JP2003207509A - 月経血からの子宮内膜症の診断 - Google Patents

月経血からの子宮内膜症の診断

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JP2003207509A
JP2003207509A JP2001384300A JP2001384300A JP2003207509A JP 2003207509 A JP2003207509 A JP 2003207509A JP 2001384300 A JP2001384300 A JP 2001384300A JP 2001384300 A JP2001384300 A JP 2001384300A JP 2003207509 A JP2003207509 A JP 2003207509A
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Gerhard Leiendecker
ライエンデッカー ゲルハルト
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F Hoffmann La Roche AG
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F Hoffmann La Roche AG
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Abstract

(57)【要約】 【課題】子宮内膜症の分野の臨床診断の常套手法におい
て、一般に受け入れられるか、または広範に使用される
手段を提供すること。 【解決手段】(a)月経血の試料を得る工程 (b)該試料中の基底細胞を測定する工程または(c)
該試料中の基底子宮内膜の細胞に典型的な少なくとも1
種の遺伝子産物を測定する工程および(d)(b)また
は(c)における測定値を子宮内膜症の診断と相関させ
る工程を含む、子宮内膜症の診断方法、ならびに(a)
月経血の試料を得る工程 (b)該試料中の基底細胞に典型的な少なくとも1種の
遺伝子産物の量を測定する工程、(c)該試料中の子宮
内膜の機能層の細胞由来の遺伝子産物の量を測定する工
程、(d)(b)の(c)に対する相対量を評価する工
程および(e)該相対量(d)を子宮内膜症と相関させ
る工程を含む、子宮内膜症の診断方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は子宮内膜症の診断方
法に関する。該方法は、月経血の試料を得る工程、該試
料中の基底細胞を測定する工程または該試料中の基底子
宮内膜の細胞に典型的な少なくとも1種の遺伝子産物を
測定する工程と該測定値を子宮内膜症の診断と相関させ
る工程とを含む。
【0002】
【従来の技術】子宮内膜症は、子宮外(異所性)部位で
の子宮内膜細胞の成長を特徴とする、一般的で痛みを伴
う疾患である。子宮内膜組織の異所性の移植および成長
は、腹壁の腹膜上、および主に下腹部の腸、卵巣および
ファローピウス管を含む種々の器官の外表面で見られる
(ビガノ(Vigano), P.ら、Fertil Steril 56 (1991) 89
4-9 )。
【0003】子宮内膜症の原因および病因に関する様々
な説が提唱され、現在、対応する科学文献において考察
されている。
【0004】第1の仮説では、子宮内膜症を自己免疫疾
患とみなす。この説は、多くの患者の血清において「自
己抗原」に対する抗体が見られるという所見に基づく。
いくつかの診断の作業は、子宮内膜症患者由来の血清に
見られる自己抗体の検出および測定に基づくものである
(国際公開第01/79864号パンフレット)。
【0005】子宮内膜症の病因に関する第2の仮説は、
いわゆる「異所性移植説」サンプソン(Sampson), J.
A., Am. J. Obstet. Gynaecol. 14 (1927) 422-429であ
るが、第3の仮説は、子宮内膜症を子宮内膜組織の「化
生」により説明している(マイヤー (Meyer), R., Zbl.
Gynaek. 43 (1919) 745-750)。いくつかの報告は、異
常な免疫機能と関連しているかもしれない逆行性月経
が、異所性子宮内膜病変の確立にある役割を果たし得る
ことを示唆している(イシムラ(Ishimura), T.およびマ
スザキ(Masuzaki), H., Am J Obstet Gynecol 165 (199
1) 210-4)。
【0006】最近、子宮内膜症および腺筋症が、重要な
原因因子である子宮の蠕動および蠕動亢進を伴う同じ疾
患過程の異型であることがわかった。腺筋症は、慢性的
な子宮の蠕動および蠕動亢進により引き起こされる基底
子宮内膜の子宮筋層裂開への浸潤により生じ得ること、
および腺筋症の筋肉成分が浸潤性子宮内膜支質の化生か
ら続発的に生じうることが提案された(クンツ(Kunz),
G.ら、Hum Reprod 15(2000) 76-82)。さらに、子宮内
膜症が、増殖および浸潤性成長の可能性がより高い、子
宮内膜細胞の剥離から生じ得ること、および該剥離子宮
内膜細胞の腹腔内への子宮蠕動亢進(この場合、該剥離
子宮内膜細胞は腹腔表面上に移植される)による経卵管
(transtubal)輸送の増大により生じうることが示唆され
た(ライエンデッカー(Leyendecker), G. ら、Hum Repr
od 11 (1996) 1542-51; ライエンデッカー(Leyendecke
r), G. ら、Hum Reprod Update 4 (1998) 752-62;ライ
エンデッカー(Leyendecker), G., Hum Reprod 15 (200
0) 4-7 )。
【0007】子宮内膜組織は、体循環血系(bodies bloo
d system) により維持されており、これと関連してい
る。理論的には、その「真の」病因とは独立して、この
疾患の存在(entity)を示す血中マーカー分子を検出する
ことにより、血液から子宮内膜症を診断しうる。いくつ
かのアプローチが、血液または組織試料からのマーカー
分子の検出に基づいて子宮内膜症を診断するための診断
手順に関する特許文献により知られている。例えば、国
際公開第99/63116号パンフレットには、子宮内
膜組織におけるプロチモシン(prothymosin) のアップレ
ギュレーションが記載されており、特に血液または子宮
内膜症の生検試料からの子宮内膜症の診断におけるプロ
チモシンの使用のためのアプローチが記載されている。
【0008】しかしながら、これまで、生化学的または
免疫学的マーカーは、子宮内膜症の分野においてかかる
ツールが必要に迫られているにもかかわらず、一般に受
け入れられておらず、臨床診断の常套手法において広範
に使用されてもいないようである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、子宮
内膜症の分野の臨床診断の常套手法において、一般に受
け入れられるか、または広範に使用される手段を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】当該技術分野で知られた
試みにおいて、血液または血液成分が子宮内膜症の診断
に主に使用されるが、今や驚くべくことに、子宮内膜症
を月経血の分析により診断しうることがわかった。
【0011】月経周期の正常な結果として剥落する子宮
内膜組織はかなりの量があるが、今や、子宮内膜の特定
の層、いわゆる「第IV基底子宮内膜領域」に由来する
遺伝子産物の検出が可能であることが確立された。その
断片は、子宮内膜病変のない女性の月経血には見られな
いか、または稀に見られるだけだが、子宮内膜症を患う
女性の月経血試料中には頻繁に見られる。
【0012】したがって、第一態様では、本発明は、月
経血の試料を得る工程と、該試料中の基底子宮内膜の細
胞を測定する工程または該試料中の基底子宮内膜の細胞
に典型的な少なくとも1種の遺伝子産物を測定する工程
と、該測定値を子宮内膜症の診断と相関させる工程とを
含む子宮内膜症の診断方法に関する。
【0013】好ましくは、かかる基底細胞から検出され
る遺伝子産物は、mRNAまたはポリペプチドである。
かかるポリペプチドは、例えば免疫組織学により、また
はイムノアッセイの補助により容易に検出される。
【0014】さらに好ましい態様では、本発明は、月経
血の試料を得る工程、該試料中の基底子宮内膜の細胞に
典型的な少なくとも1種の遺伝子産物の量を測定する工
程、該試料中の子宮内膜の機能層の細胞の遺伝子産物の
量を測定する工程、基底子宮内膜に典型的な遺伝子産物
の子宮内膜の機能層の遺伝子産物に対する相対量を評価
する工程および該相対量を子宮内膜症と相関させる工程
を含む子宮内膜症の診断方法に関する。
【0015】すなわち、本発明の要旨は、下記: 〔1〕 (a)月経血の試料を得る工程(b)該試料中
の基底細胞を測定する工程または(c)該試料中の基底
子宮内膜の細胞に典型的な少なくとも1種の遺伝子産物
を測定する工程および(d)(b)または(c)におけ
る測定値を子宮内膜症の診断と相関させる工程を含む、
子宮内膜症の診断方法、〔2〕 該遺伝子産物がポリペ
プチドである、〔1〕記載の方法、〔3〕 基底細胞が
免疫組織学により測定される、〔1〕記載の方法、
〔4〕 該遺伝子産物が、エストロゲン受容体、プロゲ
ステロン受容体およびp450アロマターゼからなる群
より選ばれる、〔2〕記載の方法、〔5〕 該ポリペプ
チドがイムノアッセイで測定される、〔2〕記載の方
法、〔6〕 該イムノアッセイがサンドイッチイムノア
ッセイである、〔5〕記載の方法、〔7〕 該遺伝子産
