそれぞれ減算した
    値の絶対値のうちの最小値を目的関数値として計算し、
    上記目的関数値が実質的に最小又は最大となるように、
    上記アレーアンテナの主ビームを所望波の方向に向けか
    つ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタン
    ス素子のリアクタンス値を計算して設定するステップを
    含むことを特徴とするアレーアンテナの制御方法。
  2. 【請求項2】 所定の間隔で並置してなる複数P個のア
    ンテナ素子を備え、送信された無線信号を受信するため
    のアレーアンテナによって受信された複数P個の受信信
    号をそれぞれP個の移相手段により所定の移相量だけ移
    相させた後合成して、合成後の受信信号を出力するアレ
    ーアンテナの制御方法において、 上記送信された無線信号はデジタル振幅変調を含む変調
    方法で変調され、上記無線信号の互いに異なる2つの信
    号点の電力値のうち大きい電力値を小さい電力値で除算
    した商の値を電力比Rとしたとき、上記無線信号は上記
    デジタル振幅変調の複数の信号点においてそれぞれ所定
    の離散電力比R,R,…,Rmaxを有し、 上記合成後の受信信号に基づいて、所定の期間において
    上記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号
    点の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上
    記計算された各電力比Rから上記離散電力比R
    ,…,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のう
    ちの最小値を目的関数値として計算し、上記目的関数値
    が実質的に最小又は最大となるように、上記アレーアン
    テナの主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向
    にヌルを向けるための各移相手段の移相量を計算して設
    定するステップを含むことを特徴とするアレーアンテナ
    の制御方法。
  3. 【請求項3】 上記目的関数値は、上記期間において上
    記受信信号の互いに異なる組み合わせの各2つの信号点
    の電力値についてそれぞれ上記電力比Rを計算し、上記
    計算された各電力比Rから上記離散電力比R,R
    …,Rmaxをそれぞれ減算した値の絶対値のうちの最
    小値の時間平均値又はアンサンブル平均値であることを
    特徴とする請求項1又は2記載のアレーアンテナの制御
    方法。
  4. 【請求項4】 上記デジタル振幅変調は、多値QAM又
    はASKであることを特徴とする請求項1乃至3のうち
    のいずれか1つに記載のアレーアンテナの制御方法。
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