物がmRNAである、〔1〕記載の方法、〔8〕
(a)月経血の試料を得る工程(b)該試料中の基底細
胞に典型的な少なくとも1種の遺伝子産物の量を測定す
る工程、(c)該試料中の子宮内膜の機能層の細胞由来
の遺伝子産物の量を測定する工程、(d)(b)の
(c)に対する相対量を評価する工程および(e)該相
対量(d)を子宮内膜症と相関させる工程を含む、子宮
内膜症の診断方法、
〔9〕 該子宮内膜の機能層の細胞
由来の遺伝子産物が、細胞骨格のタンパク質および17
βHSD−II型からなる群より選ばれる、〔8〕記載
の方法、ならびに〔10〕 該子宮内膜の機能層の細胞
由来の遺伝子産物が17βHSD−II型である、
〔9〕記載の方法、である。
【0016】
【発明の実施の態様】本発明の方法および本発明より達
成される進歩を十分に理解および評価するため、女性の
子宮内に含まれる種々の組織、その系統発生的起源なら
びに月経周期の過程におけるその性質および変化につい
て、ある程度詳細に記載することが必要である。
【0017】子宮は、内側の原子宮(archimetra)および
外側の新子宮(neometra)の2つの異なる器官から構成さ
れる(ノエ(Noe), M. ら、Hum Reprod 14 (1999) 190-
7、特に、その中の図5)。子宮内膜の上皮細胞、子宮
内膜支質、および子宮内膜下(subendometrial)、子宮筋
層(原子宮筋層(archimyometrium) または機能層領域子
宮筋層)は、系統発生的にかなり古い組織であり、した
がって原子宮膜(archimetrium)とよばれる。子宮筋層に
加え、血管層および血管上層に代表される系統発生的に
後からの筋層の獲得は、胎生条件下での分娩に必要とさ
れる力に関連するようである。
【0018】系統発生的または個体発生的には、原子
宮、すなわち子宮内膜−子宮内膜下ユニットは、子宮の
最も古い部分を構成し(したがって、その名称が原子
宮)、子宮内膜上皮および子宮内膜支質ならびに主に筋
線維の環状配列を有する、その下の子宮筋層の血管下層
から構成される。子宮内膜および子宮内膜下子宮筋層
は、ともに周期性パターンのステロイドホルモン受容体
発現を示すが、子宮筋層の他の2層、主に筋線維の縦方
向配列を有する外側の血管上層および短筋束の三次元網
目構造からなる血管層(ベルテ(Werth), R. およびグラ
スデユー(Grusdew), W., Arch, Gynaekol. 55 (1898) 3
25-409; ウェッツスタイン(Wetzstein, R., Arch. Gyne
col. 202 (1965) 1-13) は、むしろ、周期を通じて継続
的なエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン
受容体(PR)の両方の高発現を示す(ノエ(Noe) ら、
上記)。原子宮のみが中腎傍起源であり、一方、外側層
の新子宮は、非ミュラー(Muellerian)起源(ベルテ(Wer
th) およびグラスデユー(Grusdew) 、上記)である。血
管下層と血管層との間には、2層の筋線維が混じってる
点で十分な構造的接触がある(ベルテ(Werth) およびグ
ラスデユー(Grusdew) 、上記)。この移行領域(TZ)
は、血管層の内部の約4分の1(quart) を構成し、中程
度の周期性パターンのステロイド受容体発現を示す(ノ
エ(Noe) ら、上記)。
【0019】機能層(functionalis)は、月経周期中に最
も変化する子宮内膜組織である。月経周期の前半では、
機能層は、エストラジオールの影響下で増殖し、排卵後
のプロゲステロンの上昇に伴って、分泌性子宮内膜に変
換され、非妊娠周期の最後に剥落する。機能層は、2層
(第I機能層領域および第II機能層領域)からなる。
第III層は機能層と基底層の間の中間層である。基底
第IV子宮内膜領域は、腺の底部の最も内部の子宮内膜
層である。それは、分泌性への変換を受けず、通常、月
経中に剥落せず、周期の最後で最も活性であり、子宮内
膜の再形成の可能性を有する。4層はすべて、上皮およ
び支質から構成される(パジクラ(Padykula), H.A.ら、
Biol Reprod 40 (1989) 681-90; オクリッツ(Okulicz),
W.C. ら、Biol Reprod 49 (1993) 24-32 )。
【0020】子宮内膜の第IV層は、「基底子宮内膜」
とも呼ばれる。本発明の語義(sense) において、「基底
細胞」または「基底層細胞」または「基底子宮内膜の細
胞」とは、子宮内膜の第IV層の細胞をいう。
【0021】本発明によれば、「機能層」の「機能層細
胞」は、子宮内膜の第I層および第II層に含まれる細
胞である。
【0022】分泌期の最後および月経の開始時、有糸分
裂活性、したがって増殖活性は、霊長類の子宮内膜の基
底第IV領域にのみ存在するが、すべての機能層および
基底第III領域有糸分裂休止においては普通に存在す
る(パジクラ(Padykula)ら、上記; オクリッツ(Okulic
z) ら、上記)。さらに、支質周囲の(peristromal) 平
滑筋細胞は、すべての表面腹腔子宮内膜病変に存在する
こと、およびそれらは、剥落して移植された子宮内膜の
支質化生から生じ得ることが示されており(アナフ(Ana
f), V.ら、Hum Reprod 15 (2000) 767-71 )、これは、
主要形態学的成分、すなわち、子宮内膜上皮、子宮内膜
支質および平滑筋組織に関して、子宮内膜症と腺筋症と
の間に主要な違いがないことを示す。
【0023】驚いたことに、腺筋症および子宮内膜症は
基底子宮内膜の移動により生じること−腺筋症は子宮筋
層壁への基底層の直接浸潤により生じ、子宮内膜症は月
経中の第IV基底層領域の断片の剥離およびその腹腔内
への移植後に生じることがわかった。さらに驚いたこと
に、月経血からの子宮内膜症の診断が、基底細胞または
基底細胞に典型的な少なくとも1種の遺伝子産物の特異
的検出に基づいて可能であることを示し得る。
【0024】第一態様では、本発明は、月経血の試料を
得る工程と、該試料中の基底細胞を測定する工程または
該試料中の基底子宮内膜の細胞に典型的な少なくとも1
種の遺伝子産物を測定する工程と、該測定値を子宮内膜
症の診断と相関させる工程とを含む子宮内膜症の診断方
法に関する。
【0025】さらに好ましい態様において、本発明は、
月経血の試料を得る工程、該試料中の基底細胞に典型的
な少なくとも1種の遺伝子産物を測定する工程および該
測定値を子宮内膜症の診断と相関させる工程を含む子宮
内膜症の診断方法に関する。
【0026】先に論じたように、子宮内膜症の病因に関
していくつかの説および一貫しない専門用語が当該技術
分野において存在する。
【0027】本発明の語義において、「子宮内膜症」と
は、文献において子宮内膜症および腺筋症として知られ
る局面の両方を包含することを意図する。
【0028】上述のように、本発明の方法は、月経血の
試料に基づく。本発明の語義において「月経血」とは、
月経中に膣出血から種々の手段により回収しうる赤血球
含有体液をいう。好ましい態様では、月経血を膣円蓋後
部から直接回収する。月経血を回収する他の方法は、パ
ッドおよびタンポンなどの吸収材の使用ならびにその適
切な抽出である。また、設定した時間(timed) の試料に
由来する月経血を評価すること、すなわち出血開始後の
同日に採取した試料を比較することが好ましい。
【0029】本発明は、「基底細胞に典型的」である
「遺伝子産物」(特にmRNAまたはポリペプチド)を
利用する。
【0030】当業者は、常套的手段により、遺伝子産物
が、第IV層に典型的(すなわち、機能層の細胞と比較
して有意に高レベルで第IV層に見られる)か否かを容
易に評価することができ、または特異的である(第IV
層に存在し、機能層の細胞において検出可能なレベルの
同じ遺伝子産物が本質的にない)とみなすことができ
る。また、「典型的」および「特異的」に評価するため
の定量的な常套手法をいつでも使用し(at hand) 、必要
と思われる場合に使用しうる。
【0031】本発明の語義において、遺伝子産物は、他
の子宮内膜層の細胞と比較して基底細胞中における遺伝
子産物が少なくとも2倍またはそれより多いか、または
多くて半分またはそれより少ない量で見られる場合、典
型的または基底子宮内膜のマーカー分子であるとみなさ
れる。より好ましくは、該遺伝子産物の量は、機能層の
細胞と比較して少なくとも5倍、またはさらにより好ま
しくは少なくとも10倍増加している。
【0032】最も簡単には、mRNAまたはポリペプチ
ドの両方のレベルを、放射性標識された検出分子の補助
によりそれぞれ評価し、それらのレベルを機能層の細胞
に結合した放射活性を子宮内膜の第IVレベルの細胞と
比較して定量することにより、評価する。
【0033】遺伝子産物の発現パターンの差が明白であ
るほど、この遺伝子産物は、より容易に基底細胞の検出
において使用される。
【0034】したがって、子宮内膜の第III機能層の
細胞と比較して基底細胞において10倍高いレベルで見
られる遺伝子産物を、本発明の方法に使用することが好
ましい。基底細胞に特異的な遺伝子産物がさらにより好
ましい。
【0035】「特異的」という用語は、1つの要素に対
して反応性があり、かつ特異性を評価する別の要素には
本質的に反応性がないことを意味する。本発明におい
て、マーカーは、月経中に子宮内膜の基底細胞には存在
するが、機能層の細胞には本質的に存在しない場合、基
底細胞に対して特異的であるとみなされる。しかしなが
ら、非常に低い反応性(機能層/第IV層が<1%)
は、特異的という用語の使用から除外されず、第IV層
の細胞と比較すると機能層の子宮内膜細胞でかかる低レ
ベルで見られる遺伝子産物は、それでもなお基底細胞特
異的であるとみなされる。好ましくは、使用されるマー
カーは、特異的マーカーであり、最も好ましくは、この
マーカーは、基底細胞にのみ見られ、子宮内膜の機能層
の細胞には本質的に見られない特異的マーカーである。
【0036】当業者が理解しているように、生化学的方
法または免疫学的方法に基づく疾患の診断は常に100
%感度と100%特異性の二律背反事象の妥協である。
これは、腫瘍マーカーの分野で特にわかる。本発明の状
況は、非常に類似している。本発明の手順により、今
や、月経血の試料由来の基底細胞の測定値または基底細
胞に典型的な遺伝子産物の測定値を子宮内膜症と相関さ
せることが可能である。
【0037】これらの細胞またはこれらの遺伝子産物が
多量に見られるほど、患者は子宮内膜症を患いやすい。
【0038】好ましい態様では、測定される遺伝子産物
はポリペプチドである。以下の定義を本文脈に適用する
ものとする。
【0039】「診断的」とは、病理学的症状の存在また
は性質を同定することを意味する。諸診断方法は、特異
性および感度においてそれそれ異なる。特定の診断方法
は、症状の確定診断を提供しないことがあるが、該方法
が診断を補助する陽性表示を提供すれば十分である。
【0040】「被検量」とは、被験体試料中の分析物の
量をいい、次いで、これを、値の相対比較が指定疾患の
診断のための参照値を提供するような、試料中の分析物
の正常量(例えば、健常個体のもの)と比較する。検出
方法に応じて、被検量は分析物の量の測定値でありうる
が量である必要はない。被検量はまた、プラスまたはマ
イナススコアなどの相対値であり得、試料中の分析物の
有無を示す量も含む。
【0041】「正常量」とは、健康または病状の欠如を
示す、生物学的試料中の分析物の量または範囲をいう。
【0042】「診断量」とは、特定の疾患の診断と一致
する、生物学的試料中の分析物の絶対量または基準量を
いう。
【0043】「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介
して連結されたアミノ酸残基、その関連する天然の構造
的変種および合成非天然類似体から構成される高分子な
らびに該高分子の関連する天然の構造的変種およびその
合成非天然類似体をいう。合成ポリペプチドは、例えば
自動ポリペプチド合成装置を用いて合成されうる。
【0044】「親和剤」とは、分析物を吸着することが
できる任意の物質をいう。これには、陰イオン交換物
質、金属キレート化剤、抗体、タンパク質リガンドおよ
びポリヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されな
い。
【0045】「抗体」とは、エピトープ(例えば抗原)
と特異的に結合し、認識する、イムノグロブリン遺伝子
もしくはイムノグロブリン遺伝子群によって実質的にコ
ードされるポリペプチドリガンドまたはそのフラグメン
トをいう。わかっているイムノグロブリン遺伝子には、
κおよびλ軽鎖定常領域遺伝子、α、γ、δ、εおよび
μ重鎖定常領域遺伝子、およびミリアド(myriad)イムノ
グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。抗体は、例え
ば、そのままのイムノグロブリンとして、または種々の
ペプチダーゼでの消化により生じた、十分に特性付けさ
れたいくつかのフラグメント群として存在する。これに
は、例えば、Fab’およびF(ab)’ 2 フラグメン
トが含まれる。本明細書で使用する「抗体」という用語
はまた、抗体全体の修飾により作製された抗体断片、ま
たは組換えDNA方法論を用いて新規に合成された抗体
断片のいずれかを含む。また、ポリクローナル抗体、モ
ノクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体が含ま
れる。
【0046】リガンドまたは受容体(例えば抗体)は、
該リガンドまたは受容体が、不均一系化合物群の試料中
において分析物の存在が決定される結合反応において機
能するとき、分析対象化合物と「特異的に結合する」
か、または「特異的に免疫反応性である」。したがっ
て、設計されたアッセイ(例えばイムノアッセイ)条件
下では、リガンドまたは受容体は特定の分析対象物と優
先的に結合するが、試料中に存在する他の化合物とは有
意な量で結合しない。
【0047】「イムノアッセイ」とは、分析対象物に特
異的に結合する抗体と試料を接触させる工程および抗体
と分析対象物との結合を検出する工程を含む、試料中の
分析対象物の検出方法をいう。特定のタンパク質と特異
的免疫反応性である抗体を選択するのに種々のイムノア
ッセイ形式を使用しうる。例えば、タンパク質と特異的
免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために
は固相ELISAイムノアッセイを常套的に使用する。
特異的免疫反応性を決定するために使用しうるイムノア
ッセイの形式および条件の記載については、"Antibodie
s, A Laboratory Manual" (1988), Cold Spring Harbor
Publications, New York におけるハーロー(Harlow)お
よびレーン(Lane)を参照のこと。
【0048】「検出すること」とは、試料中の分析物の
存在、非存在または量を調べることをいい、試料中の分
析対象物の量または試料中の細胞あたりの分析対象物の
量を定量することを含みうる。
【0049】「検出可能部位」または「標識」とは、分
光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的
手段により検出可能な組成物をいう。例えば、有用な標
識には、32P、35S、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素
(例えば、ELISAに通常使用されるもの)、ビオチ
ン−ストレプトアビジン、ジオキシゲニン(dioxigenin
e) 、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗
体が得られうるタンパク質、または標的に相補的な配列
を有する核酸分子が含まれる。検出可能部位は、しばし
ば、放射活性シグナル、発色シグナルまたは蛍光シグナ
ルなどの、試料中の結合した検出可能部位の量を定量す
るのに使用しうる測定可能なシグナルを生成する。
【0050】検出可能部位は、直接または間接的に検出
可能でありうる。間接検出は、該検出可能部位への第2
の直接または間接検出可能部位の結合を含みうる。例え
ば、検出可能部位は、それぞれ、ストレプトアビジンの
結合パートナーまたは対応する抗ハプテン抗体である、
ビオチンまたはハプテン(例えば、ジゴキシンまたはジ
ゴキシゲニン)などの、結合パートナーのリガンドであ
りうる。結合パートナーは、それ自身が直接検出可能で
あり得、例えば、抗体は、それ自体が蛍光分子で標識さ
れたものでありうる。結合パートナーはまた、間接的に
検出可能な、例えば二次抗体でありうる。
【0051】「リンカー」とは、共有結合的にまたはイ
オン結合、ファン・デル・ワールス力もしくは水素結合
を介してのいずれかにより2個の別の分子を連結する分
子をいう。リンカーは、特定の結合パートナーに標識を
結合するのにしばしば使用される。
【0052】ポリペプチドを検出する方法は、数多くあ
り、例えば、質量分析、クロマトグラフィー手順および
種々の免疫学的手順が含まれる。免疫学的方法の中で、
特に、いわゆるイムノアッセイ、免疫組織学的手順およ
びアフィニティー捕捉質量分析を挙げるべきである。
【0053】基底子宮内膜細胞由来のマーカー分子を検
出するのに使用される本発明のイムノアッセイでは、先
に定義した少なくとも1種の抗体試薬を使用する。多く
の異なる免疫学的手順が好適であり、当業者はかかるア
ッセイを計画し、実施するために必要なすべての情報
を、"Practice and theory of enzyme immunoassays"
(1990) Amsterdam, Elsevier におけるティッセン(Tijs
sen) などの関連テキスト書籍に見出すだろう。
【0054】典型的には、特異的抗体試薬を直接または
間接的に、膜(例えば、ニトロセルロース)、マイクロ
タイタープレート(例えば、PVC、ポリプロピレンま
たはポリスチレン製)、試験管(ガラスまたはマイクロ
タイタープレートで記載したプラスチック材料)、計量
棒(試験管を製造するのと同じ材料で製造)、または通
常ラッテクスもしくはポリスチレン系の粒子材料などの
固体支持体にコートする。
【0055】直接コーティングのため、文字通り、抗体
を固相に直接吸着させる。しかしながら、これは、多く
の場合、抗体が結果として変性し、かなり低密度しか達
成されず、個々の抗体試薬のそれぞれについてコーティ
ング条件を最適化しなければならないため、不都合であ
ることが示されている。
【0056】したがって、最近開発されたイムノアッセ
イの多くは、固相への抗体の間接コーティングに基づく
ものである。このコーティングは、分析対象物非依存性
結合ペアの使用を介する。かかる分析対象物非依存性結
合ペアの周知の例は、ビオチン/ストレプトアビジン系
またはジゴキシン−抗ジゴキシン系である。かかる方法
の詳細は、特に米国特許第5,858,803号明細書
および米国特許第5,362,655号明細書に記載さ
れている。
【0057】常套的な適用のために、ストレプトアビジ
ンでプレコートした固相を使用すること、およびアッセ
イ系の分析対象物特異的成分(例えば、抗体)を、ビオ
チニル化された形態のかかる固相に間接的に結合させる
ことが好ましい。
【0058】それぞれ競合型アッセイおよびサンドイッ
チ型アッセイと一般的によばれる2種類のアッセイ条件
(setups)が分析対象物検出手順において常套的に使用さ
れる。それぞれの方法の違いは、例えば競合型アッセイ
を実施するための文献からわかる。一様式において、検
出対象の分析対象物を標識し、試験対象の試料中に含ま
れる分析対象物と競合させる。被検試料中に存在する分
析対象物が多いほど、かかる競合型アッセイにおいて見
出されるシグナルは少ない。
【0059】サンドイッチ型アッセイを使用する場合、
かかるサンドイッチの両側を、試験中の分析対象物との
特異的結合パートナーにより形成し、好ましくは両方と
も抗体である。互いにそれぞれの分析対象物への結合を
妨害しない適切な抗体試薬を選択する。かかる抗体を、
固相への結合またはシグナル生成を可能にするように修
飾する。かかるサンドイッチ型アッセイにおいて、生成
されるシグナルは、試料中に存在する分析対象物の量に
正比例する。
【0060】さらに好ましい態様では、本発明の診断方
法は、検出が免疫組織化学により行なわれることを特徴
とする。上述のイムノアッセイ手順では、月経血試料中
に含まれる細胞を可溶化し、免疫組織化学的手順のため
に月経血試料を、ホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝生
理食塩水中に直接移す。月経血中に含まれる細胞および
組織断片を月経血中で混合し、固定し、標準的手順によ
り定着させ、包埋し、ここから切り出した切片を免疫組
織化学において検査する。かかる免疫組織化学的手順を
実施するためのいくつかの具体例が実施例の項に記載さ
れている。
【0061】免疫組織化学では、検査者は、いくつかの
基準、例えば、組織形態学および染色強度をいつでも利
用する。病理学の当業者は、利用可能な該基準に基づい
て、分析した試料が基底細胞を含むか否かを容易に知る
ことができる。かかる染色手順のため、基底細胞に典型
的な、すなわち、より強い基底細胞の染色をもたらすポ
リペプチドが、かかる細胞の陽性診断にとって適当であ
る。
【0062】また、月経血に含まれる該細胞および組織
断片を処理して個々の細胞を組織断片から遊離する。か
かる単一細胞は、標準的手順により容易に染色すること
ができ、蛍光活性化セル・ソーターにより容易に解析す
ることができる。
【0063】生検材料由来の試料(子宮摘出術により採
取)に関して免疫組織化学を用いると、出血時、ヒト子
宮内膜の第IV層基底細胞のみが、有意な量のエストロ
ゲン受容体、プロゲステロン受容体、特にプロゲステロ
ン受容体アイソフォームAおよびアロマターゼp450
を含むことがわかっている。月経時、これらのマーカー
は基底子宮内膜の細胞内に限られており、該細胞に特異
的である。したがって、好ましい態様では、検出される
ポリペプチドは、エストロゲン受容体、プロゲステロン
受容体、プロゲステロン受容体A型およびp450アロ
マターゼからなる群より選ばれる。p450アロマター
ゼに対する染色が最も強く、プロゲステロン受容体A型
は子宮内膜の基底細胞のみで見られ、子宮内膜の他の層
には見られないため、プロゲステロン受容体A型または
p450アロマターゼのいずれかを選択することが好ま
しい。最も好ましくはp450アロマターゼの検出であ
る。
【0064】さらなる態様では、「遺伝子産物」は、m
RNAである。もちろん、診断手順において、対応する
cDNAを使用してもよい。以下の定義を適用するもの
とする。
【0065】本明細書で使用される「核酸配列」、「ヌ
クレオチド配列」および「ポリヌクレオチド配列」と
は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドおよび
そのフラグメントもしくは部分、ならびに一本鎖もしく
は二本鎖であってもよいセンスまたはアンチセンス鎖を
示してもよいゲノム由来または合成由来のDNAまたは
RNAをいう。
【0066】本明細書で用いられる用語「オリゴヌクレ
オチド」および「オリゴマー」という用語は、プローブ
またはアンプリマー(amplimer)として使用されうる、少
なくとも約10〜約60ヌクレオチド、好ましくは15
〜約30ヌクレオチド、より好ましくは20〜約25ヌ
クレオチドの核酸配列をいう。
【0067】本明細書で用いられる用語「相補的」また
は「相補性」とは、配列「5’−ACTG−3’」に相
補的な塩基により関連付けられる「ポリヌクレオチド」
および「オリゴヌクレオチド」(これらは、ヌクレオチ
ドの配列を指す置き変え可能な用語)に関して用いられ
る。相補性は、「部分的」または「全体的」でありう
る。「部分的」相補性は、1個以上の核酸塩基が塩基対
合形成ルールにマッチしない場合である。核酸間の「全
体的」または「完全な」相補性は、どの核酸塩基も塩基
対合形成ルールの下で別の塩基とマッチしている場合で
ある。核酸鎖間の相補性の度合は、核酸鎖間のハイブリ
ダイゼーションの効率および強度に対して著しい効果を
有する。このことは、増幅反応、および核酸間の結合に
依存する検出方法において特に重要である。
【0068】本明細書で用いられる用語「ハイブリダイ
ゼーション」とは、塩基対合形成を介して核酸鎖が相補
鎖と接触してハイブリダイゼーション複合体を形成する
ことによる任意の方法を用いる相補的核酸対合形成に関
して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブ
リダイゼーション強度(すなわち、核酸間の会合の強
さ)は、核酸間の相補性の度合、関与する条件のストリ
ンジェシー、形成されるハイブリッドのTm および核酸
内のG:C比などの因子により影響を受ける。
【0069】本明細書で用いられる用語「試料鋳型」と
は、目的の標的配列の存在を分析する試料に由来する核
酸をいう。これに対し、「バックグラウンド鋳型」は、
試料中に存在するかもしれないし、存在しないかもしれ
ない試料鋳型以外の核酸に関して用いられる。バックグ
ラウンド鋳型は、不注意(inadvertent) によることが最
も多い。それは、持込みの結果でありえ、あるいは試料
から精製により除去することを意図した核酸夾雑物の存
在によるものであり得る。例えば、検出対象以外の生物
体由来の核酸が、被検試料中にバックグラウンドとして
存在しうる。
【0070】「増幅」は、核酸配列の追加的コピーの作
製と定義され、一般に、当該技術分野で周知のポリメラ
ーゼ連鎖反応技術を用いて行なわれる("PCR Primer, a
Laboratory Manual" (1995), C. W.ディーフェンバッハ
(Dieffenbach) および G. S.ドベクスラー(Dveksler)
編, Cold Spring Harbor Press, Plainview N.Y.) 。本
明細書で用いられる用語「ポリメラーゼ連鎖反応」
(「PCR」)とは、クローニングも精製も行なわず
に、ゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの
濃度を上げるための方法が記載された、参照により本明
細書に取り込まれるK. B. ミュリス(Mullis)の米国特許
第4,683,195号明細書および米国特許第4,6
83,202号明細書の方法をいう。所望の標的配列の
増幅セグメントの長さは、2個のオリゴヌクレオチドプ
ライマーの互いに対する相対位置により決定され、した
がって、この長さは、制御可能なパラメータである。プ
ロセスの反復性局面により、該方法は、「ポリメラーゼ
連鎖反応」(以下、「PCR」)とよばれる。標的配列
の所望の増幅セグメントは、混合物中で主たる配列(濃
度の点で)となるため、それらは「PCR増幅された」
といわれる。
【0071】PCRにより、ゲノムDNAの特定の標的
配列の単一コピーをいくつかの異なる方法論(例えば、
標識プローブを用いるハイブリダイゼーション、ビオチ
ニル化プライマーの取り込み後、アビジン−酵素コンジ
ュゲートでの検出、52P−標識したdCTPまたはdA
TPなどのデオキシヌクレオチド三リン酸の増幅セグメ
ントへの取り込み)により検出可能なレベルまで増幅す
ることが可能である。ゲノムDNAに加え、任意のオリ
ゴヌクレオチド配列を、適切なプライマー分子の組を用
いて増幅することができる。特に、PCRプロセスその
ものにより作製された増幅セグメントは、それ自身が後
続のPCR増幅のための効率的な鋳型となる。
【0072】用語「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」およ
び「RT−PCR」とは、RNA配列を逆転写してcD
NA配列の混合物を作製した後、クローニングも精製も
行なわずに、該混合物中の転写されたcDNA配列の所
望のセグメントの濃度を上げるための方法をいう。典型
的には、メッセンジャーRNA(mRNA)を単一のプ
ライマー(例えば、オリゴ−dTプライマー)を用いて
逆転写した後、転写されたDNAの所望のセグメントを
2種のプライマーを用いてPCR増幅する。
【0073】本明細書で用いられる用語「プライマー」
とは、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘
導される条件下(すなわち、ヌクレオチド、およびDN
Aポリメラーゼなどの誘導剤の存在下、適切な温度およ
びpH)に置かれると、合成の起点の機能を果たすこと
ができる、精製された制限消化物のような天然の、また
は合成により作製されたオリゴヌクレオチドをいう。プ
ライマーは、増幅の最大効率のために好ましくは一本鎖
であるが、代替的に二本鎖であってもよい。二本鎖の場
合、伸長産物の調製に使用する前に、プライマーを最初
に処理して両鎖を分離する。好ましくは、プライマー
は、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマ
ーは、誘導剤の存在下で伸長産物の合成をみたすのに十
分長くなければならない。プライマーの正確な長さは、
温度、プライマー源および方法の使用を含む多くの因子
に依存する。
【0074】本明細書で用いられる用語「プローブ」と
は、目的の別のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズす
ることができる、精製された制限消化物のような天然
の、または合成、組換えもしくはPCR増幅により作製
されたオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの
配列)をいう。プローブは、一本鎖でも二本鎖でもよ
い。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定および
単離に有用である。本発明に使用される任意のプローブ
は、限定されている酵素系、蛍光系、放射活性系および
発光系などの任意の検出系において検出可能であるため
に、任意の「レポーター分子」で標識することが想定さ
れる。
【0075】本明細書で用いられる用語「コード領域」
とは、構造遺伝子に関して用いられるときは、mRNA
分子の翻訳の結果生じるポリペプチドに見られるアミノ
酸をコードするヌクレオチド配列をいう。コード領域
は、真核生物では、5’側が、開始メチオニンをコード
するヌクレオチドトリプレット「ATG」と結合してお
り、3’側が、停止コドン(すなわち、TAA、TA
G、TGA)を指定する3つのトリプレットの1つと結
合している。
【0076】本明細書で用いられる用語「構造遺伝子」
または「構造ヌクレオチド配列」とは、他の遺伝子の発
現を制御しない、RNAまたはタンパク質をコードする
DNA配列をいう。これに対し、「調節遺伝子」または
「調節配列」は、他の遺伝子の発現を制御する産物(例
えば、転写因子)をコードする遺伝子である。
【0077】本明細書で用いられる用語「遺伝子」と
は、構造遺伝子のコード領域を含有するデオキシリボヌ
クレオチド配列を意味する。「遺伝子」は、該遺伝子が
完全長のmRNAの長さに対応するように5’および
3’末端の両方でコード領域に隣接して位置する非翻訳
配列も含んでもよい。コード領域の5’に位置し、かつ
mRNA上に存在する配列を5’非翻訳配列という。コ
ード領域の3’側または下流に位置し、かつmRNA上
に存在する配列を3’非翻訳配列と称される。「遺伝
子」という用語は、cDNAおよびゲノム形態の遺伝子
の両方を包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローン
は、「イントロン」または「介在領域」または「介在配
列」とよばれる非コード配列を間に有するコード領域を
含む。イントロンは、ヘテロ核RNA(hnRNA)に
転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、
エンハンサーなどの調節成分を含んでもよい。イントロ
ンは、核または一次転写物から除去または「スプライス
除去」される。したがって、イントロンは、メッセンジ
ャーRNA(mRNA)転写物には存在しない。mRN
Aは、翻訳中に機能し、生じるポリペプチドのアミノ酸
の配列または順序を指定する。
【0078】本発明の好ましい様式では、基底細胞にお
いて典型的に発現される遺伝子のmRNAレベルを評価
する。最も好ましくは、子宮内膜上皮の細胞と比べると
第IV層細胞において特異的に発現される遺伝子に対応
するmRNAを評価する。
【0079】好ましくは、基底細胞のmRNAは、エス
トロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体A型
(PR−A)またはアロマターゼp450をコードする
遺伝子の転写物である。プロゲステロン受容体A型およ
びアロマターゼp450のmRNAが最も好ましい。
【0080】かかるmRNA測定は、標準的および常套
的手順により行なわれ、かかる方法は、増幅系アッセイ
を、シグナル増幅、ハイブリダイゼーション系アッセイ
および増幅−ハイブリダイゼーションアッセイの組み合
せとともに、またはそれらなしで用いて基底細胞のmR
NAまたはcDNAのマーカー遺伝子の発現を検出およ
び/または定量する工程を含む。
【0081】ポリヌクレオチドアッセイは、好ましく
は、生物学的試料から単離された核酸の試料を用いて行
なわれる。
【0082】ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムDN
A、RNAまたはcDNA)は、当業者に周知のいくつ
かの方法のいずれかにより試料から単離されてもよい。
核酸を単離するための方法は、当業者に周知であり、例
えば、ティッセン(Tijssen), P., Hybridization with
nucleic acid probes Part I; Theory and nucleic aci
d preparation in "Laboratory Techniques in Biochem
istry and Molecular Biology, Vo" (1993);国際公開第
99/63116号パンフレット第19頁; "Molecular
Cloning: A Laboratory Manual" (1989), Cold Spring
Harbour, NY, Cold Spring Harbour Laboratory Press
におけるサンブルック(Sambrook), J.ら;"Current pro
tocols in molecular biology" (1994), Wiley 社にお
けるオースベル(Ausubel), F. らに記載されている。
【0083】一態様では、本発明のアッセイは、基底細
胞に典型的な遺伝子産物(例えば、mRNAまたはcD
NA、以下「標的」ともいう)の検出のための増幅系ア
ッセイである。増幅系アッセイにおいて、ポリヌクレオ
チド標的の全体または部分を増幅し、次いで増幅産物を
直接または間接的に検出する。これには、プローブとの
ハイブリダイゼーション、ゲル上の適切な大きさの産物
の検出、または質量分析、例えば増幅産物の少なくとも
部分の配列の決定による増幅産物の検出が含まれる。鋳
型の機能を果たすための基礎となる遺伝子産物がない場
合、(例えば、期待される大きさの)増幅産物は生成さ
れないか、または増幅が非特異的で典型的には単一の増
幅産物がない。これに対し、基礎となる遺伝子または遺
伝子産物が存在する場合、標的配列が増幅され、基礎と
なる遺伝子またはmRNAの存在および/または量の表
示が提供される。標的増幅系アッセイは当業者に周知で
ある。
【0084】基底細胞に典型的な遺伝子産物を検出する
ためのプライマーおよびプローブは、当業者により子宮
内膜の第IV層に典型的な様式で発現する遺伝子の配列
と関連させることにより設計および作製されるであろ
う。好適なプライマーおよびプローブは、標的核酸とハ
イブリダイズするために、基底細胞に典型的な遺伝子産
物と十分相補的である。プライマーは、通常、約10〜
約100塩基、典型的には約12〜約50塩基であり、
基底細胞に典型的な遺伝子産物の全体または部分を増幅
してもよい。
【0085】一態様では、基底細胞に典型的な遺伝子産
物は、ポリメラーゼ連鎖反応(あらゆる変形例、例えば
逆転写PCR、Sunrise Amplification System (Oncor,
Inc, Gaithersburg MD)および当該技術分野で公知の数
多くの他の方法を含む)を用いて増幅および検出され
る。例示的な一態様では、PCR増幅を、核酸試料(例
えば、mRNAの逆転写により得られたcDNA)、1
00μMの各dNTP(dATP、dCTP、dGTP
およびdTTP;Pharmacia LKB Biotechnology,NJ
)、1又は複数のmRNA特異的PCRプライマー、
1単位/Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer, Norwalk C
T)、1×PCRバッファー(50mM KCl、10m
M トリス、pH8.3、室温、1.5mM MgCl
2 、0.01%ゼラチン)を含む50μlの溶液中、9
4℃で45秒、55℃で45秒および72℃で90秒を
約30回サイクルでの増幅工程により行なう。
【0086】しかしながら、理解されるように、任意の
特定の反応のためのPCR増幅を最適化するために数多
くの変形を行なってもよい。他の適当な標的増幅方法に
は、リガーゼ連鎖反応(LCR;例えば、ウー(Wu), D.
Y. およびウォレス(Wallace), R. B., Genomics 4 (19
89) 560-9;ランデグレン(Landegren), Uら、Science241
(1988) 1077-80; バラニー(Barany), F., Proc Natl A
cad Sci U S A 88 (1991) 189-93;およびバリンガー(Ba
rringer), K. J.ら、Gene 89 (1990) 117-22)、鎖置換
増幅(SDA;例えば、ウォーカー(Walker), G. T.
ら、Proc NatlAcad Sci U S A 89 (1992) 392-6)、転
写増幅 (例えば、クー(Kwoh), D. Y. ら、Proc Natl Ac
ad Sci U S A 86 (1989) 1173-7)、自家持続配列複製(s
elf-sustained sequence replication) (3SR;例え
ば、フェイ(Fahy), E.ら、PCR Methods Appl I (1991)
25-33;グアテリ(Guatelli), J. C. ら、Proc Natl Acad
Sci U S A 87 (1990) 1874-8 )、核酸配列系増幅(N
ASBA、Cangene, Mississauga, Ontario;例えば、コ
ンプトン(Compton), J., Nature 350 (1991) 91-2)、
転写系増幅システム(TAS)、および自家持続配列複
製システム(SSR)が含まれる。
【0087】PCRの有用な変形例の1つは、ジゴキシ
ゲニンdUTPがPCR産物に組み込まれるPCR E
LISA(例えば、Boehringer Mannheim カタログ番号
1636 111)である。PCR反応混合物を変性さ
せ、PCR産物の内部配列とアニーリングするように設
計したビオチン標識オリゴヌクレオチドとハイブリダイ
ズさせる。ストレプトアビジンをコートしたプレートに
ハイブリダイゼーション産物を固定化し、抗ジゴキシゲ
ニン抗体を用いて検出する。当業者にインビトロ増幅法
の指示を与えるのに十分な技術の例は、PCR Technolog
y; Principlesand Applications for DNA Amplificatio
n (1992)、H.アーリッチ(Erlich)編,Freemann Press Ne
w York; PCR protocols; A guide to Methods and Appl
ications (1990)、イニス(Innis) 、ゲルファンド(Gelf
and) 、スニスキー(Snisky)およびホワイト(White)
編、Academic Press、サンディエゴ、に見出される。
【0088】増幅産物を、例えばゲル電気泳動により決
定される大きさにより、ビーズ、膜、スライドもしくは
チップなどの固体支持体上に固定化された標的核酸との
ハイブリダイゼーションにより、シークエンシングによ
り、例えばPCR−ELISAにより免疫学的に、蛍
光、りん光もしくは放射活性シグナルの検出により、ま
たは周知の他の様々な手段のいずれかにより直接解析し
うる。例示的な検出方法の例は、フルオレセインと結合
させたヘアピンループを増やした(augment) プライマー
と、該プライマーが折りたたまれずに標的と結合し、複
製が起こったときのみに蛍光を発するようなクエンチン
グ剤として機能する安息香酸誘導体とを用いる。
【0089】また、標的配列の増幅により生じるシグナ
ルを増加させるための公知の方法を使用しうる。増幅さ
れた標的の検出能を増大させるための方法には、分枝D
NAシグナル増幅(例えば、米国特許第5,124,2
46号明細書;ウルデア(Urdea), M. S., Biotechnolog
y (NY) 12 (1994) 926-8); チラミド(tyramide)シグナ
ル増幅(TSA)システム(DuPont); 触媒性シグナル
増幅(CSA;Dako);Q Beta Replicase Systems (チ
ャギ(Tyagi) , S.ら、Proc Natl Acad Sci U SA 93 (19
96) 5395-400)などのシグナル増幅システムが含まれ
る。
【0090】当業者であれば、どのような増幅方法を使
用しようとも、定量が望まれる場合は、当該技術分野で
公知の様々な定量法を使用しうることを理解するだろ
う。定量的PCRの詳細なプロトコルは、 PCR protoco
ls: A guide to Methods andApplications (1990) 、
イニス(Innis) 、ゲルファンド(Gelfand) 、スニスキー
(Snisky)およびホワイト(White) 編、Academic Press、
サンディエゴ、およびオースベット(Ausubet) ら、上記
(第15章)および "PCR STRATEGIES" (1995) 84-108,
I. e. al.編、Academic Press、ニューヨークのディア
コ(Diaco) , R.,Practical Considerations for the De
sign of Quantitative PCR Assays、ならびに米国特許
第5,629,154号明細書に見出される。
【0091】核酸ハイブリダイゼーション技術を用いた
特定のDNAおよびRNAの測定のための様々な方法が
当業者に知られている(サンブルック(Sambrook)ら、上
述)。
【0092】ハイブリダイゼーション系アッセイとは、
プローブ核酸が標的核酸とハイブリダイズするアッセイ
をいう。核酸ハイブリダイゼーションにおける使用のた
めの核酸プローブ配列を選択するための方法は、サンブ
ルック(Sambrook)ら、上述に記述されており、基底細胞
に典型的または好ましくは特異的な任意の適切な遺伝子
の遺伝子配列に基づいて行なう。いくつかの形式では、
標的およびプローブの少なくとも一方が固定化されてい
る。固定化された核酸は、DNA、RNAまたは別のオ
リゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドでありえ、
天然または非天然のヌクレオチド、ヌクレオチド類似体
もしくは骨格を含み得る。かかるアッセイは、サザンブ
ロット、ノーザンブロット、ドットブロットおよびスロ
ットブロット、高密度ポリヌクレオチドアレイもしくは
高密度オリゴヌクレオチドアレイ(例えば、Genechips
(登録商標) Affymetrix )、計量棒、ピン、チップま
たはビーズを含むいくつかの形式のいずれかであっても
よい。これらの技術のすべては当該技術分野において周
知であり、商品として入手可能な多くの診断用キットの
基礎となっている。ハイブリダイゼーション技術は、"N
ucleic Acid Hybridization, A practical approach"
(1985),ヘイムズ(Hames) 編;ゴール(Gall),J. G. およ
び パーデュー(Pardue), M. L., Proc Natl Acad Sci
U S A 63 (1969) 378-83); ジョン(John), H. A. ら、
Nature 223 (1969) 582-7 に概略的に記載されている。
【0093】一般的な形式の1つは、標的核酸を相補的
な標識プローブとハイブリダイズさせる直接ハイブリダ
イゼーションである。典型的には、標識した核酸をハイ
ブリダイゼーションに用い、該標識が検出可能なシグナ
ルを提供する。標的mRNAの存在、非存在または量を
評価するための方法の1つは、試料由来のRNAのノー
ザン移動および標識した標的特異的核酸プローブのハイ
ブリダイゼーションを実施することである。他の一般的
なハイブリダイゼーション形式には、サンドイッチアッ
セイおよび競合または置換アッセイが含まれる。サンド
イッチアッセイは、核酸配列を検出または単離するため
の商業的に有用なハイブリダイゼーションアッセイであ
る。かかるアッセイは、共有結合により固体支持体に固
定化した「捕捉」核酸および標識した「シグナル」核酸
を溶液中で用いる。生物学的試料または臨床試料は標的
核酸を提供する。「捕捉」核酸および「シグナル」核酸
プローブは、標的核酸とハイブリダイズして「サンドイ
ッチ」ハイブリダイゼーション複合体を形成する。標的
核酸の非存在下では、シグナル核酸は、捕捉核酸とハイ
ブリダイズしえない。
【0094】本発明はまた、標的核酸とハイブリダイズ
しうる、固定化されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌ
クレオチドのアレイを用いて基底細胞に典型的な遺伝子
産物のプローブ系ハイブリダイゼーションアッセイを提
供する。高密度のオリゴヌクレオチドアレイまたはポリ
ヌクレオチドアレイは、標的核酸(例えば、エストロゲ
ン受容体、プロゲステロン受容体A型またはアロマター
ゼp450のmRNA)の存在および特性(例えば、配
列)を効率的に検出するための手段を提供する。インサ
イチュー合成のためにフォトリソグラフィー技術を用
い、規定の配列に相補的な何千ものオリゴヌクレオチド
を表面上の規定の位置に含有してなるアレイを作製する
ための技術は公知である(例えば、米国特許第5,57
8,832号明細書;米国特許第5,556,752号
明細書;米国特許第5,510,270号明細書;フォ
ダー(Fodor), S. P.ら、Science 251 (1991) 767-73;ピ
アーズ(Pease), A. C.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 9
1 (1994) 5022-6 ); およびロックハート(Lockhart),
D. J. ら、Nat Biotechnol 14 (1996) 1675-80)または
規定のオリゴヌクレオチドの迅速な合成および被覆(dep
osition)のための他の方法(ブランチャード(Blanchar
d) , A. P. ら、Biosensors & Bioelectronics11 (199
6) 687-690 を参照のこと)。これらの方法を使用する
場合、既知配列のオリゴヌクレオチド(例えば、20量
体)を、誘導体化スライドガラスなどの表面上で直接合
成することができる。通常、作製するアレイは、過剰(r
edundant)で、検出対象の基底細胞に典型的な遺伝子に
対応するポリヌクレオチドに特異的な数種のオリゴヌク
レオチドプローブをチップ上に有する。
【0095】基底細胞に典型的なタンパク質をコードす
る遺伝子の発現を検出するための代替的な手段はインサ
イチュー・ハイブリダイゼーションである。インサイチ
ュー・ハイブリダイゼーションアッセイは周知であり、
アンジェラー(Angerer), L.M.ら、Methods Enzymol 152
(1987) 649-61 およびオースベル(Ausubel) ら、上記
に概略的に記載されている。インサイチュー・ハイブリ
ダイゼーションアッセイにおいて、細胞試料または組織
試料を固体支持体に、典型的には透過性(permeabilize
d) 状態で、典型的にはスライドガラス上に固定する。
次いで、細胞をハイブリダイゼーション溶液と適度な室
温で接触させ、標的mRNAに完全にまたは実質的に相
補的な標識核酸プローブ(例えば、”S−標識リボプロ
ーブ、蛍光標識プローブ)のアニーリングを可能にす
る。遊離のプローブを、洗浄および/またはヌクレアー
ゼ消化により除去し、結合したプローブを、オートラジ
オグラフィーまたは当該技術分野で公知の適切な画像形
成技術によりスライド上で直接可視化する。
【0096】ポリヌクレオチドアッセイの別の態様にお
いて、増幅、ハイブリダイゼーションまたは他のアッセ
イを行なう前に核酸(例えば、全RNAまたはpoly
+RNA)を生物学的試料から単離する必要はない。
これらの態様は、RNAが測定対象である場合、単離お
よび取り扱い中にmRNAの損失の可能性を低減するた
め、一定の利点を有する。例えば、上記で定義したPC
RおよびRT−PCRなどの多くの増幅技術は、透過性
化した細胞(組織学的試料およびFACS解析)、全溶
解細胞またはある種の細胞抽出物などの粗細胞画分を用
いて行いうる。好ましくは、必要により標的核酸(例え
ば、mRNA)の完全性を保存するための工程(例え
ば、RNAアーゼインヒビターの添加)を行なう。増幅
およびハイブリダイゼーションアッセイはまた、固定お
よび包埋した後の月経血液細胞の試料由来の薄片組織切
片(この試料の調製方法は実施例1に詳細に記載)にお
いて本発明によりインサイチューで行うことができる
が、同様に当該技術分野で公知のPCR、RT−PCR
またはLCR増幅法を、例えば、ポリメラーゼまたはリ
ガーゼ、1つまたは複数のプライマーおよび(デオキ
シ)リボヌクレオシド三リン酸(ポリメラーゼを用いる
場合)ならびに逆転写酵素およびプライマー(転写対象
がRNAで検出対象がcDNAの場合)を用い、固定、
透過性化またはマイクロインジェクトした細胞上におい
て行ない、標的RNAを増幅してもよい。この方法は、
蛍光標識dNTP、プライマーまたは他の成分を顕微鏡
と組み合せて使用するとき、しばしば有用である。その
診断上の有用性に関して、インサイチューPCRにより
得られる結果は免疫組織化学により得られるものと類似
する。
【0097】また、診断の感度および/または特異性を
さらに向上させるため、およびこのようにして月経血の
試料で測定した値を子宮内膜症とさらにより良好に相関
させるために、基底細胞の2〜5個のマーカー遺伝子産
物を測定することは本発明の好ましい態様である。
【0098】よりさらなる診断の改善は、基底細胞に典
型的な遺伝子産物の測定値を「機能層の細胞由来の」遺
伝子産物に対して「正規化」した場合になされ得る。か
かる遺伝子産物は、月経周期全体を通して比較的一定量
で子宮内膜の機能層の細胞に存在するか、またはかかる
遺伝子産物は、月経中、少なくとも比較的一定である。
かかる遺伝子産物は、例えば、ハウスキーピング遺伝子
などの当該技術分野で公知の遺伝子から選ばれる遺伝子
から誘導される。典型的なハウスキーピング遺伝子は細
胞骨格のタンパク質をコードする遺伝子である。
【0099】好ましい態様において、本発明では、イン
タクトな基底細胞の存在を必要としない方法を記載す
る。むしろ、本子宮内膜症の診断方法は、月経血の試料
を得る工程、該試料中の基底子宮内膜の細胞に典型的な
少なくとも1種の遺伝子産物を測定する工程および該測
定値を子宮内膜症の診断と相関させる工程を含む。かか
る測定を行なうために、細胞構成成分から遺伝子産物を
遊離させるための適切な手段により月経血試料を処理す
ることが好ましい。その結果、目的の遺伝子産物が可溶
性で容易に利用可能な(accessible)形態で得られる。好
ましい様式では、試料を適切なインキュベーションバッ
ファーで希釈する。かかるインキュベーションバッファ
ーは当業者に周知である。イムノアッセイの場合、適切
なバッファーを選択し、タンパク質を遊離および/また
は可溶化する目的、および免疫学的結合を可能にし、し
たがって、標的タンパク質と用いた免疫学的結合パート
ナーとの免疫学的複合体の形成を可能にする目的の両方
の目的に役立てる。
【0100】さらに好ましい態様では、本発明は、月経
血の試料を得る工程、該試料中の基底細胞に典型的な少
なくとも1種の遺伝子産物の量を測定する工程、該試料
中の子宮内膜の機能層の細胞由来の遺伝子産物の量を測
定する工程、基底細胞に典型的な遺伝子産物の機能層の
細胞由来の遺伝子産物に対する相対量を評価する工程お
よび該相対量を子宮内膜症と相関させる工程を含む子宮
内膜症の診断方法に関する。
【0101】特に月経時に機能層の細胞に典型的な遺伝
子産物は、例えば、17βHSD−II型(HSD=ヒ
ドロステロイドデヒドロゲナーゼ)である。
【0102】好ましくは、基底細胞に典型的な遺伝子産
物について測定した1つまたは複数の遺伝子産物レベル
を、細胞骨格タンパク質または17βHSD−II型を
コードする遺伝子の遺伝子産物レベルに対して相対的に
示す。最も好ましい17βHSDは、基底細胞に典型的
または特異的な遺伝子産物を正規化し、したがって、例
えば、サンプリングの様式もしくは時間または出血の強
さにより誘導される変動を是正するために使用される。
【0103】最も好ましくは、基底細胞に特異的な遺伝
子産物は、子宮内膜の機能層由来の細胞のハウスキーピ
ング遺伝子に対して正規化される。
【0104】
【実施例】以下の実施例および参考文献は、本発明の理
解を補助するために提供され、本発明の真の範囲は添付
の請求の範囲に記載される。本発明の趣旨を逸脱するこ
となく、記載された手順において変更を行いうることが
理解される。
【0105】実施例1: 組織および月経血の免疫組織
学的試料 1.1 組織試料 種々の理由で子宮摘出術を受けた70人の閉経前女性
(年齢24〜55歳)から非妊娠状態の子宮を得た。こ
れらの女性のうち、51例(年齢26〜55歳、平均4
2歳)は子宮内膜症および/または腺筋症を患ってい
た。残りの19例の女性(年齢24〜49歳、平均36
歳)の子宮では、子宮内膜および子宮筋層に病状はな
く、側腹切開術時においてこれらの女性に子宮内膜症の
兆候はなかった。すべての女性は規則的な月経周期を有
し、少なくとも6ヵ月間はホルモン療法歴はなかった。
月経周期のそれぞれの期は、通常の組織学的日数計算法
("Atlasder Histophathologie des Endometriums" (198
4), Springer 社、ベルリン、ハイデルベルグ、ニュー
ヨーク、東京) のダレンバッハ(Dallenbach)−ヘルウェ
ッグ(Hellweg), G. およびポウルセン(Poulsen), H.)に
従って最後の月経周期を組織学的所見と相関させること
により明確に(ensure)した。
【0106】また、少なくとも6ヵ月間はホルモン療法
を受けていない正常な月経周期を有する閉経前女性(年
齢25〜51歳、平均35歳)の腹腔鏡検査または側腹
切開術により、総数35の子宮内膜症の病変を入手し
た。これらの試料を、壁側腹膜、腸腹膜、子宮腹膜、膀
胱腹膜(n=25)、卵巣子宮内膜腫(n=6)および
直腸膣中隔(n=4)などの種々の腹腔内および腹腔外
病変からそれぞれ切除した。すべての場合において、月
経周期の正確な期がわかった。表Iは、起源、月経の期
および実施した免疫組織化学のそれぞれに関する組織試
料の数のまとめ(complication)である。
【0107】
【表1】
【0108】子宮摘出術の試料および切除した子宮内膜
症の病変を4%緩衝化ホルムアルデヒド(pH7.1)
で24時間固定した。
【0109】正中線において子宮体の矢状方向に向いた
部分を、底部領域から、および子宮腔から漿膜までの全
子宮壁を含む前壁および後壁から取り出した。卵管峡部
を起点として卵管の壁内道に沿って(子宮内膜表面に対
してオルソゴナルに)子宮体の片半分を少なくとも7つ
のスライスに切り分け、腺筋症および漿膜下子宮内膜の
それぞれの病変を同定した。
【0110】子宮組織切片および切除した子宮内膜症の
病変をパラフィンに包埋した。
【0111】1.2 月経血試料 健常女性19例(年齢25〜37歳、平均33歳)およ
び子宮内膜症の女性24例(年齢25〜42歳、平均3
3歳)から総数43の月経血試料を集めた。本試験のこ
の部分に含めた女性はすべて腹腔鏡検査を受け、子宮内
膜症の場合、病期分類を American Society for Reprod
uctive Medicine の改訂AFS分類に従って実施した
(第1、第2、第3および第4病期の患者は、それぞれ
13例、5例、3例および3例であった)。すべての女
性は、規則的な月経周期を有し、少なくとも6ヵ月間は
ホルモン療法歴はなかった。彼女らは、前日の夜間に生
理用ナプキンを使用しただけの月経第2日目の午前中に
本研究室に来所した。すべての女性において、およそ1
mlの月経血を膣円蓋後部から、固定用に2mlの4%
緩衝ホルムアルデヒド(pH7.1)を予め満たしたシ
リンジ内に吸引した。
【0112】パラフィンに包埋する前に、月経血試料を
NaCl溶液で洗浄し、赤血球を除去した。
【0113】月経血試料由来の子宮内膜断片の一連の4
つの連続的な切片を、エストロゲン受容体(ER)、プ
ロゲステロン受容体(PR)、プロゲステロン受容体ア
イソフォームB(PR−B)およびp450アロマター
ゼのそれぞれの発現に関して染色された断片の有無につ
いて調べた。個々のマーカーの各々に対する評価は、1
つのマーカーあたり1つだけの月経血試料切片の検査に
基づいて行なった。
【0114】1.3 免疫染色 全ての免疫組織化学的手順は、自動スライド染色装置(V
entana NexES IHC Staining System; Ventana Medical
Systems Inc., Tucson, AZ, USA)を用いて行なった。パ
ラフィン包埋切片(厚み3μm)を、脱パラフィンおよ
び再水和の前にスライドに載せた。
【0115】エストロゲン受容体(ER)、プロゲステ
ロン受容体(PR)およびプロゲステロン受容体アイソ
フォームB(PRB)電子レンジを40分間200Wで
用いることにより抗体のアンマスキングを行なった(T
ris−EDTAクエン酸バッファー、pH7.8)。
次いで、切片をVentana NexES IHC Staining System に
移した。受容体染色のため、以下の抗体:完全長α型エ
ストロゲン受容体分子に相当する原核生物組換えタンパ
ク質に対して生成した抗エストロゲン受容体マウスモノ
クローナル抗体(Novocastra Laboratories, Newcastle
upon Tyne, UK)を希釈度1:10で;ヒトプロゲステロ
ン受容体上の予測される高抗原性部位に相当する合成ペ
プチドに対して生成し、既知の両タイプの核プロゲステ
ロン受容体 (PR−AおよびPR−B;ビビル(Vivill
e), B. ら、Hum Reprod 12 (1997) 815-22)に結合する
抗プロゲステロン受容体マウスモノクローナル抗体(Nov
ocastra Laboratories, Newcastle upon Tyne, UK)を希
釈度1:10で; プロゲステロン受容体アイソフォーム
B(PRB)に対して生成した抗プロゲステロン受容体
アイソフォームBマウスモノクローナル抗体(Santa Cru
z Biotechnology, Inc, USA)を希釈度1:5で使用し
た。PRBの免疫組織化学において、増幅キット(Venta
na Medical Systems Inc., Tucson, AZ, USA) を染色の
増強のために使用した。Basic DAB Detection Kit を含
む自動染色手順を、ヘマトキシリン対比染色および水洗
により終了させた。次いで、スライドを脱水し、配置し
た。
【0116】受容体陽性乳癌腫の切片を陽性対照として
使用した。受容体陽性乳癌腫の切片を用い、陰性対照
を、一次抗体およびいくつかのエストロゲン受容体陰性
組織(例えば、扁桃および非婦人科学的癌腫由来)との
インキュベーションを行わずに同じ自動化手順により作
製した。
【0117】P450アロマターゼ(P450A) 抗体のアンマスキング、続いてヘマトキシリンでの対比
染色で終了させる自動染色手順は、Basic Alkaline Pho
sphatase Red Detection Kitを用いた以外は同様とし
た。染色は、ヒト胎盤シトクロムP450を認識する一
次ウサギ抗アロマターゼシトクロムP−450ポリクロ
ーナル抗体を、ventana 抗体希釈液(Hauptman-Woodward
Medical Research Inst., Inc., Buffalo, New York)
中での希釈度1:1000で用いて行なった。グラーフ
卵胞を含む正常卵巣組織の切片を陽性対照として使用し
た。いくつかのP450A陰性組織(例えば、扁桃およ
び非婦人科学的癌腫由来)を陰性対照として用いた。
【0118】アクチン 抗体のアンマスキングをプロテアーゼ溶液(Ventana Med
ical Systems Inc., Tucson, AZ, USA) を用いて行なっ
た(perfume) 後、P450Aで記載したのと同じ染色手
順を行なった。一次抗筋肉アクチン抗体(クローンHU
C 1−1)は、Ventana Medical Systems Inc.から予
め希釈された形態で提供され、上記PRで記載のように
して染色を行なった。
【0119】特異的アクチン免疫染色を用いて子宮内膜
症および腺筋症の病変における支質周囲の平滑筋細胞を
同定し、それによりERおよびPR染色の評価を容易に
した。
【0120】1.4 染色強度の評価 エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体
(PR) 特異的核染色の結果を、半定量法を用いて評価した。免
疫反応性のスコア(IRS)を以下の式:IRS=ΣP
i(i+1)(式中、i=1,2または3であり、Pi
は、各強度における染色細胞の割合)を用い、レッセイ
(Lessey), B. A. ら、J Clin Endocrinol Metab 67 (19
88) 334-40に記載の方法に従って算出した。染色強度
は、0=染色なし、1=弱い染色、2=中程度の染色、
3=強い染色のそれぞれで評価した。
【0121】以下の組織:第II領域に相当する機能層
および第IV領域に相当する最下基底層の子宮内膜の上
皮と支質、子宮内膜症および腺筋症の病変の上皮と支
質、新子宮の血管層に相当する外側筋層、原子宮(血管
下層)、子宮内膜症および腺筋症の病変の支質周囲の筋
組織を別々にカウントした(count out) 。子宮組織に関
して少なくとも20ヶ所の強染色領域(high power fiel
d)を、子宮内膜症の病変に関して少なくとも5ヶ所の強
染色領域を無作為に選択して評価した。1つの子宮領域
あたりの陽性染色細胞の免疫反応性のスコアを、計測し
たすべての強染色領域の値の相加平均をとることにより
決定した。一連の試験において、IRSのすべての範囲
においてアッセイ間のばらつきが10%を超えなかった
点で、本方法には高い再現性があった。
【0122】閉経前女性の個々の子宮試料および子宮内
膜症の病変から得られたデータを、上記の月経周期の期
に従って群分けした。
【0123】p450アロマターゼ(p450A)およ
びプロゲステロン受容体アイソフォームB(PRB) 半定量法を用い、4段階評価:0=染色なし、1=弱い
染色、2=中程度の染色、3=強い染色のそれぞれに基
づいて特異的染色の結果を得た。評価は、正常位置(eut
opic) および異所性の子宮内膜に限り、上述の場合と同
数の強染色領域を使用した。
【0124】統計解析 非対データについてはスチューデントのt検定、および
フィッシャー検定を用いて統計解析を行なった。p<
0.05の場合を有意とした。
【0125】1.5 結果
【0126】
【表2】
【0127】表IIから、特にエストロゲン受容体およ
びp450アロマターゼが、月経血試料中の基底細胞の
存在を子宮内膜症と相関させるための重要なマーカーで
あることが容易に明かとなる。
【0128】実施例2: 膣血試料のイムノアッセイ 2.1 月経血試料 子宮内膜症の女性および子宮内膜症でない女性由来の月
経血の試料を、前日の夜間に生理用ナプキンを使用した
だけの月経第2日目の午前中に集めた。すべての女性か
らおよそ1mlの月経血を膣円蓋後部から、2mlのリ
ン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)を予め満た
したシリンジ内に吸引した。
【0129】2.2 プロゲステロン受容体の競合イム
ノアッセイ ストレプトアビジンでプレコートしたマイクロタイター
プレート(Roche Diagnostics GmbH 、製品番号:196
5905) を、PRに対するビオチニル化モノクローナ
ル抗体(ビビル(Viville) ら、上記)100μl、濃度
100ng/mlとともに室温で60分間インキュベー
トした。膣血試料をPBS/Tween(登録商標)2
0(0.05またはTween)中で1:100に希釈
し、1つのウェルあたり、この試料199μlを添加し
た。洗浄後、標準的手順によりペルオキシダーゼで標識
した100μlの合成ペプチド(ビビル(Viville) ら、
上記に記載)を各ウェルに添加し、室温で1時間インキ
ュベーションを行なった。
【0130】ウェルを再度洗浄し(3×200μlのP
BS/Tween)、モノクローナル抗体と結合したペ
ルオキシダーゼの量を、基質としてABTS(登録商
標)(ABTSは2,2’−アジノ−ジ[3−エチルベ
ンズチアゾリンスルホン酸;Roche Biochemicals, オー
ダー番号1 684 302]を用い、製造業者による
指示書に従って評価した。
【0131】2.3 結果 有意なレベルのプロゲステロン受容体が子宮内膜症の患
者から集めた試料の67%において測定されたが、子宮
内膜症でない患者では6%のみにプロゲステロン受容体
が検出された。
【0132】参考文献リスト
【0133】
【発明の効果】本発明の子宮内膜症の診断方法によれ
ば、子宮内膜症の分野の臨床診断の常套手法において、
一般に受け入れられるか、または広範に使用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B063 QA19 QQ53 QR32 QR55 QR62 QS25 QS34

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)月経血の試料を得る工程(b)該
    試料中の基底細胞を測定する工程または(c)該試料中
    の基底子宮内膜の細胞に典型的な少なくとも1種の遺伝
    子産物を測定する工程および(d)(b)または(c)
    における測定値を子宮内膜症の診断と相関させる工程を
    含む、子宮内膜症の診断方法。
  2. 【請求項2】 該遺伝子産物がポリペプチドである、請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 基底細胞が免疫組織学により測定され
    る、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 該遺伝子産物が、エストロゲン受容体、
    プロゲステロン受容体およびp450アロマターゼから
    なる群より選ばれる、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 該ポリペプチドがイムノアッセイで測定
    される、請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 該イムノアッセイがサンドイッチイムノ
    アッセイである、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 該遺伝子産物がmRNAである、請求項
    1記載の方法。
  8. 【請求項8】 (a)月経血の試料を得る工程(b)該
    試料中の基底細胞に典型的な少なくとも1種の遺伝子産
    物の量を測定する工程、(c)該試料中の子宮内膜の機
    能層の細胞由来の遺伝子産物の量を測定する工程、
    (d)(b)の(c)に対する相対量を評価する工程お
    よび(e)該相対量(d)を子宮内膜症と相関させる工
    程を含む、子宮内膜症の診断方法。
  9. 【請求項9】 該子宮内膜の機能層の細胞由来の遺伝子
    産物が、細胞骨格のタンパク質および17βHSD−I
    I型からなる群より選ばれる、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 該子宮内膜の機能層の細胞由来の遺伝
    子産物が17βHSD−II型である、請求項9記載の
    方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010010951A1 (ja) * 2008-07-24 2010-01-28 Kuroda Masahiko 子宮内膜症関連疾患の指標mRNAの発現の検出方法およびそれに用いるプローブ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010010951A1 (ja) * 2008-07-24 2010-01-28 Kuroda Masahiko 子宮内膜症関連疾患の指標mRNAの発現の検出方法およびそれに用いるプローブ

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